説明

電子キー

【課題】手動操作による発電にて2次電池を充電して通信を再開するとき、発電電力を無駄にすることなく通信を実行することができる電子キーを提供する。
【解決手段】ワイヤレスキー2は、手動操作によって発電して2次電池12を充電可能な発電ユニット13を備える。ワイヤレスキー2の2次電池12が電波送信動作最低電圧未満となって、ワイヤレスキー2が電波送信不可の状態となったときには、手動操作によって発電機15を発電させて2次電池12を給電(充電)する。そして、2次電池12の電池電圧が電波送信動作最低電圧以上となって電源が回復したとき、その回復時点で、ワイヤレス信号Swl(解錠信号Sul)がワイヤレスキー2から自動送信される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ID照合のための電波を通信対象に無線送信する電子キーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両には、電子キーからの通信を契機に狭域無線通信(通信距離:数m)によりワイヤレスキーとID照合を行うワイヤレスキーシステムが搭載されている(特許文献1等参照)。この場合、例えばワイヤレスキーに設けられたドア施解錠用のボタンが操作されると、ボタン操作に応じた信号内容を有するワイヤレス信号がワイヤレスキーから送信される。そして、車両は、ワイヤレスキーからワイヤレス信号を受信すると、信号内のIDコードでID照合を行い、ID照合が成立すれば、ドアロックの施解錠動作を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−72137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ワイヤレスキーはキー内の電池を電源として動作するので、電子キーの使用回数に応じて電池電圧が徐々に低下していく。そして、電池電圧が電波送信動作最低電圧(電波送信不可の値)まで下がってしまうと、ワイヤレスキーは電波送信の動作をとることができず、車両との無線によるID照合が実施できなくなる。こうなると、ユーザはメカニカルキーを用いた機械的操作にてドアロックを施解錠操作しなければならず、この作業が煩わしく感じる問題に繋がる。
【0005】
そこで、近年、例えばワイヤレスキーの電池を2次電池とし、手動操作により発電する発電機をワイヤレスキーに設けておき、ワイヤレスキーの電池電圧が電波送信動作最低電圧まで下がった際には、手動操作によって発電機により発電して、電池を充電する技術が検討されている。こうすれば、一時的であれ、ワイヤレスキーの電源電圧が回復するので、ワイヤレスキーからID照合のための電波を無線送信することが可能となる。
【0006】
しかし、ユーザが発電機を手動操作して電池を充電した際、直ぐにワイヤレスキーでボタン操作が実行されればよいが、ボタン操作までにタイムラグがあると、その間に自然放電によって、せっかく溜めた電荷が開放されて、電源電圧が低下してしまうことがある。このとき、電源電圧が電波送信動作最低電圧を再度下回ってしまうと、ワイヤレスキーがまたもや使用できない状況に陥る。よって、この場合は、ユーザに再充電を課すことになるので、ユーザの利便性を損なう問題があった。
【0007】
本発明の目的は、手動操作による発電にて2次電池を充電して通信を再開するとき、発電電力を無駄にすることなく通信を実行することができる電子キーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記問題点を解決するために、本発明では、ID照合に必要な電波を通信対象に無線送信して正当性が確認される電子キーにおいて、手動操作によって発電可能であり、この発電にてキー内の2次電池を充電可能な発電手段と、前記2次電池の電圧を監視する電圧監視手段と、キー電源が電波送信に最低限必要な電波送信動作最低電圧未満となったとき、前記発電により前記2次電池の電池電圧が回復すると、前記ID照合のための電波を自動送信する送信実行手段とを備えたことを要旨とする。
【0009】
本発明の構成によれば、電子キーの電源が電波送信動作最低電圧未満となったときには、手動操作によって発電手段を発電させて2次電池を給電する。そして、2次電池の電池電圧が回復したとき、その回復時点で、ID照合のための電波が自動送信される。このため、2次電池の電池電圧が回復した時点で直ぐに電波送信が行われるので、発電手段によって得た電力を無駄にすることなく、電波送信の電源として使用することが可能となる。
