説明

電子文書生成装置

【課題】電子データにタイムスタンプを付与する際、公的タイムスタンプ付与に失敗した場合でも、一定の範囲における電子文書の有効性が保証された電子文書を作成し業務をスムーズに進めることを可能にすること。
【解決手段】MFPデバイス10が、S302で、公的タイムスタンプサーバへアクセスし、電子署名の付与された電子文書に公的タイムスタンプを付与する。S303で、公的タイムスタンプ付与の成否を判定し、失敗した場合、S304で、企業内タイムスタンプサーバなどの代行タイムスタンプサーバへアクセスし、代行タイムスタンプを付与するか判定する。付与すると判定した場合、S305で、代行タイムスタンプを電子文書に付与する。MFPデバイス10は、代行タイムスタンプを付与した電子文書に対して、公的タイムスタンプ付与を繰り返し実行することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子文書生成装置に関し、より詳細には、タイムスタンプサーバと通信を行う電子文書生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
e−文書法が施行されたことによって、オフィスに溢れる紙文書を電子化して保存管理した場合でも、ある一定の条件を満たしていれば、法的有効性を認められることになった。その「ある一定の条件」は省庁ごとに異なるのだが、共通して規定されている主な条件は次の通りである。すなわち、「紙文書を電子化した責任者を明らかにすること、電子化した文書が改ざんされていないことを保証できること、検索が可能なこと、などの条件を満たすシステムで文書を管理すること」である。
【0003】
この法令(省令)に対応するため、各メーカでは、紙文書をスキャンしてストレージサーバに保存するシステムにおいて次のような対応を行っている。すなわち、紙文書を電子化するためのスキャン直後に画像データに電子署名を付与することによって、紙文書を電子化した責任者を明らかにし、さらに、タイムスタンプを付与することによって、改ざんされていないことを保証することなどを行っている。なお、電子署名に用いられた証明書が失効していないことや、タイムスタンプは特定認証局等の公的なものであるというような制限がある。また、公的なタイムスタンプは、タイムスタンプを付与するたびに、タイムスタンプサービスを提供する企業による課金が発生し、エンドユーザはその支払いを行う必要がある。
【0004】
タイムスタンプ付与に関連する先行技術として、ユーザに発行された証明書を元に、その元証明書の情報を削除、追加、変更した代替証明書の発行を行うシステムが提案されている。このシステムは、証明書と代替証明書の差分を確認できることを特徴としている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、ユーザの希望に応じて動的にタイムスタンプ局を選択できるシステムが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2005-159463号公報
【特許文献2】特開2005-284901号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように使用が普及してきているタイムスタンプサービスであるが、ネットワーク障害などの原因で、公的なタイムスタンプサーバによるタイムスタンプ付与を行えない場合がある。この場合、公的な有効性を有する文書を使用する業務は、停止してしまう。実際の企業の業務においては、公的にタイムスタンプを付与することが望ましいが必ずしも公的であることまでは必要とせず、企業内などの一定の範囲において有効性を保証できれば十分であることがある。例えば、企業内における上司の承認書などが挙げられる。
【0008】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、タイムスタンプ付電子文書を生成する際、公的タイムスタンプ付与に失敗しても、一定の範囲における有効性が保証された電子文書を作成し業務をスムーズに進めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的を達成するために、本発明に係る電子文書生成装置は、電子文書を取得する電子文書取得手段と、タイムスタンプサーバにネットワークを介して前記電子文書に対するタイムスタンプを要求し、該要求に対応するタイムスタンプを前記電子文書に付与するタイムスタンプ付与手段と、前記タイムスタンプ付電子文書を電子文書保存先に保存する電子文書保存手段とを備え、前記タイムスタンプ付与手段は、前記タイムスタンプサーバとして第1のタイムスタンプサーバに要求を送信し、該要求に対応するタイムスタンプを付与できないときは、第2のタイムスタンプサーバに要求を送信してタイムスタンプを付与することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、第1のタイムスタンプ付与に失敗した場合に企業内等にある第2のタイムスタンプサーバを使ってタイムスタンプを付与することで、一定の範囲における有効性が保証された電子文書を作成することを可能にし、業務をスムーズに進める効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る電子文書生成装置の動作環境を示す図である。電子文書作成装置であるMFPデバイス(複合機、MEAPデバイスも同じ意味である)10は、ストレージサーバ20と、公的タイムスタンプサーバ(第1のタイムスタンプサーバに対応)30と、代行タイムスタンプサーバ(第2のタイムスタンプサーバに対応)40と、ストレージサーバクライアント50とを備えた環境において動作する。公的タイムスタンプサーバ30および代行タイムスタンプサーバ40は、MFPデバイス10と通信を行い、それぞれ公的および代行タイムスタンプ付与機能を提供することができる。代行タイムスタンプが有効な範囲は、使用する代行タイムスタンプサーバの設計に応じて定まる。ストレージサーバ20は、タイムスタンプ付電子文書の保存先である。ストレージサーバクライアント50は、ストレージサーバ20と通信を行い、文書の検索、参照、編集、削除等の操作を行う。MFPデバイス10およびこれらの動作環境構成要素が、LANまたはインターネットを介して接続されている。
【0012】
ここで、図1の動作環境を示す図は、本実施形態に係る電子文書生成装置の動作環境の例示であることに留意されたい。すなわち、公的タイムスタンプサーバ30のみがインターネットで接続され、他の動作環境構成要素はLANを介して接続されている場合について図1に示されているが、全ての動作環境構成要素が、インターネットまたはLANを介して接続されていても構わない。また、これらの動作環境構成要素のそれぞれを1つずつのみ備える場合について以下に述べるが、各動作環境構成要素を複数備えていても構わない。さらに、ストレージサーバ20およびストレージサーバクライアント50は、任意選択とすることができ、ストレージサーバ20については、代替的にMFPデバイス10のフォルダなどを電子文書の保存先としてもよい。加えて、本実施形態においては、代行タイムスタンプサーバ40を企業内に構築された代行タイムスタンプサーバを想定して記載するが、企業外に構築された代行タイムスタンプサーバでも構わない。
【0013】
図2は、本実施形態に係る電子文書生成装置の一例であるMFPデバイス10を示すブロック構成図である。MFPデバイス10は、CPU101と、表示装置102と、スキャナ装置103と、スキャナ情報管理部104と、メモリ105と、大容量記憶装置106と、ネットワークインターフェース107とを備え、これらは内部バス108により接続されている。CPU101は、MFPデバイス10を制御するものであり、表示装置102は、所望の動作を行うための操作等を、ユーザがこの表示装置に表示される画面を介して行うための装置である。スキャナ装置103は、オートドキュメントフィーダ機能等の機能を有する文書を読み込むための装置であり、スキャナ情報管理部104は、スキャナ装置103の機能または状態の情報を管理または保持する。メモリ105は、CPU101がMFPデバイス10を制御するために実行する各種命令(アプリケーションプログラムを含む)を記憶し、大容量記憶装置106には、スキャナ装置103で読み取ったイメージが保存される。ネットワークインターフェース107は、CPU101による制御に従いLANを介して信号の送受信を行う。
【0014】
メモリ105に格納されているアプリケーションプログラムは、MFPデバイス10を、以下に説明する各処理を実行する手段として機能させるためのプログラムである。ただし、すべての処理を実行する手段として機能させることは必ずしも意図されておらず、アプリケーションプログラムは、実施形態に応じて、MFPデバイス10を適切な手段として機能させることが可能である。
【0015】
