説明

電子写真捺染方法

【課題】 平滑性の悪い布でも画像濃度が高く、高解像の画像が得られ、耐洗濯性に優れた電子写真捺染方法を提供することであり、また、捺染の作業性を大幅に効率化し、オンデマンド性を持たせた、ムダのない電子写真捺染方法を提供するものであり、更に着色剤に反応性染料を用いたときに、布との染着性が高い電子写真捺染方法を提供すること。
【解決手段】 着色剤を分散させたトナー粒子を用い、或いは体積抵抗1×10Ω・cm以上の高抵抗低誘電率の担体液中に分散された該トナー粒子を用い、電子写真方式により被捺染布に直接捺染する電子写真捺染方法において、被捺染布の王研式平滑度が1秒以上であることを特徴とする電子写真捺染方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式による捺染方法に関する。
【背景技術】
【0002】
捺染法は、糸、編織物、二次製品等色々な形態の繊維品に適用され、版形式及び機械操作によって凹版を用いるローラ捺染、孔版によるスクリーン、型紙捺染が主流である。スクリーン捺染には手工捺染、半自動スクリーン捺染機、自動走行スクリーン捺染機による捺染、フラット型及びロータリー式自動スクリーン捺染機による捺染などがある。しかし、ローラ捺染は、金属ローラに図柄を彫刻する工程が煩雑でローラの取り扱い等も大変であり、スクリーン捺染は、スクリーンの製造に時間がかかり、捺染作業に手間がかかる等の問題があった。また、ロータリー式スクリーン捺染もスクリーンの製作、ローラの彫刻等に時間がかかる等の問題があった。このように従来からの捺染法はその製作工程が煩雑で、出来上がりまで長期間費やされるため、簡便な捺染法が望まれていた。
【0003】
近年、従来の彫刻製版工程を省略し、短期間で製作が可能なインクジェットを用いた捺染方法が提案されている(特許文献1、2)。しかし、インクジェットによる捺染方式は、濃度を上げることができない、捺染していくうちに濃度が変化してしまう等の欠点があった。
【0004】
これらの問題を解決するため、電子写真方式を用いた捺染方法が最近開発されている(特許文献3、4)。この方法は、感光体上に静電潜像を形成し、トナーを付着させ、これを布類に転写し、熱によりトナーを定着させるものである。しかし、この特許文献3、4の電子写真方式による捺染方法は乾式トナーを用いたものであり、樹脂により繊維に厚く染料を付着させるため、染着処理が不要で被捺染布の平滑性が悪くても問題ない利点があるものの、トナー層厚が厚いため、肌触りが良くない、樹脂により物理的に繊維に付着させているため、摩擦堅牢度、耐洗濯特性が劣る等の問題があった。
【0005】
液体トナーを用いた電子写真方式による捺染法は、特許文献5、6等に提案されている。これは、昇華染料を用いた液体トナーをイオン流により現像し、図柄を転写物に印刷し、これを布類に重ね合せ昇華熱転写するものである。この方法は、肌触り等も自然で、簡便な方法であるが、紙からの昇華捺染のため被捺染布の平滑度は影響が少ないもののカラーの場合、2色目に重ねた濃度が出にくい、耐洗濯性に劣る等の欠点があった。また、布の裏面までトナーが染込まず、両面捺染する必要があった。加えて作業が煩雑で、布に転写後、不要になった紙(転写物)がムダになるなどの問題があった。
電子写真液体現像方式により直接捺染する方法では、捺染する転写布(被捺染布)の平滑性が悪い綿や麻などの場合、転写率が低下して、濃度が低くなる場合があった。
【0006】
【特許文献1】特開平10−195776号公報
【特許文献2】特許第2995135号公報
【特許文献3】特開平5−27474号公報
【特許文献4】特開平5−33275号公報
【特許文献5】特開平9−73198号公報
【特許文献6】特開平10−239916号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、平滑性の悪い布でも画像濃度が高く、高解像の画像が得られ、耐洗濯性に優れた電子写真捺染方法を提供することである。
また、本発明の目的は、捺染の作業性を大幅に効率化し、オンデマンド性を持たせた、ムダのない電子写真捺染方法を提供することである。
更に、本発明の目的は、着色剤に反応性染料を用いたときに、布との染着性が高い電子写真捺染方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、本発明の(1)「着色剤を分散させたトナー粒子を用い、電子写真方式により被捺染布に直接捺染する電子写真捺染方法において、被捺染布の王研式平滑度が1秒以上であることを特徴とする電子写真捺染方法」、
(2)「体積抵抗1×10Ω・cm以上の高抵抗低誘電率の担体液中に分散させた、着色剤を分散させたトナー粒子を用い、電子写真方式により被捺染布に直接捺染する電子写真捺染方法において、被捺染布の王研式平滑度が1秒以上であることを特徴とする電子写真捺染方法」、
(3)「体積抵抗1×10Ω・cm以上の高抵抗低誘電率の担体液中に分散させた、着色剤を分散させたトナー粒子を用い、電子写真方式により被捺染布に直接捺染する電子写真捺染方法において、被捺染布の平滑度が前処理剤により制御されていることを特徴とする電子写真捺染方法」、
(4)「体積抵抗1×10Ω・cm以上の高抵抗低誘電率の担体液中に分散させた、着色剤を分散させたトナー粒子を用い電子写真方式により被捺染布に直接捺染する電子写真捺染方法において、被捺染布の平滑度がキャレンダー処理により制御されていることを特徴とする電子写真捺染方法」、
(5)「前記着色剤を分散させたトナーの着色剤が、反応性染料であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(4)項の何れかに記載の電子写真捺染方法」、
