説明

電子回路基板

【課題】構成部品の点数を増加させることなく、シャント抵抗が発生する熱を高効率に外部に放熱することが可能な電子回路基板を提供する。
【解決手段】本発明の電子回路基板は、基板3と、基板3の一方の主表面上に接続される抵抗体1とを備える電子回路基板である。上記抵抗体1に対向する基板3の主表面にはスリット6が形成されている。基板3において一方の主表面の反対側である他方の主表面上に対向するように配置される他の抵抗体1をさらに備え、基板3の一方の主表面上に接続される抵抗体1と、基板3の他方の主表面上に接続される抵抗体1とが、基板3の主表面に沿った方向に関して互いにずれた位置に配置されていてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子回路基板に関するものであり、より特定的にはシャント抵抗が面実装された電子回路基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インバータ装置などにおいて、モータに流れる電流を検出するために、たとえばDCCT(DC Current Transformer)やシャント抵抗が組み込まれた電流検出回路を備える電子回路基板が用いられる。インバータ装置は省エネ効果が大きいといわれている。このため、近年は特に地球温暖化対策として、インバータ装置の利用分野が拡大している。
【0003】
インバータ装置の電流検出回路としてたとえばシャント抵抗を用いれば、シャント抵抗に電流が流れた際にシャント抵抗が発熱する。シャント抵抗に流れる電流が大きくなるほど、この発熱量も大きくなる。
【0004】
面実装タイプ(平板状の形状)のシャント抵抗の場合、これが電子回路基板を構成する基板の主表面上に載置されれば、シャント抵抗の発熱が基板や、シャント抵抗と対向するように配置(接続)された部材のほうへ伝播する。このため、当該基板や部材の温度が上昇する。すると基板や部材は、これらの許容温度の上限値を超える温度に加熱される可能性がある。
【0005】
このように基板の温度が上昇すると、基板の損傷や電子回路基板の動作不良などの不具合を来たす可能性がある。なおここで主表面とは、表面のうちもっとも面積の大きい主要な面をいうこととする。
【0006】
このような基板や部材の温度上昇を抑えるために、たとえばシャント抵抗から、基板などに熱を伝播せずスムーズに外部へ放熱することが考えられる。そこで、たとえば特開2009−10082号公報(特許文献1)には、基板上に平板状のシャント抵抗が実装される電子回路装置において、シャント抵抗の基板とは反対側に放熱器を設けている。つまり当該電子回路装置においては、シャント抵抗で発生した熱を、基板の方へ伝播させる代わりに当該放熱器から放熱させる。したがって、当該電子回路装置においては、シャント抵抗で発生した熱が基板に伝わり基板の温度が上昇することが抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−10082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし特開2009−10082号公報の電子回路装置は、シャント抵抗に対して放熱器を設置する分、当該電子回路装置を構成する部品の点数が増加する。部品の点数が増加する分だけ、装置のコストが増大し、装置自体のサイズが大きくなり実用性が低下するなどの問題が生じうる。
【0009】
本発明の目的は以上の問題に鑑みなされたものである。その目的は、構成部品の点数を増加させることなく、シャント抵抗が発生する熱を高効率に外部に放熱することが可能な電子回路基板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る電子回路基板は、基板と、基板の一方の主表面上に接続される抵抗部材とを備える電子回路基板である。上記抵抗部材に対向する基板の主表面にはスリットが形成されている。
【発明の効果】
【0011】
抵抗部材(シャント抵抗)において、基板の主表面に対向する領域において空気などのガスが対流を起こすことによっても、シャント抵抗の熱が放熱される。つまり、シャント抵抗の発する熱は、基板の主表面に形成されたスリット(部材の存在しない領域)においてガスが対流を起こしながらシャント抵抗の表面に接することにより放熱される。つまり基板の主表面にスリットを形成することで、対流によりシャント抵抗の熱が放熱される領域が大きくなる。このため、基板やシャント抵抗は高効率に冷却される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1に係る電子回路基板の外観の態様を示す斜視図である。
