説明

電動模型自動車

【課題】リア駆動式の4輪駆動車、フロント駆動式の4輪駆動車、または前後輪同時駆動式の4輪駆動車に簡単に設定することのできる電動模型自動車の提供。
【解決手段】
モータ駆動される一対の車輪13を軸支した第1の組立体6と、一対の車輪14を軸支した第2の組立体7と、前記第1の組立体または前記第2の組立体を、後方の第1の取付位置2または前方の第2の取付位置3に任意に着脱可能にする車体1と、を備え、前記第1の組立体および前記第2の組立体を、前記第1の取付位置または前記第2の取付位置のいずれかに取り付けた後か、または2つの前記第1の組立体を、前記第1の取付位置および前記第2の取付位置に取り付けた後に、前記車体とカバー60の間で保持可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動模型自動車に係り、特にモータ駆動される一対の車輪を軸支した第1の組立体と一対の車輪を軸支した第2の組立体とを車体の前後の取付位置に任意に交換できるように構成された電動模型自動車の技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車のカバーの4隅に設けたガイドローラが無端走路の左右壁面に沿って案内されることで操舵が行われる4輪駆動式の電動模型自動車が知られている。この電動模型自動車によれば、子供等が組立キットを組み立てることで完成させた後に、少なくとも2レーンの専用の走路を備えるサーキット上を2台同時にスタートさせて着順を競うことにより楽しむものである。
【0003】
この電動模型自動車には、予め組立キットに同封されている直流モータに代えてより強力トルクを発生する直流モータや、より電気抵抗の低い金メッキを施したモータ接点などの「専用チューンアップキット」が販売されており、これらを購入して適宜装備することで競争力を高めることでより面白さを高めるようにしている。このため、子供でも簡単な工具あるいは工具なしでも分解と組立作業ができるように配慮されている。
【0004】
一方、無線操縦自動車において、操舵機能を備える前輪ユニットと、モータ駆動されることで後輪を駆動する後輪ユニットと、無線操縦で走行を制御する制御ユニットの夫々にソケット(コネクタ)を設けておきプラグイン方式で着脱可能に構成することが提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】実開昭62−128596号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の特許文献1の提案によれば製品組立作業の簡略化を課題にしていることから、上記のような専用チューンアップキットの交換作業は困難となる。このため、特に直流モータの電極と電池の電極の間を電気的に接続するためのモータ接点の交換作業を子供等が行うことは事実上不可能となる場合があった。
【0006】
また、上記の4輪駆動式の電動模型自動車は、モータ駆動される一対の後輪を軸支した組立体を車体後方の取付位置に着脱可能に設ける一方で、前輪を軸支した組立体を車体前方の取付位置に着脱可能に設けるとともに、後輪の駆動力を伝達機構を介して前輪に伝えるように構成されていた。この結果、所謂リア駆動式の4輪駆動車となっていた。
【0007】
ところで、4輪駆動式の電動模型自動車専用の走路は競技場のトラックのように平行な直線部分から連続する第1から第4コーナーを備えている。したがって、競技中において時間短縮を図るためには各コーナーをいかに短時間で通過できるかが重要となる。
【0008】
このようにコーナーを短時間で通過できるようにするためには、重量配分の関係から所謂フロント駆動式の4輪駆動車が有利となる場合もある。このためリア駆動式の4輪駆動車の電池の極性を逆にして逆走させて遊ぶ場合もあるが、これでは折角のリアウイングが前方に位置してしまうなどリアル感に欠けるので面白くない。
【0009】
