説明

電子マネー管理システム

【課題】イシュアがそれぞれ独自に発行した電子マネーであっても、ユーザカードに自由に補充したり利用できるようにする電子マネー管理システムを提供する。
【解決手段】カードID及びイシュアIDを記録してなるユーザカードに電子マネーを補充する入金端末装置30、ユーザカードから利用した電子マネーを減額する加盟店端末装置30等と通信できるように、インターネットNに電子マネー管理サーバ10を接続する。電子マネー管理サーバ10は、電子マネーの補充時には、入金端末装置30から入金額とイシュアIDとを取得し、入金額をイシュア毎に集計する。そして、集計された入金額の現金のイシュアへの受け渡しを行う。また、電子マネーの利用時には、加盟店端末装置50から利用額と加盟店のID及びイシュアIDを取得し、利用額をイシュア及び加盟店毎に集計する。そして、集計された利用額の現金の該当イシュアと該当加盟店との間の受け渡しを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のイシュアにより独自に発行された電子マネーを任意に補充して店舗で利用可能にする環境を提供する電子マネー管理システムに関する。ここで「電子マネー」とは金銭的価値をデジタルデータで表現したものをいい、「イシュア」とは、そのような電子マネーの発行組織体(団体、企業等)をいう。
【背景技術】
【0002】
電子マネーは、クレジットカードでは困難な少額支払いにも対応することができ、現金の取扱いの不便さや現金を持ち歩くリスクを軽減できる仕組みとして注目されている。このような電子マネーの使用形態には、様々なものが考えられる。
例えば、ICカードを用いたプリペイド型の電子マネーでは、ユーザが保有するICカードに予め所定額の電子マネーを記録しておき、これを店舗で適宜利用(電子マネーが表す金額的価値を現金に代えて費消すること、以下同じ)することができるようになっている。ICカードには、専用の電子マネー補充装置にユーザが現金を投入することによって、その現金に対応する金銭的価値の電子マネーが補充される。
ICカードは、イシュア毎に発行されるのが一般的である。通常は、電子マネー補充装置やICカードに記録されている電子マネーを減額する電子マネー減額装置もイシュア毎に設置される。ICカードの発行に際しては、そのICカードに固有のカードIDを付与し、これをイシュア側で管理する。イシュアは、また、電子マネー補充装置を通じて発行した電子マネーの発行高等も管理している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−272763
【特許文献2】特開2001−34695
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ICカードがイシュア毎に発行され、電子マネー補充装置も独自に設置されると、電子マネーのユーザは、異なるイシュアの電子マネー補充装置を用いて電子マネーを補充することができないという不都合が生じる。また、電子マネーによる支払いを受ける店舗、例えば百貨店、レストラン、自動販売機などでも、イシュア毎に専用の電子マネー減額装置を設置する必要があり、コストが嵩んでしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、複数のイシュアがそれぞれ独自に発行した電子マネーの補充と、ユーザによる電子マネーの利用を容易にするための仕組みを提供することを、主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明は、電子マネー管理システム、電子マネーの管理方法及びこのような管理方法をコンピュータを用いて行うためのコンピュータプログラムを提供する。
【0007】
(1)請求項1に記載した発明では、自らを識別するための媒体識別情報を記録してなる可搬性の記録媒体に、指示された金銭的価値分の電子マネーを補充する電子マネー補充手段と、通信路を介して接続される電子マネー管理システムであって、前記補充先の記録媒体を保有する者以外の第三者からの電子マネーの補充の指示を受け付ける補充指示受付手段と、補充対象となる電子マネーに対応する金銭的価値を前記第三者の識別情報及び前記特定の記録媒体の媒体識別情報と共に保持する補充情報管理手段と、前記電子マネー補充手段で電子マネーを補充する記録媒体から媒体識別情報を読み出す媒体識別情報取得手段と、前記媒体識別情報取得手段で読み出された媒体識別情報が、前記補充情報管理手段で保持された媒体識別情報であることを確認する媒体識別情報確認手段と、を電子マネー管理システムに具備させる。
(2)請求項2に記載した発明では、請求項1に記載した電子マネー管理システムにおいて、前記電子マネー補充手段は、前記媒体識別情報確認手段で確認された媒体識別情報を記録してなる記録媒体に、前記補充情報管理手段で保持している電子マネーを補充することを特徴とする。
(3)請求項3に記載した発明では、請求項1又は請求項2に記載の電子マネー管理システムにおいて、前記媒体識別情報確認手段で一定期間特定の媒体識別情報を確認できない場合に、前記補充情報管理手段で保持された第三者の識別情報から、前記第三者の口座を特定し、前記補充情報管理手段で保持している金銭的価値を前記特定した第三者の口座に返信することを特徴とする。
(4)請求項4に記載した発明では、自らを識別するための媒体識別情報を記録してなる可搬性の記録媒体に、指示された金銭的価値分の電子マネーを補充する電子マネー補充手段と、通信路を介して接続される電子マネー管理システムであって、電子マネー付与のための条件を受け付ける付与条件蓄積手段と、前記受け付けた電子マネー付与のための条件から、電子マネーの補充対象となる媒体識別情報を特定する媒体識別情報特定手段と、補充対象となる電子マネーに対応する金銭的価値を前記特定された媒体識別情報と共に保持する補充情報管理手段と、前記電子マネー補充手段で電子マネーを補充する記録媒体から媒体識別情報を読み出す媒体識別情報取得手段と、前記媒体識別情報取得手段で読み出された媒体識別情報が、前記補充情報管理手段で保持された媒体識別情報であることを確認する媒体識別情報確認手段と、を電子マネー管理システムに具備させる。
(5)請求項5に記載した発明では、請求項4に記載の電子マネー管理システムにおいて、前記電子マネー補充手段は、前記媒体識別情報確認手段で確認された媒体識別情報を記録してなる記録媒体に、前記補充情報管理手段で保持している電子マネーを補充することを特徴とする。
