説明

電子キャッシュレジスタ及びPOSシステム

【課題】精算業務の効率を向上させ、支払うべき金額の釣銭よりも多い金額の釣銭の支払いを防止すること。
【解決手段】商品に付されたデータコードに基づいて前記商品の精算処理を行う電子キャッシュレジスタは、商品の精算時に支払いに用いる紙葉を撮像する撮像装置と、撮像装置の撮像により取得された画像データから紙葉に印刷されている金額情報が予め設定された金額情報であるか否かを認識する画像認識部と、画像認識部により認識された紙葉に印刷されている金額情報が予め設定された金額情報でなければ、予め設定された金額情報でない旨を表示する表示部とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば商品に付されたデータコードに基づいて商品の精算処理を行う電子キャッシュレジスタ及びこの電子キャッシュレジスタをPOS端末としてネットワークを介して接続して成るPOSシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
商品を販売する店舗では、キャッシャー等によって電子キャッシュレジスタが操作されて商品の精算業務が行われる。この商品の精算業務では、キャッシャーが電子キャッシュレジスタに対して商品購入者によって購入される各商品の価格や商品名、個数等の登録が行われ、この後に購入される全ての商品の精算額が電子キャッシュレジスタにおける例えば液晶ディスプレイ等の表示部に表示される。
【0003】
キャッシャーは、商品購入者から商品の精算を行うために紙幣や硬貨等の貨幣を受け取り、釣銭があれば当該釣銭支払いを商品購入者に行って商品精算を終了する。この商品精算を行うとき、キャッシャーは、商品購入者から高額の紙幣、例えば壱万円の紙幣を受け取ることがある。キャッシャーは、高額の紙幣を受け取ると、この紙幣を例えば電子キャッシュレジスタに設けられている札挟みに挟んだり、電子キャッシュレジスタにおけるテーブル上に一時置いている。そして、キャッシャーは、商品購入者から受け取った貨幣の金額と商品の精算額とから釣銭の金額を計算し、商品購入者に対して釣銭支払いを行っている。キャッシャーは、例えば壱万円の高額の紙幣を受け取ったときの商品精算業務の終了の後、例えば壱万円の高額の紙幣の収納枚数をカウントするために手書きによってチェックを行う。
【0004】
特許文献1は、高額紙幣の受領を入力する高額紙幣入力部と、この高額紙幣入力部により入力された高額紙幣データを格納する高額紙幣記憶部とを有し、入力部からの簡単な操作により高額紙幣のチェックができ、高額紙幣の管理を迅速かつ容易に行うことを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−223273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、店舗では、キャッシャーにより商品の精算業務を行う他に、精算業務以外の業務を行うことが増えている。このため、キャッシャーによる商品の精算業務を行う効率が悪くなっている。さらに、キャッシャーが長時間に亘って商品の精算業務を行うと、この精算業務による疲労等からキャッシャーは、例えば壱万円の高額の紙幣の収納枚数の手書きによるチェックを忘れたり、例えば千円や、二千円、五千円の紙幣を壱万円の高額の紙幣と見間違えてしまい、支払うべき金額の釣銭よりも多い金額の釣銭を商品購入者に支払ってしまうことが起きやすい。
【0007】
本発明の目的は、精算業務の効率を向上させ、支払うべき金額の釣銭よりも多い金額の釣銭の支払いを防止できる電子キャッシュレジスタ及びPOSシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の主要な局面に係る電子キャッシュレジスタは、商品に付されたデータコードに基づいて商品の精算処理を行う電子キャッシュレジスタにおいて、商品の精算時に支払いに用いる紙葉を撮像する撮像装置と、撮像装置の撮像により取得された画像データから紙葉に印刷されている金額情報が予め設定された金額情報であるか否かを認識する画像認識部と、画像認識部により認識された紙葉に印刷されている金額情報が予め設定された金額情報でなければ、予め設定された金額情報でない旨を表示する表示部とを具備する。
【0009】
