説明

電子写真式印刷装置

【課題】印刷品質の劣化がない電子写真式印刷装置を提供する。
【解決手段】直流電圧を使用する転写部材、回転可能な清掃部材を使用する電子写真式印刷装置において転写部材と清掃部材の間に光除電部材、直流印加部材、交流除電部材、光除電部材を配置したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーを用いるプリンタなどの電子写真式印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
転写器を通過後の電子写真式印刷装置の感光体除電プロセスにおいて例えばACを使用する除電部材と例えば複数のLEDからなる光源を使用する光除電部材を通過することにより感光体ドラム上に残留しているトナーと感光体ドラムを除電した後、残留トナーを例えば回転可能なポリアミド樹脂100%からなるブラシ部材を内部に有する清掃装置を使い感光体ドラムから除去した後、再度帯電させ繰り返し使用する構成であった(特許文献1)。
【0003】
図2に従来技術の感光体ドラム21周囲の概略図を示す。図2において負帯電トナーと負帯電感光体ドラム21を使用し、正の電流を流す転写器10通過後の感光体ドラム21上の電位は光源4から画像データに応じて照射された書き込み光に起因する部位が正および未照射部が負となるため、除電装置30と光除電部材31を使い感光体ドラム21上にできた電位差を小さくする作用を有している。
【0004】
この構成で例えば60インチ/秒の高速で長時間印刷を行うと感光体ドラム21に付着した残留トナーの電荷は負のままで、光源4から出る書き込み光照射部の露光部電位が転写器10により正になっているため電気的に引き付けあい清掃ができなくなることまた純度繊維100%からなるブラシ部材32では電荷が逃げにくく感光体ドラム21から除去したトナーが外れにくい不具合があり、その結果トナーが感光体ドラム21上に固着するフィルミングが発生し、その結果かぶり、印刷濃淡むらなどを発生する不具合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−077654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本電子写真式印刷装置を例えば60インチ/秒の高速で使用して長時間印刷を行うと感光体ドラム21に付着した残留トナーの電荷は負のままで、光源4から出る書き込み光照射部の露光部電位が転写器10により正になっているため電気的に引き付けあい清掃ができなくなることまた純度繊維100%からなるブラシ部材32では電荷が逃げにくく感光体ドラム21から除去したトナーが外れにくい不具合があり、その結果トナーが感光体ドラム21上に固着するフィルミングが発生し、その結果かぶり、印刷濃淡むらなどを発生する不具合があった。
【0007】
本発明の目的は、上記した従来技術の欠点を解消し、印刷品質の劣化がない電子写真式印刷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために本発明の第1の手段は、直流電圧を使用する転写部材、回転可能な清掃部材を使用する電子写真式印刷装置において転写部材と清掃部材の間に光除電部材、直流印加部材、交流除電部材、光除電部材を配置したことを特徴とするものである。
【0009】
本発明の第2の手段は前記第1の手段において、前記直流印加部材は転写部材に印加する電圧と同極性の直流電圧を印加することを特徴とするものである。
【0010】
本発明の第3の手段は前記第2の手段において、前記直流印加部材に印加する電流は0.1mA/インチ以下であることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の第4の手段は前記第1の手段において、前記交流除電部材には転写部材とは異極性の直流電圧を重畳したことを特徴とするものである。
【0012】
本発明の第5の手段は前記第4の手段において、前記交流除電部材に印加する転写部材とは異極性の直流電圧の出力は0.1mA/インチ以下とすることを特徴とするものである。
【0013】
本発明の第6の手段は前記第1の手段において、前記光除電部材は複数個のLEDを有することを特徴とするものである。
【0014】
