説明

電子時計

【課題】指針によるモード表示の持つ認識性とデザイン性を維持しつつ、タッチスイッチの持つ直感的で簡便なモード操作を実現する。
【解決手段】タッチスイッチ7を用いて予め定められた互いに異なる直線方向のいずれかの方向の軌跡を描く操作が行われたか否かを判断する判断手段10を設け、文字板3に表記されたモード表示名9を構成する文字や記号の一部に、予め定められた互いに異なる直線方向を示す矢印を重ね合わせ、文字や記号と矢印とを視認可能に形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子時計における各種モード設定の操作方法に関するものであり、さらに詳しくは操作方法を使用者に容易に伝える方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年電子時計においては、従来具備されてきた入力手段としてのプッシュボタンに代わり、時計の風防部に配置されたITO等の透明電極をタッチセンサとして使用した、所謂タッチスイッチを装備するものがある。これらの時計ではタッチスイッチの丁度下方に該当する文字板上の位置の近辺に、各タッチスイッチをタッチしたときの時計の動作内容が記載されたものが知られている。例えばタッチスイッチによって時計のモード変更を行う時計の場合、タッチスイッチの近辺の文字板上に、CHRONO(クロノモード)、ALARM(アラームモード)、TIMER(タイマーモード)等が記載され、使用者は所望のモード名が記載されている近辺をタッチする事でモード変更を行う。使用者の視点から見ると、モード変更をしたい場合は、所望のモード名が記載されている部分を風防越しにタッチすれば良いという事になり、極めて直感的で簡便な操作が可能となっている(例えば、特許文献1参照)。
一方、上記のように複数のモードを有する電子時計においては、時計の文字板にモード表示領域を設け、その領域内に配置された指針によって現在のモードを表示し、プッシュボタンやリューズ等により前記指針を動かす事によりモード変更するものが知られている。このような時計では、現在のモードが指針により常に表示されているので、現在のモードがどのモードであるか、使用者は容易に判断する事が可能となっている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−49920号公報
【特許文献2】特開2008−215973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のように指針によるモード表示を行う形態をとりながら、タッチスイッチによりモード変更を実施しようとする場合、以下のような問題がある。
特許文献2のような、指針によるモード表示を行う場合、デザイン性や、認知のし易さの問題から、モード表示を行う指針の軸が文字板上の中心から離れた位置に配置される事がある。この場合モード表示を行う指針は通常、中心軸に配置される針に比べ小さいものとなり、その周囲に記載されるモード表記も当然小さいものとなる。このような状態でモード表記の位置に合せて、風防部にタッチスイッチを配置すると、各タッチスイッチは小さく、かつ互いが非常に近接したものとなり、任意のタッチスイッチをタッチする事が難しくなり、意図に反するモードに設定される可能性がある。
一方で任意の箇所をタッチし易いようにタッチスイッチを大きくすると、必然的にモード名と対応するタッチスイッチが離れてしまい、使用者はモード名とタッチ箇所の対応がわかりにくく、最悪の場合、どこをタッチしたらよいか分からなくなってしまう。この事は風防に配置されるタッチスイッチ自体が透明である為、特に問題となる。
本発明は、指針によるモード表示の持つ認識性とデザイン性を維持しつつ、タッチスイッチの持つ直感的で分かり易いモード操作を実現するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の電子時計は、タッチスイッチと、前記タッチスイッチを用いて予め定められた互いに異なる直線方向のいずれかの方向の軌跡を描く操作が行われたか否かを判断する判断手段と、前記予め定められた互いに異なる直線方向のそれぞれに対応付けられるとともに、前記判断手段が前記いずれかの方向の軌跡を描く操作が行われたと判断することにより指定可能な複数のモードと、前記タッチスイッチの操作を案内する複数の指標とを有し、文字又は記号の一部に前記予め定められた互いに異なる直線方向を示す矢印を重ね合わせて前記複数の指標を構成するとともに、前記文字又は記号と前記矢印とを視認可能に形成したことを特徴とする。