【0010】
本発明では、前記送信実行手段は、電波送信に最低限必要な電波送信動作最低電圧未満となった前記2次電池の電池電圧が、前記発電により当該電波送信動作最低電圧まで回復したとき、前記ID照合のための電波を自動送信することを要旨とする。この構成によれば、2次電池の電池電圧が電波送信動作最低電圧まで回復したときに電波の自動送信を行うようにすれば、電池電圧が少なくとも1回の電波送信が可能な電圧となった時点で、電波が自動送信される。このように、1回の電波送信に最低限必要な電池電圧になったときに電波を自動送信すれば、電波送信を直ぐに実行に移すことが可能となる。
【0011】
本発明では、自身に設けられた操作手段が操作されたとき、当該操作手段に応じた前記電波を送信することで、前記通信対象の機器を動作させる遠隔操作キーであることを要旨とする。この構成によれば、2次電池の電池電圧が電波送信動作最低電圧以上のとき、この通常時において電子キーで通信対象を遠隔操作するには、電子キーの操作手段を操作して行う。ところで、本構成の場合、発電手段の発電にて2次電池の電池電圧が所定値まで回復すると、電子キーからの電波送信が自動で実行されるので、発電操作が操作手段の操作と同等になる。よって、発電による電波送信時も、通常時と変わらない違和感のない操作とすることが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、手動操作による発電にて2次電池を充電して通信を再開するとき、発電電力を無駄にすることなく通信を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】一実施形態のワイヤレスキーシステムのブロック図。
【図2】ワイヤレスキーの2次電池の径時変化を示すグラフ。
【図3】(a),(b)は発電ユニットの具体例を示す模式図。
【図4】(a)〜(c)は発電によりワイヤレスキーの2次電池を給電して電波送信させるときの手順図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した電子キーの一実施形態を図1〜図4に従って説明する。
図1に示すように、車両1には、ワイヤレスキー2からの通信を契機にID照合(ワイヤレス照合)を実行するワイヤレスキーシステム3が設けられている。ワイヤレスキーシステム3では、ワイヤレスキー2による遠隔操作によって、車両ドアのドアロックが施解錠される。なお、車両1が通信対象に相当し、ワイヤレスキー2が電子キー(遠隔操作キー)に相当する。
【0015】
この場合、車両1には、ワイヤレス照合を実行する照合ECU(Electronic Control Unit)4と、車載電装品の電源を管理するボディECU5とが設けられ、これらが車内バス6を通じて接続されている。照合ECU4のメモリ(図示略)には、車両1に登録されたワイヤレスキー2のIDコードが登録されている。照合ECU4には、UHF(Ultra High Frequency)帯の電波を受信可能な車両受信機7が接続されている。
【0016】
一方、ワイヤレスキー2には、ワイヤレスキー2の動作を管理するキー制御部8が設けられている。キー制御部8のメモリ(図示略)には、ワイヤレスキー2の固有IDとしてIDコードが登録されている。キー制御部8には、UHF電波を送信可能な送信部9が接続されている。キー制御部8には、ドアロック時に押し操作する施錠ボタン10と、ドアアンロック時に操作する解錠ボタン11とが接続されている。施錠ボタン10及び解錠ボタン11は、例えばモーメンタリスイッチからなる。なお、施錠ボタン10及び解錠ボタン11が操作手段を構成する。
【0017】
ワイヤレスキー2には、ワイヤレスキー2の主電源(キー電源)として2次電池12が設けられている。2次電池12は、例えばリチウム電池等からなり、キー制御部8や送信部9などに電力を供給する。2次電池12は、ワイヤレスキー2の動作電源として消費される度に、電源電圧(電池残量)が低下していく。
【0018】
