説明

電子カメラ、電子カメラ用の撮像素子ユニット、及び電子カメラ用の撮影レンズユニット

【課題】 簡単な構造で塵埃などの異物の撮影画像への写り込みを防止する。
【解決手段】 デジタルカメラ10は、半永久的に電荷を保持したエレクトレット繊維からなるエレクトレットシート302,304,306を、(1)撮影レンズユニット16の鏡胴15の内壁15A、(2)クイックリターンミラー203の周縁部、(3)CCD22の周縁部、の3箇所に貼り付けている。よって、塵埃などの異物がエレクトレットシート302,304,306に静電吸着される。したがって、例えば、異物がカバーガラス24に付着して撮影画像に写り込んでしまうことが防止される。つまり、エレクトレットシート302,304,306を貼り付けるだけの簡単で安価な構成で、塵埃などの異物が撮影画像に写り込んでしまうことが防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子カメラ、電子カメラ用の撮像素子ユニット、及び電子カメラ用の撮影レンズユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CCD等の撮像素子を用いるデジタルカメラが数多く市場に出回るようになっている。このような、デジタルカメラは、CCD等の撮像素子の前面に配置されたカバーガラスなどに、被写体とは無関係な塵埃等の異物が付着すると、この異物も撮影画像に写り込んでしまうという問題がある。
【0003】
なお、従来の銀塩フィルムを使用するカメラでもまた、フィルム上に異物が付着すると写り込んでしまうが、フィルムの場合は1駒毎にフィルムが移動するため、全ての駒に同様の異物が写り込むのは大変希である。しかし、CCD等の撮像素子の場合は、撮影後に移動しないので、一旦異物が付着すると多くの駒に異物が写り込んでしまう。また、異物が徐々にカバーガラスに累積していく。
【0004】
したがって、撮影者は常に、このCCD等の撮像素子のカバーガラスなどへの異物の付着には大変気を使っていなければならず、異物のチェックや清掃に多くの労力を費やしていた。特に、撮影レンズ交換可能なデジタルカメラでは、撮影レンズ交換時に外部から塵埃が進入するので、影響が大きい。更に、撮像素子は、デジタルカメラ内部の比較的奥まったところに配置されているため、清掃作業も容易ではない。
【0005】
このため、撮像素子の前面側に設けられた防塵部材に付着した塵埃を、防塵部材に振動を与えて除去し、再度付着しないように除去された塵埃を集塵する方法が提案されている。除去された塵埃を集塵する方法としては、(1)粘着部材に付着させる方法、(2)針状電極で塵埃をイオン化し、イオン化した塵埃を電気的に集塵する方法、が提案されている。(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−338967号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特開2003−338967号公報に記載の方法は、防塵部材に付着した塵埃を除去し、そして、除去された塵埃を集塵しているため、機構が複雑であり、また、高コストである。
【0007】
本発明は、上記問題を解決すべく成されたもので、簡単な構造で塵埃などの異物の撮影画像への写り込みを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の電子カメラは、撮影レンズと、前記撮影レンズにより結像した被写体像を電気信号に変換する撮像素子と、を備える電子カメラにおいて、前記撮影レンズから前記撮像素子までの間の光軸まわりの撮影光路外に、半永久的に電荷を保持したエレクトレット部材を、配置したことを特徴としている。
【0009】
請求項1に記載の電子カメラは、撮影レンズにより結像した被写体像を電気信号に変換する撮像素子を備えている。そして、撮影レンズから撮像素子までの間の光軸まわりの撮影光路外に、半永久的に電荷を保持したエレクトレット部材が配置されている。したがって、電子カメラ内部の塵埃などの異物が、エレクトレット部材に静電吸着される。
【0010】
よって、例えば、撮像素子の前面に配置されたカバーガラスなどに異物が付着して撮影画像に写り込むことが防止される。つまり、簡単で安価な構成で、塵埃などの異物が撮影画像に写り込むことが防止される。
【0011】
請求項2に記載の電子カメラは、請求項1に記載の構成において、前記エレクトレット部材は、交換可能であることを特徴としている。
【0012】
請求項2に記載の電子カメラは、エレクトレット部材が交換可能である。よって、例えば、塵埃などの異物がエレクトレット部材に多量に付着し静電吸着力が弱まっても、新品に交換することで、静電吸着力を復帰できる。
