説明

電子制御装置

【課題】電子制御装置の小型化を図る。
【解決手段】回路基板3の表面3aに設けられる発熱性のある電子部品2を、回路基板3の表面に取り付けられたコネクタ4のコネクタピン15に近接するよう実装すると共に、この電子部品2及びコネクタピン15の双方に近接する導体パターン14を回路基板3の表面3aに設け、電子部品2で発生した熱をコネクタピン15に伝導する。電子部品2で発生した熱を放熱するにあたり、回路基板3の裏面3b側から回路基板3が収容されるケース6に対して放熱しなくてもよいので、電子部品2の裏側の位置にも、電子部品を実装することが可能となり、回路基板3を大きくすることなく当該回路基板3の部品実装面積を拡大することができ、回路基板の小型化により電子制御装置1の小型化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品が実装された回路基板と、この回路基板に形成される電子回路と外部機器とを電気的に接続するコネクタとを備えた電子制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、電子部品がその表面に実装された配線基板が取り付けられたケースに、前記配線基板の裏面側から前記電子部品に近接するよう突接する台座と、この台座に連なる放熱用突条部とを設け、前記電子部品に発生する熱を、前記台座から前記放熱用突条部を介して前記ケースの広い範囲に拡散して逃がすようにした技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−158796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような特許文献1においては、前記ケースの内側に、前記台座や前記放熱用突条部が突出することになり、前記台座や前記放熱用突条部が設けられた位置では、前記配線基板の裏面に電子部品を実装することが難しくなるので、その分前記配線基板が大きくなり、ひいては装置全体が大型化してしまう虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明は、回路基板の一方の面に設けられる発熱部品を、回路基板の一方の面側に取り付けられたコネクタのコネクタピンに近接するよう実装すると共に、前記発熱部品及びこの発熱部品に近接する前記コネクタピンの双方に近接する導体パターンを前記回路基板の一方の面に設け、前記発熱部品で発生した熱を前記コネクタピンに伝導することを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、発熱部品からコネクタピンに伝導された熱は、発熱部品に近接するコネクタピンを介して、電子制御装置の外部に効率よく放熱することができる。そのため、発熱部品で発生した熱を放熱するにあたり、回路基板の他方の面側から回路基板が収容される筐体に対して放熱しなくてもよいので、発熱部品の裏側の位置にも、電子部品を実装することが可能となり、回路基板を大きくすることなく当該回路基板の部品実装面積を拡大することができ、回路基板の小型化により電子制御装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に係る電子制御装置の概略構成を模式的に示した分解斜視図。
【図2】図1のA−A線に沿った位置の断面を模式的に示した説明図。
【図3】回路基板の表面のうち、電子部品が実装された部分を模式的に示した説明図。
【図4】本発明の第2実施形態の要部を模式的に示した説明図であって、図1のA−A線に沿った位置の断面に相当する説明図。
【図5】本発明の第3実施形態の要部を模式的に示した説明図であって、図1のA−A線に沿った位置の断面に相当する説明図。
【図6】本発明の第4実施形態の要部を模式的に示した説明図であって、図1のA−A線に沿った位置の断面に相当する説明図。
【図7】本発明の第4実施形態において、回路基板の表面のうち、電子部品が実装された部分を模式的に示した説明図。
【図8】本発明の第5実施形態において、回路基板の表面のうち、電子部品が実装された部分を模式的に示した説明図。
【図9】本発明の第5実施形態の要部を模式的に示した説明図であって、図1のA−A線に沿った位置の断面に相当する説明図。
