説明

電場応答性高分子を用いたセンサ

【課題】電場応答性高分子を用いて変位量を正確に測定することが可能なセンサを提供する。
【解決手段】2つの柔軟な電極140によって挟まれたエラストマー膜120から構成され伸縮動作により静電容量が変化する電場応答性高分子を用いたセンサ100において、電場応答性高分子が弾性を有する養生シート180に張力を加えた状態で貼着されていることにより上記の課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘電エラストマーを主成分とする電場応答性高分子(Electro Active Polymer)に関するものであって、さらに詳しくは、電場応答性高分子を引き伸ばしたり、湾曲や屈曲の動作を行ったときに起こる電場応答性高分子の静電容量の変化を利用したセンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
過去十数年間、誘電エラストマーからなる電場応答性高分子の研究は、アクチュエータに焦点を当てたものがほとんどであった。この誘電エラストマーは、強い電場の中に置くと、電場の方向に収縮し、電場と垂直な方向に膨張する。これは、クーロン力によるものである。
【0003】
したがって、誘電エラストマーを帯電した2枚の柔軟な電極間に挟むことによって、ゴムのような弾性を持つコンデンサが構成される。これに電圧をかけると、一方の電極にはプラスの電荷が、反対側の電極にはマイナスの電荷が蓄えられる。その結果、電極間に引力が生じ、この力によって誘電エラストマーが押しつぶされ、面方向に膨張する。この変化をロボットなどのアクチュエータとして用いることが注目を集めている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0004】
一方、本発明者らは、この素材が発電においても顕著な性能を有するという新規な着想を得て、鋭意研究開発を行ったところ、発電機や太陽電池などの既存の発電手法では実現が難しい低周波数帯(例えば、0.3Hz)や非定周波振動(周期が定まっていない振動)、高負荷、高ストロークなどの条件下においても利用可能な発電装置の開発に成功した(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6781284号明細書
【特許文献2】米国特許第6882086号明細書
【特許文献3】特開2008−141840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、従来の電場応答性高分子を用いてアクチュエータや発電装置を構成した際には、電場応答性高分子の変位量を正確に測定することが困難であった。そのため、電場応答性高分子を用いた発電装置において電場応答性高分子が過大に引き伸ばされて破損したり、電場応答性高分子を用いたアクチュエータにおいて正確な駆動制御が困難であるというような課題があった。また電場応答性高分子は、一種の可変容量コンデンサとして作用することからセンサへの応用が嘱望されていたが、耐久性などの観点から実用化には到っていなかった。
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする技術的課題、すなわち、本発明の目的は、電場応答性高分子を用いて変位量を正確に測定することが可能なセンサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
まず、本請求項1に係る発明は、2つの柔軟な電極によって挟まれたエラストマー膜から構成され伸縮動作により静電容量が変化する電場応答性高分子を用いたセンサにおいて、前記電場応答性高分子が弾性を有する養生シートに張力を加えた状態で貼着されていることによって、前記課題を解決するものである。
【0009】
そして、本請求項2に係る発明は、請求項1に係る電場応答性高分子を用いたセンサにおいて、前記電場応答性高分子が2枚の養生シートにより挟持されていることによって、前記課題をさらに解決したものである。
【0010】
また、本請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に係る電場応答性高分子を用いたセンサにおいて、前記電場応答性高分子が2枚積層されているとともに、中央で対向する2枚の電極と両外側に位置する2枚の電極との間に外部引出電極が配設されていることによって、前記課題をさらに解決したものである。
【0011】
また、本請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに係る電場応答性高分子を用いたセンサにおいて、前記電場応答性高分子がロール状に巻回されていることによって、前記課題をさらに解決したものである。
【0012】
