説明

電子レンジ調理用発泡積層体

【課題】
優れた断熱性と発泡外観を示すと共に、電子レンジ調理を行った際に火ぶくれが発生しない電子レンジ調理用発泡積層体を提供する。
【解決手段】
(A)層/基材層/(B)層を含み、(B)層が発泡層である発泡積層体であって、(A)層がJIS K6922−1(1997年)により測定された密度が935kg/m以上970kg/m以下であるポリエチレン系樹脂(a)、(B)層が、JIS K6922−1(1997年)により測定された密度が910〜930kg/mの範囲である高圧法低密度ポリエチレン(b)から構成され、下記(i)〜(ii)を満たすことを特徴とする電子レンジ調理用発泡積層体を用いる。
(i)発泡後の(B)層の厚みが200μm以上である。
(ii)発泡前の(B)層の厚み(μm)に対する発泡後の(B)層の厚み(μm)の比が5以上12以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた断熱性と発泡外観を示すと共に、電子レンジ調理を行った際に火ぶくれが発生しない電子レンジ調理用発泡積層体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、断熱性を有する容器として、合成樹脂、特にポリスチレンを発泡させたものが多く使用されている。しかし、発泡ポリスチレン容器は、廃棄時の環境への負荷が高い、印刷適性に劣るなどの欠点があり、他の素材への代替が検討されている。そのような中、底板部材と胴部材とからなる紙製容器において、容器胴部材及び底板部材の原紙の内壁面に高融点の熱可塑性合成樹脂フィルムをラミネートしてあると共に容器胴部材の原紙の外壁面に低融点の熱可塑性合成樹脂フィルムをラミネートしてあり、この低融点の熱可塑性合成樹脂フィルムを加熱処理して発泡してある断熱紙容器が提案されている(例えば、特許文献1〜2参照)。
【0003】
近年、上記に示す発泡性断熱紙容器を電子レンジ調理用容器として使用しているが、糸尻部に焦げが発生したり、発泡層表面に火ぶくれが発生したりするといった問題があった。
【0004】
糸尻部の焦げを抑制する手法として、胴部材下端部を内側に屈曲させ、外周辺部を外面に折り込んだ形状である底部材と熱接着により接合する方法(例えば特許文献3参照)、糸尻部の外周へ金属テープを貼着する方法(例えば特許文献4参照)が提案されている。
【0005】
一方、発泡層表面への火ぶくれ発生を抑制する手法として、底部材の外周辺部を下方に屈曲して屈曲部を形成し、この屈曲部を挟んで胴部材の下端部を内側に折り込み、加熱圧着して接合部を形成し、底部材の底面部を下方に凹ませて接合部近傍の底面部の断面形状を円弧状にする手法が提案されている(例えば特許文献5参照)。
【0006】
しかし、上記手法を用いた場合においても、発泡層表面への火ぶくれの発生は完全に抑制されておらず、問題を解決することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−139017号公報
【特許文献2】特開2007−217024号公報
【特許文献3】特許第3953584号公報
【特許文献4】特開2001−122242号公報
【特許文献5】特許第4480246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような状況を鑑みなされたものであって、優れた断熱性と発泡外観を示すと共に、電子レンジ調理を行った際に火ぶくれが発生しない電子レンジ調理用発泡積層体を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の電子レンジ調理用発泡積層体が、優れた断熱性と発泡外観を示すと共に、電子レンジ調理を行った際に火ぶくれが発生しないこと(以後、電子レンジ適性と示す。)を見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、(A)層/基材層/(B)層を含み、(B)層が発泡層である発泡積層体であって、
(A)層がJIS K6922−1(1997年)により測定された密度が935kg/m以上970kg/m以下であるポリエチレン系樹脂(a)、
(B)層が、JIS K6922−1(1997年)により測定された密度が910kg/m以上930kg/m以下である高圧法低密度ポリエチレン(b)から構成され、
下記(i)〜(ii)を満たすことを特徴とする電子レンジ調理用発泡積層体。
【0011】
(i)発泡後の(B)層の厚みが200μm以上である。
【0012】
(ii)発泡前の(B)層の厚み(μm)に対する発泡後の(B)層の厚み(μm)の比が5以上12以下である。
【0013】
さらに、(A)層の厚み(μm)に対する(B)層の発泡前の厚み(μm)の比が1.75以上8以下であることを特徴とする電子レンジ調理用発泡積層体に関するものである。
【0014】
また、(A)層の厚み(μm)に対する(B)層の発泡前の厚み(μm)の比が2以上6以下であることを特徴とする子レンジ調理用発泡積層体に関するものである。
【0015】
また、(A)層の厚みが10μm以上35μm以下であり、かつ、(B)層の発泡前の厚みが75(μm)以上110μm以下であることを特徴とする電子レンジ調理用発泡積層体に関するものである。
【0016】
また、ポリエチレン系樹脂(a)のJIS K6922−1(1997年)により測定された密度が945kg/m以上970kg/m以下であることを特徴とする電子レンジ調理用発泡積層体に関するものである。
【0017】
また、ポリエチレン系樹脂(a)のJIS K6922−1(1997年)により測定された密度が950kg/m以上965kg/m以下であることを特徴とする電子レンジ調理用発泡積層体に関するものである。
【0018】
また、ポリエチレン系樹脂(a)が、高密度ポリエチレン(c)10〜90重量%、及び高圧法低密度ポリエチレン(d)10〜90重量%から成るエチレン系樹脂組成物(e)であることを特徴とする電子レンジ調理用発泡積層体に関するものである。
【0019】
また、ポリエチレン系樹脂(a)が、直鎖状エチレン系重合体(f)20〜99重量%、及び下記(iii)〜(v)を満足するポリエチレン系樹脂(g)1〜80重量%からなり、かつ下記(vi)、(vii)を満たすエチレン系樹脂組成物(h)であることを特徴とする電子レンジ調理用発泡積層体に関するものである。
(iii)JIS K6922−1(1997年)により測定した密度が935kg/m以上970kg/m以下である。
(iv)JIS K6922−1(1997年)により測定したメルトフローレート(MFR)が1g/10分以上20g/10分以下である。
(v)160℃で測定した溶融張力(MS160(mN))が20以上300以下である。
(vi)JIS K6922−1(1997年)により測定したメルトフローレート(MFR)が3g/10分以上25g/10分以下である。
(vii)190℃で測定した溶融張力(MS190(mN))が3以上80以下である。
【0020】
また、(B)層を構成する高圧法低密度ポリエチレン(b)のJIS K6922−1(1997年)により測定された密度が920kg/m以下であることを特徴とする電子レンジ調理用発泡積層体に関するものである。
【0021】
また、(B)層を構成する高圧法低密度ポリエチレン(b)のJIS K6922−1(1997年)により測定された密度が920kg/mを超えることを特徴とする電子レンジ調理用発泡積層体に関するものである。
【0022】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0023】