【図10】本発明のその他の実施形態において、回路基板の表面のうち、電子部品が実装された部分を模式的に示した説明図。
【図11】本発明のその他の実施形態において、回路基板の表面のうち、電子部品が実装された部分を模式的に示した説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0009】
図1は、本発明に係る電子制御装置1の概略構成を模式的に示した分解斜視図である。電子制御装置1は、例えば、自動車に搭載されてエンジン、トランスミッション及びブレーキ等の制御に用いられるものであって、発熱性のある電子部品2が実装された矩形板状の回路基板3と、回路基板3に取り付けられ、この回路基板3に形成される電子回路と外部機器とを電気的に接続するコネクタ4と、回路基板3を収容する筐体5とから大略構成されている。尚、回路基板3には、実際には、図示した電子部品2以外にも、各種電子部品が複数実装されている。また、図1は、電子制御装置1を簡略化して示しているため、電子部品2の端子及びこの端子が接続される回路基板3の表面3aに形成された導体パターン14(後述)が省略されている(図示されていない)。
【0010】
筐体5は、回路基板3が収容固定される下側のケース6と、ケース6に収容された回路基板3を覆う上側のカバー7と、を備えている。
【0011】
ケース6は、略矩形の皿形状を呈し、アルミや鉄等の放熱性に優れた金属材料によって一体に形成されている。ケース6は、その4隅がねじ13によってカバー7に対して固定されている。
【0012】
一方、カバー7は、ケース6よりも深底となる略矩形の皿形状を呈し、樹脂材料によって一体に形成されている。
【0013】
尚、ケース6は、その材質を樹脂材料とすることも可能であり、カバー7は、その材質をアルミや鉄等の金属材料にすることも可能である。
【0014】
カバー7の上壁8に形成された貫通穴(図示せず)には、筐体5内部と外部との圧力差を調整する呼吸フィルタ9が取り付けられている。この図示しない貫通穴の外周縁部には、全周に亙って、呼吸フィルタ9への水の直撃を抑制する外周壁10が突出形成されている。
【0015】
カバー7の上壁8には、コネクタ4の外形状に合わせて突出したコネクタ収容部11が形成されている。コネクタ収容部11と連続するカバー7の一側壁には、コネクタ4の一端を外部に臨ませる切欠部12が形成されている。この切欠部12により、ケース6とカバー7とを組み付けた際に筐体5の一側面に開口が形成され、この開口からコネクタ4の一端が外部に突出する。
【0016】
尚、ケース6、カバー7及びコネクタ4の互いに当接しあう部分(当接部分)には、図示せぬ接着材が塗布され、これらの当接部分から筐体5に水分や塵埃等の異物が侵入しないように液密にシールされる。
【0017】
回路基板3は、例えば、ガラスエポキシ樹脂等からなり、その表裏面3a、3b及びその内部に、銅製の導体パターン14が形成されている。この導体パターン14は、図2及び図3に示すように、電子部品2の端子(図示せず)や図示しない各種の電子部品の端子が半田等によって電気的に接続された電子回路構成用の導体パターン14aと、主として電子部品2に発生する熱をコネクタ4へと伝導するための放熱用の導体パターン14b(詳細は後述)とを有している。また、回路基板3は、その外周縁の複数箇所が、ねじ(図示せず)によってケース6に固定されている。尚、回路基板3をケース6に対して接着材で固定することも可能である。
【0018】
回路基板3に実装される電子部品としては、例えば、IC、FET(電界効果トランジスタ)、MOSFET(酸化膜半導体電界効果トランジスタ)、トランジスタ、ダイオード、抵抗等が挙げられる。
【0019】
コネクタ4は、回路基板3の一端側外縁部の表面3a側に取り付けられている。コネクタ4の他端側からは、金属製の複数のコネクタピン15が上下2段に突出している。図2に示すように、各コネクタピン15は、それぞれ略L字型状に折曲され、その先端側が回路基板3に形成された貫通穴16に挿入されている。尚、図2は、図1のA−A線に沿った位置の断面を模式的に示した説明図である。
【0020】