本発明の主要な局面に係るPOSシステムは、商品に付されたデータコードを取り込む電子キャッシュレジスタと、電子キャッシュレジスタがネットワークを介して接続され、電子キャッシュレジスタとの間で商品の精算処理に関する情報の授受及び商品の精算処理結果の記録を行うPOS処理装置とを有するPOSシステムにおいて、少なくとも商品の精算時に支払いに用いる紙葉を撮像する撮像装置と、撮像装置の撮像により取得された画像データから紙葉に印刷されている金額情報が予め設定された金額情報であるか否かを認識する画像認識部と、画像認識部により認識された紙葉に印刷されている金額情報が予め設定された金額情報でなければ、予め設定された金額情報でない旨を表示する表示部とを具備する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、精算業務の効率を向上させ、支払うべき金額の釣銭よりも多い金額の釣銭の支払いを防止できる電子キャッシュレジスタ及びPOSシステムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る第1の実施の形態であるPOSシステムを示す構成図。
【図2】同装置における精算業務フローチャート。
【図3】本発明に係る第2の実施の形態である電子キャッシュレジスタを示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1はPOSシステムの構成図を示す。このPOSシステムは、POS処理装置1と、このPOS処理装置1のPOS端末である電子キャッシュレジスタ2とから成る。電子キャッシュレジスタ2には、商品購入者によって購入される各商品3の情報、例えば商品3の価格や商品名、個数等の登録などをキャッシャーによりマニュアル操作により入力するための複数のキー4と、商品購入者によって購入される各商品3の精算額等を表示するための例えば2つの液晶ディスプレイ5、6と、商品3に付されたデータコード、例えばバーコード7を撮像するCCDバーコードスキャナ8と、精算指示キー9とを備える。2つの液晶ディスプレイ5、6のうち一方の液晶ディスプレイ5は、例えばキャッシャー用であり、他方の液晶ディスプレイ5は、例えば商品購入者用である。又、電子キャッシュレジスタ2には、商品の精算時に商品購入者から受け取った高額の金額情報が印刷された紙幣、例えば壱万円の紙幣10を仮置きする載置台としてのテーブル11が設けられている。なお、紙幣10は、壱万円に限らず、例えば千円や、二千円、五千円も含むものとする。 CCDバーコードスキャナ8は、バーコード7が付された商品3を含む領域の撮像(以下、バーコード7の撮像と省略する)を行う。又、このCCDバーコードスキャナ8は、撮像方向がテーブル11の設けられている方向に設定されている。これにより、CCDバーコードスキャナ8は、テーブル11上に仮置きされた例えば壱万円の紙幣10を含む領域の撮像(以下、紙幣10の撮像と省略する)を行う。このCCDバーコードスキャナ8は、バーコード7の撮像と紙幣10の撮像との兼用になっているが、バーコード7を読み取るバーコードスキャナが別途設けられていれば、CCDバーコードスキャナ8は、紙幣10の撮像専用として用いてもよい。
【0013】
なお、電子キャッシュレジスタ2には、例えば壱万円の紙幣10を仮置きするテーブル11に代えて、紙幣10を挟むための札挟みが設けられていてもよい。この場合、CCDバーコードスキャナ8は、札挟みに挟まれた紙幣10を撮像するように撮像方向が設定される。又、CCDバーコードスキャナ8は、電子キャッシュレジスタ2に設けられていてもよいし、電子キャッシュレジスタ2の周辺に設置されてもよい。
【0014】
精算指示キー9は、商品購入者によって購入される各商品3の価格や商品名、個数等の登録が行われた後、全ての商品の精算額を算出するためにキャッシャーによって指示操作される。
電子キャッシュレジスタ2は、CPU、ROM、RAM等のコンピュータを搭載しており、このコンピュータの演算により例えば店内ネットワーク30を介してPOS処理装置1の間でデータ伝送を行う機能と、画像認識部21及び報知部22の機能とを有する。このうち画像認識部21は、CCDバーコードスキャナ8の撮像により取得された画像データを受け取り、この画像データ中からバーコード7を認識する。
又、画像認識部21は、CCDバーコードスキャナ8の撮像により取得された画像データから紙幣10に印刷されている金額情報が高額の金額情報、例えば壱万円の高額の金額情報であるか否かを認識する。この壱万円の高額の金額情報であるか否かの認識は、例えば、CCDバーコードスキャナ8の撮像により取得された画像データ中に「壱万円」等の文字や「10000」等の数字が認識されるか否か、又は画像データ中の絵柄等を画像認識して壱万円の紙幣10であるか否か、又は紙幣10の大きさを認識することにより行われる。
【0015】
なお、CCDバーコードスキャナ8の撮像範囲内に1枚ずつ紙幣10が順次配置されることがある。この場合、画像認識部21は、CCDバーコードスキャナ8の撮像により取得される画像データを順次取り込み、これら画像データから各紙幣10にそれぞれ印刷されている各金額情報が例えば壱万円の高額の金額情報であるか否かをそれぞれ認識する。
【0016】
画像認識部21は、通常、CCDバーコードスキャナ8の撮像により取得された画像データ中からバーコード7を認識するが、後述するPOS処理装置1における精算処理部34により商品3の精算額データが求められた時点で、自動的にCCDバーコードスキャナ8の撮像により取得された画像データを受け取り、この画像データから紙幣10に印刷されている金額情報が高額の金額情報、例えば壱万円の高額の金額情報であるか否かを認識する機能に切り替わる。
又は、画像認識部21は、通常、CCDバーコードスキャナ8の撮像により取得された画像データ中からバーコード7を認識するが、精算指示キー9が例えばキャッシャーによって操作されると、この精算指示キー9の操作を受けてCCDバーコードスキャナ8の撮像により取得された画像データを受け取り、この画像データから紙幣10に印刷されている金額情報が高額の金額情報、例えば壱万円の高額の金額情報であるか否かを認識する機能に切り替わる。
【0017】
報知部22は、画像認識部21により認識された紙幣10に印刷されている金額情報が例えば壱万円の高額の金額情報でなければ、当該壱万円の高額の金額情報でない旨を2つの液晶ディスプレイ5、6のうちいずれか一方又は両方に警告表示する。これら液晶ディスプレイ5、6のうちいずれか一方又は両方に警告表示する場合、報知部22は、壱万円の高額の金額情報でない旨を例えば赤色の文字により表示したり、又はブザー等の鳴動機を設け、この鳴動機を鳴動させてもよい。
又、報知部22は、画像認識部21により認識された紙幣10に印刷されている金額情報が例えば壱万円の高額の金額情報であり、かつPOS処理装置1から精算額を受領した旨の情報が通知されると、壱万円の紙幣10を受領した旨を2つの液晶ディスプレイ5、6のうちいずれか一方又は両方に表示する。
【0018】
POS処理装置1は、店内ネットワーク30を介して電子キャッシュレジスタ2との間で商品3の精算処理に関する情報の授受及び商品3の精算処理結果の記録等を行うもので、店舗サーバ31と、店舗端末32と、商品データベース33とを有する。店舗サーバ31は、CPU、ROM、RAM等のコンピュータから成り、店舗端末32と商品データベース33とが接続されている。
商品データベース33には、店舗で販売する全ての商品3の価格や商品名等のデータが予め格納されている。
【0019】
店舗サーバ31は、精算処理部34と、高額紙葉カウント部35との機能を有する。精算処理部34は、電子キャッシュレジスタ2から送信されてくるバーコード7を商品データベース33に照会し、当該バーコード7に対応する商品3の価格や商品名等のデータを読み出し、全ての商品3の各価格を合計して精算額データを求め、この精算額データを店内ネットワーク30を介して電子キャッシュレジスタ2に送信する。
高額紙葉カウント部35は、電子キャッシュレジスタ2から送信されてくる紙幣10に印刷されている金額情報が例えば壱万円の高額の金額情報であれば、当該壱万円の高額の金額情報が印刷された紙幣10の枚数すなわち壱万円の紙幣10の枚数をカウントする。
【0020】
次に、上記の如く構成されたPOSシステムによる精算業務の動作について図2に示す精算業務フローチャートに従って説明する。
商品3が例えばキャッシャーの手に把持され、商品3に貼り付けられているバーコード7がキャッシャーの手の動きによってその位置がCCDバーコードスキャナ8の撮像範囲内に配置される。このCCDバーコードスキャナ8は、ステップ#1において、バーコード7が付された商品3を含む領域の撮像し、その画像データを出力する。
電子キャッシュレジスタ2における画像認識部21は、ステップ#2において、CCDバーコードスキャナ8の撮像により取得された画像データを取り込み、この画像データ中からバーコード7を認識する。電子キャッシュレジスタ2は、認識したバーコード7を店内ネットワーク30を介して店舗サーバ31に送信する。なお、複数の商品3がCCDバーコードスキャナ8の撮像範囲内に順次配置されると、画像認識部21は、CCDバーコードスキャナ8の撮像により取得された画像データを取り込み、この画像データ中から各商品3の各バーコード7を順次認識する。電子キャッシュレジスタ2は、順次認識した各バーコード7の情報を店内ネットワーク30を介して店舗サーバ31に順次送信する。