(6)請求項6に記載した発明では、請求項4又は請求項5記載の電子マネー管理システムにおいて、前記媒体識別情報確認手段で一定期間特定の媒体識別情報を確認できない場合に、前記付与条件蓄積手段で電子マネー付与のための条件を受け付けた受付元を特定し、当該特定した受付元に前記補充情報管理手段で保持している金銭的価値を返信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、どのイシュアが発行した電子マネーであっても記録媒体に電子マネーを補充したり、補充された電子マネーを利用したりすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態による電子マネーシステムの全体構成図。
【図2】記録媒体の一例となるユーザカードの構成図。
【図3】ユーザカードのEEPROMに記録される情報の例を示した図。
【図4】識別情報の構造説明図。
【図5】入金端末装置の機能構成図。
【図6】電子マネー管理サーバの機能構成図。
【図7】イシュアサーバの機能構成図。
【図8】加盟店端末装置の機能構成図。
【図9】家庭用端末装置の機能構成図。
【図10】オフラインによる電子マネーの補充形態の概念図。
【図11】オフライン補充時の処理手順図。
【図12】オンラインによる電子マネーの補充形態の概念図。
【図13】オンライン補充時の処理手順図。
【図14】電子マネー管理サーバによる入金管理処理の手順説明図。
【図15】電子マネーの利用形態の概念図。
【図16】加盟店端末装置における利用処理の手順説明図。
【図17】家庭用端末装置における利用処理の手順説明図。
【図18】電子マネー管理サーバによる精算管理処理の手順説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を説明する。
[全体構成]
図1は、本発明が適用される電子マネーシステムの全体構成図である。
電子マネーシステムは、LAN(Local Area Network)を用いた構内コンピュータネットワーク、専用線又は仮想専用線を用いた組織内コンピュータネットワーク、インターネット等の広域のコンピュータネットワークを利用したグローバルネットワーク等による実現が可能であるが、この実施形態では、グローバルネットワークによる電子マネーシステムの例を説明する。
【0011】
この実施形態の電子マネーシステム1は、インターネットNに、電子マネー管理システムの一例となる電子マネー管理サーバ10を配備し、この電子マネー管理サーバ10で、入金管理処理、精算管理処理、情報照会処理を含む電子マネー及びそれに対応する金銭的価値の流通に関わる一切の情報処理を行う。
電子マネー管理サーバ10には、この情報処理の結果情報に基づく付随的な管理機構、例えば金銭的価値の代表例である現金の回収、精査、振り分け、集計等を行うための機構も設けられている。
インターネットNには、電子マネーのイシュアに配備されるイシュアサーバ20、電子マネー補充手段の一例となる入金端末装置30、主幹銀行口座管理コンピュータ40、電子マネー減額手段の一例となる加盟店端末装置50、個人ユースの家庭用端末装置60、クレジットカードを発行したクレジットカード会社が有する与信システムやキャッシュカードを発行した銀行が締結する複数銀行間取引システムのような各種コンピュータシステム(以下、「銀行等システム」)70が接続ないし接続可能とされている。
「家庭用端末装置」という場合、事業所において個人的用途で使用する情報処理端末やPDA等の携帯端末を含むものとする。
入金端末装置30、加盟店端末装置50、家庭用端末装置60は、それぞれ必要に応じて複数の場所に設置され、適宜、その増減が可能なものである。
【0012】
イシュアサーバ20は、複数のイシュアの各々に配備されるもので、それぞれそのイシュアが発行した電子マネーの発行高その他の電子マネーに関する情報を管理している。
但し、電子マネーの発行に対する現金の支払いを管理さえできれば本発明の実施は可能なので、電子マネーについての管理の形態は任意であってよい。
各イシュアは、電子マネーのほかに、その電子マネーを記録するための記録媒体、例えばICチップを搭載した可搬性の記録媒体の一例となるユーザカードを発行している。
ユーザカードは、原則として、一つのイシュアから一枚発行される。但し、本発明を実施する上で、すべてのイシュアがそれぞれ独自のユーザカードを発行する必要はなく、いずれかのイシュアが発行した一枚のユーザカードであってもよい。ユーザカードは、電子マネーを記録するだけのいわゆる電子財布として機能するだけであり、電子マネーを用いた取引の際にその電子マネーのイシュアを識別するためのイシュアIDが記録されればよいので、ユーザカードは、1枚でも足りるのである。
【0013】
入金端末装置30は、ユーザ等からの補充の指示に基づいてユーザカードに電子マネーを補充する装置であり、銀行、コンビニエンス・ストア、クレジットカード会社、加盟店等の入金業者等、様々な場所に設置される。銀行やクレジットカード会社ではATM、コンビニエンス・ストアではMMK(多機能型情報端末機:ATM機能とEC(電子商取引)と公共料金収納機能等を複合したマルチメディア対応の多機能情報ターミナル)、加盟店では入金機能付き精算レジスタ等が、それぞれ入金端末装置30となり得る。
入金端末装置30は、現金投入、クレジットカード決済、電子マネー管理サーバ10からの指示のいずれかによって、該当する金銭的価値分の電子マネーの補充を行う。その入金端末装置30が特定のイシュアによって設置された場合は、補充に際してイシュアIDがユーザカードに記録される。入金端末装置30が、イシュアを選択できるようになっている場合は、選択されたイシュアのイシュアIDがユーザカードに記録される。
電子マネーの補充に際しては、補充先のユーザカードからカードID、イシュアID、及び電子マネーの補充情報を電子マネー管理サーバ10に送出する。電子マネーの情報とは、電子マネーに対応する金銭的価値(現金の場合はその金額)その他の電子マネー管理情報である。
現金投入によって電子マネーが補充される場合、入金端末装置30は、回収した現金を電子マネー管理サーバ10の管理主体(「電子マネー管理会社」と称する)に送金する機構を備えている。
【0014】
主幹銀行口座管理コンピュータ40は、電子マネー管理会社の主幹銀行の登録口座を管理するコンピュータである。主幹銀行とは、電子マネーの発行・利用に伴なう現金の受け入れ、支払いを決済するための口座を持つ銀行をいう。この主幹銀行口座管理コンピュータ40は電子マネー管理サーバ10と連結されており、必要に応じて、イシュアや店舗等の口座間取引のための処理を行う。
【0015】
加盟店端末装置50は、電子マネーによるユーザの代金支払いを受け付ける装置であり、電子マネーを扱うことができる店舗(これを「加盟店」と称する)に設置される。加盟店は、商品、各種情報、デジタルコンテンツの販売、サービスの提供を行う店舗である。
加盟店には、実在の店舗と、いわゆるインターネット上のサイバー店舗と、その両方を有するものとに分けられる。実在の店舗には、カード認証モジュールを搭載した店舗端末、POS、自動販売機等(端末自身がセキュリティを保ちながらカードとやり取りを行う)を設置している店と、カード認証モジュールを搭載しない端末、電子マネー管理サーバ10とオンラインで処理を行うMMK等(端末はセンターとユーザカード間のセキュアなやり取りを中継する機能のみを持つ)を設置している店とがある。
