電子デバイスの製造方法
【課題】素子搭載部材の所定の位置に蓋部材を容易に配置し仮付けを行うことなく、素子搭載部材に搭載されている電子部品素子を気密封止することができる生産性のよい電子デバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】素子搭載部材の一方の主面の縁部に沿って環状に封止材を形成する封止材形成工程と、電子部品素子を素子搭載部材の一方の主面側に搭載する素子搭載工程と、素子搭載部材の一方の主面に蓋部材の一方の主面を接触させつつ蓋部材の側面を封止材の内縁側の面に接触させ、蓋部材と素子搭載部材とで形成される空間内に素子搭載部材に搭載されている電子部品素子を収納させるように、蓋部材を配置する蓋部材配置工程と、封止材を溶融又は軟化させ再び硬化させることで蓋部材側を向く素子搭載部材の面と前記蓋部材の側面とを接合する接合工程と、を備えていることを特徴とする。
【解決手段】素子搭載部材の一方の主面の縁部に沿って環状に封止材を形成する封止材形成工程と、電子部品素子を素子搭載部材の一方の主面側に搭載する素子搭載工程と、素子搭載部材の一方の主面に蓋部材の一方の主面を接触させつつ蓋部材の側面を封止材の内縁側の面に接触させ、蓋部材と素子搭載部材とで形成される空間内に素子搭載部材に搭載されている電子部品素子を収納させるように、蓋部材を配置する蓋部材配置工程と、封止材を溶融又は軟化させ再び硬化させることで蓋部材側を向く素子搭載部材の面と前記蓋部材の側面とを接合する接合工程と、を備えていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品素子が搭載されている素子搭載部材と蓋部材とが接合されて素子搭載部材に搭載されている電子部品素子が気密封止されている電子デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子デバイスは、一般的に、電子機器に用いられている。特に、移動通信機器等の電子機器には、電子デバイスの一例である圧電デバイスが多く用いられている。
また、電子デバイスは、電子部品素子と素子搭載部材と蓋部材と封止材とを少なくとも備えており、電子部品素子が搭載されている素子搭載部材と蓋部材とが封止材により接合され、素子搭載部材と蓋部材とで形成される空間内に電子部品素子が気密封止されている構造となっている。
【0003】
蓋部材は、例えば、金属が用いられており、主面が矩形形状の平板状に設けられている。
【0004】
素子搭載部材は、例えば、両主面が矩形形状の平板状に設けられている。
また、素子搭載部材は、例えば、一方の主面に凹部空間を有しており、凹部空間内に電子部品素子が収納されるように素子搭載部材に電子部品素子が搭載されている。
【0005】
封止材は、素子搭載部材の一方の主面と蓋部材の一方の主面の間であって素子搭載部材の一方の主面の縁部に沿って設けられている。
この封止材は、素子搭載部材の一方の主面と蓋部材の一方の主面とで挟まれた状態で溶融され再び硬化することで、素子搭載部材の一方の主面と蓋部材の一方の主面とを接合している。
また、封止材は、例えば、金属が用いられている。
【0006】
前述したような電子デバイスは、例えば、電子部品素子が搭載されている素子搭載部材の一方の主面の縁部に沿って環状の封止材が素子搭載部材の一方の主面と蓋部材の一方の主面とで挟まれた状態で、電気溶接を用いて蓋部材と素子搭載部材とを部分的にスポット溶接し仮付けを行い、封止材を溶融させ再び硬化させることで素子搭載部材と蓋部材とが封止材により接合され、電子部品素子が気密封止された構造となっている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
前述したような電子デバイスの別の一例として、封止材が軟化されて硬化することで、素子搭載部材と蓋部材とが接合されている電子デバイスがある。
このような電子デバイス300は、例えば、図11に示すように、ガラスからなる封止材Hが素子搭載部材310の一方の主面の縁部及び蓋部材330の一方の主面の縁部に環状に設けられている。
また、このような電子デバイス300は、封止材Hを素子搭載部材310と蓋部材330とを挟んだ状態で封止材Hを軟化させ硬化させることで、素子搭載部材310の一方の主面と蓋部材330の一方の主面とが接合されている。このとき、素子搭載部材310と蓋部材330とで形成される空間内に電子部品素子である圧電振動素子120が気密封止されている(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
つまり、前述したような電子デバイスは、素子搭載部材と、素子搭載部材の一方の主面側に搭載されている電子部品素子と、素子搭載部材とで形成する空間内に電子部品素子を収納する蓋部材と、素子搭載部材の一方の主面と蓋部材の一方の主面との間に設けられている封止材と、からなり、封止材が溶融され再び硬化することで素子搭載部材の一方の主面と蓋部材の一方の主面とを接合している。
【0009】
言い換えると、このような電子デバイスは、まず、素子搭載部材の一方の主面側の縁部に沿って環状の封止材が形成され、素子搭載部材の一方の主面側に電子部品素子が搭載され、蓋部材の一方の主面と素子搭載部材の一方の主面と接触させ蓋部材と素子搭載部材とで形成される空間内に電子部品素子を収納させた状態で封止材を軟化させ再び硬化させることで、素子搭載部材と蓋部材とを接合し電子部品素子を気密封止させて製造されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−49353号公報
【特許文献2】特開2000−13170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、従来の電子デバイスの製造方法によれば、素子搭載部材の一方の主面と蓋部材の一方の主面とで封止材を挟むように、蓋部材を配置し素子搭載部材と蓋部材とを仮付けし、封止材を溶融又は軟化させ硬化させることで蓋部材側を向く素子搭載部材の面と素子搭載部材側を向く蓋部材の面とを接合しているので、素子搭載部材と蓋部材とを仮付けするために時間と手間を要し、仮付けの分だけ生産性が低減する恐れがある。
【0012】
また、従来の電子デバイスの製造方法によれば、素子搭載部材の一方の主面と蓋部材の一方の主面とで封止材を挟んだ状態となるように蓋部材が配置され、封止材が溶融又は軟化され硬化することで蓋部材と素子搭載部材とが接合されているので、電子デバイスが小型化された場合、素子搭載部材の一方の主面と蓋部材の一方の主面とで封止材を挟んだ状態となるように素子搭載部材の所定の位置に蓋部材を配置することが出来なくなる恐れがある。
このため、従来の電子デバイスの製造方法によれば、電子デバイスが小型化された場合、素子搭載部材に搭載されている電子部品素子を素子搭載部材と蓋部材とで形成されている空間内に気密封止することができず、生産性が低減する恐れがある。
【0013】
そこで、本発明は、素子搭載部材の所定の位置に蓋部材を容易に配置し仮付けを行うことなく、素子搭載部材に搭載されている電子部品素子を気密封止することができる生産性のよい電子デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するために、一方の主面側に搭載パッドが設けられ、他方の主面に前記搭載パッドと電気的に接続されている外部接続端子が設けられている素子搭載部材の、一方の主面の縁部に沿って環状に封止材を形成する封止材形成工程と、前記素子搭載部材の前記搭載パッドに、電子部品素子の接続端子を対向させつつ電気的に接続させ、前記電子部品素子を前記素子搭載部材に搭載する素子搭載工程と、前記素子搭載部材の一方の主面に蓋部材の一方の主面を接触させつつ前記蓋部材の側面を前記封止材の内縁側の面に接触させ、前記蓋部材と前記素子搭載部材とで形成される空間内に前記素子搭載部材に搭載されている前記電子部品素子を収納させるように、前記蓋部材を配置する蓋部材配置工程と、前記封止材を溶融又は軟化させ再び硬化させることで前記素子搭載部材と前記蓋部材とを接合する接合工程と、を備えていることを特徴とする。
【0015】
また、前記課題を解決するために、前記封止材形成工程で、ガラスフリットペーストを塗布し乾燥させたガラスからなる前記封止材を形成していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
このような電子デバイスの製造方法によれば、封止材が設けられている素子搭載部材の面に蓋部材の一方の主面が接触しつつ、素子搭載部材に形成されている封止材の内縁側の面に蓋部材の側面が接触するように蓋部材が配置された状態で封止材が溶融又は軟化され再び硬化されるので、封止材で位置出しされた蓋部材を固定した状態で素子搭載部材と蓋部材とを接合することができる。
このため、このような電子デバイスの製造方法によれば、従来の電子デバイスの製造方法のように蓋部材と素子搭載部材とを仮付けする必要がなくなるので、仮付けにかかる時間や手間の分だけ生産性を向上させることができる。
【0017】
