電動車両用パワーユニット
【課題】部品点数を少なくするとともに充分な気液分離を行うための大きなボリュームを確保しつつ減速機室からのブリーザを可能とする。
【解決手段】電動モータ38と、電動モータの出力を減速して駆動輪側に伝達する減速機39とを備え、電動モータおよび減速機を収容するパワーユニットケース40には、電動モータを収容するモータ室45と、減速機を収容する減速機室46とが相互間に隔壁42bを介在させて隣接するように形成される電動車両用パワーユニットにおいて、パワーユニットケース40の下部には、モータ室45の下部に通じる水抜き孔96が設けられ、隔壁42bに、減速機室46およびモータ室45間を通じさせる連通孔97が設けられる。
【解決手段】電動モータ38と、電動モータの出力を減速して駆動輪側に伝達する減速機39とを備え、電動モータおよび減速機を収容するパワーユニットケース40には、電動モータを収容するモータ室45と、減速機を収容する減速機室46とが相互間に隔壁42bを介在させて隣接するように形成される電動車両用パワーユニットにおいて、パワーユニットケース40の下部には、モータ室45の下部に通じる水抜き孔96が設けられ、隔壁42bに、減速機室46およびモータ室45間を通じさせる連通孔97が設けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動輪を駆動する動力を発揮する電動モータと、該電動モータの出力を減速して前記駆動輪側に伝達する減速機とを備え、前記電動モータおよび前記減速機を収容するパワーユニットケースには、前記電動モータを収容するモータ室と、前記減速機を収容する減速機室とが相互間に隔壁を介在させて隣接するように形成される電動車両用パワーユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
減速機室に通じるブリーザ室がモータ室側でパワーユニットケース内に形成され、ブリーザ室に通じるブリーザパイプがパワーユニットケースの上部に設けられ、前記減速機室から前記ブリーザ室および前記ブリーザパイプを経て減速機室の圧力が大気に開放されるようにした電動車両用パワーユニットが、特許文献1で既に知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−324727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1で開示されるもののように、減速機室(ウエット)に発生する圧をモータ室(ドライ)側に形成されたブリーザ室を経由してブリーザパイプから大気に逃がすようにした構成では、モータ室および減速機室の狭い空間を利用して気液分離を行うようにしているので、充分な気液分離を行うための大きなボリュームを確保することができない。またブリーザパイプが必要であり、部品点数が多くなる。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、部品点数を少なくするとともに充分な気液分離を行うための大きなボリュームを確保しつつ減速機室からのブリーザを可能とした電動車両用パワーユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、駆動輪を駆動する動力を発揮する電動モータと、該電動モータの出力を減速して前記駆動輪側に伝達する減速機とを備え、前記電動モータおよび前記減速機を収容するパワーユニットケースには、前記電動モータを収容するモータ室と、前記減速機を収容する減速機室とが相互間に隔壁を介在させて隣接するように形成される電動車両用パワーユニットにおいて、前記パワーユニットケースの下部には、前記モータ室の下部に通じる水抜き孔が設けられ、前記隔壁に、前記減速機室および前記モータ室間を通じさせる連通孔が設けられることを第1の特徴とする。
【0007】
また本発明は、第1の特徴の構成に加えて、前記パワーユニットケースの一部が、前記隔壁を一体に有するケース主体と、該ケース主体との間に前記減速機室を形成して前記ケース主体に結合される減速機カバーとで構成され、相互に連通する複数のブリーザ室が、前記ケース主体および前記減速機カバー間、もしくは前記ケース主体および前記減速機カバーのいずれかに形成され、各ブリーザ室のうち流通方向最終端のブリーザ室が前記連通孔に連通されることを第2の特徴とする。
【0008】
本発明は、第2の特徴の構成に加えて、複数の前記ブリーザ室が、前記連通孔側に向かうにつれて段階的に上方位置となるように配置され、最下方のブリーザ室を形成する壁部の下部に前記減速機室に通じる入口孔が設けられ、前記連通孔が最上方のブリーザ室の上部に開口されることを第3の特徴とする。
【0009】
本発明は、第3の特徴の構成に加えて、複数の前記ブリーザ室の少なくとも一部が、前記ケース主体および前記減速機カバー間に介在するガスケットを挟んで該ガスケットの両側に形成され、前記ガスケットにその両側のブリーザ室間を結ぶ通路孔が設けられることを第4の特徴とする。
【0010】
本発明は、第1〜第4の特徴の構成のいずれかに加えて、前記連通孔の前記モータ室への開口端に対向する邪魔板が、前記パワーユニットケースに設けられることを第5の特徴とする。
【0011】
本発明は、第1〜第5の特徴の構成のいずれかに加えて、前記パワーユニットケースの一部が、前記ケース主体と、該ケース主体との間に前記モータ室を形成して前記ケース主体に結合されるモータカバーとで構成され、前記電動モータのステータにコイルが設けられ、前記ステータの一端側での前記コイルおよび前記隔壁間の軸方向最大距離を前記ステータの他端側での前記コイルおよび前記モータカバー間の軸方向最大距離よりも大きくして、前記電動モータが前記モータ室に収容されることを第6の特徴とする。
【0012】
本発明は、第6の特徴の構成に加えて、車体フレームに揺動可能に支承されるスイングアームに、前記モータカバーの側方に駆動輪のホイールが配置されるようにして前記パワーユニットケースが支持され、前記水抜き孔が、前記電動モータに関して前記ホイールとは反対側で外部に開口するようにして前記パワーユニットケースに設けられることを第7の特徴とする。
【0013】
さらに本発明は、第2の特徴の構成に加えて、流通方向最終端の前記ブリーザ室側に前記隔壁から突出する筒部が、前記連通孔の一部を形成するようにして前記隔壁に一体に突設されることを第8の特徴とする。
【0014】
なお実施の形態の後輪WRが本発明の駆動輪に対応する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の第1の特徴によれば、モータ室の下部に通じる水抜き孔がパワーユニットの下部に設けられ、減速機室およびモータ室間の隔壁に連通孔が設けられるので、減速機室の圧が連通孔およびモータ室を介して水抜き孔から大気に解放されることになり、減速機室およびモータ室を連通孔で連通することにより、モータ室を気液分離のための大きなボリュームとして利用することができる。
【0016】
また本発明の第2の特徴によれば、相互に連通する複数のブリーザ室が、ケース主体および減速機カバー間、もしくはケース主体および減速機カバーのいずれかに形成されており、各ブリーザ室のうち流通方向最終端のブリーザ室が連通孔に連通されるので、減速機室の圧が複数のブリーザ室を経て連通孔からモータ室に導かれることになり、気液分離性能が向上する。
【0017】
本発明の第3の特徴によれば、複数のブリーザ室が、上下に段階的に並ぶように配置され、最下方のブリーザ室を形成する壁部の下部に入口孔が設けられ、連通孔が最上方のブリーザ室の上部に開口されるので、各ブリーザ室で分離されたオイルを減速機室側に容易に戻すことができる。
【0018】
本発明の第4の特徴によれば、少なくとも一部のブリーザ室が、ケース主体および減速機カバー間のガスケットを挟んで該ガスケットの両側に形成されるので、気液分離性能のさらなる向上を図ることができる。
【0019】
本発明の第5の特徴によれば、パワーユニットケースに、連通孔のモータ室への開口端に対向するようにして邪魔板が設けられるので、連通孔からモータ室側に流入するブリージングガスが電動モータに直接当たるのを回避するようにして、隔壁および電動モータ間の空間にブリージングガスをガイドすることができる。
【0020】
本発明の第6の特徴によれば、モータ室に収容される電動モータが備えるステータに設けられるコイルおよび隔壁間の軸方向最大距離を、コイルおよびモータカバー間の軸方向最大距離よりも大きくすることで、隔壁および電動モータ間に比較的大きな空間を形成することができ、気液分離のための大きなボリュームを確保することができる。
【0021】
本発明の第7の特徴によれば、モータカバーの側方に駆動輪のホイールが配置されるようにしてパワーユニットケースがスイングアームに設けられ、水抜き孔がホイールとは反対側で外部に開口するので、水抜き孔からの排出物が駆動輪に及ぼす影響を最小限にすることができる。
【0022】
さらに本発明の第8の特徴によれば、流通方向最終端のブリーザ室側に隔壁から突出する筒部が隔壁に一体に設けられ、その筒部内に連通孔の一部が形成されるので、流通方向最終端のブリーザ室から連通孔への流入時に流通方向を変化させることで、さらなる気液分離を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】電動スクータの左側面図である。
【図2】電動スクータの右側面図である。
【図3】図1の要部拡大図である。
【図4】図2の要部拡大図である。
【図5】図4の5−5線断面図である。
【図6】スイングアームおよびパワーユニットの一部切欠き横断平面図である。
【図7】図3の7−7線拡大断面図である。
【図8】図7の要部拡大図である。
【図9】図8の9−9線に沿う断面図である。
【図10】図4の10−10線に沿う断面図である。
【図11】図9の11−11線に沿う断面図である。
【図12】図9の12−12線に沿う断面図である。
【図13】図6の13矢視方向から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施の形態について添付の図1〜図13を参照しながら説明する。なお以下の説明で前後、上下および左右の各方向は電動スクータに搭乗した乗員から見た方向を言うものとする。
【0025】
先ず図1において、この電動車両は、低床フロア32を有する電動スクータであり、片持ち型のスイングアーム15の後部に設けられるパワーユニットPが発揮する回転動力で、該パワーユニットPで軸支される後輪WRが回転駆動されるように構成されている。
【0026】
図2を併せて参照して、電動スクータの車体フレームFは、前輪WFを軸支するフロントフォーク16ならびに該フロントフォーク16の上部に連結された操向ハンドル17を操向可能に支承するヘッドパイプ18と、該ヘッドパイプ18に前端部が結合されるメインフレーム19と、車幅方向に延びて前記メインフレーム19の後端部に設けられるクロスパイプ20と、該クロスパイプ20の両端部に前端がそれぞれ連設される左右一対のリヤフレーム21,21と、両リヤフレーム21…の中間部間を結ぶクロスメンバ22と、一対の前記リヤフレーム21…の内側で前記クロスパイプ20に連設されて該クロスパイプ20から後方に延びる一対のサブフレーム23,23と、それらのサブフレーム23…の下部にそれぞれ連設されて下方に延びる一対のピボットフレーム24,24とを備える。
【0027】
前記メインフレーム19は、前記ヘッドパイプ18から後下がりに延びるダウンフレーム19aと、前記低床フロアで上方から覆われるようにして前記ダウンフレーム19aの後端からほぼ水平にして後方に延びるロアフレーム19bとを一体に有し、単一のパイプが屈曲成形されて成る。
【0028】
図3および図4を併せて参照して、前記クロスパイプ20の車幅方向中央部は前記メインフレーム19におけるロアフレーム19bの後端部に固着され、一対の前記リヤフレーム21…の前端部が前記クロスパイプ20の両端部に固着される。すなわち前記リヤフレーム21は、前記クロスパイプ20を介して前記ロアフレーム19bの後端部に連設されるものである。またリヤフレーム21は、少なくとも乗車用シート30の下方では後上がりに傾斜して形成されるものであり、この実施の形態で前記リヤフレーム21は、前記クロスパイプ20の左右両端部から後ろ上がりに傾斜して上方に延びるとともに前記乗車用シート30の下方に配置される前部傾斜フレーム21aと、該前部傾斜フレーム21aの後端からわずかに後ろ下がりに傾斜して後方に延びる後部傾斜フレーム21bとを一体に有し、単一のパイプが屈曲成形されて成る。また両リヤフレーム21…の前記前部傾斜フレーム21a…および前記後部傾斜フレーム21b…の連設部間はクロスメンバ22で連結される。
【0029】
