電動機用のステータおよびステータの製造方法
【課題】占積率の向上を図ることができる電動機用のステータおよびステータの製造方法を提供すること。
【解決手段】ステータ2は、ステータコア4と、積層造形法によりステータコア4の内周面4A(突極7の巻きつけ面11)に導電性粉体Hを噴射して固着させることによってコイル状に形成された導電層41,42,43と、前記導電層を被覆する絶縁層31,32,33,34とを含む。
【解決手段】ステータ2は、ステータコア4と、積層造形法によりステータコア4の内周面4A(突極7の巻きつけ面11)に導電性粉体Hを噴射して固着させることによってコイル状に形成された導電層41,42,43と、前記導電層を被覆する絶縁層31,32,33,34とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電動機用のステータおよびステータの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ステータの内側にロータが配置された一般的な構成の電動機には、ステータの内周面からロータ側へ突出する突極(いわゆるティース)が設けられたものがある。突極には、いわゆる集中巻きによって電線がコイル状に巻きつけられて励磁コイルを構成している。
ここで、突極に電線を巻きつける作業は、人の手または機械によって行われるのだが、その作業をなるべく容易にするために、下記特許文献1では、可撓性を有する複数枚の配線シート部材を重ね合わせて円筒状に巻くことでステータを形成することが開示されている。この配線シート部材は、所定間隔を隔てて配置された複数の磁心構成要素体と、各磁心構成要素体の周囲に形成された配線回路とを挟み込んだ絶縁シートで構成されている。複数枚の配線シート部材を重ね合わせて円筒状に巻くと、配線シート部材間において、重なり合う磁心構成要素体のまとまりが突極となり、重なり合う配線回路のまとまりが、突極に巻きつけられた電線となる。
【0003】
また、下記特許文献2では、アキシャルギャップ型のモータにおいて、導体パターンが形成されたガラス基板上にガラスコーティングを施して、ガラスコーティング上に再び導体パターンを形成するといった処理を繰り返し、重なり合った導体パターンによって励磁コイルを構成することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−143202号公報
【特許文献2】特開平5−336712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
突極に電線を巻きつけるとき、電線(一般的には銅線)の曲げ強度や突極の形状に影響を受けることによって、図10に示すように、巻きつけ後の電線5間のピッチP(図10(a)参照)が大きくなったり、電線5と突極7との間に隙間S(図10(b)で黒く塗り潰した部分)ができたりしてしまうことが不可避である。そのため、突極に対して電線を高密度で巻きつけることが困難となり、いわゆる占積率(電線を巻くべきスペースに対して実際に電線が占める割合)の向上には限界がある。
【0006】
なお、特許文献1および2のように、電線が形成されたシートを突極に巻きつけようとしても、電線のシートと突極(特に突極の角部分)との間に隙間が発生することは避けられず、この場合においても、突極に対して電線を高密度で巻きつけることは困難である。
占積率は、電動機の発生トルクに影響する。そのため、発生トルクを向上させるためには、突極に対して電線を高密度で巻きつけることで占積率の向上を図る必要がある。
【0007】
この発明は、かかる背景のもとでなされたもので、占積率の向上を図ることができる電動機用のステータおよびステータの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、電動機(1)用のステータ(2)であって、ステータコア(4)と、積層造形法により前記ステータコアの表面(4A)に導電性粉体(H)を噴射して固着させることによってコイル状に形成された導電層(41,42,43)と、前記導電層を被覆する絶縁層(31,32,33,34)と、を含むことを特徴とする、ステータである。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記ステータコアの表面から突設された複数の突極(7)をさらに含み、各突極には、前記導電層が形成されていて、前記複数の突極のうち、一の突極の導電層と、他の突極の導電層とが電気的に接続されていることを特徴とする、請求項1記載のステータである。
請求項3記載の発明は、電動機用のステータの製造方法であって、前記ステータコアの表面に絶縁層(31)を形成する第1ステップと、積層造形法により前記絶縁層の表面に導電性粉体を噴射して固着させることによって導電層を形成する第2ステップと、前記導電層上に絶縁層を形成する第3ステップと、を含むことを特徴とする、ステータの製造方法である。
【0010】
請求項4記載の発明は、前記第2のステップは、前記ステータコアの表面から突設された突極に形成された前記絶縁層の表面に前記導電層を形成するステップを含むことを特徴とする、請求項3記載のステータの製造方法である。
請求項5記載の発明は、前記第2ステップおよび第3ステップを交互に繰り返してから、前記導電層および絶縁層(31,32,33)で構成された積層体(45)の表面に別の絶縁層(34)を形成する第4ステップをさらに含むことを特徴とする、請求項3または4記載のステータの製造方法である。
【0011】
なお、上記において、括弧内の数字等は、後述する実施形態における対応構成要素の参照符号を表すものであるが、これらの参照符号により特許請求の範囲を限定する趣旨ではない。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、ステータでは、積層造形法によりステータコアの表面に積層されたコイル状の導電層によって電線を構成できる。この電線は、ステータコアの表面との間や、隣り合う電線との間に隙間をほとんど作らないので、ステータコアに高密度で巻きつけることができる。その結果、ステータにおいて占積率の向上を図ることができる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、コイル状の導電層によって構成された電線を各突極に高密度で巻きつけることができ、突極間での導電層(電線)の電気的接続を達成することができる。
請求項3記載の発明によれば、導電層によって構成された電線をステータコアに高密度で巻きつけることができるので、占積率が向上したステータを製造することができる。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、導電層によって構成された電線をステータコアの突極に高密度で巻きつけることができるので、占積率が向上したステータを製造することができる。
請求項5記載の発明によれば、積層体の表面の絶縁層によって、積層体における導電層からの短絡を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る電動機1の内部構成をロータ3の軸方向から見た側面図である。
【図2】図2は、電線5が巻きつけられた状態における1つの突極7の斜視図である。
【図3】図3は、図2の突極7を、その長手方向から見た図である。
【図4】図4は、図3のX−X線に沿う断面図である。
【図5】図5(a)および(b)のそれぞれは、図2の突極7において電線5が巻きつけられた4つの巻きつけ面11を展開して示した模式図である。
【図6】図6(a)および(b)のそれぞれは、突極7に対する電線5の巻き方を説明するための模式図である。
【図7】図7は、突極7に電線5を形成するための構成を示す簡単な模式図である。
【図8A】図8Aは、ステータ2の製造工程の一環として突極7に電線5を形成する工程を説明するための突極7の一の巻きつけ面11付近における模式図である。
【図8B】図8Bは、図8Aの次の工程を示す模式図である。
【図8C】図8Cは、図8Bの次の工程を示す模式図である。
【図8D】図8Dは、図8Cの次の工程を示す模式図である。
【図8E】図8Eは、図8Dの次の工程を示す模式図である。
【図8F】図8Fは、図8Eの次の工程を示す模式図である。
【図8G】図8Gは、図8Fの次の工程を示す模式図である。
【図9A】図9Aは、突極7に電線5を形成する工程の変形例を説明するためのステータコア4の内周面4A付近における模式図である。
【図9B】図9Bは、図9Aの次の工程を示す模式図である。
【図9C】図9Cは、図9Bの次の工程を示す模式図である。
【図9D】図9Dは、図9Cの次の工程を示す模式図である。
【図9E】図9Eは、図9Dの次の工程を示す模式図である。
【図9F】図9Fは、図9Eの次の工程を示す模式図である。
【図9G】図9Gは、図9Fの次の工程を示す模式図である。
【図10】図10(a)は、比較例に係る突極7の側面図であり、図10(b)は、図10(a)のY−Y線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る電動機1の内部構成をロータ3の軸方向から見た側面図である。
図1を参照して、電動機1は、ステータ2と、ロータ3とを含んでいる。
ステータ2は、ステータコア4と、電線5とを含んでいる。
【0017】
ステータコア4は、図1の姿勢を基準として、図1の紙面に直交する方向に延びる軸中心を有する金属製の略円環状であり、軸方向に所定の厚みを有している。ステータコア4は、周方向に等間隔で分割された分割コア6の集合体である。各分割コア6の内周面(ステータコア4の内周面(表面)4Aを構成する側面)6Aには、ステータコア4の軸中心に向かって径方向内側に突出する1本の突極7が一体的に設けられている。ステータコア4全体で見ると、分割コア6と同数(複数)の突極7が、ステータコア4の内周面4Aから突設されている。各突極7に対して、電線5が巻回されて(巻き付けられて)いる。
【0018】
