電場を発生させる高インピーダンスシステムおよび使用方法
本発明は、様々な用途のための時可変または時不変の電場を発生させるためのシステム及び方法に関する。電場の発生は、3つの必須物質特性を備える高インピーダンス誘電体を利用する:高誘電率(ε)、高体積抵抗率(ρ)、および最大許容電場応力(φ)であり、直列容量回路で分割または分配された電場を利用した物理的配列である。発生した電場は、ガス、液体あるいは固体を含み、静止あるいは運動中の対象物質に作用することができる。この方法は、規定強度の電場を、著しく低い印加電圧φaを備えた対象物質の中に、または逆に、規定の印加電圧φaを備えた著しく高いE-電場強度φaを設けることを可能にする。この方法は、対象物質を流れる電気伝導電流を阻止し、電気伝導電流、エネルギー消費、オーム加熱を著しく減少させ、電極/流体インターフェースでの電気化学反応を回避する。音響エネルギーも利用される場合がある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施例は、均一または不均一な電場を設けるあるいは発生させるため、時可変、時不変、パルス電位差を直列容量性回路に利用するシステムと関連しており、様々なアプリケーションにも使用されている。更に詳細には、この実施例は、双方の電極の間に使用される電位を分配または供給する直列容量性回路を形成するために配列ないしは構成され、特定の電気的特性を備えた誘電物質を使用し、結果として対象物質の中の(あるいは通過する)E−電場の濃縮をもたらす。
【背景技術】
【0002】
静電気、時可変、パルス電場は、磁界成分の有無にかかわらず、特定用途には弱いとか強すぎるとかに関係なく、広い応用範囲において様々な産業で使用されている。いくつかの現存する例では、本発明の実施例と共に時可変印加電圧が使用されており、B−磁場がE−電場を伴うように、電荷担体が実験室枠(lab frame)とは相対的に移動しているかもしれないが、しかしながら、本発明の実施例においてはE−電場だけが適している。E−電場の適用の例は次のようなものを含むが、下記に限定されるものではない:
・電気泳動(法):ゲル状および毛細血管型の両方は、懸濁媒体と負荷抵抗を通じた電流を使用し、DNA、蛋白質および他の分子の分化、個別化、分離のために使用される電場を立ち上げる。
・エレクトロポレーション(電気穿孔法、別名、電気化学透過化・electropermeabilization):多くの場合、様々な波形およびパルス繰返数のパルスの強電界は、生細胞被膜の絶縁破壊を引起すために使用され、可逆のおよび可逆でない穿孔(ポレーション)、および/またはトランスフェクション、低温殺菌あるいは殺菌の目的のため透過化の影響を及ぼす;そして
・電場流動分画(電場フロー分別・flow fractionation)(FFF、別名EFFF、μ−EFF、CyEFF、および他):対象液体から巨大分子および小粒子を、分離、断片化または分化するために流量と直交した電場を用いる。
【0003】
概して、E−電場の作用により支援または促進された一連の工程および反応効果は、電解強度の増加か、または逆に、規定の電解強度の印加電圧の減少により、促進あるいは向上させることが可能である。これは、誘電率の物質特性、体積低効率と最大許容電圧の関係のためであり、これらのパラメータの影響は、電界強度の区分回路素子、絶縁切断(破壊)、電場配列、電流、エネルギー消費に及ぶ。E−電場の影響か直接作用の下で進められる応用は、しばしば、望ましくないオーム加熱、電気化学(ファラデー電荷移動)、電解の二重層によってシールドされた電場、電極の分極およびエネルギー使用量の影響により制限されている。
【0004】
電流は、電気泳動、エレクトロポレーション(電気穿孔法)、作動媒体(通常は、液体またはゲルなどのアプリケーション)のオーム加熱または媒体/電極インタフェース(ファラデー電荷移動)での望ましくない電気化学による電場流量分別媒体中の規定の電界強度(filed intensity)の制限要因である。例としては、商業的等温殺菌(一般的に、パルス電場非熱低音殺菌またはPEFとして知られている)に臨床エレクトロポレーション(電気穿孔法)、最初に、生きた生体細胞のトランスフェクションに使用された)の処理を応用するため、過去20年以上に渡って多くの努力が費やされて来た。可逆エレクトロポレーション(電気穿孔法)は非致命的であり、適用された電界強度と露出時間の慎重な制御によって達成され、不可逆のエレクトロポレーション(電気穿孔法)が、細胞死、代謝的不活性化および細胞自然死により特徴付けられる。PEFシステムの低いインピーダンス性質により、露出した伝導性電極は、処理中の流体に直結され、パルス電圧波形は流体/電極インタフェースで、平均エネルギー、オーム加熱および望ましくない電気化学を減少する手段として使用された。電気泳動と電場流動分画(電場フロー分別・EFFF)方法およびデバイスについて同じことが言える。電界強度の増加は、処理の効率およびまたは割合を良くするが、電界強度を増加させるための手段として規定電圧の増加は電流過剰および関連したオーム加熱、望ましくない電気化学反応、また、上述の望ましくない反応をもたらす。EFFFの場合には、マイクロマシニングおよびマイクロエレクトロニクス技術を使用した最近の努力により流路の高さが減少され、その結果、効果的に電極間の電場次元が減少されるため、電流流量を緩和する間に電界強度を増加させる。E−電界強度を増加した後に印加電圧の増加、そして/または電極間の間隔の減少、作動媒体の絶縁破壊もまた必要であり、全てのアプリケーションにおいて追加限定的要素がガス、液体、固体であるかを問わない。
【0005】
従来の伝導性電極と処置中の媒体の間に一般的な誘電性物質をコーティングまたは並置すると、より高電圧の利用が可能となり、より高いE−電解強度を含むが、効果は使用されている誘電物質よりはるかに大きな電圧低下により相殺され、結果として、処理中媒体のE−電場を低下させる。これは電圧低下により生じるため、結果として、E−電場は分離されるか、あるいは直列容量性回路に分配される。
【0006】
前のシステムおよび方法の望ましくない効果を著しく軽減または完全に解決する、E−電場を発生させるシステムの開発が有利となる。
【0007】
本発明の一つの実施例は、電場を発生させる高インピーダンスシステムを含むものであり、以下の構成から成る:それぞれの電極の少なくとも一つの表面が伝導体でコーティングされた誘電性物質を含む一組の電極と;該誘電体は、処理中の対象流体から導電層を分離するバリアを形成するここと;伝導体が電極表面にあり、流路または空間の中の流体に接しない一組の電極間に形成された流体流路または空間と;電極を通じて(across the electrodes)使用された時可変、時不変、あるいはパルス電圧源と;前述の一対の電極を含むハウジングであって、前述のハウジングは前述の流路または空間に、対象の静的または動的流体を保持するように構成されている;
【0008】
本発明の実施例の一つの方法は、電場への流体を対象とする方法を含むものであり、以下の構成から成る:前述の電極は誘電体を含むそれぞれの電極の少なくとも一つの表面が伝導体でコーティングされた一対の電極の間に流体流路を形成し、前述の誘電体は流体流路(の中)ではなく電極表面に設けられている;流路に対象の静的または動的流体を保持するように、前述の電極をハウジングする;誘電体でコーティングされたそれぞれの電極表面に時可変、時不変、またはパルス電圧源を使用することにより電場を作り出す;流体が流体流路に入ることにより、前述の流体は電場に晒される。
【0009】
E−電場を発生させる方法およびシステムは、3つの必須物質特性を備える高インピーダンス誘電体を利用する:高誘電率(ε)、高体積抵抗率(ρ)、および最大許容電場応力(φ)直列容量回路で分割または分配された電場を利用した物理的配列からなる。
【0010】
本発明の他のバリエーション、実施例および特徴は、以下の詳述と、図面および請求項から明らかにされる。
図面の簡単な説明
【0011】
図1は、並列配列を備える本発明の第一の誘電構成を示す;
【0012】
図2は、円筒配列を備える本発明の第ニの誘電構成を示す;
【0013】
図3は、直列容量性回路を成形するよう配置された3誘電体部分を示す;
【0014】
図4は、図3の誘電配置と等価の回路を示す;
【0015】
図5は、それぞれの伝導性電極表面の一面が金属形成銀の薄い膜でコーティングされた2枚のチタン酸塩のセラミックの厚板を示す。;
【0016】
図6は、流体流路を形成する空間を備えたポリカーボネート梁支持に装着された図5の電極の斜視図を示す;
【0017】
図7は、図6の電極の平面図を示す;
【0018】
図8は、図6および7で示された配置のもう一方に装着された、反対の梁支持を示す;
【0019】
図9は、本発明の高インピーダンスのE−電場デバイスの1つの構成を示す;
【0020】
図10は、図6および7の平行板配列のための等価回路図を示す;
【0021】
図11及び12は、本発明の実施例による1つの典型的なシステム構成を示す;そして
【0022】
図13は、図11及び12で示された構成のための等価回路図を示す;
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の実施例に従った原理の理解を促進するため、図面に描かれた実施例が参照され、特定の言語が同実施例を記述するために使用される。しかし、そのことにより本発明の範囲が制限されることは意図されていないと理解される。ここで図示される発明の特徴を修正したり、更に変更したり、また図示される発明の原理を追加的に応用することは、当業者およびこの発明の権利者が通常に発想するものである限り、本発明の請求の範囲にあるとみなされるべきである。
