説明

電動機およびその据え付け方法

【課題】電動機のフレームの鋳型を改造することなく、据え付け基礎部に適合させて電動機を据え付けることができるようにする。
【解決手段】電動機10は、据え付け基礎部11の上面に載置され、据え付けボルト19によって固定される。電動機10は、金属製鋳物からなるフレーム13と、取り付けネジ17によってフレーム13の外側に着脱可能な鋼板製の脚18と、を有する。脚18は、据え付けボルト19が貫通しうる貫通孔20が形成され、脚18が据え付け基礎部11の上面で電動機10の荷重を支持してその荷重を据え付け基礎部11に伝達する。脚18の貫通孔20を貫通する据え付けボルト19により、脚18が据え付け基礎部11に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機およびその据え付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電動機を据え付けるにあたっては、通常、水平な据え付け基礎部に載置して、据え付けボルトなどによって据え付け基礎部に固定する。また、電動機のフレームは複雑な形状であるため、これを金属製鋳物で作ることが多くある(特許文献1、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−205448号公報
【特許文献2】特公平1−50181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
たとえば既設の旧型電動機を取り外して新型電動機で置き換える場合、据え付け基礎部には旧型電動機に適合する据え付けボルト受けネジ穴が設けられている。そのような場合に、既存のネジ穴の位置に合わせて新型電動機のフレームに据え付けボルトが通る貫通孔を設ける必要がある。
【0005】
ところが、鋳物のフレームの場合、据え付けボルトが通る貫通孔自体はドリルにより加工することができるとしても、脚部リブなどが干渉することなどにより、既存のネジ穴位置(据え付けボルト位置)に合わせることができない場合もある。この場合、据え付けボルトが通る貫通孔のフレーム上の位置を既存のネジ穴位置に合わせるためには鋳型の改造が必要になることもあり、そのためには大きな手間がかかり、大幅なコストアップの要因になる。
【0006】
この発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、電動機のフレームの鋳型を改造することなく、据え付け基礎部に適合させて電動機を据え付けることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る電動機は、水平方向に延びる据え付け基礎部の上面に載置され、据え付けボルトによって前記据え付け基礎部に固定される電動機であって、金属製鋳物からなるフレームと、取り付けネジによって前記フレームの外側に着脱可能であって、前記フレームの外側に取り付けられた状態で前記据え付けボルトが貫通しうる貫通孔が形成され、前記脚が前記フレームの外側に取り付けられた状態で、前記脚が前記据え付け基礎部の上面に接触して当該電動機の荷重を支持してその荷重を前記据え付け基礎部に伝達するとともに、前記脚の貫通孔を貫通する据え付けボルトにより前記脚が前記据え付け基礎部に固定されるように構成された鋼板製の脚と、を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る電動機据え付け方法は、金属製鋳物からなるフレームを備えた電動機を水平方向に延びる据え付け基礎部の上面に載置して固定する電動機据え付け方法であって、据え付けボルトが貫通しうる貫通孔が形成された鋼板製の脚を取り付けネジによって前記フレームの外側に取り付ける脚取り付け工程と、前記脚取り付け工程の後に、前記脚が取り付けられた電動機を前記据え付け基礎部の上面に載置する載置工程と、前記載置工程の後に、前記貫通孔を貫通する据え付けボルトにより前記脚を前記据え付け基礎部に固定する固定工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、電動機のフレームの鋳型を改造することなく、据え付け基礎部に適合させて電動機を据え付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る電動機の第1の実施形態を据え付け基礎部に固定した状態を軸方向から見た立面図であって、下半部のカバーを取り外した状態で示す図である。
【図2】図1の電動機の側面図である。
【図3】本発明に係る電動機の第2の実施形態を据え付け基礎部に固定した状態について、下半部を軸方向から見た立面図であって、カバーを取り外した状態で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明に係る電動機の実施形態について説明する。ここで、同一または類似の部分には共通の符号を付して、重複説明は省略する。
【0012】
[第1の実施形態]
図1は、本発明に係る電動機の第1の実施形態を据え付け基礎部に固定した状態を軸方向から見た立面図であって、下半部のカバーを取り外した状態で示す図である。また、図2は図1の電動機の側面図である。
【0013】
この電動機10は、例えば三相誘導電動機であって、水平面を有する据え付け基礎部11の上に据え付けられ固定されている。電動機10の回転子は水平に延びる回転軸12周りに回転可能に配置され、その外側に固定子〈図示せず〉が配置されている。固定子の外側は金属鋳物製のほぼ円筒状のフレーム13で覆われている。フレーム13の外表面には多数の冷却フィン14が形成されている。冷却フィン14の外側は肉薄鋼板製のカバー15で覆われ、フレーム13とカバー15には、ファン〈図示せず〉により冷却空気が流れるように構成されている。
【0014】
フレーム13の下部には2本の脚取り付け部16がカバー15から下方外側に向けて突出して形成されている。脚取り付け部16は、回転軸12の真下の位置を両側から対称にはさむように、回転軸12に平行に配置されている。脚取り付け部16には、取り付けネジ17によって、脚取り付け部16に沿って延びる脚18が取り付けられている。脚18は鋼板を折り曲げて形成され、据え付けボルト19が貫通する複数の貫通孔20が形成されている。