図5を併せて参照して、前記サブフレーム23…は、前記リヤフレーム21…に内側から近接した位置で前記クロスパイプ20の両端部後面に連設されて後方に延出するものであり、前記ピボットフレーム24…は、それらのサブフレーム23…から下方に延出されるようにしてサブフレーム23…の下部に連設される。
【0030】
左右一対のサブフレーム23…間には前記クロスパイプ20の上方に配置される載置板26が設けられており、バッテリ27を収納して左右一対の前記リヤフレーム21…間に配置されるバッテリボックス28が、前記載置板26に載せられるようにして両サブフレーム23…で支持される。すなわちバッテリボックス28は前記クロスパイプ20の上方に配置されるようにして前記サブフレーム23…で支持される。
【0031】
またバッテリボックス28の上方には、左右一対の前記リヤフレーム21…で支持されるようにして収納ボックス29が配置され、この収納ボックス29には、該収納ボックス29を上方から覆う乗車用シート30が開閉可能に支持される。而して前記バッテリボックス28は前記乗車用シート30の下方で左右一対の前記リヤフレーム21…間に配置されることになる。
【0032】
一対の前記サブフレーム23…の後端部には、上方に開いた略U字状に形成される補強フレーム25が固着され、この補強フレーム25の両端部が前記リヤフレーム21…における前部傾斜フレーム21a…の中間部に固着される。
【0033】
前記車体フレームF、前記バッテリボックス28の一部および前記収納ボックス29は、前記乗車用シート30に座った乗員が足を載せる低床フロア32を有する車体カバー31で覆われる。
【0034】
前記車体フレームFのピボットフレーム24…には、片持ち型のスイングアーム15の前端部が単一の支軸33を介して揺動可能に支承され、このスイングアーム15と回動軸線を同一としたメインスタンド34が前記支軸33に回動可能に支持される。また前記両リヤフレーム17…のうち左側のリヤフレーム17の後部に設けられるブラケット35と、前記スイングアーム15の後部に設けられるパワーユニットPとの間にはリヤクッションユニット36が設けられる。
【0035】
図6および図7を併せて参照して、前記スイングアーム15は、前記後輪WRの前方に配置されるとともに前記支軸33を介して前記ピボットフレーム24…に回動可能に支承される揺動支持部15aと、前記後輪WRの一側方(この実施の形態では左側方)に配置されるようにして前記揺動支持部15aの車幅方向一側(この実施の形態では車幅方向左側)に連設されるアーム部15bとを有して片持ち型に構成される。
【0036】
前記揺動支持部15aは、車幅方向に長く延びるクロス部分15aaと、該クロス部分15aaの左右両側に連設されて前方に延びる左右一対の支持腕部分15ab,15acと、左右一対の前記ピボットフレーム24…間に設けられる前記支軸33で支持されるようにして前記支持腕部分15ab,15acの前端部に設けられる支持筒部分15ad,15adとで構成されるものであり、図6および図7では二点鎖線で囲まれる部分が揺動支持部15aである。またアーム部15bは前記揺動支持部15aの左右の支持腕部分15ad,15adのうち左側の支持腕部分15abに一体に連なって後方に延びるように形成される。
【0037】
ところで前記支軸33の中心軸線C1は、図1〜図4で示すように、前記後輪WRの回転中心C2よりも下方に配置され、しかも前記バッテリボックス28の後面28aよりも前方に配置される。
【0038】
また前記支軸33を挿通せしめる一対の支持筒部分15ad…は前記スイングアーム15の前端上部に設けられており、前記支軸33は、前記サブフレーム23…で支持される前記バッテリボックス28の後端下面と、そのバッテリボックス28の後端直下での前記スイングアーム15の上面との間に、スイングアーム15およびバッテリボックス28の干渉を回避し得る間隙g(図3参照)をあけるようにして前記ピボットフレーム24…の後端下部間に設けられる。
【0039】
図8を併せて参照して、前記パワーユニットPは、前記バッテリ27からの電力供給を受けて後輪WRを駆動する動力を発揮する電動モータ38と、該電動モータ38の出力を減速して前記後輪WRのホイール41側に伝達する減速機39と、前記電動モータ38および前記減速機39を収容するパワーユニットケース40とで構成される。
【0040】
前記パワーユニットケース40は、前記スイングアーム15におけるアーム部15bの後部に支持されるケース主体42と、前記電動モータ38を収容するモータ室45を前記ケース主体42との間に形成して前記ケース主体42に結合されるモータカバー43と、前記減速機39を収容する減速機室46を前記ケース主体42との間に形成して前記ケース主体42に結合される減速機カバー44とから成る。
【0041】
前記ケース主体42は、車幅方向両側に開放した筒状の外郭部42aと、その外郭部42a内を車幅方向両側に区画して前記外郭部42aに一体に設けられる隔壁42bと、前記外郭部42aの前側上部から前上がりに突出する第1取付け部42cと、前記外郭部42aの前部から前方に突出する第2取付け部42dと、前記外郭部42aの前側下部から下方に突出する第3取付け部42eとを一体に有する。而して前記モータ室45および前記減速機室46は前記ケース主体42の前記隔壁42bを相互間に介在させて隣接するようにして前記パワーユニットケース40内に形成される。
【0042】
一方、前記アーム部15bの後部には、前記ケース主体42の第1〜第3取付け部42c〜42eを左右両側から挟む支持板47,48が固着されており、第1〜第3取付け部42c〜42eはそれらの支持板47,48にボルト49…およびナット50…で締結される。したがってケース主体42すなわちパワーユニットケース40は、前記スイングアーム15のアーム部に着脱可能に取付けられることになる。
【0043】
前記パワーユニットケース40がスイングアーム15のアーム部15bに支持された状態で、前記モータカバー43の車幅方向他側方(右側方)に前記後輪WRのホイール41が配置されることになる。またパワーユニットPは、前記減速機39を前記電動モータ38に関して前記後輪WRとは反対側の車幅方向一側方に配置するとともに、前記電動モータ38を前記車幅方向で前記減速機39よりも車体中心線CL側に寄せて配置するようにして前記アーム部15bに支持される。
【0044】
前記電動モータ38は、前記モータカバー43に固定されるステータ51と、前記ステータ51内に同軸に配置されるロータ52とを備える。前記ステータ51は、前記モータカバー43に複数のボルト56…で締結されるステータコア53と、該ステータコア53に装着されるボビン54と、該ボビン54に装着されるコイル55とを有し、前記ロータ52は、前記後輪WRの車軸57を同軸に貫通せしめるようにして筒状に形成されるとともに一端部が前記隔壁42bを回転自在に貫通して前記減速機室46に突入されるモータ軸58の他端部にロータコア59が固定されて成る。
【0045】
しかも前記電動モータ38は、前記ステータ51の一端側での前記コイル55および前記隔壁42b間の軸方向最大距離L1を、前記ステータ51の他端側での前記コイル55および前記モータカバー43間の軸方向最大距離L2よりも大きくして、前記モータ室45に収容される。
【0046】
前記モータ軸58および前記隔壁42b間には、第1ボールベアリング61と、第1ボールベアリング61に前記モータ室45側で隣接する第1オイルシール62とが介装される。
【0047】
図9を併せて参照して、前記モータ軸58は、前記電動モータ38よりも外側方に配置される前記減速機39に連動、連結されるものであり、前記減速機39は、前記モータ軸58の一端部に一体に形成される駆動ギヤ63と、該駆動ギヤ63に噛合する第1アイドルギヤ64と、第1アイドルギヤ64とともに回転する第2アイドルギヤ65と、第2アイドルギヤ65に噛合する被動ギヤ66とで構成される。
【0048】
前記駆動ギヤ63よりも大径に形成される第1アイドルギヤ64は、アイドル軸67に固定され、第1アイドルギヤ64よりも小径に形成される第2アイドルギヤ65はアイドル軸67に一体に形成される。また前記アイドル軸67の一端部は前記減速機カバー44に第2ボールベアリング68を介して回転自在に支承され、前記アイドル軸67の他端部は前記ケース主体42の隔壁42bに第3ボールベアリング69を介して回転自在に支承される
前記パワーユニットケース40における前記モータカバー43の中央部を回転自在に貫通する前記車軸57には、前記減速機39からの回転動力が伝達されるものであり、この車軸57の一端部に前記減速機39の被動ギヤ66が固定され、前記車軸57の他端部に前記後輪WRのホイール41が固定される。この車軸57は、前記モータカバー43および前記減速機カバー44でそれぞれ回転自在に支承されており、前記車軸57の一端部および前記減速機カバー44間には第4ボールベアリング70が介装され、前記車軸57の中間部および前記モータカバー43間にはシール付の第5ボールベアリング71が介装される。
【0049】
また前記モータ軸58は、前記車軸57と、前記ケース主体42にそれぞれ回転自在に支承されるものであり、モータ軸58の外周および前記ケース主体42の隔壁42b間には、上述のように第1ボールベアリング61および第1オイルシール62が介装され、前記モータ軸58の他端部内周および車軸57間には、シール付の第6ボールベアリング72と、第6ボールベアリング72よりも前記減速機室46側に配置される第2オイルシール73とが介装される。
【0050】
ところで前記ホイール41は、前記車軸57に固定されるホイールハブ74と、タイヤ77が装着されるようにして前記ホイールハブ74を同軸に囲繞するリム75と、該リム75および前記ホイールハブ74間を連結する複数のスポーク76…とから成る。
【0051】
しかも前記ホイールハブ74は、前記車軸57を挿通せしめる内筒部74aと、該内筒部74aを同軸に囲繞する外筒部74bと、前記内筒部74aおよび前記外筒部74bの前記パワーユニットP側端部を連結する連結壁74cとを一体に有するように形成され、前記内筒部74aが前記車軸57に固定される。
【0052】
またホイールハブ74は、車軸57の軸線に沿う方向での前記リム75の中心から前記車幅方向他側(右側)にオフセットして配置され、前記ホイールハブ74の外筒部74bおよび前記リム75間を連結する複数のスポーク76…は、前記ホイルーハブ74側に向かうにつれて前記車幅方向他側(右側)に位置するように傾斜して配設される。
【0053】
而して前記電動モータ38の少なくとも一部、この実施の形態では電動モータ38の大部分が、前記リム75に装着されるタイヤ77の幅W内に配置される。
【0054】
前記後輪WRのホイール41には、車輪ブレーキであるドラムブレーキ80が、前記パワーユニットPとは反対側の車幅方向他側方(右側方)からアクセスすることを可能として設けられる。このドラムブレーキ80は、前記ホイールハブ74における前記外筒部74bの内周に設けられるブレーキドラム81と、前記内筒部74aおよび前記外筒部74b間の前記パワーユニットPとは反対側の開放端部を閉じて前記車軸57に相対回転自在に支承されるブレーキパネル82と、前記ブレーキドラム81に摺接することを可能として前記ブレーキパネル82に回動可能に支承される一対のブレーキシュー83とを備えるものであり、このドラムブレーキ80の少なくとも一部が、前記タイヤ77の幅Wから外側方にオフセットした位置に配置される。
【0055】
前記ブレーキパネル82および前記車軸57間には、一対のシール付きの第7ボールベアリング84,84と、それらの第7ボールベアリング84…の外側方に配置される環状のシール部材85とが介装される。
【0056】
図2および図4に注目して、前記ブレーキパネル82には、回動に応じて前記ブレーキシュー83…を回動駆動するカム軸86が回動可能に支承されており、ブレーキパネル82の外側方で前記カム軸86に基端部が固定されるアーム87の先端部には、乗員のブレーキ操作に応じて牽引されるブレーキケーブル88が連結される。
【0057】
また前記スイングアーム15の揺動支持部15aおよび前記ブレーキパネル82間には、車体フレームFの前後方向に延びる棒状に形成される回り止め部材90が、前記ブレーキパネル82の回転を規制するようにして設けられる。
【0058】
この回り止め部材90の前後両端部には被締結部90a,90bがそれぞれ形成されており、それらの被締結部90a,90bを締結するための取付け部91,92が前記被締結部90a,90bに重なるようにして前記揺動支持部15aの右端部および前記ブレーキパネル82にそれぞれ設けられる。
【0059】