複数のコネクタピン15のうちコネクタ4他端の上段から突出したものは、コネクタ4他端の下段から突出したものよりも回路基板3の内側で折曲されている。そのため、コネクタ4他端の上段から突出したコネクタピン15が挿入される貫通穴16aは、コネクタ4他端の下段から突出したコネクタピン15が挿入される貫通穴16bよりも、回路基板3の一端側外縁部からみてより内側に形成されている。
【0021】
コネクタ4のコネクタピン15は、図1及び図2に示すように、比較的小さい電流が流れる複数の第1コネクタピン15aと、比較的大きい電流が流れる複数の第2コネクタピン15bと、からなっている。本実施形態のコネクタ4は、図1における右側の2列のみが第2コネクタピン15bとなっている。また、このコネクタ4の一端には、外部機器(各種センサや各種電磁弁等)に接続される車両側コネクタ17が接続されている。尚、図2中の18は、上述した外部機器に接続されるハーネスである。
【0022】
本実施形態における第1コネクタピン15aは、図3に示すように、断面略円形を呈し、電子制御装置1が搭載された車両からの入力信号(例えば、車速、エンジン回転数、水温等)や、負荷の小さいものを動かす駆動信号(例えば、燃料噴射弁、各種電磁弁等)、といった比較的小さい電流が流れるものである。
【0023】
第2コネクタピン15bは、第1コネクタピン15aよりも断面積が大きくなるよう設定されている。本実施形態の第2コネクタピン15bは、第1コネクタピン15aとは異なる断面形状(断面略矩形)となっている。この第2コネクタピン15bは、負荷の大きいものを動かす駆動信号(例えば、電制スロットル弁、モータ、ヒータ等)や、電子制御装置1を動かすための駆動電流、グランド(GND)に落とす電流、といった比較的大きい電流が流れるものである。尚、コネクタピン15の形状はこれに限るものではなく、第2コネクタピン15bが第1コネクタピン15aよりも断面積が大きく設定されていれば、例えば双方が略矩形、または略円形、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0024】
そして、本実施形態においては、発熱性のある電子部品2が、コネクタピン15に近接するよう、回路基板3の表面3aに実装されている。また、回路基板3の表面3aには、コネクタピン15に近接する電子部品2と、電子部品2が近接するコネクタピン15の双方に近接する放熱用の導体パターン14bが設けられている。
【0025】
詳述すると、電子部品2は、図3に示すように、回路基板3の表面3aに形成された放熱用の導体パターン14b上に配置されている。この導体パターン14bは、電子部品2の筐体下面に接触すると共に、電子部品2の端子(図示せず)と電気的に接続されないように形成されている。また、この放熱用の導体パターン14bは、貫通穴16aに挿入される第1コネクタピン15aうち、電子部品2が近接する3本の第1コネクタピン15aと近接し、かつ近接する3本の第1コネクタピン15aのうちの一つ(図3における中央の第1コネクタピン15aと電気的に接続(接触)するよう形成されている。
【0026】
尚、図3は、回路基板3の表面3aを模式的に示した説明図であり、電子部品2の端子については省略している(図示していない)。また、電子部品2の端子(図示せず)が接続される回路基板3の表面3aに形成された電子回路構成用の導体パターン14aについも簡略化して示している。実際には、電子部品2の端子(図示せず)毎に、電子回路構成用の導体パターン14aが接続されるが、図3では電子部品2の各端子毎に接続された電子回路構成用の導体パターンを簡略化して示している。
【0027】
そして、回路基板3の表面3aには、電子部品2と、この電子部品2に近接する第1コネクタピン15aとの間に、両者に接触する放熱材19が充填されている。放熱材19は、電子部品2の外表面を覆い、かつ電子部品2と電子部品2に近接する第1コネクタピン15a(電子部品2の載置された放熱用の導体パターン14bと電気的に接続された第1コネクタピン15a)の先端側の外表面を覆うように設けられている。この放熱材19は、例えばシリコンを基材とした放熱グリスであって、絶縁性を有している。
【0028】
また、回路基板3の内部に形成された電子回路構成用の導体パターン14aは、電子部品2が近接する第1コネクタピン15aに、その一部が近接するよう形成されている。尚、本実施形態においては、回路基板3の裏面3bに形成された電子回路構成用の導体パターン(図示せず)は、放熱用の導体パターン14bと電気的に接続されないように形成されている。
