説明

電子内視鏡システム

【課題】操作性が良好かつコンパクトで、複数の観察者が同時に観察画像を視認でき、内視鏡術中に音声情報及び/又は文字情報を加えた電子カルテをリアルタイムで作成できる電子内視鏡システムを得る。
【解決手段】電子内視鏡システムは、観察対象物の観察画像を撮像する撮像部(132)を有する電子内視鏡(100)と;電子内視鏡に対して音声情報及び/又は文字情報を入力可能な入力手段(112、203、301、402、700、710)と;電子内視鏡とは別体で、表示部(208、303)を有する外部機器(200、300)と;を備え、電子内視鏡は、撮像部が撮像した観察画像と、入力手段が入力した音声情報及び/又は文字情報とを含む電子カルテデータを生成する生成部(111)と;生成部が生成した電子カルテデータを保持する保持部(117)と;保持部が保持する電子カルテデータを外部機器に無線送信する無線送信部(118)と;を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子内視鏡システムは一般的に、撮像部を有する電子内視鏡と、この電子内視鏡に設けたケーブル(ユニバーサルチューブ)を介して電子内視鏡と接続し、電子内視鏡に対して照明光を供給すると共に撮像部から送信された信号に基づいて画像データを生成するプロセッサと、このプロセッサが生成した画像データに基づく画像を表示するディスプレイと、を具備している。
しかしケーブルを介して電子内視鏡とプロセッサを接続しているので電子内視鏡の動作(例えば移動)が制限され易く(操作性が悪く)、しかもシステム全体が大掛かりになってしまう。
【0003】
その一方で、自身の内部に光源を有する携帯型内視鏡は、プロセッサ等の外部機器と接続するためのケーブルが不要になるので、内視鏡の動作が制限されず(操作性が良好であり)、しかも全体構成がコンパクトである。
しかし携帯型内視鏡は操作部に設けた接眼レンズを通して患部の観察を行うため、患部を視認可能な観察者が一人(術者のみ)に限定されてしまう。さらに観察像を記録することも難しい。
なお、携帯型内視鏡の接眼レンズにデジタル式のアドオンカメラ(附属カメラ)を設ければ、術者以外の人も観察像を視認可能となる。しかし、アドオンカメラは別途モニタなどの外部機器との接続を要するため、携帯内視鏡のコンパクトさが失われてしまう。また、アドオンカメラを見るために術者は姿勢を変える必要があり動作に支障が生じる。さらに、画面の大きさと視野角の点から、現実的には術者以外の人には鮮明な画像を視認することが難しい。
【0004】
さらに、従来から内視鏡に画像の観察機能(撮像機能)だけでなく、観察画像の保存機能を持たせたものは存在する。しかし保存した観察画像データに音声情報及び/又は文字情報を付加して患者の電子カルテデータを作成する機能を持たせた内視鏡は存在せず、従来は観察を終えた後に観察画像データを内視鏡から外部機器に転送して、この外部機器側で観察画像データに音声情報及び/又は文字情報を加えて電子カルテデータを作成しなければならなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭60−48011号公報
【特許文献2】特開2001−286439号公報
【特許文献3】特開2005−334678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の問題意識に基づいて完成されたものであり、操作性が良好かつコンパクトで、複数の観察者が同時に観察画像を視認するのが容易であり、しかも内視鏡術中に音声情報及び/又は文字情報を加えた電子カルテをリアルタイムで容易に作成できる電子内視鏡システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電子内視鏡システムは、観察対象物の観察画像を撮像する撮像部を有する電子内視鏡と;前記電子内視鏡に対して音声情報及び/又は文字情報を入力可能な入力手段と;前記電子内視鏡とは別体で、表示部を有する外部機器と;を備え、前記電子内視鏡は、前記撮像部が撮像した観察画像と、前記入力手段が入力した音声情報及び/又は文字情報とを含む電子カルテデータを生成する生成部と;前記生成部が生成した電子カルテデータを保持する保持部と;前記保持部が保持する電子カルテデータを前記外部機器に無線送信する無線送信部と;を有することを特徴としている。
【0008】
前記電子内視鏡は、前記外部機器からの電子カルテデータ更新指示信号を無線受信する無線受信部と、該無線受信部が無線受信した電子カルテデータ更新指示信号に従って前記保持部が保持する電子カルテデータを更新する更新部と、をさらに有することが好ましい。
【0009】
前記入力手段は、前記電子内視鏡と前記外部機器の双方または一方に設けることができる。
【0010】
前記外部機器は、電子内視鏡端末、ヘッドマウントディスプレイユニット、据え置き端末を含み、これら電子内視鏡端末、ヘッドマウントディスプレイユニット、据え置き端末に前記入力手段を設けてもよい。
【0011】
前記電子カルテデータには、観察日時、患者情報、担当医情報、経過時間、整理番号、内視鏡特定情報(例えばシリアルナンバー)、内視鏡操作者、及び施設情報(例えば病院名や診療科名)の少なくとも1つを有するID情報を含ませることができる。
【0012】
本発明の電子内視鏡システムは、前記入力手段が入力した音声情報を音声解析して文字情報に変換する音声解析手段をさらに有することが好ましい。
【0013】
前記音声解析手段は、前記入力手段が入力した音声情報を分析して特徴パラメータを抽出する特徴パラメータ抽出部と、前記特徴パラメータの音響と発音記号との確率の対応を音響モデルとしてデータ化して保持する音響モデル保持部と、認識対象の単語をデータ化して保持する辞書と、単語の出現確率及び特定の単語の後につながる単語の出現確率を表す言語モデルと、単語の範囲を規定するルールグラマと、前記特徴パラメータ抽出部が抽出した特徴パラメータに基づいて、前記音響モデル保持部、辞書、言語モデル及びルールグラマが持つ音響情報及び言語情報に基づいて、前記入力装置が入力した音声情報を音声解析して文字情報に変換する認識デコーダと、を有するのが実際的である。
【0014】
前記電子内視鏡は、該電子内視鏡の駆動電力を供給するバッテリユニットと、前記外部機器からの供給電圧によって前記バッテリユニットを充電する通信ソケットと、を有することができる。
【0015】
前記電子内視鏡は、前記外部機器とは別の外部電源から該電子内視鏡への供給電圧を受け取るための外部電源ソケットをさらに有し、該外部電源ソケットが受け取った前記外部電源からの供給電圧と、前記通信ソケットによる前記外部機器からの供給電圧との双方によって前記バッテリユニットを充電することもできる。この場合、前記外部電源ソケットが受け取る前記外部電源からの供給電圧を、前記通信ソケットによる前記外部機器からの供給電圧よりも高くして、急速充電を行うようにしてもよい。
【0016】
本発明の電子内視鏡システムは、前記電子内視鏡を挿通支持する挿通支持部と、該挿通支持部に前記電子内視鏡を挿通支持した状態で該電子内視鏡のバッテリユニットを無線充電する無線充電部とを備えた電子内視鏡ハンガーをさらに有していてもよい。
【0017】
本発明の電子内視鏡システムは、前記観察対象物の3D画像を保持するサーバと、前記サーバが保持する前記観察対象物の3D画像からバーチャル内視鏡画像を生成するナビゲーション部とを有していてもよい。
【0018】
本発明の電子内視鏡システムは、前記電子内視鏡の観察対象物の内部における位置情報を検出する位置情報検出手段をさらに有し、前記ナビゲーション部が、生成した前記バーチャル内視鏡画像に前記位置情報検出手段が検出した前記電子内視鏡の位置情報を合成して気管支診療計画を生成するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、操作性が良好かつコンパクトで、複数の観察者が同時に観察画像を視認するのが容易であり、しかも内視鏡術中に音声情報及び/又は文字情報を加えた電子カルテをリアルタイムで容易に作成できる電子内視鏡システムが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る電子内視鏡システムの全体構成を示す図である。
【図2】電子内視鏡の内部構成を示す簡易ブロック図である。
【図3】電子カルテデータの一例を示す図である。
【図4】電子カルテデータの代表的な表示方法を示す図である。
【図5】電子カルテデータの検索領域を示す図である。
【図6】電子カルテデータの音声情報領域を示す図である。
【図7】音声変換手段及び音声解析手段の構成を示す図である。
【図8】音声解析手段の構成を示す図である。
【図9】音声解析手段による音声解析処理を示す第1の図である。