本発明の積層体を構成するポリエチレン系樹脂(a)のJIS K6922−1(1997年)により測定した密度(以下、単に密度と略す。)は、935〜970kg/mの範囲であると、断熱性、発泡の安定性に優れるため好ましく、より好ましくは945〜970kg/m、最も好ましくは950〜965kg/mである。
【0024】
本発明の積層体を構成するポリエチレン系樹脂(a)としては、エチレン単独重合体、若しくは、エチレン・α−オレフィン共重合体、及びこれらの組成物であり、その分子鎖の形態は直鎖状でもよく、炭素数6以上の長鎖分岐を有していてもよい。このようなポリエチレン系樹脂(a)は、特に限定されるものではなく、前記密度範囲を外れなければよい。
【0025】
このようなエチレン単独重合体には、低圧法エチレン単独重合体、高圧法低密度ポリエチレンが例示することができる。
【0026】
このような、低圧法エチレン単独重合体は、従来公知の低圧イオン重合法により得ることができる。
【0027】
このような高圧法低密度ポリエチレンは、従来公知の高圧ラジカル重合法により得ることができる。
【0028】
このようなエチレン・α−オレフィン共重合体に用いるα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセンなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上が用いられる。
【0029】
このようなエチレン・α−オレフィン共重合体を得るための方法は特に限定するものではなく、チーグラー・ナッタ触媒やフィリップス触媒、メタロセン触媒を用いた高・中・低圧イオン重合法などを例示することができる。このような共重合体は、市販品の中から便宜選択することができる。
これらの中で、ラミネート成形性に優れることから、高密度ポリエチレン(c)10〜90重量%と高圧法低密度ポリエチレン(d)90〜10重量%から成るエチレン系樹脂組成物(e)であることが好ましい。
【0030】
このような高密度ポリエチレン(c)としては、低圧法エチレン単独重合体やエチレン・α−オレフィン共重合体などが挙げられる。
【0031】
このような、低圧法エチレン単独重合体は、従来公知の低圧イオン重合法により得ることができる。
【0032】
このようなエチレン・α−オレフィン共重合体に用いるα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセンなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上が用いられる。
【0033】
このようなエチレン・α−オレフィン共重合体を得るための方法は特に限定するものではなく、チーグラー・ナッタ触媒やフィリップス触媒、メタロセン触媒を用いた高・中・低圧イオン重合法などを例示することができる。このような共重合体は、市販品の中から便宜選択することができる。
【0034】
また、このような高密度ポリエチレン(c)において、エチレン系樹脂組成物(e)のラミネート加工性に優れることから、JIS K6922−1(1997年)により測定したメルトマスフローレート(以下、単にMFRと略す。)は6〜100g/10分の範囲が好ましく、より好ましくは8〜60g/10分の範囲である。
【0035】
さらに、このような高密度ポリエチレン(c)において、エチレン系樹脂組成物(e)のラミネート加工性、生産性に優れるため、密度は935〜980kg/mの範囲が好ましく、より好ましくは945〜975kg/mの範囲である。
【0036】
このような高圧法低密度ポリエチレン(d)は、従来公知の高圧ラジカル重合法により得ることができる。
【0037】
このような高圧法低密度ポリエチレン(d)において、エチレン系樹脂組成物(e)の押出ラミネート加工性に優れるため、MFRは0.1〜20g/10分の範囲が好ましく、より好ましくは0.3〜10g/10分、最も好ましくは1〜4g/10分の範囲である。
【0038】
また、このような高圧法低密度ポリエチレン(d)において、エチレン系樹脂組成物(e)の製膜安定性に優れることから、密度は910〜935kg/mの範囲が好ましい。
【0039】
このようなエチレン系樹脂組成物(e)のMFRは、ラミネート成形性に優れるため、1〜50g/10分の範囲が好ましく、さらに好ましくは3〜20g/10分の範囲である。
【0040】
また、本発明を構成するポリエチレン系樹脂(a)としては、ラミネート成形性に優れることから、直鎖状エチレン系重合体(f)20〜99重量%、下記(iii)〜(v)を満足するポリエチレン系樹脂(g)1〜80重量%からなり、下記(vi)、(vii)を満たすポリエチレン系樹脂組成物(h)であることが好ましい。
【0041】
(iii) 密度が935kg/m以上970kg/m以下である。
【0042】
(iv) MFRが1g/10分以上20g/10分以下である。
【0043】
(v) 160℃で測定した溶融張力(MS160(mN))が20以上300以下である。
【0044】
(vi) MFRが1g/10分以上20g/10分以下である。
【0045】
(vii) 190℃で測定した溶融張力(MS190(mN))が3以上80以下である。
【0046】
このような直鎖状エチレン系重合体(f)は、チーグラー触媒、フィリップス触媒、メタロセン触媒などにより重合された低圧法エチレン単独重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体である。α−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテンもしくはビニルシクロアルカン等が例示される。
【0047】
このような直鎖状エチレン系重合体(f)の密度は、特に限定されるものではないが、発泡安定性に優れるため、880kg/m以上970kg/m以下であることが好ましく、更に好ましくは、950kg/m以上970kg/m以下である。
【0048】
このような直鎖状エチレン系重合体(f)のMFRは、特に限定されるものではないが、ポリエチレン系樹脂組成物(h)のラミネート成形性に優れることから、1g/10分以上30g/10分以下であることが好ましい。
【0049】
このような直鎖状エチレン系重合体(f)のゲル浸透クロマトグラフィー(以下単にGPCと略)により測定し、直鎖状ポリエチレン換算により求めた数平均分子量(Mn)は、特に限定されるものではないが、10,000(g/mol)以上であるとエチレン系樹脂組成物(h)のラミネート成形性に優れるため好ましい。
【0050】
また、このようなポリエチレン系樹脂(g)は、エチレンから導かれる繰り返し単位からなるエチレン単独重合体、またはエチレンから導かれる繰り返し単位と炭素数3〜8のα−オレフィンから導かれる繰り返し単位からなるエチレン−α−オレフィン共重合体が好ましい。ここで、炭素数3〜8のα−オレフィンから導かれる繰り返し単位とは、単量体である炭素数3〜8のα−オレフィンから誘導され、エチレン−α−オレフィン共重合体に含有される単位であり、炭素数3〜8のα−オレフィンとしては、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン等が挙げられる。これら炭素数3〜8のα−オレフィンの少なくとも2種類を併用してもよい。
【0051】
ポリエチレン系樹脂(g)の密度は、発泡安定性に優れるため、935kg/m以上970kg/m以下であることが好ましく、より好ましくは940kg/m以上960kg/m以下、最も好ましくは945kg/m以上960kg/m以下のものである。
【0052】