したがって、本発明は上記の問題点に鑑みて成されたものであり、リア駆動式の4輪駆動車、フロント駆動式の4輪駆動車、または前後輪同時駆動式の4輪駆動車に簡単に設定することのできる電動模型自動車の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、モータ駆動される一対の車輪を軸支した第1の組立体6と、一対の車輪を軸支した第2の組立体7と、前記第1の組立体または前記第2の組立体を、後方の第1の取付位置3または前方の第2の取付位置3に任意に着脱可能にする車体1と、前記車体をカバーするカバー60とを備え、前記第1の組立体および前記第2の組立体を、前記第1の取付位置または前記第2の取付位置のいずれかに取り付けた後か、または2つの前記第1の組立体を、前記第1の取付位置および前記第2の取付位置に取り付けた後に、前記車体と前記カバーの間で保持可能にすることを特徴としている。
【0011】
また、前記第1の組立体および前記第2の組立体は、前記カバーに対して当接する当接部6a、7aが夫々同形状に形成され、前記カバーの当接により前記車体と前記カバーとの間で保持可能にすることを特徴としている。
【0012】
また、前記第1の組立体の前記車輪の駆動力を、前記第2の組立体の前記車輪に伝達する伝達機構32、32、40、41、41をさらに備え、前記第1の組立体または前記第2の組立体は、前記伝達機構を跨ぐとともに前後方向に延設される切込み部11x、11y、15x、15yを夫々形成したことを特徴としている。
【0013】
また、前記伝達機構は、前記第1の組立体の前記車輪の車軸に固定される第1クラウンギア32と、前記第2の組立体の前記車輪の車軸に固定される第2クラウンギア32と、前記車体の前後方向にその長手方向が一致されて回転可能に軸支される軸体40と、前記軸体の両端に固定されるとともに前記第1、第2クラウンギアに噛合する一対の平ギア41、41と、から構成されることを特徴としている。
【0014】
また、前記モータ駆動は、2本の電池で駆動される直流モータ8により行われ、前記車体は、前記第1の取付位置と前記第2の取付位置の間で前記2本の電池5の正負電極を互い違いにして前後方向に収容する電池収容部4を形成し、前記第1の組立体は、前記2本の電池と前記直流モータの電極との間を接続するために前記第1の組立体の前後方向の各側面で接点9a、9a、10a、10aを形成した一対のモータ接点9、10を備え、また、前記第2の組立体は、その底面において移動可能に配置されるスイッチ部品51と、前記スイッチ部品の移動操作により前記2本の電池の正負電極に対して接触する状態と離れる状態との間で弾性変形する一対のスイッチ接点50、50を、前記第2の組立体の前後方向の各側面に夫々配置するとともに、前記車体の底面の前後に穿設された2つの開口部1k、1kの内の一方を介して前記スイッチ部品を操作可能にすることを特徴としている。
【0015】
また、固定用の孔部9c、10cを前記モータ接点に穿設し、前記孔部を前記側面に形成された凸部23、24に対して嵌合して固定するとともに、前記電極が前記モータ接点に対向するように前記第1の組立体の内部に前記直流モータを配置することで、前記直流モータおよび前記モータ接点を交換可能にしたことを特徴としている。
【0016】
また、前記第1の組立体は基部11と、前記基部に対して回動軸支されるとともに前記基部に嵌合される蓋体12とを備え、前記蓋体により前記直流モータを不動状態にすることを特徴としている。
【0017】
そして、前記カバーの4隅において走行方向に沿うように回動自在に設けられるガイドローラ61とを備え、前記ガイドローラが無端走路の左右壁面に沿って案内されることで操舵が行われることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、電動模型自動車を種々の駆動状態に簡単に設定することによって、より楽しく遊べる電動模型自動車を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、本発明の好適な各実施形態について添付の各図面を参照して述べる。ここで、本発明は様々な修正と変更が可能であり、その内の特定の事例が図面に図示されており、以下に詳細に記述される。しかし、これらの内容に限定されず請求の範囲に規定された範囲で種々の構成が可能であることは言うまでもなく、全ての電動模型自動車に適用可能である。
【0020】
先ず、図1(a)〜(c)は、本発明の一実施形態である電動模型自動車にカバーを取り付ける前の様子を模式的に示した正面図である。
【0021】