ワイヤレスキー2で施錠ボタン10が操作されると、ワイヤレスキー2は、施錠ボタン10の操作に準じたワイヤレス信号Swlとして施錠信号(ロック信号)Slを送信する。施錠信号Slには、IDコードと、施錠を指示する機能コードとが含まれている。また、施錠信号Slは、同一フレームを多数並べた複数フレームで送信される。これは、通常の車両受信機7は省電力化を目的として間欠駆動をとっているため、その起動タイミングで施錠信号Slをフレーム先頭から捕獲させるためである。
【0019】
車両受信機7が施錠信号Slを受信してワイヤレス通信が成立すると、照合ECU4は、このIDコードにてワイヤレス照合を行う。そして、照合ECU4は、ワイヤレス照合が成立することを確認すると、車両ドアを施錠させる。なお、ワイヤレスキー2で解錠ボタン11が操作されたときには、ワイヤレスキー2からワイヤレス信号Swlとして解錠信号(アンロック信号)Sulが送信され、施錠時と同様の処理にて車両ドアが解錠される。なお、ワイヤレス信号Swl、施錠信号Sl、解錠信号SulがID照合に必要な電波に相当する。
【0020】
ワイヤレスキー2には、手動操作によって2次電池12を充電可能な発電ユニット13が設けられている。発電ユニット13には、発電に必要な操作力を入力する操作部14と、操作部14の操作力によって駆動して発電する発電機15とが設けられている。発電機15は、電気配線を介して2次電池12に接続されている。よって、本例の発電ユニット13では、操作部14を手動操作することにより発電機15を発電し、その発電電力で2次電池12を充電することが可能である。なお、発電ユニット13が発電手段に相当する。
【0021】
ところで、図2に示すように、ワイヤレスキー2の2次電池12の電圧は、使用回数に応じて徐々に低下していくので、あるところで2次電池12の電池電圧が、ワイヤレスキー2の送信動作に最低限必要な電圧(電波送信動作最低電圧Vs)未満になり、ワイヤレスキー2が電波送信不可な状態(通信不可状態)に陥ってしまう。このときは、ワイヤレスキー2の送信機能が停止してしまっているので、発電ユニット13により2次電池12を給電して2次電池12の電圧を復旧させる。そして、2次電池12の電池電圧が電波送信動作最低電圧Vs以上に回復すれば、ワイヤレスキー2が電波送信可能な状態(通信可能状態)に戻ることになる。
【0022】
図3(a),(b)に、発電ユニット13の具体例を示す。図3(a)の具体例の場合、ワイヤレスキー2に内蔵されているメカニカルキー16を引っ張ったり押し戻したりすることにより、発電機15を発電させる。また、図3(b)の具体例の場合、ワイヤレスキー2の角部に、柄17に設けた軸部18を支点に回動可能なメカニカルキー16を取り付けておき、このメカニカルキー16を軸部18回りに何度も回転させることにより、この回転力をギヤ19によって発電機15に伝達して発電させる。
【0023】
図1に示すように、ワイヤレスキー2には、電波送信動作最低電圧Vs未満となった2次電池12を発電機15により充電しているとき、2次電池12の電池電圧が電波送信動作最低電圧Vs以上に復帰すれば、ワイヤレス通信の動作を自動実行する給電即電波送信装置20が設けられている。本例の給電即電波送信装置20は、2次電池12の電池電圧が電波送信動作最低電圧Vs以上に復帰したとき、その時点でワイヤレスキー2からワイヤレス信号Swlを自動送信して、ワイヤレス照合を自動実施させる。
【0024】
これは、背景技術でも述べたように、2次電池12の電池電圧が電波送信動作最低電圧Vsまで回復後、電波送信の開始を、施錠ボタン10や解錠ボタン11の操作を条件とすると、給電後からボタン操作までの間にタイムラグがある場合、その時間、2次電池12の電池電圧が自然放電にて電波送信動作最低電圧Vsを再度下回ってしまう可能性が生じるからである。よって、2次電池12の電池電圧が発電機15の給電にて電波送信動作最低電圧Vsまで復旧したとき、その時点でワイヤレス信号Swlを自動送信させる。
【0025】
この場合、キー制御部8には、2次電池12の電池電圧を監視する電池電圧監視部21が設けられている。電池電圧監視部21は、キー制御部8に電源が入っている間、2次電池12の電池電圧を常時監視する。ところで、2次電池12の電池電圧が電波送信動作最低電圧Vs未満となっても、キー制御部8のCPU(Central Processing Unit)は2次電池12に残る電圧にて動作可能である。よって、電池電圧監視部21は、2次電池12の電池電圧が「0」にならない限り、2次電池12の電圧監視を実施可能である。なお、電池電圧監視部21が電圧監視手段に相当する。
