電動間仕切装置
【課題】 退避位置でパネル体が嵩張らない簡素な構成の電動間仕切装置を提供する。
【解決手段】 電動間仕切装置1は、複数のパネル体11〜14と、これらのパネル体11〜14を進出位置と退避位置との間で移動可能に案内するガイドレール21・22と、を備える。各パネル体11〜14は、進出位置と、退避位置(選択図)との間で、その向きを保ったまま移動可能とされている。複数のパネル体11〜14は互いに連結部材を介して連結されるとともに、そのうちの最も戸先側の1つ(第1パネル体11)を駆動ユニット(電動モータ)で駆動することで、連動して移動するように構成する。複数のパネル体11〜14は、進出位置では直線状に連続した状態とされており、退避位置(選択図)では厚み方向に重ねられた状態とされている。
【解決手段】 電動間仕切装置1は、複数のパネル体11〜14と、これらのパネル体11〜14を進出位置と退避位置との間で移動可能に案内するガイドレール21・22と、を備える。各パネル体11〜14は、進出位置と、退避位置(選択図)との間で、その向きを保ったまま移動可能とされている。複数のパネル体11〜14は互いに連結部材を介して連結されるとともに、そのうちの最も戸先側の1つ(第1パネル体11)を駆動ユニット(電動モータ)で駆動することで、連動して移動するように構成する。複数のパネル体11〜14は、進出位置では直線状に連続した状態とされており、退避位置(選択図)では厚み方向に重ねられた状態とされている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動式の間仕切装置の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、この種の間仕切装置(スライディングウォール)を開示する。特許文献1の図1において、間仕切壁のエレメントがガイドレールに沿って複数設けられるとともに、各エレメントには駆動装置が設けられている。格納マガジンに隣接するエレメントは、ガイドレールの一方の端部の領域で旋回可能に支承されており、そのエレメントに対応配置された駆動装置は、ガイドレールから分岐した格納レールに沿って案内される。駆動装置とエレメントとの間は、連結部材によって連結されている。この構成によれば、スライディングウォールのエレメントを格納マガジン内に重ねた状態で移動させ格納することができる。
【0003】
また、特許文献2の間仕切壁は、その第1図に示すように、複数のパネルの夫々の中心を、回動可能で且つガイドレールに沿って移動可能な軸で支持し、各パネル同士を蝶番で連接させ、折畳み可能な間仕切壁を形成している。そして、夫々の軸に回動自在に連結アームを取り付け、その連結アームの両端部を夫々に回動自在に接続して、連結アームとパネルとでパンタグラフを構成させている。そして上記連結アームが、電動機で開方向と閉方向とに駆動されるベルトに、駆動アームを介して連結されている。この構成によっても、パネルの伸展と折畳みが可能である。
【特許文献1】特表2003−513184号公報(請求項1、段落番号0014、図1)
【特許文献2】特開平4−38388号公報((2)頁右上欄第5行〜左下欄第7行、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1の構成は、間仕切壁の個々のエレメント毎に駆動装置が必要となり、駆動装置の走行/停止を個別に制御する必要も生じて、複雑で高価な構成となってしまう。一方、特許文献2は電動機が1台だけの構成であるので上記の課題は生じないものの、電動機の駆動によって全てのパネルが移動と伸展/折り畳みを一斉に行う構成であるので、電動機に比較的大きな駆動力が要求されることになる。
【0005】
また、特許文献1、2の何れの構成も、退避させて重ねた(折り畳んだ)状態のエレメント乃至パネルは、進出・伸展させた状態のエレメント乃至パネルに対し、垂直あるいはそれに近い角度をなしている。従って、重ねた(折り畳んだ)エレメント乃至パネルを格納しておく場所が、ガイドレールに垂直な方向に突出して、通行する人間の邪魔になりやすくなってしまっていた。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0007】
◆本発明の観点によれば、以下のように構成する、電動間仕切装置が提供される。複数の間仕切りと、これらの間仕切りを進出位置と退避位置との間で移動可能に案内するガイドレールと、を備える。それぞれの間仕切りは、進出位置と退避位置との間でその向きを保ったまま移動可能とされている。前記ガイドレールは直線状部分を有するとともに、間仕切りの前記退避位置に相当する部分では傾斜部を有するように構成する。互いに隣接する間仕切り同士を、その隣接する方向を変更可能に連結する連結部材を備え、この連結部材は、両間仕切りが厚み方向にズレたときは、一方が他方に対し間仕切りの平面に沿ってスライド可能となるように両間仕切りを連結している。また、前記複数の間仕切りは、そのうちの最も戸先側の間仕切りを電動モータで駆動することで連動して移動するように構成する。前記進出位置において、複数の前記間仕切りは直線状に連続した状態とされている。前記退避位置において、複数の前記間仕切りは厚み方向に重ねられた状態とされている。
【0008】
この構成では、退避位置において間仕切りは、進出位置と同じ向きを保ったまま厚み方向に重ねられる。従って、退避位置において重ねられた間仕切りが空間に突出して通行人の邪魔になることが少なくなる。更に、間仕切りは向きを一定に保ったまま移動するので、退避位置と進出位置との間の間仕切りの移動軌跡をコンパクトにできる。また、退避位置へ走行する間仕切りは、ガイドレールの傾斜部に沿って厚み方向にズレるように移動させることで、後続する他の間仕切りを傾斜部(退避位置)に次々と移動させることができる。この結果、退避位置で間仕切り同士を厚み方向に重ねる簡単な構成を実現できる。加えて、最も戸先側の間仕切りを駆動する電動モータの駆動力を他の間仕切りへ伝達することで連動して移動する構成であるから、個々の間仕切りに電動モータを設ける必要がなくなって駆動構成が簡素化されるとともに、その制御も簡単になる。更には、隣接する間仕切り同士を、進出位置では直線状に隣接し、退避位置では厚み方向に重なるように隣接し、というように、その隣接方向を切り換えながら連結部材で連結できる。また、間仕切りが厚み方向にズレているときは、一方が他方に対し間仕切りの平面に沿ってスライドすることで、間仕切りを厚み方向に重ねることができ、あるいはその重なった状態を解消できる。従って、複数枚の間仕切りの進出位置と退避位置との切換がスムーズに行える。
【0009】
◆前記の電動間仕切装置においては、以下のように構成することが好ましい。前記ガイドレールは、互いに平行な2本のレールを含んでいる。複数の間仕切りのそれぞれは、戸先側と戸尻側とに戸車を有しており、戸先側の戸車が一側の前記レールに、戸尻側の戸車が他側の前記レールに、それぞれ支持されている。
【0010】
これにより、それぞれの間仕切りを安定して支持できる。また、レールの形状を適宜設定することで、各間仕切りをその向きを保ったまま厚み方向にズレるように移動させる簡素な構成を提供できる。
【0011】
◆前記の電動間仕切装置においては、前記2本のレールは互いに高さを異ならせて配置されることが好ましい。
【0012】
これにより、レール同士の干渉が回避されるとともに、戸先側・戸尻側の戸車同士の干渉も防止可能な合理的なレイアウトとできる。
【0013】
◆前記の電動間仕切装置においては、以下のように構成することが好ましい。前記最も戸先側の間仕切りは、前記進出位置と前記退避位置との間で、厚み方向にスライドすることなく移動するように構成されている。また、この最も戸先側の間仕切りは、前記電動モータによって駆動される駆動ベルトに固定されている。
【0014】
この構成では、最も戸先側の間仕切りは厚み方向にスライドすることなく(即ち、間仕切りの平面に沿って)直線移動するのみである。従って、複数枚の間仕切りを同時に駆動する構成を、駆動ベルトを用いた簡素で安価なものとできる。
【0015】
◆前記の電動間仕切装置においては、前記連結部材は、一端を一方の間仕切りに回動自在に支持され、他端を他方の間仕切りにスライド自在に連結したアーム部材であることが好ましい。
【0016】
これにより、連結部材としてのアーム部材が回動することで間仕切りの隣接方向を切換可能で、かつ、連結部材の前記他端がスライドすることで、間仕切りの一方が他方に対し間仕切りの平面に沿ってスライドできる。従って、簡素で合理的な構成とできる。
【0017】
◆前記の電動間仕切装置においては、前記アーム部材の一端は間仕切りの上部に回動自在に支持されるとともに、当該アーム部材の他端は間仕切りの上部に形成されたスライド溝に沿ってスライド可能に構成されていることが好ましい。
【0018】
これにより、間仕切りの上部に連結構成を配置することとなるから、連結構成を目に付きにくくすることができ、意匠性に優れる。
【0019】
◆前記の電動間仕切装置においては、前記アーム部材の回動範囲を制限する回動規制手段を備えており、この回動規制手段は、前記アーム部材が間仕切りの厚み方向にほぼ向いているときに、それ以上のアーム部材の回動を阻止するように設けられていることが好ましい。
【0020】