このような動作環境および構成における、本実施形態に係る電子文書生成装置を用いたタイムスタンプ付電子文書の生成処理の流れを以下に説明する。図3は、全体的なタイムスタンプ付電子文書の生成処理の流れを示すフローチャートである。
【0016】
まず、ステップS101において、ユーザが、ストレージサーバ20にログインを行う。このユーザ認証は、ストレージサーバ20でユーザ認証機能が実行されている必要があるが、必ずしも必須ではない。
【0017】
次に、ステップS102において、ユーザが、あらかじめ設定した電子文書保存設定情報をMFPデバイス10のフォルダなどから取得する。設定情報は、あらかじめ設定のためのUIなどで指定を行い、ファイルやレジストリなどに保存しておくことが好ましいが、ステップS102においてUIを表示し、そこでユーザに指定をさせても構わない。当然、設定情報の一部を前者(事前設定)の扱いとし、一部を後者(処理直前にUIで設定)の扱いとするとしても構わない。また、設定情報は、MFPデバイス10のROMに格納しておいてもよい。ユーザがあらかじめ設定情報を設定するフローの詳細は、図4を参照して後述され、UIの例は、図6に示されている。
【0018】
ステップS103において、MFPデバイス10が、スキャンなどにより電子文書を取得する。本実施形態ではスキャンによって取得した電子文書について説明するが、スキャンによる電子文書取得に限定する必要はなく、電子ファイルの取り込み等でも構わない。
【0019】
ステップS104において、MFPデバイス10が、取得した電子文書に対して、タイムスタンプサーバによりタイムスタンプを付与する。その詳細は、図5を参照して後述する。
【0020】
ステップS105において、MFPデバイス10が、タイムスタンプ付電子文書の保存先であるストレージサーバ20に、タイムスタンプ付電子文書を保存する。タイムスタンプ付電子文書の保存先はMFPデバイス10のフォルダなどでも構わない。なお、タイムスタンプ付電子文書保存時に既に関連する電子文書が存在しているかを確認し、電子文書の上書き保存、または、バージョン管理等を行っても構わない。
【0021】
ステップS106において、これらの処理を続行するか否かを確認することで、連続的に電子文書の生成処理を行うことが可能である。ただし、この処理は必須ではないので、電子文書の保存処理が終了した時点で、アプリケーションプログラムが自動的に終了しても構わない。
【0022】
(電子文書保存設定処理)
図4を参照して、図3のステップS102において取得する電子文書保存設定情報を事前に設定し、保存するフローについて説明する。
【0023】
ステップS201において、ユーザが、電子化した文書の保存先を指定する。保存先の指定は、アプリケーションプログラムがストレージサーバ20からキャビネットまたはフォルダ情報を取得し、その情報を表示装置102に表示するなどの処理を行うことでユーザが所望の保存先を指定する。もちろん、電子文書の保存先はMFPデバイス10のフォルダやネットワーク上の共有フォルダでも構わない。このとき、事前にストレージサーバ20へのアクセス設定(サーバPCのIPアドレスやURLの指定等)を行い、環境を整える必要がある。アクセス環境の整備は、電子文書保存設定処理の最初に初期UIとして画面を表示し設定しても構わないし、図3のステップS101の画面で設定しても構わない。なお、本実施形態では通信の手段を特に指定しないが、HTTPやSOAP、TCP/IPなど、当該アプリケーションプログラムが実行されているMFPデバイス10とストレージサーバ20との間で通信可能であれば構わない。
【0024】
ステップS202において、ユーザが、スキャン処理により電子化した文書を取得する場合のために、原稿を読み込むための読み込み設定を指定する。設定内容の例としては、カラーモード、解像度、ファイル形式、両面モード、原稿サイズ、および倍率等がある。
【0025】
ステップS203において、ユーザが、電子化した文書を保存するための保存設定を指定する。設定内容の例としては、文書名、ファイル形式、およびインデックスなどの文書プロパティなどがある。
【0026】
ステップS204において、ユーザが、電子化した文書に電子署名を付加するか否か、また、付加する場合は、電子署名に用いる証明書を指定する。
【0027】
