電子ビームスキャナを含む照射システム
治療ビームの性質が走査期間中に制御される。走査期間中に、領域の一部分が電子ビームスキャナにより発生された画像化x線ビームに曝される。領域からのx線放射が検出され、このx線放射は領域の部分により引き起こされる画像化x線ビームの減衰を表す。検出されたx線放射に基づいて領域の部分の第1の画像が生成される。生成された第1の画像から領域の部分の特性が決定される。この特性から、治療ビーム源に治療ビームの性質を修正させるように構成された入力が導出される。この入力を治療ビーム源に与えることにより、走査期間中に治療ビーム源が治療ビームの性質を修正する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は電子ビームスキャナを含む照射システムに関する。
本願は、2008年7月16日出願の「電子ビームスキャナを用いた照射」と題する米国特許仮出願第61/081,360号及び2008年9月5日出願の「電子ビームスキャナを含む照射システム」と題する米国特許仮出願第61/094,549号の利益を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ・トモグラフィ(CT)システムは、例えば、患者の腫瘍を含む患者を画像化するのに用いることができる。照射システムは、高エネルギー放射、例えばx線を腫瘍に照射して腫瘍を破壊することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7,428,297号
【発明の概要】
【0004】
1つの一般的な態様において、システムは電子ビームスキャナ、照射エネルギー源、及びプロセッサを含む。電子ビームスキャナは、電子ビームを発生するように構成された電子エミッタと、電子ビームの衝突を受けてx線ビームを発生する標的に向けて電子ビームを加速するように構成された電子加速器と、電子ビームを標的に沿って走査して、発生されたx線ビームを画像化する領域の一部分に対して位置合せするように構成されたステアリング装置と、該領域からのx線放射を検知して、検知放射の表現を生成するように構成された検出器とを含む。照射エネルギー源は、治療ビームを発生するように構成される。電子ビームスキャナ及び照射エネルギー源は、領域の部分が治療ビーム及び発生されたx線ビームに同時に曝されるように配置される。システムはまた、検知されたx線の表現を受け取り、検知されたx線の表現に基づいて領域の画像化された部分の特性を決定し、この特性に基づいて治療ビームの性質を修正するように動作可能なプロセッサを含む。
【0005】
実施には、以下の特徴の1つ又はそれ以上を含めることができる。電子ビームスキャナは治療ビームの伝搬方向に対してある角度で配置することができる。システムはまたガントリー(gantry)を含むことができ、このガントリーの内部に電子ビームスキャナ及び照射エネルギー源の両方を配置することができる。電子ビームスキャナはガントリーに対して移動させることができ、プロセッサは、ガントリーに対する電子ビームスキャナの位置、及びガントリーに対する発生されたx線ビームの位置を決定するようにさらに動作可能とすることができる。
【0006】
幾つかの実施において、領域の部分の特性は、その部分の位置、その部分のサイズ、及びその部分の形状のうちの1つ又はそれ以上を含むことができる。プロセッサは、検知された放射の表現に基づいて領域の画像を生成するように、さらに動作可能ろすることができる。部分は、ヒト患者内部の生物学的構造体を含むことができる。領域は膵臓を含むことができ、領域の部分は膵臓の一部分を含むことができる。
【0007】
特性に基づいて治療ビームを制御するために、プロセッサは、領域の部分の特性から導出された、照射エネルギー源に治療ビームの性質を修正させるのに十分な入力を照射エネルギー源に与えるようにさらに動作可能とすることができ。プロセッサは、発生されたx線ビームが領域の部分を照射する間に入力を照射エネルギー源に与えることができる。プロセッサは、領域の部分がx線ビームによって画像化される間に照射エネルギー源に入力を与えることができる。プロセッサは、治療セッション中に、照射エネルギー源に入力を与えることができ。治療ビームの性質には、治療ビームのビームプロファイル及び治療ビームの強度のうちの1つ又はそれ以上を含めることができる。対象の特性には、対象のサイズ及び形状を含めることができ、照射エネルギー源への入力は、照射エネルギー源に治療ビームのプロファイルを修正させて、プロファイルを対象のサイズ及び形状にほぼ適合させるのに十分なものとすることができる。
【0008】
別の一般的態様において、領域の一部分が電子ビームスキャナによって画像化される走査期間中に、電子ビームスキャナにより生成された第1のデータが受け取られる。第1のデータは、部分の特性の第1の表示を含む。走査期間中、第1のデータから該部分の特性が決定される。走査期間中、特性から導出された第1の入力が治療ビーム源に与えられ、この第1の入力は、治療ビーム源に治療ビームの性質を修正させるのに十分なものとする。走査期間中、電子ビームスキャナにより生成された第2のデータが受け取られる。第2のデータは第1のデータの後に受け取られ、第2のデータは、部分の特性の第2の表示を含む。走査期間中、部分の特性が第2のデータから決定される。走査期間中、第2のデータから決定された特性から導出される第2の入力が照射ビーム源に与えられ、この第2の入力は、治療ビーム源に治療ビームの性質を修正させて第2のデータから決定された特性を考慮するのに十分なものとする。
【0009】
実施には、以下の特徴の1つ又はそれ以上を含めることができる。治療ビームの性質には治療ビームのビームプロファイルを含めることができる。部分の特性には部分の形状を含めることができ、部分の形状は走査期間中に変化し得る。部分は走査周期中に動いてもよい。領域はヒト患者を含むことができ、領域の部分はヒト患者内の生物学的構造体を含むことができる。治療ビームの性質は、治療ビームのビームプロファイルとすることができ、第1の入力及び第2の入力は、治療ビーム源に結合されたマルチリーフ・コリメータのリーフを、ビームプロファイルが変化するよう移動させるのに十分な入力とする。領域の部分の特性は位置とすることができ、第1の入力及び第2の入力は、治療ビーム源に治療ビームを該部分の該位置に向けるようにさせるのに十分な入力とする。領域の部分は患者の生物学的構造体を含むことができ、走査期間は、患者が領域内に留まり、治療ビームが生物学的構造体を照射する連続的治療セッションとすることができる。
【0010】
幾つかの実施において、第1の入力が照射ビーム源に与えられた後100ミリ秒未満の内に第2の入力を照射ビーム源に与えることができる。
別の一般的態様において、治療ビームは走査期間中に制御される。領域の一部分が走査期間中に、電子ビームスキャナにより発生された画像化x線ビームに曝される。この領域からのx線放射が検出され、このx線放射は、領域の部分により引き起こされた画像化x線ビームの減衰を表す。領域の部分の第1の画像が検出されたx線放射に基づいて生成される。該領域の該部分の特性が、生成された第1の画像から決定される。該特性から導出された入力が生成され、ここで入力は、治療ビーム源に治療ビームの性質を修正させるように構成される。治療ビーム源に入力を与えることにより、治療ビーム源は走査期間中に治療ビームの性質を修正する。
【0011】
実施には、以下の1つ又はそれ以上の特徴を含めることができる。部分の特性は該部分の位置を含むことができ、治療ビーム源に治療ビームの性質を修正させることは、治療ビームの伝搬方向を修正して治療ビームが該部分を照射するようにすることを含むことができる。
【0012】
別の一般的態様において、電子ビームスキャナからのデータに基づいて治療ビームを制御するための装置が組み立てられる。治療ビームを発生するように構成された照射エネルギー源はハウジング内に配置され、x線画像化ビームを発生するように構成された電子ビームスキャナは、ハウジング内で照射エネルギー源に対して配置される。電子ビームスキャナの位置合せにより、ハウジング内部の領域にある対象が治療ビーム及びx線画像化ビームに同時に曝されることが可能になる。
上述の技術の実施には、方法若しくはプロセス、システム若しくは装置、又はコンピュータ可読媒体上のコンピュータソフトウェアを含めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】円形配置の電子ビームスキャナの斜視図を示す。
【図1B】円形配置の電子ビームスキャナの斜視図を示す。
【図1C】コリメータの一例を示す。
【図1D】検出器システムの一例を示す。
【図1E】電子ビームスキャナに関する例示的なジオメトリを示す。
【図1F】電子ビームスキャナに関する例示的なジオメトリを示す。
【図2】線形配置の電子ビームスキャナの一例を示す。
【図3】電子ビームスキャナを含む照射システムの水平断面図を示す。
【図4A】照射システム及び電子ビームスキャナを含むシステムの側面垂直断面図を示す。
【図4B】図4Aに示したシステムの前面斜視図を示す。
【図4C】図4Aに示したシステムの背面斜視図を示す。
【図4D】図4Aに示したシステムの前面斜視図を示す。
【図5A】照射システム及び電子ビームスキャナを含む別のシステムの背面斜視図を示す。
【図5B】照射システム及び電子ビームスキャナを含む別のシステムの背面斜視図を示す。
【図5C】図5A及び5Bに示したシステムの前面斜視図を示す。
【図5D】図5A及び5Bに示したシステムの前面垂直断面図を示す。
【図5E】図5A及び5Bに示したシステムの側面垂直断面図を示す。
【図5F】図5A及び5Bに示したシステムの底面断面図を示す。
【図6】照射システム及び電子ビームスキャナを含む例示的なシステムのブロック図である。
【図7】電子ビームスキャナにより画像化された対象の特性に基づいて治療ビームの性質を修正するための例示的なプロセスである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
類似の参照番号は類似の要素を指す。
患者の一領域(例えば腫瘍)を迅速に画像化することができる電子ビームスキャナを、該電子ビームスキャナによって画像化される腫瘍に高エネルギー放射(治療ビームと呼ぶことができる)を照射する照射システムと組み合せることができる。電子ビームスキャナ(eビームスキャナ)は毎秒10走査又はそれ以上の速度で領域を走査するので、領域(又は領域の一部分)が動く場合にも該領域の明瞭な画像を生成することができる。電子ビームスキャナによって生成された画像は、治療ビームを制御し成形して、治療ビームを画像化される領域又はその部分、例えば、患者の画像化領域内又はその上の腫瘍に適合させるように用いられる。このようにして、腫瘍に照射される放射の量を、周囲の組織に照射される放射の量に比べて増すことができる。便宜上、治療を受ける患者内部又はその上の領域(例えば、腫瘍、臓器、臓器の一部分、又は別の種類の生物学的構造体など)は対象と呼ぶことができる。
【0015】
図1A及び図1Bを参照すると、例示的な電子ビームスキャナ100は、第1の電子エミッタ110及び第2の電子エミッタ115から発生された電子ビームで領域105を走査する。第1及び第2の電子エミッタは、電子ビームを放出する電子銃とすることができる。幾つかの実施において、第1及び第2の電子エミッタは、熱電子エミッタ、カーボンナノチューブ製の電子エミッタ、又はフォトエミッタとすることができる。第1及び第2の電子エミッタは、両方ともに同じ型のエミッタとすることができ、或は第1及び第2の電子エミッタは、それぞれ別の型のエミッタとすることができる。図1Aは電子ビームスキャナ100の背面斜視図を示し、図1Bは電子ビームスキャナ100の前面斜視図を示す。電子ビームスキャナ100は円形配置の電子ビームスキャナである。他の実施には、異なる配置、例えば、線形配置の電子ビームスキャナなどを含めることができる。例えば、図2は線形配置の電子ビームスキャナを示す。
【0016】
電子銃110及び115からの電子ビームは、領域105内の走査ビーム(図示せず)を形成する。走査ビームは、毎秒10走査又はそれ以上の速度(例えば、毎秒約50走査)で領域105を走査して領域105内の対象(例えば、ヒト患者の一部分、生物学的構造体、又は患者体内の腫瘍)を画像化する。対象は領域105の一部分と見なすことができる。領域105は少なくとも毎秒10走査の速度で走査されるので、通常の身体機能の結果として動く(人が横になり動かないようにしているときでも)患者体内の腫瘍、例えば、患者が呼吸すると共に連続的に動く患者の肺の内部又は周囲の腫瘍などを、腫瘍が動くにつれて画像化することができる。領域105を少なくとも毎秒10走査の速度で走査することにより、動いている腫瘍の鮮明な画像を生成することが可能になる。従って、領域105を走査することによって生成された画像は、患者体内の腫瘍のプロファイル又は形状を、通常の身体機能により腫瘍が動くにつれて決定するように用いることができる。
【0017】
電子ビームスキャナ100は、高エネルギー放射治療ビーム(ガンマ放射又はx線放射など)を腫瘍に照射して腫瘍を破壊する照射システム(図示せず)と組み合せられる。電子ビームスキャナ100を照射システムと組み合せることにより、電子ビームスキャナ100により生成された画像を治療ビームの性質、例えば、照射システムにより与えられる治療ビームの方向及び/又はビーム形状などを制御するのに用いることができる。具体的には、決定された腫瘍のプロファイルは、照射システムからの治療ビームのビームプロファイル及び位置をデジタル的に制御するのに用いられる。治療ビームのビームプロファイル及び位置をデジタル的に制御することにより、治療ビームを腫瘍に適合させて腫瘍ができる限り多量の治療ビームを受け取り(従って、確実に腫瘍を破壊する助けとなる)、同時に近くの組織及び構造体の治療ビームに対する露出を防ぐか又は最小にする(従って近くの組織及び構造体の損傷を防ぐ)ことが可能になる。さらに電子ビーム走査システム100は、少なくとも毎秒10走査の速度で領域105を走査するので、治療ビームを迅速に調節して、腫瘍の変化する形状及び/又は位置(例えば、通常の身体機能により腫瘍が動くにつれて)を追跡し標的にすることができる。
【0018】
