説明

電子式歩数計

【課題】 電子式加速度センサを備えた電子式歩数計において、使用者が歩行形態に応じてセンサの感度軸を最適角度に調節できるようにすること。
【解決手段】 一軸方式の電子式加速度センサ11は、時計ケース1の本体ケース2の外周に嵌め込まれた外周回転リング3に配置されている。信号処理部を収容した本体ケース2の外周には、電子式加速度センサ11と前記信号処理部との電気的接続を行う可動性導通ピン16A,16Bが、時計バンドの長手方向に対して90度、反時計周りに45度、及び反時計周りに90度の角度位置にそれぞれ配置されている。図1の角度位置に調整されたとき、電子式歩数計100は無手振り歩行の歩数を高精度で計測する。電子式加速度センサ11の感度軸がバンドの長手方向に対して直角になり、無手振り歩行の際の足の着地振動を安定的に高感度で検出するからである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の手首に装着して使用する加速度センサを備えた電子式歩数計に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2004−54704号公報(特許文献1)には、振り子の振動回数を接点部の接触回数により検出する腕時計式歩数計において、振り子と接点部を備えた振り子式加速度検出部と、前記振り子式検出部を収容するケースとを備え、前記振り子式加速度検出部は、腕装着時の腕方向に対応する重力軸と鉛直な水平軸に対して前記接点部を下方に配置すると同時に該接点部の配置ラインの角度が45度±15度の範囲内となるように前記ケースに収容し配設したことを特徴とする一軸方式の腕時計型歩数計である。そして、前記振り子式検出部は、前記接点部の配置ラインの角度が45度±15度の範囲内で回動自在に軸支されて前記ケース内に取付けられている。
【0003】
上述の従来の歩数計は、使用者の腕の振りの状態に応じて振り子式加速度検出器の配置角度を調整して精度よく歩数計測ができるものである。しかしながら、その表1から明らかな如く、通常歩行、腕を平行に移動させながらのジョギング、腕を大振りしながらのジョギングによって、即ち、歩行形態によって、歩数の計測精度は相当に異なっている。しかも、上述の従来の歩数計は、構成部品の点数が多く、構造が複雑であり、組立と感度調整が容易でないのに、前記振り子式加速度検出部の配置角度の調整を行えるようにしたために、更に複雑な構造となっている。また、これらの従来の歩数計では、使用者の手振りと着地のタイミングのズレによって誤った歩行検出が生じ易く、歩数の計測精度に未だ問題が残っている。
【0004】
特開2004−125551号公報(特許文献2)には、振り子の振動回数を検出する振り子式加速度検出器と、この振り子式加速度検出器を収納するバンド付ケースと、少なくとも歩数と時刻をデジタル表示する表示手段を備え、前記振り子は歩行時の歩数測定可能な初期状態において、回転支点と振り子本体を結ぶ仮想線が時計における文字板の6時と12時を結ぶ仮想線に対して8〜25度の角度をもって、且つ前記回動支点が6時側で振る子本体が12時側に位置するように傾斜していることを特徴とする腕時計型歩数計である。そして、この従来の腕時計型歩数計においては、前記振り子式加速度検出器が前記バンド付ケースの外部から前記角度8〜25度の範囲内で角度調整可能に構成されている。傾斜角度が8度以下になると振り子が小さな重力加速度でも動作してチャタリング現象を生じ、また傾斜角度が25度以上になると振り子を動作させるのに大きな重力加速度を必要とするので検出感度が低くなるからである。
【0005】
ところで、特許文献2の段落番号0061に、振り子式加速度検出器を35度傾斜させた場合は、ジョギング時の歩行測定にも十分に使用できることが判明したと記載されているのに、角度35度は検出感度が低くなるという理由で除外されている。
【0006】