ステップS205において、ユーザが、画像データにタイムスタンプを付加するか否かまた、付加する場合は、公的タイムスタンプサーバの情報を指定する。公的タイムスタンプサーバの情報の例としては、公的タイムスタンプサーバのアドレス、タイムスタンプ付与の際に使用するライセンスファイル、およびライセンスファイルに対応したパスワードなどがある。
【0028】
ステップS206において、ユーザが、公的タイムスタンプ付与に失敗した場合のエラー時の処理についての設定を行う。エラー時の処理の設定の詳細は、図6を参照して後述する。
【0029】
ステップS207において、ユーザが、処理の結果に関してメール通知を行うか否か、また、メール通知を行う場合は、メール通知先のメールアドレスを指定する。
【0030】
ステップS208において、ユーザが、ステップS201からステップS207までの設定を確認し、設定を保存するか否かを指定する。設定を保存する場合は、ステップS209へ進み、設定を保存しない場合は、設定を保存せずに終了する。
【0031】
ステップS209において、アプリケーションプログラムが、ユーザが設定した内容をMFPデバイス10などに保存する。保存の態様は、ファイルやレジストリなど、アプリケーションプログラムが読み書きできる方式であれば良い。
【0032】
(タイムスタンプ付与処理)
図5を参照して、図3のステップS104における、MFPデバイス10によるタイムスタンプサーバからのタイムスタンプ付与について説明する。
【0033】
ステップS301において、図4のステップS204の電子署名設定に従って、電子署名の付与を行う。電子署名の付与処理に関しては既知の技術であるので説明は省略する。
【0034】
ステップS302において、図4のステップS205のタイムスタンプ設定に従って、公的タイムスタンプサーバへアクセスし、公的タイムスタンプを付与する。タイムスタンプの付与処理に関しては既知の技術であるので説明は省略する。
【0035】
ステップS303において、ステップS302の処理に成功したか、失敗したかを判定し、ステップS304において、図4のステップS206のエラー時の処理の設定に従って、代行タイムスタンプを付与するか否かを判定する。代行タイムスタンプを付与すると判定した場合、ステップS305において、企業内タイムスタンプサーバなどの代行タイムスタンプサーバへアクセスし、代行タイムスタンプを付与する。代行タイムスタンプの付与処理については、ステップS302とタイムスタンプサーバアドレスが異なる程度で処理内容は同等であり、既知の技術であるため、説明は省略する。
【0036】
ステップS306において、図4のステップS206のエラー時の処理の設定に従って、公的タイムスタンプ付与を繰り返し実行するか否かを判定し、再付与を行うと判定した場合、ステップS307で一定時間を待った後、処理を続行する。なお、このステップは、(すぐに再付与を行っても原因が解決されている可能性は低いため)公的タイムスタンプサーバへのアクセス環境の確認等、タイムスタンプ付与に失敗した原因解決を行うためある程度の時間待機するためのものであり、必須ではない。また、このステップにおいて一定時間待った後、公的タイムスタンプサーバの状況を確認しアクセス可能であるか否かを判定して、アクセス可能と判定した場合はステップS308へ進み、そうでない場合はステップS306に戻るようにすることも可能である。
【0037】
ステップS308では、図4のステップS206のエラー時の処理の設定に従って、公的タイムスタンプを削除する前に代行タイムスタンプを削除するか否かを判定し、代行タイムスタンプを削除すると判定した場合に、ステップS309に移行する。
【0038】
ステップS309では、代行タイムスタンプを使用してデータの改ざんが行われていないかを確認し、ステップS310において、不正な改ざんが行われていた場合は、処理を終了する。改ざん検知処理に関しては既知の技術であるので説明は省略する。
【0039】
ステップS310において、不正な改ざんが行われていないと判定された場合は、ステップS311において、代行タイムスタンプを削除する。
【0040】
ステップS312において、公的タイムスタンプ付与を再度行う。付与処理の内容はステップS302と同じであるため、説明は省略する。
【0041】
ステップS313において、公的タイムスタンプ付与処理に失敗した場合は、ステップS306に戻る。
【0042】
(エラー時の処理の設定処理)
図6を参照して、図4のステップS206におけるエラー時の処理の設定について説明する。
【0043】