また、このような電子デバイスの製造方法によれば、一方の主面の縁部に沿って環状に封止材が設けられている素子搭載部材に電子部品素子が搭載され、封止材が設けられている素子搭載部材の面と蓋部材の一方の主面が接触しつつ封止材の内縁側の面と蓋部材の側面とが接触するように蓋部材が配置され、そのまま封止材が溶融又は軟化され再び硬化し素子搭載部材と蓋部材とが接合されるので、素子搭載部材の所定の位置に蓋部材を容易に配置し、そのままの状態で素子搭載部材と蓋部材とを接合することができる。
従って、このような電子デバイスの製造方法によれば、電子デバイスが小型化された場合であっても、素子搭載部材の所定の位置に蓋部材を配置した状態で素子搭載部材と蓋部材とを接合することができるので、素子搭載部材と蓋部材とで形成される空間内に電子部品素子を気密封止することができる。
このため、このような電子デバイスの製造方法によれば、電子デバイスが小型化された場合、電子部品素子を気密封止することができるので、従来の電子デバイスの製造方法と比較して生産性を向上させることができる。
【0018】
また、このような電子デバイスの製造方法によれば、封止材形成工程で、ガラスフリットペーストを塗布し乾燥させたガラスからなる前記封止材を形成されているので、従来のように封止材が金属からなる場合と比較し封止材が酸化することを防ぐことができ、生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る電子デバイスの製造方法で製造された電子デバイスの一例を示す分解斜視図である。
【図2】(a)は、本発明の第一の実施形態に係る電子デバイスの製造方法の封止材形成工程の状態の一例を示す断面図であり、(b)は、本発明の第一の実施形態に係る電子デバイスの製造方法の封止材形成工程の状態の一例を示す斜視図である。
【図3】本発明の第一の実施形態に係る電子デバイスの製造方法の素子搭載工程の状態の一例を示す断面図である。
【図4】本発明の第一の実施形態に係る電子デバイスの製造方法の蓋部材配置工程の状態の一例を示す断面図である。
【図5】本発明の第一の実施形態に係る電子デバイスの製造方法の接合工程の状態の一例を示す断面図である。
【図6】本発明の第二の実施形態に係る電子デバイスの製造方法で製造された電子デバイスの一例を示す分解斜視図である。
【図7】(a)は、本発明の第二の実施形態に係る電子デバイスの製造方法の封止材形成工程の状態の一例を示す断面図であり、(b)は、本発明の第二の実施形態に係る電子デバイスの製造方法の封止材形成工程の状態の一例を示す斜視図である。
【図8】本発明の第二の実施形態に係る電子デバイスの製造方法の素子搭載工程の状態の一例を示す断面図である。
【図9】本発明の第二の実施形態に係る電子デバイスの製造方法の蓋部材配置工程の状態の一例を示す断面図である。
【図10】本発明の第二の実施形態に係る電子デバイスの製造方法の接合工程の状態の一例を示す断面図である。
【図11】従来の電子デバイスの製造方法の接合工程の状態の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、各図面において各構成要素の状態を分かりやすくするために誇張して図示している。
【0021】
(第一の実施形態)
本発明の第一の実施形態に係る電子デバイスの製造方法で製造される電子デバイスは、電子部品素子と素子搭載部材と蓋部材と封止材とを備えている。
以下、本発明の第一の実施形態に係る電子デバイスの製造方法で製造される電子デバイスの一例として、電子部品素子が圧電振動素子である圧電デバイスについて説明する。
【0022】
本発明の第一の実施形態に係る電子デバイスの製造方法で製造される電子デバイス100は、図1に示すように、電子部品素子である圧電振動素子120と素子搭載部材110と蓋部材130と封止材Hとを主に備えている。
このとき、本発明の第一の実施形態に係る電子デバイスの製造方法で製造される電子デバイス100は、圧電振動素子120が素子搭載部材110に搭載された状態で、素子搭載部材110と蓋部材130とが封止材Hによって接合され、素子搭載部材110と蓋部材130とで形成される空間113内に圧電振動素子120が気密封止された構造となっている。
【0023】
電子部品素子である圧電振動素子120は、例えば、図1に示すように、圧電片121と励振用電極122と接続端子123とから構成されており、圧電片121の両主面に励振用電極122が設けられ、励振用電極122から圧電片121の主面の端部にまで延設されるように接続端子123が設けられている。
【0024】
蓋部材130は、例えば、金属が用いられ、両主面が矩形形状の平板状となっている。
【0025】
素子搭載部材110は、図1に示すように、基板部111と基板部111の一方の主面の縁部に沿って環状に設けられている壁部112とから構成されており、電子部品素子収納空間113が形成されている。
【0026】
ここで、基板部111と壁部112とが接する面に対向する壁部112の面を素子搭載部材110の一方の主面とし、基板部111と壁部112とが接する面に対向する基板部111の面を素子搭載部材110の他方の主面とする。
従って、素子搭載部材110の一方の主面には、電子部品素子収納空間113が形成されている。
【0027】
また、素子搭載部材110は、電子部品素子収納空間113の底面、つまり、素子搭載部材110の一方の主面側に搭載パッドPが設けられ、素子搭載部材110の他方の主面に外部接続端子Gが設けられている。
搭載パッドPは、例えば、図1に示すように、電子部品素子である圧電振動素子120の接続端子123と対向する位置に設けられ、導電性接着材Dによって、接続端子123と電気的に接続された状態となっている。
外部接続端子Gは、素子搭載部材110の一方の主面側に設けられている搭載パッドPと素子搭載部材110の内部配線(図示せず)を介して電気的に接続された状態となっている。
【0028】
従って、素子搭載部材120には、電子部品素子収納空間113内に収納されつつ接続端子123と搭載パッドPとが電気的に接続された状態で、電子部品素子である圧電振動素子120が搭載されている。
【0029】
また、封止材Hは、素子搭載部材110の一方の主面の外側の縁部に沿って環状に形成されている。この封止材Hは、内周面が蓋部材130の側面と接触するように設けられている。
これにより、蓋部材130は、素子搭載部材110の一方の主面に接触させた状態で、蓋部材130の側面が封止材Hで接合されている。なお、この場合において、蓋部材130と素子搭載部材110との間に封止材Hが存在していてもよい。
【0030】
ここで、素子搭載部材110側を向く面を蓋部材130の一方の主面とし、蓋部材130の一方の主面に対向する面を蓋部材130の他方の主面とし、蓋部材130の一方の主面及び蓋部材130の他方の主面に接続している面を蓋部材130の側面とする。
【0031】
また、この環状に形成されている封止材Hは、溶融又は軟化され再び硬化することで、蓋部材130と素子搭載部材110とを接合している。
このとき、蓋部材130と素子搭載部材110とで形成される空間内、つまり、電子部品素子収納空間113内に素子搭載部材110に搭載されている電子部品素子である圧電振動素子120が気密封止されている。
【0032】
封止材Hは、例えば、酸化物であるガラスからなっている。
封止材Hがガラスからなる場合、本発明の第一の実施形態に係る電子デバイスの製造方法で製造された電子デバイス100は、封止材Hが従来のように金属からなる場合と比較し酸化することを防ぐことができる。
【0033】
また、封止材Hがガラスからなる場合、本発明の第一の実施形態に係る電子デバイスの製造方法で製造された電子デバイス100は、封止材Hが従来のように金属からなる場合と比較し、高い湿度に対して封止材Hが劣化しにくくすることができるので、電子部品素子である圧電振動素子120を気密封止し続けることが可能となる。
【0034】
次に、本発明の第一の実施形態に係る電子デバイスの製造方法について説明する。
本発明の第一の実施形態に係る電子デバイスの製造方法は、封止材形成工程、素子搭載工程、蓋部材配置工程、接合工程、を備えている。
【0035】
(封止材形成工程)
封止材形成工程は、一方の主面側に搭載パッドPが設けられ、他方の主面に前記搭載パッドと電気的に接続されている外部接続端子Gが設けられている素子搭載部材110の、一方の主面の縁部に沿って環状に封止材Hを形成する工程である。
【0036】
素子搭載部材110は、例えば、図2(a)及び図2(b)に示すように、基板部111と壁部112とから構成されており、基部111の一方の主面の縁部に沿って環状の壁部112が設けられて電子部品素子収納空間113が形成されている。
【0037】
前述したように、基板部111と壁部112とが接している面に対向する壁部112の面を素子搭載部材110の一方の主面とし、基板部111と壁部112とが接している面に対向する基板部111の面を素子搭載部材110の他方の主面とするので、素子搭載部材110の一方の主面に電子部品素子収納空間113が形成されている。
【0038】
素子搭載部材110は、図2(a)及び図2(b)に示すように、電子部品素子収納空間113の底面に搭載パッドPが設けられており、素子搭載部材110の他方の主面に外部接続端子Gが設けられている。このとき、素子搭載部材110の内部配線(図示せず)を介して、搭載パッドPと外部接続端子Gとが電気的に接続されている。
