説明

電子写真用帯電部材

【課題】 支持体、弾性層、表面層を有する構成の電子写真の帯電部材において、表面層の塗工ムラおよび、通電劣化を少なくする。
【解決手段】 支持体、該支持体上に形成された導電性弾性層、および、該導電性弾性層上に形成された表面層を有する帯電部材において、該表面層が、少なくとも
(I)オキシアルキレン基を有するポリシロキサン
および
(II)ヘテロ原子含有導電性ポリマーを含有する
ことを特徴とする帯電部材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電部材、ならびに、帯電部材を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置に関する。
【背景技術】
【0002】
帯電部材は図2に示すようにローラー形状が一般的である、導電性支持体2aと、その外周に一体に形成された弾性層2bと該弾性層の外周に被覆形成された表面層2cから構成されている。
【0003】
導電性支持体2aは、鉄、銅、ステンレス、アルミニウム及びニッケル等の金属材料の丸棒を用いることができる。更に、これらの金属表面に防錆や耐傷性付与を目的としてメッキ処理を施してもよい。
【0004】
弾性層2bは被帯電体としての電子写真感光体に対する給電や、電子写真感光体1に対する良好な均一密着性を確保するために適当な導電性と弾性を持たせてある。また、帯電ローラー2と電子写真感光体1の均一性密着性を確保するために弾性層2bを研磨によって中央部を一番太く、両端部に行くほど細くなる形状、いわゆるクラウン形状に形成することが好ましい。一般に使用されている帯電ローラー2が、支持体2aの両端部に所定の押圧力を与えて電子写真感光体1と当接されているので、中央部の押圧力が小さく、両端部ほど大きくなっているために、帯電ローラー1の真直度が十分であれば問題ないが、十分でない場合には中央部と両端部に対応する画像に濃度ムラが生じてしまう場合がある。クラウン形状は、これを防止するために形成する。
【0005】
弾性層2bの導電性は、ゴム等の弾性材料中にカーボンブラック、グラファイト及び導電性金属酸化物等の電子伝導機構を有する導電剤、及びアルカリ金属塩や四級アンモニウム塩等のイオン伝導機構を有する導電剤を適宜添加することにより1010Ωcm未満に調整されるのがよい。弾性層2bの具体的な弾性材料としては、例えば、天然ゴム、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、シリコンーンゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)及びクロロプレンゴム(CR)等の合成ゴム、更にはポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂及びシリコーン樹脂等も挙げられる。
【0006】
直流電圧のみを印加して、被帯電体の帯電処理を行う帯電部材においては、帯電均一性を達成するために、特に中抵抗の極性ゴム(例えば、エピクロルヒドリンゴム、NBR、CR及びウレタンゴム等)やポリウレタン樹脂を弾性材料として用いられる。これらの極性ゴムやポリウレタン樹脂は、ゴムや樹脂中の水分や不純物がキャリアとなり、僅かではあるが導電性をもつと考えられ、これらの導電機構はイオン伝導であると考えられる。但し、これらの極性ゴムやポリウレタン樹脂に導電剤を全く添加しないで弾性層を作成し、得られた帯電部材は低温低湿環境(L/L)において、抵抗値が高くなり1010Ωcm以上となってしまうものもあるため帯電部材に高電圧を印加しなければならなくなる。
【0007】
そこで、L/L環境で帯電部材の抵抗値が1010Ωcm未満になるように、前述した電子導電機構を有する導電剤やイオン導電機構を有する導電剤を適宜添加して調整する。イオン導電機構を有する導電剤の添加と併せて電子導電機構を有する導電剤を補助的に添加して抵抗調整を行うこともある。
【0008】
弾性層2bはこれらの弾性材料を発泡成型した発泡体も存在する。
【0009】
表面層には、各種導電剤(導電性カーボン、導電性ポリマー、グラファイト、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄粉及び金属酸化物である導電性酸化錫や導電性酸化チタン等)が適宜用いられている。この中でも、安価であり、かつ、経時の抵抗安定性が高い導電性カーボンが用いられることが多い。
図1は、帯電部材として帯電ローラーを具備した電子写真画像形成装置例の概略構成図である。本例の画像形成装置は、転写式電子写真利用の反転現像方式である。
【0010】
1は像担持体としての回転ドラム型の電子写真感光体であり、矢印の方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。
【0011】
2は帯電ローラーであり、電子写真感光体を帯電させる。電子写真感光体1に所定の押圧力で接触させてあり、電子写真感光体1と従動回転する。この帯電ローラー2に対して帯電バイアス印加電源S1から所定の直流電圧(この場合−1300Vとした)が印加されることで電子写真感光体1の表面が所定の極性電位(暗部電位−700Vとした)に一様に接触帯電方式・DC帯電方式で帯電処理される。
【0012】
3は露光手段であり、例えばレーザービームスキャナーである。電子写真感光体1の帯電処理面に露光手段3により目的の画像情報に対応した露光Lがなされることにより、電子写真感光体の表面電位が露光明部の電位(明部電位−120Vとした)に選択的に低下(減衰)して静電潜像が形成される。
【0013】
4は反転現像手段であり、電子写真感光体の静電潜像の露光明部に、電子写真感光体の帯電極性と同極性に帯電(現像バイアス−350V)しているトナー(ネガトナー)を選択的に付着させて静電潜像をトナー画像として可視化する。図中、4aは現像ローラー、4bはトナー供給ローラー、4cはトナー層厚規制部材を示す。
【0014】
5は転写手段としての転写ローラーであり、電子写真感光体1に所定の押圧力で接触させて転写部を形成させてあり、電子写真感光体の回転と順方向に電子写真感光体の回転周速度とほぼ同じ周速度で回転する。また、転写バイアス印加電源S2からトナーの帯電極性とは逆極性の転写電圧が印加される。転写部に対して不図示の給紙機構部から転写材Pが所定の制御タイミングで給紙され、その給紙された転写材Pの裏面が転写電圧を印加した転写ローラー5によりトナーの帯電極性とは逆極性に帯電されることにより、転写部において電子写真感光体1上のトナー画像が転写材Pに静電転写される。
【0015】
転写部でトナー画像の転写を受けた転写材は、電子写真感光体から分離されて、不図示のトナー画像定着手段へ導入されてトナー画像の定着処理を受けて画像形成物として出力される。両面画像形成モードや多重画像形成モードの場合は、この画像形成物が不図示の再循環搬送機構に導入されて転写部へ再導入される。
【0016】
転写残余トナー等の電子写真感光体上の残留物は、クリーナー容器6で回収される。
【0017】
7は前露光手段である。帯電手段が接触帯電方式である場合、前露光手段は設けない場合もある。
【0018】
先述のとおり、帯電ローラーは電子写真感光体を帯電させる役割を持つ。良好な画質を得るためには、感光体をどのような環境条件においても同様に帯電させること、つまり、温度、湿度によって帯電ローラーの電気抵抗が変化しないことが要求される。従来用いられてきた帯電ローラーの表面層の導電剤には導電性カーボンを用いられることが多かったが、導電性カーボンは温度、湿度による電気抵抗の変動が大きいという欠点がある。
【0019】