これにより、間仕切りのガタやブレを回動規制手段によって少なくできる。特に、隣り合う間仕切りが間仕切りの平面に沿ってスライドする際にアーム部材の回動が規制されることで、間仕切りのスムーズなスライドが実現される。また、間仕切りが厚み方向に重ねられたときに、一方の間仕切りが他方に対し、厚み方向の力をアーム部材を介して的確に伝達できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の一実施形態に係る電動間仕切装置の全体的な構成を示した正面図、図2は図1のA−A線断面矢視図、図3は図1のB−B線断面矢視図である。
【0022】
図1〜図3に示す電動間仕切装置1は、部屋の天井に設置された無目枠2と、この無目枠2の内部に敷設された2本のガイドレール21・22と、このガイドレール21・22に吊下支持された4枚の平板状のパネル体11〜14を有している。間仕切りとしてのパネル体11〜14は例えば透明な強化ガラスで構成されており、それぞれのパネル体11〜14の上部には、ガイドレール21・22に対しパネル体を支持するための戸先側のハンガー31と、戸尻側のハンガー32とを備えている。
【0023】
ガイドレール21・22の一端側(戸尻側)において、無目枠2の下方には戸袋3が設置されており、この戸袋3には上下方向に細長い貫通状の開口26が形成されている。この構成で、パネル体11〜14を伸展状態(図1の状態)から移動させ、前記開口26を通じて戸袋3の内部へ走行させて、厚み方向に重ねた状態で戸袋3の内部に格納できるようになっている(図10参照)。なお、以降の説明において、4枚のパネル体11〜14を特定する際に、戸袋3から遠い側から数えて「第○パネル体」と称する場合がある。
【0024】
2本のガイドレール21・22は、図1に示すように、無目枠2の内部で上下に並べられて配置されている。ガイドレール21・22は何れも、その大部分の領域では、パネル体11〜14の平面に平行な方向で一直線状に水平に延びている(直線状部分)。ただしガイドレール21・22は、前記戸袋3の上方の部分では、水平面内で円弧を描いて若干傾斜した傾斜部21c・22cを有している(図2を参照)。
【0025】
2本のガイドレール21・22の傾斜部21c・22cは平行を保ちながら同じ向きに傾斜しているが、下側の第1ガイドレール21と上側の第2ガイドレール22とでは、傾斜の開始位置が異なっている。具体的には図2において、第1ガイドレール21は、戸袋3の前記開口26からやや戸袋3の内側に入ったところに相当する位置で傾斜を開始する(傾斜部21c)。その一方で、第2ガイドレール22は、開口26の相当位置から戸袋3の内側に入ってもパネル体の1枚分程度の長さだけ直線状に延在し、戸袋3の奥の部分に相当する位置から傾斜を開始する(傾斜部22c)。
【0026】
図1に示すように、各パネル体11〜14の戸先側のハンガー31は、下側の第1ガイドレール21に支持されている。一方、各パネル体11〜14の戸尻側のハンガー32は、上側の第2ガイドレール22に支持されている。
【0027】
戸袋3の上方の部分において、各パネル体11〜14を駆動するための駆動ユニット4が無目枠2の内部に設置される。この駆動ユニット4は、電動モータと、その出力を減速するギアボックスとを一体化して構成されている。駆動ユニット4の出力軸には出力プーリ5が固着されている。
【0028】
出力プーリ5の近傍位置には減速プーリ6が回転自在に支持されている。この減速プーリ6は2段状のプーリとされており、その大径部分と前記出力プーリ5とに、無端状の減速ベルト7が巻回されている。無目枠2内で減速プーリ6から離れた位置には、従動プーリ8が回転自在に支持されており、この従動プーリ8と前記減速プーリ6の小径部分とに、無端状の駆動ベルト9が巻回されている。この駆動ベルト9には、前記の4枚のパネルのうち最も戸先側の第1パネル体11が、ベルト固定部材25を介して固定されている。
【0029】
以上の構成で、駆動ユニット4に図略の給電線を通じて電力を供給して駆動すると、その回転出力は出力プーリ5、減速プーリ6、減速ベルト7を介して減速・トルク増強された形で駆動ベルト9を駆動する。この結果、駆動ベルト9にベルト固定部材25を介して連結された第1パネル体11を、戸袋3に近づく側、及び離れる側へ、前記ガイドレール21・22に沿って走行させることができる。
【0030】
次に、パネル体11〜14を吊り下げるためにそれぞれ設けられているハンガー31・32の構成を、主に図4を参照して説明する。図4は無目枠2内の詳細を示す図3の要部拡大図であって、第1パネル体11の戸尻側に備えられたハンガー32を示している。図4において、ハンガー32は、第1パネル体11の上端に固着された基部部材35と、軸線を上下方向に向けた状態で前記基部部材35の上部に設置される回動軸36と、この回動軸36まわりに回動自在となるように基部部材35に取り付けられる吊下アーム37と、吊下アーム37の上部に設けられる3つのローラ61〜63を有している。
【0031】
3つのローラのうち第1ローラ61及び第2ローラ62は、その軸線を第1パネル体11の厚み方向に向けながら吊下アーム37に回転自在に支持されており、第1ローラ61が第2ガイドレール22の上面を、第2ローラ62が下面を、それぞれ転動可能に構成している。なお、本実施形態では第1ローラ61が戸車に相当する。また吊下アーム37にはローラアーム38が固定されており、その先端に第3ローラ63を、その回転軸線を上下方向に向けて回転自在に支持している。この第3ローラ63は第2ガイドレール22の側面を転動可能に構成している。
【0032】
なお、第1パネル体11の戸先側のハンガー31については、吊下アーム37の上下方向長さが短くなっていること、3つのローラ61〜63が戸尻側のハンガー32よりも低い位置に設けられるとともに、第1ガイドレール21に対し転動可能に構成していること(図4の鎖線)、のほかは、前述の戸尻側のハンガー32の構成と全く同様に構成されている。また、第2〜第4パネル体12〜14のハンガー31・32の構成は、第1パネル体11のハンガー31・32と全く同じであるので、説明を省略する。
【0033】
以上の構成で、4枚のパネル体11〜14は、各ハンガー31(32)の3つのローラ61〜63が第1ガイドレール21(第2ガイドレール22)に沿って転動することで、走行方向を当該ガイドレール21・22に案内されながら移動することができる。なお、パネル体12〜14が戸袋3に入って、各ハンガー31・32がガイドレール21・22の前記傾斜部21c・22cに差し掛かっても、前記吊下アーム37が回動軸36を中心に回動することでローラ61〜63の向きを変え、当該傾斜部21c・22cに沿ってパネル体12〜14を斜め方向に(即ち、パネル体の厚み方向にズレるように)移動させ得るようになっている。
【0034】
なお、図1に示すように、戸袋3の上方の無目枠2内にはストッパ27が設置されている。このストッパ27は、第1パネル体11に固設されたベルト固定部材25に接当可能となっており(図10参照)、第1パネル体11の移動範囲を制限している。この結果、第1パネル体11は他のパネル体12〜14と異なり、ガイドレールの傾斜部21c・22cによって斜め方向に移動せず、ガイドレール21・22の直線状部分に沿って単に直線移動するのみとなっている。
【0035】
図1に示すように、部屋の床面には適宜の溝が凹設されるとともに、その溝の内部には床レール41が敷設されている。この床レール41は、平面視で、前述の第1ガイドレール21(傾斜部21cを含む)にほぼ対応した形状とされている。なお、戸袋3の部分において、前記床レール41からは、床レール41よりも深さの浅い分岐レール42が分岐させて形成されている。この分岐レール42は、戸袋3の上方領域における第2ガイドレール22(傾斜部22cを含む)にほぼ対応した形状とされている。
【0036】
図1に示すように、各パネル体11〜14の下部には、その戸先側と戸尻側とにローラ51・52を備えており、このローラ51・52は床レール41内を転動可能になっている。第2〜第4パネル体12〜14においては、戸先側のローラ51は戸尻側のローラ52よりも低い位置に設けられており、戸先側のローラ51は深い床レール41内のみを転動可能になっている。一方、戸尻側のローラ52は戸袋3の部分では、浅い分岐レール42内を転動するようになっている。これら床レール41、分岐レール42は、前述の2本のガイドレール21・22とともに、各パネル体11〜14の走行方向を案内するようになっている。
【0037】
次に、各パネル体11〜14同士を連結するための構成を説明する。図5は第1パネル体11と第2パネル体12の互いに隣接する端部同士を示す正面要部拡大図である。図6は図5のC−C線矢視図、図7は図5のD−D線断面矢視図である。
【0038】
図5や図7に良好に示されるように、第1パネル体11の上部には、第2パネル体12に隣接する端部において、連結部材ないしアーム部材としての連結アーム45aの一端が回動自在に支持されている。一方、第2パネル体12の上面には、第2パネル体12の平面に沿う方向にスライド溝46が設置されており、前記連結アーム45aの自由端側に設けたローラ47が当該スライド溝46内に挿入されている。また図7に示すように、第2パネル体12の第1パネル体11に隣接する端部には、同様に連結アーム45bの一端が回動自在に支持され、その自由端側に設けたローラ47が、第1パネル体11に設けたスライド溝46に沿って転動するようになっている。
