説明

電圧変換回路

【課題】電圧変換数が増大された電圧変換回路を提供する。
【解決手段】入力端子とグランドとの間に設けられた入力スイッチと、入力スイッチとグランドとの間に直列接続された選択スイッチ及びコンデンサを有する蓄積部と、入力スイッチと蓄積部との間の中点と出力端子との間に設けられた出力スイッチと、上記した各スイッチのON/OFF状態を制御する制御部と、を有し、複数の蓄積部が中点とグランドとの間に並列接続され、制御部は、N個の選択スイッチ及び入力端子をON状態、出力スイッチをOFF状態とした後、出力スイッチのOFF状態を維持しつつ、入力制御でON状態となっている選択スイッチを含む、N個以上の選択スイッチをON状態、入力スイッチをOFF状態とした後、入力スイッチのOFF状態及び選択スイッチのON状態を維持しつつ、出力スイッチをON状態とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力電圧の電圧値を変換する電圧変換回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示されるように、複数のコンデンサと、複数のコンデンサを直列及び並列に切り換えて接続する複数のスイッチ手段と、複数のコンデンサの直列接続と並列接続とが交互に切り換わるように、複数のスイッチ手段を制御するスイッチ制御手段と、を備える電圧変換装置が提案されている。この電圧変換装置では、先ず、複数のコンデンサを外部電源とグランドとの間で直列接続した後、複数のコンデンサを並列接続して、並列接続された2つのコンデンサ間の電圧を外部に出力する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−205524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記したように、特許文献1に示される電圧変換装置では、複数のコンデンサを並列接続して、並列接続された2つのコンデンサ間の電圧を外部に出力する。そのため、例えば、N個のコンデンサを有する場合、並列接続された2つのコンデンサ間を選択できる数、すなわち、所望の電圧に変換できる数(以下、電圧変換数と示す)は、N−1個となる。このように、特許文献1に示される構成の場合、コンデンサの数よりも電圧変換数が少なかった。
【0005】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、電圧変換数が増大された電圧変換回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、入力電圧の電圧値を変換する電圧変換回路であって、入力端子とグランドとの間に設けられた入力スイッチと、入力スイッチとグランドとの間に直列接続された選択スイッチ及びコンデンサを有する蓄積部と、入力スイッチと蓄積部との間の中点と出力端子との間に設けられた出力スイッチと、入力スイッチ、選択スイッチ、及び、出力スイッチそれぞれのON/OFF状態を制御する制御部と、を有し、複数の蓄積部が、中点とグランドとの間に並列接続されており、制御部は、Nを1以上の自然数とすると、N個の選択スイッチ及び入力スイッチをON状態、出力スイッチをOFF状態とする入力制御と、該入力制御後、出力スイッチのOFF状態を維持しつつ、入力制御でON状態となっている選択スイッチを含む、N個以上の選択スイッチをON状態、入力スイッチをOFF状態とする分配制御と、該分配制御後、入力スイッチのOFF状態及び分配制御でON状態となっている選択スイッチのON状態を維持しつつ、出力スイッチをON状態とする出力制御と、を行うことを特徴とする。
【0007】
以下、請求項1に記載の発明の作用効果の説明を簡便とするために、Mを2以上の整数として、電圧変換回路がM個の蓄積部を有するとする。請求項1に記載の発明によれば、M個の蓄積部それぞれの選択スイッチのON/OFF状態を制御することで、中点とグランドとの間で並列接続されるコンデンサの組み合わせ数を決定することができる。
【0008】
入力制御では、M個の選択スイッチの中から、N個の選択スイッチを選択することとなるので、組み合わせ数は、となる。そして、分配制御では、KをM−N以上M以下の整数とすると、残りM−N個の選択スイッチの中から、K個の選択スイッチを選択することとなるので、組み合わせ数は、M−Nとなる。Nは1以上M以下の自然数、KはM−N以上M以下の整数なので、入力制御と選択制御における全ての組み合わせ数、すなわち、電圧を変換できる数(電圧変換数)は、Σ×ΣK M−N)と表される。ただし、Σは、N=1〜Mまでの和を示し、Σは、K=M−N〜Mまでの和を示している。
【0009】