このような課題に対し、導電剤に導電性ポリマーを使用する方法が提案されている。(例えば特許文献1参照)
しかしながら、この方法では導電性ポリマーの表面層塗工液への分散性が悪いために、表面層の塗工ムラ(不均一な膜の塗工状態)が生じ、ローラーのどの位置においても均一な電気抵抗を有する帯電ローラーにならないため、出力画像に濃度ムラが生じることとなる。また、電気を長時間通すことにより電気抵抗が変化する現象である、通電劣化現象が起こるという課題が残っている。
【特許文献1】特開2001−82452号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、電子写真装置における帯電ローラーの表面層に導電性ポリマーを添加するに際して、塗工された膜が均一にならずに塗工村が生じること、帯電部材の通電劣化という課題を解することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
即ち、本発明は、支持体、該支持体上に形成された導電性弾性層、および、該導電性弾性層上に形成された表面層を有する帯電部材において、該表面層が、少なくとも(I)オキシアルキレン基を有するポリシロキサン、および、(II)ヘテロ原子含有導電性ポリマーを含有すること、を特徴とする帯電部材である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ヘテロ原子含有導電性ポリマーは、フッ化アルキル基およびオキシアルキレン基を有するポリシロキサンとの相溶性が良いために、分散が良くなり塗工ムラの無い均一な膜を作製できる。
【0023】
フッ化アルキレン基の大きな電気陰性度により、オキシアルキレン基の酸素原子が分極し、分子間力によって導電性ポリマーのヘテロ原子が引きつけられた構造となるため、導電性ポリマーの分子配置が安定するため、通電劣化を抑える効果がある。
【0024】
アニリン、チオフェンの分子構造が、フッ化アルキル基およびオキシアルキレン基を有するポリシロキサンとの組み合わせでは、添加量が少なくても低い電気抵抗が得られる。
【0025】
ポリスチレンスルホン酸が含有されることにより、ポリチオフェン主鎖のπ電子が奪われるために、導電時に必要なエネルギーが下がり、帯電部材の温度、湿度依存性(環境依存性)が少なくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
(1)帯電部材の構成
本発明の帯電部材は、支持体、該支持体上に形成された導電性弾性層、および、該導電性弾性層上に形成された表面層を有するものである。この「表面層」とは、帯電部材が有する層のうち、帯電部材の最表面に位置する層を意味する。
【0027】
本発明の帯電部材の最も簡単な構成は、該支持体上に導電性弾性層および表面層の2層を設けた構成であるが、支持体と導電性弾性層との間や導電性弾性層と表面層との間に別の層を1つまたは2つ以上設けてもよい。
【0028】
図3に、本発明の帯電部材の構成の一例を示す。図3中、Aは支持体であり、Bは接着層であり、Cは導電性弾性層であり、Dは表面層である。
【0029】
帯電部材の支持体としては、導電性を有していれば良く(導電性支持体)、例えば、鉄、銅、ステンレス、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケルなどの金属性(合金製)の支持体を用いることができる。また、これらの表面に耐傷性付与を目的として、導電性を損なわない範囲で、メッキ処理などの表面処理を施してもよい。
【0030】
導電性弾性層には、従来の帯電部材の弾性層(導電性弾性層)に用いられているゴムや熱可塑性エラストマーなどの弾性体を1種または2種以上用いることができる。
【0031】
ゴムとしては、例えば、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、ポリノルボルネンゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンゴム、アクリロニトリルゴム、エピクロルヒドリンゴムおよびアルキルエーテルゴムなどが挙げられる。
【0032】
熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン系エラストマーおよびオレフィン系エラストマーなどが挙げられる。スチレン系エラストマーの市販品としては、例えば、三菱化学(株)製「ラバロン(登録商標)」、クラレ(株)製「セプトン(登録商標)コンパウンド」などが挙げられる。オレフィン系エラストマーの市販品としては、例えば、三菱化学(株)製の「サーモラン(登録商標)」、三井石油化学工業(株)社製の「ミラストマー(登録商標)」、住友化学工業(株)社製の「住友TPE」およびアドバンストエラストマーシステムズ社製の「サントプレーン(登録商標)」などが挙げられる。
【0033】
また、導電性弾性層には、導電剤を適宜使用することによって、その導電性を所定の値にすることができる。導電性弾性層の電気抵抗は、導電剤の種類および使用量を適宜選択することによって調整することができ、その電気抵抗の好適な範囲は10〜10Ωであり、より好適な範囲は10〜10Ωである。
【0034】
導電性弾性層に用いられる導電剤としては、例えば、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性イオン界面活性剤、帯電防止剤、電解質などが挙げられる。
【0035】
陰イオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪族スルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加硫酸エステル塩、高級アルコール燐酸エステル塩および高級アルコールエチレンオキサイド付加燐酸エステル塩が挙げられる。
【0036】
帯電防止剤としては、例えば、高級アルコールエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール脂肪酸エステルおよび多価アルコール脂肪酸エステルなどの非イオン性帯電防止剤などが挙げられる。
【0037】
電解質としては、例えば、周期律表第1族の金属(LiやNaやKなど)の塩(第四級アンモニウム塩など)が挙げられる。周期律表第1族の金属の塩として、具体的には、LiCFSO、NaClO、LiAsF、LiBF、NaSCN、KSCNおよびNaClなどが挙げられる。
【0038】
また、導電性弾性層用の導電剤として、周期律表第2族の金属(CaやBaなど)の塩(Ca(ClOなど)やこれから誘導される帯電防止剤が、イソシアネート(一級アミノ基や二級アミノ基など)と反応可能な活性水素を有する基(水酸基やカルボキシル基など)を1つ以上持ったものを用いることもできる。また、これらと多価アルコール(1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコールなど)もしくはその誘導体との錯体や、これらとモノオール(エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなど)との錯体などのイオン導電性導電剤を用いることもできる。
【0039】