【0024】
本発明の実施例として多くの応用が考えられるが、ここでは生物学的細胞エレクトロポレーション法(電気穿孔法)に関する実施例が記述される。エレクトロポレーション法(電気穿孔法)という用語は、特許文献や学術文献においては電気透過化という語が用いられることもあるが、生体細胞の細胞膜における電場の活動に関連する現象を意味するものとして広く使用されている。液体電解質に浮遊する細胞のエレクトロポレーション法は細胞生物学、遺伝子工学、薬物治療、あるいは殺菌や減菌のような生物工学による処理の文脈において重要である。電場強度、曝露時間および波形に応じて、印加電場は、可逆的あるいは非可逆的な孔形成のいずれもが可能であり、また、バクテリア、菌類、胞子、ウイルスおよび哺乳類動物の細胞(体細胞)を包含する脂質細胞膜に構造上の傷を発生させることができる。可逆的エレクトロポレーション法の場合、その現象には細胞膜の拡散透過性における過渡電流が増加する特徴がある。この現象はDNA、薬物、色素、蛋白質、ぺプチド、その他の分子でのトランスフェクションに数十年間利用されてきた。印加電場が膜貫通臨界電圧(Φc=多くのバクテリアにとっては1ボルト)を生じさせ、充分な時間が経つと、孔形成および他の細胞膜の傷は不可逆的なものになり、細胞死および/または永続的代謝不活性化、すなわち殺菌や減菌を引き起こす。
【0025】
臨床治療および研究で使用されるエレクトロポレーションの機器および方法は数十年間使用されてきており、容易に購入でき、少量(通常1マイクロリットルから100ミリリットル)のトランスフェクションや、殺菌、減菌に使用される。過去20年間かけて多くの努力が払われ、これらの臨床治療・研究用の方法を、少量ではなく継続的な高流量率が要求される商業的応用に適合させるようにしてきた。多くの機器や方法が提案され、実践され、特許を取得してきたが、現在技術、先行技術の全てに共通するのは、低インピーダンス導電電極を、処置される液体に直接的に接触させて使用することである。このことから、定常モードにおける抵抗回路網にそのような機器向けの等価回路が提供されるが、付随して電流、オーム加熱、界面電荷移動、二重層形成、電気化学反応、過剰電力消費が必然的変数要素として発生する。これらの負荷抵抗パラメータを理由として、従来のエレクトロポレーション機器で用いられてきたパルス波形が広く一般的に使用されてきた。パルス波形(PEF(パルス電界)という用語があてられることもある)を使用することで、単極、双極あるいは他の形であっても、また立ち上がり時間、減衰時間に関係なく、この分野における現在技術および先行技術で一般的な低インピーダンス抵抗回路網における前述の望ましくない効果を軽減させる。これらの技術を商用的殺菌に応用しようとする場合、オーム加熱、望ましくない電気化学反応、および過剰電力消費が特に問題となる。
【0026】
本発明者による発明、名付けて(造語)高インピーダンスエレクトロポレーション法(High Impedance Electroporation)(以下、HIEと略す)は、望ましくない効果の多くを軽減させるのと同時に、一括処理の応用および継続流率の高い応用の両方における従来のシステムおよび方法と同等、あるいはそれ以上に効果的であることが判明する。
【0027】
図1、2が示すのは並列誘電構成100と円筒誘電構成150であり、各々は本発明の方法の実施を容易にするために使用されうる。各構成が示しているのは誘電物質105、155、電気誘導被膜110、160および試験ないし電場の影響を受ける物質115、165である。
【0028】
本発明の実施を容易にするために使用される直列回路を構成する静電容量要素では、電荷は移動せず、また電位勾配(電圧降下)は、電場とともに、回路の構成各部での電荷緩和ではなく各誘電率に応じて分布する。図3が表すのは、3つの誘電部170、175、180であり、これらは直列静電容量回路125を構成するように配列されている。各誘電部における電場130、135は特定されている。図4は回路図140を表し、図3における回路125を説明している。
【0029】
図3に図示されている配列を検討すると、パルス(階段関数)の過渡応答中において、誘電部Ci170とCi180の誘電率がC1175よりも著しく高ければ、Ci170とCi180における電位および電場は、C1175における電位および電場に比べ、とても小さくなる。この関係は中央部(この例におけるC1175)に電場を発生させる電位勾配を効果的に集中させる。同関係は2、4、あるいは複数の誘電部を配列する構成の回路に適用される。結果として、現在・従来技術による方法および機器よりも著しく高い電圧を試験あるいは処置を受ける材料にかけることが可能となる。更に、抵抗率の高い誘電電極を使用することで、電極接触面における望ましくない電気化学反応を予防するだけでなく、電流・オーム加熱、電力消費を削減する。
【0030】
本発明者は本発明の実施例の有効性を非公開実験において実証した。以下で記述されるのは、使用されるシステムと方法論を含む実験である。しかし、本発明の範囲が実験において使用されるシステムおよび/または方法論に制限されないことは、当業者に理解されるだろう。
【0031】
図5には、二鉛マグネシウムチタン酸塩セラミックによって調製された二つの高インピーダンス誘電電極200が示されている。誘電率の高い微粒子/エポキシ樹脂合成物またはこれと性質の類似する材料のような他の材料もまた利用可能である。2枚のチタン酸塩セラミック厚板200は、一側面が誘電面210となる銀箔で覆われている。実施例において、電極は奥行き10mm、幅10mm、高さ10mmの寸法となっており、誘電セラミックは以下の電気材料的性質を有している。
・誘電率:5.3e−08[Fm−1](比誘電率εr=6,000)
・体積抵抗率:≒1012[Ω−cm]
・最大許容電圧:9.0e+06[Vm−1]
【0032】
図6、7で示されるように、電極200はポリカーボネート製支持梁220に取り付けられる。支持梁220には、流体流路230となる空間があり、その寸法は深さ1mm、幅10mm、長さ100mm、あるいは体積1000ミリ立方メートルまたは1ミリリットルである。流体ポート225から対象となる流体が流入、流出できる。システムが帯電したときに電極200の間の電場から受ける引力が著しく強いため、支持梁220はセラミック電極200について構造的に張力緩和として機能する。電極200は処置される試験流体とともに直列容量回路を形成するように配列されていることに留意すべきである。図7に示される矢印Aは発生する電場の向きを表している。図8が示すのは、反対側の支持梁250であり、液密流体の通路の終点となる。図9を参照すると、電極200と支持梁220は筺体260(例えば1ないし1/4インチのPVC管)にはめられ、その筐体は高電圧の誘電エポキシ樹脂265でみたされている。陽極と陰極の高電圧ケーブルガイド270、275各々と流体チューブ接続金具280、285もまた完成形としてのHIE機器300(発明者によりアバティス(逆茂木)と名付けられている)を形成するために取り付けられる。
【0033】
処置対象のバクテリア懸濁液は、図示されている注入口チューブ接続金具280および排出口チューブ接続金具285に接続された輸送チューブを経由して、流体通路を通過した。図11に示されている陽極と陰極の高電圧線290、295各々は、陽極と陰極の高電圧ケーブルガイド270、275に接続され、システムを帯電させるための電機接続を形成する各個電極200における銀導電面210に直接接触するように固定される。図10が示すのは、平行板配列のような等価回路図310および説明文である。
【0034】
図11および図12はシステム設定一式350を示している。安全上の理由で、HIE機器300は高電圧誘電バルクヘッド(例えば、1/4インチのポリカーボネートプラスチックシート)の上に載せられており、120キロボルト直流電源310に接続されている。流体提供用の第一600ミリリットルビーカ320がHIE機器300の真上に置かれ、重力により、接種液が流体注入口280に注ぎ込まれ、HIE機器300を通過した。第二600ミリリットルビーカ325はHIE機器300より低い位置に置かれ、被験液が流体排出口285から排出されるようになっている。図13は、電源310とHIE機器300のための等価回路図360を示している。
【0035】
システムとバクテリアが接種された試験液を操作する前に、HIE機器300は無菌トリプシン大豆培養液で満たされ、その電気的特質は計測されていた。表1は予測値と計測値を示している。
【表1】
1マイクロ秒パルス幅の間に、被験液にかかる最大電場は約8.5e+07ボルト/メートル(850キロボルト/センチメートル、著しく強い電場であることを表している)となった。しかし、HIE機器300にかかる電流は約4.5e-07アンペアとなり、発生した著しく強い電場から考えると著しく低い値を表している(この数字に過渡変位電流は含まれていない)。計測値は3回の独立した試験の平均値である。電源は切られ、HIE機器300は各計測の合間に完全に放電されていた。
【0036】