図1(a)は、モータ駆動される一対の車輪13を軸支した第1の組立体6を車体1の後方の第1の取付位置に、また、一対の車輪14を軸支した第2の組立体7を車体1の前方の第2の取付位置に装着する前の状態を示している。また、図1(b)は、モータ駆動される一対の車輪13を軸支した第1の組立体6を車体1の前方の第2の取付位置に、また、一対の車輪14を軸支した第2の組立体7を車体1の後方の第2の取付位置に装着する前の状態を示している。そして、図1(c)は、2つの第2の組立体6、6を車体1の第1、第2の取付位置に装着する前の状態を示している。
【0022】
図1(a)において、車体1は矢印F方向を前方にして走行する。この車体1の後方の第1の取付位置2と車体1の前方の第2の取付位置3には図中破線で示したみぞ穴3a、2aが夫々4箇所形成されている。また、車体1の底面の前方と、後方には図中破線で示した開口部1kが夫々形成されている。
【0023】
また、第1の取付位置2と第2の取付位置3の間には、伝達機構を構成するために両端に平ギア41、41を固定した軸体40(破線図示)が回転自在に設けられている。
【0024】
第1の組立体6には破線図示の直流モータ8が内蔵されており、この直流モータの回転軸に固定されるギアに噛合する不図示のギアトレインを介して一点鎖線で図示された後輪13を駆動するように構成されている。この後輪13の車軸には第1のクラウンギア32(破線図示)が固定されている。
【0025】
また、この第1の組立体6は、基部11を各部品の取付基部としており、この基部11の4隅において図示のように下方に延設されたスタッド部11a、11a(図面では2箇所のみ図示)がさらに形成されている。これらのスタッド部11aを、車体1の第2の取付位置2の4隅に形成された4個の取り付けみぞ穴部2a(図面では2個所のみが破線図示)に対して位置決め後に、矢印方向に圧入することで第1の組立体6が車体1と一体化される。また、スイッチ部品51の操作部51kは車体前方の開口部1kを介して車体1の底面から操作可能になる。ここで、スタッド部11aとみぞ穴部2aは、第1の組立体6を車体1から上方に向けて引き抜くことで簡単に外すことができる嵌め合い寸法関係ないし相互位置関係になるように夫々形成されている。あるいは、不図示のロック機構により固定できるようにしても良い。
【0026】
この第1の組立体6の基部11には、さらに前後方向に延設される切込み部11x、11y(破線図示)が形成されており、いずれかの切込み部11x、11yが上記の平ギア41を跨ぐことで機械的に干渉せずに取り付けられ、クラウンギア32と平ギア41が噛合できるように構成されている。
【0027】
一方、第2の組立体7は、各部品の取り付け部となる基部15で一点鎖線図示の前輪14を軸支するように構成されている。また、この前輪14の車軸には第2のクラウンギア32(破線図示)が固定されている。さらに、この基部15の4隅において図示のように下方に延設されたスタッド部15a、15a(図面では2箇所のみ図示)が形成されており、車体1の第2の取付位置3の4隅に形成された4個の取り付けみぞ穴3a、3a(図面では2個所のみが破線図示)に対して位置決め後に矢印方向に圧入することで第1の組立体6が車体1と一体化されるように構成されている。さらに、この第2の組立体7の基部15にも、前後方向に延設される切込み部15x、15y(破線図示)が形成されており、いずれかの切込み部15x、15yが上記の平ギア41を跨ぐことで機械的に干渉せずに取り付けられ、クラウンギア32と平ギア41が噛合できる。
【0028】
以上でリア駆動式の4輪駆動車となるように簡単に設定できる。
【0029】
次に、図1(b)において、既に説明済みの構成または部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、第1、第2の組立体6、7は夫々のスタッド部11a、15a、車体1のみぞ穴部2a、3aの形状および配設位置が完全な互換性を備えている。このため、モータ駆動される一対の後輪13を軸支した第1の組立体6は車体1の前方の第2の取付位置3に矢印方向に装着できる。また、一対の前輪14を軸支した第2の組立体7は車体1の後方の第1の取付位置2に装着することができる。このとき、スイッチ部品51の操作部51kは車体後方の開口部1kを介して車体1の底面から操作可能になる。
【0030】
以上で、例えばリア駆動式からフロント駆動式の4輪駆動車に簡単に変更できるので、図1(a)の状態で好タイムが記録できなかった場合には、図1(b)に図示の状態に即座に変更して競技を継続することが可能になる。
【0031】