例えば、M=3の場合、電圧変換数は、×()+××=9+3+1=13となる。第1項は、入力制御にて1つの選択スイッチを選択した場合、第2項は、入力制御にて2つの選択スイッチを選択した場合、第3項は、入力制御にて3つの選択スイッチを選択した場合を示している。入力制御にて1つの選択スイッチを選択する場合、入力制御では、3つの選択スイッチの中から1つの選択スイッチを選択することとなるので、組み合わせ数は、となる。選択制御では、残り2つの選択スイッチの中から1つ若しくは2つの選択スイッチを選択することが許されるので、組み合わせ数は、となる。同様にして、入力制御にて2つの選択スイッチを選択する場合、入力制御では、3つの選択スイッチの中から2つの選択スイッチを選択することとなるので、組み合わせ数は、となる。選択制御では、残り1つの選択スイッチを選択することが許されるので、組み合わせ数は、となる。最後に、入力制御にて3つの選択スイッチを選択する場合、入力制御では、3つの選択スイッチの中から3つの選択スイッチを選択することとなるので、組み合わせ数は、となる。選択制御では選択する選択スイッチが残されていないので、組み合わせ数は、となる。したがって、上記した式が成立する。
【0010】
以上示したように、本発明では、M個のコンデンサを用いた場合に、電圧変換数がM−1となる構成と比べて、その数が増大する。そのため、所望の電圧に変換することができる。
【0011】
請求項2に記載のように、制御部は、入力電圧を検出する第1検出部と、中点の電圧を検出する第2検出部と、第1検出部の出力信号に基づいて、入力スイッチ及び選択スイッチをON/OFF状態とし、第2検出部の出力信号に基づいて、選択スイッチ及び出力スイッチをON/OFF状態とするスイッチ制御部と、を有する構成が好適である。
【0012】
これによれば、第1検出部の出力信号(入力電圧の大小)に応じて、入力制御にてON状態とする選択スイッチを選ぶことができる。また、請求項2に記載の発明では、中点の電圧に基づいて、出力スイッチをON/OFF状態とするので、中点の電圧が所望の電圧に変換されるまで、分配制御を行うことができる。
【0013】
請求項3に記載のように、第1検出部は、複数の第1コンパレータ、及び、該第1コンパレータと同数であり、互いに異なる閾値電圧を生成する第1生成部を有し、第1コンパレータの2つの入力端子の内の1つに、対応する第1生成部が接続された構成が好ましい。これによれば、複数の第1コンパレータそれぞれの出力信号の電圧レベルが、入力電圧によって変動する。したがって、複数の第1コンパレータそれぞれの出力信号に基づいて、入力制御にてON状態とする選択スイッチの組み合わせ方を変更することができる。
【0014】
請求項4に記載のように、第2検出部は、複数の第2コンパレータ、及び、該第2コンパレータと同数であり、互いに異なる閾値電圧を生成する第2生成部を有し、第2コンパレータの2つの入力端子の内の1つに、対応する第2生成部が接続された構成を採用することができる。これによれば、複数の第2コンパレータそれぞれの出力信号に基づいて、中点電圧の電圧レベルを判別することができる。
【0015】
請求項5に記載のように、入力電圧は、第1電圧と、該第1電圧よりも電圧レベルの低い第2電圧とが交互に合わさって成り、制御部は、第1電圧が入力端子に印加されている間、入力制御を行う構成が好ましい。これによれば、第2電圧に依らずに、第1電圧の電圧値を変換することができる。
【0016】
複数の蓄積部それぞれが有するコンデンサの静電容量が同一の場合、実質的な電圧変換数(コンデンサの組み合わせによって決定される静電容量の種類数)が低減する。したがって、請求項6に記載のように、複数の蓄積部それぞれが有するコンデンサの静電容量は、互いに異なる構成が良い。これによれば、実質的な電圧変換数が低減することが抑制される。
【0017】
請求項7に記載のように、制御部は、入力制御にて、最も静電容量の高いコンデンサを有する蓄積部の選択スイッチをON状態とする構成が良い。これによれば、入力制御にて、最も静電容量の低いコンデンサを有する蓄積部の選択スイッチがON状態とされる構成と比べて、入力端子に供給された入力電圧(電力)が損なわれることが抑制される。
【0018】
請求項8に記載のように、出力スイッチと出力端子との間に、蓄積部を介して出力される電圧を調整する調整部が設けられた構成が良い。これによれば、出力電圧の精度が向上される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】車両のエアバックシステムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】エアバックシステムの信号を示すタイミングチャートである。
