説明

電子写真感光体及びその製造方法、並びにその感光体を用いた交換作像ユニット及び画像形成装置

【課題】板状の清掃部材の同じ部分に磨耗等の不具合が発生することと、画像を形成する際に使用する現像剤がより小粒径のものになっても当該現像剤が板状の清掃部材からすり抜けることよる清掃不良が発生し得ることを抑制できる電子写真感光体等を提供する。
【解決手段】電子写真感光体3は、円筒状の電子写真感光体30の表面のうち感光層34を含む被覆層32が形成された被覆層領域E1のなかで画像形成に使用し得る有効領域E2よりも軸方向Cの外側に隣接する端部領域E3,E4が、前記感光体の表面の周方向Dと交差する方向に延びる研磨筋41で構成される研磨処理面40として形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子写真感光体及びその製造方法、並びにその感光体を用いた交換作像ユニット及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式を採用した画像形成装置等に使用される円筒状の電子写真感光体としては、その感光体の表面を意図的に粗面化したものがある。これは、電子写真感光体の表面が製造直後の鏡面に近い状態のままであると、その感光体の表面に接触して清掃を行う清掃用ブレード(板状の清掃部材)との間の摩擦係数が過大となり、その清掃用ブレードによる清掃工程などにおいてブレードの磨耗等の不具合が生じるおそれがあるため、これを回避する目的でその感光体を製造する段階で感光体の表面を意図的に粗面化しているのである。
【0003】
このように電子写真感光体の表面を粗面化する技術としては、例えば、以下のものが知られている。
【0004】
その技術とは、円筒状の電子写真感光体の最表面に該当する層を形成する層形成工程と、該層形成工程の後に、該電子写真感光体の最表面層を研磨する電子写真感光体の研磨工程と、該研磨工程の後に、該電子写真感光体を、クリーニングブレードが画像形成プロセス中の該電子写真感光体の回転方向に対してカウンター方向に当接された電子写真装置に設置する電子写真感光体設置工程とを有する電子写真装置の製造方法において、該研磨工程が、研磨部材と該研磨前の電子写真感光体を接触させ、該研磨部材と該研磨前の電子写真感光体を該研磨前の電子写真感光体の周方向のうちいずれか一方向に相対的に移動させて、該研磨前の電子写真感光体の表面を研磨する工程であり、該電子写真感光体の設置工程が、該研磨後の電子写真感光体の研磨目の方向と画像形成プロセス中の回転方向が同じ向きとなるように該感光体を該電子写真装置に設置したものである(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−091934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、板状の清掃部材の同じ部分に磨耗等の不具合が発生することと、画像を形成する際に使用する現像剤がより小粒径になることがあっても当該現像剤が板状の清掃部材からすり抜けることよる清掃不良が発生し得ることを抑制できる電子写真感光体及びその製造方法を提供するものである。
【0007】
また、この発明は、板状の清掃部材の同じ部分に磨耗等の不具合が発生することや使用する現像剤の小粒径化に伴って清掃不良が発生し得ることに起因した画質の欠陥が誘発されることを抑制できる、上記した電子写真感光体を用いた交換作像ユニット及び画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の電子写真感光体(A1)は、円筒状の電子写真感光体の表面のうち感光層を含む被覆層が形成された被覆層領域のなかで画像形成に使用し得る有効領域よりも軸方向の外側に隣接する端部領域が、前記感光体の表面の周方向と交差する方向に延びる研磨筋で構成される研磨処理面として形成されていることを特徴とするものである。
【0009】
この発明の交換作像ユニット(B1)は、電子写真感光体として上記発明A1の電子写真感光体を備え、前記感光体を利用して画像を形成する画像形成装置の本体に着脱自在に装着されて使用されることを特徴とするものである。
【0010】
この発明の画像形成装置(C1)は、感光層を含む被覆層が形成された被覆層領域が存在する表面を有するとともに回転する電子写真感光体と、前記感光体の表面に現像剤を供給する現像装置と、前記感光体の表面における前記被覆層領域のなかで画像形成に使用し得る有効領域と前記有効領域よりも軸方向の外側に隣接する端部領域の少なくとも1部に接触して不要付着物を除去する板状の清掃部材とを備え、前記電子写真感光体が上記発明A1の電子写真感光体であることを特徴とするものである。
【0011】
この発明の電子写真感光体の製造方法(D1)は、感光層を含む被覆層が形成された被覆層領域が存在する表面を有する円筒状の電子写真感光体基材を回転させるとともに、前記感光体基材の表面における前記被覆層領域のなかで画像形成に使用し得る有効領域よりも軸方向の外側に隣接する端部領域に当該端部領域の軸方向の幅よりも狭い研磨幅の研磨部材を接触させた後、前記感光体基材及び研磨部材の少なくとも一方を当該感光体基材の軸方向に沿う方向に相対的に移動させる研磨工程を有することを特徴とするものである。
【0012】
この発明の電子写真感光体の製造方法(D2)は、上記発明D1の製造方法において、前記研磨工程は、前記電子写真感光体の表面における前記画像形成領域よりも軸方向の外側に隣接する2つの端部領域にそれぞれ接触する2つの研磨部材を、当該各端部領域に同時に接触させるとともに、前記感光体の軸方向に沿う同じ方向に同時に移動させるものである。
【0013】
この発明の電子写真感光体の製造方法(D3)は、上記発明D1の製造方法において、前記研磨工程は、前記電子写真感光体基材の表面における前記画像形成の有効領域よりも軸方向の外側にそれぞれ隣接する2つの端部領域に個別に接触させる前記研磨部材を、その2つの端部領域の軸方向における外側の端部位置に同時に接触させた後、前記感光体基材の周方向と交差する方向に沿って前記外側の端部位置とは反対側になる内側の端部位置に向けて同時に移動させるものである。
【0014】
この発明の電子写真感光体の製造方法(D4)は、上記発明D1の製造方法において、前記研磨工程は、前記電子写真感光体基材の表面における前記画像形成の有効領域よりも軸方向の外側にそれぞれ隣接する2つの端部領域に個別に接触させる前記研磨部材を、その2つの端部領域の軸方向における内側の端部位置に同時に接触させた後、前記感光体基材の周方向と交差する方向に沿って前記内側の端部位置とは反対側になる外側の端部位置に向けて同時に移動させるものである。
【発明の効果】
【0015】
上記発明A1の電子写真感光体によれば、電子写真方式の画像形成に使用した場合、その感光体の表面に接触させる板状の清掃部材の同じ部分に磨耗等の不具合が発生することと、画像形成の際に使用する現像剤がより小粒径になることがあっても当該現像剤が板状の清掃部材からすり抜けることよる清掃不良が発生し得ることを抑制できる。
【0016】
上記発明B1の交換作像ユニットによれば、画像形成装置の本体に装着して使用した場合に、その感光体の表面に接触させる板状の清掃部材の同じ部分に磨耗等の不具合が発生することと、画像形成の際に使用する現像剤がより小粒径になることがあっても当該現像剤が板状の清掃部材からすり抜けることよる清掃不良が発生し得ることを抑制できる。
【0017】
上記発明C1の画像形成装置によれば、画像形成などを行った場合、板状の清掃部材の同じ部分に磨耗等の不具合が発生することや使用する現像剤の小粒径化に伴って清掃不良が発生し得ることに起因した画質の欠陥の誘発が抑制される。
【0018】
上記発明D1の電子写真感光体の製造方法によれば、その発明の構成を有しない場合に比べて、上記発明A1の電子写真感光体を効率よく容易に製造することができる。
【0019】
上記発明D2の製造方法では、その発明の構成を有しない場合に比べて、上記発明A1の電子写真感光体を更に効率よく容易に製造することができる。
【0020】
上記発明D3及びD4の製造方法では、その発明の構成を有しない場合に比べて、2つの端部領域の研磨処理面における研磨筋が感光体基材の周方向を挟んで対称的な方向に傾斜して延びる状態になる上記発明A1の電子写真感光体を効率よく容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施の形態1に係る電子写真感光ドラムを示す概略斜視図である。
【図2】図1の感光ドラムを用いた画像形成装置を示す概要図である。
【図3】図1の感光ドラムを有するプロセスカートリッジを示す概要図である。
【図4】図1の感光ドラム(基材)の層構造の例を模式的に示す断面図である。
【図5】図1の感光ドラムの構成(クリーニングブレードとの関係を含む)を説明図である。
【図6】図1の感光ドラムの表面の端部領域における研磨処理面を構成する研磨筋の例を模式的に示す説明図である。
【図7】感光ドラム基材の研磨装置を示す概要図である。
【図8】感光ドラム基材に対する研磨部材の移動(研磨)パターンの一例(構成例1)を示す説明図であり、(a)は研磨部材を最初に接触させた状態を示し、(b)は研磨部材を移動させて研磨処理が終了した状態(又はその研磨途中の状態)を示している。
【図9】感光ドラム基材に対する研磨部材の移動パターンの他例(構成例2)を示す説明図であり、(a)は研磨部材を最初に接触させた状態を示し、(b)は研磨部材を移動させて研磨処理が終了した状態(又はその研磨途中の状態)を示している。
【図10】感光ドラム基材に対する研磨部材の移動パターンの他例(構成例3)を示す説明図であり、(a)は研磨部材を最初に接触させた状態を示し、(b)は研磨部材を移動させて研磨処理が終了した状態(又はその研磨途中の状態)を示している。