そして、図1(c)において、既に説明済みの構成または部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、2個の第1の組立体6のスタッド部11aが車体1のみぞ穴部2a、3aに対して矢印方向に装着できることとなる。これによれば、2モータ式の4輪駆動車に簡単に変更できることとなる。
【0032】
図2(a)は、図1(a)で示した装着状態後にカバー60をセットする直前の様子を示すために要部を破断して示した正面図、図2(b)は、カバー60をセットした後の様子を示すために要部を破断して示した正面図である。
【0033】
本図において、既に説明済みの構成または部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、上記のように第1、第2の組立体6、7を個別に車体1に装着後に不図示のネジなどで固定しても良いが、これをレース途中で行うと手間取りタイムロスとなるので、カバー60を被すことで固定できれば時間短縮を図れる。
【0034】
このために、カバー60の内側において前後方向に1対分が一体成形される補強リブ60f(図面では手前側のみ図示)には同形状の形状部60a、60bが形成されており、これらの各形状部が第1の組立体6および第2の組立体7の同形状の当接部分6a、7aに対して当接できるようにして各組立体を車体1に対して不動状態に固定できるように構成されている。
【0035】
図示の事例では、カバー60にはネジ留めされる部材64、71が固定されており、部材64を車体1の棒部材1cの下方に挿入後に、矢印D1方向にカバー60を回動させた後に、図2(b)に図示のようにラッチ部品70を係止部1xと部材71との間にセットして固定できるようにしている。
【0036】
続いて、図3は図1、図2の電動模型自動車の立体分解図であり、カバーを取り付ける前の様子を示している。本図において、既に説明済みの構成または部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、図示の各部品は例えばABS樹脂材料を用いて射出成形される。
【0037】
具体的には、駆動力の伝達を行うギアについてはナイロン系の樹脂材料から射出成形され、ゴムタイヤは天然ゴムないし合成ゴム材料から成形される。また車軸、軸体は金属製であり、接点部品は燐青銅製であって、使用目的に最適な材料が用いられる。
【0038】
車体1は、走行時に加わる荷重に耐える十分な強度を有するように一体成形されるとともに、矢印F方向を前方としている。車体1の前方には図2を参照して述べたようにカバーを取り付ける際に係止部となる棒部材1cが左右の形状部の間に一体成形されている。この棒部材1cの後方には後述する電源スイッチの操作部を車体1の底面側から操作可能にする開口部1kが穿設されている。同様に車体1の後方にも開口部1kが穿設されている。
【0039】
この車体1の後方の第1の取付位置2には4個の取り付けみぞ穴部2aが一体成形されており、この第1の取付位置2に対して直流モータ8で駆動される後輪13、13を設けた第1の組立体6が図中の一点鎖線で示すよう移動されてこの第1の組立体6を構成する基部11から下方に延設された4箇所のスタッド部11aが上記のように装着される。
【0040】
この第1の取付位置2の左側には電池である2本の単三乾電池5、5の正負電極を前後方向にして収容する電池収容部4が正負表示部とともに一体成形されている。また、この電池収容部4には長手方向に平行となる溝部1fが一体成形されており、この溝部1fに対して上記のように平ギア41を固定した金属製の軸体40をセットすることで、軸体40が溝部1f内で回転できるようにして後輪13の駆動力を前輪14に伝達できるようにしている。この軸体40には軸受け部となる一対のリング部品42を挿入されており、さらなる低摩擦化を図っている。
【0041】
また、この電池収容部4の左側には上記の開口部1kを取り囲むようにした4個の取り付けみぞ穴部3aを設けた第2の取付位置3が一体成形されており、この第2の取付位置3に対して前輪14、14を設けた第2の組立体7が図中の一点鎖線で示すようにセットされる。すなわち、この第2の組立体7を構成する基部15から下方に延設された4箇所のスタッド15aが4個の取り付け穴部3aに圧入または位置決めされることで車体1と一体化される。
【0042】