文書保存の設定画面は、図4のステップS204、ステップS205、ステップS206、およびステップS207における設定画面例を示したものである。「電子署名とタイムスタンプの設定」欄において、電子署名のみを付与するか、タイムスタンプのみを付与するか、電子署名およびタイムスタンプの両方を付与するか、を指定する。「電子署名の設定」欄において、電子署名付与に使用する証明書を指定する。「タイムスタンプの設定」欄において、タイムスタンプサーバのアドレス、タイムスタンプに使用するライセンスファイル、およびライセンスファイルに対応するパスワードを指定する。「エラー時の処理」欄において、図4のステップS206における動作の設定を指定する。動作設定の詳細は、「エラー時の処理の詳細設定」画面にて行い、それについては後述する。「メール通知の設定」欄において、処理結果をメールでユーザへ通知するか否か、また、通知する場合は通知先メールアドレスを指定する。通知する処理結果は、どの処理の結果を通知するかを選択可能とすることができる。
【0044】
「エラー時の処理の詳細設定」画面は、図4のステップS206における設定画面例を示したものであり、文書保存の設定画面の「エラー時の処理」欄の「設定」ボタンを押下した場合に表示する画面である。「代行タイムスタンプの設定」欄において、公的タイムスタンプの付与に失敗した場合、代行タイムスタンプを付与するか否かを指定し、代行タイムスタンプを付与する場合は、代行タイムスタンプサーバのアドレスを指定する。代行タイムスタンプサーバは、企業内のタイムスタンプサーバを想定しているが、LANやインターネットで接続され、一定の範囲で有効なタイムスタンプを付与可能であるサーバであればいずれのサーバでも構わない。
【0045】
「リトライ処理の設定」欄において、公的タイムスタンプ付与繰り返し実行(リトライ)を行うか否か、また、行う場合には、繰り返し実行条件として回数や日数を指定し、リトライの待ち時間(図5のステップS307の時間に相当する値)を指定する。加えて、公的タイムスタンプ付与繰り返し実行(リトライ)を行う際、代行タイムスタンプを削除するか否かを指定することができる。
【0046】
「代行タイムスタンプ付き文書の設定」欄において、一時的な電子文書保存先である保存場所やアクセス権を指定する。保存場所は、ストレージサーバのテンポラリフォルダでも構わないし、公的文書を保存するフォルダでも構わない。特に公的文書を指定した際、図3のステップS105において、文書の上書き保存、または、バージョン管理等を行っても構わない。アクセス権の指定の例として、電子署名のユーザ情報に基づいてそのユーザと同じユーザグループとして管理されているメンバー(例えば、課のメンバーや、プロジェクトのメンバーなど)に限定して公開できるようにすることが挙げられる。また、ストレージサーバのフォルダのアクセス権に従って、フォルダにアクセスできるユーザにのみ公開できるようにするといったことも挙げられる。
【0047】
以上説明してきたように、本実施形態に係る電子文書生成装置であるMFPデバイス10は、公的タイムスタンプサーバ30、代行タイムスタンプサーバ40、および他の構成要素を備えた動作環境において機能する。具体的には、メモリ105からアプリケーションプログラムを読み出し、CPU101により実行することで、タイムスタンプ付電子文書の生成に係る多くの処理を実行する手段として機能することができる。特に、代行タイムスタンプサーバにタイムスタンプを要求し、その要求に対応するタイムスタンプを代行タイムスタンプサーバにより電子文書に付与するタイムスタンプ付与手段として機能することができる。この機能によって、公的ではない文書ではあるが、一定の範囲における有効性が保証された電子文書を作成し、業務を続行することができる。加えて、タイムスタンプ付電子文書を電子文書保存先に保存する電子文書保存手段として機能することができ、電子文書保存手段は、代行タイムスタンプが付与された電子文書に対してアクセス権を設定することができる特徴を有する。この特徴を用いることにより、公的に認められていない文書が広範囲に出回ることが防げる。
【0048】
また、公的タイムスタンプ付与繰り返し実行手段として、公的タイムスタンプの再付与を自動化することができるため、ユーザの煩雑な作業を軽減することができる。さらに、公的タイムスタンプを再付与する際、代行タイムスタンプサーバを利用して改ざん検知を行うためセキュリティ面が向上する。
【0049】
また、公的タイムスタンプ付与繰り返し実行手段として、公的タイムスタンプの再付与前に代行タイムスタンプを削除することができ、公的文書としては不要なごみデータを残さずに公的文書を保存することができる。