図1Aに示す実施例において、電子ビームスキャナ100は、2つの電子銃、電子銃110及び電子銃115を含む。電子銃110及び電子銃115の各々は、電子銃110及び電子銃115を電源に接続する高電圧コネクタを含む。図示した実施例において、電子銃110は高電圧コネクタ111を含み、電子銃115は高電圧コネクタ116を含む。電源は、電子ビーム中の電子が加速器112及び117により標的(図示せず)に向かって加速されてx線放射を発生する電位を生成するのに十分な電圧を供給する。加速器112及び117は電子加速器と呼ぶことができる。発生されたx線放射はコリメータ125を通過し、このコリメータがx線放射を成形して領域105を満たすことができる走査ビームにする。図1Cを参照すると、コリメータ125は、x線を遮断する鉛又はタングステンのような高密度材料の円形シェルとすることができる。コリメータ125は開放スロット127を含み、このスロットを、標的に当った電子ビームから生成されたx線が通過して、領域105を満たすx線走査ビームを形成する。幾つかの実施において、走査ビームはx線放射の円錐ビームとすることができ、電子ビームスキャナ100は円錐ビーム体積断層撮影システムとすることができる。
【0019】
再び図1A及び図1Bを参照すると、画像化する対象は走査領域105を越えて延びる可能性がある。しかしながら、走査領域105の外部にある対象の部分に対しては、走査領域105を移動させることにより、又は画像化する対象を走査領域105内に若しくはそれを通して移動させることにより、走査領域105を適用することができる。走査領域105を通過し、走査領域105内の要素を通過した走査ビームからの放射は検出システム130により検出され、走査領域105の画像を生成するのに用いられる。画像は3次元コンピュータ断層画像とすることができる。
【0020】
図1Dを参照すると、検出システム130の一例が示される。検出システム130は、走査ビーム内のエネルギーに敏感な材料134を含む。材料134は、走査ビーム内のエネルギーに敏感で走査ビーム内のエネルギーを光に変換するシンチレーション材料とすることができる。材料134はカドミウムタングステン(CdW)のような結晶材料とすることができ、材料134は、領域105の円形断面に適合するように、全円形又は半円形の断面を有することができる。しかし材料134は、長方形断面又はストライプ状に作成することもできる。複数のストライプは円弧を形成するが、個々のストライプは長方形又は線形とする。検出器134は領域105の周りの円弧の上に取り付けることができる。例えば、材料134は領域105の周りに中心を有する180°半円として形成することができる。他の実施例においては、検出器134は、180°を越えた円弧、例えば、領域105の周りの210°の円弧として形成することができる。検出システム130はまた、検出器ボード電子回路136を含む。検出器ボード電子回路136は材料134が検知した放射を電気信号に変換し、この信号から領域105の画像が作成される。
【0021】
再び図1A及び図1Bを参照すると、図1Aに示した実施例は2つの電子銃110及び115並びに2つの対応する加速器112及び117を含むが、他の実施例においてはより多くの又はより少ない電子銃を用いることができる。1つより多くの電子銃を用いることにより、システム100のサイズを、1つの電子銃を用いる実施に比べて小さくすることが可能になる。例えば、各々の電子銃は、画像化する対象からの電子銃の距離及び最大電子ビーム偏向角によって決められる距離にわたって走査することができる。従って、1つの電子銃を含む実施においては、x線ビームを比較的短い全距離にわたり走査するか、又は画像化する対象からより遠くに配置した電子銃を含んでx線ビームをより長い全距離にわたって走査することができるようにする。しかしながら、1つより多くの電子銃を用いることにより、電子銃を、画像化する対象のより近くに配置することができるが、その理由は、複数の電子銃は一緒に、最大偏光角において走査する単一の電子銃によって可能であるよりも長い距離にわたってx線ビームを走査するからである。従って、2つの電子銃を用いると、電子ビームスキャナ100のサイズは1つの電子銃を用いるシステムの約半分になる。
【0022】
図1Eを参照すると、2つの電子銃を用いるシステム(電子ビームスキャナ100のような)の例示的なジオメトリが示され、図1Fを参照すると、1つの電子銃を用いるシステムの例示的なジオメトリが示される。各々の例示的なジオメトリにおいて、電子銃は70.2°の全偏光角を有するビームを発生し、ビームは標的位置「T」において1メートルの全距離にわたり走査される。しかし、図1Eに示したジオメトリを用いると、より小さなシステムが得られるが、その理由は、2つの電子銃は標的位置「T」から0.34メートルのところに配置され、これに比べて図1Fに示したジオメトリにおいて1つの電子銃は標的位置「T」から0.71メートルのところに配置されるからである。従って、図1Aに示す2つの電子銃110及び115を用いると、同じサイズの領域をスキャンするのにより小さなシステムが得られる。
【0023】
図2を参照すると、線形配置の電子ビームスキャナ200の一例が示される。電子ビームスキャナ200は、第1の電子銃210及び第2の電子銃215から発生された走査ビーム(図示せず)により領域205を走査する。走査ビームは領域205を毎秒10スキャン又はそれ以上の速度(例えば毎秒50スキャン)で走査して領域205内の対象(例えば、患者225の一部分、生物学的構造体、又は患者225内の腫瘍)を画像化する。走査ビームはx線ビームのような放射のビームである。例えば、走査ビームは放射の円錐ビームとすることができ、電子ビームスキャナ200は円錐ビーム体積断層撮影システムとすることができる。
【0024】
領域205の走査により生成された画像は、患者225体内の腫瘍のプロファイルを、腫瘍が動く場合にも、決定するのに用いることができ、決定されたプロファイルは、腫瘍を照射し破壊するのに用いるx線治療ビームのビームプロファイル及び位置をデジタル的に制御するために用いられる。領域205の外部の対象は、対象を領域205の内部に移動させることにより及び/又は領域205を移動させることにより、走査ビームによって画像化することができる。
【0025】
図2に示した実施例において、患者225の一部分は領域205内にあり、走査ビームは患者225の該部分を、患者225の該部分内の生物学的構造体及び/又は他の対象と共に画像化するのに用いられる。患者225を通過する走査ビームからの放射は検出システム230によって検出され、領域205の画像を生成するのに用いられる。画像は3次元コンピュータ断層画像とすることができる。検出器システム230は走査ビームに含まれるエネルギーに敏感な検出器アレイと、検知されたエネルギーを領域205の画像を生成するのに用いられる電気信号に変換する電子回路とを含む。
【0026】
領域205は少なくとも毎秒10走査の速度で走査されるので、通常の身体機能の結果として動く患者225内の構造体、例えば患者225が呼吸するにつれて連続的に動く患者225の肺の内部又はその周囲の腫瘍など、を構造体が動くにつれて画像化することができる。領域205を少なくとも毎秒10走査の速度で走査することにより、動く構造体の明瞭で鮮明な画像を生成することが可能になる。
【0027】
電子ビームスキャナ200は2つの電子銃、電子銃210及び電子銃215を含む。電子銃210及び215の各々は、それぞれ高電圧コネクタ211及び216を含み、これらコネクタが電子銃210及び電子銃215を電源に接続する。電源は、電子ビーム内の電子が加速器212及び217によって標的(図示せず)に向かって加速されてx線放射を発生する電位を生成するのに十分な電圧を供給する。
【0028】
図2に示した実施例は、2つの電子銃210及び215並びに2つの対応する加速器212及び217を含むが、他の実施例においてはより多くの又はより少ない電子銃を用いることができる。図1E及び図1Fに関して上述したように、1つより多くの電子銃を用いることにより、システム200のサイズを、1つの電子銃を用いる実施に比べて小さくすることが可能になる。
【0029】
図3を参照すると、電子ビームスキャナ305を含む照射システム300の水平断面図が示される。照射システム300はまた、ガントリー310及び患者台320を含む。図示した実施例において、電子ビームスキャナ305は図2に関して論じた線形配置の電子ビームスキャナ200類似している。しかし、他の実施において電子ビームスキャナ305は図1A及び図1Bに関して論じた電子ビームスキャナ100のような円形配置の電子ビームスキャナとすることができる。電子ビームスキャナ305はガントリー310の内部に配置される。電子ビームスキャナ305は、患者の一部分、例えば患者体内の腫瘍を画像化するのに用いられる。照射システム300は、成形され患者体内の腫瘍に向けられる治療ビームを発生し、治療ビームで腫瘍を照射することにより腫瘍を破壊する。電子ビームスキャナ305をガントリー310の内部に配置することにより、治療ビームを患者台320に対して移動させて、破壊すべき腫瘍を含む患者の部分に治療ビームを向けることができるようにすることが可能になる。さらに、電子ビームスキャナ305をガントリー内に配置することにより、走査ビームを移動させ、ガントリー310の既知の位置に対して走査ビームの位置を追跡することが可能になる。
【0030】
図4A及び図4Bを参照すると、それぞれ例示的なシステム400の側面垂直断面図及びシステム400の前面斜視図が示される。システム400は、高エネルギー治療ビーム460を発生する照射システム405、及び患者457を画像化するのに用いられる電子ビームスキャナ・システムを含む。図4A及び図4Bに示す実施例において、電子ビームスキャナ・システムは、図2に関して上で論じた電子ビームスキャナ・システムに類似の線形配置の電子ビームスキャナ・システムである。システム400はガントリー410を含み、このガントリーはx線ビーム領域445内に走査ビーム440を発生する電子ビーム走査チャンバ420を収容する。幾つかの実施において、電子ビーム走査チャンバ420はガントリー410から、場合によりロボットアームによって移動させることができる。他の実施において、例えば、電子ビーム走査チャンバ420をガントリー410にボルトで固定することにより、電子ビーム走査チャンバ420をガントリー410に恒久的又は半恒久的に固定することができる。
【0031】
図4Aに示す実施例において、患者457、及び患者457内又はその上の生物学的構造体の画像が、電子ビームスキャナ・システムを用いて生成される。患者457の画像は体積コンピュータ断層画像とすることができる。高エネルギーx線ビーム460は、治療ビーム460と呼ぶことができるが、照射システム405により発生され、標的構造体、例えば、患者457内の癌性腫瘍を照射する。標的構造体は、電子ビームスキャナ・システムにより生成された患者457の画像から識別される。
【0032】
治療ビーム460は、x線放射を腫瘍又は他の標的構造体に照射し、同時に近くの組織及び構造体が治療ビーム460内の放射に曝されるのを最小にするか又は排除する。近くの組織が治療ビーム460内の放射に曝されるのを最小にするか又は排除するために、治療ビーム460はデジタル的に制御されるマルチリーフ・コリメータによって成形され、電子ビームスキャナ・システムによって生成された患者457内の腫瘍の画像により識別される標的構造体の部位に当てられる。マルチリーフ・コリメータは、鉛又はタングステンのような、治療ビーム460に含まれるエネルギーを遮断する材料の多数のセグメントで構成することができる。コリメータのセグメントは、セグメントの配置を制御することによって独立に動き、治療ビーム460の選択した部分を遮断して、治療ビーム460のビームプロファイルの形状を制御することができる。例えば、マルチリーフ・コリメータは、64の個々に制御可能且つ移動可能なセグメントを含むことができ、これらセグメントは治療ビーム460の経路の内外で移動することができて治療ビーム460の部分を選択的に遮断し、選択的に透過させる。他の実施例において、マルチリーフ・コリメータは、より多くの又はより少ない個々に制御可能且つ移動可能なセグメントを含むことができる。
【0033】
患者457内の標的構造体の画像は、電子ビームスキャナ・システムによって生成され且つ分析されて、標的構造体の形状(又はプロファイル)及び患者457内の標的構造体の位置が決められる。具体的には、標的構造体の画像は少なくとも毎秒10画像の速度で生成され且つ分析される。このことにより、領域445の走査中に標的構造体が動く場合でも、標的構造体のプロファイル及び標的構造体の位置を追跡することが可能になる。
【0034】
さらに、電子ビームスキャナ420は治療x線460に対して角度465に角度を付けて、検出器(検出器230など)が治療ビーム460を遮断して治療ビーム460が患者457に達するのを妨げないようにすることができる。角度465は治療ビーム460の伝搬方向に対して定めることができる。ガントリー410内で電子スキャナ・システムを角度465で設置することにより、走査440ビームを治療ビーム460に対して角度を付けることができる。角度465は、例えば35度又はそれ以下とすることができ、或は、角度465は3乃至75度の間にすることができる。走査ビーム440を角度465に配置することにより、検出器が治療ビーム460を遮断することを防ぐ。代替的に又は付加的に、検出器はガントリー410に沿って治療ビームに対して横方向に移動させ又はずらして、検出器が治療ビーム460を遮断せず、しかし検出器が依然として走査ビーム440に十分近くに位置して検出器が領域445の画像を形成するのに十分な信号を確実に検知するようにすることができる。例えば、治療ビーム460に対して、検出器は患者457の頭部又は患者457の足に100ミリメートルだけより近くに移動させることができる。
【0035】
図4Cを参照すると、システム400の背面斜視図が示される。図4Cに示す実施例において、電子ビーム走査チャンバ420、検出器、及び治療ビーム460は、ガントリー410内の患者457に対して移動させられて患者457の種々異なる位置を照射する。電子ビームスキャナ420及び治療ビーム460は一緒にガントリー410内で、患者457に対して移動させられるので、領域445の画像は依然としてガントリー410に対して記録されるので、治療ビーム460で照射される構造体の位置は既知となり、治療ビーム460で標的にすることができる。図4Dを参照すると、システム400の前面斜視図が示される。図4Dの実施例において、電子ビーム走査チャンバ420、x線ビーム領域445、及び治療ビーム460は、図4Bに示した実施例に比べて、約45度だけ反時計回りに移動している。
【0036】
