説明

電子回路パッケージ及びその加熱方法

【課題】半田バンプの半田付けの不良を補修するために行う加熱に際して、過熱による不具合を除く。
【解決手段】BGAパッケージは、BGAケース1とプリント基板11とを備える。BGAケース1は、各端子電極7のバンプ2毎に、発熱素子3及び温度検出素子16を有する。半田付けの不良が発見されると、当該不良半田の端子電極7に付属している発熱素子3がオンとなり、温度検出素子16が温度上昇を監視し、発熱素子3を制御することで、局所的なBGAパッケージの過熱が阻止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子回路パッケージ及びその加熱方法に関し、更に詳しくは、電子回路パッケージの半田付け端子の半田を溶融するために用いられる、電子回路パッケージの加熱技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電子回路パッケージとして、BGAパッケージが広範囲に用いられている。BGAパッケージは、BGAチップと、BGAチップを搭載する回路基板(プリント基板)とを有する。BGAチップを回路基板上に搭載する際には、回路基板の各端子電極とBGAチップの各BGA端子(端子電極)とが半田付け工法で接続される。半田付け接続では、一般にリフロー装置が用いられ、多数の端子電極が一度に半田付けされる。BGAパッケージでは、一部の端子電極で半田付けに不良が発生すると、その半田不良の補修のために再度半田付けが行われる。この場合に、リフロー装置を用いて全ての端子を補修すると、作業が大がかりになり、非効率である。
【0003】
特許文献1には、半田付け接続で発生した不良端子の半田のみを一旦溶融によって切り離し、再度の半田付け接続を行う電子回路パッケージの加熱方法が記載されている。この特許文献に記載の電子回路パッケージでは、各端子電極に対応して発熱素子を端子電極と一体的に配置している。半田付け接続の不良端子が発見されると、BGAパッケージの外部から発熱素子を制御し、不良端子に対応する発熱素子をオンにして、その不良端子のみを加熱する。この加熱によって、不良端子の半田が融解するので、これを冷却することで再度半田付けを行い、半田接続の不良を除いている。
【特許文献1】特開2006−32548号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の方法では、各端子電極に付属する発熱素子を配置し、不良端子のみを加熱する構成を採用している。しかし、同特許文献に記載の技術では、発熱素子によって不良端子を加熱する際に、発熱素子によって電子回路パッケージが局部的に過熱し、二次的な不良が発生するおそれについては考慮されていない。つまり、不良端子の加熱に際して端子付近で過熱が発生しても、これを検出する温度監視手段や温度制御手段を持たず、従って、過熱を検出し或いは過熱を抑えることは出来なかった。
【0005】
本発明は、半田付け端子を加熱する際に、局部的な過熱の発生を抑えながら、個別に半田付け端子を加熱できるように改良された電子回路パッケージ、及び、そのような電子回路パッケージの半田付け端子の加熱に用いられる、電子回路パッケージの加熱方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、半田によって接続される複数の半田付け端子を有する電子回路パッケージであって、
各半田付け端子に隣接して配設される発熱素子及び温度検出素子と、
前記発熱素子毎に配設され、前記温度検出素子の検出温度に基づいて、対応する発熱素子を制御する制御素子とを備えることを特徴とする電子回路パッケージを提供する。
【0007】
また、本発明は、電子回路パッケージに形成された複数の半田付け端子を加熱する、電子回路パッケージの加熱方法であって、
各半田付け端子に隣接して発熱素子及び温度検出素子を配設し、