また、本発明の電子時計において、前記電子時計は、さらに、前記タッチスイッチの操作により指定されたモードを指示するモード針を有し、前記複数のモードのそれぞれに対応付けられた、前記予め定められた互いに異なる直線方向と前記モード針による前記複数のモードのそれぞれの指示方向とを一致させたことを特徴とする。
また、本発明の電子時計において、前記電子時計は、さらに、時刻を表示する時刻表示用指針を有し、前記モード針が、前記時刻表示用指針より短い小針であることを特徴とする。
また、本発明の電子時計において、前記複数の指標を、前記小針の周囲に配置したことを特徴とする
また、本発明の電子時計において、前記時刻表示用指針の中心軸と前記小針の中心軸とが異なる位置に配置され、前記予め定められた互いに異なる直線方向のそれぞれが、前記時刻表示用指針の中心軸を通る方向であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、モードを表す文字又は記号の一部に互いに異なる直線方向を示す矢印を重ね合わせ、文字又は記号と矢印とを視認可能に形成して、タッチスイッチの操作を案内するようにしたので、各モードを指定する際のタッチスイッチの操作方法が、認識しやすく、直感的で分かり易い。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第1実施例である。
【図2】本発明の第1実施例におけるモード表示領域の詳細図である。
【図3】本発明の第1実施例におけるモード変更のフローチャートである。
【図4】本発明の第1実施例における、モード変更の操作例である。
【図5】本発明の第1実施例におけるシステムブロック図である。
【図6】本発明の第1実施例におけるタッチ入力判定表である。
【図7】本発明の第1実施例における変形例である。
【図8】本発明の第1実施例の変形例におけるモード表示領域の詳細図である。
【図9】本発明におけるモード名表記方法の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1実施例]
本発明の実施形態を図1〜6を用いて説明する。
まず第1実施例の構成図について図1を用いて説明する。1は電子時計本体であり、複数の送信局の標準電波が受信可能な多機能電波時計であるとする。2は風防であり、ガラスやアクリル等の透明部材で構成される。3は文字板であり、風防2の下方に配置され、時刻表示のための図示しない数字や目盛が含まれる。特に文字板内の領域3aはモード表示領域であり、モード表示針5とモード表示群9により現在のモードを表示する。モード表示群9の詳細につては後述する。4a、4b、4cはそれぞれ秒針、分針、時針であり通常時刻、その他モードに対応した指針表示を行う。41は秒針4a、分針4b、時針4cの回転中心となる中心軸であり、時計1の中心に配置されている。7は風防2の下面に設置された透明のタッチスイッチで、ITOなどの材料で構成される。タッチスイッチは当
然単独で存在せず、図示しない検出回路と接続するための経路が存在するが、本発明の本質には関係ないのでここでは省略している。6はリューズであり、8a、8bはプッシュボタンであり、時刻修正等各種操作に使用されるものである。特に8bはタッチ機能をアクティブ化するタッチ許可スイッチである。
【0009】