ステータコア4の中空部分(各分割コア6の突極7よりも径方向内側の空間)には、ロータ3が、ステータコア4と同心で回転可能な状態で配置されている。換言すれば、ステータコア4(ステータ2)がロータ3の周囲を囲むように配置されている。ロータ3は、金属製の円筒体8と、円筒体8の円中心に挿通された回転軸9とを一体的に備えている。回転軸9は、ステータ2(ステータコア4)の軸方向に沿って延びており、ステータコア4の軸方向と回転軸9の軸方向とは同じである。円筒体8の外周部には、回転軸9と平行に延びる複数の永久磁石10が、円筒体8の外周面の周方向においてS極とN極とを交互にして等間隔で取り付けられている。
【0019】
このような電動機1では、ステータ2の電線5に通電がなされると、ロータ3が回転するようになっている。
以下では、各突極7に対する電線5の巻きつけ構造について説明する。
図2は、電線5が巻きつけられた状態における1つの突極7の斜視図である。図3は、図2の突極7を、その長手方向から見た図である。図4は、図3のX−X線に沿う断面図である。図5(a)および(b)のそれぞれは、図2の突極7において電線5が巻きつけられた4つの巻きつけ面11を展開して示した模式図である。図6(a)および(b)のそれぞれは、突極7に対する電線5の巻き方を説明するための模式図である。
【0020】
図2では、突極7の上端部が、ステータコア4の内周面4A(分割コア6の内周面6A)に接続された側であり、突極7の下端部が、ロータ3に近い側になっている(図4、図5、図6および後述する図7においても同様)。突極7の形状の一例として、図2に示すような四角柱状を挙げることができる。この場合、突極7には、電線5(図中において黒く塗り潰された部分)が巻きつけられる4つの巻きつけ面11を有している。図2における4つの巻きつけ面11は、上端面12および下端面13以外の4つの側面のことである。以下では、図2における上方から見た場合における反時計回りの順に、4つの巻きつけ面11を、A面11A、B面11B、C面11CおよびD面11Dと区別することがある。突極7は、分割コア6(ステータコア4)の一部なので、各巻きつけ面11は、分割コア6の内周面6A(ステータコア4の内周面4A)の一部である(図1参照)。
【0021】
図2では、電線5の巻き始め端14と、巻き終り端15とが、点線で示されている。巻き始め端14および巻き終り端15は、電動機1内に設けられたバスバー(図示せず)に対して電気的に接続されている。各突極7の巻き始め端14および巻き終り端15のいずれか一方同士が、バスバー(図示せず)を介して電気的に接続されている。これにより、突極7間での電線5の電気的接続を達成することができる。
【0022】
電線5は、巻き始め端14が突極7からはみ出た状態で、たとえば、A面11AとD面11Dとの境界部分におけるステータコア4側端部(図2の上端部)から、A面11A→B面11B→C面11C→D面11D→A面11A…の順番で、ロータ3側(図2の下側)へ少しずつずれながら突極7に巻きつけられている(図5(a)および図6(a)も参照)。このような電線5の巻きつけ方向を、「巻き下げ方向」と呼ぶことにする。
【0023】
そして、巻き下げ方向に沿って突極7に巻きつけられた電線5は、巻きつけ面11におけるロータ3側の端まで到達すると、今度は、A面11A→B面11B→C面11C→D面11D→A面11A…の順番で、ステータコア4側へ少しずつずれながら突極7に巻きつけられている(図5(b)および図6(b)も参照)。このような電線5の巻きつけ方向を、「巻き上げ方向」と呼ぶことにする。
【0024】
そして、電線5は、巻きつけ面11におけるステータコア4側の端まで到達すると、今度は、A面11A→B面11B→C面11C→D面11D→A面11A…の順番で、再びロータ3側へ少しずつずれながら巻き下げ方向に沿って突極7に巻きつけられている(図5(a)および図6(a)も参照)。
このように巻き下げ方向に沿った巻きつけと巻き上げ方向に沿った巻きつけとを交互に繰り返すことによって、電線5が、巻きつけ面11に対して複数層(この実施形態では3層)に重なったコイル状になって、突極7に対して巻きつけられている(図3および図4参照)。
【0025】
ただし、本実施形態の電線5は、一般的な銅線などの導電性を有する細線を人の手や機械によって突極7に巻きつけたものではない。詳しくは、以下に説明する。
図7は、突極7に電線5を形成するための構成を示す簡単な模式図である。
図7を参照して、電線5は、コールドスプレーやエアロゾルデポジション等の粉体固着技術による積層造形法によって、電線5の材料となる導電性粉体を突極7の各巻きつけ面11に噴射して固着させることで形成されており、結果として、コイル状となって突極7に巻きつけられた状態(図2〜図6参照)になっているのである。
【0026】
電線5を形成するための設備19として、支持回転装置20と、粉体噴射装置21と、マスク22とが用意される。
支持回転装置20は、たとえば図7において上下に延びて同一直線状に配置される第1軸23および第2軸24と、これらの軸を軸中心周りに回転させるモータ(図示せず)とを含んでいる。図7では、第1軸23が第2軸24よりも上方に位置している。これから巻きつけ面11に電線5が形成される突極7(この突極7を有する分割コア6も含む)は、第1軸23と第2軸24とによって上下から挟持されている。この状態で、第1軸23が、突極7の上端面12(厳密には分割コア6)に対して上から接触していて、第2軸24が、突極7の下端面13に対して下から接触している。
【0027】
前述したモータ(図示せず)が駆動されると、第1軸23、第2軸24およびこれらの軸に挟持された突極7(分割コア6)全体が、これらの軸の軸中心周りに回転するようになっている。ここで、第1軸23、第2軸24および突極7は、一度に4分の1回転するようになっていて、これらの一度の回転角度が90°であるとする。
粉体噴射装置21は、前述した導電性粉体(たとえば銅粉体)などの粉体を収容したタンク25と、このタンク25に接続されたホース26と、ホース26の先端につながったノズル27とを一例として含んでいる。タンク25に収容された粉体(図7では、導電性粉体H)は、ホース26を通ってから、所定の勢いでノズル27から噴射されるようになっている。
【0028】
マスク22は、1つの巻きつけ面11よりも大きな板状であって、その厚さ方向に貫通するスリット28が複数形成されている。マスク22におけるスリット28のパターン(寸法および配列構成)は、前述した巻き下げ方向(図5(a)および図6(a)参照)および巻き上げ方向(図5(b)および図6(b)参照)のそれぞれに電線5を巻きつけた場合における各巻きつけ面11A〜Bのそれぞれに応じて異なっていて、少なくとも8パターン存在し、これに応じて、マスク22には、少なくとも8つの種類がある。
【0029】
そのため、図5(a)において、A面11Aの電線5部分と同じ配列パターンのスリット28を有する1種類目のマスク22と、B面11Bの電線5部分と同じ配列パターンのスリット28を有する2種類目のマスク22と、C面11Cの電線5部分と同じ配列パターンのスリット28を有する3種類目のマスク22と、D面11Dの電線5部分と同じ配列パターンのスリット28を有する4種類目のマスク22とが存在する。
【0030】
さらに、図5(b)において、A面11Aの電線5部分と同じ配列パターンのスリット28を有する5種類目のマスク22と、B面11Bの電線5部分と同じ配列パターンのスリット28を有する6種類目のマスク22と、C面11Cの電線5部分と同じ配列パターンのスリット28を有する7種類目のマスク22と、D面11Dの電線5部分と同じ配列パターンのスリット28を有する8種類目のマスク22とが存在する。
【0031】
図7を参照して、突極7においてこれから電線5が形成される予定の巻きつけ面11に粉体噴射装置21のノズル27を向け、ノズル27と当該巻きつけ面11との間に、対応する種類のマスク22を配置してから、ノズル27から当該巻きつけ面11に導電性粉体Hを高速で噴射する。すると、導電性粉体Hは、マスク22においてスリット28だけを通過できるので、当該巻きつけ面11においてスリット28と一致する領域だけに固着する。当該巻きつけ面11に固着した導電性粉体Hの層が電線5(厳密には、電線5の一部)となる。詳しくは、これから説明する。なお、突極7の巻きつけ面11への粉体の噴射は、コールドスプレーの場合には大気環境中で行われ、エアロゾルデポジションの場合には大気環境中または真空中で行われる。
【0032】
図8A〜図8Gは、ステータ2の製造工程の一環として突極7に電線5を形成する工程を説明するための突極7の一の巻きつけ面11付近における模式図である。
図8Aを参照して、まずは、突極7のA面11Aに対して、マスク22を介することなくノズル27を向ける。このときのタンク25(図7参照)内には、絶縁性粉体Z(絶縁性樹脂等の粉体)が収容されていて、この絶縁性粉体Zがノズル27からA面11Aの全域に対して均一に噴射されて固着する。これにより、A面11には、絶縁性粉体Zの層(第1絶縁層31)が形成される。
【0033】
次いで、図8Bを参照して、前述した1種類目のマスク22をノズル27とA面11Aとの間にセットし、マスク22とA面11Aとの相対位置を調整する。このときのタンク25内には、導電性粉体Hが収容されていて、この導電性粉体Hが、ノズル27からマスク22越しにA面11A上の第1絶縁層31の表面に対して噴射されて固着する。これにより、A面11Aの第1絶縁層31上には、このマスク22のスリット28と同じパターン(配列パターン)の導電性粉体Hの層(第1導電層41)が形成される。A面11Aに形成された第1導電層41は、図5(a)のA面11Aにおいて間隔を隔てて上下に並ぶ複数の電線5を構成している。なお、A面11Aにおける最上位の電線5は、A面11AとD面11Dとの境界において、前述した巻き始め端14(図2参照)につながっている。
【0034】
