説明

電子ペン用印刷原版識別システム及び方法

【課題】本発明は、電子ペンと組み合わせて用いる電子ペン用帳票の印刷原版において、印刷原版は、単なるドットパターンであるため目視では判別できないため、識別システム及び識別方法の提供を目的とする。
【解決手段】パーソナルコンピュータは、内蔵ハードディスク等に予め記録している印刷原版用ドットパターンデータと、前記パーソナルコンピュータに接続した光学的なフラットベッドスキャナーより送られた当該印刷原版のドットパターンのビットマップデータとを照合し、識別することで上記課題を解決した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ペンとペアで用いる電子ペン用帳票の印刷原版の識別システム及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、有効な入力デバイスとして、「電子ペン」、「デジタルペン」などと呼ばれるペン型入力デバイスが登場しており、その代表的なものとしてスウェーデンのアノト(Anoto)社が開発した「アノトペン(Anoto pen)」(以下、本明細書では「電子ペン」と称する。)が知られている。(例えば、「特許文献1」参照)
電子ペンは、所定の電子ペン用ドットパターンが印刷された専用紙(以下、「電子ペン用帳票」と称する。)と組み合わせて使用される。
電子ペンは、通常のインクタイプのペン先部に加えて、電子ペン用帳票上の電子ペン用ドットパターンを読み取るためのCCD(Charge−Coupled device)搭載小型カメラと、読み取った情報を端末に送信するための微弱電波無線対応の通信ユニットを搭載している。
【0003】
利用者が、電子ペンで電子ペン用帳票上に文字などを書くと、電子ペンの移動に伴ってCCD搭載小型カメラが電子ペン用帳票上の電子ペン用ドットパターンを検出し、利用者が書き込んだ文字等のデータとして取得する。
この入力データが、電子ペンの微弱電波無線対応の通信ユニットから近くのパーソナルコンピュータや携帯電話等の端末に送信される。
この電子ペンを利用したシステムは、キーボードに代わる入力デバイスとして利用することが可能であり、パーソナルコンピュータ等の使用に抵抗がある利用者にとっては非常に使いやすいという利点がある。
また、利用者の記入事項が、従来の紙の書類としてではなく、入力データとして取得することができるので、そのまま、その後の電子的な処理を行なうことができるという利点がある。
【0004】
【特許文献1】特表2003-500777
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、電子ペン用帳票は、2色以上のオフセット印刷で印刷されている。このため、この電子ペン用帳票のオフセット印刷用印刷原版の製版工程では、少なくとも、電子ペン用帳票毎にユニークな電子ペン用ドットパターン版と文字版とを別版で製版する。
これは、電子ペンが電子ペン用帳票の上の電子ペン用ドットパターンを収集する際に、文字等が同一のカーボン含む専用インキで印刷されていると誤ったドットパターンとして取得したり、あるいは、ドットパターンをデータとして取得が不可能になるとの理由による。
また、電子ペン用ドットパターンの向きも絶対的な意味があり、アプリケーションと密接に結びついており、仮に天地逆の印刷を行なうとアプリケーションは作動しなくなる。
このような識別性を要求される電子ペン用ドットパターン版は、文字等の可読的な情報の形成は許さない。このため、肉眼では、単なる周囲断ち切りの全面網点のポジフィルムとしか認識できない。さらに、肉眼では、電子ペン用ドットパターン版の天地左右の向きを見極めること及び異なる電子ペン用帳票の電子ペン用ドットパターン版相互の区別は不可能である。
このため、電子ペン用帳票毎にユニークな電子ペン用ドットパターン版は、他の電子ペン用帳票の電子ペン用ドットパターン版と間違えて、刷版工程に下版されてしまうことがある。
【0006】
そこで、電子ペン用帳票の印刷原版である電子ペン用ドットパターン版の識別システム及び方法が必要となるが、従来技術では、印刷物表面の網点の画像入力を行ない、二値化画像を生成し、その画像に基づいて網点抜け領域の特徴量を解析するものが、特許文献2に示されている。
特許文献2の発明では、あくまで、印刷物の網点抜けを確認する発明であるため、電子ペン用帳票毎にユニークな電子ペン用ドットパターン版を識別することはできないという課題がある。