【0039】
封止材形成工程では、図2(a)及び図2(b)に示すように、素子搭載部材110の一方の主面の外側の縁部に沿って環状に形成される。このとき、封止材Hは、素子搭載部材110の電子部品素子収納空間113の開口部の縁部には形成されない。
このため、封止材Hは、図2(a)及び図2(b)に示すように、素子搭載部材110の一方の主面の外側を向く縁部にのみ沿って形成され、電子部品素子収納空間113の開口部側を向く縁部に形成されていない状態となっている。
【0040】
ここで、封止材Hは、例えば、ガラスフリットペーストがスクリーン印刷法で塗布され乾燥されて設けられる。このため、従来のようにメッキ法を用いて金属からなる封止材を設ける場合と比較し、容易に封止材Hを設けることができる。
また、封止材Hは、例えば、酸化物であるガラスからなっている。また、この封止材Hは、従来のように金属が用いられている封止材の溶融する温度より、軟化する温度が十分低い温度となっている。
【0041】
封止材Hは、酸化物であるガラスからなるので、封止材Hが従来のように金属からなる場合と比較し、高い湿度に対して劣化しにくくなっている。
【0042】
また、封止材Hは、酸化物であるガラスからなるので、封止材Hが従来のように金属からなる場合と比較し、酸化しにくく劣化しにくくなっている。
【0043】
(素子搭載工程)
素子搭載工程は、前記素子搭載部材110の前記搭載パッドPに、電子部品素子の接続端子123を対向させつつ電気的に接続させ、前記電子部品素子を前記素子搭載部材110に搭載する工程である。
【0044】
ここで、電子部品素子は、例えば、圧電振動素子120が用いられる。
電子部品素子の一例である圧電振動素子120は、例えば、図1及び図3に示すように、圧電片121と励振電極122と接続端子123とから構成されている。
【0045】
圧電片121は、圧電材料が用いられ、例えば、図1及び図3に示すように、両主面が矩形形状となるように形成されている。
【0046】
励振電極122は、例えば、図1及び図3に示すように、二つ一対で設けられ、一方の励振電極121が圧電片121の一方の主面に設けられ、他方の励振電極121が圧電片121の他方の主面であって一方の励振電極121に対向する位置に設けられている。
【0047】
接続端子123は、二つ一対で設けられ、一方の端部が励振電極122に接続され、他方の端部が圧電片121の主面の端部に位置している。
一方の接続端子123は、一方の端部が一方の励振電極122に接続され、他方の端部が圧電片121の他方の主面の所定の一辺の縁部に位置している。
他方の接続端子123は、一方の端部が他方の励振電極122に接続され、他方の端部が圧電片121の一方の主面の所定の一辺の縁部に位置している。
【0048】
従って、圧電振動素子120は、圧電片121の両主面に励振電極122及び接続端子123が設けられており、それぞれの励振電極123と接続端子123の他方の端部とが電気的に接続された状態となっている。
【0049】
素子搭載工程では、図3に示すように、例えば、素子搭載部材110の搭載パッドPに導電性接着材Dが塗布され、電子部品素子である圧電振動素子120の接続端子123が塗布された導電性接着材Dを挟んだ状態で搭載パッドPと対向する位置に設けられ、塗布された導電性接着材Dを硬化させて、搭載パッドPと接続端子123とを電気的に接続させている。
このとき、素子搭載工程では、電子部品素子である圧電振動素子120が素子搭載部材110の電子部品素子収納空間113内に収納されるように搭載される。従って、電子部品素子である圧電振動素子120が素子搭載部材110の一方の主面側に搭載されている状態となる。
【0050】
(蓋部材配置工程)
蓋部材配置工程は、図4に示すように、前記素子搭載部材110の一方の主面に蓋部材130の一方の主面を接触させつつ前記蓋部材130の側面を前記封止材Hの内縁側の面に接触させ、前記蓋部材130と前記素子搭載部材110とで形成される空間内に前記素子搭載部材110に搭載されている前記電子部品素子を収納させるように、前記蓋部材130を配置する工程である。
【0051】
蓋部材130は、例えば、図1に示すように、両主面が矩形形状の平板状となっており、金属が用いられる。
また、蓋部材130は、図4に示すように、蓋部材130の一方の主面を素子搭載部材110の一方の主面に接触させると、素子搭載部材110の一方の主面に形成されている封止材Hの内縁側を向く面と接触する形状となっている。従って、蓋部材130の一方の主面は素子搭載部材110の電子部品素子収納空間素子113の開口部より大きい大きさとなっている。
【0052】
蓋部材配置工程では、蓋部材130の一方の主面を素子搭載部材110の一方の主面側に向け、素子搭載部材110の一方の主面と蓋部材130の一方の主面とを接触させつつ蓋部材130の側面と封止材Hの内縁側を向く面とを接触させるように、素子搭載部材110に蓋部材130を配置している。
このとき、素子搭載部材110と蓋部材130とで形成される空間、つまり、電子部品素子収納空間113内に電子部品素子である圧電振動素子120が収納されている。
【0053】
また、蓋部材配置工程では、蓋部材130の形状が蓋部材130の一方の主面を素子搭載部材110の一方の主面に接触させると、素子搭載部材110の一方の主面に形成されている封止材Hの内縁側を向く面と接触する形状となっているので、蓋部材130の一方の主面を素子搭載部材110の一方の主面に接触させることで、素子搭載部材110の所定の位置に蓋部材130を容易に配置することができる。
【0054】
(接合工程)
接合工程は、前記封止材Hを溶融又は軟化させ再び硬化させることで前記素子搭載部材110と前記蓋部材130とを接合する工程である。
接合工程では、例えば、図5に示すように、素子搭載部材110の所定の位置に蓋部材130が配置されつつ素子搭載部材110と蓋部材130とで形成される空間、つまり、電子部品素子収納空間113内に電子部品素子である圧電振動素子120が収納された状態で、封止材Hが軟化され再び硬化することで、封止材Hが軟化する前に接触していた素子搭載部材110の一方の主面と蓋部材130の側面を濡れ現象により接合する。
従って、接合工程では、封止材Hが軟化され、素子搭載部材110の一方の主面と蓋部材130の側面が接合され、電子部品素子収納空間113内に収納されていた圧電振動素子120が気密封止される。
【0055】
また、接合工程では、封止材Hの軟化する温度が従来のように金属が用いられている封止材の溶融する温度と比較して十分低い温度となっているので、封止材Hが従来のように金属からなる場合と比較して低い温度で素子搭載部材110と蓋部材130とを接合することができる。
【0056】
従って、本発明の第一の実施形態に係る電子デバイスの製造方法では、素子搭載部材110の一方の主面の縁部に沿って環状の封止材Hが形成され、素子搭載部材110の一方の主面側に電子部品素子である圧電振動素子120が搭載され、素子搭載部材110の一方の主面と蓋部材130の一方の主面とを接触させ素子搭載部材110と蓋部材130とで形成される空間、つまり、電子部品素子収納空間113内に電子部品素子である圧電振動素子120を収納した状態で、封止材Hを軟化させ再び硬化することで素子搭載部材110と蓋部材130とを接合している。
なお、このとき、素子搭載部材110と蓋部材130とで形成される空間、つまり、電子部品素子収納空間113内に電子部品素子である圧電振動素子120が気密封止される。
【0057】
このような本発明の第一の実施形態に係る電子デバイスの製造方法によれば、封止材Hが設けられている素子搭載部材110の面に蓋部材130の一方の主面が接触しつつ、素子搭載部材110に形成されている封止材Hの内縁側の面に蓋部材130の側面が接触するように蓋部材130が配置された状態で封止材Hが溶融又は軟化され再び硬化されるので、封止材Hで位置出しされた蓋部材130を固定した状態で素子搭載部材110と蓋部材130とを接合することができる。
このため、このような本発明の第一の実施形態に係る電子デバイスの製造方法によれば、従来の電子デバイスの製造方法のように蓋部材130と素子搭載部材110とを仮付けする必要がなくなるので、仮付けにかかる時間や手間の分だけ生産性を向上させることができる。
【0058】
また、このような本発明の第一の実施形態に係る電子デバイスの製造方法によれば、一方の主面の縁部に沿って環状に封止材Hが設けられている素子搭載部材110に電子部品素子である圧電振動素子120が搭載され、封止材Hが設けられている素子搭載部材110の面と蓋部材130の一方の主面が接触しつつ封止材Hの内縁側の面と蓋部材130の側面とが接触するように蓋部材130が配置され、そのまま封止材Hが溶融又は軟化され再び硬化されて素子搭載部材110と蓋部材130とが接合されるので、素子搭載部材110の所定の位置に蓋部材130を容易に配置し、そのままの状態で素子搭載部材110と蓋部材130とを接合することができる。
従って、このような本発明の第一の実施形態に係る電子デバイスの製造方法によれば、