【図2】図1の電子回路基板の上面図である。
【図3】図2のIII(IV)−III(IV)線に沿う部分における概略断面図である。
【図4】図3の変形例の概略断面図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係る電子回路基板の外観の態様を示す斜視図である。
【図6】図5の電子回路基板の、上側の主表面の上面図である。
【図7】図5の電子回路基板の、下側の主表面の上面図である。
【図8】図6のVIII(IX)−VIII(IX)線に沿う部分における概略断面図である。
【図9】図8の変形例の概略断面図である。
【図10】図6のX−X線に沿う部分における他の構造例を示す概略断面図である。
【図11】本発明の実施の形態3に係る電子回路基板の外観の態様を示す斜視図である。
【図12】図11の電子回路基板の、上側の主表面の上面図である。
【図13】図12のXIII−XIII線に沿う部分における概略断面図である。
【図14】本発明の実施の形態3の変形例としての電子回路基板の外観の態様を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の各実施の形態について説明する。なお、各実施の形態において、同一の機能を果たす要素には同一の参照符号を付し、その説明は、特に必要がなければ繰り返さない。
【0014】
(実施の形態1)
図1〜図3を参照して、本実施の形態の電子回路基板は、抵抗体1と、基板3とを備えている。抵抗体1(抵抗部材)は、たとえばインバータ装置などに用いられる電流値検出用のシャント抵抗として用いられる部材である。
【0015】
抵抗体1に電流を流すため、抵抗体1は電気抵抗を有する導電体からなることが好ましく、具体的にはたとえば金属やメタルグレーズ、または炭素からなるものであることが好ましい。基板3は電子回路基板全体の土台となる基板である。
【0016】
抵抗体1は基板3に対して面実装するため、たとえば平板状の形状を有している。抵抗体1は基板3の一方の主表面上(図1、図3における上側の主表面上)の一部の領域に配置されたランド2上に、たとえばはんだ4により接続される。ランド2は、たとえば銅などの導体からなる導電性の平板状部材である。
【0017】
基板3の主表面に沿った方向に関して長尺形状を有する2つのランド2を跨ぐように配置された抵抗体1が、基板3と接続される。抵抗体1と基板3上のランド2とは、はんだ4により接続される。
【0018】
基板3の上側の主表面上には、たとえば銅などの導体薄膜5が2箇所に配置されている。これらの導体薄膜5はいずれも、基板3の主表面上の、ランド2の下側に成膜されている。言い換えれば、基板3の主表面上に形成された導体薄膜5の主表面上の一部の領域に、ランド2が配置されている。ただし図3においては、導体薄膜5の図示が省略されている。
【0019】
ランド2は、導体薄膜5と同様にたとえば銅などからなる領域であり、導体薄膜5の一部の領域がランド2と定義される。導体薄膜5の表面上には、はんだレジスト材料が塗布されているが、ランド2の表面上にははんだレジスト材料が塗布されていない。このため、ランド2の表面上に、はんだ4により抵抗体1と基板3とが接続される。
【0020】
そのうち図1、図2に示す上側の導体薄膜5は、基板3の主表面がなす矩形状の(上側の)長辺側と電気的に接続されている。また図1、図2に示す下側の導体薄膜5は、基板3の主表面がなす矩形状の(左側の)短辺側と電気的に接続されている。
【0021】
抵抗体1の下側の主表面に対向する領域のうち、特に当該抵抗体1の主表面の中央付近と対向する領域にはスリット6が形成されている。スリット6は、基板3の主表面に形成されており、基板3の互いに対向する一対の主表面間を貫通するように形成された貫通孔(溝)状の領域である。スリット6は図1、図2においては基板3の主表面に沿った方向に関して矩形状となっているが、たとえば楕円形状であってもよく、スリット6の平面形状は任意の形状とすることができる。したがって抵抗体1は、スリット6の特に中央部分を上側から覆いながら、2つのランド2を跨ぐように配置されている。
【0022】
つまり基板3にはスリット6が形成されているため、抵抗体1の下側の主表面の特に中央付近が対向する領域には基板3が配置されず、抵抗体1は空隙と対向する態様となっている。
【0023】