図5Aを参照すると、円形配置電子ビームスキャナ・システムと照射システムを組み合せた例示的なシステム500の垂直背面斜視図が示される。システム500内の電子ビームスキャナ・システムは、図1A及び図1Bに関して上で論じた電子ビームスキャナ・システム100に類似させ得る円形配置を有する。システム500内の電子ビームスキャナ・システムにより発生された走査ビームは、走査領域525内の対象を走査する。図示した実施例において、電子ビームスキャナ・システムは円形配置を有し、領域525は円形又は半円形の断面を有する。
【0037】
システム500はガントリー510内に設置され、電子銃515及び520は電子ビームを発生させ、このビームが、患者522が台523の上に横になっている際に走査領域525内にある患者522の一部分を走査する走査ビームを生成するのに用いられる。患者522を通過する走査ビームからの放射が検出器530(図1A及び図1Dに関して論じた検出器130に類似の円形検出器とすることができる)により検出され、走査領域525内にあって患者522の体内及び又はその上の生物学的構造体内にある患者522の部分の画像が形成される。このように、電子ビームスキャナ・システムは、領域525内にある患者522の部分の画像を生成するのに用いられる。患者522の体内又は上の標的構造体(腫瘍など)のプロファイルが画像から決定され、このプロファイルは照射システムにより発生されるテラピービーム535を制御するのに用いられる。テラピービーム535は治療ビーム535と呼ぶことができる。具体的にはプロファイルは、テラピービーム535のビームプロファイル及びテラピービーム535の方向を制御して、標的構造体への照射を最大にし、同時に標的構造体に近接する組織及び生物学的構造体への照射を最小にするように、用いることができる。図示した実施例において、治療ビーム535は検出器530からずらして、治療ビーム535が患者に達するのを検出器530が妨げないようにする。
【0038】
図5B乃至図5Fはシステム500の種々の図を示す。具体的には、図5Bは照射システム500の背面斜視図を示し、図5Cは照射システム500の前面斜視図を示し、図5Dは照射システム500の前面垂直断面図を示し、図5Eは照射システム500の側面垂直断面図を示し、そして図5Fは照射システム500の底部断面図を示す。
【0039】
図6は、照射源620及び電子ビームスキャナ610を含む例示的なシステムのブロック図である。照射システム600は、治療ビーム622を発生する照射源620を含む。システム600はeビームスキャナ610、照射エネルギー源620、入力/出力インタフェース(I/Oインタフェース)630、プロセッサ640、及び電子記憶装置650を含む。eビームスキャナは上述のeビームスキャナの何れかとすることができる。幾つかの実施において、eビームスキャナ610は、その全体が引用により本明細書に組み入れられる特許文献1に論じられたものに類似のeビームスキャナとすることができる。
【0040】
eビームスキャナ610は、領域の画像を形成するのに用いられるx線ビームを発生し、この領域は照射エネルギー源620によって発生される治療ビームによっても照射される。eビームスキャナは電子ビームを放射する電子エミッタ612と、電子ビーム内の電子を加速する加速器614と、加速電子による衝突を受けてx線を発生する標的材料615とを含む。
【0041】
eビームスキャナ610はまた、電子ビームを標的材料615にわたって移動させるステアリング装置616を含む。電子ビームを標的材料615にわたって移動させることは、電子ビームを標的材料にわたって走査すること、又は電子ビームを標的材料615に沿った特定の場所に位置決めすることと考えることができる。電子ビームを標的材料615にわたって移動させることは、標的材料615との相互作用によって発生された、領域の部分に対して対応して移動するx線ビームを生じる。その結果、発生されたx線ビームは領域にわたって移動し、領域又は領域の部分を画像化する。ステアリング装置616は、電子ビームを特定の方向に向けるように配置可能な磁石を含むことができる。
【0042】
従って、画像化ビーム源自体が移動する従来のコンピュータ断層(CT)スキャナを用いるシステムとは対照的に、eビームスキャナ610により発生されたx線ビームは、電子ビームに対するステアリング装置616の作用によって領域中を移動する。x線源を移動させる必要がない(むしろ、電子ビームがステアリング装置616により方向付けられる結果として、x線ビーム自体が方向付けられる)ので、eビームスキャナ610は、従来のCTスキャナ・システムを用いて可能であるよりも遥かに迅速に領域を走査することができる。例えば、通常のCTスキャナの重量は、一般に、CTスキャナが画像化領域について毎秒2回以上の計測を行うことを妨げる。対照的に、eビームスキャナ610は毎秒50乃至100回の計測を行うことができる。さらにeビームスキャナ610のサイズは、それをガントリー内に照射エネルギー源とともに配備することを可能にし、同時の画像化と治療を可能にする。最後に、eビームスキャナ610と照射エネルギー源を、例えば互いに対してある角度で、又は互いに対して傾けて配置することにより、領域の部分が、eビームスキャナ610により発生されたx線ビームで画像化され、同時にまた照射エネルギー源からの治療ビームにより照射されることが可能になる。
【0043】
eビームスキャナ610はまた、領域の画像化部分を通過するx線放射を検知する検出器618を含む。画像化部分はヒト又は非ヒト患者の一部分とすることができる。例えば、画像化部分は患者の膵臓を含む領域内の疑わしい又は分かっている腫瘍とすることができる。検出器618は検知されたx線放射の表現を生成する。電子ビームと標的材料615の相互作用によって生成されるx線放射と比べて、検知されたx線放射は、領域の部分の要素を通過する結果として弱められる。従って、検知されたx線放射の表現は、領域の部分に起因する減衰量を表す。
【0044】
検出器618をシンチレータとする実施において、検出器618は検出されたx線放射の量に比例する強度の可視光を生成する。eビームスキャナ610はまた、x線エネルギーの表現を、プロセッサ640により処理可能な形式に変換する検出器電子回路619を含む。例えば、検出器電子回路619は、検出器618により検知されたx線エネルギーの量を表すデジタル値を生成するアナログ−デジタル・コンバータに結合された可視光センサーを含むことができる。
【0045】
照射エネルギー源620は、eビームスキャナ610により画像化される領域に治療ビーム622を供給する。システム600は、eビームスキャナ610及び照射エネルギー源620の両方を含み、eビームスキャナ610及び照射エネルギー源620は、その領域をeビームスキャナ610からのx線画像化ビームにより画像化すると同時に治療ビーム622で照射することができるように、配置される。例えば、eビームスキャナ610を傾けて、治療ビーム622とx線画像化ビームが互いにある角度をなすようにすることができる。
【0046】
システム600はまた、照射エネルギー源620を含む。照射エネルギー源620は治療ビーム622を発生する。照射エネルギー源620はまたビームコントローラ624を含む。ビームコントローラ624は治療ビーム622の性質を制御する。治療ビーム622の性質は、治療ビーム622のプロファイル、治療ビーム622の強度、照射エネルギー源620のハウジングに対する治療ビーム622の位置、及び/又は治療ビーム622の伝搬方向とすることができる。治療ビーム622のプロファイルは、治療ビーム622の伝搬方向に垂直な平面内の空間的エネルギー分布とすることができる。例えば、ビームコントローラ624は、治療ビームの特定の部分を遮断して治療ビーム622のビームプロファイルを成形する可動リーフを有するマルチリーフ・コリメータとすることができる。ビームコントローラ624はまた、治療ビーム622の位置及び/又は伝搬方向を変化させることができる。ビームコントローラ624はまた、治療ビーム622の強度(又はフラックス)を制御することができる。
【0047】
システム600はまた、I/Oインタフェース630、プロセッサ640、及び電子記憶装置650を含む。電子記憶装置650は、実行されるときプロセッサにシステム600内の他の構成要素と通信させる命令を、多くの場合コンピュータプログラムとして格納する。例えば、電子記憶装置650は、ビームコントローラ624に治療ビーム622を移動させる命令を格納することができる。プロセッサ640は、検出器618から受け取った情報に基づいてビームコントローラ624に治療ビームの性質を修正又は別に調節させる命令を実行する。別の実施例において、電子記憶装置650は、実行されるとき、検出器618により検知されたx線放射の表現に基づいて、プロセッサ640に領域の部分の画像を生成させる命令を格納する。プロセッサ640はまた、I/Oインタフェース630から受け取ったコマンドを処理する。I/Oインタフェース630は、ユーザがシステム600と相互作用できるようにする任意のデバイス又はプログラムとすることができる。例えば、I/Oデバイス630は、マウス、キーボード、ディスプレイ、又はタッチスクリーンとすることができる。
【0048】
図7は、電子ビームスキャナによって画像化された対象の特性に基づいて治療ビームの性質を修正するための例示的なプロセス700である。プロセス700は図6に関して論じたプロセッサ640のようなプロセッサの上で実行することができる。
【0049】
電子ビームスキャナによって生成されたデータが受け取られる(710)。このデータは「第1のデータ」と呼ぶことができる。第1のデータは、領域の一部分が電子ビームスキャナ610によって画像化される走査周期の間に受け取られる。第1のデータは領域の部分の特性の表示を含む。第1のデータは、検出器618により検知されたデータから作成された画像、一連の画像、及び/又はビデオとすることができる。
【0050】
領域は患者身体の一部分、例えば、通常の身体機能のために連続的に動く膵臓とすることができ、領域の部分は膵臓の一部分とすることができる。上述のように、電子ビームスキャナ610によって発生された画像化x線ビームは迅速に領域を走査するので、動いている臓器及び他の動いている構造体を画像化することが可能になる。
【0051】
領域の部分の特性の表示は、エッジ検出器のような分析ツール又は他の信号処理技術によりデータを処理して特性を決定することが可能な、データ値とすることができる。
【0052】
走査期間は、患者がx線画像化ビームによって画像化され、同時に治療ビーム622で治療される期間とすることができる。走査期間は、患者が、例えば、患者体内の腫瘍を照射する治療ビーム622で治療される治療セッションとすることができる。治療セッションは患者が領域内に留まる連続的治療セッションとすることができる。走査期間は、画像化セッション中に領域の一部分の画像が生成され分析され、次に画像化セッションとは別の後の時間に用いられて治療ビーム622を用いる治療を計画する技術と対比することができる。
【0053】
領域の部分の特性は第1のデータから決定される(720)。特性は走査セッション中に決定される。特性は空間的特性、例えば、サイズ、形状、輪郭若しくは部分的輪郭、プロファイル、又は画像化対象と所定の形状のライブラリとの間の最適適合となる近似的な形状など、とすることができる。例えば、特性は、患者の膵臓内の疑わしい腫瘍の位置、形状、及び/又はサイズとすることができる。別に実施例において、特定の方向における腫瘍の形状を特性とすることができる。特定の方向は、治療ビーム622の伝搬方向又はその近くの方向の、腫瘍及び腫瘍が内部にある臓器の2次元射影の方向とすることができる。
【0054】
特性から導出された入力は照射源620に与えられる(730)。この入力は「第1の入力」と呼ぶことができる。第1の入力は、照射源620に治療ビーム622の性質を修正させるのに十分なものとする。治療ビーム622の性質は、治療ビーム622の伝搬方向、治療ビーム622のビームプロファイル、治療ビーム622の強度、治療ビーム622のタイミング、及び治療ビーム622の位置のうちの1つ又はそれ以上とすることができる。第1の入力は、ビームコントローラ624を治療ビーム622に対して移動させることにより、照射源620に治療ビーム622を修正させることができる。第1の入力は、入力が治療ビーム622を特性と適合するように修正するように、特性から導出される。例えば、特性は疑わしい腫瘍の形状とすることができ、治療ビーム622は対象の形状に適合するプロファイルを有するように修正することができる。別の実施例において、治療ビーム622は、動いている腫瘍の位置を追う又は追跡するように治療ビームを移動させることにより、修正することができる。そのような修正は疑わしい腫瘍に達する照射エネルギー量を増すと同時に周囲の健康な組織に達する照射量を減らすことができる。
【0055】
電子ビームスキャナによって生成されたデータは走査期間中に受け取られる(740)。このデータは第2のデータと呼ぶことができる。第2のデータは第1のデータの後で受け取られ、第2のデータは部分の特性の第2の表示を含む。第2のデータは走査期間中に、但し第1のデータが受け取られた後で受け取られる。第1のデータと第2のデータの受取りの間の時間は電子ビームスキャナの走査速度によって決められる。例えば、電子ビームスキャナが毎秒50回データを受け取る場合、第2のデータは第1のデータが受け取られた後約20ミリ秒に受け取られる。
【0056】
部分の特性は走査期間中に第2のデータから決められる(750)。例えば、部分の位置を特性とする実施において、位置は第1のデータに関連して第1の時間に決められ、第2のデータに関連して第2の時間に決められる。従って画像化部分は時間にわたって追跡することができる。
【0057】
第2のデータから決められた特性から導出される入力は、照射源620に与えられる(760)。この入力は第2の入力と呼ぶことができる。第2の入力は、照射源620に、治療ビーム622の性質を第2のデータから決められた特性に適合するように修正させるのに十分なものであり、第2の入力は走査セッション中に与えられる。例えば、特性は患者の膵臓内の腫瘍とすることができ、第2の入力は治療ビーム622を、腫瘍が膵臓と共に動くにつれて腫瘍を追って移動させるのに十分な入力とすることができる。電子ビームスキャナ610の特徴のために、治療ビーム622は走査セッション中に修正される。従って、照射ビームを用いた患者の治療は、患者が画像化されると同時に、実時間で又はほぼ実時間で計画される。幾つかの実施において、第1及び第2の入力は、これら入力が標準的CTスキャナにより生成される入力と適合するような形式にされる。
