説明

電子写真用転写紙

【課題】剛度を維持したまま、低密度(嵩高)で、白色度、不透明性に優れ、走行性、作業性などの複写機またはレーザープリンター適性に優れた電子写真用転写紙の提供。
【解決手段】軽質炭酸カルシウムとシリカとの固形分重量比が、軽質炭酸カルシウム/シリカ=30/70〜70/30である、軽質炭酸カルシウム粒子の表面をシリカで被覆した軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物を、填料として含有する電子写真用転写紙。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子写真方式の複写機やプリンターなどで印字される電子写真用転写紙に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、「地球温暖化」や「ゴミ焼却場からの有害成分放出(ダイオキシン問題)」等のように地球環境に関する問題が各分野で注目を集めている。電子写真用転写紙等の情報記録用紙についても例外ではなく、大手複写機メーカーやそのサプライ会社と製紙会社とが協力して、森林資源であるパルプなどの有効活用等が積極的に進められている。
【0003】
そのような背景の中、資源の有効活用を目的に近年情報記録用紙や印刷出版用紙への古紙パルプ配合率が急速に増加し、更に中国などへの輸出も増加している。しかしながら、古紙の需給が逼迫し始めており、次第に紙種を選別した古紙の入手が困難となり、古紙パルプ高配合紙の品質維持が困難な状況に向かいつつある。古紙パルプの高配合以外に資源を有効活用するために、パルプ使用量自体を低減する方向にある。
【0004】
また、電子写真用転写紙等の使用量は年々増加している事から、単位容積当たりの記録面積増加に対する要望は多く、収納スペースの有効利用の観点からも求められている。
【0005】
これらの要望に応じるために、軽量化が考えられる。軽量化とは、紙の厚さは維持しながらの軽量化であり、いわゆる低密度で嵩高な紙のことである。同一紙厚で、単位当たり重量が少なければ、当然パルプ使用量は減少する。電子写真用転写紙を保管する際や輸送する場合の重量減ともなり、輸送コスト削減や持ち運び時の利便性なども考えられる。更に薄物化によって単位容積当たりの情報記録面積が増大するためファイル資料等の収納スペース低減も可能である。
【0006】
紙の嵩高化、すなわち低密度化を行うためには、パルプの利用が行われている。使用するパルプとしては、化学薬品により木材繊維中の補強材料であるリグニンを抽出した化学パルプよりも、グラインダーで木材を磨り潰す砕木パルプやリファイナーで木材を精砕するリファイナーメカニカルパルプ、またはサーモメカニカルパルプのような機械パルプの方が繊維は剛直で、低密度化には効果的である。しかし碎木パルプやリファイナーパルプは強力な機械的摩擦と剪断力をうけるため剪断力によってパルプ繊維は微細化され繊維長が短くなる結果紙の強度が低下してしまう。そのため、従来機械パルプは繊維長が長い針葉樹から製造されており、リグニン含有量が多く白色度の高いパルプが製造できない問題がある。特に電子写真用転写紙などの情報記録用紙は最近のカラー化に伴う色再現性や商品価値の点で高白色度が求められる場合があり、従来の機械パルプを使用することは適していなかった。また、機械パルプのうちサーモメカニカルパルプは繊維の微細化程度が少なく、シートの剛度は維持されるものの平滑度が低下し、画像再現性に問題があった。例えば、サーモメカニカルパルプ(TMP)のような高収率パルプを用いて、不透明度、剛度を維持しながら坪量を減じる方法が開示されている(特許文献1)。しかしながら、白色度等に劣り、カラー化に伴う色再現性に劣る問題があった。
次に、パルプより比重の低い無機填料等を用い嵩高化する方法についても各種検討されている。例えば、嵩比重0.3g/cm3以下の無定形シリカ、無定形シリケートを填料として用いることで、嵩高な印刷用紙が開示されている。しかしながら、低密度で嵩高にはなるものの、紙の剛度やサイズ度を低下する問題が生じ、電子写真用転写紙に用いた場合、走行性、作業性などのコピー適性等に劣る問題があった。