そこで、本発明は、上記のような課題を解決するために、本発明は、電子ペン用ドットパターン版と、前記電子ペン用ドットパターンデータとの照合による識別システム及び方法を提供することを目的とする。
【0007】
【特許文献2】特開2002−216112
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電子ペン用ドットパターン識別照合システム及び方法は、以下の各請求項の構成により上記の課題を解決するものである。
本発明の第1の態様は、インクペンによる筆記手段と、光学的にドットパターンを読み取る読取手段から成る電子ペンにより筆記情報の取得可能にしたドットパターンの形成される印刷原版を識別するシステムであって、前記ドットパターンに対応する製版データを記憶する記憶手段と、前記ドットパターンに対応する印刷原版上に形成されたドットパターンを光学的に読み取るスキャナーと、前記スキャナーで読取ったドットパターンデータを記憶する記憶手段と前記製版データと前記スキャナーで読み取ったドットパターンデータとを照合する照合手段と、により印刷原版上のドットパターンを識別するようにしたことを特徴とする電子ペン用印刷原版識別システムである。
【0009】
本発明の第2の態様は、インクペンによる筆記手段と、光学的にドットパターンを読み取る読取手段から成る電子ペンにより筆記情報の取得可能にしたドットパターンの形成される印刷原版を識別する方法であって、前記ドットパターンに対応する製版データを記憶する記憶ステップと、前記ドットパターンに対応する印刷原版上に形成されたドットパターンを光学的に読み取るスキャナーと、前記スキャナーで読取ったドットパターンデータを記憶するステップと前記製版データと前記スキャナーで読み取ったドットパターンデータとを照合する照合ステップと、により印刷原版上のドットパターンを識別するようにしたことを特徴とする電子ペン用印刷原版識別方法である。
【0010】
本発明の第3の態様は、第2の態様に記載の電子ペン用印刷原版識別方法において、予め定められた範囲及び位置にて部分照合をすることを特徴とする電子ペン用印刷原版識別方法である。
【0011】
本発明の第4の態様は、第2の態様及び第3の態様に記載の電子ペン用印刷原版識別方法において、予め定められた範囲及び位置にて部分照合が不成立な場合は、前記予め定められた照合範囲及び位置を予め定められた移動方法に従って移動し、それぞれの移動した位置で部分照合を行い、すべての部分照合が不成立の場合にのみ、照合が不成立と判定することを特徴とする電子ペン用印刷原版識別方法である。
【発明の効果】
【0012】
以上、説明したように、本発明の電子ペン用印刷原版の識別システム及び方法によれば、肉眼では単なる周囲断ち切りの全面網点のポジフィルムとしか認識できない印刷原版である電子ペン用ドットパターン版の天地左右の向きを見極めること及び異なる電子ペン用ドットパターン版相互の区別が容易に可能となる。
刷版工程でも、本発明を利用して、製版工程より下版されてきた電子ペン用ト゛ットパターン版を確認し、刷版を製造することにより、間違った電子ペン用ドットパターン版での刷版の製造を未然に防止することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明で利用する電子ペン、電子ペン用帳票、電子ペンより取得したデータ送信について、まず、以下に説明する。
【0014】
[電子ペン]
電子ペン10について説明する。
図1は電子ペン10の使用形態を模式的に示す図であり、さらに、図2(a)は、電子ペン10の内部構造を示す機能ブロック図である。図3は、電子ペン用帳票を説明する図である。
図1に示すように、電子ペン10は、電子ペン用帳票20と組み合わせて使用する。
電子ペン10は、通常のインクペンと同様のペン先部17を備えており、利用者は通常のインクペンと同様の使用方法で電子ペン用帳票20上に文字などを書くことになる。
図2(a)に示すように、電子ペン10は、その内部にプロセッサ11、メモリ12、微弱電波無線トランシーバ13、バッテリー14、赤外線LED15、CCD搭載小型カメラ16及び圧力センサ18を備える。
さらに、図示はしないが、電子ペン10には通常のインクペンと同様のインクカートリッジを有する。
【0015】
電子ペン10は、ペン先部17により電子ペン用帳票20上に描かれたインクの軌跡をデータ化するのではなく、電子ペン用帳票20上で電子ペン10が移動した軌跡座標をデータ化する。
