説明

電子カメラ

【課題】背面表示部に表示されるスルー画像から目を離さずに設定変更を行う。
【解決手段】カメラボディ11の背面には、表示板13とタッチパネル14とが設けられている。表示板13には、撮像条件に関する設定を変更するための選択項目17が予め表記されている。タッチパネル14は、シースルー表示部19とタブレット14とからなる。シースルー表示部19は、表示板13の前面に設けられており、選択項目17に重ねてスルー画像53を表示する。タブレット14は、シースルー表示部19の前面に設けられており、シースルー表示部19を透して視認される選択項目のうち所望の項目を選択するための座標情報を出力する。タブレット14から出力される座標情報に基づいて選択項目の中から一つの項目が特定され、特定した項目に応じた処理が実行される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルを備えた電子カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビデオカメラや電子カメラでは、ボディ背面に設けた背面表示部に表示されるスルー画像(ライブビュー)を設定用のメニュー画面に切り替えて、カメラの各種設定を変更させる方法が一般的である。設定用のメニューは、背面表示部の周辺に設けたメニューボタンを操作することで表示される。変更は、メニューボタンの周辺に設けた十字キーや決定キーを使って行う。
【0003】
また、複数のカードやカセットの中から所望のものを装着することで、様々の撮影モードや撮影条件等を選択できる機能を有するカメラが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2)。特許文献1に記載のカメラでは、フィルムとは別に装置にICカードを装着可能とし、このICカードに書かれている情報を読み取って装置の制御方法を変えたり、装置機能を追加したりすることができるようになっている。また、特許文献2に記載のカメラでは、異なる撮影プログラム毎にプログラムカードを用意し、撮影者が選択したプログラムカードをカメラボディのスロットに装着することによって、そのカードに書かれているプログラムが読み出されて実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭63−128320号公報
【特許文献2】特開昭54−107339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、カメラの性能向上に伴って撮影メニューの項目が増え、変更するのに十字キーや決定キーの操作を多く繰り返すため時間がかかっていた。このため、シャッタチャンスを逃す機会が多くなっていた。
【0006】
また、カードをセットしてカメラの制御や撮影プログラムを変えるタイプのカメラでも、設定を変更する時にはカードを差し替えるため、ファインダや背面表示部から目を離すため、シャッタチャンスを逃す機会が多くなっていた。
【0007】
そこで、本発明は、ファインダや背面表示部に表示されるスルー画像から目を離さずに設定変更が行えるよう工夫した電子カメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明を例示する電子カメラの一態様は、撮影光学系により結像する被写体像を撮像して撮像画像を出力する撮像手段と、カメラボディの背面に設けられ撮像手段で撮像する時の撮像条件に関する設定を変更するための選択項目を予め表記した表示板と、表示板の上に設けられ撮像画像を選択項目に重ねて表示するシースルー表示部と、シースルー表示部の上に設けられシースルー表示部を透して視認される選択項目のうち所望の項目を選択するための座標情報を出力する透明なタブレットと、タブレットから出力される座標情報に基づいて選択項目の中から一つの項目を特定する特定手段と、特定手段が特定した項目に応じた処理を実行する実行手段と、を備えたものである。
【0009】
表示板としては、異なる選択項目を表記したものを複数用意し、所望の表示板を選択してセットするように構成してもよい。この場合には、選択項目の種類毎に異なる信号を有する信号部を表示板に設ければよい。そして、シースルー表示部の下にスロットを設け、スロットに、複数の表示板のうち択一的に選択した一つの表示板を着脱自在にセットすればよい。そして、信号を読み取る信号読取り部をスロットに備える。これにより、特定手段は、信号読取り部で読み取られた信号に基づいて複数の表示板の中から一つの表示板を特定し、特定した表示板に表記されている選択項目の中から座標情報に基づいて一つの項目を特定することができる。