【0007】
以上のように、剛度を維持したまま、低密度(嵩高)で、白色度、不透明度に優れ、画像再現性、走行性、作業性などのコピー適性に優れた、特に軽量の電子写真用転写紙を得ることは困難であった。
【0008】
【特許文献1】特開2002−38395号公報
【特許文献2】特開平10−226982号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上のような状況に鑑み、本発明の課題は、剛度を維持したまま、低密度(嵩高)で、白色度、不透明性に優れ、走行性、作業性などの複写機またはレーザープリンター適性に優れた電子写真用転写紙を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために鋭意検討した結果、軽質炭酸カルシウムとシリカとの固形分重量比が、軽質炭酸カルシウム/シリカ=30/70〜70/30である、軽質炭酸カルシウム粒子の表面をシリカで被覆した軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物を、填料として含有する電子写真用転写紙を得ることにより、剛度を維持したまま、低密度(嵩高)で不透明性、白色度に優れ、走行性、作業性などの複写機またはレーザープリンター適性に優れる。軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物は、嵩高、不透明度、走行性等を向上させるため、紙中填料率として1〜25重量%であることが好ましい。また、軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物の軽質炭酸カルシウムが、紡錘状粒子の凝集体であることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、剛度を維持したまま、低密度(嵩高)で、白色度、不透明性に優れ、走行性、作業性に優れた電子写真用転写紙を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の電子写真用転写紙で使用するパルプとしては、例えば、クラフトパルプ(KP)等の化学パルプ、ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGP〉、リフアイナーグランドパルプ(RGP〉、ケミグランドパルプ(CGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、砕木パルプ〈GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、リフアイナーメカニカルパルプ(RMP〉等の機械パルプや、脱墨パルプ(DIP)等の古紙パルプから1種あるいは数種を選択して、任意の比率で配合して適宜使用することができる。本発明においては、フルカラー適性を良好にし、白色度を向上させるために、化学パルプを全パルプ中の70重量%以上配合することが好ましく、より好ましくは80重量%以上である。
【0013】
本発明で填料として使用する軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物は、軽質炭酸カルシウム粒子の表面をシリカで被覆したものであり、軽質炭酸カルシウムとシリカとの固形分重量比が、軽質炭酸カルシウム/シリカ=30/70〜70/30のものを使用する。この軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物は、低密度(嵩高)で、白色度、不透明性に優れ、剛度を維持できる効果等に優れるものである。軽質炭酸カルシウム/シリカ=30/70未満の場合、不透明性、サイズ性及び剛度に劣る。また、軽質炭酸カルシウム/シリカ=70/30を超える場合、嵩高性に劣る。また、軽質炭酸カルシウム/シリカ複合物の配合量としては、紙中填料率として、1〜25重量%が好ましく、3〜25重量%がより好ましく、更に好ましくは5〜20重量%である。紙中填料率が1重量%未満の場合、嵩高や不透明度等の効果が十分ではない。また、紙中填料率が25重量%を超える場合、剛度や強度の低下が大きくなり、コピー時の用紙走行性が悪くなるという問題がある。本発明の軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物は、内部に軽質炭酸カルシウムを含んでいるため、酸性抄紙で抄造する場合、その酸性によって粒子内部の軽質炭酸カルシウムが分解または溶解する可能性がある。故に抄紙pH=6〜9の中性抄紙で抄造することが好ましい。pHが9を超えるアルカリ条件では、白色度が低下してしまう問題がある。