【0039】
図7に示すように、各連結アーム45a・45bの中途部からは規制体48が下方に向けて突設される(図5も併せて参照)。そして、この規制体48に当接可能となるように、第1パネル体11及び第2パネル体12には回動規制部材49a・49bが設けられている。規制体48と回動規制部材49a・49bとにより回動規制手段が構成されており、これによって連結アーム45a・45bは、パネル体の平面にほぼ沿う向きと、パネル体の厚み方向にほぼ沿う向きとの間で、略90°の角度範囲に制限されている。
【0040】
図5や図6に示すように、第1パネル体11の戸尻側のハンガー32の基部部材35には、接当部材55が固定される。一方、第2パネル体12の戸先側のハンガー31の基部部材35にも、接当部材55が固定される。両接当部材55・55は相互に対向して設けられており、互いに接当可能となっている。
【0041】
なお、図5〜図7には第1パネル体11と第2パネル体12との連結構造を示したが、これと全く同様の連結構造が、第2パネル体12と第3パネル体13との間、及び、第3パネル体13と第4パネル体14との間にも備えられている。以上の構成で、接当部材55や連結アーム45a・45bは、駆動ユニット4から第1パネル体11に伝達された駆動力を他のパネル体12〜14に分配して4枚のパネル体11〜14を同時に駆動するための分配手段としての役割を果たす。言い換えれば、第1パネル体11を駆動する駆動力を他のパネル体12〜14に伝達するための伝達手段としての役割を果たす。
【0042】
次に、以上の構成の電動間仕切装置1の作動を説明する。図8は第4パネル体が第3パネル体に対し厚み方向にズレる方向に移動する様子を示す平面図、図9は第4パネル体が第3パネル体に対し厚み方向に完全にズレた様子を示す平面図である。図10は図1の状態からパネル体を戸袋に格納した状態を示す正面図、図11は図10のE−E線断面矢視図である。
【0043】
図1・図2に示す状態では、4枚のパネル体11〜14は戸袋3から出た状態で互いに一直線状に並び、部屋内を2つの空間に区画している。なお、図1・図2に示す4枚のパネル体11〜14の位置を、以下「進出位置」と称することがある。
【0044】
この図1・図2に示す状態から、図1の駆動ユニット4を駆動し、駆動ベルト9を介して第1パネル体11を戸袋3に近づく方向へ駆動する。すると、第1パネル体11の接当部材55が第2パネル体12の接当部材55を押動し、第2パネル体12の接当部材55が第3パネル体13の接当部材55を押動し、第3パネル体13の接当部材55が第4パネル体14の接当部材55を押動する。このようにして、4枚のパネル体11〜14のそれぞれに駆動ユニット4の駆動力が分配して伝えられ、パネル体11〜14は一直線状に並んだ状態で戸袋3側へ向かって同時に走行する。そして先ず、第4パネル体14が開口26を通じて戸袋3に入って行く。
【0045】
第4パネル体14の全部が戸袋3の内部に入ると、その第4パネル体14のハンガー31・32がガイドレールの前記傾斜部21c・22cに差し掛かるため、第3パネル体13に押される第4パネル体14は、その向きを保ったまま、図8→図9に示すように、戸袋3の内部で斜め方向に、即ち厚み方向にズレるように移動する。このとき、第3パネル体13と第4パネル体14とを連結する連結アーム45a・45bは、それに伴って回動する。
【0046】
なお、図6に示すように、前記接当部材55・55は、隣接するパネル体の位置が図8の如く厚み方向に多少ズレても両者の接当状態を保ちながら互いに滑るように、その接当面を曲面状に形成している。従って、図8の状態でも、第3パネル体13の接当部材55は第4パネル体14の接当部材55を押動し、第4パネル体14をガイドレール21・22の傾斜部21c・22cに沿って斜めに押し込むことができる。
【0047】
図9のように第4パネル体14が第3パネル体13に対し厚み方向に完全にズレると、前述の接当部材55・55同士の接当が解除され、第3パネル体13は図9の太線矢印に示すように第4パネル体14の平面に対し平行に移動し、戸袋3の内部へ更に入っていくことができる。なおこの平行移動の際は、前述の連結アーム45a・45bの先端のローラ47は、スライド溝46の内部をスライドする。そしてこのスライド時においては、連結アーム45a・45bの規制体48が回動規制部材49a・49bに当接する(図9は当接直前の状態を示している)ので、連結アーム45a・45bはブレることがなく、スムーズなスライドが実現される。こうして、戸袋3の内部で第3パネル体13と第4パネル体14が厚み方向に重ねられた状態となる。
【0048】
第3パネル体13の全部が戸袋3の内部に入った後、その第3パネル体13のハンガー31・32がガイドレールの前記傾斜部21c・22cに差し掛かると、図示しないが、今度は第3パネル体13は第2パネル体12に押動されて、戸袋3の内部で、第4パネル体14を押しながら斜め方向に移動する。なお、第3パネル体13は、厚み方向に向いた前記連結アーム45a・45bを介して、第4パネル体14を押すこととなる。そして、このときに前記連結アーム45a・45bの回動が規制体48及び回動規制部材49a・49bによって規制されることで、第3パネル体13が第4パネル体14を厚み方向に確実に押すことができる。このようにして、第2パネル体12も引き続いて戸袋3の内部へ入っていくことができる。
【0049】
同様に、第2パネル体12の全部が戸袋3の内部に入った後、その第2パネル体12のハンガー31・32がガイドレールの前記傾斜部21c・22cに差し掛かると、第2パネル体12は第1パネル体11に押動されて、戸袋3の内部で、第3パネル体13及び第4パネル体14を押しながら斜め方向に移動する。この結果、第1パネル体11も更に引き続いて戸袋3の内部へ入っていくことができる。
【0050】
このようにして、4枚のパネル体11〜14の全てが戸袋3の内部に格納された図10・図11の状態が現出される。なお、以下の説明で、図10・図11におけるパネル体11〜14の位置を「退避位置」と称する場合がある。
【0051】
なお、図10の状態から図1の状態に戻すには、駆動ユニット4を前述とは逆方向に回転させれば良いので、動作の詳細な説明は省略する。この場合は、第1パネル体11は、連結アーム45a・45bを介して後続の第2パネル体12を引っ張るようにして、進出位置へ向かって走行することになる。同様に第2パネル体12は第3パネル体13を引っ張り、第3パネル体13は第4パネル体14を引っ張る。
【0052】
本実施形態の電動間仕切装置1は以上に説明したように、複数のパネル体11〜14と、これらのパネル体11〜14を進出位置と退避位置との間で移動可能に案内するガイドレール21・22と、を備えている。また、各パネル体11〜14は、図2の進出位置と図11の退避位置との間でその向きを保ったまま移動可能とされている。各パネル体11〜14は互いに連結されるとともに、そのうちの1つのパネル体(第1パネル体11)を駆動ユニット4(電動モータ)で駆動することで、連動して移動するように構成している。そして、図2の進出位置において、複数のパネル体11〜14は直線状に連続した状態とされており、図11の退避位置において、複数のパネル体11〜14は厚み方向に重ねられた状態とされている。
【0053】
この構成では、進出位置で部屋内を2つの空間に仕切っていたパネル体11〜14を退避位置に移動させた場合、パネル体11〜14は、ガイドレール21・22の直線状部分に平行な向きでそのまま重ねられる。従って、パネル体11〜14を退避させても前記空間に向かって突出した向きとならないので(図2参照)、通行人等の邪魔になりにくい。また、退避位置のパネル体11〜14を収納する戸袋3をコンパクトに形成することができる。また、パネル体11〜14は進出位置と退避位置との間で向きを一定に保ったまま移動するので、その移動軌跡をコンパクトにできる。従って、進出位置のパネル体11〜14のそばに家具等を置いたとしても、その家具等がパネル体11〜14を退避させる時に邪魔になりにくい。加えて、1つのパネル体11を駆動する駆動ユニット4(電動モータ)の駆動力を他のパネル体12〜14に伝達することで4枚のパネル体11〜14が連動して移動する構成であるから、パネル体11〜14の駆動のための構成が簡素化されるとともに、その制御も簡単になる。
【0054】
また、本実施形態において、前記ガイドレールは、互いに平行な2本のレール21・22からなる。そして、各パネル体11〜14は、戸先側のハンガー31と戸尻側のハンガー32にそれぞれ戸車(第1ローラ61)を有しており、戸先側の戸車が第1ガイドレール21に、戸尻側の戸車が第2ガイドレール22に、それぞれ支持されている。従って、パネル体11〜14のそれぞれを戸先側と戸尻側とで安定して支持できる。また、戸車としてのローラ61の走行をそれぞれのガイドレール21・22で案内することで、各パネル体11〜14をその向きを保ったまま厚み方向にズレるように移動させることができる。
【0055】
