説明

電子印刷機制御装置及び電子印刷機の準備運転方法

【課題】電子印刷機の印刷品質の低下を抑制すること。
【解決手段】制御装置70は、液体トナーポンプ25cと、回収ポンプ25dと、回収ポンプ25eとの各作動を制御する。制御装置70は、電子印刷機10による印刷を完了してから所定時間が経過したと判定すると、または、供給通路F04と、供給通路F05と、回収通路F06と、回収通路F07との内部にキャリアを流す通路クリーニング運転が完了していると判定すると、電子印刷機10による印刷の開始前に準備運転を実行する。準備運転として、制御装置70は、液体トナーポンプ25cと、回収ポンプ25dと、回収ポンプ25eとを作動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子印刷機制御装置及び電子印刷機の準備運転方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液体トナーを用いた電子印刷機が提案されている。液体トナーは、熱可塑性樹脂及び顔料(染料)等により構成された固形分としてのトナーがキャリア内に分散されたものである。このような電子印刷機には、電力の供給が開始されてから印刷開始前に準備運転を実行するものがある。例えば、特許文献1には、準備運転として、液体トナーを攪拌する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−296905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液体トナーは、トナーが重力によってキャリア内で次第に沈殿する。よって、印刷が長期間実行されないと、トナーは、液体トナーが流れる通路内で沈殿して凝集するおそれがある。凝集したトナーが現像ユニットに導かれると、電子印刷機は、印刷品質が低下する。特許文献1に記載の攪拌ローラは、液体トナーの攪拌を促進するものであり、通路内の古い液体トナーを新しいトナーに置き換えることはできない。よって、特許文献1に開示されている技術では、通路内の古い液体トナーが現像ユニットに導かれる場合がある。よって、特許文献1に開示されている技術では、電子印刷機の印刷品質の低下を抑制できない場合がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、電子印刷機の印刷品質の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る電子印刷機制御装置は、キャリアとトナーとを含む液体トナーを収納可能なタンクから、電子印刷機の現像ユニットへ前記液体トナーを供給可能な液体トナー供給手段と、前記現像ユニットから前記液体トナーを回収可能な液体回収手段と、の各作動を制御し、前記電子印刷機による印刷を完了してから所定時間が経過したと判定すると、前記電子印刷機による印刷の開始前に準備運転として、前記液体回収手段と、前記液体トナー供給手段と、を作動させることを特徴とする。
【0007】
電子印刷機による印刷を実行してから所定時間が経過した場合、供給通路及び回収通路内のトナーは沈殿し、凝集している。凝集したトナーが現像ユニットに導かれると、電子印刷機は、印刷品質が低下する。しかしながら、本発明に係る電子印刷機制御装置は、印刷の開始前に通路内の液体トナーを回収させ、新たな液体トナーを現像ユニットに供給する。これにより、本発明に係る電子印刷機制御装置は、通路内の古い液体トナーと新しい液体トナーとの置き換えを促進させることができる。よって、本発明に係る電子印刷機制御装置は、電子印刷機の印刷品質の低下を抑制できる。
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る電子印刷機制御装置は、キャリアとトナーとを含む液体トナーを収納可能なタンクから、電子印刷機の現像ユニットへ供給通路を介して前記液体トナーを供給可能な液体トナー供給手段と、前記現像ユニットから回収通路を介して前記液体トナー及び前記キャリアを回収可能な液体回収手段と、の各作動を制御し、前記供給通路及び前記回収通路内に前記キャリアを流す通路クリーニング運転が完了していると判定すると、前記電子印刷機による印刷の開始前に準備運転として、前記液体回収手段と、前記液体トナー供給手段と、を作動させることを特徴とする。
【0009】
通路クリーニング運転を前回実行した場合、供給通路及び回収通路内の液体トナーは、キャリアに置き換えられている。よって、電子印刷機は、この状態のまま印刷を実行すると、印刷品質が低下する(実質的には印刷が不可能となる)。しかしながら、本発明に係る電子印刷機制御装置は、印刷の開始前に回収通路内の液体トナーを回収させ、供給通路を介して新たな液体トナーを現像ユニットに供給する。これにより、本発明に係る電子印刷機制御装置は、供給通路内のキャリアと新しい液体トナーとの置き換えを促進させることができる。よって、本発明に係る電子印刷機制御装置は、電子印刷機の印刷品質の低下を抑制できる。
【0010】
本発明の好ましい態様としては、前記現像ユニットに前記供給通路を介して前記キャリアを供給可能なキャリア供給手段の作動を制御し、前記通路クリーニング運転として、前記キャリア供給手段を作動させ、かつ、前記液体回収手段によって前記キャリアを前記現像ユニットから回収させることが望ましい。
【0011】
上記構成により、本発明に係る電子印刷機制御装置は、供給通路内の液体トナーとキャリアとの置き換えを促進させることができる。よって、電子印刷機は、供給通路内のトナーが沈殿して凝集することに起因して供給通路がトナーで詰まるおそれを低減できる。
【0012】
本発明の好ましい態様としては、前記回収通路にキャリアを直接供給可能なキャリア直接供給手段の作動を制御し、前記通路クリーニング運転として、前記キャリア直接供給手段を作動させることが望ましい。
【0013】
上記構成により、本発明に係る電子印刷機制御装置は、回収通路に直接キャリアを供給できる。よって、本発明に係る電子印刷機制御装置は、回収通路にトナーが詰まるおそれを低減できる。
【0014】
本発明の好ましい態様としては、前記通路クリーニング運転として、前記液体回収手段によって前記現像ユニットから前記液体トナーを回収させることが望ましい。
【0015】
上記構成により、本発明に係る電子印刷機制御装置は、まず、現像ユニットから液体トナーを回収させ、次に、キャリアを現像ユニットへ供給することができる。これにより、本発明に係る電子印刷機制御装置は、通路内の液体トナーとキャリアとの置き換えをより好適に促進できる。
【0016】
本発明の好ましい態様としては、前記通路クリーニング運転として、前記液体トナー供給手段を作動させることが望ましい。
【0017】
上記構成により、本発明に係る電子印刷機制御装置は、新たな液体トナーで、古い液体トナーを押し出すことができる。これにより、本発明に係る電子印刷機制御装置は、古い液体トナーの排出をより好適に促進できる。
【0018】
本発明の好ましい態様としては、前記タンク内の前記液体トナーの温度を調節可能な温度調節手段の作動を制御し、前記準備運転として、前記温度調節手段を作動させることが望ましい。
【0019】
液体トナーの温度は、電子印刷機の印刷品質に影響する。しかしながら、本発明に係る電子印刷機制御装置は、液体トナーの温度を適温にあらかじめ調節できる。よって、本発明に係る電子印刷機制御装置は、電子印刷機の印刷品質の低下を抑制できる。
【0020】
本発明の好ましい態様としては、前記タンク内の前記液体トナーを攪拌可能な攪拌手段と、前記タンク内の前記液体トナーに含まれる凝集したトナーを分散可能な分散手段と、の各作動を制御し、前記準備運転として、前記攪拌手段と、前記分散手段と、を作動させることが望ましい。
【0021】
上記構成により、本発明に係る電子印刷機制御装置は、凝集したトナーをあらかじめ分散させ、かつ、液体トナーの濃度の偏りをあらかじめ低減できる。よって、本発明に係る電子印刷機制御装置は、電子印刷機の印刷品質の低下を抑制できる。
【0022】
本発明の好ましい態様としては、前記タンクに新たな液体トナーを供給可能な液体トナー追加手段と、前記タンクに前記キャリアを供給可能なキャリア追加手段と、の各作動を制御し、前記準備運転として、前記液体トナー追加手段と前記キャリア追加手段との少なくとも一方によって前記タンク内の前記液体トナーの前記キャリアに対する前記トナーの濃度を調節させることが望ましい。
【0023】