上述の従来の歩数計は、使用者の老若男女差による測定誤差を考慮して振り子式検出器の配置角度を調整して精度よく歩数計測ができるものである。しかしながら、これの従来の歩数計は歩行センサとして振り子式加速度検出部を備えるものであるから、構成部品の点数が多く、構造が複雑であり、組立と感度調整が容易でないという問題を有する。しかも、前記振り子式加速度検出部の配置角度の調整を行えるようにしたために、更に複雑な構造となっている。また、この従来の歩数計では、使用者の手振りと着地のタイミングのズレによって誤った歩行検出が生じ易く、歩数の計測精度に未だ問題が残っている。
【0007】
特開2005−309693号公報(特許文献3)には、振り子を含まない一軸方式の電子式加速度センサを用いた腕時計型の電子式歩数計が開示されている。前記一軸方式の電子式加速度センサは、ショックセンサ、衝撃センサ、振動センサ等とも呼ばれるもので、バイモルフ型素子、ユニモルフ型素子、ピエゾ型素子などで構成されたセンサであって、振り子式加速度センサとは比較できない程に小型の加速度センサである。この従来の電子式歩数計は、使用者の歩行を検出して歩行に対応する歩行信号を出力する一軸方式の電子式加速度センサと、前記歩行信号に基づいて前記使用者の歩数を算出する算出手段と、少なくとも前記使用者の手首に装着するためのバンドとを有し、少なくとも前記一軸方式の電子式加速度センサを前記バンドによって前記使用者の手首に装着して使用する電子式歩数計において、前記一軸方式の電子式加速度センサの感度軸を前記バンドの長手方向に対して90度から反時計周りに30度以内の範囲、又は、前記バンドの長手方向に対して90度から時計周りに30度以内の範囲に位置するように配置されているものである。
【0008】
上述の従来の電子式歩数計は、振り子を有する機械式加速度検出器を備えた歩数計と比較すると、歩行センサが一軸方式の電子式加速度センサであるため、装置の小型化・軽量化と組立並びに感度調整が容易という特長を有する。しかも、前記一軸方式の電子式加速度センサは上述の如く感度軸を所定角度に特定して配置されているために、腕を振らない状態での歩行も検出できるので、通常生活における殆どの歩数を検出できるものである。しかしながら、この一軸方式の電子式加速度センサを用いた電子式歩数計においても、歩行形態によって、歩数の計測精度は相当に異なっている。
【特許文献1】特開2004−54704号公報
【特許文献2】特開2004−125551号公報
【特許文献3】特開2005−309693号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、歩行センサとして電子式加速度センサを備え且つバンドによって使用者の手首に装着して使用する電子式歩数計において、使用者が歩行形態に応じて高精度の歩数計測が行えるように前記センサの感度軸を最適角度に調節できる構成簡単で操作容易な感度軸調節手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、使用者の手首に装着して使用される電子式歩数計は、通常歩行時、ジョギング時、ランニング時において、即ち歩行形態によって前記電子式加速度センサの最適感度軸がそれぞれ顕著に異なることに着目した。
【0011】
そして、上記課題を解決するために、使用者の歩行を検出し歩行信号を出力する電子式加速度センサと、前記歩行信号に基づいて使用者の歩数を算出する信号処理部と、前記信号処理部が収納された本体ケースと該本体ケースの外周に回転可能に嵌め込まれ、前記電子式加速度センサを配置した周回転リングを有する歩数計ケースと、使用者の手首に装着するためのバンドとを有し、これによって使用者の歩行形態に応じて電子式加速度センサの感度軸を調整可能な電子式歩数計を構成した。
【0012】
使用者の左手に装着されて使用される前記電子式歩数計においては、前記電子式加速度センサを、前記外周回転リングに前記バンドの長手方向に対して90度から反時計周りに90度以内の角度範囲内の最適感度位置に歩行形態に応じて調節可能にして配置した。
【0013】