エレクトロポレーション試験のためのシステム350は、印加電圧(Φa)10キロボルトで操作された。この電圧で処置される接種液にかかる電場E1は7.82e+06Vm−1あるいは約78キロボルト/センチメートルとなった。大腸菌の物理的スケールにおいて、この電場は7.82ボルト/マイクロメートルに等しく、細胞膜エレクトロポレーション法の閾値として通常引用される膜貫通臨界電荷(例えばΦc≒1ボルト)を達成するに充分である。試験中HIE機器300に流れる電動電流(Ia)は約4.6e-08アンペア(0.046マイクロアンペア)であった。ケーブルや電源での損失を含まないHIE機器300のみの平均消費電力Pavgは約4.6e-04ワット(460マイクロワット)であった。被験液の量は600ミリリットルであり、貫流が終了するまでの総時間は約480秒なので、総エネルギ消費Utは約2.2e-01J(221ミリジュール)となり、これには1.75e-03 kJ/lRlog(1.75ジュール/リットルについての対数減少値)の比エネルギ消費Usが加えられている。
【0037】
流率が全過程時間で480秒を越えているのに対し、累積曝露時間(tx)は平均して約800ミリ秒であった。試験液に懸濁したバクテリアは38%減少(殺菌単位cfu/ml)した。対数減少値では約−0.21log10となる。前述の殺菌では、試験時間中に等間隔で平均して7回試料が採取されている。商用の殺菌目的とすれば、約−0.21log10の対数減少値は大して大きくないが、生細胞エレクトロポレーション法に適用される本発明の実施例の有効性を示すには意義ある数字である。可逆的エレクトロポレーション法(すなわち細胞膜透過性の一過性増加)の範囲については検出あるいは測定を行おうとはしなかったが、前述の効果の大きい殺菌および残存する対象バクテリアにおける電気透過化効果に変わりはない。
【0038】
エレクトロポレーションの機器、方法、理論の範囲に関して商業、学術および特許分野を調査すると、印加電圧、電場強度、波形、パルスレート、立ち上がり/減衰データ、配列、流量スキーム等々が明らかになった。現在および従来の技術は全て、直接に処置を受ける液体と接した低インピーダンス誘電電極を使用しており、その結果、等価回路、主として定常状態条件下の負荷抵抗を提供する(抵抗回路全てにキャパシタンスとインダクタンスの要素があるが、これらの回路要素はこの実施例においては関連しない)。以上のことは、臨床治療、研究室および商業におけるシステムに該当する。しかし、本発明の実施例は直列容量回路からなる。次の表は、エレクトロポレーション機器およびシステムを操作する際に測定された電気パラメータ臨界値の概観を表している(数値に幅があるものもあるが、有益な数字である)。
【表2】
【0039】
調査により収集されたデータは、広範囲に及び、可逆的(過渡透過化)および非可逆的(死滅)の双方のエレクトロポレーション効果、性質の異なる様々なバクテリアのタイプを包含し、また同軸(シリンダ状)および平行流体流路配列のシステム、並びにバッチ型および連続流スキームの双方も含んでいる。しかし、殺菌用の機器あるいは方法が必要とする比エネルギ消費Usはめったに言及されることはなかった(表2における最後の列)。発明者によって実施された調査では、通常、調査報告に対し外部の計算が必要とされるが、殺菌にかかるエネルギ消費量が示されているように極めて高いことは明らかである。これに対し、本実施例用に製造されたHIEエレクトロポレーション機器300は、約1.75e−03kJ/lRlogの比エネルギ(Us)を消費し、最小比エネルギ(Us)報告値よりも約4桁少なく、最大比エネルギ報告値(Us)よりも6桁少ない。このリットル・対数減少値あたりの低エネルギ消費は、本発明の実施例における高インピーダンスによるものであり、この分野での現在および従来の技術における流体/電極電気化学問題およびオーム熱が完全に解決されることに加えて、達成されるものである。
【0040】
本実施例においては、HIE機器300を帯電させる(電圧を加える)ために時不変直流電圧(矩形波パルス)が使用されているが、時可変(交流)印加電圧も使用可能であることを当業者であれば理解できる。また、平行板配列が直列容量配列に採用されたが、同軸(シリンダ直列容量)のような他の配列も同様に採用可能である。
【0041】
高インピーダンス電場発生を生体細胞のエレクトロポレーションに応用することに加えて、発明者は音響エネルギの応用とエレクトロポレーションとの間に一致する活動を発見した。音響エネルギは希望する手段のいずれにも応用可能である。例えば、音響エネルギを応用しうる例として、1)HIE機器300に取り付けられた圧電トランスデューサの活動が挙げられる。このHIE機器300は、印加される電場パルスと同時に、連続して、および/もしくはその後に続いて流路230あるいは隙間にある流体に音響エネルギを与えるような様式および設定となっている。また、2)誘電電極200自体の圧電反応の活動が挙げられる。この電極200で、バリア材として用いられる材料は適当な誘電性質を有し、圧電材料でもある。このような例において、音響エネルギが、電圧が印加されるのと(場所と時間の両方において)同時に、処置あるいは試験を受ける流体に与えられる。また、音響エネルギの応用の両手段とも一つのシステムで採用することが可能である。すなわち、圧電材料で形成された誘電電極は、電場と音響エネルギを被処置流体に同時に与えるように作動する。一方、もう一つの電気音響あるいは機械音響専用トランスデューサは、被処置流体に、印加される電場と同時に、連続して、および/もしくはその後に続いて音響エネルギを与えるように置かれ、設定されている。
【0042】
エレクトロポレーション中またはその直後に、生体細胞に対し、パルス状音響縦波を当てることにより、周期的な放射圧を細胞膜に与えられる。エレクトロポレーションは細胞膜に孔を生じるので、放射圧のはたらきにより、細胞膜の極軸に垂直な力が与えられ、細胞が変形する。細胞の慣性質量および上清の粘度に応じて、放射圧の影響を受けて極方向に扁平になる。細胞膜が極方向に扁平になるにつれ(極軸は放射圧のベクトルに平行である)、放射圧のベクトルと細胞膜の極軸に対する放射方向の間の入射角は徐々に小さくなる。すなわち、放射圧ベクトルに対してより垂直になり、従って、扁平化が進む。この扁平化プロセスは、放射圧が対抗する慣性力および粘力に負けて細胞が動き出すまで継続する。しかし、扁平化プロセスの間、細胞の配列に関連して、次の2つの内いずれか、あるいは両方が生じる。すなわち、1)細胞の内部容積の減少と2)細胞膜面積の(拡張による)増加が生じる。通常の平面縦波状音響放射圧による圧力は定常状態現象であり、従って平面化が一度生じると、その後、細胞の形は元に戻ろうとし、細胞全体は波面と共に動こうとする。しかし、音響エネルギがパルス状で、パルスレートが細胞の自動形状回復緩和時間よりも低い周波数である場合には、平面化および回復活動はパルスレートで進行する。変形は細胞の内部容積を周期的に増減させるため、結果としてポンプ動作になる。ポンプ動作により細胞質流体が細胞から押し出され、また細胞外流体(上清)が細胞内に注入される。この動作により、生体の死および/または代謝不活性化を導く細胞麻痺を速め、あるいは促進し、一定の電場強度および電場曝露時間に対する効率および/または殺菌を向上させる。
【0043】
本発明は、複数の実施例を参照して詳細に記述されているが、追加的な変形例および修正例が、以下の請求項に記述され、定義される本発明の範囲と精神に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】並列配列を備える本発明の第一の誘電構成を示す
【図2】円筒配列を備える本発明の第ニの誘電構成を示す
【図3】直列容量性回路を成形するよう配置された3誘電体部分を示す
【図4】図3の誘電配置と等価の回路を示す
【図5】それぞれの伝導性電極表面の一面が金属形成銀の薄い膜でコーティングされた2枚のチタン酸塩のセラミックの厚板を示す
【図6】流体流路を形成する空間を備えたポリカーボネート梁支持に装着された図5の電極の斜視図を示す
【図7】図6の電極の平面図を示す
【図8】図6および7で示された配置のもう一方に装着された、反対の梁支持を示す
【図9】本発明の高インピーダンスのE−電場デバイスの1つの構成を示す
【図10】図6および7の平行板配列のための等価回路図を示す
【図11】本発明の実施例による1つの典型的なシステム構成を示す
【図12】本発明の実施例による1つの典型的なシステム構成を示す
【図13】図11及び12で示された構成のための等価回路図を示す
【技術分野】
【0001】
本発明の実施例は、均一または不均一な電場を設けるあるいは発生させるため、時可変、時不変、パルス電位差を直列容量性回路に利用するシステムと関連しており、様々なアプリケーションにも使用されている。更に詳細には、この実施例は、双方の電極の間に使用される電位を分配または供給する直列容量性回路を形成するために配列ないしは構成され、特定の電気的特性を備えた誘電物質を使用し、結果として対象物質の中の(あるいは通過する)E−電場の濃縮をもたらす。
【背景技術】
【0002】
静電気、時可変、パルス電場は、磁界成分の有無にかかわらず、特定用途には弱いとか強すぎるとかに関係なく、広い応用範囲において様々な産業で使用されている。いくつかの現存する例では、本発明の実施例と共に時可変印加電圧が使用されており、B−磁場がE−電場を伴うように、電荷担体が実験室枠(lab frame)とは相対的に移動しているかもしれないが、しかしながら、本発明の実施例においてはE−電場だけが適している。E−電場の適用の例は次のようなものを含むが、下記に限定されるものではない:
・電気泳動(法):ゲル状および毛細血管型の両方は、懸濁媒体と負荷抵抗を通じた電流を使用し、DNA、蛋白質および他の分子の分化、個別化、分離のために使用される電場を立ち上げる。
・エレクトロポレーション(電気穿孔法、別名、電気化学透過化・electropermeabilization):多くの場合、様々な波形およびパルス繰返数のパルスの強電界は、生細胞被膜の絶縁破壊を引起すために使用され、可逆のおよび可逆でない穿孔(ポレーション)、および/またはトランスフェクション、低温殺菌あるいは殺菌の目的のため透過化の影響を及ぼす;そして
・電場流動分画(電場フロー分別・flow fractionation)(FFF、別名EFFF、μ−EFF、CyEFF、および他):対象液体から巨大分子および小粒子を、分離、断片化または分化するために流量と直交した電場を用いる。
【0003】
概して、E−電場の作用により支援または促進された一連の工程および反応効果は、電解強度の増加か、または逆に、規定の電解強度の印加電圧の減少により、促進あるいは向上させることが可能である。これは、誘電率の物質特性、体積低効率と最大許容電圧の関係のためであり、これらのパラメータの影響は、電界強度の区分回路素子、絶縁切断(破壊)、電場配列、電流、エネルギー消費に及ぶ。E−電場の影響か直接作用の下で進められる応用は、しばしば、望ましくないオーム加熱、電気化学(ファラデー電荷移動)、電解の二重層によってシールドされた電場、電極の分極およびエネルギー使用量の影響により制限されている。
【0004】
電流は、電気泳動、エレクトロポレーション(電気穿孔法)、作動媒体(通常は、液体またはゲルなどのアプリケーション)のオーム加熱または媒体/電極インタフェース(ファラデー電荷移動)での望ましくない電気化学による電場流量分別媒体中の規定の電界強度(filed intensity)の制限要因である。例としては、商業的等温殺菌(一般的に、パルス電場非熱低音殺菌またはPEFとして知られている)に臨床エレクトロポレーション(電気穿孔法)、最初に、生きた生体細胞のトランスフェクションに使用された)の処理を応用するため、過去20年以上に渡って多くの努力が費やされて来た。可逆エレクトロポレーション(電気穿孔法)は非致命的であり、適用された電界強度と露出時間の慎重な制御によって達成され、不可逆のエレクトロポレーション(電気穿孔法)が、細胞死、代謝的不活性化および細胞自然死により特徴付けられる。PEFシステムの低いインピーダンス性質により、露出した伝導性電極は、処理中の流体に直結され、パルス電圧波形は流体/電極インタフェースで、平均エネルギー、オーム加熱および望ましくない電気化学を減少する手段として使用された。電気泳動と電場流動分画(電場フロー分別・EFFF)方法およびデバイスについて同じことが言える。電界強度の増加は、処理の効率およびまたは割合を良くするが、電界強度を増加させるための手段として規定電圧の増加は電流過剰および関連したオーム加熱、望ましくない電気化学反応、また、上述の望ましくない反応をもたらす。EFFFの場合には、マイクロマシニングおよびマイクロエレクトロニクス技術を使用した最近の努力により流路の高さが減少され、その結果、効果的に電極間の電場次元が減少されるため、電流流量を緩和する間に電界強度を増加させる。E−電界強度を増加した後に印加電圧の増加、そして/または電極間の間隔の減少、作動媒体の絶縁破壊もまた必要であり、全てのアプリケーションにおいて追加限定的要素がガス、液体、固体であるかを問わない。
【0005】
従来の伝導性電極と処置中の媒体の間に一般的な誘電性物質をコーティングまたは並置すると、より高電圧の利用が可能となり、より高いE−電解強度を含むが、効果は使用されている誘電物質よりはるかに大きな電圧低下により相殺され、結果として、処理中媒体のE−電場を低下させる。これは電圧低下により生じるため、結果として、E−電場は分離されるか、あるいは直列容量性回路に分配される。
【0006】
前のシステムおよび方法の望ましくない効果を著しく軽減または完全に解決する、E−電場を発生させるシステムの開発が有利となる。
【0007】
本発明の一つの実施例は、電場を発生させる高インピーダンスシステムを含むものであり、以下の構成から成る:それぞれの電極の少なくとも一つの表面が伝導体でコーティングされた誘電性物質を含む一組の電極と;該誘電体は、処理中の対象流体から導電層を分離するバリアを形成するここと;伝導体が電極表面にあり、流路または空間の中の流体に接しない一組の電極間に形成された流体流路または空間と;電極を通じて(across the electrodes)使用された時可変、時不変、あるいはパルス電圧源と;前述の一対の電極を含むハウジングであって、前述のハウジングは前述の流路または空間に、対象の静的または動的流体を保持するように構成されている;
【0008】
本発明の実施例の一つの方法は、電場への流体を対象とする方法を含むものであり、以下の構成から成る:前述の電極は誘電体を含むそれぞれの電極の少なくとも一つの表面が伝導体でコーティングされた一対の電極の間に流体流路を形成し、前述の誘電体は流体流路(の中)ではなく電極表面に設けられている;流路に対象の静的または動的流体を保持するように、前述の電極をハウジングする;誘電体でコーティングされたそれぞれの電極表面に時可変、時不変、またはパルス電圧源を使用することにより電場を作り出す;流体が流体流路に入ることにより、前述の流体は電場に晒される。
【0009】
E−電場を発生させる方法およびシステムは、3つの必須物質特性を備える高インピーダンス誘電体を利用する:高誘電率(ε)、高体積抵抗率(ρ)、および最大許容電場応力(φ)直列容量回路で分割または分配された電場を利用した物理的配列からなる。
【0010】
本発明の他のバリエーション、実施例および特徴は、以下の詳述と、図面および請求項から明らかにされる。
図面の簡単な説明
【0011】
図1は、並列配列を備える本発明の第一の誘電構成を示す;
【0012】
図2は、円筒配列を備える本発明の第ニの誘電構成を示す;
【0013】
図3は、直列容量性回路を成形するよう配置された3誘電体部分を示す;
【0014】
図4は、図3の誘電配置と等価の回路を示す;
【0015】
図5は、それぞれの伝導性電極表面の一面が金属形成銀の薄い膜でコーティングされた2枚のチタン酸塩のセラミックの厚板を示す。;
【0016】
図6は、流体流路を形成する空間を備えたポリカーボネート梁支持に装着された図5の電極の斜視図を示す;
【0017】
図7は、図6の電極の平面図を示す;
【0018】
図8は、図6および7で示された配置のもう一方に装着された、反対の梁支持を示す;
【0019】
図9は、本発明の高インピーダンスのE−電場デバイスの1つの構成を示す;
【0020】
図10は、図6および7の平行板配列のための等価回路図を示す;
【0021】
図11及び12は、本発明の実施例による1つの典型的なシステム構成を示す;そして
【0022】
図13は、図11及び12で示された構成のための等価回路図を示す;
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の実施例に従った原理の理解を促進するため、図面に描かれた実施例が参照され、特定の言語が同実施例を記述するために使用される。しかし、そのことにより本発明の範囲が制限されることは意図されていないと理解される。ここで図示される発明の特徴を修正したり、更に変更したり、また図示される発明の原理を追加的に応用することは、当業者およびこの発明の権利者が通常に発想するものである限り、本発明の請求の範囲にあるとみなされるべきである。
【0024】
本発明の実施例として多くの応用が考えられるが、ここでは生物学的細胞エレクトロポレーション法(電気穿孔法)に関する実施例が記述される。エレクトロポレーション法(電気穿孔法)という用語は、特許文献や学術文献においては電気透過化という語が用いられることもあるが、生体細胞の細胞膜における電場の活動に関連する現象を意味するものとして広く使用されている。液体電解質に浮遊する細胞のエレクトロポレーション法は細胞生物学、遺伝子工学、薬物治療、あるいは殺菌や減菌のような生物工学による処理の文脈において重要である。電場強度、曝露時間および波形に応じて、印加電場は、可逆的あるいは非可逆的な孔形成のいずれもが可能であり、また、バクテリア、菌類、胞子、ウイルスおよび哺乳類動物の細胞(体細胞)を包含する脂質細胞膜に構造上の傷を発生させることができる。可逆的エレクトロポレーション法の場合、その現象には細胞膜の拡散透過性における過渡電流が増加する特徴がある。この現象はDNA、薬物、色素、蛋白質、ぺプチド、その他の分子でのトランスフェクションに数十年間利用されてきた。印加電場が膜貫通臨界電圧(Φc=多くのバクテリアにとっては1ボルト)を生じさせ、充分な時間が経つと、孔形成および他の細胞膜の傷は不可逆的なものになり、細胞死および/または永続的代謝不活性化、すなわち殺菌や減菌を引き起こす。
【0025】