【0058】
これらの技術は、デジタル電子回路内で、又はコンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらの組合せにおいて実施することができる。これらの技術は、コンピュータプログラム製品、即ち、例えば、機械可読記憶装置、機械可読記憶媒体、コンピュータ可読記憶装置、又はコンピュータ可読記憶媒体などの情報担体内に有形に具体化され、例えばプログラム可能プロセッサ、コンピュータ、又は複合コンピュータなどのデータ処理装置により実行するため又はそれらの動作を制御するためのコンピュータプログラム、として実施することができる。コンピュータプログラムは、コンパイル型又はインタープリタ型言語を含む、任意の形式のプログラミング言語で書くことができ、そして、独立型プログラム若しくはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、又はコンピューティング環境で用いるのに適した他のユニットを含む任意の形態で配備することができる。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で、又は1箇所の若しくは複数箇所に渡って分散し通信ネットワークで相互接続される複数のコンピュータ上で実行されるように配備することができる。
【0059】
本技術の方法ステップは、入力データに作用して出力を生成することにより本技術の機能を実行するためのコンピュータプログラムを実行する1つ又はそれ以上のプログラム可能なプロセッサによって実行することができる。方法ステップはまた、特殊用途向け論理回路、例えば、FPGA(フィールドプログラマブル・ゲートアレイ)又はASIC(特殊用途向け集積回路)によって実行することができ、本技術の装置はそれらの論理回路として実施することができる。
【0060】
コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサには、例えば、汎用及び専用マイクロプロセッサの両方、及び任意の種類のデジタルコンピュータの1つ又はそれ以上のプロセッサが含まれる。一般に、プロセッサは命令及びデータを読み出し専用メモリ又はランダムアクセス・メモリ又はそれら両方から受け取ることになる。コンピュータの基本要素は命令を実行するためのプロセッサ、並びに命令及びデータを格納するための1つ又はそれ以上の記憶装置である。一般に、コンピュータはまた、データを格納するための1つ又はそれ以上の大容量記憶装置、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、又は光ディスクを含むことになるか、或は、そのような大容量記憶装置にそれらからデータを受け取り又はそれらにデータを転送し又は両方を行うように動作可能に結合されることになる。コンピュータプログラム命令及びデータを具体化するのに適した情報担体には、例えば、EPROM、FEPROM、及びフラッシュメモリ装置などの半導体メモリ装置、内蔵ハードディスク又は着脱可能ディスクなどの磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM及びDVD−ROMディスクを含むあらゆる形式の不揮発性メモリが含まれる。プロセッサ及びメモリは専用論理回路で補完するか、又はそれらに組み込むことができる。
【0061】
本技術の多くの実施を説明した。しかし、種々の修正を施せることを理解されたい。例えば、開示した技術のステップを異なる順序で実行したとしても、及び/又は。開示したシステム内の要素を異なる仕方で組合せ、及び/又は他の要素で置き換え又は補完したとしても、依然として有用な結果を達することが可能である。従って、他の実施も以下の特許請求の範囲に入る。
【符号の説明】
【0062】
100、200、305:電子ビームスキャナ
105、205:領域
110、115、210、215、515、520:電子エミッタ(電子銃)
111、116、211、216:高電圧コネクタ
112、117、212、217:加速器
125:コリメータ
127:開放スロット
130、230、530:検出システム(検出器)
134:材料(検出器)
136:検出器ボード電子回路
225、457、522:患者
300、405:照射システム
310、410、510:ガントリー
320、523:患者台
400、500:システム
420:電子ビーム走査チャンバ
440:走査ビーム
445:x線ビーム領域
460:治療ビーム
465:角度
525:走査領域
535:治療ビーム(テラピービーム)
600:照射システム
610:電子ビームスキャナ(eビームスキャナ)
612:電子エミッタ
614:電子加速器
615:標的材料
616:ステアリング装置
618:検出器
619:検出器電子回路
620:照射エネルギー源(照射源)
622:治療ビーム
624:ビームコントローラ
630:入力/出力インタフェース(I/Oインタフェース)
640:プロセッサ
650:電子記憶装置
700:プロセス
【技術分野】
【0001】
本開示は電子ビームスキャナを含む照射システムに関する。
本願は、2008年7月16日出願の「電子ビームスキャナを用いた照射」と題する米国特許仮出願第61/081,360号及び2008年9月5日出願の「電子ビームスキャナを含む照射システム」と題する米国特許仮出願第61/094,549号の利益を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ・トモグラフィ(CT)システムは、例えば、患者の腫瘍を含む患者を画像化するのに用いることができる。照射システムは、高エネルギー放射、例えばx線を腫瘍に照射して腫瘍を破壊することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7,428,297号
【発明の概要】
【0004】
1つの一般的な態様において、システムは電子ビームスキャナ、照射エネルギー源、及びプロセッサを含む。電子ビームスキャナは、電子ビームを発生するように構成された電子エミッタと、電子ビームの衝突を受けてx線ビームを発生する標的に向けて電子ビームを加速するように構成された電子加速器と、電子ビームを標的に沿って走査して、発生されたx線ビームを画像化する領域の一部分に対して位置合せするように構成されたステアリング装置と、該領域からのx線放射を検知して、検知放射の表現を生成するように構成された検出器とを含む。照射エネルギー源は、治療ビームを発生するように構成される。電子ビームスキャナ及び照射エネルギー源は、領域の部分が治療ビーム及び発生されたx線ビームに同時に曝されるように配置される。システムはまた、検知されたx線の表現を受け取り、検知されたx線の表現に基づいて領域の画像化された部分の特性を決定し、この特性に基づいて治療ビームの性質を修正するように動作可能なプロセッサを含む。
【0005】
実施には、以下の特徴の1つ又はそれ以上を含めることができる。電子ビームスキャナは治療ビームの伝搬方向に対してある角度で配置することができる。システムはまたガントリー(gantry)を含むことができ、このガントリーの内部に電子ビームスキャナ及び照射エネルギー源の両方を配置することができる。電子ビームスキャナはガントリーに対して移動させることができ、プロセッサは、ガントリーに対する電子ビームスキャナの位置、及びガントリーに対する発生されたx線ビームの位置を決定するようにさらに動作可能とすることができる。
【0006】
幾つかの実施において、領域の部分の特性は、その部分の位置、その部分のサイズ、及びその部分の形状のうちの1つ又はそれ以上を含むことができる。プロセッサは、検知された放射の表現に基づいて領域の画像を生成するように、さらに動作可能ろすることができる。部分は、ヒト患者内部の生物学的構造体を含むことができる。領域は膵臓を含むことができ、領域の部分は膵臓の一部分を含むことができる。
【0007】
特性に基づいて治療ビームを制御するために、プロセッサは、領域の部分の特性から導出された、照射エネルギー源に治療ビームの性質を修正させるのに十分な入力を照射エネルギー源に与えるようにさらに動作可能とすることができ。プロセッサは、発生されたx線ビームが領域の部分を照射する間に入力を照射エネルギー源に与えることができる。プロセッサは、領域の部分がx線ビームによって画像化される間に照射エネルギー源に入力を与えることができる。プロセッサは、治療セッション中に、照射エネルギー源に入力を与えることができ。治療ビームの性質には、治療ビームのビームプロファイル及び治療ビームの強度のうちの1つ又はそれ以上を含めることができる。対象の特性には、対象のサイズ及び形状を含めることができ、照射エネルギー源への入力は、照射エネルギー源に治療ビームのプロファイルを修正させて、プロファイルを対象のサイズ及び形状にほぼ適合させるのに十分なものとすることができる。
【0008】
別の一般的態様において、領域の一部分が電子ビームスキャナによって画像化される走査期間中に、電子ビームスキャナにより生成された第1のデータが受け取られる。第1のデータは、部分の特性の第1の表示を含む。走査期間中、第1のデータから該部分の特性が決定される。走査期間中、特性から導出された第1の入力が治療ビーム源に与えられ、この第1の入力は、治療ビーム源に治療ビームの性質を修正させるのに十分なものとする。走査期間中、電子ビームスキャナにより生成された第2のデータが受け取られる。第2のデータは第1のデータの後に受け取られ、第2のデータは、部分の特性の第2の表示を含む。走査期間中、部分の特性が第2のデータから決定される。走査期間中、第2のデータから決定された特性から導出される第2の入力が照射ビーム源に与えられ、この第2の入力は、治療ビーム源に治療ビームの性質を修正させて第2のデータから決定された特性を考慮するのに十分なものとする。
【0009】
実施には、以下の特徴の1つ又はそれ以上を含めることができる。治療ビームの性質には治療ビームのビームプロファイルを含めることができる。部分の特性には部分の形状を含めることができ、部分の形状は走査期間中に変化し得る。部分は走査周期中に動いてもよい。領域はヒト患者を含むことができ、領域の部分はヒト患者内の生物学的構造体を含むことができる。治療ビームの性質は、治療ビームのビームプロファイルとすることができ、第1の入力及び第2の入力は、治療ビーム源に結合されたマルチリーフ・コリメータのリーフを、ビームプロファイルが変化するよう移動させるのに十分な入力とする。領域の部分の特性は位置とすることができ、第1の入力及び第2の入力は、治療ビーム源に治療ビームを該部分の該位置に向けるようにさせるのに十分な入力とする。領域の部分は患者の生物学的構造体を含むことができ、走査期間は、患者が領域内に留まり、治療ビームが生物学的構造体を照射する連続的治療セッションとすることができる。
【0010】
幾つかの実施において、第1の入力が照射ビーム源に与えられた後100ミリ秒未満の内に第2の入力を照射ビーム源に与えることができる。
別の一般的態様において、治療ビームは走査期間中に制御される。領域の一部分が走査期間中に、電子ビームスキャナにより発生された画像化x線ビームに曝される。この領域からのx線放射が検出され、このx線放射は、領域の部分により引き起こされた画像化x線ビームの減衰を表す。領域の部分の第1の画像が検出されたx線放射に基づいて生成される。該領域の該部分の特性が、生成された第1の画像から決定される。該特性から導出された入力が生成され、ここで入力は、治療ビーム源に治療ビームの性質を修正させるように構成される。治療ビーム源に入力を与えることにより、治療ビーム源は走査期間中に治療ビームの性質を修正する。
【0011】
実施には、以下の1つ又はそれ以上の特徴を含めることができる。部分の特性は該部分の位置を含むことができ、治療ビーム源に治療ビームの性質を修正させることは、治療ビームの伝搬方向を修正して治療ビームが該部分を照射するようにすることを含むことができる。
【0012】
別の一般的態様において、電子ビームスキャナからのデータに基づいて治療ビームを制御するための装置が組み立てられる。治療ビームを発生するように構成された照射エネルギー源はハウジング内に配置され、x線画像化ビームを発生するように構成された電子ビームスキャナは、ハウジング内で照射エネルギー源に対して配置される。電子ビームスキャナの位置合せにより、ハウジング内部の領域にある対象が治療ビーム及びx線画像化ビームに同時に曝されることが可能になる。
上述の技術の実施には、方法若しくはプロセス、システム若しくは装置、又はコンピュータ可読媒体上のコンピュータソフトウェアを含めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】円形配置の電子ビームスキャナの斜視図を示す。
【図1B】円形配置の電子ビームスキャナの斜視図を示す。
【図1C】コリメータの一例を示す。
【図1D】検出器システムの一例を示す。
【図1E】電子ビームスキャナに関する例示的なジオメトリを示す。
【図1F】電子ビームスキャナに関する例示的なジオメトリを示す。
【図2】線形配置の電子ビームスキャナの一例を示す。
【図3】電子ビームスキャナを含む照射システムの水平断面図を示す。
【図4A】照射システム及び電子ビームスキャナを含むシステムの側面垂直断面図を示す。
【図4B】図4Aに示したシステムの前面斜視図を示す。
【図4C】図4Aに示したシステムの背面斜視図を示す。
【図4D】図4Aに示したシステムの前面斜視図を示す。
【図5A】照射システム及び電子ビームスキャナを含む別のシステムの背面斜視図を示す。
【図5B】照射システム及び電子ビームスキャナを含む別のシステムの背面斜視図を示す。
【図5C】図5A及び5Bに示したシステムの前面斜視図を示す。
【図5D】図5A及び5Bに示したシステムの前面垂直断面図を示す。
【図5E】図5A及び5Bに示したシステムの側面垂直断面図を示す。
【図5F】図5A及び5Bに示したシステムの底面断面図を示す。
【図6】照射システム及び電子ビームスキャナを含む例示的なシステムのブロック図である。
【図7】電子ビームスキャナにより画像化された対象の特性に基づいて治療ビームの性質を修正するための例示的なプロセスである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
類似の参照番号は類似の要素を指す。