具体的には、赤外線LED15が、電子ペン用帳票20上のペン先部17近傍を照明しつつ、CCD搭載小型カメラ16が電子ペン用帳票20に形成されている電子ペン用ドットパターン32を読み取り、データ化する。
【0016】
さらに、圧力センサ18は、利用者が電子ペン10により電子ペン用帳票20上に文字などを書く際にペン先部17に与えられる圧力、即ち筆圧を検出し、プロセッサ11へ供給する。
プロセッサ11は、圧力センサ18から与えられる筆圧データに基づいて、赤外線LED15及びCCD搭載小型カメラ16の動作又は停止の切換を行なう。
即ち、利用者が電子ペン10で電子ペン用帳票20上に文字などを書くと、ペン先部17には筆圧がかかる。よって、所定値以上の筆圧が検出されたときに、利用者が記述を開始したと判定して、赤外線LED15及びCCD搭載小型カメラ16が作動する。
CCD搭載小型カメラ16は、図3に示す電子ペン用帳票20上の電子ペン用ドットパターン32を読み取り、そのパターンデータをプロセッサ11に供給する。
プロセッサ11は、供給されたパターンデータから、電子ペン用帳票20上でのX/Y座標を算出する。
プロセッサ11は、利用者の記述が行なわれる間に、筆圧の配列データ及びX/Y座標データを取得し、タイムスタンプ(時間情報)と関連付けてメモリ12に記憶するものである。
よって、メモリ12内には、利用者の記述内容に対応するデータが時系列で記憶されるのである。
【0017】
利用者により送信指示がされるまでは、取得された全てのデータはメモリ12内に保持される。
そして、利用者が送信指示を行なうと、外部への情報伝達手段の一例である微弱電波無線トランシーバ13により、電子ペン10と所定距離内にある端末25へメモリ12内のデータが送信される。
基本的には一度送信指示がなされると、電子ペン10はメモリ12内に記憶していた全ての情報が端末25へ送信されるため、メモリ12内はクリアされる。
【0018】
電子ペン10自体は、送信ボタンなどの機能ボタンを備えておらず、送信指示その他の指示は、利用者が図3に示す電子ペン用帳票20上の所定位置に設けられた送信ボックス39等の専用ボックスを電子ペン10でチェックすることにより実行される。
即ち、送信ボックス39の位置座標には、予め送信指示が対応付けられており、プロセッサ11は送信ボックスの位置座標を受信すると、微弱電波無線トランシーバ13にメモリ12内のデータを供給し、端末25へ送信するものである。
なお、本発明の情報伝達手段は、上記の例で示した微弱電波無線トランシーバ13のような無線方式に限られるものではなく、ケーブル接続方式でも、何らかの記録媒体経由での伝達方式でもよい。なお、バッテリー14は、電子ペン10内の各要素に電源供給するためのものである。
【0019】
また、電子ペン10は利用者が電子ペン用帳票20上に記述した文字などに対応する座標データ及び筆圧データを取得して近傍の端末25へ送信する機能を有するが、電子ペン10のペン先部17は通常のインクペンとなっているため、電子ペン用帳票20上に記述した内容は、原本としても残るという特徴がある。
なお、電子ペン10の標準機能によれば、電子ペン10により得られるデータは、原則として座標データ又はストロークデータの形態であり、テキストデータではない。
但し、電子ペン10は標準機能として、電子ペン用帳票20上に設けられた専用エリアに記述することにより、テキスト化する座標データやストロークデータから、文字認識アプリケーションを利用してテキストデータを得ることはむろん可能である。
【0020】
また、電子ペン10内には、電子ペン自体及びその所有者に関するプロパティ情報(ペン情報及びペン所有者情報)の保持機能、ならびに時間係数機能を有し、アプリケーションから参照することが可能である。
電子ペン情報としては、バッテリーレベル、電子ペンID、電子ペン製造者番号、電子ペンソフトウェアのバージョン、サブスクリプションプロバイダのID等を保持できる。
また、電子ペン所有者情報としては、国籍、言語、タイムゾーン、メールアドレス、空きメモリ容量、名前、住所、ファックス/電話番号、形態電話番号等を保持することが可能である。
【0021】
次に、電子ペンにより利用者が記述した内容のX/Yデータを所得する方法について説明する。
前述のように電子ペン用帳票20には、所定の電子ペン用ドットパターン32が形成されている。電子ペン10のCCD搭載小型カメラ16は、利用者が電子ペン用帳票20上に記述したインクの軌跡を読み取るのではなく、電子ペン用帳票20上の電子ペン用ドットパターン32を読み取る。