また、切込み部11y、15yが図示のように形成されており、各組立体6、7を前後方向の任意の取付位置2、3にセットするとき伝達機構に対する機械的な干渉を防止している。
【0043】
以上のように第1の組立体6と第2の組立体7および乾電池5は車体1に対して工具を使用することなく簡単に着脱できるように構成されている。また、後述するカバーを固定することで上方への浮き上がりが完全に防止される。
【0044】
さらに、第1の組立体6と第2の組立体7には前後壁面に接点9a、10a、50a、50bを設けた接点部品が固定されており、第1の組立体6と第2の組立体7とを前後のいずれかの取付位置にセットした場合でも電池からの電源供給ができるように構成されている。この構成について詳しく説明する。
【0045】
図4は、図3の第1の組立体6の立体分解図である。本図において、既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛する。後輪13、13は、樹脂製のホイール46にゴムタイヤ17を圧入して完成される。この後に、一方の後輪13に金属製の六角柱形状の車軸18を圧入固定し、その鍔部をホイール46側に向けたナイロンブッシュ27を挿通し、基部11の車軸の軸支孔部21aに挿通し、平ギア31とクラウンギア32を挿通し、他方の車軸の軸支孔部21bに挿通し、ナイロンブッシュ27を挿通し、後輪13の他方を圧入して固定する。平ギア31とクラウンギア32には、六角柱形状の車軸18に合致する六角孔部が形成されているので平ギア31を介して後輪13に対する動力伝達ができる。また、第1の組立体6が車体1にセットされるとクラウンギア32が上記の平ギア41と噛合するので前輪14,14への動力伝達が可能になる。
【0046】
この基部11にはさらに側面に軸支孔部を形成し、中間ギア30を図示のように軸支するためのギアケース部22が一体成形されている。この中間ギア30は上記の平ギア31に噛合するギア部と直流モータ8の出力軸に固定されたギア29に噛合するギア部を一体成形しており、金属製のシャフト33がギアケース部22内の孔部22aとU溝部22bに対して着脱可能に保持されることにより簡単に交換および取り出せるように構成されている。
【0047】
直流モータ8は、直流モータ8の底面に位置する電極8a、8bを設けており、各電極を下方に曲げ癖をつけた後に、モータ収容部20内で不動状態にセットされる。この直流モータ8は「専用チューンアップキット」の対象であるので頻繁に交換されることがあることから、基部11の上方には矢印方向に開閉される蓋体12が設けられている。
【0048】
この蓋体12は、基部11の左右の孔部25、25で軸支される軸支部12a、12aとモータ収容部20内の内壁の一部に形成される係止部26に対して弾性変形して係止する係止爪12bとを一体成形している。したがって、図1に図示のように蓋体12を閉じた状態で直流モータ8を押さえ付けることにより浮き上がりの防止を図る一方で、モータ交換の際には係止爪12bの係止を解除し、蓋体12を軸支部12a、12aを中心に上方へ回動することで直流モータ8と上記の中間ギア30を簡単に取り出せるように構成されている。
【0049】
このように構成される第1の組立体6の基部11には上記の車体1の第1、第2の取付位置2、3に対向する正極モータ接点9、負極モータ接点10が交換可能に設けられている。
【0050】
図5は、第1の組立体6の基部11に対して正極モータ接点9と負極モータ接点10を固定した底面図である。
【0051】
図4に図5をさらに参照すると、正極モータ接点9は、図示のような略T字状に形成された基部と、この基部の両端から略垂直上方に立設され、上記の乾電池の正電極に当接することで弾性変形する正極接点部9a、9aと、基部の略中央から延設され上記の直流モータ8の電極8bに対して当接することで適度に弾性変形して電力供給を行う接点部9bを一体プレス加工している。
【0052】
一方、負極モータ接点10は、略「凹」形状の基部と、この基部の両端から略垂直上方に立設され、上記の乾電池の負電極に当接することで弾性変形する負極接点部10a、10aと、基部の途中から図示のように突出形成されることで、上記の直流モータ8の電極8bに対して当接することで適度に弾性変形して電力供給を行うための接点部10bとを一体プレス加工している。
【0053】