【図11】実験例で使用した各電子写真感光ドラムの研磨直後における端部領域の表面粗さの測定結果を示すグラフ図である。
【図12】図11の測定結果のうち表面粗さ(Ra)のデータを棒グラフに書き改めたグラフ図である。
【図13】図11の測定結果のうち表面粗さ(Rmax)のデータを棒グラフに書き改めたグラフ図である。
【図14】実験例で使用した各電子写真感光ドラムの画像形成で使用した後における端部領域の表面粗さの測定結果を示すグラフ図である。
【図15】図14の測定結果のうち表面粗さ(Ra)のデータを棒グラフに書き改めたグラフ図である。
【図16】図14の測定結果のうち表面粗さ(Rmax)のデータを棒グラフに書き改めたグラフ図である。
【図17】実験例で使用した各電子写真感光ドラムの端部領域の表面状態を撮影した顕微鏡写真の図である。
【図18】実験例で使用した各電子写真感光ドラムの駆動トルクについて測定した結果を示すグラフ図である。
【図19】従来の感光体表面の粗面化方法により得られる結果を例示する概略説明図であり、(a)は研磨された感光ドラムとそのドラムに当接するクリーニングブレードの状態を示し、(b)は(a)の研磨された感光ドラムに使用した場合のクリーニングブレード先端部の状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明を実施するための形態(以下「実施の形態」という)について図面を参照しながら説明する。
【0023】
[実施の形態1]
図1乃至図3は実施の形態1を示すものであり、図1は実施の形態1に係る電子写真感光体を示し、図2はその感光体を用いた画像形成装置を示し、図3はその感光体を用いた交換作像ユニットを示している。
【0024】
画像形成装置1は、その本体(筐体)10の内部に、図2に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)等の各色に対応した複数の作像部2Y、2M、2C、2Kが、水平方向に沿って一定の間隔をおいて並列的に配置されている。この各作像部2Y、2M、2C、2Kは、そのいずれも電子写真方式を採用したものであり、使用する現像剤(トナー)の色を除いて同様に構成されている。
【0025】
ここでは、代表してイエロー(Y)の作像部2Yにのみ符合を付して具体的に説明する。すなわち、作像部2Y等は、矢印A方向に沿って予め定められた回転速度で駆動される電子写真感光体としての円筒状の感光ドラム3と、この感光ドラム3の表面を所要の電位に帯電する接触式又は非接触式の帯電装置4と、感光ドラム3の表面に各色に対応した画像を露光して静電潜像を形成する潜像形成手段としての露光装置5と、感光ドラム3上に形成された静電潜像を対応する色の現像剤(実際にはトナー)を供給して現像することによりトナー像として顕像化する一成分又は二成分現像方式の現像装置6と、感光ドラム3の表面を清掃する清掃装置7とから構成されている。
【0026】
清掃装置7としては、図2や図3に示すように、例えば、ウレタンゴム等の材料で板状に成形されたクリーニングブレード(板状の清掃部材)8を備えたものが用いられる。このクリーニングブレード8は、その基端部を感光ドラム3の回転方向の下流側に位置する状態で配置する一方で、その先端部(実際にはエッジ部8a)を感光ドラム3の回転方向と対向する方向から感光ドラム3の表面に接触する状態になるよう配置する、所謂ドクター方式のクリーニングブレードを採用している。この清掃装置7では、そのドクター方式のクリーニングブレード8の先端部により、感光ドラム3の表面に残留したトナーやトナーの外添剤等の不要な付着物をかき取るように除去する。
【0027】
また、画像形成装置1は、その本体10の内部における4つの作像部2Y、2M、2C、2Kの下方となる位置に、中間転写装置9が配置されている。この中間転写装置9は、各作像部2Y、2M、2C、2Kにおける感光ドラム3の転写位置にそれぞれ接触して通過するように回転する中間転写ベルト11と、各感光ドラム3にそれぞれ形成されるトナー像を中間転写ベルト11に一次転写する一次転写装置12と、中間転写ベルト11に一次転写されたトナー像を記録用紙Pに二次転写する二次転写装置13と、中間転写ベルト11の二次転写後等における外周面を清掃するベルト清掃装置14とで構成されている。中間転写ベルト11は、複数のロールに支持されて所要の方向に回転するようになっている。
【0028】
さらに、画像形成装置1は、その本体10の内部に、所要のサイズ及び種類の被記録材としての記録用紙Pを収容するとともに二次転写位置にむけて1枚ずつ送り出して供給する給紙装置15や、記録用紙Pに二次転写された未定着のトナー像を定着する定着装置16などが配置されている。
【0029】
給紙装置15は、用紙収容体15aに積載して収容された記録用紙Pが送出装置15bにより1枚ずつ送り出される。給紙装置15と二次転写位置との間には、用紙搬送ロール対や用紙案内部材などで構成される用紙搬送路17が配置されている。定着装置16は、筐体16aの内部に、回転駆動するとともに表面温度が加熱手段により所要の温度に加熱されて保持されるロール形態、ベルト形態等の加熱回転体16bと、この加熱回転体16bの軸方向にほぼ沿うように所要の圧力で接触して従動回転するロール形態、ベルト形態等の加圧回転体16cとが装備されている。定着装置16は、加熱回転体16bと加圧回転体16cとの間に形成される定着部にトナー像が転写された用紙Pを通過させて定着を行う。二次転写位置と定着装置16の間には、二次転写が終了した後の記録用紙Pを定着装置16まで搬送して導入するベルト搬送装置18が設置されている。
【0030】
この画像形成装置1による基本的な画像形成は、次のようにして行われる。
【0031】
画像形成装置1では、画像を形成する動作の指令を受けると、各作像部2Y、2M、2C、2Kにおいて、その各感光ドラム3の表面が帯電装置4によって所要の電位に帯電された後、露光装置5によって各色に対応した画像の露光が施されて静電潜像が形成される。続いて、その各感光ドラム3の表面に形成された静電潜像が、その対応する現像装置6により反転現像又は正規現像されて、各感光ドラム3の表面にイエロー、マゼンタ、シアン、黒の各色のトナー像がそれぞれ形成される。
【0032】
次いで、各作像部2Y、2M、2C、2Kにおける各感光ドラム3の表面に形成されたトナー像は、中間転写装置9の一次転写ロール12によって中間転写ベルト11上に重ね合わされた状態で一次転写された後、給紙装置15から予め定められたタイミングで二次転写位置に供給される記録用紙P上に二次転写装置13によって一括して二次転写される。最後に、定着装置16によって記録用紙11上に各色のトナー像が定着された後、画像形成装置の本体10の外部に設けられた排出収容部19上に排出される。以上のようにして、記録用紙P上にトナーで構成されるフルカラー画像やモノクロ画像が形成される。
【0033】
また、各作像部2では、トナー像の一次転写工程が終了した後に各感光ドラム3の表面が、清掃装置7のクリーニングブレード8による残留トナーやトナーの外添剤等の除去により清掃されて次の画像形成工程に備える。また、中間転写装置9では、トナー像の二次転写工程が終了した後に中間転写ベルト11の表面が、ベルト清掃装置14による残留トナーやトナーの外添剤等の除去により清掃されて次の画像形成工程に備える。
【0034】
そして、画像形成装置1においては、図2及び図3に示すように、そのメンテナンス作業の利便性等を考慮して、各画像形成部2Y、2M、2C、2Kを構成する感光ドラム3、帯電装置4及び清掃装置7が交換作像ユニットとして一体化されたプロセスカートリッジ20として構成されている。これらのプロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20Kは、感光ドラム3、帯電装置4及び清掃装置7が図示しない支持フレームに一体化された形態になるよう取り付けられており、その各カートリッジ20が画像形成装置1の本体10に形成された装着部に対して図示しないガイドレールや固定手段を介して着脱自在に装着して使用される。
【0035】
画像形成装置1は、このようにプロセスカートリッジ20を採用したことにより、例えば感光ドラム3などが寿命に達した場合などに、その対象となるプロセスカートリッジ20を使用者等が新しいものと交換することによって、感光ドラム3の交換などを容易に行なうことができ、画像形成装置1のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0036】
次に、画像形成装置1やプロセスカートリッジ20で使用される感光ドラム3について詳述する。
【0037】
感光ドラム3は、図1に示すように主要部分が円筒形状からなる電子写真用の感光体であり、図4に例示する層構造からなる電子写真用の感光ドラム基材30の表面の特定領域に後述する研磨処理を最終的に施すことにより得られるものである。
【0038】
まず、電子写真感光ドラム基材30について説明するに、感光ドラム基材30は、図4(a)に拡大して模式的に示すように、円筒状の導電性基体31と、この基体31の表面(外周面)に形成される被覆層32としての下引き層33及び感光層34とで構成されている。感光層34としては、一般に、光を受けて電荷を発生させる電荷発生層341と、電荷発生層341で発生した電荷を輸送する電荷輸送層342との複数の層からなる所謂機能分離型のものが適用される。また、感光ドラム基材30は、図4(b)に拡大して模式的に示すように、感光層34の上に被覆層32としての表面保護層35を更に形成したものであってもよい。
【0039】
このような感光ドラム基材30は、以下に示す各工程などを経て製造される。