患者の一領域(例えば腫瘍)を迅速に画像化することができる電子ビームスキャナを、該電子ビームスキャナによって画像化される腫瘍に高エネルギー放射(治療ビームと呼ぶことができる)を照射する照射システムと組み合せることができる。電子ビームスキャナ(eビームスキャナ)は毎秒10走査又はそれ以上の速度で領域を走査するので、領域(又は領域の一部分)が動く場合にも該領域の明瞭な画像を生成することができる。電子ビームスキャナによって生成された画像は、治療ビームを制御し成形して、治療ビームを画像化される領域又はその部分、例えば、患者の画像化領域内又はその上の腫瘍に適合させるように用いられる。このようにして、腫瘍に照射される放射の量を、周囲の組織に照射される放射の量に比べて増すことができる。便宜上、治療を受ける患者内部又はその上の領域(例えば、腫瘍、臓器、臓器の一部分、又は別の種類の生物学的構造体など)は対象と呼ぶことができる。
【0015】
図1A及び図1Bを参照すると、例示的な電子ビームスキャナ100は、第1の電子エミッタ110及び第2の電子エミッタ115から発生された電子ビームで領域105を走査する。第1及び第2の電子エミッタは、電子ビームを放出する電子銃とすることができる。幾つかの実施において、第1及び第2の電子エミッタは、熱電子エミッタ、カーボンナノチューブ製の電子エミッタ、又はフォトエミッタとすることができる。第1及び第2の電子エミッタは、両方ともに同じ型のエミッタとすることができ、或は第1及び第2の電子エミッタは、それぞれ別の型のエミッタとすることができる。図1Aは電子ビームスキャナ100の背面斜視図を示し、図1Bは電子ビームスキャナ100の前面斜視図を示す。電子ビームスキャナ100は円形配置の電子ビームスキャナである。他の実施には、異なる配置、例えば、線形配置の電子ビームスキャナなどを含めることができる。例えば、図2は線形配置の電子ビームスキャナを示す。
【0016】
電子銃110及び115からの電子ビームは、領域105内の走査ビーム(図示せず)を形成する。走査ビームは、毎秒10走査又はそれ以上の速度(例えば、毎秒約50走査)で領域105を走査して領域105内の対象(例えば、ヒト患者の一部分、生物学的構造体、又は患者体内の腫瘍)を画像化する。対象は領域105の一部分と見なすことができる。領域105は少なくとも毎秒10走査の速度で走査されるので、通常の身体機能の結果として動く(人が横になり動かないようにしているときでも)患者体内の腫瘍、例えば、患者が呼吸すると共に連続的に動く患者の肺の内部又は周囲の腫瘍などを、腫瘍が動くにつれて画像化することができる。領域105を少なくとも毎秒10走査の速度で走査することにより、動いている腫瘍の鮮明な画像を生成することが可能になる。従って、領域105を走査することによって生成された画像は、患者体内の腫瘍のプロファイル又は形状を、通常の身体機能により腫瘍が動くにつれて決定するように用いることができる。
【0017】
電子ビームスキャナ100は、高エネルギー放射治療ビーム(ガンマ放射又はx線放射など)を腫瘍に照射して腫瘍を破壊する照射システム(図示せず)と組み合せられる。電子ビームスキャナ100を照射システムと組み合せることにより、電子ビームスキャナ100により生成された画像を治療ビームの性質、例えば、照射システムにより与えられる治療ビームの方向及び/又はビーム形状などを制御するのに用いることができる。具体的には、決定された腫瘍のプロファイルは、照射システムからの治療ビームのビームプロファイル及び位置をデジタル的に制御するのに用いられる。治療ビームのビームプロファイル及び位置をデジタル的に制御することにより、治療ビームを腫瘍に適合させて腫瘍ができる限り多量の治療ビームを受け取り(従って、確実に腫瘍を破壊する助けとなる)、同時に近くの組織及び構造体の治療ビームに対する露出を防ぐか又は最小にする(従って近くの組織及び構造体の損傷を防ぐ)ことが可能になる。さらに電子ビーム走査システム100は、少なくとも毎秒10走査の速度で領域105を走査するので、治療ビームを迅速に調節して、腫瘍の変化する形状及び/又は位置(例えば、通常の身体機能により腫瘍が動くにつれて)を追跡し標的にすることができる。
【0018】
図1Aに示す実施例において、電子ビームスキャナ100は、2つの電子銃、電子銃110及び電子銃115を含む。電子銃110及び電子銃115の各々は、電子銃110及び電子銃115を電源に接続する高電圧コネクタを含む。図示した実施例において、電子銃110は高電圧コネクタ111を含み、電子銃115は高電圧コネクタ116を含む。電源は、電子ビーム中の電子が加速器112及び117により標的(図示せず)に向かって加速されてx線放射を発生する電位を生成するのに十分な電圧を供給する。加速器112及び117は電子加速器と呼ぶことができる。発生されたx線放射はコリメータ125を通過し、このコリメータがx線放射を成形して領域105を満たすことができる走査ビームにする。図1Cを参照すると、コリメータ125は、x線を遮断する鉛又はタングステンのような高密度材料の円形シェルとすることができる。コリメータ125は開放スロット127を含み、このスロットを、標的に当った電子ビームから生成されたx線が通過して、領域105を満たすx線走査ビームを形成する。幾つかの実施において、走査ビームはx線放射の円錐ビームとすることができ、電子ビームスキャナ100は円錐ビーム体積断層撮影システムとすることができる。
【0019】
再び図1A及び図1Bを参照すると、画像化する対象は走査領域105を越えて延びる可能性がある。しかしながら、走査領域105の外部にある対象の部分に対しては、走査領域105を移動させることにより、又は画像化する対象を走査領域105内に若しくはそれを通して移動させることにより、走査領域105を適用することができる。走査領域105を通過し、走査領域105内の要素を通過した走査ビームからの放射は検出システム130により検出され、走査領域105の画像を生成するのに用いられる。画像は3次元コンピュータ断層画像とすることができる。
【0020】
図1Dを参照すると、検出システム130の一例が示される。検出システム130は、走査ビーム内のエネルギーに敏感な材料134を含む。材料134は、走査ビーム内のエネルギーに敏感で走査ビーム内のエネルギーを光に変換するシンチレーション材料とすることができる。材料134はカドミウムタングステン(CdW)のような結晶材料とすることができ、材料134は、領域105の円形断面に適合するように、全円形又は半円形の断面を有することができる。しかし材料134は、長方形断面又はストライプ状に作成することもできる。複数のストライプは円弧を形成するが、個々のストライプは長方形又は線形とする。検出器134は領域105の周りの円弧の上に取り付けることができる。例えば、材料134は領域105の周りに中心を有する180°半円として形成することができる。他の実施例においては、検出器134は、180°を越えた円弧、例えば、領域105の周りの210°の円弧として形成することができる。検出システム130はまた、検出器ボード電子回路136を含む。検出器ボード電子回路136は材料134が検知した放射を電気信号に変換し、この信号から領域105の画像が作成される。
【0021】
再び図1A及び図1Bを参照すると、図1Aに示した実施例は2つの電子銃110及び115並びに2つの対応する加速器112及び117を含むが、他の実施例においてはより多くの又はより少ない電子銃を用いることができる。1つより多くの電子銃を用いることにより、システム100のサイズを、1つの電子銃を用いる実施に比べて小さくすることが可能になる。例えば、各々の電子銃は、画像化する対象からの電子銃の距離及び最大電子ビーム偏向角によって決められる距離にわたって走査することができる。従って、1つの電子銃を含む実施においては、x線ビームを比較的短い全距離にわたり走査するか、又は画像化する対象からより遠くに配置した電子銃を含んでx線ビームをより長い全距離にわたって走査することができるようにする。しかしながら、1つより多くの電子銃を用いることにより、電子銃を、画像化する対象のより近くに配置することができるが、その理由は、複数の電子銃は一緒に、最大偏光角において走査する単一の電子銃によって可能であるよりも長い距離にわたってx線ビームを走査するからである。従って、2つの電子銃を用いると、電子ビームスキャナ100のサイズは1つの電子銃を用いるシステムの約半分になる。
【0022】
図1Eを参照すると、2つの電子銃を用いるシステム(電子ビームスキャナ100のような)の例示的なジオメトリが示され、図1Fを参照すると、1つの電子銃を用いるシステムの例示的なジオメトリが示される。各々の例示的なジオメトリにおいて、電子銃は70.2°の全偏光角を有するビームを発生し、ビームは標的位置「T」において1メートルの全距離にわたり走査される。しかし、図1Eに示したジオメトリを用いると、より小さなシステムが得られるが、その理由は、2つの電子銃は標的位置「T」から0.34メートルのところに配置され、これに比べて図1Fに示したジオメトリにおいて1つの電子銃は標的位置「T」から0.71メートルのところに配置されるからである。従って、図1Aに示す2つの電子銃110及び115を用いると、同じサイズの領域をスキャンするのにより小さなシステムが得られる。
【0023】
図2を参照すると、線形配置の電子ビームスキャナ200の一例が示される。電子ビームスキャナ200は、第1の電子銃210及び第2の電子銃215から発生された走査ビーム(図示せず)により領域205を走査する。走査ビームは領域205を毎秒10スキャン又はそれ以上の速度(例えば毎秒50スキャン)で走査して領域205内の対象(例えば、患者225の一部分、生物学的構造体、又は患者225内の腫瘍)を画像化する。走査ビームはx線ビームのような放射のビームである。例えば、走査ビームは放射の円錐ビームとすることができ、電子ビームスキャナ200は円錐ビーム体積断層撮影システムとすることができる。
【0024】
領域205の走査により生成された画像は、患者225体内の腫瘍のプロファイルを、腫瘍が動く場合にも、決定するのに用いることができ、決定されたプロファイルは、腫瘍を照射し破壊するのに用いるx線治療ビームのビームプロファイル及び位置をデジタル的に制御するために用いられる。領域205の外部の対象は、対象を領域205の内部に移動させることにより及び/又は領域205を移動させることにより、走査ビームによって画像化することができる。
【0025】
図2に示した実施例において、患者225の一部分は領域205内にあり、走査ビームは患者225の該部分を、患者225の該部分内の生物学的構造体及び/又は他の対象と共に画像化するのに用いられる。患者225を通過する走査ビームからの放射は検出システム230によって検出され、領域205の画像を生成するのに用いられる。画像は3次元コンピュータ断層画像とすることができる。検出器システム230は走査ビームに含まれるエネルギーに敏感な検出器アレイと、検知されたエネルギーを領域205の画像を生成するのに用いられる電気信号に変換する電子回路とを含む。
【0026】
領域205は少なくとも毎秒10走査の速度で走査されるので、通常の身体機能の結果として動く患者225内の構造体、例えば患者225が呼吸するにつれて連続的に動く患者225の肺の内部又はその周囲の腫瘍など、を構造体が動くにつれて画像化することができる。領域205を少なくとも毎秒10走査の速度で走査することにより、動く構造体の明瞭で鮮明な画像を生成することが可能になる。
【0027】
電子ビームスキャナ200は2つの電子銃、電子銃210及び電子銃215を含む。電子銃210及び215の各々は、それぞれ高電圧コネクタ211及び216を含み、これらコネクタが電子銃210及び電子銃215を電源に接続する。電源は、電子ビーム内の電子が加速器212及び217によって標的(図示せず)に向かって加速されてx線放射を発生する電位を生成するのに十分な電圧を供給する。
【0028】
図2に示した実施例は、2つの電子銃210及び215並びに2つの対応する加速器212及び217を含むが、他の実施例においてはより多くの又はより少ない電子銃を用いることができる。図1E及び図1Fに関して上述したように、1つより多くの電子銃を用いることにより、システム200のサイズを、1つの電子銃を用いる実施に比べて小さくすることが可能になる。
【0029】
図3を参照すると、電子ビームスキャナ305を含む照射システム300の水平断面図が示される。照射システム300はまた、ガントリー310及び患者台320を含む。図示した実施例において、電子ビームスキャナ305は図2に関して論じた線形配置の電子ビームスキャナ200類似している。しかし、他の実施において電子ビームスキャナ305は図1A及び図1Bに関して論じた電子ビームスキャナ100のような円形配置の電子ビームスキャナとすることができる。電子ビームスキャナ305はガントリー310の内部に配置される。電子ビームスキャナ305は、患者の一部分、例えば患者体内の腫瘍を画像化するのに用いられる。照射システム300は、成形され患者体内の腫瘍に向けられる治療ビームを発生し、治療ビームで腫瘍を照射することにより腫瘍を破壊する。電子ビームスキャナ305をガントリー310の内部に配置することにより、治療ビームを患者台320に対して移動させて、破壊すべき腫瘍を含む患者の部分に治療ビームを向けることができるようにすることが可能になる。さらに、電子ビームスキャナ305をガントリー内に配置することにより、走査ビームを移動させ、ガントリー310の既知の位置に対して走査ビームの位置を追跡することが可能になる。
【0030】
図4A及び図4Bを参照すると、それぞれ例示的なシステム400の側面垂直断面図及びシステム400の前面斜視図が示される。システム400は、高エネルギー治療ビーム460を発生する照射システム405、及び患者457を画像化するのに用いられる電子ビームスキャナ・システムを含む。図4A及び図4Bに示す実施例において、電子ビームスキャナ・システムは、図2に関して上で論じた電子ビームスキャナ・システムに類似の線形配置の電子ビームスキャナ・システムである。システム400はガントリー410を含み、このガントリーはx線ビーム領域445内に走査ビーム440を発生する電子ビーム走査チャンバ420を収容する。幾つかの実施において、電子ビーム走査チャンバ420はガントリー410から、場合によりロボットアームによって移動させることができる。他の実施において、例えば、電子ビーム走査チャンバ420をガントリー410にボルトで固定することにより、電子ビーム走査チャンバ420をガントリー410に恒久的又は半恒久的に固定することができる。
【0031】