次いで、図8Cを参照して、1種類目のマスク22が除去された後に、ノズル27からA面11Aの第1導電層41上に絶縁性粉体Zが均一に噴射されて固着する。これにより、A面11の第1導電層41上には、絶縁性粉体Zの層(第2絶縁層32)が形成される。第2絶縁層32は、A面11において、第1絶縁層31との間で第1導電層41を挟み込みつつ、第1絶縁層31と一緒になって、第1導電層41における各電線5を1本ずつ被覆している。
【0035】
A面11Aに第2絶縁層32が形成されると、支持回転装置20のモータ(図示せず)が駆動されて、突極7全体が90°回転し、今度は、B面11Bがノズル27を向く。その後、図8A〜図8Cと同じ手順で、B面11B上に、第1絶縁層31、第1導電層41および第2絶縁層32をこの順番で形成する。ここで、第1導電層41を形成する際には、前述した2種類目のマスク22が用いられる。そのため、B面11Bに形成された第1導電層41は、このマスク22のスリット28と同じパターンになっており、図5(a)のB面11Bにおいて間隔を隔てて上下に並ぶ複数の電線5を構成している。そして、A面11AとB面11Bとの境界において、A面11AおよびB面11Bの各電線5のうち、突極7の上端面12からの順番が同じもの同士がつながって連続している。
【0036】
B面11Bに第2絶縁層32が形成されると、B面11Bの場合と同様の手順で、C面11CおよびD面11Dのそれぞれに対して、この順番で、第1絶縁層31、第1導電層41および第2絶縁層32を形成する。ここで、図8Bを参照して、C面11Cに第1導電層41を形成する際には、前述した3種類目のマスク22が用いられる。そのため、C面11Cに形成された第1導電層41は、このマスク22のスリット28と同じパターンになっており、図5(a)のC面11Cにおいて間隔を隔てて上下に並ぶ複数の電線5を構成している。また、図8Bを参照して、D面11Dに第1導電層41を形成する際には、前述した4種類目のマスク22が用いられる。そのため、D面11Dに形成された第1導電層41は、このマスク22のスリット28と同じパターンになっており、図5(a)のD面11Dにおいて間隔を隔てて上下に並ぶ複数の電線5を構成している。
【0037】
D面11Dに第2絶縁層32が形成された状態(厳密には、第1導電層41が形成された時点)では、図5(a)を参照して、B面11BとC面11Cとの境界において、B面11BおよびC面11Cの各電線5のうち、突極7の上端面12からの順番が同じもの同士がつながって連続している。また、C面11CとD面11Dとの境界において、C面11CおよびD面11Dの各電線5のうち、突極7の上端面12からの順番が同じもの同士がつながって連続している。また、A面11AとD面11Dとの境界において、A面11Aにおける最上位(上端面12に最も近い)の電線5およびD面11Dにおける最下位(下端面13に最も近い)の電線5を除いたA面11AおよびB面11Bの各電線5のうち、突極7の上端面12からの順番が同じもの同士がつながって連続している。これにより、A面11A〜D面11Dの4面に形成された第1導電層41の電線5は、連続したコイル状になって巻き下げ方向に沿って突極7に巻きつけられて(巻回(実際には「形成」)されて)いる(図3および図4参照)。
【0038】
次いで、図8Dを参照して、突極7全体を90°回転させて、突極7のA面11Aにノズル27が再び向くようにする。そして、前述した5種類目のマスク22をノズル27とA面11Aとの間にセットし、マスク22とA面11Aとの相対位置を調整する。このときのタンク25(図7参照)内には、導電性粉体Hが収容されていて、この導電性粉体Hが、ノズル27からマスク22越しにA面11A上の第2絶縁層32の表面に対して噴射されて固着する。これにより、A面11Aの第2絶縁層32A上には、このマスク22のスリット28と同じパターンの導電性粉体Hの層(第2導電層42)が形成される。A面11Aに形成された第2導電層42は、図5(b)のA面11Aにおいて間隔を隔てて上下に並ぶ複数の電線5を構成している。なお、A面11Aにおける最下位の電線5は、A面11AとD面11Dとの境界において、D面11Dの第1導電層41における最下位の電線5(図5(a)参照)につながっている。
【0039】
次いで、図8Eを参照して、5種類目のマスク22が除去された後に、ノズル27からA面11Aの第2導電層42上に絶縁性粉体Zが均一に噴射されて固着する。これにより、A面11の第2導電層42上には、絶縁性粉体Zの層(第3絶縁層33)が形成される。第3絶縁層33は、A面11において、第2絶縁層32との間で第2導電層42を挟み込みつつ、第2絶縁層32と一緒になって、第2導電層42における各電線5を1本ずつ被覆している。
【0040】
A面11Aに第3絶縁層33が形成されると、支持回転装置20のモータ(図示せず)が駆動されて、突極7全体が90°回転し、今度は、B面11Bがノズル27を向く。その後、図8Dおよび図8Eと同じ手順で、B面11B上に、第2導電層42および第3絶縁層33をこの順番で形成する。ここで、第2導電層42を形成する際には、前述した6種類目のマスク22が用いられる。そのため、B面11Bに形成された第2導電層42は、このマスク22のスリット28と同じパターンになっており、図5(b)のB面11Bにおいて間隔を隔てて上下に並ぶ複数の電線5を構成している。そして、A面11AとB面11Bとの境界において、A面11AおよびB面11Bの各電線5のうち、突極7の上端面12からの順番が同じもの同士がつながって連続している。
【0041】
B面11Bに第3絶縁層33が形成されると、B面11Bの場合と同様の手順で、C面11CおよびD面11Dのそれぞれに対して、この順番で、第2導電層42および第3絶縁層33を形成する。ここで、図8Dを参照して、C面11Cに第2導電層42を形成する際には、前述した7種類目のマスク22が用いられる。そのため、C面11Cに形成された第2導電層42は、このマスク22のスリット28と同じパターンになっており、図5(b)のC面11Cにおいて間隔を隔てて上下に並ぶ複数の電線5を構成している。また、図8Dを参照して、D面11Dに第2導電層42を形成する際には、前述した8種類目のマスク22が用いられる。そのため、D面11Dに形成された第2導電層42は、このマスク22のスリット28と同じパターンになっており、図5(b)のD面11Dにおいて間隔を隔てて上下に並ぶ複数の電線5を構成している。
【0042】
D面11Dに第3絶縁層33が形成された状態(厳密には、第2導電層42が形成された時点)では、図5(b)を参照して、B面11BとC面11Cとの境界において、B面11BおよびC面11Cの各電線5のうち、突極7の上端面12からの順番が同じもの同士がつながって連続している。また、C面11CとD面11Dとの境界において、C面11CおよびD面11Dの各電線5のうち、突極7の上端面12からの順番が同じもの同士がつながって連続している。また、A面11AとD面11Dとの境界において、D面11Dにおける最上位の電線5およびA面11Aにおける最下位の電線5を除いたA面11AおよびD面11Dの各電線5のうち、突極7の上端面12からの順番が同じもの同士がつながって連続している。これにより、A面11A〜D面11Dの4面に形成された第2導電層42の電線5は、連続したコイル状になって、突極7に対して、第1導電層41の電線5のコイルの上から巻き上げ方向に沿って巻きつけられている(図3および図4参照)。
【0043】
次いで、図8Fを参照して、突極7全体を90°回転させて、突極7のA面11Aにノズル27が再び向くようにする。そして、前述した1種類目のマスク22をノズル27とA面11Aとの間にセットし、マスク22とA面11Aとの相対位置を調整する。このときのタンク25(図7参照)内には、導電性粉体Hが収容されていて、この導電性粉体Hが、ノズル27からマスク22越しにA面11A上の第3絶縁層33の表面に対して噴射されて固着する。これにより、A面11Aの第3絶縁層33A上には、このマスク22のスリット28と同じパターンの導電性粉体Hの層(第3導電層43)が形成される。A面11Aに形成された第3導電層43は、図5(a)のA面11Aにおいて間隔を隔てて上下に並ぶ複数の電線5を構成している。また、A面11Aにおける最上位の電線5は、A面11AとD面11Dとの境界において、D面11Dの第2導電層42における最上位の電線5(図5(b)参照)につながっている。
【0044】
次いで、図8Gを参照して、1種類目のマスク22が除去された後に、ノズル27からA面11Aの第3導電層43上に絶縁性粉体Zが均一に噴射されて固着する。これにより、A面11では、第1絶縁層31〜第3絶縁層33と第1導電層41〜第3導電層43とで構成された積層体45(図8Fも参照)の表面(第3導電層43上)に、絶縁性粉体Zの層(第4絶縁層34)が形成される。第4絶縁層34は、A面11において、第3絶縁層33との間で第3導電層43を挟み込みつつ、第3絶縁層33と一緒になって、第3導電層43における各電線5を1本ずつ被覆している。これにより、積層体45における各導電層41〜43(特に第3導電層43)からの短絡を防止できる。もちろん、第1絶縁層31〜第4絶縁層34のそれぞれが電線5を1本ずつ被覆しているので、隣り合う電線5間での短絡も防止されている。第1絶縁層31〜第4絶縁層34は、各電線5の表面部分となっている。
【0045】
A面11Aに第4絶縁層34が形成されると、支持回転装置20のモータ(図示せず)が駆動されて、突極7全体が90°回転し、今度は、B面11Bがノズル27を向く。その後、図8Fおよび図8Gと同じ手順で、B面11B上に、第3導電層43および第4絶縁層34をこの順番で形成する。ここで、第3導電層43を形成する際には、前述した2種類目のマスク22が用いられる。そのため、B面11Bに形成された第3導電層43は、このマスク22のスリット28と同じパターンになっており、図5(a)のB面11Bにおいて間隔を隔てて上下に並ぶ複数の電線5を構成している。そして、A面11AとB面11Bとの境界において、A面11AおよびB面11Bの各電線5のうち、突極7の上端面12からの順番が同じもの同士がつながって連続している。