更に本実施形態の電動間仕切装置1は、図5等に示すように、前記2本のレール21・22は互いに高さを異ならせて配置されている。従って、レール21・22同士の干渉が回避されるとともに、戸先側・戸尻側のローラ61〜63同士の干渉も防止可能な合理的な構成とできる。
【0056】
また図2に示すように、前記ガイドレール21・22は直線状部分を有するとともに、パネル体11〜14の退避位置に相当する部分において、傾斜するように構成されている(傾斜部21c・22c)。従って、パネル体12〜14が傾斜部に至ると、その傾斜に沿って厚み方向にズレるように移動させ、後続の間仕切りを傾斜部に移動させ、・・・というように、パネル体11〜14を次々と厚み方向に重ねることができる。
【0057】
本実施形態では、前記駆動ユニット4(電動モータ)は、複数のパネル体11〜14のうち、最も戸先側の第1パネル体11に連結されている。従って、複数のパネル体11〜14を駆動するための構成を一層簡素とできる。
【0058】
また本実施形態では、最も戸先側の第1パネル体11において、そのハンガー31・32のローラ61〜63はガイドレール21・22の傾斜部21c・22cを走行することはない。即ち第1パネル体11は、進出位置と退避位置との間で、厚み方向にズレるようにスライドすることなく、ガイドレール21・22の直線状部分に沿って単に直線往復移動するようになっている。そしてこの第1パネル体11は、前記駆動ユニット4(電動モータ)によって駆動される駆動ベルト9に固定されている。従って、駆動伝達構成を駆動ベルト9を用いた簡素なものとできる。
【0059】
本実施形態では、互いに隣接するパネル体同士は、連結アーム45a・45bによって連結されている。そして、この連結アーム45a・45bは、互いに隣接するパネル体同士を、その隣接する方向を変更可能に(図7、図8、図9)、かつ、厚み方向に互いにズレた状態となったときに一方が他方に対してパネル体の平面に平行にスライド可能となるように(図9の太線矢印)、連結している。従って、隣接するパネル体同士を、進出位置では直線状に隣接し(図2)、退避位置では厚み方向に重なるように隣接し(図11)、というように、その隣接方向を切り換えることができる。また、パネル体が厚み方向にズレたときは、一方が他方に対しパネル体の平面に沿ってスライドすることで、パネル体を厚み方向に重ねることができる(進出位置から退避位置に移動させる場合)。逆に退避位置から進出位置へ移動させるときは、上記スライドにより、パネル体の重なり合いを解消させることができる。
【0060】
また、この連結アーム45a・45bは、一端を一方のパネル体に回動自在に支持され、他端を他方のパネル体に対しスライド自在に連結している。従って、連結アーム45a・45bが回動することでパネル体の隣接方向を切換可能で、かつ、45a・45bの他端がスライドすることで、パネル体の一方が他方に対しパネル体の平面に沿ってスライドできる。この結果、簡素で合理的な構成とできる。また、退避位置でパネル体11〜14が重ねられたときに、各パネル体11〜14同士の厚み方向の間隔を連結アーム45a・45bによって適切に保ち、パネル体の接触を回避できる。
【0061】
また、前記連結アーム45a・45bは、一端を一方のパネル体の上部に回動自在に支持されるとともに、他端は、他方のパネル体の上部に形成されたスライド溝46に沿ってスライド可能とされている。従って、パネル体の上部に連結構成を配置することとなるから、連結構成を目に付きにくくすることができ、意匠性に優れる。本実施形態では、連結アーム45a・45bやスライド溝46は進出位置(図1)でも天井の無目枠2によって隠されているので、すっきりした外観とできている。
【0062】
また本実施形態では、図7に示すように、前記連結アーム45a・45bの回動範囲を略90°の範囲に制限するための規制体48と回動規制部材49a・49bが備えられている。そして、規制体48と回動規制部材49a・49bは、前記連結アーム45a・45bがパネル体の厚み方向にほぼ向いているときに(図9)、それ以上の連結アーム45a・45bの回動を阻止するように設けられている。これにより、パネル体のガタやブレを少なくできる。特に、隣り合うパネル体がパネル体の平面に沿ってスライドする際に連結アーム45a・45bの回動が規制されることで、パネル体のスムーズなスライドが実現される。更に、退避位置においてパネル体同士が厚み方向に重ねられたときに、連結アーム45a・45bはパネル体の厚み方向を向いたまま回動が阻止されることで、一方のパネル体が他方のパネル体を、連結アーム45a・45bを介して厚み方向に適切に押動できる。
【0063】
なお、間仕切りとしてのパネル体の枚数は複数であれば良く、5枚以上であっても良いし、2枚あるいは3枚であっても良い。また、パネル体の退避位置に戸袋を設けず、退避位置でもパネル体が外部に露出する構成であっても良い。
【0064】
また、駆動ベルト9を介して第1パネル体11を駆動する構成に限らず、第1パネル体11に駆動ユニットを設けて、いわゆる自走式に構成しても良い。この場合でも、他のパネル体12〜14には駆動ユニットを設けず、第1パネル体11の駆動力を他のパネル体12〜14に分配することとすれば、駆動構成の簡素化が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の一実施形態に係る電動間仕切装置の全体的な構成を示した正面図。
【図2】図1のA−A線断面矢視図。
【図3】図1のB−B線断面矢視図。
【図4】無目枠内の詳細を示す、図3の要部拡大図。
【図5】第1パネル体と第2パネル体との連結部分を示す正面拡大図。
【図6】図5のC−C線矢視図。
【図7】図5のD−D線断面矢視図。
【図8】第4パネル体が第3パネル体に対し厚み方向にズレる方向に移動する様子を示す平面図。
【図9】第4パネル体が第3パネル体に対し厚み方向に完全にズレた様子を示す平面図。
【図10】図1の状態からパネル体を戸袋に格納した状態を示す正面図。
【図11】図10のE−E線断面矢視図。
【符号の説明】
【0066】
4 駆動ユニット(電動モータを含む)
9 駆動ベルト
11〜14 パネル体(間仕切り)
21・22 ガイドレール
21c・22c ガイドレールの傾斜部
31 戸先側のハンガー
32 戸尻側のハンガー
45a・45b 連結アーム(連結部材、アーム部材)
46 スライド溝
48 規制体(回動規制手段)
49a・49b 回動規制部材(回動規制手段)
61 第1ローラ(戸車)
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動式の間仕切装置の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、この種の間仕切装置(スライディングウォール)を開示する。特許文献1の図1において、間仕切壁のエレメントがガイドレールに沿って複数設けられるとともに、各エレメントには駆動装置が設けられている。格納マガジンに隣接するエレメントは、ガイドレールの一方の端部の領域で旋回可能に支承されており、そのエレメントに対応配置された駆動装置は、ガイドレールから分岐した格納レールに沿って案内される。駆動装置とエレメントとの間は、連結部材によって連結されている。この構成によれば、スライディングウォールのエレメントを格納マガジン内に重ねた状態で移動させ格納することができる。
【0003】
また、特許文献2の間仕切壁は、その第1図に示すように、複数のパネルの夫々の中心を、回動可能で且つガイドレールに沿って移動可能な軸で支持し、各パネル同士を蝶番で連接させ、折畳み可能な間仕切壁を形成している。そして、夫々の軸に回動自在に連結アームを取り付け、その連結アームの両端部を夫々に回動自在に接続して、連結アームとパネルとでパンタグラフを構成させている。そして上記連結アームが、電動機で開方向と閉方向とに駆動されるベルトに、駆動アームを介して連結されている。この構成によっても、パネルの伸展と折畳みが可能である。
【特許文献1】特表2003−513184号公報(請求項1、段落番号0014、図1)
【特許文献2】特開平4−38388号公報((2)頁右上欄第5行〜左下欄第7行、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1の構成は、間仕切壁の個々のエレメント毎に駆動装置が必要となり、駆動装置の走行/停止を個別に制御する必要も生じて、複雑で高価な構成となってしまう。一方、特許文献2は電動機が1台だけの構成であるので上記の課題は生じないものの、電動機の駆動によって全てのパネルが移動と伸展/折り畳みを一斉に行う構成であるので、電動機に比較的大きな駆動力が要求されることになる。
【0005】
また、特許文献1、2の何れの構成も、退避させて重ねた(折り畳んだ)状態のエレメント乃至パネルは、進出・伸展させた状態のエレメント乃至パネルに対し、垂直あるいはそれに近い角度をなしている。従って、重ねた(折り畳んだ)エレメント乃至パネルを格納しておく場所が、ガイドレールに垂直な方向に突出して、通行する人間の邪魔になりやすくなってしまっていた。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0007】