また、ポリエチレン系樹脂(g)のMFRは、ポリエチレン系樹脂組成物(h)のラミネート加工性に優れることから、1g/10分以上20g/10分以下が好ましく、より好ましくは1g/10分以上10g/10分以下、さらに好ましくは1g/10分以上5g/10分以下のものである。
【0053】
更に、ポリエチレン系樹脂(g)は、ポリエチレン系樹脂組成物(h)のラミネート加工性に優れるため、160℃で測定した溶融張力(以下、MS160と略す)(mN)が20以上300以下であることが好ましい。
【0054】
また溶融張力はMFRの対数と比例することが知られている(例えば、A.Ghijsels,et al.,Intern.Polym.Pros.,VII,p44(1992))が、MS160(mN)とMFR(g/10分)の関係が下記式(1)を満足すると、エチレン系樹脂組成物(h)におけるネックインとドローダウン性のバランスに優れるため好ましく、下記式(2)を満足すると特に好ましい。
【0055】
MS160>90−130×log(MFR) (1)
MS160>110−130×log(MFR) (2)
なお、本発明におけるMS160は、長さが8mm,直径が2.095mmであるダイスを用い、流入角90°で、せん断速度10.8s−1、延伸比47、測定温度160℃の条件下で測定した値であり、最大延伸比が47未満の場合は、破断しない最高の延伸比で測定した値をMS160とした。
【0056】
ポリエチレン系樹脂(g)は、190℃で測定した溶融張力(以下、MS190と記す)(mN)とMS160(mN)の関係が下記式(3)を満足すると、押出温度による溶融張力の変化が小さいことから、このようなポリエチレン系樹脂(g)を配合したポリエチレン系樹脂組成物(h)を押出ラミネート成形する際の成形加工温度やダイ流路の厳密な調節が不必要となるため好ましく、下記式(4)を満足すると特に好ましい。
【0057】
MS160/MS190<1.8 (3)
MS160/MS190<1.7 (4)
なお、本発明におけるMS190は、長さが8mm,直径が2.095mmであるダイスを用い、流入角90°で、せん断速度10.8s−1、延伸比47、測定温度190℃の条件下で測定した値であり、最大延伸比が47未満の場合は、破断しない最高の延伸比で測定した値をMS190とした。
【0058】
このようなポリエチレン系樹脂(g)は、ポリエチレン系樹脂組成物(h)を押出ラミネート成形する際の成形温度の厳密な調整が不必要となるため、流動の活性化エネルギー(kJ/mol)(以下、Eと略す。)は40以下であると好ましく、より好ましくは35kJ/mol以下である。
【0059】
ここで、Eは粘度の温度依存性を示す。
【0060】
なお、本発明におけるEは、160℃〜230℃の温度範囲における動的粘弾性測定を行い、得られるシフトファクターをアレニウス式に代入することにより求めることができる。
【0061】
さらに、ポリエチレン系樹脂(g)は、ポリエチレン系樹脂組成物(h)の高せん断速度における押出負荷が小さく、ネックインも小さくなるため、重量平均分子量/数平均分子量(以下、Mw/Mnと略す。)が3以上10以下であることが好ましく、より好ましくは4以上8以下である。なお、Mw/Mnは、GPCによって標準ポリエチレン換算値である重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を測定することにより算出することが可能である。
【0062】
このようなポリエチレン系樹脂(g)としては、該ポリエチレン系樹脂(g)の範疇に属するものであれば如何なるものでもよく、如何なる方法により得られたものであってもよく、例えば後述する本願実施例の製造条件そのもの、あるいは条件因子の微調整によって任意に作り分けることが可能である。
【0063】
具体的には、例えば、特開2004−346304号公報、特開2005−248013号公報、特開2006−321991号公報、特開2007−169341号公報、特開2008−50278号公報に記載の重合触媒の存在下に、エチレンを重合する、またはエチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンを共重合する方法を用いることができる。
【0064】
より具体的には、例えばメタロセン化合物として、2つの置換または非置換シクロペンタジエニル基が架橋基で架橋されている架橋型ビス(置換または非置換シクロペンタジエニル)ジルコニウム錯体(以下、成分(i)と記す。)と、架橋型(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウム錯体および/または架橋型(インデニル)(フルオレニル)ジルコニウム錯体(以下、成分(j)と記す。)を用いたメタロセン触媒の存在下に、エチレンを重合する、またはエチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンを共重合する方法を用いることができる。
【0065】
成分(i)の具体例としては、ジメチルシリレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(インデニル)ジルコニウム、ジクロライド1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン−1,3−ジイル−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、1,1−ジメチル−1−シラエタン−1,2−ジイル−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、プロパン−1,3−ジイル−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ブタン−1,4−ジイル−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、シス−2−ブテン−1,4−ジイル−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、1,1,2,2−テトラメチルジシラン−1,2−ジイル−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド等のジクロライドおよび上記遷移金属化合物のジメチル体、ジエチル体、ジヒドロ体、ジフェニル体、ジベンジル体を例示することができる。また上記遷移金属化合物のシクロペンタジエニル誘導体の水素が炭化水素基で置換されたもの、中心金属のジルコニウム原子をチタン原子またはハフニウム原子に置換した化合物も例示することもできる。
【0066】
成分(j)の具体例としては、ジフェニルメチレン(1−シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(2−トリメチルシリル−1−シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(1−シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(1−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(1−シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(1−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシランジイル(1−シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイル(1−シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(1−インデニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(2−フェニル−1−インデニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(2−フェニル−1−インデニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド等のジクロライドおよび上記遷移金属化合物のジメチル体、ジエチル体、ジヒドロ体、ジフェニル体、ジベンジル体を例示することができる。また上記遷移金属化合物のシクロペンタジエニル誘導体の水素が炭化水素基で置換されたもの、中心金属のジルコニウム原子をチタン原子またはハフニウム原子に置換した化合物も例示することもできる。