【0026】
キー制御部8には、2次電池12の電池電圧が電波送信動作最低電圧Vs以上に復帰したとき、ワイヤレス信号Swl(本例の場合、解錠信号Sul)を自動送信させる電波自動送信部22が設けられている。電波自動送信部22は、2次電池12の電池電圧が電波送信動作最低電圧Vs未満からVs以上の値に復帰したことを確認すると、送信部9からワイヤレス信号Swlを自動送信させる。このとき、電波自動送信部22は、ワイヤレス信号Swlを通常時と同様に複数フレームにて送信する。なお、電波自動送信部22が送信実行手段に相当する。
【0027】
次に、本例のワイヤレスキー2の動作を、図4を用いて説明する。なお、ここでは、車両ドアを解錠(アンロック)する際の操作を例に挙げる。
図4(a)に示すように、ワイヤレスキー2の2次電池12の電池電圧が電波送信動作最低電圧Vs未満になると、ワイヤレスキー2の送信機能は停止する。つまり、施錠ボタン10や解錠ボタン11を操作しても、ワイヤレスキー2からワイヤレス信号Swlを送信することができない状態になる。このとき、電波自動送信部22は、電池電圧監視部21の監視電圧を基に、2次電池12の電池電圧が電波送信動作最低電圧Vs未満になったことを検出する。
【0028】
図4(b)に示すように、ワイヤレスキー2の送信機能を回復させるには、発電ユニット13を手動操作によって操作して発電機15を発電させ、この発電電力にて2次電池12を給電する。この発電操作を暫く継続すれば、2次電池12の電池電圧が電波送信動作最低電圧Vs以上に回復する。
【0029】
図4(c)に示すように、2次電池12の電池電圧が電波送信動作最低電圧Vs以上に回復すると、その時点でワイヤレスキー2から解錠信号Sulが自動送信される。つまり、電波自動送信部22は、電池電圧監視部21の監視電圧を基に、2次電池12の電池電圧が電波送信動作最低電圧Vs以上に回復したことを確認すると、その時点での2次電池12の電力を基に、送信部9から解錠信号Sulを自動送信させる。これにより、ワイヤレス通信が開始され、ワイヤレス照合が成立すれば、車両ドアが解錠される。
【0030】
ところで、状況によっては、ワイヤレスキー2の2次電池12が「0」、つまり電池切れに陥り、ワイヤレスキー2自体が機能停止する状況も想定される。このとき、電池電圧監視部21も停止してしまうので、その時点で2次電池12の電池電圧を監視できない状況になる。しかし、発電ユニット13での2次電池12が給電されたとき、2次電池12の電池電圧がCPUの動作に最低限必要な電圧(CPU動作最低電圧)まで回復してCPUが再起動すれば、その時点で電池電圧監視部21も再起動し、2次電池12の電池電圧は監視可能となる。
【0031】
以上により、本例においては、ワイヤレスキー2に手動操作式の発電ユニット13を設けておき、2次電池12の電池電圧が電波送信動作最低電圧Vs未満となったとき、発電ユニット13により2次電池12が給電されて2次電池12の電池電圧が電波送信動作最低電圧Vsまで回復すると、その時点でワイヤレスキー2からワイヤレス信号Swlが自動送信される。このため、発電ユニット13で発電した電力を無駄にすることなく、ワイヤレス信号Swlの送信電力として効率よく使用することが可能となる。
【0032】
また、一般的にワイヤレスキー2には、2次電池12の残量を示すインジケータ等がないため、発電ユニット13で2次電池12を給電しているとき、その給電量、つまり2次電池12の現在電圧を目視にて確認することはできない。このため、発電ユニット13による2次電池12の給電中、2次電池12の電池電圧がいつ電波送信動作最低電圧Vsに到達したのか知ることができない。しかし、2次電池12の電池電圧が電波送信動作最低電圧Vsに到達した時点で電波送信が行われるので、電池残量を見るインジケータがなくとも、最適なタイミングでワイヤレス信号Swlを送信することも可能である。
【0033】
ところで、背景技術の場合は、2次電池12が電波送信動作最低電圧Vs未満となったワイヤレスキー2で車両ドアを解錠するとき、手動による発電操作と、ワイヤレスキーでの解錠ボタンの操作との2操作が必要となる。一方、本例の場合は、手動による発電操作のみでワイヤレス信号Swlが送信される。このため、ユーザに課す操作が少なく済み、利便性がよくなる。また、発電操作が解錠操作に置き換わるので、ユーザにとっては何ら違和感なく、車両ドアをワイヤレスキー2にて解錠することも可能である。