また、使用者の右手に装着されて使用される前記電子式歩数計においては、前記電子式加速度センサを、前記外周回転リングに前記バンドの長手方向に対して90度から時計周りに90度以内の角度範囲内の最適感度位置に歩行形態に応じて調節可能にして配置した。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、歩行センサとして使用者の手首に装着して使用する加速度センサを備えた電子式歩数計の使用者は、通常歩行、ジョギング、ランニングの歩行形態に応じて前記センサの感度軸を最適角度に調節できるので、高精度の歩数計測が可能となった。また、それぞれの歩行形態における使用者の腕の振り方は異なるので、使用者がそれぞれの歩行形態にあった位置に感度軸を微調整することもできる。
また、電子式加速度センサは、本体ケースの外周に回転可能に嵌め込まれた外周回転リングに配置されているので、センサの感度軸を調整する構造は複雑でなく製造コストの上昇は低く抑えることが出来る。しかも、角度調整は前記外周回転リングを回動させるだけであるから、老若男女のいずれの使用者にとっても角度操作は容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明に係る電子式歩数計は、使用者の歩行を検出し歩行信号を出力する電子式加速度センサと、前記歩行信号に基づいて使用者の歩数を算出する信号処理部と、前記信号処理部が収納された本体ケースと該本体ケースの外周に回転可能に嵌め込まれ、前記電子式加速度センサを配置して外周回転リングを有する歩数計ケースと、使用者の手首に装着するためのバンドとを有する電子式歩数計である。
【実施例】
【0016】
本発明の一実施例の電子式歩数計100は、主要部の平面図である図1、図5、図6、主要部の断面図である図2、図3に示す如く、電子時計に歩数計機能を付加して構成されたものである。また、電子式歩数計100は、時計ケース1に図示しない時計バンドが取り付けられており、時計バンドを使用者の腕に装着して使用する。
【0017】
歩数計ケースとしての時計ケース1は外装と称される本体ケース2と、本体ケース2の外周に取付けられた外周回転リング3とで構成されている。外周回転リング3は、ベゼルとも称されるもので、図示しないラチェット機構やクリップピンによって本体ケース2に回転可能にして取付けられている。本体ケース2は、表側開口をカバーガラス4で、且つ裏側開口を裏蓋5でそれぞれ封止されている。本体ケース2には、回路ブロック6、パネル枠8、液晶表示部9、電池10等の構成部品が収納されている。回路ブロック6は、歩行信号に基づいて使用者の歩数を算出する信号処理部を構成するもので、図示しないIC素子などの電子部品が回路基板7に搭載されて構成されたものである。
【0018】
本発明の一実施例の電子式歩数計100に歩行センサとして採用されている一軸方式の電子式加速度センサ11は、図4に示す如く、加速度センサ素子12が表側に搭載されたセンサ基板13と、センサ基板13の裏側に配置された一対のセンサ端子14A,14Bとからなるユニット型センサである。一対のセンサ端子14A,14Bは、センサ基板13に設けられた一対のスルーホール15A,15Bに導電性金属を蒸着して形成された導電性金属薄膜の端部であって、前記導電性金属薄膜の他の端部は加速度センサ素子の一対の端子まで延びている。一対のセンサ端子14A,14Bの配置間隔は、加速度センサ素子12の長さ程度である。加速度センサ素子12は、ショックセンサ、衝撃センサ、振動センサ等とも呼ばれるセンサを構成するもので、一対の端子を有するバイモルフ型素子、ユニモルフ型素子、ピエゾ型素子などの小型のセンサ素子である。
【0019】
電子式加速度センサ11は、時計ケース1の本体ケース2の外周に回転可能に嵌め込まれた外周回転リング3に配置されている。本体ケース2と外周回転リング3との間には、防水用パッキン22,23が配置されている。外周回転リング3の内周面26には、図2及び図3に示す如く、センサ収容部21が形成されている。センサ収容部21は、センサ基板13が収容される広い開口部と加速度センサ素子12が収容される凹部とで構成されている。センサ基板13が収容される開口部は、外周回転リング3の内周面26から突設された壁面で囲まれて構成されている。前記突出した壁面の高さは、センサ基板13の厚みに略等しく、換言すれば本体ケース2の外周面25と外周回転リング3の内周面26との隙間間隔の半分程度に選定されている。
【0020】