【0046】
B面11Bに第4絶縁層34が形成されると、B面11Bの場合と同様の手順で、C面11CおよびD面11Dのそれぞれに対して、この順番で、第3導電層43および第4絶縁層34を形成する。ここで、図8Fを参照して、C面11Cに第3導電層43を形成する際には、前述した3種類目のマスク22が用いられる。そのため、C面11Cに形成された第3導電層43は、このマスク22のスリット28と同じパターンになっており、図5(a)のC面11Cにおいて間隔を隔てて上下に並ぶ複数の電線5を構成している。また、図8Fを参照して、D面11Dに第3導電層43を形成する際には、前述した4種類目のマスク22が用いられる。そのため、D面11Dに形成された第3導電層43は、このマスク22のスリット28と同じパターンになっており、図5(a)のD面11Dにおいて間隔を隔てて上下に並ぶ複数の電線5を構成している。
【0047】
D面11Dに第4絶縁層34が形成された状態(厳密には、第3導電層43が形成された時点)では、図5(a)を参照して、B面11BとC面11Cとの境界において、B面11BおよびC面11Cの各電線5のうち、突極7の上端面12からの順番が同じもの同士がつながって連続している。また、C面11CとD面11Dとの境界において、C面11CおよびD面11Dの各電線5のうち、突極7の上端面12からの順番が同じもの同士がつながって連続している。また、A面11AとD面11Dとの境界において、A面11Aにおける最上位の電線5およびD面11Dにおける最下位の電線5を除いたA面11AおよびD面11Dの各電線5のうち、突極7の上端面12からの順番が同じもの同士がつながって連続している。これにより、A面11A〜D面11Dの4面に形成された第3導電層43の電線5は、連続したコイル状になって、突極7に対して、第2導電層42の電線5のコイルの上から巻き下げ方向に沿って巻きつけられている。そして、D面11Aにおける最下位の電線5は、A面11AとD面11Dとの境界において、前述した巻き終り端15(図2参照)につながっている。
【0048】
以上により、ステータ2の製造工程において突極7に電線5を形成する処理が完了し、図2〜図4に示すように、電線5が、巻きつけ面11に対して複数層(ここでは3層)に重なったコイル状になって、突極7に対して巻きつけられた状態になる。
完成したステータ2(図1参照)では、積層造形法によりステータコア4の表面(突極7の巻きつけ面11)に積層されたコイル状の導電層41,42,43によって電線5を構成できる。このように電線5を形成することによって、各突極7における電線5は、突極7の巻きつけ面11(ステータコア4の内周面4A)との間や、隣り合う電線5との間に隙間をほとんど作らない。そのため、隣り合う電線5間のピッチP(図4参照)を小さくして、ステータコア4の突極7に電線5を高密度で巻きつけることができる。その結果、ステータ2において占積率の向上を図ることができる。具体的には、占積率を、従来の場合(図10参照)における最大60%から、90%まで向上させることができる。そして、占積率を向上できる分だけ、電線5を突極7に高密度で巻きつけてコンパクトに配置できるので、電動機1(図1参照)全体の小型化を図ることもできる。
【0049】
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
例えば、この実施形態では突極7に巻きつける電線のコイルの数(導電層41〜43の数)を3つとしたが、この数は、任意に変更可能である。そのため、必要な数だけ突極7に電線5が巻きつけられるように、当該導電層の数を設定すればよい。
【0050】
また、絶縁層31〜34を積層造形法(絶縁性粉体Zの吹きつけ)によって形成したが(図8A、図8C、図8Eおよび図8G参照)、絶縁層31〜34は、絶縁性粉体Zと同じ材料(たとえば、液体状の材料)を巻きつけ面11や第1導電層41や第2導電層42や第3導電層43の表面に刷毛(はけ)などで塗りつけて硬化させることによっても形成できる。
【0051】
また、図2に示す巻き始め端14および巻き終り端15は、予め銅線等によって準備しておいてから、形成後の電線5に接続してもよいし、電線5の形成工程の一環として、巻き始め端14および巻き終り端15のそれぞれを積層造形法によって形成してもよい。巻き始め端14および巻き終り端15のそれぞれを積層造形法によって形成する場合には、台紙となる部材(たとえば、ステータコア4の内周面4Aにおいて突極7の貼り付け面11の近傍部分)に対して導電性粉体Hを噴射して固着させればよい。
【0052】
また、前述した突極7では、隣り合う巻きつけ面11の境界が角になっているので(図3参照)、この部分を面取りして、当該部分に導電性粉体Hや絶縁性粉体Zが良好に付着できるようにしてもよい。なお、前述した実施形態では、突極7を四角柱状としているが、円柱状にしてもよく、この場合には、円柱状の突極7における円筒状の巻きつけ面11に対して、周方向全域に亘って、導電性粉体Hや絶縁性粉体Zを均一に付着させることができる。
【0053】
また、突極7自体も、前述した積層造形法によって形成してもよい。
図9A〜図9Gは、突極7に電線5を形成する工程の変形例を説明するためのステータコア4の内周面4A付近における模式図である。
この場合には、まず、図9Aに参照するように、ステータコア4の内周面4A(具体的には、分割コア6の内周面6A)に向けて、ノズル27から、マスク50を介して、突極7の材料となる粉体(材料粉体J)を噴射して固着させる。マスク50には、突極7の断面と同じ大きさの開口51が形成されている。これにより、内周面6Aには、開口51と同じ大きさの材料粉体Jの層が形成され、この層が、突極7の基端部7Aとなる。
【0054】
次いで、図9Bを参照して、分割コア6の内周面6Aに向けて、ノズル27から、マスク52を介して、絶縁性粉体Zを噴射して固着させる。マスク52には、突極7の断面と取り囲む環状の開口53が形成されている。これにより、内周面6Aには、開口53と同じ大きさの絶縁層60が形成される。絶縁層60は、突極7の基端部7Aを取り囲んでいる。絶縁層60は、基端部7Aの周囲における第1絶縁層31、第2絶縁層32、第3絶縁層33および第4絶縁層34を重ね合わせたものである(図8G参照)。絶縁層60と、材料粉体Jの層(基端部7A)とは、表面が面一になっている。
【0055】
次いで、図9Cを参照して、ノズル27から、所定のパターンのスリット54が形成されたマスク55を介して、絶縁層60の表面に導電性粉体Hを噴射して固着させる。すると、絶縁層60上には、導電性粉体Hの層(導電層)が形成され、この導電層によって電線5の一部が形成される。
次いで、図9Dを参照して、ノズル27から、前述したマスク50を介して、分割コア6の内周面6A上の突極7の基端部7Aに向けて材料粉体Jを噴射する。これにより、基端部7A上に材料粉体Jが積層され、突極7が厚くなる。
【0056】
次いで、図9Eを参照して、分割コア6の内周面6A上の絶縁層60に向けて、ノズル27から、前述したマスク52を介して、絶縁性粉体Zを噴射して固着させる。これにより、内周面6A上の絶縁層60(絶縁層60上の電線5も含む)に絶縁性粉体Zが積層され、絶縁層60が厚くなる。このとき、絶縁層60は、先程形成された電線5の一部を1本ずつ被覆しており、絶縁層60と、材料粉体Jの層(突極7)とは、表面が面一になっている。
【0057】
次いで、図9Fを参照して、ノズル27から、前述したマスク50を介して、分割コア6の内周面6A上の突極7の基端部7Aに向けて材料粉体Jを噴射する。これにより、基端部7A上に材料粉体Jが積層され、突極7がさらに厚くなる。
次いで、図9Gを参照して、ノズル27から、所定のパターンのスリット56が形成されたマスク57を介して、絶縁層60の表面に導電性粉体Hを噴射して固着させる。すると、絶縁層60には、電線5の一部(導電層)が新たに形成される。
【0058】
そして、図9E〜図9Gの工程を所定回数繰り返すと、最終的には、図4に示すように、突極7、および、突極7に対してコイル状に巻きつけられた状態の電線5のそれぞれの形成が完了する。
【符号の説明】
【0059】
1…電動機、2…ステータ、4…ステータコア、4A…内周面、7…突極、31…第1絶縁層、32…第2絶縁層、33…第3絶縁層、34…第4絶縁層、41…第1導電層、42…第2導電層、43…第3導電層、45…積層体、H…導電性粉体
【技術分野】
【0001】
この発明は、電動機用のステータおよびステータの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ステータの内側にロータが配置された一般的な構成の電動機には、ステータの内周面からロータ側へ突出する突極(いわゆるティース)が設けられたものがある。突極には、いわゆる集中巻きによって電線がコイル状に巻きつけられて励磁コイルを構成している。
ここで、突極に電線を巻きつける作業は、人の手または機械によって行われるのだが、その作業をなるべく容易にするために、下記特許文献1では、可撓性を有する複数枚の配線シート部材を重ね合わせて円筒状に巻くことでステータを形成することが開示されている。この配線シート部材は、所定間隔を隔てて配置された複数の磁心構成要素体と、各磁心構成要素体の周囲に形成された配線回路とを挟み込んだ絶縁シートで構成されている。複数枚の配線シート部材を重ね合わせて円筒状に巻くと、配線シート部材間において、重なり合う磁心構成要素体のまとまりが突極となり、重なり合う配線回路のまとまりが、突極に巻きつけられた電線となる。
【0003】
また、下記特許文献2では、アキシャルギャップ型のモータにおいて、導体パターンが形成されたガラス基板上にガラスコーティングを施して、ガラスコーティング上に再び導体パターンを形成するといった処理を繰り返し、重なり合った導体パターンによって励磁コイルを構成することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−143202号公報