さらに、正極モータ接点9の基部の途中部位には合計で3つの孔部9cが図示のように穿設されている。この正極モータ接点9は、第1の組立体6の基部11の底面に設けられた開口11d(図5を参照のこと)に接点部9bを挿通した後、基部中央の孔部9cを基部11の底面壁面に形成された凸部36に嵌合し、さらに、前後の孔部9cを基部11の垂直外壁面に形成されている凸部23に嵌合することにより、基部11に対して簡単に交換可能に取り付けられている。
【0054】
一方、負極モータ接点10の基部には合計で4つの孔部10cが図示のように穿設されている。この負極モータ接点10は、第1の組立体6の基部11の底面に設けられた開口11d(図5を参照のこと)に接点部10bを挿通した後、孔部10cを基部11の底面壁面に形成された凸部35に嵌合し、さらに、基部11の垂直外壁面に形成されている凸部24に残りの孔部10cを夫々嵌合することにより、基部11に対して交換可能に取り付けられている。
【0055】
以上のようにモータ接点9、10を第1の組立体6の基部11の垂直面と底面の各外壁面に交換可能に配置することで、直流モータ8を取り出すことなくすばやく交換できるようになる。また、正極接点部9a、9aと負極接点部10a、10aは前後の壁面に沿うように配置されることとなる。
【0056】
次に、図6は図3の第2の組立体7の立体分解図である。本図において、既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、前輪14、14の夫々が上記の後輪と同様に樹脂製のホイール46にゴムタイヤ17を圧入して完成される。この後に、一方の前輪14に金属製の六角柱形状の車軸18を圧入固定し、その鍔部をホイール46側に向けたナイロンブッシュ27を挿通し、基部15の一対の車軸の軸支孔部15fの一方に挿通し、次にクラウンギア32を挿通し、手前の車軸の軸支孔部15gに挿通し、ナイロンブッシュ27を挿通し、前輪14の他方を圧入して固定する。クラウンギア32には六角柱形状の車軸18に合致する六角孔部が形成されているので上記のギア41を介して前輪14に対する動力伝達ができる。すなわち、この第2の組立体7が、図1を参照して述べたように車体1に対してセットされると第2のクラウンギア32が上記の平ギア41と噛合する状態になるので前輪への動力伝達が可能になる。
【0057】
この基部15には電源スイッチを構成するスイッチ部品51と、一対のスイッチ接点50、50とがセットされる。これらは後述するように簡単に交換可能に設けれられる。
すなわち、スイッチ部品51と、一対のスイッチ接点50、50は基部15の所定位置に夫々セットされた後に基部15と蓋体16との間で支持される状態で完成される。蓋体16は、基部15から起立された爪部15w、15s、15sに対して嵌合される孔部16a、16b、16bが穿設されており、簡単に組み付けられるように構成されている。また、この蓋体16には形状部品30の突起部30a、30aを挿入するための一対の孔部16c、16cがさらに穿設されている。この形状部品30の役割は、上記の第1の組立体6と同様の形状の当接部を第2の組立体7に設けることで上記のような互換性を確保する点にある。
【0058】
図7(a)は、第2の組立体7のスイッチがオフ状態になっている様子を示した平面図、図7(b)は、第2の組立体7のスイッチがオン状態になっている様子を示した平面図である。図6に図7をさらに参照して述べると、スイッチ部品51は左右の側面51fから図示のように左右対称となるようにアーム部51b、51bを形成している。また、底面には操作部51kをまた上面には突起部51aを所定樹脂材料を用いて一体成形している。このスイッチ部品51は、基部15の案内部15h中にセットされて図7の左右方向に移動可能に設けられる。このとき、操作部51kは基部15の孔部15zを介して下方から突出される。また、突起部51aは蓋体16の長孔部で案内されることでスイッチ部品51の移動時のガタツキを防止している。
【0059】
この基部15には各スイッチ接点50、50を固定するための突起部15m、15kが一体成形されており、各スイッチ接点を圧入した後にアーム部51b、51bに対して当接して弾性変形させることで係止状態を維持して基部15と一体化される。
【0060】
以上の構成において、スイッチ部品51の操作部51kが指先で移動されるとスイッチ接点50の電池5の負極に常時当接するマイナス接点部50aと正極に当接するプラス接点部50bとが図示の形状となる位置に移動される。
