説明

電動機駆動システム

機械動力発生装置(1〜5)により駆動される複数台の発電機(6〜10)が、共通配電母線(12)に並列接続され、この共通配電母線(12)に、可変振幅及び可変周波数の交流電力を出力する複数台の電力変換装置(61)と、共通配電母線の電圧位相を検出する位相検出手段(48)が接続され、上記複数台の電力変換装置によって、複数台の電動機(23〜27)を駆動する電動機駆動システムに関する。上記位相検出手段(48)で検出した共通配電母線の電圧位相を基に、各電力変換装置のコンバータをPWM制御するキャリア周波数の位相をそれぞれ異なる所定の値に設定することによって、電力変換装置に共通配電母線への高調波低減機能を持たせたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
この発明は、機械動力発生装置を動力源とする複数台の発電機が、共通の配電母線に並列接続され、かつ負荷機械を駆動する複数台の交流電動機を可変速運転する電力変換装置が、この共通配電母線に並列接続された電動機駆動システムに関するものである。
【背景技術】
第5図は、国際公開第WO02/100716A1号に示された船舶電気推進用の従来の電動機駆動システムの一例を示す構成図である。
第5図において、スクリュー33〜36はそれぞれ、回転軸28〜31を介して誘導電動機23〜26により可変速駆動される。誘導電動機23〜26はそれぞれ、電力変換装置18〜21により可変速駆動されるが、可変速駆動に必要な電力は変圧器37を介して共通配電母線12、13から供給される。この共通配電母線12、13には、ディーゼル機関1〜5によって駆動される発電機6〜10の出力端子が接続されている。なお、38は変圧器37の一次巻線、39、41は変圧器37の二次巻線、42、43は整流器、44はコンデンサ、45はインバータである。
このようなシステム構成により、ディーゼル機関1〜5が出力する機械動力は、発電機6〜10によって電力に変換され、共通配電母線12、13、変圧器37、電力変換装置18〜21、誘導電動機23〜26、回転軸28〜31を経由して最終的にスクリュー33〜36を可変速運転する機械動力として利用される。さらに、ディーゼル機関1〜5が出力する機械動力の一部は、変圧器14、15を経由して、低圧配電系統16、17に接続された他の負荷機器にも供給される。
なお、図示されていないが、発電機6〜10と共通配電母線12、13との間、および変圧器37(4台あり)と共通配電母線12、13との間には、それぞれ遮断器が設けられる。発電機側あるいは誘導電動機側に異常が生じた場合は、該当する箇所の遮断器が開放され、共通配電母線12、13から切り離される。
このような電動機駆動システムを適用した電気推進システムは、ディーゼル機関により直接、スクリューを駆動する従来の推進システムと比較して、振動が少ない、スクリューの回転方向や回転数の調整が容易、効率がよいなどの利点がある。このため、乗り心地を重視する豪華客船や前後進を繰り返す砕氷船などでの適用が増加しつつある。
また、天然ガスを液化するためのLNGプラントでは、従来、液化設備に使用されるコンプレッサの駆動に、ガスタービンやスチームタービンなどの機械動力発生装置が使用されてきた。しかし、排気ガスが少ない、効率がよいといった利点から、船舶電気推進システムと同様の電動機駆動システムの適用が開始されつつある。このLNGプラント用の電動機駆動システムの構成は、例えば、第5図において、スクリュー33〜36をコンプレッサで置換えたものとなる。
従来の電動機駆動システムは上記のように構成されているが、共通配電母線への高調波の流出は、電力変換装置に高調波低減機能が無いことから、その母線に接続される電力変換装置からの高調波の単純な足し算となる。一方発電機の容量は、発電機に負荷設備より流入する逆相電流(高調波電流)値により決定されることから、高調波電流が多ければ必然的に発電機定格容量も大きくせざるをえないという問題があった。
この発電機容量の問題は、特に、船舶電気推進用やLNGプラント用の電動機駆動システムでは、投資コストを抑えるためにディーゼル機関、発電機、電力変換装置や誘導電動機の台数は少ないことが望まれており、改善が望まれるところである。