本発明の第7の手段は前記第1の手段において、前記清掃部材には50%以下の導電糸を含むものを使用することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電子写真式印刷装置の例えば60インチ/秒の高速で使用して長時間印刷を行っても清掃できずに感光体ドラムに残る残留トナーがなくなるため、フィルミングが未発生となり、その結果かぶり、印刷濃淡むらなどの発生を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例に係る電子写真式印刷装置の一部概略構成図である。
【図2】電子写真式印刷装置の全体の概略構成図である。
【図3】印加電流とトナー電荷との関係を示す特性図である。
【図4】印加電流と感光体ドラム電位との関係を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施例を図面を用いて詳細に説明する。
【0018】
はじめに本発明が適用される電子写真方式を用いたレーザビームプリンタの全体構成を図1と2を参照しながら説明する。
【0019】
図2において、1はレーザビームプリンタであり、そのコントローラ22からの印刷動作開始信号に基づいて例えば有機物を表面に塗布した感光体ドラム21が矢印方向に回転を始める。感光体ドラム21は、レーザビームプリンタ1の印刷速度に相当する速度で回転し、印刷動作が終了するまで回転を続ける。感光体ドラム21が回転を開始すると、グリッドを有するスコロトロン帯電器2に高電圧が印加され、感光体ドラム21表面が例えば均一に−に帯電する。
【0020】
回転可能な偏向部材3は、レーザビームプリンタ1に電源が投入されると直ちに回転を開始し、電源が投入されている間、高精度に定速回転が維持される。ガスレーザや半導体レーザなどで構成された光源4から出力した例えば20本の複数の本数を有するマルチレーザビームは、回転可能な偏向部材3で反射し、fθレンズ5を通じて感光体ドラム21上を走査しながら照射する。
【0021】
ドットイメージに変換された文字データや図形データがレーザビームのオン/オフ信号としてコントローラ22からレーザビームプリンタ1に送られると、感光体ドラム21の表面にレーザビームが照射される部分と照射されない部分とが形成され、いわゆる静電潜像が形成される。この静電潜像を保持した感光体ドラム21領域が現像装置6と対向する位置に到達すると、静電潜像にトナーが供給され、レーザビームの照射により感光体ドラム21上の電荷が消失した部分に、例えば−に帯電したトナーが静電気により吸引されて感光体ドラム21上に未定着現像像(以下、トナー像という)が形成される。
【0022】
用紙ホッパ11に収納された記録材7(本実施例では連続紙を例示する)は、用紙搬送トラクタ8によって、感光体ドラム21上に形成された印刷データのトナー像が転写位置に到達するタイミングと同期させて、感光体ドラム21と転写器10の間に向けて搬送される。
【0023】
感光体ドラム21上に形成されたトナー像は、記録紙7の背面側にトナー像と逆極性の+電圧を印加する転写器10の作用によって記録紙7上に静電的に吸引される。
【0024】
このようにして、用紙ホッパ11に装填されていた記録紙7は、用紙搬送トラクタ8、転写器10、用紙搬送トラクタ9およびバッファプレート24を経て定着装置12に搬送される。定着装置12に到達した記録紙7は、プレヒータ13で予熱された後、ヒータランプ25を備えた加熱ローラ14と加圧ローラ15からなる一対の定着ローラによって形成されるニップ部によって加熱加圧されながら挟持搬送され、トナー像が記録紙7に溶融定着される。溶融定着後加熱ローラ14に残ったトナーは例えばテフロン(登録商標)からなる清掃部材26で加熱ローラ14から除去清掃される。また転写器10で記録紙7に吸引されなかった残留トナーは回転可能なブラシ部材32で除去された後にブラシ部材32から外れ図示していないブロアとサイクロンからなるトナー回収装置に回収される。またここで23は印刷動作中のレーザビームプリンタ1の状態に基づく情報を表示したりする表示画面である。
【0025】
加熱ローラ14と加圧ローラ15によって送り出されてきた記録紙7は、用紙送出しローラ16によってスタッカテーブル19側へ送り出されるとともに、スイングフィン17の揺動動作によってミシン目に沿って交互に折り分けられ、さらに、回転するパドル18で折りたたみ状態が整えられながら、スタッカテーブル19上に積み重ねられて行く。
次に、図1を用いて本発明となる電子写真式印刷装置の詳細構成を説明する。
【0026】