【0021】
店舗サーバ31は、ステップ#3において、電子キャッシュレジスタ2から送信されてきたバーコード7の情報を受信する。次に、店舗サーバ31における精算処理部34は、ステップ#4において、電子キャッシュレジスタ2から送信されてきたバーコード7の情報を商品データベース33に照会し、当該バーコード7に対応する商品3の価格や商品名等のデータを読み出す。そして、複数の商品3のバーコード7の情報が電子キャッシュレジスタ2から受信されると、精算処理部34は、各バーコード7の情報を商品データベース33に照会し、当該各バーコード7に対応する各商品3の各価格や各商品名等の各データを読み出し、全ての商品3の各価格を合計して精算額データを求める。
次に、店舗サーバ31は、ステップ#5において、精算処理部34により求められた全ての商品3の精算額データを店内ネットワーク30を介して電子キャッシュレジスタ2に送信する。
【0022】
次に、電子キャッシュレジスタ2は、ステップ#6において、店舗サーバ31から店内ネットワーク30を介して送信されてきた全ての商品3の精算額データを受領する。
ここで、キャッシャーは、商品購入者から商品の精算を行うために紙幣や硬貨等の貨幣を受け取り、釣銭があれば当該釣銭支払いを商品購入者に行う。このような商品精算を行うとき、キャッシャーは、商品購入者から高額の紙幣、例えば壱万円の紙幣10を受け取ることがある。キャッシャーは、壱万円の紙幣10を受け取ると、この紙幣10をテーブル11上に一時仮置きする。このとき、キャッシャーは、上記の如く商品の精算業務を行う他に、精算業務以外の業務を行うことが増えて商品の精算業務を行う効率が悪くなり、さらに長時間に亘る商品の精算業務による疲労等から例えば千円や、二千円、五千円の紙幣を壱万円の高額の紙幣10と見間違えてしまい、例えば千円や、二千円、五千円の紙幣を誤ってテーブル11上に一時仮置きするおそれがある。なお、商品3の精算額によっては、硬貨により精算を行い、商品購入者から壱万円の高額の紙幣10を受け取らず、高額の紙幣10がテーブル11上に一時仮置きされないこともある。
【0023】
電子キャッシュレジスタ2における画像認識部21は、全ての商品3の精算額データを受領したことを確認すると、自動的にステップ#7に移り、CCDバーコードスキャナ8の撮像により取得される画像データを取り込む。このとき、CCDバーコードスキャナ8は、テーブル11上に一時仮置きされている壱万円の紙幣10を撮像し、その画像データを出力する。
【0024】
画像認識部21は、CCDバーコードスキャナ8の撮像により取得された画像データを取り込み、ステップ#8において、画像データ中のテーブル11上に紙幣10が在るか否かを判断する。この場合、画像認識部21は、テーブル11上に仮置きされている紙幣が壱万円に限らず、例えば千円や、二千円、五千円の紙幣10が誤って仮置きされていてもテーブル11上に紙幣10が在ると判断する。
【0025】
次に、画像認識部21は、ステップ#9において、CCDバーコードスキャナ8の撮像により取得された画像データから紙幣10に印刷されている金額情報が高額の金額情報、例えば壱万円の高額の金額情報であるか否かを認識する。
この認識の結果、画像認識部21により認識された紙幣10に印刷されている金額情報が例えば壱万円の高額の金額情報でなければ、報知部22は、ステップ#10において、当該壱万円の高額の金額情報でない旨を2つの液晶ディスプレイ5、6のうちいずれか一方又は両方に警告表示する。この場合、報知部22は、壱万円の高額の金額情報でない旨すなわち壱万円の紙幣10でない旨を例えば赤色の文字により表示したり、又はブザー等を鳴動する。
【0026】
しかるに、キャッシャーは、例えば千円や二千円、五千円の紙幣10を壱万円の高額の紙幣10と見間違えてテーブル11上に一時仮置きしたことに気付くことが可能である。壱万円の紙幣10でない旨の警告表示は、報知部22によりステップ#11において、所定期間後に自動的に解除されたり、又はキャッシャーによる電子キャッシュレジスタ2における所定のキー操作により解除される。この警告表示が解除されると、キャッシャーは、商品購入者から商品の精算を行うために例えば千円や二千円、五千円の紙幣10や硬貨等の貨幣を受け取り、釣銭があれば当該釣銭支払いを商品購入者に行って商品精算を終了する。
【0027】
一方、上記認識の結果、壱万円の紙幣10であれば、電子キャッシュレジスタ2は、ステップ#12において、壱万円の紙幣10を受領した旨の情報を店内ネットワーク30を介して店舗サーバ31に送信する。