また、導電性弾性層用の導電剤として、ケッチェンブラックEC、アセチレンブラック、ゴム用カーボン、酸化処理を施したカラー(インク)用カーボン、および、熱分解カーボンなどの導電性のカーボンを用いることもできる。ゴム用カーボンとして、具体的には、Super Abrasion Furnace(SAF:超耐摩耗性)、Intermediate Super Abrasion Furnace(ISAF:準超耐摩耗性)、High Abrasion Furnace(HAF:高耐摩耗性)、Fast Extruding Furnace(FEF:良押し出し性)、General Purpose Furnace(GPF:汎用性)、Semi Rein Forcing Furnace(SRF:中補強性)、Fine Thermal(FT:微粒熱分解)およびMedium Thermal(MT:中粒熱分解)などの各ゴム用カーボンが挙げられる。
【0040】
また、導電性弾性層用の導電剤として、天然グラファイトおよび人造グラファイトなどのグラファイトを用いることもできる。
【0041】
また、導電性弾性層用の導電剤として、酸化スズ、酸化チタンおよび酸化亜鉛などの金属酸化物や、ニッケル、銅、銀およびゲルマニウムなどの金属を用いることもできる。
【0042】
また、導電性弾性層用の導電剤として、ポリアニリン、ポリピロールおよびポリアセチレンなどの導電性ポリマーを用いることもできる。
【0043】
また、導電性弾性層には、無機または有機の充填剤や架橋剤を添加してもよい。充填剤としては、例えば、シリカ(ホワイトカーボン)、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、クレー、タルク、ゼオライト、アルミナ、硫酸バリウムおよび硫酸アルミニウムなどが挙げられる。架橋剤としては、例えば、イオウ、過酸化物、架橋助剤、架橋促進剤、架橋促進助剤、架橋遅延剤などが挙げられる。
【0044】
導電性弾性層の硬度は、帯電部材と被帯電体である電子写真感光体とを当接させた際の帯電部材の変形を抑制する観点から、アスカーCで70度以上であることが好ましく、特には73度以上であることがより好ましい。
【0045】
本発明において、アスカーC硬度の測定は、測定対象の表面にアスカーC型硬度計(高分子計器(株)製)の押針を当接し、1000g加重の条件で行った。
【0046】
また、電子写真感光体との当接ニップを十分に確保するために設けた導電性弾性層の機能を十分に発揮させる観点から、帯電部材の表面層の弾性率は2000MPa以下であることが好ましい。一方、一般的に、層の弾性率は小さくなるほど架橋密度が小さくなる傾向にあるため、帯電部材の表面にブリードアウトした低分子量成分による電子写真感光体の表面の汚染を抑制する観点から、帯電部材の表面層の弾性率は100MPa以上であることが好ましい。
【0047】
また、表面層の層厚は厚いほど低分子量成分のブリードアウトの抑制する効果が大きくなる傾向にあるが、一方、帯電部材の帯電能が低下する傾向にあるため、表面層の層厚は0.1〜1.0μmであることが好ましく、特には0.2〜0.6μmであることがより好ましい。
【0048】
また、帯電部材の表面へのトナーや外添剤の固着を抑制する観点から、帯電部材の表面(=表面層の表面)の粗さ(Rz)はJIS94で10μm以下であることが好ましく、7μm以下であることがより好ましく、5μm以下であることがより一層好ましい。
【0049】
(2)本発明のオキシアルキレン基を有するポリシロキサン
本発明の帯電部材は、上記のとおり、支持体、該支持体上に形成された導電性弾性層、および、該導電性弾性層上に形成された表面層を有する帯電部材において、該表面層が、オキシアルキレン基を有するポリシロキサンおよびヘテロ原子含有導電性ポリマーを含有することを特徴とする帯電部材である。
【0050】
上記オキシアルキレン基とは、−O−R−(R:アルキレン基)で示される構造を有する2価の基(「アルキレンエーテル基」と呼ばれることもある。)である。このR(アルキレン基)としては、炭素数1〜6のアルキレン基が好ましい。
また、上記ポリシロキサンはフッ化アルキル基を持つことが好ましい。フッ化アルキル基としては、例えば、直鎖型または分岐型のアルキル基の水素原子の一部または全部をフッ素原子で置換したものが挙げられる。その中でも、炭素数6〜31の直鎖状のパーフルオロアルキル基が好ましい。
【0051】
上記ポリシロキサン中のフッ化アルキル基の含有量は、ポリシロキサン全質量に対して5.0〜50.0質量%であることが好ましく、ポリシロキサン中のオキシアルキレン基の含有量は、ポリシロキサン全質量に対して5.0〜70.0質量%であることが好ましく、ポリシロキサン中のシロキサン部分の含有量は、ポリシロキサン全質量に対して20.0〜90.0質量%であることが好ましい。
【0052】
また、上記ポリシロキサンは、さらにアルキル基およびフェニル基を有するものが好ましい。このアルキル基としては、炭素数1〜21の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、さらにはメチル基、エチル基、n−プロピル基、ヘキシル基、デシル基がより好ましい。
【0053】
上記ポリシロキサンがさらにアルキル基およびフェニル基を有する場合、上記ポリシロキサン中のフッ化アルキル基の含有量は、ポリシロキサン全質量に対して5.0〜50.0質量%であることが好ましく、ポリシロキサン中のオキシアルキレン基の含有量は、ポリシロキサン全質量に対して5.0〜30.0質量%であることが好ましく、ポリシロキサン中のアルキル基の含有量は、ポリシロキサン全質量に対して5.0〜30.0質量%であることが好ましく、ポリシロキサン中のフェニル基の含有量は、ポリシロキサン全質量に対して5.0〜30.0質量%であることが好ましく、ポリシロキサン中のシロキサン部分の含有量は、ポリシロキサン全質量に対して20.0〜80.0質量%であることが好ましい。
【0054】
上記ポリシロキサンは、カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物と、フッ化アルキル基を有する加水分解性シラン化合物とを加水分解によって縮合させて加水分解性縮合物を得て、次いで、該カチオン重合可能な基を開裂させることにより、該加水分解性縮合物を架橋させることによって得ることができる。
【0055】
上記カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物としては、下記式(1)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物が好適である。
【0056】
【化1】

【0057】
上記式(1)中、R21は、飽和もしくは不飽和の1価の炭化水素基を示す。R22は、飽和もしくは不飽和の1価の炭化水素基を示す。Z21は、2価の有機基を示す。Rc21は、カチオン重合可能な基を示す。dは0〜2の整数であり、eは1〜3の整数であり、d+e=3である。
【0058】
上記式(1)中のRc21のカチオン重合可能な基とは、開裂によってオキシアルキレン基を生成するカチオン重合可能な有機基を意味し、例えば、エポキシ基やオキセタン基などの環状エーテル基、および、ビニルエーテル基などが挙げられる。これらの中でも、入手の容易性および反応制御の容易性の観点から、エポキシ基が好ましい。
【0059】
上記式(1)中のR21およびR22の飽和もしくは不飽和の1価の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基およびアリール基などが挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜3の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、さらにはメチル基、エチル基がより好ましい。
【0060】