【図10】音声解析手段による音声解析処理を示す第2の図である。
【図11】図11(A)は把持操作部に防水キャップを嵌めていない状態を示す斜視図であり、図11(B)は把持操作部に防水キャップを嵌めた状態を閉めず斜視図である。
【図12】図12(A)はバッテリユニットを内蔵した把持操作部を示す図であり、図12(B)は電池パック式のバッテリユニットを着脱可能な把持操作部を示す図であり、図12(C)は無線充電が可能なバッテリユニットを内蔵した把持操作部を示す図である。
【図13】バッテリユニットを充電するための充電回路ブロック図である。
【図14】バッテリユニットを充電するための別の実施形態を示す図である。
【図15】バッテリユニットを充電するための図13に対応する充電回路ブロック図である。
【図16】電子内視鏡端末(外部機器)の外観構成を示す図である。
【図17】電子内視鏡端末(外部機器)の内部構成を示す簡易ブロック図である。
【図18】図18(A)は内蔵型又は取り外し可能な電池パック式のバッテリユニットの内部構成を示すブロック図であり、図18(B)は無線充電式のバッテリユニットの内部構成を示すブロック図である。
【図19】ヘッドマウントディスプレイユニット(外部機器)の構成を示す図である。
【図20】据え置き端末(プロセッサ)の外観構成を示す図である。
【図21】据え置き端末(プロセッサ)の内部構成を示す簡易ブロック図である。
【図22】外部ディスプレイの構成を示す図である。
【図23】補助入力装置の構成を示す図である。
【図24】補助入力装置による操作画面の一例を示す図である。
【図25】図25(A)はボタンとジョイスティックを有する拡張コントローラ(入力手段)を装着した把持操作部を示す図であり、図25(B)はタッチパネル式入力部を有する拡張コントローラ(入力手段)を装着した把持操作部を示す図である。
【図26】電子内視鏡ハンガーの構成を示す図である。
【図27】図27(A)は接合ピンを有する電子内視鏡の構成を示す斜視図であり、図27(B)は電子内視鏡の接合ピンと電子内視鏡端末の接合部を接合した状態を示す斜視図である。
【図28】電力線通信を行うための電子内視鏡と電子内視鏡端末の内部構成を示すブロック図である。
【図29】電子内視鏡と電子内視鏡端末の接合部分の変形例を示す図である。
【図30】電子内視鏡の内部構成の変形例を示す簡易ブロック図である。
【図31】図1の電子内視鏡システムの全体構成の変形例を示す図である。
【図32】図1の電子内視鏡システムの全体構成の別の変形例を示す図である。
【図33】バーチャル内視鏡システムの全体構成を示す第1のブロック図である。
【図34】バーチャル内視鏡システムの全体構成を示す第2のブロック図である。
【図35】バーチャル内視鏡画像と気管支診療計画が表示された様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1ないし図32を用いて、本発明の一実施形態に係る電子内視鏡システム1について説明する。図1に示すように、電子内視鏡システム1は、電子内視鏡100、電子内視鏡端末(外部機器)200、ヘッドマウントディスプレイユニット(外部機器)300、据え置き端末(プロセッサ)400、外部ディスプレイ500、及び電子カルテシステム600を備えている。電子内視鏡100、電子内視鏡端末200、ヘッドマウントディスプレイユニット300及び据え置き端末400は、各種の入力情報、保存データ、操作信号などを相互に無線通信可能である。本明細書で「無線通信」とは、伝送路を持たない電気通信を意味しており、電波通信のほか、光通信や音波通信を含む広い概念で使用する。
【0022】
最初に電子内視鏡100について説明する。図2は、電子内視鏡100の内部構成を示す簡易ブロック図である。電子内視鏡100は、操作者が把持する把持操作部110と、この把持操作部110から延出する可撓性のある挿入部130とを有する携帯型内視鏡である。電子内視鏡100は、その把持操作部110の内部に、電子内視鏡100の動作全般を制御する制御回路(生成部、更新部、タグ付与部)111を有している。
【0023】
把持操作部110は、入力装置(入力手段)112と、通信ソケット113と、外部電源ソケット114と、バッテリユニット115と、表示灯116と、電子カルテデータ保持部(保持部)117と、通信アンテナ(無線送信部、無線受信部)118とを有している。
入力装置(入力手段)112は、把持操作部110のケースに設けられたボタン、ジョグダイヤル、ジョイスティック、十字キー、マイクなどで構成されており、操作者の入力操作により音声情報及び文字情報を入力する。入力装置112は、入力された音声情報及び文字情報を制御回路111に出力する。
通信ソケット113は、制御回路111を介して、電子内視鏡端末200及びその他の外部機器との間で有線通信を行うための差込口(例えば、USBコネクタ、メモリカードスロットなど)である。
外部電源ソケット114は、外部電源から供給電圧を受け取るための差込口であり、制御回路111を介して電子内視鏡100の駆動電力を供給する。
バッテリユニット115は、制御回路111を介して、電子内視鏡100の駆動電力を供給するものであり、内蔵バッテリ115aと充電電流制御回路115bを有している。内蔵バッテリ115aは、例えば、リチウムイオン電池やニッケル水素電池などの二次電池、キャパシタ、一次電池、燃料電池、あるいはこれらを併用したものである。充電電流制御回路115bは、制御回路111を介して内蔵バッテリ115aの充電電流を制御する。バッテリユニット115には、内蔵バッテリ115aの劣化を検出するために、ひずみゲージ、電圧モニタ、タイマ回路、温度センサなどが内蔵されている。バッテリユニット115は、把持操作部110の外部に取り外し可能に設けられていてもよい(ポータブル予備電源)。なお、内蔵バッテリ115aの数は1個に限定されず、2個以上であってもよい。
表示灯116は、制御回路111による制御の下で、電子内視鏡100への供給電圧(駆動電力)の減少、充電の状況(満充電や充電切れ)、バッテリユニット115の劣化などの情報を表示する。
電子カルテデータ保持部117は、制御回路111が生成又は更新した患者の診療録である電子カルテデータを保持する。
通信アンテナ118は、制御回路111の制御の下で、電子内視鏡端末200、ヘッドマウントディスプレイユニット300、及び据え置き端末400との間で、電子カルテデータ保持部117が保持する電子カルテデータ及びその他の各種の操作信号(例えば、電子カルテデータ更新指示信号、フリーズやエンハンス等の画像処理指示信号)の無線通信を行う。
【0024】
挿入部130は、その先端面に露出する対物レンズ131と、この対物レンズ131の後方に位置し、対物レンズ131を介して入射した被写体光束(観察画像)を撮像するCCDユニット(撮像部)132とを有している。CCDユニット132は、撮像した観察画像データを制御回路111に伝送する。
挿入部130は、その先端面に露出する配光レンズ133と、この配光レンズ133の後方に位置するLED134とを有している。LED134は制御回路111を介して供給された電力によって照明光を発し、この照明光は配光レンズ133によって電子内視鏡100の外部に出射される。
【0025】
制御回路(生成部)111は、CCDユニット132から伝送された観察画像データと、入力装置112から入力された音声情報及び文字情報とを合成した電子カルテデータを生成する。制御回路111は、生成した電子カルテデータを電子カルテデータ保持部117に保持させる。
制御回路(更新部)111は、通信アンテナ118を介して、電子内視鏡端末200、ヘッドマウントディスプレイユニット300又は据え置き端末400から電子カルテデータ更新指示信号が入力すると、その電子カルテデータ更新指示信号に従って、電子カルテデータ保持部117が保持する電子カルテデータを更新する。
【0026】
図3は電子カルテデータの一例を示している。この電子カルテデータは、ID情報EC1と、動画情報EC2と、音声情報EC3と、テキスト化情報EC4と、静止画情報EC5とで構成されている。これらの情報EC1−EC5は電子内視鏡端末200の表示装置208(後述)やヘッドマウントディスプレイユニット300の観察窓303(後述)に表示され、表示装置208上や観察窓303上で閲覧を希望するものに(入力装置112などを利用することにより)カーソルを合わせてクリックすることによりその情報を閲覧することができる。