上記構成により、本発明に係る電子印刷機制御装置は、液体トナーの濃度をあらかじめ適当に調節できる。よって、本発明に係る電子印刷機制御装置は、電子印刷機の印刷品質の低下を抑制できる。
【0024】
本発明の好ましい態様としては、前記準備運転として、前記液体トナー追加手段と前記キャリア追加手段との少なくとも一方によって前記タンク内の前記液体トナーの液量を調節させることが望ましい。
【0025】
上記構成により、本発明に係る電子印刷機制御装置は、あらかじめタンク内の液体トナーの液量を適当に調節できる。
【0026】
本発明の好ましい態様としては、前記タンクに新たな液体トナーを供給可能な液体トナー追加手段と、前記タンクに前記キャリアを供給可能なキャリア追加手段と、の各作動を制御し、前記電子印刷機による印刷中に実行する印刷中液体トナー調整運転として、前記液体トナー追加手段と前記キャリア追加手段との少なくとも一方によって前記タンク内の前記液体トナーの前記キャリアに対する前記トナーの濃度を調節させることが望ましい。
【0027】
上記構成により、本発明に係る電子印刷機制御装置は、液体トナーの濃度を印刷中に適当に調節できる。よって、本発明に係る電子印刷機制御装置は、電子印刷機の印刷品質の低下を抑制できる。
【0028】
本発明の好ましい態様としては、前記印刷中液体トナー調整運転として、前記液体トナー追加手段と前記キャリア追加手段との少なくとも一方によって前記タンク内の前記液体トナーの液量を調節させることが望ましい。
【0029】
上記構成により、本発明に係る電子印刷機制御装置は、印刷中にタンク内の液体トナーの液量を適当に調節できる。
【0030】
本発明の好ましい態様としては、前記タンク内の前記液体トナーの温度を調節可能な温度調節手段の作動を制御し、前記印刷中液体トナー調整運転として、前記温度調節手段を作動させることが望ましい。
【0031】
液体トナーの温度は、電子印刷機の印刷品質に影響する。しかしながら、本発明に係る電子印刷機制御装置は、印刷中に液体トナーの温度を適温に調節できる。よって、本発明に係る電子印刷機制御装置は、電子印刷機の印刷品質の低下を抑制できる。
【0032】
本発明の好ましい態様としては、前記タンク内の前記液体トナーを攪拌可能な攪拌手段と、前記タンク内の前記液体トナーに含まれる凝集したトナーを分散可能な分散手段と、の各作動を制御し、前記印刷中液体トナー調整運転として、前記攪拌手段と、前記分散手段と、を作動させることが望ましい。
【0033】
上記構成により、本発明に係る電子印刷機制御装置は、凝集したトナーを印刷中に分散させ、かつ、液体トナーの濃度の偏りを印刷中に低減できる。よって、本発明に係る電子印刷機制御装置は、電子印刷機の印刷品質の低下を抑制できる。
【0034】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る電子印刷機の準備運転方法は、電子印刷機による印刷を完了してから所定時間が経過した場合に、前記電子印刷機による印刷の開始前に、キャリアとトナーとを含む液体トナーを収納可能なタンクから、前記電子印刷機の現像ユニットへ前記液体トナーを供給する手順と、前記現像ユニットから前記液体トナーを回収する手順と、を含むことを特徴とする。
【0035】
電子印刷機による印刷を実行してから所定時間が経過した場合、供給通路及び回収通路内のトナーは沈殿し、凝集している。凝集したトナーが現像ユニットに導かれると、電子印刷機は、印刷品質が低下する。しかしながら、本発明に係る電子印刷機の準備運転方法を用いれば、印刷の開始前に通路内の液体トナーを回収させ、新たな液体トナーを現像ユニットに供給できる。これにより、本発明に係る電子印刷機の準備運転方法を用いれば、通路内の古い液体トナーと新しい液体トナーとの置き換えを促進させることができる。よって、本発明に係る電子印刷機の準備運転方法を用いれば、電子印刷機の印刷品質の低下を抑制できる。
【0036】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る電子印刷機の準備運転方法は、電子印刷機の現像ユニットに液体トナーを供給するための供給通路にキャリアを流す通路クリーニング運転を完了した場合に、前記電子印刷機による印刷の開始前に、キャリアとトナーとを含む液体トナーを収納可能なタンクから、前記電子印刷機の現像ユニットへ前記液体トナーを供給する手順と、前記現像ユニットから前記液体トナーを回収する手順と、を含むことを特徴とする。
【0037】
通路クリーニング運転を前回実行した場合、供給通路及び回収通路内の液体トナーは、キャリアに置き換えられている。よって、電子印刷機は、この状態のまま印刷を実行すると、印刷品質が低下する(実質的には印刷が不可能となる)。しかしながら、本発明に係る電子印刷機の準備運転方法を用いれば、印刷の開始前に回収通路内の液体トナーを回収させ、供給通路を介して新たな液体トナーを現像ユニットに供給する。これにより、本発明に係る電子印刷機の準備運転方法を用いれば、供給通路内のキャリアと新しい液体トナーとの置き換えを促進させることができる。よって、本発明に係る電子印刷機の準備運転方法を用いれば、電子印刷機の印刷品質の低下を抑制できる。
【発明の効果】
【0038】
本発明は、電子印刷機の印刷品質の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は、電子印刷機を模式的に示す説明図である。
【図2】図2は、液体トナー調整装置を模式的に示す説明図である。
【図3】図3は、制御装置が含む機能を説明するブロック図である。
【図4】図4は、準備運転手順を示すフローチャートである。
【図5】図5は、印刷中液体トナー調整運転手順を示すフローチャートである。
【図6】図6は、通路クリーニング運転手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【0041】
(実施形態)
本実施形態の電子印刷機は、液体現像電子写真方式の印刷機である。電子印刷機は、給紙部と印刷部と排紙部とを含む。給紙部は、例えば、枚葉紙である印刷シートを1枚ずつ給紙トレイから印刷部へと供給できる。印刷部は、供給された印刷シートの片方の面または両方の面に対して印刷を施せる。排紙部は、印刷部により片面または両面印刷された印刷シートを排紙トレイに排紙できる。
【0042】
図1は、電子印刷機を模式的に示す説明図である。以下、本実施形態の電子印刷機10について詳細に説明する。図1に示すように、印刷部11は、中間転写体12と、バックアップローラ13と、複数(本実施形態では、4つ)の現像ユニット14a、14b、14c、14dと、液体トナー供給装置20と、クリーニング装置30と、液体トナー回収装置40と、固形分分離装置50と、電子印刷機制御装置としての制御装置70とを含む。なお、図示しないが、印刷部11は、この他に、印刷シート搬送装置、トナー定着装置などを含む。この場合、印刷部11は、プロセスカラー印刷を施せるように構成される。現像ユニット14a、14b、14c、14dの各現像ユニットは、C(藍)、M(紅)、Y(黄)、K(墨)のプロセスカラー各色に対応するものである。
【0043】
印刷部11は、液体トナーTにより印刷を施す。液体トナーTは、トナーがキャリア中に分散されて配合されたものである。トナーは、熱可塑性素材と色素(顔料あるいは染料)とにより形成される粒子状のものである。キャリアは、石油系の溶剤(例えば、非極性、パラフィン系溶剤として、ミネラルオイルなど)である。液体トナーTは、平均粒径1〜2μm程度の粒子状のトナーが重量比で10〜40パーセント程度の濃度で、キャリアに含有されたものである。
【0044】
中間転写体12は、バックアップローラ13と対接する。中間転写体12は、この対接部分にニップ部(転写位置)N1を形成する。中間転写体12は、外周面にブランケット12aが巻き付けられる。ブランケット12aは、ウレタン系導電性ゴムにより構成される。中間転写体12は、感光ドラム15とバイアス電圧を持っている。
【0045】
バックアップローラ13は、中間転写体12に対して所定の圧力、例えば、1〜13kg/cm程度で圧力を加えるように配設される。バックアップローラ13は、中間転写体12との対接部分に上述したニップ部N1を形成する。このため、印刷シートSは、中間転写体12とバックアップローラ13との間を搬送されることで、所定のニップ圧が付与される。バックアップローラ13は、例えば、−800V程度の転写バイアスが印加される。これにより、印刷部11は、中間転写体12と、バックアップローラ13のバイアス電圧との差により、中間転写体12からバックアップローラ13側へ引き付ける力を液体トナーTに与える。このようにして、印刷部11は、中間転写体12から印刷シートSへの液体トナーTの静電転写を促進する。