【図3】図1に示す加速度センサの概略構成を示す回路図である。
【図4】電圧変換回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を、車両のエアバックシステムの構成要素である加速度センサに適用した場合の実施形態を図に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は、車両のエアバックシステムの概略構成を示すブロック図である。図2は、エアバックシステムの信号を示すタイミングチャートである。図3は、図1に示す加速度センサの概略構成を示す回路図である。図4は、電圧変換回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【0021】
図1に示すように、車両のエアバックシステム300は、エアバックECU200と、複数の加速度センサ100と、を有する。各加速度センサ100は、フロント、ドア、などの車両の各部位に取り付けられており、各部位の加速度を検出する機能を果たす。エアバックECU200と複数の加速度センサ100は、1本のBUSライン301と1本のRTNライン302とによって電気的に接続されている。BUSライン301にて、エアバックECU200と加速度センサ100双方の信号の伝送が行われ、RTNライン302は、加速度センサ100のグランド電位に固定されている。
【0022】
図2に示すように、エアバックECU200から各加速度センサ100には、駆動電圧とデータ信号(電圧)とが交互に送信され、各加速度センサ100からエアバックECU200には、データ信号に応じた応答電流が送信される。データ信号には、各加速度センサ100に保持されているアドレスが含まれている。データ信号に含まれるアドレスに対応するアドレスを有する加速度センサ100にて、データ信号に含まれる指示に応じた応答信号(電流)が生成され、その応答信号が、BUSライン301を介してエアバックECU200に送信される。
【0023】
なお、各加速度センサ100を駆動するのに適した電圧は同一であるが、図1に示すように、エアバックECU200から各加速度センサ100が順に接続されているため、後段に行けば行くほど、加速度センサ100に入力される駆動電圧は低くなる。逆に言えば、前段に行けば行くほど、加速度センサ100に入力される駆動電圧は高くなる。そのため、エアバックECU200から出力された駆動電圧を、各加速度センサ100では、自身が駆動するのに適した適正電圧に変換しなければならない。この機能を果たす電圧変換回路30を、各加速度センサ100は保有している。
【0024】
図3に示すように、加速度センサ100は、加速度を検出する加速度検出部(図示略)と、データ信号に含まれるアドレスと自身の保有するアドレスとが一致する場合に、データ信号に含まれている指示を受信(デコード)する受信部10と、指示に応じた応答信号を、エアバックECU200に送信する送信部20と、入力電圧の電圧値を変換する電圧変換回路30と、を有する。
【0025】
電圧変換回路30は、入力スイッチ40、蓄積部50、出力スイッチ60、及び、制御部70を有する。入力スイッチ40は、入力端子31とRTNライン302(グランド)との間に設けられ、蓄積部50は、入力スイッチ40とRTNライン302との間に設けられている。そして、出力スイッチ60は、入力スイッチ40と蓄積部50との間の中点P1と出力端子32との間に設けられ、出力端子32は、図示しないが、加速度センサ100を構成する各要素(例えば、受信部10、送信部20、制御部70)に接続されている。本実施形態に係る電圧変換回路30は、電圧を調整する調整部90を有し、この調整部90が、出力スイッチ60と出力端子32との間に設けられている。
【0026】
蓄積部50は、入力スイッチ40とRTNライン302との間に直列接続された選択スイッチ51及びコンデンサ52を有する。本実施形態では、3つの蓄積部50a〜50cが、中点P1とRTNライン302との間に並列接続されており、各蓄積部50a〜50cそれぞれのコンデンサ52a〜52cの静電容量が互いに異なっている。本実施形態では、第1コンデンサ52aは第2コンデンサ52bよりも静電容量が大きく、第2コンデンサ52bは第3コンデンサ52cよりも静電容量が大きくなっている。各選択スイッチ51a〜51cのON状態を制御することで、中点P1とRTNライン302との間の静電容量が、変更される構成となっている。コンデンサの組み合わせによって決定される静電容量の種類数は、7つである。
【0027】