【0013】
請求項3に記載の電子カメラは、請求項1又は請求項2に記載の構成において、前記撮影光路に設けられ、前記被写体光を反射し、該被写体光を光学ファインダへの光路系へ導くミラーを備え、前記エレクトレット部材を、前記ミラーの周縁部に取り付けたことを特徴としている。
【0014】
請求項3に記載の電子カメラは、電子カメラ内部の塵埃などの異物が、被写体光を反射し光学ファインダへの光路系へ導くミラーの周縁部に取り付けられたエレクトレット部材に静電吸着される。
【0015】
請求項4に記載の電子カメラは、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の構成において、前記エレクトレット部材を、前記撮像素子の周縁部、又は周縁部近傍に配置したことを特徴としている。
【0016】
請求項4に記載の電子カメラは、電子カメラ内部の塵埃などの異物が、撮像素子の周縁部、又は周縁部近傍に配置したエレクトレット部材に静電吸着される。
【0017】
請求項5に記載の電子カメラは、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の構成において、前記エレクトレット部材を、前記撮影レンズを備えた鏡胴の内壁に配置したことを特徴としている。
【0018】
請求項5に記載の電子カメラは、電子カメラ内部の塵埃などの異物が、撮影レンズを備えた鏡胴の内壁に配置されたエレクトレット部材に静電吸着される。
【0019】
請求項6に記載の電子カメラは、請求項1から請求項5のいずれか1項の構成において、前記撮影レンズを備える撮影レンズユニットと、前記撮影レンズユニットを交換可能にマウントするカメラ本体と、で構成されていることを特徴としいる。
【0020】
請求項6に記載の電子カメラは、撮影レンズを備える撮影レンズユニットが交換可能にカメラ本体にマウントされる。撮影レンズユニットを交換する際に、塵埃などの異物が侵入する。電子カメラ内部に侵入した塵埃などの異物は、光軸まわりの撮影光路外に配置されたエレクトレット部材に静電吸着される。よって、撮影レンズユニットが交換可能な電子カメラでも、塵埃などの異物が撮影画像に写り込むことが防止される。
【0021】
請求項7に記載の電子カメラ用の撮像ユニットは、エレクトレット部材を、被写体像を電気信号に変換する撮像素子の周縁部、又は周縁部近傍に配置したことを特徴としている。
【0022】
請求項7に記載の電子カメラ用の撮像ユニットは、被写体像を電気信号に変換する撮像素子の周縁部、又は周縁部近傍に配置したエレクトレット部材が塵埃などの異物を静電吸着する。
【0023】
請求項8の電子カメラ用の撮像ユニットは、請求項7に記載の構成において、前記エレクトレット部材は、交換可能であることを特徴としている。
【0024】
請求項8に記載の電子カメラ用の撮像素子ユニットは、エレクトレット部材が交換可能である。よって、塵埃などの異物がエレクトレット部材に多量に付着して静電吸着力が弱まっても、新品に交換することで、静電吸着力を復帰できる。
【0025】
請求項9に記載の電子カメラ用の撮影レンズユニットは、エレクトレット部材を、撮影レンズを備える鏡胴の内壁に配置したことを特徴としている。
【0026】
請求項9に記載の電子カメラ用の撮影レンズユニットは、撮影レンズを備える鏡胴の内壁に配置したエレクトレット部材が塵埃などの異物を静電吸着する。
【0027】
請求項10の電子カメラ用の撮影レンズユニットは、請求項9に記載の構成において、前記エレクトレット部材は、交換可能であることを特徴としている。
【0028】
請求項10に記載の電子カメラ用の撮影レンズユニットは、エレクトレット部材が交換可能である。よって、塵埃などの異物がエレクトレット部材に多量に付着して静電吸着力が弱まっても、新品に交換することで、静電吸着力を復帰できる。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように本発明によれば、簡単な構造で塵埃などの異物の撮影画像への写り込みを防止する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明の一の実施形態に係るデジタルカメラについて説明する。
【0031】
図1に示すように、デジタルカメラ10は、主に静止画像を撮影する一眼レフタイプのデジタルカメラである。図1と図2とに示すように、デジタルカメラ10は、カメラ本体12の前面(正面)部に撮影レンズユニットマウント部14が備えられ、撮影レンズユニットマウント部14を介して撮影レンズユニット16が交換可能に装着される。
【0032】