上記式(1)中のZ21の2価の有機基としては、例えば、アルキレン基およびアリーレン基などが挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜6のアルキレン基が好ましく、さらにはエチレン基がより好ましい。
【0061】
上記式(1)中のeは3であることが好ましい。
【0062】
上記式(1)中のdが2の場合、2個のR21は同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0063】
上記式(1)中のeが2または3の場合、2個または3個のR22は同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0064】
以下に、上記式(1)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物の具体例を示す。
【0065】
(1−1):グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
(1−2):グリシドキシプロピルトリエトキシシラン
(1−3):エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン
(1−4):エポキシシクロヘキシルエチルトリエトキシシラン
また、上記フッ化アルキル基を有する加水分解性シラン化合物としては、下記式(2)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物が好適である。
【0066】
【化2】

【0067】
上記式(2)中、R31は、飽和もしくは不飽和の1価の炭化水素基を示す。R32は、飽和もしくは不飽和の1価の炭化水素基を示す。Z31は、2価の有機基を示す。Rf31は、炭素数1〜31の直鎖状のパーフルオロアルキル基を示す。fは0〜2の整数であり、gは1〜3の整数であり、f+g=3である。
【0068】
上記式(2)中のR31およびR32の飽和もしくは不飽和の1価の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基およびアリール基などが挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜3の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、さらにはメチル基、エチル基がより好ましい。
【0069】
上記式(2)中のZ31の2価の有機基としては、例えば、アルキレン基およびアリーレン基などが挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜6のアルキレン基が好ましく、さらにはエチレン基がより好ましい。
【0070】
上記式(2)中のRf31の炭素数1〜31の直鎖状のパーフルオロアルキル基としては、処理性の観点から、特に炭素数6〜31の直鎖状のパーフルオロアルキル基が好ましい。
【0071】
上記式(2)中のgは3であることが好ましい。
【0072】
上記式(2)中のfが2の場合、2個のR31は同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0073】
上記式(2)中のgが2または3の場合、2個または3個のR32は同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0074】
以下に、上記式(2)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物の具体例を示す。
【0075】
(2−1):CF−(CH−Si−(OR)
(2−2):F(CF−(CH−Si−(OR)
(2−3):F(CF−(CH−Si−(OR)
(2−4):F(CF−(CH−Si−(OR)
(2−5):F(CF−(CH−Si−(OR)
(2−6):F(CF10−(CH−Si−(OR)
上記(2−1)〜(2−6)中のRはメチル基またはエチル基を示す。
【0076】
上記(2−1)〜(2−6)の中でも、(2−4)〜(2−6)が好ましい。
【0077】
上記カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物および上記フッ化アルキル基を有する加水分解性シラン化合物は、それぞれ、1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。
【0078】
特に、上記フッ化アルキル基を有する加水分解性シラン化合物として、上記式(2)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物を用いる場合、Rf31の炭素数n(nは6〜31の整数)のものと、炭素数n(nは6〜31の整数かつn≠n)のものとを併用すると、得られるポリシロキサンは、炭素数の異なるパーフルオロアルキル基を有することになる。パーフルオロアルキル基は、帯電部材の表面に向かって配向する傾向にあるため、帯電部材の表面層に含有されるポリシロキサンが炭素数の異なるパーフルオロアルキル基を有していれば、帯電部材の表面に向かって長さの異なるパーフルオロアルキル基が配向することになる。この場合、単一の長さのパーフルオロアルキル基が帯電部材の表面に向かって配向する場合に比べて、帯電部材の表面近傍のフッ素原子濃度が高くなり、帯電部材の表面自由エネルギーが低くなるため、長期間繰り返し使用した際の帯電部材の表面へのトナーや外添剤などの固着をより抑制することができる。
【0079】
上記式(2)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物を2種以上用いる場合は、上記(2−4)〜(2−6)の中から2種以上選択することが好ましい。
【0080】
本発明の帯電部材に用いられるポリシロキサンは、上述のとおり、カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物と、フッ化アルキル基を有する加水分解性シラン化合物とを加水分解によって縮合させて加水分解性縮合物を得て、次いで、該カチオン重合可能な基を開裂させることにより、該加水分解性縮合物を架橋させることによって得ることができるが、帯電部材の表面物性の制御の観点から、加水分解性縮合物を得る際には、カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物およびフッ化アルキル基を有する加水分解性シラン化合物に加えて、さらに、下記式(3)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物を併用することが好ましい。
【0081】
【化3】

【0082】
上記式(3)中、R11は、フェニル基置換のアルキル基もしくは無置換のアルキル基、または、アルキル基置換のアリール基もしくは無置換のアリール基を示す。R12は、飽和もしくは不飽和の1価の炭化水素基を示す。aは0〜3の整数であり、bは1〜4の整数であり、a+b=4である。
【0083】
上記式(3)中のR11のフェニル基置換のアルキル基もしくは無置換のアルキル基のアルキル基としては、炭素数1〜21の直鎖状のアルキル基が好ましい。
【0084】
上記式(3)中のR11のアルキル基置換のアリール基もしくは無置換のアリール基のアリール基としては、フェニル基が好ましい。
【0085】
上記式(3)中のaは1〜3の整数であることが好ましく、特には1であることがより好ましい。
【0086】
上記式(3)中のbは1〜3の整数であることが好ましく、特には3であることがより好ましい。
【0087】