【0029】
このような本実施形態においては、回路基板3の表面3a側に設けた放熱用の導体パターン14b及び放熱材19により、これら導体パターン14b及び放熱材19を介して、電子部品2で発生した熱を、電子部品2に近接する第1コネクタピン15aに伝導することができる。また、回路基板3の内部に形成された電子回路構成用の導体パターン14aの一部が電子部品2に近接する第1コネクタピン15aに近接しているので、回路基板3の内部の導体パターン14aを介して、電子部品2で発生した熱を電子部品2に近接する第1コネクタピン15aに伝導することができる。
【0030】
つまり、電子部品2で発生した熱は、電子部品2に近接する第1コネクタピン15aに効率よく伝導するため、この第1コネクタピン15aと連結されるハーネス18から効率よく放熱することができる。
【0031】
従って、電子部品2に発生した熱を放熱させる構成を回路基板3の裏面側に別途設けてケース6に放熱させなくても、電子部品2で発生した熱を電子部品2が近接する第1コネクタピン15aを介して外部に放熱することができる。そのため、回路基板3の裏面3bのうち、電子部品2の裏側となる位置に電子部品を実装することが可能となり、回路基板3を大きくすることなく回路基板3の実質的な部品実装面積を拡大することができる。つまり、回路基板3の実質的な部品実装面積の拡大により、回路基板3の小型化が可能となり、ひいては電子制御装置1の小型化を実現することができる。
【0032】
尚、上述した実施形態においては、電子部品2とこの電子部品2に近接する第1コネクタピン15aとの間に放熱材19を介在させているが、放熱材19を設けずに、電子部品2に発生する熱を回路基板3の表面3aに形成した放熱用の導体パターン14bのみで、電子部品2に近接する第1コネクタピン15aに対して電子部品2で発生した熱を伝導させるよう構成することも可能である。
【0033】
また、導体パターン14bは、電子部品2の筐体下面に必ずしも直接接触させる必要はなく、導体パターン14bと電子部品2の筐体下面との間に、隙間や接着材等を介在させる構成としてもよい。
【0034】
以下、本発明の他の実施形態について説明するが、上述した第1実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0035】
図4は、本発明の第2実施形態を示している。この第2実施形態における電子制御装置21は、上述した第1実施形態の電子制御装置1と略同一構成となっているが、回路基板3の表面3aに形成された放熱用の導体パターン14bが、電子部品2が近接する第1コネクタピン15aに対して近接するものの、電気的に接続されていない(第1コネクタピン15aに対して接触していない)構成となっている。また、回路基板3の内部及び裏面3bにある電子回路構成用の導体パターン(図示せず)も、電子部品2が近接する第1コネクタピン15aに対して、電気的には接続されない構成となっている。
【0036】
このような第2実施形態においても、回路基板3の表面3a側に設けた放熱用の導体パターン14b及び放熱材19により、電子部品2で発生した熱を、電子部品2に近接する第1コネクタピン15aに伝導することができる。つまり、電子部品2で発生した熱は、電子部品2に近接する第1コネクタピン15aに伝導するため、第1コネクタピン15aから電子制御装置21の外部に放熱することができる。
【0037】
従って、この第2実施形態においても、上述した第1実施形態のように、回路基板3の裏面3bのうち、電子部品2の裏側の位置に電子部品を実装することが可能となり、回路基板3を大きくすることなく回路基板3の実質的な部品実装面積を拡大することができる。
【0038】
尚、この第2実施形態では、放熱用の導体パターン14bが電子部品2に近接する第1コネクタピン15aに電気的に接続されていない(接触していない)分だけ、第1実施形態に比べて、放熱用の導体パターン14bと第1コネクタピン15aとの間の熱伝導性は低下することになる。
【0039】
図5は、本発明の第3実施形態を示している。この第3実施形態における電子装置31は、上述した第1実施形態の電子制御装置1と略同一構成となっているが、電子部品2と、この電子部品2に近接する第1コネクタピン15aとの間に、両者に接触する放熱材が充填されない構成となっている。