【0046】
現像ユニット14a、14b、14c、14dの各現像ユニットは、中間転写体12の周囲にその回転方向に沿って並設される。現像ユニット14a、14b、14c、14dの各現像ユニットは、中間転写体12へ導く液体トナーTの色が異なるが、その構成は同様である。そのため、以下では、現像ユニット14aについて詳細に説明する。
【0047】
現像ユニット14aは、感光ドラム15と、供給パン16aと、液体トナー搬送ローラ16bとを含む。感光ドラム15は、外周面に感光層が形成される。感光層は、アモルファスシリコン(a−Si)や感光性ポリマー等の感光剤を含んで形成される。感光ドラム15は、ニップ部N2で中間転写体12と対接する。供給パン16aは、液体トナーTを溜める容器である。液体トナー搬送ローラ16bは、供給パン16aから感光ドラム15へ液体トナーTを搬送する。上記構成により、現像ユニット14aは、液体トナー搬送ローラ16bによって供給パン16aから感光ドラム15の外周部へ導かれた液体トナーTを中間転写体12へ転写できる。
【0048】
液体トナー供給装置20は、コンクタンク21と、キャリアタンク22と、液体トナー調整装置60と、切替弁23aと、切替弁23bと、通路群と、液体トナー追加手段としてのコンクポンプ25aと、キャリアポンプ25bと、液体トナー供給手段としての液体トナーポンプ25cと、液体回収手段としての回収ポンプ25d及び回収ポンプ25eと、回収ブレード26と、濃度センサ27aと、レベルセンサ27bと、温度センサ27cとを含む。コンクタンク21は、感光ドラム15に導かれる液体トナーTよりも高濃度の液体トナーT1を溜めるための容器である。コンクタンク21は、高濃度の液体トナーT1の容量が不足すると、ボトルトナー21aから高濃度の液体トナーT1が補充される。キャリアタンク22は、キャリアをためるための容器である。キャリアタンク22は、キャリアの容量が不足すると、キャリア缶22aからキャリアが補充される。
【0049】
液体トナー調整装置60は、分散タンク61と、攪拌タンク65とを含む。なお、液体トナー調整装置60のより詳細な構成は後述する。分散タンク61は、液体トナー搬送ローラ16bから回収された液体トナーTを溜めるための容器である。攪拌タンク65は、高濃度の液体トナーT1と、キャリアとの混合液、すなわち液体トナーTを溜めるための容器である。分散タンク61内の液体トナーTは、例えば、分散タンク61からオーバーフローすることで攪拌タンク65へ導かれる。
【0050】
切替弁23aは、キャリアタンク22内のキャリアの供給先を切り替えることができる電磁弁である。切替弁23bは、供給パン16aへ供給される液体の供給元を切り替えることができる電磁弁である。通路群は、通路F01から通路F09を含む。通路F01は、コンクタンク21と各現像ユニット用の複数の攪拌タンク65とを繋ぐ。通路F02は、キャリアタンク22と切替弁23aとを繋ぐ。通路F03は、切替弁23aと攪拌タンク65とを繋ぐ。供給通路F04は、攪拌タンク65と切替弁23bとを繋ぐ。供給通路F05は、切替弁23bと供給パン16aとを繋ぐ。回収通路F06は、供給パン16aと攪拌タンク65とを繋ぐ。回収通路F07は、回収ブレード26と分散タンク61とを繋ぐ。通路F08は、切替弁23aと切替弁23bとを繋ぐ。通路F09は、切替弁23aと回収通路F07とを繋ぐ。通路F09は、ブレード26に開口する。
【0051】
コンクポンプ25aは、通路F01に設けられる。コンクポンプ25aは、コンクタンク21内の高濃度の液体トナーT1を攪拌タンク65に導く。キャリアポンプ25bは、キャリア供給手段と、キャリア直接供給手段と、キャリア追加手段としての機能を実現するものである。キャリアポンプ25bは、通路F02に設けられる。キャリアポンプ25bは、キャリアタンク22内のキャリアを切替弁23aに導く。切替弁23aが通路F02と通路F03とを連通する場合、キャリアポンプ25bは、キャリアを攪拌タンク65に導く。切替弁23aが通路F02と通路F08とを連通し、かつ、切替弁23bが通路F08と供給通路F05とを連通する場合、キャリアポンプ25bは、キャリアを供給パン16aに導く。切替弁23aが通路F02と通路F09とを連通する場合、キャリアポンプ25bは、キャリアを回収通路F07に導く。
【0052】
液体トナーポンプ25cは、供給通路F04に設けられる。液体トナーポンプ25cは、攪拌タンク65内の液体トナーTを切替弁23bに導く。切替弁23bが供給通路F04と供給通路F05とを連通する場合、液体トナーポンプ25cは、供給パン16aに液体トナーTを導く。回収ポンプ25dは、回収通路F06に設けられる。回収ポンプ25dは、供給パン16a内の余剰な液体トナーTを攪拌タンク65へ戻す。
【0053】
回収ブレード26は、液体トナー搬送ローラ16bの外周部に接触する。回収ブレード26は、液体トナー搬送ローラ16bの外周部上の余剰な液体トナーTを回収する。ここでの余剰な液体トナーTとは、感光ドラム15の外周部へ転写されなかった液体トナーTである。具体的には、余剰な液体トナーTとは、液体トナー搬送ローラ16bの外周部上のうち非画線部にある液体トナーTである。回収ポンプ25eは、回収通路F07に設けられる。回収ポンプ25eは、回収ブレード26が回収した液体トナーTを分散タンク61へ導く。
【0054】
濃度センサ27aは、例えば、供給通路F04に設けられる。濃度センサ27aは、供給パン16aに導かれる液体トナーTの濃度を検出する。レベルセンサ27bは、攪拌タンク65に設けられる。レベルセンサ27bは、攪拌タンク65内の液体トナーTの液面Mの高さ(攪拌タンク65の底面65aと液面Mとの距離)を検出する。温度センサ27cは、攪拌タンク65に設けられる。温度センサ27cは、攪拌タンク65内の液体トナーTの温度を検出する。
【0055】
コンクタンク21と、分散タンク61と、攪拌タンク65と、コンクポンプ25aと、液体トナーポンプ25cと、回収ポンプ25dと、回収ポンプ25eと、回収ブレード26と、濃度センサ27aと、レベルセンサ27bと、温度センサ27cとは、それぞれ、現像ユニット14a、14b、14c、14dの現像ユニット毎に1つずつ設けられる。なお、キャリアタンク22及びキャリアポンプ25bは、各現像ユニットで共用である。キャリアポンプ25bは、キャリアタンク22から、各現像ユニット用の攪拌タンク65へキャリアを導く。なお、キャリアタンク22及びキャリアポンプ25bも、現像ユニット毎に1つずつ設けられてもよい。上記構成により、液体トナー供給装置20は、感光ドラム15の外周部に液体トナーTを導く。
【0056】
クリーニング装置30は、キャリアノズル31と、キャリアポンプ32と、第1クリーニングローラ33aと、第2クリーニングローラ33bと、回収ブレード34aと、回収ブレード34bと、回収ブレード34cとを含む。キャリアノズル31は、中間転写体12の外周部と対向して設けられる。具体的には、キャリアノズル31は、中間転写体12及びバックアップローラ13のニップ部N1と、中間転写体12及び一色目の感光ドラム15のニップ部N2との間に設けられる。キャリアノズル31は、キャリアを吐出して中間転写体12の外周部にキャリアを導く。
【0057】
キャリアポンプ32は、キャリアタンク22とキャリアノズル31とを繋ぐ通路に設けられる。キャリアポンプ32は、キャリアタンク22内のキャリアをキャリアノズル31へ導く。第1クリーニングローラ33a及び第2クリーニングローラ33bは、中間転写体12の外周部に対接して設けられる。第1クリーニングローラ33aは、現像ユニット14bの感光ドラム15と、現像ユニット14cの感光ドラム15との間に設けられる。第2クリーニングローラ33bは、現像ユニット14dの感光ドラム15と、バックアップローラ13との間に設けられる。第1クリーニングローラ33a及び第2クリーニングローラ33bは、印刷シートSへの印刷中に中間転写体12と接触して、中間転写体12の外周部上の液体トナーTの一部を回収する。これにより、第1クリーニングローラ33a及び第2クリーニングローラ33bは、中間転写体12の外周部上の液体トナーTを整える。
【0058】