この発明は、上記のような問題点を解消するためになされたもので、電力変換装置に、電力変換装置と共通配電母線との間でやりとりされる高調波電流の抑制機能を持たせることによって、共通配電母線に接続されている発電機の定格容量(必要容量)を低減することのできる電動機駆動システムを提供することを目的とする。
【発明の開示】
この発明の電動機駆動システムは、機械動力を出力する機械動力発生装置により駆動され交流電力を発生する複数台の発電機と、上記複数台の発電機の出力端子が並列接続された共通配電母線と、上記共通配電母線に入力端子が接続され、可変振幅及び可変周波数の交流電力を出力する複数台の電力変換装置と、上記電力変換装置にそれぞれ接続され、それぞれ負荷機械を駆動する複数台の電動機と、上記共通配電母線の電圧位相を検出する位相検出手段を備え、上記位相検出手段によって検出した上記共通配電母線の電圧位相を基に、上記各電力変換装置のコンバータをPWM制御するためのキャリア周波数の位相をそれぞれ異なる所定の値に設定することによって、上記電力変換装置のコンバータの入力電流より発生する上記共通配電母線への高調波を低減制御するものである。
なお、複数の電力変換装置相互間の望ましいキャリア周波数の位相差は、電力変換装置の運転台数をNとすれば、360°/Nである。
この発明によれば、共通配電母線に接続される電力変換装置に高調波抑制機能を持たせたので、同一負荷容量において共通配電母線における高調波電流を低減することができ、母線に接続される発電機の定格容量を低減できる効果がある。
またこの発明の電動機駆動システムは、機械動力を出力する機械動力発生装置により駆動され交流電力を発生する複数台の発電機と、上記複数台の発電機の出力端子が並列接続された共通配電母線と、上記共通配電母線に入力端子が接続され、可変振幅及び可変周波数の交流電力を出力する複数台の電力変換装置と、上記電力変換装置にそれぞれ接続され、それぞれ負荷機械を駆動する複数台の電動機と、上記共通配電母線の電圧位相を検出する位相検出手段と、上記複数の電力変換装置の運転状態を監視し、その時の運転台数に応じて電力変換装置のキャリア周波数の最適位相差を演算し、所定の位相差指令を出力する台数設定手段と、それぞれの電力変換装置に設けられ、上記台数設定手段からの位相差指令を受け、上記共通配電母線の電圧位相に対するキャリア周波数の位相差設定値を調整する可変位相設定器を備え、上記複数の電力変換装置の運転台数の変更に対応して、上記台数設定手段からの指令にもとづき、上記可変位相設定器により、運転状態にある電力変換装置のPWM制御コンバータのキャリア周波数位相をそれぞれ所定の値に調整することによって、その時の運転台数に適した高調波の低減制御ができるようにしたものである。
さらに、この発明の電動機駆動システムは、電力変換装置の運転状態を検出する運転状態検出器をそれぞれの電力変換装置に備え、上記台数設定手段は、各運転状態検出器からの運転情報にもとづいて位相差指令を出力するようにし、電力変換装置の運転台数の変更に対応して、キャリア周波数位相の設定値を自動的に変更するよう構成されている。
このように構成されたこの発明の電動機駆動システムによれば、システムの運転中に電力変換装置の運転台数に増減があっても、電力変換装置の運転台数に応じて高調波の打ち消し量が最大となるように、キャリア周波数の位相を自動調整することができ、より安定した発電機の運転が可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、この発明の実施の形態1である電動機駆動システムを示す構成図である。
第2図はこの発明の実施の形態1における電力変換装置をPWM制御する時の電圧波形の一例を示すものである。
第3図は、この発明の実施の形態1における高調波の低減状況を示す現象図である。
第4図は、この発明の実施の形態2である電動機駆動システムを示す構成図である。
第5図は、従来の電動機駆動システムの一例を示す構成図である。
【発明を実施するための最良の形態】
実施の形態1.