(6)「前記反応性染料の純度が80〜100%であることを特徴とする前記第(5)項に記載の電子写真捺染方法」、
(7)「前記トナーが樹脂成分を含有し、樹脂の一部がアルカリ可溶性樹脂又は水溶性樹脂からなることを特徴とする前記第(1)項乃至第(6)項の何れかに記載の電子写真捺染方法」、
(8)「前記樹脂成分中のアルカリ可溶性樹脂又は水溶性樹脂の割合が10〜80wt%であることを特徴とする前記第(7)項に記載の電子写真捺染方法」、
(9)「前記樹脂成分中のアルカリ可溶性樹脂又は水溶性樹脂の、アルカリ溶液又は水に対する溶解率が20〜100%であることを特徴とする前記第(7)項又は第(8)項に記載の電子写真捺染方法」、
(10)「前記アルカリ可溶性樹脂又は水溶性樹脂の酸価が0〜2000mg/KOHであることを特徴とする前記第(7)項乃至第(9)項の何れかに記載の電子写真捺染方法」、
(11)「前記着色剤がフミン酸、フミン酸塩又はフミン酸誘導体の存在下で前記樹脂成分と混練又はフラッシング処理されていることを特徴とする前記第(1)項乃至第(10)項の何れかに記載の電子写真捺染方法」、
(12)「前記トナーの平均粒径が0.1〜5μmであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(11)項の何れかに記載の電子写真捺染方法」、
(13)「前記担体液の沸点が100〜350℃の脂肪族飽和炭化水素であることを特徴とする前記第(2)項乃至第(12)項の何れかに記載の電子写真捺染方法」、
(14)「静電潜像を感光体上に現像後、転写ローラで圧力をかけ、画像を転写させることを特徴とする前記第(1)項乃至第(13)項の何れかに記載の電子写真捺染方法」、
(15)「静電潜像を感光体上に現像し、中間転写体にトナー像を一次転写後、画像を二次転写させることを特徴とする前記第(1)項乃至第(13)項の何れかに記載の電子写真捺染方法」、
(16)「感光体の線速に対して、トナーを現像するための現像ローラの線速が1.2倍〜6倍であり、かつ過剰溶剤を除去するスクイズローラの線速が1.2〜4倍であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(15)項の何れかに記載の電子写真捺染方法」により達成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の請求項1の電子写真捺染方法において、王研式平滑度が1秒以上である布を用いて電子写真現像方式により直接捺染するため、染着性が良く高品質な捺染が得られる。
また、請求項2の電子写真捺染方法において、王研式平滑度が1秒以上である布を用いて電子写真液体現像方式により直接捺染するため、染着性が良く高品質な捺染が得られる。
また、請求項3の電子写真捺染方法において、前処理剤で処理した王研式平滑度が1秒以上である布を用いて電子写真液体現像方式により直接捺染するため、染着性が良く高品質な捺染が得られる。
また、請求項4の電子写真捺染方法において、キャレンダーで処理した王研式平滑度が1秒以上である布を用いて電子写真液体現像方式により直接捺染するため、染着性が良く高品質な捺染が得られる。
また、請求項5の電子写真捺染方法により、着色剤が反応性染料であるため、天然繊維に対して染着性が良く堅牢度が高い捺染が得られる。
また、請求項6の電子写真捺染方法により、反応性染料の純度が80〜100%であるため、請求項5の効果に加えて更に天然繊維に対して染着性が良く堅牢度が高い捺染が得られる。
また、請求項7の電子写真捺染方法により、トナー樹脂の一部がアルカリ可溶性樹脂又は水溶性樹脂とからなるため、染着性が良く高品質な捺染が得られる。
また、請求項8の電子写真捺染方法により、樹脂成分中のアルカリ可溶性樹脂又は水溶性樹脂の割合が10〜80wt%であるため、染着性が良く高品質な捺染が得られる。
また、請求項9の電車新捺染方法により、アルカリ可溶性樹脂又は水溶性樹脂の、アルカリ溶液又は水に対する溶解率が20〜100%であるため、染着性が良く高品質な捺染が得られる。
また、請求項10の電子写真捺染方法により、アルカリ可溶性又は水溶性樹脂の酸価が0〜2000mg/KOHであるため、染着性が良く高品質な捺染が得られる。
また、請求項11の電子写真捺染方法により、着色剤がフミン酸、フミン酸塩又はフミン酸誘導体の存在下で前記樹脂成分と混練又はフラッシング処理されているため、高品質な捺染が得られる。
また、請求項12の電子写真捺染方法により、トナーの平均粒径が0.1〜5μmであるため、染着性が良く高品質な捺染が得られる。
また、請求項13の電子写真捺染方法により、トナー担体液の沸点が100〜350℃の脂肪族飽和炭化水素であるため、高品質な捺染が得られる。
また、請求項14の電子写真捺染方法により、静電潜像を感光体上に現像後、転写ローラで圧力をかけ、画像を転写させるため、高品質な捺染が得られる。
さらに、請求項15の電子写真捺染方法により、中間転写体にトナー像を1次転写後、画像を2次転写させるため高品質な捺染が得られる。
さらにまた、請求項16の電子写真捺染方法により、感光体の線速に対して現像ローラの線速が1.2倍〜6倍、かつスクイズローラの線速が1.2〜4倍であるため、高品質の捺染が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、着色剤を分散させたトナー粒子を電子写真方式により被捺染布に直接捺染する電子写真捺染方法において、被捺染布の王研式平滑度が1秒以上であることを特徴とする電子写真捺染方法に関するものである。