【0067】
また、成分(i)に対する成分(j)の量は、特に制限はなく、0.0001〜100倍モルであることが好ましく、特に好ましくは0.001〜10倍モルである。
【0068】
そして、成分(i)と成分(j)を用いたメタロセン触媒としては、例えば成分(i)と成分(j)と有機アルミニウム化合物(以下、成分(k)と記す。)からなる触媒;成分(i)と成分(j)とアルミノオキサン(以下、成分(l)と記す。)からなる触媒;さらに成分(k)を含んでなる触媒;成分(i)と成分(j)とプロトン酸塩(以下、成分(m)と記す。)、ルイス酸塩(以下、成分(n)と記す。)または金属塩(以下、成分(o)と記す。)から選ばれる少なくとも1種類の塩からなる触媒;さらに成分(k)を含んでなる触媒;、成分(i)と成分(j)と成分(l)と無機酸化物(以下、成分(p)と記す。)からなる触媒;成分(i)と成分(j)と成分(p)と成分(m)、成分(n)、成分(o)から選ばれる少なくとも1種類の塩からなる触媒;さらに成分(k)を含んでなる触媒;成分(i)と成分(j)と粘土鉱物(以下、成分(q)と記す。)と成分(k)からなる触媒;成分(i)と成分(j)と有機化合物で処理された粘土鉱物(以下、成分(r)と記す。)からなる触媒を例示することができ、好ましくは成分(i)と成分(j)と成分(r)からなる触媒を用いることができる。
【0069】
ここで、成分(q)および成分(r)として用いることが可能な粘土鉱物としては、微結晶状のケイ酸塩を主成分とする微粒子を挙げることができ、粘土鉱物の大部分は、その構造上の特色として層状構造を成しており、層の中に種々の大きさの負電荷を有することが挙げられる。この点で、シリカやアルミナのような三次元構造を持つ金属酸化物と大きく異なる。これらの粘土鉱物は、一般に層電荷の大きさで、パイロフィライト、カオリナイト、ディッカイトおよびタルク群(化学式当たりの負電荷がおよそ0)、スメクタイト群(化学式当たりの負電荷がおよそ0.25から0.6)、バーミキュライト群(化学式当たりの負電荷がおよそ0.6から0.9)、雲母群(化学式当たりの負電荷がおよそ1)、脆雲母群(化学式当たりの負電荷がおよそ2)に分類されている。ここで示した各群には、それぞれ種々の粘土鉱物が含まれるが、スメクタイト群に属する粘土鉱物としては、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト等が挙げられる。また、上記粘土鉱物は複数混合して用いることもできる。
【0070】
成分(r)における有機化合物処理とは、粘土鉱物層間に有機イオンを導入し、イオン複合体を形成することをいう。有機化合物処理で用いられる有機化合物としては、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン塩酸塩、N,N−ジメチル−n−エイコシルアミン塩酸塩、N,N−ジメチル−n−ドコシルアミン塩酸塩、N,N−ジメチルオレイルアミン塩酸塩、N,N−ジメチルベヘニルアミン塩酸塩、N−メチル−ビス(n−オクタデシル)アミン塩酸塩、N−メチル−ビス(n−エイコシル)アミン塩酸塩、N−メチル−ジオレイルアミン塩酸塩、N−メチル−ジベヘニルアミン塩酸塩、N,N−ジメチルアニリン塩酸塩を例示することができる。
【0071】
成分(i)と成分(j)と成分(r)からなる触媒は、有機溶媒中、成分(i)と成分(j)と成分(r)を接触させることによって得ることが可能であり、成分(i)と成分(r)の接触生成物に成分(j)を添加する方法;成分(j)と成分(r)の接触生成物に成分(i)を添加する方法;成分(i)と成分(j)の接触生成物に成分(r)を添加する方法;成分(r)に成分(i)と成分(j)の接触生成物を添加する方法を例示することができる。
【0072】
接触溶媒としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロペンタンもしくはシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエンもしくはキシレン等の芳香族炭化水素類、エチルエーテルもしくはn−ブチルエーテル等のエーテル類;塩化メチレンもしくはクロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、1,4−ジオキサン、アセトニトリルまたはテトラヒドロフランを例示することができる。
【0073】
接触温度については、0〜200℃の間で選択して処理を行うことが好ましい。
【0074】
各成分の使用量は、成分(r)1gあたり成分(i)が、0.0001〜100mmol、好ましくは0.001〜10mmolである。
【0075】
このようにして調製された成分(i)と成分(j)と成分(r)の接触生成物は、洗浄せずに用いても良く、また洗浄した後に用いても良い。また、成分(i)または成分(j)がジハロゲン体の時、さらに成分(k)を添加することが好ましい。また、成分(r)、重合溶媒およびオレフィン中の不純物を除去することを目的に成分(k)を添加することができる。
【0076】
ポリエチレン系樹脂(g)を製造する際には、重合温度−100〜120℃で行うことが好ましく、特に生産性を考慮すると20〜120℃が好ましく、さらには60〜120℃の範囲で行うことが好ましい。また、重合時間は10秒〜20時間の範囲が好ましく、重合圧力は常圧〜300MPaの範囲で行うことが好ましい。重合性単量体としては、エチレン単独又はエチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンであり、エチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンである場合、エチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンの供給割合として、エチレン/炭素数3〜8のα−オレフィン(モル比)が、1〜200、好ましくは3〜100、さらに好ましくは5〜50の供給割合を用いることができる。また、重合時に水素などを用いて分子量の調節を行うことも可能である。重合はバッチ式、半連続式、連続式のいずれの方法でも行うことが可能であり、重合条件を変えて2段階以上に分けて行うことも可能である。また、エチレン系共重合体は、重合終了後に従来既知の方法により重合溶媒から分離回収され、乾燥して得ることができる。
【0077】
重合はスラリー状態、溶液状態または気相状態で実施することができ、特に、重合をスラリー状態で行う場合にはパウダー粒子形状の整ったエチレン系共重合体を効率よく、安定的に生産することができる。また、重合に用いる溶媒は一般に用いられる有機溶媒であればいずれでもよく、具体的には例えばベンゼン、トルエン、キシレン、プロパン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ガソリン等が挙げられ、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のオレフィン自身を溶媒として用いることもできる。