次に、本実施の形態の電子回路基板の動作原理について説明する。
【0024】
基板3の主表面がなす矩形状の(上側の)長辺側と(左側の)短辺側との間に電圧を印加することにより、抵抗体1に電流を流す。このときの電圧値と、抵抗体1の抵抗値とから、抵抗体1に流れる電流値が測定される。ここで、抵抗体1に流れる電流値は、基板3に接続されたたとえばモータなどの外部負荷に流れる電流値と同じとなるように電子回路基板を用いたインバータ装置などの回路が組まれていれば、上記外部負荷に流れる電流値を検出することができる。
【0025】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
【0026】
抵抗体1に電流を流すと抵抗体1は発熱する。このとき、図1〜図3における抵抗体1の上側の主表面上の領域では空気の対流が起こっている。抵抗体1の発する熱がこの空気の対流に乗って抵抗体1の外部へ移動する。つまり空気の対流により抵抗体1が空冷される。このようにして抵抗体1の発する熱は放熱される。また抵抗体1の発する熱の一部は、これが接続されるランド2を経由して基板3の方へ移動する。
【0027】
以上に記す経路による抵抗体1の放熱のほかに、図1〜図3の電子回路基板の場合は、抵抗体1の下側の主表面に対向する領域に設けられたスリット6においても放熱される。スリット6とはたとえば貫通孔など基板3が部分的に除去された領域である。つまり抵抗体1の下側の主表面と対向する領域の一部であるスリット6においては空気の対流が起こっている。このため抵抗体1の発する熱はこの空気の対流に乗って抵抗体1の外部へ移動する。またスリット6における空気の対流により、基板3の熱も放熱される。これはスリット6は基板3が部分的に除去された領域であり、スリット6の空間は基板3と接触しているためである。
【0028】
以上のように、本実施の形態の電子回路基板は、抵抗体1の熱が抵抗体1の上側の主表面上のみならず、抵抗体1の下側の主表面上からも放熱される。つまり、基板3の主表面にスリット6が形成されていることにより、抵抗体1の表面のうち空気の対流を利用して電子回路基板の外部へ放熱することが可能な領域の面積が大きくなる。言い換えれば抵抗体1の熱が、基板3など電子回路基板、インバータ装置の構成部品以外のところへ放熱される効率が高くなる。このため、基板3や抵抗体1の温度上昇を高効率に抑制することができる。
【0029】
また、本実施の形態の電子回路基板は、たとえば放熱器などを設置せず、基板3にスリット6を形成することにより、抵抗体1や基板3の放熱の効率を向上させている。つまり電子回路基板を構成する部品の点数を増加させていない。このため電子回路基板のコスト増大や、電子回路基板の構成部品の点数の増加に伴う実用性の低下などを抑制することができる。
【0030】
あるいは当該電子回路基板は、たとえば図4の概略断面図に示すように、基板3の上側の主表面および下側の主表面の両方に、導体薄膜5とランド2とを備える構成であってもよい。この場合、たとえば上側の導体薄膜5と基板3と、下側の導体薄膜5とを図4の上下方向に貫通し、上側の導体薄膜5と下側の導体薄膜5とを電気的に導通するスルーホール7が形成されていてもよい。またこの場合、図4には図示されないが、基板3の下側の主表面に対向する領域にも、基板3の上側の主表面に対向する領域と同様に、はんだ4により抵抗体1が接続されていてもよい。
【0031】
(実施の形態2)
本実施の形態は、実施の形態1と比較して、抵抗体の構成および配置が異なっている。以下、本実施の形態の構成について説明する。
【0032】
図5〜図7を参照して、本実施の形態の電子回路基板は、抵抗体1が複数(5つ)備えられている。それぞれの抵抗体1のサイズは実施の形態1の抵抗体1よりも小さい。これらの抵抗体1が、基板3の長辺側の延在する方向に沿って並列している。
【0033】
ただしこれらの抵抗体1は、基板3の一方の主表面(図5の上側の主表面)上のみならず、基板3の一方の主表面の反対側である他方の主表面(図5の下側の主表面)に対向する領域にも配置されている。そして、これら5つの抵抗体1(抵抗部材)のうちの一部と、上記一部の抵抗体1以外の他の抵抗体1(他の抵抗部材)とは、基板3の主表面に沿った方向(ここでは特に基板3の主表面のうち長手方向)に関して互いにずれた位置に配置される。
【0034】