撮影レンズユニット16は円筒状の鏡胴15の中に、絞り機構80やフォーカシングレンズ82(図8のブロック図を参照)などの複数の撮影レンズ300を備えている。なお、カメラ本体12に最も近い撮影レンズ300は撮影レンズ301である。また、シャッターボタン18が正面に向かって左上部に配置されている。
【0033】
図3に示すように、デジタルカメラ10の背面外装部には、光学ファインダ60、表示パネル62、液晶モニタ64、十字ボタン66、メニュー/実行ボタン67、バックボタン68、ファンクションボタン63などが設けられている。
【0034】
液晶モニタ64には、被写体像及び記録済み画像の再生画像を表示させることができる。また、現在設定されているモードの情報、画像の圧縮率の情報、日時情報、コマ番号なども表示される。更に、ユーザーが各種の設定操作等を行う際のユーザインターフェース用表示画面としても利用され、必要に応じて設定項目などのメニュー情報も表示される。
【0035】
光学ファインダ60は、撮影レンズユニット16(図1参照)からの被写体像を、そのまま見ることができる。
【0036】
図4に示すように、カメラ本体12の内部には、クイックリターンミラー203が撮影光路内に設けられている。クイックリターンミラー203は、撮影レンズユニット16からの被写体光を光学ファインダ60への光路系に導く位置(斜設位置)と撮影光路外に退避する位置(退避位置)との間を移動する。(所謂、ミラーダウンとミラーアップ)。なお、図4においては、クイックリターンミラー203がミラーダウンした斜設位置にある。また、一点鎖線は、光軸201を示している。
【0037】
クイックリターンミラー203の上方には、光学ファインダ60に導かれる被写体光が結像するピント板204が配設されている。ピント板204の上方には、光学ファインダ60の視認性を向上させるためのコンデンサレンズ205が設けられている。そして、ペンタゴナルダハプリズム206で、ピント板204とコンデンサレンズ205とを通った被写体光を、光学ファインダ60用の接眼レンズ208に導く。
【0038】
一方、クイックリターンミラー203の後方には、縦方向(図5(B)の矢印Y方向)にシャッター32が開閉するフォールプレーンシャッター型のシャッター機構30が配置されている。なお、図3ではシャッター32が開放した状態である。シャッター機構30の後方には、撮像素子ユニット25が配置されている。撮像素子ユニット25は、撮像素子であるCCD22やCCD22の前面を保護するカバーガラス24などで構成している。CCD22は多数のフォトダイオード(図示省略)が平面的に配列され、ハニカム配列、ベイヤー配列その他の所定のカラーフィルター配列構造を備えている。なお、カバーガラス24は、撮像素子の前面に配置される各種光学フィルター、例えば、モアレを軽減するためのローパスフィルターである場合も含む。
【0039】
そして、クイックリターンミラー203が撮影光路外に退避する位置(退避位置)にミラーアップし、シャッター32を開き、CCD22に電荷を蓄積する。そして、画像データが、記録メディア120(図8参照)に記録される。
【0040】
さて、デジタルカメラ10は、撮影レンズユニット16の内部に備える複数の撮影レンズ300からCCD22までの間の光軸201まわりの撮影光路外(撮影画像に写り込まない位置)に、半永久的に電荷を保持したエレクトレット繊維からなるエレクトレットシート302,304,306を、配置している。
【0041】
具体的には、つぎに説明する3箇所に配置している。
【0042】
(1)撮影レンズユニット16の鏡胴15の内壁15A
図4と図5とに示すように、撮影レンズユニット16の撮影レンズユニットマウント部14との接合付近(撮影レンズ300の最もカメラ本体12側にある撮影レンズ301と撮影レンズユニットマウント部14との間)の鏡胴15の内壁15Aにエレクトレットシート302が貼り付けられいる。
【0043】
(2)クイックリターンミラー203の周縁部
図4と図6とに示すように、クイックリターンミラー203の周縁部にエレクトレットシート304が貼り付けらてれいる。
【0044】
(3)CCD22を保護するカバーガラス24の周縁部分の周縁部
図4と図7とに示すように、CCD22を保護するカバーガラス24の周縁部分にエレクトレットシート306が貼り付けらてれいる。
【0045】
なお、エレクトレットシート302,304,306は、いずれも交換可能なように取り付けられている。例えば、両面テープ(図示省略)で貼り付ける、あるいは、固定部材(図示省略)に貼り付け、この固定部材を各箇所に、例えば、ビスで固定する等すれば良い。
【0046】