【0010】
選択項目の画像を液晶表示部等の表示部に表示するようにしてもよい。この場合には、カメラボディの背面に設けられ撮像画像を表示する表示部と、表示部の上に設けられ撮像手段で撮像する時の撮像条件に関する設定を変更するための選択項目の画像を撮像画像に重ねて表示するシースルー表示部と、シースルー表示部の上に設けられシースルー表示部を透して視認される選択項目の画像のうち所望の項目の画像を選択するための座標情報を出力する透明なタブレットと、タブレットから出力される座標情報に基づいて選択項目の中から一つの項目を特定する特定手段と、を備えればよい。これにより、実行手段は、特定手段で特定した項目に応じた処理を実行することができる。
【0011】
ここで、スルー画像と選択項目の画像とが重なって視認されると、見えにくくなるおそれがある。そこで、シースルー表示部及びタブレットからなるタッチパネルを、シースルー表示部と表示部との画面が重なる重合位置と、画面が離れる離反位置との間で移動自在に支持する支持手段を備えるのが好適である。支持手段としては、スライド自在、又は回転自在に支持するものでよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の電子カメラによれば、選択項目を予め表記した表示板の上に、撮像画像を選択項目に重ねて表示するシースルー表示部を設け、シースルー表示部の上に、座標情報を出力する透明なタブレットを設けるとともに、タブレットから出力される座標情報に基づいて選択項目の中から一つの項目を特定する特定手段を備えたから、背面表示部に表示されるスルー画像から目を離さずに設定変更を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態の電子カメラを示す背面側斜視図である。
【図2】図1で説明した電子カメラの背面表示部の構成を示す分解斜視図である。
【図3】背面表示部の要部を示す断面図である。
【図4】電子カメラの電気的概略を示すブロック図である。
【図5】背面表示部に表示されるスルー画像と選択項目とを示す説明図である。
【図6】表示板を交換自在に取り付けるようにした別の実施形態を示す電子カメラの右側面図である。
【図7】表示板を交換してセットするためのスロットの概略を示す斜視図である。
【図8】図6及び図7で説明した電子カメラの電気的概略を示すブロック図である。
【図9】選択項目を表示するタッチパネルを、スルー画像を表示する液晶表示部に対してスライド自在に取り付けた他の実施形態を示す電子カメラの断面図である。
【図10】図9で説明したタッチパネルを液晶表示部に重ねた重合位置の状態を示す電子カメラの背面図である。
【図11】図9で説明したタッチパネルを液晶表示部から離した離反位置の状態を示す電子カメラの背面図である。
【図12】タッチパネルを液晶表示部に対して回転自在に取り付けたさらに他の実施形態を示す電子カメラの背面側斜視図であり、タッチパネルを液晶表示部に重ねた倒伏位置の状態を示している。
【図13】図12で説明した電子カメラの背面側斜視図であり、タッチパネルを回転させて液晶表示部から起立させた起立位置の状態を示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
[第1実施形態]
本発明の一実施の形態による電子カメラ10は、図1に示すように、カメラボディ11の背面に、背面表示部12が設けられている。背面表示部12は、表示板13とタッチパネル14とを順に重ねて取り付けた構成になっている。なお、カメラボディ11の上面には、電源スイッチ15、及びレリーズボタン16が配されている。
【0015】
表示板13には、図2に示すように、電子カメラ10で撮像する時の撮像条件に関する設定を変更するための選択項目17、例えばポートレートモード、スポーツモード、及び夜景モード等が予め表記されている。
【0016】
タッチパネル14は、カメラボディ11の背面側から順に、透明なタブレット18とシースルー表示部19とで構成されている。タブレット18は、図3に示すように、抵抗膜方式になっている。抵抗膜方式のタブレット18は、透明プラスチック基材の片面に錫ドープ酸化インジウム(ITO)膜等の透明導電性薄膜を積層した操作側プラスチック基板20と、ガラス等の透明基材の片面にITO膜などの透明導電性薄膜を積層した表示側透明基板21とを、絶縁スペーサを介して各透明導電性薄膜が向き合うように対向配置させた構造をしている。
【0017】