具体的には、基板3の主表面の長辺側に沿った方向(図5〜図7における左右方向)に関して、5つ並列している抵抗体1のうち、一方の端部(一方の短辺)から数えて1番目、3番目および5番目の抵抗体1は、基板3の、図5の下側の主表面に対向する領域に配置されている。これに対して、一方の端部から数えて2番目および4番目の抵抗体1は、基板3の、図5の上側の主表面に対向する領域に配置されている。なおこれとは逆に、たとえば一方の端部から数えて1番目、3番目、5番目の抵抗体1が基板3の上側の主表面に対向する領域に、2番目および4番目の抵抗体1が基板3の下側の主表面に対向する領域に配置されていてもよい。
【0035】
図5〜図7に示す、基板3の一方の端部(一方の短辺)から数えて2番目および4番目の抵抗体1は、図8の断面図に示すように、実施の形態1の抵抗体1と同様に、基板3の上側の主表面上のランド2と接続するように、はんだ4により接続されている。図8は図3と、図9は図4と同様の態様を示しているが、いずれの態様を有していてもよい。
【0036】
また図10に示すように、図6の線分X−Xにおける断面の構造も、図9に示した構造と同様、具体的には図9の上下を逆にした構造とすることができる。あるいは図6の線分X−Xにおける断面の構造は、図8の上下を逆にした構造を適用してもよい。
【0037】
具体的には、図6に示す、基板3の一方の端部(一方の短辺)から数えて1番目、3番目および5番目の抵抗体1は、以下に述べる態様で基板3と接続してもよい。図10の断面図に示すように、基板3の上側の主表面上から基板3の下側の主表面上まで、基板3の厚み方向(図10の上下方向)を貫通するようにスルーホール7が配置されている。
【0038】
スルーホール7は基板3の上側の主表面上の導体薄膜5と基板3と、基板3の下側の主表面上の導体薄膜5とを、図10の上下方向に貫通するように形成されている。スルーホール7の内部には金属材料がめっきされているため、基板3の上側の主表面上の導体薄膜5と、基板3の下側の主表面上の導体薄膜5とが電気的に導通される。
【0039】
ここで、基板3の下側の導体薄膜5の主表面上の一部の領域に配置されたランド2と抵抗体1とが、はんだ4により接続される。すると当該抵抗体1は、基板3の上側の主表面上の導体薄膜5などとも導通される。
【0040】
以上のように接続されることにより、基板3の下側の主表面に対向するように配置された抵抗体1についても、基板3の上側の導体薄膜5と電気的に接続される。したがって、本実施の形態の電子回路基板についても、すべての抵抗体1に対して、実施の形態1の電子回路基板の抵抗体1と同様の動作原理により作動する。
【0041】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。本実施の形態の電子回路基板は、実施の形態1の電子回路基板と同様の作用効果に加え、以下に述べる作用効果を有する。
【0042】
本実施の形態の電子回路基板の複数の抵抗体1は、それぞれが電気回路中で並列に接続されている。このため、1つの抵抗体1に流れる電流値を実施の形態1の抵抗体に流れる電流値より小さくできる。このため、それぞれの抵抗体1の発熱量を実施の形態1の電子回路基板の抵抗体1よりも少なくすることができる。
【0043】
また本実施の形態の電子回路基板においては、サイズを小さくして複数並列される抵抗体1が、基板3の一方の主表面側にすべて配置するのではなく、基板3の一方の主表面側と他方の主表面側との両方に、基板3の長辺側に沿った方向に関して互い違いに配置される。このため、たとえば基板3の一方の主表面側のみに抵抗体1が5つ並列する場合に比べて、抵抗体1の熱が移動(放熱)される効率が高くなる。
【0044】
電子回路基板全体においては抵抗体1が5つ配置されているが、基板3の一方の主表面側(他方の主表面側)には抵抗体1が2つ(3つ)しか配置されない。このためたとえば基板3の一方の主表面側のみに抵抗体1が5つ並列する場合に比べて、各抵抗体1の、基板3(スリット6)と対向しない側の主表面上における空気の対流による放熱の効率が高くなる。これは抵抗体1の主表面1つあたりを空冷するための空気の対流の量を増加させることができるためである。
【0045】
このため、本実施の形態のように複数の抵抗体1を基板3の表裏面に分けて配置し、かつ基板3の主表面に関して互いにずれた位置(基板3の上側および下側の主表面に対向する領域)に配置することにより、抵抗体1の発する熱が放熱される効率が高くなる。したがって抵抗体1や基板3の温度上昇をさらに確実に抑制することができる。
【0046】