制御部70は、入力制御、分配制御、出力制御を行うものである。入力制御とは、Nを1以上の自然数とすると、N個の選択スイッチ51及び入力スイッチ40をON状態、出力スイッチ60をOFF状態とする制御である。換言すれば、N個の選択スイッチ51及び入力スイッチ40にON信号を出力する制御である。分配制御とは、入力制御後、出力スイッチ60のOFF状態を維持しつつ、入力制御でON状態となっている選択スイッチ51を含む、N個以上の選択スイッチ51をON状態、入力スイッチ40をOFF状態とする制御である。換言すれば、入力制御後、入力制御でON状態となっている選択スイッチ51を含む、N個以上の選択スイッチ51にON信号を出力する制御である。出力制御とは、分配制御後、入力スイッチ40のOFF状態及び分配制御でON状態となっている選択スイッチ51のON状態を維持しつつ、出力スイッチ60をON状態とする制御である。換言すれば、分配制御後、分配制御でON状態となっている選択スイッチ51及び出力スイッチ60にON信号を出力する制御である。選択スイッチ51の数は3つなので、上記したNは、1以上3以下の自然数である。
【0028】
制御部70は、入力電圧を検出する第1検出部71と、中点P1の電圧(以下、単に中点電圧と示す)を検出する第2検出部72と、第1検出部71の出力信号に基づいて、入力スイッチ40及び選択スイッチ51をON/OFF状態とし、第2検出部72の出力信号に基づいて、選択スイッチ51及び出力スイッチ60をON/OFF状態とするスイッチ制御部73と、を有する。第1検出部71の出力信号によって、上記した入力制御でのNの値が決定され、第2検出部72の出力信号によって、中点電圧が所望の電圧に変換されたか否かが判別される。本実施形態に係るスイッチ制御部73は、入力ポート、出力ポート、メモリ、及び、CPUを有するマイコンである。
【0029】
第1検出部71は、第1コンパレータ74と、第2コンパレータ75と、第1閾値電圧を生成する第1生成部76と、第2閾値電圧を生成する第2生成部77と、を有する。第1コンパレータ74の反転入力端子が、第1生成部76に接続され、第2コンパレータ75の反転入力端子が、第2生成部77に接続されている。そして、各コンパレータ74,75の非反転入力端子が、入力端子31に接続されており、第2閾値電圧は第1閾値電圧よりも高く、第1閾値電圧はデータ信号よりも高くなっている。また、第1閾値電圧は、駆動電圧よりも低くなっている。
【0030】
以上により、入力端子31にデータ信号が入力された場合、2つのコンパレータ74,75からは、電圧レベルがHi信号よりも低いLo信号が出力される。これとは異なり、入力端子31に第1閾値電圧よりも低い駆動電圧が入力された場合、第1コンパレータ74からはHi信号が出力され、第2コンパレータ75からはLo信号が出力される。最後に、入力端子31に第1閾値電圧よりも高い駆動電圧が入力された場合、2つのコンパレータ74,75からはHi信号が出力される。
【0031】
第2検出部72は、第3コンパレータ78と、第4コンパレータ79と、第3閾値電圧を生成する第3生成部80と、第4閾値電圧を生成する第4生成部81と、を有する。第3コンパレータ78の反転入力端子が、第3生成部80に接続され、第4コンパレータ79の反転入力端子が、第4生成部81に接続されている。そして、各コンパレータ78,79の非反転入力端子が、中点P1に接続されており、第4閾値電圧は変換したい電圧値(以下、変換電圧値と示す)よりも微小値αだけ高く、第3閾値電圧は変換電圧値よりも微小値αだけ低くなっている。加速度センサ100を駆動するのに適した適正電圧は、変換電圧値−αから変換電圧値+αまでの電圧である。本実施形態では、変換電圧値が7V、αが0.5Vとなっている。
【0032】
以上により、中点電圧が、変換電圧値−αよりも低い電圧となった場合、2つのコンパレータ78,79からはLo信号が出力される。これとは異なり、中点電圧が変換電圧値−αよりも高く、且つ、変換電圧値+αよりも低い電圧となった場合、第3コンパレータ78からはHi信号が出力され、第4コンパレータ79からはLo信号が出力される。最後に、中点電圧が変換電圧値+αよりも高い電圧となった場合、2つのコンパレータ78,79からはHi信号が出力される。
【0033】