【0040】
<導電性基体の製作工程>
導電性基体31としては、基本的に、従来から感光ドラムの基材に使用されているものが同様に使用される。具体的には、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼等の金属材料を用いて円筒状に形成した基体や、円筒状に形成された絶縁性基体の表面に導電性材料を塗布又は蒸着等により形成させた基体などが用いられる。
【0041】
導電性基体31は、予め定められた外径を有する円筒形状に形成される。基体31としては、例えば、前記金属材料を用いて形成されるパイプ等の円筒体がそのまま用いられる。この金属製の円筒体からなる基体31を使用する場合、その基体31の表面は、製造された円筒体の素管のままであってもよいし、鏡面切削、エッチング、陽極酸化、粗切削、センタレス研削、サンドブラスト、ウエットホーニングなどの表面処理を施しても良い。
【0042】
<被覆層の層形成工程>
続いて、導電性基体31の表面に対し、少なくとも感光層34を含む被覆層32を形成する層形成工程が行われる。
【0043】
導電性基体31の表面には、はじめに、図4に例示した感光層34を含む被覆層32の形成に先立って、下引き層33が設けられる。この下引き層33は、導電性基体31の表面における光の反射や散乱などの防止、感光層34の表面を帯電した際に導電性基体31から感光層34への不要なキャリア(カウンター電荷)の流入の防止などを目的として設けられる。
【0044】
下引き層33の層形成は、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、銀などの金属粉体や、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛などの導電性金属酸化物や、カーボンファイバ、カーボンブラック、グラファイト粉末などの導電性物質等を、結着樹脂に分散した組成物を、導電性基体31の表面に塗布することより行われる。下引き層33などの被覆層32は、導電性基体31の表面の軸方向Cにおける両端部31a,31bを除く領域に形成される(図1、図5等を参照)。なお、下引き層33については、層形成工程の一環として設けられる場合に限らず、上述した導電性基体31の製作工程において設けるようにしても良い。また、下引き層33の上には、図示は省略するが、電気特性向上、画質向上、画質維持性向上、感光層接着性向上などを目的として、中間層を設けてもよい。
【0045】
次いで、導電性基体31の下引き層33の上に感光層34が設けられる。ここで、感光層34として前述した機能分離型の感光層を形成する場合について説明する。
【0046】
感光層34の電荷発生層341は、電荷発生材料を適当な結着樹脂中に分散した組成物によって形成される。電荷発生材料としては、例えば、無金属フタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、ジクロロスズフタロシアニン、チタニルフタロシアニン等のフタロシアニン顔料が使用される。また、これらの電荷発生材料は、単独または2種以上を混合して使用してもよい。
【0047】
電荷発生層341における結着樹脂としては、例えば、ビスフェノールAタイプあるいはビスフェノールZタイプ等のポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリビニルアセテート樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリスルホン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニリデン−アクリルニトリル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂等が用いられる。これらの結着樹脂は、単独あるいは2種以上混合して用いてもよい。
【0048】
この電荷発生層341は、上記した材料からなる塗布液を下引き層33上に塗布して形成される。このときの塗布方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、リング塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等が挙げられる。電荷発生層341の膜厚は、例えば、0.01〜5μmの範囲に設定される。
【0049】
一方、感光層34の電荷輸送層342は、図4(a)に示すように、この実施の形態1に係る電子写真感光体3の最も表面側に位置する最表面層を構成する。この電荷輸送層342は、電荷輸送材料を適当な結着樹脂中に分散させた組成物によって形成される。
【0050】
上記電荷輸送材料としては、例えば、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、N,N′−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、トリ(p−メチルフェニル)アミニル−4−アミン、ジベンジルアニリン等の芳香族第3級アミノ化合物、N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−N,N′−ジフェニルベンジジン等の芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4′−ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4′−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリン等のキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N−ジフェニルアニリン等のα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾール等のカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体などの正孔輸送物質、クロラニル、ブロアントラキノン等のキノン系化合物、テトラアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物等の電子輸送物質、および上記した化合物を含む基を主鎖または側鎖に有する重合体などが挙げられる。これらの電荷輸送材料は、1種または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0051】
また、電荷輸送層342における結着樹脂としては、電荷発生層341における前記した結着樹脂の他に、例えば、塩素ゴム等の樹脂、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン等の有機光導電性ポリマー等が挙げられる。これらの結着樹脂は、単独あるいは2種以上混合して用いてもよい。
【0052】
この電荷輸送層342は、上記した材料からなる塗布液を電荷発生層341上に塗布して形成される。このときの塗布方法としては、電荷発生層341の形成に適用する前記塗布方法等を同様に適用することができる。電荷輸送層342の膜厚は、例えば、5〜50μmの範囲に設定される。
【0053】
感光層34を構成する各層中には、画像形成装置1の本体10内で発生するオゾンや窒素酸化物、あるいは光や熱による感光体の劣化を防止する目的で、さらに酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤などの添加剤を添加してもよい。
【0054】
層形成工程は、図4(b)に示すように被覆層32として表面保護層35を形成する場合には、この感光層34上に表面保護層35を形成することになる。
【0055】
以上の各工程を経ることで感光ドラム基材30が製造される。
【0056】
<感光体の表面の粗面化>
ところで、上記の如く被覆層32が被覆・硬化されることによって形成された電子写真感光ドラム基材30は、そのまま感光ドラム3として、画像形成装置1に組み込んで使用した場合、その製造直後の感光ドラム基材30の表面は、被覆層32の形成方法及び当該被覆層を形成する材料の特性や、均一な膜厚を確保する目的で添加される添加剤などの要因によって、表面粗さが非常に小さく、鏡面状態あるいは鏡面状態に近い状態となる。
【0057】
そのため、この電子写真感光ドラム基材30をそのまま感光ドラム3として組み込んだ画像形成装置1においては、その感光ドラム基材30の表面にクリーニング性などを考慮して比較的硬度が低く設定されることが多いクリーニングブレード8の先端部が密着し易い傾向がある。この結果、上記感光ドラム基材30では、その表面とクリーニングブレード8との静摩擦係数及び動摩擦係数(μ)が過大となり、クリーニングブレード8の先端が微細に振動して異音が発生する所謂“ブレード鳴き”や、クリーニングブレード8の先端部が感光ドラム基材30の回転方向に沿った下流側に反転する“めくれ”や、クリーニングブレード8の先端が欠損する“欠け”等の不具合が発生し易くなる。このクリーニングブレード8の“ブレード鳴き”や“めくれ”、あるいは“欠け”等の不具合は、特に、クリーニング性等を考慮して、ゴム硬度(JIS−A硬度)が相対的に低く設定された比較的柔らかいクリーニングブレード8を使用した場合に顕著に発生し易い。
【0058】
このような不具合を抑制又は解消するために、従来においても前述したように電子写真感光体の製造時に当該感光体の表面を意図的に粗面化する技術が採用されている。この電子写真感光体の表面を粗面化するにあたっては、その感光体の表面にその軸方向にわたって研磨部材を接触させた状態のままで、その感光体を回転駆動することによって行なわれる。この結果、電子写真感光体100の表面には、図19(a)に示すように、感光体100の回転方向(周方向)Dに沿った研磨目110が形成される。