また、エレクトレットとは、電荷が絶縁性物質体の中に半永久的に保持されているものである。製造方法としては、例えば、絶縁性に優れた高分子材料(例えば、テフロン(登録商標)、ポリプロピレン、マイラーなど)等を加熱溶融し、直流の高電圧を加えながら、電極の間で固化させたあと電極を取り去ることで、電極に接していた面が正または負に帯電し、この分極(正と負の電気に分かれた状態)が半永久的に保持されることで、エレクトレットとする方法がある。あるいは、直流高電圧を針状電極にかけて大気中でイオンを発生し、これを試料に印加する方法、パルス放電により試料に印加する方法などもある。
【0047】
エレクトレットシート302,304,306は、このようにしてエレクトレット化した繊維から作られたものである。また、エレクトレットシート302,304,306は糸クズや塵埃などがでない、不織布である。
【0048】
さて、図8は、デジタルカメラ10(カメラ本体12及び撮影レンズユニット16)の内部構成を示すブロック図である。撮影レンズユニット16は、絞り機構80とフォーカシングレンズ82などの複数の撮影レンズ300とを備えるとともに、絞り機構80を駆動する手段としてのアイリスモータ83及びその駆動回路(モータドライバ)84、フォーカシングレンズ82を駆動する手段としてのAFモータ86及びその駆動回路(モータドライバ)87、並びに制御用の中央処理装置(以下、レンズCPUという。)88、各種データが格納されているROM89等が内蔵されている。
【0049】
不揮発性記憶手段であるROM89は書き換え不能なものであってもよいし、EEPROMのように書き換え可能なものでもよい。ROM89には当該撮影レンズユニット16の型名、焦点距離、Fナンバー、その他の撮影レンズ性能に関する各種情報(以下、「撮影レンズ情報」という。)が格納されている。
【0050】
撮影レンズユニット16をカメラ本体12の撮影レンズユニットマウント部14に装着(図1と図2参照)すると、撮影レンズユニットマウント部14に設けられている電気接点部14Aと撮影レンズユニット16の電気接点部16Aとを介して撮影レンズユニット16とカメラ本体12が電気的に接続され、デジタルカメラ10内のCPU(以下、カメラCPUという。)90とレンズCPU88の間で信号の受渡しが可能となる。
【0051】
カメラCPU90は、所定のプログラムに従って本カメラシステムを統括制御する制御手段として機能するとともに、AE/AF演算など各種の演算を実施する演算手段として機能する。カメラCPU90に接続されているROM91には、カメラCPU90が実行するプログラム及び制御に必要な各種データ等が格納されており、RAM92はカメラCPU90の作業用領域として利用される。不揮発性記憶手段であるROM91は書き換え不能なものであってもよいし、EEPROMのように書き換え可能なものでもよい。
【0052】
カメラCPU90は、カメラ本体12に設けられている電源スイッチ93、モード選択スイッチ94、及びレリーズ検出スイッチ95その他の操作部96からの指示信号に基づいてデジタルカメラ10内の各回路の動作を制御する。なお、操作部96は図3で説明した十字ボタン66、メニュー/実行ボタン67、バックボタン68、ファンクションボタン63等の各種の操作手段を含むブロックである。
【0053】
電源スイッチ93は、デジタルカメラ10の主電源をON/OFFする操作手段である。カメラCPU90は電源スイッチ93の状態を監視し、その状態に応じて電源回路97を制御する。すなわち、電源スイッチ93の閉(ON)状態を検出すると、カメラCPU90は電源回路97に対して起動指令の信号を与え、電源回路97を起動させる。
【0054】
電源回路97はDC/DCコンバータを含む。デジタルカメラ10に装填されている電池98から供給される電力は、電源回路97のDC/DCコンバータによって所要の電圧に変換された後、電源回路97よりデジタルカメラ10内の各回路ブロックに供給される。電源スイッチ93の開(OFF)状態を検出すると、カメラCPU90は電源回路97に対して停止指令の信号を与え、電源回路97からの電力供給を停止させる。なお、主電源のON/OFFについては、電源スイッチ93の操作に限らず、オートパワーON機能(設定された時刻にパワーONする機能)やオートパワーOFF機能(一定時間の無操作状態が継続した場合や設定された時刻に自動的にパワーOFFする機能)によって切り換わる態様もある。
【0055】
また、カメラCPU90は、電気接点部14Aを介して伝達される電気信号に基づいて撮影レンズユニット16の着脱を検出することができるとともに、装着された撮影レンズユニット16から撮影レンズ情報を取得することができる。取得した撮影レンズ情報はデジタルカメラ10のEEPROM(不揮発性記憶手段)99に記憶され、その情報内容は電源OFFの状態においても保持される。カメラCPU90はEEPROM99内に保持しているデータと、電源ON時に新たに撮影レンズユニット16から取得した撮影レンズ情報を比較することによって、撮影レンズ交換が行われたか否かを判断する。