図10において、前記回り止め部材90はパイプを偏平に加工して成るものであり、偏平に潰すように加工することで被締結部90a,90bが形成される。しかも前記揺動支持部15aの取付け部91は前記回り止め部材90の前端部の被締結部90aを両側から挟むように形成され、前記ブレーキパネル82の取付け部92は前記まわり止め部材90の後端部の被締結部90bに車幅方向内方側から当接されるものであり、重ねられた前記被締結部90a,90bおよび前記取付け部91,92に挿通されるボルト93,93と、それらのボルト93…に螺合されるナット94,94とで被締結部90a,90bが前記取付け部91,92に取付けられる。
【0060】
前記ボルト93は、前記被締結部90a,90bおよび前記取付け部91,92の一方、この実施の形態では取付け部91,92の内側の外面に当接、係合する拡径頭部93aと、重ねられた前記被締結部90a,90bおよび前記取付け部91,92を貫通するようにして前記拡径頭部93aに同軸に連なる挿通軸部93bと、該挿通軸部93bよりも小径に形成されて前記挿通軸部93bに同軸に連なるねじ軸部93cとを一体に有して段付きに形成されており、前記取付け部91,92もしくは前記被締結部90a,90bとの間に弾性部材を介在させるようにしてナット94…がボルト93…のねじ軸部93c…に螺合される。
【0061】
前記ボルト93の前記挿通軸部93bおよびねじ軸部93c間には環状段部93dが形成される。而してこの実施の形態では、前記被締結部90aおよび前記取付け部91に挿通されるボルト93のねじ軸部93cにはその環状段部93dに係合するワッシャ115に当接するようにナット94が螺合され、ワッシャ115および取付け部91間には弾性部材である板ばね117が挟まれ、前記被締結部90bおよび前記取付け部92に挿通されるボルト93のねじ軸部93cにはその環状段部93dに係合するワッシャ116に当接するようにナット94が螺合され、ワッシャ116および被締結部90b間には弾性部材であるゴム材118が挟まれる。すなわち前記ボルト93…のねじ軸部93c…には、取付け部91および被締結部90bとの間に板ばね117およびゴム材118を介在させるようにしてナット94…が螺合されることになる。
【0062】
図11を併せて参照して、前記パワーユニットケース40におけるケース主体42および前記モータカバー43の下部には、前記モータ室45の下部に通じる水抜き孔96が、前記電動モータ38に関して前記後輪WRのホイール41と反対側で外部に開口するようにして設けられ、前記隔壁42bには、前記減速機室46および前記モータ室45間を通じさせる連通孔97が設けられる。
【0063】
図12を併せて参照して、前記ケース主体42および前記減速機カバー44間、もしくは前記ケース主体42および前記減速機カバー44のいずれかには、相互に連通する複数のブリーザ室100〜104が形成されるものであり、この実施の形態では、ガスケット98を相互間に介在させた前記ケース主体42および前記減速機カバー44間に、第1〜第5ブリーザ室100,101,102,103,104が形成される。しかも第1〜第5ブリーザ室100〜104のうち流通方向最終端のブリーザ室である第5ブリーザ室104が前記連通孔97に連通される。
【0064】
而して前記ケース主体42には、前記ガスケット98および前記隔壁42b間に、第1〜第5ブリーザ室100〜104のうち第1、第2および第5ブリーザ室100,101,104を形成するための壁部42fが一体に設けられ、前記減速機カバー44には、前記ガスケット98および前記減速カバー44間に、第1〜第5ブリーザ室100〜104のうち第3および第5ブリーザ室102,103を形成するための壁部44aが一体に設けられ、第1〜第5ブリーザ室100〜104の少なくとも一部、この実施の形態では第2〜第4ブリーザ室101〜104が前記ガスケット98の両側に形成される。
【0065】
しかも前記ケース主体42の壁部42fの下部の前記ガスケット98側の端部には、減速機室46を第1リザーバ室99に連通させる溝状の入口105が設けられ、第1および第2ブリーザ室100,101間に対応する位置で前記壁部42fの前記ガスケット98側の端部には第1および第2ブリーザ室100,101間を連通させる溝状の通路106が設けられ、前記減速機カバー44の壁部44aの前記ガスケット98側の端部には、第3および第4ブリーザ室102,103間を連通させる溝状の通路107が設けられる。また前記ガスケット98には、第2および第3ブリーザ室101,102間を連通する通路孔109と、第4および第5ブリーザ室103,104間を連通する通路孔110とが設けられる。
【0066】
第1〜第5ブリーザ室100〜104は、前記連通孔97側に向かうにつれて段階的に上方位置となるように配置されるものであり、最下方のブリーザ室である第1ブリーザ室100が前記入口105を介して前記減速機室46内に連通し、ち前記連通孔97が最上方のブリーザ室である第5ブリーザ室104の上部に開口される。
【0067】
しかも流通方向最終端のブリーザ室である第5ブリーザ室104側に前記隔壁42bから突出する筒部111が、前記連通孔97の一部を形成するようにして前記隔壁42bに一体に突設されており、この筒部111と同軸である筒部112が前記モータ室45側に突出するようにして前記隔壁部42bに一体に突設されており、前記連通孔97は、前記両筒部111,112および前記隔壁42bに形成される。
【0068】
なお前記連通孔97から前記モータ室45側に流入するガスが前記電動モータ38に直接当たるのを回避すべく、図11に二点鎖線で示すように、前記連通孔97の前記モータ室45側の開口端および前記電動モータ38間に配置される邪魔板113を前記ケース主体42の外郭部42aの内面に一体に突設するようにしてもよい。
【0069】
図1〜図4で示すように、前記バッテリ27からの直流電流を三相の交流電流に変換するとともにその交流電流を制御して前記パワーユニットPにおける電動モータ38に供給するパワードライブユニット119が、前記バッテリボックス28の後方斜め上方に位置するようにして前記車体フレームFのリヤフレーム21に支持されており、このパワードライブユニット119から延びる三相の電気ケーブル78が、前記パワーユニットPにおける前記電動モータ38のステータ51に接続される。
【0070】
図13において、前記スイングアーム15には、該スイングアーム15の揺動支持部15aの左側上部と、アーム部15bの上部、下部および内側とを覆うガセット120が固着されており、このガセット120およびスイングアーム15間には、スイングアーム15の上方に配置される前記パワードライブユニット119から延出される前記電気ケーブル78が挿通される。しかも前記揺動支持部15aの上部には、上方の前記パワードライブユニット119から延出される前記電気ケーブル78の途中を保持するホルダ121が設けられており、該ホルダ121で保持された前記電気ケーブル78は、揺動支持部15aの左側上部および前記ガセット120間に形成される入口122(図6参照)から前記ガセット120および前記スイングアーム15間に挿入され、前記パワーユニットケース40のケース主体42の前端に対向して前記アーム部15bおよび前記ガセット120間に形成される出口123から引き出された前記電気ケーブル78は、前記パワーユニットケース40のケース主体42内に引き込まれる。
【0071】
次にこの実施の形態の作用について説明すると、パワーユニットPの電動モータ38に電力を供給するバッテリ27を収納したバッテリボックス28が、乗車用シート30の下方で左右一対のリヤフレーム21…間に配置され、スイングアーム15の前端部を車体フレームFに揺動可能に支承する単一の支軸33が、バッテリボックス28の下方に配置されるので、バッテリボックス28の後方にスイングアーム15の支持部を設定することなく単一の支軸33でスイングアーム15を支承することを可能として、スイングアーム15の支持強度を確保することを容易としつつ組付け工数の増加を回避することができる。またスイングアーム15の前後方向長さを確保し、側面視で支軸33の中心軸線C1および後輪WRのタイヤ77の接地点を結ぶ直線LLと、タイヤ77の接地点よりも前方の路面とがなす角度α(図3参照)を小さくすることによって、スイングアーム15に設けられたパワーユニットPで後輪WRが駆動される際に路面から受ける反力の上方に向けての分力を小さくし、加速時のアンチスコート率および減速時のアンチリフト率を小さく設定することにより、後輪WRが路面から受ける影響を少なくして振動を抑制することが可能となる。
【0072】
また車体フレームFは、バッテリボックス28を支持する一対のサブフレーム23…と、それらのサブフレーム23…の下部にそれぞれ連設されて下方に延びる一対のピボットフレーム24…とを備え、両ピボットフレーム24…間に支軸33が設けられるので、スイングアーム15の支持剛性を確保することができる。
【0073】
また支軸33の中心軸線C1が、後輪WRの回転中心C2よりも下方に配置されるので、支軸33の中心軸線C1および後輪WRのタイヤ77の接地点を結ぶ直線LLと、タイヤ77の接地点よりも前方の路面とがなす角度α(図3参照)をより小さくすることができ、後輪WRが路面から受ける影響をより少なくし、走行時の振動をより効果的に抑えることができる。しかも支軸33の中心軸線C1がバッテリボックス28の後面28aよりも前方に在るので、スイングアーム15の前後方向長さを充分に確保することができる。
【0074】
またスイングアーム15の前端上部に支軸33を挿通せしめる一対の支持筒部分15ad…が設けられ、支軸33が、サブフレーム23…で支持されるバッテリボックス28の後端下面と、そのバッテリボックス28の後端直下でのスイングアーム15の上面との間に、スイングアーム15およびバッテリボックス28の干渉を回避し得る間隙gをあけるようにして一対の前記ピボットフレーム24…の後端下部間に設けられるので、バッテリボックス28をサブフレーム23…で支持し、そのサブフレーム23…の下部に連設されるピボットフレーム24…に支軸33を介してスイングアーム15を揺動可能に支承する構造にもかかわらず、スイングアーム15およびバッテリボックス28の干渉を回避するようにスイングアーム15を揺動させるスペースを確保することができる。
【0075】
また支軸33にメインスタンド34が回動可能に支持されるので、スイングアーム15およびメインスタンド34をコンパクトに纏めて配置することができ、部品点数を低減することができるとともに、重量物であるバッテリボックス28の下方にメインスタンド34を配置することでメインスタンド34を起こす操作が容易となる。
【0076】
またメインフレーム19におけるロアフレーム19bの後端部に、車幅方向に延びてバッテリボックス28の下方に配置されるクロスパイプ20の車幅方向中央部が固着され、一対のリヤフレーム21…の前端部がクロスパイプ20の両端部に固着されるので、ロアフレーム19bの後端部に、バッテリボックス28の下方で車幅方向に延びるクロスパイプ20を介して一対のリヤフレーム21…が連設されることになり、バッテリボックス28の支持剛性を充分に確保することができる。
【0077】
また一対のサブフレーム23の後端部に、上方に開いた略U字状に形成される補強フレーム25が固着され、この補強フレーム25の両端部がリヤフレーム21…に固着されるので、サブフレーム23…の支持剛性を強固なものとすることができる。
【0078】
またパワーユニットPが、減速機39を電動モータ38に関して後輪WRとは反対側の一側方に配置するとともに電動モータ38を車幅方向で減速機39よりも車体中心線CL側に寄せて配置するように構成され、パワーユニットPとは反対側の車幅方向他方側からアクセスすることを可能としてドラムブレーキ80が後輪WRのホイール41に設けられるので、タイヤ77の交換時には電動モータ38および減速機39だけでなくドラムブレーキ80を外すことを不要とし、ドラムブレーキ80のメンテナンス時にはタイヤ77を外すことを不要としつつ、メンテナンスの優先順位が高いタイヤ77およびドラムブレーキ80に車幅方向他側方から容易にアクセスすることができ、しかも重量物である電動モータ38を車幅方向での車体中心線CL寄りに配置して良好な重量バランスを得ることができる。
【0079】
また後輪WRのホイール41のホイールハブ74が、後輪WRの車軸57を挿通せしめる内筒部74aと、該内筒部74aを同軸に囲繞する外筒部74bと、内筒部74aおよび外筒部74bのパワーユニットP側端部を連結する連結壁74cとを一体に有するように形成され、前記ドラムブレーキ80が、外筒部74bの内周に設けられるブレーキドラム81と、内筒部74aおよび外筒部74b間のパワーユニットPとは反対側の開放端部を閉じて車軸57に相対回転自在に支承されるブレーキパネル82とを有するものであるので、コンパクトな構造とすることができる。
【0080】