【0059】
しかしながら、本発明者等の研究によれば、このような表面の粗面化を行った電子写真感光体100においては以下の技術的課題があることが判明した。
【0060】
すなわち、電子写真感光体100の回転方向Dとその表面に対する研磨方向とを同じ方向に設定した場合には、その感光体100の表面に研磨処理による凹凸(研磨目110)が、感光体100の軸方向Cにおいて同じ位置に形成されることになる。このため、このように研磨された電子写真感光体100を使用した場合には、画像形成時に、研磨処理によって感光体100の表面に形成された研磨目110の凸の部分111が、あたかもヤスリのような状態でクリーニングブレード8のエッジ部分を削ることになってしまう。その結果、クリーニングブレード8のエッジ部分は、図19(b)に示すように、感光体100の軸方向Cにおいて対応する同じ箇所112が、感光体100の表面に形成された研磨目110の凸状部分111によって削られることになる。これにより、クリーニングブレード8は、感光体の軸方向Cに沿って摩耗状態が変化することになり、その摩耗が大きい部分では、トナーの外添剤やトナー自身の擦り抜けが発生し、帯電装置4(帯電ロール等の接触帯電部材)の汚損による画質劣化や、擦り抜けたトナーが画像の背景部に付着してしまう背景部汚れや、クリーニングブレード8の部分的な摩耗によって感光体100の摩耗状態も変化して感光体の軸方向Cにおいて画像の濃淡ムラとなる画質ムラなど、画像に悪影響が及ぼすことが判った。上記トナー自身の擦り抜けについては、トナーの平均粒径が小さくなるにつれて、より顕著に現れるようになる。
【0061】
<実施の形態1における粗面化>
そこで、本発明者等は、上記の技術的課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、上述した電子写真感光ドラム基材30の表面の特定領域に以下に説明するような研磨処理を施すことが有効であることを見出した。
【0062】
実施の形態1に係る電子写真感光ドラム3は、図1や図5、図6等に示すように、円筒状の電子写真感光ドラム(基材30)の表面のうち感光層34を含む被覆層32が形成された被覆層領域E1のなかで画像形成に使用し得る有効領域E2よりも軸方向Cの外側に隣接する端部領域E3,E4が、その感光ドラムの表面の周方向Dと交差する方向に延びる研磨筋41で構成される研磨処理面40として形成されているものである。
【0063】
ここで、上記被覆層領域E1における画像形成の有効領域E2は、画像形成装置1において使用される記録用紙Pの搬送時における最大の幅寸法にほぼ対応する寸法(感光ドラム3の軸方向Cにおける長さ)に設定される。また、被覆層領域E1における端部領域E3,E4は、基本的に、被覆層領域E1のうち画像形成有効領域E2を除く領域の全域になる。端部領域E3,E4については、特殊な目的などに応じて、被覆層領域E1の有効領域E2を除く領域のうちの一部の領域であっても構わない。さらに、ただし、その一部の領域である場合、その一部の領域は、有効領域E2に隣接する領域であると同時に、後述するようにクリーニングブレード8の画像形成有効領域E2よりも外側に位置する両端部が接触する領域であることが必要である。
【0064】
また、研磨処理面40を構成する研磨筋41は、図6(a)に拡大して模式的に例示するように、感光ドラム3の表面の周方向(回転する方向とほぼ平行する方向)Dに対して同じ方向(例えば右肩上がり又は左肩上がりの一方)に傾斜して交差するものだけであっても、あるいは、同図(b)に例示するように感光ドラム基材30(感光ドラム3)の表面の周方向Dに対して異なる方向(右肩上がり及び左肩上がり)に傾斜したものが混在するものであってもよい。図6(a)における符合41Aは、上記周方向Dに対して右肩上がりに傾斜して交差する形態の研磨筋を示す。図6(a)の下部にその研磨処理面40の断面を示しており、符号32aは被覆層32の最表面のうち研磨されていない(研磨筋41のない)部分を示している。また、図6(b)における符合41Bは、上記周方向Dに対して左肩上がりに傾斜して交差する形態の研磨筋を示す。
【0065】
各研磨筋41は、その幅や深さや長さが互いに異なっていることが多い。また、研磨筋41の傾斜する角度は、同じ方向に傾斜する研磨筋どうしであれば、互いにほぼ同じであるか、あるいは、互いに少し異なっている。研磨筋41(の断面形状)は、被覆層32の表面に溝のように形成される凹形状(窪んだ形状)か、連続した突起のように形成される凸形状(突出した形状)か、その双方の状態で形成される凹凸形状かのいずれかになる。異なる方向に傾斜した研磨筋41A,41Bが混在する研磨筋の場合、図6(b)に示すように、異なる方向に傾斜する研磨筋41A,41Bが交差する部分42(図中に代表例として黒塗りの丸印を付した場所)では、研磨による凹凸の幅等の寸法が他の交差していない部分に比較して相対的に大きくなることが多い。
【0066】
また、被覆層領域E1における画像形成の有効領域E2の外側に隣接する2つの端部領域E3,E4は、同じ種類(似た種類)の研磨筋41で構成される同じ研磨処理面40が形成される場合と、異なる種類の研磨筋41で構成される異なる研磨処理面40が形成される場合とがある。この具体的な構成例については後述する。
【0067】
そして、電子写真感光ドラム3は、図1や図5に示すように、被覆層領域E1のうち端部領域E3,E4が研磨処理された研磨処理面40となり、一方、その端部領域E3,E4以外の画像形成有効領域E2が研磨処理されない非研磨処理面となる。非研磨処理面である画像形成有効領域E2は、研磨処理がされないため、前述した層形成工程で得られた被覆層32の最表面が有する鏡面状態又はそれに近い状態の表面になっている。
【0068】
また、電子写真感光ドラム3は、画像形成装置1の作像部2に装備されて使用される段階(プロセスカートリッジ20を介して装着されて使用される場合を含む)では、図5等に示すように、その表面の被覆層領域E1のほぼ全域に対して、清掃装置7におけるクリーニングブレード8の先端部(厳密にはエッジ部)が軸方向Cに沿う状態で接触するように配置される。
【0069】
この場合、クリーニングブレード8は、その先端部が、感光ドラム3の表面の被覆層領域E1における画像形成有効領域E1と端部領域E3,E4の一部とに接触した状態に配置される。これにより、クリーニングブレード8は、その先端部が、感光ドラム3の表面の被覆層領域E1における鏡面状態である画像形成有効領域E2と研磨処理面40である端部領域E3,E4とに接触した状態で使用されることになる。図5中の符合Lはクリーニングブレード8の感光ドラム3表面に対する接触幅を示し、符合M1,M2はクリーニングブレード8の感光ドラム3表面の端部領域E3,E4(研磨処理面40)に接触する接触部分を示している。
【0070】
<研磨工程>
電子写真感光ドラム3の表面における研磨処理面40は、以下に説明する研磨工程を経て形成される。この研磨工程は、上述した電子写真感光ドラム基材30の製造工程と連続した一連の製造工程として実施されるか、あるいは、その電子写真感光ドラム基材30の製造工程と時間及び場所の少なくとも一方の要素が分離された独立した製造工程として実施される。
【0071】
研磨工程は、例えば、次の構成からなる研磨装置200を用いて実施される。研磨装置200は、図7に示すように、被覆層32が形成された電子写真感光ドラム基材30を保持して回転駆動させる回転保持部210と、感光ドラム基材30の表面の特定領域を研磨する研磨部材201が装着された2つの研磨作業部220A,220Bと、2つの研磨作業部220A,220Bを所要の方向に移動させる移動装置部230とを備えたものである。
【0072】
研磨装置200の回転保持部210は、例えば、電子写真感光ドラム基材30を回転自在に保持する構造部と、その保持された電子写真感光ドラム基材30を所要の方向に所要の速度で回転駆動させる回転駆動部を備えている。回転駆動部は、モータ215や回転伝達機構などで構成されている。被覆層32が形成された後の電子写真感光ドラム基材30は、この回転保持部210に保持されるとともに予め定められた回転速度で回転駆動される。
【0073】
この研磨工程における電子写真感光ドラム基材30の回転速度としては、例えば、画像形成装置1において画像形成動作時に適用される感光ドラム3の回転速度(プロセススピード)を中心として、そのプロセススピードと等しい速度や、そのプロセススピードよりも遅い速度や、そのプロセススピードよりも速い速度などの任意の速度に設定される。ただし、この感光ドラム基材30の回転速度については、単位時間当たりに研磨可能な感光ドラム基材30の本数、つまり研磨工程の生産性など考慮すれば、感光ドラム3のプロセススピードよりも相対的に速い速度に設定することが望ましい。
【0074】
ちなみに、上記感光ドラム基材30の回転速度は、その下限値及び上限値についても特に限定されるものではないが、研磨工程の精度や生産性などを考慮すれば、例えば、直径40mmの電子写真感光ドラム基材30を想定した場合には100rpm以上且つ1500rpm以下の回転速度に設定される。この回転速度が100rpm未満の場合には、研磨工程の精度上の問題などは特に想定されないが、1本の電子写真感光ドラム基材30の表面を研磨するのに要する時間が相対的に長くなり、生産性が低下するため望ましくない。反対に上記回転速度が1500rpmを越える場合には、1本の電子写真感光ドラム基材30の表面を研磨するのに要する時間が相対的に短くなり、生産性の上からは望ましいが、その感光ドラム基材30の回転速度があまりに速くなると、感光ドラム基材30の表面と研磨部材201との接触による摩擦熱の影響などにより、感光ドラム基材30の被覆層32に損傷を与える虞れがあるため望ましくない。しかし、感光ドラム基材30の研磨層32の表面を冷却しつつ研磨するなど、その研磨層32に摩擦熱などによる損傷を与えるおそれがない状態で研磨作業を行う場合であれば、その回転速度については1500rpmを越える速度に設定しても構わない。