【特許文献2】特開平5−336712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
突極に電線を巻きつけるとき、電線(一般的には銅線)の曲げ強度や突極の形状に影響を受けることによって、図10に示すように、巻きつけ後の電線5間のピッチP(図10(a)参照)が大きくなったり、電線5と突極7との間に隙間S(図10(b)で黒く塗り潰した部分)ができたりしてしまうことが不可避である。そのため、突極に対して電線を高密度で巻きつけることが困難となり、いわゆる占積率(電線を巻くべきスペースに対して実際に電線が占める割合)の向上には限界がある。
【0006】
なお、特許文献1および2のように、電線が形成されたシートを突極に巻きつけようとしても、電線のシートと突極(特に突極の角部分)との間に隙間が発生することは避けられず、この場合においても、突極に対して電線を高密度で巻きつけることは困難である。
占積率は、電動機の発生トルクに影響する。そのため、発生トルクを向上させるためには、突極に対して電線を高密度で巻きつけることで占積率の向上を図る必要がある。
【0007】
この発明は、かかる背景のもとでなされたもので、占積率の向上を図ることができる電動機用のステータおよびステータの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、電動機(1)用のステータ(2)であって、ステータコア(4)と、積層造形法により前記ステータコアの表面(4A)に導電性粉体(H)を噴射して固着させることによってコイル状に形成された導電層(41,42,43)と、前記導電層を被覆する絶縁層(31,32,33,34)と、を含むことを特徴とする、ステータである。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記ステータコアの表面から突設された複数の突極(7)をさらに含み、各突極には、前記導電層が形成されていて、前記複数の突極のうち、一の突極の導電層と、他の突極の導電層とが電気的に接続されていることを特徴とする、請求項1記載のステータである。
請求項3記載の発明は、電動機用のステータの製造方法であって、前記ステータコアの表面に絶縁層(31)を形成する第1ステップと、積層造形法により前記絶縁層の表面に導電性粉体を噴射して固着させることによって導電層を形成する第2ステップと、前記導電層上に絶縁層を形成する第3ステップと、を含むことを特徴とする、ステータの製造方法である。
【0010】
請求項4記載の発明は、前記第2のステップは、前記ステータコアの表面から突設された突極に形成された前記絶縁層の表面に前記導電層を形成するステップを含むことを特徴とする、請求項3記載のステータの製造方法である。
請求項5記載の発明は、前記第2ステップおよび第3ステップを交互に繰り返してから、前記導電層および絶縁層(31,32,33)で構成された積層体(45)の表面に別の絶縁層(34)を形成する第4ステップをさらに含むことを特徴とする、請求項3または4記載のステータの製造方法である。
【0011】
なお、上記において、括弧内の数字等は、後述する実施形態における対応構成要素の参照符号を表すものであるが、これらの参照符号により特許請求の範囲を限定する趣旨ではない。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、ステータでは、積層造形法によりステータコアの表面に積層されたコイル状の導電層によって電線を構成できる。この電線は、ステータコアの表面との間や、隣り合う電線との間に隙間をほとんど作らないので、ステータコアに高密度で巻きつけることができる。その結果、ステータにおいて占積率の向上を図ることができる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、コイル状の導電層によって構成された電線を各突極に高密度で巻きつけることができ、突極間での導電層(電線)の電気的接続を達成することができる。
請求項3記載の発明によれば、導電層によって構成された電線をステータコアに高密度で巻きつけることができるので、占積率が向上したステータを製造することができる。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、導電層によって構成された電線をステータコアの突極に高密度で巻きつけることができるので、占積率が向上したステータを製造することができる。
請求項5記載の発明によれば、積層体の表面の絶縁層によって、積層体における導電層からの短絡を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る電動機1の内部構成をロータ3の軸方向から見た側面図である。
【図2】図2は、電線5が巻きつけられた状態における1つの突極7の斜視図である。
【図3】図3は、図2の突極7を、その長手方向から見た図である。
【図4】図4は、図3のX−X線に沿う断面図である。
【図5】図5(a)および(b)のそれぞれは、図2の突極7において電線5が巻きつけられた4つの巻きつけ面11を展開して示した模式図である。
【図6】図6(a)および(b)のそれぞれは、突極7に対する電線5の巻き方を説明するための模式図である。
【図7】図7は、突極7に電線5を形成するための構成を示す簡単な模式図である。
【図8A】図8Aは、ステータ2の製造工程の一環として突極7に電線5を形成する工程を説明するための突極7の一の巻きつけ面11付近における模式図である。
【図8B】図8Bは、図8Aの次の工程を示す模式図である。
【図8C】図8Cは、図8Bの次の工程を示す模式図である。
【図8D】図8Dは、図8Cの次の工程を示す模式図である。
【図8E】図8Eは、図8Dの次の工程を示す模式図である。
【図8F】図8Fは、図8Eの次の工程を示す模式図である。
【図8G】図8Gは、図8Fの次の工程を示す模式図である。
【図9A】図9Aは、突極7に電線5を形成する工程の変形例を説明するためのステータコア4の内周面4A付近における模式図である。
【図9B】図9Bは、図9Aの次の工程を示す模式図である。
【図9C】図9Cは、図9Bの次の工程を示す模式図である。
【図9D】図9Dは、図9Cの次の工程を示す模式図である。
【図9E】図9Eは、図9Dの次の工程を示す模式図である。
【図9F】図9Fは、図9Eの次の工程を示す模式図である。
【図9G】図9Gは、図9Fの次の工程を示す模式図である。
【図10】図10(a)は、比較例に係る突極7の側面図であり、図10(b)は、図10(a)のY−Y線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る電動機1の内部構成をロータ3の軸方向から見た側面図である。
図1を参照して、電動機1は、ステータ2と、ロータ3とを含んでいる。
ステータ2は、ステータコア4と、電線5とを含んでいる。
【0017】
ステータコア4は、図1の姿勢を基準として、図1の紙面に直交する方向に延びる軸中心を有する金属製の略円環状であり、軸方向に所定の厚みを有している。ステータコア4は、周方向に等間隔で分割された分割コア6の集合体である。各分割コア6の内周面(ステータコア4の内周面(表面)4Aを構成する側面)6Aには、ステータコア4の軸中心に向かって径方向内側に突出する1本の突極7が一体的に設けられている。ステータコア4全体で見ると、分割コア6と同数(複数)の突極7が、ステータコア4の内周面4Aから突設されている。各突極7に対して、電線5が巻回されて(巻き付けられて)いる。
【0018】
ステータコア4の中空部分(各分割コア6の突極7よりも径方向内側の空間)には、ロータ3が、ステータコア4と同心で回転可能な状態で配置されている。換言すれば、ステータコア4(ステータ2)がロータ3の周囲を囲むように配置されている。ロータ3は、金属製の円筒体8と、円筒体8の円中心に挿通された回転軸9とを一体的に備えている。回転軸9は、ステータ2(ステータコア4)の軸方向に沿って延びており、ステータコア4の軸方向と回転軸9の軸方向とは同じである。円筒体8の外周部には、回転軸9と平行に延びる複数の永久磁石10が、円筒体8の外周面の周方向においてS極とN極とを交互にして等間隔で取り付けられている。
【0019】
このような電動機1では、ステータ2の電線5に通電がなされると、ロータ3が回転するようになっている。
以下では、各突極7に対する電線5の巻きつけ構造について説明する。
図2は、電線5が巻きつけられた状態における1つの突極7の斜視図である。図3は、図2の突極7を、その長手方向から見た図である。図4は、図3のX−X線に沿う断面図である。図5(a)および(b)のそれぞれは、図2の突極7において電線5が巻きつけられた4つの巻きつけ面11を展開して示した模式図である。図6(a)および(b)のそれぞれは、突極7に対する電線5の巻き方を説明するための模式図である。
【0020】
図2では、突極7の上端部が、ステータコア4の内周面4A(分割コア6の内周面6A)に接続された側であり、突極7の下端部が、ロータ3に近い側になっている(図4、図5、図6および後述する図7においても同様)。突極7の形状の一例として、図2に示すような四角柱状を挙げることができる。この場合、突極7には、電線5(図中において黒く塗り潰された部分)が巻きつけられる4つの巻きつけ面11を有している。図2における4つの巻きつけ面11は、上端面12および下端面13以外の4つの側面のことである。以下では、図2における上方から見た場合における反時計回りの順に、4つの巻きつけ面11を、A面11A、B面11B、C面11CおよびD面11Dと区別することがある。突極7は、分割コア6(ステータコア4)の一部なので、各巻きつけ面11は、分割コア6の内周面6A(ステータコア4の内周面4A)の一部である(図1参照)。
【0021】