◆本発明の観点によれば、以下のように構成する、電動間仕切装置が提供される。複数の間仕切りと、これらの間仕切りを進出位置と退避位置との間で移動可能に案内するガイドレールと、を備える。それぞれの間仕切りは、進出位置と退避位置との間でその向きを保ったまま移動可能とされている。前記ガイドレールは直線状部分を有するとともに、間仕切りの前記退避位置に相当する部分では傾斜部を有するように構成する。互いに隣接する間仕切り同士を、その隣接する方向を変更可能に連結する連結部材を備え、この連結部材は、両間仕切りが厚み方向にズレたときは、一方が他方に対し間仕切りの平面に沿ってスライド可能となるように両間仕切りを連結している。また、前記複数の間仕切りは、そのうちの最も戸先側の間仕切りを電動モータで駆動することで連動して移動するように構成する。前記進出位置において、複数の前記間仕切りは直線状に連続した状態とされている。前記退避位置において、複数の前記間仕切りは厚み方向に重ねられた状態とされている。
【0008】
この構成では、退避位置において間仕切りは、進出位置と同じ向きを保ったまま厚み方向に重ねられる。従って、退避位置において重ねられた間仕切りが空間に突出して通行人の邪魔になることが少なくなる。更に、間仕切りは向きを一定に保ったまま移動するので、退避位置と進出位置との間の間仕切りの移動軌跡をコンパクトにできる。また、退避位置へ走行する間仕切りは、ガイドレールの傾斜部に沿って厚み方向にズレるように移動させることで、後続する他の間仕切りを傾斜部(退避位置)に次々と移動させることができる。この結果、退避位置で間仕切り同士を厚み方向に重ねる簡単な構成を実現できる。加えて、最も戸先側の間仕切りを駆動する電動モータの駆動力を他の間仕切りへ伝達することで連動して移動する構成であるから、個々の間仕切りに電動モータを設ける必要がなくなって駆動構成が簡素化されるとともに、その制御も簡単になる。更には、隣接する間仕切り同士を、進出位置では直線状に隣接し、退避位置では厚み方向に重なるように隣接し、というように、その隣接方向を切り換えながら連結部材で連結できる。また、間仕切りが厚み方向にズレているときは、一方が他方に対し間仕切りの平面に沿ってスライドすることで、間仕切りを厚み方向に重ねることができ、あるいはその重なった状態を解消できる。従って、複数枚の間仕切りの進出位置と退避位置との切換がスムーズに行える。
【0009】
◆前記の電動間仕切装置においては、以下のように構成することが好ましい。前記ガイドレールは、互いに平行な2本のレールを含んでいる。複数の間仕切りのそれぞれは、戸先側と戸尻側とに戸車を有しており、戸先側の戸車が一側の前記レールに、戸尻側の戸車が他側の前記レールに、それぞれ支持されている。
【0010】
これにより、それぞれの間仕切りを安定して支持できる。また、レールの形状を適宜設定することで、各間仕切りをその向きを保ったまま厚み方向にズレるように移動させる簡素な構成を提供できる。
【0011】
◆前記の電動間仕切装置においては、前記2本のレールは互いに高さを異ならせて配置されることが好ましい。
【0012】
これにより、レール同士の干渉が回避されるとともに、戸先側・戸尻側の戸車同士の干渉も防止可能な合理的なレイアウトとできる。
【0013】
◆前記の電動間仕切装置においては、以下のように構成することが好ましい。前記最も戸先側の間仕切りは、前記進出位置と前記退避位置との間で、厚み方向にスライドすることなく移動するように構成されている。また、この最も戸先側の間仕切りは、前記電動モータによって駆動される駆動ベルトに固定されている。
【0014】
この構成では、最も戸先側の間仕切りは厚み方向にスライドすることなく(即ち、間仕切りの平面に沿って)直線移動するのみである。従って、複数枚の間仕切りを同時に駆動する構成を、駆動ベルトを用いた簡素で安価なものとできる。
【0015】
◆前記の電動間仕切装置においては、前記連結部材は、一端を一方の間仕切りに回動自在に支持され、他端を他方の間仕切りにスライド自在に連結したアーム部材であることが好ましい。
【0016】
これにより、連結部材としてのアーム部材が回動することで間仕切りの隣接方向を切換可能で、かつ、連結部材の前記他端がスライドすることで、間仕切りの一方が他方に対し間仕切りの平面に沿ってスライドできる。従って、簡素で合理的な構成とできる。
【0017】
◆前記の電動間仕切装置においては、前記アーム部材の一端は間仕切りの上部に回動自在に支持されるとともに、当該アーム部材の他端は間仕切りの上部に形成されたスライド溝に沿ってスライド可能に構成されていることが好ましい。
【0018】
これにより、間仕切りの上部に連結構成を配置することとなるから、連結構成を目に付きにくくすることができ、意匠性に優れる。
【0019】
◆前記の電動間仕切装置においては、前記アーム部材の回動範囲を制限する回動規制手段を備えており、この回動規制手段は、前記アーム部材が間仕切りの厚み方向にほぼ向いているときに、それ以上のアーム部材の回動を阻止するように設けられていることが好ましい。
【0020】
これにより、間仕切りのガタやブレを回動規制手段によって少なくできる。特に、隣り合う間仕切りが間仕切りの平面に沿ってスライドする際にアーム部材の回動が規制されることで、間仕切りのスムーズなスライドが実現される。また、間仕切りが厚み方向に重ねられたときに、一方の間仕切りが他方に対し、厚み方向の力をアーム部材を介して的確に伝達できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の一実施形態に係る電動間仕切装置の全体的な構成を示した正面図、図2は図1のA−A線断面矢視図、図3は図1のB−B線断面矢視図である。
【0022】
図1〜図3に示す電動間仕切装置1は、部屋の天井に設置された無目枠2と、この無目枠2の内部に敷設された2本のガイドレール21・22と、このガイドレール21・22に吊下支持された4枚の平板状のパネル体11〜14を有している。間仕切りとしてのパネル体11〜14は例えば透明な強化ガラスで構成されており、それぞれのパネル体11〜14の上部には、ガイドレール21・22に対しパネル体を支持するための戸先側のハンガー31と、戸尻側のハンガー32とを備えている。
【0023】
ガイドレール21・22の一端側(戸尻側)において、無目枠2の下方には戸袋3が設置されており、この戸袋3には上下方向に細長い貫通状の開口26が形成されている。この構成で、パネル体11〜14を伸展状態(図1の状態)から移動させ、前記開口26を通じて戸袋3の内部へ走行させて、厚み方向に重ねた状態で戸袋3の内部に格納できるようになっている(図10参照)。なお、以降の説明において、4枚のパネル体11〜14を特定する際に、戸袋3から遠い側から数えて「第○パネル体」と称する場合がある。
【0024】
2本のガイドレール21・22は、図1に示すように、無目枠2の内部で上下に並べられて配置されている。ガイドレール21・22は何れも、その大部分の領域では、パネル体11〜14の平面に平行な方向で一直線状に水平に延びている(直線状部分)。ただしガイドレール21・22は、前記戸袋3の上方の部分では、水平面内で円弧を描いて若干傾斜した傾斜部21c・22cを有している(図2を参照)。
【0025】
2本のガイドレール21・22の傾斜部21c・22cは平行を保ちながら同じ向きに傾斜しているが、下側の第1ガイドレール21と上側の第2ガイドレール22とでは、傾斜の開始位置が異なっている。具体的には図2において、第1ガイドレール21は、戸袋3の前記開口26からやや戸袋3の内側に入ったところに相当する位置で傾斜を開始する(傾斜部21c)。その一方で、第2ガイドレール22は、開口26の相当位置から戸袋3の内側に入ってもパネル体の1枚分程度の長さだけ直線状に延在し、戸袋3の奥の部分に相当する位置から傾斜を開始する(傾斜部22c)。
【0026】
図1に示すように、各パネル体11〜14の戸先側のハンガー31は、下側の第1ガイドレール21に支持されている。一方、各パネル体11〜14の戸尻側のハンガー32は、上側の第2ガイドレール22に支持されている。
【0027】
戸袋3の上方の部分において、各パネル体11〜14を駆動するための駆動ユニット4が無目枠2の内部に設置される。この駆動ユニット4は、電動モータと、その出力を減速するギアボックスとを一体化して構成されている。駆動ユニット4の出力軸には出力プーリ5が固着されている。
【0028】
出力プーリ5の近傍位置には減速プーリ6が回転自在に支持されている。この減速プーリ6は2段状のプーリとされており、その大径部分と前記出力プーリ5とに、無端状の減速ベルト7が巻回されている。無目枠2内で減速プーリ6から離れた位置には、従動プーリ8が回転自在に支持されており、この従動プーリ8と前記減速プーリ6の小径部分とに、無端状の駆動ベルト9が巻回されている。この駆動ベルト9には、前記の4枚のパネルのうち最も戸先側の第1パネル体11が、ベルト固定部材25を介して固定されている。
【0029】
以上の構成で、駆動ユニット4に図略の給電線を通じて電力を供給して駆動すると、その回転出力は出力プーリ5、減速プーリ6、減速ベルト7を介して減速・トルク増強された形で駆動ベルト9を駆動する。この結果、駆動ベルト9にベルト固定部材25を介して連結された第1パネル体11を、戸袋3に近づく側、及び離れる側へ、前記ガイドレール21・22に沿って走行させることができる。