回収ブレード34aは、第1クリーニングローラ33aの外周部に対向して設けられる。回収ブレード34aは、第1クリーニングローラ33aの外周部上の液体トナーTを回収する。回収ブレード34bは、第2クリーニングローラ33bの外周部に対向して設けられる。回収ブレード34bは、第2クリーニングローラ33bの外周部上の液体トナーTを回収する。回収ブレード34cは、中間転写体12の外周部と対向して設けられる。具体的には、回収ブレード34cは、キャリアノズル31と、現像ユニット14aの感光ドラム15との間に設けられる。回収ブレード34cは、キャリアノズル31から吐出されたキャリアによって希釈された液体トナーTを回収する。
【0059】
液体トナー回収装置40は、液体トナー回収ポンプ41aと、液体トナー回収ポンプ41bと、液体トナー回収ポンプ41cとを含む。液体トナー回収ポンプ41aは、回収ブレード34cと固形分分離装置50とを繋ぐ通路に設けられる。固形分分離装置50は、導かれた液体トナーTに含まれる固形分としてのトナーと、キャリアとの分離を促進し、含まれるトナーが低減された液体トナーT(主にキャリア)を回収する装置である。固形分分離装置50は、例えば、トナーを捕集可能、かつ、キャリアを通過させることが可能なフィルターを含む。
【0060】
液体トナー回収ポンプ41aは、回収ブレード34cが回収した液体トナーTを固形分分離装置50へ導く。液体トナー回収ポンプ41bは、回収ブレード34aと固形分分離装置50とを繋ぐ通路に設けられる。液体トナー回収ポンプ41bは、回収ブレード34aが回収した液体トナーTを固形分分離装置50へ導く。液体トナー回収ポンプ41cは、回収ブレード34bと固形分分離装置50とを繋ぐ通路に設けられる。液体トナー回収ポンプ41cは、回収ブレード34bが回収した液体トナーTを固形分分離装置50へ導く。
【0061】
ここで、図1に示す本実施形態の電子印刷機10は、含まれるトナーが固形分分離装置50によって低減されたキャリアを再利用する。このための構成として、電子印刷機10は、リサイクルキャリア供給ポンプ17を含む。リサイクルキャリア供給ポンプ17は、固形分分離装置50とキャリアタンク22とを繋ぐ通路に設けられる。本実施形態では、リサイクルキャリア供給ポンプ17は、固形分分離装置50とキャリアタンク22との間に設けられる。これにより、リサイクルキャリア供給ポンプ17は、含まれるトナーが固形分分離装置50によって低減されたキャリアをキャリアタンク22へ導く。次に、液体トナー調整装置60のより詳細な構成を説明する。
【0062】
図2は、液体トナー調整装置を模式的に示す説明図である。液体トナー調整装置60は、図2に示すように、分散タンク61と、分散用モータ62と、分散手段としてのインペラ型羽根車63と、排出部64と、攪拌タンク65と、攪拌用モータ66と、アンカー型羽根車67と、温度調節手段としての温度調節装置68とを含む。分散タンク61は、上述のように、液体トナー搬送ローラ16bから回収された液体トナーTが導かれるタンクである。すなわち、分散タンク61は、凝集したトナーが導かれる。
【0063】
分散用モータ62は、例えば、電気が供給されて回転力を発生する装置である。なお、分散用モータ62は、例えば、空気や液体などの流体が導かれて回転力を発生する装置でもよい。分散用モータ62は、例えば、支持体62aによって分散タンク61に取り付けられる。なお、分散用モータ62は、分散タンク61に取り付けられなくてもよく、例えば、電子印刷機10のフレームに支持体62aによって支持されてもよい。
【0064】
インペラ型羽根車63は、分散タンク61内の凝集したトナーにせん断力を付与できる羽根車である。インペラ型羽根車63は、例えば、円盤状の基部の周部に刃が形成された形状である。インペラ型羽根車63は、図2に示す分散用モータ62から回転力を得て回転する。インペラ型羽根車63は、分散タンク61内の液体トナーTに渦流を発生させることを目的とした羽根車ではなく、凝集したトナーの塊を切り裂くことでトナーを分散させることを目的とした羽根車である。インペラ型羽根車63は、分散タンク61に設けられる。本実施形態のインペラ型羽根車63の回転軸は、例えば、鉛直方向に沿う。但し、インペラ型羽根車63の回転軸は、鉛直方向に対して傾いていてもよいし、水平方向に沿っていてもよい。
【0065】
排出部64は、分散タンク61に形成される。排出部64は、分散タンク61の内部と外部とを連通する。排出部64は、例えば、孔である。但し、排出部64は、孔に限定されず、例えば、分散タンク61の上部開口61bに形成される切欠きでもよい。本実施形態の排出部64は、分散タンク61のうち鉛直方向上側(分散タンク61の上部開口61b側)に形成される。なお、排出部64が形成される部位は、分散タンク61のうち鉛直方向上側に限定されず、例えば、分散タンク61の鉛直方向での中央部に設けられてもよい。但し、排出部64が形成される部位が底面61a側に近づくほど、液面Mの高さ(底面61aからの距離)は、低くなる、すなわち、分散タンク61内に収納可能な液体トナーTの液量は減少する。よって、排出部64は、上部開口61b側に形成される方が好ましい。これにより、分散タンク61は、より多くの液体トナーTを収納できる。
【0066】
攪拌タンク65は、分散タンク61内の液体トナーTが排出部64を介して導かれることが可能な位置に設けられる。本実施形態の液体トナー調整装置60は、重力によって分散タンク61から攪拌タンク65へ液体トナーTを導く。よって、攪拌タンク65は、分散タンク61の鉛直方向真下に配置される。液体トナー調整装置60は、液体トナーTを排出部64からオーバーフローさせることにより、攪拌タンク65へ液体トナーTを導く。なお、液体トナー調整装置60は、排出部64と攪拌タンク65とを繋ぐ通路を有してもよい。この場合、攪拌タンク65は、分散タンク61の鉛直方向真下に配置される必要はなく、分散タンク61の鉛直方向下側であれば、例えば斜め下に配置されてもよい。
【0067】
また、液体トナー調整装置60は、ポンプによって排出部64から攪拌タンク65へ液体トナーTを導いてもよい。この場合、攪拌タンク65は、分散タンク61と同じ高さや、分散タンク61よりも鉛直方向上側に配置されてもよい。但し、攪拌タンク65は、分散タンク61の鉛直方向真下に配置されることが好ましい。これにより、液体トナー調整装置60は、通路(配管)や、ポンプなどの構成部材を省略できる。
【0068】
攪拌用モータ66は、例えば、電気が供給されて回転力を発生する装置である。なお、攪拌用モータ66は、例えば、空気や液体などの流体が導かれて回転力を発生する装置でもよい。攪拌用モータ66は、例えば、支持体66aによって攪拌タンク65に取り付けられる。なお、攪拌用モータ66は、攪拌タンク65に取り付けられなくてもよく、例えば、電子印刷機10のフレームに支持体66aによって支持されてもよい。
【0069】
アンカー型羽根車67は、攪拌タンク65内の液体トナーTに渦流を発生できる羽根車である。アンカー型羽根車67は、図2に示す攪拌用モータ66から回転力を得て回転する。アンカー型羽根車67は、凝集したトナーの塊を切り裂くことでトナーを分散させることを目的とした羽根車ではない。よって、アンカー型羽根車67は、インペラ型羽根車63よりも、液体トナーTに力を付与できる面積が大きく形成される。具体的には、アンカー型羽根車67は、インペラ型羽根車63よりも大きく形成される。また、アンカー型羽根車67の形状は、自身(アンカー型羽根車67)の回転軸に対して直交する部分67aと、回転軸に対して平行な部分67bとを含む。アンカー型羽根車67は、インペラ型羽根車63よりも、低速で回転してよい。本実施形態では、インペラ型羽根車63は、例えば200rpmで回転するのに対し、アンカー型羽根車67は、例えば100rpmで回転する。
【0070】
温度調節装置68は、攪拌タンク65に設けられる。温度調節装置68は、例えば、ペルチェ素子である。温度調節装置68は、電力が供給されることにより、攪拌タンク65内の液体トナーTの熱を外部へ移動させる。これにより、温度調節装置68は、攪拌タンク65内の液体トナーTを適温に調節する(冷却する)。次に、制御装置70について説明する。
【0071】
図3は、制御装置が含む機能を説明するブロック図である。制御装置70は、コンピュータである。制御装置70は、以下に説明する複数の機能を含む。制御装置70は、1つのコンピュータが複数の機能を有してもよいし、それぞれ個別の機能を有する複数のコンピュータが組み合わされて構成されてもよい。制御装置70は、図3に示すように、記憶部71と、入出力部72と、処理部73とを含む。