【0034】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)ワイヤレスキー2の2次電池12が電波送信動作最低電圧Vs未満となったときには、手動操作によって発電機15を発電させて2次電池12を給電(充電)する。そして、2次電池12の電池電圧が電波送信動作最低電圧Vs以上となって電源が回復したとき、その回復時点で、ワイヤレス信号Swl(解錠信号Sul)が自動送信される。このため、2次電池12の電池電圧が回復した時点で直ぐに電波送信が行われるので、発電機15にて得た電力を無駄にすることなく、これをワイヤレス信号Swlの送信電源として使用することができる。
【0035】
(2)発電操作によって2次電池12の電池電圧が電波送信動作最低電圧Vsに回復すれば、ワイヤレス信号Swlが自動送信されるので、ユーザが2次電池12の現在電圧を知らなくても、好適なタイミングで電波送信を行うことができる。
【0036】
(3)発電操作によって2次電池12の電池電圧が電波送信動作最低電圧Vsまで回復したとき、ワイヤレス信号Swlが自動送信されるので、電波送信の際にユーザに課す操作を発電操作のみとすることができる。よって、発電操作にてドアロックを作動させる際の利便性をよくすることができる。
【0037】
(4)2次電池12の電池電圧が電波送信動作最低電圧Vsまで回復したときに電波の自動送信を行うようにすれば、電池電圧が少なくとも1回の電波送信が可能な電圧となった時点で、電波を自動送信することができる。このように、1回の電波送信に最低限必要な電池電圧になったときに電波を自動送信すれば、無駄な発電をユーザに課すことなく、電波送信を直ぐに実行に移すことができる。
【0038】
(5)2次電池12の電池電圧が電波送信動作最低電圧Vs以上の通常時、ワイヤレスキー2で車両1を遠隔操作するときには、ワイヤレスキー2の施錠ボタン10や解錠ボタン11を操作することで行う。一方、2次電池12の電池電圧が電波送信動作最低電圧Vs未満の場合、発電機15を発電するという操作が、ワイヤレスキー2における電波送信の操作となる。よって、発電機15の発電操作が、通常時のボタン操作と同等になるので、発電による電波送信の操作を、通常時と変わらない違和感のない操作とすることができる。
【0039】
なお、実施形態はこれまで述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
・発電ユニット13の発電にて2次電池12の電圧が回復したときに自動送信される電波は、解錠信号Sulに限らず、施錠信号Slとしてもよい。
【0040】
・例えば、発電機15の回転方向(操作方向)を検出するようにし、発電機15が一方向に回転操作されて給電されたときには、施錠信号Slが送信されるようにし、発電機15が他方向に回転操作されて給電操作されたときには、解錠信号Sulが送信されるようにしてもよい。
【0041】
・施錠ボタン10を押しながら発電したときには施錠信号Slが送信され、解錠ボタン11を押しながら発電したときには解錠信号Sulが送信されてもよい。
・発電時の電波の自動送信は、2次電池12の電池電圧が電波送信動作最低電圧Vsに回復したことを条件とすることに限定されない。例えば、2次電池12の電池電圧が電波送信動作最低電圧Vsよりも高い値、例えばワイヤレス通信を複数行うのに必要な電圧まで回復することを条件としてもよい。
【0042】
・ワイヤレスキー2は、主電源として別に1次電池を有し、この1次電池の電圧が低下したとき、本例の2次電池12を発電して電波送信してもよい。
・施錠ボタン10と解錠ボタン11とが各々別ボタンで設けられることに限定されず、例えばボタンを1つとし、このボタンが操作される度に施錠/解錠が交互に実行されるものでもよい。
【0043】
・操作手段は、施錠ボタン10や解錠ボタン11に限定されず、例えば車両1のスライドドアやバックドアを開閉操作するボタンでもよい。
・2次電池12は、例えば部品として独立した充電可能な電池部品(ボタン電池等)に限定されず、例えばキー制御部8の基板に実装されたコンデンサとしてもよい。
【0044】
・発電ユニット13は、図3(a),(b)に示した例に限らず、発電機15を手動操作にて発電できるものであれば、他の構造/形状に変更可能である。