図4Aに示す実施例において、患者457、及び患者457内又はその上の生物学的構造体の画像が、電子ビームスキャナ・システムを用いて生成される。患者457の画像は体積コンピュータ断層画像とすることができる。高エネルギーx線ビーム460は、治療ビーム460と呼ぶことができるが、照射システム405により発生され、標的構造体、例えば、患者457内の癌性腫瘍を照射する。標的構造体は、電子ビームスキャナ・システムにより生成された患者457の画像から識別される。
【0032】
治療ビーム460は、x線放射を腫瘍又は他の標的構造体に照射し、同時に近くの組織及び構造体が治療ビーム460内の放射に曝されるのを最小にするか又は排除する。近くの組織が治療ビーム460内の放射に曝されるのを最小にするか又は排除するために、治療ビーム460はデジタル的に制御されるマルチリーフ・コリメータによって成形され、電子ビームスキャナ・システムによって生成された患者457内の腫瘍の画像により識別される標的構造体の部位に当てられる。マルチリーフ・コリメータは、鉛又はタングステンのような、治療ビーム460に含まれるエネルギーを遮断する材料の多数のセグメントで構成することができる。コリメータのセグメントは、セグメントの配置を制御することによって独立に動き、治療ビーム460の選択した部分を遮断して、治療ビーム460のビームプロファイルの形状を制御することができる。例えば、マルチリーフ・コリメータは、64の個々に制御可能且つ移動可能なセグメントを含むことができ、これらセグメントは治療ビーム460の経路の内外で移動することができて治療ビーム460の部分を選択的に遮断し、選択的に透過させる。他の実施例において、マルチリーフ・コリメータは、より多くの又はより少ない個々に制御可能且つ移動可能なセグメントを含むことができる。
【0033】
患者457内の標的構造体の画像は、電子ビームスキャナ・システムによって生成され且つ分析されて、標的構造体の形状(又はプロファイル)及び患者457内の標的構造体の位置が決められる。具体的には、標的構造体の画像は少なくとも毎秒10画像の速度で生成され且つ分析される。このことにより、領域445の走査中に標的構造体が動く場合でも、標的構造体のプロファイル及び標的構造体の位置を追跡することが可能になる。
【0034】
さらに、電子ビームスキャナ420は治療x線460に対して角度465に角度を付けて、検出器(検出器230など)が治療ビーム460を遮断して治療ビーム460が患者457に達するのを妨げないようにすることができる。角度465は治療ビーム460の伝搬方向に対して定めることができる。ガントリー410内で電子スキャナ・システムを角度465で設置することにより、走査440ビームを治療ビーム460に対して角度を付けることができる。角度465は、例えば35度又はそれ以下とすることができ、或は、角度465は3乃至75度の間にすることができる。走査ビーム440を角度465に配置することにより、検出器が治療ビーム460を遮断することを防ぐ。代替的に又は付加的に、検出器はガントリー410に沿って治療ビームに対して横方向に移動させ又はずらして、検出器が治療ビーム460を遮断せず、しかし検出器が依然として走査ビーム440に十分近くに位置して検出器が領域445の画像を形成するのに十分な信号を確実に検知するようにすることができる。例えば、治療ビーム460に対して、検出器は患者457の頭部又は患者457の足に100ミリメートルだけより近くに移動させることができる。
【0035】
図4Cを参照すると、システム400の背面斜視図が示される。図4Cに示す実施例において、電子ビーム走査チャンバ420、検出器、及び治療ビーム460は、ガントリー410内の患者457に対して移動させられて患者457の種々異なる位置を照射する。電子ビームスキャナ420及び治療ビーム460は一緒にガントリー410内で、患者457に対して移動させられるので、領域445の画像は依然としてガントリー410に対して記録されるので、治療ビーム460で照射される構造体の位置は既知となり、治療ビーム460で標的にすることができる。図4Dを参照すると、システム400の前面斜視図が示される。図4Dの実施例において、電子ビーム走査チャンバ420、x線ビーム領域445、及び治療ビーム460は、図4Bに示した実施例に比べて、約45度だけ反時計回りに移動している。
【0036】
図5Aを参照すると、円形配置電子ビームスキャナ・システムと照射システムを組み合せた例示的なシステム500の垂直背面斜視図が示される。システム500内の電子ビームスキャナ・システムは、図1A及び図1Bに関して上で論じた電子ビームスキャナ・システム100に類似させ得る円形配置を有する。システム500内の電子ビームスキャナ・システムにより発生された走査ビームは、走査領域525内の対象を走査する。図示した実施例において、電子ビームスキャナ・システムは円形配置を有し、領域525は円形又は半円形の断面を有する。
【0037】
システム500はガントリー510内に設置され、電子銃515及び520は電子ビームを発生させ、このビームが、患者522が台523の上に横になっている際に走査領域525内にある患者522の一部分を走査する走査ビームを生成するのに用いられる。患者522を通過する走査ビームからの放射が検出器530(図1A及び図1Dに関して論じた検出器130に類似の円形検出器とすることができる)により検出され、走査領域525内にあって患者522の体内及び又はその上の生物学的構造体内にある患者522の部分の画像が形成される。このように、電子ビームスキャナ・システムは、領域525内にある患者522の部分の画像を生成するのに用いられる。患者522の体内又は上の標的構造体(腫瘍など)のプロファイルが画像から決定され、このプロファイルは照射システムにより発生されるテラピービーム535を制御するのに用いられる。テラピービーム535は治療ビーム535と呼ぶことができる。具体的にはプロファイルは、テラピービーム535のビームプロファイル及びテラピービーム535の方向を制御して、標的構造体への照射を最大にし、同時に標的構造体に近接する組織及び生物学的構造体への照射を最小にするように、用いることができる。図示した実施例において、治療ビーム535は検出器530からずらして、治療ビーム535が患者に達するのを検出器530が妨げないようにする。
【0038】
図5B乃至図5Fはシステム500の種々の図を示す。具体的には、図5Bは照射システム500の背面斜視図を示し、図5Cは照射システム500の前面斜視図を示し、図5Dは照射システム500の前面垂直断面図を示し、図5Eは照射システム500の側面垂直断面図を示し、そして図5Fは照射システム500の底部断面図を示す。
【0039】
図6は、照射源620及び電子ビームスキャナ610を含む例示的なシステムのブロック図である。照射システム600は、治療ビーム622を発生する照射源620を含む。システム600はeビームスキャナ610、照射エネルギー源620、入力/出力インタフェース(I/Oインタフェース)630、プロセッサ640、及び電子記憶装置650を含む。eビームスキャナは上述のeビームスキャナの何れかとすることができる。幾つかの実施において、eビームスキャナ610は、その全体が引用により本明細書に組み入れられる特許文献1に論じられたものに類似のeビームスキャナとすることができる。
【0040】
eビームスキャナ610は、領域の画像を形成するのに用いられるx線ビームを発生し、この領域は照射エネルギー源620によって発生される治療ビームによっても照射される。eビームスキャナは電子ビームを放射する電子エミッタ612と、電子ビーム内の電子を加速する加速器614と、加速電子による衝突を受けてx線を発生する標的材料615とを含む。
【0041】
eビームスキャナ610はまた、電子ビームを標的材料615にわたって移動させるステアリング装置616を含む。電子ビームを標的材料615にわたって移動させることは、電子ビームを標的材料にわたって走査すること、又は電子ビームを標的材料615に沿った特定の場所に位置決めすることと考えることができる。電子ビームを標的材料615にわたって移動させることは、標的材料615との相互作用によって発生された、領域の部分に対して対応して移動するx線ビームを生じる。その結果、発生されたx線ビームは領域にわたって移動し、領域又は領域の部分を画像化する。ステアリング装置616は、電子ビームを特定の方向に向けるように配置可能な磁石を含むことができる。
【0042】
従って、画像化ビーム源自体が移動する従来のコンピュータ断層(CT)スキャナを用いるシステムとは対照的に、eビームスキャナ610により発生されたx線ビームは、電子ビームに対するステアリング装置616の作用によって領域中を移動する。x線源を移動させる必要がない(むしろ、電子ビームがステアリング装置616により方向付けられる結果として、x線ビーム自体が方向付けられる)ので、eビームスキャナ610は、従来のCTスキャナ・システムを用いて可能であるよりも遥かに迅速に領域を走査することができる。例えば、通常のCTスキャナの重量は、一般に、CTスキャナが画像化領域について毎秒2回以上の計測を行うことを妨げる。対照的に、eビームスキャナ610は毎秒50乃至100回の計測を行うことができる。さらにeビームスキャナ610のサイズは、それをガントリー内に照射エネルギー源とともに配備することを可能にし、同時の画像化と治療を可能にする。最後に、eビームスキャナ610と照射エネルギー源を、例えば互いに対してある角度で、又は互いに対して傾けて配置することにより、領域の部分が、eビームスキャナ610により発生されたx線ビームで画像化され、同時にまた照射エネルギー源からの治療ビームにより照射されることが可能になる。
【0043】
eビームスキャナ610はまた、領域の画像化部分を通過するx線放射を検知する検出器618を含む。画像化部分はヒト又は非ヒト患者の一部分とすることができる。例えば、画像化部分は患者の膵臓を含む領域内の疑わしい又は分かっている腫瘍とすることができる。検出器618は検知されたx線放射の表現を生成する。電子ビームと標的材料615の相互作用によって生成されるx線放射と比べて、検知されたx線放射は、領域の部分の要素を通過する結果として弱められる。従って、検知されたx線放射の表現は、領域の部分に起因する減衰量を表す。
【0044】
検出器618をシンチレータとする実施において、検出器618は検出されたx線放射の量に比例する強度の可視光を生成する。eビームスキャナ610はまた、x線エネルギーの表現を、プロセッサ640により処理可能な形式に変換する検出器電子回路619を含む。例えば、検出器電子回路619は、検出器618により検知されたx線エネルギーの量を表すデジタル値を生成するアナログ−デジタル・コンバータに結合された可視光センサーを含むことができる。
【0045】
照射エネルギー源620は、eビームスキャナ610により画像化される領域に治療ビーム622を供給する。システム600は、eビームスキャナ610及び照射エネルギー源620の両方を含み、eビームスキャナ610及び照射エネルギー源620は、その領域をeビームスキャナ610からのx線画像化ビームにより画像化すると同時に治療ビーム622で照射することができるように、配置される。例えば、eビームスキャナ610を傾けて、治療ビーム622とx線画像化ビームが互いにある角度をなすようにすることができる。
【0046】
システム600はまた、照射エネルギー源620を含む。照射エネルギー源620は治療ビーム622を発生する。照射エネルギー源620はまたビームコントローラ624を含む。ビームコントローラ624は治療ビーム622の性質を制御する。治療ビーム622の性質は、治療ビーム622のプロファイル、治療ビーム622の強度、照射エネルギー源620のハウジングに対する治療ビーム622の位置、及び/又は治療ビーム622の伝搬方向とすることができる。治療ビーム622のプロファイルは、治療ビーム622の伝搬方向に垂直な平面内の空間的エネルギー分布とすることができる。例えば、ビームコントローラ624は、治療ビームの特定の部分を遮断して治療ビーム622のビームプロファイルを成形する可動リーフを有するマルチリーフ・コリメータとすることができる。ビームコントローラ624はまた、治療ビーム622の位置及び/又は伝搬方向を変化させることができる。ビームコントローラ624はまた、治療ビーム622の強度(又はフラックス)を制御することができる。
【0047】
システム600はまた、I/Oインタフェース630、プロセッサ640、及び電子記憶装置650を含む。電子記憶装置650は、実行されるときプロセッサにシステム600内の他の構成要素と通信させる命令を、多くの場合コンピュータプログラムとして格納する。例えば、電子記憶装置650は、ビームコントローラ624に治療ビーム622を移動させる命令を格納することができる。プロセッサ640は、検出器618から受け取った情報に基づいてビームコントローラ624に治療ビームの性質を修正又は別に調節させる命令を実行する。別の実施例において、電子記憶装置650は、実行されるとき、検出器618により検知されたx線放射の表現に基づいて、プロセッサ640に領域の部分の画像を生成させる命令を格納する。プロセッサ640はまた、I/Oインタフェース630から受け取ったコマンドを処理する。I/Oインタフェース630は、ユーザがシステム600と相互作用できるようにする任意のデバイス又はプログラムとすることができる。例えば、I/Oデバイス630は、マウス、キーボード、ディスプレイ、又はタッチスクリーンとすることができる。
【0048】
図7は、電子ビームスキャナによって画像化された対象の特性に基づいて治療ビームの性質を修正するための例示的なプロセス700である。プロセス700は図6に関して論じたプロセッサ640のようなプロセッサの上で実行することができる。
【0049】
電子ビームスキャナによって生成されたデータが受け取られる(710)。このデータは「第1のデータ」と呼ぶことができる。第1のデータは、領域の一部分が電子ビームスキャナ610によって画像化される走査周期の間に受け取られる。第1のデータは領域の部分の特性の表示を含む。第1のデータは、検出器618により検知されたデータから作成された画像、一連の画像、及び/又はビデオとすることができる。
【0050】
領域は患者身体の一部分、例えば、通常の身体機能のために連続的に動く膵臓とすることができ、領域の部分は膵臓の一部分とすることができる。上述のように、電子ビームスキャナ610によって発生された画像化x線ビームは迅速に領域を走査するので、動いている臓器及び他の動いている構造体を画像化することが可能になる。
【0051】