サイバー加盟店には、インターネット上でのデジタルコンテンツ・物品購入等において、電子マネーによる支払いも同じに終わらせてしまうサイト(端末はセンターとユーザカード間のセキュアなやり取りを中継する機能のみを持つ)を持つ店と、チケットや弁当の予約をインターネットを用いて行い、その対価をコンビニエンスストア等の店舗に設置されたPOSレジスタで支払う(端末自身がセキュリティを保ちながらカードとやり取りを行う)店とがある。この実施形態では、いずれの形態の加盟店においても、電子マネーによる代金支払いを可能にするものとする。
【0016】
家庭用端末装置60は、例えばコンピュータネットワークを介した双方向の通信機能を備えたパーソナルコンピュータ(PCと略す)であり、ICカードリーダ・ライタを接続し、このICカードリーダ・ライタを用いることで、ユーザカードに電子マネーを補充したり、ユーザカードに記録されている電子マネーを利用できるようにするものである。
【0017】
[ユーザカード]
ここで、本実施形態の電子マネーシステム1で使用するユーザカードについて説明する。ユーザカードには、電力の供給と信号の入出力を電気接点(コンタクト)で行う接触式ICカード、又は、外部端子を持たない非接触式ICカードのいずれかを用いることができる。非接触式のICカードの例としては、ソニー株式会社が製造・提供する「FeliCa(フェリカ)」(商標)などを用いることができる。
【0018】
図2は、ユーザカードの一例を示した図である。
このユーザカードUCは、ICチップ内に形成された、CPU(Central Processing Unit)によって構成される制御部1001、ROM(Read Only Memory)1002、RAM(Random Access Memory)1003、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)1004と、カード媒体上に形成されたカード通信インターフェース1005とを有する。
カード通信インターフェース1005は、ユーザカードUCが接触式ICカードの場合は電気接点、非接触ICカードの場合には送受信用のアンテナとなる。 EEPROM1004には、図3のように、識別情報B01、ファイル及びディレクトリの定義情報B02、ファイルへのアクセスキーB03等の管理情報と、電子マネーの残高を表す残高データB04と、電子マネーの利用履歴(リカバリに関わるものを含む)を表すログデータB05と、ユーザに関するユーザデータB06等が記録されるようになっている。
識別情報B01は、図4に示すように16桁の数字からなり、最初の4桁が電子マネーのイシュアを識別するためのイシュアID、次の4桁がカードを発券した組織体を識別するためのカード発券体ID、次の8桁がそのICカードに固有のシリアル番号となる。カード発券体IDとシリアル番号との組によってカードIDとして扱われる。
【0019】
次に、各端末装置20〜60及び電子マネー管理システム10の構成例をより具体的に説明する。
[入金端末装置]
入金端末装置30は、図5にその構成例を示すように、制御部301、ユーザが保有するユーザカードUCとの間でデータの受け渡しを行うICカードリーダ・ライタ302、ユーザのキャッシュカードやクレジットカードの磁気記録帯(ストライプ)からデータを読み取る磁気カードリーダ303、ユーザカードの正当性を認証するカード認証部304、投入された現金の金種判定、その受付その他の所要の処理を行う現金処理部305、補充記録であるレシートを印字するプリンタ306、液晶またはCRTからなる表示部307、キーボードまたはタッチパネルからなる操作部308、電子マネーの補充に関する情報を記憶する記憶部309、コンピュータネットワークを介して外部装置と通信を行うための通信インターフェース310とを備えている。
制御部301は、ユーザによる操作部308の操作、ICカードリーダ・ライタ302へのユーザカードUCの装着又は磁気カードリーダ303へのカード装着を契機に、ユーザカードUCからの情報の読み取り及びユーザカードUCへの電子マネーの補充に関する一切の動作を制御する。必要に応じて、電子マネー管理サーバ10との間に通信路を確立し、所要の情報の受け渡しを行う。
記憶部309には、上記の電子マネーの補充に関する情報のほかに、当該入金端末装置30を識別するためのIDが、例えば数字10桁の番号として記録されている。このIDは、その入金端末装置30に一意となる数字であって、電子マネー管理サーバ10等が電子マネーの流通状態を管理する目的で使用するものである。
【0020】
[電子マネー管理サーバ]
電子マネー管理サーバ10は、インターネットNを媒介とした通信を行う機能を有するサーバ本体と、このサーバ本体のCPUにより読み取られて電子マネー管理に関する各種機能をサーバ本体内に形成させる本発明のコンピュータプログラムとにより実現される。
【0021】
図6は、サーバ本体がコンピュータプログラムを読み取って実行することにより形成される機能ブロックの構成図である。
この実施形態では、電子マネー管理に関する統括的な制御を行う制御部100、電子マネーの補充の際の入金管理を行う入金管理部110、電子マネーを発行するすべてのイシュアの情報を管理するイシュア管理部120、ユーザカードUCに記録されている情報を管理するカード情報管理部130、電子マネーの利用が可能なすべての加盟店の情報を管理する加盟店管理部140、外部より受け付けた電子マネーの補充指示の情報を管理する補充指示管理部150、電子マネーの補充が正常終了しなかったユーザカードUCを正常終了した状態に修復させるリカバリ処理部160、各種端末装置の認証を行う端末装置認証部170、電子マネーが利用(利用)されたときの精算処理を行う精算管理部180、インターネットNとの間で行う通信を制御する通信インタフェース190が形成されるようにする。
【0022】
入金管理部110は、電子マネーが補充されたときの入金管理に関する処理を行うもので、ユーザや第三者からの補充指示を受け付ける際のウェブ画面を生成する機能をも有する。また、入金に関わる事業者の情報を蓄積した入金業者データベース(以下、データベースを「DB」と略す。)111と、補充用に入金された履歴をユーザカードUCを識別するための情報とリンクして記録しておくための入金ログDB112とを有している。利用ログは、ユーザカードUCの活用状況を事後的に把握するため等に使用される。
イシュア管理部120は登録されているイシュアの情報を蓄積するイシュアDB121と利用された電子マネー及びそれに対応する金額の集計データをイシュア毎に記録しておくための電子マネー発行管理DB122とを有している。
カード情報管理部130は、電子マネーが補充され、あるいは減額されたユーザカードUCの情報を蓄積するためのカード情報DB131を有している。
加盟店管理部140はこの電子マネーシステムに加盟しているすべての加盟店の情報を蓄積するための加盟店DB141と、電子マネーが利用された事実等を蓄積するための利用ログDB142とを有している。
補充指示管理部150は、第三者から特定のユーザカードUCへの補充を指示された電子マネーをその第三者の名称及び補充対象となるユーザカードUCが明らかになる情報と共に一時的に保存するためのバリューDB151と、例えばイシュアが独自に定めた電子マネー付与のための条件等を蓄積したバリュー付与条件DB152とを有している。
端末装置認証部170は暗号通信を行う際に使用する鍵を蓄積する暗号DB171を有している。
精算管理部180は、電子マネーが利用された日時、金額、店舗等をユーザカードUC及びイシュア毎に蓄積する精算ログDB181と、現金の精算等に関わる事業者の情報を蓄積した精算業者DB182と、入金先又は引き落とし先となる者(事業者、店舗経営者等)の銀行口座等を蓄積する銀行口座DB183とを有している。
精算ログは、ユーザカードUCの活用状況を事後的に把握して分析するため等に使用される。
【0023】
[イシュアサーバ]
イシュアサーバ20もまた、インターネットNを媒介とした通信機能を有するサーバ本体と、このサーバ本体のCPUにより読み取られて所要の機能をサーバ内に形成させるコンピュータプログラムとにより実現される。
イシュアによっては、自己が発行した電子マネーが利用されたことを認知した時点で利用額の現金又はそれと同等の財的価値をもつポイントを利用元に支払うサービスを行う場合も考えられ、このような場合には、電子マネーの利用額累計を管理するだけの最も単純な管理形態が可能であるが、この実施形態では、電子マネーの流通状況と利用履歴をも把握できるようにするため、自らが発行したユーザカードUCと1対1に対応したマネー口座を、電子マネーの発行高累計と共に管理する場合の例を挙げる。マネー口座は、現在、そのユーザカードUCにどの位の電子マネーが記録され、あるいは利用されているかを把握できるようにするためのものである。
そのため、本実施形態では、図7に示すように、イシュアサーバ20に、電子マネーの管理に関わる制御を統括的に行う制御部201と、発行した電子マネーについての入金実績の管理を入金ログDB202Aと、電子マネーの利用ログを蓄積するための利用ログDB203Aと、ユーザカードUC毎の電子マネーの利用状況を記録するためのマネー口座を特定するための情報を蓄積した口座DB205と、入金ログDB202A及び口座DB205との協働により電子マネーの利用実績を管理する入金実績管理部202と、利用ログDB203A及び口座DB205との協働により自らが発行した電子マネーの利用実績を管理する利用実績管理部203と、発行された電子マネー及び利用された電子マネーに対応する現金の出納状況管理を口座DB205との協働により行う出納管理部204と、インターネットNとの間の通信を制御する通信インターフェース206の機能ブロックが形成されるようにする。
【0024】
[加盟店端末装置]
加盟店端末装置50は、図8に示すようにユーザカードUCとの間で情報の受け渡しを行うICカードリーダ・ライタ501、そのユーザカードUCの正当性を認証するICカード認証部502、利用(費消)記録であるレシートを印字するプリンタ503、液晶またはCRTからなる表示部504、キーボードまたはタッチパネルからなる操作部505、記憶部506、インターネットNを媒介とした通信を制御する通信インターフェース507、及び、現在時刻を計時するための時計509を有している。
記憶部506には、加盟店端末装置のIDが、例えば数字10桁の識別番号として記録されている。このIDは当該加盟店端末装置に一意となる数字であって、電子マネー管理サーバ10等が電子マネーの流通状態を管理する目的で使用するものである。
【0025】
[主幹銀行口座管理コンピュータ等]
主幹銀行の口座管理コンピュータ40及び銀行システム70は、電子マネー管理サーバ10等の要求に従って指定の口座への入金または指定の口座への振り込み処理を行う。
【0026】
[家庭用端末装置]
家庭用端末装置60は、図9に示すように、PC61及びこのPC61に接続可能な専用のICカードリーダ・ライタ62を含んで構成される。PC61には、図10に示すように、キーボード614、マウス615などの入力装置、CRTや液晶ディスプレイなどの表示装置613が接続されるようになっている。PC61は、また、装置内の動作を制御する制御部611、ICカードリーダ・ライタ62や表示装置613等とのインタフェース612、カード認証を行うためのICカード認証部616、プログラム等を記憶させておくための記憶部617、加入者電話回線またはインターネット専用回線によって、上述したコンピュータネットワーク上の電子マネー管理サーバ10に接続するための通信インタフェース618、表示装置613にインタフェース画面を表示させるためのウエブブラウザ619を備えている。
ICカード認証部616は、専用のハードウェアをPC61に装着することによって実現してもよいし、電子マネー管理会社から供給される専用のプログラムおよびデータを記憶部617に読み込んで制御部611がこれを実行することによっても実現可能である。また、ウェブブラウザ619は、市販のWWW(World Wide Web)サイト閲覧ソフト、例えば、マイクロソフト社が提供する「Internet Explorer」を記憶部617に読み込んで、制御部611がこれを実行することによっても実現される。
【0027】
<運用形態:電子マネー管理方法>
次に、この実施形態による電子マネーシステム1の運用形態の例を説明する。 ここでは、電子マネーの補充形態、補充時の入金管理処理の内容、電子マネーの利用形態、利用時の精算管理処理の内容について説明する。
ユーザカードUCへの電子マネーの補充形態としては、ユーザの意思によるもの(ユーザによる現金投入、キャッシュカード又はクレジットカード決済)と、ユーザ以外の第三者の意思(ギフト、景品等)によるものとがある。また、電子マネーの補充形態及び利用形態として、オフラインによるものとオンラインによるものとがある。
【0028】
[電子マネーの補充1:オフライン補充]
ユーザの意思による電子マネーの補充形態のうち、オフラインで行う場合の概念図を図10に示す。オフラインによる電子マネーの補充は、ユーザカードUCを保有するユーザが最寄りの入金端末装置30の現金投入口301に現金を投入することにより、あるいはその入金端末装置30の磁気カードリーダ303に装着されたキャッシュカード若しくはクレジットカードを挿入することにより、ICユーザリーダ・ライタ302に装着された自分のユーザカードUCに、指示した額の電子マネーを補充する。入金端末装置30を使用可能なユーザカードUCとしては、その入金端末装置30を設置したイシュアが発行したものに限定されず、他のイシュア(イシュアA、イシュアB・・・)が発行したユーザカードUCであってもよい。
【0029】
この場合の入金端末装置30(制御部301)における処理手順は、図11のようになる。
ICカードリーダ・ライタ302にユーザカードUCが装着され、操作部308を介して電子マネーの補充が指示されると(S101:Yes、S102:Yes)、制御部301は、ICカードリーダ・ライタ302を通じてそのユーザカードUCに記録されている識別情報B01を読み出し(S103)、カード認証部304にユーザカードUCの正当性を認証させる(S104)。カード認証は、当該入金端末装置30内のみで行ってもよく、電子マネー管理システム10に接続して所定の情報を送信し、電子マネー管理システム10側(カード情報管理部130)で、あるいは電子マネー管理システム10と当該入金端末装置30との協働によって行うようにしてもよい。
カード認証の結果、正当なユーザカードUCであった場合は、表示部307を通じてユーザに現金投入を促す。現金投入が検知された場合は(S105:Yes)その金額を表す金額データをユーザカードUCへ送出する(S106)。ユーザカードUCでは、その制御部1001が、入金端末装置30から送信された金額データをEEPROM1004の電子マネー残高に加えることにより、当該電子マネーの残高を表す残高データB04を更新する。更新が正常に終了した場合は(S107:Yes)、当該ユーザカードUCに補充済コードを記録する(S108)。更新が正常に終了しなかった場合は、バックアップ処理を実行する(S107:No、S109)、バックアップ処理とは、補充用にユーザカードUCへ送出した金額データが表す入金額とそのユーザカードUCの識別情報B01とを図示しないテンポラリファイルに記録しておく処理である。その後、更新が正常に終了したユーザカードUCから読み取った識別番号B01、入金額、入金の日時、自装置(入金端末装置)の端末装置IDを含む入金ログ、更新が正常に終了しなかった場合は、上記のテンポラリファイルに記録されている情報を電子マネーの補充情報として、通信インタフェース310を通じて電子マネー管理サーバ10宛に送信する(S110)。
【0030】
なお、ステップS101の処理において、正常に更新されなかったユーザカードUCが装着されたときは、そのリカバリ処理を行う。リカバリ処理は、上述のように、当該ユーザカードUCに金額データを送出したが、何らかのトラブルによりユーザカードUCに補充済データが記録されていない場合に、そのユーザカードUCに、事後的に補充済データを記録させることにより、既に記録されている電子マネーを利用可能にするものである。
リカバリ処理が必要なユーザカードUCは、上記の補充情報により電子マネー管理システム10側で把握されているので、例えばカード認証(上記のS104)の際、そのようなユーザカードUCを認知したときに、電子マネー管理サーバ10(リカバリ処理部160)からの指示により、そのユーザカードUCに補充済データを記録させるようにする。
【0031】
キャッシュカード又はクレジットカードによる場合は、磁気カードリーダ303を通じてその磁気ストライプから銀行口座番号、クレジットカード番号等を読み出し、カード認証部304に、そのキャッシュカード又はクレジットカードの与信を行わせる点が、図11に示した現金投入の場合の処理手順と異なる。与信は、例えば銀行等システム70に、当該カードの有効性、ユーザから指示された金額が与信限度の範囲かどうかを問い合わせる処理である。正当なキャッシュカード又はクレジットカードであり且つ指示された金額が与信限度の範囲内の場合、銀行等システム70は承認データを入金端末装置30に返信する。これにより与信が終了する。
なお、以上は、入金端末装置30が電子マネー補充用に銀行等に単独で配備されている場合の例であるが、加盟店端末装置50とリンクさせて加盟店に配備するようにしてもよい。また、店舗の精算レジスタに、図5に例示した入金端末装置30の機能を付加し、当該精算レジスタにおいて生じた釣り銭を電子マネーに換算してユーザカードUCに補充するようにしてもよい。
【0032】
[電子マネーの補充2:オンライン補充]
ユーザがオンラインで電子マネーを補充する場合の要領について説明する。オンライン補充は、ユーザが図9に例示した構成の家庭用端末装置60を操作することにより行う。図12は、オンライン補充の概念図である。
オンライン補充は、電子マネーの入金業者が運営するサービスサイトを通じてそれを行う場合と、電子マネー管理サーバ10がそれをユーザに行わせる場合とがある。サービスサイトを通じて電子マネーを補充する場合は、サイト側で用意した画面を通じて入金指示された金額の現金等が事後的に入金業者から電子マネー管理会社に転送(あるいは振込)される点以外は、電子マネー管理サーバ10を通じて行う場合とほぼ同様となる。
【0033】
電子マネー管理サーバ10によるオンライン補充の手順は、図13のようになる。すなわち、ユーザからのアクセスを検知すると、電子マネー管理サーバ10は、ユーザが操作する家庭用端末装置60の表示装置613(「ユーザ側装置」)に各種メニューを含むウェブ画面を表示させる(S201:Yes、S202)。
ユーザがマウス615を操作してウェブ画面から入金のためのメニューを選択したことを検知すると、電子マネー管理サーバ10は、HTML形式の電子マネー管理画面データを送出し、ウェブブラウザ619を通じて電子マネー管理画面を表示させる(S203:Yes、S204)。この電子マネー管理画面には、電子マネーの補充指示のための入金ボタンのほか、残高確認、他のユーザへの電子マネーの転送等、種々のサービス用のボタンが表示されるようになっている。ここでは、入金ボタンが選択され、ユーザにより入金ボタンがクリックされたものとする。すると、電子マネーの補充指示があったことを表すデータが電子マネー管理サーバ10に送信される。
電子マネー管理サーバ10は、この補充指示を認識して家庭用端末装置60(PC61)のウェブブラウザ619にメッセージを表示させ、ユーザカードUCをICカードリーダ・ライタ62に装着するように促す(S206)。ユーザカードUCが装着されると、ICカードリーダ・ライタ62を通じてそのユーザカードUCに記録されている識別情報B01を読み出し、この識別情報B01に基づいてICカード認証部616にカード認証を行わせる(S207)。正当なユーザカードUCであることが確認された場合は、ウェブブラウザ619に入金額を入力させるための案内画面を表示させる(S208)。入金は、そのユーザの銀行口座からの引き落とし又はクレジット決済により行う。そのため、入金額の入力という場合、銀行口座又はクレジットカード番号等及び引き落とし額の入力を意味する。ユーザがキーボード614により電子マネーの入金額を入力したことを検知すると、その額を表す金額データを、ICカードリーダ・ライタ62を介してユーザカードUCに送出させ、残高データB04を更新させる(S209)。ユーザカードUC側では、その制御部1001が、送信された金額データをEEPROM1004の電子マネー残高に加えることにより、当該電子マネーの残高を表す残高データB04を更新する。
正常に更新が終了した場合は、当該ユーザカードUCに補充済コードを記録させる(S210;Yes、S211)。更新が正常に終了しなかった場合は、バックアップ処理を実行させる(S210:No、S212)。バックアップ処理については、上述したとおりであり、家庭用端末装置60にそれを行わせてもよく、電子マネー管理サーバ10においてそれを行うようにしてもよい。
その後、更新が正常に終了したユーザカードUCから読み取った識別番号B01、入金額、入金の日時を含む入金ログ、更新が正常に終了しなかった場合は、テンポラリファイルに記録されている情報を電子マネーの補充情報として、家庭用端末装置60より取得し、これをバリューDB151等に保存する(S213)。
【0034】
[電子マネーの補充3:第三者からの指示による補充]
ユーザ以外の第三者の意思によりそのユーザが保有するユーザカードUCに電子マネーを補充する態様としては、イシュアによる補充と、ユーザの友人や親族のような個人による補充とがある。
この場合の補充に際しては、イシュアサーバ20あるいは入金端末装置30が、補充を指示する者の識別情報と補充すべき金額とを含む補充指示を直接受け付け、電子マネー管理サーバ10に対しては、その者の識別情報と入金額とを含む入金ログのみを送信するという形態も可能であるが、ここでは、個人からの補充指示もイシュアからの補充指示も、電子マネー管理サーバ10のウェブ画面及び補充指示管理部150を通じて受け付ける場合の例を挙げる。
【0035】
イシュアによる補充の場合は、イシュアが独自に定めた特別補充要件(例えばキャンペーン期間中の補充に500円分の電子マネー付与等)と補充額の情報とをイシュアサーバ20等を通じて補充指示管理部150により受け付け、補充額の情報についてはバリューDB151に蓄積し、特別補充要件については、それをバリュー付与条件DB152に記録しておく。
個人による補充の場合は、例えば図12のように、その個人が家庭用端末装置60を操作することにより行えるようになる。電子マネー管理サーバ10では、その個人の識別情報、補充先のユーザカードの識別情報(あるいはユーザ名)、入金額を補充指示管理部150で受け付け、これをバリューDB151に記録しておく。また、銀行等システム70を通じて当該個人から入金額に対応する現金を受け取っておく(口座管理コンピュータ40)。
その個人の家庭用端末装置60にICカードリーダ・ライタ62が接続されていて、その個人がユーザカードUCを保有している場合は、そのユーザカードUCからの電子マネーの転送によって補充先の他のユーザカードUCへの電子マネーを補充することも可能である。この場合は、その個人にとっては、後述する電子マネーのオンライン利用と同じ状態にとなる。
【0036】
いずれかの入金端末装置30にユーザカードUCが装着されたことを検知し(例えばカード認証時等)、そのユーザカードUCが特別補充要件に適合するカード又は上記の個人から指示された補充先のユーザカードUCであることが補充指示管理部150により確認されると、補充指示管理部150は、当該入金端末装置30宛に、バリューDB151から該当する補充額の情報を読み取って通知する。これにより、当該入金端末装置30を通じてユーザカードUCに、当該補充額の電子マネーが補充される。
【0037】
なお、第三者及びイシュアからの補充指示を受け付けた後、所定期間経過しても補充先となるユーザカードUCを検知できなかった場合、電子マネー管理サーバ10は、その補充指示及び補充額を受付元に返信する。
また、第三者の意思による電子マネーの補充の場合、ユーザは、自分のユーザカードUCに電子マネーが補充されることを知らないのが通常なので、補充指示を受け付けた場合は、補充指示管理部150に該当するユーザへ電子メール等で通知する機能を付加するようにしてもよい。但し、このようなサービスを可能にする場合は、予め、補充先のユーザカードUCを保有するユーザのメールアドレスを当該第三者あるいはユーザから知得しておく必要がある。
【0038】
[入金管理処理]
次に、ユーザカードUCに電子マネーが実際に補充された場合の入金管理処理について説明する。この処理の手順は、図14に示すとおりである。上述のように、入金端末装置30で電子マネーが補充されると、その入金端末装置30から入金ログが電子マネー管理サーバ10に届く。また、イシュア又は個人から補充指示を受け付け、それが実行された場合(該当するユーザカードUCが検知され、それに電子マネーが補充された場合)には入金ログの一部又は全部が電子管理サーバ10に存在する。
このように、ユーザカードUCへの電子マネーへの補充が行われた場合は、その事実と、補充先のユーザカードUC及び電子マネーのイシュアを特定するための情報と、入金額を示す情報とがすべて電子マネー管理サーバ10において把握可能になる。そこで、電子マネー管理サーバ10が主体的となって、以下の手順で入金管理処理を行う。
【0039】
まず、入金管理部110により入金ログが集められると、これらを入金ログDB112に記憶させる(S301:Yes、S302)。入金ログDB112には、通常、取引のあった日のうちに一日分の入金ログが記憶される。集められた入金ログは、必要に応じ、入金管理部110において、入金端末装置30の異常やエラーの検出、システム的な登録漏れの検出、稼働または取引状態の確認等を含む精査を受ける。
カード情報管理部130で、入金ログに含まれる識別情報B01のうち、イシュアID、カード発行体ID、シリアル番号別に入金ログの詳細内容を整理し、カード情報DB131でユーザカードUC別に設けられているレコードに、入金額、入金の日時、補充した端末装置ID(入金履歴)を記憶させる(S303)。
これらの処理が終了すると、イシュア管理部120が識別情報B01中のイシュアIDを検索キーとして入金ログをイシュア別に集計ないし振り分け(S304)、その結果を発行管理DB122中に記憶させる(S305)。
【0040】
イシュア別の集計ないし振り分けの処理が終わると、イシュア管理部120は、発行管理DB122中に記憶されているイシュア別の入金ログのうち少なくとも入金額の情報を、該当するイシュアのイシュアサーバ20宛に送信する(S306)。また、そのイシュア宛に、振り分けされた入金ログに対応する現金が届くように、主幹銀行口座コンピュータ又は銀行等システム70を制御する(S307)。
イシュアサーバ20では、入金ログを受信すると、入金実績管理部202でそれを入金ログDB202Aに記憶させるとともに、その入金ログに含まれる識別情報B01によって特定されるユーザカードUCのマネー口座に入金額を入金する。入金実績管理部202は、口座DB205を検索し、入金ログに対応する金額が電子マネー管理会社から実際に振込がなされているかどうかを確認し、なされていれば入金のための処理を終える。
【0041】
なお、イシュアの意思によって電子マネーが、あるユーザカードUCに補充された場合であって、その補充額がイシュアにより認識されている場合、上記の入金精算処理における、イシュアによる入金額の確認処理は必ずしも必要ではない。
ユーザ以外の個人の意思によってユーザカードUCに電子マネーが補充された場合は、受け付けた現金等が電子マネー管理サーバ10からイシュア宛に届くようにする点のみが異なる。
【0042】
以上の説明から理解されるように、どのイシュアにより発行される電子マネーであっても、また、それがどの入金端末装置30からであっても、さらに、補充先のユーザカードUCがどのようなものであっても、電子マネーが補充されると、入金ログが電子マネー管理サーバ10に集中的に集まる。入金ログには、補充した電子マネーに対応する現金の情報とイシュアID、カードIDとが含まれているので、電子マネー管理サーバ10で、電子マネーの補充に使用された現金をイシュア毎に集計し、集計した現金を各イシュアに送金することができる。送金は、実際には、主幹銀行口座管理コンピュータ40や銀行等システム70等による振込によって容易に行うことができる。このようにして、ユーザカードUCに電子マネーが補充されたことが保証され、ユーザが、そのユーザカードUCをプリペイドカードとして使用できるようなる。
【0043】
[電子マネーの利用1]
次に、電子マネーの利用形態、例えばユーザが、電子マネーを商品購入又はサービス享受の対価として支払う場合の形態例について説明する。電子マネーは、図15に示されるように加盟店において利用され、その加盟店が配備する加盟店端末装置50において、ユーザカードUCから減額される。そして、電子マネーが利用された情報が電子マネー管理サーバ10に集められる。
【0044】
より具体的には、図16に示す手順で、利用処理が行われる。
ユーザカードUCが加盟店端末装置50のICカードリーダ・ライタ502と通信可能な状態、例えばICカードリーダ・ライタ502に装着されると(S401:Yes)、例えば加盟店の店員が操作部506を操作して取引開始を指示する(S402)。制御部501は、ICカードリーダ・ライタ502を制御してユーザカードUCから識別情報B01を読み出すと共に(S403)、ICカード認証部503にカード認証を行わせる(S404)。正当なユーザカードUCであった場合、制御部501は、操作部506から利用額が入力されるのを待つ。利用額が操作部506から入力されると(S405:Yes)、制御部501は、ICカードリーダ・ライタ502を制御して、当該利用額に基づいてユーザカードのEEPROMに記録されている残高データから利用額分を減算する(S406)と共に、記憶部507に、利用ログとして、その金額、識別情報、利用日時情報、加盟店端末装置IDを記憶させる(S407)。なお、利用日時情報は、時計509から取得される。制御部501は、一定期間分利用ログを蓄えるとともに、電子マネー管理会社と個別に定めた日程で、蓄積された利用ログを通信インターフェース310を介して電子マネー管理サーバ10に送信する(S408)。
【0045】
[電子マネーの利用2]
ユーザが、家庭用端末装置60を用いて、サイバー加盟店(加盟店端末装置50)において電子マネーを利用する場合の例を説明する。この場合は、ICカードリーダ62にユーザカードUCを装着し、通常のオンライントレードと同様の手順で、取引を行う。この場合の手順を、図17の加盟店端末装置50の処理手順を中心に説明する。
【0046】
家庭用端末装置60のICカードリーダ・ライタ62とユーザカードUCとが通信可能な状態、例えばICカードリーダ・ライタ62にユーザカードUCが装着され(S501:Yes)、ユーザにより取引開始が指示されると(S502;Yes)、ICカードリーダ・ライタ62及び家庭用端末装置60を通じてユーザカードUCに記録されている識別情報B01を取得する(S501〜S503)。 サイバー加盟店(加盟店端末装置50)は、この識別情報B01をもとに当該ユーザカードUCのカード認証を行い、正当なカードであることを確認したときは、利用額の入力及び電子マネーの減額を家庭用端末装置60に指示する(S504)。
家庭用端末装置60は、利用額の入力を受け付け、ICカードリーダ・ライタ62を制御して、ユーザカードUCに記録されている残高データから利用額分が減算するように更新する。正常に更新が終了した場合は、そのユーザカードUCに減額済コードを記録させ、上述したものと同様の内容の利用ログを生成する。そして、この利用ログをサイバー加盟店(加盟店端末装置50)に送出する。
サイバー加盟店(加盟店端末装置50)は、取得した利用ログを一定期間分蓄積しておき(S506)、電子マネー管理会社と個別に定めた日程で、蓄積された利用ログを通信インターフェース310を介して電子マネー管理サーバ10に送出する(S507)。
【0047】
[精算管理処理]
上述のように、ユーザが電子マネーを利用したときは、それがどの加盟店で利用された場合であっても電子マネー管理サーバ10に利用ログが集まる。電子マネー管理サーバ10では、これらの利用ログに基づいて図18のようにして精算管処理を行う。
すなわち、利用ログを受信した場合、加盟店管理部140はそれらの利用ログを所定期間毎に利用ログDB142に記憶させる(S601:Yes、S602)。これらの利用ログは、必要に応じて、加盟店管理部140において端末異常又はエラーの検出、システム的な登録漏れの検出、稼働または取引状態の確認等を含む精査を受ける。
カード情報管理部130は、識別情報B01中のイシュアID、カード発行体ID、シリアル番号別に利用ログを整理し、カード情報DB131のユーザカード別のレコードに利用額、利用の日時、加盟店端末装置IDを記憶させる(S603)。
【0048】
また、イシュアIDを検索キーとしてイシュア管理部120で利用ログをイシュア別に振り分け、さらに、加盟店管理部140で利用ログを加盟店別に振り分ける(S604)。加盟店ごとの利用ログについては利用ログDB142に記憶させる(S605)。そして、イシュア別に振り分けられた利用ログから少なくとも利用額についての情報を集計し、これを該当するイシュアのイシュアサーバ20宛に送出する(S606)。
【0049】