前記温度検出素子の検出温度に基づいて、対応する発熱素子を制御することを特徴とする電子回路パッケージの加熱方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の電子回路パッケージ、及び、その加熱方法によると、半田付け端子毎に加熱が可能となり、且つ、局部的な加熱の発生を抑えることにより、電子回路パッケージの損傷を防止することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本発明の例示的な実施形態について説明する。図1(a)は、本発明の第1の実施形態に係るBGAパッケージの断面図である。BGAパッケージは、プリント基板11と、BGAチップを構成する半導体集積回路部を備えるBGAケース1とを有する。図1(b)は、BGAケース1の下面図である。また、図2は、図1のBGAパッケージ内の電気回路の接続を示すブロック図である。
【0010】
図1及び図2を参照すると、BGAケース1には、端子電極7と、発熱素子(発熱体)3と、外部入力電源端子4と、半導体集積回路部5と、ヒーター部6とが搭載されている。ヒーター部6は、複数の発熱素子3と、複数の発熱素子3のそれぞれに対応して配設された温度検出素子16及びリレー(制御素子)17を含む。
【0011】
バンプ2は、半田材料によって構成され、BGAケース1の各端子電極(半田付け端子)7は、バンプ2を介して、プリント基板11の対応する基板端子(図示せず)に半田付けされる。バンプ2は、加熱によって半田の融解点にまで温度上昇する。したがって、バンプ2は、発熱素子3及び温度検出素子16との間で良好な熱伝導性を持つように配置される。図3は、図2を再掲するもので、図3では、任意のバンプを2m、任意の発熱素子及び温度検出素子をそれぞれ3m及び16mで示している。
【0012】
各発熱素子3は、バンプ2の周囲に配置される。発熱素子3は、図2に示すように、動作電源電圧が印加されることにより発熱し、半田融解点にまで温度上昇する。外部入力電源端子4は、外部電源9から受電する電源端子で、ヒーター部6のみに電源を供給する。半導体集積回路部5は、BGAパッケージ構造を採用するデバイスの電気的性能を決定するもので、電源8から動作電力の供給を受ける。
【0013】
ヒーター部6は、各端子電極7に隣接して配設される、発熱素子3と温度検出素子16とリレー17とを含んで構成される。ヒーター部6は、半導体集積回路部5とは独立に電源供給が可能であり、各発熱素子3は、外部入力電源端子4を介して電源供給を受けると、半田融解点にまでバンプ2の温度を上昇させる。
【0014】
リレー17は、外部からの設定で任意にHレベル又はLレベルに制御される制御信号10の入力端子を備える。リレー17は、例えば、制御信号がHレベルでオン、Lレベルでオフとなる。なお、逆に、Hレベルでオフ、Lレベルでオンとしても良い。制御信号10の状態により、リレー17の接点のオン/オフ制御が行われるため、電源8の電圧を発熱素子3に対して任意のタイミングで自在に伝達する。リレー17は、接点17a及び接点17bを備え、発熱素子3への通電をオン(接点17bに接続)またはオフ(接点17aに接続)する。なお、任意の発熱素子3mへ通電するリレー17をリレー17mで表し、リレー17mはリレー17に包含される。このリレー17は、切替器やオン/オフを行うスイッチなどから成るオン/オフ手段である。
【0015】
電源8は、半導体集積回路部5の動作電源であり、発熱素子3の一方の動作電源にもなっている。外部電源9は、電源8からは独立した電源であり、外部入力電源端子4に接続される。外部電源9は、電源8のショート等の不具合に対するバックアップの機能をも有し、外部入力電源端子4に外部電源9を接続すれば、全ての発熱素子3に電圧を印加することができる。外部電源を印加することにより、例えば、既に半田付けが完了した全ての端子で半田が溶融するため、BGAケース1をプリント基板11から容易に取り外しできる。
【0016】
制御信号10は、リレー17の接点17aと接点17bとをスイッチ(オン/オフ)する制御信号であり、BGAケース1に備えた端子(図示せず)から入力する。任意の発熱素子3mを制御する制御信号10を制御信号10mで表している。
【0017】
温度検出素子16は発熱素子3の温度状態を検出し、温度を電気信号(電圧)に変換する温度センサの機能を有する。温度検出素子16は、図4に示すように、検出温度と変換後の電圧レベルとが1対1に対応する近似的な比例関係にある。このため、電圧レベルをモニタすることで、温度検出素子16が検出した温度を解読することが可能になる。なお、任意の温度検出素子16を温度検出素子16mで表す。
【0018】