ここで、本発明における電場応答性高分子とは、誘電エラストマーを主たる構成要素として電歪効果によって機械的変形から起電力を得たり、逆に電位差を与えることにより機械的な駆動力が得られるエレクトロアクティブポリマー(EAP)の総称を意味しており、例えば、米国のカリフォルニア州に本拠を構えるSRIインターナショナルで開発されたアクリル系樹脂やシリコーン系樹脂などからなるゴム状の薄い高分子(誘電体)を伸び縮み可能な柔軟な電極で挟んだ構造をしたEPAM(イーパム:Electroactive Polymer Artificial Muscle)という商品名で提供されているものなどがある。
【発明の効果】
【0013】
本請求項1に係る発明によれば、2つの柔軟な電極によって挟まれたエラストマー膜から構成され伸縮動作により静電容量が変化する電場応答性高分子を用いたセンサにおいて、電場応答性高分子が弾性を有する養生シートに張力を加えた状態で貼着されていることによって、電場応答性高分子はフレキシブルに湾曲したり伸縮し取りできるので、例えば、電場応答性高分子を用いたアクチュエータや発電装置などのような様々な動きをするデバイスの変位センサとして有効に機能する。特に、センサの主構成材料がエラストマーであって軽量であるので、軽量化が要求される医療器具や宇宙研究開発などの分野への適用が期待できる。
【0014】
また、電場応答性高分子はある程度以上の変位が加わって静電容量が大きく変化し出すが、本請求項1に係る発明によれば、電場応答性高分子が養生シートに張力を加えた状態で貼着されているので、小さな変位でも静電容量の大きな変化を得ることができダイナミックレンジの大きなセンサを実現することができる。
【0015】
次に、本請求項2に係る発明によれば、請求項1に係る電場応答性高分子を用いたセンサにおいて、電場応答性高分子が2枚の養生シートにより挟持されていることによって、電場応答性高分子を外気から遮断して保持できるので、センサの耐久性が向上する。
【0016】
そして、本請求項3に係る発明によれば、請求項1又は請求項2に係る電場応答性高分子を用いたセンサにおいて、電場応答性高分子が2枚積層されているとともに、中央で対向する2枚の電極と両外側に位置する2枚の電極との間に外部引出電極が配設されていることによって、2枚の電場応答性高分子が並列接続されるので、センサの静電容量を2倍にすることができ、センサのダイナミックレンジを2倍にすることができる。
【0017】
さらに、本請求項4に係る発明によれば、請求項1乃至請求項3のいずれかに係る電場応答性高分子を用いたセンサにおいて、電場応答性高分子がロール状に巻回されていることによって、センシング時における変形方向の阻害がなくなるので、屈曲や伸縮などさまざまな動きをするアクチュエータや発電デバイスへ適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のセンサが変位前(a)及び変位後(b)における測定原理の概念図。
【図2】本発明のセンサの構造を示す斜視図。
【図3】図2のセンサを矢視III方向から見たときの正面図。
【図4】本発明のセンサの測定原理を示す回路図。
【図5】本発明のセンサの出力が落ち着くまでの過渡現象を示すグラフ。
【図6】本発明のセンサの測定回路を示す回路図。
【図7】図6の回路においてセンサの出力が落ち着くまでの過渡現象を示すグラフ。
【図8】本発明のセンサの測定回路の動作フロー図。
【図9】実施例1のセンサの斜視図。
【図10】実施例2のロール型センサの成形前の正面図。
【図11】実施例2のロール型センサの斜視図。
【図12】図11のXII−XII線における断面図。
【図13】実施例3のセンサの適用例を示す斜視図。
【図14】図12の矢視XIV方向から見たときの斜視図。
【図15】図12に示したセンサを変位させたときの斜視図。
【図16】実施例4のセンサの適用例を示す斜視図。
【図17】実施例5のセンサの適用例を示す斜視図。
【図18】実施例6のセンサの適用例を示す斜視図。
【図19】実施例7のセンサの適用例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の電場応答性高分子を用いたセンサは、2つの柔軟な電極によって挟まれたエラストマー膜から構成され伸縮動作により静電容量が変化する電場応答性高分子を用いたセンサにおいて、電場応答性高分子が弾性を有する養生シートに張力を加えた状態で貼着されているものであって、電場応答性高分子を用いて変位量を正確に測定することが可能なものであれば、その具体的な実施の態様は、如何なるものであっても何ら構わない。
【0020】
まず、本発明の電場応答性高分子を用いたセンサの動作原理について図1に基づいて説明する。
【0021】
ここで、図1は、本発明のセンサが変位前における測定原理の概念図(a)と、変位後における測定原理の概念図(b)である。
