説明

電圧生成装置および電圧生成方法

【課題】低電圧から給電電圧およびリンガ電圧を生成する際に、正確な給電電圧およびリンガ電圧を生成することができる電圧生成装置および電圧生成方法を提供する。
【解決手段】パルス信号を用いて直流電圧を昇圧する昇圧回路12と、昇圧回路12の出力を交流化して、機器に供給するためのリンガ電圧を生成する交流化回路13と、電圧の調整段階で設定された給電電圧に対応する給電電圧用パルス幅およびリンガ電圧に対応するリンガ電圧用パルス幅を記憶し、電圧の供給段階では、給電電圧用パルス幅またはリンガ電圧用パルス幅のパルス信号を昇圧回路に出力する制御部11とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話回線に接続可能な機器に給電を行う電圧生成装置および電圧生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電話回線における給電電圧またはリンガ信号生成に使用する電圧(以下、リンガ電圧という。)は、24Vなどの比較的高い直流電圧をもとに、昇圧回路を使用して生成される。リンガ信号は、200Vp−p(peak to peak)、すなわち、70Vrms(root mean square)程度の16Hzの交流信号であって、1秒のオン時間と2秒のオフ時間を周期的に繰り返す信号である。電話回線に接続された電話機にリンガ信号が入力されると、電話機は着信用のベルなどを鳴動させる。
【0003】
電話機を接続することができるコピー機、ルータまたはPBX(Private Branch eXchange)などの装置は、省電力モード時に、CPUなどの制御系の回路に供給される3.3Vなどの低電圧の直流電圧のみを給電し、高電圧の直流電圧の給電を止めることによって、消費電力を抑えている。装置が電話機に対して給電を行っている場合には、一般に、装置は、−24Vや−48Vなどの高電圧の直流電圧から給電電圧およびリンガ電圧を生成する。すると、電話機が装置から給電を受けている場合には、装置が省電力モードに入ったときに、高電圧の給電を受けることができない。従って、電話機が使用できなくなったりする可能性がある。そのため、装置は、3.3Vなどの低電圧の直流電圧から給電電圧およびリンガ電圧を生成することが望ましい。
【0004】
3.3Vなどの低電圧の直流電圧から、給電電圧およびリンガ電圧を生成する場合、昇圧回路の昇圧比が大きくなる。すると、昇圧回路で使用するトランスなどの精度のばらつきにより給電電圧およびリンガ電圧がばらつくことがある。リンガ電圧は、200Vp−pなどの高電圧であるため、ばらつきによって電圧が設定値より大きい値になった場合は、回路の安全性が保てなくなるおそれがある。また、電圧が設定値より小さい値になった場合は、電話機の着信用のベルがリンガ信号に対して鳴動しなくなるなど、電話機が正常に動作しなくなるおそれがある。
【0005】
直流電源から出力される出力電圧をスイッチングして昇圧/整流回路で昇圧し、昇圧/整流回路が出力する出力電圧を監視して、スイッチングのタイミングを変更しながら、給電電圧やリンガ電圧を調整する回路がある(例えば、特許文献1参照。)。また、リンガ信号のオン(リング送出)からオフ(サイレント送出)への移行時、および、サイレント送出からリング送出への移行時の突入電流を防止する回路がある(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平06−351050号公報
【特許文献2】特開平09−162975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された回路では、電圧の調整時に、加入者線に端末が接続されていた場合には、端末がオフフック状態であるかオンフック状態であるかによって、端末のインピーダンスが変わる。その結果、正しく電圧を調整することができないことがある。また、リンガ信号を発生させるたびに、リンガ信号の電圧調整を行う必要がある。
【0008】
