説明

電動車いす

【課題】乗員が容易に操作することができる操作性に優れた電動車いすを提供する。
【解決手段】ハンドルの操作により車輪2a,2bの駆動を制御し、電動車いす1の進路方向を調整できるようにしたことで、乗員が容易に電動車いす1の操作を行えるようにし、また、ハンドルを電動車いす1の肘掛け3にヒンジを介して跳ね上げ可能に設けた操作装置4に組み込んだことで、乗員が電動車いす1に乗り降りする際に邪魔にならないようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動モータによって走行する電動車いすの操縦装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、高齢者及び足に障害を持つ人の移動手段である車いすには、車輪を手動で動かす車いすと駆動モータにより車輪を動かす電動車いすとがあるが、そのうち電動車いすには、例えば特許文献1に記載されているものがあり、直立した操作レバーを後、左右、右斜め前、左斜め後等々に傾斜させることによって、電動車いすの進行方向、速度調節を行なうことができるもの。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−322110号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
操作レバーの傾斜により電動車いすの進行方向、速度調節を操作するものでは、細かい動作を操作するときに、傾斜加減の調節に乗員の慣れが必要であった
【0005】
本発明では、上述した課題を解決するためになされたものであり、操作性の優れた電動車いすを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の電動車いすは、左右一対の前輪及び後輪からなる車輪と、車輪を駆動させる駆動モータと、車輪の及び前記駆動モータの駆動を操作する操作装置とを備える電動車いすであって、操作装置は、電動車いすの進行方向を調節するハンドルと、駆動モータの回転方向を変更する切換スイッチと、駆動モータの回転速度を調節するアクセルレバーと、駆動モータの駆動を停止させるブレーキとを有し、電動車いすの肘掛にヒンジを介して跳ね上げ可能に設けるようにしたことを技術的特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の電動車いすによれば、ハンドルの操作により電動車いすの進路方向を調整できるため、乗員が容易に電動車いすの操作することができ、またハンドルを電動車いすの肘掛けにヒンジを介して跳ね上げ可能に設けた操作装置に組み込んだことで、乗員が電動車いすに乗り降りする際に邪魔にならないようにした。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】電動車いすの全体図である。
【図2】操作装置の可動する動作を示す図である。
【図3】操作装置の全体図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施形態について図を用いて説明する。電動車いす1は、図1に示すように、電動車いすを走行させる車輪2と、乗員が電動車いすへ着座の際に肘をのせる肘掛け3と、電動車いす1の走行を操作する操作装置4と、車輪2を駆動させる駆動モータ5を備える。
【0010】
車輪2は、左右一対の前輪2a及び後輪2bから成り、左右の後輪2bにはそれぞれに駆動モータ5が設けられ、左右の後輪2bが動作は別々に制御される。電動車いす1を前進させる場合は、左右の駆動モータ5を正回転させて後輪2bを駆動させ、電動車いす1を後進させる場合は、左右の駆動モータ5を逆回転させて後輪2bを駆動させる。また、電動車いす1を旋回させる場合は、左右の後輪2bの回転をそれぞれ調整することで、電動車いす1を旋回させる。
【0011】
肘掛け3は、電動車いす1に左右一対設けられ、乗員が着座した際に肘を置くことができる位置にある。左右の肘掛3のいずれか一方には、後述する操作装置4がヒンジ6を介して跳ね上げ可能に設けられており、乗員が電動車いす1に着座する際には、図2に示すように、上方に跳ね上げさせることができ、着座が完了して電動車いす1の走行を操作する際には、図1に示すように、乗員の前方に来るように下方に回動させることができる。
【0012】
操作装置4は、図3に示すように、電動車いす1の進行方向を調整するハンドル7と、ハンドル7の操舵角を検出する角度センサ8と、駆動モータの回転方向を変更する切換スイッチ9と、駆動モータ5の回転速度を調節するアクセルレバー10と、駆動モータ5の回転を停止させるブレーキレバー11を備え、肘掛け3にヒンジ6を介して回動可能に設けられている。
【0013】
ハンドル7は、電動車いす1の進行方向を操作するものであって、このハンドル7の末端には、操作する際の操舵角を検出する後述の角度センサ8が設けられている。
【0014】
角度センサ8は、ハンドル7の操舵角を検出するセンサであって、ハンドル7が左右に操作されることで操舵角を検出する。その検出したハンドル7の角度の情報に基づいて左右の駆動モータ5の駆動がそれぞれ制御されることで、電動車いす1が旋回することとなる。
【0015】
切換スイッチ9は、駆動モータ5の回転方向を変更するスイッチであって、駆動モータ5の正回転、逆回転の切り換えを行うことで電動車いす1を前進又は後進させる。
【0016】
アクセルレバー10は、駆動モータ5の回転速度を調節するものであって、電動車いす1の加速、減速を行なうことができる。本実施例では、アクセルレバー10を乗員の手前から奥へ傾倒させた場合に電動車いす1が加速され、アクセルレバー10を奥から手前へ戻した場合に電動車いす1が減速される。アクセルレバー10が元の位置(原点位置)にある状態では、電動車いす1は加速及び減速しない。
【0017】
ブレーキレバー11は、緊急時に駆動モータ5の回転を停止させ電動車いす1を停止させるものであって、アクセルレバー10が操作されている状態であっても、ブレーキレバー11が操作されば駆動モータ5の駆動は停止され、電動車いす1の走行が停止される。
【0018】
次に電動車いす1の前進動作について説明する。まず、乗員は肘掛け3に設けられた操作装置4を上方に跳ね上げて電動車いす1に着座した後、操作装置4が乗員の前方に来るように下方に回動させる。乗員が操作装置4にある切換スイッチ9を操作し、アクセルレバー10が手前から奥へ傾倒されることで駆動モータ5が正回転し、電動車いす1の前進が開始される。前進中に乗員がハンドル7を操作することで、電動車いす1の進行方向が変更される。目的地に到着した電動車いす1は、アクセルレバー10を元の位置(原点位置)に戻すことで減速し、停止する。
【0019】
電動車いす1の後進動作については、乗員が操作装置4にある切換えスイッチ9を操作し、アクセルレバー10が手前から奥へ傾倒されることで駆動モータ5が逆回転し、電動車いす1の後進が開始されることとなる。
【0020】
このように、本発明の電動車いす1は、跳ね上げ可能な操作装置4にあるハンドル7の操作により進路方向を調整できるものであって、操作性に優れたものとなっている。
【符号の説明】
【0021】
1 電動車いす
2 車輪
3 肘掛け
4 操作装置
5 駆動モータ
6 ヒンジ
7 ハンドル
8 角度センサ
9 切換スイッチ
10 アクセルレバー
11 ブレーキレバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対の前輪及び後輪からなる車輪と、
当該車輪を駆動させる駆動モータと、
前記車輪及び前記駆動モータの駆動を操作する操作装置とを備える電動車いすであって、
前記操作装置は、前記電動車いすの進行方向を調整するハンドルと、
前記駆動モータの回転方向を変更する切換スイッチと、
前記駆動モータの回転速度を調節するアクセルレバーと、
前記駆動モータの駆動を停止させるブレーキとを有し、
前記電動車いすの肘掛にヒンジを介して跳ね上げ可能に設けられることを特徴とする電動車いす。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−218146(P2011−218146A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−18390(P2011−18390)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000143639)株式会社今仙電機製作所 (258)
【Fターム(参考)】