図2(a)は第1実施例におけるモード表示領域3aの詳細図である。モード表示領域3a内には、各モードの表示名9a〜9hがモード表示針5の中心軸51を中心に円を形成するように配置されている。モード表示針5の中心軸51は、時計中心よりも6時側に配置され、秒針4a、分針4b、時針4cの中心軸41の位置とは異なる。ここで各モード名と内容を簡単に説明する。9aは受信設定モードであり、電子時計1が受信する送信局の選択を行うモードである。9bはワールドタイムセットモードであり、電子時計1の有する各都市の時刻情報の内、使用者が選択可能な都市を選択するモードである。9cはアラーム1モードであり、任意の時刻に鳴るアラームの時刻設定を行うモードである。9dはアラーム2モードであり、アラーム1モードと異なる時刻のアラームを設定できるモードである。9eはタイムモードであり、通常の時刻表示を行うモードである。9fはカレンダーモードであり、現在のカレンダーを表示させるモードである。9gはタイマーモードであり、任意の時間のタイマーを設定し、動作させるモードである。9hはクロノモードであり、クロノグラフの、ストップ、スタート、リセットを行うモードである。いずれのモードについても、その詳細な操作方法や表示方法については本発明とは直接関連しないので、説明は省略する。
【0010】
また各モードには互いに異なる直線方向のうちの1つの直線方向が対応付けられていて、モード表示名9a〜9hには、各モードの頭文字の一部に1つの直線方向を示す矢印が含まれている。矢印は頭文字上の1部分に重なるように配置されており、元々の文字の形状を損ねる事無く認識可能となっている。すなわち、矢印の線の一部が、頭文字を構成する線の一部も構成している。例として、図2(b)にモード表示9hの拡大図を示す。モード表示9hではCHRのCの文字における上部の右下から左上に向かう線と、同じく右下から左上に向く矢印とを重ね合わせている。矢印は、その始点91が頭文字「C」を構成する線上に位置し、頭文字「C」を構成する線に沿うように配置されている。この例では、矢印の終点92aが、頭文字「C」から突出している。同様に、モード表示名9a〜9gも、矢印の始点は頭文字を構成する線の上に位置し、この線に沿って矢印を配置し、終点は頭文字を構成する線から突出している。
【0011】
仮に、図2(b)の矢印を意図的に矢印の向きとは反対方向に延ばして、矢印の始点91の位置が頭文字「C」の線上に重ならないような長さにした場合は、矢印の終点92aだけではなく始点91も頭文字「C」を構成する線からはみ出すため、はみ出す部分の長さによっては、頭文字「C」が認識し難くなる場合もある。また、仮に、図2(b)の矢印を、矢印の向きとは反対方向に移動させ、矢印の終点92aが頭文字「C」から突出しない位置に配置し、頭文字「C」を構成する線から始点91を突出させた場合は、矢印の三角形の先端部分の2つの頂点92bと92cが頭文字「C」を構成する線からはみ出し、これに加えて始点91も頭文字「C」を構成する線からはみ出すため、これらのはみ出し量によっては、頭文字「C」が認識し難くなる場合もある。従って、矢印の始点91を、頭文字「C」を構成する線の上に配置するのが好ましく、頭文字「C」が認識し易くなる。矢印は、三角形の先端部分を除き、線の太さが、頭文字「C」を構成する線の太さとほぼ同じであり、他のモード表示名9a〜9gも同様である。
図2(b)では、重なり部分が判り易いように、矢印を白抜きで表示しているが、図2(a)に示すように本来は塗りつぶしであり、矢印があっても頭文字「C」と識別できるように、頭文字「C」と矢印の色を異なる色のインクを用いて形成している。例えば、頭文字「A」は黒色のインクを用い、矢印は薄灰色のインクを用いている。他のモードも同様である。
【0012】
また各モード名の中にある矢印の向きはモード針5の中心軸51から、各モード名が配置されている方向とほぼ一致している。例えば、アラーム1モードの頭文字「A」に重ねて配置した矢印の方向は、モード針5が、アラーム1モードを指したときのモード針5の指示方向の向きとほぼ一致し、他のモードについても同様である。
【0013】
次に第1実施例のシステム構成図について、図5を用いて説明する。前述の如く、7a〜7iはタッチスイッチであり、8はプッシュボタンであり、図1に示したプッシュボタン8aと検出許可用のプッシュボタン8bを含む。10は制御回路であり、リューズ6、タッチスイッチ7、プッシュボタン8、の信号を入力して処理し、その結果としてモーター11、輪列12を介して、指針4、モード表示針5により対応する表示を行う。
制御回路10はプッシュボタン8bからの信号によりタッチスイッチ7をアクティブ化し、タッチスイッチ7からの信号によりどのタッチスイッチがタッチされたのかを判断する。さらに制御回路10は前回タッチされたスイッチがどのスイッチであるかを記憶しており、次にタッチされたスイッチと、前回タッチされたスイッチとの関係から、どの方向の直線の軌跡を描く操作が行われたのかを判断して、指針4及び指針5に対応する表示を行うようにモーター11、輪列12を介して制御を行うものである。