次に、店舗サーバ31は、電子キャッシュレジスタ2から送信された壱万円の紙幣10を受領した旨の情報を店内ネットワーク30を介して受信し、この壱万円の紙幣10を受領した旨の情報を高額紙葉カウント部35に送る。この高額紙葉カウント部35は、電子キャッシュレジスタ2から壱万円の紙幣10を受領した旨の情報を受けると、ステップ#13において、壱万円の高額の金額情報が印刷された紙幣10の枚数をカウントする。そして、店舗サーバ31は、電子キャッシュレジスタ2から壱万円の紙幣10を受領した旨を受けたことの確認のデータを店内ネットワーク30を介して電子キャッシュレジスタ2に送信する。
【0028】
次に、電子キャッシュレジスタ2における報知部22は、ステップ#14において、POS処理装置1から壱万円の紙幣10を受領した旨が通知されると、壱万円の高額の金額を受領した旨を2つの液晶ディスプレイ5、6のうちいずれか一方又は両方に表示させる。
なお、画像認識部21は、ステップ#8における判断の結果、画像データ中のテーブル11上に紙幣10が無いと判断すると、例えば硬貨による商品3の精算であるものと認識する。しかるに、キャッシャーは、商品購入者から商品の精算を行うために硬貨を受け取り、釣銭があれば当該釣銭支払いを商品購入者に行って商品精算を終了する。なお、テーブル11上に紙幣10が無い場合、画像認識部21は、紙幣10以外での商品3の精算、例えばクレジットカード等による商品3の精算であるものと認識する。
【0029】
以上により商品3の精算業務が終了する。
【0030】
このように上記第1の実施の形態によれば、商品3の精算時に支払いに用いる紙幣10を撮像し、この撮像により取得された画像データから紙幣10に印刷されている金額情報が例えば壱万円の高額の金額情報であるか否かを認識し、紙幣10に印刷されている金額情報が壱万円の高額の金額情報でなければ、当該壱万円の高額の金額情報でない旨を液晶ディスプレイ5、6のうちいずれか一方又は両方に警報表示する。これにより、キャッシャーが商品購入者から例えば千円や二千円、五千円の紙幣10を受け取ると、壱万円の紙幣10でない旨の警報が表示されるので、キャッシャーは、千円や二千円、五千円の紙幣10と壱万円の高額の紙幣10とを確実に見分けることができる。
【0031】
店舗では、キャッシャーにより商品の精算業務を行う他に、精算業務以外の業務を行うことが増えているために、キャッシャーによる商品の精算業務を行う効率が悪くなり、さらに、キャッシャーが長時間に亘って商品の精算業務を行なってキャッシャーが疲労していても、壱万円の紙幣10でない旨の警報表示を視覚的に見ることになり、キャッシャーは、商品購入者から受け取った紙幣10が壱万円の高額の紙幣10であることを確実に認識できる。これにより、支払うべき金額の釣銭よりも多い金額の釣銭を商品購入者に支払うことはなくなる。
【0032】
又、店舗サーバ31における高額紙葉カウント部35は、電子キャッシュレジスタ2から壱万円の紙幣10を受領した旨の情報を受けると、壱万円の紙幣10の枚数をカウントするので、キャッシャーの手書きによる壱万円の高額の紙幣10の収納枚数チェックをする必要がなく、自動的に壱万円の高額の紙幣10の収納枚数をカウントできる。
CCDバーコードスキャナ8は、バーコード7の撮像と紙幣10の撮像とを兼用するので、紙幣10を撮像するための専用の装置を設ける必要がなく、かつ画像認識部21及び報知部22の各機能もプログラムの変更等で容易に実現できる。
【0033】
上記第1の実施の形態では、電子キャッシュレジスタ2に画像認識部21と報知部22とを設けると共に、POS処理装置1に商品データベース33と精算処理部34と高額紙葉カウント部35とを設けているが、これら画像認識部21、報知部22、商品データベース33、精算処理部34、高額紙葉カウント部35は、それぞれ電子キャッシュレジスタ2又はPOS処理装置1のいずれに設けてもよい。
【0034】
次に、本発明の第2の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、図1と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
図3は電子キャッシュレジスタ2の構成図を示す。この電子キャッシュレジスタ2は、単独で商品3に付されたバーコード7に基づいて商品3の精算処理等を行うもので、画像認識部21、報知部22、商品データベース33、精算処理部34及び高額紙葉カウント部35の各機能を有する。
【0035】
次に、上記の如く構成された電子キャッシュレジスタ2による精算業務の動作について説明する。