電子デバイス100が小型化された場合であっても、素子搭載部材110の所定の位置に蓋部材130を配置した状態で素子搭載部材110と蓋部材130とを接合することができるので、素子搭載部材110と蓋部材130とで形成される空間内に電子部品素子である圧電振動素子120を気密封止することができる。
このため、このような本発明の第一の実施形態に係る電子デバイスの製造方法によれば、電子デバイス100が小型化された場合、電子部品素子を気密封止することができるので、従来の電子デバイスの製造方法と比較して生産性を向上させることができる。
【0059】
また、このような本発明の第一の実施形態に係る電子デバイスの製造方法によれば、前記封止材形成工程で、ガラスフリットペーストを塗布し乾燥させたガラスからなる前記封止材Hを形成しているので、封止材Hが金属からなる場合と比較し、封止材Hが酸化することを防ぐことができ、生産性を向上させることができる。
【0060】
また、このような本発明の第一の実施形態に係る電子デバイスの製造方法によれば、素子搭載部材110に形成されている封止材Hにより蓋部材130を素子搭載部材110の所定の位置に容易に配置することができるので、封止時に専用の封止用ジグを用いる必要がなく、封止用ジグが必要なく生産性を向上させることができる。
【0061】
また、このような本発明の第一の実施形態に係る電子デバイスの製造方法によれば、素子搭載部材110の一方の主面と蓋部材130の側面とを封止材Hによって接合しているので、素子搭載部材110の他方の主面から蓋部材130の他方の主面までの長さ、つまり、電子デバイスの高さを、従来の電子デバイスの製造方法により製造された電子デバイスと比較して短くすることができ、電子デバイスを小型化することが可能となる。
【0062】
(第二の実施形態)
本発明の第二の実施形態に係る電子デバイスの製造方法は、図6に示すように、電子部品素子収納空間233が蓋部材230に形成されている点で第一の実施形態と異なる。
また、本発明の第二の実施形態に係る電子デバイスの製造方法は、封止材形成工程、素子搭載工程、蓋部材配置工程、接合工程、を備えている。
【0063】
(封止材形成工程)
封止材形成工程は、図7(a)及び図7(b)に示すように、素子搭載部材210の一方の主面の縁部に沿って環状の封止材Hを形成する工程である。
【0064】
素子搭載部材210は、図7(a)及び図7(b)に示すように、両主面が矩形形状の平板状に形成される。
また、素子搭載部材210は、図7(a)及び図7(b)に示すように、一方の主面に搭載パッドPが設けられ、他方の主面に外部接続端子Gが設けられる。また、素子搭載部材210は、搭載パッドPと外部接続端子Gとが素子搭載部材210の内部配線(図示せず)を介して電気的に接続されている。
【0065】
封止材Hは、搭載パッドPに接触しない位置であって素子搭載部材110の一方の主面の縁部に沿って環状に形成される。
ここで、封止材Hは、例えば、ガラスフリットペーストが塗布され乾燥されて設けられている。このため、従来のようにメッキ法が用いられ金属からなる封止材を設ける場合と比較して、封止材Hを容易に設けることができる。
また、封止材Hは、例えば、酸化物であるガラスからなる。このため、封止材Hは、従来のように封止材Hが金属からなる場合と比較し、接合するための温度が低く、高い湿度に対して耐食性があり、かつ、酸化しにくくなっている。
【0066】
従って、封止材形成工程では、素子搭載部材120の一方の主面の縁部に沿って環状にガラスフリットペーストが塗布され乾燥されて、低融点ガラスが用いられている封止材HWが形成される。
【0067】
(素子搭載工程)
素子搭載工程は、図8に示すように、封止材Hが形成されている素子搭載部材210に電子部品素子を搭載する工程である。
【0068】
ここで、電子部品素子は、例えば、圧電振動素子120である。
【0069】
素子搭載工程では、例えば、封止材Hが形成されている素子搭載部材210の搭載パッドPに導電性接着材Dが塗布され、導電性接着材Dを挟んだ状態で搭載パッドPと電子部品素子である圧電振動素子120の接続端子123とを対向した位置に設け導電性接着材Dを硬化させ搭載パッドPと接続端子123とを電気的に接続させ、素子搭載部材210の一方の主面側に電子部品素子である圧電振動素子120を搭載している。
【0070】
(蓋部材配置工程)
蓋部材配置工程は、図9に示すように、蓋部材230を、封止材Hが形成され、かつ、圧電振動素子120が搭載されている素子搭載部材210に蓋部材230を配置する工程である。
【0071】
蓋部材230は、例えば、金属が用いられており、図9に示すように、蓋基板部231と蓋壁部232とから構成され、蓋基板部231の一方の主面の縁部に沿って環状の蓋壁部232が設けられ電子部品素子収納空間233が形成されている。
【0072】
ここで、蓋基板部231と蓋壁部232とが接している面に対向する蓋壁部232の面を蓋部材230の一方の主面とし、蓋基板部231と蓋壁部232とが接している面に対向する蓋基板部231の面を蓋部材230の他方の主面とする。
従って、蓋部材230の一方の主面に電子部品素子収納空間233が形成されている。
【0073】
また、蓋部材230は、蓋部材230の一方の主面に素子搭載部材230の一方の主面を接触させたとき、素子搭載部材210に形成されている封止材Hの内縁側の面に蓋部材230の側面が接触する形状となっている。
また、蓋部材230は、電子部品素子収納空間233の大きさが、圧電振動素子120を収納することができる大きさとなっている。
【0074】
蓋部材配置工程では、蓋部材230の電子部品素子収納空間233を素子搭載部材210に搭載されている圧電振動素子220側に向けた状態で、蓋部材230の一方の主面と素子搭載部材210の一方の主面とを接触させつつ蓋部材230の側面と封止材Hの内縁側の面とを接触させ、素子搭載部材210と蓋部材230とで形成される空間、つまり、電子部品素子収納空間231内へ圧電振動素子120を収納している。
【0075】
従って、本発明の第二の実施形態に係る電子デバイスの製造方法は、素子搭載部材210の一方の主面の縁部に沿って環状の封止材Hが形成され、素子搭載部材210の一方の主面側に電子部品素子である圧電振動素子120が搭載され、素子搭載部材210の一方の主面と蓋部材230の一方の主面とを接触させ素子搭載部材210と蓋部材230とで形成される空間、つまり、電子部品素子収納空間233内に電子部品素子である圧電振動素子220を収納した状態で、封止材Hを溶融又は軟化させ再び硬化することで素子搭載部材210と蓋部材230とを接合しているので、第一の実施形態と同様の効果を奏する。
【0076】
なお、圧電振動素子が平板状の圧電片と励振電極と接続端子とから構成されている場合について説明しているが、例えば、音叉型圧電振動素子であってもよい。また、例えば、圧電片の両主面に凸部が設けられていてもよい。また、例えば、圧電片の両主面に凹部が設けられていてもよい。
【0077】
また、電子部品素子が圧電振動素子の場合について説明しているが、例えば、コンデンサであってもよい。
【0078】
また、電子部品素子収納空間内に電子部品素子のみが気密封止されている場合について説明しているが、例えば、他の電子部品も一緒に気密封止されていてもよい。
【0079】
また、封止材がガラスからなる場合について説明しているが、例えば、金属が用いられていてもよい。このとき、封止材は、溶融されて硬化し、素子搭載部材と蓋部材とを接合している。
【0080】
また、封止材がガラスからなる場合について説明しているが、例えば、樹脂が用いられていてもよい。このとき、封止材は、溶融又は軟化され硬化し、素子搭載部材と蓋部材とを接合している。
【0081】
また、軟化温度が金属の融点より低いガラスから封止材がなる場合について説明しているが、例えば、軟化温度が金属の融点より高くてもよい。
【0082】
100,200,300 電子デバイス
110,210,310 素子搭載部材
111,311 基板部
112,312 壁部
P 搭載パッド
G 外部接続端子
120 圧電振動素子
121 圧電片
122 励振電極
123 接続端子
130,230,330 蓋部材
231 蓋基板部
232 蓋壁部
113,233,313 電子部品素子収納空間
D 導電性接着材
H 封止材
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品素子が搭載されている素子搭載部材と蓋部材とが接合されて素子搭載部材に搭載されている電子部品素子が気密封止されている電子デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子デバイスは、一般的に、電子機器に用いられている。特に、移動通信機器等の電子機器には、電子デバイスの一例である圧電デバイスが多く用いられている。
また、電子デバイスは、電子部品素子と素子搭載部材と蓋部材と封止材とを少なくとも備えており、電子部品素子が搭載されている素子搭載部材と蓋部材とが封止材により接合され、素子搭載部材と蓋部材とで形成される空間内に電子部品素子が気密封止されている構造となっている。