【0014】
次に本発明の第1実施例における、モードの変更方法について図1〜4を用いて説明する。なおここでは例として、現在がタイムモード(TME)であるとして、ワールドタイムセットモード(WT−S)へ移行する場合について説明する。まずタッチ入力を許可する為に、プッシュボタン8bを押す(ST−1)。この動作によりタッチスイッチ7がアクティブになる。またその直後、前回タッチ操作したときの初回タッチポイントの記憶はリセットされる(ST−2)。その後、タッチスイッチの入力判定を待つ状態となる(ST−3)。この状態ではモード針5はタッチ入力許可を行う前の状態であったときのモードである、タイムモード(TME)を示している(図4の(a))。
【0015】
次にモードをワールドタイムセットモード(WT−S)に変更する為のタッチ操作方法について説明する。モード変更の為のタッチ操作方法は、文字板に記載された各モード名に含まれる、直線の矢印によって指の動かし方が案内されている。すなわちワールドタイムセットモード(WT−S)に変更する場合、ワールドタイムセットモード(WT−S)のモード表示9bの頭文字「W」には右上方向の矢印が含まれているので、使用者は風防上を左下から右上にかけて、指を動かせばよい。特に図2(a)に示す第1実施例の場合、各モード名の中にある矢印の向きがモード針5の中心軸51から、各モード名が配置されている方向とほぼ一致しているので、より直感的に操作を行うことができる。すわなち、モード針5の中心軸51から見て右上にあるワールドタイムセットモードに変更する場合、変更後は、モード針5が右上を向くので、モード針5を右上に向ける感覚で右上方向の直線を描く操作をすれば良い。
【0016】
タイムモード(TME)からワールドタイムセットモード(WT−S)への変更操作をさらに詳しく説明すると、図4(b)のように、風防の左下に配置されたタッチスイッチ7fから、風防の右上に配置されたタッチスイッチ7bを連続してタッチするように、タッチスイッチ7fから7bの方向に直線の軌跡を描くように操作を行う。制御回路10は、最初に左下に配置されたタッチスイッチ7fがタッチされたと判定すると(ST−3:YES)、最初にタッチされたスイッチがどこであるかが制御回路10に記憶される(ST−4)。制御回路10はその後、一定の期間のインターバルを置いた後(ST−5)、再びタッチスイッチの判定を待つ状態となる(ST−6)。ここで図4(b)に示すように、インターバルの間に指は右上に配置されたタッチスイッチに移動しているので、制御回路10はタッチスイッチ7bがタッチされたと判断する(ST−6:YES)、その後、制御回路10は初回のタッチポイントと次のタッチポイントの関係から、パターン入力の
成立の判定を行う。図4(b)ではタッチスイッチ7fの後、タッチスイッチ7bがタッチされたので、指は風防上を左下から右上方向へ移動したと判断し、ワールドタイムセットモードのパターン入力が成立したと判断する(ST−7:YES)。その後、制御回路10はワールドタイムセットモードへ移行し(ST−8)、タッチ入力が禁止(ST−9)となり、モード変更操作が終了となる。
【0017】
なお、ST−7でパターン入力が不成立の場合には、ST−4で記憶された初回タッチポイントがST−6で判定されたタッチポイントに更新され(ST−10)、インターバル(ST−5)の後にタッチ入力判定(ST−6)を行い、パターン入力成立の判定(ST−7)を行う。
【0018】
図6にはパターン入力が成立する為のタッチスイッチの検出結果と、対応する各モードの一覧表を示す。上記の例ではタッチスイッチ7fを最初に検出し、次にタッチスイッチ7bを検出する事で、左下から右上へかけての指の移動を認識したが、アルゴリズム上はタッチスイッチ7fとタッチスイッチ7bとの中間にあるタッチスイッチ7iの3つのタッチスイッチのうち、2つのタッチスイッチが左下から右上へ向かう順番でタッチされた場合にパターン入力が成立するようにしても問題ない。他のモード設定に対応する入力パターンについても同様であり、説明は省略する。
【0019】