またブレーキパネル82および車軸57間には第7ボールベアリング84が介装され、スイングアーム15の揺動支持部15aおよびブレーキパネル82間に、ブレーキパネル82の回転を規制する回り止め部材90が設けられるので、片持ち型のスイングアーム15のアーム部15bだけでパワーユニットPを支持し、ブレーキパネル82に作用する回転力を揺動支持部15aだけで受けることができる。
【0081】
また前記回り止め部材90は、車体フレームFの前後方向に延びる棒状に形成されるものであり、この回り止め部材90の前後両端部に被締結部90a,90bがそれぞれ形成され、それらの被締結部90a,90bを締結するための取付け部91,92が被締結部90a,90bに重なるようにして揺動支持部15aおよびブレーキパネル82にそれぞれ設けられ、重ねられた被締結部90a,90bおよび取付け部91,92に挿通されるボルト93…が、被締結部90a,90bおよび取付け部91,92の一方に当接、係合する拡径頭部93a…と、重ねられた被締結部90a,90bおよび取付け部91,92を貫通するようにして拡径頭部93aに同軸に連なる挿通軸部93b…と、該挿通軸部93b…よりも小径に形成されて挿通軸部93b…に同軸に連なるねじ軸部93c…とを一体に有して段付きに形成され、前記ボルト93…のねじ軸部93c…には、取付け部91および被締結部90bとの間に板ばね117およびゴム材118を介在させるようにしてナット94…が螺合されるので、ナット94…の締め付け状態でもボルト93…の拡径頭部93a…およびナット94…間に被締結部90a,90bおよび取付け部91,92が固く締め付けられることはなく、取り外しが容易であり、しかも寸法交差を厳密に定めなくてもよいので安価である。
【0082】
またホイール41のリム75と、車軸57の軸線に沿う方向でのリム75の中心から車幅方向他側にオフセットして配置されるホイールハブ74との間が、ホイルーハブ74側に向かうにつれて車幅方向他側に位置するように傾斜した複数のスポーク76…で連結されるので、電動モータ38を車幅方向でより車体中心線CL寄りに配置することができるとともに、ドラムブレーキ780を前記車体中心線CLからパワーユニットPと反対側の車幅方向他側方にオフセットした位置に配置することができる。
【0083】
また電動モータ38の少なくとも一部がリム75に装着されるタイヤ77の幅W内に配置され、ドラムブレーキ80の少なくとも一部が、タイヤ77の幅Wから外側方にオフセットした位置に配置されるので、電動モータ38を車幅方向でより顕著に車体中心線CL寄りに配置することができるとともに、ドラムブレーキ80を前記車体中心線CLからより顕著に車幅方向他側方側にオフセットして配置することができる。また車幅方向でパワーユニットPおよび後輪WRの重量バランスを均等化することができる。
【0084】
また電動モータ38のモータ軸58が、該電動モータ38の車幅方向一側方に配置される減速機39に連動、連結され、減速機39からの回転動力が伝達される車軸57を貫通せしめるようにしてモータ軸58が筒状に形成されるので、電動モータ38を車幅方向での車体中心線CL寄りに配置しつつ、電動モータ38から車軸57に至るまでの動力伝達系をコンパクトに構成することができる。
【0085】
またパワーユニットPを収容するパワーユニットケース40が、スイングアーム15のアーム部15bに支持されるケース主体42と、電動モータ38を収容するモータ室45をケース主体42との間に形成してケース主体42に結合されるモータカバー43と、減速機39を収容する減速機室46をケース主体42との間に形成してケース主体42に結合される減速機カバー44とから成り、モータカバー43を回転自在に貫通する車軸57が減速機カバー44およびモータカバー43にそれぞれ回転自在に支承され、モータ軸58が、車軸57およびケース主体42にそれぞれ回転自在に支承されるので、後輪WRを片持ち型のスイングアーム15だけで支持することができる。
【0086】
またパワーユニットPが、スイングアーム15のアーム部15bに着脱可能に取付けられるので、より多様なメンテナンスが可能となり、パワーユニットPをスイングアーム15から容易に取り外すことができるようにして、パワーユニットPのサイズおよびタイヤ77のサイズ変更を可能とすることができる。
【0087】
またパワーユニットケース40には、モータ室45および減速機室46が相互間に隔壁42bを介在させて隣接するように形成され、パワーユニットケース40の下部には、モータ室45の下部に通じる水抜き孔96が設けられ、隔壁42bに、減速機室46およびモータ室45間を通じさせる連通孔97が設けられるので、減速機室46の圧が連通孔97およびモータ室45を介して水抜き孔96から大気に解放されることになり、減速機室46およびモータ室45を連通孔97で連通することでモータ室45を気液分離のための大きなボリュームとして利用することができる。
【0088】
また相互に連通する第1〜第5ブリーザ室100,101,102,103,104が、ケース主体42および減速機カバー44間に形成され、各ブリーザ室100〜104のうち流通方向最終端である第5ブリーザ室104が連通孔97に連通されるので、減速機室46の圧が第1〜第5ブリーザ室100〜104を経て連通孔97からモータ室45に導かれることになり、気液分離性能が向上する。
【0089】
また第1〜第5ブリーザ室100〜104が、連通孔97側に向かうにつれて段階的に上方位置となるように配置され、最下方にある第1ブリーザ室100を形成する壁部42fの下部に減速機室46に通じる入口105が設けられ、連通孔97が最上方にある第5ブリーザ室104の上部に開口されるので、各ブリーザ室100〜104で分離されたオイルを減速機室46側に容易に戻すことができる。
【0090】
しかも第1〜第5ブリーザ室100〜104のうち少なくとも一部のブリーザ室である第2〜第5ブリーザ室101〜104が、ケース主体42および減速機カバー44間のガスケット98を挟んで該ガスケット98の両側に形成されるので、気液分離性能のさらなる向上を図ることができる。
【0091】
またモータ室45に収容される電動モータ38のステータ51にコイル55が設けられ、ステータ51の一端側でのコイル55および隔壁42b間の軸方向最大距離L1をステータ51の他端側でのコイル55およびモータカバー43間の軸方向最大距離L2よりも大きくすることで、隔壁42bおよび電動モータ38間に比較的大きな空間を形成することができ、気液分離のための大きなボリュームを確保することができる。
【0092】
またスイングアーム15に、モータカバー43の側方に後輪WRのホイール41が配置されるようにしてパワーユニットケース40が支持され、水抜き孔96が、電動モータ38に関してホイール41とは反対側で外部に開口するようにしてパワーユニットケース40に設けられるので、水抜き孔96からの排出物が後輪WRに及ぼす影響を最小限にすることができる。
【0093】
また流通方向最終端である第6ブリーザ室104側に隔壁42bから突出する筒部111が、連通孔97の一部を形成するようにして隔壁42bに一体に突設されるので、第6ブリーザ室104から連通孔97への流入時に流通方向を変化させることで、さらなる気液分離を図ることができる。
【0094】
さらに図11において二点鎖線で示すように、パワーユニットケース40に、連通孔97のモータ室45への開口端に対向するようにして邪魔板113が設けられる場合には、連通孔97からモータ室45側に流入するブリージングガスが電動モータ38に直接当たるのを回避するようにして、隔壁42bおよび電動モータ38間の空間にブリージングガスをガイドすることができる。
【0095】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0096】
たとえば上記実施の形態では、複数のブリーザ室100〜104がケース主体42および減速機カバー44間に形成されるようにしたが、ケース主体42側に複数のブリーザ室が形成されるようにしてもよく、また減速機カバー44側に複数のブリーザ室が形成されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0097】
15・・・スイングアーム
38・・・電動モータ
39・・・減速機
40・・・パワーユニットケース
41・・・ホイール
42・・・ケース主体
42b・・・隔壁
43・・・モータカバー
44・・・減速機カバー
44a・・・壁部
45・・・モータ室
46・・・減速機室
51・・・ステータ
55・・・コイル
96・・・水抜き孔
97・・・連通孔
100,101,102,103,104・・・ブリーザ室
106・・・入口孔
111・・・筒部
F・・・車体フレーム
L1・・・ステータの一端側でのコイルおよび隔壁間の軸方向最大距離
L2・・・ステータの他端側でのコイルおよびモータカバー間の軸方向最大距離
P・・・パワーユニット
WR・・・駆動輪である後輪
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動輪を駆動する動力を発揮する電動モータと、該電動モータの出力を減速して前記駆動輪側に伝達する減速機とを備え、前記電動モータおよび前記減速機を収容するパワーユニットケースには、前記電動モータを収容するモータ室と、前記減速機を収容する減速機室とが相互間に隔壁を介在させて隣接するように形成される電動車両用パワーユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
減速機室に通じるブリーザ室がモータ室側でパワーユニットケース内に形成され、ブリーザ室に通じるブリーザパイプがパワーユニットケースの上部に設けられ、前記減速機室から前記ブリーザ室および前記ブリーザパイプを経て減速機室の圧力が大気に開放されるようにした電動車両用パワーユニットが、特許文献1で既に知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−324727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1で開示されるもののように、減速機室(ウエット)に発生する圧をモータ室(ドライ)側に形成されたブリーザ室を経由してブリーザパイプから大気に逃がすようにした構成では、モータ室および減速機室の狭い空間を利用して気液分離を行うようにしているので、充分な気液分離を行うための大きなボリュームを確保することができない。またブリーザパイプが必要であり、部品点数が多くなる。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、部品点数を少なくするとともに充分な気液分離を行うための大きなボリュームを確保しつつ減速機室からのブリーザを可能とした電動車両用パワーユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、駆動輪を駆動する動力を発揮する電動モータと、該電動モータの出力を減速して前記駆動輪側に伝達する減速機とを備え、前記電動モータおよび前記減速機を収容するパワーユニットケースには、前記電動モータを収容するモータ室と、前記減速機を収容する減速機室とが相互間に隔壁を介在させて隣接するように形成される電動車両用パワーユニットにおいて、前記パワーユニットケースの下部には、前記モータ室の下部に通じる水抜き孔が設けられ、前記隔壁に、前記減速機室および前記モータ室間を通じさせる連通孔が設けられることを第1の特徴とする。
【0007】
また本発明は、第1の特徴の構成に加えて、前記パワーユニットケースの一部が、前記隔壁を一体に有するケース主体と、該ケース主体との間に前記減速機室を形成して前記ケース主体に結合される減速機カバーとで構成され、相互に連通する複数のブリーザ室が、前記ケース主体および前記減速機カバー間、もしくは前記ケース主体および前記減速機カバーのいずれかに形成され、各ブリーザ室のうち流通方向最終端のブリーザ室が前記連通孔に連通されることを第2の特徴とする。
【0008】
本発明は、第2の特徴の構成に加えて、複数の前記ブリーザ室が、前記連通孔側に向かうにつれて段階的に上方位置となるように配置され、最下方のブリーザ室を形成する壁部の下部に前記減速機室に通じる入口孔が設けられ、前記連通孔が最上方のブリーザ室の上部に開口されることを第3の特徴とする。
【0009】
本発明は、第3の特徴の構成に加えて、複数の前記ブリーザ室の少なくとも一部が、前記ケース主体および前記減速機カバー間に介在するガスケットを挟んで該ガスケットの両側に形成され、前記ガスケットにその両側のブリーザ室間を結ぶ通路孔が設けられることを第4の特徴とする。
【0010】
本発明は、第1〜第4の特徴の構成のいずれかに加えて、前記連通孔の前記モータ室への開口端に対向する邪魔板が、前記パワーユニットケースに設けられることを第5の特徴とする。