【0056】
モード選択スイッチ94は、デジタルカメラ10の動作モードを設定する手段であり、このモード切換スイッチを操作することによって「撮影モード」(撮影を行うモード)や「再生モード」(記録画像を再生するモード)などの各モードに設定できる。レリーズ検出スイッチ95は、シャッターボタン18(図1参照)の内部に配設される検出スイッチであり、シャッターボタン18の半押し時にONするS1スイッチと、全押し時にONするS2スイッチから構成される。
【0057】
モード選択スイッチ94によって「撮影モード」が選択されると、デジタルカメラ10は撮影可能な状態になる。カメラCPU90がシャッターボタン18の半押し(S1=ON)を検出すると、AE及びAF処理を実施し、その後、シャッターボタン18の全押し(S2=ON)を検知すると、記録用の画像を取り込むためのCCD露光及び読み出し制御を開始する。
【0058】
デジタルカメラ10に搭載されたAE機能はTTL方式のAEであり、デジタルカメラ10内部には、検出系としてのAEセンサ(受光素子)100と、撮影レンズの透過光を分岐してAEセンサ100まで導く検出光路を形成する光学系(不図示)とが設けられている。また、デジタルカメラ10のAF機能はTTL位相差式AFであり、デジタルカメラ10内部には位相差式AFの検出系であるAFモジュール101と、検出光路の形成に必要な光学系(不図示)とが配設されている。AEセンサ100やAFモジュール101の配置構造や光学系の構成などについては、本発明の実施において特に限定されるものではく、一眼レフカメラの分野において知られる様々な態様を適用できる。また、AE/AF機能を実現する手段は、上述の例に限定されず、他のAE/AF方式を用いてもよい。
【0059】
シャッターボタン18が「半押し」されると(S1=ON)、カメラCPU90は、AFモジュール101からの検出信号に基づいてピント状態を判定し、フォーカシングレンズ82の移動制御信号を生成する。この移動制御信号はレンズCPU88に送られる。レンズCPU88はカメラCPU90からの信号に基づいてモータドライバ87を制御してAFモータ86を作動させ、フォーカシングレンズ82を合焦位置に移動させる。
【0060】
また、カメラCPU90は、AEセンサ100からの検出信号に基づいてAE演算を行い、絞り値やシャッタースピードを算出する。カメラCPU90で生成された絞り制御信号はレンズCPU88に送られる。レンズCPU88はカメラCPU90からの信号に基づいてモータドライバ84を制御してアイリスモータ83を作動させ、絞り機構80を所要の開口にする。
【0061】
シャッターボタン18が「全押し」されると(S2=ON)、カメラCPU90は、AE演算の結果に基づいてシャッター機構30(図3参照)を制御し、シャッター機構30のシャッター32を開閉動作させるとともに、CCD22の電荷蓄積時間を制御する。
【0062】
撮影レンズユニット16を介してCCD22に結像された被写体の光学像は、CCD22によって光電変換される。
【0063】
CCD22の各フォトダイオード(図示省略)に蓄積された信号電荷は、タイミングジェネレータ(TG)103から与えられるパルスに基づいて信号電荷に応じた電圧信号(撮像信号)として順次読み出される。CCD22から出力された信号はアナログ処理部104に送られ、相関二重サンプリング(CDS)処理、色分離、ゲイン調整などの所要の処理が行われる。アナログ処理部104で生成された画像信号はA/D変換器106によってデジタル信号に変換された後、画像入力コントローラ108を介してメモリ110に格納される。なお、タイミングジェネレータ103は、カメラCPU90の指令に従ってCCD22、アナログ処理部104及びA/D変換器106に対してタイミング信号を与えており、このタイミング信号によって各回路の同期がとられている。
【0064】
メモリ110に格納されたデータは、バス112を介して画像信号処理回路114に送られる。画像信号処理回路114は、輝度・色差信号生成回路、ガンマ補正回路、シャープネス補正回路、ホワイトバランス補正回路等を含む画像処理手段であり、カメラCPU90からのコマンドにしたがって、画像信号を処理する。
【0065】
画像信号処理回路114に入力された画像データは、輝度信号(Y信号)及び色差信号(Cr,Cb信号)に変換されるとともに、ガンマ補正等の所定の処理が施される。画像信号処理回路114で生成された画像データは圧縮伸長回路116に送られ、JPEGその他の所定の形式に従って圧縮される。圧縮された画像データは、メディアコントローラ118を介して記録メディア120に記録される。