CCDバーコードスキャナ8は、バーコード7が付された商品3を含む領域の撮像し、その画像データを出力する。画像認識部21は、CCDバーコードスキャナ8の撮像により取得された画像データを取り込み、この画像データ中からバーコード7を認識する。
次に、精算処理部34は、画像認識部21により認識されたバーコード7の情報を商品データベース33に照会し、当該バーコード7に対応する商品3の価格や商品名等のデータを読み出す。そして、複数の商品3のバーコード7が認識された場合、精算処理部34は、各バーコード7の情報を商品データベース33に照会し、当該各バーコード7に対応する各商品3の各価格や各商品名等の各データを読み出し、全ての商品3の各価格を合計して精算額データを求める。
【0036】
次に、画像認識部21は、全ての商品3の精算額データを受領したことを確認すると、CCDバーコードスキャナ8によりテーブル11上に一時仮置きされている壱万円の紙幣10を撮像して取得される画像データを取り込む。画像認識部21は、画像データ中のテーブル11上に紙幣10が在るか否かを判断する。この場合、画像認識部21は、テーブル11上に仮置きされている紙幣が壱万円に限らず、例えば千円や、二千円、五千円の紙幣10が誤って仮置きされていてもテーブル11上に紙幣10が在ると判断する。
【0037】
次に、画像認識部21は、CCDバーコードスキャナ8の撮像により取得された画像データから紙幣10に印刷されている金額情報が高額の金額情報、例えば壱万円の高額の金額情報であるか否かを認識する。この認識の結果、画像認識部21により認識された紙幣10に印刷されている金額情報が例えば壱万円の高額の金額情報でなければ、報知部22は、当該壱万円の高額の金額情報でない旨を2つの液晶ディスプレイ5、6のうちいずれか一方又は両方に警告表示する。
【0038】
しかるに、キャッシャーは、例えば千円や二千円、五千円の紙幣10を壱万円の高額の紙幣10と見間違えてテーブル11上に一時仮置きしたことに気付くことが可能である。この警告表示は、報知部22により所定期間後に自動的に解除されたり、又はキャッシャーによる電子キャッシュレジスタ2における所定のキー操作により解除される。この警告表示が解除されると、キャッシャーは、商品購入者から商品の精算を行うために例えば千円や二千円、五千円の紙幣10や硬貨等の貨幣を受け取り、釣銭があれば当該釣銭支払いを商品購入者に行って商品精算を終了する。
【0039】
一方、上記認識の結果、壱万円の紙幣10であれば、電子キャッシュレジスタ2は、壱万円の紙幣10を受領したことを確認し、この壱万円の紙幣10を受領した旨の情報を高額紙葉カウント部35に送る。この高額紙葉カウント部35は、壱万円の高額の金額情報が印刷された紙幣10の枚数をカウントする。
次に、報知部22は、壱万円の高額の金額を受領した旨を2つの液晶ディスプレイ5、6のうちいずれか一方又は両方に表示させる。
なお、画像認識部21は、画像データ中のテーブル11上に紙幣10が無いと判断すると、硬貨による商品3の精算であるものと認識する。しかるに、キャッシャーは、商品購入者から商品の精算を行うために硬貨を受け取り、釣銭があれば当該釣銭支払いを商品購入者に行って商品精算を終了する。
【0040】
以上により商品3の精算業務が終了する。
【0041】
このように上記第2の実施の形態によれば、POSシステムの一端末として機能せずに単独の電子キャッシュレジスタ2であっても、上記第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0042】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1:POS処理装置、2:電子キャッシュレジスタ、3:商品、4:複数のキー、5,6:液晶ディスプレイ、7:バーコード、8:CCDバーコードスキャナ、9:精算指示キー、10:紙幣、21:画像認識部、22:報知部、30:店内ネットワーク、31:店舗サーバ、32:店舗端末、33:商品データベース、34:精算処理部、35:高額紙葉カウント部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品に付されたデータコードに基づいて前記商品の精算処理を行う電子キャッシュレジスタにおいて、
前記商品の精算時に支払いに用いる紙葉を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置の撮像により取得された画像データから前記紙葉に印刷されている金額情報が予め設定された金額情報であるか否かを認識する画像認識部と、