臨床治療および研究で使用されるエレクトロポレーションの機器および方法は数十年間使用されてきており、容易に購入でき、少量(通常1マイクロリットルから100ミリリットル)のトランスフェクションや、殺菌、減菌に使用される。過去20年間かけて多くの努力が払われ、これらの臨床治療・研究用の方法を、少量ではなく継続的な高流量率が要求される商業的応用に適合させるようにしてきた。多くの機器や方法が提案され、実践され、特許を取得してきたが、現在技術、先行技術の全てに共通するのは、低インピーダンス導電電極を、処置される液体に直接的に接触させて使用することである。このことから、定常モードにおける抵抗回路網にそのような機器向けの等価回路が提供されるが、付随して電流、オーム加熱、界面電荷移動、二重層形成、電気化学反応、過剰電力消費が必然的変数要素として発生する。これらの負荷抵抗パラメータを理由として、従来のエレクトロポレーション機器で用いられてきたパルス波形が広く一般的に使用されてきた。パルス波形(PEF(パルス電界)という用語があてられることもある)を使用することで、単極、双極あるいは他の形であっても、また立ち上がり時間、減衰時間に関係なく、この分野における現在技術および先行技術で一般的な低インピーダンス抵抗回路網における前述の望ましくない効果を軽減させる。これらの技術を商用的殺菌に応用しようとする場合、オーム加熱、望ましくない電気化学反応、および過剰電力消費が特に問題となる。
【0026】
本発明者による発明、名付けて(造語)高インピーダンスエレクトロポレーション法(High Impedance Electroporation)(以下、HIEと略す)は、望ましくない効果の多くを軽減させるのと同時に、一括処理の応用および継続流率の高い応用の両方における従来のシステムおよび方法と同等、あるいはそれ以上に効果的であることが判明する。
【0027】
図1、2が示すのは並列誘電構成100と円筒誘電構成150であり、各々は本発明の方法の実施を容易にするために使用されうる。各構成が示しているのは誘電物質105、155、電気誘導被膜110、160および試験ないし電場の影響を受ける物質115、165である。
【0028】
本発明の実施を容易にするために使用される直列回路を構成する静電容量要素では、電荷は移動せず、また電位勾配(電圧降下)は、電場とともに、回路の構成各部での電荷緩和ではなく各誘電率に応じて分布する。図3が表すのは、3つの誘電部170、175、180であり、これらは直列静電容量回路125を構成するように配列されている。各誘電部における電場130、135は特定されている。図4は回路図140を表し、図3における回路125を説明している。
【0029】
図3に図示されている配列を検討すると、パルス(階段関数)の過渡応答中において、誘電部Ci170とCi180の誘電率がC1175よりも著しく高ければ、Ci170とCi180における電位および電場は、C1175における電位および電場に比べ、とても小さくなる。この関係は中央部(この例におけるC1175)に電場を発生させる電位勾配を効果的に集中させる。同関係は2、4、あるいは複数の誘電部を配列する構成の回路に適用される。結果として、現在・従来技術による方法および機器よりも著しく高い電圧を試験あるいは処置を受ける材料にかけることが可能となる。更に、抵抗率の高い誘電電極を使用することで、電極接触面における望ましくない電気化学反応を予防するだけでなく、電流・オーム加熱、電力消費を削減する。
【0030】
本発明者は本発明の実施例の有効性を非公開実験において実証した。以下で記述されるのは、使用されるシステムと方法論を含む実験である。しかし、本発明の範囲が実験において使用されるシステムおよび/または方法論に制限されないことは、当業者に理解されるだろう。
【0031】
図5には、二鉛マグネシウムチタン酸塩セラミックによって調製された二つの高インピーダンス誘電電極200が示されている。誘電率の高い微粒子/エポキシ樹脂合成物またはこれと性質の類似する材料のような他の材料もまた利用可能である。2枚のチタン酸塩セラミック厚板200は、一側面が誘電面210となる銀箔で覆われている。実施例において、電極は奥行き10mm、幅10mm、高さ10mmの寸法となっており、誘電セラミックは以下の電気材料的性質を有している。
・誘電率:5.3e−08[Fm−1](比誘電率εr=6,000)
・体積抵抗率:≒1012[Ω−cm]
・最大許容電圧:9.0e+06[Vm−1]
【0032】
図6、7で示されるように、電極200はポリカーボネート製支持梁220に取り付けられる。支持梁220には、流体流路230となる空間があり、その寸法は深さ1mm、幅10mm、長さ100mm、あるいは体積1000ミリ立方メートルまたは1ミリリットルである。流体ポート225から対象となる流体が流入、流出できる。システムが帯電したときに電極200の間の電場から受ける引力が著しく強いため、支持梁220はセラミック電極200について構造的に張力緩和として機能する。電極200は処置される試験流体とともに直列容量回路を形成するように配列されていることに留意すべきである。図7に示される矢印Aは発生する電場の向きを表している。図8が示すのは、反対側の支持梁250であり、液密流体の通路の終点となる。図9を参照すると、電極200と支持梁220は筺体260(例えば1ないし1/4インチのPVC管)にはめられ、その筐体は高電圧の誘電エポキシ樹脂265でみたされている。陽極と陰極の高電圧ケーブルガイド270、275各々と流体チューブ接続金具280、285もまた完成形としてのHIE機器300(発明者によりアバティス(逆茂木)と名付けられている)を形成するために取り付けられる。
【0033】
処置対象のバクテリア懸濁液は、図示されている注入口チューブ接続金具280および排出口チューブ接続金具285に接続された輸送チューブを経由して、流体通路を通過した。図11に示されている陽極と陰極の高電圧線290、295各々は、陽極と陰極の高電圧ケーブルガイド270、275に接続され、システムを帯電させるための電機接続を形成する各個電極200における銀導電面210に直接接触するように固定される。図10が示すのは、平行板配列のような等価回路図310および説明文である。
【0034】
図11および図12はシステム設定一式350を示している。安全上の理由で、HIE機器300は高電圧誘電バルクヘッド(例えば、1/4インチのポリカーボネートプラスチックシート)の上に載せられており、120キロボルト直流電源310に接続されている。流体提供用の第一600ミリリットルビーカ320がHIE機器300の真上に置かれ、重力により、接種液が流体注入口280に注ぎ込まれ、HIE機器300を通過した。第二600ミリリットルビーカ325はHIE機器300より低い位置に置かれ、被験液が流体排出口285から排出されるようになっている。図13は、電源310とHIE機器300のための等価回路図360を示している。
【0035】
システムとバクテリアが接種された試験液を操作する前に、HIE機器300は無菌トリプシン大豆培養液で満たされ、その電気的特質は計測されていた。表1は予測値と計測値を示している。
【表1】
1マイクロ秒パルス幅の間に、被験液にかかる最大電場は約8.5e+07ボルト/メートル(850キロボルト/センチメートル、著しく強い電場であることを表している)となった。しかし、HIE機器300にかかる電流は約4.5e-07アンペアとなり、発生した著しく強い電場から考えると著しく低い値を表している(この数字に過渡変位電流は含まれていない)。計測値は3回の独立した試験の平均値である。電源は切られ、HIE機器300は各計測の合間に完全に放電されていた。
【0036】
エレクトロポレーション試験のためのシステム350は、印加電圧(Φa)10キロボルトで操作された。この電圧で処置される接種液にかかる電場E1は7.82e+06Vm−1あるいは約78キロボルト/センチメートルとなった。大腸菌の物理的スケールにおいて、この電場は7.82ボルト/マイクロメートルに等しく、細胞膜エレクトロポレーション法の閾値として通常引用される膜貫通臨界電荷(例えばΦc≒1ボルト)を達成するに充分である。試験中HIE機器300に流れる電動電流(Ia)は約4.6e-08アンペア(0.046マイクロアンペア)であった。ケーブルや電源での損失を含まないHIE機器300のみの平均消費電力Pavgは約4.6e-04ワット(460マイクロワット)であった。被験液の量は600ミリリットルであり、貫流が終了するまでの総時間は約480秒なので、総エネルギ消費Utは約2.2e-01J(221ミリジュール)となり、これには1.75e-03 kJ/lRlog(1.75ジュール/リットルについての対数減少値)の比エネルギ消費Usが加えられている。
【0037】
流率が全過程時間で480秒を越えているのに対し、累積曝露時間(tx)は平均して約800ミリ秒であった。試験液に懸濁したバクテリアは38%減少(殺菌単位cfu/ml)した。対数減少値では約−0.21log10となる。前述の殺菌では、試験時間中に等間隔で平均して7回試料が採取されている。商用の殺菌目的とすれば、約−0.21log10の対数減少値は大して大きくないが、生細胞エレクトロポレーション法に適用される本発明の実施例の有効性を示すには意義ある数字である。可逆的エレクトロポレーション法(すなわち細胞膜透過性の一過性増加)の範囲については検出あるいは測定を行おうとはしなかったが、前述の効果の大きい殺菌および残存する対象バクテリアにおける電気透過化効果に変わりはない。
【0038】