【0078】
このようなポリエチレン系樹脂(g)は、直鎖状エチレン系重合体(f)に配合することにより、高溶融張力を有するポリエチレン系樹脂組成物(h)とすることが可能となり、押出ラミネート成形用として優れた特性を有する樹脂組成物を得ることができる。その際の配合割合としては、直鎖状エチレン系重合体(f)20〜99重量%、ポリエチレン系樹脂(g)1〜80重量%が好ましく、より好ましくは直鎖状エチレン系重合体(f)40〜95重量%、ポリエチレン系樹脂(g)5〜60重量%、最も好ましくは直鎖状エチレン系重合体(f)50〜90重量%、ポリエチレン系樹脂(g)10〜50重量%である。
【0079】
ポリエチレン系樹脂組成物(h)は、通常樹脂組成物とする際の方法を用いることができ、例えば溶融・混合方法として、単軸押出機やニ軸押出機を用いた押出混練、ロール混練など公知の方法を挙げることができ、該方法で溶融混練することにより得ることができる。
【0080】
このようなポリエチレン系樹脂組成物(h)は、MFRが3〜25g/10分の範囲にあると押出ラミネート成形性に優れるため好ましく、さらに好ましくは3〜20g/10分、最も好ましくは5〜18g/10分の範囲である。
【0081】
また、ポリエチレン系樹脂組成物(h)は、190℃で測定した溶融張力(MS190(mN))が3以上80以下の範囲にあるとネックイン、ドローダウン性に優れるため好ましく、さらに好ましくは5以上60以下、最も好ましくは5以上50以下の範囲である。
【0082】
さらに、特に押出ラミネート成形に供した際のネックインとドローダウン性に優れることからMS190とMFRの関係が下記の範囲を満足することが好ましい。
【0083】
MFRが3g/10分以上10g/10分未満の場合、
20≦MS190≦80
さらに好ましくは、
25≦MS190≦60
MFRが10g/10分以上15g/10分未満の場合、
6≦MS190≦60
さらに好ましくは、
10≦MS190≦50
MFRが15g/10分以上25g/10分以下の場合、
3≦MS190≦55
さらに好ましくは、
5≦MS190≦45
ポリエチレン系樹脂組成物のMFRに対する溶融張力が大きいほどネックインが小さくなるが、MFRに対する溶融張力が大きすぎるとドローダウン性に劣る場合がある。
【0084】
なお、ここでいうMS190とMFRは、上記した方法により求めることができる。
【0085】
また、本発明を構成するポリエチレン系樹脂(a)には、ポリプロピレンなどの他のポリオレフィンを配合してもよく、これらのポリオレフィンの配合比は1〜30重量%がラミネート成形性と積層体外観の点から好ましい。
【0086】
本発明の積層体を構成するポリエチレン系樹脂(a)にポリオレフィンを混合する時は、ポリエチレン系樹脂(a)のペレットとポリオレフィンのペレットを固体状態で混合したペレット混合物であってもよいが、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリー等で溶融混練した混合物の方が、品質の安定した製品が得られるので好ましい。溶融混練装置を用いる場合、溶融温度はポリエチレン系樹脂の融点〜300℃程度が好ましい。
【0087】
さらに、本発明を構成するポリエチレン系樹脂(a)には、必要に応じて、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤等、ポリオレフィン樹脂に一般に用いられている添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で添加してもかまわない。
【0088】
本発明の積層体を構成する高圧法低密度ポリエチレン(b)は、従来公知の高圧法ラジカル重合法により得ることができる。
【0089】
高圧法低密度ポリエチレン(b)の密度は910〜930kg/mの範囲であり、910kg/m3以上、920kg/m以下の範囲であれば、発泡外観に優れるため好ましく、920kg/mを超え、930kg/m3以下の範囲では、電子レンジ適性に優れるため好ましい。
【0090】
また、高圧法低密度ポリエチレン(b)のMFRは、6〜30g/10分の範囲であると、発泡性に優れるため好ましく、より好ましくは8〜30g/10分、更に好ましくは10〜24g/10分、最も好ましくは13〜18g/10分の範囲である。
【0091】
本発明を構成する高圧法低密度ポリエチレン(b)には、エチレン・α−オレフィン共重合体などの他のポリオレフィンを配合してもよい。
【0092】
本発明の積層体を構成する高圧法低密度ポリエチレン(b)にポリオレフィンを混合する時は、高圧法低密度ポリエチレン(b)のペレットとポリオレフィンのペレットを固体状態で混合したペレット混合物であってもよいが、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリー等で溶融混練した混合物の方が、品質の安定した製品が得られるので好ましい。溶融混練装置を用いる場合、溶融温度はポリオレフィン系樹脂の融点〜300℃程度が好ましい。
【0093】
また、本発明の積層体を構成する高圧法低密度ポリエチレン(b)には、必要に応じて、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤等、ポリオレフィン樹脂に一般に用いられている添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で添加してもかまわない。
【0094】
本発明の積層体を構成する(A)層の厚み及び(B)層の発泡前の厚みは、特に限定はなく、発泡外観に優れ、かつ、電子レンジ適性に優れるため、(A)層の厚みに対する(B)層の発泡前の厚みの比が1.75以上8以下であることが好ましく、より好ましくは2以上6以下である。また、発泡外観に優れ、かつ、電子レンジ適性に優れるため、(A)層の厚みが10μm以上35μm以下であり、かつ、(B)層の厚みが75μm以上110μm以下であることが好ましい。
【0095】
本発明の積層体を構成する基材に含まれる水分は、加熱により(B)層を発泡させるものであり、その水分量は20〜30g/mが(B)層の発泡倍率を向上させることができ、発泡外観にも優れるため好ましく、さらに好ましくは20〜28g/mである。
【0096】
このような本発明の積層体を構成する基材として、上質紙、クラフト紙などの天然パルプを主成分とする紙(以下、単に紙と略す)、合成繊維或は合成樹脂フィルムを擬紙化した所謂合成紙、発泡シート、ゼオライトなどの多孔性無機物からなるシートなどを例示することができ、基材中に含まれる水分量の調整が比較的容易なことから紙が好ましい。基材は、従来公知の技術により着色インキなどで印刷されていてもかまわない。基材に紙を使用する場合、水分量の調節が容易なことから、坪量は150〜500g/m、より好ましくは200〜400g/mであることが好ましい。
【0097】
本発明の積層体を得る手法として、ポリエチレン系樹脂(a)及び高圧法低密度ポリエチレン(b)を押出ラミネート加工し、加熱発泡することにより得る手法、(B)層となる発泡体を紙へ接着させ、ポリエチレン系樹脂(a)を押出ラミネート加工により得る手法が例示できる。加工が容易なことから、ポリエチレン系樹脂(a)と高圧法低密度ポリエチレン(b)をタンデムラミネート加工し、加熱発泡することにより得る手法が好ましい。
【0098】