【0014】
本発明の軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物の製造方法は、炭酸カルシウムを生成する過程でケイ酸を反応させる方法や、生成した炭酸カルシウムの表面にケイ酸を反応させる方法などがある。
【0015】
本発明においては、生成した炭酸カルシウムの表面にケイ酸を反応させる方法が、嵩高、不透明度、剛度等の品質のバランスを良好にするために好ましい。以下のこの方法について説明する。
【0016】
最初に軽質炭酸カルシウムを水中に分散させる。この軽質炭酸カルシウムの結晶形態はカルサイト、アラゴナイトのいずれでも良く、また形状についても針状、柱状、紡錘状、球状、立方体状、不定形、ロゼッタ型のいずれでも良い。この中でも特にロゼッタ型のカルサイト系の軽質炭酸カルシウムを用いた場合に、嵩高、不透明度向上効果と剛度向上効果に優れ、電子写真方式の複写機等の走行性や作業性に優れる軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物が得られる。なお、ロゼッタ型とは、紡錘状の軽質炭酸カルシウム一次粒子がいがくり状に凝集した形状を指し、他の軽質炭酸カルシウムより高い比表面積と吸油性を示す特徴がある。また、軽質炭酸カルシウムは粉砕処理を施して使用しても良い。
【0017】
この軽質炭酸カルシウムの反応原液中濃度は、軽質炭酸カルシウムとケイ酸の配合比率が重要であるため、ケイ酸濃度の影響も加味しなくてはならないが、1〜20重量%が好ましい。1重量%未満の低濃度であると1バッチ当たりの生産量が少なく、生産性に問題がある。また、20重量%を超える高濃度とすると分散性が悪く、また軽質炭酸カルシウム量と比例して、反応に用いるケイ酸アルカリの濃度が高くなるため、反応時の粘度が上昇し、操業性に問題がある。
【0018】
ついで、この軽質炭酸カルシウムのスラリーに、ナトリウム、カリウムのようなアルカリ溶液中に溶解した形のケイ酸を加える。一般的に工業用に用いられるものは、ケイ酸ソーダ(ナトリウム)もしくはケイ酸カリウムであるが、本発明である複合物を形成するためには、ケイ酸とアルカリのモル比はいずれでも良い。3号ケイ酸はSiO2:Na2O=3〜3.4:1程度のモル比のものであるが、一般に入手しやすく、好適に使用される。軽質炭酸カルシウムとケイ酸アルカリとの仕込重量比は、生成する軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物中の炭酸カルシウムとシリカの重量比が目標とする範囲に入るように仕込む。軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物の炭酸カルシウムとシリカの固形分重量比は、CaCO3/SiO2=30/70〜70/30である。
【0019】
このスラリーをアジテータ、ホモミキサー、ミキサー等で攪拌、分散させるが、これは軽質炭酸カルシウムが水に十分に分散し、軽質炭酸カルシウムの粒子が極端に凝集してなければ問題なく、特に時間やアジテーションの強さ等の制限はない。
【0020】
次に、酸を用いた中和反応を行う。この場合、酸は鉱酸ならいずれでも良く、さらには鉱酸中に硫酸バンドや硫酸マグネシウムのような酸性金属塩を含む酸でも使用できる。工業的には硫酸、塩酸等の比較的安価に購入できる酸が好ましい。高濃度の酸を用いた場合、酸による中和時の攪拌が不十分であると、高濃度の酸の添加により部分的にpHの低い部分ができ、軽質炭酸カルシウムが分解するため、酸添加口でホモミキサー等を用いた強攪拌を行う必要がある。一方、あまりに希薄な酸を用いると、酸添加により全体的な容量が極端に増えてしまうので好ましくない。この面からも、0.05N以上の濃度の酸を用いることが好ましい。鉱酸または酸性金属塩水溶液の添加は、アルカリ性であるケイ酸金属塩水溶液と軽質炭酸カルシウムとの混合物の沸点以下の温度で行う。この中和処理によりケイ酸分を析出させ、非晶質ケイ酸を形成し、これが軽質炭酸カルシウム粒子の表面を被覆する。