【0022】
まず、本発明の電場応答性高分子を用いたセンサ100は、図1(a)に模式的に示すように、シリコンやアクリルなどのエラストマー膜120の両面に、カーボンブラックを主体とした伸張性のある電極140を接合している。さらに、この電極140に銅やアルミなどからなる金属製の外部引出電極160を接合している。また、エラストマー膜120と電極140は、シリコンやアクリルなどのエラストマーである2枚の養生シート160に張力を加えた状態で挟持されるように貼着されている。
【0023】
このような構成のセンサ100が、図1(b)に示すように、外的な力Fにより引き伸ばされたとき、電極140の面積が増加し、かつ誘電体であるエラストマー膜120は電極140と同様に引き伸ばされることで、電極間の距離が小さくなる。ここで、電極140の面積をS、電極140間の距離をd、エラストマー膜120の誘電率をε、センサ100の静電容量をCとすると、C=εS/dという関係が成立する。したがって、センサ100を引き伸ばすと、Sが増加し、dが減少するので静電容量が増加する。この静電容量の変化を測定手段200で測定することによって、センサ100の変位を測定する。
【0024】
ここで、測定手段200の概要について説明する。センサ100の外部引出電極160は、静電容量検出回路220に接続される。ここでセンサ100の静電容量が検出されアナログ値として出力される。次に、演算回路240によって、A/D変換される。そして、パソコンなどの外部処理回路260に入力され、所望のデータ処理やアクチュエータなどの制御が行われる。
【0025】
次に、図1(a)に模式的に示した電場応答性高分子100の具体的な構造について図2及び図3に基づいて説明する。
ここで、図2は、センサ100の斜視図であり、図3は、センサ100を図2の斜視III方向から見たときの正面図である。なお、図3は、電極の重なり具合を明示するため手前の電極の一部を切り欠いて描写している。
【0026】
本発明の電場応答性高分子を用いたセンサ100は、図2に示すように、シリコンやアクリルなどのエラストマー膜120の両面に、カーボンブラックを主体とした伸張性のある電極140を接合している。さらに、この電極140に銅やアルミなどからなる金属製の外部引出電極160を接合している。また、エラストマー膜120と電極140は、シリコンやアクリルなどのエラストマーである養生シート160に張力を加えた状態で貼着されている。さらに、図3に示すように、電極140は、外部引出電極160の接続部が、反対の電極140と対向しないように切断加工されている。このことにより、センサ100が変位したときに外部引出電極160がエラストマー膜120を傷つけて電極140間が短絡することを防止している。
【0027】
次に、図4乃至図7に基づいて、本発明の電場応答性高分子を用いたセンサの動作使用方法について説明する。本発明のセンサは、電場応答性高分子を伸張収縮したときに変化する静電容量の変化を利用してセンサとして用いる。静電容量の検出方法としては電場応答性高分子への充電時間を利用したRC直列回路の過渡現象を計測することにより静電容量を求める方式、いわゆる積分法を利用する。
【0028】
図4のように、RC直列回路のスイッチSWが開かれると、抵抗Rを通して電場応答性高分子が充電され、その端子電圧Vcが図5のように変化する。充電電圧Tは静電容量Cと比例関係にあるので、Cを被測定キャパシタとして充電時間を測定すれば、電場応答性高分子の静電容量Cを求めることができる。電場応答性高分子の構造はコンデンサ構造を有しているため一般的なコンデンサと同様、0VとVcc付近では、入力漏れ電流が増える傾向があるので、誤差の原因になる。そこで、閾値電圧を2段に設け0V及びVcc付近を使用せずに、図7に示すように、Vc1、Vc2として、これらの閾値電圧を通過する時間(T2−T1)を有効な時間として使用する。具体的には、図6の回路において、比較回路OP2の出力がONになってから比較回路OP1の出力がONになるまでの時間をタイマ回路にて測定する。このような測定回路の動作フローを図8に示す。
【0029】
電場応答性高分子100には、測定手段300に具備されたバイアス回路380により電圧が印加される。電場応答性高分子100を変位させると静電容量が変化する。そのため、電場応答性高分子100の端子間電圧は、過渡的に変化する。この電圧とバイアス電圧とを比較回路320により比較し、電場応答性高分子100の端子間電圧がバイアス電圧と等しくなるまでの時間を充電時間測定回路340により測定する。そして、その結果を、パソコンなどの外部処理回路360に出力し、アクチュエータや発電装置の制御に利用する。
【0030】
なお、図4、図6、図8に示した回路は、従来ある測定回路であり、電場応答性高分子の静電容量を測定するための一例であって、測定回路はこれに限定されることはない。例えば、電場応答性高分子に交流電圧を加えて、電流のベクトルから静電容量を求めることもできる。