入力は、タッチ操作等で操作側プラスチック基板20の操作面(透明導電性薄膜側とは反対側の面)を押圧し、操作側プラスチック基板20の透明導電性薄膜と、表示側透明基板21の透明導電性薄膜とを接触させて行う。なお、タブレット18としては、抵抗膜方式以外に、投影静電容量方式等を採用してもよい。
【0018】
シースルー表示部19は、厚みの薄い透光性を有する自己発光型の有機EL(Electro Luminescence)になっており、表示側透明基板側(カメラボディ11の背面側)が発光方向になる。この表示画面には、スルー画像(撮像画像)がカメラボディ11の背面から視認されるよう表示される。なお、シースルー表示部19としては、透明有機ELの代わりに、透明液晶を使用してもよい。
【0019】
電子カメラ10は、図4に示すように、CPU25を備えている。CPU25には、不揮発性メモリ26、及びバッファメモリ27が接続されており、不揮発性メモリ26には、CPU25が種々の制御を行う際に参照される制御プログラムなどが格納されている。CPU25は、不揮発性メモリ26に格納されている制御プログラムに従い、バッファメモリ27を一時記憶作業領域として利用して各部の制御を行い、電子カメラ10を構成する各部(回路)機能を作動させる。
【0020】
撮影レンズ32から入射する被写体光は、CCDやCMOS等の撮像素子(撮像手段)33の撮像面に結像する。撮像素子駆動回路34は、CPU25からの制御信号に基づいて撮像素子33を駆動させる。これにより、撮像素子33の撮像面に結像した被写体像は、アナログの撮像信号に変換される。撮像信号は、AFE(Analog Front End)回路を構成するCDS34、及びAMP35に順に出力し、AFE回路で所定のアナログ処理が施され、その後、A/D(Analog/Digital変換器)36においてデジタルの画像信号に変換される。
【0021】
ASIC(Application Specific Integrated Circuit)37は、画像処理回路を構成しており、デジタルの撮像信号に対して、ホワイトバランス処理やガンマ補正等の画像処理を施して画像データを生成する。
【0022】
画像データは、SDRAM38にいったん記憶される。SDRAM38に記憶した画像データは、CPU25の制御により読み出されてYC変換回路39で輝度信号Yと色差信号Cr,Cbとに変換され、その後、VRAM40に格納される。なお、符号41はCPU25と各部(回路)とを繋ぐバスである。
【0023】
スルー画像をシースルー表示部19に表示する場合、VRAM40で展開された画像データは、バス41を介して表示制御部42に送られる。表示制御部42は、入力された画像データを表示用の所定方式の信号(例えば、NTSC方式のカラー複合映像信号)に変換してシースルー表示部19に出力する。
【0024】
また、YC変換回路39で輝度信号Yと色差信号Cr,Cbとに変換された画像データは、シャッタレリーズに応答して、圧縮伸長処理回路43で圧縮処理が施されてからメディアコントローラ44を介して記録媒体であるメモリカード45に記録される。
【0025】
AE・AWB検出回路46は、SDRAM38に取り込んだ1画面の画像データ(撮像画像)に基づいて1画面を複数のエリア(例えば、16×16)に分割したエリアごとにRGB信号を積算し、その積算値をCPU25に提供する。CPU25は、AE・AWB検出回路46から得た積算値に基づいて被写体の明るさ(被写体輝度)を決定し、決定した被写体輝度に基づいて適正な露出値(撮影EV値)を求める。そして、求めた露出値から所定のプログラム線図に従い、絞り値とシャッタスピードを決定し、これに従って撮像素子33の電子シャッタ、及び電子アイリスを制御して適正な露光量を得る。なお、絞り兼用のメカシャッタを設けて、メカシャッタで絞りを可変してもよい。
【0026】
AE・AWB検出回路46は、自動ホワイトバランス調整時に、分割エリアごとにRGB信号の色別の平均積算値を算出し、その算出結果を、CPU25を介してASIC37に提供する。ASIC37は、Rの積算値、Bの積算値、Gの積算値を得ることで光源種判別を行い、判別された光源種に適したホワイトバランス調整値に従って各色チャンネルの信号に補正をかける。
【0027】
AF検出回路47は、撮像画像中に含まれる所定のエリア(AF枠)内の被写体画像に基づいて明暗差(コントラスト)を検出し、検出結果をCPU25に送る。CPU25は、AF検出回路47から得られる明暗差(コントラスト)を確認しながらレンズ駆動部48を、明暗差が大きくなる合焦位置に撮影レンズ32が移動するように制御する。