第1図はこの発明の実施の形態1である船舶推進用の電動機駆動システムを示す構成図である。第1図において、複数台の発電機6〜10は、それぞれ機械動力を出力するディーゼル機関(機械動力発生装置)1〜5により駆動され、遮断器(図示せず)を介して共通配電母線12に並列接続され、発生した交流電力を共通配電母線12に供給する。複数の誘導電動機23〜26は、それぞれその回転軸28〜31に連結されたスクリュー(負荷機械)33〜36を駆動する。誘導電動機23〜26には、それぞれその速度検出器49〜52が設けられている。誘導電動機23は共通配電母線12に、変圧器46、電動機の制御装置63を経て接続されている。共通配電母線12と変圧器46間には遮断器(図示せず)が接続されている。誘導電動機24〜26も、それぞれ誘導電動機23と同様に共通配電母線12に、遮断器、変圧器、及び電動機の制御装置64〜66を経て接続されている。なお電動機の制御装置63〜66はそれぞれ同一の構成、機能を有しており、代表的に電動機の制御装置63についてのみ詳細を示している。
電動機の制御装置63は電力変換装置62を有している。電力変換装置62は、主回路47と制御回路部61を有し、主回路47で入力電力の無効電力と有効電力が制御できる構成とされている。この主回路47は、例えば交流電力を直流電力に変換する高力率コンバータ81と、変換された直流電力を平滑する平滑コンデンサ82と、直流電力を交流電力に変換して電動機23を駆動する自励式インバータ83とを有するコンバータ−インバータ方式(DCリンク方式)の変換装置で構成されている。
48は、共通配電母線12の電圧位相を検出する位相検出回路であって、例えば周知のPLL回路によって構成されている。
53は、コンバータ81の直流電圧(平滑コンデンサ82の直流電圧)を検出する直流電圧検出器である。54は、直流電圧検出器53の検出直流電圧を受け所定値との偏差をもとに、コンバータ81の直流電圧をその所定値に制御する直流電圧制御回路である。55は、主回路47のコンバータ81をPWM制御するためのキャリア周波数の位相設定器であり、共通配電母線12の電圧位相に対する発信位相を設定する。56は、コンバータ81をPWM制御するためのキャリア周波数発生器、57は、直流電圧制御回路54の出力で主回路47のコンバータ81の駆動を行うコンバータ制御回路であって、キャリア周波数発生器56のキャリア周波数に基づきコンバータ81をPWM制御する回路を含んでいる。58は、外部からの指令により、誘導電動機23の速度指令値を設定または受ける速度指令設定回路である。59は、主回路47のインバータ83の電流指令値を演算する速度制御回路であって、速度検出器49の信号より帰還速度を演算すると共に、速度指令設定回路58の出力である速度指令値を受け、この速度指令値と帰還速度との偏差を演算し、この偏差がなくなるように電流指令値を演算するものである。60は、速度制御回路59の出力を受け、主回路47のインバータ83を制御するインバータ制御回路である。61は、電力変換装置62の主回路47を制御する制御回路部であって、上述した直流電圧検出器53、直流電圧制御回路54、位相設定器55、キャリア周波数発生器56、コンバータ制御回路57、速度指令設定回路58、速度制御回路59、インバータ制御回路60を含んでいる。
なお、共通配電母線12からの電力の一部は、変圧器14、15を経由して低圧配電系統16、17に接続された他の負荷機器にも供給される。
次に第1図の動作について説明する。
発電システムは、共通配電母線12に接続される最大負荷においても所定の周波数、電圧の交流電力出力となるように発電を行っている。そして、例えば負荷が消費する電力が発電システムの定格範囲内で増加した場合は、ディーゼル機関(原動機)1〜5の出力を増加して発電機6〜10の出力電力を消費電力と等しくすることにより、共通配電母線12の周波数および電圧を所定値に維持している。
ここで、発電機が発電出力可能な負荷容量は、発電機に負荷設備より流入する逆相電流(高調波電流)によって規制され、高調波量が発電機容量の14%以下となるようにするのが標準とされている。即ち、負荷容量が同等でも、高調波電流が多ければ発電機の定格容量は大きいものが必要とされ、高調波電流が少なければ発電機の定格容量を小さくすることができる。
この発明は以上の点に着目して成されたもので、各電動機制御装置63〜66の電力変換装置の相互間で高調波抑制機能を持たせることにより、共通配電母線12での高調波電流を低減し、共通配電母線12に接続される発電機6〜10の定格容量(必要容量)を低減できるようにしたものである。