そこで、本発明は、低電圧から給電電圧およびリンガ電圧を生成する際に、正確な給電電圧およびリンガ電圧を生成することができる電圧生成装置および電圧生成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による電圧生成装置は、電話回線に接続可能な機器が使用する電圧を生成する電圧生成装置であって、パルス信号を用いて直流電圧を昇圧する昇圧回路と、昇圧回路の出力を交流化して、機器に供給するためのリンガ電圧を生成する交流化回路と、電圧の調整段階で設定された給電電圧に対応する給電電圧用パルス幅およびリンガ電圧に対応するリンガ電圧用パルス幅を記憶し、電圧の供給段階では、給電電圧用パルス幅またはリンガ電圧用パルス幅のパルス信号を昇圧回路に出力する制御部とを備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明による電圧生成方法は、電話回線に接続可能な機器が使用する電圧を、パルス信号を用いて直流電圧を昇圧する昇圧回路を用いて生成する電圧生成方法であって、電圧の調整段階で、給電電圧よりも高い電圧に対応するパルス幅のパルス信号を昇圧回路に出力し、昇圧回路が出力する直流電圧の電圧値が給電電圧に相当する電圧値になるまで、パルス信号のパルス幅をより低い電圧に対応するパルス幅に変え、昇圧回路が出力する直流電圧の電圧値が給電電圧に相当する電圧に低下したときのパルス幅を給電電圧用パルス幅として記憶し、給電電圧用パルス幅からリンガ電圧用パルス幅を算出し、電圧の供給段階では、給電電圧用パルス幅またはリンガ電圧用パルス幅のパルス信号を昇圧回路に出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、低電圧から給電電圧およびリンガ電圧を生成する際に、給電電圧およびリンガ電圧を正確に生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明による電圧生成装置の構成の一例を示す説明図である。
【図2】本発明による電圧生成装置の第1の実施形態の構成を示す説明図である。
【図3】図2に示す電圧生成装置の各部がリンガ電圧生成時に出力する出力電圧の波形を示す説明図である。
【図4】図2に示す電圧生成装置の各部が給電電圧生成時に出力する出力電圧の波形を示す説明図である。
【図5】第1の実施形態における制御ICの電圧調整制御の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明による電圧生成装置の第2の実施形態の構成を示す説明図である。
【図7】本発明による電圧生成装置の主要部を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施形態1.
以下、本発明の第1の実施形態を図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明による電圧生成装置の構成の一例を示す説明図である。
【0015】
図1に示すように、電圧生成装置100は、制御IC(Integrated Circuit)110と、昇圧/整流回路120と、電圧監視回路130と、極性反転/平滑回路140と、電話機切り離し回路150と、スイッチ180とを含む。スイッチ180は、例えばトランジスタである。また、電圧生成装置100は、電話機切り離し回路150を介して、電話網接続端末300と接続されている。
【0016】
制御IC110は、波形生成部111と、電圧監視部112と、極性反転制御部113と、電話機切り離し回路制御部114と、記憶部115とを備える。なお、波形生成部111、電圧監視部112、極性反転制御部113、電話機切り離し回路制御部114および記憶部115は、1つのICに含まれていなくてもよく、それぞれが別のICに含まれていてもよい。
【0017】
波形生成部111は、パルス幅を調整可能なパルス信号(PWM信号)をスイッチ180に入力し、スイッチ180をオンまたはオフさせる。波形生成部111は、パルス信号のパルス幅を設定する。パルス幅は、パルス信号の1周期のうちスイッチ180をオンさせる区間である。
【0018】
電圧監視部112は、電圧監視回路130から入力される電圧値を監視する。
【0019】
極性反転制御部113は、極性反転/平滑回路140の極性反転回路を制御する。
【0020】
電話機切り離し回路制御部114は、電話機切り離し回路150を制御する。
【0021】
記憶部115は、データを記憶するための記憶媒体である。
【0022】
昇圧/整流回路120は、昇圧回路および整流回路を備える。昇圧/整流回路120は、3.3Vまたは5Vの直流電圧を供給する直流低電圧出力端子200と接続される。昇圧/整流回路120は、直流低電圧出力端子200から供給される直流電圧を昇圧および整流して出力する。
【0023】
電圧監視回路130は、昇圧/整流回路120が出力する出力電圧を分圧して、電圧監視部112が監視可能な電圧値にまで下げる。また、電圧監視回路130は、電圧の変化から電話回線網接続端末300のオンフック/オフフックを検出する。