【0003】
蓋部材は、例えば、金属が用いられており、主面が矩形形状の平板状に設けられている。
【0004】
素子搭載部材は、例えば、両主面が矩形形状の平板状に設けられている。
また、素子搭載部材は、例えば、一方の主面に凹部空間を有しており、凹部空間内に電子部品素子が収納されるように素子搭載部材に電子部品素子が搭載されている。
【0005】
封止材は、素子搭載部材の一方の主面と蓋部材の一方の主面の間であって素子搭載部材の一方の主面の縁部に沿って設けられている。
この封止材は、素子搭載部材の一方の主面と蓋部材の一方の主面とで挟まれた状態で溶融され再び硬化することで、素子搭載部材の一方の主面と蓋部材の一方の主面とを接合している。
また、封止材は、例えば、金属が用いられている。
【0006】
前述したような電子デバイスは、例えば、電子部品素子が搭載されている素子搭載部材の一方の主面の縁部に沿って環状の封止材が素子搭載部材の一方の主面と蓋部材の一方の主面とで挟まれた状態で、電気溶接を用いて蓋部材と素子搭載部材とを部分的にスポット溶接し仮付けを行い、封止材を溶融させ再び硬化させることで素子搭載部材と蓋部材とが封止材により接合され、電子部品素子が気密封止された構造となっている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
前述したような電子デバイスの別の一例として、封止材が軟化されて硬化することで、素子搭載部材と蓋部材とが接合されている電子デバイスがある。
このような電子デバイス300は、例えば、図11に示すように、ガラスからなる封止材Hが素子搭載部材310の一方の主面の縁部及び蓋部材330の一方の主面の縁部に環状に設けられている。
また、このような電子デバイス300は、封止材Hを素子搭載部材310と蓋部材330とを挟んだ状態で封止材Hを軟化させ硬化させることで、素子搭載部材310の一方の主面と蓋部材330の一方の主面とが接合されている。このとき、素子搭載部材310と蓋部材330とで形成される空間内に電子部品素子である圧電振動素子120が気密封止されている(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
つまり、前述したような電子デバイスは、素子搭載部材と、素子搭載部材の一方の主面側に搭載されている電子部品素子と、素子搭載部材とで形成する空間内に電子部品素子を収納する蓋部材と、素子搭載部材の一方の主面と蓋部材の一方の主面との間に設けられている封止材と、からなり、封止材が溶融され再び硬化することで素子搭載部材の一方の主面と蓋部材の一方の主面とを接合している。
【0009】
言い換えると、このような電子デバイスは、まず、素子搭載部材の一方の主面側の縁部に沿って環状の封止材が形成され、素子搭載部材の一方の主面側に電子部品素子が搭載され、蓋部材の一方の主面と素子搭載部材の一方の主面と接触させ蓋部材と素子搭載部材とで形成される空間内に電子部品素子を収納させた状態で封止材を軟化させ再び硬化させることで、素子搭載部材と蓋部材とを接合し電子部品素子を気密封止させて製造されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−49353号公報
【特許文献2】特開2000−13170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、従来の電子デバイスの製造方法によれば、素子搭載部材の一方の主面と蓋部材の一方の主面とで封止材を挟むように、蓋部材を配置し素子搭載部材と蓋部材とを仮付けし、封止材を溶融又は軟化させ硬化させることで蓋部材側を向く素子搭載部材の面と素子搭載部材側を向く蓋部材の面とを接合しているので、素子搭載部材と蓋部材とを仮付けするために時間と手間を要し、仮付けの分だけ生産性が低減する恐れがある。
【0012】
また、従来の電子デバイスの製造方法によれば、素子搭載部材の一方の主面と蓋部材の一方の主面とで封止材を挟んだ状態となるように蓋部材が配置され、封止材が溶融又は軟化され硬化することで蓋部材と素子搭載部材とが接合されているので、電子デバイスが小型化された場合、素子搭載部材の一方の主面と蓋部材の一方の主面とで封止材を挟んだ状態となるように素子搭載部材の所定の位置に蓋部材を配置することが出来なくなる恐れがある。
このため、従来の電子デバイスの製造方法によれば、電子デバイスが小型化された場合、素子搭載部材に搭載されている電子部品素子を素子搭載部材と蓋部材とで形成されている空間内に気密封止することができず、生産性が低減する恐れがある。
【0013】
そこで、本発明は、素子搭載部材の所定の位置に蓋部材を容易に配置し仮付けを行うことなく、素子搭載部材に搭載されている電子部品素子を気密封止することができる生産性のよい電子デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するために、一方の主面側に搭載パッドが設けられ、他方の主面に前記搭載パッドと電気的に接続されている外部接続端子が設けられている素子搭載部材の、一方の主面の縁部に沿って環状に封止材を形成する封止材形成工程と、前記素子搭載部材の前記搭載パッドに、電子部品素子の接続端子を対向させつつ電気的に接続させ、前記電子部品素子を前記素子搭載部材に搭載する素子搭載工程と、前記素子搭載部材の一方の主面に蓋部材の一方の主面を接触させつつ前記蓋部材の側面を前記封止材の内縁側の面に接触させ、前記蓋部材と前記素子搭載部材とで形成される空間内に前記素子搭載部材に搭載されている前記電子部品素子を収納させるように、前記蓋部材を配置する蓋部材配置工程と、前記封止材を溶融又は軟化させ再び硬化させることで前記素子搭載部材と前記蓋部材とを接合する接合工程と、を備えていることを特徴とする。
【0015】
また、前記課題を解決するために、前記封止材形成工程で、ガラスフリットペーストを塗布し乾燥させたガラスからなる前記封止材を形成していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
このような電子デバイスの製造方法によれば、封止材が設けられている素子搭載部材の面に蓋部材の一方の主面が接触しつつ、素子搭載部材に形成されている封止材の内縁側の面に蓋部材の側面が接触するように蓋部材が配置された状態で封止材が溶融又は軟化され再び硬化されるので、封止材で位置出しされた蓋部材を固定した状態で素子搭載部材と蓋部材とを接合することができる。
このため、このような電子デバイスの製造方法によれば、従来の電子デバイスの製造方法のように蓋部材と素子搭載部材とを仮付けする必要がなくなるので、仮付けにかかる時間や手間の分だけ生産性を向上させることができる。
【0017】
また、このような電子デバイスの製造方法によれば、一方の主面の縁部に沿って環状に封止材が設けられている素子搭載部材に電子部品素子が搭載され、封止材が設けられている素子搭載部材の面と蓋部材の一方の主面が接触しつつ封止材の内縁側の面と蓋部材の側面とが接触するように蓋部材が配置され、そのまま封止材が溶融又は軟化され再び硬化し素子搭載部材と蓋部材とが接合されるので、素子搭載部材の所定の位置に蓋部材を容易に配置し、そのままの状態で素子搭載部材と蓋部材とを接合することができる。
従って、このような電子デバイスの製造方法によれば、電子デバイスが小型化された場合であっても、素子搭載部材の所定の位置に蓋部材を配置した状態で素子搭載部材と蓋部材とを接合することができるので、素子搭載部材と蓋部材とで形成される空間内に電子部品素子を気密封止することができる。
このため、このような電子デバイスの製造方法によれば、電子デバイスが小型化された場合、電子部品素子を気密封止することができるので、従来の電子デバイスの製造方法と比較して生産性を向上させることができる。
【0018】
また、このような電子デバイスの製造方法によれば、封止材形成工程で、ガラスフリットペーストを塗布し乾燥させたガラスからなる前記封止材を形成されているので、従来のように封止材が金属からなる場合と比較し封止材が酸化することを防ぐことができ、生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る電子デバイスの製造方法で製造された電子デバイスの一例を示す分解斜視図である。
【図2】(a)は、本発明の第一の実施形態に係る電子デバイスの製造方法の封止材形成工程の状態の一例を示す断面図であり、(b)は、本発明の第一の実施形態に係る電子デバイスの製造方法の封止材形成工程の状態の一例を示す斜視図である。
【図3】本発明の第一の実施形態に係る電子デバイスの製造方法の素子搭載工程の状態の一例を示す断面図である。
【図4】本発明の第一の実施形態に係る電子デバイスの製造方法の蓋部材配置工程の状態の一例を示す断面図である。
【図5】本発明の第一の実施形態に係る電子デバイスの製造方法の接合工程の状態の一例を示す断面図である。
【図6】本発明の第二の実施形態に係る電子デバイスの製造方法で製造された電子デバイスの一例を示す分解斜視図である。
【図7】(a)は、本発明の第二の実施形態に係る電子デバイスの製造方法の封止材形成工程の状態の一例を示す断面図であり、(b)は、本発明の第二の実施形態に係る電子デバイスの製造方法の封止材形成工程の状態の一例を示す斜視図である。
【図8】本発明の第二の実施形態に係る電子デバイスの製造方法の素子搭載工程の状態の一例を示す断面図である。
【図9】本発明の第二の実施形態に係る電子デバイスの製造方法の蓋部材配置工程の状態の一例を示す断面図である。
【図10】本発明の第二の実施形態に係る電子デバイスの製造方法の接合工程の状態の一例を示す断面図である。
【図11】従来の電子デバイスの製造方法の接合工程の状態の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、各図面において各構成要素の状態を分かりやすくするために誇張して図示している。
【0021】
(第一の実施形態)
本発明の第一の実施形態に係る電子デバイスの製造方法で製造される電子デバイスは、電子部品素子と素子搭載部材と蓋部材と封止材とを備えている。
以下、本発明の第一の実施形態に係る電子デバイスの製造方法で製造される電子デバイスの一例として、電子部品素子が圧電振動素子である圧電デバイスについて説明する。
【0022】
本発明の第一の実施形態に係る電子デバイスの製造方法で製造される電子デバイス100は、図1に示すように、電子部品素子である圧電振動素子120と素子搭載部材110と蓋部材130と封止材Hとを主に備えている。
このとき、本発明の第一の実施形態に係る電子デバイスの製造方法で製造される電子デバイス100は、圧電振動素子120が素子搭載部材110に搭載された状態で、素子搭載部材110と蓋部材130とが封止材Hによって接合され、素子搭載部材110と蓋部材130とで形成される空間113内に圧電振動素子120が気密封止された構造となっている。
【0023】
電子部品素子である圧電振動素子120は、例えば、図1に示すように、圧電片121と励振用電極122と接続端子123とから構成されており、圧電片121の両主面に励振用電極122が設けられ、励振用電極122から圧電片121の主面の端部にまで延設されるように接続端子123が設けられている。
【0024】
蓋部材130は、例えば、金属が用いられ、両主面が矩形形状の平板状となっている。
【0025】
素子搭載部材110は、図1に示すように、基板部111と基板部111の一方の主面の縁部に沿って環状に設けられている壁部112とから構成されており、電子部品素子収納空間113が形成されている。
【0026】
ここで、基板部111と壁部112とが接する面に対向する壁部112の面を素子搭載部材110の一方の主面とし、基板部111と壁部112とが接する面に対向する基板部111の面を素子搭載部材110の他方の主面とする。
従って、素子搭載部材110の一方の主面には、電子部品素子収納空間113が形成されている。
【0027】
また、素子搭載部材110は、電子部品素子収納空間113の底面、つまり、素子搭載部材110の一方の主面側に搭載パッドPが設けられ、素子搭載部材110の他方の主面に外部接続端子Gが設けられている。
搭載パッドPは、例えば、図1に示すように、電子部品素子である圧電振動素子120の接続端子123と対向する位置に設けられ、導電性接着材Dによって、接続端子123と電気的に接続された状態となっている。
外部接続端子Gは、素子搭載部材110の一方の主面側に設けられている搭載パッドPと素子搭載部材110の内部配線(図示せず)を介して電気的に接続された状態となっている。
【0028】
従って、素子搭載部材120には、電子部品素子収納空間113内に収納されつつ接続端子123と搭載パッドPとが電気的に接続された状態で、電子部品素子である圧電振動素子120が搭載されている。
【0029】
また、封止材Hは、素子搭載部材110の一方の主面の外側の縁部に沿って環状に形成されている。この封止材Hは、内周面が蓋部材130の側面と接触するように設けられている。
これにより、蓋部材130は、素子搭載部材110の一方の主面に接触させた状態で、蓋部材130の側面が封止材Hで接合されている。なお、この場合において、蓋部材130と素子搭載部材110との間に封止材Hが存在していてもよい。
【0030】
ここで、素子搭載部材110側を向く面を蓋部材130の一方の主面とし、蓋部材130の一方の主面に対向する面を蓋部材130の他方の主面とし、蓋部材130の一方の主面及び蓋部材130の他方の主面に接続している面を蓋部材130の側面とする。
【0031】
また、この環状に形成されている封止材Hは、溶融又は軟化され再び硬化することで、蓋部材130と素子搭載部材110とを接合している。
このとき、蓋部材130と素子搭載部材110とで形成される空間内、つまり、電子部品素子収納空間113内に素子搭載部材110に搭載されている電子部品素子である圧電振動素子120が気密封止されている。
【0032】
封止材Hは、例えば、酸化物であるガラスからなっている。
封止材Hがガラスからなる場合、本発明の第一の実施形態に係る電子デバイスの製造方法で製造された電子デバイス100は、封止材Hが従来のように金属からなる場合と比較し酸化することを防ぐことができる。
【0033】
また、封止材Hがガラスからなる場合、本発明の第一の実施形態に係る電子デバイスの製造方法で製造された電子デバイス100は、封止材Hが従来のように金属からなる場合と比較し、高い湿度に対して封止材Hが劣化しにくくすることができるので、電子部品素子である圧電振動素子120を気密封止し続けることが可能となる。
【0034】
次に、本発明の第一の実施形態に係る電子デバイスの製造方法について説明する。
本発明の第一の実施形態に係る電子デバイスの製造方法は、封止材形成工程、素子搭載工程、蓋部材配置工程、接合工程、を備えている。
【0035】
(封止材形成工程)
封止材形成工程は、一方の主面側に搭載パッドPが設けられ、他方の主面に前記搭載パッドと電気的に接続されている外部接続端子Gが設けられている素子搭載部材110の、一方の主面の縁部に沿って環状に封止材Hを形成する工程である。
【0036】
素子搭載部材110は、例えば、図2(a)及び図2(b)に示すように、基板部111と壁部112とから構成されており、基部111の一方の主面の縁部に沿って環状の壁部112が設けられて電子部品素子収納空間113が形成されている。
【0037】
前述したように、基板部111と壁部112とが接している面に対向する壁部112の面を素子搭載部材110の一方の主面とし、基板部111と壁部112とが接している面に対向する基板部111の面を素子搭載部材110の他方の主面とするので、素子搭載部材110の一方の主面に電子部品素子収納空間113が形成されている。
【0038】
素子搭載部材110は、図2(a)及び図2(b)に示すように、電子部品素子収納空間113の底面に搭載パッドPが設けられており、素子搭載部材110の他方の主面に外部接続端子Gが設けられている。このとき、素子搭載部材110の内部配線(図示せず)を介して、搭載パッドPと外部接続端子Gとが電気的に接続されている。
【0039】
封止材形成工程では、図2(a)及び図2(b)に示すように、素子搭載部材110の一方の主面の外側の縁部に沿って環状に形成される。このとき、封止材Hは、素子搭載部材110の電子部品素子収納空間113の開口部の縁部には形成されない。
このため、封止材Hは、図2(a)及び図2(b)に示すように、素子搭載部材110の一方の主面の外側を向く縁部にのみ沿って形成され、電子部品素子収納空間113の開口部側を向く縁部に形成されていない状態となっている。
【0040】
ここで、封止材Hは、例えば、ガラスフリットペーストがスクリーン印刷法で塗布され乾燥されて設けられる。このため、従来のようにメッキ法を用いて金属からなる封止材を設ける場合と比較し、容易に封止材Hを設けることができる。
また、封止材Hは、例えば、酸化物であるガラスからなっている。また、この封止材Hは、従来のように金属が用いられている封止材の溶融する温度より、軟化する温度が十分低い温度となっている。
【0041】
封止材Hは、酸化物であるガラスからなるので、封止材Hが従来のように金属からなる場合と比較し、高い湿度に対して劣化しにくくなっている。
【0042】
また、封止材Hは、酸化物であるガラスからなるので、封止材Hが従来のように金属からなる場合と比較し、酸化しにくく劣化しにくくなっている。
【0043】
(素子搭載工程)
素子搭載工程は、前記素子搭載部材110の前記搭載パッドPに、電子部品素子の接続端子123を対向させつつ電気的に接続させ、前記電子部品素子を前記素子搭載部材110に搭載する工程である。
【0044】
ここで、電子部品素子は、例えば、圧電振動素子120が用いられる。
電子部品素子の一例である圧電振動素子120は、例えば、図1及び図3に示すように、圧電片121と励振電極122と接続端子123とから構成されている。
【0045】
圧電片121は、圧電材料が用いられ、例えば、図1及び図3に示すように、両主面が矩形形状となるように形成されている。
【0046】
励振電極122は、例えば、図1及び図3に示すように、二つ一対で設けられ、一方の励振電極121が圧電片121の一方の主面に設けられ、他方の励振電極121が圧電片121の他方の主面であって一方の励振電極121に対向する位置に設けられている。