【0030】
次に、パネル体11〜14を吊り下げるためにそれぞれ設けられているハンガー31・32の構成を、主に図4を参照して説明する。図4は無目枠2内の詳細を示す図3の要部拡大図であって、第1パネル体11の戸尻側に備えられたハンガー32を示している。図4において、ハンガー32は、第1パネル体11の上端に固着された基部部材35と、軸線を上下方向に向けた状態で前記基部部材35の上部に設置される回動軸36と、この回動軸36まわりに回動自在となるように基部部材35に取り付けられる吊下アーム37と、吊下アーム37の上部に設けられる3つのローラ61〜63を有している。
【0031】
3つのローラのうち第1ローラ61及び第2ローラ62は、その軸線を第1パネル体11の厚み方向に向けながら吊下アーム37に回転自在に支持されており、第1ローラ61が第2ガイドレール22の上面を、第2ローラ62が下面を、それぞれ転動可能に構成している。なお、本実施形態では第1ローラ61が戸車に相当する。また吊下アーム37にはローラアーム38が固定されており、その先端に第3ローラ63を、その回転軸線を上下方向に向けて回転自在に支持している。この第3ローラ63は第2ガイドレール22の側面を転動可能に構成している。
【0032】
なお、第1パネル体11の戸先側のハンガー31については、吊下アーム37の上下方向長さが短くなっていること、3つのローラ61〜63が戸尻側のハンガー32よりも低い位置に設けられるとともに、第1ガイドレール21に対し転動可能に構成していること(図4の鎖線)、のほかは、前述の戸尻側のハンガー32の構成と全く同様に構成されている。また、第2〜第4パネル体12〜14のハンガー31・32の構成は、第1パネル体11のハンガー31・32と全く同じであるので、説明を省略する。
【0033】
以上の構成で、4枚のパネル体11〜14は、各ハンガー31(32)の3つのローラ61〜63が第1ガイドレール21(第2ガイドレール22)に沿って転動することで、走行方向を当該ガイドレール21・22に案内されながら移動することができる。なお、パネル体12〜14が戸袋3に入って、各ハンガー31・32がガイドレール21・22の前記傾斜部21c・22cに差し掛かっても、前記吊下アーム37が回動軸36を中心に回動することでローラ61〜63の向きを変え、当該傾斜部21c・22cに沿ってパネル体12〜14を斜め方向に(即ち、パネル体の厚み方向にズレるように)移動させ得るようになっている。
【0034】
なお、図1に示すように、戸袋3の上方の無目枠2内にはストッパ27が設置されている。このストッパ27は、第1パネル体11に固設されたベルト固定部材25に接当可能となっており(図10参照)、第1パネル体11の移動範囲を制限している。この結果、第1パネル体11は他のパネル体12〜14と異なり、ガイドレールの傾斜部21c・22cによって斜め方向に移動せず、ガイドレール21・22の直線状部分に沿って単に直線移動するのみとなっている。
【0035】
図1に示すように、部屋の床面には適宜の溝が凹設されるとともに、その溝の内部には床レール41が敷設されている。この床レール41は、平面視で、前述の第1ガイドレール21(傾斜部21cを含む)にほぼ対応した形状とされている。なお、戸袋3の部分において、前記床レール41からは、床レール41よりも深さの浅い分岐レール42が分岐させて形成されている。この分岐レール42は、戸袋3の上方領域における第2ガイドレール22(傾斜部22cを含む)にほぼ対応した形状とされている。
【0036】
図1に示すように、各パネル体11〜14の下部には、その戸先側と戸尻側とにローラ51・52を備えており、このローラ51・52は床レール41内を転動可能になっている。第2〜第4パネル体12〜14においては、戸先側のローラ51は戸尻側のローラ52よりも低い位置に設けられており、戸先側のローラ51は深い床レール41内のみを転動可能になっている。一方、戸尻側のローラ52は戸袋3の部分では、浅い分岐レール42内を転動するようになっている。これら床レール41、分岐レール42は、前述の2本のガイドレール21・22とともに、各パネル体11〜14の走行方向を案内するようになっている。
【0037】
次に、各パネル体11〜14同士を連結するための構成を説明する。図5は第1パネル体11と第2パネル体12の互いに隣接する端部同士を示す正面要部拡大図である。図6は図5のC−C線矢視図、図7は図5のD−D線断面矢視図である。
【0038】
図5や図7に良好に示されるように、第1パネル体11の上部には、第2パネル体12に隣接する端部において、連結部材ないしアーム部材としての連結アーム45aの一端が回動自在に支持されている。一方、第2パネル体12の上面には、第2パネル体12の平面に沿う方向にスライド溝46が設置されており、前記連結アーム45aの自由端側に設けたローラ47が当該スライド溝46内に挿入されている。また図7に示すように、第2パネル体12の第1パネル体11に隣接する端部には、同様に連結アーム45bの一端が回動自在に支持され、その自由端側に設けたローラ47が、第1パネル体11に設けたスライド溝46に沿って転動するようになっている。
【0039】
図7に示すように、各連結アーム45a・45bの中途部からは規制体48が下方に向けて突設される(図5も併せて参照)。そして、この規制体48に当接可能となるように、第1パネル体11及び第2パネル体12には回動規制部材49a・49bが設けられている。規制体48と回動規制部材49a・49bとにより回動規制手段が構成されており、これによって連結アーム45a・45bは、パネル体の平面にほぼ沿う向きと、パネル体の厚み方向にほぼ沿う向きとの間で、略90°の角度範囲に制限されている。
【0040】
図5や図6に示すように、第1パネル体11の戸尻側のハンガー32の基部部材35には、接当部材55が固定される。一方、第2パネル体12の戸先側のハンガー31の基部部材35にも、接当部材55が固定される。両接当部材55・55は相互に対向して設けられており、互いに接当可能となっている。
【0041】
なお、図5〜図7には第1パネル体11と第2パネル体12との連結構造を示したが、これと全く同様の連結構造が、第2パネル体12と第3パネル体13との間、及び、第3パネル体13と第4パネル体14との間にも備えられている。以上の構成で、接当部材55や連結アーム45a・45bは、駆動ユニット4から第1パネル体11に伝達された駆動力を他のパネル体12〜14に分配して4枚のパネル体11〜14を同時に駆動するための分配手段としての役割を果たす。言い換えれば、第1パネル体11を駆動する駆動力を他のパネル体12〜14に伝達するための伝達手段としての役割を果たす。
【0042】
次に、以上の構成の電動間仕切装置1の作動を説明する。図8は第4パネル体が第3パネル体に対し厚み方向にズレる方向に移動する様子を示す平面図、図9は第4パネル体が第3パネル体に対し厚み方向に完全にズレた様子を示す平面図である。図10は図1の状態からパネル体を戸袋に格納した状態を示す正面図、図11は図10のE−E線断面矢視図である。
【0043】
図1・図2に示す状態では、4枚のパネル体11〜14は戸袋3から出た状態で互いに一直線状に並び、部屋内を2つの空間に区画している。なお、図1・図2に示す4枚のパネル体11〜14の位置を、以下「進出位置」と称することがある。
【0044】
この図1・図2に示す状態から、図1の駆動ユニット4を駆動し、駆動ベルト9を介して第1パネル体11を戸袋3に近づく方向へ駆動する。すると、第1パネル体11の接当部材55が第2パネル体12の接当部材55を押動し、第2パネル体12の接当部材55が第3パネル体13の接当部材55を押動し、第3パネル体13の接当部材55が第4パネル体14の接当部材55を押動する。このようにして、4枚のパネル体11〜14のそれぞれに駆動ユニット4の駆動力が分配して伝えられ、パネル体11〜14は一直線状に並んだ状態で戸袋3側へ向かって同時に走行する。そして先ず、第4パネル体14が開口26を通じて戸袋3に入って行く。
【0045】
第4パネル体14の全部が戸袋3の内部に入ると、その第4パネル体14のハンガー31・32がガイドレールの前記傾斜部21c・22cに差し掛かるため、第3パネル体13に押される第4パネル体14は、その向きを保ったまま、図8→図9に示すように、戸袋3の内部で斜め方向に、即ち厚み方向にズレるように移動する。このとき、第3パネル体13と第4パネル体14とを連結する連結アーム45a・45bは、それに伴って回動する。
【0046】
なお、図6に示すように、前記接当部材55・55は、隣接するパネル体の位置が図8の如く厚み方向に多少ズレても両者の接当状態を保ちながら互いに滑るように、その接当面を曲面状に形成している。従って、図8の状態でも、第3パネル体13の接当部材55は第4パネル体14の接当部材55を押動し、第4パネル体14をガイドレール21・22の傾斜部21c・22cに沿って斜めに押し込むことができる。
【0047】