【0072】
記憶部71は、制御装置70が実行する手順が記されたコンピュータプログラムや、前記コンピュータプログラムを実行するために必要な情報や、前記コンピュータプログラムを実行する際に算出された情報を記憶する。入出力部72は、I/O(Input/Output)であり、各装置が電気的に接続される。具体的には、入出力部72は、コンクポンプ25aと、キャリアポンプ25bと、液体トナーポンプ25cと、回収ポンプ25dと、回収ポンプ25eと、分散用モータ62と、攪拌用モータ66と、切替弁23aと、切替弁23bと、濃度センサ27aと、レベルセンサ27bと、温度センサ27cと、温度調節装置68とが電気的に接続される。なお、入出力部72は、その他の装置と電気的に接続されてもよい。
【0073】
処理部73は、情報取得部74と、演算部75と、作動制御部76とを含む。情報取得部74は、記憶部71から情報を取得する。これにより、情報取得部74は、コンピュータプログラムや、前記コンピュータプログラムを実行するために必要な情報や、前記コンピュータプログラムを実行する際に算出された情報を取得する。また、情報取得部74は、入出力部72を介して、濃度センサ27aと、レベルセンサ27bと、温度センサ27cとから各種信号を取得する。これにより、情報取得部74は、液体トナーTの濃度や、攪拌タンク65内の液面Mの高さや、攪拌タンク65内の液体トナーTの温度を取得する。
【0074】
演算部75は、情報取得部74が取得した情報に基づいて、所定の演算を行う。また、演算部75は、情報取得部74が取得した情報に基づいて、複数の手順の中から次に実行する手順を判定する。作動制御部76は、各種装置の作動を制御するための信号を生成する。そして、作動制御部76は、入出力部72を介して、各種装置に前記信号を送信する。各種装置とは、例えば、コンクポンプ25aと、キャリアポンプ25bと、液体トナーポンプ25cと、回収ポンプ25dと、回収ポンプ25eと、分散用モータ62と、攪拌用モータ66と、切替弁23aと、切替弁23bと、温度調節装置68とである。
【0075】
図4は、準備運転手順を示すフローチャートである。以下、制御装置70は、数値として、経過時間α1と、経過時間α2と、温度α3と、濃度α4と、レベルα5とを取り扱う。また、制御装置70は、経過時間α1からレベルα5のそれぞれと対応する閾値α10と、閾値α20と、閾値α30と、閾値α40と、閾値α50とを取り扱う。経過時間α1及び経過時間α2は、初期値が設定されている。初期値は、例えば0である。制御装置70は、例えば、電子印刷機10への電力が開始されると(電源スイッチがONにされると)、以下の準備運転手順を実行する。または、制御装置70は、電子印刷機10により印刷を開始するための操作がなされると、印刷を開始する前に以下の準備運転手順を実行する。
【0076】
ステップST101で、演算部75は、準備運転開始条件が満たされたか否かを判定する。準備運転開始条件とは、電子印刷機10の印刷が完了してから現在までに経過した時間が所定時間以上となった場合と、直前に図6に示す通路クリーニング運転手順を制御装置70が実行した(通路クリーニング運転手順が完了した)場合との少なくとも一方である。ここで、電子印刷機10が前回印刷を実行してから現在までに経過した時間が増加すると、各通路内の液体トナーTは、トナーが自重によって沈殿する。前記所定時間は、トナーの沈殿量が許容範囲であるか否かを判定できる値である。また、前記直前とは、経過時間が僅かという意味ではなく、図6に示す通路クリーニング運転手順が完了してからステップST101を実行するまでの間に、印刷を実行していないことをいう。電子印刷機10が前回印刷を完了してから現在までに経過した時間情報と、直前に図6に示す通路クリーニング運転手順が完了しているか否かの情報とは、記憶部71によって記憶されている。演算部75は、記憶部71からこれらの情報を取得して、準備運転開始条件が満たされたか否かを判定する。
【0077】
準備運転開始条件が満たされていないと演算部75によって判定されると(ステップST101、No)、制御装置70は、一連の手順の実行を終了する。準備運転開始条件が満たされていると演算部75によって判定されると(ステップST101、Yes)、ステップST102で、情報取得部74は、経過時間α1を記憶部71から取得する。
【0078】
ステップST103で、演算部75は、経過時間α1が閾値α10以上であるか否かを判定する。経過時間α1は、後述するステップST104を最初に完了してから経過した時間である。最初にステップST103を実行する場合、演算部75は、経過時間α1を初期値である0として取り扱う。閾値α10は、インペラ型羽根車63による分散タンク61内の液体トナーTに含まれるトナーの分散が十分であり、かつ、アンカー型羽根車67による攪拌タンク65内の液体トナーTの攪拌が十分であると判定できる値である。
【0079】
経過時間α1が閾値α10よりも小さいと演算部75によって判定されると(ステップST103、No)、ステップST104で、作動制御部76は、分散用モータ62及び攪拌用モータ66の作動を開始、または維持させる。これにより、制御装置70は、凝集したトナーをあらかじめ分散させ、かつ、液体トナーTの濃度の偏りをあらかじめ低減できる。よって、制御装置70は、電子印刷機10の印刷品質の低下を抑制できる。なお、以下の説明では、「開始、または維持させる」という表現を用いる。これは、作動制御部76が、最初にそのステップを実行する場合は各装置の作動を開始させ、2回目以降にそのステップを実行する場合は、各装置の作動を維持させるという意味である。
【0080】
次に、ステップST105で、演算部75は、経過時間α1に1を加算する。なお、この1が意味する時間は、処理部73の処理速度によって異なる。演算部75によって算出された新たな経過時間α1は、記憶部71によって記憶される。
【0081】
経過時間α1が閾値α10以上であると演算部75によって判定されるか(ステップST103、Yes)、またはステップST105を実行すると、ステップST106で、情報取得部74は、経過時間α2を記憶部71から取得する。
【0082】
次に、ステップST107で、演算部75は、経過時間α2が閾値α20以上であるか否かを判定する。経過時間α2は、後述するステップST108を最初に実行してから経過した時間である。最初にステップST107を実行する場合、演算部75は、経過時間α2を初期値である0として取り扱う。閾値α20は、液体トナーポンプ25cと、回収ポンプ25dと、回収ポンプ25eとによる液体トナーTの循環が十分であると判定できる値である。
【0083】
経過時間α2が閾値α20よりも小さいと演算部75によって判定されると(ステップST107、No)、ステップST108で、作動制御部76は、切替弁23bの作動を制御して、供給通路F04と供給通路F05とを連通させる。
【0084】
次に、ステップST109で、作動制御部76は、液体トナーポンプ25cと、回収ポンプ25dと、回収ポンプ25eと、液体トナー搬送ローラ16bとの作動を開始、または維持させる。これにより、制御装置70は、印刷の開始前に各通路内の液体トナーTを回収させ、また、新たな液体トナーTを各現像ユニットに供給させる。これにより、制御装置70は、各通路内の古い液体トナーTと新しい液体トナーTとの置き換えを促進させることができる。よって、制御装置70は、電子印刷機10の印刷品質の低下を抑制できる。
【0085】
次に、ステップST110で、演算部75は、経過時間α2に1を加算する。なお、この1が意味する時間は、処理部73の処理速度によって異なる。演算部75によって算出された新たな経過時間α2は、記憶部71によって記憶される。
【0086】
経過時間α2が閾値α20以上であると演算部75によって判定されるか(ステップST107、Yes)、またはステップST110を実行すると、ステップST111で、情報取得部74は、記憶部71から経過時間α1及び経過時間α2を取得する。次に、ステップST112で、演算部75は、経過時間α1が閾値α10以上であり、かつ、経過時間α2が閾値α20以上であるか否かを判定する。経過時間α1が閾値α10以上であることと、経過時間α2が閾値α20以上であることとのうち、1つでも満たされていないと演算部75によって判定されると(ステップST112、No)、制御装置70は、ステップST102へ戻る。