【0021】
さらに、この酸添加は数回に分けて行っても良い。酸添加後、熟成を行っても良い。なお、熟成とは酸添加を一時中止し、攪拌のみを施し放置しておくことを指す。この熟成中中に強攪拌や粉砕を行い、粒子の形態をコントロールすることも可能である。
【0022】
次に、上記酸添加によるスラリーの中和はpH=7〜9を目標に行う。析出してきたケイ酸分により軽質炭酸カルシウムが被覆されていくが、酸性側(pH7未満)にすると、軽質炭酸カルシウムが分解してしまう。一方、pHが高い(9.0超)状態で中和を終了すると、ケイ酸分の析出が十分に行われず、スラリー中に未反応のケイ酸分が残り、ケイ酸分のロスが多くなり、工業的に好ましくない。そのため、目標pHは7〜9で中和を終了させる。
【0023】
このようにして、製造された軽質炭酸カルシウム−ケイ酸の複合物は、軽質炭酸カルシウム粒子表面をシリカが被覆した懸濁液の状態となる。この懸濁液のまま抄紙工程等に使用しても良いが、ろ過、または遠心分離を行うことによって固液分離を行い、中和反応で生成した余分な副生成物である塩を極力取り除いたほうが好ましい。これは、余分な塩が残存していると、抄紙工程においてこの塩が難溶性の金属塩(例えば、硫酸カルシウム)に変化し、これを原因としたスケーリングの問題を発生し易いためである。さらにこの固液分離を行った固形分濃度10〜50%のケーキ状複合物を、水またはエタノールにより再分散後、再び固液分離を行い、さらに余分なケイ酸や副生成物である塩を取り除いても良い。
【0024】
得られた軽質炭酸カルシウム−ケイ酸の複合物は、目的粒子径より大きい粗粒物を取り除くため、振動篩やスクリーンを用いて、100μm以上の粒子を除去する。
【0025】
軽質炭酸カルシウム−ケイ酸の複合物の平均粒子径の調整は、前述のように、熟成中に強攪拌や粉砕を行うことにより粒子の形態をコントロールすることも可能であるが、中和反応終了後または反応終了後の固液分離したものを、湿式粉砕機を用いて、目的の平均粒子径に調整しても良い。また、この組み合わせにより平均粒子径を調整しても良い。
【0026】
粗大粒子を除去した後、あるいは粗大粒子除去後さらに強撹拌や粉砕処理を施した軽質炭酸カルシウム−ケイ酸の複合物の平均粒子径は、20μm以下が好ましく、より好ましくは1〜10μmである。
【0027】
また、本発明においては、填料として軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物を使用するが、本発明の効果を損なわない範囲で、他の填料を併用することも可能である。併用できる填料としては、重質炭酸カルシウム、タルク、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、クレー、焼成カオリン、デラミカオリン、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ等の無機填料や、尿素−ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、微小中空粒子等から選ばれる1種類以上を併用することができる。軽質炭酸カルシウム−シリカ複合粒子と他の填料を併用する場合の両填料の紙中填料率の合計は、1重量%以上30重量%以下が好ましく、3重量%以上25重量%以下がより好ましく、5重量%以上25重量%以下が更に好ましい。30重量%を超えると、剛度が低下し、複写機等の走行性、作業性に劣る傾向にある。
【0028】