【0028】
CPU25には、コントローラ49を介してタブレット18が接続されている。コントローラ49は、タブレット18から得られる入力信号に基づいて座標位置の情報(座標情報)を演算し、演算した座標情報をCPU25に送る。CPU25は、座標情報に基づいて選択項目を特定する特定部50を備えている。
【0029】
不揮発性メモリ26には、タブレット18から入力される座標位置と座標位置に対応する選択項目とを関連付けしたテーブル51が記憶されている。特定部50は、不揮発性メモリ26からテーブル51を読み出し、コントローラ49から得られる座標情報を元にテーブル51を参照して選択項目の中から座標情報に関連付けされている項目を特定する。CPU25は、特定した項目に応じた処理を実行する。
【0030】
次に上記構成の作用を説明する。電源スイッチ15をオンすると、撮影レンズ32、及び撮像素子33を通じて画像信号が連続的に取り込まれる。取り込んだ画像信号はデジタルの画像データに変換され、変換した画像データはASIC37で各種画像処理を施してからSDRAM38に格納される。SDRAM38に格納された画像データは、CPU25の制御によりバス41を介してYC変換回路39に読み出される。YC変換回路39は、画像データを輝度信号Yと色差信号Cr,Cbとに変換してバス41を介してVRAM40に送る。VRAM40で展開された画像データは、バス41を介して表示制御部42に送られる。表示制御部42は、入力された画像データを表示用の所定方式の信号に変換してシースルー表示部19に出力する。
【0031】
背面表示部12には、図5に示すように、表示板13に表記した選択項目17に重ねてスルー画像53が表示されている。このスルー画像53を見ながら、選択項目17の中から所望する項目の表記範囲17a〜17cをタッチ操作する。CPU25の特定部50は、コントローラ49を介してタブレット18から入力される座標情報に基づいてテーブル51を参照する。テーブル51には、選択項目と、その選択項目に対応するタブレット18上での座標範囲とが対応付けしている。座標情報がどの座標範囲に含まれるかを調べることで選択項目の中から一つの項目を特定する。なお、図5に符号17a〜17cで示す範囲が各項目を特定するための座標範囲である。CPU25は、特定した項目に応じて処理を実行する。
【0032】
例えば、ポートレートモードを選択すると、背景を美しくボカして被写体を引き立てた撮影を行うために絞りを開く制御を行うとともに、逆光シーンのように背景と被写体の明るさの差が大きい場合に撮影シーンの画像状況を自動的に分析し、目で見たときの印象に近い自然な画像を表現するよう露出レベルを自動補正し、かつコントラスト等の画像処理を自動補正する。スポーツモードは、シャッタ速度を高速にして撮影を行う。夜景モードは、シャッタ速度を遅くてストロボ撮影を行う。
【0033】
このような撮像条件の変更を、スルー画像53を見ながら行うことができるので、シャッタチャンスを逃すことを確実に防ぐことができる。
【0034】
上記実施形態では、撮像条件として撮影モードとしているが、本発明ではこれに限らず、ISO感度、ホワイトバランス、シャッタ速度値、絞り値、及び撮像画像をメモリカードにファイルとして記録するときの圧縮の度合いを設定する画像モード等を設定するものでもよい。
【0035】
タブレット18として静電容量型式のタイプを採用する場合、コントローラ49としては、静電容量の変化により周波数が可変可能な発振回路と、波形の幅が計測できるインプットキャプチャ回路、メモリ、及び制御回路で構成すればよい。これによれば、タブレットの透明電極上の位置に、指等が触れた時の静電容量の変化による発振回路の発振周波数を、インプットキャプチャ回路にて常に複数回、発振周波数をサンプリングする。制御回路は、電源投入後(初回)の発振周波数のサンプリングを透明スイッチ電極に触れていない時の発振周波数のサンプリングとして数値化し、それをメモリに記憶しておき、その値と透明スイッチ電極に触れている時のサンプリングを数値化した値との差分を元に、予め決められている閾値を超えたか否かを判断することで、スイッチ機能として押圧されたか否かを判断すればよい。
【0036】
[第2実施形態]
上記実施形態では、表示板13をカメラボディ11に固定しているが、第2実施形態では、表示板を交換自在に取り付けられるようにしている。カメラボディ11の背面には、図6に示すように、タッチパネル14との間にスロット55が設けられている。スロット55には、表示板56が着脱自在に取り付けられる。