上記式(3)中のR12の飽和もしくは不飽和の1価の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基およびアリール基などが挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜3の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、さらにはメチル基、エチル基、n−プロピル基がより好ましい。
【0088】
上記式(3)中のaが2または3の場合、2個または3個のR11は同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0089】
上記式(3)中のbが2、3または4の場合、2個、3個または4個のR12は同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0090】
以下に、上記式(3)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物の具体例を示す。
【0091】
(3−1):テトラメトキシシラン
(3−2):テトラエトキシシラン
(3−3):テトラプロポキシシラン
(3−4):メチルトリメトキシシラン
(3−5):メチルトリエトキシシラン
(3−6):メチルトリプロポキシシラン
(3−7):エチルトリメトキシシラン
(3−8):エチルトリエトキシシラン
(3−9):エチルトリプロポキシシラン
(3−10):プロピルトリメトキシシラン
(3−11):プロピルトリエトキシシラン
(3−12):プロピルトリプロポキシシラン
(3−13):ヘキシルトリメトキシシラン
(3−14):ヘキシルトリエトキシシラン
(3−15):ヘキシルトリプロポキシシラン
(3−16):デシルトリメトキシシラン
(3−17):デシルトリエトキシシラン
(3−18):デシルトリプロポキシシラン
(3−19):フェニルトリメトキシシラン
(3−20):フェニルトリエトキシシラン
(3−21):フェニルトリプロポキシシラン
(3−22):ジフェニルジメトキシシラン
(3−23):ジフェニルジエトキシシラン
上記式(3)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物および上記式(2)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物を併用する場合、上記式(3)中のaは1〜3の整数であることが好ましく、bは1〜3の整数であることが好ましく、a個のR11のうちの1個のR11は炭素数1〜21の直鎖状のアルキル基であることが好ましく、さらに、該炭素数1〜21の直鎖状のアルキル基の炭素数をn(nは1〜21の整数)とし、上記式(1)中のRf31の炭素数をn(nは1〜31の整数)としたとき、n−1≦n≦n+1であることが好ましい。
【0092】
上記炭素数1〜21の直鎖状のアルキル基は、パーフルオロアルキル基と同様、帯電部材の表面に向かって配向する傾向にあるが、n>n+2となると、上記式(1)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物のパーフルオロアルキル基による効果が乏しくなる場合がある。一方、n<n−2となると、理由の詳細は不明であるが、帯電時の放電に影響を及ぼし、ハーフトーン画像を出力した際に、その前の文字や黒い図形などがわずかに残像してしまう現象(ゴースト現象)が発生しやすくなる。
【0093】
上記式(3)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物は、1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。2種以上用いる場合には、上記式(3)中のR11がアルキル基のものと上記式(3)中のR11がフェニル基のものとを併用することが好ましい。アルキル基は帯電部材の表面物性の制御の観点から好ましく、フェニル基は上記のゴースト現象抑制の観点から好ましいからである。
【0094】
以下、本発明の帯電部材の具体的な製造方法(上記ポリシロキサンを含有する表面層の具体的な形成方法)について説明する。
【0095】
まず、カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物およびフッ化アルキル基を有する加水分解性シラン化合物、ならびに、必要に応じて上記の他の加水分解性シラン化合物を水の存在下で加水分解反応させることによって加水分解性縮合物を得る。
【0096】
加水分解反応の際、温度やpHなどを制御することで、所望の縮合度の加水分解性縮合物を得ることができる。
【0097】
また、加水分解反応の際、加水分解反応の触媒として金属アルコキシドなどを利用し、縮合度を制御してもよい。金属アルコキシドとしては、例えば、アルミニウムアルコキシド、チタニウムアルコキシドおよびジルコニアアルコキシドなど、ならびに、これらの錯体(アセチルアセトン錯体など)が挙げられる。
【0098】
また、加水分解性縮合物を得る際の、カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物およびフッ化アルキル基を有する加水分解性シラン化合物の配合割合は、あるいは、カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物、フッ化アルキル基を有する加水分解性シラン化合物および上記式(3)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物の配合割合は、得られるポリシロキサン中のフッ化アルキル基の含有量がポリシロキサン全質量に対して5.0〜50.0質量%になるように、オキシアルキレン基の含有量がポリシロキサン全質量に対して5.0〜70.0質量%になるように、シロキサン部分の含有量がポリシロキサン全質量に対して20.0〜90.0質量%になるようにすることが好ましい。
【0099】
具体的には、フッ化アルキル基を有する加水分解性シラン化合物を、全加水分解性シラン化合物に対して0.5〜20.0mol%の範囲になるように配合することが好ましく、特には1.0〜10.0mol%の範囲になるように配合することがより好ましい。
【0100】
また、上記式(3)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物を併用する場合には、さらに、カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物(MC)と上記式(3)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物(M1)とのモル比(MC:M1)が10:1〜1:10の範囲になるように配合することが好ましい。
【0101】
(3)本発明のヘテロ原子含有導電性ポリマー
次に、上記ヘテロ原子含有導電性ポリマーは、下記式(4)、(5)、(6)で表されるポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール等が挙げられる。
【0102】
【化4】

【0103】
本発明で使用されるヘテロ原子含有導電性ポリマーは上記に示される単重合体だけでなく、他の単量体との共重合体でも構わない。また、アルキル基やハロゲン、その他の官能基、化合物が結合、配位されたものでも構わない。また、単量体同士の結合は上記式に示される結合様式以外でも構わない。
【0104】
上記ヘテロ原子含有導電性ポリマーの表面層中の含有量は0.01質量%以上20%質量以下が好ましく、望ましくは0.5質量%以上7.0質量%以下である。