温度検出信号18(図2)は、温度検出素子16によって得られる、発熱素子3の温度を電圧レベルに変換した出力信号である。この電圧レベルを監視することで、発熱素子3及び発熱素子3により上昇したバンプ2の温度情報を、温度検出信号18の接続先となる監視装置などに通知可能となる。図4で示した温度検出素子16の「温度−電圧」変換特性により、変換後の電気信号はアナログ波形となる。しかし、接続先の監視装置に対しては、識別精度を上げるためにADコンバータ通過後のデジタル信号として入力しても良い。なお、任意の温度検出信号18を温度検出信号18mで表す。
【0019】
発熱素子3とリレー17と制御信号10と温度検出素子16と温度検出信号18とは、端子数(ピン数)に応じて、つまり、各端子に対して1対1で対応するようにそれぞれが複数配置される。ここでピン数とは、BGAパッケージが有するピンの総数である。ピンの総数は、BGAパッケージの大きさや種類によって異なり、例えば300ピンのBGAパッケージは、300組のバンプ2と発熱素子3とリレー17と制御信号10と温度検出素子16と温度検出信号18とで成るセットを有する。
【0020】
プリント基板11の表面には、プリント基板内の導体に接続された基板端子(図示せず)が形成されている。基板端子は、バンプ2を介して、BGAケース1の下面に設けられた端子電極7に接続されている。
【0021】
以下、図2、3、4を参照して第1の実施形態のBGAパッケージの動作を説明する。図3に示すように、BGAパッケージを構成する半導体デバイスの任意のバンプ2mの半田付け部位において、半田付け不良が発生した場合を想定する。通常状態においては、リレー17は、制御信号10により電源8からの電源線が全てのバンプで接点17aに接続されて、オフ状態に制御される。半田不良が発生したバンプ2mでは、制御信号10mによってリレー17mをオン状態(接点17bに接続)に制御し、該当する発熱素子3mだけを発熱させる。このとき、温度検出素子16mは、発熱素子3mの温度状態を温度検出信号18mとして通知する。図4を参照すると、温度検出信号18mが通知する電圧レベルがY[V]以下であれば、バンプ2mに対して加えられた温度が、バンプ2mの最大定格温度X[℃]を超えていないことが保証される。
【0022】
例えば半田不良が発生し、その加熱中に温度検出信号18mにて、電圧Y[V]以上を検出した場合には、制御信号10mからリレー17mをオフ状態に制御し、発熱素子3mによる発熱を停止することで、バンプ2mの温度上昇を抑制する。すなわち、温度検出信号18mによる監視、及び、制御のフィードバックに基づいて、制御信号10mを制御し、リレー17mのオン/オフ状態を制御する。これにより、本実施形態に係るBGAパッケージを採用したデバイスでは、過熱によって故障に陥ることを回避し、且つ、バンプ2mの半田が次第に融解して、プリント基板11との半田付け不良が解消する。このとき、バンプ2m以外のバンプ2は加熱されないため、デバイス位置がプリント基板からずれるなどの異常事態が回避される。
【0023】
図5は、上記実施形態のBGAパッケージにおけるBGAケース1の状態を、外部入力電源端子4が外部電源9に接続された状態で、図3と同様に示している。本実施形態のBGAパッケージを採用する半導体デバイスは、半導体集積回路部5の故障等により、デバイスの載せ換えを必要とする場合を想定している。この場合には、外部電源9を外部入力電源端子4から入力して、全ての発熱素子3を発熱させる。このようにして、仮に半導体集積回路部5が最初から故障していたとしても、プリント基板11の最大定格温度を超えないことを保証する必要があるため、やはり図3の例と同様に、温度検出信号18の電圧レベルを監視しながら、デバイスをプリント基板11から取り外すことで、プリント基板11の破損を回避することが可能になる。なお、発熱素子3及び温度検出素子16の形状は任意の形状を採用することが出来る。また、上記構成に代えて、外部入力電源端子4から印加される外部電源9を一旦受けた後に、各発熱素子3毎に設けたリレーによって各発熱素子毎にオン・オフを制御してもよい。
【0024】
上記実施形態のBGAパッケージでは、BGAパッケージ内の任意のバンプに対して、外部からの制御により局所的または全体的に熱を加えつつ、対象のバンプに対する温度監視を可能としている。これによって、各半田付け端子の半田を個別に、又は、一斉に溶融させることができ、その際に局所的な過熱があっても容易に監視でき、且つ、これを制御できる。