本発明においては、パルプ及び填料の他に内填サイズ剤を使用することができる。内添サイズ剤としては、ロジン系サイズ剤、合成サイズ剤、石油樹脂系サイズ剤、中性サイズ剤などのサイズ剤が使用でき、硫酸バンド、カチオン化デンプン等、適当なサイズ剤と繊維への定着剤を組合せて使用する。望ましくは、電子写真方式の複写機、プリンター等における走行性及びコピー後の用紙保存性の観点から、中性サイズ剤、特にアルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸系サイズ剤を使用するのが良い。
【0029】
なお、紙力増強剤、染料、pH制御剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、等の抄紙用内添助剤を目的に応じて適宜添加することも可能である。
【0030】
本発明の電子写真用転写紙の抄造に用いる抄紙機は、公知の装置であれば良く、長網抄紙機、オントップツインワイヤー抄紙機、ギャップフォーマーなどが用いられる。抄紙条件としてパルプの叩解度、ジェットワイヤー比、プロファイル、プレス、キャレンダー等の調整が行われ、また乾燥条件も抄紙機のドライヤーでの蒸気圧および通気方法等公知の方法が利用できる。
【0031】
また、本発明の電子写真用転写紙は、表面強度向上や耐水性付与、トナー定着性改良などを目的として、サイズプレス工程で成紙の表面にデンプン、ポリビニルアルコール、ラテックス、無水マレイン酸系サイズ゛、オレフィン系サイズ、スチレン-アクリル酸系サイズ等の各種表面サイズ剤、エチレン-尿素樹脂等の寸法安定化剤、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウムなどの無機導電剤、ジメチルアミノエチルメタアクリレートなどの有機導電剤、界面活性剤、顔料、染料、を塗布することができる。サイズプレス工程で塗布する方式としては、コンベンショナルサイズプレス(2ロール、ポンド方式)、ゲートロールサイズプレス、ロッドメタリングサイズプレス、メタリングブレード方式のサイズプレス、ビルブレード、ショートドウェルコーター等の装置を用いることができる。塗布量は、0.1〜3g/m2程度に調整される。
【0032】
本発明で規定したように、軽質炭酸カルシウムとシリカとの固形分重量比が、軽質炭酸カルシウム/シリカ=30/70〜70/30である、軽質炭酸カルシウム粒子の表面をシリカで被覆した軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物を、填料として含有することにより、嵩高で、不透明度が向上し、更に剛度も良好であり、コピー機内やレーザービームプリンタ内での走行性、作業性に等に優れる電子写真用転写紙が得られる。特に坪量が40〜65g/m2、さらに好ましくは40〜60g/m2の軽量において、本発明の効果をより発揮するものである。また、本発明の電子写真用転写紙は、顔料と接着剤を含有する塗工層を設けた塗工タイプの電子写真用転写紙の原紙として使用することもできる。
【実施例】
【0033】
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるもの
ではない。また、例中の部および%は特に断わらない限り、それぞれ重量部および重量%
を示す。
〈評価方法〉
(1)吸油量:JIS K5101に準じて測定した。
(2)粒度分布測定(レーザー法):試料スラリーを分散剤へキサメタリン酸ソーダ0・
2重量%を添加した純水中で滴下混合して均一分散体とし、レーザー法粒度測定機(使用
機器:マルバーン社製マスターサイザーS型)を使用して測定した。
(3)白色度、不透明度: JIS−P8148、8149に準じ、色差計(村上色彩研究所製)を用い測定した。
(4)ステキヒトサイズ度:JIS P−8122に準拠して測定した
(5)引張こわさ:Lorent zen&We t tre社製 引張強度測定機sEO62/064を用い、測定した。
(6)電子写真用複写機適性
キヤノン製複写機(NP6250機)でA4Rトレイを使用して、両面コピーを連続100枚行い、給紙・搬送(走行性、作業性)、画質(画像の良否)、裏抜けを目視で判定した。
○:給紙・搬送、画質、裏抜けがいずれも良好。
△:給紙・搬送、画質または裏抜けの何れかがやや不良。
×:給紙・搬送、画質または裏抜けの何れかが不良。