スイッチ制御部73は、コンパレータ74,75,78,79の出力信号に基づいて、各スイッチ40,51a〜51c,60にON信号を出力する。入力端子31にデータ信号が入力され、2つのコンパレータ74,75からLo信号が出力された場合、スイッチ制御部73は、各スイッチ40,51a〜51c,60にON信号を出力せず、制御動作を行わない。これとは異なり、入力端子31に第1閾値電圧よりも高く第2閾値電圧よりも低い駆動電圧が入力された場合、第1コンパレータ74からHi信号が出力され、第2コンパレータ75からLo信号が出力される。この場合、スイッチ制御部73は、入力スイッチ40と1つの選択スイッチ51とにON信号を出力することで、N=1での入力制御を行う。またこれとは異なり、入力端子31に第2閾値電圧よりも高い駆動電圧が入力された場合、2つのコンパレータ74,75からHi信号が出力される。この場合、スイッチ制御部73は、入力スイッチ40と2つの選択スイッチ51とにON信号を出力することで、N=2での入力制御を行う。本実施形態に係るスイッチ制御部73は、入力スイッチ40と第1選択スイッチ51aとにON信号を出力することで、N=1での入力制御を行い、入力スイッチ40と選択スイッチ51a,51bとにON信号を出力することで、N=2での入力制御を行う。
【0034】
本実施形態では、N=3での入力制御は行われない。これを行うには、第1検出部71はコンパレータ及び生成部それぞれを、少なくとももう1つ有さなくてはならない。なお、更に詳細な入力制御を行う場合、第1検出部71は、コンパレータ及び生成部の保有数を増大すればよい。これによれば、入力制御において、中点P1とRTNライン302との間で並列接続されるコンデンサ52a〜52cの組み合わせ数は、(N=1〜3)となる。
【0035】
入力制御が行われる前の状態では、中点電圧が変換電圧値−αよりも低い電圧となっており、2つのコンパレータ78,79からはLo信号が出力されている。この場合、スイッチ制御部73は、出力スイッチ60にON信号を出力しない。しかしながら、入力制御が行われた結果、中点電圧が変換電圧値+αよりも高い電圧となり、2つのコンパレータ78,79からHi信号が出力された場合、スイッチ制御部73は、入力スイッチ40へのON信号の供給を止め、入力制御にてON状態とされた選択スイッチ51のON状態を維持しつつ、他の選択スイッチ51にON信号を出力する。これにより、分配制御を行う。
【0036】
分配制御の結果、中点電圧が加速度センサ100の適正電圧となり、第3コンパレータ78からHi信号が出力され、第4コンパレータ79からLo信号が出力された場合、スイッチ制御部73は、出力スイッチ60にON信号を出力する。これにより、出力制御を行う。なお、1回の分配制御において、中点電圧が、加速度センサ100の適正電圧とならなかった場合、スイッチ制御部73は、中点電圧が加速度センサ100の適正電圧となるまで、ON信号を出力する選択スイッチ51の組み合わせを変更する。すなわち、中点電圧が加速度センサ100の適正電圧となるまで、分配制御を繰り返す。
【0037】
次に、図4に基づいて、制御部70にて行われる各動作を通しで説明する。図4の縦軸は電圧、横軸は時間を示している。図4では、時間t1にて、入力端子31に第1閾値電圧よりも高く第2閾値電圧よりも低い駆動電圧が入力されている。この場合、第1コンパレータ74からHi信号が出力され、第2コンパレータ75からLo信号が出力される。スイッチ制御部73は、これらの信号が入力されると、時間t2にて、スイッチ40,51aにON信号を出力することで、N=1での入力制御を行う。これにより、中点電圧がV1に上昇し、変換電圧値+αよりも高い電圧となる。
【0038】
この場合、2つのコンパレータ78,79からHi信号が出力される。スイッチ制御部73は、これらの信号が入力されると、時間t3にて、入力スイッチ40へのON信号の供給を止め、入力制御にてON状態とされた第1選択スイッチ51aのON状態を維持しつつ、第2選択スイッチ51bにON信号を出力することで、分配制御を行う。これにより、中点電圧がV2に下降し、加速度センサ100の適正電圧となる。
【0039】
この場合、第3コンパレータ78からHi信号が出力され、第4コンパレータ79からLo信号が出力される。スイッチ制御部73は、これらの信号が入力されると、時間t4にて、出力スイッチ60にON信号を出力することで、出力制御を行う。これにより、加速度センサ100の各構成要素に、調整部90を介して、加速度センサ100の適正電圧が供給される。
【0040】
なお、上記した分配制御において、中点電圧V1が加速度センサ100の適正電圧となった場合、スイッチ制御部73は、時間t3にて、入力スイッチ40へのON信号の供給を止め、入力制御にてON状態とされた第1選択スイッチ51aのON状態を維持しつつ、出力スイッチ60にON信号を出力する。
【0041】
また、中点電圧V2が加速度センサ100の適正電圧とならなかった場合、スイッチ制御部73は、第3選択スイッチ51cにもON信号を出力する。それでも、中点電圧が加速度センサ100の適正電圧とならなかった場合、中点電圧が加速度センサ100の適正電圧となるまで、ON信号を出力する選択スイッチ51の組み合わせを変更する。その組み合わせ数は、N=1の入力制御が行われたので、3−13−1=3である。ちなみに、N=2の入力制御が行われた場合、分配制御おける、ON信号を出力する選択スイッチ51の組み合わせ数は、3−2=1である。