本体ケース2に収納されている回路ブロック6と、本体ケース2の外周に回転可能に取付けられている外周回転リング3に配置されている電子式加速度センサ11とは、センサ接続部によって電気的に接続されている。即ち、前記センサ接続部は、大径の先端部を有する可動性導通ピン16A,16B、加圧ばね17A,17B、段付案内孔18A,18Bを含んで構成されている。大径の先端部を有する可動性導通ピン16A,16Bは、図2と図3に示す如く、本体ケース2の壁面を貫通して設けられている大径部と小径部を有する段付案内孔18A,18Bに挿入配置されている。そして、段付案内孔18A,18Bに挿入配置されている可動性導通ピン16A,16Bは、前記大径部に配置された加圧ばね17A,17Bによって電子式加速度センサ11のセンサ端子14A,14B側に付勢されている。また、可動性導通ピン16A,16Bの後端部には、抜け止め部材19A,19Bがそれぞれ取付けられている。
【0021】
上述の構成によって可動性導通ピン16A,16Bは段付案内孔18A,18Bの軸方向に所定範囲だけ移動可能になっている。従って、可動性導通ピン16A,16Bはその先端を電子式加速度センサ11のセンサ端子14A,14Bに接触させると同時に、その後端を回路ブロック6の回路基板7に接触させ、回路ブロック6と加速度センサ11との間は電気的に接続されている。
【0022】
ところで、可動性導通ピン16A,16Bの大径の先端部は球状突起に形成されている。一方、加速度センサ11のセンサ端子14A,14Bの中心部はスルーホール15A,15Bが開口している。このため、可動性導通ピン16A,16Bの大径の先端部の球状突起がセンサ端子14A,14Bの中心部のスルーホール15A,15Bの開口に係合する。従って、可動性導通ピン16A,16Bと電子式加速度センサ11のセンサ端子14A,14Bとの接続が安定的に行われる。
【0023】
前記センサ接続部、即ち、大径の先端部を有する可動性導通ピン16A,16B、加圧ばね17A,17B、段付案内孔18A,18Bを含んで構成されているセンサ接続部は、図1、図5及び図6に示す如く、本体ケース2の外周面25に3つの位置に設けられている。具体的には、バンドの長手方向に対して90度から反時計周りに90度の位置、バンドの長手方向に対して90度から反時計周りに45度の位置、及びバンドの長手方向に対して90度の位置である。換言すれば、時計の12時位置、1時半の位置、及び3時の位置である。
【0024】
上述の如く構成された本発明の一実施例の電子式歩数計100は、使用者が歩行形態に応じて一軸方式の電子式加速度センサ11の感度軸を容易に調整することが可能である。即ち、図1に示す如く、外周回転リング3を回転させて一軸方式の電子式加速度センサ11をバンドの長手方向に対して90度から反時計周りに90度の位置に配置させると、電子式加速度センサ11は本体ケース2の時計の12時の位置に配置されているセンサ接続部の可動性導通ピン16A,16Bを介して、本体ケース2の回路ブロック6に電気的に接続される。この角度位置にあるとき、一軸方式の電子式加速度センサ11の感度軸はバンドの長手方向に対して直角になり、本発明の一実施例の電子式歩数計100は無手振り姿勢で歩行する歩数を高精度で計測する。この感度軸においては、一軸方式の電子式加速度センサ11は無手振り歩行の際の足の着地振動を安定的に高感度で検出するからである。従って、図1の角度位置に外周回転リング3が回転させられたときには、本発明の一実施例の電子式歩数計100は無手振り姿勢での通常歩行に最適の電子式歩数計として機能する。
【0025】
次に、図5に示す如く、外周回転リング3を回転させて一軸方式の電子式加速度センサ11をバンドの長手方向に対して90度から反時計周りに45度の位置に配置させると、電子式加速度センサ11は本体ケース2の時計の1時半の位置に配置されているセンサ接続部の可動性導通ピン16A,16Bを介して、本体ケース2の回路ブロック6に電気的に接続される。この角度位置にあるとき、一軸方式の電子式加速度センサ11の感度軸はバンドの長手方向に対して90度から反時計周りに45度の線に一致することになり、本発明の一実施例の電子式歩数計は手振り歩行時の歩数を高精度で計測する。この感度軸においては、一軸方式の電子式加速度センサ11は手振り歩行の際の足の着地振動も手振り振動も安定的に高感度で検出するからである。従って、図5の角度位置に外周回転リング3が回転させられたときには、本発明の一実施例の電子式歩数計100は手振り姿勢での通常歩行に最適の電子式歩数計として機能する。