ID情報EC1は、観察日時、患者情報、担当医(DR)情報、経過時間、整理番号、内視鏡特定情報(例えばシリアルナンバー)、内視鏡操作者、及び施設情報(例えば病院名や診療科名)などを含む。動画情報EC2と静止画情報EC5は、CCDユニット132から伝送された術中の撮影画像であり、そのヘッダーにはID情報EC1が組み込まれていてもよい。音声情報EC3は、入力装置112から入力された音声情報であり、例えば、内視鏡術中に音声入力された病変部についての所見を含む。テキスト化情報EC4は、入力装置112から入力された文字情報又は音声情報EC3を音声解析によりテキスト化した文字情報であり、例えば、内視鏡術中に音声入力又は文字入力された病変部についての所見を含む。
【0027】
図4は電子カルテデータの代表的な表示方法を示している。この表示方法では、現在の内視鏡画像、電子カルテデータ及びその他のデータなどの複数のデータを同時に1画面上に表示している。図4の表示方法では、基本情報領域AR1と、内視鏡画像領域AR2と、サブ画面領域AR3と、検索領域AR4と、音声情報領域AR5とが同時に1画面上に表示されている。
基本情報領域AR1には、観察日時、患者情報、担当医(DR)情報、経過時間、整理番号などが表示される。内視鏡画像領域AR2には、CCDユニット132から伝送された術中の撮影画像の動画又は静止画が表示される。サブ画面領域AR3には通常時は何も表示されず、例えばフリーズ操作を行った時に、内視鏡画像領域AR2に静止画が表示され、サブ画面領域AR3に動画が表示される。あるいは、内視鏡画像領域AR2に術中に録画された動画やX線透視画像を表示させて、サブ画面領域AR3に現在の内視鏡画像を表示させる使用態様も可能である。内視鏡画像領域AR2、サブ画面領域AR3に表示させる画像が動画である場合には、早送り、巻き戻しも可能である。
また、サブ画面領域AR3にX線透視画像を表示させても良い。
検索領域AR4は、図5に示すように入力欄AR4−1と検索ボタンAR4−2とで構成されている。入力装置112によって入力欄AR4−1に検索文字を入力し、検索ボタンAR4−2にカーソルを合わせてクリックすることにより、電子カルテデータ中の検索文字に該当する部分を抽出することができる。例えば、入力装置112によって入力欄AR4−1に「病変部」と入力すると、電子カルテデータ中の観察画像データの中から、音声情報としての「ビョウヘンブ」又は文字情報としての「病変部」が入力された時点の前後に亘る所定時間(例えば1分、2分)の観察画像を抽出して内視鏡画像領域AR2で視認することができる。また、この所定時間に入力装置112から入力された文字情報を抽出して観察画像と一緒に内視鏡画像領域AR2で視認できるようにしてもよい。
音声情報領域AR5には、入力装置112から入力された音声情報を音声解析によりテキスト化した文字情報が表示される。その際、図6に示すように、検索領域AR4の操作によって抽出した所定時間に入力された音声情報が、シークバーAR5−1と経過時間(タイムスタンプ)AR5−2とともに時系列的に文字情報に変換されて内容欄AR5−3に表示される。シークバーAR5−1をポインタAR5−4で操作することにより、過去の内容の電子カルテデータを閲覧することができる。キャレットAR5−5の位置をポインタAR5−4で合わせて入力装置112を操作することにより、内容欄AR5−3に表示された電子カルテデータの文字情報を編集することができる。入力中(あるいは編集中)の文字情報は、他の情報よりも大きなフォントで内容欄AR5−3に表示してもよい。内容欄AR5−3に表示される文字情報は、経過時間やその内容によって色を変えるようにしてもよい。例えば、文字情報の内容が正しい(誤変換ではない)ときは白色で表示し、文字情報の内容に誤りがある(誤変換である)ときは赤色で表示し、現在編集中で未確定であるときは黄色で表示してもよい。
【0028】
図7は把持操作部110に設けた本実施形態の音声変換手段119及び音声解析手段120の構成を示している。この音声変換手段119及び音声解析手段120は、図2の簡易ブロック図における制御回路111の一部として設けられている。
音声変換手段119は、入力装置112から入力された音声情報に音声圧縮処理を施して制御回路111に出力する。
音声解析手段120は、入力装置112から入力された音声情報を音声解析によりテキスト化した文字情報に変換して制御回路111に出力する。音声解析手段120は入力手段112の操作によってオンオフの切り替えが可能である。
【0029】
図8は音声解析手段120の構成を示している。音声解析手段120は、特徴パラメータ抽出部120aと、音響モデル保持部120bと、辞書120cと、言語モデル120dと、ルールグラマ120eと、認識デコーダ120fとを有している。
特徴パラメータ抽出部120aは、入力された音声情報を分析して「特徴パラメータ」を抽出する。音響モデル保持部120bは、「特徴パラメータ」の音響と発音記号との確率の対応を「音響モデル」としてデータ化して保持している。辞書120cは、認識対象の単語(本実施形態では電子内視鏡システムに関連する医療用語を広く含む)をデータ化して保持している。言語モデル120dは、単語自体の出現確率や特定の単語の後に来る(つながる)単語の出現確率を表したものである。ルールグラマ120eは、単語の範囲を規定するものである。認識デコーダ120fは、特徴パラメータ抽出部120aが抽出した「特徴パラメータ」に基づいて、音響モデル保持部120b、辞書120c、言語モデル120d及びルールグラマ120eが持つ音響情報及び言語情報を総合的に判断して、入力装置112から入力された音声情報を音声解析によりテキスト化した文字情報に変換する。具体的に認識デコーダ120fは、特徴パラメータ抽出部120aで抽出した「特徴パラメータ」が、音響モデル保持部120b、辞書120c、言語モデル120d及びルールグラマ120eが持つ音響情報及び言語情報と同じか又はある一定程度に近い場合に、その「特徴パラメータ」により決定される文字情報のステータスを自動で確定する。例えば、特徴パラメータ抽出部120aが抽出した特徴パラメータが「ビョウヘンブ」、「ギョウヘンブ」又は「ビョウヘング」であれば、認識デコーダ120fは文字情報のステータスとして「ビョウヘンブ」に変換する。また認識デコーダ120fは、テキスト化した文字情報を漢字変換するときに、過去に確定された単語、文節から最も頻繁に確定された候補と、それ以外で確定された単語、文節の候補との間にある一定以上の差がある場合には、最も頻繁に確定された候補を選択して漢字変換する。
【0030】
図9に示すように、音声解析手段120で変換された文字情報は、1つの経過時間もしくは所定の非入力期間(ブランク)に対して一文の文字情報が対応付けられて表示および保存される。一文の文字情報は文節ごとに区切られており、文節ごとに正誤情報受付状態(つまり、文節の内容が正しいときはその文節を確定し、文節の内容が誤っているときはその文節を修正できる状態)とすることができる。各経過時間における一文の文字情報は、正誤情報の入力が行われ又は正誤情報の入力が一定時間経っても行われないことで確定される。正誤情報の入力は、内視鏡術者が電子内視鏡100の入力装置112を介してリアルタイムで行ってもよいし、あるいは補助者が専用の入力装置やフットスイッチなどの外部入力装置を介してリアルタイムで行ってもよい。
【0031】
図9、図10を用いて正誤情報受付状態における正誤入力処理を説明する。図9、図10に示すように、音声解析手段120は、電子内視鏡100の入力装置112(あるいは、いずれも後述の電子内視鏡端末200の入力装置203、ヘッドマウントディスプレイユニット300のマイク301、据え置き端末400の入力装置402)から入力した音声情報を時系列的に文字情報に変換する(リアルタイムで文章が生成される)。変換された文字情報は、電子内視鏡端末200の表示装置208やヘッドマウントディスプレイユニット300の観察窓303に表示される。その際、最新の文節が自動的に正誤情報受付状態となり、その正誤情報受付状態の文節にキャレットの位置が合わせられ、又はその正誤情報受付状態の文節の文字情報が背景とは明暗を反転した状態で点滅させられることで強調表示される。そして電子内視鏡100の入力装置112又は外部入力装置を操作することで、正誤情報受付状態の文節の正入力状態、誤入力状態、未確定状態を順次処理していく。つまり、正入力状態の文節はそのまま確定させ、誤入力状態又は未確定状態の文節に対しては、漢字の再変換、文字の追加入力、削除、文節あるいは文節中に含まれる任意の文字列や特定の単語(以下、「文節等」と呼ぶ)の区切りを変えるなどの再変換を行ってから確定させる。このとき、例えば、確定した文字情報の内容が正しい(誤変換ではない)ときはその文節が白色で表示され、確定した文字情報の内容に誤りがある(誤変換である)ときはその文節が赤色で表示され、文字情報を編集中で未確定であるときはその文節が黄色で表示される。
【0032】