エレクトロポレーションの機器、方法、理論の範囲に関して商業、学術および特許分野を調査すると、印加電圧、電場強度、波形、パルスレート、立ち上がり/減衰データ、配列、流量スキーム等々が明らかになった。現在および従来の技術は全て、直接に処置を受ける液体と接した低インピーダンス誘電電極を使用しており、その結果、等価回路、主として定常状態条件下の負荷抵抗を提供する(抵抗回路全てにキャパシタンスとインダクタンスの要素があるが、これらの回路要素はこの実施例においては関連しない)。以上のことは、臨床治療、研究室および商業におけるシステムに該当する。しかし、本発明の実施例は直列容量回路からなる。次の表は、エレクトロポレーション機器およびシステムを操作する際に測定された電気パラメータ臨界値の概観を表している(数値に幅があるものもあるが、有益な数字である)。
【表2】
【0039】
調査により収集されたデータは、広範囲に及び、可逆的(過渡透過化)および非可逆的(死滅)の双方のエレクトロポレーション効果、性質の異なる様々なバクテリアのタイプを包含し、また同軸(シリンダ状)および平行流体流路配列のシステム、並びにバッチ型および連続流スキームの双方も含んでいる。しかし、殺菌用の機器あるいは方法が必要とする比エネルギ消費Usはめったに言及されることはなかった(表2における最後の列)。発明者によって実施された調査では、通常、調査報告に対し外部の計算が必要とされるが、殺菌にかかるエネルギ消費量が示されているように極めて高いことは明らかである。これに対し、本実施例用に製造されたHIEエレクトロポレーション機器300は、約1.75e−03kJ/lRlogの比エネルギ(Us)を消費し、最小比エネルギ(Us)報告値よりも約4桁少なく、最大比エネルギ報告値(Us)よりも6桁少ない。このリットル・対数減少値あたりの低エネルギ消費は、本発明の実施例における高インピーダンスによるものであり、この分野での現在および従来の技術における流体/電極電気化学問題およびオーム熱が完全に解決されることに加えて、達成されるものである。
【0040】
本実施例においては、HIE機器300を帯電させる(電圧を加える)ために時不変直流電圧(矩形波パルス)が使用されているが、時可変(交流)印加電圧も使用可能であることを当業者であれば理解できる。また、平行板配列が直列容量配列に採用されたが、同軸(シリンダ直列容量)のような他の配列も同様に採用可能である。
【0041】
高インピーダンス電場発生を生体細胞のエレクトロポレーションに応用することに加えて、発明者は音響エネルギの応用とエレクトロポレーションとの間に一致する活動を発見した。音響エネルギは希望する手段のいずれにも応用可能である。例えば、音響エネルギを応用しうる例として、1)HIE機器300に取り付けられた圧電トランスデューサの活動が挙げられる。このHIE機器300は、印加される電場パルスと同時に、連続して、および/もしくはその後に続いて流路230あるいは隙間にある流体に音響エネルギを与えるような様式および設定となっている。また、2)誘電電極200自体の圧電反応の活動が挙げられる。この電極200で、バリア材として用いられる材料は適当な誘電性質を有し、圧電材料でもある。このような例において、音響エネルギが、電圧が印加されるのと(場所と時間の両方において)同時に、処置あるいは試験を受ける流体に与えられる。また、音響エネルギの応用の両手段とも一つのシステムで採用することが可能である。すなわち、圧電材料で形成された誘電電極は、電場と音響エネルギを被処置流体に同時に与えるように作動する。一方、もう一つの電気音響あるいは機械音響専用トランスデューサは、被処置流体に、印加される電場と同時に、連続して、および/もしくはその後に続いて音響エネルギを与えるように置かれ、設定されている。
【0042】
エレクトロポレーション中またはその直後に、生体細胞に対し、パルス状音響縦波を当てることにより、周期的な放射圧を細胞膜に与えられる。エレクトロポレーションは細胞膜に孔を生じるので、放射圧のはたらきにより、細胞膜の極軸に垂直な力が与えられ、細胞が変形する。細胞の慣性質量および上清の粘度に応じて、放射圧の影響を受けて極方向に扁平になる。細胞膜が極方向に扁平になるにつれ(極軸は放射圧のベクトルに平行である)、放射圧のベクトルと細胞膜の極軸に対する放射方向の間の入射角は徐々に小さくなる。すなわち、放射圧ベクトルに対してより垂直になり、従って、扁平化が進む。この扁平化プロセスは、放射圧が対抗する慣性力および粘力に負けて細胞が動き出すまで継続する。しかし、扁平化プロセスの間、細胞の配列に関連して、次の2つの内いずれか、あるいは両方が生じる。すなわち、1)細胞の内部容積の減少と2)細胞膜面積の(拡張による)増加が生じる。通常の平面縦波状音響放射圧による圧力は定常状態現象であり、従って平面化が一度生じると、その後、細胞の形は元に戻ろうとし、細胞全体は波面と共に動こうとする。しかし、音響エネルギがパルス状で、パルスレートが細胞の自動形状回復緩和時間よりも低い周波数である場合には、平面化および回復活動はパルスレートで進行する。変形は細胞の内部容積を周期的に増減させるため、結果としてポンプ動作になる。ポンプ動作により細胞質流体が細胞から押し出され、また細胞外流体(上清)が細胞内に注入される。この動作により、生体の死および/または代謝不活性化を導く細胞麻痺を速め、あるいは促進し、一定の電場強度および電場曝露時間に対する効率および/または殺菌を向上させる。
【0043】
本発明は、複数の実施例を参照して詳細に記述されているが、追加的な変形例および修正例が、以下の請求項に記述され、定義される本発明の範囲と精神に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】並列配列を備える本発明の第一の誘電構成を示す
【図2】円筒配列を備える本発明の第ニの誘電構成を示す
【図3】直列容量性回路を成形するよう配置された3誘電体部分を示す
【図4】図3の誘電配置と等価の回路を示す
【図5】それぞれの伝導性電極表面の一面が金属形成銀の薄い膜でコーティングされた2枚のチタン酸塩のセラミックの厚板を示す
【図6】流体流路を形成する空間を備えたポリカーボネート梁支持に装着された図5の電極の斜視図を示す
【図7】図6の電極の平面図を示す
【図8】図6および7で示された配置のもう一方に装着された、反対の梁支持を示す
【図9】本発明の高インピーダンスのE−電場デバイスの1つの構成を示す
【図10】図6および7の平行板配列のための等価回路図を示す
【図11】本発明の実施例による1つの典型的なシステム構成を示す
【図12】本発明の実施例による1つの典型的なシステム構成を示す
【図13】図11及び12で示された構成のための等価回路図を示す
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電場を発生させる高インピーダンスシステムは:
それぞれの電極の少なくとも一つの表面が導電性材料でコーティングされた誘電性物質を含む一組の電極からなり、前記誘電体は、処理中の対象流体から導電層を分離するバリアを形成するとともに;
伝導体が電極表面にあって、流路または空間の中の流体に接しない一組の電極間に流体流路または空き領域が形成され;
電極を通じて使用された時可変、時不変、あるいはパルス電圧源と;
一対の電極を含むハウジング、該ハウジングが前述の流路または空間に、対象静的または動的流体を保持するように形成されていることを特徴とする電場を発生させる高インピーダンスシステム。
【請求項2】
前記導電体は、8.8e−11Fm−1@≦1.0KHzより高い静的誘電率、1.0E+04Ωcmより高い体積抵抗率、1.0kVmm−1より高い最大許容電圧を集合的に備えることを特徴とする請求項1記載の電場を発生させる高インピーダンスシステム。
【請求項3】
前記電極は、細長く、断面において正方形で、平行に配列されていることを特徴とする請求項1記載の電場を発生させる高インピーダンスシステム。
【請求項4】
前記電極の間は、流体流路または空間にあることを特徴とする請求項3記載の電場を発生させる高インピーダンスシステム。
【請求項5】
前記電極は、異なる口径からなる細長いチューブであることを特徴とする請求項1記載の電場を発生させる高インピーダンスシステム。
【請求項6】
前記電極は、電極の間に環状の流体流路または空間を形成するため、より大きな直径の電極の内側により小さな直径の電極が設置されるように電極が同軸形状に配置されていることを特徴とする請求項5記載の電場を発生させる高インピーダンスシステム。
【請求項7】
前記大口径の電極の外表面と小口径の電極の内表面は、伝導性素材でコーティングされていることを特徴とする請求項6記載の電場を発生させる高インピーダンスシステム。
【請求項8】
前記誘電体バリア材は、高誘電率セラミック、微粒子/エポキシ複合材、または他の適切な誘電体であることを特徴とする請求項1記載の電場を発生させる高インピーダンスシステム。
【請求項9】
前期被検中または処理中の流体は、液体、ガスあるいは固体相であることを特徴とする請求項1記載の電場を発生させる高インピーダンスシステム。
【請求項10】
前記電場を発生させる高インピーダンスシステムは、対象流体にパルス音響エネルギーを適用するための手段をさらに含む構成であることを特徴とする請求項1記載の電場を発生させる高インピーダンスシステム。
【請求項11】
前記電場を発生させる高インピーダンスシステムは、対象流体に音響エネルギーを適用することができる電気音響あるいは機械音響専用(mechanoacoustic)トランスデューサをさらに含む構成であることを特徴とする請求項1記載の電場を発生させる高インピーダンスシステム。
【請求項12】