【0050】
加えて、各処理結果をユーザへ通知する機能を有することにより、ユーザが電子化された文書の状況を知ることができ、特に、公的タイムスタンプ付与に失敗した場合のタイムスタンプ付与手段の処理内容を通知することで、以下の効果が期待できる。すなわち、代行タイムスタンプ付与によって所望の文書が作成され業務を続行できる場合であっても、その文書は公的タイムスタンプの付与がなされるまでは公的文書でないことをユーザに警告し、電子文書生成装置の適切な利用を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施形態に係る電子文書生成装置の動作環境を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る電子文書生成装置であるMFPデバイスの一例を示すブロック構成を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る電子文書生成装置における、全体的なタイムスタンプ付電子文書の生成処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態に係る電子文書生成装置における、電子文書保存設定情報を事前に設定する際の処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態に係る電子文書生成装置における、電子文書にタイムスタンプを付与する処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態に係る電子文書生成装置における、図4のステップS206におけるエラー時の処理の設定を指定する画面例である。
【符号の説明】
【0052】
10 MFPデバイス(電子文書生成装置に対応)
20 ストレージサーバ(電子文書保存先に対応)
30 公的タイムスタンプサーバ(第1のタイムスタンプサーバに対応)
40 代行タイムスタンプサーバ(第2のタイムスタンプサーバに対応)
50 ストレージサーバクライアント
101 CPU
105 メモリ
106 大容量記憶装置
107 ネットワークインターフェイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子文書を取得する電子文書取得手段と、
タイムスタンプサーバにネットワークを介して前記電子文書に対するタイムスタンプを要求し、該要求に対応するタイムスタンプを前記電子文書に付与するタイムスタンプ付与手段と、
前記タイムスタンプ付電子文書を電子文書保存先に保存する電子文書保存手段と
を備え、
前記タイムスタンプ付与手段は、前記タイムスタンプサーバとして第1のタイムスタンプサーバに要求を送信し、該要求に対応するタイムスタンプを付与できないときは、第2のタイムスタンプサーバに要求を送信してタイムスタンプを付与することを特徴とする電子文書生成装置。
【請求項2】
前記第1のタイムスタンプサーバは、公的タイムスタンプサーバであり、前記第2のタイムスタンプサーバは、代行タイムスタンプサーバであることを特徴とする請求項1に記載の電子文書生成装置。
【請求項3】
前記第1のタイムスタンプサーバによるタイムスタンプ付与に失敗した場合、前記第2のタイムスタンプサーバによる代行タイムスタンプ付与を行った後に、前記第1のタイムスタンプサーバによるタイムスタンプ付与を一回以上繰り返し実行するタイムスタンプ付与繰り返し実行手段
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の電子文書生成装置。
【請求項4】
前記タイムスタンプ付与繰り返し実行手段は、前記第1のタイムスタンプサーバによるタイムスタンプ付与を実行する前に、前記電子文書から前記代行タイムスタンプを削除することをさらに特徴とする請求項3に記載の電子文書生成装置。
【請求項5】
前記電子文書保存手段は、前記電子文書保存先における、前記代行タイムスタンプを付与した電子文書のアクセス権を設定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子文書生成装置。
【請求項6】
前記処理のうちの任意の処理段階における処理結果を出力する処理結果出力手段
をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子文書生成装置。