押出ラミネート成形法により積層体を得る手法として、シングルラミネート加工法、タンデムラミネート加工法、サンドウィッチラミネート加工法、共押出ラミネート加工法などの各種押出ラミネート加工法を例示することができる。押出ラミネート法における樹脂の温度は260〜350℃の範囲が好ましく、冷却ロールの表面温度は10〜50℃の範囲が好ましい。
【0099】
また、押出ラミネート加工において、ポリエチレン系樹脂を溶融状態で押出し層とした直後に、該層の基材接着面を含酸素気体又は含オゾン気体に曝し、基材と貼り合わせる手法を用いると、基材層との接着性に優れることから好ましい。含オゾン気体により熱可塑製樹脂と基材との接着性を向上させる場合は、オゾンガスの処理量としては、ダイより押出された熱可塑製樹脂よりなるフィルム1m当たり0.5mg以上のオゾンを吹き付けることが好ましい。
【0100】
加熱発泡により本発明の積層体を得る手法における押出ラミネート加工法は、熱可塑製樹脂層と基材層との接着性をさらに向上させるため、ポリエチレン系樹脂が発泡しない程度の温度、例えば30℃〜60℃の温度で10時間以上熱処理することができる。また必要に応じて、基材の接着面に対してコロナ処理、フレーム処理、プラズマ処理などの公知の表面処理を施してもよい。また、必要であれば基材にアンカーコート剤を塗布しても良い。
【0101】
加熱発泡により本発明の積層体を得る手法における加熱方法としては、熱風、電熱、電子線の他、積層体を容器状に成形し、高温の物体を内填して充填物の熱を利用するなど、任意の手段を使用できる。加熱は、オーブン内で回分式に行う手法、コンベアなどにより連続的に行う手法などにより行うことができる。
【0102】
加熱温度、加熱時間は、使用する基材、および熱可塑性樹脂の種類に依存して変化するが、一般的に加熱温度は110℃〜200℃であり、加熱時間は10秒〜5分間である。
【0103】
本発明の積層体について、発泡後の(B)層の厚みは200μm以上であり、断熱性に優れるため、500μm以上がより好ましい。発泡後の(B)層の厚みが200μm未満では、断熱性に劣るため、好ましくない。
【0104】
本発明の積層体における発泡後の(B)層の厚みは、基材の水分量、加熱温度、加熱時間により調整することができ、上記の発泡後の(B)層の厚みが得られる手法であれば特に限定されるものではなく、便宜選択することができる。
【0105】
また、本発明の積層体について、発泡後の(B)層の厚みと発泡前の(B)層の厚みの比(以後、発泡倍率と略す)が5以上12以下であり、電子レンジ適性に優れるため、10以下がより好ましい。発泡倍率が5未満では、発泡外観に劣るため、好ましくなく、又、12を超える範囲では、電子レンジ適性に劣るため、好ましくない。
【0106】
本発明の発泡積層体は、コーヒー、スープなどの高温飲料用の紙容器、インスタントラーメンなどの即席食品用の容器等、断熱性を求められ、かつ電子レンジ調理を行う容器に好適に使用される。
【発明の効果】
【0107】
本発明の電子レンジ調理用発泡積層体は、優れた断熱性と発泡外観を示すと共に、電子レンジ調理を行った際に火ぶくれが発生しない発泡積層体である。
【実施例】
【0108】
以下、実施例および比較例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)密度
密度は、JIS K6922−1(1997年)に準拠して測定した。
(2)メルトマスフローレート(MFR)
MFRは、JIS K6922−1(1997年)に準拠して測定した。
(3)分子量および分子量分布の測定
直鎖状エチレン系重合体の数平均分子量(Mn)、およびポリエチレン系樹脂の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)および重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によって測定した。GPC装置としては東ソー(株)製 HLC−8121GPC/HTを用い、カラムとしては東ソー(株)製 TSKgel GMHhr−H(20)HTを用い、カラム温度を140℃に設定し、溶離液として1,2,4−トリクロロベンゼンを用いて測定した。測定試料は1.0mg/mlの濃度で調製し、0.3ml注入して測定した。分子量の検量線は、分子量既知のポリスチレン試料を用いて校正されている。なお、MwおよびMnは直鎖状ポリエチレン換算の値として求めた。
(4)流動の活性化エネルギーの算出
ポリエチレン系樹脂の流動の活性化エネルギー(E)は、円板−円板レオメーター((株)アントンパール製、商品名:MCR−300)を用い、150℃、170℃、190℃の各温度で角速度0.1〜100rad/sの範囲のせん断貯蔵弾性率G’、せん断損失弾性率G”を求め、基準温度150℃での横軸のシフトファクターを求め、アレニウス型の式により計算した。
(5)溶融張力
ポリエチレン系樹脂およびエチレン系樹脂組成物の溶融張力は、バレル直径9.55mmの毛管粘度計(東洋精機製作所、商品名:キャピログラフ)に、長さが8mm,直径が2.095mm、流入角が90°のダイスを装着し測定した。MS160は、温度を160℃に設定し、ピストン降下速度を10mm/分、延伸比を47に設定し、引き取りに必要な荷重(mN)をMS160とした。最大延伸比が47未満の場合、破断しない最高の延伸比での引き取りに必要な荷重(mN)をMS160とした。また、温度を190℃に設定し同様の方法で測定した荷重(mN)をMS190とした。
(6)加熱発泡
実施例により得られた積層体を10cm×20cmに切り出し円筒状に成形したサンプルを、120℃に加熱したギア式老化試験機(安田精機製作所製 No.102−SHF−77)中で所定の時間静置した後、取り出して空気中で室温まで冷却した。
(7)発泡層厚み
得られた発泡体、及びブランクとして発泡させる前のラミネート積層体をサンプル取りし、光学顕微鏡により断面写真を撮影した。断面写真から発泡層の厚みを測定し、5箇所で測定した。発泡層の厚みが200μm未満であれば×、200μm以上500μm未満であれば△、500μm以上700μm未満であれば○、700μm以上であれば◎とした。なお、発泡層厚みが200μm以上であれば、良好であると評価した。
(8)発泡表面の状態
得られた発泡体の表面の光沢性を目視で観測した。表面の光沢性が著しく良好である場合を◎、良好である場合を○、良好であるもののやや劣る場合を△、不良の場合を×とした。
(9)電子レンジ適性
得られた発泡体を5cm×20cmに切りだし円筒状に成形し、95℃、150ccの熱湯を注いだ紙容器を挿入したサンプルを、出力500Wの電子レンジ(日立製作所製 MR M−25)を用いて5分間電子レンジ処理を行った後、取り出して空気中で室温まで冷却した。表面に火ぶくれが発生せず、かつ発泡外観に全く変化がない場合を◎、火ぶくれが発生しなかったものの表面の光沢性が若干変化した場合を○、火ぶくれが発生しなかったものの表面の光沢性が変化した場合を△、火ぶくれが発生した場合を×とした。
【0109】
製造例1
[変性ヘクトライトの調製]
水3リットルにエタノール3リットルと37%濃塩酸100ミリリットルを加えた後、得られた溶液にN−メチルジオレイルアミン585g(1.1mol:ライオン株式会社製・商品名:アーミンM2O)を添加し、60℃に加熱することによって、塩酸塩溶液を調製した。この溶液にヘクトライト1kgを加えた。この懸濁液を60℃で、3時間撹拌し、上澄み液を除去した後、60℃の水50Lで洗浄した。その後、60℃、10−3torrで24時間乾燥し、ジェットミルで粉砕することによって、平均粒径10.5μmの変性ヘクトライトを得た。
[ポリエチレン系樹脂の製造触媒の調製]