【0042】
次に、本実施形態に係る電圧変換回路30の作用効果を説明する。本実施形態では、3つの蓄積部50が、中点P1とRTNライン302との間に並列接続された例を示したが、電圧変換回路30の作用効果を一般的に説明するために、Mを2以上の整数として、M個の蓄積部50が、中点P1とRTNライン302との間に並列接続されているとする。
【0043】
本実施形態に係る電圧変換回路30においては、M個の蓄積部50それぞれの選択スイッチ51のON/OFF状態を制御することで、中点P1とRTNライン302との間で並列接続されるコンデンサ52の組み合わせ数を決定することができる。
【0044】
入力制御では、M個の選択スイッチの中から、N個の選択スイッチを選択することとなるので、組み合わせ数は、となる。そして、分配制御では、KをM−N以上M以下の整数とすると、残りM−N個の選択スイッチの中から、K個の選択スイッチを選択することとなるので、組み合わせ数は、M−Nとなる。Nは1以上M以下の自然数、KはM−N以上M以下の整数なので、入力制御と選択制御における全ての組み合わせ数、すなわち、電圧を変換できる数(電圧変換数)は、Σ×ΣK M−N)と表される。ただし、Σは、N=1〜Mまでの和を示し、Σは、K=M−N〜Mまでの和を示している。
【0045】
例えば、M=3の場合、電圧変換数は、×()+××=9+3+1=13となる。第1項は、入力制御にて1つの選択スイッチ51を選択した場合、第2項は、入力制御にて2つの選択スイッチ51を選択した場合、第3項は、入力制御にて3つの選択スイッチ51を選択した場合を示している。入力制御にて1つの選択スイッチ51を選択する場合、入力制御では、3つの選択スイッチ51の中から1つの選択スイッチ51を選択することとなるので、組み合わせ数は、となる。選択制御では、残り2つの選択スイッチ51の中から1つ若しくは2つの選択スイッチ51を選択することが許されるので、組み合わせ数は、となる。同様にして、入力制御にて2つの選択スイッチ51を選択する場合、入力制御では、3つの選択スイッチ51の中から2つの選択スイッチ51を選択することとなるので、組み合わせ数は、となる。選択制御では、残り1つの選択スイッチ51を選択することが許されるので、組み合わせ数は、となる。最後に、入力制御にて3つの選択スイッチ51を選択する場合、入力制御では、3つの選択スイッチ51の中から3つの選択スイッチ51を選択することとなるので、組み合わせ数は、となる。選択制御では選択する選択スイッチ51が残されていないので、組み合わせ数は、となる。したがって、上記した式が成立する。
【0046】
以上示したように、本発明では、M個のコンデンサを用いた場合に、電圧変換数がM−1となる構成と比べて、その数が増大する。そのため、所望の電圧に変換することができる。
【0047】
なお、本実施形態では、第1検出部71の構成のために、入力制御における中点P1とRTNライン302との間で並列接続されるコンデンサ52の組み合わせ数(以下、単に組み合わせ数と示す)は、N=1にて1、N=2にて1である。そして、N=1の入力制御後の分配制御での組み合わせ数は3、N=2の入力制御後の分配制御での組み合わせ数は1である。したがって、本実施形態の電圧変換数は、1×3+1×1=4となっている。このように、本実施形態で示した構成においても、3個のコンデンサを用いた場合に、電圧変換数が2となる構成と比べて、その数が増大している。
【0048】
スイッチ制御部73は、第1検出部71の出力信号に基づいて、入力スイッチ40及び選択スイッチ51をON/OFF状態とし、第2検出部72の出力信号に基づいて、選択スイッチ51及び出力スイッチ60をON/OFF状態とする。これによれば、第1検出部71(コンパレータ74,75)の出力信号(入力電圧の大小)に応じて、ON状態とする選択スイッチ51を選ぶことができる。また、中点電圧が所望の電圧に変換されるまで、ON状態とする選択スイッチ51を選ぶことができる。
【0049】
第1検出部71は、2つのコンパレータ74,75及び閾値の異なる生成部76,77を有する。これによれば、コンパレータ74,75それぞれの出力信号の電圧レベルが、入力電圧によって変動するので、コンパレータ74,75それぞれの出力信号に基づいて、入力制御にてON状態とする選択スイッチ51の組み合わせ方を変更することができる。
【0050】
第2検出部72は、2つのコンパレータ78,79及び閾値の異なる生成部80,81を有する。これによれば、コンパレータ78,79それぞれの出力信号に基づいて、中点電圧の電圧レベルを判別することができる。