実際、図1に示すように、赤外線LED15による照明領域及びCCD搭載小型カメラ16の撮影領域(照明領域に位置する)は、ペン先部17が電子ペン用帳票20に接触する位置とは、ずれている。
【0022】
電子ペン用ドットパターン32は、カーボンを含む専用インキなどで形成されており、CCD搭載小型カメラ16はその専用インキによるパターンのみを認識することができる。
専用インキ以外のインキ(カーボンを含まない)により、電子ペン用帳票20上に罫線や枠などを形成しても、電子ペンはそれらを認識することはない。よって、電子ペン用帳票20を作製する際は、専用インキ以外のインキで入力枠や罫線、注意書きなどを形成しなければならい。
【0023】
電子ペン用ドットパターン32は、図4に例示するように、各ドットの位置がデータに対応付けされている。図3の例では、ドットの位置を格子の基準位置(縦線及び横線の交差点)から上下左右にシフトすることにより、0〜3の2ビット情報を表示した例である。このようにして表現された情報の組み合わせにより、電子ペン用帳票20上の位置座標が決定される。
【0024】
図4(a)に例示するように、縦横約2mmの範囲内に36個のドットが格子状に配置され、これらのドットにより示されるデータの配列(図4(b))が、電子ペン用帳票20上の位置座標と対応付けされている。
【0025】
よって、電子ペン10のCCD搭載小型カメラ16から入力される電子ペン用ドットパターン32を撮影すると、プロセッサ11はCCD搭載小型カメラ16から入力される電子ペン用ドットパターン32のデータに基づいて、図4(b)に示すデータ配列を取得し、それに対応する電子ペン用帳票20上の位置座標(即ち、その電子ペン用ドットパターン32がその電子ペン用帳票上のどの位置にあるか)をリアルタイムで算出する。
なお、電子ペン用ドットパターン32を認識する最小単位は1.8mm×1.8mmであり、CCD搭載小型カメラ16は毎回毎秒100回程度の撮影を実施する。
【0026】
[電子ペン用帳票]
電子ペン用帳票20について説明する。電子ペン用帳票の構造の一例を図3に示す。図示のように、電子ペン用帳票20は、用紙30上に電子ペン用ドットパターン32が形成され、その上に罫線などの絵柄34が形成されている。
用紙30は通常の上質紙等であり、電子ペン用ドットパターン32は前述のようにカーボンを含んだ専用インキにより形成される。絵柄34は、通常のインキ等により形成される。
【0027】
電子ペン用帳票20上の領域は大きく2種類の領域に分けることができる。
1つは記入エリアであり、電子ペン10による記述内容をそのまま情報として取り扱うエリアである。
もう1つは機能エレメントであり、対応するエリア内の電子ペン10でチェックした際に、予めそのエリアに対して定義されているアクション、指示などを実行するようになっている。前記送信ボックス39がこれに該当する。
【0028】
送信ボックス39は前述したように電子ペン10内に記憶されているデータを近傍の端末25へ送信するための指示を行なう際に使用される。
利用者が送信ボックス39内の電子ペン用ドットパターンを読み取る。当該パターンは送信指示に対応付けられており、電子ペン10内のプロセッサ11は微弱電波無線トランシーバ13にメモリ12内の記憶データの送信命令を発信する。
【0029】
前述のように電子ペン用ドットパターン32の形成されているエリアは何を意味するのかは予め定義されている。
よって、利用者が電子ペン10で当該帳票に必要事項を入力すると、その入力事項がその帳票のどの項目に対応するものであるかを、帳票上の座標データから特定することができる。
このように、電子ペン用ドットパターン32を形成した電子ペン用帳票20上に各種帳票に必要な記入部その他をデザインした絵柄34を形成しておき、電子ペン10により所定記入部に所定の情報を記入することで、記入した情報を自動的に電子データ化できるものである。
【0030】
[電子ペンにより取得したデータ送信処理]
電子ペン10により取得したデータ送信処理について説明する。前述のように、電子ペン10の通信機能(情報を外部に伝達する情報伝達手段)は微弱電波無線によるものであり、電子ペン用帳票20に入力したデータを端末25に送信するものである。端末は、電子ペン10より送信されたデータを帳票発行者等の扱う管理用サーバーであるASH(Application Service Handler)27へ送信する。