【0024】
極性反転/平滑回路140は、極性反転回路および平滑回路を含む。昇圧/整流回路120が出力する出力電圧の極性を極性反転回路で反転させた後に、高周波成分を平滑回路でカットする。なお、昇圧/整流回路120が出力する出力電圧の高周波成分を平滑回路でカットしてから、極性反転回路で極性を反転させるようにしてもよい。
【0025】
電話機切り離し回路150は、電話機切り離し回路制御部114からの制御信号に従って、電圧生成装置100と電話網接続端末300との接続および切り離しを行う。電圧生成装置100と電話網接続端末300とが接続されている時は、極性反転/平滑回路140が出力する出力電圧は、電話機切り離し回路150を介して、電話網接続端末300に入力される。
【0026】
次に、本実施形態の動作について説明する。
【0027】
図2は、本発明による電圧生成装置の第1の実施形態の構成を示す説明図である。
【0028】
制御IC110の波形生成部111は、パルス信号をスイッチ180に入力する。スイッチ180のオンとオフとがパルス信号に従って切り替わることによって、直流低電圧出力端子200から昇圧/整流回路120に入力される直流電流がスイッチングされる。なお、図2に示す例では、スイッチ180は、昇圧/整流回路120の外部に設置されているが、制御IC110や昇圧/整流回路120の内部に含まれていてもよい。
【0029】
昇圧/整流回路120は、トランスを含む昇圧回路と、ダイオードを含む整流回路とを備える。直流低電圧出力端子200から入力される直流電流がスイッチ180によってスイッチングされることにより、直流低電圧出力端子200から給電される直流電圧が、昇圧/整流回路120によって、昇圧および整流される。なお、図2に示す例では、半波整流の回路が示されているが、整流の方法はその他の方法であってもよい。
【0030】
電圧監視回路130は、昇圧/整流回路120が出力する出力電圧を、電圧監視部112が監視可能な電圧になるように抵抗で分圧し、コンデンサで平滑する。電圧監視部112は、電圧監視回路130から入力される電圧値を監視する。
【0031】
極性反転/平滑回路140は、複数のリレーを含む極性反転回路を備える。極性反転制御部113は、極性反転回路を制御して、昇圧/整流回路120が出力する出力電圧の極性を周期的に反転させ、リンガ信号の周波数と同じ周波数の交流電圧を生成する。本実施形態では、リンガ信号の周波数を16Hzとする。また、極性反転/平滑回路140は、コンデンサを含む平滑回路を備え、極性反転回路が出力する出力電圧に含まれる高周波成分を平滑回路でカットする。
【0032】
電話機切り離し回路150は、複数のリレーを備える。電話機切り離し回路制御部114は、リレーを制御して、電圧生成装置100と電話網接続端末300との接続および切り離しを行う。電話機切り離し回路制御部114は、電圧生成装置100と電話網接続端末300とを切り離す場合は、リレーを公衆電話回線網400側に切り替える。図2に示す例では、電圧生成装置100と電話網接続端末300とが接続された状態となっている。また、リレーの片側が公衆電話回線網400に接続されているが、公衆電話回線網400に接続されていなくてもよい。
【0033】
図3は、図2に示す電圧生成装置の各部がリンガ電圧生成時に出力する出力電圧の波形を示す説明図である。
【0034】
図3(a)は、昇圧/整流回路120に入力される電圧の波形である。リンガ電圧生成時のパルス信号のパルス幅は、給電電圧生成時のパルス幅に予め定められた係数をかけた値で設定される。
【0035】
図3(b)は、昇圧/整流回路120が出力する出力電圧の波形である。
【0036】
図3(c)は、極性反転/平滑回路140の極性反転回路が出力する出力電圧の波形である。出力電圧の周波数が16Hz(リンガ信号の周波数)となるように、出力電圧が極性反転される。
【0037】
図3(d)は、平滑回路140が出力する出力電圧の波形である。極性反転回路から入力された電圧を平滑し、200Vp−pのリンガ電圧が生成される。なお、図3(d)では、200Vp−pの方形波が示されているが、リンガ信号を生成可能な電圧値であれば200Vp−p以外の値であってもよい。
【0038】
図4は、図2に示す電圧生成装置の各部が給電電圧生成時に出力する出力電圧の波形を示す説明図である。
【0039】
図4(a)は、昇圧/整流回路120に入力される電圧の波形である。給電電圧生成時のパルス信号のパルス幅は、電話網接続端末300に入力される入力電圧が給電電圧になるように設定される。
【0040】