【0047】
接続端子123は、二つ一対で設けられ、一方の端部が励振電極122に接続され、他方の端部が圧電片121の主面の端部に位置している。
一方の接続端子123は、一方の端部が一方の励振電極122に接続され、他方の端部が圧電片121の他方の主面の所定の一辺の縁部に位置している。
他方の接続端子123は、一方の端部が他方の励振電極122に接続され、他方の端部が圧電片121の一方の主面の所定の一辺の縁部に位置している。
【0048】
従って、圧電振動素子120は、圧電片121の両主面に励振電極122及び接続端子123が設けられており、それぞれの励振電極123と接続端子123の他方の端部とが電気的に接続された状態となっている。
【0049】
素子搭載工程では、図3に示すように、例えば、素子搭載部材110の搭載パッドPに導電性接着材Dが塗布され、電子部品素子である圧電振動素子120の接続端子123が塗布された導電性接着材Dを挟んだ状態で搭載パッドPと対向する位置に設けられ、塗布された導電性接着材Dを硬化させて、搭載パッドPと接続端子123とを電気的に接続させている。
このとき、素子搭載工程では、電子部品素子である圧電振動素子120が素子搭載部材110の電子部品素子収納空間113内に収納されるように搭載される。従って、電子部品素子である圧電振動素子120が素子搭載部材110の一方の主面側に搭載されている状態となる。
【0050】
(蓋部材配置工程)
蓋部材配置工程は、図4に示すように、前記素子搭載部材110の一方の主面に蓋部材130の一方の主面を接触させつつ前記蓋部材130の側面を前記封止材Hの内縁側の面に接触させ、前記蓋部材130と前記素子搭載部材110とで形成される空間内に前記素子搭載部材110に搭載されている前記電子部品素子を収納させるように、前記蓋部材130を配置する工程である。
【0051】
蓋部材130は、例えば、図1に示すように、両主面が矩形形状の平板状となっており、金属が用いられる。
また、蓋部材130は、図4に示すように、蓋部材130の一方の主面を素子搭載部材110の一方の主面に接触させると、素子搭載部材110の一方の主面に形成されている封止材Hの内縁側を向く面と接触する形状となっている。従って、蓋部材130の一方の主面は素子搭載部材110の電子部品素子収納空間素子113の開口部より大きい大きさとなっている。
【0052】
蓋部材配置工程では、蓋部材130の一方の主面を素子搭載部材110の一方の主面側に向け、素子搭載部材110の一方の主面と蓋部材130の一方の主面とを接触させつつ蓋部材130の側面と封止材Hの内縁側を向く面とを接触させるように、素子搭載部材110に蓋部材130を配置している。
このとき、素子搭載部材110と蓋部材130とで形成される空間、つまり、電子部品素子収納空間113内に電子部品素子である圧電振動素子120が収納されている。
【0053】
また、蓋部材配置工程では、蓋部材130の形状が蓋部材130の一方の主面を素子搭載部材110の一方の主面に接触させると、素子搭載部材110の一方の主面に形成されている封止材Hの内縁側を向く面と接触する形状となっているので、蓋部材130の一方の主面を素子搭載部材110の一方の主面に接触させることで、素子搭載部材110の所定の位置に蓋部材130を容易に配置することができる。
【0054】
(接合工程)
接合工程は、前記封止材Hを溶融又は軟化させ再び硬化させることで前記素子搭載部材110と前記蓋部材130とを接合する工程である。
接合工程では、例えば、図5に示すように、素子搭載部材110の所定の位置に蓋部材130が配置されつつ素子搭載部材110と蓋部材130とで形成される空間、つまり、電子部品素子収納空間113内に電子部品素子である圧電振動素子120が収納された状態で、封止材Hが軟化され再び硬化することで、封止材Hが軟化する前に接触していた素子搭載部材110の一方の主面と蓋部材130の側面を濡れ現象により接合する。
従って、接合工程では、封止材Hが軟化され、素子搭載部材110の一方の主面と蓋部材130の側面が接合され、電子部品素子収納空間113内に収納されていた圧電振動素子120が気密封止される。
【0055】
また、接合工程では、封止材Hの軟化する温度が従来のように金属が用いられている封止材の溶融する温度と比較して十分低い温度となっているので、封止材Hが従来のように金属からなる場合と比較して低い温度で素子搭載部材110と蓋部材130とを接合することができる。
【0056】
従って、本発明の第一の実施形態に係る電子デバイスの製造方法では、素子搭載部材110の一方の主面の縁部に沿って環状の封止材Hが形成され、素子搭載部材110の一方の主面側に電子部品素子である圧電振動素子120が搭載され、素子搭載部材110の一方の主面と蓋部材130の一方の主面とを接触させ素子搭載部材110と蓋部材130とで形成される空間、つまり、電子部品素子収納空間113内に電子部品素子である圧電振動素子120を収納した状態で、封止材Hを軟化させ再び硬化することで素子搭載部材110と蓋部材130とを接合している。
なお、このとき、素子搭載部材110と蓋部材130とで形成される空間、つまり、電子部品素子収納空間113内に電子部品素子である圧電振動素子120が気密封止される。
【0057】
このような本発明の第一の実施形態に係る電子デバイスの製造方法によれば、封止材Hが設けられている素子搭載部材110の面に蓋部材130の一方の主面が接触しつつ、素子搭載部材110に形成されている封止材Hの内縁側の面に蓋部材130の側面が接触するように蓋部材130が配置された状態で封止材Hが溶融又は軟化され再び硬化されるので、封止材Hで位置出しされた蓋部材130を固定した状態で素子搭載部材110と蓋部材130とを接合することができる。
このため、このような本発明の第一の実施形態に係る電子デバイスの製造方法によれば、従来の電子デバイスの製造方法のように蓋部材130と素子搭載部材110とを仮付けする必要がなくなるので、仮付けにかかる時間や手間の分だけ生産性を向上させることができる。
【0058】
また、このような本発明の第一の実施形態に係る電子デバイスの製造方法によれば、一方の主面の縁部に沿って環状に封止材Hが設けられている素子搭載部材110に電子部品素子である圧電振動素子120が搭載され、封止材Hが設けられている素子搭載部材110の面と蓋部材130の一方の主面が接触しつつ封止材Hの内縁側の面と蓋部材130の側面とが接触するように蓋部材130が配置され、そのまま封止材Hが溶融又は軟化され再び硬化されて素子搭載部材110と蓋部材130とが接合されるので、素子搭載部材110の所定の位置に蓋部材130を容易に配置し、そのままの状態で素子搭載部材110と蓋部材130とを接合することができる。
従って、このような本発明の第一の実施形態に係る電子デバイスの製造方法によれば、
電子デバイス100が小型化された場合であっても、素子搭載部材110の所定の位置に蓋部材130を配置した状態で素子搭載部材110と蓋部材130とを接合することができるので、素子搭載部材110と蓋部材130とで形成される空間内に電子部品素子である圧電振動素子120を気密封止することができる。
このため、このような本発明の第一の実施形態に係る電子デバイスの製造方法によれば、電子デバイス100が小型化された場合、電子部品素子を気密封止することができるので、従来の電子デバイスの製造方法と比較して生産性を向上させることができる。
【0059】
また、このような本発明の第一の実施形態に係る電子デバイスの製造方法によれば、前記封止材形成工程で、ガラスフリットペーストを塗布し乾燥させたガラスからなる前記封止材Hを形成しているので、封止材Hが金属からなる場合と比較し、封止材Hが酸化することを防ぐことができ、生産性を向上させることができる。
【0060】
また、このような本発明の第一の実施形態に係る電子デバイスの製造方法によれば、素子搭載部材110に形成されている封止材Hにより蓋部材130を素子搭載部材110の所定の位置に容易に配置することができるので、封止時に専用の封止用ジグを用いる必要がなく、封止用ジグが必要なく生産性を向上させることができる。
【0061】
また、このような本発明の第一の実施形態に係る電子デバイスの製造方法によれば、素子搭載部材110の一方の主面と蓋部材130の側面とを封止材Hによって接合しているので、素子搭載部材110の他方の主面から蓋部材130の他方の主面までの長さ、つまり、電子デバイスの高さを、従来の電子デバイスの製造方法により製造された電子デバイスと比較して短くすることができ、電子デバイスを小型化することが可能となる。
【0062】
(第二の実施形態)
本発明の第二の実施形態に係る電子デバイスの製造方法は、図6に示すように、電子部品素子収納空間233が蓋部材230に形成されている点で第一の実施形態と異なる。
また、本発明の第二の実施形態に係る電子デバイスの製造方法は、封止材形成工程、素子搭載工程、蓋部材配置工程、接合工程、を備えている。
【0063】
(封止材形成工程)
封止材形成工程は、図7(a)及び図7(b)に示すように、素子搭載部材210の一方の主面の縁部に沿って環状の封止材Hを形成する工程である。