【0105】
上記へテロ原子含有導電性ポリマーは、上記加水分解性シラン化合物に混練し、表面層用塗布液とする。
【0106】
上記表面層用塗布液には、さらに、下記式(7)で表されるポリスチレンスルホン酸を添加することが好ましい。
【0107】
【化5】

【0108】
本発明で使用されるヘテロ原子含有導電性ポリマーは上記に示される構造のみに限らず、アルキル基やハロゲン、その他の官能基、化合物が結合、配位されたものでも構わない。表面層塗布液に添加されたポリスチレンスルホン酸は、表面層塗布液中の物質と反応、結合をして形態が変わることもある。
上記ポリスチレンスルホン酸は表面層中に0.01質量%以上20質量%以下添加することが好ましく、望ましくは0.5質量%以上7.0質量%以下である。
【0109】
(4)本発明の表面層用塗布液の塗布
得られた表面層用塗布液を、支持体および該支持体上に形成された導電性弾性層を有する部材(以下「導電性弾性部材」ともいう。)上に塗布する。
【0110】
表面層用塗布液を調製する際には、塗布性向上のために、加水分解性縮合物以外に、適当な溶剤を用いてもよい。適当な溶剤としては、例えば、エタノールおよび2−ブタノールなどのアルコールや、酢酸エチルや、メチルエチルケトンなど、あるいは、これらを混合したものが挙げられる。また、表面層用塗布液を導電性弾性部材上に塗布する際には、ロールコーターを用いた塗布、浸漬塗布、リング塗布などを採用することができる。
【0111】
次に、導電性弾性部材上に塗布された表面層用塗布液に活性エネルギー線を照射する。すると、表面層用塗布液に含まれる加水分解性縮合物中のカチオン重合可能な基は開裂し、これによって該加水分解性縮合物を架橋させることができる。加水分解性縮合物は架橋によって硬化する。
【0112】
活性エネルギー線としては、紫外線が好ましい。
【0113】
上記活性エネルギー照射時に発生した熱により、導電性弾性部材の導電性弾性層が膨張し、その後冷却によって収縮した際、表面層がこの膨張・収縮に十分に追従しないと、シワやクラックが多い表面層になってしまう場合があるが、架橋反応に紫外線を用いた場合、短時間(15分以内)に加水分解性縮合物を架橋することができる上、熱の発生も少ないため、表面層のシワやクラックが発生しにくい。
【0114】
また、帯電部材の置かれる環境が温湿度の変化が急激な環境である場合、その温湿度の変化による導電性弾性層の膨張・収縮に表面層が十分に追従しないと、表面層にシワやクラックが発生することがあるが、架橋反応を熱の発生が少ない紫外線によって行えば、導電性弾性層と表面層との密着性が高まり、導電性弾性層の膨張・収縮に表面層が十分に追従できるようになるため、環境の温湿度の変化による表面層のシワやクラックも抑制することができる。
【0115】
また、架橋反応を紫外線によって行えば、熱履歴による導電性弾性層の劣化を抑制することができるため、導電性弾性層の電気的特性の低下を抑制することもできる。
【0116】
紫外線の照射には、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、低圧水銀ランプ、エキシマUVランプなどを用いることができ、これらのうち、紫外線の波長が150〜480nmの光を豊富に含む紫外線源が用いられる。
【0117】
なお、紫外線の積算光量は、以下のように定義される。
【0118】
紫外線積算光量[mJ/cm]=紫外線強度[mW/cm]×照射時間[s]
紫外線の積算光量の調節は、照射時間や、ランプ出力や、ランプと被照射体との距離などで行うことが可能である。また、照射時間内で積算光量に勾配をつけてもよい。
【0119】
低圧水銀ランプを用いる場合、紫外線の積算光量は、ウシオ電機(株)製の紫外線積算光量計UIT−150−AやUVD−S254を用いて測定することができ、エキシマUVランプを用いる場合、紫外線の積算光量は、ウシオ電機(株)製の紫外線積算光量計UIT−150−AやVUV−S172を用いて測定することができる。
【0120】
また、架橋反応の際、架橋効率向上の観点から、カチオン重合触媒(重合開始剤)を共存させておくことが好ましい。例えば、活性エネルギー線によって賦活化されるルイス酸のオニウム塩に対してエポキシ基は高い反応性を示すことから、上記のカチオン重合可能な基がエポキシ基である場合、カチオン重合触媒としては、ルイス酸のオニウム塩を用いることが好ましい。
【0121】
その他のカチオン重合触媒としては、例えば、ボレート塩、イミド構造を有する化合物、トリアジン構造を有する化合物、アゾ化合物、過酸化物などが挙げられる。
【0122】
各種カチオン重合触媒の中でも、感度、安定性および反応性の観点から、芳香族スルホニウム塩や芳香族ヨードニウム塩が好ましく、特には、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム塩や、下記式で示される構造を有する化合物(商品名:アデカオプトマ−SP150、旭電化工業(株)製)や、
【0123】
【化6】

【0124】
下記式で示される構造を有する化合物(商品名:イルガキュア261、チバスペシャルティーケミカルズ社製)
【0125】
【化7】

【0126】
が好ましい。
【0127】
カチオン重合触媒の使用量は、加水分解性縮合物に対して1〜3質量%であることが好ましい。
【0128】
(製造例)
以下、本発明について具体例により詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、製造例中の「部」は「質量部」を意味する。
【0129】
〈製造例1〉
(1)弾性層の作製
エピクロルヒドリンゴム(商品名:エピクロマー(登録商標)CG105、ダイソー(株)製)100部、充填剤としてのMTカーボン(商品名:N990、Thermax社製)35部、表面処理焼成カオリン(商品名:ST−KE、ハーゲスピグメント(株)製)5部、酸化亜鉛5部およびステアリン酸1部を、オープンロールで30分間混練した。この30分間混練したものに、加硫促進剤としてのジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド(商品名:ノクセラー(登録商標)DM−P、大内新興化学(株)製)1部、加硫促進剤としてのテトラメチルチウラムモノスルフィド(商品名:ノクセラー(登録商標)TS、大内新興化学(株)製)0.5部および加硫剤としてのイオウ1.2部を加え、オープンロールでさらに15分間混練することによって、混練物Iを得た。
【0130】
次に、混練物Iを、ゴム押し出し機で、外径9.5mm、内径5.4mmの円筒形に押し出し、250mmの長さに裁断し、加硫缶で160℃の水蒸気で30分間1次加硫することによって、導電性弾性層用1次加硫チューブIを得た。
【0131】
一方、直径6mm、長さ256mmの円柱形の鋼製の支持体(表面をニッケルメッキ加工したもの)の円柱面軸方向中央を挟んで両側115.5mmまでの領域(あわせて軸方向幅231mmの領域)に、金属およびゴムを含む熱硬化性接着剤(商品名:メタロックU−20、(株)東洋化学研究所製)を塗布し、これを30分間80℃で乾燥させた後、さらに1時間120℃で乾燥させた。
【0132】
この円柱面に熱硬化性接着剤を塗布し乾燥させた支持体を、導電性弾性層用1次加硫チューブIの中に挿入し、その後、導電性弾性層用1次加硫チューブIを1時間160℃で加熱した。この加熱によって、導電性弾性層用1次加硫チューブIが2次加硫され、また、熱硬化性接着剤が硬化した。このようにして、表面研磨前の導電性弾性ローラーIを得た。
【0133】