前記画像認識部により認識された前記紙葉に印刷されている金額情報が前記予め設定された金額情報でなければ、前記予め設定された金額情報でない旨を表示する表示部と、
を具備することを特徴とする電子キャッシュレジスタ。
【請求項2】
前記表示部は、前記画像認識部により認識された前記紙葉に印刷されている金額情報が前記予め設定された金額情報であれば、前記予め設定された金額情報が印刷された前記紙葉を受領した旨を前記表示部に表示することを特徴とする請求項1記載の電子キャッシュレジスタ。
【請求項3】
前記画像認識部は、前記撮像装置の撮像により取得された前記画像データ中から前記データコードとしてのバーコードを認識し、
前記画像認識部により認識された前記バーコードに基づいて前記商品の精算額データを求め、この後に前記商品に対する前記精算処理を完了する精算処理部を有し、
前記画像認識部は、前記精算処理部により前記商品の精算額データが求められた時点で、前記撮像装置の撮像により取得された画像データから前記紙葉に印刷されている金額情報が前記予め設定された金額情報であるか否かを認識する、
ことを特徴とする請求項1記載の電子キャッシュレジスタ。
【請求項4】
前記画像認識部により前記予め設定された金額情報であると認識されると、前記予め設定された金額情報が印刷された前記紙葉の枚数をカウントする高額紙葉カウント部を有することを特徴とする請求項1記載の電子キャッシュレジスタ。
【請求項5】
金額情報が印刷されている前記紙葉を載置するための載置台を備え、
前記撮像装置は、撮像範囲を前記載置台上に向けて設けられ、前記載置台又は前記載置台上に載置される前記商品の精算時に支払いに用いる前記紙葉を撮像する、
ことを特徴とする請求項1記載の電子キャッシュレジスタ。
【請求項6】
前記画像認識部は、前記撮像装置の撮像により取得された前記画像データに基づいて前記載置台上に前記紙葉が在るか無いかを判断し、前記紙葉がなければ、前記予め設定された金額情報が印刷された前記紙葉以外での前記商品の精算であるものと認識することを特徴とする請求項5記載の電子キャッシュレジスタ。
【請求項7】
前記表示部は、前記予め設定された金額情報が印刷された前記紙葉の金額表示と、前記予め設定された金額情報とは異なる金額情報が印刷された前記紙葉の金額表示とをそれぞれ異なる表示色で表示することを特徴とする請求項1記載の電子キャッシュレジスタ。
【請求項8】
商品に付されたデータコードを取り込む電子キャッシュレジスタと、前記電子キャッシュレジスタがネットワークを介して接続され、前記電子キャッシュレジスタとの間で前記商品の精算処理に関する情報の授受及び前記商品の精算処理結果の記録を行うPOS処理装置とを有するPOSシステムにおいて、
少なくとも前記商品の精算時に支払いに用いる紙葉を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置の撮像により取得された画像データから前記紙葉に印刷されている金額情報が予め設定された金額情報であるか否かを認識する画像認識部と、
前記画像認識部により認識された前記紙葉に印刷されている前記金額情報が前記予め設定された金額情報でなければ、前記予め設定された金額情報でない旨を表示する表示部と、
を具備することを特徴とするPOSシステム。
【請求項9】
前記画像認識部は、前記撮像装置の撮像により取得された前記画像データ中から前記データコードとしてのバーコードを認識し、
前記画像認識部により認識された前記バーコードに基づいて前記商品の精算額データを求め、この後に前記商品に対する前記精算処理を完了する精算処理部を有し、
前記画像認識部は、前記精算処理部により前記商品の精算額データが求められた時点で、前記撮像装置の撮像により取得された画像データから前記紙葉に印刷されている金額情報が予め設定された金額情報であるか否かを認識する、
ことを特徴とする請求項8記載のPOSシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−243227(P2011−243227A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183441(P2011−183441)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【分割の表示】特願2007−218619(P2007−218619)の分割
【原出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】