【0087】
経過時間α1が閾値α10以上であり、かつ、経過時間α2が閾値α20以上であると演算部75によって判定されると(ステップST112、Yes)、ステップST113で、情報取得部74は、温度センサ27cから攪拌タンク65内の液体トナーTの温度α3を取得し、濃度センサ27aから攪拌タンク65内の液体トナーTの濃度α4を取得し、レベルセンサ27bから攪拌タンク65内の液体トナーTのレベルα5(液面Mの高さ)を取得する。
【0088】
次に、ステップST114で、演算部75は、温度α3が閾値α31以上閾値α32以下であり、かつ、濃度α4が閾値α41以上閾値α42以下であり、かつ、レベルα5が閾値α51以上閾値α52以下であるか否かを判定する。ここで、液体トナーTは、温度が上昇すると液体トナーTに含まれるトナーの分散機能が低下する。閾値α31及び閾値α32は、攪拌タンク65内のトナーの分散機能の低下が許容できる温度の範囲である。閾値α41及び閾値α42は、攪拌タンク65内の液体トナーTの適当な濃度の範囲である。閾値α51及び閾値α52は、攪拌タンク65内の液面Mの適当な高さである。
【0089】
温度α3が閾値α31以上閾値α32以下であることと、濃度α4が閾値α41以上閾値α42以下であることと、レベルα5が閾値α51以上閾値α52以下であることとのうち、1つでも満たされていないと演算部75によって判定されると(ステップST114、No)、ステップST115で、演算部75は、温度α3が閾値α31以上閾値α32以下であるか否かを判定する。
【0090】
温度α3が閾値α31以上閾値α32以下ではないと演算部75によって判定されると(ステップST115、No)、ステップST116で、作動制御部76は、温度調節装置68の作動を開始、または維持させる。これにより、作動制御部76は、液体トナーTの温度の自動調整を開始、または維持させる。これにより、制御装置70は、液体トナーTの温度を適温にあらかじめ調節できる。よって、制御装置70は、電子印刷機10の印刷品質の低下を抑制できる。
【0091】
温度α3が閾値α31以上閾値α32以下であると演算部75によって判定されるか(ステップST115、Yes)、またはステップST116を実行すると、ステップST117で、演算部75は、濃度α4が閾値α41以上閾値α42以下であるか否かを判定する。
【0092】
濃度α4が閾値α41以上閾値α42以下ではないと演算部75によって判定されると(ステップST117、No)、ステップST118で、作動制御部76は、切替弁23aの作動を制御して、通路F02と、通路F03とを連通させる。
【0093】
次に、ステップST119で、作動制御部76は、コンクポンプ25aまたはキャリアポンプ25bとのうちの少なくとも一方の作動を制御して、攪拌タンク65へコンクタンク21内の液体トナーT1や、キャリアタンク22内のキャリアを導かせる。これにより、作動制御部76は、攪拌タンク65内の液体トナーTの濃度の調節を開始、または維持させる。これにより、作動制御部76は、攪拌タンク65内の液体トナーTの濃度をあらかじめ適当に調節させることができる。よって、制御装置70は、電子印刷機10の印刷品質の低下を抑制できる。
【0094】
濃度α4が閾値α41以上閾値α42以下であると演算部75によって判定されるか(ステップST117、Yes)、またはステップST119を実行すると、ステップST120で、演算部75は、レベルα5が閾値α51以上閾値α52以下であるか否かを判定する。
【0095】
レベルα5が閾値α51以上閾値α52以下ではないと演算部75によって判定されると(ステップST120、No)、ステップST121で、作動制御部76は、切替弁23aの作動を制御して、通路F02と、通路F03とを連通させる。
【0096】
次に、ステップST122で、作動制御部76は、コンクポンプ25a及びキャリアポンプ25bの作動を制御して、攪拌タンク65へコンクタンク21内の液体トナーT1を攪拌タンク65へ導かせ、また、キャリアタンク22内のキャリアを攪拌タンク65へ導かせる。これにより、作動制御部76は、攪拌タンク65内の液体トナーTのレベル調節を開始、または維持させることができる。
【0097】
レベルα5が閾値α51以上閾値α52以下であると演算部75によって判定されるか(ステップST120、Yes)、またはステップST122を実行すると、制御装置70は、ステップST113へ戻る。温度α3が閾値α31以上閾値α32以下であり、かつ、濃度α4が閾値α41以上閾値α42以下であり、かつ、レベルα5が閾値α51以上閾値α52以下であると演算部75によって判定されると(ステップST114、Yes)、制御装置70は、一連の手順の実行を終了する。
【0098】
準備運転開始条件が満たされている場合、電子印刷機10は、液体トナーTの調整が必要である。具体的には、電子印刷機10の印刷が完了してから現在までに経過した時間が所定時間以上である場合、各通路内の液体トナーTは、トナーが自重によって沈殿している。また、液体トナーTは、トナーが凝集している場合もある。一方、直前に図6に示す通路クリーニング運転手順が完了している場合、各通路内の液体は、そのほとんどがキャリアとなっている。
【0099】
本実施形態の制御装置70が上記手順を実行することにより、制御装置70は、供給通路F04と供給通路F05と回収通路F06と回収通路F07との各通路内の液体トナーTを排出させると共に、新たな液体トナーTへの置き換えを促進させることができる。また、制御装置70は、電子印刷機10による印刷の開始前に、あらかじめ、攪拌タンク65内の液体トナーTの温度を適温に調節させることと、攪拌タンク65内の液体トナーTの濃度を適当に調節させることと、攪拌タンク65内の液体トナーTのレベルを適当に調節させることと、攪拌タンク65内の液体トナーTを攪拌させて液体トナーTの濃度の偏りを低減させることと、分散タンク61内の液体トナーTに含まれるトナーの分散を促進させることとができる。これにより、電子印刷機10は、次回、印刷の開始が要求された際に、液体トナーTの調整が完了した状態で迅速に印刷を開始できる。また、制御装置70は、電子印刷機10の印刷品質の低下を抑制できる。
【0100】
図5は、印刷中液体トナー調整運転手順を示すフローチャートである。制御装置70は、例えば、電子印刷機10による印刷を開始するための操作がなされると、以下の印刷中液体トナー調整運転手順を実行する。ステップST201で、情報取得部74は、記憶部71から、経過時間α1と、温度α3と、濃度α4と、レベルα5とを取得する。
【0101】
次に、ステップST202で、演算部75は、経過時間α1が閾値α10以上であり、かつ、温度α3が閾値α31以上閾値α32以下であり、かつ、濃度α4が閾値α41以上閾値α42以下であり、かつ、レベルα5が閾値α51以上閾値α52以下であるか否かを判定する。
【0102】
経過時間α1が閾値α10以上であり、かつ、温度α3が閾値α31以上閾値α32以下であり、かつ、濃度α4が閾値α41以上閾値α42以下であり、かつ、レベルα5が閾値α51以上閾値α52以下であると演算部75によって判定されると(ステップST202、Yes)、制御装置70は、一連の手順の実行を終了する。そして、制御装置70は、ステップST201へ戻って、電子印刷機10が印刷している間、繰り返し印刷中液体トナー調整運転手順を実行する。
【0103】
経過時間α1が閾値α10以上であることと、温度α3が閾値α31以上閾値α32以下であることと、濃度α4が閾値α41以上閾値α42以下であることと、レベルα5が閾値α51以上閾値α52以下であることとのうち、1つでも満たされていないと演算部75によって判定されると(ステップST202、No)、ステップST203で、制御装置70は、ステップST203からステップST205の各手順を実行する。ステップST203からステップST205の各手順は、図4に示すステップST103からステップST105の各手順と同様である。よって、ステップST203からステップST205の各手順の説明を省略する。
【0104】
経過時間α1が閾値α10以上であると演算部75によって判定されるか(ステップST203、Yes)、またはステップST205を実行すると、制御装置70は、ステップST206からステップST213の各手順を実行する。ステップST206からステップST213の各手順は、図4に示すステップST115からステップST122の各手順と同様である。よって、ステップST206からステップST213の各手順の説明を省略する。レベルα5が閾値α51以上閾値α52以下であると演算部75によって判定されるか(ステップST211、Yes)、またはステップST213を実行すると、制御装置70は、ステップST201へ戻る。