上記変性ヘクトライト500gをヘキサン1.7リットルに懸濁させ、ジメチルシランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド6.97g(20.0mmol)、ジフェニルメチレン(1−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−tert−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド2.33g(3.53mmol)およびトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.714M)2.8リットル(2mol)を添加して室温で6時間撹拌した。静置して上澄み液を除去、ヘキサンで触媒固体を2回洗浄し、ヘキサンを添加して最終的に100g/Lの触媒スラリーを得た。
[ポリエチレン系樹脂の製造]
内容積540Lの重合器に、ヘキサンを145kg/時、エチレンを33.0kg/時、ブテン−1を1.0kg/時、水素を12NL/時およびポリマー生産量が30kg/時になるように上記[ポリエチレン系樹脂の製造触媒の調製]で調製した触媒スラリーを連続的に供給し、全圧を3,000kPa、重合器内温を85℃に保ちながら連続的に重合反応を行った。重合器から連続的にスラリー抜き出し、未反応の水素、エチレン、ブテン−1を除去した後、分離、乾燥の工程を経てポリエチレン系樹脂粉末を得た。ポリエチレン系樹脂粉末を200℃に設定した50mm径の単軸押出機を使用して溶融混練し、ペレタイズすることでポリエチレン系樹脂ペレットを得た。得られたポリエチレン系樹脂ペレットの密度は950kg/m、MFRは2.0g/10分、MS160は150mN、MS190は120mN、Eは31.8kJ/mol、Mw/Mnは7.3であった。
【0110】
実施例1
ポリエチレン系樹脂(a)として、MFRが7g/10分、密度が940kg/mである高密度ポリエチレン(東ソー(株)製 商品名ペトロセン LW04−1)(A1)を、高圧法低密度ポリエチレン(b)として、MFRが13g/10分、密度が919kg/mである高圧法低密度ポリエチレン(東ソー(株)製 商品名ペトロセン 212)(B1)を使用した。
【0111】
まず、(A1)を直径90mmφのスクリューを有する単軸押出ラミネーター(ムサシノキカイ(株)製)へ供給し、320℃の温度でTダイより押し出し、水分量が24g/mであり、坪量320g/mである紙基材上に引き取り速度が50m/分、エアギャップ長さが135mmで40μmの厚さになるよう押出ラミネート成形を行った。さらに、(B1)を直径90mmφのスクリューを有する単軸押出機(ムサシノキカイ(株)製)へと供給し、320℃の温度、50m/分の引き取り速度、135mmのエアギャップ長さで、70μmの厚さとなるよう押出ラミネートを行い、高密度ポリエチレン(A1)、紙基材、高圧法低密度ポリエチレン(B1)の順に積層されてなる積層体を得た。得られた積層体を120℃、5分間加熱して発泡させ、電子レンジ用発泡積層体を得た。得られた発泡積層体について、発泡層の厚み、発泡表面の状態、電子レンジ適性を評価した。評価の結果を表1に示す。発泡後の発泡層の厚み、発泡表面の光沢性、電子レンジ適性はともに良好であった。
【0112】
実施例2
実施例1に使用したポリエチレン系樹脂を使用し、(A1)の厚みが30μm、(B1)の厚みが80μmとした以外は同様の手法により発泡積層体を得た。得られた発泡積層体について、発泡層の厚み、発泡表面の状態、電子レンジ適性を評価した。結果を表1に示す。発泡後の発泡層の厚み、発泡表面の光沢性、電子レンジ適性はともに良好であった。
【0113】
実施例3
実施例1に使用したポリエチレン系樹脂を使用し、(A1)の厚みが20μm、(B1)の厚みが90μmとした以外は同様の手法により発泡積層体を得た。得られた発泡積層体について、発泡層の厚み、発泡表面の状態、電子レンジ適性を評価した。結果を表1に示す。発泡後の発泡層の厚み、発泡表面の光沢性、電子レンジ適性はともに良好であった。
【0114】
実施例4
(A)層の樹脂として、MFRが20g/10分、密度が966kg/mである高密度ポリエチレン(東ソー(株)製 商品名ニポロンハード 1000)を90重量%、MFRが1.6g/10分、密度が919kg/mである高圧法低密度ポリエチレン(東ソー(株)製 商品名ペトロセン 360)を10重量%になるよう配合し、単軸押出機(プラコー(株)製 口径50mm)にて溶融混練したエチレン系樹脂組成物(A2、MFR 16g/10分、密度 961kg/m)を使用した以外は実施例2と同様にして、ラミネート成形を行い、積層体を発泡させ発泡積層体を得た。得られた発泡積層体の発泡層の厚み、発泡表面の状態、電子レンジ適性を評価した。評価の結果を表1に示す。発泡後の発泡層の厚み、発泡表面の状態、電子レンジ適性はともに良好であった。
【0115】
実施例5
実施例4に使用したポリエチレン系樹脂を使用し、(A2)の厚みが20μm、(B1)の厚みが90μmとした以外は同様の手法により発泡積層体を得た。得られた発泡積層体について、発泡層の厚み、発泡表面の状態、電子レンジ適性を評価した。結果を表1に示す。発泡後の発泡層の厚み、発泡表面の光沢性、電子レンジ適性はともに良好であった。
【0116】
実施例6
(A)層の樹脂として、MFRが20g/10分、密度が966kg/m、数平均分子量が11,000(g/mol)である高密度ポリエチレン(東ソー(株)製 商品名ニポロンハード 1000)を80重量%、製造例1により合成されたポリエチレン系樹脂を20重量%になるよう配合し、単軸押出機(プラコー(株)製 口径50mm)にて溶融混練したエチレン系樹脂組成物(A3、MFR 13g/10分、密度 963kg/m、MS190 11mN)を使用した以外は実施例2と同様にして、ラミネート成形を行い、積層体を発泡させ発泡積層体を得た。得られた発泡積層体の発泡層の厚み、発泡表面の状態、電子レンジ適性を評価した。評価の結果を表1に示す。発泡後の発泡層の厚み、発泡表面の状態、電子レンジ適性はともに良好であった。
実施例7
実施例6に使用したポリエチレン系樹脂を使用し、(A3)の厚みが20μm、(B1)の厚みが90μmとした以外は同様の手法により発泡積層体を得た。得られた発泡積層体について、発泡層の厚み、発泡表面の状態、電子レンジ適性を評価した。結果を表1に示す。発泡後の発泡層の厚み、発泡表面の光沢性、電子レンジ適性はともに良好であった。
【0117】
実施例8
実施例6に使用したポリエチレン系樹脂を使用し、(A3)の厚みが50μm、(B1)の厚みが70μmとした以外は同様の手法により発泡積層体を得た。得られた発泡積層体について、発泡層の厚み、発泡表面の状態、電子レンジ適性を評価した。結果を表1に示す。発泡後の発泡層の厚み、発泡表面の光沢性、電子レンジ適性はともに良好であった。
【0118】
実施例9
(B)層の樹脂として、MFRが7g/10分、密度が922kg/mである高圧法低密度ポリエチレン(東ソー(株)製 商品名ペトロセン 214)(B2)を使用した以外は実施例1と同様にして、ラミネート成形を行い、積層体を発泡させ発泡積層体を得た。得られた発泡積層体の発泡層の厚み、発泡表面の状態、電子レンジ適性を評価した。評価の結果を表1に示す。発泡後の発泡層の厚み、発泡表面の状態、電子レンジ適性はともに良好であった。
【0119】
実施例10
(B)層の樹脂として、高圧法低密度ポリエチレン(B2)を使用した以外は実施例4と同様にして、ラミネート成形を行い、積層体を発泡させ発泡積層体を得た。得られた発泡積層体の発泡層の厚み、発泡表面の状態、電子レンジ適性を評価した。評価の結果を表1に示す。発泡後の発泡層の厚み、発泡表面の状態、電子レンジ適性はともに良好であった。
【0120】
実施例11