図2では、電線5の巻き始め端14と、巻き終り端15とが、点線で示されている。巻き始め端14および巻き終り端15は、電動機1内に設けられたバスバー(図示せず)に対して電気的に接続されている。各突極7の巻き始め端14および巻き終り端15のいずれか一方同士が、バスバー(図示せず)を介して電気的に接続されている。これにより、突極7間での電線5の電気的接続を達成することができる。
【0022】
電線5は、巻き始め端14が突極7からはみ出た状態で、たとえば、A面11AとD面11Dとの境界部分におけるステータコア4側端部(図2の上端部)から、A面11A→B面11B→C面11C→D面11D→A面11A…の順番で、ロータ3側(図2の下側)へ少しずつずれながら突極7に巻きつけられている(図5(a)および図6(a)も参照)。このような電線5の巻きつけ方向を、「巻き下げ方向」と呼ぶことにする。
【0023】
そして、巻き下げ方向に沿って突極7に巻きつけられた電線5は、巻きつけ面11におけるロータ3側の端まで到達すると、今度は、A面11A→B面11B→C面11C→D面11D→A面11A…の順番で、ステータコア4側へ少しずつずれながら突極7に巻きつけられている(図5(b)および図6(b)も参照)。このような電線5の巻きつけ方向を、「巻き上げ方向」と呼ぶことにする。
【0024】
そして、電線5は、巻きつけ面11におけるステータコア4側の端まで到達すると、今度は、A面11A→B面11B→C面11C→D面11D→A面11A…の順番で、再びロータ3側へ少しずつずれながら巻き下げ方向に沿って突極7に巻きつけられている(図5(a)および図6(a)も参照)。
このように巻き下げ方向に沿った巻きつけと巻き上げ方向に沿った巻きつけとを交互に繰り返すことによって、電線5が、巻きつけ面11に対して複数層(この実施形態では3層)に重なったコイル状になって、突極7に対して巻きつけられている(図3および図4参照)。
【0025】
ただし、本実施形態の電線5は、一般的な銅線などの導電性を有する細線を人の手や機械によって突極7に巻きつけたものではない。詳しくは、以下に説明する。
図7は、突極7に電線5を形成するための構成を示す簡単な模式図である。
図7を参照して、電線5は、コールドスプレーやエアロゾルデポジション等の粉体固着技術による積層造形法によって、電線5の材料となる導電性粉体を突極7の各巻きつけ面11に噴射して固着させることで形成されており、結果として、コイル状となって突極7に巻きつけられた状態(図2〜図6参照)になっているのである。
【0026】
電線5を形成するための設備19として、支持回転装置20と、粉体噴射装置21と、マスク22とが用意される。
支持回転装置20は、たとえば図7において上下に延びて同一直線状に配置される第1軸23および第2軸24と、これらの軸を軸中心周りに回転させるモータ(図示せず)とを含んでいる。図7では、第1軸23が第2軸24よりも上方に位置している。これから巻きつけ面11に電線5が形成される突極7(この突極7を有する分割コア6も含む)は、第1軸23と第2軸24とによって上下から挟持されている。この状態で、第1軸23が、突極7の上端面12(厳密には分割コア6)に対して上から接触していて、第2軸24が、突極7の下端面13に対して下から接触している。
【0027】
前述したモータ(図示せず)が駆動されると、第1軸23、第2軸24およびこれらの軸に挟持された突極7(分割コア6)全体が、これらの軸の軸中心周りに回転するようになっている。ここで、第1軸23、第2軸24および突極7は、一度に4分の1回転するようになっていて、これらの一度の回転角度が90°であるとする。
粉体噴射装置21は、前述した導電性粉体(たとえば銅粉体)などの粉体を収容したタンク25と、このタンク25に接続されたホース26と、ホース26の先端につながったノズル27とを一例として含んでいる。タンク25に収容された粉体(図7では、導電性粉体H)は、ホース26を通ってから、所定の勢いでノズル27から噴射されるようになっている。
【0028】
マスク22は、1つの巻きつけ面11よりも大きな板状であって、その厚さ方向に貫通するスリット28が複数形成されている。マスク22におけるスリット28のパターン(寸法および配列構成)は、前述した巻き下げ方向(図5(a)および図6(a)参照)および巻き上げ方向(図5(b)および図6(b)参照)のそれぞれに電線5を巻きつけた場合における各巻きつけ面11A〜Bのそれぞれに応じて異なっていて、少なくとも8パターン存在し、これに応じて、マスク22には、少なくとも8つの種類がある。
【0029】
そのため、図5(a)において、A面11Aの電線5部分と同じ配列パターンのスリット28を有する1種類目のマスク22と、B面11Bの電線5部分と同じ配列パターンのスリット28を有する2種類目のマスク22と、C面11Cの電線5部分と同じ配列パターンのスリット28を有する3種類目のマスク22と、D面11Dの電線5部分と同じ配列パターンのスリット28を有する4種類目のマスク22とが存在する。
【0030】
さらに、図5(b)において、A面11Aの電線5部分と同じ配列パターンのスリット28を有する5種類目のマスク22と、B面11Bの電線5部分と同じ配列パターンのスリット28を有する6種類目のマスク22と、C面11Cの電線5部分と同じ配列パターンのスリット28を有する7種類目のマスク22と、D面11Dの電線5部分と同じ配列パターンのスリット28を有する8種類目のマスク22とが存在する。
【0031】
図7を参照して、突極7においてこれから電線5が形成される予定の巻きつけ面11に粉体噴射装置21のノズル27を向け、ノズル27と当該巻きつけ面11との間に、対応する種類のマスク22を配置してから、ノズル27から当該巻きつけ面11に導電性粉体Hを高速で噴射する。すると、導電性粉体Hは、マスク22においてスリット28だけを通過できるので、当該巻きつけ面11においてスリット28と一致する領域だけに固着する。当該巻きつけ面11に固着した導電性粉体Hの層が電線5(厳密には、電線5の一部)となる。詳しくは、これから説明する。なお、突極7の巻きつけ面11への粉体の噴射は、コールドスプレーの場合には大気環境中で行われ、エアロゾルデポジションの場合には大気環境中または真空中で行われる。
【0032】
図8A〜図8Gは、ステータ2の製造工程の一環として突極7に電線5を形成する工程を説明するための突極7の一の巻きつけ面11付近における模式図である。
図8Aを参照して、まずは、突極7のA面11Aに対して、マスク22を介することなくノズル27を向ける。このときのタンク25(図7参照)内には、絶縁性粉体Z(絶縁性樹脂等の粉体)が収容されていて、この絶縁性粉体Zがノズル27からA面11Aの全域に対して均一に噴射されて固着する。これにより、A面11には、絶縁性粉体Zの層(第1絶縁層31)が形成される。
【0033】
次いで、図8Bを参照して、前述した1種類目のマスク22をノズル27とA面11Aとの間にセットし、マスク22とA面11Aとの相対位置を調整する。このときのタンク25内には、導電性粉体Hが収容されていて、この導電性粉体Hが、ノズル27からマスク22越しにA面11A上の第1絶縁層31の表面に対して噴射されて固着する。これにより、A面11Aの第1絶縁層31上には、このマスク22のスリット28と同じパターン(配列パターン)の導電性粉体Hの層(第1導電層41)が形成される。A面11Aに形成された第1導電層41は、図5(a)のA面11Aにおいて間隔を隔てて上下に並ぶ複数の電線5を構成している。なお、A面11Aにおける最上位の電線5は、A面11AとD面11Dとの境界において、前述した巻き始め端14(図2参照)につながっている。
【0034】
次いで、図8Cを参照して、1種類目のマスク22が除去された後に、ノズル27からA面11Aの第1導電層41上に絶縁性粉体Zが均一に噴射されて固着する。これにより、A面11の第1導電層41上には、絶縁性粉体Zの層(第2絶縁層32)が形成される。第2絶縁層32は、A面11において、第1絶縁層31との間で第1導電層41を挟み込みつつ、第1絶縁層31と一緒になって、第1導電層41における各電線5を1本ずつ被覆している。
【0035】
A面11Aに第2絶縁層32が形成されると、支持回転装置20のモータ(図示せず)が駆動されて、突極7全体が90°回転し、今度は、B面11Bがノズル27を向く。その後、図8A〜図8Cと同じ手順で、B面11B上に、第1絶縁層31、第1導電層41および第2絶縁層32をこの順番で形成する。ここで、第1導電層41を形成する際には、前述した2種類目のマスク22が用いられる。そのため、B面11Bに形成された第1導電層41は、このマスク22のスリット28と同じパターンになっており、図5(a)のB面11Bにおいて間隔を隔てて上下に並ぶ複数の電線5を構成している。そして、A面11AとB面11Bとの境界において、A面11AおよびB面11Bの各電線5のうち、突極7の上端面12からの順番が同じもの同士がつながって連続している。
【0036】
B面11Bに第2絶縁層32が形成されると、B面11Bの場合と同様の手順で、C面11CおよびD面11Dのそれぞれに対して、この順番で、第1絶縁層31、第1導電層41および第2絶縁層32を形成する。ここで、図8Bを参照して、C面11Cに第1導電層41を形成する際には、前述した3種類目のマスク22が用いられる。そのため、C面11Cに形成された第1導電層41は、このマスク22のスリット28と同じパターンになっており、図5(a)のC面11Cにおいて間隔を隔てて上下に並ぶ複数の電線5を構成している。また、図8Bを参照して、D面11Dに第1導電層41を形成する際には、前述した4種類目のマスク22が用いられる。そのため、D面11Dに形成された第1導電層41は、このマスク22のスリット28と同じパターンになっており、図5(a)のD面11Dにおいて間隔を隔てて上下に並ぶ複数の電線5を構成している。
【0037】