【0075】
研磨装置200の研磨作業部220A,220Bは、研磨部材201として、例えば帯状の研磨シートを適用するものが使用される。この場合の研磨作業部220A,220Bはいずれも、研磨部材としての研磨シート201をロール状に巻き取った研磨シートロール202を取り付けて送り出す供給ロール221と、その送り出された研磨シート201の部分を感光ドラム基材30の研磨作業領域となる表面部分に押し当てて接触させる押圧ロール222と、研磨作業が終了した研磨シート201の部分を巻き取る巻取りロール223と、供給ロール221を所要の速度で回転させる回転駆動部と、巻取りロール223を所要の速度で回転させる回転駆動部とを備えている。供給ロール221の回転駆動部は、モータ225や回転伝達機構などで構成されている。また、巻取りロール223の回転駆動部は、モータ226や回転伝達機構などで構成されている。
【0076】
研磨シート201としては、例えば、ラッピングフィルムシートなどとして知られているものがある。このラッピングフィルムシートは、例えば、ポリエステルフィルム等からなる均一な厚さと平滑な表面を有する合成樹脂製フィルム基材の表面に、予め定められた粒子径で分布する酸化アルミニウム等からなる砥粒をコーティングした(研磨層を形成した)構成からなるものである。このラッピングフィルムシート等の研磨シート201は、砥粒の粒子径を調製して管理することにより、表面粗さを示す中心線平均粗さ(Ra)が0.01μm程度になるまでの均一で超精密な研磨が可能となり、しかも簡単な研磨処理で所望の表面粗さが短時間で得られるため、経済的であって電子写真感光ドラムの表面の研磨処理に適している。
【0077】
上記研磨シート201としては、例えば、酸化アルミニウムの微粒子(砥粒)の粒子径が、0.3μm、1μm、3μm、5μm、10μm、30μm、40μm、60μmなど種々の値に設定されたものがあり、電子写真感光ドラム3の表面における研磨処理面40として要求される研磨状態に応じて予め定められた粒子径のものを適宜選択して構成される研磨シートが使用される。
【0078】
また、研磨シート201の感光ドラム基材30の軸方向Cに沿った長さ(研磨幅)Kは、その感光ドラム基材30の表面の被覆層領域E1における端部領域E3,E4の軸方向Cにおける幅W3,W4よりも狭い(短い)値のものである。この研磨シート201の研磨幅Kは、端部領域E3,E4の幅W3,W4との関係に応じて任意の値に設定することができ、例えば、5〜10mm程度に設定される。ちなみに、端部領域E3,E4の幅W3,W4は、一般に同じ寸法であるが、互いに異なった寸法であっても構わない。
【0079】
さらに、研磨シート201は、前記したようにロール状に巻き取った状態の研磨シートロール202として使用する。これにより、研磨シートロール202から研磨シート201を少しずつ供給して研磨作業を行うとともに使用後の研磨シート201部分を巻き取るように取り扱うことが可能となり、この結果、研磨シート201の研磨面を新しい面に交換しながら研磨作業を行うことができ、研磨工程の自動化や高速化を図ることが可能になる。
【0080】
研磨作業部220A,220Bでは、供給ロール221及び巻取りロール223が各回転駆動部からの動力により独立して回転駆動され、これにより、研磨シート201が供給ロール221から電子写真感光ドラム基材30の表面の特定領域E3,E4に向けて供給されるとともに巻取りロール223に巻き取られる。また、研磨シート201は、その背面側から押圧ロール222により所要の押圧力で押圧され、その研磨面が感光ドラム基材30の表面の特定領域E3,E4に押し付けられる。
【0081】
押圧ロール222の研磨シート201を感光ドラム基材30の表面圧接させる押圧力は、その研磨特性に直接影響するものであるが、研磨シート201の表面粗さ等の条件や、感光ドラム基材30の表面に形成する研磨処理面40の研磨状態の条件に応じて適宜設定される。押圧ロール222は、回転軸にゴム層等の弾性層が形成されたものであり、研磨シート201の供給(巻取り)の移動を受けて従動回転する。
【0082】
研磨作業部220A,220Bにおける研磨シート201の送り方向(矢印で示す方向)は、回転保持部210における感光ドラム基材30の回転方向Bと同じ方向(接触する部分において同じ方向に移動する状態になる方向)に設定しても良いし、その感光ドラム基材30の回転方向と反対の方向となるように設定しても良い。実施の形態1では、図7に示すように、研磨シート201の送り方向が、感光ドラム基材30との接触位置において感光ドラム基材30の回転方向Bと反対の方向となるように設定している。
【0083】
研磨装置200の移動装置部230は、上記研磨作業部220A,220Bを回転保持部210に保持される電子写真感光ドラム基材30の表面に対して接近及び離間する方向に移動させるように支持するとともに、その感光ドラム基材30の軸方向Cに沿って移動させるように支持する移動支持構造部と、移動支持構造部に支持された研磨作業部220A,220Bを所要の方向に所要の移動速度で移動させる移動駆動部とを備えている。
【0084】
移動支持構造部は、例えば、ガイドレール等の部材で構成されている。移動駆動部は、例えば、モータの動力で回転駆動するボールネジや、タイミングベルト等の手段で構成されている。移動支持構造部は、所要の研磨筋41で構成される研磨処理面40を形成することが可能であれば、感光ドラム基材30の周方向Dと交差する方向(軸方向Cを除く)に沿って移動させるように支持するものであってもよい。
【0085】
研磨装置200の移動装置部230による研磨作業部220A,220Bの移動(研磨作業)パターンとしては、例えば、以下に説明する構成例1〜3が適用される。
【0086】
図8に示す移動(研磨作業)パターンは、研磨作業部220A,220Bを、その研磨シート201A,201Bが感光ドラム基材30の表面における端部領域E3,E4の一方の端部に同時に接触するよう移動させた後(図8(a))、感光ドラム基材30の軸方向Cに沿う方向Jの同じ方向に同時に移動させる(図8(b))という「構成例1」である。この構成例1の場合、2つの研磨作業部220A,220Bは、図8に二点鎖線で示すように連結部材228で固定して一体化することで、同じ方向への同時の移動を正確に同期させることができる。
【0087】
実施の形態1では、研磨シート201A(の研磨幅Kの一端)が感光ドラム基材30の端部領域E3における内側の端部位置E3inに存在する状態に接触し,かつ研磨シート201B(の研磨幅Kの一端)が感光ドラム基材30の端部領域E4における外側の端部位置E4outに存在する状態に接触するように移動させている。しかる後、研磨シート201Aと研磨シート201Bの双方が、同じ方向J1に移動させている。上記方向J1は、例えば研磨シート201Aの動きを例にして説明すると、研磨シート201Aが端部領域E3における内側の端部位置E3inから外側の端部位置E3outに向かうときの方向である。
【0088】
このときの同じ方向J1への移動は、例えば、研磨シート201Aの研磨幅Kの他端が上記接触を開始した最初の位置から感光ドラム基材30の端部領域E3における外側の端部位置E3outに達するまで行われる。また、この移動は、研磨シート201Bに基づいて説明すると、研磨シート201Bの研磨幅Kの他端が上記接触を開始した最初の位置から感光ドラム基材30の端部領域E4における内側の端部位置E4inに達するまで行われるものである。ちなみに、移動装置部230は、この移動(研磨作業)が終了すると、研磨作業部220A,220Bを、その研磨シート201A,201Bが感光ドラム基材30の表面から離間する方向に移動させられる。この離間させる移動動作は、他の構成例2,3においても同様に行われる。
【0089】
この構成例1の移動パターン(同じ方向J1への片道移動)で研磨を行った場合、感光ドラム基材30の表面における端部領域E3,E4はいずれも、図8(b)に模式的に示すように、その感光ドラム基材30の周方向Dに対して交差して右肩上がりに傾斜した微小な凹凸からなる研磨筋41A(図6aを参照)で構成される研磨処理面40が形成される。これは、前述したように感光ドラム基材30を矢印Bで示す方向に回転させて研磨を行った場合の結果である(構成例2,3も同様である)。また、構成例1の移動パターンで研磨を行った場合には、端部領域E3,E4の研磨処理を最も簡易にかつ短時間で行うことができる。
【0090】
図9に示す移動(研磨作業)パターンは、研磨作業部220A,220Bを、その研磨シート201A,201Bが感光ドラム基材30の表面における端部領域E3,E4の外側の端部位置E3out,E4outに同時に接触するよう移動させた後(図9(a))、研磨シート201A,201Bが端部領域E3,E4の内側の端部位置E3in,E4inにそれぞれ達するまで感光ドラム基材30の軸方向Cに沿う方向J2、J1にそれぞれ同時に移動させる(図9(b))という「構成例2」である。上記方向J2は、例えば研磨シート201Aの動きを例にして説明すると、研磨シート201Aが端部領域E3における外側の端部位置E3outから内側の端部位置E3inに向かうときの方向である。
【0091】