特に、体積抵抗1×10Ω・cm以上高抵抗低誘電率の担体液中に分散させた、着色剤を分散させたトナー粒子を用い、電子写真方式により被捺染布に直接捺染する電子写真捺染方法において、被捺染布の王研式平滑度が1秒以上であることを特徴とする電子写真捺染方法に関するものである。
【0011】
電子写真方式の場合、感光体、あるいは中間転写体上の画像を転写基材に転写し画像を形成させるが、転写基材の平滑性が悪いとその凸部だけに画像が転写され、凹部には転写されないため、転写率が悪く、濃度が低くなる場合がある。
特に、本発明のように転写基材が布の場合は、紙などの場合よりも平滑性が悪い場合が多く、布種類によっても大きく異なる。
特に、綿や麻などの天然繊維の場合はその表面性が悪い。
本発明の転写基材である被捺染布の王研式平滑度を1秒以上にすることにより、転写性を上げ、高い画像濃度を得ることができる。
【0012】
平滑度を1秒以上にするには、前処理剤によりコーティング処理する方法がある。
前処理剤は、一般的に捺染で用いられるものが使え、以下のようなものが挙げられる。
アルギン酸ソーダ、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、グリセリン、トラガンドゴム、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルホルマール、ローカストビンゴム、水溶性ウレタン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、水溶性アクリル樹脂、シリカ、ゼラチン、Mg、Ca、Ba、ハロゲン化物、NaSO、NaCl、KCl、NaCO、NaHCO、KCO、多孔性嵩高微粒子、ポリアミン類、カチオン活性剤、ノニオン活性剤、アニオン活性剤、4級アンモニウムポリマー、クレー、タルク、カオリン、アルミナ、ゼオライト、ケイ酸アルミニウム、チタンホワイトなどが挙げられる。
特に、後工程の水洗、ソーピング工程で除去できるものが望ましい。
【0013】
また、キャレンダー処理により平滑度を1秒以上にすることができる。
この場合、処理圧は10〜60kg/cmが良好である。
【0014】
本発明において、トナーの着色剤は反応性染料が好ましい。
該反応性染料は、全てのタイプが使用可能であるが、クロルトリアジン系、ビニルスルホン系が良好である。
具体例としては、C.I.リアクティブイエロー2,15,37,42,76,95 C.I.リアクティブレッド21,22,24,33,45,111,112,114,180,218,226 C.I.リアクティブブルー 15,19,21,38,49,72,77,176,203,220 C.I.リアクティブブラック5,8,31,39等が挙げられる。
【0015】
転写基材である被捺染布としては、ポリエステル、アセテート、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ビニロン、アクリル、コットン、麻、ナイロン、絹、レーヨン、羊毛などの繊維からなる布地が使用できる。
該被捺染布はこれらの反応性染料と反応できるOH基、NH基、SH基等の官能基を持っていることが好ましい。
このような被捺染布としては、綿、麻等の天然繊維などが使用できる。
【0016】
クロルトリアジン系及びビニルスルホン系の反応性染料の転写基材との反応例は以下のようなものがある(Dは染料母体)。
(クロルトリアジン系)
【0017】
【化1】

(ビニルスルホン系)
【0018】
【化2】

【0019】
一般には市販の粉体染料は、染料純度50%程度で、食塩、芒硝が多量に入っている場合が多く、トナーにした場合、抵抗、帯電性に悪影響を与えるため、精製するか、初めから塩類含有量の少ない染料を用いたほうが、良好である。純度80%以上が望ましい。
【0020】
また、トナーの帯電特性を安定化させるために、必要最低限の樹脂成分を添加したほうが好ましい。染料/樹脂の割合は3/7〜9/1が望ましい。
添加する樹脂成分は、ポリオレフィン樹脂やポリエスエル樹脂が良好である。特にこれらの樹脂にアルカリ可溶性、水溶性樹脂をブレンドしたものは、基材に反応させる工程で、水蒸気やアルカリを用いる場合に反応性が高まり、より好ましい。
【0021】
アルカリ可溶性樹脂又は水溶性樹脂の、アルカリ水溶液に対する溶解率は20%以上あれば反応性は向上する。50%以上であれば更に望ましい。
溶解率は以下のようにして求められる。
0.5%NaOH水溶液100gとアルカリ可溶性樹脂又は水溶性樹脂10gを混合し、100℃で10分間加熱する。
その後、5μmフィルターでろ過し、フィルター残さを乾燥し計量して、下記式により算出する。
【0022】
【数1】

【0023】
アルカリ可溶性樹脂又は水溶性樹脂の全樹脂成分に対する割合は10〜80wt%が望ましい。更に望ましくは30〜70wt%である。アルカリ可溶樹脂又は水溶性樹脂以外のポリオレフィン樹脂やポリエステル樹脂分が少ないとトナーの帯電性が低下し、アルカリ可溶性樹脂又は水溶性樹脂分が少ないと反応性が低下する。
【0024】
アルカリ可溶性樹脂又は水溶性樹脂以外の樹脂は一般的な樹脂が使用可能であるが、特にポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂が良好である。
ポリオレフィン樹脂としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体では、三井・デュポンポリケミカル(株)製エバフレックスシリーズ、例えば45X,Y-W,150,210,220,250,260,310,360,410,420,450,460,550,560 等、