第1図において、電動機の制御装置63〜66は、電動機23〜26の回転速度が所望の値となるように各電動機の駆動制御を行う。
代表的に電動機制御装置63を例にとって説明すると、電力変換装置62は、変圧器46から交流電力を受電し、外部からの速度指令に基づく速度指令設定回路58の出力である速度指令値に基づいて主回路47のインバータ83を制御し、電動機23を駆動する可変振幅・可変周波数の交流電力を出力する。
電力変換装置の高効率コンバータ81をPWM制御するためのキャリア周波数発生器56は、電力変換装置の複数台運転による高調波の低減作用を実行しない場合は、共通配電母線12との位相に関係なく、特定の周波数でキャリア周波数を発生するが、複数台運転による高調波の低減を実行する場合には、位相検出回路48で検出した共通配電母線12の電圧位相に対し、位相設定器55で設定される所定の位相のキャリア周波数を発生し、コンバータ制御回路57に与える。
直流電圧検出器53で検出した直流電圧と所定の電圧値とが直流電圧制御回路54で比較され、その偏差が無くなるように直流電圧制御回路54は電流指令基準値を演算し、コンバータ制御回路57に出力する。コンバータ制御回路57は、直流電圧制御回路54からの電流指令基準値と、キャリア周波数発生器56からのキャリア周波数を基にコンバータ81のPWM制御を行い、コンバータ81の直流電圧が所望の値となるようにコンバータ81を制御する。
この時、キャリア周波数発生器56からのキャリア周波数の位相は、共通配電母線12の電圧位相に対し、位相設定器55により設定された所定の位相差で発信される。このキャリア周波数発生器56から発信されるキャリア周波数の、共通配電母線12の電圧位相に対する位相差を、各々の電動機制御装置63、64、65、66の電力変換装置で所定の値だけ異ならせることによって、共通配電母線の総合高調波電流量を低減することができるものである。
例えば、2台の電力変換装置を駆動した場合は、それぞれの電力変換装置のコンバータ81をPWM制御するためのキャリア周波数に、180°の位相差を持たせることによって、高調波の低減をすることができる。即ち、共通配電母線12の電圧位相を位相検出回路48で検出し、その検出した位相を0°(基準)として、1台目の電力変換装置62のキャリア周波数の位相を検出した位相に合わせる。これに対し、2台目の電力変換装置のキャリア周波数の位相は、位相設定器によって1台目のキャリア周波数に対し180°の位相差を持たせるものである。
第2図(a)〜(d)はこの場合のPWM制御の電圧波形の一例を示すもので、第2図(a)は1台目の電力変換装置のキャリア周波数と信号電圧の波形図、第2図(b)、(c)は同じく出力電圧波形図、第2図(d)は2台目の電力変換装置のキャリア周波数と信号電圧の波形図を示すものである。なお、2台目の電力変換装置の出力電圧波形図は、第2図(b)、(c)から容易に類推できるため省略している
第2図(a)と第2図(d)との比較から明らかなように、1台目の電力変換装置のキャリア周波数と2台目の電力変換装置のキャリア周波数との間には、180°の位相差が設定されている。
なお、3台の電力変換装置を駆動した場合は、相互のキャリア周波数に120°の位相差を持たせることによって、高調波の低減を行うことができる。これは、三相交流の合計電流が0(ゼロ)になるのと同様な原理で、電力変換装置相互間で互いに高調波電流を打ち消し合うからである。
第3図は、この発明による電動機駆動システムの共通配電母線上における高調波電流の低減効果を示す現象図で、(a)は電力変換装置を1台運転した場合の高調波成分(低減効果のない場合)、(b)は電力変換装置を2台運転した場合の高調波成分、(c)は電力変換装置を5台運転した場合の高調波成分、を各々示している。
第3図から明らかなように、電力変換装置の運転台数が増えるほど高調波の打ち消し合う量は大きくなり、2台より5台の方が高調波量は減少する。
以上のようにこの発明の実施の形態1によれば、共通配電母線に接続される複数の電力変換装置のそれぞれのキャリア周波数に、共通配電母線の電圧位相を基準として、相互に所定の位相差を持たせることによって、複数の電力変換装置相互間で高調波抑制機能を持たせたので、同一負荷容量において、共通配電母線における高調波電流を低減することができ、共通配電母線に接続される発電機の定格容量(必要容量)を低減することができる。
なお、複数の電力変換装置相互間のキャリア周波数の位相差は、共通配電母線の高調波量が最小になるように設定するが、一般的には、電力変換装置の運転台数をNとすれば、360°/Nとするのが望ましい。
実施の形態2.