【0051】
入力端子31にデータ信号が入力され、2つのコンパレータ74,75からLo信号が出力された場合、スイッチ制御部73は、各スイッチ40,51a〜51c,60にON信号を出力せず、制御動作を行わない。これによれば、データ信号に依らずに、入力電圧の電圧値を変換することができる。
【0052】
複数の蓄積部50それぞれが有するコンデンサ52の静電容量が同一の場合、実質的な電圧変換数(コンデンサ52の組み合わせによって決定される静電容量の種類数)が低減する。したがって、上記したように、複数の蓄積部50a〜50cそれぞれが有するコンデンサ52a〜52cの静電容量が異なる構成が良い。これによれば、実質的な電圧変換数が低減することが抑制される。
【0053】
スイッチ制御部73は、入力制御にて、最も静電容量の高い第1コンデンサ52aを有する第1蓄積部50aの第1選択スイッチ51aをON状態とする。これによれば、入力制御にて、最も静電容量の低いコンデンサを有する蓄積部の選択スイッチがON状態とされる構成と比べて、入力端子40に供給された入力電圧(電力)が損なわれることが抑制される。
【0054】
電圧を調整する調整部90が、出力スイッチ60と出力端子32との間に設けられている。これによれば、出力電圧の精度が向上される。
【0055】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
【0056】
本実施形態では、電圧変換回路を、車両のエアバックシステムの構成要素である加速度センサに適用した例を示した。しかしながら、電圧変換回路の適用としては、上記例に限定されず、民生機器に適用することができる。
【0057】
本実施形態では、3つの蓄積部50a〜50cが、中点P1とRTNライン302との間に並列接続された例を示した。しかしなら、中点P1とRTNライン302との間に並列接続される蓄積部50の数としては、上記例に限定されず、2個以上であれば良い。また、所望の電圧値に変換したい場合、蓄積部50の数は、多ければ多いほど良い。
【0058】
本実施形態では、コンデンサ52a〜52cの静電容量が互いに異なっている例を示した。しかしながら、コンデンサ52a〜52cの静電容量が同じ構成を採用することもできる。
【0059】
本実施形態では、駆動電圧とデータ信号(電圧)とが入力端子31に入力される例を示した。しかしながら、駆動電圧だけが入力端子31に入力される構成も採用することができる。これによっても、第1検出部71にて、入力電圧値が検出され、その入力電圧値に応じた選択スイッチ51が入力制御時にON状態とすることができる。このように、入力電圧に応じたコンデンサ52が入力端子31に接続されるので、入力電圧が熱エネルギーに変換されて損なわれることや、温度上昇が抑制される。
【0060】
本実施形態では、スイッチ制御部73は、マイコンである例を示した。しかしながら、スイッチ制御部73としては、上記例に限定されず、アドレスデコーダを採用することもできる。この場合、スイッチ制御部73は、検出部71,72の出力信号に対応した選択スイッチ51にON信号を出力する。これによっても、所望の電圧に変換される。
【0061】
本実施形態では、第1検出部71が、2つのコンパレータと2つの生成部を有する例を示した。しかしながら、第1検出部71は、3つ以上のコンパレータと3つ以上の生成部とを有しても良い。これによれば、各コンパレータから出力される電圧レベルの組み合わせ数が多くなるので、入力電圧の電圧レベルの判別能力が向上される。この結果、組み合わせ数をΣ×ΣK M−N)に近づけることができる。
【0062】
本実施形態では、第1検出部71の構成のために、入力制御における中点P1とRTNライン302との間で並列接続されるコンデンサ52の組み合わせ数が、N=1にて1、N=2にて1である例を示した。しかしながら、駆動電圧だけが入力端子31に入力される場合、上記した組み合わせ数を最大とするために、第1検出部71が、6つのコンパレータと、閾値の異なる6つの生成部とを有する構成を採用することもできる。
【0063】
本実施形態では、第2検出部72が、2つのコンパレータと2つの生成部を有する例を示した。しかしながら、第2検出部72は、3つ以上のコンパレータと3つ以上の生成部とを有しても良い。これによれば、各コンパレータから出力される電圧レベルの組み合わせ数が多くなるので、中点電圧の電圧レベルの判別能力が向上される。
【0064】
本実施形態では、スイッチ制御部73が、N=1での入力制御にて、第1選択スイッチ51aにON信号を出力し、N=2での入力制御にて、選択スイッチ51a,51bにON信号を出力する例を示した。しかしながら、入力制御にてON信号を出力する選択スイッチ51の種類としては、上記例に限定されない。例えば、N=1での入力制御にて、第2選択スイッチ51bにON信号を出力し、N=2での入力制御にて、選択スイッチ51b,51cにON信号を出力しても良い。