【0025】
また、温度監視を行いながら、半田付け接続に不良が発生した任意のバンプにのみ熱を加えて半田を融解させることが可能になるため、リフロー設備のような特別な設備を使用せずに、過熱によるデバイス故障を回避しながら、半田付け不良の補修を実現できる。
【0026】
更に、半導体デバイスの故障に際して行われる半導体デバイスの交換時には、リフロー設備を使用せずに、過熱によるプリント基板の損傷を回避しながら、プリント基板からの取り外しが実現できる。
【0027】
図6は、本発明の第2の実施形態に係るBGAパッケージの電気回路を示すブロック図である。本実施形態では、デコーダ兼自動温度制御部(以下、デコーダと呼ぶ)12を備える。デコーダ12に制御信号バス13を接続して、デコーダ12で端子のアドレスを指定する構成を採用する。その他の構成は、第1の実施形態と同様である。デコーダ12は、制御信号バス13から入力する制御信号をデコードするデコード部20と、温度検出素子16の出力信号から温度を解読する温度解読部21と、解読した温度と半田の融解点温度とを比較する温度比較部22と、温度比較部22による比較結果に基づいて発熱素子3をオン・オフ制御するオン・オフ制御部23とを有する。
【0028】
第1の実施形態では、制御信号10及び温度検出信号18を入力するIO端子を、各リレー17の制御と発熱素子3からの温度通知のための信号毎に設けていた。しかし、高集積化、多数ピン化が著しい現在のBGAパッケージのデバイスにおいては、制御信号10及び温度検出信号18の信号線の本数が数百本以上に達してしまう場合がある。このような場合には、所望の発熱素子3の加熱及び温度監視のために該当する制御信号10及び温度検出信号18を数百本の信号線の中から選択して配線を行う作業が困難になる。また、制御信号10及び温度検出信号18のために、数百本以上のピンをパッケージに追加する必要が生じるため、ピン数が増大する。
【0029】
そこで第2の実施形態では、外部からの制御信号をバス信号化し、デバイス内部にデコーダ12を備えている。予め、デコーダ12に制御信号バス13の信号パターンに対する各リレー17のオン/オフ状態を割り当てておくことで、発熱素子3の制御を簡素化すると共に、BGAパッケージのピン数の増加を防ぐ。
【0030】
また、デコーダ12には、温度解読部21、温度比較部22及びオン・オフ制御部23を含む自動温度制御機能部が含まれており、加熱中のバンプ2mに対する温度検出素子16mが通知する温度検出信号18mを監視する。デコーダ12は、制御信号10mに対してフィードバックをかけることで、リレー17mのオン/オフ状態を制御し、バンプ2mの自動温度制御を行う。
【0031】
図7は、第2の実施形態における自動温度制御の様子を示すフローチャートである。本実施形態では、発熱素子3と制御信号10と温度検出素子16と温度検出信号18とデコーダ12とを用いて、図7に示すような自動温度制御を行う。
【0032】
はじめに、制御信号バス13から送られる制御信号によりバンプ2mの加熱制御がスタートする(ステップS1)。デコーダ12は、制御信号バス13の制御信号をデコードし、制御信号10mをオン制御すると共に、温度検出信号18mのサンプリングを開始する(ステップS2)。次に、デコーダ12は、サンプリングされた温度検出信号18mの検出値が、バンプ2mの最大定格温度Y[℃]以上であるか否かを判定する(ステップS3)。ステップS3で、検出温度がY[℃]よりも低い(NO)と判定すると、制御信号10mをオン状態のままに保持し(ステップS4)、ステップS6に進む。
【0033】
ステップS3で、Y[℃]以上であると判定すると(YES)、制御信号10mをオフ状態に制御し、バンプ2mの過熱を防ぎ(ステップS5)、次いで、ステップS6に進む。ステップS6では、外部監視装置によって、所定の温度範囲にまで温度上昇があったか否か、及び、その所定の温度範囲で所定の時間以上の通電時間が経過したか否かが判定され、その結果が制御信号バス13を介して通知される。ステップS6で、双方を満足すると加熱の終了と判定される。判定の結果が否であればステップS2戻り、加熱が継続される。また、判定の結果が加熱終了であると、ステップS7に進み、制御信号10mのオフ制御、及び、温度検出信号18mのサンプリング停止により、加熱を終了させる。