東洋曹達工業(株)製ウルトラセン・シリーズ、例えば510X,515F,530,537,537L,537S,525,520F,540,540F,541,541L,625,630,630F,682,627,631,633,680,681,635,634,710,720,722,725,751,750,760等、
住友化学工業 (株)製スミテート・シリーズ、例えばDD-10,HA-20,HC-10,HE-10,KA-10,KA-20,KA-31,KC-10,KE-10,MB-11,RB-11 等、
日本合成工業(株)ソアグレン・シリーズ、例えばBH,CH,CI,DH等、
同ソアレックスシリーズ、例えばRBH,RCH,RDH等、
武田薬品工業(株)デュミラン・シリーズ、例えばデュミランD-219、D-229、D-251S、C-2280、C-2270、C-1590、C-1570、C-1550等、
三菱油化(株)製ユカロン−エバ、
米国デュポン社製エルパックス、
等が挙げられる。
その他、低分子量タイプは三井化学(株)のハイワックス720P、410P、420P、320P、210P、220P、110P、4202E、
【0025】
ポリオレフィン樹脂を変性しカルボキシル基を導入したものは、日本石油化学(株)製Nポリマー、
東燃石油化学(株)製東燃CMP−HAシリーズ、
三菱油化(株)製MODIC、
製鉄化学工業(株)製ザイクセン、
三井東圧化学(株)製ロンプライ、
三井石油化学工業(株)製アドマー等、
また、エチレンとアクリル酸との共重合体では、ダウケミカル社製ダウEAAコポリマー、
三菱油化(株)ユカロンEAA、
三井・デュポンポリケミカル(株)ニュクレル、
住友化学(株)アクリフト等、
更に、エチレンとアクリル酸又はメタアクリル酸との共重合体、或いは更にそれらを架橋させた所謂アイオノマーでは米国デュポン社製サーリン、
三井・デュポンポリケミカル(株)製ハイミラン、
旭ダウ(株)製コーボレンラテックス等、
BASF(株)EVA1ワックス添加、
また、エチレンとアクリル酸エステルとの共重合体では日本ユニカー(株)製DPD−6169等、
更に、カルボキシル性のカルボニル基を含有するポリオレフィン系樹脂等を挙げることができる。
【0026】
ポリエステル樹脂は多価アルコール成分と多価塩基酸成分との重縮合により得られる。
多価アルコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール等のプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等のブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール等のヘキサンジオール等のアルキレングリコール(脂肪族グリコール)及びこれらのアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノール等のビスフェノール類及びこれらのアルキレンオキサイド付加物のフェノール系グリコール類、単環或いは多環ジオール等の脂環式及び芳香族ジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン等のトリオール等が挙げられる。
【0027】
多価塩基酸成分としては、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸及びその変性酸(例えば、ヘキサヒドロ無水フタル酸)、イソフタル酸、テレフタル酸等の飽和又は不飽和の2価塩基酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、メチルナディック酸等の3官能以上の飽和多価塩基酸等が挙げられる。
またこれら多価塩基酸成分としては、これらの酸無水物、低級アルキルエステル等が挙げられる。
【0028】
150℃〜300℃程度の温度下でこれら多価アルコール成分と多塩基酸成分を重縮合することにより、ポリエステル樹脂が得られる。反応促進のためにエステル化触媒を用いてもよい。エステル化触媒としては、テトラブチルジルコネート、ジルコニウムナフテネート、テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、しゅう酸第1スズ/酢酸ナトリウム(3/1)のような金属有機化合物等を使用できる。
【0029】
ポリエステル樹脂のメルトインデックスを制御するためには、重合温度、反応系圧力、反応時間等を調整し、酸価を制御するためには、反応させるカルボン酸成分とアルコール成分とのモル比、重合体の分子量等を調整する。
【0030】
市販のポリエステル樹脂としては、三菱レイヨン製のダイヤクロンシリーズ、東洋紡製のバイロン290、バイロン200、バイロン280、バイロン300、バイロン103、バイロンGK−140、バイロンGK−130、花王製のアトラックシリーズ、タフトンNE−382、タフトンU−5、ATR−2009、ATR−2010、ユニチカ製のエリーテルUE3500、UE3210、XA−8153、日本合成化学製のポリエスターTP−220、R−188等が挙げられる。
【0031】
また、アルカリ可溶性樹脂又は水溶性樹脂は、水溶性メラミン樹脂、水溶性ロジン変性樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、水溶性アクリル樹脂、水溶性エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ソーダ、コラーゲン、ゼラチン、デンプン、キトサン等がある。