制御回路(タグ付与部)111は、図示しないタグ付与ボタンを操作することで、特定の時点(現在または過去)で入力された音声情報及びこの音声情報を変換した文字情報(文節等)、並びに特定の時点で撮影された画像情報(内視鏡画像やX線画像)に対して、時間軸上の識別マーク(タグ)を付与する。
例えば、制御回路(タグ付与部)111は、音声情報に対しては音量を大きくすることで識別マーク(タグ)を付与し、文字情報(文節等)に対しては下線(アンダーライン)を付与するような強調表示を行うことで識別マーク(タグ)を付与し、画像情報(内視鏡画像やX線画像)に対しては画像中に注意喚起を促すマークを含ませるような強調表示を行うことで識別マーク(タグ)を付与する。勿論、識別マーク(タグ)を付与する態様はこれに限定されない。
これにより、術者はリアルタイムで時間軸上の特定の時点(現在または過去)を選択して、その特定の時点における音声情報、文字情報(文節等)及び画像情報(内視鏡画像やX線画像)に対して一括して識別マークを付与することができる。
そして、検査後に、時間軸上を遡って識別マーク(タグ)を検索することで、識別マーク(タグ)を付与した特定の時点における音声情報、文字情報(文節等)及び画像情報(内視鏡画像やX線画像)を電子カルテデータから再生することができる。その際、一定の間隔、例えば、識別マーク(タグ)を付与した特定の時点を含む所定時間(例えば前後20秒間)の音声情報、文字情報(文節等)及び画像情報(内視鏡画像やX線画像)を電子カルテデータから再生するようにしてもよい。
【0033】
これに対し、術者が時間軸上の特定の時点を選択することなく、時間軸上の全てのタイムコード(現在及び過去のみならず未来のタイムコードも含む)に任意に識別マーク(タグ)を付与することで、そのタイムコードに対応する音声情報、文字情報(文節等)及び画像情報(内視鏡画像やX線画像)を自動的に連動させる態様も可能である。これにより、術者が何らの入力操作を伴うことなく時間軸上のタイムコードに識別マーク(タグ)を付与できるため、電子内視鏡システムの利便性を飛躍的に向上させることができる。また、時間軸上のタイムコードに付与された識別マーク(タグ)及びこれに連動する情報の確認は、タイムコードベースで一つ以上の情報を専用画面に表示して行うことができる。また、任意の情報にタグを付与し、同一のタイムコードを持つ他の情報と連動させることもできる。
【0034】
制御回路111は、音声解析手段120が変換して確定した文字情報から識別マーク(タグ)を抽出する機能を備えていてもよい。また、この抽出機能は、あいまいな検索も可能であることが好ましい。この抽出機能により、文字情報における登録済みの文字列の頻出度がわかり、病変部等の疾患がどの程度存在するかの割合を把握することができる。
【0035】
上記の識別マーク(タグ)は、1つのみならず、マークの形態を変更することで複数設定可能である。例えば、文字情報(文節等)に識別マーク(タグ)を付与するときには、下線を棒線、点線、波線、太線と変更することで複数の識別マーク(タグ)に対応することができる。
【0036】
図11に示すように、電子内視鏡100の把持操作部110のケースには、図2に示した通信ソケット113、表示灯116及び通信アンテナ118の他に、アングルノブ122と、サクションバルブ123と、4つのリモートボタン124と、防水キャップ125とが設けられている。
アングルノブ122は、その回動操作に応じて挿入部130の先端付近の一部領域の湾曲状態を変化させる。サクションバルブ123には図示を省略した吸引手段を着脱可能であり、吸引手段を動作させると負圧が電子内視鏡100の内部管路から挿入部130の先端部に設けた吸引ノズル(図示せず)に及び、被検者の体液等がこの吸引ノズルを通して吸引される。リモートボタン124は、電子画像処理用の制御ボタンであり、その押圧操作によってテレビモニタ上の画面を静止(フリーズ)させる操作、測光パターン(平均測光やピーク測光)の切換操作、画像処理の切替操作、ビデオや光磁気ディスク等の画像記録媒体に静止画像や動画を記録させる操作が行われる。防水キャップ125は把持操作部110のケースに対して着脱可能であり、ケースに対して装着されることにより通信ソケット113への水分の付着を防止する。防水キャップ125にはロックスイッチ125aがスライド自在に設けられている(図11(B))。このロックスイッチ125aがロック位置に位置するときは把持操作部110の通信ソケット113の近傍に設けたロックピン125b(図11(A))によって防水キャップ125のケースに対する装着状態が保持され、ロックスイッチ125aをアンロック位置までスライドさせると、ロックピン125bによるロックが解除され防水キャップ125がケースから取り外し可能になる。
【0037】
図12(A)−(C)は、把持操作部110とバッテリユニット115を示している。図12(A)に示すように、電子内視鏡100の把持操作部110内には内蔵バッテリ115aと充電電流制御回路115bを備えるバッテリユニット115が内蔵されている。バッテリユニット115は図12(B)、図12(C)の態様で実施することも可能である。図12(B)は、電子内視鏡100の把持操作部110に対して電池パック方式のバッテリユニット115を着脱可能に取り付けた例である。図12(C)は、電子内視鏡100の把持操作部110に対して、内蔵バッテリ115aと充電電流制御回路115bに加えて無線充電を行うための電気伝送アンテナ115cを備えた電池パック方式のバッテリユニット115を着脱可能に取り付けた例である。
【0038】
図13は、図12(A)、(B)のバッテリユニット115を充電するための充電回路ブロック図である。図13に示すように、バッテリユニット115の内蔵バッテリ115aは、充電電流制御回路115bを介した通信ソケット113に接続された入力電源(1)113a(電子内視鏡端末200及びその他の外部機器)からの供給電圧によって充電される。バッテリユニット115の充電状態は表示灯116で表示される。
【0039】
図14は、図12(A)のバッテリユニット115を充電するための別の実施形態を示している。この別の実施形態では、電子内視鏡100の外部電源ソケット114に入力電源(2)114a(コンセント等の外部電源)に接続されたケーブルのプラグを接続して、この入力電源(2)114aから電子内視鏡100への供給電圧を受け取るようにしている。
【0040】
図15は、図14のバッテリユニット115を充電するための充電回路ブロック図である。図15に示すように、バッテリユニット115の内蔵バッテリ115aは、通信ソケット113(及び充電電流制御回路115b)を経由した入力電源(1)113aからの供給電力と、外部電源ソケット114(及び充電電流制御回路115b)を経由した入力電源(2)114aからの供給電圧とによって充電される。バッテリユニット115の充電状態は表示灯116で表示される。
入力電源(1)113aによる供給電圧と、入力電源(2)114aから受け取る供給電圧との間には、所定の電圧差を設定してもよい。例えば、後者の供給電圧を前者の供給電圧よりも高くすることによって、バッテリユニット115の内蔵バッテリ115aを急速充電することが可能になる。この急速充電時には、安全のため、電子内視鏡100による観察画像の撮像を行えない(臨床使用できない)ようにすることが好ましい。
【0041】
続いて電子内視鏡端末(外部機器)200について説明する。図16、図17は、電子内視鏡端末200の構成を示している。図17に示すように、電子内視鏡端末200は、電子内視鏡端末200の動作全般を制御する制御回路201と、この制御回路201を介して電子内視鏡端末200の駆動電力を供給するバッテリユニット202とを有している。バッテリユニット202は、内蔵型あるいは取り外し可能な電池パック方式にあっては、図18(A)に示すように、内蔵バッテリ202aと充電電流制御回路202bを有している。バッテリユニット202は、無線充電型にあっては、図18(B)に示すように、内蔵バッテリ202aと充電電流制御回路202bに加えて、無線充電を行うための電気伝送アンテナ202cを有している。なお、内蔵バッテリ202aの数は1個に限定されず、2個以上であってもよい。
【0042】
図16、図17に示すように、電子内視鏡端末200は、入力装置(入力手段)203と、通信ソケット204と、外部電源ソケット205と、表示灯206と、通信アンテナ(無線通信部、無線受信部)207と、表示装置(表示部)208とを有している。
入力装置203は、電子内視鏡端末200の表面に設けられたボタン、ジョグダイヤル、十字キー、マイクなどで構成されており、操作者の入力操作により音声情報及び文字情報を入力する。入力装置203は、入力された音声情報及び文字情報を制御回路201に出力する。