【実施例1】
【0031】
次に、本発明の電場応答性高分子を用いたセンサの別の実施形態を図9に基づいて説明する。
【0032】
本実施例のセンサ400は、図9に示すように、電場応答性高分子が2枚積層されているとともに、中央で対向する2枚の電極440と両外側に位置する2枚の電極440との間に外部引出電極462、464が配設されている。そして、両外部引出電極462、464間に測定手段500が接続されている。このような構成を取ることにより、静電容量が2倍になるため、センサのダイナミックレンジを大きくすることができる。
【実施例2】
【0033】
次に、本発明の電場応答性高分子を用いたセンサのさらに別の実施形態を図10乃至図12に基づいて説明する。
ここで、図10は、本実施例のロール形状の電場応答性高分子を用いたセンサを成形する前の正面図であり、図11は、本実施例のセンサの斜視図であり、図12は、図11のXII−XII線における断面図である。
【0034】
本実施例のロール形状の電場応答性高分子を用いたセンサ600は、図10乃至図12に示すように、シリコンやアクリルなどのエラストマー膜620の両面に、カーボンブラックを主体とした伸張性のある電極640を接合している。さらに、この電極640が張力を加えられた状態でシリコンやアクリルなどのエラストマーである養生シート680に貼着されている。養生シート680は、電場応答性高分子を両面から挟持するように設けられている。そして、電極640の両端に銅やアルミなどからなる金属製の外部引出電極660を接合している。さらに、このように構成された電場応答性高分子をロール状にすることによってロール形状のセンサを構成する。
【0035】
センサをロール形状とすることで、センシング時における変形方向の阻害がなくなるため、様々な動きをするアクチュエータや発電デバイスと併用することによりアクチュエータや発電デバイスに過大な負荷が掛かることを回避する効果的なセンシングが可能となる。
【0036】
以下、本発明の電場応答性高分子を用いたセンサによるセンシング事例について図13乃至図19に基づき説明する。なお、図13乃至図19において、符号E+Sで示した部材が本発明の電場応答性高分子を用いたセンサと、センシングの対象となる電場応答性高分子を用いたアクチュエータまたは発電デバイスとの複合体である。
【実施例3】
【0037】
図13乃至図15は、本発明のセンサを医療用機器、特に義手へ応用した例を示している。ここで、図13は、義手の中指にに電場応答性高分子を用いたアクチュエータとセンサを装着した例を示した斜視図である。なお、義手の中味を見せるため、一部の外皮を切り欠いて示している。図14は、図13を矢視XIV方向から見たときの斜視図であり、図15は、電場応答性高分子を用いたアクチュエータEを変位させたときの斜視図である。
【0038】
医療用機器への応用として、電場応答性高分子を用いたアクチュエータを利用して、関節、指、足などのリハビリ用の補助機器として使用することが検討されているが、その場合、患者である人物または動物の関節、指、足がどこまで変位を行えるかの制御は、電圧の制御により伸び方向へは対応できるが、事前に患者の関節、指、足などを変位の過程に合わせて設定することは困難である。その場合、本発明の電場応答性高分子を用いたセンサを使用することによって、予め、患者のリハビリ過程にあり、日々変化する適正運動変位量を静電容量の変化で計測しておき、その時の変位値をアクチュエータにフィードバックし、アクチュエータの変位量をコントロールする。その結果、患者に無理のない最適なリハビリを実施することができる。
【0039】
また、義手などは、外見はリアルに造作されていても、動きがないため使用者にとっては、心理的ストレスが大きいという課題が指摘されている。その解決方法として、予め外部コントロール端末を用いることで、アクチュエータを電圧によりコントロールし、プログラムまたは、人体からの電気信号により義手などのモーション動作を行う。
【0040】
この場合、アクチュエータとして電場応答性高分子は、電圧により伸張動作の制御を行えるが、電場応答性高分子からのフィードバックがないため、実際の変位量の測定の動作を行う場合、電場応答性高分子を用いたアクチュエータをドライブする際に必要な高電圧などが妨げになり、変位量のデータを直接測定することが困難である。その場合、本発明の電場応答性高分子を用いたセンサを用いることで、センサとアクチュエータとを同素材の材料で構成することができるため、相性がよく正確なセンシングが行えるとともに、変位時に起きる静電容量の変化を外部の制御回路に伝達することで、アクチュエータを安全に使用することが可能となる。
【実施例4】
【0041】