図1に示すように本発明では、+電圧を印加した転写器10を通過した感光体ドラム21は書き込み光が照射された部分のみ+100Vの帯電であったが、非照射部の電位は−300Vであった。また光体ドラム21上に付着している残留トナーの極性は変わらず負のままであった。次にLEDを複数個並べた光除電部材42で感光体ドラム21上の電位を一度できるだけ下げた後で、例えば転写器10と同極性の直流電圧を印加する帯電部材40に1.0mA/インチ以下の電流を流し残留トナーの極性を反転させる。その後転写器10とは異極性の1.0mA/インチ以下の直流成分を重畳させたACを使用する除電部材41で光体ドラム21の全域ができるだけ0Vになるように帯電させた。ここで印加される直流電流ではトナーの帯電に影響しないことはいうまでもない。その後例えば複数のLEDを並べた光除電装置43で感光体電位を均一にした後、回転可能な例えばポリアミド樹脂60%+導電性ポリアミド樹脂40%からなるブラシ部材32を内部に有する清掃部材20を配置し、感光体ドラム21上のトナー等を除去できるようにした。ここでブラシ部材32に関し、導電性ポリアミド樹脂の割合を50%以上にするとブラシ部材32が寝てくる欠点があり、使用することはできなかった。光除電部材42の光強度は感光体ドラムの電位を1/2倍にする半減露光量の3倍〜20倍とし、かつ光源4と同一波長を発光成分として含むものとした。
【0027】
以上のようにすることにより長時間印刷を行っても感光体ドラム21に残留トナーを無くすことが可能となりフィルミング発生をなくしたので、それによって起こるかぶり、印刷濃淡むらなどの発生を防止することが可能となる。
【符号の説明】
【0028】
1はレーザビームプリンタ、2はスコロトロン帯電器、3は偏向部材、4は光源、5はfθレンズ、6は現像装置、7は記録材、8は用紙搬送トラクタ、9は用紙搬送トラクタ、10は転写器、11は用紙ホッパ、12は定着装置、13はプレヒータ、14は加熱ローラ、15は加圧ローラ、16は用紙搬送ローラ、17はスイングフィン、18はパドル、19はスタッカテーブル、20は清掃装置、21は感光体ドラム、22はコントローラ、23は表示装置、25はヒータランプ、26は清掃部材、30は除電装置、31は光除電部材、32はブラシ部材、40は帯電部材、41は除電部材、42は光除電装置、43は光除電装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電圧を使用する転写部材、回転可能な清掃部材を使用する電子写真式印刷装置において転写部材と清掃部材の間に光除電部材、直流印加部材、交流除電部材、光除電部材を配置したことを特徴とする電子写真式印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子写真式印刷装置において、前記直流印加部材は転写部材に印加する電圧と同極性の直流電圧を印加することを特徴とする電子写真式印刷装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電子写真式印刷装置において、前記直流印加部材に印加する電流は0.1mA/インチ以下であることを特徴とする電子写真式印刷装置。
【請求項4】
請求項1に記載の電子写真式印刷装置において、前記交流除電部材には転写部材とは異極性の直流電圧を重畳したことを特徴とする電子写真式印刷装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電子写真式印刷装置において、前記交流除電部材に印加する転写部材とは異極性の直流電圧の出力は0.1mA/インチ以下とすることを特徴とする電子写真式印刷装置。
【請求項6】
請求項1に記載の電子写真式印刷装置において、前記光除電部材は複数個のLEDを有することを特徴とする電子写真式印刷装置。
【請求項7】
請求項1に記載の電子写真式印刷装置において、前記清掃部材には50%以下の導電糸を含むものを使用することを特徴とする電子写真式印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−164789(P2010−164789A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−7215(P2009−7215)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】