〈軽質炭酸カルシウムーシリカ複合物の製造方法〉
(製造例1:軽質炭酸カルシウムーシリカ複合物Aの調製)
反応容器中に市販ロゼッタ型軽質炭酸カルシウム(商品名 アルバカー5970 SMI社製)11重量部を水に分散し、ここにSiO2濃度18.0wt/wt%、Na20濃度6.1wt/wt%のケイ酸ソーダ溶液を62重量部加えた後、水を加え、全量を220重量部とした。この混合スラリーをアジテータで十分に射しながら加熱し、85℃としたスラリーに、10%硫酸溶液を定量ポンプにより加えるが、この硫酸添加口付近が十分攪拌されるように、アジテータの攪拌羽根直下とした。このように添加された硫酸が十分に分散される条件のもと、温度一定で、硫酸添加後の最終pHは8.0、全硫酸添加時間は240分間となるように、一定速度で硫酸を添加した。このスラリーは100メッシュ節で粗粒分を分離した、ベルトフィルターでろ過し、さらに約10%に再分散し、平均粒径、手抄き分析用サンプルとした。吸油量、BET比表面積用サンプルはろ過後のサンプルをエタノール中に約10%となるよう再分散した後、ろ過、105℃の乾燥機にて乾燥を行い、粉体サンプルとした後に、測定を行ったところ、平均粒子径は3.4μm、吸油量159ml/100gであった。なお、核に用いた市販ロゼッタ型軽質炭酸カルシウムの平均粒子径は3.0μm、吸油量119ml/100gである。
(製造例2:軽質炭酸カルシウムーシリカ複合物Bの調製)
製造例1において、反応に使用した市販ロゼッタ型軽質炭酸カルシウム(商品名アルバヵー5970SMI社製)を25重量部用いた以外は、同様に製造した。得られた複合物は物性を測定評価し、物性測定を行ったところ、平均粒子径4.0μm、吸油量134ml/100gであった。
(製造例3:軽質炭酸カルシウムーシリカ複合物Cの調製)
製造例1において、反応に使用した市販ロゼッタ型軽質炭酸カルシウム(商品名アルバカー5970SMI社製)を2.8重量部用いた以外は、同様に製造した。得られた複合物は物性を測定評価し、物性測定を行ったところ、平均粒子径8.0μm、吸油量160ml/100gであった。
(製造例4:軽質炭酸カルシウムーシリカ複合物Dの調製)
製造例1において、反応に使用した市販ロゼッタ型軽質炭酸カルシウム(商品名アルバカー5970SMI社製)を45重量部用いた以外は、同様に製造した。得られた複合物は物性を測定評価し、物性測定を行ったところ、平均粒子径3.1μm、吸油量140ml/100gであった。
[実施例1]
製紙用原料パルプとして、広葉樹クラフトパルプ(ろ水度CSF370ml)85重量部、針葉樹クラフトパルプ(ろ水度CSF470ml)15重量部を混合したパルプを用い、添加薬品として、中性ロジンサイズ剤(NT−87:荒川化学社製)、カチオン化澱粉(cATO304:日本エヌエスシー社製)を対パルプとして、それぞれ、1.0、0.8%、歩留向上剤としてカチオン性ポリアクリルアミドを対パルプ0.02%、アニオン性ポリアクリルアミドを対パルプ0.01%、さらに軽質炭酸カルシウム/シリカ複合物Aを、紙中填料率が5%となるように添加したスラリーを用い、オントップツインワイヤー抄紙し、デンプン(日本食品加工:TC−スターチ)を6%、サイズ剤(荒川化学:PM1308)を0.5%、導電剤として塩化ナトリウム、炭酸ナトリウムをそれぞれ配合したサイズプレス液を両面で1.0g/m2塗布して乾燥後坪量60g/m2の電子写真用転写紙を得た。
[実施例2]
填料として、軽質炭酸カルシウムーシリカ複合物Aの紙中填料率が10%となるようにした以外は実施例1と同様に電子写真用転写紙を得た。
[実施例3]
填料として、軽質炭酸カルシウムーシリカ複合物Aの代わりに軽質炭酸カルシウムーシリカ複合物Bを用いた以外は実施例1と同様に電子写真用転写紙を得た。
[実施例4]
填料として、軽質炭酸カルシウムーシリカ複合物Aの代わりに軽質炭酸カルシウムーシリカ複合物Bを用いた以外は実施例2と同様に電子写真用転写紙を得た。
[比較例1]
填料として、軽質炭酸カルシウムーシリカ複合物Aの代わりに軽質炭酸カルシウムーシリカ複合物Cを用いた以外は実施例1と同様に電子写真用転写紙を得た。
[比較例2]