図16は、本発明の電場応答性高分子を用いたセンサを宇宙研究開発、特に国際宇宙ステーションのロボットアームに応用した例を示している。
【0042】
電場応答性高分子は、高負荷、高ストロークの駆動が可能であり、しかも、軽量であるため、宇宙線対策が施された宇宙ステーションのロボットアーム内に組み込むアクチュエータとして期待されている。この場合、本発明のセンサを併用することにより、正確な位置決め制御、荷重制御などが可能になり、精密な制御が要求される宇宙ステーションのロボットアームの高性能化に貢献する。
【実施例5】
【0043】
図17は、人間の腕の関節の屈曲運動を利用したウエアラブル発電に本発明の電場応答性高分子を用いたセンサを応用した例を示している。
【0044】
電場応答性高分子膜を用いたウエアラブル発電デバイスを作成する際に、同時にセンサ部を積層することで、容易に電場応答性高分子を用いた発電デバイスと電場応答性高分子を用いたセンサとが一体化されたデバイスを作成することができる。その場合、センサの静電容量の変化を読み取ることにより、過度に変位を行った際には、予め取得しておいたデータを基に破壊強度の限界値(破損)の前に、外部に警報または警告をする。それによって、発電デバイスの破損を未然に防ぐことができる。
【0045】
発電したエネルギーは、LEDなどの夜間散歩用の明かりの補助や、携帯機器などの補助電源として利用することができる。
【実施例6】
【0046】
図18は、ビルなどの構造物に電場応答性高分子を用いた発電デバイスを配置して、風や構造物の揺らぎにより発電する際に発電デバイスに同時にセンサ部を積層した例を示している。その場合、センサの静電容量の変化を読み取ることにより、台風や突風などにより過度な変位が生じた際に、予め取得しておいたデータを基に破壊強度の限界値(破損)の前に、外部に警報または警告をする。それによって、発電デバイスの破損を未然に防ぐことができる。発電した電気エネルギーは、ビルなどのバックアップ用補助電源や使用電力の一部補助として利用することができる。
【実施例7】
【0047】
図19は、橋脚、橋の吊りワイヤ間、橋床などに電場応答性高分子を用いた発電デバイスを配置して、橋の揺らぎ及び振動を利用して発電する際に発電デバイスに同時にセンサ部を積層した例を示している。その場合、センサの静電容量の変化を読み取ることにより、台風や突風などにより過度な変位が生じた際に、予め取得しておいたデータを基に破壊強度の限界値(破損)の前に、外部に警報または警告をする。それによって、発電デバイスの破損を未然に防ぐことができる。発電した電気エネルギーは、橋脚の電灯及び表示板などの電源として利用することができる。
【符号の説明】
【0048】
100、400、600、S ・・・ センサ
120、420、620 ・・・ エラストマー膜
140、340、440 ・・・ 電極
180、480、680 ・・・ 養生シート
200、300、500 ・・・ 測定手段
220 ・・・ 静電容量検出回路
240 ・・・ 演算回路
260、360 ・・・ 外部処理回路
320 ・・・ 比較回路
340 ・・・ 充電時間測定回路
462、464、660 ・・・ 外部引出電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの柔軟な電極によって挟まれたエラストマー膜から構成され伸縮動作により静電容量が変化する電場応答性高分子を用いたセンサにおいて、
前記電場応答性高分子が弾性を有する養生シートに張力を加えた状態で貼着されていることを特徴とする電場応答性高分子を用いたセンサ。
【請求項2】
前記電場応答性高分子が2枚の養生シートにより挟持されていることを特徴とする請求項1に記載の電場応答性高分子を用いたセンサ。
【請求項3】
前記電場応答性高分子が2枚積層されているとともに、中央で対向する2枚の電極と両外側に位置する2枚の電極との間に外部引出電極が配設されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電場応答性高分子を用いたセンサ。
【請求項4】
前記電場応答性高分子がロール状に巻回されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電場応答性高分子を用いたセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−2256(P2011−2256A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−143384(P2009−143384)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【出願人】(506399169)株式会社HYPER DRIVE (13)
【Fターム(参考)】