【0040】
そして、回路基板3の裏面3bには、電子部品2の裏側の位置に、電子部品2よりも発熱量の小さい電子部品32が実装されている。この電子部品32は、回路基板3の裏面に形成された放熱用の導電パターン14b上に配置されている。回路基板3の裏面に形成された放熱用の導体パターン14bは、電子部品32の筐体下面に接触していると共に、貫通穴16aに挿入される第1コネクタピン15aのうち、電子部品2が近接する3本の第1コネクタピン15aに対して近接はするものの電気的には接続しないように形成されている。また、回路基板3の裏面に形成された放熱用の導体パターン14bは、回路基板3の裏面3bに設けられた電子部品32の端子(図示せず)とは、電気的に接続されないように形成されている。
【0041】
このような第3実施形態においては、回路基板3の表面3a側に設けた放熱用の導電パターン14bにより、電子部品2で発生した熱を、電子部品2に近接する第1コネクタピン15aに伝導することができる。また、回路基板3の裏面3b側に設けた放熱用の導電パターン14bにより、回路基板3の裏面3bに実装された電子部品32で発生した熱を、電子部品2、32に近接する第1コネクタピン15aに伝導することができる。つまり、電子部品2及び32で発生した熱は、電子部品2及び32に近接する第1コネクタピン15aに効率よく伝導するため、第1コネクタピン15aから電子制御装置2の外部に効率よく放熱することができる。換言すれば、回路基板3の裏面3bのうち、電子部品2の裏側となる位置に電子部品32を実装できるので、上述した第1実施形態と同様に、回路基板3を大きくすることなく回路基板3の実質的な部品実装面積を拡大することができる。ここで、この第3実施形態においても、上述した第1、第2実施形態と同様に、電子部品2とこの電子部品2に近接する第1コネクタピン15aとの間に放熱材を介在させ、電子部品2に近接する第1コネクタピン15aに対して電子部品2で発生した熱を伝導させるよう構成することも可能である。
【0042】
また、回路基板3の表面3aのほうが裏面3bよりもコネクタピン15を介して外部に近く、放熱性に優れているので、コネクタ4に近接させた電子部品2の裏側に電子部品32を実装する場合には、発熱量の大きいものを電子部品2として回路基板3の表面3a側に実装し、発熱量の小さいものを電子部品32として回路基板3の裏面3b側に実装することで、電子部品2及び32に発生した熱を効率よく放熱することができる。尚、発熱量の大きい電子部品としては、例えば、IC、パワードライバ等が挙げられる。発熱量の小さい電子部品としては、例えば、ダイオード、信号用トランジスタ等が挙げられる。
【0043】
そして、コネクタ4に近接させた電子部品2の裏側に電子部品32を実装する場合には、第1コネクタピン15aに電気的に接続できないものを電子部品32として、回路基板3の裏面3bに実装されるようにするのが望ましい。
【0044】
図6及び図7は、本発明の第4実施形態を示している。この第4実施形態における電子制御装置41は、上述した第1実施形態の電子制御装置1と略同一構成となっているが、回路基板3の表面3aに形成され、電子部品2の端子(図示せず)が接続された電子回路構成用の導体パターン14a(図7における右側の導体パターン14a)が、貫通穴16bに挿入される第1コネクタピン15aのうち電子部品2が近接する第1コネクタピン15aにも近接するように延長されている。この回路基板3の表面3aに形成された電子回路構成用の導体パターン14aは、第1コネクタピン15aに電気的に接続されないように形成されている。
【0045】
つまり、この第4実施形態においては、電子部品2の端子(図示せず)が接続された電子回路構成用の導体パターン14aが、電子部品2が近接する第1コネクタピン15aの周囲まで延長され、実質的には放熱用の導体パターン14bの機能を兼ね備えている。
【0046】
また、この第4実施形態においては、電子部品2とコネクタピン15aの双方に近接する導体パターン14aが、第1コネクタピン15aに対して電気的に接続しないよう設定されていると共に、電子部品2の筐体と部分的に重なるように設定されている。