領域の部分の特性の表示は、エッジ検出器のような分析ツール又は他の信号処理技術によりデータを処理して特性を決定することが可能な、データ値とすることができる。
【0052】
走査期間は、患者がx線画像化ビームによって画像化され、同時に治療ビーム622で治療される期間とすることができる。走査期間は、患者が、例えば、患者体内の腫瘍を照射する治療ビーム622で治療される治療セッションとすることができる。治療セッションは患者が領域内に留まる連続的治療セッションとすることができる。走査期間は、画像化セッション中に領域の一部分の画像が生成され分析され、次に画像化セッションとは別の後の時間に用いられて治療ビーム622を用いる治療を計画する技術と対比することができる。
【0053】
領域の部分の特性は第1のデータから決定される(720)。特性は走査セッション中に決定される。特性は空間的特性、例えば、サイズ、形状、輪郭若しくは部分的輪郭、プロファイル、又は画像化対象と所定の形状のライブラリとの間の最適適合となる近似的な形状など、とすることができる。例えば、特性は、患者の膵臓内の疑わしい腫瘍の位置、形状、及び/又はサイズとすることができる。別に実施例において、特定の方向における腫瘍の形状を特性とすることができる。特定の方向は、治療ビーム622の伝搬方向又はその近くの方向の、腫瘍及び腫瘍が内部にある臓器の2次元射影の方向とすることができる。
【0054】
特性から導出された入力は照射源620に与えられる(730)。この入力は「第1の入力」と呼ぶことができる。第1の入力は、照射源620に治療ビーム622の性質を修正させるのに十分なものとする。治療ビーム622の性質は、治療ビーム622の伝搬方向、治療ビーム622のビームプロファイル、治療ビーム622の強度、治療ビーム622のタイミング、及び治療ビーム622の位置のうちの1つ又はそれ以上とすることができる。第1の入力は、ビームコントローラ624を治療ビーム622に対して移動させることにより、照射源620に治療ビーム622を修正させることができる。第1の入力は、入力が治療ビーム622を特性と適合するように修正するように、特性から導出される。例えば、特性は疑わしい腫瘍の形状とすることができ、治療ビーム622は対象の形状に適合するプロファイルを有するように修正することができる。別の実施例において、治療ビーム622は、動いている腫瘍の位置を追う又は追跡するように治療ビームを移動させることにより、修正することができる。そのような修正は疑わしい腫瘍に達する照射エネルギー量を増すと同時に周囲の健康な組織に達する照射量を減らすことができる。
【0055】
電子ビームスキャナによって生成されたデータは走査期間中に受け取られる(740)。このデータは第2のデータと呼ぶことができる。第2のデータは第1のデータの後で受け取られ、第2のデータは部分の特性の第2の表示を含む。第2のデータは走査期間中に、但し第1のデータが受け取られた後で受け取られる。第1のデータと第2のデータの受取りの間の時間は電子ビームスキャナの走査速度によって決められる。例えば、電子ビームスキャナが毎秒50回データを受け取る場合、第2のデータは第1のデータが受け取られた後約20ミリ秒に受け取られる。
【0056】
部分の特性は走査期間中に第2のデータから決められる(750)。例えば、部分の位置を特性とする実施において、位置は第1のデータに関連して第1の時間に決められ、第2のデータに関連して第2の時間に決められる。従って画像化部分は時間にわたって追跡することができる。
【0057】
第2のデータから決められた特性から導出される入力は、照射源620に与えられる(760)。この入力は第2の入力と呼ぶことができる。第2の入力は、照射源620に、治療ビーム622の性質を第2のデータから決められた特性に適合するように修正させるのに十分なものであり、第2の入力は走査セッション中に与えられる。例えば、特性は患者の膵臓内の腫瘍とすることができ、第2の入力は治療ビーム622を、腫瘍が膵臓と共に動くにつれて腫瘍を追って移動させるのに十分な入力とすることができる。電子ビームスキャナ610の特徴のために、治療ビーム622は走査セッション中に修正される。従って、照射ビームを用いた患者の治療は、患者が画像化されると同時に、実時間で又はほぼ実時間で計画される。幾つかの実施において、第1及び第2の入力は、これら入力が標準的CTスキャナにより生成される入力と適合するような形式にされる。
【0058】
これらの技術は、デジタル電子回路内で、又はコンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらの組合せにおいて実施することができる。これらの技術は、コンピュータプログラム製品、即ち、例えば、機械可読記憶装置、機械可読記憶媒体、コンピュータ可読記憶装置、又はコンピュータ可読記憶媒体などの情報担体内に有形に具体化され、例えばプログラム可能プロセッサ、コンピュータ、又は複合コンピュータなどのデータ処理装置により実行するため又はそれらの動作を制御するためのコンピュータプログラム、として実施することができる。コンピュータプログラムは、コンパイル型又はインタープリタ型言語を含む、任意の形式のプログラミング言語で書くことができ、そして、独立型プログラム若しくはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、又はコンピューティング環境で用いるのに適した他のユニットを含む任意の形態で配備することができる。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で、又は1箇所の若しくは複数箇所に渡って分散し通信ネットワークで相互接続される複数のコンピュータ上で実行されるように配備することができる。
【0059】
本技術の方法ステップは、入力データに作用して出力を生成することにより本技術の機能を実行するためのコンピュータプログラムを実行する1つ又はそれ以上のプログラム可能なプロセッサによって実行することができる。方法ステップはまた、特殊用途向け論理回路、例えば、FPGA(フィールドプログラマブル・ゲートアレイ)又はASIC(特殊用途向け集積回路)によって実行することができ、本技術の装置はそれらの論理回路として実施することができる。
【0060】
コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサには、例えば、汎用及び専用マイクロプロセッサの両方、及び任意の種類のデジタルコンピュータの1つ又はそれ以上のプロセッサが含まれる。一般に、プロセッサは命令及びデータを読み出し専用メモリ又はランダムアクセス・メモリ又はそれら両方から受け取ることになる。コンピュータの基本要素は命令を実行するためのプロセッサ、並びに命令及びデータを格納するための1つ又はそれ以上の記憶装置である。一般に、コンピュータはまた、データを格納するための1つ又はそれ以上の大容量記憶装置、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、又は光ディスクを含むことになるか、或は、そのような大容量記憶装置にそれらからデータを受け取り又はそれらにデータを転送し又は両方を行うように動作可能に結合されることになる。コンピュータプログラム命令及びデータを具体化するのに適した情報担体には、例えば、EPROM、FEPROM、及びフラッシュメモリ装置などの半導体メモリ装置、内蔵ハードディスク又は着脱可能ディスクなどの磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM及びDVD−ROMディスクを含むあらゆる形式の不揮発性メモリが含まれる。プロセッサ及びメモリは専用論理回路で補完するか、又はそれらに組み込むことができる。
【0061】
本技術の多くの実施を説明した。しかし、種々の修正を施せることを理解されたい。例えば、開示した技術のステップを異なる順序で実行したとしても、及び/又は。開示したシステム内の要素を異なる仕方で組合せ、及び/又は他の要素で置き換え又は補完したとしても、依然として有用な結果を達することが可能である。従って、他の実施も以下の特許請求の範囲に入る。
【符号の説明】
【0062】
100、200、305:電子ビームスキャナ
105、205:領域
110、115、210、215、515、520:電子エミッタ(電子銃)
111、116、211、216:高電圧コネクタ
112、117、212、217:加速器
125:コリメータ
127:開放スロット
130、230、530:検出システム(検出器)
134:材料(検出器)
136:検出器ボード電子回路
225、457、522:患者
300、405:照射システム
310、410、510:ガントリー
320、523:患者台
400、500:システム
420:電子ビーム走査チャンバ
440:走査ビーム
445:x線ビーム領域
460:治療ビーム
465:角度
525:走査領域
535:治療ビーム(テラピービーム)
600:照射システム
610:電子ビームスキャナ(eビームスキャナ)
612:電子エミッタ
614:電子加速器
615:標的材料
616:ステアリング装置
618:検出器
619:検出器電子回路
620:照射エネルギー源(照射源)
622:治療ビーム
624:ビームコントローラ
630:入力/出力インタフェース(I/Oインタフェース)
640:プロセッサ
650:電子記憶装置
700:プロセス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子ビームを発生するように構成された電子エミッタと、
前記電子ビームを当てられることに応じてx線ビームを発生する標的に向けて前記電子ビームを加速するように構成された加速器と、
前記電子ビームを前記標的に沿って走査し、前記発生されたx線ビームを画像化される領域の一部分に対して位置付けるように構成されたステアリング装置と、
前記領域からのx線放射を検知し、該検知された放射の表現を生成するように構成された検出器と、
を備える電子ビームスキャナ、及び治療ビームを発生するように構成された照射エネルギー源を備え、
前記電子ビームスキャナ及び照射エネルギー源は、前記領域の前記部分が前記治療ビームに曝され、同時にx線ビームを発生することを可能にするように配置され、
さらに、
前記検知されたx線放射の表現を受取り、
前記検知されたx線放射の前記表現に基づいて前記領域の前記画像化された部分の特性を決定し、
前記特性に基づいて前記治療ビームの性質を修正する、
ように動作可能なプロセッサを備える
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記電子ビームスキャナは、前記治療ビームの伝搬方向に対してある角度に配置されることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
ガントリーをさらに備え、前記電子ビームスキャナ及び前記照射エネルギー源は、両方共に前記ガントリーの内部に配置されることを特徴とする、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記電子ビームスキャナは前記ガントリーに対して移動可能であり、前記プロセッサは、前記ガントリーに対する前記電子ビームスキャナの位置及び前記ガントリーに対する前記発生されたx線ビームの位置を決定するように、さらに動作可能であることを特徴とする、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記領域の前記部分の前記特性は、前記部分の位置、前記部分のサイズ、及び前記部分の形状のうちの1つ又はそれ以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記検知された放射の表現に基づいて、前記領域の画像を生成するようにさらに動作可能であることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記部分はヒト患者体内の生物学的構造体を含むことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記領域は膵臓を含み、前記領域の前記部分は前記膵臓の一部分を含むことを特徴とする、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記特性に基づいて前記治療ビームを制御するために、前記プロセッサは、入力を前記照射エネルギー源に与えるようにさらに動作可能であり、
前記入力は前記領域の前記部分の前記特性から導出され、前記入力は前記照射エネルギー源に前記治療ビームの性質を修正させるのに十分である、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記発生されたx線ビームが前記領域の前記部分を照射するのと同時に、前記入力を前記照射エネルギー源に与えることを特徴とする、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記プロセッサは、前記領域の前記部分が前記x線ビームにより画像化されるのと同時に、前記入力を前記照射エネルギー源に与えることを特徴とする、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記プロセッサは、治療セッション中に前記入力を前記照射エネルギー源に与えることを特徴とする、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記治療ビームの前記性質は、前記治療ビームのビームプロファイル及び前記治療ビームの強度のうちの1つ又はそれ以上を含むことを特徴とする、請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
対象の前記特性は該対象のサイズ及び形状を含み、前記照射エネルギー源の前記入力は、該照射エネルギー源に前記治療ビームのビームプロファイルを修正させて前記プロファイルが前記対象のサイズ及び形状に近似的に適合するようにするのに十分であることを特徴とする、請求項9に記載のシステム。
【請求項15】
実行されたとき、プロセッサに以下の動作、
領域の一部分が電子ビームスキャナにより画像化される走査期間中に、前記電子ビームスキャナにより生成され、前記部分の特性の第1の表示を含む第1のデータを受け取ることと、
前記走査期間中に、前記第1のデータから前記部分の特性を決定することと、
前記走査期間中に、前記特性から導出され、治療ビーム源に該治療ビームの性質を修正させるのに十分な第1の入力を、前記治療ビーム源に与えることと、