【0037】
表示板56は、図7に示すように、撮像条件の種類に応じた数分用意されており、所望するものがスロット55にセットされる。各表示板56,57には、信号部58が設けられている。信号部58は、例えばスロット55への挿入方向の一端に凹凸を組み合わせた二値(ビット)信号を有している。二値信号は、表示板56,57の種類を表している。 第1の表示板56には、第1実施形態で説明した撮影モードを変更するための選択項目17が、また第2の表示板57には、画像モード、ホワイトバランス(WB)、及びISO感度等の種類や値を設定するための選択項目17がそれぞれ表記されている。
【0038】
スロット55には、表示板の信号を読み取る信号読取り部60が設けられている。信号読取り部60は、図8に示すように、CPU25に接続されており、読み取った信号をCPU25に送る。不揮発性メモリ26に記憶したテーブル61には、信号と表示板56,57との種類を関連付けした表示板情報が記録されており、そして、表示板56,57の種類毎に座標範囲とその範囲に対応する項目とを関連付けした項目情報が記録されている。
【0039】
CPU25は、信号読取り部60を常に監視し、特定部62は、信号読取り部60から得られる信号を元に、テーブル61に記憶した表示板情報を参照して表示板56,57の種類から一つを特定する。その後、特定部62は、タブレット18から座標情報を受け取ることで、テーブル61に記憶の項目情報を参照して、その座標情報がどの座標範囲に含まれるかを調べることで選択項目の中から一つの項目を特定する。なお、信号部58としては、表示板56,57の種類を表すバーコードとしてもよい。この場合、信号読取り部としては、バーコードリーダを採用すればよい。
【0040】
[第3実施形態]
ところで、背面表示部12は、シースルー表示部19に表示されるスルー画像53が表示板13に表記されている選択項目17の上に重なって視認されるため、スルー画像53も選択項目17も視認し難いおそれがある。
【0041】
そこで、図9ないし図11に示すように、カメラボディ11の背面にスルー画像53を表示する液晶表示部(表示部)65を設け、その液晶表示部65の外側にタッチパネル68を設けた構成にする。タッチパネル68は、選択項目の画像64を表示するシースルー表示部66とタブレット67とからなる。なお、液晶表示部65の代わりに、有機ELパネルを用いても良い。
【0042】
タッチパネル68は、スライドレール(支持手段)69により左右方にスライド自在に支持されている。スライドレール69は、外レール69aと内レール69bとで構成されている。外レール69aは内レール69bをスライド自在に支持し、内レール69bがタッチパネル68を保持する。
【0043】
見えにくいか否かによって、タッチパネル68を液晶表示部65に重なり合う重合位置(図10)と液晶表示部65の横に離れた離反位置(図11)との間で移動させる。タッチパネル68を離反位置に移動することで、スルー画像53と選択項目の画像64とが別々に表示されるので視認し易くなる。勿論、離反位置の状態でもタッチ操作により選択項目の画像64の中から一つの項目の画像を選択することができる。
【0044】
また、選択項目の画像64を液晶表示部65に表示するようにしているため、選択項目の画像64を異なる種類のものに簡便に切り替えて表示することができる。そして、CPU25の特定部が、タブレット67から出力される座標情報に基づいて、その時点に表示されている選択項目の画像64の中から一つの項目の画像を特定する。
【0045】
支持手段としては、タッチパネルをスライド自在に支持するに限らず、回転自在に支持する構成であってもよい。図12及び図13に示す実施形態では、タッチパネル72は、起立位置と倒伏位置との間でヒンジ71を中心に回転する。倒伏位置では、タッチパネル72のシースルー表示部73と液晶表示部65との画面が重なる重合位置になる(図11)。起立位置では、シースルー表示部73と液晶表示部65との画面が上下にずれる離反位置になる(図12)。起立位置と倒伏位置とでは、選択項目の画像64を表示する表示画面がシースルー表示部73の表裏で異なる。
【0046】
そこで、シースルー表示部73としては、例えば両面表示有機ELディスプレイを用いる。両面表示有機ELディスプレイは、光透過性を有する前側、及び後側の表示画面73a、73bを対向して配した構成になっている。そして、前側及び後側の表示画面73a,73bには、両外側にそれぞれ透明なタブレット74,75が取り付けられている。