図4(b)は、昇圧/整流回路120が出力する出力電圧の波形である。昇圧/整流回路120の昇圧回路の昇圧比は、リンガ電圧生成時の昇圧比と同じである。
【0041】
図4(c)は、極性反転/平滑回路140の極性反転回路が出力する出力電圧の波形である。給電電圧生成時は、極性反転制御部113は、極性反転/平滑回路140の極性反転回路に対する制御を停止し、極性反転がされないようにする。
【0042】
図4(d)は、平滑回路140が出力する出力電圧の波形である。給電電圧生成時は、出力電圧の極性反転が行われないので、図4(b)と図4(c)とは同じ電圧波形となる。
【0043】
次に、図2および図5を参照して、本実施形態の動作について説明する。
【0044】
図5は、第1の実施形態における制御ICの電圧調整制御の動作を示すフローチャートである。
【0045】
制御IC110に電源が投入されると、電話機切り離し回路制御部114は、電話機切り離し回路150のリレーを公衆電話回線網400側に切り替えて、電圧生成装置100と電話回線網接続端末300との切り離しを実行する(ステップS501)。
【0046】
波形生成部111は、リンガ電圧よりも低い給電電圧用のパルス信号の送出を開始する(ステップS502)。パルス信号の送出開始時のパルス幅(以下、調整開始パルス幅という。)は、昇圧回路のばらつきを考慮して決められる。具体的には、昇圧回路のばらつきによって昇圧比が最も小さくなる場合に必要とされるパルス幅が設定される。調整開始パルス幅は、予め記憶部115に記憶されている。そして、ステップS502の処理を開始するときに、波形生成部111が記憶部115から調整開始パルス幅を読み出して、パルス信号のパルス幅を、調整開始パルス幅にする。
【0047】
制御IC110の電圧監視部112は、電圧監視回路130から電圧値を入力する(ステップS503)。電圧監視部112は、電圧値が安定するまで所定時間にわたって電圧値を複数回入力する。
【0048】
波形生成部111は、電圧監視部112に入力された電圧値が、予め設定された閾値にまで達した場合は(ステップS504におけるYes)、そのときのパルス信号のパルス幅を給電電圧用パルス幅として記憶部115に記憶する(ステップS506)。電圧監視部112に入力された電圧値が予め設定された閾値より大きい場合は(ステップS504のNo)、波形生成部111はパルス信号のパルス幅を小さくして(ステップS505)、ステップS503の処理を繰り返す。
【0049】
ステップS506の後、波形生成部111は、給電電圧用パルス幅に予め設定された係数をかけて、リンガ電圧用パルス幅を算出する(ステップS507)。このときの係数は、給電電圧とリンガ電圧の電圧比から算出してもよいし、その他の方法であってもよい。波形生成部111は、ステップS507で算出したリンガ電圧用パルス幅の値を記憶部115に記憶する。
【0050】
電話機切り離し回路制御部114は、ステップS507の後、電話機切り離し回路150のリレーを電話回線網接続端末300側に切り替えて、電圧生成装置100と電話回線網接続端末300との切り離しを終了する(ステップS508)。なお、電話機切り離し回路150のリレーを切り替えずに、電圧生成装置100と電話回線網接続端末300との切り離しを継続させてもよい。
【0051】
ステップS508の後、波形生成部111は、給電電圧用パルス幅をパルス信号のパルス幅にする。電圧生成装置100と電話回線網接続端末300とが接続されている場合には、電話回線網接続端末300に対して給電電圧が供給される。また、制御IC110が、公衆電話回線網400に接続された端末機器から電話網接続端末300に対する着信を検出した場合には、電話回線網接続端末300のオフフックが電圧監視回路130によって検出されるまで、波形生成部111は、リンガ電圧用パルス幅をパルス信号のパルス幅にして、電話回線網接続端末300に対してリンガ電圧を供給させる。
【0052】
以上に説明したように、本実施形態によれば、3.3Vまたは5Vの低電圧の直流電圧をもとにして、1つの昇圧回路が給電電圧およびリンガ電圧を生成しているので、給電電圧生成用の昇圧回路とリンガ電圧生成用の昇圧回路とを別個に用意しなくてもよい。よって、電圧生成装置100の回路構成が簡単になる。その結果、回路の実装面積およびコストを抑えることができる。
【0053】
また、制御ICの電源投入時の電圧調整制御によって決定された給電電圧用パルス幅およびリンガ電圧用パルス幅をもとに、給電電圧およびリンガ電圧を生成しているので、給電電圧およびリンガ電圧を生成するたびに電圧調整を行う必要がない。