【0047】
そして、放熱材19が、電子部品2と、この電子部品2に近接する貫通穴16a及び貫通穴16bに挿入される第1コネクタピン15aとの間の空間を埋めるように設けられている。
【0048】
尚、図7は、回路基板3の表面3aを模式的に示した説明図であり、電子部品2の端子については省略している(図示していない)。また、電子部品2の端子(図示せず)が接続される回路基板3の表面3aに形成された電子回路構成用の導体パターン14aについも簡略化して示している。
【0049】
このような第4実施形態においては、電子回路構成用の導体パターン14a及び放熱材19により、電子部品2で発生した熱を、第1実施形態に比べてより広範囲の第1コネクタピン15aに対して伝導することができる。
【0050】
従って、この第4実施形態においても、上述した第1実施形態のように、電子部品2で発生した熱を、電子部品2が近接するコネクタピン15に伝導することができるので、回路基板3の裏面3bのうち、電子部品2の裏側の位置に電子部品を実装することが可能となり、回路基板3を大きくすることなく回路基板3の実質的な部品実装面積を拡大することができる。
【0051】
尚、この第4実施形態では、電子回路構成用の導体パターン14aが電子部品2に近接する第1コネクタピン15aに電気的に接続されていない(接触していない)分だけ、第1実施形態に比べて、放熱用の導体パターン14bと第1コネクタピン15aとの間の熱伝導性は低下することになる。
【0052】
図8及び図9は、本発明の第5実施形態を示している。この第5実施形態における電子装置51は、上述した第1実施形態の電子制御装置1と略同一構成となっているが、電子部品2が第1コネクタピン15aよりも断面積の大きい第2コネクタピン15bに近接するよう実装され、電子部品2で発生した熱が、第2コネクタピン15bと、この第2コネクタピン15bに隣接する第1コネクタピン15aとに伝導するように構成されている。すなわち、電子部品2は、第2コネクタピン15bに対向し、第2コネクタピン15bに隣接した第1コネクタピン15aに対してオフセットした位置に実装されているので、電子部品2で発生した熱を放熱効果の高い(断面積の大きい)第2コネクタピンに優先的に伝熱させることができる。また、電子部品2と、この電子部品2に近接する第2コネクタピン15b及び第1コネクタピン15aとの間に放熱材が充填されない構成となっている。
【0053】
尚、図8中の52は、電子回路構成用の導体パターン14aに接続された電子部品2の端子である。
【0054】
この第5実施形態における電子部品2は、発熱量の大きい電子部品となっており、電子部品2の裏面に無電位(グランド)のヒートシンク53が設けられている。そして、放熱用の導体パターン14bが、電子部品2の端子52が設けられていない部分を横切って当該電子部品2の下面まで延長するよう形成されており、電子部品2の下面おいてヒートシンク53と対向している。
【0055】
このような第5実施形態においては、回路基板3の表面3a側に設けた放熱用の導体パターン14bにより、電子部品2で発生した熱を、電子部品2に近接する第1コネクタピン15a及び第2コネクタピン15bに伝導することができる。
【0056】
従って、この第5実施形態においても、上述した第1実施形態のように、電子部品2で発生した熱を、電子部品2が近接するコネクタピン15に伝導することができるので、回路基板3の裏面3bのうち、電子部品2の裏側の位置に電子部品を実装することが可能となり、回路基板3を大きくすることなく回路基板3の実質的な部品実装面積を拡大することができる。
【0057】
尚、この第5実施形態では、放熱用の導体パターン14bに対してヒートシンク53が接触している構成となっているが、放熱用の導体パターン14bとヒートシンク53とを必ずしも直接接触させる必要はなく、導体パターン14bとヒートシンク53との間に、隙間や接着材等を介在させる構成としてもよい。但し、放熱用の導体パターン14bとヒートシンク53とを直接接触させる方が放熱性の観点では有利な構成である。
【0058】
この第5実施形態のように、断面積が大きい(熱容量が大きい)第2コネクタピン15bに電子部品2で発生した熱を伝導させる方が、効率よく電子部品2で発生した熱を放熱させることができ、特に電子部品2に発生する熱が大きい場合には有利である。