図6に示した、パターンが成立する為のタッチスイッチの検出結果は、いずれも、秒針4a、分針4b、時針4cの中心軸41を通る直線方向の指の移動を検出対象としている。これにより、モード表示領域3aの周囲等の、中心軸41から外れた一部の領域だけでタッチスイッチの検出を行う場合と比較して、比較的広い操作領域を使って操作を検出するので、目的とする入力パターンとその他の入力パターンとが区別されやすくなり、誤入力を防止することができる。特にこの実施例では、風防2の全領域を入力操作に使用できるので、目的とする入力パターンとその他の入力パターンとを明確に区別することができる。
【0020】
尚、前述のパターン入力検出のアルゴリズムについては、一例であり、本発明の構成要素を限定するものでは無い。
以上のように使用者がモード設定を行うとき、変更したいモードのモード名を見ると、それに重ねて形成した矢印も一緒に視認され、その矢印が単純な直線方向を示していて、矢印が示す方向も容易に認識できるので、モード名を見るだけでモード変更の為の指の動作を直感的に理解する事ができる。
特に腕時計のような小型の機器ではタッチスイッチを配置する面積が小さいため、複数の直線の組み合わせの軌跡を描く操作や、複雑な曲線の軌跡を描く操作を検出するのは困難であるが、この実施例のような直線の軌跡を描く操作であれば容易に検出することができる。また腕時計のような小型の電子機器では、モードを表す文字の大きさも小さくなるが、直線方向を示す矢印であれば、文字に重ね合わせても矢印と文字を容易に認識する事ができる。
【0021】
[第1実施例の変形例]
図2(a)に示す第1実施例におけるモード表示では、モード名9a〜9hに含まれる矢印の方向と、モード表示領域3a内におけるモード名9a〜9hの、モード針の中心軸51からみた配置方向がほぼ一致しており、より直感的に理解し易い表示となっているが、本発明におけるモード表示名の配置方法は、上記の方法に限定されるものではない。例えば図7に示す例では、モード表示名は電子時計1の外周の一部に沿うように配置されており、モード針5はモード表示が記載されている領域を往復運動する所謂レトログラード機構によりモード表示を行っている。
【0022】
図8には第1実施例の変形例におけるモード表示領域3aの詳細図を示す。この例では、モード名CHR,TMR,CALに含まれる矢印の方向と、モード針5の中心軸から見たモード名CHR,TMR,CALの方向とは一致しているが、モード名Rx−S,TMEに含まれる矢印の方向と、モード針5の中心軸から見たモード名Rx−S,TMEの方向とが一致していない。このようなモード名表示方法であっても、モード名に含まれる矢印がはっきり認識できるので、使用者はモード名を見るだけで、直感的なモード変更操作が可能となり、モード表示の自由な表現が可能となっている。
【0023】
また、図7に示す例において、例えば、モード名CHR,TMR,CALに含まれる矢印の方向と、モード針5の中心軸から見たモード名CHR,TMR,CALの方向も一致していなくても良い。
さらに、モード針とモード名を含むモード表示領域を設ける事ができないような、例えば女性用等の小さな時計の場合、時計中心の秒針をモード針として使用し、モード名を文字板上の任意の箇所に配置した場合でも、本発明を適用することができる。
上記第1実施例、および第1実施例の変形例において、モード名は、矢印が含まれる頭文字を含む3文字又は4文字で表されているが、モード名の区別が可能であれば、矢印を含む頭文字だけでも問題ない。また図9(a)〜(d)のように記号を用いても構わない、さらには図9(e)、(f)のように頭文字以外の文字に矢印を加えても問題ない。
【0024】
また、上記実施例においては、モード変更操作は指で風防部を直接触ることで行っていたが、タッチスイッチの構成としては、例えば専用の入力ペンを使用する方式であっても問題ない。また、本発明は上記実施例に示したモード設定以外に、時計における各種選択・設定に応用可能であり、例えばワールドタイムの都市選択や、サマータイムのオン/オフ、標準電波の送信局の選択等にも適用可能である。
【0025】