通信ソケット204は、電子内視鏡100及びその他の外部機器との間で有線通信を行うための差込口(例えば、USBコネクタ、メモリカードスロットなど)である。
外部電源ソケット205は、外部電源から供給電圧を受け取るための差込口であり、電子内視鏡端末200の駆動電力を供給する。外部電源ソケット2005は、例えばUSBコネクタの形状とすることで、通信ソケット204の機能を持たせることも可能である。
表示灯206は、制御回路201による制御の下で、電子内視鏡端末200への供給電圧(駆動電力)の減少、充電の状況(満充電や充電切れ)、バッテリユニット202の劣化などの情報を表示する。
通信アンテナ207は、制御回路201の制御の下で、電子内視鏡100、ヘッドマウントディスプレイユニット300、及び据え置き端末400との間で、各種データ及び操作信号(例えばフリーズやエンハンス等の画像処理指示信号)の無線通信を行う。具体的に通信アンテナ207は、電子内視鏡100の通信アンテナ118を介して、電子内視鏡100の電子カルテデータ保持部117が保持する電子カルテデータを無線受信したり、電子内視鏡100の制御部(生成部)111に向けて入力装置203で入力した音声情報及び文字情報を無線送信したり、電子内視鏡100の制御部(更新部)111に向けて電子カルテデータ更新指示信号を無線送信する。また通信アンテナ207は、制御回路201の制御の下で、無線受信した電子カルテデータをさらにヘッドマウントディスプレイユニット300及び据え置き端末400に無線通信する。
表示装置208は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、CRTディスプレイである。表示装置208をタッチパネル方式にすれば、表示装置208に入力装置203の機能を持たせることも可能である。表示装置208を1つではなく複数設けて、その出力先を選択できるようにしてもよい。
【0043】
制御回路201は、通信アンテナ207を通じて電子内視鏡100の電子カルテデータ保持部117が保持する電子カルテデータを無線受信すると、その電子カルテデータに含まれる観察画像データに画像処理を施して、表示装置208に表示させる。つまり、図3、図4に示したような電子カルテデータが実際に表示装置208に表示され、内視鏡術者と補助者の複数の観察者が同時に電子カルテデータを視認できる。なお、制御回路201は、バッテリユニット202、外部電源ソケット205に接続された外部電源のいずれから電源供給を受けてもよい。
【0044】
続いてヘッドマウントディスプレイユニット(外部機器)300について説明する。図19は、ヘッドマウントディスプレイユニット300の構成を示している。ヘッドマウントディスプレイユニット300は、術者、補助者の頭部に装着するヘッドホンタイプのユニットである。ヘッドマウントディスプレイ300は、マイク(入力手段)301と、通信アンテナ(無線送信部、無線受信部)302と、観察窓(表示部)303と、一対のイヤーパッド304とを有している。
マイク301は、ヘッドマウントディスプレイユニット300を頭部に装着したときに装着者の口元付近に位置し、装着者が発生した音声情報を入力(受信)する。
通信アンテナ302は、電子内視鏡100、電子内視鏡端末200、及び据え置き端末400との間で、各種データ及び操作信号(例えばフリーズやエンハンス等の画像処理指示信号)の無線通信を行う。具体的に通信アンテナ302は、電子内視鏡100の通信アンテナ118を介して、電子内視鏡100の電子カルテデータ保持部117が保持する電子カルテデータを無線受信したり、電子内視鏡100の制御部(生成部)111に向けてマイク301で入力した音声情報を無線送信したり、電子内視鏡100の制御部(更新部)111に向けて電子カルテデータ更新指示信号を無線送信する。また通信アンテナ302は、無線受信した電子カルテデータをさらに電子内視鏡端末200及び据え置き端末400に無線通信する。
観察窓303は、例えば、ヘッドマウントディスプレイユニット300を頭部に装着したときに装着者の右目の直前に位置する表示手段、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、CRTである。また観察窓303は、液晶プロジェクタなどの投影型表示装置とそのスクリーン(透過して観察窓の奥側が見えることが望ましい)であったり、網膜に直接投影するような網膜ディスプレイであっても良い。観察窓303は、通信アンテナ302が電子内視鏡100の電子カルテデータ保持部117が保持する電子カルテデータを無線受信すると、その電子カルテデータを表示する。つまり、図3、図4に示したような電子カルテデータが実際に観察窓303に表示され、ヘッドマウントディスプレイユニット300の装着者が電子カルテデータを視認できる。観察窓303の表示内容や動作(例えば上下動などの位置調整)は、電子内視鏡100、電子内視鏡端末200及び据え置き端末400からの指示信号に従って制御される。また、観察窓303の上下動などの位置調整は、足元に設置した不図示のフットスイッチを押下げすることにより行ってもよい。これにより術中に術者の両手がふさがっている場合でも、容易に観察窓303を上下動させて術者の所望の位置に調整することができる。
イヤーパッド304は、ヘッドマウントディスプレイユニット300を頭部に装着したときに装着者の左右の耳にあてがわれる。イヤーパッド304は、例えば電子内視鏡100の入力装置112又は電子内視鏡端末200の入力装置203から入力した音声情報を出力し、出力された音声情報を装着者が聴くことができる。
【0045】
続いて据え置き端末(プロセッサ)400について説明する。図20、図21は、据え置き端末400の構成を示している。図20、図21に示すように、据え置き端末400は、制御回路401と、入力装置(入力手段)402と、通信ソケット403と、外部電源ソケット404と、表示灯405と、通信アンテナ406と、通信/処理部407とを有している。
制御回路401は、据え置き端末400の動作全般を制御する。
入力装置402は、据え置き端末400の表面に設けられたタッチパネルやマイクであり(図20)、操作者の入力操作により音声情報及び文字情報を入力する。入力装置402は、入力された音声情報及び文字情報を制御回路401に出力する。
通信ソケット403は、外部機器との間で有線通信を行うための差込口(例えば、USBコネクタ、メモリカードスロットなど)であり、外部表示装置と直接接続したり、キーボードなどの外部入力装置を接続したり、外部記録装置を接続する。
外部電源ソケット404は、外部電源から供給電圧を受け取るための差込口であり、制御回路401を介して据え置き端末400の駆動電力を供給する。
表示灯405は、制御回路401による制御の下で、据え置き端末400への供給電圧(駆動電力)の減少などの情報を表示する。
通信アンテナ406は、制御回路401の制御の下で、電子内視鏡100、電子内視鏡端末200、及びヘッドマウントディスプレイユニット300との間で、各種データ及び操作信号(例えばフリーズやエンハンス等の画像処理指示信号)の無線通信を行う。具体的に通信アンテナ406は、電子内視鏡100の通信アンテナ118を介して、電子内視鏡100の電子カルテデータ保持部117が保持する電子カルテデータを無線受信したり、電子内視鏡100の制御部(生成部)111に向けて入力装置402で入力した音声情報及び文字情報を無線送信したり、電子内視鏡100の制御部(更新部)111に向けて電子カルテデータ更新指示信号を無線送信する。また通信アンテナ406は、制御回路401の制御の下で、無線受信した電子カルテデータをさらに電子内視鏡端末200及びヘッドマウントディスプレイユニット300に無線通信する。
通信/処理部407は、据え置き端末400に有線又は無線で接続された電子カルテシステム600とのインターフェースとして機能する。また通信/処理部407は、画像処理における演算機能や外部機器との通信機能を備えている。
【0046】
図1(図20)に示す据え置き端末400は、図22に示す受信アダプタ501を介して外部ディスプレイ500に接続されている。外部ディスプレイ500は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、CRTディスプレイである。
据え置き端末400の制御回路401は、通信アンテナ406により電子内視鏡100の電子カルテデータ保持部117が保持する電子カルテデータを無線受信すると、その電子カルテデータに含まれる観察画像データに画像処理を施して、外部ディスプレイ500に表示させる。つまり、図3、図4に示したような電子カルテデータが実際に外部ディスプレイ500に表示され、内視鏡術者と補助者の複数の観察者が同時に電子カルテデータを視認できる。
【0047】