【0034】
図8は、本発明の第3の実施形態に係るBGAパッケージの電気回路を示すブロック図である。本実施形態では、第2の実施形態の構成に加えて、JTAG(Joint Test Action Group)インタフェース14を備える。本実施形態では、電子回路パッケージは、内蔵する、バウンダリスキャン機能を有するJTAGインターフェース14を用いて、バウンダリスキャン(IEEE1149.1)を行って、半田付け不良(接続不良)の有無と不良箇所の判定を行う。試験ツール15は、バウンダリスキャンを行って得られた試験結果として、半田不良が発生した箇所のデータを保持する。
【0035】
本実施形態では、試験結果を読み込んだ試験ツール15が、制御信号バス13を介して、バウンダリスキャンで特定された不良箇所に該当するリレー17mを制御する。制御信号バス13からの信号により、自動的に制御信号10mをオン状態に制御し、半田不良バンプ2mに該当する発熱素子3mを自動的に加熱し、半田付け不良を補修する。
【0036】
本実施形態では、第2の実施形態と同様に、発熱素子3mによる過熱が発生しても、デコーダ12による温度検出信号18mの監視及び制御信号10mのフィードバック制御により、過熱状態から回復する。
【0037】
図9は、本発明の第4の実施形態に係るBGAパッケージ内の電気回路を示すブロック図である。本実施形態では、図8の構成において、制御信号バス13が削除され、デコーダ12とJTAGインタフェース14とが、4本のシリアルのJTAG信号線19で接続されている。
【0038】
本実施形態では、JTAGインタフェース14を用い、ISP(In System Programming)を実現することにより、試験ツール15から内部のデコーダ12を設定することを可能にしている。本実施形態では、制御信号バス13に要したピン数分だけBGAパッケージのピン数を削減できる。また、半田付け不良の有無判定及び補修を、JTAGインタフェース14を利用することで実現している。これにより、試験の自動化及び効率化を実現可能とする。
【0039】
本実施形態においても、半田不良の補修の際には、第2及び第3の実施形態と同様に、デコーダ12による温度検出信号18mの監視及び制御信号10mのフィードバック制御を行い、発熱素子3mの温度が過熱状態から回復する。
【0040】
なお、上記実施形態では、発熱素子をオン・オフ制御する構成を例示したが、発熱素子は電圧制御を行ってもよい。また、2系統の電源を有する例を示したが、電源の系統数は、1以上であればよく、任意の数が採用可能である。制御素子としてリレーを例示したが、リレーに代えて、任意のスイッチ素子を採用可能である。温度検出素子や発熱素子は、所望の機能を有すればよく、特定の形式のものに限定されない。また、電子回路パッケージは、BGAパッケージに限らず、複数の端子が半田によって接続される形式のパッケージであれば、本発明の適用が可能である。
【0041】
以上、本発明をその好適な実施態様に基づいて説明したが、本発明の半導体装置及びその半田加熱方法は、上記実施態様の構成にのみ限定されるものではなく、上記実施態様の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】(a)は、本発明の第1の実施形態に係るBGAパッケージのBGAケース及びプリント基板の断面図、(b)は、第1の実施形態のBGAパッケージのBGAケースの下面図である。
【図2】第1の実施形態に係るBGAパッケージ内の電気回路を示すブロック図である。
【図3】図2に示すBGAケースの下面図であり、任意の発熱素子及び温度検出素子による発熱及び温度検出の状態を示す説明図である。
【図4】第1の実施形態のBGAパッケージにおける温度検出素子の温度−電圧変換特性を示すグラフである。
【図5】第1の実施形態のBGAパッケージにおけるBGAケースの下面図を示すもので、全ての発熱素子と温度検出素子による発熱及び温度検出の状態を示す説明図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るBGAパッケージ内の電気回路を示すブロック図である。
【図7】第2の実施形態における発熱素子と制御信号と温度検出素子と温度検出信号とデコーダとを用いて行う自動温度制御の様子を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第3の実施形態に係るBGAパッケージ内の電気回路を示すブロック図である。