その際の処理を、図2を参照して説明する。電子ペン10が取得したデータは、主として利用者が入力した事項のデータであるが、通常はそのデータの送信先であるASH27がどこであるかの情報は含まれていない。
その代わりに、その電子ペン用帳票20に関するアプリケーションやサービスを特定する情報は電子ペン用ドットパターン32に定義されており、利用者の入力作業中に電子ペン用帳票32からその情報が取得されている。
よって、電子ペン10から入力データを受け取った端末25は、まず、問い合わせサーバーであるPLS(Paper Lookup Service)26に対して、その電子ペン用帳票20に対して入力されたデータを、どのASH27へ送信すべきかの問い合わせを行なう。
【0031】
PLS26は、電子ペン用帳票20毎に、対応するASH27の情報を有しており、端末25からの問い合わせに応じて、当該電子ペン用帳票20に関するサービスなどを行なうASH27の情報(URLなど)を端末25へ回答する。
それから、端末25は、電子ペン10から取得した入力データをそのASH27へ送信する。
【0032】
次に、以下本発明の実施例に関して、図面を参照して説明する。
[機器構成]
本発明の機器構成等を、図5に示す。本発明の基本機器構成は、パーソナルコンピュータ
40に光学的なフラットベッドスキャナー42を接続したものである。
パーソナルコンピュータ40の内蔵ハードディスク等41には、電子ペン用ドットパターンデータをビットマップデータとして、変換したものが、電子ペン用帳票20毎に存在する。
なお、内蔵ハードディスク等41に記録さている電子ペン用ドットパターンデータは、電子ペン用帳票20の受注時に振られる品目毎の受注番号等で紐付けて、記録する。
これは、例えば、パーソナルコンピュータ40の専用ソフトを起動後に、当該品目の受注番号等を入力し、電子ペン用ドットパターン版32aとの識別時に内蔵ハードディスク等41より当該電子ペン用帳票20の電子ペン用ドットパターンデータのビットマップデータを抽出する際に利用するものである。
【0033】
[識別方法]
本発明の識別方法に関して、図5に照合フローを図示し、図6に部分照合位置の一例を図示し、図7に部分照合の一例の図示しており、これらの図示とともに以下に説明する。
1.電子ペン用ドットパターンは、どこを取ってもユニークなパターンであるので、内蔵 ハードディスク等41に予め当該電子ペン用ドットパターンデータをビットマップデ ータとして変換し、当該電子ペン用帳票20の受注時に振られる品目毎の受注番号等 で紐付けて、記録する。(S01)
2.当該電子ペン用ドットパターン版32aを光学的なフラットベッドスキャナー42で 走査する。(S02)
3.光学的なフラットベッドスキャナー42は、走査して得られたビットマップデータを パーソナルコンピュータ40に送信する。(S03)
4.パーソナルコンピュータ40は、内蔵ハードディスク等41に予め記録している当該 電子ペン用ドットパターンデータのビットマップデータと光学的なフラットベッドス キャナーより送られた当該電子ペン用ドットパターン版32aのビットマップデータ とを照合し、識別するものである。(S04)
5.識別可能なら、例えば次工程である刷版工程に当該電子ペン用ドットパターン版32 aを送る。(S05)
6.また、識別不可なら、再度、異なる電子ペン用ドットパターン版を光学的なフラット ベッドスキャナーで走査し、照合を実施する。(S06)
7.なお、パーソナルコンピュータの内蔵ハードディスクに記録されている当該電子ペン 用帳票20のビットマップデータと、電子ペン用ドットパターン版32aを光学的な フラットベッドスキャナー42で走査して得られたビットマップデータとの照合は、 部分照合でよい。なぜなら、仮に全面照合すると膨大なデータ量にのため、光学的な フラットベッドスキャナー42での読み込み時間がかかり非合理的であるからである 。
8.部分照合は、予め特定した内蔵ハードディスク等41に記録されているドットパター ンのビットマップデータの一部を抜き出して、光学的なフラットベッドスキャナー4 2により読み込まれた電子ペン用ドットパターン版32aのビットマップデータとの 、同一箇所のドットパターンが一致するかで識別する。
9.具体的には、図6に部分照合の特定位置の1例を示す。電子ペン用ドットパターン3 2aの右上端の角を基準として、各30mmの箇所を中心とする。この中心が中央と なるような一辺が3.6mmの正方形の範囲を部分照合範囲として比較43する。