【0061】
すなわち、図7(a)に図示のようにスイッチ部品51がオフ状態であるとプラス接点部50bは電池から後退した位置となる。また、図7(b)に図示のようにスイッチ部品51が操作部51kを指先で移動されると、プラス接点部50bの裏側に位置していたスイッチ部品51のアーム部15bが矢印方向に移動されることでプラス接点部50b、50bを同時に同じ方向に押し出すことで電池と導通する状態になる。
【0062】
この結果スイッチオン状態になる。また、オフにするためには逆方向に移動する。以上のように構成される第2の組立体7を、図1に図示のようにセットすると、先に述べたように第2の組立体7のスイッチ部品の操作部51kと車体1の開口部1kとが一致するので、スイッチ部品51を車体1の開口部1kを介して操作できることになる。
【0063】
続いて、図8はカバー60の立体分解図である。このカバー60は図示のような流線型でありABS樹脂から一体成形される。このカバー60は上記の第1の組立体6と第2の組立体7と乾電池5とを車体1にセットした後にこれらを不動状態に維持するための機能と、実車に近いスケール感とを演出する機能と、カバー60の4隅において走行方向に沿うように回動自在に設けられるガイドローラ61とを設ける機能を備えている。
【0064】
このため各ガイドローラ61は軸支部材62、63の軸部に対して螺合される段付きネジ65と金属製のワッシャー66とを介して回転自在に固定され、各軸支部材62、63をカバー60に対して固定することで4隅で案内するように構成されている。軸支部材63はさらにネジ留めされる部材64と共締め固定される。
【0065】
一方、カバー60は車体1の左右側面に形成されている係止部に形成される係止部材のスナップ部品70と、車体1の後方に形成されている係止部に係止される係止部材70をネジ留めされる部材71を介してさらに設けており、これらの係止部材70をワンタッチで操作することで工具を使用することなく車体1に固定できるようにしている。
【0066】
最後に、図9は完成後の電動模型自動車100の外観斜視図である。完成後に電動模型自動車100を無端走路200のレーン上にスイッチオン状態で落下させると、後輪13と前輪14の4輪駆動状態で矢印F方向に走行が開始される。このとき、カバー60の4隅のガイドローラ61が無端走路の左右壁面201に沿って案内されることで操舵が行われつつ高速度での競争が実施される。
【0067】
そして、競技の結果から例えばモータ接点9、10を交換したい場合には第1の組立体6の基部11の垂直面と底面の各外壁面から交換することで、直流モータ8を取り出すことなくすばやく交換できることとなる。同様にスイッチ接点50、50も容易に交換できる。
【0068】
さらに、リア駆動式の4輪駆動車に設定することで後輪13の重量配分W2を前輪の重量配分W1より大きく設定したり、この逆に設定することでフロント駆動式の4輪駆動車にしたり、あるいは前後輪同時駆動式の4輪駆動車に簡単に設定して1台の電動模型自動車で楽しく遊べるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】(a)〜(c)は、本発明の一実施形態である電動模型自動車にカバーを取り付ける前の様子を模式的に示した正面図である。
【図2】(a)は、図1(a)で示した装填状態後にカバー60をセットする直前の様子を示すために要部を破断して示した正面図、図2(b)は、カバー60をセットした後の様子を示すために要部を破断して示した正面図である。
【図3】図1の電動模型自動車の立体分解図である。
【図4】図1の第1の組立体6の立体分解図である。
【図5】図4の第1の組立体6の基部11の底面図である。
【図6】図3の第2の組立体7の立体分解図である。
【図7】(a)は電源スイッチがオフ状態の動作説明の平面図、(b)は電源スイッチがオン状態である動作説明の平面図である。
【図8】カバー60の立体分解図である。
【図9】完成後の電動模型自動車100の外観斜視図である。
【符号の説明】
【0070】
1 車体
2 第1の取付位置
3 第2の取付位置
4 電池収容部
5 電池
6 第1の組立体
7 第2の組立体
8 直流モータ
9 正極モータ接点
10 負極モータ接点
11 基部
13 車輪(後輪)
14 車輪(前輪)
15 基部
16 蓋体
17 ゴムタイヤ
30 形状部品
50 スイッチ接点