【0026】
更に、図6に示す如く、外周回転リング3を回転させて一軸方式の電子式加速度センサ11をバンドの長手方向に対して90度の位置に配置させると、電子式加速度センサ11は本体ケース2の時計の3時の位置に配置されているセンサ接続部の動性導通ピン16A,16Bを介して、本体ケース2の回路ブロック6に電気的に接続される。この角度位置にあるとき、一軸方式の電子式加速度センサ11の感度軸はバンドの長手方向に対して90度の線に一致することになり、本発明の一実施例の電子式歩数計100はランニング時の歩数を高精度で計測する。この感度軸においては、一軸方式の電子式加速度センサ11は肘から手首が地面と平行になる姿勢のランニングの際の足の着地振動を安定的に高感度で検出するからである。従って、図5の角度位置に外周回転リング3が回転させられたときには、本発明の一実施例の電子式歩数計100はランニングに最適の電子式歩数計として機能する。
【0027】
このようにして、本発明に係る電子式歩数計100の使用者は、外周回転リング3を回転させて、歩行の形態に応じて最適のセンサ感度位置に簡単に調整することができる。
【0028】
以上、使用者の左手にバンドで装着して使用する電子式歩数計100を一実施例について詳細に説明したが、使用者の右手にバンドを装着して使用する電子式歩数計100を構成できることは勿論である。因みに、上述の一実施例に対応付ければ、前記センサ接続部、即ち、大径の先端部を有する可動性導通ピン16A,16B、加圧ばね17A,17B、段付案内孔18A,18Bを含んで構成されているセンサ接続部は、本体ケース2の外周面25に3つの位置に設けられている。具体的には、バンドの長手方向に対して90度から時計周りに90度の位置、バンドの長手方向に対して90度から時計周りに45度の位置、及びバンドの長手方向に対して90度の位置である。換言すれば、時計の12時位置、10時半の位置、及び9時の位置である。なお、外周回転リング3への一軸方式の電子式加速度センサ11の配置の仕方は上述の一実施例と同じである。
【0029】
ところで、本発明に係る電子式歩数計100において、一軸方式の電子式加速度センサ11は上述の如き特定の角度位置に調整されることに限定されるものではない。使用者の左手にバンドで装着して使用する電子式歩数計100においては、一軸方式の電子式加速度センサ11は、外周回転リング3にバンドの長手方向に対して90度から反時計周りに90度以内の角度範囲内の最適感度位置に配置されるように構成すればよい。また、使用者の右手にバンドで装着して使用する電子式歩数計100においては、一軸方式の電子式加速度センサ11は、外周回転リング3にバンドの長手方向に対して90度から時計周りに90度以内の角度範囲内の最適感度位置に配置されるように構成すればよい。
本実施例では、一軸方式の電子式加速度センサ11を3つの位置に保持する場合について説明したが、保持できる位置を更に増やすことも可能である。保持できる位置を増やすと、使用者の腕の振り方による微調整が可能となる。また、一軸方式の電子式加速度センサ11の代わりに二軸方式の電子式加速度センサを使用することも可能である。この場合、回路ブロック6が二軸方式の電子式加速度センサから出力される信号から腕振り方向を推測して、その推測結果に基づいて各歩行形態における使用者の腕振り状態から歩数として計測するか否かを判断するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施例の電子式歩数計の部分的平面図である。但し、外周回転リングに配置された一軸方式の電子式加速度センサは、バンドの長手方向に対して90度から反時計周りに90度の位置に角度調整された状態にある。
【図2】外周回転リングに配置された一軸方式の電子式加速度センサと、本体ケース内に配置された回路基板との電気的接続を行う可動性導通ピンの前記本体ケースへの配置状態を示した部分断面図であって、電子式加速度センサの長手方向に沿って切断した部分断面図である。