【0015】
取り付けネジ17によって、脚取り付け部16に脚18を取り付ける作業は、たとえば電動機製造工場内で行なわれ、脚18が取り付けられた電動機10が据え付け現場に搬送されて、据え付け基礎部11の上に載置される。据え付け基礎部11の上面にはネジ穴が形成されていて、このネジ穴に重なる位置に脚18の貫通孔20が配置される。このとき電動機10の荷重は、脚取り付け部16から脚18を経て据え付け基礎部11に伝達される。
【0016】
その後に、脚18の貫通孔20の上から据え付けボルト19が通されて、据え付け基礎部11のネジ穴と螺合され締め付けられることにより、脚18が据え付け基礎部11に固定される。
【0017】
図2に示すように、取り付けネジ17の位置と据え付けボルト19の位置は回転軸方向にずれていることが好ましい。
【0018】
この実施形態によれば、据え付け基礎部11側ですでに決まっている据え付けボルト19の固定位置に適合させて電動機側で調整するに当たり、金属製鋳物のフレーム13の鋳型を変更する必要がなく、鋼板を折り曲げて形成される脚18の形状・寸法および据え付けボルト19が通る貫通孔20の位置を適宜選択することにより、容易に対応できる。
【0019】
また、回転軸12の高さの調整についても、金属製鋳物のフレーム13の形状・寸法を変えることなく、鋼板製の脚18の形状・寸法を適宜選択することにより、容易に対応できる。
【0020】
また、取り付けネジ17の位置と据え付けボルト19の位置が回転軸方向にずれていることにより、据え付けボルト19を締め付ける際に取り付けネジ17が作業の邪魔になるのを防ぐことができる。
【0021】
[第2の実施形態]
図3は、本発明に係る電動機の第2の実施形態を据え付け基礎部に固定した状態について、下半部を軸方向から見た立面図であって、カバーを取り外した状態で示す図である。
【0022】
この実施形態では、脚18が、第1、第2、第3の脚部材18a,18b,18cからできている。各脚部材18a,18b,18cは鋼板を加工して形成され、互いに溶接によって結合されている。
【0023】
第1の脚部材18aには、取り付けネジ17が貫通する貫通孔が形成されて、取り付けネジ17によって第1の脚部材18aと脚取り付け部16が締結されるとともに、第1の脚部材18aと第2の脚部材18bとで脚取り付け部16の荷重を直接受けるようになっている。また、第2の脚部材18bは鉛直方向に延びて荷重を支持する。さらに第2の脚部材18bは水平方向に延びる第3の脚部材18cに載置され固定されている。第3の脚部材18cには据え付けボルト19が通る貫通孔20が形成されている。
【0024】
このような構成によれば、据え付けボルト19の水平方向位置の調整は第3の脚部材18cの長さの調整により行ない、回転軸12の高さの調整は第2の脚部材18bの長さの調整によって行なうことができる。
【0025】
[他の実施形態]
以上説明した実施形態は単なる例示であって、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0026】
たとえば、上記実施形態の説明では、据え付け基礎部11にネジ穴が形成されていて、脚18の貫通孔20を通して据え付けボルト19を据え付け基礎部11のネジ穴にねじ込むものとしたが、あらかじめ、据え付け基礎部11に植え込みボルト〈図示せず〉を固定しておき、この植え込みボルトが脚18の貫通孔20を通るように電動機を載置した後に、脚18の上から植え込みボルトにナットを螺合させて締め付けるような構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0027】
10 電動機
11 据え付け基礎部
12 回転軸
13 フレーム
14 冷却フィン
15 カバー
16 脚取り付け部
17 取り付けネジ
18 脚
18a,18b,18c 脚部材
19 据え付けボルト
20 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に延びる据え付け基礎部の上面に載置され、据え付けボルトによって前記据え付け基礎部に固定される電動機であって、
金属製鋳物からなるフレームと、
取り付けネジによって前記フレームの外側に着脱可能であって、前記フレームの外側に取り付けられた状態で前記据え付けボルトが貫通しうる貫通孔が形成され、前記脚が前記フレームの外側に取り付けられた状態で、前記脚が前記据え付け基礎部の上面に接触して当該電動機の荷重を支持してその荷重を前記据え付け基礎部に伝達するとともに、前記脚の貫通孔を貫通する据え付けボルトにより前記脚が前記据え付け基礎部に固定されるように構成された鋼板製の脚と、
を有することを特徴とする電動機。
【請求項2】
前記取り付けネジの位置と前記脚の貫通孔の位置とが回転軸方向にずれていること、を特徴とする請求項1に記載の電動機。
【請求項3】
前記脚は2本あって、これらの脚が前記回転軸の水平方向位置をはさんで両側にその回転軸に平行に延びていて、前記取り付けネジは、各脚に少なくとも2本取り付けられ、前記貫通孔は各脚に少なくとも2個が形成されていること、を特徴とする請求項1または請求項2に記載の電動機。
【請求項4】
金属製鋳物からなるフレームを備えた電動機を水平方向に延びる据え付け基礎部の上面に載置して固定する電動機据え付け方法であって、
据え付けボルトが貫通しうる貫通孔が形成された鋼板製の脚を取り付けネジによって前記フレームの外側に取り付ける脚取り付け工程と、
前記脚取り付け工程の後に、前記脚が取り付けられた電動機を前記据え付け基礎部の上面に載置する載置工程と、
前記載置工程の後に、前記貫通孔を貫通する据え付けボルトにより前記脚を前記据え付け基礎部に固定する固定工程と、
を有することを特徴とする電動機据え付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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