【0065】
本実施形態では、変換電圧値が7V、微小値αが0.5Vである例を示した。しかしながら、変換電圧値、及び、微小値αそれぞれの値は、所望とする電圧によって変化するので、上記例に限定されない。
【符号の説明】
【0066】
10・・・受信部
20・・・送信部
30・・・電圧変換回路
40・・・入力スイッチ
50・・・蓄積部
60・・・出力スイッチ
70・・・制御部
100・・・加速度センサ
200・・・エアバックECU
300・・・エアバックシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧の電圧値を変換する電圧変換回路であって、
入力端子とグランドとの間に設けられた入力スイッチと、
前記入力スイッチとグランドとの間に直列接続された選択スイッチ及びコンデンサを有する蓄積部と、
前記入力スイッチと前記蓄積部との間の中点と出力端子との間に設けられた出力スイッチと、
前記入力スイッチ、前記選択スイッチ、及び、前記出力スイッチそれぞれのON/OFF状態を制御する制御部と、を有し、
複数の蓄積部が、前記中点とグランドとの間に並列接続されており、
前記制御部は、
Nを1以上の自然数とすると、N個の前記選択スイッチ及び前記入力スイッチをON状態、前記出力スイッチをOFF状態とする入力制御と、
該入力制御後、前記出力スイッチのOFF状態を維持しつつ、前記入力制御でON状態となっている選択スイッチを含む、N個以上の選択スイッチをON状態、前記入力スイッチをOFF状態とする分配制御と、
該分配制御後、前記入力スイッチのOFF状態及び前記分配制御でON状態となっている前記選択スイッチのON状態を維持しつつ、前記出力スイッチをON状態とする出力制御と、を行うことを特徴とする電圧変換回路。
【請求項2】
前記制御部は、前記入力電圧を検出する第1検出部と、前記中点の電圧を検出する第2検出部と、前記第1検出部の出力信号に基づいて、前記入力スイッチ及び前記選択スイッチをON/OFF状態とし、前記第2検出部の出力信号に基づいて、前記選択スイッチ及び前記出力スイッチをON/OFF状態とするスイッチ制御部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の電圧変換回路。
【請求項3】
前記第1検出部は、複数の第1コンパレータ、及び、該第1コンパレータと同数であり、互いに異なる閾値電圧を生成する第1生成部を有し、
前記第1コンパレータの2つの入力端子の内の1つに、対応する第1生成部が接続されていることを特徴とする請求項2に記載の電圧変換回路。
【請求項4】
前記第2検出部は、複数の第2コンパレータ、及び、該第2コンパレータと同数であり、互いに異なる閾値電圧を生成する第2生成部を有し、
前記第2コンパレータの2つの入力端子の内の1つに、対応する第2生成部が接続されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の電圧変換回路。
【請求項5】
前記入力電圧は、第1電圧と、該第1電圧よりも電圧レベルの低い第2電圧とが交互に合わさって成り、
前記制御部は、前記第1電圧が前記入力端子に印加されている間、前記入力制御を行うことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の電圧変換回路。
【請求項6】
複数の前記蓄積部それぞれが有するコンデンサの静電容量は、互いに異なることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載の電圧変換回路。
【請求項7】
前記制御部は、前記入力制御にて、最も静電容量の高いコンデンサを有する蓄積部の選択スイッチをON状態とすることを特徴とする請求項6に記載の電圧変換回路。
【請求項8】
前記出力スイッチと前記出力端子との間に、前記蓄積部から出力される電圧を調整する調整部が設けられていることを特徴とする請求項1〜7いずれか1項に記載の電圧変換回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−38886(P2013−38886A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172451(P2011−172451)
【出願日】平成23年8月6日(2011.8.6)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】