商品としては、クラレ社製ポバール(PVA)、イソバン(イソブチレン/マレイン酸樹脂)、ハリマ化成製ネオトール、ハリディプ(アルキッド樹脂、アクリル樹脂)、日本合成化学社製エコアティ(PVA)、ナガセケムテックス社製デコナール(エポキシ樹脂)、日本純薬社製ジュリアー(アクリル樹脂)、カブセン(ポリエステル樹脂)などが挙げられる。
【0032】
酸価は0〜2000mg/KOHであることが望ましく、2000mg/KOHより高いと現像特性が低下する。
【0033】
特に、アルカリ可溶性樹脂又は水溶性樹脂、着色剤をフラッシング処理した場合は画像面で優れたトナーが得られる。
フラッシング処理とは、色素を水に溶かした含水液に、更に樹脂分散媒を加え、フラッシャーと呼ばれるニーダー中で良く混合し、顔料のまわりに存在する水を後から添加される樹脂分散媒によって置換する処理をいう。
この操作により取出される水を排出し、樹脂溶液中に顔料が分散された状態とし乾燥させて、溶剤を除去し、得られた塊を粉砕することにより着色剤の粉末が得られる。
フラッシングする際の着色剤と樹脂の割合は、樹脂100重量部に対して着色剤10〜60重量部が適当である。フラッシング処理には、フミン酸、フミン酸塩(Na塩、NH塩など)またはニトロフミン酸などのフミン酸誘導体の存在下に行うのが特に有利である。これら添加されるフミン酸類の量は、着色剤含水液の0.1〜30wt%程度が適当である。
フミン酸、フミン酸塩、フミン酸誘導体の構造はスフェロコロイド状で各種芳香環が架橋結合し、複雑な構造を形成している。これらの骨格に各種の側鎖や活性基が結合している。活性基の主なものはカルボキシル基およびフェノール基である。構造式としては、C7852(COOH)(OH)(CO)、C484410(COOH)(OH)(CO)(NH(NOH)等がある。これらの効果としては、金属紛、着色剤、樹脂の分散を高めることである。
【0034】
本発明の液体トナーに使用される担体液としては、高抵抗で低誘電率のものが良く、体積抵抗1×10Ω・cm以上の高抵抗低誘電率のものを用いる。例えば、イソパラフィン、シリコーンオイル、ポリアルファオレフィンが良好である。イソパラフィン系炭化水素は、アイソパーC、アイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーM、アイソパーV(エクソン化学)などがあり、シリコーン系オイルとしては、KF96 1〜10000cst(信越シリコン)、SH200、SH344(東レシリコン)、TSF451(東芝シリコン)などがある。ポリアルファオレフィンはSHF−20、SHF−21、SHF−23、SHF−41、SHF−61、SHF−63、SHF−82、SHF−83、SHF−101、SHF−403、SHF−1003、supersyn2150、supersyn2300、supersyn21000、supersyn23000(以上エクソンモービル社製)などが挙げられる。
【0035】
沸点は100〜350℃が望ましい。100℃未満であると転写前に溶媒が揮発しやすく転写性向上の効果が低減したり、臭気、安全性の点や、揮発溶剤蒸気が作業者にとって好ましくない。350℃を超えたものでは、溶剤が揮発しにくく、発色工程で溶剤が除去できず発色特性に問題が生じる。350℃以下であれば、後工程の加熱、スチーミングの段階で蒸発させることができる。
【0036】
また、本発明に併用することが好ましい分散用の樹脂としては
【0037】
【化3】


(式中、RはHまたはCHを、nは6〜20の整数を表わす。)
で表わされるビニルモノマーAと
【0038】
【化4】


(式中RはHまたはCHを、R2は炭素数が1〜4のアルキル基を表わす。)
で表わされるビニルモノマー、及びビニルピリジン、ビニルピロリドン、エチレングリコールジメタクリレート、スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエンより選ばれるモノマーBの各一種ずつ、もしくは数種の共重合体や、グラフト共重合体が挙げられる。
【0039】
また、トナーの平均粒径は0.1〜5μmが望ましく、0.1μm未満では、十分な濃度が得られない場合やニジミが発生しやすくなる場合があり、5μmを超えると、色彩、解像性が悪くなる場合がある。
【0040】
次に、図1〜図3に基づいて、本発明の電子写真捺染方法において用いる装置について具体的に説明する。
図1は、本発明の電子写真捺染方法のための装置の一例である。帯電電圧付与部材により、感光体に電荷を与え、露光により非画像部の電荷を消去する。感光体はセレン感光体、有機感光体、アモルファスシリコン感光体等が使用できる。感光体の表面電位は、400V〜1600Vの範囲が良好である。感光体の電荷の残っている潜像を現像ローラから供給される例えば液体現像剤により現像し、スクイズローラで余剰の現像液(液体現像剤)を除去し、転写電圧付与部剤によりトナーの電荷と逆電荷の電圧をかけ被捺染布に転写させる。
現像ローラは感光体と順方向に回転し、スクイズローラは逆方向に回転させる。
現像ローラと感光体のギャップは50〜250μm、スクイズローラのギャップは30〜150μmが良好である。転写電圧は500〜4000Vの範囲が良好である。
布に転写されずに感光体に残ったトナーをクリーニングブレード、クリーニングローラで除去後、感光体を除電する。
また、画像部の電荷を消去し非画像部の電荷を残す現像方式でも同様に画像形成できる。
【0041】