【0066】
圧縮形式はJPEGに限定されず、MPEGその他の方式を採用してもよい。また、画像データを保存する手段は、メモリカードで代表される半導体メモリに限定されず、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスクなど、種々の媒体を用いることができる。また、リムーバブルメディアに限らず、デジタルカメラ10に内蔵された記録媒体(内部メモリなど)であってもよい。
【0067】
モード選択スイッチ94によって「再生モード」が選択されると、記録メディア120から画像ファイルが読み出される。読み出された画像データは、圧縮伸長回路116によって伸長処理され、VRAM122に送られる。VRAM122に格納されたデータは、
ビデオエンコーダ124によって表示用の所定方式の信号(例えば、NTSC方式のカラー複合映像信号)に変換された後、液晶モニタ64に供給される。こうして記録メディア120に格納されている画像が液晶モニタ64に表示される。
【0068】
つぎに、本実施形態の作用について説明する。
【0069】
デジタルカメラ10は、ユーザーによって必要に応じ、撮影レンズユニット16が交換される。その際、カメラ本体12の開口部17(図2参照)から、外部の塵埃など異物が、カメラ本体12の内部に侵入する。あるいは、生産時に混入した塵埃などの異物やカメラ本体12の内部の駆動部分(例えば、シャッター機構30)から発生する摩擦粉などの異物もカメラ本体12の内部に存在する。このような異物が、例えば、カバーガラス24(図4参照)に付着すると、撮影画像に写り込んでしまう。
【0070】
しかし、デジタルカメラ10は、図4に示すように、半永久的に電荷を保持したエレクトレット繊維からなるエレクトレットシート302,304,306を、(1)撮影レンズユニット16の鏡胴15の内壁15A、(2)クイックリターンミラー203の周縁部、(3)CCD22を保護するカバーガラス24の周縁部分の3箇所に貼り付けている。
【0071】
よって、塵埃などの異物がエレクトレットシート302,304,306に静電吸着される。したがって、例えば、異物がカバーガラス24に付着して撮影画像に写り込んでしまうことが防止される。つまり、エレクトレットシート302,304,306を貼り付けるだけの簡単で安価な構成で、塵埃などの異物が撮影画像に写り込んでしまうことが防止される。
【0072】
更に、エレクトレットシート302,304,306は交換可能(取り替え可能)である。よって、例えば、エレクトレットシート302,304,306に異物が多量に付着し静電吸着力が弱まっても、新品に交換することで静電吸着力を復帰できる。
【0073】
尚、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。
【0074】
例えば、本実施形態では、エレクトレットシート302,304,306を(1)撮影レンズユニット16の鏡胴15の内壁15A、(2)クイックリターンミラー203の周縁部、(3)CCD22を保護するカバーガラス24の周縁部分、の3箇所に配置したが、3箇所すべてに配置する必要はない。(1)から(3)のうち、いずれか1箇所あるいは2箇所に配置しても良い。また、(1)から(3)の以外の場所であっても良い。つまり、撮影レンズ300からCCD22までの間の光軸201まわりの撮影光路外のどこかに配置すればよい。
【0075】
また、例えば、上記実施形態では、クイックリターンミラー203は、被写体光を光学ファインダ60への光路系に導く位置(斜設位置)と撮影光路外に退避する位置(退避位置)との間を移動している。しかし、このようなクイックリターンミラー203の替わりに、被写体光の一部は光学ファインダ60への光路系に反射し、一部は透過する半透明ミラーを固定しても良い。
【0076】
また、例えば、上記実施形態では、主に静止画像を撮影する一眼レフタイプのデジタルカメラを例にとって説明したが、これに限定されない。主に動画を撮影するデジタルビデオカメラやDVDカメラなど、各種の電子カメラに本発明は適用することができる。また一眼レフタイプに限らず、他のタイプの撮影レンズユニット交換式の電子カメラにも同様に適用することもできる。更に、撮影レンズユニットが交換できない撮影レンズ固定タイプの電子カメラ(例えば、コンパクトタイプのデジタルカメラ)にも適用できる。なお、撮影レンズ固定タイプの電子カメラでは、撮影レンズユニットの交換の際の塵埃の侵入は無い。しかし、生産時に混入したゴミや駆動部分から発生する摩擦粉などがカバーガラスに付着してしまうことがあり、しかも、ユーザー自身では除去できない。したがって、本発明を適用することは有効である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の一の実施形態に係るデジタルカメラを示す斜視図である。
