説明

電動機余剰出力の有効利用方法

【課題】電動機負荷率が少ない電動機の余剰出力を他の負荷用出力に活用することにより、余剰出力の有効利用を図るようにした電動機余剰出力の有効利用方法を提供すること。
【解決手段】電動機負荷1を駆動する電動機2にて同時に発電機3を駆動して発電するようにし、発電電力により蓄電設備6に充電するように構成するとともに、電動機入力を常時監視し、電動機負荷率に応じた余剰負荷に対応して蓄電設備6に充電し、この蓄電設備6より他の負荷7に電力を供給するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機余剰出力の有効利用方法に関し、特に、電動機負荷率が少ない電動機の余剰出力を他の負荷用出力に活用することで有効利用を図るようにした電動機余剰出力の有効利用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特に限定されるものではないが、例えば、下水処理に採用される汚泥掻寄機等においては汚泥掻寄機の負荷(機械負荷、例えば、0.1〜0.2KW)に対し、電動機出力を汚泥掻寄機負荷の数倍程度の出力(例えば、0.4〜0.75KW)を要するものとして、即ち動力負荷率(負荷率50%以下程度)として設計している。
これは予測もしない激しい降雨などにより多量の土砂や汚泥が流入して汚泥掻寄機に予想以上の過負荷が掛かった場合でも安定して電動機が駆動するように安全性を考慮して設計しているからである。
【0003】
したがって、通常運転時においては、この電動機の余剰出力は一切利用されておらず、しかも動力負荷率が少ないと電動機力率・効率が低下し、動力負荷に対し無効電力が増加するが、電力供給は電動機の余剰出力分をも考量して行うため、配電設備も大型化して、かつランニングコストも大になるという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、電動機余剰出力の有する問題点に鑑み、電動機負荷率が少ない電動機の余剰出力を他の負荷用出力に活用することにより、余剰出力の有効利用を図るようにした電動機余剰出力の有効利用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の電動機余剰出力の有効利用方法は、電動機負荷を駆動する電動機にて同時に発電機を駆動して発電するようにし、該発電電力により蓄電設備に充電するように構成するとともに、前記電動機入力を常時監視し、電動機負荷率に応じた余剰負荷に対応して蓄電設備に充電し、この蓄電設備より他の負荷に電力を供給するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の電動機余剰出力の有効利用方法によれば、電動機負荷率に応じた余剰負荷に対応して蓄電設備にて一旦充電し、この充電電力を利用して他の負荷用電力として供給できるので、従来無効電力として消費していた電力を有効に活用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の電動機余剰出力の有効利用方法の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0008】
図1に、本発明の電動機余剰出力の有効利用方法の一実施例を示す。
図において、1は電動機負荷(機械負荷)で、特に限定されるものではないが、例えば、下水処理に採用される汚泥掻寄機(以下、「汚泥掻寄機」という。)、2はこの汚泥掻寄機1を駆動するための電動機で、この電動機2には商用電力により所要の電力供給を行うようにするとともに、この電動機2にて前記汚泥掻寄機1と同時に発電機3をも駆動するようにする。
【0009】
また、発電機3には充電負荷率制御器5を接続するとともに、充電負荷率制御器5に蓄電設備、例えば、蓄電器6を接続するようにする。そしてこの蓄電器6には汚泥掻寄機以外の負荷7、これは特に限定されるものではないが、例えば、照明器具や電気湯沸かし器等の電気機器を接続するようにする。
【0010】
前記電動機2に電力供給を行う場合、この電動機入力を電動機入力検出器4にて常時監視するようにし、この電動機入力検出器4による電動機入力検出信号にて充電負荷率制御器5を制御するようにする。
【0011】
次に、本発明の電動機余剰出力の有効利用方法の作用について説明する。
汚泥掻寄機1を電動機2にて駆動するとき、同時に発電機3も駆動されて発電する。この発電機3による発電量は、電動機余剰電力に対応したものとなるが、これは、電動機2に電力が供給される場合、常に電動機入力検出器4にて常に監視されており、これにより余剰電力に比例した出力を調整して蓄電器充電出力信号を充電負荷率制御器5に伝えられる。
【0012】
この蓄電器充電出力信号により充電負荷率制御器5が制御され、蓄電器充電信号(電動機余剰電力信号)により蓄電器6に、即ち電動機負荷率に応じた余剰負荷に対応して蓄電器6に充電される。
したがって、動力負荷率が少ないと電動機力率・効率が低下し、動力負荷に対し無効電力が増加するが、このように動力負荷率(負荷率50%以下程度)の少ない電動機を有効利用するために負荷率が上昇して力率・効率も上昇することにより無効電力が低下するものとなる。
【0013】
このように、電動機入力を常時監視することで電動機負荷率が低下すると蓄電器への負荷率制御器の出力を上昇させ、蓄電器への充電が早くなり、また反対に電動機負荷率が上昇すると蓄電器への負荷率制御器の出力を低下し、蓄電器への充電を遅くする。即ち、電動機負荷率に応じ余剰負荷に対応した充電ができるものとなり、この蓄電器への充電電力を、例えば、照明器具や電気湯沸かし器用の電力として活用することで、電動機の余剰電力の有効利用ができるものとなる。
【0014】
以上、本発明の電動機余剰出力の有効利用方法について、実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明の電動機余剰出力の有効利用方法は、電動機負荷率に応じた余剰負荷に対応して蓄電設備にて一旦充電し、この充電電力を利用して他の負荷用電力として供給するという特性を有していることから、下水処理設備の用途に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の電動機余剰出力の有効利用方法の一実施例を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0017】
1 電動機負荷
2 電動機
3 発電機
4 電動機入力検出器
5 充電負荷率制御器
6 蓄電器(蓄電設備)
7 汚泥掻寄機以外の負荷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機負荷を駆動する電動機にて同時に発電機を駆動して発電するようにし、該発電電力により蓄電設備に充電するように構成するとともに、前記電動機入力を常時監視し、電動機負荷率に応じた余剰負荷に対応して蓄電設備に充電し、この蓄電設備より他の負荷に電力を供給するようにしたことを特徴とする電動機余剰出力の有効利用方法。

【図1】
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【公開番号】特開2008−295232(P2008−295232A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−139295(P2007−139295)
【出願日】平成19年5月25日(2007.5.25)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】