【0054】
なお、電源投入時以外に電圧調整制御を行うようにしてもよい。例えば、電源投入以降も電圧監視部112が電圧値の監視を継続し、電圧監視部112に入力された電圧値が予め設定された閾値より大きい場合には、電圧調整制御を実行して、給電電圧用パルス幅およびリンガ電圧用パルス幅が再調整されるようにしてもよい。
【0055】
また、電圧調整制御において、リンガ電圧よりも低い給電電圧用パルス幅を決定してから、予め設定された係数をもとにリンガ電圧用パルス幅を算出しているので、リンガ電圧に相当する電圧を出力させることなく、電圧調整制御を行うことができる。また、パルス幅を調整開始パルス幅から徐々に小さくする方向で、給電電圧用パルス幅の電圧調整を行っているので、電圧調整制御中に過大な電圧が出力されることがない。
【0056】
また、出力電圧を監視しながら電圧調整制御を行っているので、トランスなどの昇圧回路のばらつきを考慮した電圧調整をすることができる。そのため、給電電圧およびリンガ電圧が、設定値より大きくなって回路の安全性が保てなくなったり、設定値より小さくなって電話機が正常に動作しなくなったりすることがない。
【0057】
さらに、電圧生成装置100と電話回線網接続端末300とを切り離した後に電圧調整制御を行っているので、電話回線網接続端末300のインピーダンスの影響を受けない。従って、電圧生成装置100は、電圧調整制御を正確に行うことができる。また、電圧調整制御を行っているときに電圧生成装置100の外部に過大な電圧が出力されることがない。
【0058】
また、電話機切り離し回路150がリレーで構成されているので、電話回線網接続端末300を必要に応じて、リレーの一方に接続された公衆電話回線網400などに接続させることができる。
【0059】
実施形態2.
以下、本発明の第2の実施形態を図面を参照して説明する。
【0060】
図6は、本発明による電圧生成装置の第2の実施形態の構成を示す説明図である。
【0061】
図6に示すように、電圧生成装置100は、制御IC110と、昇圧/整流回路120と、電圧監視回路130と、平滑回路160と、極性反転/電話機切り離し回路170と、スイッチ180とを含む。
【0062】
制御IC110、昇圧/整流回路120、電圧監視回路130およびスイッチ180の構成は、第1の実施形態と同様なため説明を省略する。
【0063】
平滑回路160は、コンデンサを含み、昇圧/整流回路120が出力する出力電圧に含まれる高周波成分をカットする。
【0064】
極性反転/電話機切り離し回路170は、スイッチ171〜174を含む。電話機切り離し回路制御部114は、各スイッチを切り替えることによって、極性反転および電話機切り離しを行う。電話機切り離し回路制御部114は、極性反転をしない場合は、スイッチ171とスイッチ173をオンにして、その他のスイッチをオフにする。極性反転をする場合は、スイッチ172とスイッチ174をオンにして、その他のスイッチをオフにする。電話機切り離しを行う場合は、スイッチ171〜174のすべてをオフにする。
【0065】
本実施形態によれば、極性反転および電話機の切り離しを1つの回路で行っているので、電圧生成装置100のコストを抑えることができる。また、極性反転制御部113を省くことができるので、制御IC110の構成を簡素化でき、制御IC110の処理負担を軽減させることができる。
【0066】
図7は、本発明による電圧生成装置の主要部を示すブロック図である。図7に示すように、電圧生成装置は、電話回線に接続可能な機器が使用する電圧を生成する電圧生成装置であって、パルス信号を用いて直流電圧を昇圧する昇圧回路12(図1に示す昇圧/整流回路120に相当。)と、昇圧回路12の出力を交流化して、機器に供給するためのリンガ電圧を生成する交流化回路13(図1に示す極性反転/平滑回路140に相当。)と、電圧の調整段階で設定された給電電圧に対応する給電電圧用パルス幅およびリンガ電圧に対応するリンガ電圧用パルス幅を記憶し、電圧の供給段階では、給電電圧用パルス幅またはリンガ電圧用パルス幅のパルス信号を昇圧回路に出力する制御部11(図1に示す制御IC110に相当。)とを備える。
【0067】
上記の実施形態には、以下のような電圧生成装置も開示されている。
【0068】
(1)昇圧回路12が出力する直流電圧の電圧値を出力する電圧監視回路(図1に示す電圧監視回路130に相当。)を備え、制御部11は、電圧の調整段階では、給電電圧よりも高い電圧に対応するパルス幅のパルス信号を昇圧回路12に出力し、電圧監視回路が出力する電圧値が給電電圧に相当する電圧値になるまで、パルス信号のパルス幅をより低い電圧に対応するパルス幅に変え、電圧監視回路が出力する電圧値が給電電圧に相当する電圧に低下したときのパルス幅を給電電圧用パルス幅として記憶する電圧生成装置。