填料として、軽質炭酸カルシウムーシリカ複合物Aの代わりに軽質炭酸カルシウムーシリカ複合物Dを用いた以外は実施例1と同様に電子写真用転写紙を得た。
[比較例3]
填料として、市販ロゼッタ型軽質炭酸カルシウム(商品名アルバカー5970SMI社製)を複合化せずそのまま用いた以外は、実施例1と同様に電子写真用転写紙を得た。
[比較例4]
填料として、市販ロゼッタ型軽質炭酸カルシウム(商品名アルバカー5970SMI社製)を複合化せず、そのまま用いた以外は、実施例2と同様に電子写真用転写紙を得た。
[比較例5]
填料として、市販ホワイトカーボン(TIXOLEX17:KOFRAN社製)を用いた以外は、実施例1と同様に電子写真用転写紙を得た。
[比較例6]
填料として、市販ホワイトカーボン(TIXOLEX17:KOFRAN社製)とロゼッタ型軽質炭酸カルシウム(商品名アルバカー5970SMI社製)を50:50で混合して用いた以外は、実施例2と同様に電子写真用転写紙を得た。
【0034】
表1に結果を示した。
【0035】
【表1】

表1に、試験評価結果を示した。実施例1〜4は、剛度を維持したまま、低密度(嵩高)で、白色度、不透明性に優れ、走行性、画質、裏抜けなどの複写機適性に優れ、軽質炭酸カルシウム−シリカを複合化して用いるメリットが認められた。実施例1〜4で示した軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物を内添填料として用いた場合、比較例3、4で示した軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物の核として用いた軽質炭酸カルシウムを用いた場合より、同一充填量時でより高い嵩高効果、不透明性を示し、複写機適性に優れる。また、比較例1のように、軽質炭酸カルシウムよりもシリカの比率が多くなると、白色度、不透明度、サイズ性及び剛度低下によって複写機適性に劣る。比較例2のように、シリカよりも軽質炭酸カルシウムの比率が多くなると、嵩高性が低下し、複写機適性にやや劣る。比較例5のホワイトカーボン使用時は、実施例より不透明性で劣る他、剛度の指標として用いられる引張りこわさ、およびステキヒトサイズ度の低下幅が実施例より大きく、特にステキヒトサイズ度の低下は顕著であり、複写機適性に劣る。また、軽質炭酸カルシウムとシリカを混合して用いた比較例6では、嵩高性能で劣り、また不透明度も低い値となり、複写機適性もやや劣る。。
【0036】
このように本発明に係る電子写真転写紙及びその製造方法により、パルプ種類を問わず、嵩高で不透明性等に優れ、複写機適性に優れた電子写真転写紙を得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軽質炭酸カルシウムとシリカとの固形分重量比が、軽質炭酸カルシウム/シリカ=30/70〜70/30である、軽質炭酸カルシウム粒子の表面をシリカで被覆した軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物を、填料として含有することを特徴とする電子写真用転写紙。
【請求項2】
前記軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物が、紙中填料率として1〜25重量%であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真用転写紙。
【請求項3】
前記軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物の軽質炭酸カルシウムが、紡錘状粒子の凝集体であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真用転写紙。

【公開番号】特開2006−48022(P2006−48022A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−194654(P2005−194654)
【出願日】平成17年7月4日(2005.7.4)
【出願人】(000183484)日本製紙株式会社 (981)
【Fターム(参考)】