さらに、上記実施例では、指定されたモードをモード表示針5で表示するようにしたが、指針を具備せず指針以外の表示手段を具備した電子時計に適用しても良い。例えば、表示手段として液晶表示部を設けて、指定されたモードのモード名を「TME」や「AL−1」のように表示しても良い。また、指針を具備する電子時計でも、指針以外の表示手段で指定されたモードを表示するようにしても良い。例えば、文字板の窓部の背面側から日付を表示する日車を設けて、日車の1日と31日の日付の間に各モードのモード名を「TME」や「AL−1」のように表示しておき、指定されたモードのモード名が窓部に移動するように、日車を制御して指定されたモードを表示しても良い。
【0026】
また、上記実施例は、外形が丸型の時計の例であるが、本発明は、外形形状が角型の時計にも適用することができる。この場合は、例えば、外形形状が角型の風防に、3行3列にタッチスイッチを配置すれば良い。そして、1列目〜3列目のいずれかの列のタッチスイッチにおいて、6時側から12時側の順に2つのタッチスイッチがタッチされたことを検出した場合に、6時側から12時側に向かう直線方向の軌跡を描く操作が行われたと判断し、12時側から6時側の順に2つのタッチスイッチがタッチされたことを検出した場合に、12時側から6時側に向かう直線方向の軌跡を描く操作が行われたと判断する。同様な方法で、1行目〜3行目のいずれかの行のタッチスイッチを用いて、9時側から3時側、3時側から9時側に向かう直線方向の軌跡を描く操作が行われたことを検出することができる。12時−6時方向と3時−9時方向に対する斜めの直線方向の軌跡を描く操作は、上記実施例と同様に斜め方向に並ぶ3つのタッチスイッチを用いた検出が可能である。
【符号の説明】
【0027】
1 電子時計
2 風防
3 文字板
3a モード表示領域
41 中心軸
4a 秒針
4b 分針
4c 時針
5 モード針
51 モード針の中心軸
6 リューズ
7a〜7i タッチスイッチ
8a、8b プッシュボタン
9a〜9h モード表示
91 矢印の始点
92a 矢印の終点
92b,92c 頂点
10 制御回路
11 モーター
12 輪列
13 指
14a〜14e モード表示

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチスイッチと、前記タッチスイッチを用いて予め定められた互いに異なる直線方向のいずれかの方向の軌跡を描く操作が行われたか否かを判断する判断手段と、前記予め定められた互いに異なる直線方向のそれぞれに対応付けられるとともに、前記判断手段が前記いずれかの方向の軌跡を描く操作が行われたと判断することにより指定可能な複数のモードと、前記タッチスイッチの操作を案内する複数の指標とを有し、文字又は記号の一部に前記予め定められた互いに異なる直線方向を示す矢印を重ね合わせて前記複数の指標を構成するとともに、前記文字又は記号と前記矢印とを視認可能に形成したことを特徴とする電子時計。
【請求項2】
前記電子時計は、さらに、前記タッチスイッチの操作により指定されたモードを指示するモード針を有し、前記複数のモードのそれぞれに対応付けられた、前記予め定められた互いに異なる直線方向と前記モード針による前記複数のモードのそれぞれの指示方向とを一致させたことを特徴とする請求項1に記載の電子時計。
【請求項3】
前記電子時計は、さらに、時刻を表示する時刻表示用指針を有し、前記モード針が、前記時刻表示用指針より短い小針であることを特徴とする請求項2に記載の電子時計。
【請求項4】
前記複数の指標を、前記小針の周囲に配置したことを特徴とする請求項3に記載の電子時計。
【請求項5】
前記時刻表示用指針の中心軸と前記小針の中心軸とが異なる位置に配置され、前記予め定められた互いに異なる直線方向のそれぞれが、前記時刻表示用指針の中心軸を通る方向であることを特徴とする請求項4に記載の電子時計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−104863(P2013−104863A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251240(P2011−251240)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【出願人】(307023373)シチズン時計株式会社 (227)
【Fターム(参考)】