この構成例2の移動パターン(端部領域における外側の端部位置から内側の端部位置まで向かう片道移動)で研磨を行った場合、感光ドラム基材30の表面における端部領域E3は、図9(b)に模式的に示すように、その感光ドラム基材30の周方向Dに対して交差して左肩上がりに傾斜した微小な凹凸からなる研磨筋41B(図6bを参照)で構成される研磨処理面40が形成される。一方、端部領域E4は、図9(b)に模式的に示すように、その感光ドラム基材30の周方向Dに対して交差して右肩上がりに傾斜した微小な凹凸からなる研磨筋41A(図6aを参照)で構成される研磨処理面40が形成される。また、構成例2の移動パターンで研磨を行う場合には、研磨作業部220A,220B(実際には研磨シート201A,201B)を互いに反対方向に対称的に移動させることができ、これにより端部領域E3,E4の研磨処理をより効率よく行うことができる。このような効果は、後述する構成例3の移動パターンで研磨を行う場合も同様に得られる。
【0092】
図10に示す移動(研磨作業)パターンは、研磨作業部220A,220Bを、その研磨シート201A,201Bが感光ドラム基材30の表面における端部領域E3,E4の内側の端部位置E3in,E4inに同時に接触するよう移動させた後(図10(a))、研磨シート201A,201Bが端部領域E3,E4の外側の端部位置E3out,E4outにそれぞれ達するまで感光ドラム基材30の軸方向Cに沿う方向J1、J2にそれぞれ同時に移動させる(図10(b))という「構成例3」である。
【0093】
この構成例3の移動パターン(端部領域における内側の端部位置から外側の端部位置まで向かう片道移動)で研磨を行った場合、感光ドラム基材30の表面における端部領域E3は、図10(b)に模式的に示すように、その感光ドラム基材30の周方向Dに対して交差して左肩上がりに傾斜した微小な凹凸からなる研磨筋41B(図6bを参照)で構成される研磨処理面40が形成される。一方、端部領域E4は、図10(b)に模式的に示すように、その感光ドラム基材30の周方向Dに対して交差して右肩上がりに傾斜した微小な凹凸からなる研磨筋41A(図6aを参照)で構成される研磨処理面40が形成される。つまり、構成例2の場合と同様の研磨筋41からなる研磨処理面40が形成されることになる。
【0094】
また、構成例1〜3で示す各移動パターンにおいては、研磨作業部220A,220Bを、その研磨シート201A,201Bが感光ドラム基材30の表面における端部領域E3,E4に複数回接触するように往復移動させる構成を採用してもよい。この研磨作業部220A,220Bを往復移動させて研磨を行う場合は、移動装置部に、研磨作業部220A,220Bの移動方向を所要のタイミングで切り替えるための機能を付加する。また、その往復移動させる回数は、1回でも良いし、あるいは複数回でもよい。
【0095】
例えば、構成例1の場合では、図8(b)に二点鎖線の矢印で示すように、感光ドラム基材30の軸方向Cに沿う同じ矢印J1で示す方向に移動した後の研磨作業部220A,220Bを、その矢印J1で示す方向と反対の矢印J2で示す方向に折り返して同時に移動させる。構成例2の場合には、図9(b)に二点鎖線の矢印で示すように、端部領域E3,E4の内側の端部位置E3in,E4inまで移動した後の研磨作業部220A,220Bを、端部領域E3,E4の外側の端部位置E3out,E4outに達するまで矢印J1、J2で示す各方向に折り返してそれぞれ同時に移動させる。構成例3の場合には、図10(b)に二点鎖線の矢印で示すように、端部領域E3,E4の外側の端部位置E3out,E4outまで移動した後の研磨作業部220A,220Bを、端部領域E3,E4の内側の端部位置E3in,E4inに達するまで矢印J2、J1で示す各方向に折り返してそれぞれ同時に移動させる。
【0096】
研磨作業部220A,220Bを往復移動させて研磨を行った場合、感光ドラム基材30の表面における端部領域E3,E4はいずれも、図6(b)に示すように、その感光ドラム基材30の周方向Dに対して交差して異なる方向に傾斜した微小な凹凸からなる研磨筋41A,41Bが交差した構成からなる研磨処理面40が形成される。
【0097】
研磨装置200における移動装置部の研磨作業部220A,220B(実際には研磨シート201A,201B)を感光ドラム基材30の軸方向Cにさせるときの移動速度は、任意に設定することができるが、感光ドラム基材30の研磨作業時の回転速度や生産性等を考慮して設定される。この移動速度としては、例えば、25mm/sec〜100mm/sec程度に設定されるが、これよりも遅くても良いし、速くても良いことは勿論である。
【0098】
この研磨シート201A,201Bを移動させるときの移動速度は、感光ドラム基材30の回転速度とともに、感光ドラム基材30の表面の特定領域である端部領域E3,E4における同一箇所を研磨する回数を決定する重要な要素になる。つまり、その移動速度が感光ドラム基材30の回転速度に比べて大きい値になる場合には、感光ドラム基材30の表面の特定領域における同一箇所を研磨する回数が増加する傾向となる。反対に、その移動速度が感光ドラム基材30の回転速度に比べて大きい値になる場合には、感光ドラム基材30の表面の特定領域における同一箇所を研磨する回数が減少する傾向となる。
【0099】
ちなみに、感光ドラム基材30の表面の端部領域E3,E4における研磨回数は、研磨シート201の表面粗さとともに、感光ドラム基材30の表面の端部領域E3,E4の研磨状態を決定する要因となる。
【0100】
上記感光ドラム基材30の表面の端部領域E3,E4における研磨回数とは、1回の研磨工程で、2つの研磨シート201A,201Bが感光ドラム基材30の表面の端部領域E3,E4の一方の端部位置から他方の端部位置まで移動する間に、その端部領域E3,E4における同一の表面部分が研磨シート201A,201Bとそれぞれ何回接触して研磨されるかの回数を意味するものである。このため、この研磨回数は、研磨シート201A,201Bを感光ドラム基材30の表面の端部領域E3,E4における一方の端部位置から他方の端部位置まで移動させる回数、換言すれば研磨工程を実行する回数を意味するものではない。
【0101】
そして、この研磨回数は、感光ドラム基材30の回転速度と、研磨シート201の研磨幅K及び移動速度とによって決定される。また、感光ドラム基材30を335mm/secの回転速度で回転させた場合に、研磨幅Kが10mmの研磨シート201を、感光ドラム基材30の軸方向Cに沿って端部領域E3,E4内を移動させるときの移動速度は、例えば、研磨シート201の移動速度を1としたときに、感光ドラム基材30の回転速度の当該移動速度に対する比が例えば5〜50の範囲となるように設定される。すなわち、感光ドラム基材30の回転速度が上記した回転速度(335mm/sec)である場合、研磨シート201の移動速度は、例えば25mm/sec〜100mm/sec程度に設定される。移動速度については、上記の値に限定されるものではなく、その速度よりも速くても遅くても良いことは言うまでもない。
【0102】
本発明者等の研究結果によれば、電子写真感光ドラム基材30(感光ドラム3)の表面の研磨処理面40における研磨状態としては、後述する実験結果からも明らかなように、クリーニングブレード8を研磨処理面40が形成されていない感光ドラム基材30の表面に圧接させた状態で感光ドラム30を回転駆動させる際の負荷トルクを測定した場合に、その負荷トルクが殆ど変化せず一定の値に収斂する状態になることが望ましいと考えられる。
【0103】
これは、研磨処理面40を形成していない感光ドラム基材30をそのまま使用して画像形成動作を行った場合、その感光ドラム基材30を使用し始めてから3000枚程度のA4サイズ短手送りの記録用紙Pに画像を形成した後の表面の磨耗状態に相当するものになる。そして、この3000枚程度の画像形成をした後の感光ドラム基材30の表面の摩耗状態としては、本発明者らの研究の結果、中心線平均粗さ(Ra)が0.01μm程度で、最大高さ(Rmax)が0.1μm程度となるのが望ましいことが判った。
【0104】
<プロセスカートリッジの組立工程>
以上のようにして製造される電子写真感光ドラム3は、その感光ドラム基材30の導電性基体31における両端部31a,31b(被覆層領域E1の外側部分:被覆層32が形成されない部分)に対し、その感光ドラム3をプロセスカートリッジ20の支持部材(フレーム)に回転自在に装着するためのフランジ部材や、伝達される回転動力を受けるギヤが形成されたフランジ部材などが取り付けられる。このフランジ部材の取付け作業は、前記した感光ドラム30の製造工程の最終工程などとして行うようにしても構わない。
【0105】
続いて、上記フランジ部材が取り付けられた感光ドラム3は、そのフランジ部材を介してプロセスカートリッジ20の図示しない支持部材に回転自在に取り付けられる。また、感光ドラム3の周囲に、図3に示すように、帯電装置4(の帯電ロールなど)と清掃装置7が取り付けられる。以上により、プロセスカートリッジ20が組み立てられる。
【0106】
このように組み立てられたプロセスカートリッジ20は、図2に示すように、画像形成装置1の本体10の各画像形成部2Y、2M、2C、2Kにおける図示しない装着空間部にガイドレール等を介して収容されるように装着される。プロセスカートリッジ20が所要の装着部に装着されると、駆動伝達機構の部材の連結作業や電気接続系の部材の接続作業や作像部2の他の構成部品(現像装置6、中間転写装置9など)との配置作業が同時に行われる。以上により、プロセスカートリッジ20は画像形成装置1に装着されて使用可能な状態になる。
【0107】
<感光ドラムを使用した画像形成>