【図2】本発明の一の実施形態に係るデジタルカメラを示し、撮影レンズユニットを外した状態の斜視図である。
【図3】本発明の一の実施形態に係るデジタルカメラの背面を示す図である。
【図4】本発明の一の実施形態に係るデジタルカメラの内部を模式的に示す図である。
【図5】本発明の一の実施形態に係るデジタルカメラの撮影レンズユニットを示し、(A)は光軸に対して直交する方向に見た断面図であり、(B)光軸方向に見た断面図である。
【図6】(A)は本発明の一の実施形態に係るデジタルカメラのクイックリターンミラーの斜視図であり、(B)は(A)のB−B断面の断面図である。
【図7】本発明の一の実施形態に係るデジタルカメラの撮像素子ユニットを示し、(A)は光軸方向に見た平面図であり、(B)は(A)のB−B断面の断面図である。
【図8】本発明の一の実施形態に係るデジタルカメラの内部構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0078】
10 デジタルカメラ(電子カメラ)
12 カメラ本体
15 鏡胴
15A 内壁
16 撮影レンズユニット
22 CCD(撮像素子)
25 撮像素子ユニット
60 光学ファインダ
201 光軸
203 クイックリターンミラー(ミラー)
204 ピント板(光路系)
205 コンデンサレンズ(光路系)
206 ペンタゴナルダハプリズム(光路系)
208 接眼レンズ(光路系)
300 撮影レンズ
301 撮影レンズ
302 エレクトレットシート(エレクトレット部材)
304 エレクトレットシート(エレクトレット部材)
306 エレクトレットシート(エレクトレット部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影レンズと、
前記撮影レンズにより結像した被写体像を電気信号に変換する撮像素子と、
を備える電子カメラにおいて、
半永久的に電荷を保持したエレクトレット部材を、前記撮影レンズから前記撮像素子までの間の光軸まわりの撮影光路外に配置したことを特徴とする電子カメラ。
【請求項2】
前記エレクトレット部材は、交換可能であることを特徴とする請求項1に記載の電子カメラ。
【請求項3】
前記撮影光路に設けられ、前記被写体光を反射し、該被写体光を光学ファインダへの光路系へ導くミラーを備え、
前記エレクトレット部材を、前記ミラーの周縁部に取り付けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子カメラ。
【請求項4】
前記エレクトレット部材を、前記撮像素子の周縁部、又は周縁部近傍に配置したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電子カメラ。
【請求項5】
前記エレクトレット部材を、前記撮影レンズを備えた鏡胴の内壁に配置したことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電子カメラ。
【請求項6】
前記撮影レンズを備える撮影レンズユニットと、
前記撮影レンズユニットを交換可能にマウントするカメラ本体と、
で構成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電子カメラ。
【請求項7】
半永久的に電荷を保持したエレクトレット部材を、被写体像を電気信号に変換する撮像素子の周縁部、又は周縁部近傍に配置したことを特徴とする電子カメラ用の撮像素子ユニット。
【請求項8】
前記エレクトレット部材は、交換可能であることを特徴とする請求項7に記載の電子カメラ用の撮像素子ユニット。
【請求項9】
半永久的に電荷を保持したエレクトレット部材を、撮影レンズを備える鏡胴の内壁に配置したことを特徴とする電子カメラ用の撮影レンズユニット。
【請求項10】
前記エレクトレット部材は、交換可能であることを特徴とする請求項9に記載の電子カメラ用の撮影レンズユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−60427(P2006−60427A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−238850(P2004−238850)
【出願日】平成16年8月18日(2004.8.18)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【出願人】(000005430)フジノン株式会社 (2,231)
【Fターム(参考)】