【図9】本発明の第4の実施形態に係るBGAパッケージ内の電気回路を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0043】
1 BGAケース
2 バンプ
3 発熱素子
4 外部入力電源端子
5 半導体集積回路部
6 ヒーター部
7 端子電極
8 電源
9 外部電源
10 制御信号
11 プリント基板
12 デコーダ兼自動温度制御部
13 制御信号バス
14 JTAGインタフェース
15 試験ツール
16 温度検出素子
17 リレー
17a、17b リレー接点
18 温度検出信号
19 JTAG信号線
20 デコード部
21 温度解読部
22 温度比較部
23 オン・オフ制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半田によって接続される複数の半田付け端子を有する電子回路パッケージであって、
各半田付け端子に隣接して配設される発熱素子及び温度検出素子と、
前記発熱素子毎に配設され、前記温度検出素子の検出温度に基づいて、対応する発熱素子を制御する制御素子とを備えることを特徴とする電子回路パッケージ。
【請求項2】
前記制御素子は、前記温度検出素子の検出温度と半田の融解点温度との関係に基づいて前記発熱素子をオン・オフ制御する、請求項1に記載の電子回路パッケージ。
【請求項3】
第1の電源線と第2の電源線とを備え、前記第1の電源線が直接に前記発熱素子に接続され、前記制御素子は、前記第2の電源線からの電源によって前記対応する発熱素子を制御する、請求項1又は2に記載の電子回路パッケージ。
【請求項4】
外部バスから伝達される外部指令をデコードし、該デコード結果に基づいて前記制御素子をオン・オフ制御するデコーダを更に備える、請求項1〜3の何れか一に記載の電子回路パッケージ。
【請求項5】
前記デコーダは、前記外部指令をデコードするデコード機能と、前記温度検出素子の出力信号から検出温度を解読する機能と、該解読した検出温度と前記半田の融解点とを比較する機能と、該比較結果に基づいて前記制御素子をオン・オフ制御する機能とを有する、請求項4に記載の電子回路パッケージ。
【請求項6】
前記半田付け端子の不良を検出するバウンダリスキャン・デバイスを更に備え、該バウンダリスキャン・デバイスは、前記デコーダに対して特定の半田付け端子に対応する発熱素子による加熱を開始する指示を与える、請求項5に記載の電子回路パッケージ。
【請求項7】
前記半田付け端子の不良を検出するバウンダリスキャン・デバイスを更に備える、請求項1〜5の何れか一に記載の電子回路パッケージ。
【請求項8】
電子回路パッケージに形成された複数の半田付け端子を加熱する、電子回路パッケージの加熱方法であって、
各半田付け端子に隣接して発熱素子及び温度検出素子を配設し、
前記温度検出素子の検出温度に基づいて、対応する発熱素子を制御することを特徴とする電子回路パッケージの加熱方法。
【請求項9】
前記温度検出素子の検出温度と半田の融解点温度との関係に基づいて、前記発熱素子をオン・オフ制御する、請求項8に記載の加熱方法。
【請求項10】
第1の電源線を直接に前記発熱素子に接続し、第2の電源線からの電源をオン・オフすることによって前記発熱素子を制御する、請求項8又は9に記載の加熱方法。
【請求項11】
外部バスから少なくとも加熱を開始する外部指令が伝達されるデコーダを介して、前記制御素子をオン・オフ制御する、請求項8〜10の何れか一に記載の加熱方法。
【請求項12】
前記デコーダを用いて、前記温度検出素子の出力信号から検出温度を解読し、該解読した検出温度と前記半田の融解点とを比較し、該比較結果に基づいて前記制御素子をオン・オフ制御する、請求項11に記載の加熱方法。
【請求項13】
前記半田付け端子の不良を検出するバウンダリスキャン・デバイスを用い、前記デコーダに対して特定の半田付け端子に対応する発熱素子による加熱を開始する指示を与える、請求項12に記載の加熱方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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