【0011】
本発明は、第1〜第5の特徴の構成のいずれかに加えて、前記パワーユニットケースの一部が、前記ケース主体と、該ケース主体との間に前記モータ室を形成して前記ケース主体に結合されるモータカバーとで構成され、前記電動モータのステータにコイルが設けられ、前記ステータの一端側での前記コイルおよび前記隔壁間の軸方向最大距離を前記ステータの他端側での前記コイルおよび前記モータカバー間の軸方向最大距離よりも大きくして、前記電動モータが前記モータ室に収容されることを第6の特徴とする。
【0012】
本発明は、第6の特徴の構成に加えて、車体フレームに揺動可能に支承されるスイングアームに、前記モータカバーの側方に駆動輪のホイールが配置されるようにして前記パワーユニットケースが支持され、前記水抜き孔が、前記電動モータに関して前記ホイールとは反対側で外部に開口するようにして前記パワーユニットケースに設けられることを第7の特徴とする。
【0013】
さらに本発明は、第2の特徴の構成に加えて、流通方向最終端の前記ブリーザ室側に前記隔壁から突出する筒部が、前記連通孔の一部を形成するようにして前記隔壁に一体に突設されることを第8の特徴とする。
【0014】
なお実施の形態の後輪WRが本発明の駆動輪に対応する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の第1の特徴によれば、モータ室の下部に通じる水抜き孔がパワーユニットの下部に設けられ、減速機室およびモータ室間の隔壁に連通孔が設けられるので、減速機室の圧が連通孔およびモータ室を介して水抜き孔から大気に解放されることになり、減速機室およびモータ室を連通孔で連通することにより、モータ室を気液分離のための大きなボリュームとして利用することができる。
【0016】
また本発明の第2の特徴によれば、相互に連通する複数のブリーザ室が、ケース主体および減速機カバー間、もしくはケース主体および減速機カバーのいずれかに形成されており、各ブリーザ室のうち流通方向最終端のブリーザ室が連通孔に連通されるので、減速機室の圧が複数のブリーザ室を経て連通孔からモータ室に導かれることになり、気液分離性能が向上する。
【0017】
本発明の第3の特徴によれば、複数のブリーザ室が、上下に段階的に並ぶように配置され、最下方のブリーザ室を形成する壁部の下部に入口孔が設けられ、連通孔が最上方のブリーザ室の上部に開口されるので、各ブリーザ室で分離されたオイルを減速機室側に容易に戻すことができる。
【0018】
本発明の第4の特徴によれば、少なくとも一部のブリーザ室が、ケース主体および減速機カバー間のガスケットを挟んで該ガスケットの両側に形成されるので、気液分離性能のさらなる向上を図ることができる。
【0019】
本発明の第5の特徴によれば、パワーユニットケースに、連通孔のモータ室への開口端に対向するようにして邪魔板が設けられるので、連通孔からモータ室側に流入するブリージングガスが電動モータに直接当たるのを回避するようにして、隔壁および電動モータ間の空間にブリージングガスをガイドすることができる。
【0020】
本発明の第6の特徴によれば、モータ室に収容される電動モータが備えるステータに設けられるコイルおよび隔壁間の軸方向最大距離を、コイルおよびモータカバー間の軸方向最大距離よりも大きくすることで、隔壁および電動モータ間に比較的大きな空間を形成することができ、気液分離のための大きなボリュームを確保することができる。
【0021】
本発明の第7の特徴によれば、モータカバーの側方に駆動輪のホイールが配置されるようにしてパワーユニットケースがスイングアームに設けられ、水抜き孔がホイールとは反対側で外部に開口するので、水抜き孔からの排出物が駆動輪に及ぼす影響を最小限にすることができる。
【0022】
さらに本発明の第8の特徴によれば、流通方向最終端のブリーザ室側に隔壁から突出する筒部が隔壁に一体に設けられ、その筒部内に連通孔の一部が形成されるので、流通方向最終端のブリーザ室から連通孔への流入時に流通方向を変化させることで、さらなる気液分離を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】電動スクータの左側面図である。
【図2】電動スクータの右側面図である。
【図3】図1の要部拡大図である。
【図4】図2の要部拡大図である。
【図5】図4の5−5線断面図である。
【図6】スイングアームおよびパワーユニットの一部切欠き横断平面図である。
【図7】図3の7−7線拡大断面図である。
【図8】図7の要部拡大図である。
【図9】図8の9−9線に沿う断面図である。
【図10】図4の10−10線に沿う断面図である。
【図11】図9の11−11線に沿う断面図である。
【図12】図9の12−12線に沿う断面図である。
【図13】図6の13矢視方向から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施の形態について添付の図1〜図13を参照しながら説明する。なお以下の説明で前後、上下および左右の各方向は電動スクータに搭乗した乗員から見た方向を言うものとする。
【0025】
先ず図1において、この電動車両は、低床フロア32を有する電動スクータであり、片持ち型のスイングアーム15の後部に設けられるパワーユニットPが発揮する回転動力で、該パワーユニットPで軸支される後輪WRが回転駆動されるように構成されている。
【0026】
図2を併せて参照して、電動スクータの車体フレームFは、前輪WFを軸支するフロントフォーク16ならびに該フロントフォーク16の上部に連結された操向ハンドル17を操向可能に支承するヘッドパイプ18と、該ヘッドパイプ18に前端部が結合されるメインフレーム19と、車幅方向に延びて前記メインフレーム19の後端部に設けられるクロスパイプ20と、該クロスパイプ20の両端部に前端がそれぞれ連設される左右一対のリヤフレーム21,21と、両リヤフレーム21…の中間部間を結ぶクロスメンバ22と、一対の前記リヤフレーム21…の内側で前記クロスパイプ20に連設されて該クロスパイプ20から後方に延びる一対のサブフレーム23,23と、それらのサブフレーム23…の下部にそれぞれ連設されて下方に延びる一対のピボットフレーム24,24とを備える。
【0027】
前記メインフレーム19は、前記ヘッドパイプ18から後下がりに延びるダウンフレーム19aと、前記低床フロアで上方から覆われるようにして前記ダウンフレーム19aの後端からほぼ水平にして後方に延びるロアフレーム19bとを一体に有し、単一のパイプが屈曲成形されて成る。
【0028】
図3および図4を併せて参照して、前記クロスパイプ20の車幅方向中央部は前記メインフレーム19におけるロアフレーム19bの後端部に固着され、一対の前記リヤフレーム21…の前端部が前記クロスパイプ20の両端部に固着される。すなわち前記リヤフレーム21は、前記クロスパイプ20を介して前記ロアフレーム19bの後端部に連設されるものである。またリヤフレーム21は、少なくとも乗車用シート30の下方では後上がりに傾斜して形成されるものであり、この実施の形態で前記リヤフレーム21は、前記クロスパイプ20の左右両端部から後ろ上がりに傾斜して上方に延びるとともに前記乗車用シート30の下方に配置される前部傾斜フレーム21aと、該前部傾斜フレーム21aの後端からわずかに後ろ下がりに傾斜して後方に延びる後部傾斜フレーム21bとを一体に有し、単一のパイプが屈曲成形されて成る。また両リヤフレーム21…の前記前部傾斜フレーム21a…および前記後部傾斜フレーム21b…の連設部間はクロスメンバ22で連結される。
【0029】
図5を併せて参照して、前記サブフレーム23…は、前記リヤフレーム21…に内側から近接した位置で前記クロスパイプ20の両端部後面に連設されて後方に延出するものであり、前記ピボットフレーム24…は、それらのサブフレーム23…から下方に延出されるようにしてサブフレーム23…の下部に連設される。
【0030】
左右一対のサブフレーム23…間には前記クロスパイプ20の上方に配置される載置板26が設けられており、バッテリ27を収納して左右一対の前記リヤフレーム21…間に配置されるバッテリボックス28が、前記載置板26に載せられるようにして両サブフレーム23…で支持される。すなわちバッテリボックス28は前記クロスパイプ20の上方に配置されるようにして前記サブフレーム23…で支持される。
【0031】
またバッテリボックス28の上方には、左右一対の前記リヤフレーム21…で支持されるようにして収納ボックス29が配置され、この収納ボックス29には、該収納ボックス29を上方から覆う乗車用シート30が開閉可能に支持される。而して前記バッテリボックス28は前記乗車用シート30の下方で左右一対の前記リヤフレーム21…間に配置されることになる。
【0032】
一対の前記サブフレーム23…の後端部には、上方に開いた略U字状に形成される補強フレーム25が固着され、この補強フレーム25の両端部が前記リヤフレーム21…における前部傾斜フレーム21a…の中間部に固着される。
【0033】
前記車体フレームF、前記バッテリボックス28の一部および前記収納ボックス29は、前記乗車用シート30に座った乗員が足を載せる低床フロア32を有する車体カバー31で覆われる。
【0034】
前記車体フレームFのピボットフレーム24…には、片持ち型のスイングアーム15の前端部が単一の支軸33を介して揺動可能に支承され、このスイングアーム15と回動軸線を同一としたメインスタンド34が前記支軸33に回動可能に支持される。また前記両リヤフレーム17…のうち左側のリヤフレーム17の後部に設けられるブラケット35と、前記スイングアーム15の後部に設けられるパワーユニットPとの間にはリヤクッションユニット36が設けられる。
【0035】
図6および図7を併せて参照して、前記スイングアーム15は、前記後輪WRの前方に配置されるとともに前記支軸33を介して前記ピボットフレーム24…に回動可能に支承される揺動支持部15aと、前記後輪WRの一側方(この実施の形態では左側方)に配置されるようにして前記揺動支持部15aの車幅方向一側(この実施の形態では車幅方向左側)に連設されるアーム部15bとを有して片持ち型に構成される。
【0036】
前記揺動支持部15aは、車幅方向に長く延びるクロス部分15aaと、該クロス部分15aaの左右両側に連設されて前方に延びる左右一対の支持腕部分15ab,15acと、左右一対の前記ピボットフレーム24…間に設けられる前記支軸33で支持されるようにして前記支持腕部分15ab,15acの前端部に設けられる支持筒部分15ad,15adとで構成されるものであり、図6および図7では二点鎖線で囲まれる部分が揺動支持部15aである。またアーム部15bは前記揺動支持部15aの左右の支持腕部分15ad,15adのうち左側の支持腕部分15abに一体に連なって後方に延びるように形成される。
【0037】
ところで前記支軸33の中心軸線C1は、図1〜図4で示すように、前記後輪WRの回転中心C2よりも下方に配置され、しかも前記バッテリボックス28の後面28aよりも前方に配置される。
【0038】
また前記支軸33を挿通せしめる一対の支持筒部分15ad…は前記スイングアーム15の前端上部に設けられており、前記支軸33は、前記サブフレーム23…で支持される前記バッテリボックス28の後端下面と、そのバッテリボックス28の後端直下での前記スイングアーム15の上面との間に、スイングアーム15およびバッテリボックス28の干渉を回避し得る間隙g(図3参照)をあけるようにして前記ピボットフレーム24…の後端下部間に設けられる。
【0039】
図8を併せて参照して、前記パワーユニットPは、前記バッテリ27からの電力供給を受けて後輪WRを駆動する動力を発揮する電動モータ38と、該電動モータ38の出力を減速して前記後輪WRのホイール41側に伝達する減速機39と、前記電動モータ38および前記減速機39を収容するパワーユニットケース40とで構成される。
【0040】
前記パワーユニットケース40は、前記スイングアーム15におけるアーム部15bの後部に支持されるケース主体42と、前記電動モータ38を収容するモータ室45を前記ケース主体42との間に形成して前記ケース主体42に結合されるモータカバー43と、前記減速機39を収容する減速機室46を前記ケース主体42との間に形成して前記ケース主体42に結合される減速機カバー44とから成る。
【0041】
前記ケース主体42は、車幅方向両側に開放した筒状の外郭部42aと、その外郭部42a内を車幅方向両側に区画して前記外郭部42aに一体に設けられる隔壁42bと、前記外郭部42aの前側上部から前上がりに突出する第1取付け部42cと、前記外郭部42aの前部から前方に突出する第2取付け部42dと、前記外郭部42aの前側下部から下方に突出する第3取付け部42eとを一体に有する。而して前記モータ室45および前記減速機室46は前記ケース主体42の前記隔壁42bを相互間に介在させて隣接するようにして前記パワーユニットケース40内に形成される。