前記電極は、対象流体に音響エネルギーを適用することができる電圧素材(piezoelectric material)によって構成されていることを特徴とする請求項1記載の電場を発生させる高インピーダンスシステム。
【請求項13】
電場を発生させる高インピーダンスシステムは:
それぞれの電極の少なくとも一つの表面が導電性材料でコーティングされた誘電性物質を含む一組の電極からなり、前期誘電体は、被検中または処理中の対象流体から導電層を分離するバリアを形成し、8.8e−11Fm−1@≦1.0KHzより高い誘電率、1.0E+04Ωcmより高い体積抵抗率、1.0kVmm−1より高い最大許容電圧を備えるとともに、
伝導体が電極表面にあって、流路または空間の中の流体に接しない一組の電極間に流体流路または空間が形成され;
電極を通じて使用された時可変、時不変、あるいはパルス電圧源と;
前記流体にあり、被検中または処理中で電場を集中または強化する流体を備える最大容量電圧を生じる平行または同軸形状に配列された誘電体と
一対の電極を含むハウジング、該ハウジングが前述の流路または空間に、対象静的または動的流体を保持するように形成されていることを特徴とする電場を発生させる高インピーダンスシステム。
【請求項14】
前記誘電性バリア物質は、流体/電極インタフェースで実質的にファラデー電流および電気化学を防ぐため電気的導電層から流体を絶縁(insulate)することを特徴とする請求項13記載の電場を発生させる高インピーダンスシステム。
【請求項15】
前記誘電バリア材は、システム、オーム加熱の、を通して電子およびイオン伝導電気を本質的に防ぐ誘電性コーティングから流体を絶縁することを特徴とする請求項13記載の電場を発生させる高インピーダンスシステム。
【請求項16】
前記電場を発生させる高インピーダンスシステムは、更にパルス化された音響エネルギーを対象流体に電場の処理またはテストとして適用する装置であって、該音響エネルギーは同時の時間または空間と時間と空間に連結し、結果として時間と空間を電場に印加することを特徴とする請求項13記載の電場を発生させる高インピーダンスシステム。
【請求項17】
前記電場を発生させる高インピーダンスシステムは、対象流体に音響エネルギーを適用するのに操作可能な電気音響あるいは機械音響専用変換器で構成されていることを特徴とする請求項1記載の高インピーダンスシステム。
【請求項18】
前記電極は、対象流体に音響エネルギーを適用するのに操作可能な電圧体に作り上げられることを特徴とする請求項1記載の高インピーダンスシステム。
【請求項19】
電場への流体を対象とする方法は
誘電体を含む電極がそれぞれの電極の少なくとも一つの表面を電気性伝導体でコーティングされた一対の電極の間に流体流路または空間を形成し、前述の誘電体は、処理またはテスト過程の対象流体から導電層を分離するバリアを形成するとともに、電極表面に設けられている前述の誘電体は,流体流路または空間で対象流体と接触していない状態で;
流路に対象静的または前述の流路またはスペース内に静的または動的状態で対象流体を保持するように、前述の電極をハウジングし;
誘電体でコーティングされたそれぞれの電極表面に時可変、時不変、またはパルス電圧源を使用することにより流体流路または空間内の流体を通って、または渡って電場を作り出す;
流体が流体流路または空間に入ることにより、前述の対象流体は電場に晒らされ、それにより処理されテストされることを特徴とする電場を発生させる高インピーダンス方法。
【請求項20】
前記電場を発生させる高インピーダンス方法は、更に、8.8e−11Fm−1@≦1.0KHzより高い誘電率、1.0E+04Ωcm以上のボリューム抵抗力および、.0kVmm−1以上の最大容量電場応力、従って、電気的に対象流体を絶縁し、それによって、ファラデー電流、電気伝導電流および流体/電極インターフェース、同様にテストまたは処理過程の対象物質を通してのオーム加熱を有した誘電電極を選択することを含むことを特徴とする請求項19記載の電場を発生させる高インピーダンス方法。
【請求項21】
前記電場を発生させる高インピーダンス方法は、更に、流動物の通り道または二つの平行に延長された電極で形成される2つの誘導電極で構成され、2の間の流体流路またはスペースを形成する2つの誘電性の電極をさらに含む並列の請求項19記載の方法であって、そこで電極は、正方形または長方形の断面図を有しており、平行電極回路図は、対象流体を備えた直列容量回路で形成され、それによって、対象流体を通して電場を増加させるか集中させることを特徴とする請求項19記載の前記電場を発生させる高インピーダンス方法。
【請求項22】
前記電場を発生させる高インピーダンス方法は、更に、流動物の通り道または電極を同軸状に配列する二つの管の間の領域で形成される2つの誘導電極で構成され、および前述の同軸の電極回路図は、対象流体を備えた直列容量回路を形成し、それによって、テストまたは処理過程の物質を通して電場を増加させるか集中させることを特徴とする請求項19記載の電場を発生させる高インピーダンス方法。
【請求項23】
前記電場を発生させる高インピーダンス方法は、処理過程あるいは液体、ガスあるいは固体内でのテスト過程の液体で構成されることを特徴とする請求項19記載のシステム。
【請求項24】
前記電場を発生させる高インピーダンス方法は、電場の応用の結果、連続して、同時に処理またはテスト過程の対象流体に音響エネルギーを応用することで構成されることを特徴とする請求項19記載の前記電場を発生させる高インピーダンス方法。
【請求項25】
対象流体の電場への露出の高インピーダンス方法は:
前述の電極は誘電体を含むそれぞれの電極の少なくとも一つの表面が電気性伝導体でコーティングされた一対の電極の間に流体流路または空間を形成し、前述の誘電体は、処理またはテスト過程の対象流体から導電層を分離するバリアを形成し、電極表面に設けられている前述の誘電体は, 流体流路または空間で対象流体と接触していなく;
前述の流路またはスペース内に静的または動的状態で対象流体を保持するように、前述の電極をハウジングする;
電極を通じて使用された時可変、時不変、あるいはパルス電圧源と;
前記流体にあり、被検中または処理中で電場を集中または強化する流体を備える最大容量電圧を生じる平行または同軸形状に配列された誘電体と
また、流体が流体流路または空間に入ることにより、前述の対象流体は電場に晒らされる
ことからなることを特徴とする対象流体の電場への露出の高インピーダンス方法。
【請求項26】
前記対象流体の電場への露出の高インピーダンス方法は、誘電性コーティングから流体を絶縁し、従って、ファラデー電流、電気伝導電流、および流体/電極インターフェースの電気化学を本質的に防ぐ誘電体で構成されることを特徴とする請求項25記載の対象流体の電場への露出の高インピーダンス方法。
【請求項27】
前記対象流体の電場への露出の高インピーダンス方法は、更に、高誘電率セラミックである誘電体、微粒子/エポキシ樹脂合成物、あるいは他の適切な材料で構成されることを特徴とする請求項25記載の対象流体の電場への露出の高インピーダンス方法。
【請求項28】
前記対象流体の電場への露出の高インピーダンス方法は、流体への音響エネルギーの応用、および/もしくは電場の応用の結果、連続して、同時に応用される前述の音響エネルギーで構成されることを特徴とする請求項25記載の対象流体の電場への露出の高インピーダンス方法。
【請求項1】
電場を発生させる高インピーダンスシステムは:
それぞれの電極の少なくとも一つの表面が導電性材料でコーティングされた誘電性物質を含む一組の電極からなり、前記誘電体は、処理中の対象流体から導電層を分離するバリアを形成するとともに;
伝導体が電極表面にあって、流路または空間の中の流体に接しない一組の電極間に流体流路または空き領域が形成され;
電極を通じて使用された時可変、時不変、あるいはパルス電圧源と;
一対の電極を含むハウジング、該ハウジングが前述の流路または空間に、対象静的または動的流体を保持するように形成されていることを特徴とする電場を発生させる高インピーダンスシステム。
【請求項2】
前記導電体は、8.8e−11Fm−1@≦1.0KHzより高い静的誘電率、1.0E+04Ωcmより高い体積抵抗率、1.0kVmm−1より高い最大許容電圧を集合的に備えることを特徴とする請求項1記載の電場を発生させる高インピーダンスシステム。
【請求項3】
前記電極は、細長く、断面において正方形で、平行に配列されていることを特徴とする請求項1記載の電場を発生させる高インピーダンスシステム。
【請求項4】
前記電極の間は、流体流路または空間にあることを特徴とする請求項3記載の電場を発生させる高インピーダンスシステム。
【請求項5】
前記電極は、異なる口径からなる細長いチューブであることを特徴とする請求項1記載の電場を発生させる高インピーダンスシステム。
【請求項6】
前記電極は、電極の間に環状の流体流路または空間を形成するため、より大きな直径の電極の内側により小さな直径の電極が設置されるように電極が同軸形状に配置されていることを特徴とする請求項5記載の電場を発生させる高インピーダンスシステム。
【請求項7】
前記大口径の電極の外表面と小口径の電極の内表面は、伝導性素材でコーティングされていることを特徴とする請求項6記載の電場を発生させる高インピーダンスシステム。
【請求項8】
前記誘電体バリア材は、高誘電率セラミック、微粒子/エポキシ複合材、または他の適切な誘電体であることを特徴とする請求項1記載の電場を発生させる高インピーダンスシステム。