図9のように第4パネル体14が第3パネル体13に対し厚み方向に完全にズレると、前述の接当部材55・55同士の接当が解除され、第3パネル体13は図9の太線矢印に示すように第4パネル体14の平面に対し平行に移動し、戸袋3の内部へ更に入っていくことができる。なおこの平行移動の際は、前述の連結アーム45a・45bの先端のローラ47は、スライド溝46の内部をスライドする。そしてこのスライド時においては、連結アーム45a・45bの規制体48が回動規制部材49a・49bに当接する(図9は当接直前の状態を示している)ので、連結アーム45a・45bはブレることがなく、スムーズなスライドが実現される。こうして、戸袋3の内部で第3パネル体13と第4パネル体14が厚み方向に重ねられた状態となる。
【0048】
第3パネル体13の全部が戸袋3の内部に入った後、その第3パネル体13のハンガー31・32がガイドレールの前記傾斜部21c・22cに差し掛かると、図示しないが、今度は第3パネル体13は第2パネル体12に押動されて、戸袋3の内部で、第4パネル体14を押しながら斜め方向に移動する。なお、第3パネル体13は、厚み方向に向いた前記連結アーム45a・45bを介して、第4パネル体14を押すこととなる。そして、このときに前記連結アーム45a・45bの回動が規制体48及び回動規制部材49a・49bによって規制されることで、第3パネル体13が第4パネル体14を厚み方向に確実に押すことができる。このようにして、第2パネル体12も引き続いて戸袋3の内部へ入っていくことができる。
【0049】
同様に、第2パネル体12の全部が戸袋3の内部に入った後、その第2パネル体12のハンガー31・32がガイドレールの前記傾斜部21c・22cに差し掛かると、第2パネル体12は第1パネル体11に押動されて、戸袋3の内部で、第3パネル体13及び第4パネル体14を押しながら斜め方向に移動する。この結果、第1パネル体11も更に引き続いて戸袋3の内部へ入っていくことができる。
【0050】
このようにして、4枚のパネル体11〜14の全てが戸袋3の内部に格納された図10・図11の状態が現出される。なお、以下の説明で、図10・図11におけるパネル体11〜14の位置を「退避位置」と称する場合がある。
【0051】
なお、図10の状態から図1の状態に戻すには、駆動ユニット4を前述とは逆方向に回転させれば良いので、動作の詳細な説明は省略する。この場合は、第1パネル体11は、連結アーム45a・45bを介して後続の第2パネル体12を引っ張るようにして、進出位置へ向かって走行することになる。同様に第2パネル体12は第3パネル体13を引っ張り、第3パネル体13は第4パネル体14を引っ張る。
【0052】
本実施形態の電動間仕切装置1は以上に説明したように、複数のパネル体11〜14と、これらのパネル体11〜14を進出位置と退避位置との間で移動可能に案内するガイドレール21・22と、を備えている。また、各パネル体11〜14は、図2の進出位置と図11の退避位置との間でその向きを保ったまま移動可能とされている。各パネル体11〜14は互いに連結されるとともに、そのうちの1つのパネル体(第1パネル体11)を駆動ユニット4(電動モータ)で駆動することで、連動して移動するように構成している。そして、図2の進出位置において、複数のパネル体11〜14は直線状に連続した状態とされており、図11の退避位置において、複数のパネル体11〜14は厚み方向に重ねられた状態とされている。
【0053】
この構成では、進出位置で部屋内を2つの空間に仕切っていたパネル体11〜14を退避位置に移動させた場合、パネル体11〜14は、ガイドレール21・22の直線状部分に平行な向きでそのまま重ねられる。従って、パネル体11〜14を退避させても前記空間に向かって突出した向きとならないので(図2参照)、通行人等の邪魔になりにくい。また、退避位置のパネル体11〜14を収納する戸袋3をコンパクトに形成することができる。また、パネル体11〜14は進出位置と退避位置との間で向きを一定に保ったまま移動するので、その移動軌跡をコンパクトにできる。従って、進出位置のパネル体11〜14のそばに家具等を置いたとしても、その家具等がパネル体11〜14を退避させる時に邪魔になりにくい。加えて、1つのパネル体11を駆動する駆動ユニット4(電動モータ)の駆動力を他のパネル体12〜14に伝達することで4枚のパネル体11〜14が連動して移動する構成であるから、パネル体11〜14の駆動のための構成が簡素化されるとともに、その制御も簡単になる。
【0054】
また、本実施形態において、前記ガイドレールは、互いに平行な2本のレール21・22からなる。そして、各パネル体11〜14は、戸先側のハンガー31と戸尻側のハンガー32にそれぞれ戸車(第1ローラ61)を有しており、戸先側の戸車が第1ガイドレール21に、戸尻側の戸車が第2ガイドレール22に、それぞれ支持されている。従って、パネル体11〜14のそれぞれを戸先側と戸尻側とで安定して支持できる。また、戸車としてのローラ61の走行をそれぞれのガイドレール21・22で案内することで、各パネル体11〜14をその向きを保ったまま厚み方向にズレるように移動させることができる。
【0055】
更に本実施形態の電動間仕切装置1は、図5等に示すように、前記2本のレール21・22は互いに高さを異ならせて配置されている。従って、レール21・22同士の干渉が回避されるとともに、戸先側・戸尻側のローラ61〜63同士の干渉も防止可能な合理的な構成とできる。
【0056】
また図2に示すように、前記ガイドレール21・22は直線状部分を有するとともに、パネル体11〜14の退避位置に相当する部分において、傾斜するように構成されている(傾斜部21c・22c)。従って、パネル体12〜14が傾斜部に至ると、その傾斜に沿って厚み方向にズレるように移動させ、後続の間仕切りを傾斜部に移動させ、・・・というように、パネル体11〜14を次々と厚み方向に重ねることができる。
【0057】
本実施形態では、前記駆動ユニット4(電動モータ)は、複数のパネル体11〜14のうち、最も戸先側の第1パネル体11に連結されている。従って、複数のパネル体11〜14を駆動するための構成を一層簡素とできる。
【0058】
また本実施形態では、最も戸先側の第1パネル体11において、そのハンガー31・32のローラ61〜63はガイドレール21・22の傾斜部21c・22cを走行することはない。即ち第1パネル体11は、進出位置と退避位置との間で、厚み方向にズレるようにスライドすることなく、ガイドレール21・22の直線状部分に沿って単に直線往復移動するようになっている。そしてこの第1パネル体11は、前記駆動ユニット4(電動モータ)によって駆動される駆動ベルト9に固定されている。従って、駆動伝達構成を駆動ベルト9を用いた簡素なものとできる。
【0059】
本実施形態では、互いに隣接するパネル体同士は、連結アーム45a・45bによって連結されている。そして、この連結アーム45a・45bは、互いに隣接するパネル体同士を、その隣接する方向を変更可能に(図7、図8、図9)、かつ、厚み方向に互いにズレた状態となったときに一方が他方に対してパネル体の平面に平行にスライド可能となるように(図9の太線矢印)、連結している。従って、隣接するパネル体同士を、進出位置では直線状に隣接し(図2)、退避位置では厚み方向に重なるように隣接し(図11)、というように、その隣接方向を切り換えることができる。また、パネル体が厚み方向にズレたときは、一方が他方に対しパネル体の平面に沿ってスライドすることで、パネル体を厚み方向に重ねることができる(進出位置から退避位置に移動させる場合)。逆に退避位置から進出位置へ移動させるときは、上記スライドにより、パネル体の重なり合いを解消させることができる。
【0060】
また、この連結アーム45a・45bは、一端を一方のパネル体に回動自在に支持され、他端を他方のパネル体に対しスライド自在に連結している。従って、連結アーム45a・45bが回動することでパネル体の隣接方向を切換可能で、かつ、45a・45bの他端がスライドすることで、パネル体の一方が他方に対しパネル体の平面に沿ってスライドできる。この結果、簡素で合理的な構成とできる。また、退避位置でパネル体11〜14が重ねられたときに、各パネル体11〜14同士の厚み方向の間隔を連結アーム45a・45bによって適切に保ち、パネル体の接触を回避できる。
【0061】
また、前記連結アーム45a・45bは、一端を一方のパネル体の上部に回動自在に支持されるとともに、他端は、他方のパネル体の上部に形成されたスライド溝46に沿ってスライド可能とされている。従って、パネル体の上部に連結構成を配置することとなるから、連結構成を目に付きにくくすることができ、意匠性に優れる。本実施形態では、連結アーム45a・45bやスライド溝46は進出位置(図1)でも天井の無目枠2によって隠されているので、すっきりした外観とできている。
【0062】
また本実施形態では、図7に示すように、前記連結アーム45a・45bの回動範囲を略90°の範囲に制限するための規制体48と回動規制部材49a・49bが備えられている。そして、規制体48と回動規制部材49a・49bは、前記連結アーム45a・45bがパネル体の厚み方向にほぼ向いているときに(図9)、それ以上の連結アーム45a・45bの回動を阻止するように設けられている。これにより、パネル体のガタやブレを少なくできる。特に、隣り合うパネル体がパネル体の平面に沿ってスライドする際に連結アーム45a・45bの回動が規制されることで、パネル体のスムーズなスライドが実現される。更に、退避位置においてパネル体同士が厚み方向に重ねられたときに、連結アーム45a・45bはパネル体の厚み方向を向いたまま回動が阻止されることで、一方のパネル体が他方のパネル体を、連結アーム45a・45bを介して厚み方向に適切に押動できる。