実施の形態1に係る画像形成装置1は、プロセスカートリッジ20を装着することにより、電子写真感光ドラム3を使用した画像形成が可能になる。プロセスカートリッジ20又は画像形成装置1においては、図5等に示すように、清掃装置7におけるクリーニングブレード8の先端部(8a)が、電子写真感光ドラム3の表面における画像形成有効領域E2と端部領域E3,E4の一部とに接触した状態になる。
【0108】
そして、この電子写真感光ドラム3を使用して前述したような画像形成動作を行った場合には、板状のクリーニングブレード8の先端部における同じ部分が磨耗する等の不具合が発生することがなく、しかも、画像形成に使用する現像剤(現像装置6で使用する現像剤:トナー)がより小粒径のものになったとしてもその現像剤等がすり抜ける等の清掃不良が発生することもない。この結果、最終的に得られる画像は、上記したクリーニングブレード8の磨耗等や小粒径の現像剤等のすり抜け等による清掃不良に起因した画質の欠陥(背景かぶり、画質むらなど)が誘発することが抑制される。
【0109】
本発明者等の研究によれば、クリーニングブレード8は、回転する感光ドラム3の表面に圧接された状態で接触することにより、一般にその先端部の両端部から磨耗し始める傾向にあることが知られている。
【0110】
これに対し、実施の形態1に係る感光ドラム3では、そのブレード8の(長手方向における)両端部の先端部が接触する端部領域E3,E4が前記した研磨筋41で構成される研磨処理面40として形成されている。このため、そのドラム表面の端部部分E3,E4とブレード8の両端部における先端部との間の摩擦抵抗が低減された状態になり、そのブレード両端部における先端部の磨耗の発生が適確に抑制される。しかも、感光ドラム3では、研磨処理面40の研磨筋41が感光ドラム3の周方向Dと交差した方向に延びるように形成されている。このため、その研磨処理面40に接触するブレード8先端部の両端部の同じ部分が、前記した従来の感光体表面に対する粗面化のように研磨されてしまうこと(図19b参照)もなく、長期にわたる使用のなかで磨耗することがあっても、その先端部の両端部がほぼ均一に磨耗されようになる。
【0111】
また本発明者等の研究によれば、近年、画質の更なる向上等の目的から、例えば現像剤(トナー)として平均粒径をより小径化した(例えば平均粒径を7μm以下にする)ものを使用する動向にあることが知られている。一方、クリーニングブレード8は、回転する感光ドラム3の表面における画像形成有効領域E2に接触した状態で配置され、一次転写残りトナー等の不要付着物を取り除いて清掃を行っている。この関係から、使用する現像剤がより小粒径のものになった場合には、感光ドラム3の画像形成有効領域E2の表面が端部領域E3,E4のような研磨処理面40になっていると、その小粒径の現像剤がブレード8と感光ドラム3の表面(画像形成有効領域E2)の間(主に研磨筋41等が存在する部分)からすり抜けてしまうおそれがある。
【0112】
これに対し、実施の形態1に係る感光ドラム3では、画像形成有効領域E2は端部領域E3,E4のような研磨処理がされていない(感光ドラム基材30の有効領域E2のままであり、鏡面状態又はそれに近い状態になっている)。
【0113】
このため、この感光ドラム3を使用した場合には、画像形成の際に使用する現像剤が小粒径のものになったとしてもその現像剤等がクリーニングブレード3の先端部からすり抜ける等の清掃不良が発生することがない。なお、このようなクリーニングブレード8と感光ドラム3における画像形成有効領域E2の表面との間における小粒径の現像剤のすり抜けは、帯電装置4に交流を重畳したバイアス電圧を印加する構成を採用する場合には、更に顕著に発生するおそれがある。しかし、上記した感光ドラム3を使用することで、その構成を採用した場合でも小粒径の現像剤がすり抜けることを防止することが可能になる。
【0114】
◎実験例
次に、本発明者らは、上述した製造方法によって得られる電子写真感光ドラム3の表面における端部領域E3,E4の研磨条件を確認する目的で、その製造方法によって製造された電子写真感光ドラム3を使用した画像形成装置のベンチモデルを製作し、感光ドラム3の表面の粗さ、感光ドラム3の駆動トルク、感光ドラム3の表面の顕微鏡による目視観察など、かかる感光ドラム3の表面状態などを確認する実験を行なった。
【0115】
研磨条件としては、電子写真感光ドラム基材30の端部領域E3,E4の表面に対してその軸方向Cに沿わせて2つの研磨シート201、201Bを前記構成例1の移動パターンにより例えば数十秒〜数分かけて一方向(J1)に2回移動させて研磨した場合(実験例1)と、電子写真感光ドラム基材30の端部領域E3,E4の表面に対してその軸方向Cに沿わせて研磨シート201A,201Bを前記構成例1の移動パターンにより例えば数十秒〜数分かけて往復移動させて研磨した場合(実験例2)と、電子写真感光ドラム基材30の端部領域E3,E4の表面に対してその軸方向Cに沿わせて研磨シート201A,201Bを前記構成例1の移動パターンの採用により実験例2の2倍の速度で例えば数十秒かけて往復移動させて研磨した場合(実験例3)と、比較例として、研磨しない未研磨状態(感光ドラム基材30のままの状態)の場合と、3000番の研磨シートを用いて手作業で研磨した場合を設定した。
【0116】
<表面粗さ>
図11から図13は、研磨直後の感光ドラム3の端部領域E3,E4における表面粗さを、JIS規格のB0601等における測定方法に基づいて感光ドラムの軸方向C及び周方向Dに沿って測定したときの結果を示すものである。また、図14〜図16は、前記した3000枚のA4判横送りによる画像形成を行った後の感光ドラム3の端部領域E3,E4における表面粗さを、上記測定方法と同様の方法で測定したときの結果を示すものである。
【0117】
まず、図11から図13に示す結果から以下の点が明らかである。
【0118】
はじめに、未研磨状態の電子写真感光ドラム(基材)30の端部領域E3,E4における表面は、その表面粗さが軸方向及び周方向ともに、中心線平均粗さ(Ra)で0.006μm未満となる非常に小さいものであり、鏡面状態に近い状態にあることが判る。
【0119】
また、実験例1の場合、感光ドラム3の端部領域E3,E4における周方向Dに沿った表面粗さは、未研磨状態の感光ドラム30の場合と等しい中心線平均粗さ(Ra)が0.006μm未満であるが、その軸方向Cに沿った表面粗さは、中心線平均粗さ(Ra)が0.0106μmであって0.01μmを超えており、このことから感光ドラム3の端部領域E3,E4における表面が軸方向に沿って粗面化されていることが判る。
【0120】
また、実験例2の場合、感光ドラム3の端部領域E3,E4における周方向Dに沿った表面粗さは、未研磨状態の感光ドラム30の場合と等しい中心線平均粗さ(Ra)が0.006μm未満であるが、その軸方向Cに沿った表面粗さは、中心線平均粗さ(Ra)が0.0124μmであって0.01μmを超えており、このことから感光ドラム3の端部領域E3,E4における表面が軸方向に沿って粗面化されていることが判る。
【0121】
さらに、実験例3の場合、感光ドラム3の端部領域E3,E4における周方向Dに沿った表面粗さは、未研磨状態の感光ドラム30の場合と等しい中心線平均粗さ(Ra)が0.006μm未満である。これに対し、感光ドラム3の軸方向Cに沿った表面粗さは、中心線平均粗さ(Ra)が0.0077μmであって0.01μm未満であるものの、0.01μmに近い値となっており、このことからやはり感光ドラム3の端部領域E3,E4における表面が軸方向に沿って粗面化されていることが判る。
【0122】
なお、比較例の手研磨の場合、感光ドラム3の端部領域E3,E4における周方向Dに沿った表面粗さは、未研磨状態の感光ドラム30の場合と等しい中心線平均粗さ(Ra)が0.006μm未満である。これに対し、その感光ドラム3の軸方向Cに沿った表面粗さは、中心線平均粗さ(Ra)が0.0053μmであって0.01μm未満であることから、その感光ドラム3の端部領域E3,E4における表面が軸方向に沿って粗面化されているものの、その程度が小さいことが判る。
【0123】
次に、図14から図16に示す結果から以下の点が明らかである。
【0124】
はじめに、未研磨状態の電子写真感光ドラム(基材)30の端部領域E3,E4における表面は、その軸方向Cに沿った表面の中心線平均粗さ(Ra)が0.0082μmであり、その周方向Cに沿った中心線平均粗さ(Ra)が0.0052μmであり、いずれも前記した研磨直後の初期状態のときよりも大きくなっていることがわかる。これは、画像形成工程において、転写残トナーなどがクリーニングブレード8のエッジ部によって掻き取られる際などに、感光ドラム3の端部領域E3,E4における表面を徐々に研磨して粗面化しているものと推測される。
【0125】
<表面観察>
図17は、上述した研磨直後の感光ドラム3の端部領域E3,E4における表面を光学顕微鏡により100倍並びに300倍の倍率で目視して観察したときのものを写真撮影したものである。
【0126】
図17に示す内容から明らかなように、実験例1の場合には、端部領域E3,E4の研磨処理面を構成する研磨筋が感光ドラムの周方向Dに対して一方向に傾斜した細い筋状となって形成されていることが判る。また、実験例2の場合には、端部領域E3,E4の研磨処理面を構成する研磨筋が感光ドラムの周方向Dに対して互いに交差する方向に傾斜した細い筋状となって形成されていることが判る。さらに、実験例3の場合には、端部領域E3,E4の研磨処理面を構成する研磨筋が感光ドラムの周方向Dに対して互いに交差する方向に傾斜した細い筋状となって形成されており、細い筋状の研磨筋の周方向Dに対する傾斜角度が実験例2よりも大きくなっていることが判る。
【0127】
<感光体ドラムの駆動トルク>