図2は、図1の転写電圧付与部材をチャージャー方式からローラ方式にした装置の例である。チャージャー方式に比べ転写時の圧力を付与できるため、表面性の荒れた凹凸の大きい布の場合でも転写性が良好である。転写圧は0.1〜3kg/cmが良好である。
【0042】
図3は、図2の装置に中間転写部材を追加した装置の例である。図2の装置よりもさらに高い転写圧力を付与できるため、表面性の荒れた凹凸の大きい布の場合でも転写性が良好である。二次転写圧は0.1〜20kg/cmが良好である。なお、一次転写圧は0.1〜3kg/cmが良好である。ただ、中間転写部材への一次転写時にトナー中の溶媒成分が少なくなり、中間転写部材から布への二次転写に必要な溶媒量が少なくなる場合があるため、二次転写前に中間転写部材に溶媒を吹きかける工程を追加すると効果的である。
【0043】
本発明の転写圧は、図1の装置の場合は軽い接触で転写させるため、0.1kg/cm以下が適性である。
図2の装置は転写ローラで圧力をかけるため、前記したように0.1〜3kg/cmが好ましい。0.1kg/cm未満では転写性が低下し、3kg/cmを超えると感光体や感光体軸に負担がかかり装置の耐久性に影響がでる。
図3の装置では前記したように二次転写圧は0.1〜20kg/cmが好ましい。中間転写部材があるため転写圧を上げても装置の耐久性には余裕度が出るが、転写溶媒が減少するため転写圧を高める必要があったり、溶媒を吹きかけたりする必要が生じる。なお、前記したように、一次転写圧は0.1〜3kg/cm好ましい。
感光体に現像後、転写ローラで0.1〜3kg/cmの圧力をかけ転写した場合、平滑性の悪い転写紙や捺染の場合は転写性が向上し、高濃度の画像を形成できる。
【0044】
また、中間転写体を用いて転写する場合も、更に高い圧力がかけられるため転写性が向上する。しかし、前記したように中間転写体を用いない場合よりも転写時の溶媒量が少なくなるため、捺染の場合は、2次転写前に中間転写体上に脂肪族炭化水素やシリコーンオイル等の溶媒を吹き付け転写に必要な溶媒量を確保することが望ましい。
吹き付け量は0.20〜0.70mg/cm程度が良好である。
【0045】
また、捺染の場合、濃度を向上のためには現像付着量を上げたり、あるいは、現像後リバースローラの溶剤スクイズ量を少なくすることにより、感光体上の現像液量を多くして布への溶剤染込み量を増やすと効果がある。
【0046】
さらに、感光体の線速に対して、現像ローラの線速が1.2倍〜6倍、スクイズローラの線速が1.2〜4倍が好ましく、より望ましくは、現像ローラの線速が2倍〜4倍、スクイズローラの線速が2〜3倍で表面濃度、裏面濃度は高くなる。
前記したように、現像ローラと感光体のギャップは50〜250μm、現像ローラとスクイズローラのギャップは30〜150μmが良好である。
【0047】
着色剤、樹脂、担体液をボールミル、キティーミル、ディスクミル、ピンミルなどの分散機に投入、分散、混練を行ない濃縮トナーを調製し、これを本発明の担持液中に分散させることによりトナーを分散させた液体現像剤を得ることができる。
また、本技術はそのまま担体液を含まない乾式トナーとしても応用できる。
乾式トナーは着色剤、樹脂、帯電制御剤を混合し、ブスコニーダなどの混練機で混練後、粗粉砕、微粉砕し所定の粒径になるように粗紛、微紛をカットして得られる。
帯電制御剤はナフテン酸ジルコニウム、オクチル酸ジルコニウム、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸銅、ナフテン酸亜鉛等の金属セッケンやレシチン、アマニ油などが使用できる。
【実施例】
【0048】
次に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。なお「部」及び「%」は、いずれも重量基準である。
【0049】
(実施例1)
モノクロルトリアジン系反応性染料(チバケミカル Cibacron Red P-6B) 60部
ラウリルメタアクリレート/メチルメタアクリルレート/メタクリル酸/グリシジルメタアクリレート(モル比:80/10/5/5)共重合体のアイソパーH20%溶液
240部
アイソパーH 190部
荷電制御剤(ナフテン酸ジルコニウム) 3部
をボールミルに入れて24時間分散後、さらにアイソパーHを300部加え、1時間分散し、これを濃縮トナーとした。
濃縮トナー100gをアイソパーH 1Lに希釈して現像剤とした。
転写布(被捺染布)はカルボキシメチルセルロースを綿に前処理したものを用いた。平滑度は2秒であった。
【0050】
(実施例2)
モノクロルトリアジン系反応性染料(日本化薬 Kayacion Turq.P-3GF) 55部
ラウリルメタアクリレート/メチルメタアクリルレート/メタクリル酸/グリシジルメタアクリレート(モル比:80/10/5/5)共重合体のアイソパーH20%溶液
150部
ポリオレフィン樹脂(エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂)
(エバフレックス)(三井・デュポン) 80部
アイソパーH 190部
荷電制御剤(ナフテン酸ジルコニウム) 3部
をボールミルに入れて24時間分散後、さらにアイソパーHを300部加え、1時間分散し、これを濃縮トナーとした。
濃縮トナー100gをアイソパーH 1Lに希釈して現像剤とした。
転写布はアルギン酸ナトリウムを綿に前処理したものを用いた。平滑度は1.5秒であった。
【0051】
(実施例3)
モノクロルトリアジン系反応性染料(日本化薬 Kayacion Turq.P-3GF) 50部
ラウリルメタアクリレート/メチルメタアクリルレート/メタクリル酸/グリシジルメタアクリレート(モル比:80/10/5/5)共重合体のアイソパーG 20%溶液