【0064】
素子搭載部材210は、図7(a)及び図7(b)に示すように、両主面が矩形形状の平板状に形成される。
また、素子搭載部材210は、図7(a)及び図7(b)に示すように、一方の主面に搭載パッドPが設けられ、他方の主面に外部接続端子Gが設けられる。また、素子搭載部材210は、搭載パッドPと外部接続端子Gとが素子搭載部材210の内部配線(図示せず)を介して電気的に接続されている。
【0065】
封止材Hは、搭載パッドPに接触しない位置であって素子搭載部材110の一方の主面の縁部に沿って環状に形成される。
ここで、封止材Hは、例えば、ガラスフリットペーストが塗布され乾燥されて設けられている。このため、従来のようにメッキ法が用いられ金属からなる封止材を設ける場合と比較して、封止材Hを容易に設けることができる。
また、封止材Hは、例えば、酸化物であるガラスからなる。このため、封止材Hは、従来のように封止材Hが金属からなる場合と比較し、接合するための温度が低く、高い湿度に対して耐食性があり、かつ、酸化しにくくなっている。
【0066】
従って、封止材形成工程では、素子搭載部材120の一方の主面の縁部に沿って環状にガラスフリットペーストが塗布され乾燥されて、低融点ガラスが用いられている封止材HWが形成される。
【0067】
(素子搭載工程)
素子搭載工程は、図8に示すように、封止材Hが形成されている素子搭載部材210に電子部品素子を搭載する工程である。
【0068】
ここで、電子部品素子は、例えば、圧電振動素子120である。
【0069】
素子搭載工程では、例えば、封止材Hが形成されている素子搭載部材210の搭載パッドPに導電性接着材Dが塗布され、導電性接着材Dを挟んだ状態で搭載パッドPと電子部品素子である圧電振動素子120の接続端子123とを対向した位置に設け導電性接着材Dを硬化させ搭載パッドPと接続端子123とを電気的に接続させ、素子搭載部材210の一方の主面側に電子部品素子である圧電振動素子120を搭載している。
【0070】
(蓋部材配置工程)
蓋部材配置工程は、図9に示すように、蓋部材230を、封止材Hが形成され、かつ、圧電振動素子120が搭載されている素子搭載部材210に蓋部材230を配置する工程である。
【0071】
蓋部材230は、例えば、金属が用いられており、図9に示すように、蓋基板部231と蓋壁部232とから構成され、蓋基板部231の一方の主面の縁部に沿って環状の蓋壁部232が設けられ電子部品素子収納空間233が形成されている。
【0072】
ここで、蓋基板部231と蓋壁部232とが接している面に対向する蓋壁部232の面を蓋部材230の一方の主面とし、蓋基板部231と蓋壁部232とが接している面に対向する蓋基板部231の面を蓋部材230の他方の主面とする。
従って、蓋部材230の一方の主面に電子部品素子収納空間233が形成されている。
【0073】
また、蓋部材230は、蓋部材230の一方の主面に素子搭載部材230の一方の主面を接触させたとき、素子搭載部材210に形成されている封止材Hの内縁側の面に蓋部材230の側面が接触する形状となっている。
また、蓋部材230は、電子部品素子収納空間233の大きさが、圧電振動素子120を収納することができる大きさとなっている。
【0074】
蓋部材配置工程では、蓋部材230の電子部品素子収納空間233を素子搭載部材210に搭載されている圧電振動素子220側に向けた状態で、蓋部材230の一方の主面と素子搭載部材210の一方の主面とを接触させつつ蓋部材230の側面と封止材Hの内縁側の面とを接触させ、素子搭載部材210と蓋部材230とで形成される空間、つまり、電子部品素子収納空間231内へ圧電振動素子120を収納している。
【0075】
従って、本発明の第二の実施形態に係る電子デバイスの製造方法は、素子搭載部材210の一方の主面の縁部に沿って環状の封止材Hが形成され、素子搭載部材210の一方の主面側に電子部品素子である圧電振動素子120が搭載され、素子搭載部材210の一方の主面と蓋部材230の一方の主面とを接触させ素子搭載部材210と蓋部材230とで形成される空間、つまり、電子部品素子収納空間233内に電子部品素子である圧電振動素子220を収納した状態で、封止材Hを溶融又は軟化させ再び硬化することで素子搭載部材210と蓋部材230とを接合しているので、第一の実施形態と同様の効果を奏する。
【0076】
なお、圧電振動素子が平板状の圧電片と励振電極と接続端子とから構成されている場合について説明しているが、例えば、音叉型圧電振動素子であってもよい。また、例えば、圧電片の両主面に凸部が設けられていてもよい。また、例えば、圧電片の両主面に凹部が設けられていてもよい。
【0077】
また、電子部品素子が圧電振動素子の場合について説明しているが、例えば、コンデンサであってもよい。
【0078】
また、電子部品素子収納空間内に電子部品素子のみが気密封止されている場合について説明しているが、例えば、他の電子部品も一緒に気密封止されていてもよい。
【0079】
また、封止材がガラスからなる場合について説明しているが、例えば、金属が用いられていてもよい。このとき、封止材は、溶融されて硬化し、素子搭載部材と蓋部材とを接合している。
【0080】
また、封止材がガラスからなる場合について説明しているが、例えば、樹脂が用いられていてもよい。このとき、封止材は、溶融又は軟化され硬化し、素子搭載部材と蓋部材とを接合している。
【0081】
また、軟化温度が金属の融点より低いガラスから封止材がなる場合について説明しているが、例えば、軟化温度が金属の融点より高くてもよい。
【0082】
100,200,300 電子デバイス
110,210,310 素子搭載部材
111,311 基板部
112,312 壁部
P 搭載パッド
G 外部接続端子
120 圧電振動素子
121 圧電片
122 励振電極
123 接続端子
130,230,330 蓋部材
231 蓋基板部
232 蓋壁部
113,233,313 電子部品素子収納空間
D 導電性接着材
H 封止材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の主面側に搭載パッドが設けられ、他方の主面に前記搭載パッドと電気的に接続されている外部接続端子が設けられている素子搭載部材の、一方の主面の縁部に沿って環状に封止材を形成する封止材形成工程と、
前記素子搭載部材の前記搭載パッドに、電子部品素子の接続端子を対向させつつ電気的に接続させ、前記電子部品素子を前記素子搭載部材に搭載する素子搭載工程と、
前記素子搭載部材の一方の主面に蓋部材の一方の主面を接触させつつ前記蓋部材の側面を前記封止材の内縁側の面に接触させ、前記蓋部材と前記素子搭載部材とで形成される空間内に前記素子搭載部材に搭載されている前記電子部品素子を収納させるように、前記蓋部材を配置する蓋部材配置工程と、
前記封止材を溶融又は軟化させ再び硬化させることで前記素子搭載部材と前記蓋部材とを接合する接合工程と、
を備えていることを特徴とする電子デバイスの製造方法。
【請求項2】
前記請求項1に記載の前記封止材形成工程で、ガラスフリットペーストを塗布し乾燥させたガラスからなる前記封止材を形成していることを特徴とする電子デバイスの製造方法。
【請求項1】
一方の主面側に搭載パッドが設けられ、他方の主面に前記搭載パッドと電気的に接続されている外部接続端子が設けられている素子搭載部材の、一方の主面の縁部に沿って環状に封止材を形成する封止材形成工程と、
前記素子搭載部材の前記搭載パッドに、電子部品素子の接続端子を対向させつつ電気的に接続させ、前記電子部品素子を前記素子搭載部材に搭載する素子搭載工程と、
前記素子搭載部材の一方の主面に蓋部材の一方の主面を接触させつつ前記蓋部材の側面を前記封止材の内縁側の面に接触させ、前記蓋部材と前記素子搭載部材とで形成される空間内に前記素子搭載部材に搭載されている前記電子部品素子を収納させるように、前記蓋部材を配置する蓋部材配置工程と、
前記封止材を溶融又は軟化させ再び硬化させることで前記素子搭載部材と前記蓋部材とを接合する接合工程と、
を備えていることを特徴とする電子デバイスの製造方法。
【請求項2】
前記請求項1に記載の前記封止材形成工程で、ガラスフリットペーストを塗布し乾燥させたガラスからなる前記封止材を形成していることを特徴とする電子デバイスの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−27017(P2013−27017A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163096(P2011−163096)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(000104722)京セラクリスタルデバイス株式会社 (870)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(000104722)京セラクリスタルデバイス株式会社 (870)
【Fターム(参考)】
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