ここで、図5−図10に示したような電子カルテデータの検索処理、音声解析処理、正誤入力処理は、電子内視鏡100の入力装置112のみならず、電子内視鏡端末200の入力装置203(タッチパネル方式の表示装置208)、又は据え置き端末400の入力装置402を用いて行うこともできる。いずれの場合も、電子内視鏡端末200の表示装置208、ヘッドマウントディスプレイユニット300の観察窓303又は外部ディスプレイ500に表示された電子カルテデータを見ながら、電子内視鏡100の入力装置112、電子内視鏡端末200の入力装置203(タッチパネル方式の表示装置208)又は据え置き端末400の入力装置402を操作して、検索処理、音声解析処理、正誤入力処理を行うことになる。
【0048】
本発明の電子内視鏡システム1は、付加的な構成要素として、図23に示すように、文字情報を入力可能な補助入力装置(入力手段)700を備えている。この補助入力装置700は、操作者が片手で握った状態で操作でき、回転可能かつ押込操作可能な2つのジョグダイヤル701と、多方向に回転可能なジョイスティック702と、4つのボタン703と、トリガ704と、通信アンテナ705とを有している。通信アンテナ705は、入力した文字情報を電子内視鏡100、電子内視鏡端末200、ヘッドマウントディスプレイユニット300及び据え置き端末400に無線送信する。なお、補助入力装置700はマイクなどの音声入力手段を備えていてもよい。
補助入力装置700を用いて文字情報を入力する場合、図24に示すような画面が例えば電子内視鏡端末200の表示装置208や外部ディスプレイ500に表示され、「文字入力欄」にキャレットを合わせて2つのジョグダイヤル701を回すことによりかな文字を選択して単語を入力し、ジョグダイヤル701を押し込むことにより単語(かな文字)を確定する。図24では、一方のジョグダイヤル701を回したときに選択対象のかな文字がシフトする方向(図中の上下方向)を「JD1」で示し、他方のジョグダイヤル701を回したときに選択対象のかな文字がシフトする方向(図中の左右方向)を「JD2」で示している。さらに単語を確定した後にジョイスティック702を倒して変換(漢字変換、カタカナ変換)することで「予測変換候補表示欄」に予測変換候補の単語を表示させ、ジョイスティック702を押し込んだりトリガ704を引くことで確定させる。このとき例えば、ジョイスティック702を上方に倒すと通常変換が行われ、下方に倒すと過去の変換履歴に基づいた予測変換が行われる。また、ジョイスティック702を左右に倒すことでキャレットを移動させることができる。ボタン703はバックスペースや文字種の変更に用いられる。
【0049】
本発明の電子内視鏡システム1は、付加的な構成要素として、図25に示すように、電子内視鏡100の把持操作部110の通信ソケット113に装着され、文字情報を入力可能な拡張コントローラ(入力手段)710を備えている。図25(A)の拡張コントローラ710は、6つのボタン711と、ジョイスティック712とを有している。図25(B)の拡張コントローラ710は、タッチパネル式入力部713を有している。拡張コントローラ710によって電子内視鏡端末200、ヘッドマウントディスプレイユニット300及び据え置き端末400を操作可能としてもよい。
【0050】
本発明の電子内視鏡システム1は、付加的な構成要素として、図26に示すように、充電機能付きの電子内視鏡ハンガー720を備えている。この電子内視鏡ハンガー720は、鉛直方向に延びるポール721と、このポール721の下端部に接続された3本又は4本の脚部を持つキャスター板722と、このキャスター板722の脚部の下面にそれぞれ接続されたロック機構付きキャスター723とを備えている。図26ではキャスター板722の2本の脚部と2つのキャスター723のみを描いている。電子内視鏡ハンガー720は、キャスター723によって自在に走行することができる。
ポール721の外周には、ポール721と同軸に短円筒形状の昇降ホルダー724が嵌められている。昇降ホルダー724は、ポール721に対して回転自在及び軸方向移動自在である。この昇降ホルダー724には、その半径方向に貫通するねじ穴に、ホルダー固定ねじ725が螺合されている。このホルダー固定ねじ725を締めると、ホルダー固定ねじ725の先端面がポール721に押し当てられるため、昇降ホルダー724はポール721に対して所望の位置及び方向に固定することができる。一方、ホルダー固定ねじ725を緩めると、ホルダー固定ねじ725の先端面がポール721から離れるので、昇降ホルダー724はポール721に対して回転及び軸方向移動可能となる。
昇降ホルダー724には内視鏡支持アーム726が結合されており、この内視鏡支持アーム726に電子内視鏡100を挿通支持する挿通支持部727が設けられている。内視鏡支持アーム726の挿通支持部727の近傍には、電プラグ728に接続された電源回路(無線充電部)729と電気伝送アンテナ(無線充電部)730が設けられている。これにより、電子内視鏡100を挿通支持部727に挿通支持して電子内視鏡ハンガー720に装着した状態で、電子内視鏡100のバッテリユニット115を無線充電することができる。なお、電源回路729に内部時計を内蔵して毎日の使用時間を記録及び解析することで、使用頻度が低い時間帯に自動的に電子内視鏡100のバッテリユニット115を無線充電する機能を備えていてもよい。
【0051】
このように本実施形態の電子内視鏡システム1は、観察対象物の観察画像を撮像する撮像部132を有する電子内視鏡100と、この電子内視鏡100に対して音声情報及び/又は文字情報を入力可能な入力手段(112、203、301、402、700、710)と、電子内視鏡100とは別体で、表示部(208、303)を有する外部機器(200、300)と、を備え、電子内視鏡100は、撮像部132が撮像した観察画像と、入力手段(112、203、301、402、700、710)が入力した音声情報及び/又は文字情報とを含む電子カルテデータを生成する生成部111と、この生成部111が生成した電子カルテデータを保持する保持部117と、この保持部117が保持する電子カルテデータを外部機器(200、300)に無線送信する無線送信部118とを有している。
この構成によれば、電子内視鏡100と外部機器(200、300)を接続するケーブル類を省略しているため、電子内視鏡100の操作性が良好であり、電子内視鏡システム1の全体をコンパクトにすることができる。
また、電子内視鏡100に、撮像部132が撮像した観察画像と、入力手段(112、203、301、402、700、710)が入力した音声情報及び/又は文字情報とを含む電子カルテデータを生成する生成部111と、この生成部111が生成した電子カルテデータを保持する保持部117とを設けたので、内視鏡術中に電子内視鏡100の側で電子カルテデータをリアルタイムで作成して保持することができる。これにより、内視鏡術中に電子カルテデータが完成するので時間の短縮化を図ることができ、後日の電子カルテデータの確認が容易になる。また、電子内視鏡100で電子カルテデータのファイリングが可能なのでデータの取扱いが容易であり、とりわけ患者の自宅に往診して電子内視鏡100を使用するような場合に便利である。
さらに、電子内視鏡100の保持部117が保持する電子カルテデータを無線送信部118によって外部機器(200、300)に無線送信し、外部機器(200、300)の表示部(208、303)で電子カルテデータを表示するため、術者と補助者を含む複数の観察者が同時に電子カルテデータ(観察画像)を視認することができる。
【0052】
図27(A)、(B)は、電子内視鏡100と電子内視鏡端末200を接合して有線通信を可能に構成した変形例を示している。この変形例では、電子内視鏡100の把持操作部110に接合ピン126を設け、電子内視鏡端末200に接合部209を設け、この接合ピン126と接合部209を回動可能に接合することで電子内視鏡100と電子内視鏡端末200を有線通信可能に接合している。接合ピン126の外周には帯状の端子部が形成されており、電子内視鏡100と電子内視鏡端末200が相対回動しても両者の有線通信が維持される。有線通信の形式は、例えばUSB接続形式やIEEE1394形式などのシリアル通信形式やその他の種々の形式を用いることができる。特に電力線に通信用高周波を重畳する電力線通信形式を採用することで、露出端子の数を少なくすることができ、構成部品を少なくすることができる。なお、この有線通信方式においては、有線通信の系統を複数にして通信量を増加させたり、電波の漏洩を防ぐシールドを設けたり、アース端子を設けたり、クリック感、位置決め、ずれ防止のためにボールプランジャを設けてもよい。
【0053】