【請求項7】
前記電子文書取得手段は、スキャンにより電子文書を取得する手段であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の電子文書生成装置。
【請求項8】
前記電子文書保存先は、ストレージサーバであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の電子文書生成装置。
【請求項9】
コンピュータを、請求項1乃至8のいずれかに記載の電子文書生成装置として機能させるためのプログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項11】
請求項1乃至7のいずれかに記載の電子文書生成装置と、
前記電子文書生成装置からのネットワークを介した前記要求に応答し、前記要求に対応する公的タイムスタンプを付与する第1のタイムスタンプサーバと、
前記電子文書生成装置からのネットワークを介した前記要求に応答し、前記要求に対応する代行タイムスタンプを付与する第2のタイムスタンプサーバと
を備える電子文書生成システム。
【請求項12】
請求項8に記載の電子文書生成装置と、
前記電子文書生成装置からのネットワークを介した前記要求に応答し、前記要求に対応する公的タイムスタンプを付与する第1のタイムスタンプサーバと、
前記電子文書生成装置からのネットワークを介した前記要求に応答し、前記要求に対応する代行タイムスタンプを付与する第2のタイムスタンプサーバと、
前記ストレージサーバと
を備える電子文書生成システム。
【請求項13】
電子文書を取得する電子文書取得ステップと、
タイムスタンプサーバにネットワークを介して前記電子文書に対するタイムスタンプを要求し、該要求に対応するタイムスタンプを前記電子文書に付与するタイムスタンプ付与ステップと、
前記タイムスタンプ付電子文書を電子文書保存先に保存する電子文書保存ステップと
を含み、
前記タイムスタンプ付与ステップは、前記タイムスタンプサーバとして第1のタイムスタンプサーバに要求を送信し、該要求に対応するタイムスタンプを付与できないときは、第2のタイムスタンプサーバに要求を送信してタイムスタンプを付与することを特徴とする電子文書生成方法。
【請求項14】
前記第1のタイムスタンプサーバは、公的タイムスタンプサーバであり、前記第2のタイムスタンプサーバは、代行タイムスタンプサーバであることを特徴とする請求項13に記載の電子文書生成方法。
【請求項15】
前記第1のタイムスタンプサーバによるタイムスタンプ付与に失敗した場合、前記第2のタイムスタンプサーバによる代行タイムスタンプ付与を行った後に、前記第1のタイムスタンプサーバによるタイムスタンプ付与を一回以上繰り返し実行するタイムスタンプ付与繰り返し実行ステップをさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の電子文書生成方法。
【請求項16】
前記タイムスタンプ付与繰り返し実行ステップは、前記第1のタイムスタンプサーバによるタイムスタンプ付与を実行する前に、前記電子文書から前記代行タイムスタンプを削除することをさらに特徴とする請求項15に記載の電子文書生成方法。
【請求項17】
前記電子文書保存ステップは、前記電子文書保存先における、前記代行タイムスタンプを付与した電子文書のアクセス権を設定することを特徴とする請求項13乃至16のいずれかに記載の電子文書生成方法。
【請求項18】
前記処理のうちの任意の処理段階における処理結果を出力する処理結果出力ステップ
をさらに含むことを特徴とする請求項13乃至16のいずれかに記載の電子文書生成方法。
【請求項19】
前記電子文書取得ステップは、スキャンにより電子文書を取得するステップであることを特徴とする請求項13乃至18のいずれかに記載の電子文書生成方法。
【請求項20】
前記電子文書保存先は、ストレージサーバであることを特徴とする請求項13乃至18のいずれかに記載の電子文書生成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−146311(P2008−146311A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−332109(P2006−332109)
【出願日】平成18年12月8日(2006.12.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】