【請求項9】
前期被検中または処理中の流体は、液体、ガスあるいは固体相であることを特徴とする請求項1記載の電場を発生させる高インピーダンスシステム。
【請求項10】
前記電場を発生させる高インピーダンスシステムは、対象流体にパルス音響エネルギーを適用するための手段をさらに含む構成であることを特徴とする請求項1記載の電場を発生させる高インピーダンスシステム。
【請求項11】
前記電場を発生させる高インピーダンスシステムは、対象流体に音響エネルギーを適用することができる電気音響あるいは機械音響専用(mechanoacoustic)トランスデューサをさらに含む構成であることを特徴とする請求項1記載の電場を発生させる高インピーダンスシステム。
【請求項12】
前記電極は、対象流体に音響エネルギーを適用することができる電圧素材(piezoelectric material)によって構成されていることを特徴とする請求項1記載の電場を発生させる高インピーダンスシステム。
【請求項13】
電場を発生させる高インピーダンスシステムは:
それぞれの電極の少なくとも一つの表面が導電性材料でコーティングされた誘電性物質を含む一組の電極からなり、前期誘電体は、被検中または処理中の対象流体から導電層を分離するバリアを形成し、8.8e−11Fm−1@≦1.0KHzより高い誘電率、1.0E+04Ωcmより高い体積抵抗率、1.0kVmm−1より高い最大許容電圧を備えるとともに、
伝導体が電極表面にあって、流路または空間の中の流体に接しない一組の電極間に流体流路または空間が形成され;
電極を通じて使用された時可変、時不変、あるいはパルス電圧源と;
前記流体にあり、被検中または処理中で電場を集中または強化する流体を備える最大容量電圧を生じる平行または同軸形状に配列された誘電体と
一対の電極を含むハウジング、該ハウジングが前述の流路または空間に、対象静的または動的流体を保持するように形成されていることを特徴とする電場を発生させる高インピーダンスシステム。
【請求項14】
前記誘電性バリア物質は、流体/電極インタフェースで実質的にファラデー電流および電気化学を防ぐため電気的導電層から流体を絶縁(insulate)することを特徴とする請求項13記載の電場を発生させる高インピーダンスシステム。
【請求項15】
前記誘電バリア材は、システム、オーム加熱の、を通して電子およびイオン伝導電気を本質的に防ぐ誘電性コーティングから流体を絶縁することを特徴とする請求項13記載の電場を発生させる高インピーダンスシステム。
【請求項16】
前記電場を発生させる高インピーダンスシステムは、更にパルス化された音響エネルギーを対象流体に電場の処理またはテストとして適用する装置であって、該音響エネルギーは同時の時間または空間と時間と空間に連結し、結果として時間と空間を電場に印加することを特徴とする請求項13記載の電場を発生させる高インピーダンスシステム。
【請求項17】
前記電場を発生させる高インピーダンスシステムは、対象流体に音響エネルギーを適用するのに操作可能な電気音響あるいは機械音響専用変換器で構成されていることを特徴とする請求項1記載の高インピーダンスシステム。
【請求項18】
前記電極は、対象流体に音響エネルギーを適用するのに操作可能な電圧体に作り上げられることを特徴とする請求項1記載の高インピーダンスシステム。
【請求項19】
電場への流体を対象とする方法は
誘電体を含む電極がそれぞれの電極の少なくとも一つの表面を電気性伝導体でコーティングされた一対の電極の間に流体流路または空間を形成し、前述の誘電体は、処理またはテスト過程の対象流体から導電層を分離するバリアを形成するとともに、電極表面に設けられている前述の誘電体は,流体流路または空間で対象流体と接触していない状態で;
流路に対象静的または前述の流路またはスペース内に静的または動的状態で対象流体を保持するように、前述の電極をハウジングし;
誘電体でコーティングされたそれぞれの電極表面に時可変、時不変、またはパルス電圧源を使用することにより流体流路または空間内の流体を通って、または渡って電場を作り出す;
流体が流体流路または空間に入ることにより、前述の対象流体は電場に晒らされ、それにより処理されテストされることを特徴とする電場を発生させる高インピーダンス方法。
【請求項20】
前記電場を発生させる高インピーダンス方法は、更に、8.8e−11Fm−1@≦1.0KHzより高い誘電率、1.0E+04Ωcm以上のボリューム抵抗力および、.0kVmm−1以上の最大容量電場応力、従って、電気的に対象流体を絶縁し、それによって、ファラデー電流、電気伝導電流および流体/電極インターフェース、同様にテストまたは処理過程の対象物質を通してのオーム加熱を有した誘電電極を選択することを含むことを特徴とする請求項19記載の電場を発生させる高インピーダンス方法。
【請求項21】
前記電場を発生させる高インピーダンス方法は、更に、流動物の通り道または二つの平行に延長された電極で形成される2つの誘導電極で構成され、2の間の流体流路またはスペースを形成する2つの誘電性の電極をさらに含む並列の請求項19記載の方法であって、そこで電極は、正方形または長方形の断面図を有しており、平行電極回路図は、対象流体を備えた直列容量回路で形成され、それによって、対象流体を通して電場を増加させるか集中させることを特徴とする請求項19記載の前記電場を発生させる高インピーダンス方法。
【請求項22】
前記電場を発生させる高インピーダンス方法は、更に、流動物の通り道または電極を同軸状に配列する二つの管の間の領域で形成される2つの誘導電極で構成され、および前述の同軸の電極回路図は、対象流体を備えた直列容量回路を形成し、それによって、テストまたは処理過程の物質を通して電場を増加させるか集中させることを特徴とする請求項19記載の電場を発生させる高インピーダンス方法。
【請求項23】
前記電場を発生させる高インピーダンス方法は、処理過程あるいは液体、ガスあるいは固体内でのテスト過程の液体で構成されることを特徴とする請求項19記載のシステム。
【請求項24】
前記電場を発生させる高インピーダンス方法は、電場の応用の結果、連続して、同時に処理またはテスト過程の対象流体に音響エネルギーを応用することで構成されることを特徴とする請求項19記載の前記電場を発生させる高インピーダンス方法。
【請求項25】
対象流体の電場への露出の高インピーダンス方法は:
前述の電極は誘電体を含むそれぞれの電極の少なくとも一つの表面が電気性伝導体でコーティングされた一対の電極の間に流体流路または空間を形成し、前述の誘電体は、処理またはテスト過程の対象流体から導電層を分離するバリアを形成し、電極表面に設けられている前述の誘電体は, 流体流路または空間で対象流体と接触していなく;
前述の流路またはスペース内に静的または動的状態で対象流体を保持するように、前述の電極をハウジングする;
電極を通じて使用された時可変、時不変、あるいはパルス電圧源と;
前記流体にあり、被検中または処理中で電場を集中または強化する流体を備える最大容量電圧を生じる平行または同軸形状に配列された誘電体と
また、流体が流体流路または空間に入ることにより、前述の対象流体は電場に晒らされる
ことからなることを特徴とする対象流体の電場への露出の高インピーダンス方法。
【請求項26】
前記対象流体の電場への露出の高インピーダンス方法は、誘電性コーティングから流体を絶縁し、従って、ファラデー電流、電気伝導電流、および流体/電極インターフェースの電気化学を本質的に防ぐ誘電体で構成されることを特徴とする請求項25記載の対象流体の電場への露出の高インピーダンス方法。
【請求項27】
前記対象流体の電場への露出の高インピーダンス方法は、更に、高誘電率セラミックである誘電体、微粒子/エポキシ樹脂合成物、あるいは他の適切な材料で構成されることを特徴とする請求項25記載の対象流体の電場への露出の高インピーダンス方法。
【請求項28】
前記対象流体の電場への露出の高インピーダンス方法は、流体への音響エネルギーの応用、および/もしくは電場の応用の結果、連続して、同時に応用される前述の音響エネルギーで構成されることを特徴とする請求項25記載の対象流体の電場への露出の高インピーダンス方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2009−515168(P2009−515168A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−539011(P2008−539011)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【国際出願番号】PCT/US2006/042712
【国際公開番号】WO2007/056027
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(508135127)メイ−ルーベン テクノロジーズ,インク. (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【国際出願番号】PCT/US2006/042712
【国際公開番号】WO2007/056027
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(508135127)メイ−ルーベン テクノロジーズ,インク. (1)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]