【0105】
電子印刷機10による印刷が続く間、本実施形態の制御装置70が上記手順を繰り返し実行することにより、制御装置70は、電子印刷機10による印刷中に、攪拌タンク65内の液体トナーTの温度を適温に維持させることと、攪拌タンク65内の液体トナーTの濃度を適当に維持させることと、攪拌タンク65内の液体トナーTのレベルを適当に維持させることと、攪拌タンク65内の液体トナーTを攪拌させて液体トナーTの濃度の偏りが低減された状態を維持させることと、分散タンク61内の液体トナーTに含まれるトナーの分散の促進を維持させることと、ができる。これにより、制御装置70は、電子印刷機10の印刷品質の低下を抑制できる。
【0106】
図6は、通路クリーニング運転手順を示すフローチャートである。制御装置70は、電子印刷機10への電力の供給を停止するための操作がなされると(電源ボタンが操作されると)、以下の通路クリーニング運転手順を実行する。または、制御装置70は、例えば、以下の通路クリーニング運転手順の実行を開始するための操作がなされると(配管クリーニングボタンが操作されると)、以下の通路クリーニング運転手順を実行する。制御装置70は、数値として経過時間α6と、経過時間α7と、経過時間α8とを取り扱う。また、制御装置70は、経過時間α6から経過時間α8のそれぞれと対応する閾値α60と、閾値α70と、閾値α80とを取り扱う。
【0107】
ステップST301で、作動制御部76は、回収ポンプ25d及び回収ポンプ25eの作動を開始、または維持させる。これにより、回収ポンプ25dは、供給パン16a及び回収通路F06内の液体トナーTを、供給パン16a及び回収通路F06内から排出する。また、回収ポンプ25eは、回収通路F07内の液体トナーTを回収通路F07内から排出する。なお、ステップST301で、作動制御部76は、液体トナーポンプ25cの作動を開始、または維持してもよい。但し、この場合、電子印刷機10は、例えば、供給通路F04に電磁弁を備える必要がある。前記電磁弁は、液体トナーポンプ25cに供給される流体の供給元を、攪拌タンク65と大気とで切り替えることができるものである。制御装置70は、ステップST301で液体トナーポンプ25cを作動させる場合、液体トナーポンプ25cに供給される流体の供給元を大気に切り替えておく。
【0108】
次に、ステップST302で、演算部75は、経過時間α6に1を加算する。演算部75によって算出された新たな経過時間α6は、記憶部71によって記憶される。
【0109】
次に、ステップST303で、演算部75は、経過時間α6が閾値α60以上であるか否かを判定する。閾値α60は、回収ポンプ25dによる供給パン16a及び回収通路F06内の液体トナーTの排出が十分であると判定でき、かつ、回収ポンプ25eによる回収通路F07内の液体トナーTの排出が十分であると判定できる値である。
【0110】
経過時間α6が閾値α60以上ではないと演算部75によって判定されると(ステップST303、No)、作動制御部76は、ステップST301へ戻る。経過時間α6が閾値α60以上であると演算部75によって判定されると(ステップST303、Yes)、ステップST304で、作動制御部76は、切替弁23bの作動を制御して、供給通路F04と供給通路F05とを連通させる。
【0111】
次に、ステップST305で、作動制御部76は、液体トナーポンプ25cと、回収ポンプ25dと、回収ポンプ25eと、液体トナー搬送ローラ16bとの作動を開始、または維持させる。これにより、液体トナーポンプ25cは、攪拌タンク65内の液体トナーTを供給通路F04内及び供給通路F05内で流動させる。また、回収ポンプ25dは、新たに回収通路F06内に導かれた液体トナーTを回収通路F06内で流動させる。また、回収ポンプ25eは、液体トナー搬送ローラ16bから回収された新たな液体トナーTを回収通路F07内で流動させる。これにより、液体トナーポンプ25cから回収ポンプ25eの各ポンプは、供給通路F04と供給通路F05と回収通路F06と回収通路F07との各通路内のトナーを液体トナーTによって押し出す。このとき、液体トナーポンプ25cから回収ポンプ25eの各ポンプが液体トナーTを送り出す流速は、電子印刷機10による印刷実行時よりも速いと好ましい。これにより、液体トナーポンプ25cから回収ポンプ25eの各ポンプは、堆積したトナーをより好適に押し出せる。
【0112】
次に、ステップST306で、演算部75は、経過時間α7に1を加算する。演算部75によって算出された新たな経過時間α7は、記憶部71によって記憶される。
【0113】
次に、ステップST307で、演算部75は、経過時間α7が閾値α70以上であるか否かを判定する。閾値α70は、液体トナーポンプ25cから回収ポンプ25eの各ポンプの動作によって、各通路内のトナーを十分に排出できたと判定できる値である。
【0114】
経過時間α7が閾値α70以上ではないと演算部75によって判定されると(ステップST307、No)、作動制御部76は、ステップST305へ戻る。経過時間α7が閾値α70以上であると演算部75によって判定されると(ステップST307、Yes)、ステップST308で、作動制御部76は、切替弁23aの作動を制御して、通路F02と、通路F08及び通路F09とを連通させる。また、ステップST308で、作動制御部76は、切替弁23bの作動を制御して、通路F08と供給通路F05とを連通させる。ここで、本実施形態の切替弁23aは、通路F02と通路F08との連通と、通路F02と通路F09との連通との2つを同時に実現できる。但し、切替弁23aは、通路F02と通路F08との連通と、通路F02と通路F09との連通との2つを交互に実現できるものでもよい。また、通路F08と通路F09とがあらかじめ直接接続され、切替弁23aは、この互いに接続された通路と、通路F02との連通と非連通とを切り替えるものでもよい。
【0115】
次に、ステップST309で、作動制御部76は、キャリアポンプ25bと、回収ポンプ25dと、回収ポンプ25eと、液体トナー搬送ローラ16bとの作動を開始、または維持させる。これにより、キャリアタンク22内のキャリアは、通路F02と通路F08と供給通路F05とを介して供給パン16aに導かれる。供給パン16aに導かれたキャリアは、液体トナー搬送ローラ16bによって回収ブレード26まで運ばれて、回収通路F07にも導かれる。また、キャリアタンク22内のキャリアは、通路F02と通路F09とを介して、回収通路F07に直接導かれる。これにより、キャリアが導かれた各通路は、液体トナーTがキャリアによって押し出される。すなわち、各通路は、フラッシングされる。
【0116】
次に、ステップST310で、演算部75は、経過時間α8に1を加算する。演算部75によって算出された新たな経過時間α8は、記憶部71によって記憶される。
【0117】
次に、ステップST311で、演算部75は、経過時間α8が閾値α80以上であるか否かを判定する。閾値α80は、各通路のフラッシングが完了したと判定できる値である。経過時間α8が閾値α80以上ではないと演算部75によって判定されると(ステップST311、No)、作動制御部76は、ステップST309へ戻る。
【0118】
経過時間α8が閾値α80以上であると演算部75によって判定されると(ステップST311、Yes)、ステップST312で、作動制御部76は、液体トナー供給装置20への電力の供給を停止する。なお、制御装置70は、ステップST311を省略してもよい。ステップST311を実行すると、制御装置70は、一連の手順の実行を終了する。
【0119】
ここで、通路内に液体トナーが残留したまま、印刷が実行されずにいると、液体トナーは、トナーが自重により沈殿する。さらに長期間印刷が実行されずにいると、トナーは、凝集して通路に付着するおそれもある。これにより、電子印刷機は、通路がトナーで詰まるおそれがある。しかしながら、上記の通路クリーニング運転手順を実行することにより、制御装置70は、各通路内の液体トナーTを排出させ、各通路内の液体トナーTとキャリアとの置き換えを促進させることができる。よって、例えば、電子印刷機10による印刷が実行されない期間が増加したとしても、制御装置70は、各通路がトナーで詰まるおそれを低減できる。