・車両受信機7は、間欠駆動することに限らず、常時駆動としてもよい。
【0045】
・電子キーシステムは、ワイヤレスキーシステム3に限定されず、電子キーからの通信を契機にID照合が実施される通信システムであれば、他システムに適宜変更してもよい。
【0046】
・電子キーシステムで使用する電波の周波数は、UHF帯に限らず、例えばLF(Low Frequency)やHF(High Frequency)など、他の周波数を使用してもよい。
・ID照合の認証形態は、IDコードのみを確認する方式に限定されず、他の方式(暗号通信など)に変更してもよい。
【0047】
・電子キーシステムは、例えば車両1からの通信を契機に狭域無線通信(通信距離:数m)によりID照合を行うキー操作フリーシステムとしてもよい。キー操作フリーシステムでは、車両1から送信されたリクエスト信号を電子キーが受信すると、電子キーがこれに応答してID信号を返信し、このID信号にてID照合が実行される。このとき、車外の電子キーとID照合が成立すれば、車両ドアの施解錠が許可/実行され、車内の電子キーとID照合が成立すれば、車内のエンジンスイッチの単なる押し操作のみでのエンジン始動が許可される。
【0048】
・電子キーシステムは、例えば近距離無線通信システムとしてもよい。近距離無線通信システムは、例えばNFC(Near Field Communication)などを使用した通信距離(約10数cm)が短い認証システムの一種である。
【0049】
・電子キーは、ワイヤレスキー2に限定されず、使用する通信システム(例えば、キー操作フリーシステムや近距離無線通信システム)に応じて、例えばスマートキーやICカードなどに適宜変更可能である。
【0050】
・電子キーシステムは車両1に適用されることに限らず、例えば住宅など、他の機器や装置に応用可能である。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
【0051】
(イ)請求項1〜3のいずれかにおいて、前記2次電池は、通常時の動作電源として使用する主電源である。この構成によれば、電子キーに搭載する電池は2次電池のみで済むので、電子キーの構造簡素化や部品コスト低減に効果が高い。
【0052】
(ロ)請求項1〜3、前記技術的思想(イ)のいずれかにおいて、車両の電子キーシステムのキーとして使用されている。この構成によれば、車両の電子キーにおいて利便性を確保することができる。
【符号の説明】
【0053】
1…通信対象としての車両、2…電子キー(遠隔操作キー)としてのワイヤレスキー、10…操作手段を構成する施錠ボタン、11…操作手段を構成する解錠ボタン、12…2次電池、13…発電手段としての発電ユニット、21…電圧監視手段としての電池電圧監視部、22…送信実行手段としての電波自動送信部、Swl(Sl,Sul)…電波としてのワイヤレス信号、Vs…電波送信動作最低電圧。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ID照合に必要な電波を通信対象に無線送信して正当性が確認される電子キーにおいて、
手動操作によって発電可能であり、この発電にてキー内の2次電池を充電可能な発電手段と、
前記2次電池の電圧を監視する電圧監視手段と、
キー電源が電波送信に最低限必要な電波送信動作最低電圧未満となったとき、前記発電により前記2次電池の電池電圧が回復すると、前記ID照合のための電波を自動送信する送信実行手段と
を備えたことを特徴とする電子キー。
【請求項2】
前記送信実行手段は、電波送信に最低限必要な電波送信動作最低電圧未満となった前記2次電池の電池電圧が、前記発電により当該電波送信動作最低電圧まで回復したとき、前記ID照合のための電波を自動送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の電子キー。
【請求項3】
自身に設けられた操作手段が操作されたとき、当該操作手段に応じた前記電波を送信することで、前記通信対象の機器を動作させる遠隔操作キーである
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子キー。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate