説明

電子メール処理装置

【課題】電子メールの受信確認メールを送信する場合でもセキュリティを保つ。
【解決手段】電子メール処理装置100は、電子メールを受信する電子メール受信部102と、電子メール受信部102が受信した電子メールの受信確認メールを、電子メールの送信元に返信する返信処理部104と、返信処理部104が返信する受信確認メールのセキュリティレベルの設定を記憶する設定記憶部110と、設定記憶部110に記憶されたセキュリティレベルの設定に基づき、受信確認メールの暗号化処理を行う暗号化処理部106と、を含む。返信処理部104は、暗号化処理部106が処理した受信確認メールを返信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子メール処理装置に関し、とくに、受信確認メールを送信する電子メール処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットの普及により、インターネット等のネットワークを介して電子メールを送受信する技術が広く用いられるようになっている。このような電子メールには、電子メールを受信したことを送信者に通知する受信確認メールを自動的または受信者の許可により送信者に送信する機能が設けられている(たとえば特許文献1)。このような受信確認機能として、たとえばMDN(Message Disposition Notification)が知られている。
【特許文献1】特開2004−86240号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、電子メールは、インターネットを経由して送信されるため、盗聴、なりすまし、改ざん等を避けるために、暗号化処理が行われる。たとえば、このような処理手順として、PKI(Public Key Infrastructure)に基づいたS/MIME(Secure Multipurpose Internet Mail Extensions)が知られている。しかし、従来、上記のような受信確認機能により送信される確認メールについては、暗号化処理が行われていなかった。そのため、電子メール送信者が電子メールを暗号化して送信してきた場合でも、受信確認メールに件名等が表示されたりしてセキュリティが充分保てないという問題があった。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、電子メールの受信確認メールを送信する場合でもセキュリティを保つ技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、
電子メールを受信する電子メール受信部と、
前記電子メール受信部が受信した電子メールの受信確認メールを、前記電子メールの送信元に返信する返信処理部と、
前記返信処理部が返信する前記受信確認メールのセキュリティレベルの設定を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されたセキュリティレベルの設定に基づき、受信確認メールの暗号化処理を行う暗号化処理部と、
を含み、
前記返信処理部は、前記暗号化処理部が処理した前記受信確認メールを返信する電子メール処理装置が提供される。
【0006】
この構成により、受信確認メールを返信する際にも、暗号化処理が行われ、セキュリティを保つことができる。
【0007】
本発明の電子メール処理装置において、前記記憶部は、前記電子メール受信部が受信する電子メールの送信元に対応付けて前記セキュリティレベルの設定を記憶することができる。
【0008】
本発明の電子メール処理装置において、前記記憶部は、前記電子メール受信部が受信する電子メールの種類に対応付けて前記セキュリティレベルの設定を記憶することができる。
【0009】
本発明の電子メール処理装置において、前記記憶部は、前記受信確認メールのセキュリティレベルを前記電子メール受信部が受信した電子メールに設定されたセキュリティレベルと同じとする設定を記憶することができる。
【0010】
本発明によれば、
電子メールを受信する電子メール受信部と、
前記電子メール受信部が受信した電子メールの受信確認メールを、前記電子メールの送信元に返信する返信処理部と、
前記電子メール受信部が受信した電子メールに設定されたセキュリティレベルと同じセキュリティレベルで受信確認メールの暗号化処理を行う暗号化処理部と、
を含み、
前記返信処理部は、前記暗号化処理部が処理した前記受信確認メールを返信する電子メール処理装置が提供される。
【0011】
この構成により、受信確認メールについて、もともの電子メールに対応した必要なセキュリティレベルで暗号化処理を行うことができる。
【0012】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラム等の間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。たとえば、上記の電子メール処理装置の構成は、メーラー等のプログラムにより実現することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電子メールの受信確認メールを送信する場合でもセキュリティを保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0015】
図1は、本実施の形態における電子メール処理装置の構成を示すブロック図である。
電子メール処理装置100は、電子メール受信部102、返信処理部104、暗号化処理部106、設定受付部108および設定記憶部110を含む。
【0016】
図1に示した電子メール処理装置100の各構成要素は、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。電子メール処理装置100の各構成要素は、任意のコンピュータのCPU、メモリ、メモリにロードされた本図の構成要素を実現するプログラム、そのプログラムを格納するハードディスクなどの記憶ユニット、ネットワーク接続用インタフェースを中心にハードウエアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置にはいろいろな変形例があることは、当業者には理解されるところである。
【0017】
本実施の形態において、ネットワーク200は、インターネットとすることができる。電子メール受信部102は、ネットワーク200を介して、電子メール処理装置100宛の電子メールを受信する。
【0018】
返信処理部104は、電子メール受信部102が受信した電子メールに受信確認メールを送信する設定がされている場合、ネットワーク200を介して、もとの電子メールの送信元に受信確認メールを返信する。本実施の形態において、返信処理部104は、受信確認メールを、予め設定された条件に従って、暗号化処理した状態で返信する。
【0019】
設定記憶部110は、返信処理部104が返信する受信確認メールのセキュリティレベルの設定を記憶する。この設定は、たとえば装置単位で行うこともでき、電子メール受信部102が受信する電子メールの送信元毎、または電子メール受信部102が受信する電子メールの種類毎に行うこともできる。電子メールの種類は、たとえば添付文書の有無や添付文書の種類とすることができる。設定記憶部110は、電子メール受信部102が受信する電子メールの送信元に対応付けてセキュリティレベルの設定を記憶することができる。さらに、設定記憶部110は、電子メール受信部102が受信する電子メールの種類に対応付けてセキュリティレベルの設定を記憶することができる。
【0020】
セキュリティレベルは、たとえば、「平文のまま」、「返信者の電子署名添付」、「送信元の公開鍵で暗号化および返信者の電子署名添付」、「タイムスタンプ付与」等とすることができる。暗号化処理部106は、「送信元の公開鍵で暗号化」、「返信者の電子署名添付」、「送信元の公開鍵で暗号化および返信者の電子署名添付」、および「タイムスタンプ付与」を行う。
【0021】
返信処理部104は、受信確認メールを作成する際、設定記憶部110を参照し、設定された条件を取得する。返信処理部104は、設定された条件を暗号化処理部106に通知する。暗号化処理部106は、通知された条件で受信確認メールの暗号化処理を行う。返信処理部104は、暗号化処理部106が暗号化処理した受信確認メールを返信する。
【0022】
また、設定記憶部110には、「受信メールと同じセキュリティレベル」を設定することもできる。このような設定が行われている場合、返信処理部104は、電子メール受信部102が受信した電子メールと同じセキュリティレベルで暗号化処理部106に受信確認メールの暗号化処理を行わせる。たとえば、電子メール受信部102が受信した電子メールが暗号化された電子メールの場合、返信処理部104は、暗号化処理部106により受信確認メールを暗号化させ、それを返信する。また、電子メール受信部102が受信した電子メールが平文の場合は、返信処理部104は、受信確認メールを平文のままで返信する。
【0023】
なお、返信処理部104は、通常の電子メールを送信する送信処理部の機能を兼ねることもできる。この場合、返信処理部104は、たとえば電子メールのヘッダを確認することにより、送信する電子メールが受信確認メールか否かを判断することができる。返信処理部104は、送信する電子メールが受信確認メールの場合、設定記憶部110を参照して、暗号化処理部106に必要な暗号化処理を行わせる。
【0024】
図2は、本実施の形態における電子メール処理装置100の処理手順を示すフローチャートである。
電子メールを受信すると(S100のYES)、電子メール受信部102は、受信確認メールが必要か否かを判断する(S102)。受信確認メールが必要か否かは、ユーザに問い合わせることにより判断することもできる。受信確認メールが必要な場合(S102のYES)、返信処理部104は、受信確認メールを作成する(S104)。受信確認メール作成処理において、返信処理部104は、設定記憶部110を参照して、暗号化処理が必要か否かを判断する(S106)。暗号化処理が必要な場合(S106のYES)、返信処理部104は、暗号化処理部106に通知を行い、暗号化処理部106に受信確認メールを暗号化させる(S108)。この後、返信処理部104は、暗号化処理部106が暗号化した受信確認メールを返信する(S110)。
【0025】
ステップS106において、暗号化処理を行わない場合(S106のNO)、ステップS110に進み、受信確認メールを平文のまま返信する。
【0026】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0027】
なお、電子メール処理装置100は、端末でもよいが、配信サービス通知(DSN:Delivery Service Notification)を行うメールサーバとすることもできる。
【0028】
また、上記のような構成を有している電子メール処理装置100に電子メールを送信する場合、電子メールの送信者が、自己の公開鍵を添付して電子メールを送信するようにすることもできる。これにより、電子メール処理装置100において、電子メールの送信者の公開鍵により受信確認メールを暗号化して、返信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態における電子メール処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態における電子メール処理装置の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0030】
100 電子メール処理装置
102 電子メール受信部
104 返信処理部
106 暗号化処理部
108 設定受付部
110 設定記憶部
200 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子メールを受信する電子メール受信部と、
前記電子メール受信部が受信した電子メールの受信確認メールを、前記電子メールの送信元に返信する返信処理部と、
前記返信処理部が返信する前記受信確認メールのセキュリティレベルの設定を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されたセキュリティレベルの設定に基づき、受信確認メールの暗号化処理を行う暗号化処理部と、
を含み、
前記返信処理部は、前記暗号化処理部が処理した前記受信確認メールを返信する電子メール処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子メール処理装置において、
前記記憶部は、前記電子メール受信部が受信する電子メールの送信元に対応付けて前記セキュリティレベルの設定を記憶する電子メール処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電子メール処理装置において、
前記記憶部は、前記電子メール受信部が受信する電子メールの種類に対応付けて前記セキュリティレベルの設定を記憶する電子メール処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の電子メール処理装置において、
前記記憶部は、前記受信確認メールのセキュリティレベルを前記電子メール受信部が受信した電子メールに設定されたセキュリティレベルと同じとする設定を記憶する電子メール処理装置。
【請求項5】
電子メールを受信する電子メール受信部と、
前記電子メール受信部が受信した電子メールの受信確認メールを、前記電子メールの送信元に返信する返信処理部と、
前記電子メール受信部が受信した電子メールに設定されたセキュリティレベルと同じセキュリティレベルで受信確認メールの暗号化処理を行う暗号化処理部と、
を含み、
前記返信処理部は、前記暗号化処理部が処理した前記受信確認メールを返信する電子メール処理装置。
【請求項6】
コンピュータを、
電子メールを受信する電子メール受信手段、
前記電子メール受信手段が受信した電子メールの受信確認メールを、前記電子メールの送信元に返信する返信処理手段、
前記返信処理手段が返信する前記受信確認メールのセキュリティレベルの設定を記憶する記憶手段、
前記記憶手段に記憶されたセキュリティレベルの設定に基づき、前記受信確認メールの暗号化処理を行う暗号化処理手段、
として機能させ、
前記返信処理手段が、前記暗号化処理手段が処理した前記受信確認メールを返信するようにするプログラム。
【請求項7】
コンピュータを、
電子メールを受信する電子メール受信手段、
前記電子メール受信手段が受信した電子メールの受信確認メールを、前記電子メールの送信元に返信する返信処理手段、
前記電子メール受信手段が受信した電子メールに設定されたセキュリティレベルと同じセキュリティレベルで受信確認メールの暗号化処理を行う暗号化処理手段、
として機能させ、
前記返信処理手段が、前記暗号化処理手段が処理した前記受信確認メールを返信するようにするプログラム。

【図1】
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【図2】
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