【図3】外周回転リングに配置された一軸方式の電子式加速度センサと、本体ケース内に配置された回路基板との電気的接続を行う可動性導通ピンの前記本体ケースへの配置状態を示した部分断面図であって、電子式加速度センサの長手方向に直角な線に沿って切断した部分断面図である。
【図4】一軸方式の電子式加速度センサの底面図(A)、断面図(B)、及び平面図(C)である。
【図5】本発明の一実施例の電子式歩数計の部分的平面図である。但し、外周回転リングに配置された一軸方式の電子式加速度センサは、バンドの長手方向に対して90度から反時計周りに45度の位置に角度調整された状態にある。
【図6】本発明の一実施例の電子式歩数計の部分的平面図である。但し、外周回転リング配置された一軸方式の電子式加速度センサは、バンドの長手方向に対して90度の位置に角度調整された状態にある。
【符号の説明】
【0031】
1 時計ケース
2 本体ケース
3 外周回転リング
4 カバーガラス
5 裏蓋
6 回路ブロック
7 回路基板
8 パネル枠
9 液晶表示部
10 電池
11 電子式加速度センサ
12 加速度センサ素子
13 センサ基板
14A,14B センサ端子
15A,15B スルーホール
16A,16B 可動性導通ピン
17A,17B 加圧ばね
18A,18B 断付案内孔
19A,19B 抜け止め部材
21 センサ収容部
22,23,24 防水用パッキン
25 本体ケースの外周面
26 外周回転リングの内周面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の歩行を検出し歩行信号を出力する電子式加速度センサと、前記歩行信号に基づいて使用者の歩数を算出する信号処理部と、前記信号処理部が収納された本体ケースと該本体ケースの外周に回転可能に嵌め込まれ、前記電子式加速度センサを配置した周回転リングを有する歩数計ケースと、使用者の手首に装着するためのバンドとを有する電子式歩数計。
【請求項2】
前記電子式加速度センサは、加速度センサ素子が表側に搭載された回路基板と、前記回路基板の裏側に配置された一対のセンサ端子とからなるユニット型センサであって、前記外周回転リングの内周面側に位置するようにして配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電子式歩数計。
【請求項3】
前記電子式加速度センサと前記信号処理部を電気的に接続する可動性を有する導通部材を有し、前記導通部材は前記本体ケースの壁面に貫通して設けられた複数対の案内穴に挿入され、弾性部材によって前記センサ端子側に付勢されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子式歩数計。
【請求項4】
前記電子式歩数計は使用者の左手に装着されて使用されるものであって、前記電子式加速度センサは、前記外周回転リングに前記バンドの長手方向に対して90度から反時計周りに90度以内の角度範囲内の最適感度位置に、歩行形態に応じて調節可能にして配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子式歩数計。
【請求項5】
前記電子式歩数計は使用者の右手に装着されて使用されるものであって、前記電子式加速度センサは、前記外周回転リングに前記バンドの長手方向に対して90度から時計周りに90度以内の角度範囲内の最適感度位置に、歩行形態に応じて調節可能にして配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子式歩数計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−219894(P2007−219894A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−40458(P2006−40458)
【出願日】平成18年2月17日(2006.2.17)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】