51 スイッチ部品
60 カバー
61 ガイドローラ
100 電動模型自動車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ駆動される一対の車輪を軸支した第1の組立体と、
一対の車輪を軸支した第2の組立体と、
前記第1の組立体または前記第2の組立体を、後方の第1の取付位置または前方の第2の取付位置に任意に着脱可能にする車体と、
前記車体をカバーするカバーとを備え、
前記第1の組立体および前記第2の組立体を、前記第1の取付位置または前記第2の取付位置のいずれかに取り付けた後か、または2つの前記第1の組立体を、前記第1の取付位置および前記第2の取付位置に取り付けた後に、前記車体と前記カバーの間で保持可能にすることを特徴とする電動模型自動車。
【請求項2】
前記第1の組立体および前記第2の組立体は、前記カバーに対して当接する当接部が夫々同形状に形成され、前記カバーの当接により前記車体と前記カバーとの間で保持可能にすることを特徴とする請求項1に記載の電動模型自動車。
【請求項3】
前記第1の組立体の前記車輪の駆動力を、前記第2の組立体の前記車輪に伝達する伝達機構をさらに備え、
前記第1の組立体または前記第2の組立体は、前記伝達機構を跨ぐとともに前後方向に延設される切込み部を夫々形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の電動模型自動車。
【請求項4】
前記伝達機構は、
前記第1の組立体の前記車輪の車軸に固定される第1クラウンギアと、
前記第2の組立体の前記車輪の車軸に固定される第2クラウンギアと、
前記車体の前後方向にその長手方向が一致されて回転可能に軸支される軸体と、
前記軸体の両端に固定されるとともに前記第1、第2クラウンギアに噛合する一対の平ギアと、から構成されることを特徴とする請求項3に記載の電動模型自動車。
【請求項5】
前記モータ駆動は、2本の電池で駆動される直流モータにより行われ、
前記車体は、前記第1の取付位置と前記第2の取付位置の間で前記2本の電池の正負電極を互い違いにして前後方向に収容する電池収容部を形成し、
前記第1の組立体は、前記2本の電池と前記直流モータの電極との間を接続するために前記第1の組立体の前後方向の各側面で接点を形成した一対のモータ接点を備え、
また、前記第2の組立体は、その底面において移動可能に配置されるスイッチ部品と、前記スイッチ部品の移動操作により前記2本の電池の正負電極に対して接触する状態と離れる状態との間で弾性変形する一対のスイッチ接点を、前記第2の組立体の前後方向の各側面に夫々配置するとともに、前記車体の底面の前後に穿設された2つの開口部の内の一方を介して前記スイッチ部品を操作可能にすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電動模型自動車。
【請求項6】
固定用の孔部を前記モータ接点に穿設し、前記孔部を前記側面に形成された凸部に対して嵌合して固定するとともに、前記電極が前記モータ接点に対向するように前記第1の組立体の内部に前記直流モータを配置することで、前記直流モータおよび前記モータ接点を交換可能にしたことを特徴とする請求項5に記載の電動模型自動車。
【請求項7】
前記第1の組立体は基部と、前記基部に対して回動軸支されるとともに前記基部に嵌合される蓋体とを備え、前記蓋体により前記直流モータを不動状態にすることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電動模型自動車。
【請求項8】
前記カバーの4隅において走行方向に沿うように回動自在に設けられるガイドローラとを備え、前記ガイドローラが無端走路の左右壁面に沿って案内されることで操舵が行われることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電動模型自動車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−314440(P2006−314440A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−138435(P2005−138435)
【出願日】平成17年5月11日(2005.5.11)
【出願人】(000135748)株式会社バンダイ (246)
【Fターム(参考)】