利用額についての情報を受信したイシュアサーバ20では、利用実績管理部203で利用ログDB203Aにそれを記憶させる。また、利用実績管理部203が、出納管理部204に対し、口座DB205中の識別情報B01によって特定されるマネー口座から利用金額を引き落とす。そして、電子マネー管理会社と個別に定めた日程で利用金額を電子マネー管理会社に送金するための処理を行う。この送金の処理は、例えば、利用実績管理部203からの指示を受けた出納管理部204が、主幹銀行の口座管理コンピュータ40に銀行等システム70を通じて自己の銀行口座から振り込みを行うことによって行われる。このようにして各イシュアから利用額に相当する現金が電子マネー管理会社に入金されたことがわかると、電子マネー管理サーバ10は、入金された現金が、電子マネーが利用された加盟店に届くように、現金流通を制御する(S607)。具体的には、例えば、電子マネー管理サーバ10の決済部160が利用ログDB142中に記憶された加盟店別の利用ログに従い、主幹銀行の口座管理コンピュータ40に対し、銀行等システム70を通じて、自己の口座から各加盟店の銀行口座への振り込みを指示し、加盟店に利用額分の現金が届くようにすることにより行う。
【0050】
以上の説明から理解されるように、どのイシュアから発行された電子マネーであっても、それがどのユーザカードUCに記録されたものであっても、さらに、それがどの加盟店(自動販売機を含む)で利用された場合であっても、ユーザカードUCから利用された金額分の電子マネーが減額されると、イシュアID、カードID及び利用金額の情報を含む利用ログが電子マネー管理サーバ10に集中的に集まる。
電子マネー管理サーバ10では、これらの利用ログに含まれている利用金額をイシュア毎、加盟店毎に振り分けて集計し、該当するイシュアに対しては集計後の利用額の現金を受け取り、受け取った現金を電子マネーが利用された加盟店に届くように口座間取引のための制御を行う。このように、電子マネーが利用された場合の現金の精算処理が確実に行われるようになる。
【0051】
なお、この実施形態では、電子マネーを記録するための記録媒体としてICカードを用いた場合の例を示したが、記録領域を有するICチップを搭載した他のカード媒体、例えばハイブリッドカードを用いてもよいことはいうまでもない。また、このようなICチップを収容した携帯電話、腕時計その他の可搬性のICチップ搭載媒体を用いることできる。これらのICチップは、イシュア毎に発行されるものである。
【符号の説明】
【0052】
1 電子マネーシステム
10 電子マネー管理サーバ
110 入金管理部
120 イシュア管理部
130 カード情報管理部
140 加盟店管理部
150 補充指示管理部
160 リカバリ処理部
170 端末装置認証部
180 精算管理部
190 通信インターフェース
20 イシュアサーバ
201 制御部
202 入金実績管理部
203 利用実績管理部
204 出納管理部
205 口座DB
30 入金端末装置
302 ICカードリーダ・ライタ
310 通信インターフェース
40 主幹銀行の口座管理コンピュータ
50 加盟店端末装置
502 ICカードリーダ・ライタ
508 通信インターフェース
60 家庭用端末装置
61 ICカードリーダ・ライタ
70 銀行等システム
UC ユーザカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自らを識別するための媒体識別情報を記録してなる可搬性の記録媒体に、指示された金銭的価値分の電子マネーを補充する電子マネー補充手段と、通信路を介して接続される電子マネー管理システムであって、
前記補充先の記録媒体を保有する者以外の第三者からの電子マネーの補充の指示を受け付ける補充指示受付手段と、
補充対象となる電子マネーに対応する金銭的価値を前記第三者の識別情報及び前記特定の記録媒体の媒体識別情報と共に保持する補充情報管理手段と、
前記電子マネー補充手段で電子マネーを補充する記録媒体から媒体識別情報を読み出す媒体識別情報取得手段と、
前記媒体識別情報取得手段で読み出された媒体識別情報が、前記補充情報管理手段で保持された媒体識別情報であることを確認する媒体識別情報確認手段と、を備えたことを特徴とする、電子マネー管理システム。
【請求項2】
前記電子マネー補充手段は、前記媒体識別情報確認手段で確認された媒体識別情報を記録してなる記録媒体に、前記補充情報管理手段で保持している電子マネーを補充することを特徴とする、請求項1に記載の電子マネー管理システム。
【請求項3】
前記媒体識別情報確認手段で一定期間特定の媒体識別情報を確認できない場合に、前記補充情報管理手段で保持された第三者の識別情報から、前記第三者の口座を特定し、前記補充情報管理手段で保持している金銭的価値を前記特定した第三者の口座に返信することを特徴とする、請求項1又は請求項2記載の電子マネー管理システム。
【請求項4】
自らを識別するための媒体識別情報を記録してなる可搬性の記録媒体に、指示された金銭的価値分の電子マネーを補充する電子マネー補充手段と、通信路を介して接続される電子マネー管理システムであって、
電子マネー付与のための条件を受け付ける付与条件蓄積手段と、
前記受け付けた電子マネー付与のための条件から、電子マネーの補充対象となる媒体識別情報を特定する媒体識別情報特定手段と、
補充対象となる電子マネーに対応する金銭的価値を前記特定された媒体識別情報と共に保持する補充情報管理手段と、
前記電子マネー補充手段で電子マネーを補充する記録媒体から媒体識別情報を読み出す媒体識別情報取得手段と、
前記媒体識別情報取得手段で読み出された媒体識別情報が、前記補充情報管理手段で保持された媒体識別情報であることを確認する媒体識別情報確認手段と、を備えたことを特徴とする、電子マネー管理システム。
【請求項5】
前記電子マネー補充手段は、前記媒体識別情報確認手段で確認された媒体識別情報を記録してなる記録媒体に、前記補充情報管理手段で保持している電子マネーを補充することを特徴とする、請求項4に記載の電子マネー管理システム。
【請求項6】
前記媒体識別情報確認手段で一定期間特定の媒体識別情報を確認できない場合に、前記付与条件蓄積手段で電子マネー付与のための条件を受け付けた受付元を特定し、当該特定した受付元に前記補充情報管理手段で保持している金銭的価値を返信することを特徴とする、請求項4又は請求項5記載の電子マネー管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−140508(P2009−140508A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−4997(P2009−4997)
【出願日】平成21年1月13日(2009.1.13)
【分割の表示】特願2005−290230(P2005−290230)の分割
【原出願日】平成13年10月30日(2001.10.30)
【出願人】(501044116)ビットワレット株式会社 (48)
【Fターム(参考)】