110部
ポリオレフィン樹脂(エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂)(エバフレックス)
(三井・デュポン) 50部
水溶性樹脂 ポバール(PVA)(クラレ) 60部
アイソパーG 180部
荷電制御剤(ナフテン酸ジルコニウム) 3部
をボールミルに入れて24時間分散後、さらにアイソパーGを300部加え、1時間分散し、これを濃縮トナーとした。
濃縮トナー100gをアイソパーH 1Lに希釈して現像剤とした。
転写布は綿を20kg/cmの圧力でキャレンダー処理したものを用いた。平滑度は2秒であった。
【0052】
(実施例4)
モノクロルトリアジン系反応性染料(日本化薬Kayacion Black) 50部
ポリオレフィン樹脂(エチレン・メタクリル酸共重合樹脂)(ニュクレル)
(三井・デュポン) 40部
水溶性樹脂 カブセン(水溶性ポリエステル)(ナガセケムテックス) 70部
を、混練粉砕した。
上記混練粉砕物 90部
ラウリルメタアクリレート/メチルメタアクリルレート/メタクリル酸/グリシジルメタアクリレート(モル比:80/10/5/5)共重合体のアイソパーL20%溶液
120部
アイソパーL 200部
荷電制御剤(ナフテン酸ジルコニウム) 2部
をボールミルに入れて24時間分散後、さらにアイソパーL350部加え、1時間分散し、これを濃縮トナーとした。
濃縮トナー100gをアイソパーL 1Lに希釈して現像剤とした。
転写布は綿を50kg/cmの圧力でキャレンダー処理したものを用いた。平滑度は2.5秒であった。
【0053】
(実施例5)
モノクロルトリアジン系反応性染料(日本化薬 Kayacion Yellow P-7G) 50部
ポリオレフィン樹脂(エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂)(エバフレックス)
(三井・デュポン) 20部
水溶性樹脂 ハリディブ(水溶性アルキド樹脂)(ハリマ化成) 80部
ニトロフミン酸 3部
を、ニーダ混練、フラッシング処理した。
上記フラッシング混練物 70部
ラウリルメタアクリレート/メチルメタアクリルレート/メタクリル酸/グリシジルメタアクリレート(モル比:80/10/5/5)共重合体のポリアルファオレフィン(SHF−21)20%溶液 100部
ポリアルファオレフィン(SHF−21) 250部
荷電制御剤(ナフテン酸ジルコニウム) 5部
をボールミルに入れて24時間分散後、さらにSHF−21を250部加え、1時間分散し、これを濃縮トナーとした。
濃縮トナー100gをSHF−21 1Lに希釈して現像剤とした。
転写布は絹を30kg/cmの圧力でキャレンダー処理したものを用いた。平滑度は4秒であった。
【0054】
(実施例6)
実施例1のモノクロルトリアジン系反応性染料(チバケミカル Cibacron Red P-6B)を純度95%に精製して用いた以外は、実施例1と同一にして濃縮トナーを作成した。
濃縮トナー100gをアイソパーH 1Lに希釈して現像剤とした。
転写布はカルボキシメチルセルロースを綿に前処理したものを用いた。平滑度は2秒であった。
【0055】
(実施例7)
モノクロルトリアジン系反応性染料(チバケミカル Cibacron Red P-6B) 40部
ポリオレフィン樹脂(エチレン・メタクリル酸共重合樹脂)(ニュクレル)
(三井・デュポン) 5部
水溶性樹脂 カブセン(水溶性ポリエステル)(ナガセケムテックス) 95部
を、混練粉砕した。
上記混練粉砕物 90部
ラウリルメタアクリレート/メチルメタアクリルレート/メタクリル酸/グリシジルメタアクリレート(モル比:80/10/5/5)共重合体のアイソパーH20%溶液
120部
アイソパーH 200部
荷電制御剤(ナフテン酸ジルコニウム) 2部
をボールミルに入れて24時間分散後、さらにアイソパーHを350部加え、1時間分散し、これを濃縮トナーとした。
濃縮トナー100gをアイソパーH 1Lに希釈して現像剤とした。
転写布はカルボキシメチルセルロースを綿に前処理したものを用いた。平滑度は2秒であった。
【0056】
(実施例8)
モノクロルトリアジン系反応性染料(チバケミカル Cibacron Red P-6B) 40部
ポリオレフィン樹脂(エチレン・メタクリル酸共重合樹脂アイオノマー)
(ハイミラン)(三井・デュポン) 95部
水溶性樹脂 カブセン(水溶性ポリエステル)(ナガセケムテックス) 5部
を、混練粉砕した。
上記混練粉砕物 90部
ラウリルメタアクリレート/メチルメタアクリルレート/メタクリル酸/グリシジルメタアクリレート(モル比:80/10/5/5)共重合体のアイソパーH20%溶液
120部
アイソパーH 200部
荷電制御剤(ナフテン酸ジルコニウム) 2部
をボールミルに入れて24時間分散後、さらにアイソパーHを350部加え、1時間分散し、これを濃縮トナーとした。
濃縮トナー100gをアイソパーH 1Lに希釈して現像剤とした。
転写布はカルボキシメチルセルロースを綿に前処理したものを用いた。平滑度は2秒であった。
【0057】
(実施例9)
モノクロルトリアジン系反応性染料(チバケミカル Cibacron Red P-6B) 30部
ポリオレフィン樹脂(エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂)
(デュミラン)(武田薬品) 30部
水溶性樹脂 カブセン(水溶性ポリエステル)(ナガセケムテックス) 30部
CCA(サリチル酸誘導体の金属錯体) 3部
を混練粉砕し乾式トナーを得た。