【0059】
ここで、この第5実施形態においても、上述した第1、第2、第4実施形態と同様に、電子部品2とこの電子部品2に近接する第1コネクタピン15aとの間に放熱材を介在させ、電子部品2に近接する第1コネクタピン15aに対して電子部品2で発生した熱を伝導させるよう構成することも可能である。
【0060】
また、上述した各実施形態では、実質的に、放熱用の導体パターン14b上に、電子部品2が配置された構成となっているが、電子部品2と、放熱用の導体パターン14bとを電気的に接続できない場合には、放熱用の導体パターン14b上に電子部品2を配置せず、図10に示す電子制御装置61のように、電子部品2に近接するように放熱用の導体パターン14bを回路基板3の表面3aに形成するようにしてもよい。
【0061】
また、放熱用の導体パターン14b上に電子部品2を配置しない場合には、図11に示す電子制御装置71のように、放熱用の導体パターン14bの電子部品2に近接する側(図11における上側)及び電子回路構成用の導体パターン14aの第1コネクタピン15aに近接する側(図11における下側)を、それぞれ略櫛歯状に形成し、両者の略櫛歯状の部分が互い違いに組み合わさるように構成すれば、放熱用の導体パターン14bと電子回路構成用の導体パターン14aとの間で熱の伝導が一層促進されることになる。
【0062】
尚、上述した各実施形態において、回路基板3の表面3aに放熱材19が設けられる場合、回路基板3の表面3aのうちこの放熱材19に覆われる(密着する)部分については、レジストを塗布しないことも可能であり、この場合、前記レジストがない分、熱伝導性を向上できる。
【0063】
また、上述した各実施形態において、放熱材19を電子部品2と筐体5の間に充填するようにすれば、コネクタピン15への放熱に加え、筐体5への放熱も合わせて行えるようになり、放熱効果を高めることができる。
【0064】
上述した各実施形態から把握し得る前記請求項以外の発明の技術的思想について以下に列記する。
【0065】
[請求項a]
前記コネクタピンは、前記回路基板を貫通するものであって、前記回路基板の他方の面において、前記コネクタピンに近接させた発熱部品の裏側に、該発熱部品よりも発熱量の少ない第2の発熱部品が実装されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電子制御装置。
【符号の説明】
【0066】
1…電子制御装置
2…電子部品
3…回路基板
3a…表面
3b…裏面
4…コネクタ
5…筐体
6…ケース
14…導体パターン
14a…導体パターン
14b…導体パターン
15…コネクタピン
15a…第1コネクタピン
15b…第2コネクタピン
16…貫通穴
16a…貫通穴
16b…貫通穴
17…車両側コネクタ
18…ハーネス
19…放熱材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が実装された回路基板と、該回路基板の一方の面に取り付けられ、前記回路基板に形成される電子回路と外部機器とを電気的に接続するコネクタと、を有し、前記コネクタのコネクタピンが前記回路基板の一方の面側から前記回路基板に接続された電子制御装置において、
前記回路基板の一方の面に設けられる電子部品のうち発熱性のある発熱部品を前記コネクタピンに近接するよう実装すると共に、前記コネクタピンに近接させた発熱部品及び該発熱部品が近接する前記コネクタピンの双方に近接する導体パターンを、前記回路基板の一方の面に設け、前記発熱部品で発生した熱を前記コネクタピンに伝導することを特徴とする電子制御装置。
【請求項2】
前記コネクタピンに近接させた発熱部品と該発熱部品が近接する前記コネクタピンとの間に放熱材が充填されていることを特徴とする請求項1に記載の電子制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−195525(P2012−195525A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60057(P2011−60057)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】