【0063】
なお、間仕切りとしてのパネル体の枚数は複数であれば良く、5枚以上であっても良いし、2枚あるいは3枚であっても良い。また、パネル体の退避位置に戸袋を設けず、退避位置でもパネル体が外部に露出する構成であっても良い。
【0064】
また、駆動ベルト9を介して第1パネル体11を駆動する構成に限らず、第1パネル体11に駆動ユニットを設けて、いわゆる自走式に構成しても良い。この場合でも、他のパネル体12〜14には駆動ユニットを設けず、第1パネル体11の駆動力を他のパネル体12〜14に分配することとすれば、駆動構成の簡素化が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の一実施形態に係る電動間仕切装置の全体的な構成を示した正面図。
【図2】図1のA−A線断面矢視図。
【図3】図1のB−B線断面矢視図。
【図4】無目枠内の詳細を示す、図3の要部拡大図。
【図5】第1パネル体と第2パネル体との連結部分を示す正面拡大図。
【図6】図5のC−C線矢視図。
【図7】図5のD−D線断面矢視図。
【図8】第4パネル体が第3パネル体に対し厚み方向にズレる方向に移動する様子を示す平面図。
【図9】第4パネル体が第3パネル体に対し厚み方向に完全にズレた様子を示す平面図。
【図10】図1の状態からパネル体を戸袋に格納した状態を示す正面図。
【図11】図10のE−E線断面矢視図。
【符号の説明】
【0066】
4 駆動ユニット(電動モータを含む)
9 駆動ベルト
11〜14 パネル体(間仕切り)
21・22 ガイドレール
21c・22c ガイドレールの傾斜部
31 戸先側のハンガー
32 戸尻側のハンガー
45a・45b 連結アーム(連結部材、アーム部材)
46 スライド溝
48 規制体(回動規制手段)
49a・49b 回動規制部材(回動規制手段)
61 第1ローラ(戸車)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の間仕切りと、これらの間仕切りを進出位置と退避位置との間で移動可能に案内するガイドレールと、を備え、
それぞれの間仕切りは、進出位置と退避位置との間でその向きを保ったまま移動可能とされており、
前記ガイドレールは直線状部分を有するとともに、間仕切りの前記退避位置に相当する部分では傾斜部を有するように構成し、
互いに隣接する間仕切り同士を、その隣接する方向を変更可能に連結する連結部材を備え、この連結部材は、両間仕切りが厚み方向にズレたときは、一方が他方に対し間仕切りの平面に沿ってスライド可能となるように両間仕切りを連結しており、
また、前記複数の間仕切りは、そのうちの最も戸先側の間仕切りを電動モータで駆動することで連動して移動するように構成し、
前記進出位置において、複数の前記間仕切りは直線状に連続した状態とされており、
前記退避位置において、複数の前記間仕切りは厚み方向に重ねられた状態とされていることを特徴とする、
電動間仕切装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電動間仕切装置であって、
前記ガイドレールは、互いに平行な2本のレールを含んでおり、
複数の間仕切りのそれぞれは、戸先側と戸尻側とに戸車を有しており、戸先側の戸車が一側の前記レールに、戸尻側の戸車が他側の前記レールに、それぞれ支持されていることを特徴とする、電動間仕切装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電動間仕切装置であって、前記2本のレールは互いに高さを異ならせて配置されることを特徴とする電動間仕切装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までの何れか一項に記載の電動間仕切装置であって、
前記最も戸先側の間仕切りは、前記進出位置と前記退避位置との間で、厚み方向にスライドすることなく移動するように構成されており、
また、この最も戸先側の間仕切りは、前記電動モータによって駆動される駆動ベルトに固定されていることを特徴とする、電動間仕切装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までの何れか一項に記載の電動間仕切装置であって、前記連結部材は、一端を一方の間仕切りに回動自在に支持され、他端を他方の間仕切りにスライド自在に連結したアーム部材であることを特徴とする、電動間仕切装置。
【請求項6】
請求項5に記載の電動間仕切装置であって、前記アーム部材の一端は間仕切りの上部に回動自在に支持されるとともに、当該アーム部材の他端は間仕切りの上部に形成されたスライド溝に沿ってスライド可能に構成されていることを特徴とする、電動間仕切装置。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載の電動間仕切装置であって、
前記アーム部材の回動範囲を制限する回動規制手段を備えており、
この回動規制手段は、前記アーム部材が間仕切りの厚み方向にほぼ向いているときに、それ以上のアーム部材の回動を阻止するように設けられていることを特徴とする、電動間仕切装置。
【請求項1】
複数の間仕切りと、これらの間仕切りを進出位置と退避位置との間で移動可能に案内するガイドレールと、を備え、
それぞれの間仕切りは、進出位置と退避位置との間でその向きを保ったまま移動可能とされており、
前記ガイドレールは直線状部分を有するとともに、間仕切りの前記退避位置に相当する部分では傾斜部を有するように構成し、
互いに隣接する間仕切り同士を、その隣接する方向を変更可能に連結する連結部材を備え、この連結部材は、両間仕切りが厚み方向にズレたときは、一方が他方に対し間仕切りの平面に沿ってスライド可能となるように両間仕切りを連結しており、
また、前記複数の間仕切りは、そのうちの最も戸先側の間仕切りを電動モータで駆動することで連動して移動するように構成し、
前記進出位置において、複数の前記間仕切りは直線状に連続した状態とされており、
前記退避位置において、複数の前記間仕切りは厚み方向に重ねられた状態とされていることを特徴とする、
電動間仕切装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電動間仕切装置であって、
前記ガイドレールは、互いに平行な2本のレールを含んでおり、
複数の間仕切りのそれぞれは、戸先側と戸尻側とに戸車を有しており、戸先側の戸車が一側の前記レールに、戸尻側の戸車が他側の前記レールに、それぞれ支持されていることを特徴とする、電動間仕切装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電動間仕切装置であって、前記2本のレールは互いに高さを異ならせて配置されることを特徴とする電動間仕切装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までの何れか一項に記載の電動間仕切装置であって、
前記最も戸先側の間仕切りは、前記進出位置と前記退避位置との間で、厚み方向にスライドすることなく移動するように構成されており、
また、この最も戸先側の間仕切りは、前記電動モータによって駆動される駆動ベルトに固定されていることを特徴とする、電動間仕切装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までの何れか一項に記載の電動間仕切装置であって、前記連結部材は、一端を一方の間仕切りに回動自在に支持され、他端を他方の間仕切りにスライド自在に連結したアーム部材であることを特徴とする、電動間仕切装置。
【請求項6】
請求項5に記載の電動間仕切装置であって、前記アーム部材の一端は間仕切りの上部に回動自在に支持されるとともに、当該アーム部材の他端は間仕切りの上部に形成されたスライド溝に沿ってスライド可能に構成されていることを特徴とする、電動間仕切装置。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載の電動間仕切装置であって、
前記アーム部材の回動範囲を制限する回動規制手段を備えており、
この回動規制手段は、前記アーム部材が間仕切りの厚み方向にほぼ向いているときに、それ以上のアーム部材の回動を阻止するように設けられていることを特徴とする、電動間仕切装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−2419(P2006−2419A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−179184(P2004−179184)
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(503405689)ナブテスコ株式会社 (737)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(503405689)ナブテスコ株式会社 (737)
【Fターム(参考)】
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