10.仮に9で規定した範囲で一致しないのなら、部分照合範囲を上下左右に1.8mm ずつずらして、各々の箇所で部分照合し、すべての箇所で、一致しない場合には、当 該電子ペン用ドットパターン版は非該当と判定する。
11.図7に示す具体的な部分照合の一例としては、S11の位置で、部分照合後、識別 不可能なら、S12の位置に部分照合範囲を移動し、再度部分照合を実施する。ここ でも、識別が不可能なら、S13の位置で部分照合を実施する。S13の位置でも識 別が不可能なら、S14の位置に部分照合範囲を移動する。さらに、S14の位置で も識別が不可能であれば、S15の位置で部分照合を実施する。最後のS15の位置 でも、識別が不可能な場合には非該当と判定する。
【0034】
以上、本発明の製版工程での活用について説明したが、本発明は、製版工程での次工程での刷版工程でも活用は可能である。
具体的には、製版工程より下版された電子ペン用ドットパターン版32aを、確認するための活用である。
特に、電子ペン用ドットパターンが同時に複数品目流れる場合は取違の恐れがあるが、本発明では、照合結果が一致した場合のみに刷版を作製するため、間違った電子ペン用ドットパターン版32aでの刷版の作製を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】電子ペンの使用形態の模式的な説明図
【図2】電子ペンの構造及びデータ送信の説明図
【図3】電子ペン用帳票の説明図
【図4】電子ペン用帳票に形成された電子ペン用ドットパターンによる情報の表現方法の 説明図
【図5】機器構成等の説明図
【図6】部分照合位置の説明図
【図7】部分照合範囲の説明図
【符号の説明】
【0036】
10 電子ペン
11 プロセッサ
12 メモリ
13 微弱電波無線トランシーバ
14 バッテリー
15 LED
16 CCD搭載小型カメラ
17 ペン先
20 電子ペン用帳票
25 端末
26 ASH
27 PLS
30 用紙
32 電子ペン用ドットパターン
32a 電子ペン用ドットパターン版
34 絵柄
38 記入部
39 送信ボックス
40 パーソナルコンピュータ
41 内蔵ハードディスク等
42 光学的なフラットベッドスキャナー
43 部分照合範囲



【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクペンによる筆記手段と、光学的にドットパターンを読み取る読取手段から成る電子ペンにより筆記情報の取得可能にしたドットパターンの形成される印刷原版を識別するシステムであって、前記ドットパターンに対応する製版データを記憶する記憶手段と、前記ドットパターンに対応する印刷原版上に形成されたドットパターンを光学的に読み取るスキャナーと、前記スキャナーで読取ったドットパターンデータを記憶する記憶手段と前記製版データと前記スキャナーで読み取ったドットパターンデータとを照合する照合手段と、により印刷原版上のドットパターンを識別するようにしたことを特徴とする電子ペン用印刷原版識別システム。
【請求項2】
インクペンによる筆記手段と、光学的にドットパターンを読み取る読取手段から成る電子ペンにより筆記情報の取得可能にしたドットパターンの形成される印刷原版を識別する方法であって、前記ドットパターンに対応する製版データを記憶する記憶ステップと、前記ドットパターンに対応する印刷原版上に形成されたドットパターンを光学的に読み取るスキャナーと、前記スキャナーで読取ったドットパターンデータを記憶するステップと前記製版データと前記スキャナーで読み取ったドットパターンデータとを照合する照合ステップと、により印刷原版上のドットパターンを識別するようにしたことを特徴とする電子ペン用印刷原版識別方法。
【請求項3】
請求項2に記載の電子ペン用印刷原版識別方法において、予め定められた範囲及び位置にて部分照合をすることを特徴とする電子ペン用印刷原版識別方法。
【請求項4】
請求項2及び請求項3に記載の電子ペン用印刷原版識別方法において、予め定められた範囲及び位置にて部分照合が不成立な場合は、前記予め定められた照合範囲及び位置を予め定められた移動方法に従って移動し、それぞれの移動した位置で部分照合を行い、すべての部分照合が不成立の場合にのみ、照合が不成立と判定することを特徴とする電子ペン用印刷原版識別方法。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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