前記走査期間中に、前記電子ビームスキャナにより生成され、前記部分の前記特性の第2の表示を含む第2のデータを、前記第1のデータの後に受け取ることと、
前記走査期間中に、前記第2のデータから前記部分の前記特性を決定することと、
前記走査期間中に、前記第2のデータから決定された前記特性から導出され、前記治療ビーム源に前記治療ビームの前記性質を修正させて前記第2のデータから決定された前記特性に適合させるのに十分な第2の入力を、前記治療ビーム源に与えることと、
を実行させる命令を格納することを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項16】
前記治療ビームの前記性質は、前記治療ビームのビームプロファイルを含むことを特徴とする、請求項15に記載の媒体。
【請求項17】
前記部分の前記特性は該部分の形状を含み、該部分の該形状は前記走査期間中に変化することを特徴とする、請求項15に記載の媒体。
【請求項18】
前記部分は前記走査期間中に動くことを特徴とする、請求項15に記載の媒体。
【請求項19】
前記領域はヒト患者を含み、前記領域の前記部分は前記ヒト患者体内の生物学的構造体を含むことを特徴とする、請求項15に記載の媒体。
【請求項20】
前記治療ビームの前記性質は、該治療ビームのビームプロファイルであり、前記第1の入力及び前記第2の入力は、前記治療ビーム源に結合されたマルチリーフ・コリメータのリーフを移動させて前記ビームプロファイルを修正するのに十分な入力であることを特徴とする、請求項15に記載の媒体。
【請求項21】
前記領域の前記部分の前記特性は位置であり、前記第1の入力及び前記第2の入力は、前記治療ビーム源に前記治療ビームを前記部分の前記位置に向けて方向付けさせるのに十分な入力であることを特徴とする、請求項15に記載の媒体。
【請求項22】
前記領域の前記部分は患者の生物学的構造体を含み、前記走査期間は、前記患者が前記領域内に留まり、前記治療ビームが前記生物学的構造体を照射する連続的治療セッションであることを特徴とする、請求項15に記載の媒体。
【請求項23】
前記第2の入力は、前記第1の入力が前記照射ビーム源に与えられた後の1000ミリ秒未満の間に前記照射ビーム源に与えられることを特徴とする、請求項15に記載の媒体。
【請求項24】
走査期間中に治療ビームを制御する方法であって、
走査期間中に領域の一部分を、電子ビームスキャナによって生成された画像化x線ビームに曝し、
前記領域の前記部分により引き起こされた前記画像化ビームの減衰を表す、前記領域からのx線放射を検出し、
前記検出されたx線放射に基づいて前記領域の前記部分の第1の画像を生成し、
前記生成された第1の画像から、前記領域の前記部分の特性を決定し、
前記特性から導出され、治療ビーム源に前記治療ビームを修正させるように構成された入力を生成し、
前記入力を前記治療ビーム源に与えることによって、前記走査期間中に前記治療ビーム源に前記治療ビームの性質を修正させる
ステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項25】
前記部分の前記特性は前記部分の位置を含み、前記治療ビーム源に前記治療ビームの性質を修正させるステップは、該治療ビームの伝搬方向を修正して該治療ビームが前記部分を照射するようにするステップを含むことを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
電子ビームスキャナからのデータに基づいて治療ビームを制御するための装置を組たてる方法であって、
治療ビームを発生するように構成された照射エネルギー源をハウジング内に配置し、
x線画像化ビームを発生するように構成された電子ビームスキャナを前記ハウジング内で前記照射エネルギー源に対して位置決めする、
ステップを含み、
前記電子ビームスキャナを前記位置決めするステップは、前記ハウジング内の領域内の対象を前記治療ビーム及び前記x線画像化ビームに同時に曝すことを可能にする、
ことを特徴とする方法。
【請求項1】
電子ビームを発生するように構成された電子エミッタと、
前記電子ビームを当てられることに応じてx線ビームを発生する標的に向けて前記電子ビームを加速するように構成された加速器と、
前記電子ビームを前記標的に沿って走査し、前記発生されたx線ビームを画像化される領域の一部分に対して位置付けるように構成されたステアリング装置と、
前記領域からのx線放射を検知し、該検知された放射の表現を生成するように構成された検出器と、
を備える電子ビームスキャナ、及び治療ビームを発生するように構成された照射エネルギー源を備え、
前記電子ビームスキャナ及び照射エネルギー源は、前記領域の前記部分が前記治療ビームに曝され、同時にx線ビームを発生することを可能にするように配置され、
さらに、
前記検知されたx線放射の表現を受取り、
前記検知されたx線放射の前記表現に基づいて前記領域の前記画像化された部分の特性を決定し、
前記特性に基づいて前記治療ビームの性質を修正する、
ように動作可能なプロセッサを備える
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記電子ビームスキャナは、前記治療ビームの伝搬方向に対してある角度に配置されることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
ガントリーをさらに備え、前記電子ビームスキャナ及び前記照射エネルギー源は、両方共に前記ガントリーの内部に配置されることを特徴とする、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記電子ビームスキャナは前記ガントリーに対して移動可能であり、前記プロセッサは、前記ガントリーに対する前記電子ビームスキャナの位置及び前記ガントリーに対する前記発生されたx線ビームの位置を決定するように、さらに動作可能であることを特徴とする、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記領域の前記部分の前記特性は、前記部分の位置、前記部分のサイズ、及び前記部分の形状のうちの1つ又はそれ以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記検知された放射の表現に基づいて、前記領域の画像を生成するようにさらに動作可能であることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記部分はヒト患者体内の生物学的構造体を含むことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記領域は膵臓を含み、前記領域の前記部分は前記膵臓の一部分を含むことを特徴とする、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記特性に基づいて前記治療ビームを制御するために、前記プロセッサは、入力を前記照射エネルギー源に与えるようにさらに動作可能であり、
前記入力は前記領域の前記部分の前記特性から導出され、前記入力は前記照射エネルギー源に前記治療ビームの性質を修正させるのに十分である、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記発生されたx線ビームが前記領域の前記部分を照射するのと同時に、前記入力を前記照射エネルギー源に与えることを特徴とする、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記プロセッサは、前記領域の前記部分が前記x線ビームにより画像化されるのと同時に、前記入力を前記照射エネルギー源に与えることを特徴とする、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記プロセッサは、治療セッション中に前記入力を前記照射エネルギー源に与えることを特徴とする、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記治療ビームの前記性質は、前記治療ビームのビームプロファイル及び前記治療ビームの強度のうちの1つ又はそれ以上を含むことを特徴とする、請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
対象の前記特性は該対象のサイズ及び形状を含み、前記照射エネルギー源の前記入力は、該照射エネルギー源に前記治療ビームのビームプロファイルを修正させて前記プロファイルが前記対象のサイズ及び形状に近似的に適合するようにするのに十分であることを特徴とする、請求項9に記載のシステム。
【請求項15】
実行されたとき、プロセッサに以下の動作、
領域の一部分が電子ビームスキャナにより画像化される走査期間中に、前記電子ビームスキャナにより生成され、前記部分の特性の第1の表示を含む第1のデータを受け取ることと、
前記走査期間中に、前記第1のデータから前記部分の特性を決定することと、
前記走査期間中に、前記特性から導出され、治療ビーム源に該治療ビームの性質を修正させるのに十分な第1の入力を、前記治療ビーム源に与えることと、
前記走査期間中に、前記電子ビームスキャナにより生成され、前記部分の前記特性の第2の表示を含む第2のデータを、前記第1のデータの後に受け取ることと、
前記走査期間中に、前記第2のデータから前記部分の前記特性を決定することと、
前記走査期間中に、前記第2のデータから決定された前記特性から導出され、前記治療ビーム源に前記治療ビームの前記性質を修正させて前記第2のデータから決定された前記特性に適合させるのに十分な第2の入力を、前記治療ビーム源に与えることと、
を実行させる命令を格納することを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項16】
前記治療ビームの前記性質は、前記治療ビームのビームプロファイルを含むことを特徴とする、請求項15に記載の媒体。
【請求項17】
前記部分の前記特性は該部分の形状を含み、該部分の該形状は前記走査期間中に変化することを特徴とする、請求項15に記載の媒体。
【請求項18】
前記部分は前記走査期間中に動くことを特徴とする、請求項15に記載の媒体。
【請求項19】
前記領域はヒト患者を含み、前記領域の前記部分は前記ヒト患者体内の生物学的構造体を含むことを特徴とする、請求項15に記載の媒体。
【請求項20】
前記治療ビームの前記性質は、該治療ビームのビームプロファイルであり、前記第1の入力及び前記第2の入力は、前記治療ビーム源に結合されたマルチリーフ・コリメータのリーフを移動させて前記ビームプロファイルを修正するのに十分な入力であることを特徴とする、請求項15に記載の媒体。
【請求項21】
前記領域の前記部分の前記特性は位置であり、前記第1の入力及び前記第2の入力は、前記治療ビーム源に前記治療ビームを前記部分の前記位置に向けて方向付けさせるのに十分な入力であることを特徴とする、請求項15に記載の媒体。
【請求項22】
前記領域の前記部分は患者の生物学的構造体を含み、前記走査期間は、前記患者が前記領域内に留まり、前記治療ビームが前記生物学的構造体を照射する連続的治療セッションであることを特徴とする、請求項15に記載の媒体。
【請求項23】
前記第2の入力は、前記第1の入力が前記照射ビーム源に与えられた後の1000ミリ秒未満の間に前記照射ビーム源に与えられることを特徴とする、請求項15に記載の媒体。
【請求項24】
走査期間中に治療ビームを制御する方法であって、
走査期間中に領域の一部分を、電子ビームスキャナによって生成された画像化x線ビームに曝し、
前記領域の前記部分により引き起こされた前記画像化ビームの減衰を表す、前記領域からのx線放射を検出し、
前記検出されたx線放射に基づいて前記領域の前記部分の第1の画像を生成し、
前記生成された第1の画像から、前記領域の前記部分の特性を決定し、
前記特性から導出され、治療ビーム源に前記治療ビームを修正させるように構成された入力を生成し、
前記入力を前記治療ビーム源に与えることによって、前記走査期間中に前記治療ビーム源に前記治療ビームの性質を修正させる
ステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項25】
前記部分の前記特性は前記部分の位置を含み、前記治療ビーム源に前記治療ビームの性質を修正させるステップは、該治療ビームの伝搬方向を修正して該治療ビームが前記部分を照射するようにするステップを含むことを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
電子ビームスキャナからのデータに基づいて治療ビームを制御するための装置を組たてる方法であって、
治療ビームを発生するように構成された照射エネルギー源をハウジング内に配置し、
x線画像化ビームを発生するように構成された電子ビームスキャナを前記ハウジング内で前記照射エネルギー源に対して位置決めする、
ステップを含み、
前記電子ビームスキャナを前記位置決めするステップは、前記ハウジング内の領域内の対象を前記治療ビーム及び前記x線画像化ビームに同時に曝すことを可能にする、
ことを特徴とする方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図6】
【図7】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図6】
【図7】
【公表番号】特表2011−528273(P2011−528273A)
【公表日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−518890(P2011−518890)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/050743
【国際公開番号】WO2010/009264
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(511013005)
【出願人】(511013016)
【出願人】(511013027)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/050743
【国際公開番号】WO2010/009264
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(511013005)
【出願人】(511013016)
【出願人】(511013027)
【Fターム(参考)】
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