【0069】
(2)制御部11は、給電電圧用パルス幅に予め設定された係数を乗算した値をリンガ電圧用パルス幅として記憶する電圧生成装置。
【0070】
(3)制御部11の指令に従って、機器を接続するか、または切り離す切り替え部(図1に示す電話機切り離し回路150に相当。)を備え、制御部11は、電圧の調整段階では、機器を切り離す指令を切り替え部に出力する電圧生成装置。
【0071】
(4)昇圧回路12は、3.3Vまたは5Vの直流電圧を昇圧する電圧生成装置。
【符号の説明】
【0072】
11 制御部
12 昇圧回路
13 交流化回路
100 電圧生成装置
110 制御IC
111 波形生成部
112 電圧監視部
113 極性反転制御部
114 電話機切り離し回路制御部
115 記憶部
120 昇圧/整流回路
130 電圧監視回路
140 極性反転/平滑回路
150 電話機切り離し回路
160 平滑回路
170 極性反転/電話機切り離し回路
171〜174、180 スイッチ
200 直流低電圧出力端子
300 電話網接続端末
400 公衆電話回線網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話回線に接続可能な機器が使用する電圧を生成する電圧生成装置であって、
パルス信号を用いて直流電圧を昇圧する昇圧回路と、
前記昇圧回路の出力を交流化して、前記機器に供給するためのリンガ電圧を生成する交流化回路と、
電圧の調整段階で設定された給電電圧に対応する給電電圧用パルス幅およびリンガ電圧に対応するリンガ電圧用パルス幅を記憶し、電圧の供給段階では、前記給電電圧用パルス幅または前記リンガ電圧用パルス幅のパルス信号を前記昇圧回路に出力する制御部とを備えた
ことを特徴とする電圧生成装置。
【請求項2】
昇圧回路が出力する直流電圧の電圧値を出力する電圧監視回路を備え、
制御部は、電圧の調整段階では、給電電圧よりも高い電圧に対応するパルス幅のパルス信号を前記昇圧回路に出力し、前記電圧監視回路が出力する電圧値が前記給電電圧に相当する電圧値になるまで、パルス信号のパルス幅をより低い電圧に対応するパルス幅に変え、前記電圧監視回路が出力する電圧値が前記給電電圧に相当する電圧に低下したときのパルス幅を給電電圧用パルス幅として記憶する
請求項1に記載の電圧生成装置。
【請求項3】
制御部は、給電電圧用パルス幅に予め設定された係数を乗算した値をリンガ電圧用パルス幅として記憶する
請求項2に記載の電圧生成装置。
【請求項4】
制御部の指令に従って、機器を接続するか、または切り離す切り替え部を備え、
前記制御部は、電圧の調整段階では、前記機器を切り離す指令を切り替え部に出力する
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の電圧生成装置。
【請求項5】
昇圧回路は、3.3Vまたは5Vの直流電圧を昇圧する
請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の電圧生成装置。
【請求項6】
電話回線に接続可能な機器が使用する電圧を、パルス信号を用いて直流電圧を昇圧する昇圧回路を用いて生成する電圧生成方法であって、
電圧の調整段階で、給電電圧よりも高い電圧に対応するパルス幅のパルス信号を前記昇圧回路に出力し、
前記昇圧回路が出力する直流電圧の電圧値が前記給電電圧に相当する電圧値になるまで、パルス信号のパルス幅をより低い電圧に対応するパルス幅に変え、前記昇圧回路が出力する直流電圧の電圧値が前記給電電圧に相当する電圧に低下したときのパルス幅を給電電圧用パルス幅として記憶し、
前記給電電圧用パルス幅からリンガ電圧用パルス幅を算出し、
電圧の供給段階では、前記給電電圧用パルス幅または前記リンガ電圧用パルス幅のパルス信号を前記昇圧回路に出力する
ことを特徴とする電圧生成方法。
【請求項7】
給電電圧用パルス幅に予め設定された係数を乗算した値をリンガ電圧用パルス幅とする
請求項6に記載の電圧生成方法。
【請求項8】
電圧の調整段階では、昇圧回路を機器から切り離す
請求項6または請求項7に記載の電圧生成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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