【0042】
一方、前記アーム部15bの後部には、前記ケース主体42の第1〜第3取付け部42c〜42eを左右両側から挟む支持板47,48が固着されており、第1〜第3取付け部42c〜42eはそれらの支持板47,48にボルト49…およびナット50…で締結される。したがってケース主体42すなわちパワーユニットケース40は、前記スイングアーム15のアーム部に着脱可能に取付けられることになる。
【0043】
前記パワーユニットケース40がスイングアーム15のアーム部15bに支持された状態で、前記モータカバー43の車幅方向他側方(右側方)に前記後輪WRのホイール41が配置されることになる。またパワーユニットPは、前記減速機39を前記電動モータ38に関して前記後輪WRとは反対側の車幅方向一側方に配置するとともに、前記電動モータ38を前記車幅方向で前記減速機39よりも車体中心線CL側に寄せて配置するようにして前記アーム部15bに支持される。
【0044】
前記電動モータ38は、前記モータカバー43に固定されるステータ51と、前記ステータ51内に同軸に配置されるロータ52とを備える。前記ステータ51は、前記モータカバー43に複数のボルト56…で締結されるステータコア53と、該ステータコア53に装着されるボビン54と、該ボビン54に装着されるコイル55とを有し、前記ロータ52は、前記後輪WRの車軸57を同軸に貫通せしめるようにして筒状に形成されるとともに一端部が前記隔壁42bを回転自在に貫通して前記減速機室46に突入されるモータ軸58の他端部にロータコア59が固定されて成る。
【0045】
しかも前記電動モータ38は、前記ステータ51の一端側での前記コイル55および前記隔壁42b間の軸方向最大距離L1を、前記ステータ51の他端側での前記コイル55および前記モータカバー43間の軸方向最大距離L2よりも大きくして、前記モータ室45に収容される。
【0046】
前記モータ軸58および前記隔壁42b間には、第1ボールベアリング61と、第1ボールベアリング61に前記モータ室45側で隣接する第1オイルシール62とが介装される。
【0047】
図9を併せて参照して、前記モータ軸58は、前記電動モータ38よりも外側方に配置される前記減速機39に連動、連結されるものであり、前記減速機39は、前記モータ軸58の一端部に一体に形成される駆動ギヤ63と、該駆動ギヤ63に噛合する第1アイドルギヤ64と、第1アイドルギヤ64とともに回転する第2アイドルギヤ65と、第2アイドルギヤ65に噛合する被動ギヤ66とで構成される。
【0048】
前記駆動ギヤ63よりも大径に形成される第1アイドルギヤ64は、アイドル軸67に固定され、第1アイドルギヤ64よりも小径に形成される第2アイドルギヤ65はアイドル軸67に一体に形成される。また前記アイドル軸67の一端部は前記減速機カバー44に第2ボールベアリング68を介して回転自在に支承され、前記アイドル軸67の他端部は前記ケース主体42の隔壁42bに第3ボールベアリング69を介して回転自在に支承される
前記パワーユニットケース40における前記モータカバー43の中央部を回転自在に貫通する前記車軸57には、前記減速機39からの回転動力が伝達されるものであり、この車軸57の一端部に前記減速機39の被動ギヤ66が固定され、前記車軸57の他端部に前記後輪WRのホイール41が固定される。この車軸57は、前記モータカバー43および前記減速機カバー44でそれぞれ回転自在に支承されており、前記車軸57の一端部および前記減速機カバー44間には第4ボールベアリング70が介装され、前記車軸57の中間部および前記モータカバー43間にはシール付の第5ボールベアリング71が介装される。
【0049】
また前記モータ軸58は、前記車軸57と、前記ケース主体42にそれぞれ回転自在に支承されるものであり、モータ軸58の外周および前記ケース主体42の隔壁42b間には、上述のように第1ボールベアリング61および第1オイルシール62が介装され、前記モータ軸58の他端部内周および車軸57間には、シール付の第6ボールベアリング72と、第6ボールベアリング72よりも前記減速機室46側に配置される第2オイルシール73とが介装される。
【0050】
ところで前記ホイール41は、前記車軸57に固定されるホイールハブ74と、タイヤ77が装着されるようにして前記ホイールハブ74を同軸に囲繞するリム75と、該リム75および前記ホイールハブ74間を連結する複数のスポーク76…とから成る。
【0051】
しかも前記ホイールハブ74は、前記車軸57を挿通せしめる内筒部74aと、該内筒部74aを同軸に囲繞する外筒部74bと、前記内筒部74aおよび前記外筒部74bの前記パワーユニットP側端部を連結する連結壁74cとを一体に有するように形成され、前記内筒部74aが前記車軸57に固定される。
【0052】
またホイールハブ74は、車軸57の軸線に沿う方向での前記リム75の中心から前記車幅方向他側(右側)にオフセットして配置され、前記ホイールハブ74の外筒部74bおよび前記リム75間を連結する複数のスポーク76…は、前記ホイルーハブ74側に向かうにつれて前記車幅方向他側(右側)に位置するように傾斜して配設される。
【0053】
而して前記電動モータ38の少なくとも一部、この実施の形態では電動モータ38の大部分が、前記リム75に装着されるタイヤ77の幅W内に配置される。
【0054】
前記後輪WRのホイール41には、車輪ブレーキであるドラムブレーキ80が、前記パワーユニットPとは反対側の車幅方向他側方(右側方)からアクセスすることを可能として設けられる。このドラムブレーキ80は、前記ホイールハブ74における前記外筒部74bの内周に設けられるブレーキドラム81と、前記内筒部74aおよび前記外筒部74b間の前記パワーユニットPとは反対側の開放端部を閉じて前記車軸57に相対回転自在に支承されるブレーキパネル82と、前記ブレーキドラム81に摺接することを可能として前記ブレーキパネル82に回動可能に支承される一対のブレーキシュー83とを備えるものであり、このドラムブレーキ80の少なくとも一部が、前記タイヤ77の幅Wから外側方にオフセットした位置に配置される。
【0055】
前記ブレーキパネル82および前記車軸57間には、一対のシール付きの第7ボールベアリング84,84と、それらの第7ボールベアリング84…の外側方に配置される環状のシール部材85とが介装される。
【0056】
図2および図4に注目して、前記ブレーキパネル82には、回動に応じて前記ブレーキシュー83…を回動駆動するカム軸86が回動可能に支承されており、ブレーキパネル82の外側方で前記カム軸86に基端部が固定されるアーム87の先端部には、乗員のブレーキ操作に応じて牽引されるブレーキケーブル88が連結される。
【0057】
また前記スイングアーム15の揺動支持部15aおよび前記ブレーキパネル82間には、車体フレームFの前後方向に延びる棒状に形成される回り止め部材90が、前記ブレーキパネル82の回転を規制するようにして設けられる。
【0058】
この回り止め部材90の前後両端部には被締結部90a,90bがそれぞれ形成されており、それらの被締結部90a,90bを締結するための取付け部91,92が前記被締結部90a,90bに重なるようにして前記揺動支持部15aの右端部および前記ブレーキパネル82にそれぞれ設けられる。
【0059】
図10において、前記回り止め部材90はパイプを偏平に加工して成るものであり、偏平に潰すように加工することで被締結部90a,90bが形成される。しかも前記揺動支持部15aの取付け部91は前記回り止め部材90の前端部の被締結部90aを両側から挟むように形成され、前記ブレーキパネル82の取付け部92は前記まわり止め部材90の後端部の被締結部90bに車幅方向内方側から当接されるものであり、重ねられた前記被締結部90a,90bおよび前記取付け部91,92に挿通されるボルト93,93と、それらのボルト93…に螺合されるナット94,94とで被締結部90a,90bが前記取付け部91,92に取付けられる。
【0060】
前記ボルト93は、前記被締結部90a,90bおよび前記取付け部91,92の一方、この実施の形態では取付け部91,92の内側の外面に当接、係合する拡径頭部93aと、重ねられた前記被締結部90a,90bおよび前記取付け部91,92を貫通するようにして前記拡径頭部93aに同軸に連なる挿通軸部93bと、該挿通軸部93bよりも小径に形成されて前記挿通軸部93bに同軸に連なるねじ軸部93cとを一体に有して段付きに形成されており、前記取付け部91,92もしくは前記被締結部90a,90bとの間に弾性部材を介在させるようにしてナット94…がボルト93…のねじ軸部93c…に螺合される。
【0061】
前記ボルト93の前記挿通軸部93bおよびねじ軸部93c間には環状段部93dが形成される。而してこの実施の形態では、前記被締結部90aおよび前記取付け部91に挿通されるボルト93のねじ軸部93cにはその環状段部93dに係合するワッシャ115に当接するようにナット94が螺合され、ワッシャ115および取付け部91間には弾性部材である板ばね117が挟まれ、前記被締結部90bおよび前記取付け部92に挿通されるボルト93のねじ軸部93cにはその環状段部93dに係合するワッシャ116に当接するようにナット94が螺合され、ワッシャ116および被締結部90b間には弾性部材であるゴム材118が挟まれる。すなわち前記ボルト93…のねじ軸部93c…には、取付け部91および被締結部90bとの間に板ばね117およびゴム材118を介在させるようにしてナット94…が螺合されることになる。
【0062】
図11を併せて参照して、前記パワーユニットケース40におけるケース主体42および前記モータカバー43の下部には、前記モータ室45の下部に通じる水抜き孔96が、前記電動モータ38に関して前記後輪WRのホイール41と反対側で外部に開口するようにして設けられ、前記隔壁42bには、前記減速機室46および前記モータ室45間を通じさせる連通孔97が設けられる。
【0063】
図12を併せて参照して、前記ケース主体42および前記減速機カバー44間、もしくは前記ケース主体42および前記減速機カバー44のいずれかには、相互に連通する複数のブリーザ室100〜104が形成されるものであり、この実施の形態では、ガスケット98を相互間に介在させた前記ケース主体42および前記減速機カバー44間に、第1〜第5ブリーザ室100,101,102,103,104が形成される。しかも第1〜第5ブリーザ室100〜104のうち流通方向最終端のブリーザ室である第5ブリーザ室104が前記連通孔97に連通される。
【0064】
而して前記ケース主体42には、前記ガスケット98および前記隔壁42b間に、第1〜第5ブリーザ室100〜104のうち第1、第2および第5ブリーザ室100,101,104を形成するための壁部42fが一体に設けられ、前記減速機カバー44には、前記ガスケット98および前記減速カバー44間に、第1〜第5ブリーザ室100〜104のうち第3および第5ブリーザ室102,103を形成するための壁部44aが一体に設けられ、第1〜第5ブリーザ室100〜104の少なくとも一部、この実施の形態では第2〜第4ブリーザ室101〜104が前記ガスケット98の両側に形成される。
【0065】
しかも前記ケース主体42の壁部42fの下部の前記ガスケット98側の端部には、減速機室46を第1リザーバ室99に連通させる溝状の入口105が設けられ、第1および第2ブリーザ室100,101間に対応する位置で前記壁部42fの前記ガスケット98側の端部には第1および第2ブリーザ室100,101間を連通させる溝状の通路106が設けられ、前記減速機カバー44の壁部44aの前記ガスケット98側の端部には、第3および第4ブリーザ室102,103間を連通させる溝状の通路107が設けられる。また前記ガスケット98には、第2および第3ブリーザ室101,102間を連通する通路孔109と、第4および第5ブリーザ室103,104間を連通する通路孔110とが設けられる。
【0066】
第1〜第5ブリーザ室100〜104は、前記連通孔97側に向かうにつれて段階的に上方位置となるように配置されるものであり、最下方のブリーザ室である第1ブリーザ室100が前記入口105を介して前記減速機室46内に連通し、ち前記連通孔97が最上方のブリーザ室である第5ブリーザ室104の上部に開口される。
【0067】
しかも流通方向最終端のブリーザ室である第5ブリーザ室104側に前記隔壁42bから突出する筒部111が、前記連通孔97の一部を形成するようにして前記隔壁42bに一体に突設されており、この筒部111と同軸である筒部112が前記モータ室45側に突出するようにして前記隔壁部42bに一体に突設されており、前記連通孔97は、前記両筒部111,112および前記隔壁42bに形成される。