【0047】
前側、及び後側の表示画面73a,73bは、個別の表示制御部(駆動回路)によりそれぞれ表示が制御される。倒伏位置の時に背面側から選択項目の画像64を正立画像で視認させる表示画面を前側表示画面73aとすると、起立位置の時には、後面表示画面73bに倒立画像で選択項目の画像64を表示すればよい。
【0048】
ところで、シースルー表示部73としては、前側、及び後側の表示画面73a,73bを単一の表示制御部で制御するようにしてもよい。この場合には、同一画像が前側、及び後側の表示画面73a,73bに表示される。このため、起立位置の時には、倒立画像になるように表示を制御する。この場合、シースルー表示部73の回転位置を検出する検出器77をヒンジ71に設け、起立位置と倒伏位置とを認識するように構成すればよい。
【0049】
さらに、シースルー表示部73としては、陽極と陰極の両方に透明な材料を使い、両側に光が出ていく(1画面で裏表両面に表示が行える)デュアルエミッション型の有機ELディスプレイを使用してもよい。さらにまた、シースルー表示部73としては、半透過型液晶表示パネルを用いてもよい。どちらのタイプでも起立位置の時に倒立画像になるように表示を制御すればよい。
【符号の説明】
【0050】
10 電子カメラ
12 背面表示部
13,56,57 表示板
14,68 タッチパネル
18,67 タブレット
19,66 シースルー表示部
50,62 特定部
58 信号部
60 信号読取り部
65 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影光学系により結像する被写体像を撮像して撮像画像を出力する撮像手段と、
カメラボディの背面に設けられ、前記撮像手段で撮像する時の撮像条件に関する設定を変更するための選択項目を予め表記した表示板と、
前記表示板の上に設けられ、前記選択項目に前記撮像画像を重ねて表示するシースルー表示部と、
前記シースルー表示部の上に設けられ、前記シースルー表示部を透して視認される前記選択項目のうち所望の項目を選択するための座標情報を出力する透明なタブレットと、
前記タブレットから出力される座標情報に基づいて前記選択項目の中から一つの項目を特定する特定手段と、
前記特定手段で特定した項目に応じた処理を実行する実行手段と、
を備えたことを特徴とする電子カメラ。
【請求項2】
請求項1に記載の電子カメラにおいて、
前記表示板は、種類の異なる選択項目に合わせて複数用意されており、各表示板には、選択項目の種類毎に異なる信号を持たせた信号部が設けられており、
前記複数の表示板のうち択一的に選択した一つの表示板が前記シースルー表示部の下に着脱自在にセットされるスロットと、
前記スロットに設けられ、前記信号を読み取る信号読取り部と、を備え、
前記特定手段は、前記信号読取り部で読み取られた信号に基づいて複数の表示板の中から一つの表示板を特定し、特定した表示板に表記されている選択項目の中から前記座標情報に基づいて一つの項目を特定することを特徴とする電子カメラ。
【請求項3】
撮影光学系により結像する被写体像を撮像して撮像画像を出力する撮像手段と、
カメラボディの背面に設けられ、前記撮像画像を表示する表示部と、
前記表示部の上に設けられ、前記撮像手段で撮像する時の撮像条件に関する設定を変更するための選択項目の画像を前記撮像画像に重ねて表示するシースルー表示部と、
前記シースルー表示部の上に設けられ、前記シースルー表示部を透して視認される前記選択項目のうち所望の項目を選択するための座標情報を出力する透明なタブレットと、
前記タブレットから出力される座標情報に基づいて前記選択項目の中から一つの項目を特定する特定手段と、
前記特定手段で特定した項目に応じた処理を実行する実行手段と、
を備えたことを特徴とする電子カメラ。
【請求項4】
請求項3に記載の電子カメラにおいて、
前記シースルー表示部、及び前記タブレットからなるタッチパネルを、前記シースルー表示部と前記表示部との画面が重なる重合位置と、前記画面が離れる離反位置との間で移動自在に支持する支持手段を備えることを特徴とする電子カメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−257101(P2012−257101A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129269(P2011−129269)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】