本発明の実施の形態2は、以上に述べた各点についてのみ、本発明の実施の形態1と異なる。すなわち、本発明の実施の形態2について、上述しなかった構成や条件、手順や効果などは、全て本発明の実施の形態1に順ずる。
【0047】
(実施の形態3)
本実施の形態は、実施の形態1および2と比較して、スリットの構成が異なっている。以下、本実施の形態の構成について説明する。
【0048】
図11〜図13を参照して、本実施の形態の電子回路基板は、スリット6が2つ形成されている。具体的には、基板3の長辺側に沿う方向に延在するスリット6が、実施の形態1および2においては1つのみ形成されているのに対し、本実施の形態においては2つのスリット6が、基板3の短辺側に沿う方向に並列している。
【0049】
これら2つのスリット6は、1つの抵抗体1を載置する2つのランド2に挟まれた、基板3の短辺方向に関する中央部分に、一定の間隔を隔てて形成されていることが好ましい。また図11〜図13においては実施の形態2の、複数の抵抗体1を有する電子回路基板に対して本実施の形態の2つのスリット6が形成されている。しかしたとえば図14に示すように、実施の形態1の電子回路基板、すなわち単独の抵抗体1を有する電子回路基板に対して本実施の形態の2つのスリット6が形成されていてもよい。
【0050】
また、図11〜図14の電子回路基板においては2つのスリット6が形成されている。しかし基板の主表面に3つ以上のスリット6が形成されていてもよい。
【0051】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。本実施の形態の電子回路基板は、実施の形態1および2の電子回路基板と同様の作用効果に加え、以下に述べる作用効果を有する。
【0052】
スリット6が一定の間隔を隔てて複数形成されていれば、たとえば図13の断面図に示すように、ランド2が配置された抵抗体1の短辺方向に関する端部に加えて、抵抗体1の短辺方向に関する中央部分(2つのスリット6に挟まれた領域)においても接着剤8を用いて基板3に抵抗体1を接続することができる。
【0053】
抵抗体1が基板3に対して面実装される平板状の形状である場合において、上記のように基板3の主表面のうち2つのスリット6に挟まれた領域における抵抗体1との接続を特に容易に行なうことができる。このため、スリット6に挟まれた領域が存在しない場合に比べて、抵抗体1と基板3とのはんだ付けによる固定を容易にし、かつ当該固定をさらに確実にすることができる。
【0054】
なお図13においては図3と同様にスルーホール7が形成されない場合の断面図を示しているが、実施の形態3においても、実施の形態1や実施の形態2と同様に、スルーホール7が形成され、基板3の主表面の上側と下側とが電気的に接続された構成となっていてもよい。
【0055】
本発明の実施の形態3は、以上に述べた各点についてのみ、本発明の実施の形態1および2と異なる。すなわち、本発明の実施の形態3について、上述しなかった構成や条件、手順や効果などは、全て本発明の実施の形態1および2に順ずる。
【0056】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、電子回路基板を低コストで高効率に放熱する技術として、特に優れている。
【符号の説明】
【0058】
1 抵抗体、2 ランド、3 基板、4 はんだ、5 導体薄膜、6 スリット、7 スルーホール、8 接着剤。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の一方の主表面上に接続される抵抗部材とを備える電子回路基板であり、
前記抵抗部材に対向する前記基板の主表面にはスリットが形成されている、電子回路基板。
【請求項2】
前記スリットは、前記抵抗部材に対向する位置に複数形成されている、請求項1に記載の電子回路基板。
【請求項3】
前記基板において前記一方の主表面の反対側である他方の主表面上に対向するように配置される他の抵抗部材をさらに備え、
前記抵抗部材と前記他の抵抗部材とは、前記基板の前記主表面に沿った方向に関して互いにずれた位置に配置される、請求項1または2に記載の電子回路基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−155134(P2011−155134A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15581(P2010−15581)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】