この電力線通信方式においては、図28に示すように、電子内視鏡100が、変復調回路127aとコンバータ127bからなる電力線搬送逓信用回路127を備えており、電子内視鏡端末200が、変復調回路210aとコンバータ210bからなる電力線搬送逓信用回路210を備えている。電子内視鏡100(電子内視鏡端末200)のコンバータ127b(210b)には、制御回路111(201)から電力線を通じて駆動電力が供給される。電子内視鏡100(電子内視鏡端末200)の変復調回路127a(210a)には、制御回路111(201)から情報信号線を通じて、電子カルテデータや各種の操作信号などの情報が入力される。
【0054】
図29は、電子内視鏡100と電子内視鏡端末200の接合部分の変形例を示している。この変形例では、電子内視鏡端末200に接合部を備えたマウント部211を設けて、このマウント部211に電子内視鏡100の接合ピン126(図27(A)、(B))を回動可能に接合させることで、電子内視鏡100と電子内視鏡端末200を有線通信可能に接合している。マウント部211には、電子内視鏡100と電子内視鏡端末200の電源線と信号線を中継する通信コネクタと信号線が備えられている。
【0055】
図30は、図2の電子内視鏡100において、把持操作部110と挿入部130を取り外し可能に構成した変形例を示している。この変形例では、CCDユニット132とLED134が把持操作部110の内部に設けられており、挿入部130の内部に画像伝送ファイバ/画像伝送レンズアレイ135と導光ファイバ136が設けられている。そして、対物レンズ131とCCDユニット132が画像伝送ファイバ/画像伝送レンズアレイ135を経由して接続されており、配光レンズ133とLED134が導光ファイバ136を経由して接続されている。
【0056】
図31は、電子内視鏡システム1の全体構成の変形例を示している。この変形例では、同一構成のヘッドマウントディスプレイユニット(外部機器)300を2つ設けており、この2つのヘッドマウントディスプレイユニット300の間で電子カルテデータや各種の操作信号を無線通信可能としている。勿論、ヘッドマウントディスプレイユニット300の数は2つに限定されず3つ以上設けてもよい。ヘッドマウントディスプレイユニット300の数を増やすことで、術者及び補助者が大人数になった場合にも対応でき、電子内視鏡システム1の利便性を高めることができる。さらに、複数のヘッドマウントディスプレイユニット300を使用する場合においては、音声情報が入力可能な人を制限できるようにしてもよい。例えば、術者と補助者がヘッドマウントディスプレイユニット300を使用している場合に、この2人のうち、術者の音声のみを入力することができるようにしてもよい。これにより複数人(術者と補助者)の音声の中から特定の人(術者)だけの音声を記録することができ、音声情報の抽出がしやすくなる。なお、音声情報を入力可能な人を識別するための方法として、例えば、特定の人(術者)の声に基づく音響的特徴をあらかじめデータベースに記憶しておき、入力した音声情報をこのデータベースに照合させて識別する方法を使用することができる。
【0057】
図32は、電子内視鏡システム1の全体構成の別の変形例を示している。この変形例では、ヘッドマウントディスプレイユニット300に代えて、専ら音声情報を取得して電子内視鏡100及び電子内視鏡端末200に出力するマイク(音声入力装置)740を設けることで、電子内視鏡システム1の構成を簡易化している。
【0058】
最後に、図33ないし図35を用いて、本発明の電子内視鏡システム1の利便性を向上させるためのバーチャル電子内視鏡システム800について説明する。このバーチャル電子内視鏡システム800は、従来のプロセッサ機能に加え、他の画像機器、計測機器、電子診療録と連動して画像を表示させ、データをやり取りし、他の機器を操作するものである。
【0059】
図33のバーチャル電子内視鏡システム800は、サーバ810が、LAN820を介して、位置情報検出手段830、プロセッサ(内視鏡センター)840及びナビゲーション部850とそれぞれ接続されている。バーチャル電子内視鏡システム800の操作は、プロセッサ840に接続したキーボード、マウス、タッチパッドなどの各種の入力装置、又は上述した電子内視鏡100の入力装置112、電子内視鏡端末200の入力装置203若しくは据え置き端末400の入力装置402によって行うことができる。
サーバ810は、図示しないCT装置、MRI装置等で予め撮影した観察対象物の画像や、その観察対象物の画像から三次元的に再構成された3D画像を保持している。ナビゲーション部850は、サーバ810にアクセスして、サーバ810が保持する観察対象物の3D画像からバーチャル内視鏡画像を生成する。
位置情報検出手段830は、電子内視鏡100の観察対象物の内部における位置情報を検出する。位置情報検出手段830は、第1の例では、電子内視鏡100に取り付けた磁気コイルで発生させた磁界を体外のアンテナで受信し、電子内視鏡100の形状、先端位置、姿勢を検出する構成である。位置情報検出手段830は、第2の例では、電子内視鏡100の先端部に取り付けた3次元加速度センサから電子内視鏡100の先端位置、姿勢を計算して検出する構成である。位置情報検出手段830は、第3の例では、フラットパネルディテクタ(FPD:Flat Panel Detector)などによって、図示しないX線撮影装置やCT撮影装置、MRI装置から得られたX線画像やCT撮影画像、MRI撮影画像を解析して、電子内視鏡100の形状、先端位置、姿勢を検出する構成である。位置情報検出手段830は、第4の例では、体外に設けたMR装置で発生する磁場分布を電子内視鏡100に取り付けたコイルでセンシングして、電子内視鏡100の位置、姿勢を検出する構成である。
そしてナビゲーション部850は、自身が生成したバーチャル内視鏡画像と、位置情報検出手段830が検出した電子内視鏡100の位置情報とを合成して気管支診療計画(経路計画)を生成する。この気管支診療計画によれば、内視鏡術中において気管支の分岐での進行方向を容易に知ることができる。
【0060】
図34はバーチャル電子内視鏡システム800の変形例を示している。この変形例では、LAN820を介してサーバ810をプロセッサ840に接続し、このプロセッサ840に位置情報検出手段830とナビゲーション部850をそれぞれ接続している。なお、これら各構成要素の接続形式は、イントラネット、LAN(有線、無線を問わない)のネットワーク経由の形式、プロセッサ840に設けたソケットに直接接続する形式、又はこれらの形式の混在型などの種々の変更が可能である。
【0061】
図35に示すように、ナビゲーション部850が生成したバーチャル内視鏡画像と気管支診療計画は、例えば上述した外部ディスプレイ500に表示される。図35では、外部ディスプレイ500の画面右下にバーチャル内視鏡画像851が表示され、画面右上にバーチャル内視鏡画像851上で目的地マークと電子内視鏡100の現在位置が視認できる気管支診療計画852が表示されている。外部ディスプレイ500にはさらに、電子内視鏡100による観察画像(メイン画像)853と、術前X線画像854と、術中X線画像855と、バーチャル断層画像856とが表示されている。バーチャル断層画像856は、バーチャル内視鏡画像851の断層画像である。バーチャル断層画像856は、電子内視鏡100の先端の動きに追従させてもよい。
【0062】
以上の構成のバーチャル電子内視鏡システム800は、観察対象物の3D画像を保持するサーバ810と、電子内視鏡100の観察対象物の内部における位置情報を検出する位置情報検出手段830と、サーバ810が保持する観察対象物の3D画像からバーチャル内視鏡画像を生成したり、生成したバーチャル内視鏡画像に位置情報検出手段830が検出した電子内視鏡100の位置情報を合成して気管支診療計画(経路計画)を生成したりするナビゲーション部850とを備えているので、より高度で正確な内視鏡術と所見記録を行うことができる。
【符号の説明】
【0063】
1 電子内視鏡システム
100 電子内視鏡
110 把持操作部
111 制御回路(生成部、更新部、タグ付与部)
112 入力装置(入力手段)
113 通信ソケット
113a 入力電源(1)
114 外部電源ソケット
114a 入力電源(2)(充電プラグ)
115 バッテリユニット
115a 内蔵バッテリ
115b 充電電流制御回路
115c 電気伝送アンテナ
116 表示灯
117 電子カルテデータ保持部(保持部)
118 通信アンテナ(無線送信部、無線受信部)
119 音声変換手段
120 音声解析手段
120a 特徴パラメータ抽出部
120b 音響モデル保持部
120c 辞書
120d 言語モデル
120e ルールグラマ
120f 認識デコーダ
122 アングルノブ
123 サクションバルブ