D面11Dに第2絶縁層32が形成された状態(厳密には、第1導電層41が形成された時点)では、図5(a)を参照して、B面11BとC面11Cとの境界において、B面11BおよびC面11Cの各電線5のうち、突極7の上端面12からの順番が同じもの同士がつながって連続している。また、C面11CとD面11Dとの境界において、C面11CおよびD面11Dの各電線5のうち、突極7の上端面12からの順番が同じもの同士がつながって連続している。また、A面11AとD面11Dとの境界において、A面11Aにおける最上位(上端面12に最も近い)の電線5およびD面11Dにおける最下位(下端面13に最も近い)の電線5を除いたA面11AおよびB面11Bの各電線5のうち、突極7の上端面12からの順番が同じもの同士がつながって連続している。これにより、A面11A〜D面11Dの4面に形成された第1導電層41の電線5は、連続したコイル状になって巻き下げ方向に沿って突極7に巻きつけられて(巻回(実際には「形成」)されて)いる(図3および図4参照)。
【0038】
次いで、図8Dを参照して、突極7全体を90°回転させて、突極7のA面11Aにノズル27が再び向くようにする。そして、前述した5種類目のマスク22をノズル27とA面11Aとの間にセットし、マスク22とA面11Aとの相対位置を調整する。このときのタンク25(図7参照)内には、導電性粉体Hが収容されていて、この導電性粉体Hが、ノズル27からマスク22越しにA面11A上の第2絶縁層32の表面に対して噴射されて固着する。これにより、A面11Aの第2絶縁層32A上には、このマスク22のスリット28と同じパターンの導電性粉体Hの層(第2導電層42)が形成される。A面11Aに形成された第2導電層42は、図5(b)のA面11Aにおいて間隔を隔てて上下に並ぶ複数の電線5を構成している。なお、A面11Aにおける最下位の電線5は、A面11AとD面11Dとの境界において、D面11Dの第1導電層41における最下位の電線5(図5(a)参照)につながっている。
【0039】
次いで、図8Eを参照して、5種類目のマスク22が除去された後に、ノズル27からA面11Aの第2導電層42上に絶縁性粉体Zが均一に噴射されて固着する。これにより、A面11の第2導電層42上には、絶縁性粉体Zの層(第3絶縁層33)が形成される。第3絶縁層33は、A面11において、第2絶縁層32との間で第2導電層42を挟み込みつつ、第2絶縁層32と一緒になって、第2導電層42における各電線5を1本ずつ被覆している。
【0040】
A面11Aに第3絶縁層33が形成されると、支持回転装置20のモータ(図示せず)が駆動されて、突極7全体が90°回転し、今度は、B面11Bがノズル27を向く。その後、図8Dおよび図8Eと同じ手順で、B面11B上に、第2導電層42および第3絶縁層33をこの順番で形成する。ここで、第2導電層42を形成する際には、前述した6種類目のマスク22が用いられる。そのため、B面11Bに形成された第2導電層42は、このマスク22のスリット28と同じパターンになっており、図5(b)のB面11Bにおいて間隔を隔てて上下に並ぶ複数の電線5を構成している。そして、A面11AとB面11Bとの境界において、A面11AおよびB面11Bの各電線5のうち、突極7の上端面12からの順番が同じもの同士がつながって連続している。
【0041】
B面11Bに第3絶縁層33が形成されると、B面11Bの場合と同様の手順で、C面11CおよびD面11Dのそれぞれに対して、この順番で、第2導電層42および第3絶縁層33を形成する。ここで、図8Dを参照して、C面11Cに第2導電層42を形成する際には、前述した7種類目のマスク22が用いられる。そのため、C面11Cに形成された第2導電層42は、このマスク22のスリット28と同じパターンになっており、図5(b)のC面11Cにおいて間隔を隔てて上下に並ぶ複数の電線5を構成している。また、図8Dを参照して、D面11Dに第2導電層42を形成する際には、前述した8種類目のマスク22が用いられる。そのため、D面11Dに形成された第2導電層42は、このマスク22のスリット28と同じパターンになっており、図5(b)のD面11Dにおいて間隔を隔てて上下に並ぶ複数の電線5を構成している。
【0042】
D面11Dに第3絶縁層33が形成された状態(厳密には、第2導電層42が形成された時点)では、図5(b)を参照して、B面11BとC面11Cとの境界において、B面11BおよびC面11Cの各電線5のうち、突極7の上端面12からの順番が同じもの同士がつながって連続している。また、C面11CとD面11Dとの境界において、C面11CおよびD面11Dの各電線5のうち、突極7の上端面12からの順番が同じもの同士がつながって連続している。また、A面11AとD面11Dとの境界において、D面11Dにおける最上位の電線5およびA面11Aにおける最下位の電線5を除いたA面11AおよびD面11Dの各電線5のうち、突極7の上端面12からの順番が同じもの同士がつながって連続している。これにより、A面11A〜D面11Dの4面に形成された第2導電層42の電線5は、連続したコイル状になって、突極7に対して、第1導電層41の電線5のコイルの上から巻き上げ方向に沿って巻きつけられている(図3および図4参照)。
【0043】
次いで、図8Fを参照して、突極7全体を90°回転させて、突極7のA面11Aにノズル27が再び向くようにする。そして、前述した1種類目のマスク22をノズル27とA面11Aとの間にセットし、マスク22とA面11Aとの相対位置を調整する。このときのタンク25(図7参照)内には、導電性粉体Hが収容されていて、この導電性粉体Hが、ノズル27からマスク22越しにA面11A上の第3絶縁層33の表面に対して噴射されて固着する。これにより、A面11Aの第3絶縁層33A上には、このマスク22のスリット28と同じパターンの導電性粉体Hの層(第3導電層43)が形成される。A面11Aに形成された第3導電層43は、図5(a)のA面11Aにおいて間隔を隔てて上下に並ぶ複数の電線5を構成している。また、A面11Aにおける最上位の電線5は、A面11AとD面11Dとの境界において、D面11Dの第2導電層42における最上位の電線5(図5(b)参照)につながっている。
【0044】
次いで、図8Gを参照して、1種類目のマスク22が除去された後に、ノズル27からA面11Aの第3導電層43上に絶縁性粉体Zが均一に噴射されて固着する。これにより、A面11では、第1絶縁層31〜第3絶縁層33と第1導電層41〜第3導電層43とで構成された積層体45(図8Fも参照)の表面(第3導電層43上)に、絶縁性粉体Zの層(第4絶縁層34)が形成される。第4絶縁層34は、A面11において、第3絶縁層33との間で第3導電層43を挟み込みつつ、第3絶縁層33と一緒になって、第3導電層43における各電線5を1本ずつ被覆している。これにより、積層体45における各導電層41〜43(特に第3導電層43)からの短絡を防止できる。もちろん、第1絶縁層31〜第4絶縁層34のそれぞれが電線5を1本ずつ被覆しているので、隣り合う電線5間での短絡も防止されている。第1絶縁層31〜第4絶縁層34は、各電線5の表面部分となっている。
【0045】
A面11Aに第4絶縁層34が形成されると、支持回転装置20のモータ(図示せず)が駆動されて、突極7全体が90°回転し、今度は、B面11Bがノズル27を向く。その後、図8Fおよび図8Gと同じ手順で、B面11B上に、第3導電層43および第4絶縁層34をこの順番で形成する。ここで、第3導電層43を形成する際には、前述した2種類目のマスク22が用いられる。そのため、B面11Bに形成された第3導電層43は、このマスク22のスリット28と同じパターンになっており、図5(a)のB面11Bにおいて間隔を隔てて上下に並ぶ複数の電線5を構成している。そして、A面11AとB面11Bとの境界において、A面11AおよびB面11Bの各電線5のうち、突極7の上端面12からの順番が同じもの同士がつながって連続している。
【0046】
B面11Bに第4絶縁層34が形成されると、B面11Bの場合と同様の手順で、C面11CおよびD面11Dのそれぞれに対して、この順番で、第3導電層43および第4絶縁層34を形成する。ここで、図8Fを参照して、C面11Cに第3導電層43を形成する際には、前述した3種類目のマスク22が用いられる。そのため、C面11Cに形成された第3導電層43は、このマスク22のスリット28と同じパターンになっており、図5(a)のC面11Cにおいて間隔を隔てて上下に並ぶ複数の電線5を構成している。また、図8Fを参照して、D面11Dに第3導電層43を形成する際には、前述した4種類目のマスク22が用いられる。そのため、D面11Dに形成された第3導電層43は、このマスク22のスリット28と同じパターンになっており、図5(a)のD面11Dにおいて間隔を隔てて上下に並ぶ複数の電線5を構成している。
【0047】
D面11Dに第4絶縁層34が形成された状態(厳密には、第3導電層43が形成された時点)では、図5(a)を参照して、B面11BとC面11Cとの境界において、B面11BおよびC面11Cの各電線5のうち、突極7の上端面12からの順番が同じもの同士がつながって連続している。また、C面11CとD面11Dとの境界において、C面11CおよびD面11Dの各電線5のうち、突極7の上端面12からの順番が同じもの同士がつながって連続している。また、A面11AとD面11Dとの境界において、A面11Aにおける最上位の電線5およびD面11Dにおける最下位の電線5を除いたA面11AおよびD面11Dの各電線5のうち、突極7の上端面12からの順番が同じもの同士がつながって連続している。これにより、A面11A〜D面11Dの4面に形成された第3導電層43の電線5は、連続したコイル状になって、突極7に対して、第2導電層42の電線5のコイルの上から巻き下げ方向に沿って巻きつけられている。そして、D面11Aにおける最下位の電線5は、A面11AとD面11Dとの境界において、前述した巻き終り端15(図2参照)につながっている。
【0048】
以上により、ステータ2の製造工程において突極7に電線5を形成する処理が完了し、図2〜図4に示すように、電線5が、巻きつけ面11に対して複数層(ここでは3層)に重なったコイル状になって、突極7に対して巻きつけられた状態になる。