【0068】
なお前記連通孔97から前記モータ室45側に流入するガスが前記電動モータ38に直接当たるのを回避すべく、図11に二点鎖線で示すように、前記連通孔97の前記モータ室45側の開口端および前記電動モータ38間に配置される邪魔板113を前記ケース主体42の外郭部42aの内面に一体に突設するようにしてもよい。
【0069】
図1〜図4で示すように、前記バッテリ27からの直流電流を三相の交流電流に変換するとともにその交流電流を制御して前記パワーユニットPにおける電動モータ38に供給するパワードライブユニット119が、前記バッテリボックス28の後方斜め上方に位置するようにして前記車体フレームFのリヤフレーム21に支持されており、このパワードライブユニット119から延びる三相の電気ケーブル78が、前記パワーユニットPにおける前記電動モータ38のステータ51に接続される。
【0070】
図13において、前記スイングアーム15には、該スイングアーム15の揺動支持部15aの左側上部と、アーム部15bの上部、下部および内側とを覆うガセット120が固着されており、このガセット120およびスイングアーム15間には、スイングアーム15の上方に配置される前記パワードライブユニット119から延出される前記電気ケーブル78が挿通される。しかも前記揺動支持部15aの上部には、上方の前記パワードライブユニット119から延出される前記電気ケーブル78の途中を保持するホルダ121が設けられており、該ホルダ121で保持された前記電気ケーブル78は、揺動支持部15aの左側上部および前記ガセット120間に形成される入口122(図6参照)から前記ガセット120および前記スイングアーム15間に挿入され、前記パワーユニットケース40のケース主体42の前端に対向して前記アーム部15bおよび前記ガセット120間に形成される出口123から引き出された前記電気ケーブル78は、前記パワーユニットケース40のケース主体42内に引き込まれる。
【0071】
次にこの実施の形態の作用について説明すると、パワーユニットPの電動モータ38に電力を供給するバッテリ27を収納したバッテリボックス28が、乗車用シート30の下方で左右一対のリヤフレーム21…間に配置され、スイングアーム15の前端部を車体フレームFに揺動可能に支承する単一の支軸33が、バッテリボックス28の下方に配置されるので、バッテリボックス28の後方にスイングアーム15の支持部を設定することなく単一の支軸33でスイングアーム15を支承することを可能として、スイングアーム15の支持強度を確保することを容易としつつ組付け工数の増加を回避することができる。またスイングアーム15の前後方向長さを確保し、側面視で支軸33の中心軸線C1および後輪WRのタイヤ77の接地点を結ぶ直線LLと、タイヤ77の接地点よりも前方の路面とがなす角度α(図3参照)を小さくすることによって、スイングアーム15に設けられたパワーユニットPで後輪WRが駆動される際に路面から受ける反力の上方に向けての分力を小さくし、加速時のアンチスコート率および減速時のアンチリフト率を小さく設定することにより、後輪WRが路面から受ける影響を少なくして振動を抑制することが可能となる。
【0072】
また車体フレームFは、バッテリボックス28を支持する一対のサブフレーム23…と、それらのサブフレーム23…の下部にそれぞれ連設されて下方に延びる一対のピボットフレーム24…とを備え、両ピボットフレーム24…間に支軸33が設けられるので、スイングアーム15の支持剛性を確保することができる。
【0073】
また支軸33の中心軸線C1が、後輪WRの回転中心C2よりも下方に配置されるので、支軸33の中心軸線C1および後輪WRのタイヤ77の接地点を結ぶ直線LLと、タイヤ77の接地点よりも前方の路面とがなす角度α(図3参照)をより小さくすることができ、後輪WRが路面から受ける影響をより少なくし、走行時の振動をより効果的に抑えることができる。しかも支軸33の中心軸線C1がバッテリボックス28の後面28aよりも前方に在るので、スイングアーム15の前後方向長さを充分に確保することができる。
【0074】
またスイングアーム15の前端上部に支軸33を挿通せしめる一対の支持筒部分15ad…が設けられ、支軸33が、サブフレーム23…で支持されるバッテリボックス28の後端下面と、そのバッテリボックス28の後端直下でのスイングアーム15の上面との間に、スイングアーム15およびバッテリボックス28の干渉を回避し得る間隙gをあけるようにして一対の前記ピボットフレーム24…の後端下部間に設けられるので、バッテリボックス28をサブフレーム23…で支持し、そのサブフレーム23…の下部に連設されるピボットフレーム24…に支軸33を介してスイングアーム15を揺動可能に支承する構造にもかかわらず、スイングアーム15およびバッテリボックス28の干渉を回避するようにスイングアーム15を揺動させるスペースを確保することができる。
【0075】
また支軸33にメインスタンド34が回動可能に支持されるので、スイングアーム15およびメインスタンド34をコンパクトに纏めて配置することができ、部品点数を低減することができるとともに、重量物であるバッテリボックス28の下方にメインスタンド34を配置することでメインスタンド34を起こす操作が容易となる。
【0076】
またメインフレーム19におけるロアフレーム19bの後端部に、車幅方向に延びてバッテリボックス28の下方に配置されるクロスパイプ20の車幅方向中央部が固着され、一対のリヤフレーム21…の前端部がクロスパイプ20の両端部に固着されるので、ロアフレーム19bの後端部に、バッテリボックス28の下方で車幅方向に延びるクロスパイプ20を介して一対のリヤフレーム21…が連設されることになり、バッテリボックス28の支持剛性を充分に確保することができる。
【0077】
また一対のサブフレーム23の後端部に、上方に開いた略U字状に形成される補強フレーム25が固着され、この補強フレーム25の両端部がリヤフレーム21…に固着されるので、サブフレーム23…の支持剛性を強固なものとすることができる。
【0078】
またパワーユニットPが、減速機39を電動モータ38に関して後輪WRとは反対側の一側方に配置するとともに電動モータ38を車幅方向で減速機39よりも車体中心線CL側に寄せて配置するように構成され、パワーユニットPとは反対側の車幅方向他方側からアクセスすることを可能としてドラムブレーキ80が後輪WRのホイール41に設けられるので、タイヤ77の交換時には電動モータ38および減速機39だけでなくドラムブレーキ80を外すことを不要とし、ドラムブレーキ80のメンテナンス時にはタイヤ77を外すことを不要としつつ、メンテナンスの優先順位が高いタイヤ77およびドラムブレーキ80に車幅方向他側方から容易にアクセスすることができ、しかも重量物である電動モータ38を車幅方向での車体中心線CL寄りに配置して良好な重量バランスを得ることができる。
【0079】
また後輪WRのホイール41のホイールハブ74が、後輪WRの車軸57を挿通せしめる内筒部74aと、該内筒部74aを同軸に囲繞する外筒部74bと、内筒部74aおよび外筒部74bのパワーユニットP側端部を連結する連結壁74cとを一体に有するように形成され、前記ドラムブレーキ80が、外筒部74bの内周に設けられるブレーキドラム81と、内筒部74aおよび外筒部74b間のパワーユニットPとは反対側の開放端部を閉じて車軸57に相対回転自在に支承されるブレーキパネル82とを有するものであるので、コンパクトな構造とすることができる。
【0080】
またブレーキパネル82および車軸57間には第7ボールベアリング84が介装され、スイングアーム15の揺動支持部15aおよびブレーキパネル82間に、ブレーキパネル82の回転を規制する回り止め部材90が設けられるので、片持ち型のスイングアーム15のアーム部15bだけでパワーユニットPを支持し、ブレーキパネル82に作用する回転力を揺動支持部15aだけで受けることができる。
【0081】
また前記回り止め部材90は、車体フレームFの前後方向に延びる棒状に形成されるものであり、この回り止め部材90の前後両端部に被締結部90a,90bがそれぞれ形成され、それらの被締結部90a,90bを締結するための取付け部91,92が被締結部90a,90bに重なるようにして揺動支持部15aおよびブレーキパネル82にそれぞれ設けられ、重ねられた被締結部90a,90bおよび取付け部91,92に挿通されるボルト93…が、被締結部90a,90bおよび取付け部91,92の一方に当接、係合する拡径頭部93a…と、重ねられた被締結部90a,90bおよび取付け部91,92を貫通するようにして拡径頭部93aに同軸に連なる挿通軸部93b…と、該挿通軸部93b…よりも小径に形成されて挿通軸部93b…に同軸に連なるねじ軸部93c…とを一体に有して段付きに形成され、前記ボルト93…のねじ軸部93c…には、取付け部91および被締結部90bとの間に板ばね117およびゴム材118を介在させるようにしてナット94…が螺合されるので、ナット94…の締め付け状態でもボルト93…の拡径頭部93a…およびナット94…間に被締結部90a,90bおよび取付け部91,92が固く締め付けられることはなく、取り外しが容易であり、しかも寸法交差を厳密に定めなくてもよいので安価である。
【0082】
またホイール41のリム75と、車軸57の軸線に沿う方向でのリム75の中心から車幅方向他側にオフセットして配置されるホイールハブ74との間が、ホイルーハブ74側に向かうにつれて車幅方向他側に位置するように傾斜した複数のスポーク76…で連結されるので、電動モータ38を車幅方向でより車体中心線CL寄りに配置することができるとともに、ドラムブレーキ780を前記車体中心線CLからパワーユニットPと反対側の車幅方向他側方にオフセットした位置に配置することができる。
【0083】
また電動モータ38の少なくとも一部がリム75に装着されるタイヤ77の幅W内に配置され、ドラムブレーキ80の少なくとも一部が、タイヤ77の幅Wから外側方にオフセットした位置に配置されるので、電動モータ38を車幅方向でより顕著に車体中心線CL寄りに配置することができるとともに、ドラムブレーキ80を前記車体中心線CLからより顕著に車幅方向他側方側にオフセットして配置することができる。また車幅方向でパワーユニットPおよび後輪WRの重量バランスを均等化することができる。
【0084】
また電動モータ38のモータ軸58が、該電動モータ38の車幅方向一側方に配置される減速機39に連動、連結され、減速機39からの回転動力が伝達される車軸57を貫通せしめるようにしてモータ軸58が筒状に形成されるので、電動モータ38を車幅方向での車体中心線CL寄りに配置しつつ、電動モータ38から車軸57に至るまでの動力伝達系をコンパクトに構成することができる。
【0085】
またパワーユニットPを収容するパワーユニットケース40が、スイングアーム15のアーム部15bに支持されるケース主体42と、電動モータ38を収容するモータ室45をケース主体42との間に形成してケース主体42に結合されるモータカバー43と、減速機39を収容する減速機室46をケース主体42との間に形成してケース主体42に結合される減速機カバー44とから成り、モータカバー43を回転自在に貫通する車軸57が減速機カバー44およびモータカバー43にそれぞれ回転自在に支承され、モータ軸58が、車軸57およびケース主体42にそれぞれ回転自在に支承されるので、後輪WRを片持ち型のスイングアーム15だけで支持することができる。
【0086】
またパワーユニットPが、スイングアーム15のアーム部15bに着脱可能に取付けられるので、より多様なメンテナンスが可能となり、パワーユニットPをスイングアーム15から容易に取り外すことができるようにして、パワーユニットPのサイズおよびタイヤ77のサイズ変更を可能とすることができる。
【0087】
またパワーユニットケース40には、モータ室45および減速機室46が相互間に隔壁42bを介在させて隣接するように形成され、パワーユニットケース40の下部には、モータ室45の下部に通じる水抜き孔96が設けられ、隔壁42bに、減速機室46およびモータ室45間を通じさせる連通孔97が設けられるので、減速機室46の圧が連通孔97およびモータ室45を介して水抜き孔96から大気に解放されることになり、減速機室46およびモータ室45を連通孔97で連通することでモータ室45を気液分離のための大きなボリュームとして利用することができる。
【0088】