図18は、感光ドラム3を所定の速度(プロセススピード)で回転駆動させるモータの電流値から感光ドラムの駆動トルクを算出して測定したときの結果を示すものである。感光ドラム3としては、端部領域E3,E4の表面を複数の研磨条件で研磨処理したものをはじめ、その研磨を行わないものや手研磨を行ったものを使用した。なお、画像形成装置としては、感光ドラム3の表面にクリーニングブレード8を実際の画像形成装置の使用条件で当接させたベンチモデルを用いた。この測定は、感光ドラム3を画像形成するときの枚数に相当する分だけ空回転させることで行った。
【0128】
図18に示す結果から明らかなように、未研磨状態の感光ドラム30の場合には、初期の駆動トルクが約2.5kgf・cmであるが、画像形成が開始された段階では駆動トルクが増加して4.0kgf・cmを越える値で推移し、その途中の値が図示されていないものの、3000枚の画像形成後においては駆動トルクが約2.6kgf・cm程度まで減少していることが判る。
【0129】
また、各研磨条件で研磨処理を施した感光ドラム3の場合には、初期の駆動トルクが約1.5kgf・cm〜2.5kgf・cmと小さく、画像形成が開始された段階でも駆動トルクが約1.5kgf・cm〜3.5kgf・cmの範囲で推移しており、3000枚の画像形成後においては駆動トルクが約2.5kgf・cm〜約2.8kgf・cm程度まで減少していることが判る。
【0130】
なお、図18に示す結果から明らかなように、研磨シート201として粒子径が30μmのラッピングフィルムを用いて研磨処理をした感光ドラム3の場合には、駆動トルクが全般にわたって約1.5kgf・cm〜1.8kgf・cm程度と大幅に小さい値を示しており、これはクリーニングブレード8との摩擦抵抗が低減されていることを示していることになることから、望ましい研磨処理がされた感光ドラム3であることが判る。
【0131】
ただし、研磨シート201として粒子径が30μmのような大きい値のラッピングフィルムを用いて研磨処理をした場合には、感光ドラムの端部領域E3,E4における表面の研磨による研磨筋の凹凸も大きいことが予測され、クリーニングブレード8のエッジ部が傷つき易いとも考えられる。
【0132】
本発明者等の一連の実験では、クリーニングブレード8の磨耗(損傷)などに起因した清掃不良の発生が実験例1〜3のいずれの感光ドラム3の場合にも見られなかった。しかし、電子写真感光ドラムの端部領域E3,E4における表面を研磨する研磨シート201は、クリーニングブレード8の損傷などの発生をも考慮に入れた上で、その種類等について選択することが望ましい。
【0133】
また、実験例等で使用した感光ドラム3は、上述したようにクリーニングブレード8の感光ドラム3の表面(研磨処理面である端部領域E3,E4と画像形成有効領域E2)に接触したエッジ部がほぼ均一に摩耗することが想定されるので、清掃不良に対しても効果が得られるものと期待される。
【0134】
<帯電ロールの汚れ>
また、本発明者等は、前記した実験例で使用した各感光ドラム3(未研磨のものと手研磨のものを含む)を用いて画像形成を行い、そのときの帯電装置4の帯電ロール(感光ドラム3の表面に接触して回転するロール)の表面における汚れの状態を目視によって確認する実験を行った。なお、このときの画像形成は、現像剤として平均粒径が7μm以下の小粒径のものを使用して行った。
【0135】
その結果、未研磨の感光ドラム30の場合には、3000枚の画像形成後に帯電ロールの表面における特に感光ドラム30の端部領域E3,E4に相当する部分とその周辺部に白くトナーの外添剤が付着しているのが判った。
【0136】
また、実験例1及び2の感光ドラム3においては、3000枚の画像形成後であっても、帯電ロールの表面の汚れがその全長にわたって殆ど見られなかった。
【0137】
<電気特性や画質>
さらに、本発明者等は、感光ドラム3(30)の電気特性や画質を観察する実験を行なったが、未研磨品、研磨品ともに感光ドラムの電気特性が良好であり、またその感光ドラムを用いて画像形成装置等により画像の形成を行ったときの出力画像の画質は良好であった。
【0138】
[他の実施の形態]
感光ドラム3の層構造については、実施の形態1に例示した構成例に限定されない。例えば、被覆層32の1つである感光層34は、実施の形態1で例示した機能分離型のものに代えて、前記した電荷発生層341と電荷輸送層342の各機能を一つの層で兼ね備えた単層型の感光層を採用しても良い。また、被覆層32としての下引き層33や表面保護層35を形成しない層構造であっても構わない。
【0139】
また、プロセスカートリッジ20については、少なくとも感光ドラム3を含んでいればよい。このため、例えば、前記した帯電装置4や清掃装置7を含まない構成のプロセスカートリッジや、現像装置6などの他の構成部品を含むように構成したプロセスカートリッジとしてもよい。
【0140】
実施の形態1では、電子写真感光ドラム3を用いた画像形成装置1として、複数の作像部2(Y,M,C,K)を備えた所謂タンデム型の画像形成装置について説明したが、その画像形成装置1としては、電子写真感光ドラム3を使用して画像の形成を行うものであればよく、その形式等については特に限定されない。その他の形式の画像形成装置としては、例えば、単一の電子写真感光ドラム3を用いてその感光ドラム3の表面に順次異なる色のトナー像を形成し、それを記録媒体に直接転写する又は中間転写体を中継して転写する所謂4サイクル型の画像形成装置や、単一の電子写真感光ドラム3を用いたモノクロの画像形成装置が挙げられる。この他、実施の形態1に係る画像形成装置1においては、中間転写ベルト11を各作像部2Y、2M 、2C、2Kの下方に配置した場合について説明したが、例えば、中間転写ベルト11を各作像部2Y、2M 、2C、2Kの上方の位置に配置したものであっても勿論良い。
【符号の説明】
【0141】
1 …画像形成装置
3 …電子写真感光ドラム(電子写真感光体)
6 …現像装置
8 …クリーニングブレード(板状の清掃部材)
10…本体
20…プロセスカートリッジ(交換作像ユニット)
30…電子写真感光ドラム基材
32…被覆層
34…感光層
40…研磨処理面
41…研磨筋
201…研磨シート(研磨部材)
C …軸方向
D …周方向
E1…被覆層領域
E2…画像形成有効領域
E3,E4…端部領域
W3,W4…端部領域の軸方向の幅
K …研磨幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の電子写真感光体の表面のうち感光層を含む被覆層が形成された被覆層領域のなかで画像形成に使用し得る有効領域よりも軸方向の外側に隣接する端部領域が、前記感光体の表面の周方向と交差する方向に延びる研磨筋で構成される研磨処理面として形成されていることを特徴とする電子写真感光体。
【請求項2】
電子写真感光体として請求項1に記載の電子写真感光体を備え、前記感光体を利用して画像を形成する画像形成装置の本体に着脱自在に装着されて使用されることを特徴とする交換作像ユニット。
【請求項3】
感光層を含む被覆層が形成された被覆層領域が存在する表面を有するとともに回転する電子写真感光体と、前記感光体の表面に現像剤を供給する現像装置と、前記感光体の表面における前記被覆層領域のなかで画像形成に使用し得る有効領域と前記有効領域よりも軸方向の外側に隣接する端部領域の少なくとも1部に接触して不要付着物を除去する板状の清掃部材とを備え、
前記電子写真感光体が請求項1に記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
感光層を含む被覆層が形成された被覆層領域が存在する表面を有する円筒状の電子写真感光体基材を回転させるとともに、前記感光体基材の表面における前記被覆層領域のなかで画像形成に使用し得る有効領域よりも軸方向の外側に隣接する端部領域に当該端部領域の軸方向の幅よりも狭い研磨幅の研磨部材を接触させた後、前記研磨部材を当該感光体基材の周方向と交差する方向に移動させる研磨工程を有することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
【請求項5】
前記研磨工程は、前記電子写真感光体基材の表面における前記画像形成の有効領域よりも軸方向の外側にそれぞれ隣接する2つの端部領域に個別に接触させる前記研磨部材を、その2つの端部領域に同時に接触させた後、前記感光体基材の周方向と交差する方向に沿う同じ方向に同時に移動させる請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記研磨工程は、前記電子写真感光体基材の表面における前記画像形成の有効領域よりも軸方向の外側にそれぞれ隣接する2つの端部領域に個別に接触させる前記研磨部材を、その2つの端部領域の軸方向における外側の端部位置に同時に接触させた後、前記感光体基材の周方向と交差する方向に沿って前記外側の端部位置とは反対側になる内側の端部位置に向けて同時に移動させる請求項4に記載の製造方法。
【請求項7】
前記研磨工程は、前記電子写真感光体基材の表面における前記画像形成の有効領域よりも軸方向の外側にそれぞれ隣接する2つの端部領域に個別に接触させる前記研磨部材を、その2つの端部領域の軸方向における内側の端部位置に同時に接触させた後、前記感光体基材の周方向と交差する方向に沿って前記内側の端部位置とは反対側になる外側の端部位置に向けて同時に移動させる請求項4に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−114145(P2013−114145A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261728(P2011−261728)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】