完成したステータ2(図1参照)では、積層造形法によりステータコア4の表面(突極7の巻きつけ面11)に積層されたコイル状の導電層41,42,43によって電線5を構成できる。このように電線5を形成することによって、各突極7における電線5は、突極7の巻きつけ面11(ステータコア4の内周面4A)との間や、隣り合う電線5との間に隙間をほとんど作らない。そのため、隣り合う電線5間のピッチP(図4参照)を小さくして、ステータコア4の突極7に電線5を高密度で巻きつけることができる。その結果、ステータ2において占積率の向上を図ることができる。具体的には、占積率を、従来の場合(図10参照)における最大60%から、90%まで向上させることができる。そして、占積率を向上できる分だけ、電線5を突極7に高密度で巻きつけてコンパクトに配置できるので、電動機1(図1参照)全体の小型化を図ることもできる。
【0049】
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
例えば、この実施形態では突極7に巻きつける電線のコイルの数(導電層41〜43の数)を3つとしたが、この数は、任意に変更可能である。そのため、必要な数だけ突極7に電線5が巻きつけられるように、当該導電層の数を設定すればよい。
【0050】
また、絶縁層31〜34を積層造形法(絶縁性粉体Zの吹きつけ)によって形成したが(図8A、図8C、図8Eおよび図8G参照)、絶縁層31〜34は、絶縁性粉体Zと同じ材料(たとえば、液体状の材料)を巻きつけ面11や第1導電層41や第2導電層42や第3導電層43の表面に刷毛(はけ)などで塗りつけて硬化させることによっても形成できる。
【0051】
また、図2に示す巻き始め端14および巻き終り端15は、予め銅線等によって準備しておいてから、形成後の電線5に接続してもよいし、電線5の形成工程の一環として、巻き始め端14および巻き終り端15のそれぞれを積層造形法によって形成してもよい。巻き始め端14および巻き終り端15のそれぞれを積層造形法によって形成する場合には、台紙となる部材(たとえば、ステータコア4の内周面4Aにおいて突極7の貼り付け面11の近傍部分)に対して導電性粉体Hを噴射して固着させればよい。
【0052】
また、前述した突極7では、隣り合う巻きつけ面11の境界が角になっているので(図3参照)、この部分を面取りして、当該部分に導電性粉体Hや絶縁性粉体Zが良好に付着できるようにしてもよい。なお、前述した実施形態では、突極7を四角柱状としているが、円柱状にしてもよく、この場合には、円柱状の突極7における円筒状の巻きつけ面11に対して、周方向全域に亘って、導電性粉体Hや絶縁性粉体Zを均一に付着させることができる。
【0053】
また、突極7自体も、前述した積層造形法によって形成してもよい。
図9A〜図9Gは、突極7に電線5を形成する工程の変形例を説明するためのステータコア4の内周面4A付近における模式図である。
この場合には、まず、図9Aに参照するように、ステータコア4の内周面4A(具体的には、分割コア6の内周面6A)に向けて、ノズル27から、マスク50を介して、突極7の材料となる粉体(材料粉体J)を噴射して固着させる。マスク50には、突極7の断面と同じ大きさの開口51が形成されている。これにより、内周面6Aには、開口51と同じ大きさの材料粉体Jの層が形成され、この層が、突極7の基端部7Aとなる。
【0054】
次いで、図9Bを参照して、分割コア6の内周面6Aに向けて、ノズル27から、マスク52を介して、絶縁性粉体Zを噴射して固着させる。マスク52には、突極7の断面と取り囲む環状の開口53が形成されている。これにより、内周面6Aには、開口53と同じ大きさの絶縁層60が形成される。絶縁層60は、突極7の基端部7Aを取り囲んでいる。絶縁層60は、基端部7Aの周囲における第1絶縁層31、第2絶縁層32、第3絶縁層33および第4絶縁層34を重ね合わせたものである(図8G参照)。絶縁層60と、材料粉体Jの層(基端部7A)とは、表面が面一になっている。
【0055】
次いで、図9Cを参照して、ノズル27から、所定のパターンのスリット54が形成されたマスク55を介して、絶縁層60の表面に導電性粉体Hを噴射して固着させる。すると、絶縁層60上には、導電性粉体Hの層(導電層)が形成され、この導電層によって電線5の一部が形成される。
次いで、図9Dを参照して、ノズル27から、前述したマスク50を介して、分割コア6の内周面6A上の突極7の基端部7Aに向けて材料粉体Jを噴射する。これにより、基端部7A上に材料粉体Jが積層され、突極7が厚くなる。
【0056】
次いで、図9Eを参照して、分割コア6の内周面6A上の絶縁層60に向けて、ノズル27から、前述したマスク52を介して、絶縁性粉体Zを噴射して固着させる。これにより、内周面6A上の絶縁層60(絶縁層60上の電線5も含む)に絶縁性粉体Zが積層され、絶縁層60が厚くなる。このとき、絶縁層60は、先程形成された電線5の一部を1本ずつ被覆しており、絶縁層60と、材料粉体Jの層(突極7)とは、表面が面一になっている。
【0057】
次いで、図9Fを参照して、ノズル27から、前述したマスク50を介して、分割コア6の内周面6A上の突極7の基端部7Aに向けて材料粉体Jを噴射する。これにより、基端部7A上に材料粉体Jが積層され、突極7がさらに厚くなる。
次いで、図9Gを参照して、ノズル27から、所定のパターンのスリット56が形成されたマスク57を介して、絶縁層60の表面に導電性粉体Hを噴射して固着させる。すると、絶縁層60には、電線5の一部(導電層)が新たに形成される。
【0058】
そして、図9E〜図9Gの工程を所定回数繰り返すと、最終的には、図4に示すように、突極7、および、突極7に対してコイル状に巻きつけられた状態の電線5のそれぞれの形成が完了する。
【符号の説明】
【0059】
1…電動機、2…ステータ、4…ステータコア、4A…内周面、7…突極、31…第1絶縁層、32…第2絶縁層、33…第3絶縁層、34…第4絶縁層、41…第1導電層、42…第2導電層、43…第3導電層、45…積層体、H…導電性粉体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機用のステータであって、
ステータコアと、
積層造形法により前記ステータコアの表面に導電性粉体を噴射して固着させることによってコイル状に形成された導電層と、
前記導電層を被覆する絶縁層と、
を含むことを特徴とする、ステータ。
【請求項2】
前記ステータコアの表面から突設された複数の突極をさらに含み、
各突極には、前記導電層が形成されていて、
前記複数の突極のうち、一の突極の導電層と、他の突極の導電層とが電気的に接続されていることを特徴とする、請求項1記載のステータ。
【請求項3】
電動機用のステータの製造方法であって、
前記ステータコアの表面に絶縁層を形成する第1ステップと、
積層造形法により前記絶縁層の表面に導電性粉体を噴射して固着させることによって導電層を形成する第2ステップと、
前記導電層上に絶縁層を形成する第3ステップと、
を含むことを特徴とする、ステータの製造方法。
【請求項4】
前記第2のステップは、前記ステータコアの表面から突設された突極に形成された前記絶縁層の表面に前記導電層を形成するステップを含むことを特徴とする、請求項3記載のステータの製造方法。
【請求項5】
前記第2ステップおよび第3ステップを交互に繰り返してから、前記導電層および絶縁層で構成された積層体の表面に別の絶縁層を形成する第4ステップをさらに含むことを特徴とする、請求項3または4記載のステータの製造方法。
【請求項1】
電動機用のステータであって、
ステータコアと、
積層造形法により前記ステータコアの表面に導電性粉体を噴射して固着させることによってコイル状に形成された導電層と、
前記導電層を被覆する絶縁層と、
を含むことを特徴とする、ステータ。
【請求項2】
前記ステータコアの表面から突設された複数の突極をさらに含み、
各突極には、前記導電層が形成されていて、
前記複数の突極のうち、一の突極の導電層と、他の突極の導電層とが電気的に接続されていることを特徴とする、請求項1記載のステータ。
【請求項3】
電動機用のステータの製造方法であって、
前記ステータコアの表面に絶縁層を形成する第1ステップと、
積層造形法により前記絶縁層の表面に導電性粉体を噴射して固着させることによって導電層を形成する第2ステップと、
前記導電層上に絶縁層を形成する第3ステップと、
を含むことを特徴とする、ステータの製造方法。
【請求項4】
前記第2のステップは、前記ステータコアの表面から突設された突極に形成された前記絶縁層の表面に前記導電層を形成するステップを含むことを特徴とする、請求項3記載のステータの製造方法。
【請求項5】
前記第2ステップおよび第3ステップを交互に繰り返してから、前記導電層および絶縁層で構成された積層体の表面に別の絶縁層を形成する第4ステップをさらに含むことを特徴とする、請求項3または4記載のステータの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図8F】
【図8G】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図9F】
【図9G】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図8F】
【図8G】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図9F】
【図9G】
【図10】
【公開番号】特開2013−81327(P2013−81327A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220748(P2011−220748)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】
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