転写布は綿を20kg/cmの圧力でキャレンダー処理したものを用いた。平滑度は2秒であった。
【0058】
実施例1〜8の現像剤、及び転写布を用い、図2の装置で布に捺染を行なった。また実施例9の乾式トナーは、乾式複写機で転写布に捺染を行なった。それぞれの捺染後の転写布にケイ酸ナトリウム(NaO・SiO)(濃度3%)塗布後100℃、10分間の蒸熱処理を行ない、水洗、ソーピングを行なった。評価結果を表1に示す。
【0059】
(比較例1〜9)
実施例1〜9のトナーを用い、転写布としては前処理を行っていない布(平滑度はそれぞれ表1に示す)を用いる以外は実施例1〜9と同様に捺染を行なった。
評価結果は次の表1のとおりであった。
【0060】
【表1】

【0061】
評価方法及び評価基準を下記に示す。
・画像濃度はX−Riteにより測定した。
・解像力はタケノコチャートによりラインが判別できる点とした。
・にじみ、ベタ均一性は、段階見本による5段階評価を行なった。
(ランク5:最良、ランク1:悪)
・平均粒径は島津SA−CP3にて測定した。
・平滑度は熊谷理機工業(株)王研式平滑度試験機にて測定した。
・転写率はテープ剥離法による濃度から、下記式により算出した。
【0062】
【数2】

【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の電子写真捺染方法のための装置の一例を示した図である。
【図2】本発明の電子写真捺染方法のための装置の別の例を示した図である。
【図3】本発明の電子写真捺染方法ための装置の更に別の例を示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤を分散させたトナー粒子を用い、電子写真方式により被捺染布に直接捺染する電子写真捺染方法において、被捺染布の王研式平滑度が1秒以上であることを特徴とする電子写真捺染方法。
【請求項2】
体積抵抗1×10Ω・cm以上の高抵抗低誘電率の担体液中に分散させた、着色剤を分散させたトナー粒子を用い、電子写真方式により被捺染布に直接捺染する電子写真捺染方法において、被捺染布の王研式平滑度が1秒以上であることを特徴とする電子写真捺染方法。
【請求項3】
体積抵抗1×10Ω・cm以上の高抵抗低誘電率の担体液中に分散させた、着色剤を分散させたトナー粒子を用い、電子写真方式により被捺染布に直接捺染する電子写真捺染方法において、被捺染布の平滑度が前処理剤により制御されていることを特徴とする電子写真捺染方法。
【請求項4】
体積抵抗1×10Ω・cm以上の高抵抗低誘電率の担体液中に分散させた、着色剤を分散させたトナー粒子を用い電子写真方式により被捺染布に直接捺染する電子写真捺染方法において、被捺染布の平滑度がキャレンダー処理により制御されていることを特徴とする電子写真捺染方法。
【請求項5】
前記着色剤を分散させたトナーの着色剤が、反応性染料であることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の電子写真捺染方法。
【請求項6】
前記反応性染料の純度が80〜100%であることを特徴とする請求項5に記載の電子写真捺染方法。
【請求項7】
前記トナーが樹脂成分を含有し、樹脂の一部がアルカリ可溶性樹脂又は水溶性樹脂からなることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の電子写真捺染方法。
【請求項8】
前記樹脂成分中のアルカリ可溶性樹脂又は水溶性樹脂の割合が10〜80wt%であることを特徴とする請求項7に記載の電子写真捺染方法。
【請求項9】
前記樹脂成分中のアルカリ可溶性樹脂又は水溶性樹脂の、アルカリ溶液又は水に対する溶解率が20〜100%であることを特徴とする請求項7又は8に記載の電子写真捺染方法。
【請求項10】
前記アルカリ可溶性樹脂又は水溶性樹脂の酸価が0〜2000mg/KOHであることを特徴とする請求項7乃至9の何れかに記載の電子写真捺染方法。
【請求項11】
前記着色剤がフミン酸、フミン酸塩又はフミン酸誘導体の存在下で前記樹脂成分と混練又はフラッシング処理されていることを特徴とする請求項1乃至10の何れかに記載の電子写真捺染方法。
【請求項12】
前記トナーの平均粒径が0.1〜5μmであることを特徴とする請求項1乃至11の何れかに記載の電子写真捺染方法。
【請求項13】
前記担体液の沸点が100〜350℃の脂肪族飽和炭化水素であることを特徴とする請求項2乃至12の何れかに記載の電子写真捺染方法。
【請求項14】
静電潜像を感光体上に現像後、転写ローラで圧力をかけ、画像を転写させることを特徴とする請求項1乃至13の何れかに記載の電子写真捺染方法。
【請求項15】
静電潜像を感光体上に現像し、中間転写体にトナー像を一次転写後、画像を二次転写させることを特徴とする請求項1乃至13の何れかに記載の電子写真捺染方法。
【請求項16】
感光体の線速に対して、トナーを現像するための現像ローラの線速が1.2倍〜6倍であり、かつ過剰溶剤を除去するスクイズローラの線速が1.2〜4倍であることを特徴とする請求項1乃至15の何れかに記載の電子写真捺染方法。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−47483(P2006−47483A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−225616(P2004−225616)
【出願日】平成16年8月2日(2004.8.2)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】