(B)層の樹脂として、高圧法低密度ポリエチレン(B2)を使用した以外は実施例6と同様にして、ラミネート成形を行い、積層体を発泡させ発泡積層体を得た。得られた発泡積層体の発泡層の厚み、発泡表面の状態、電子レンジ適性を評価した。評価の結果を表1に示す。発泡後の発泡層の厚み、発泡表面の状態、電子レンジ適性はともに良好であった。
【0121】
実施例12
(B)層の樹脂として、高圧法低密度ポリエチレン(B2)を使用した以外は実施例7と同様にして、ラミネート成形を行い、積層体を発泡させ発泡積層体を得た。得られた発泡積層体の発泡層の厚み、発泡表面の状態、電子レンジ適性を評価した。評価の結果を表1に示す。発泡後の発泡層の厚み、発泡表面の状態、電子レンジ適性はともに良好であった。
【0122】
【表1】

比較例1
実施例1に使用したポリエチレン系樹脂を使用し、(A1)の厚みが15μm、(B1)の厚みが40μmとした以外は同様の手法により発泡積層体を得た。得られた発泡積層体について、発泡層の厚み、発泡表面の状態、電子レンジ適性を評価した。結果を表2に示す。発泡表面の光沢性、電子レンジ適性はともに良好であったものの、発泡後の発泡層の厚みに劣った。
【0123】
比較例2
実施例1に使用したポリエチレン系樹脂を使用し、(A1)の厚みが50μm、(B1)の厚みが60μmとした以外は同様の手法により発泡積層体を得た。得られた発泡積層体について、発泡層の厚み、発泡表面の状態、電子レンジ適性を評価した。結果を表2に示す。発泡後の厚みは良好であったものの、発泡表面の光沢性、電子レンジ適性に劣った。
【0124】
比較例3
(A)層の樹脂として、エチレン系樹脂組成物(A2)を使用した以外は実施例1と同様にして、ラミネート成形を行い、積層体を発泡させ発泡積層体を得た。得られた発泡積層体の発泡層の厚み、発泡表面の状態、電子レンジ適性を評価した。評価の結果を表2に示す。発泡後の発泡層の厚み、発泡表面の状態はともに良好であったものの、電子レンジ適性に劣っていた。
【0125】
比較例4
(A)層の樹脂として、エチレン系樹脂組成物(A3)を使用した以外は実施例1と同様にして、ラミネート成形を行い、積層体を発泡させ発泡積層体を得た。得られた発泡積層体の発泡層の厚み、発泡表面の状態、電子レンジ適性を評価した。評価の結果を表2に示す。発泡後の厚みは良好であったものの、発泡表面の光沢性、電子レンジ適性に劣った。
【0126】
比較例5
実施例1に使用したポリエチレン系樹脂を使用し、加熱発泡の時間を3分とした以外は同様の手法により発泡積層体を得た。得られた発泡積層体について、発泡層の厚み、発泡表面の状態、電子レンジ適性を評価した。結果を表2に示す。発泡表面の光沢性、電子レンジ適性はともに良好であったものの、発泡後の発泡層の厚みに劣った。
【0127】
比較例6
実施例1に使用したポリエチレン系樹脂を使用し、加熱発泡の時間を8分とした以外は同様の手法により発泡積層体を得た。得られた発泡積層体について、発泡層の厚み、発泡表面の状態、電子レンジ適性を評価した。結果を表2に示す。発泡後の厚みは良好であったものの、発泡表面の光沢性、電子レンジ適性に劣った。
【0128】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)層/基材層/(B)層を含み、(B)層が発泡層である発泡積層体であって、
(A)層がJIS K6922−1(1997年)により測定された密度が935kg/m以上970kg/m以下であるポリエチレン系樹脂(a)、
(B)層が、JIS K6922−1(1997年)により測定された密度が910kg/m以上930kg/m以下である高圧法低密度ポリエチレン(b)から構成され、
下記(i)〜(ii)を満たすことを特徴とする電子レンジ調理用発泡積層体。
(i)発泡後の(B)層の厚みが200μm以上である。
(ii)発泡前の(B)層の厚み(μm)に対する発泡後の(B)層の厚み(μm)の比が5以上12以下である。
【請求項2】
(A)層の厚み(μm)に対する(B)層の発泡前の厚み(μm)の比が1.75以上8以下であることを特徴とする請求項1に記載の電子レンジ調理用発泡積層体。
【請求項3】
(A)層の厚み(μm)に対する(B)層の発泡前の厚み(μm)の比が2以上6以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子レンジ調理用発泡積層体。
【請求項4】
(A)層の厚みが10μm以上35μm以下であり、かつ、(B)層の発泡前の厚みが75μm以上100μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子レンジ調理用発泡積層体。
【請求項5】
ポリエチレン系樹脂(a)密度が945kg/m以上970kg/m以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電子レンジ調理用発泡積層体
【請求項6】
ポリエチレン系樹脂(a)の密度が950kg/m以上965kg/m以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電子レンジ調理用発泡積層体
【請求項7】
ポリエチレン系樹脂(a)が、高密度ポリエチレン(c)10〜90重量%、及び高圧法低密度ポリエチレン(d)10〜90重量%から成るエチレン系樹脂組成物(e)であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電子レンジ調理用発泡積層体
【請求項8】
ポリエチレン系樹脂(a)が、直鎖状エチレン系重合体(f)20〜99重量%、及び下記(iii)〜(v)を満足するエチレン系樹脂(g)1〜80重量%からなり、かつ下記(vi)、(vii)を満たすエチレン系樹脂組成物(h)であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電子レンジ調理用発泡積層体。
(iii)JIS K6922−1(1997年)により測定した密度が935kg/m以上970kg/m以下である。
(iv)JIS K6922−1(1997年)により測定したメルトフローレート(MFR)が1g/10分以上20g/10分以下である。
(v)160℃で測定した溶融張力(MS160(mN))が20以上300以下である。
(vi)JIS K6922−1(1997年)により測定したメルトフローレート(MFR)が1g/10分以上20g/10分以下である。
(vii)190℃で測定した溶融張力(MS190(mN))が3以上80以下である。
【請求項9】
高圧法低密度ポリエチレン(b)のJIS K6922−1(1997年)により測定された密度が920kg/m以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の電子レンジ調理用発泡積層体。
【請求項10】
高圧法低密度ポリエチレン(b)のJIS K6922−1(1997年)により測定された密度が920kg/mを超えることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の電子レンジ調理用発泡積層体。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の電子レンジ調理用発泡積層体からなる容器。

【公開番号】特開2012−86497(P2012−86497A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−236780(P2010−236780)
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【Fターム(参考)】