説明

電子メールシステム、サーバ、及び電子メールシステムのキーワード強調表示方法

【課題】ユーザが興味・関心のある内容を含む電子メールを多くの電子メールのうちから確実に確認する。
【解決手段】電子メールシステムは、メールクライアント部で電子メールが参照された場合、当該電子メールに対する操作の履歴及び前記電子メールから抽出されるキーワード群を操作履歴データとして保存する操作履歴データ保存部と、操作履歴データに基づいて、メールクライアント部で電子メールが参照される際にワードの強調表示に用いるキーワード群を推論する推論部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子メールシステム、サーバ、及び電子メールシステムのキーワード強調表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータ等の情報処理装置のユーザは、多くの電子メールを参照するようになってきているため、多くの電子メールのうちどの電子メールが自身にとって興味・関心のある電子メールであるかを把握することが困難になる傾向がある。
【0003】
このような事態の発生を防止する方法として、ユーザが情報処理装置に興味・関心のあるキーワードを予め登録しておき、電子メールを参照する際に登録されたキーワードと合致するワードが当該電子メールに存在する場合、そのワードを強調表示するように設定することが考えられる。このようにワードを強調表示することで、多くの電子メールの中からユーザが興味・関心のある内容を含む電子メールの発見を容易にし、ユーザがその内容を確実に確認することができるようになる。
【0004】
また、ウェブアクセス解析装置と、メールクリック解析装置と、これらから得られる多数の嗜好情報を蓄積して統計的に嗜好傾向を推論する統計推論装置を有するレコメンデーションシステムが知られている。このレコメンデーションシステムは、各顧客の嗜好傾向を推論した嗜好データを統計推論装置からウェブアクセス解析装置、メールクリック解析装置にフィードバックし、各顧客の嗜好に適したコンテンツをインターネットショッピングサイトや広告メールにて配信するものである(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−21810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ユーザが予めキーワードを登録する方法だと、ユーザがキーワードを登録する作業が必要であり、登録したキーワードを管理する作業も必要になる。
【0007】
また、ユーザが興味・関心のある事項に関するキーワードを登録する場合、興味・関心のある事項は日時の経過とともに変化するので、その都度、登録しているキーワードを削除したり、新たなキーワードを登録する必要がある。
【0008】
更に、キーワードには同義語が存在する場合がある。同義語が存在する場合、登録しているキーワードと合致するワードは電子メールを参照する際に強調表示されるが、当該キーワードの同義語は強調表示されない。このため、キーワードの同義語が電子メールの内容に含まれている場合、ユーザが興味・関心を有する内容の電子メールにも関わらずその内容を確認できない可能性がある。これを回避するために、キーワード及びその同義語を全て登録するのでは、ユーザのキーワードの管理作業がより煩雑なものになってしまう。
【0009】
一方、特許文献1に開示されているレコメンデーションシステムは、コンテンツ配信に係るものであって、ユーザが多くの電子メールのうちから興味・関心のある電子メールの内容を確実に確認する技術ではない。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、多くの電子メールのうちから興味・関心のある内容を含む電子メールをユーザが確実に確認することができる電子メールシステム、サーバ、及び電子メールシステムのキーワード強調表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、電子メールを管理するメールクライアント部を備える、複数のクライアントと、前記複数のクライアントと通信可能に接続されるとともに前記クライアント毎の電子メールを管理するメールサーバ部を備えるサーバと、を含む電子メールシステムであって、前記メールクライアント部で電子メールに関する操作が行われた場合、前記操作の種別の情報及び前記操作が行われた電子メール、前記電子メールに基づいて作成された電子メール、又は当該電子メールに関連付けられた電子メールのいずれかから抽出されるキーワード群を操作履歴データとして保存する操作履歴データ保存部と、前記操作履歴データに基づいて、前記メールクライアント部で電子メールが参照される際にワードの強調表示に用いるキーワード群を推論する推論部と、を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、多くの電子メールのうちから興味・関心のある内容を含む電子メールをユーザが確実に確認することができる電子メールシステム、サーバ、及び電子メールシステムのキーワード強調表示方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る電子メールシステムの構成を示す図である。
【図2】同第1の実施の形態に係る操作履歴データを説明するための図である。
【図3】同第1の実施の形態に係る操作情報を説明するための図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る電子メールシステムの構成を示す図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る電子メールシステムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の電子メールシステムは、メールクライアント部で電子メールに関する操作が行われた場合、前記操作の種別の情報及び前記操作が行われた電子メール、前記電子メールに基づいて作成された電子メール、又は当該電子メールに関連付けられた電子メールの少なくともいずれかから抽出されるキーワード群を操作履歴データとして保存する操作履歴データ保存部(以下の実施の形態では、操作履歴データ保存部240)と、操作履歴データに基づいて、メールクライアント部で電子メールが参照される際にワードの強調表示に用いるキーワード群(キーワード情報)を推論する推論部(以下の実施の形態では、推論システム部120)とを有しているが、これらは通信可能に構成されていればどのように配置されていても良い。
【0015】
以下、本発明の各実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0016】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明が適用された電子メールシステム1の構成を示す図である。図1に示すように、電子メールシステム1は、サーバ100と、クライアント200とが通信可能に接続され、クライアント/サーバシステムとして構成されている。なお、一般的なクライアント/サーバシステムが有する機能については従来よりあるものと同様であるため説明を省略し、以下では、本発明と関わる点にいて詳細に説明する。なお、同図においては、説明を簡略化するためクライアントはクライアント200の1台しか図示していない。
【0017】
サーバ100は、メールサーバ部110と、推論システム部120、全操作履歴データ保存部130とを有している。また、クライアント200は、メールクライアント部210と、メールデータ保存部220と、キーワード情報保存部230と、操作履歴データ保存部240とを有している。
【0018】
先ず、クライアント200の各部について説明する。
【0019】
メールクライアント部210は、サーバ100のメールサーバ部110との間でデータの送受信を行う。メールクライアント部210は、例えば、電子メールの送受信、後述する操作履歴データの送信、キーワード情報の受信等を行う。
【0020】
メールデータ保存部220は、サーバ100のメールサーバ部110から受信した電子メール、及びメールサーバ部110へ送信した電子メールを保存する。
【0021】
キーワード情報保存部230は、ユーザが興味・関心を持つと推論されるキーワード情報を保持する。このキーワード情報は、詳細は後述するサーバ100の推論システム部120によって自動的に生成される。
【0022】
操作履歴データ保存部240は、ユーザがメールクライアント部210を介して行った操作に関し、所定の設定された期間(例えば、現在から一定期間前)の操作履歴データを保存する。操作履歴データは、電子メールに対する操作の種別の情報及び操作が行われた電子メール、この電子メールに基づいて作成された電子メール、又はこの電子メールに関連付けられた電子メールのいずれかから抽出されるキーワード群を含むデータである。より詳細には、操作履歴データは、ユーザが、新規電子メールの送信、電子メールの参照、電子メールへのマーク付け、電子メールの返信・転送、電子メール本文中のハイパーリンクをクリック、という操作を行った場合に、その操作内容と、当該電子メールから抽出されるキーワード群とを含むように作成されるデータである。操作履歴データの詳細な説明については図2を参照して後述する。
【0023】
次に、サーバ100の各部について説明する。
【0024】
メールサーバ部110は、クライアント200との間でデータの送受信を行う。メールサーバ部110は、例えば、電子メールの送受信、操作履歴データの受信、キーワード情報の送信等を行う。
【0025】
推論システム部120は、クライアント200から操作履歴データを受信した場合、当該受信した操作履歴データと、全操作履歴データ保存部130に保存される他のクライアントに関する操作履歴データと、電子メールに対する操作の種類毎に設定された重みづけとに基づいて、受信した操作履歴データに応じたキーワード情報を生成する。
【0026】
より詳細には、推論システム部120は、受信した操作履歴データから生成される第1のキーワード群と、他のクライアント毎の操作履歴データからそれぞれ生成される第2のキーワード群とを比較し、所定数以上のキーワードが一致する第2のキーワード群を選択し、当該第2のキーワード群に含まれているが第1のキーワード群に含まれていない第3のキーワード群を生成し、第1のキーワード群及び第3のキーワード群からキーワード情報を生成する。
【0027】
また、推論システム部120は、第1のキーワード群及び第2のキーワード群に含まれるキーワードに同義語が存在する場合、当該同義語を各キーワード群に含まれるキーワードとして取り扱う。同義語に関する設定は、例えばサーバ100の管理者によって予め設定しておくようにしても良い。また、同議語は、推論システム部120によって他のクライアントの操作履歴データから抽出されるキーワードに含まれるものとして取り扱い、管理者は同義語の設定をしないようにしても良い。
【0028】
全操作履歴データ保存部130は、全ユーザの操作履歴データを保存する。全操作履歴データ保存部130は、推論システム部120に設定された期間の操作履歴データのみを保持する。この期間は、例えば、サーバ100の管理者によって設定され、操作履歴データ保存部240に操作履歴データが保存される既述の期間と同一である。なお、設定された期間を経過した操作履歴データは全操作履歴データ保存部130から削除される。
【0029】
次に、図2を参照して操作履歴データの一例について説明する。
【0030】
図2に示すように、操作履歴データ300は、メッセージID310、操作時刻情報320、参照メッセージID330、操作種別情報340、操作情報350を含み構成されている。
【0031】
メッセージID310は、操作対象の電子メールを識別するための情報である。
【0032】
操作時刻情報320は、操作を行った時刻を示す情報である。
【0033】
参照メッセージID330は、返信・転送などを行った際の元の電子メールを示す情報である。
【0034】
操作種別情報340は、ユーザが行った電子メールに対する操作を示す情報である。
【0035】
操作情報350は、キーワード群351、宛先種別情報352を含む、個々の操作の詳細を示す情報である。図3に示すように、操作情報350は、既述のユーザの操作に応じて以下の情報を含む。
【0036】
ユーザの操作が新規の電子メール送信の場合、キーワード群351として電子メール本文を解析して抽出されたキーワード群、及び宛先種別情報352としてメールの宛先種別が操作情報350に含まれる。なお、電子メール本文のキーワード解析には既存のテキスト解析技術を利用する。
【0037】
ユーザの操作が電子メールの参照の場合、キーワード群351として電子メール本文を解析して抽出されたキーワード群、及び宛先種別情報352としてユーザの宛先種別が操作情報350に含まれる。電子メール本文のキーワード解析には既存のテキスト解析技術を利用する。
【0038】
ユーザの操作が電子メールへのマーク付けの場合、既述の電子メールの参照の場合と同様に、キーワード群351として電子メール本文を解析して抽出されたキーワード群、及び宛先種別情報352としてユーザの宛先種別が操作情報350に含まれる。
【0039】
ユーザの操作が電子メールの返信・転送の場合、キーワード群351として返信、転送を行う際にユーザが追加した文章を解析して抽出されたキーワード群、及び宛先種別情報352としてユーザの宛先種別が操作情報350に含まれる。また、返信、転送元の電子メール本文から内容をコピーして利用した部分に関しては、テキスト解析の対象として利用する。
【0040】
ユーザの操作が電子メール本文中のハイパーリンクをクリックした場合、キーワード群351としてクリックしたハイパーリンク先の内容から得られる文書を解析して抽出されたキーワード群が操作情報350に含まれる。
【0041】
次に、電子メールシステム1において、キーワード情報を、操作履歴データ300を用いて生成するための仕組みについて説明する。
【0042】
推論システム部120は、メールクライアント部210から送信された操作履歴データ300を利用して、ユーザが興味・関心があると推論されるキーワード情報を生成する。
【0043】
より詳細には、推論システム部120は、例えば、操作履歴データ300に含まれるキーワードの出現回数を算出し、所定の回数以上となっているキーワードをユーザが興味・関心のあるキーワード(第1のキーワード群)として抽出する。この際、キーワードに同義語が存在する場合、推論システム部120は、全ての同義語を1つのキーワードとしてカウントする。
【0044】
また、単に電子メールを参照した場合と電子メール本文中のハイパーリンクをクリックした場合とではユーザが興味・関心を持つ度合いは異なると推論される。このため、推論システム部120は、操作履歴データ300に含まれる操作種別情報340を利用してユーザの行った操作に応じて重み付けを行う。例えば、推論システム部120は、電子メールを参照した場合に抽出されるキーワード等については出現回数を1回とカウントし、電子メール本文中のハイパーリンクをクリックした場合に抽出されるキーワードについては出現回数を2回とカウントする。更に、推論システム部120は、電子メールの宛先の種別なども考慮してキーワードに対する重み付けを行うようにしても良い。
【0045】
また、図示しない他のクライアントのユーザを含めて全てのユーザの操作履歴データが全操作履歴データ保存部130で管理されている。よって、推論システム部120は、図示しない他のクライアントのユーザの操作履歴データを用いて、当該他のクライアントのユーザ毎に興味・関心のあるキーワードを利用して抽出することができる。
【0046】
より詳細には、推論システム部120は、他のクライアントのユーザが興味・関心を持つキーワード群(第2のキーワード群)とユーザが興味・関心を持つキーワード群(第1のキーワード群)とに共通する内容が多い場合、換言すれば、所定数以上のキーワードが一致する場合、第2のキーワード群に含まれているが第1のキーワード群に含まれていないキーワードがあれば、そのキーワード(第3のキーワード群)を抽出し、第1のキーワード群と第3のキーワード群とを含むようにキーワード情報を生成する。
【0047】
なお、推論システム部120は、図示しない他のクライアントのユーザが興味・関心のあるキーワードを抽出する際にも、既述のキーワードの抽出と同様に、新規電子メールの送信、電子メールの参照、電子メールへのマーク付け、電子メールの返信・転送を行った場合の操作と、ハイパーリンクをクリックした場合の操作とで異なる重みづけを行ってキーワードの抽出を行う。また、電子メールの宛先の種別を考慮して重みづけを行う場合は、その重みづけも考慮する。
【0048】
次に、サーバ100から受信した電子メールをメールクライアント部210によってユーザが参照する場合の処理の流れを図1を参照しながら説明する。
【0049】
先ず、ユーザはクライアント200を操作して、メールサーバ部110が受信している当該クライアント200宛ての全ての電子メールを取得する指示をメールクライアント部210に行う。このとき、メールクライアント部210は、操作履歴データ保存部240に保存している操作履歴データの取得を要求し(S1)、操作履歴データ保存部240から操作履歴データ300を取得する(S2)。次に、メールクライアント部210は、メールサーバ部110へ電子メールの配信要求と取得した操作履歴データ300とを送信する(S3)。
【0050】
電子メールの配信要求を受け付けたメールサーバ部110は、送信された操作履歴データ300を推論システム部120へ送信するとともに、キーワード情報の取得を推論システム部120へ要求する(S4)。
【0051】
推論システム部120は、メールサーバ部110から受信した操作履歴データ300を全操作履歴データ保存部130に格納するとともに、全操作履歴データ保存部130に保存している他のクライアントのユーザの操作履歴データの取得を要求する(S5)。また、推論システム部120は、操作履歴データ300からユーザが興味・関心があると推論される第1のキーワード群を抽出する。
【0052】
全操作履歴データ保存部130は、推論システム部120から既述の要求を受け付けると、他のクライアントのユーザの操作履歴データを推論システム部120へ送信する(S6)。
【0053】
次に、推論システム部120は、全操作履歴データ保存部130から取得した他のクライアントのユーザの操作履歴データを利用して、当該他のクライアントのユーザが興味・関心があると推論される第2のキーワード群を当該他のクライアントのユーザ毎に生成する。
【0054】
推論システム部120は、第1のキーワード群と、第2のキーワード群とを比較し、所定数以上のキーワードが一致している第2のキーワード群を選択する。推論システム部120は、所定数以上のキーワードが一致している第2のキーワード群から、第2のキーワード群に含まれているが第1のキーワード群に含まれていない第3のキーワード群を抽出する。
【0055】
なお、推論システム部120は、所定数以上のキーワードが一致している第2のキーワード群が複数ある場合には、それぞれについて既述の第3のキーワード群を抽出する。
【0056】
推論システム部120は、既述の抽出した第1のキーワード群と、既述の1以上の抽出された第3のキーワード群とを含むキーワード情報を生成する。
【0057】
キーワード情報の生成が完了した場合、推論システム部120は、当該キーワード情報をメールサーバ部110へ送信する(S7)。
【0058】
次に、メールサーバ部110は、クライアント200宛ての電子メールのデータ及び推論システム部120から受信したキーワード情報をメールクライアント部210へ送信する(S8)。なお、電子メールのデータ及びキーワード情報はメールサーバ部110からメールクライアント部210へ同時に送信されなくても良い。
【0059】
メールクライアント部210は、メールサーバ部110から受信した電子メールのデータをメールデータ保存部220に格納する(S9)。また、メールクライアント部210は、メールサーバ部110からキーワード情報を受信した場合、当該キーワード情報を用いてキーワード情報保存部230を更新する(S10)。
【0060】
次に、ユーザが電子メールを参照するためにクライアント200を操作した場合、メールクライアント部210は、ユーザが参照を要求した電子メールのデータをメールデータ保存部220から取得する(S11)。
【0061】
また、メールクライアント部210は、キーワード情報保存部230に保存しているキーワード情報を取得する(S12)。
【0062】
次に、メールクライアント部210は、電子メールの内容に含まれるワードのうち、キーワード情報に含まれるキーワードと合致するワード及び当該キーワードの同義語と一致するワードを強調表示して電子メールを表示する。
【0063】
この第1の実施の形態の電子メールシステム1によると、ユーザが電子メールを参照する際、興味・関心があると推論されるワードが自動的に強調表示される。このため、ユーザは、興味・関心のある内容を含む電子メールを読み飛ばすことを防止し、当該電子メールの内容を確実に確認することができる。
【0064】
また、電子メールシステム1は、電子メールを参照する際、キーワードと合致するワード及び当該キーワードと類似するワードが強調表示されるので、ユーザは電子メールの分類又は整理のためにその強調表示を利用することができる。これにより、多くの電子メールを参照する場合にも、ユーザは、興味・関心のある内容に応じて容易に電子メールの分類又は整理を行うことができる。
【0065】
また、推論システム部120によって、操作履歴データ300を利用してクライアント200のユーザのキーワード情報が自動的に生成され、キーワード情報保存部230が自動的に更新される。したがって、ユーザがキーワードを設定するための作業を行う必要はなく、ユーザの作業の手間をなくすことができる。
【0066】
更に、クライアント200は、電子メールを表示する際に、既述のキーワード情報に基づいて、他のユーザの操作履歴データから生成され、ユーザ自身の操作履歴データ300からは生成できないキーワードに関しても強調表示することができる。これによって、ユーザが今まで持っていなかった興味・関心を喚起することできる。
【0067】
また更に、ユーザの興味・関心を持つ内容が日時の経過とともに変化し、キーワード情報も変化することが予想される。しかしながら、全操作履歴データ保存部130及び操作履歴データ保存部240は、例えば、現在から一定期間前の操作履歴データのみを保持する。このため、推論システム部120によって生成されるキーワード情報も日時の経過とともに変化するので、ユーザが意識してキーワード情報を変更する作業を行う必要はない。
【0068】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態は、推論システム部及び全操作履歴データ保存部がサーバ外に設けられている点が既述の第1の実施形態と異なっている。なお、第1の実施の形態と同一の構成には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0069】
図4は、第2の実施の形態の電子メールシステム2の構成を示す図である。電子メールシステム2では、推論システム部120及び全操作履歴データ保存部130は、サーバ101ではなく外部装置102に設けられている。また、サーバ101内のメールサーバ部は、外部装置102内の推論システム部120と通信可能に接続されている。
【0070】
この電子メールシステム2のように、推論システム部120及び全操作履歴データ保存部130をサーバ101以外の装置に設けるように構成しても既述の第1の実施の形態と同様な効果を奏することができる。
【0071】
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態について説明する。この第3の実施の形態は、メールデータ保存部、キーワード情報保存部、及び操作履歴データ保存部がサーバに設けられている点が既述の第1の実施形態と異なっている。なお、第1の実施の形態と同一の構成には同一の符号を付して詳細な説明は省略し、異なる点について詳細に説明する。
【0072】
図5は、第3の実施の形態の電子メールシステム3の構成を示す図である。電子メールシステム3では、メールデータ保存部220、キーワード情報保存部230、及び操作履歴データ保存部240がメールサーバ部110と通信可能となるようにサーバ104内に設けられている。
【0073】
また、クライアント200には、Webブラウザ部250が設けられており、メールクライアント部210は、Webブラウザ部250上で動作するように構成されている。ユーザがWebブラウザ部250を介して行った電子メールの操作に関する情報は、Webブラウザ部250から非同期HTTP(Hyper Text Transfer Protocol)通信を行うことでメールサーバ部110に随時送信される。このようにメールクライアント部210から操作に関する情報が送信された場合、メールサーバ部110は、当該情報を操作履歴データとして操作履歴データ保存部240に保存する。
【0074】
次に、ユーザがWebブラウザ部250を利用して電子メールに関する操作を行う場合の処理について説明する。
【0075】
ユーザがWebブラウザ部250を操作し、メールクライアント部210に電子メールを参照するための指示をすると(S21)、当該指示がメールサーバ部110に送信される(S22)。
【0076】
メールサーバ部110は、クライアント200の操作履歴データ300の取得を操作履歴データ保存部240へ要求し(S23)、操作履歴データ保存部240から操作履歴データ300を取得する(S24)。
【0077】
次に、メールサーバ部110は、操作履歴データ300を推論システム部120へ送信する(S25)。操作履歴データ300を受信した場合、推論システム部120は、操作履歴データ300と、全操作履歴データ保存部130から取得した他のクライアントのユーザの操作履歴データ(S26,S27)とに基づいて、クライアント200のユーザに応じたキーワード情報を生成する。この推論システム部120のキーワード情報を生成する処理は、第1の実施の形態で既述した処理と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0078】
キーワード情報を生成した場合、推論システム部120は、当該キーワード情報をメールサーバ部110へ送信する(S28)。
【0079】
次に、メールサーバ部110は、推論システム部120から受信したキーワード情報をキーワード情報保存部230に保存する(S29)。
【0080】
次に、メールサーバ部110は、クライアント200を宛先とする電子メールのデータの取得をメールデータ保存部220へ要求し(S30)、電子メールのデータを受信するとともに(S31)、キーワード情報保存部230からキーワード情報を取得する(S32)。メールサーバ部110は、メールクライアント部210に電子メールの本文のワードのうち、キーワード情報に含まれるキーワード及びその同義語と一致するワードを強調してWebブラウザ部250上に表示することができる(S33,S34)。
【0081】
このようにWebブラウザ部250を介して電子メールを参照するように電子メールシステムを構成しても既述の第1の実施の形態と同様な効果を奏することができる。
【0082】
また、上記各実施の形態では、推論システム部120は、操作履歴データ保存部240に保存されている操作履歴データと、全操作履歴データ保存部130に保存されている他のクライアントの操作履歴データと、操作の種類毎に設定された重みづけとを用いて、キーワード情報を生成する場合で説明しているが、これに限られるものではない。
【0083】
例えば、推論システム部120は、重みづけを用いずに、操作履歴データ保存部240に保存されている操作履歴データと、全操作履歴データ保存部130に保存されている他のクライアントの操作履歴データとからキーワード情報を生成するようにしても良い。更に、推論システム部120は、重みづけと全操作履歴データ保存部130に保存されている他のクライアントの操作履歴データとを用いずに、操作履歴データ保存部240に保存されている操作履歴データからキーワード情報を生成するようにしても良い。
【0084】
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、その実施に際して様々な変形が可能である。
【0085】
上記実施の形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0086】
(付記1)
電子メールを管理するメールクライアント部を備える、複数のクライアントと、前記複数のクライアントと通信可能に接続されるとともに前記クライアント毎の電子メールを管理するメールサーバ部を備えるサーバと、を含む電子メールシステムであって、
前記メールクライアント部で電子メールに関する操作が行われた場合、前記操作の種別の情報及び前記操作が行われた電子メール、前記電子メールに基づいて作成された電子メール、又は当該電子メールに関連付けられた電子メールのいずれかから抽出されるキーワード群を操作履歴データとして保存する操作履歴データ保存部と、
前記操作履歴データに基づいて、前記メールクライアント部で電子メールが参照される際にワードの強調表示に用いるキーワード群を推論する推論部と、
を備えることを特徴とする電子メールシステム。
【0087】
(付記2)
前記推論部は、前記操作履歴データと、前記操作の種類毎に設定された重みづけとを用いて前記強調表示に用いるキーワード群を推論することを特徴とする付記1記載の電子メールシステム。
【0088】
(付記3)
前記推論部は、一のメールクライアント部についての前記強調表示に用いるキーワード群を推論する場合、前記一のメールクライアント部についての操作履歴データと、他のメールクライアント部についての操作履歴データとを用いて前記強調表示に用いるキーワード群を推論することを特徴とする付記1又は2記載の電子メールシステム。
【0089】
(付記4)
電子メールを管理するメールクライアント部を備えた、複数のクライアントと通信可能に接続されたサーバであって、
前記クライアント毎の電子メールを管理するメールサーバ部と、
前記メールクライアント部で電子メールに関する操作が行われた場合、前記操作の種別の情報及び前記操作が行われた電子メール、前記電子メールに基づいて作成された電子メール、又は当該電子メールに関連付けられた電子メールのいずれかから抽出されるキーワード群を操作履歴データとして保存する操作履歴データ保存部と、
前記操作履歴データに基づいて、前記メールクライアント部で電子メールが参照される際にワードの強調表示に用いるキーワード群を推論する推論部と、
を備えることを特徴とするサーバ。
【0090】
(付記5)
電子メールを管理するメールクライアント部を備える、複数のクライアントと、前記複数のクライアントと通信可能に接続されるとともに、前記クライアント毎の電子メールを管理するメールサーバ部を備えるサーバと、を含む電子メールシステムのキーワード強調方法であって、
前記メールクライアント部で電子メールに関する操作が行われた場合、前記操作の種別の情報及び前記操作が行われた電子メール、前記電子メールに基づいて作成された電子メール、又は当該電子メールに関連付けられた電子メールのいずれかから抽出されるキーワード群を操作履歴データとして保存するステップと、
前記操作履歴データに基づいて、前記メールクライアント部で電子メールが参照される際にワードの強調表示に用いるキーワード群を推論するステップと、
を含むことを特徴とする電子メールシステムのキーワード強調方法。
【0091】
(付記6)
複数のクライアントと、前記複数のクライアントと通信可能に接続されたサーバと、を含む電子メールシステムであって、
前記クライアントは、
電子メールを管理するメールクライアント部と、
電子メールに対する操作の履歴を示す操作履歴データを保存する操作履歴データ保存部とを備え、
前記サーバは、
前記クライアント毎に電子メールを管理するメールサーバ部と、
前記クライアント毎に電子メールに対する操作の履歴を示す操作履歴データを保存する全操作履歴データ保存部と、
クライアントから前記操作履歴データを受信した場合、当該受信した操作履歴データと、前記全操作履歴データ保存部に保存される他のクライアントに関する操作履歴データと、電子メールに対する操作の種類毎に設定された重みづけとに基づいて、前記受信した操作履歴データに応じたキーワード情報を生成する推論部と、を備え、
前記メールサーバ部は、
クライアントからの電子メールの配信要求に応じて前記クライアント宛ての電子メールと、前記推論部で生成したキーワード情報とを前記クライアントへ送信し、
前記メールクライアント部は、
前記メールサーバ部から受信した電子メールを表示する場合、当該電子メールに含まれるワードのうち前記メールサーバ部から受信したキーワード情報に含まれるキーワードと合致するワードを強調して表示する、
ことを特徴とする電子メールシステム。
【0092】
(付記7)
前記推論部は、
前記受信した操作履歴データから生成される第1のキーワード群と、前記他のクライアント毎の操作履歴データからそれぞれ生成される第2のキーワード群とを比較し、所定数以上のキーワードが一致する第2のキーワード群を選択し、当該第2のキーワード群に含まれているが前記第1のキーワード群に含まれていない第3のキーワード群を生成し、
前記第1のキーワード群及び前記第3のキーワード群から前記キーワード情報を生成する、
ことを特徴とする付記6記載の電子メールシステム。
【0093】
(付記8)
前記推論部は、前記第1のキーワード群及び前記第2のキーワード群に含まれるキーワードに同義語が存在する場合、当該同義語を各キーワード群に含まれるキーワードとして取り扱うことを特徴とする付記6又は7記載の電子メールシステム。
【0094】
(付記9)
複数のクライアントと通信可能に接続されたサーバであって、
前記クライアント毎にメールを管理するメールサーバ部と、
前記クライアント毎に電子メールに対する操作の履歴を示す操作履歴データを保存する全操作履歴データ保存部と、
クライアントから電子メールに対する操作の履歴を示す操作履歴データを受信した場合、当該受信した操作履歴データと、前記全操作履歴データ保存部に保存される他のクライアントに関する操作履歴データと、電子メールに対する操作の種類毎に設定された重みづけとに基づいて、前記受信した操作履歴データに応じたキーワード情報を生成する推論部と、を備え、
前記メールサーバ部は、
前記電子メールの配信要求に応じて前記クライアント宛ての電子メールと、前記推論部で生成したキーワード情報とを前記クライアントへ送信し、
前記クライアントが前記メールサーバ部から送信した電子メールを表示する場合、当該電子メールに含まれるワードのうち前記メールサーバ部から送信したキーワード情報に含まれるキーワードと合致するワードを強調させて表示させる、
ことを特徴とするサーバ。
【0095】
(付記10)
複数のクライアントと、前記複数のクライアントと通信可能に接続されたサーバと、を含む電子メールシステムのキーワード強調表示方法であって、
クライアントからサーバへ電子メールの配信要求と電子メールに対する操作の履歴を示す操作履歴データと送信するステップと、
前記操作履歴データを受信した場合、前記サーバは、当該受信した操作履歴データと、他のクライアントに関する操作履歴データと、電子メールに対する操作の種類毎に設定された重みづけとに基づいて、前記受信した操作履歴データに応じたキーワード情報を生成するステップと、
前記サーバから前記クライアントへ前記電子メールの配信要求に応じた電子メールと、前記生成したキーワード情報とを送信するステップと、
前記クライアントは、前記送信された電子メールを表示する場合、当該電子メールに含まれるワードのうち前記送信されたキーワード情報に含まれるキーワードと合致するワードを強調して表示する、
ことを特徴とする電子メールシステムのキーワード強調表示方法。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、クライアント・サーバ形式の電子メールシステムに広く適用可能である。
【符号の説明】
【0097】
1,2,3・・・電子メールシステム
100,101,104・・・・・サーバ
102・・・・・外部装置
110・・・・・メールサーバ部
120・・・・・推論システム部
130・・・・・全操作履歴データ保存部
200・・・・・クライアント
210・・・・・メールクライアント部
220・・・・・メールデータ保存部
230・・・・・キーワード情報保存部
240・・・・・操作履歴データ保存部
300・・・・・操作履歴データ
350・・・・・操作情報
351・・・・・キーワード群
352・・・・・宛先種別情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子メールを管理するメールクライアント部を備える、複数のクライアントと、前記複数のクライアントと通信可能に接続されるとともに前記クライアント毎の電子メールを管理するメールサーバ部を備えるサーバと、を含む電子メールシステムであって、
前記メールクライアント部で電子メールに関する操作が行われた場合、前記操作の種別の情報及び前記操作が行われた電子メール、前記電子メールに基づいて作成された電子メール、又は当該電子メールに関連付けられた電子メールのいずれかから抽出されるキーワード群を操作履歴データとして保存する操作履歴データ保存部と、
前記操作履歴データに基づいて、前記メールクライアント部で電子メールが参照される際にワードの強調表示に用いるキーワード群を推論する推論部と、
を備えることを特徴とする電子メールシステム。
【請求項2】
前記推論部は、前記操作履歴データと、前記操作の種類毎に設定された重みづけとを用いて前記強調表示に用いるキーワード群を推論することを特徴とする請求項1記載の電子メールシステム。
【請求項3】
前記推論部は、一のメールクライアント部についての前記強調表示に用いるキーワード群を推論する場合、前記一のメールクライアント部についての操作履歴データと、他のメールクライアント部についての操作履歴データとを用いて前記強調表示に用いるキーワード群を推論することを特徴とする請求項1又は2記載の電子メールシステム。
【請求項4】
電子メールを管理するメールクライアント部を備えた、複数のクライアントと通信可能に接続されたサーバであって、
前記クライアント毎の電子メールを管理するメールサーバ部と、
前記メールクライアント部で電子メールに関する操作が行われた場合、前記操作の種別の情報及び前記操作が行われた電子メール、前記電子メールに基づいて作成された電子メール、又は当該電子メールに関連付けられた電子メールのいずれかから抽出されるキーワード群を操作履歴データとして保存する操作履歴データ保存部と、
前記操作履歴データに基づいて、前記メールクライアント部で電子メールが参照される際にワードの強調表示に用いるキーワード群を推論する推論部と、
を備えることを特徴とするサーバ。
【請求項5】
電子メールを管理するメールクライアント部を備える、複数のクライアントと、前記複数のクライアントと通信可能に接続されるとともに、前記クライアント毎の電子メールを管理するメールサーバ部を備えるサーバと、を含む電子メールシステムのキーワード強調方法であって、
前記メールクライアント部で電子メールに関する操作が行われた場合、前記操作の種別の情報及び前記操作が行われた電子メール、前記電子メールに基づいて作成された電子メール、又は当該電子メールに関連付けられた電子メールのいずれかから抽出されるキーワード群を操作履歴データとして保存するステップと、
前記操作履歴データに基づいて、前記メールクライアント部で電子メールが参照される際にワードの強調表示に用いるキーワード群を推論するステップと、
を含むことを特徴とする電子メールシステムのキーワード強調方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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