また相互に連通する第1〜第5ブリーザ室100,101,102,103,104が、ケース主体42および減速機カバー44間に形成され、各ブリーザ室100〜104のうち流通方向最終端である第5ブリーザ室104が連通孔97に連通されるので、減速機室46の圧が第1〜第5ブリーザ室100〜104を経て連通孔97からモータ室45に導かれることになり、気液分離性能が向上する。
【0089】
また第1〜第5ブリーザ室100〜104が、連通孔97側に向かうにつれて段階的に上方位置となるように配置され、最下方にある第1ブリーザ室100を形成する壁部42fの下部に減速機室46に通じる入口105が設けられ、連通孔97が最上方にある第5ブリーザ室104の上部に開口されるので、各ブリーザ室100〜104で分離されたオイルを減速機室46側に容易に戻すことができる。
【0090】
しかも第1〜第5ブリーザ室100〜104のうち少なくとも一部のブリーザ室である第2〜第5ブリーザ室101〜104が、ケース主体42および減速機カバー44間のガスケット98を挟んで該ガスケット98の両側に形成されるので、気液分離性能のさらなる向上を図ることができる。
【0091】
またモータ室45に収容される電動モータ38のステータ51にコイル55が設けられ、ステータ51の一端側でのコイル55および隔壁42b間の軸方向最大距離L1をステータ51の他端側でのコイル55およびモータカバー43間の軸方向最大距離L2よりも大きくすることで、隔壁42bおよび電動モータ38間に比較的大きな空間を形成することができ、気液分離のための大きなボリュームを確保することができる。
【0092】
またスイングアーム15に、モータカバー43の側方に後輪WRのホイール41が配置されるようにしてパワーユニットケース40が支持され、水抜き孔96が、電動モータ38に関してホイール41とは反対側で外部に開口するようにしてパワーユニットケース40に設けられるので、水抜き孔96からの排出物が後輪WRに及ぼす影響を最小限にすることができる。
【0093】
また流通方向最終端である第6ブリーザ室104側に隔壁42bから突出する筒部111が、連通孔97の一部を形成するようにして隔壁42bに一体に突設されるので、第6ブリーザ室104から連通孔97への流入時に流通方向を変化させることで、さらなる気液分離を図ることができる。
【0094】
さらに図11において二点鎖線で示すように、パワーユニットケース40に、連通孔97のモータ室45への開口端に対向するようにして邪魔板113が設けられる場合には、連通孔97からモータ室45側に流入するブリージングガスが電動モータ38に直接当たるのを回避するようにして、隔壁42bおよび電動モータ38間の空間にブリージングガスをガイドすることができる。
【0095】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0096】
たとえば上記実施の形態では、複数のブリーザ室100〜104がケース主体42および減速機カバー44間に形成されるようにしたが、ケース主体42側に複数のブリーザ室が形成されるようにしてもよく、また減速機カバー44側に複数のブリーザ室が形成されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0097】
15・・・スイングアーム
38・・・電動モータ
39・・・減速機
40・・・パワーユニットケース
41・・・ホイール
42・・・ケース主体
42b・・・隔壁
43・・・モータカバー
44・・・減速機カバー
44a・・・壁部
45・・・モータ室
46・・・減速機室
51・・・ステータ
55・・・コイル
96・・・水抜き孔
97・・・連通孔
100,101,102,103,104・・・ブリーザ室
106・・・入口孔
111・・・筒部
F・・・車体フレーム
L1・・・ステータの一端側でのコイルおよび隔壁間の軸方向最大距離
L2・・・ステータの他端側でのコイルおよびモータカバー間の軸方向最大距離
P・・・パワーユニット
WR・・・駆動輪である後輪
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動輪(WR)を駆動する動力を発揮する電動モータ(38)と、該電動モータ(38)の出力を減速して前記駆動輪(WR)側に伝達する減速機(39)とを備え、前記電動モータ(38)および前記減速機(39)を収容するパワーユニットケース(40)には、前記電動モータ(38)を収容するモータ室(45)と、前記減速機(39)を収容する減速機室(46)とが相互間に隔壁(42b)を介在させて隣接するように形成される電動車両用パワーユニットにおいて、前記パワーユニットケース(40)の下部には、前記モータ室(45)の下部に通じる水抜き孔(96)が設けられ、前記隔壁(42b)に、前記減速機室(46)および前記モータ室(45)間を通じさせる連通孔(97)が設けられることを特徴とする電動車両用パワーユニット。
【請求項2】
前記パワーユニットケース(40)の一部が、前記隔壁(42b)を一体に有するケース主体(42)と、該ケース主体(42)との間に前記減速機室(46)を形成して前記ケース主体(42)に結合される減速機カバー(44)とで構成され、相互に連通する複数のブリーザ室(100,101,102,103,104)が、前記ケース主体(42)および前記減速機カバー(44)間、もしくは前記ケース主体(42)および前記減速機カバー(44)のいずれかに形成され、各ブリーザ室(100〜104)のうち流通方向最終端のブリーザ室(104)が前記連通孔(97)に連通されることを特徴とする請求項1記載の電動車両用パワーユニット。
【請求項3】
複数の前記ブリーザ室(100〜104)が、前記連通孔(97)側に向かうにつれて段階的に上方位置となるように配置され、最下方のブリーザ室(100)を形成する壁部(42f)の下部に前記減速機室(46)に通じる入口(105)が設けられ、前記連通孔(97)が最上方のブリーザ室(104)の上部に開口されることを特徴とする請求項2記載の電動車両用パワーユニット。
【請求項4】
複数の前記ブリーザ室(100〜104)の少なくとも一部が、前記ケース主体(42)および前記減速機カバー(44)間に介在するガスケット(98)を挟んで該ガスケット(98)の両側に形成され、前記ガスケット(98)にその両側のブリーザ室(101,102;103,104)間を結ぶ通路孔(109,110)が設けられることを特徴とする請求項3記載の電動車両用パワーユニット。
【請求項5】
前記連通孔(97)の前記モータ室(45)への開口端に対向する邪魔板(113)が、前記パワーユニットケース(40)に設けられることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電動車両用パワーユニット。
【請求項6】
前記パワーユニットケース(40)の一部が、前記ケース主体(42)と、該ケース主体(42)との間に前記モータ室(45)を形成して前記ケース主体(42)に結合されるモータカバー(43)とで構成され、前記電動モータ(38)のステータ(51)にコイル(55)が設けられ、前記ステータ(51)の一端側での前記コイル(55)および前記隔壁(42b)間の軸方向最大距離(L1)を前記ステータ(51)の他端側での前記コイル(55)および前記モータカバー(43)間の軸方向最大距離(L2)よりも大きくして、前記電動モータ(38)が前記モータ室(45)に収容されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電動車両用パワーユニット。
【請求項7】
車体フレーム(F)に揺動可能に支承されるスイングアーム(15)に、前記モータカバー(43)の側方に駆動輪(WR)のホイール(41)が配置されるようにして前記パワーユニットケース(40)が支持され、前記水抜き孔(96)が、前記電動モータ(38)に関して前記ホイール(41)とは反対側で外部に開口するようにして前記パワーユニットケース(40)に設けられることを特徴とする請求項6記載の電動車両用パワーユニット。
【請求項8】
流通方向最終端の前記ブリーザ室(104)側に前記隔壁(42b)から突出する筒部(111)が、前記連通孔(97)の一部を形成するようにして前記隔壁(42b)に一体に突設されることを特徴とする請求項2記載の電動車両用パワーユニット。
【請求項1】
駆動輪(WR)を駆動する動力を発揮する電動モータ(38)と、該電動モータ(38)の出力を減速して前記駆動輪(WR)側に伝達する減速機(39)とを備え、前記電動モータ(38)および前記減速機(39)を収容するパワーユニットケース(40)には、前記電動モータ(38)を収容するモータ室(45)と、前記減速機(39)を収容する減速機室(46)とが相互間に隔壁(42b)を介在させて隣接するように形成される電動車両用パワーユニットにおいて、前記パワーユニットケース(40)の下部には、前記モータ室(45)の下部に通じる水抜き孔(96)が設けられ、前記隔壁(42b)に、前記減速機室(46)および前記モータ室(45)間を通じさせる連通孔(97)が設けられることを特徴とする電動車両用パワーユニット。
【請求項2】
前記パワーユニットケース(40)の一部が、前記隔壁(42b)を一体に有するケース主体(42)と、該ケース主体(42)との間に前記減速機室(46)を形成して前記ケース主体(42)に結合される減速機カバー(44)とで構成され、相互に連通する複数のブリーザ室(100,101,102,103,104)が、前記ケース主体(42)および前記減速機カバー(44)間、もしくは前記ケース主体(42)および前記減速機カバー(44)のいずれかに形成され、各ブリーザ室(100〜104)のうち流通方向最終端のブリーザ室(104)が前記連通孔(97)に連通されることを特徴とする請求項1記載の電動車両用パワーユニット。
【請求項3】
複数の前記ブリーザ室(100〜104)が、前記連通孔(97)側に向かうにつれて段階的に上方位置となるように配置され、最下方のブリーザ室(100)を形成する壁部(42f)の下部に前記減速機室(46)に通じる入口(105)が設けられ、前記連通孔(97)が最上方のブリーザ室(104)の上部に開口されることを特徴とする請求項2記載の電動車両用パワーユニット。
【請求項4】
複数の前記ブリーザ室(100〜104)の少なくとも一部が、前記ケース主体(42)および前記減速機カバー(44)間に介在するガスケット(98)を挟んで該ガスケット(98)の両側に形成され、前記ガスケット(98)にその両側のブリーザ室(101,102;103,104)間を結ぶ通路孔(109,110)が設けられることを特徴とする請求項3記載の電動車両用パワーユニット。
【請求項5】
前記連通孔(97)の前記モータ室(45)への開口端に対向する邪魔板(113)が、前記パワーユニットケース(40)に設けられることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電動車両用パワーユニット。
【請求項6】
前記パワーユニットケース(40)の一部が、前記ケース主体(42)と、該ケース主体(42)との間に前記モータ室(45)を形成して前記ケース主体(42)に結合されるモータカバー(43)とで構成され、前記電動モータ(38)のステータ(51)にコイル(55)が設けられ、前記ステータ(51)の一端側での前記コイル(55)および前記隔壁(42b)間の軸方向最大距離(L1)を前記ステータ(51)の他端側での前記コイル(55)および前記モータカバー(43)間の軸方向最大距離(L2)よりも大きくして、前記電動モータ(38)が前記モータ室(45)に収容されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電動車両用パワーユニット。
【請求項7】
車体フレーム(F)に揺動可能に支承されるスイングアーム(15)に、前記モータカバー(43)の側方に駆動輪(WR)のホイール(41)が配置されるようにして前記パワーユニットケース(40)が支持され、前記水抜き孔(96)が、前記電動モータ(38)に関して前記ホイール(41)とは反対側で外部に開口するようにして前記パワーユニットケース(40)に設けられることを特徴とする請求項6記載の電動車両用パワーユニット。
【請求項8】
流通方向最終端の前記ブリーザ室(104)側に前記隔壁(42b)から突出する筒部(111)が、前記連通孔(97)の一部を形成するようにして前記隔壁(42b)に一体に突設されることを特徴とする請求項2記載の電動車両用パワーユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−113341(P2013−113341A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258089(P2011−258089)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]