次に、表面研磨前の導電性弾性ローラーIの導電性弾性層部分(ゴム部分)の両端を切断し、導電性弾性層部分の軸方向幅を231mmとした後、導電性弾性層部分の表面を回転砥石で研磨することによって、端部直径8.2mm、中央部直径8.5mmのクラウン形状で、表面の十点平均粗さ(Rz)が5.5μmの導電性弾性ローラー(表面研磨後の導電性弾性ローラー)Iを得た。
【0134】
十点平均粗さ(Rz)はJISB6101に準拠して測定した。得られた導電性弾性ローラー(表面研磨後の導電性弾性ローラー)Iの硬度は74度(アスカーC)であった。
【0135】
(2)ヘテロ原子含有導電性ポリマーの作製
イオン交換水1000mlにポリビニルピロリドン(K−30:キシダ化学(株)製)10gを攪拌しながら溶かした。更に、塩化第二鉄6水和物(キシダ化学(株)製)98gを添加して溶かした。この溶液中にピロール(和光純薬(株)製)10gを添加し、15時間攪拌した。得られた黒色分散液に対して遠心分離−水再分散操作を2回行い、更に遠心分離−メタノール再分散操作を行いポリピロール分散液1200gを得た。得られたポリピロール分散液に、メタノールを添加、固形分としてポリピロールが3質量部になるように混合し、ヘテロ原子含有導電性ポリマー(ポリピロール)含有エタノール溶液Iを得た。
【0136】
(3)表面層の作製
加水分解性シラン化合物としてのグリシドキシプロピルトリエトキシシラン(GPTES)35.04g(0.128mol)、フェニルトリエトキシシラン(PhTES)30.77g(0.128mol)およびヘキシルトリメトキシシラン(HeTMS)13.21g(0.064mol)と、水25.93gおよびエタノール63.07gとを混合した後、室温で攪拌し、次いで24時間加熱還流を行うことによって、加水分解性シラン化合物の縮合物Iを得た。
【0137】
この縮合物Iを2−ブタノール/エタノールの混合溶剤に添加することによって、固形分7質量%のシラン化合物の縮合物含有アルコール溶液Iを調製した。この縮合物含有アルコール溶液Iに、ヘテロ原子含有導電性ポリマー含有エタノール溶液Iを、縮合物含有アルコール溶液Iの固形分:導電性ポリマーのエタノール溶液の固形分=95:5(質量比)となるように添加し、シラン化合物の縮合物および導電性ポリマー含有のアルコール溶液Iを得た。
【0138】
このシラン化合物の縮合物および導電性ポリマー含有のアルコール溶液I100gに対して0.35gの光カチオン重合開始剤としての芳香族スルホニウム塩(商品名:アデカオプトマーSP−150、旭電化工業(株)製)を、縮合物含有アルコール溶液Iに添加することによって、表面層用塗布液Iを調製した。
【0139】
この表面層用塗布液Iを導電性弾性ローラー(表面研磨後の導電性弾性ローラー)I上にリング塗布することによって、塗布液Iを導電性弾性ローラーIの導電性弾性層の表面領域に含浸させた。
【0140】
次に、塗布液Iが含浸された導電性弾性層の表面領域に、254nmの波長の紫外線を積算光量が9000mJ/cmになるように照射することによって、該表面領域を改質させた。紫外線の照射には、ハリソン東芝ライティング(株)製の低圧水銀ランプを用いた。
【0141】
以上のようにして、支持体、該支持体上に形成された導電性弾性層(導電性弾性ローラーIの導電性弾性層のうち未改質の領域)、および、該導電性弾性層上に形成された表面層(導電性弾性ローラーIの導電性弾性層のうち改質された表面領域)を有する帯電ローラーを作製した。この帯電ローラーを、帯電ローラーIとする。
【0142】
〈製造例2〉
製造例1において、(3)表面層の作製を、以下のように変更した以外は、製造例1と同様にして帯電ローラーIIを得た。
【0143】
表面層の作製; 加水分解性シラン化合物としてのグリシドキシプロピルトリエトキシシラン(GPTES)27.84g(0.1mol)、メチルトリエトキシシラン(MTES)17.83g(0.1mol)およびトリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリエトキシシラン(FTS、パーフルオロアルキル基の炭素数6)7.68g(0.0151mol(加水分解性シラン化合物総量に対して7mol%相当))と、水17.43gおよびエタノール37.88gとを混合した後、室温で攪拌し、次いで24時間加熱還流を行うことによって、加水分解性シラン化合物の縮合物を得た。
【0144】
〈製造例3〉
製造例1において、(2)ヘテロ原子含有導電性ポリマーの作製、および(3)表面層の作製を、以下のように変更した以外は、製造例1と同様にして帯電ローラーIIIを得た。
【0145】
ヘテロ原子含有導電性ポリマーの作製; 塩酸アニリン(0.08モル)とDBSA(0.08モル)を1N塩酸150mlに溶かし、1N塩酸45mlにAPS(0.096ml)を溶かしたものを重合開始剤として徐々に加えて重合を行った。反応終了後、ろ過し、ろ紙上に回収されたポリアニリンを得た。
【0146】
表面層の作製; 縮合物含有アルコール溶液:導電性ポリマーのエタノール溶液=99:1(質量比)とした。
【0147】
〈製造例4〉
製造例3において、(2)ヘテロ原子含有導電性ポリマーの作製を、以下のように変更した以外は、製造例3と同様にして帯電ローラーIVを得た。
【0148】
ヘテロ原子含有導電性ポリマーの作製; アルドリッチ社の市販品のPoly(thiophen−2,5−diyl),bromine terminatedを用いた。
【0149】
〈製造例5〉
製造例3において、(3)表面層の作製を、以下のように変更した以外は、製造例3と同様にして帯電ローラーVを得た。
【0150】
表面層の作製; 縮合物含有アルコール溶液:導電性ポリマーのエタノール溶液=95:5(質量比)とした。
【0151】
〈製造例6〉
製造例4において、(3)表面層の作製を、以下のように変更した以外は、製造例4と同様にして帯電ローラーVIを得た。
表面層の作製; 縮合物含有アルコール溶液:導電性ポリマーのエタノール溶液=95:5(質量比)とした。
【0152】
〈製造例7〉
製造例3において、(3)ヘテロ原子含有導電性ポリマーの作製を、以下のように変更した以外は、製造例3と同様にして帯電ローラーVIIを得た。
ヘテロ原子含有導電性ポリマーの作製; 導電性ポリマー含有のアルコール溶液95gに対し、ポリスチレンスルホン酸5gを添加した後、製造例3と同様に光カチオン重合開始剤を添加した。
【0153】
〈製造例8〉
製造例4において、(2)ヘテロ原子含有導電性ポリマーの作製を、以下のように変更した以外は、製造例4と同様にして帯電ローラーVIIIを得た。
【0154】
ヘテロ原子含有導電性ポリマーの作製; 作製は行わず、市販品を使用した。商品名:デナトロンP502S、ナガセケムテックス社製、ポリスチレンスルホン酸を含有するポリチオフェン系ヘテロ原子含有導電性ポリマーの含水アルコール希釈液。
【0155】
〈製造例9〉
製造例1において、(2)ヘテロ原子含有導電性ポリマーの作製、および(3)表面層の作製を、以下のように変更した以外は、製造例1と同様にして帯電ローラーCIを得た。
【0156】
ヘテロ原子含有導電性ポリマーの作製; 製造例1で得られたヘテロ原子含有導電性ポリマー(ポリピロール)含有エタノール溶液Iを60℃で2日間乾燥させ、得られた固形分を粉砕してヘテロ原子含有導電性ポリマー(ポリピロール)CIを得た。
【0157】
表面層の作製; アクリルポリオール90質量部に対して、イソシアネート(HDI)5質量部と、上記のヘテロ原子含有導電性ポリマー(ポリピロール)CIを5質量部混練した塗料をメチルエチルケトン(MEK)で希釈し、ディッピング法にて弾性層の上に塗布して膜厚が10μmの高分子層を被覆形成し、ローラー形状の帯電部材を作製した。