第4図はこの発明の実施の形態2である電動機駆動システムを示す構成図である。この実施の形態2に示すものは、例えばシステムの運転中に電力変換装置の1台が故障したような場合に、電力変換装置の台数減に対応して、高調波電流が最小になるように、各電力変換装置のキャリア周波数の位相差を自動的に変更するものである。
第4図において、第1図と同一の符号を付したものは、第1図のものと同一または相当するものを示す。
第4図において、75〜78は、各電動機の制御装置71〜74に設けられた運転状態検出器(接点)で、接点ONにより電力変換装置が運転中であることを出力する。
67は台数設定器であって、運転状態検出器(接点)75〜78からの出力により電力変換装置の運転台数Nを演算し、この台数Nにもとづいて各電力変換装置のキャリア周波数の最適位相差を計算し、電動機の制御装置71〜74の各電力変換装置へ所定の位相差指令を与えるものである。
なお電動機の制御装置71〜74はそれぞれ同一の構成、機能を有しており、代表的に電動機の制御装置71についてのみ詳細を示している。
電動機の制御装置71は、電力変換装置70を有し、電力変換装置70は、主回路47とこの主回路47を制御する制御回路部69を備えている。制御回路部69には、主回路47のコンバータ81をPWM制御するキャリア周波数の位相設定値を調整する可変位相設定器68が設けられている。
以上のように構成された実施の形態2の電動機駆動システムにおいては、台数設定器67は、運転状態検出器75〜78からの出力により電力変換装置の運転状態を監視し、その時の運転台数Nに応じた各電力変換装置のキャリア周波数の最適位相差を演算し、所定の位相差指令を可変位相設定器68に与える。可変位相設定器68はその指令を受け、共通配電母線12の電圧位相に対する各電力変換装置のキャリア周波数の位相を、その時の運転台数に応じた最適の値に設定変更する。
このように実施の形態2では、例えばシステムの運転中に電力変換装置の1台が故障したような場合、あるいは休止中の電力変換装置が稼動を開始した場合等、電力変換装置の運転台数に増減があっても、電力変換装置の運転台数に応じて高調波の打ち消し量が最大となるようにキャリア周波数の位相を自動調整することができ、より安定した発電機の運転が可能となるものである。
【産業上の利用可能性】
この発明は、船舶電気推進用の電動機駆動システムやLNGプラント用の電動機駆動システムに用いて、好適である。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械動力を出力する機械動力発生装置により駆動され交流電力を発生する複数台の発電機と、上記複数台の発電機の出力端子が並列接続された共通配電母線と、上記共通配電母線に入力端子が接続され、可変振幅及び可変周波数の交流電力を出力する複数台の電力変換装置と、上配電力変換装置にそれぞれ接続され、それぞれ負荷機械を駆動する複数台の電動機と、上記共通配電母線の電圧位相を検出する位相検出手段を備え、上記位相検出手段によって検出した上記共通配電母線の電圧位相を基に、上記各電力変換装置のコンバータをPWM制御するためのキャリア周波数の位相をそれぞれ異なる所定の値に設定することによって、上記電力変換装置のコンバータの入力電流より発生する上記共通配電母線への高調波を低減制御し、上記複数台の発電機の必要容量を低減することを特徴とする電動機駆動システム。
【請求項2】
複数の電力変換装置相互間のキャリア周波数の位相差は、電力変換装置の運転台数をNとした時、360°/Nとすることを特徴とする請求の範囲第1項記載の電動機駆動システム。
【請求項3】
機械動力を出力する機械動力発生装置により駆動され交流電力を発生する複数台の発電機と、上記複数台の発電機の出力端子が並列接続された共通配電母線と、上記共通配電母線に入力端子が接続され、可変振幅及び可変周波数の交流電力を出力する複数台の電力変換装置と、上記電力変換装置にそれぞれ接続され、それぞれ負荷機械を駆動する複数台の電動機と、上記共通配電母線の電圧位相を検出する位相検出手段と、上記複数の電力変換装置の運転状態を監視し、その時の運転台数に応じて電力変換装置のキャリア周波数の最適位相差を演算し、所定の位相差指令を出力する台数設定手段と、それぞれの電力変換装置に設けられ、上記台数設定手段からの位相差指令を受け、上記共通配電母線の電圧位相に対するキャリア周波数の位相差設定値を調整する可変位相設定器を備え、上記複数の電力変換装置の運転台数の変更に対応して、上記台数設定手段からの指令にもとづき、上記可変位相設定器により、運転状態にある電力変換装置のPWM制御コンバータのキャリア周波数位相をそれぞれ所定の値に調整することによって、その時の運転台数に適した高調波の低減制御ができるようにした電動機駆動システム。
【請求項4】
それぞれの電力変換装置の運転状態を検出する運転状態検出器をそれぞれの電力変換装置に備え、上記台数設定手段は、各運転状態検出器からの運転情報にもとづいて位相差指令を出力するようにし、電力変換装置の運転台数の変更に対応して、キャリア周波数位相の設定値を自動的に変更するようにしたことを特徴とする請求の範囲第3項に記載の電動機駆動システム。
【請求項5】
複数の電力変換装置相互間のキャリア周波数の位相差は、電力変換装置の運転台数をNとした時、360°/Nとすることを特徴とする請求の範囲第3項または第4項に記載の電動機駆動システム。

【国際公開番号】WO2005/031939
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【発行日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−509184(P2005−509184)
【国際出願番号】PCT/JP2003/012327
【国際出願日】平成15年9月26日(2003.9.26)
【出願人】(501137636)東芝三菱電機産業システム株式会社 (904)
【Fターム(参考)】