【産業上の利用可能性】
【0120】
以上のように、本発明に係る電子印刷機制御装置及び準備運転方法は、印刷の開始前に電子印刷機に準備運転をさせる技術に有用であり、特に、電子印刷機の印刷品質の低下を抑制することに適している。
【符号の説明】
【0121】
10 電子印刷機
11 印刷部
12 中間転写体
13 バックアップローラ
14a、14b、14c、14d 現像ユニット
15 感光ドラム
16a 供給パン
16b 液体トナー搬送ローラ
17 リサイクルキャリア供給ポンプ
20 液体トナー供給装置
21 コンクタンク
22 キャリアタンク
23a、23b 切替弁
25a コンクポンプ(液体トナー追加手段)
25b キャリアポンプ(キャリア供給手段、キャリア直接供給手段、キャリア追加手段)
25c 液体トナーポンプ(液体トナー供給手段)
25d、25e 回収ポンプ(液体回収手段)
26、34a、34b、34c 回収ブレード
27a 濃度センサ
27b レベルセンサ
27c 温度センサ
30 クリーニング装置
31 キャリアノズル
32 キャリアポンプ
33a 第1クリーニングローラ
33b 第2クリーニングローラ
40 液体トナー回収装置
41a、41b、41c 液体トナー回収ポンプ
50 固形分分離装置
60 液体トナー調整装置
61 分散タンク
62 分散用モータ
63 インペラ型羽根車(分散手段)
64 排出部
65 攪拌タンク
66 攪拌用モータ
67 アンカー型羽根車(攪拌手段)
67a、67b 部分
68 温度調節装置(温度調節手段)
70 制御装置(電子印刷機制御装置)
71 記憶部
72 入出力部
73 処理部
74 情報取得部
75 演算部
76 作動制御部
F01〜F03、F08、F09 通路
F04、F05 供給通路
F06、F07 回収通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアとトナーとを含む液体トナーを収納可能なタンクから、電子印刷機の現像ユニットへ前記液体トナーを供給可能な液体トナー供給手段と、
前記現像ユニットから前記液体トナーを回収可能な液体回収手段と、
の各作動を制御し、
前記電子印刷機による印刷を完了してから所定時間が経過したと判定すると、前記電子印刷機による印刷の開始前に準備運転として、前記液体回収手段と、前記液体トナー供給手段と、を作動させることを特徴とする電子印刷機制御装置。
【請求項2】
キャリアとトナーとを含む液体トナーを収納可能なタンクから、電子印刷機の現像ユニットへ供給通路を介して前記液体トナーを供給可能な液体トナー供給手段と、
前記現像ユニットから回収通路を介して前記液体トナー及び前記キャリアを回収可能な液体回収手段と、
の各作動を制御し、前記供給通路及び前記回収通路内に前記キャリアを流す通路クリーニング運転が完了していると判定すると、前記電子印刷機による印刷の開始前に準備運転として、前記液体回収手段と、前記液体トナー供給手段と、を作動させることを特徴とする電子印刷機制御装置。
【請求項3】
前記現像ユニットに前記供給通路を介して前記キャリアを供給可能なキャリア供給手段の作動を制御し、前記通路クリーニング運転として、前記キャリア供給手段を作動させ、かつ、前記液体回収手段によって前記キャリアを前記現像ユニットから回収させることを特徴とする請求項2に記載の電子印刷機制御装置。
【請求項4】
前記回収通路にキャリアを直接供給可能なキャリア直接供給手段の作動を制御し、前記通路クリーニング運転として、前記キャリア直接供給手段を作動させることを特徴とする請求項3に記載の電子印刷機制御装置。
【請求項5】
前記通路クリーニング運転として、前記液体回収手段によって前記現像ユニットから前記液体トナーを回収させることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の電子印刷機制御装置。
【請求項6】
前記通路クリーニング運転として、前記液体トナー供給手段を作動させることを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の電子印刷機制御装置。
【請求項7】
前記タンク内の前記液体トナーの温度を調節可能な温度調節手段の作動を制御し、
前記準備運転として、前記温度調節手段を作動させることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の電子印刷機制御装置。
【請求項8】
前記タンク内の前記液体トナーを攪拌可能な攪拌手段と、
前記タンク内の前記液体トナーに含まれる凝集したトナーを分散可能な分散手段と、
の各作動を制御し、前記準備運転として、前記攪拌手段と、前記分散手段と、を作動させることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の電子印刷機制御装置。
【請求項9】
前記タンクに新たな液体トナーを供給可能な液体トナー追加手段と、
前記タンクに前記キャリアを供給可能なキャリア追加手段と、
の各作動を制御し、前記準備運転として、前記液体トナー追加手段と前記キャリア追加手段との少なくとも一方によって前記タンク内の前記液体トナーの前記キャリアに対する前記トナーの濃度を調節させることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の電子印刷機制御装置。
【請求項10】
前記準備運転として、前記液体トナー追加手段と前記キャリア追加手段との少なくとも一方によって前記タンク内の前記液体トナーの液量を調節させることを特徴とする請求項9に記載の電子印刷機制御装置。
【請求項11】
前記タンクに新たな液体トナーを供給可能な液体トナー追加手段と、
前記タンクに前記キャリアを供給可能なキャリア追加手段と、
の各作動を制御し、
前記電子印刷機による印刷中に実行する印刷中液体トナー調整運転として、前記液体トナー追加手段と前記キャリア追加手段との少なくとも一方によって前記タンク内の前記液体トナーの前記キャリアに対する前記トナーの濃度を調節させることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の電子印刷機制御装置。
【請求項12】
前記印刷中液体トナー調整運転として、前記液体トナー追加手段と前記キャリア追加手段との少なくとも一方によって前記タンク内の前記液体トナーの液量を調節させることを特徴とする請求項11に記載の電子印刷機制御装置。
【請求項13】
前記タンク内の前記液体トナーの温度を調節可能な温度調節手段の作動を制御し、
前記印刷中液体トナー調整運転として、前記温度調節手段を作動させることを特徴とする請求項11または請求項12に記載の電子印刷機制御装置。
【請求項14】
前記タンク内の前記液体トナーを攪拌可能な攪拌手段と、
前記タンク内の前記液体トナーに含まれる凝集したトナーを分散可能な分散手段と、
の各作動を制御し、前記印刷中液体トナー調整運転として、前記攪拌手段と、前記分散手段と、を作動させることを特徴とする請求項11から請求項13のいずれか一項に記載の電子印刷機制御装置。
【請求項15】
電子印刷機による印刷を完了してから所定時間が経過した場合に、前記電子印刷機による印刷の開始前に、
キャリアとトナーとを含む液体トナーを収納可能なタンクから、前記電子印刷機の現像ユニットへ前記液体トナーを供給する手順と、
前記現像ユニットから前記液体トナーを回収する手順と、
を含むことを特徴とする電子印刷機の準備運転方法。
【請求項16】
電子印刷機の現像ユニットに液体トナーを供給するための供給通路にキャリアを流す通路クリーニング運転を完了した場合に、前記電子印刷機による印刷の開始前に、
キャリアとトナーとを含む液体トナーを収納可能なタンクから、前記電子印刷機の現像ユニットへ前記液体トナーを供給する手順と、
前記現像ユニットから前記液体トナーを回収する手順と、
を含むことを特徴とする電子印刷機の準備運転方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−180246(P2011−180246A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−42406(P2010−42406)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(310016522)三菱重工印刷紙工機械株式会社 (75)
【Fターム(参考)】