【0158】
〈製造例10〉
製造例1において、(3)表面層の作製を、以下のように変更した以外は、製造例1と同様にして帯電ローラーCIIを得た。
【0159】
表面層の作製; 加水分解性シラン化合物としてのフェニルトリエトキシシラン(PhTES)56.16g(0.234mol)、ヘキシルトリメトキシシラン(HeTMS)13.21g(0.064mol)およびトリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリエトキシシラン(FTS、パーフルオロアルキル基の炭素数6)11.42g(0.022mol(加水分解性シラン化合物総量に対して7mol%相当))と、水25.93gおよびエタノール61.50gとを混合した後、室温で攪拌し、次いで24時間加熱還流を行うことによって、加水分解性シラン化合物の縮合物を得た。
【0160】
〈製造例11〉
製造例1において、(2)ヘテロ原子含有導電性ポリマーの作製を、以下のように変更した以外は、製造例1と同様にして帯電ローラーCIIIを得た。
ヘテロ原子非含有導電性ポリマーの作製; アルドリッチ社の市販品のポリアセチレン(へテロ原子非含有ポリマー)を用いた。
【0161】
製造例1〜11にて作製した帯電ローラーを表1にまとめる。
【0162】
【表1】

【0163】
<実施例1>
製造例1の帯電ローラーIについて以下の評価を行った。
【0164】
(1)塗工ムラ(塗工膜の均一性)
作製した帯電ローラーの外観を目視で判断し、表面層の塗工ムラ(目視で部分的に色が異なるかを判断した)があるかを○(ムラ無し)、△(ムラが部分的に有り)、×(ムラが全面的に有り)の3段階で評価した。
【0165】
(2)通電劣化性
図4に示す電気抵抗測定機にて、ローラーの通電前後の電気抵抗値を測定した。測定は、常温常湿N/N(23℃、53%)で、帯電ローラー(2)をステンレス製円筒電極(8)に当接させ、200Vの電圧印加(S3)、ローラー回転数60rpmにて、電圧をレコーダー(10)にて記録し、電圧の3秒間の平均値求め、抵抗値を算出した。通電は、2時間、200Vの電圧印加、ローラー回転数60rpmにて電圧を連続でかけ続けた。通電前後の電流値の比率(かけた後の電気抵抗/かける前の電気抵抗)を計算し、通電劣化性指標とした。指標が1に近いものほど通電劣化性が良好であることを示す。なお、指標が1.0±0.3の範囲であれば実使用上問題ないレベルであるが、1.0±0.15の範囲であることが望ましい。
【0166】
(3)電気抵抗
通電劣化性の評価時に測定した、常温常湿N/N(23℃、53%)での測定値をローラーの電気抵抗(Ω)とした。
【0167】
(4)電気抵抗の環境依存性
ローラーの電気抵抗を、常温常湿N/N(23℃、53%)、低温低湿L/L(15℃、10%)の2環境で測定した。測定は200Vの電圧印加、ローラー回転数60rpmにて電気抵抗測定を行い、3秒間の平均値を帯電ローラーの電気抵抗値とした。N/Nでの測定値とL/Lでの測定値の比率(N/Nでの測定値 / L/Lでの測定値の比率)を環境依存性指標とした。指標が1に近いものほど環境依存性が良好であることを示す。なお、指標が1.0±0.1の範囲であれば実使用上問題ないレベルであるが、1.0±0.05の範囲であることが望ましい。
【0168】
評価結果を表2に示す。
【0169】
実施例1の帯電ローラーIはオキシアルキレン基を有するポリシロキサンおよびヘテロ原子含有導電性ポリマーを含有することにより、塗工ムラが無く、通電劣化性および環境依存性が実使用上問題ないレベルであった。
【0170】
<実施例2>
製造例2の帯電ローラーIIについて実施例1と同様の評価を行った。
【0171】
評価結果を表2に示す。
【0172】
製造例2の帯電ローラーIIは、フッ化アルキル基を含有していることにより、通電劣化性が良好になり、塗工ムラが無く、環境依存性が実使用上問題ないレベルであった。
【0173】
<実施例3〜6>
製造例3〜6の帯電ローラーIII〜VIについて実施例1と同様の評価を行った。
【0174】
評価結果を表2に示す。
【0175】
製造例3〜6の帯電ローラーIII〜VIはヘテロ原子含有導電性ポリマーとしてポリアニリン、ポリチオフェンが含有されていることにより、少ない添加量で抵抗が低くなり、塗工ムラが無く、通電劣化性が良好であり、環境依存性が実使用上問題ないレベルであった。
【0176】
<実施例7、8>
製造例7、8の帯電ローラーVII、VIIIについて実施例1と同様の評価を行った。
【0177】
評価結果を表2に示す。
【0178】
製造例7、8の帯電ローラーVII、VIIIはポリスチレンスルホン酸を含有することにより、環境依存性が良好であり、塗工ムラが無く、通電劣化性が良好であった。
【0179】
<比較例1>
製造例9の帯電ローラーCIについて実施例1と同様の評価を行った。
【0180】
評価結果を表2に示す。
【0181】
製造例9の帯電ローラーCIは塗工ムラが多くあるため、実使用レベルに到達していない。また、通電劣化性が大きく、長期的な使用に耐えられない。
【0182】
<比較例2、3>
製造例10、11の帯電ローラーCII、CIIIについて実施例1と同様の評価を行った。
【0183】
評価結果を表2に示す。
【0184】
製造例10、11の帯電ローラーCII、CIIIは塗工ムラがあるため、帯電ローラーとしての性能が劣るものである。また、通電劣化性が大きく、長期的な使用に耐えられない。
【0185】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0186】
【図1】一般的な電子写真装置の概略構成を示す図である。
【図2】一般的な帯電ローラーの概略構成を表す図である。
【図3】本発明の帯電ローラーの概略構成を表す図である。
【図4】導電部材の抵抗測定装置の概略図である。
【符号の説明】
【0187】
1 像担持体(電子写真感光体)
2 帯電部材(帯電ローラー)
2a 支持体
2b 弾性層
2c 表面層
3 露光手段
4 現像手段
4a 現像ローラー
4b トナー供給ローラー
4c トナー層厚規制部材
5 転写ローラー
6 クリーニング手段
7 前露光手段
8 ステンレス製円筒電極
9 抵抗
10 レコーダー
S1,S2 バイアス印加電源
S3 外部電源
P 転写材
A 帯電ローラーの支持体
B 帯電ローラーの接着層
C 帯電ローラーの弾性層
D 帯電ローラーの表面層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体、該支持体上に形成された導電性弾性層、および、該導電性弾性層上に形成された表面層を有する帯電部材において、該表面層が、少なくとも
(I)オキシアルキレン基を有するポリシロキサン
および
(II)ヘテロ原子含有導電性ポリマー
を含有することを特徴とする帯電部材。
【請求項2】
前記ポリシロキサンがフッ化アルキル基を有する請求項1に記載の帯電部材。
【請求項3】
前記導電性ポリマーがポリアニリン化合物またはポリチオフェン化合物である請求項2に記載の帯電部材。
【請求項4】
前記表層がポリスチレンスルホン酸を含有していることを特徴とする請求項2または3に記載の帯電部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−151160(P2009−151160A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−329953(P2007−329953)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】