124 リモートボタン
125 防水キャップ
125a ロックスイッチ
125b ロックピン
126 接合ピン
127 電力線搬送逓信用回路
127a 変復調回路
127b コンバータ
130 挿入部
131 対物レンズ
132 CCDユニット(撮像部)
133 配光レンズ
134 LED
135 画像伝送ファイバ/画像伝送レンズアレイ
136 導光ファイバ
200 電子内視鏡端末(外部機器)
201 制御回路
202 バッテリユニット
202a 内蔵バッテリ
202b 充電電流制御回路
202c 電気伝送アンテナ
203 入力装置(入力手段)
204 通信ソケット
205 外部電源ソケット
206 表示灯
207 通信アンテナ(無線送信部、無線受信部)
208 表示装置(表示部)
209 接合部
210 電力線搬送逓信用回路
210a 変復調回路
210b コンバータ
211 マウント部
300 ヘッドマウントディスプレイユニット(外部機器)
301 マイク(入力手段)
302 通信アンテナ(無線送信部、無線受信部)
303 観察窓(表示部)
304 イヤーパッド
400 据え置き端末(プロセッサ)
401 制御回路
402 入力装置(入力手段)
403 通信ソケット
404 外部電源ソケット
405 表示灯
406 通信アンテナ(無線送信部、無線受信部)
407 通信/処理部
500 外部ディスプレイ
501 受信アダプタ
600 電子カルテシステム
700 補助入力装置(入力手段)
701 ジョグダイヤル
702 ジョイスティック
703 ボタン
704 トリガ
705 通信アンテナ
710 拡張コントローラ(入力手段)
711 ボタン
712 ジョイスティック
713 タッチパネル式入力部
720 電子内視鏡ハンガー
721 ポール
722 キャスター板
723 キャスター
724 昇降ホルダー
725 ホルダー固定ねじ
726 内視鏡支持アーム
727 挿通支持部
728 電源プラグ
729 電源回路(無線充電部)
730 電気伝送アンテナ(無線充電部)
740 マイク(音声入力装置)
800 バーチャル電子内視鏡システム
810 サーバ
820 LAN
830 位置情報検出手段
840 プロセッサ(内視鏡センター)
850 ナビゲーション部
851 バーチャル内視鏡画像
852 気管支診療計画(経路計画)
853 観察画像(メイン画像)
854 術前X線画像
855 術中X線画像
856 バーチャル断層画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察対象物の観察画像を撮像する撮像部を有する電子内視鏡と;
前記電子内視鏡に対して音声情報及び/又は文字情報を入力可能な入力手段と;
前記電子内視鏡とは別体で、表示部を有する外部機器と;を備え、
前記電子内視鏡は、
前記撮像部が撮像した観察画像と、前記入力手段が入力した音声情報及び/又は文字情報とを含む電子カルテデータを生成する生成部と;
前記生成部が生成した電子カルテデータを保持する保持部と;
前記保持部が保持する電子カルテデータを前記外部機器に無線送信する無線送信部と;
を有することを特徴とする電子内視鏡システム。
【請求項2】
請求項1記載の電子内視鏡システムにおいて、
前記電子内視鏡は、前記外部機器からの電子カルテデータ更新指示信号を無線受信する無線受信部と、該無線受信部が無線受信した電子カルテデータ更新指示信号に従って前記保持部が保持する電子カルテデータを更新する更新部と、をさらに有する電子内視鏡システム。
【請求項3】
請求項1または2記載の電子内視鏡システムにおいて、
前記入力手段は、前記電子内視鏡と前記外部機器の双方または一方に設けられている電子内視鏡システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項記載の電子内視鏡システムにおいて、
前記外部機器は電子内視鏡端末を含み、該電子内視鏡端末に前記入力手段が設けられている電子内視鏡システム。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項記載の電子内視鏡システムにおいて、
前記外部機器はヘッドマウントディスプレイユニットを含み、該ヘッドマウントディスプレイユニットに前記入力手段が設けられている電子内視鏡システム。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項記載の電子内視鏡システムにおいて、
前記外部機器は据え置き端末を含み、該据え置き端末に前記入力手段が設けられている電子内視鏡システム。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項記載の電子内視鏡システムにおいて、
前記電子カルテデータは、観察日時、患者情報、担当医情報、経過時間、整理番号、内視鏡特定情報、内視鏡操作者、及び施設情報の少なくとも1つを有するID情報を含む電子内視鏡システム。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項記載の電子内視鏡システムにおいて、
前記入力手段が入力した音声情報を音声解析して文字情報に変換する音声解析手段をさらに有する電子内視鏡システム。
【請求項9】
請求項8記載の電子内視鏡システムにおいて、
前記音声解析手段は、
前記入力手段が入力した音声情報を分析して特徴パラメータを抽出する特徴パラメータ抽出部と、
前記特徴パラメータの音響と発音記号との確率の対応を音響モデルとしてデータ化して保持する音響モデル保持部と、
認識対象の単語をデータ化して保持する辞書と、
単語の出現確率及び特定の単語の後につながる単語の出現確率を表す言語モデルと、
単語の範囲を規定するルールグラマと、
前記特徴パラメータ抽出部が抽出した特徴パラメータに基づいて、前記音響モデル保持部、辞書、言語モデル及びルールグラマが持つ音響情報及び言語情報に基づいて、前記入力装置が入力した音声情報を音声解析して文字情報に変換する認識デコーダと、
を有する電子内視鏡システム。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1項記載の電子内視鏡システムにおいて、
前記電子内視鏡は、
該電子内視鏡の駆動電力を供給するバッテリユニットと、
前記外部機器からの供給電圧によって前記バッテリユニットを充電する通信ソケットと、
を有する電子内視鏡システム。
【請求項11】
請求項10記載の電子内視鏡システムにおいて、
前記電子内視鏡は、前記外部機器とは別の外部電源から該電子内視鏡への供給電圧を受け取るための外部電源ソケットをさらに有し、該外部電源ソケットが受け取った前記外部電源からの供給電圧と、前記通信ソケットによる前記外部機器からの供給電圧との双方によって前記バッテリユニットを充電する電子内視鏡システム。
【請求項12】
請求項11記載の電子内視鏡システムにおいて、
前記外部電源ソケットが受け取る前記外部電源からの供給電圧を、前記通信ソケットによる前記外部機器からの供給電圧よりも高くした電子内視鏡システム。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれか1項記載の電子内視鏡システムにおいて、
前記電子内視鏡を挿通支持する挿通支持部と、該挿通支持部に前記電子内視鏡を挿通支持した状態で該電子内視鏡のバッテリユニットを無線充電する無線充電部とを備えた電子内視鏡ハンガーをさらに有する電子内視鏡システム。
【請求項14】
請求項1ないし13のいずれか1項記載の電子内視鏡システムにおいて、
前記観察対象物の3D画像を保持するサーバと、
前記サーバが保持する前記観察対象物の3D画像からバーチャル内視鏡画像を生成するナビゲーション部と、
を有する電子内視鏡システム。
【請求項15】
請求項14記載の電子内視鏡システムにおいて、
前記電子内視鏡の観察対象物の内部における位置情報を検出する位置情報検出手段をさらに有し、
前記ナビゲーション部は、生成した前記バーチャル内視鏡画像に前記位置情報検出手段が検出した前記電子内視鏡の位置情報を合成して気管支診療計画を生成する電子内視鏡システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2013−106752(P2013−106752A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253481(P2011−253481)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(510097747)独立行政法人国立がん研究センター (35)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】