説明

電子棚札システム

【課題】アンリンク処理に係る作業の作業効率を向上させる。
【解決手段】作業員は、対応付けを解除すべき電子棚札5の装置コードを可搬性の情報取得端末により商品の近傍において取得する。取得された装置コードは、情報取得端末7からESLサーバ10に対して無線通信により送信され、ESLサーバ10に受信される。この受信に応答して、商品コードと装置コードとを対応付けるリンクファイル中において、受信した装置コードに対応する一のレコードが削除される。これにより、電子棚札の対応付けが解除される。アンリンク処理に係る作業を商品が載置される位置の近傍において行うことができるため、アンリンク処理に係る作業についての作業効率を向上することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品に係る情報を表示する電子棚札と商品とを対応付ける技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの店舗では、POSシステム等に記憶される商品マスタによって、商品の売価を一元的に管理している。その一方で、売価の消費者への伝達は、商品の位置に配置される紙媒体の棚札によりなされている。しかしながら、このような紙媒体の棚札の管理は人手に頼らざるを得ないため、売価の間違いなどの人為的ミスが発生しやすく、商品マスタとは異なる売価が消費者に伝達される可能性がある。
【0003】
このような問題を解決するため、近年、電子棚札システム(ESLシステム/Electronic Shelf Label System)が実用化されている。電子棚札システムにおいては、ディスプレイを備えた電子棚札が各商品の位置に取り付けられ、商品マスタに基づく売価が各電子棚札に送信されて電子棚札のディスプレイに表示される。これにより、消費者に対して正しい売価を伝達できるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。電子棚札システムのサーバ装置には、電子棚札に固有の装置コードと商品の商品コードとを対応付けたリンクファイルが記憶されている。このリンクファイルによって電子棚札と商品とがデータ的に対応付けられ、電子棚札には自装置に対応付けられた商品の売価が表示される。
【0004】
【特許文献1】特開2001−222632号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、電子棚札システムの導入時、あるいは、販売する商品の変更などが生じた場合、電子棚札と商品とを対応付けるための処理(対応付け処理)が必要となる。対応付け処理において作業員は、リンクファイルのデータを生成するために、装置コードと商品コードとを取得する作業を行う。
【0006】
従来、この作業には、電子棚札システムのサーバ装置の直接的な操作が必要であったため、作業員はサーバ装置が配置される店舗のバックヤードで作業を行っていた。このことから、対応付け対象となる商品の商品棚からバックヤードへの搬送や元の位置への再配置が必要となり、対応付け対象となる商品が大量にある場合は、商品の搬送に膨大な時間を費やすこととなっていた。また、対応付けが完了した電子棚札の商品棚への取り付けは手作業となるため、不慣れな作業員が行った場合、対応する商品の位置が把握できずに作業に時間を要するとともに、電子棚札を誤った位置に取り付けるといった取付ミスが発生する可能性もあった。
【0007】
また、電子棚札システムの導入後において、販売する商品の変更が生じた場合においては、電子棚札は、商品に未対応のものではなく、変更前の商品に既に対応済のものとなる。したがって、電子棚札を一旦、商品に未対応の状態に戻すように、対応付け処理の前に、電子棚札の商品への対応付けを解除するアンリンク処理を行う必要がある。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、アンリンク処理に係る作業の作業効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、商品と電子棚札との対応を示すリンク情報に基づいて電子棚札に商品の情報を送信するサーバ装置と、前記サーバ装置とは分離構成される可搬性の情報取得装置とを備える電子棚札システムであって、前記情報取得装置は、電子棚札から前記電子棚札に固有のハード識別情報を取得する取得手段と、前記サーバ装置に、前記ハード識別情報を無線通信により送信する送信手段と、を備え、前記サーバ装置は、前記情報取得装置から、前記ハード識別情報を前記無線通信により受信する受信手段と、前記情報取得装置に取得された前記ハード識別情報に係る前記リンク情報を削除する削除手段と、を備えている。
【0010】
また、請求項2の発明は、商品と電子棚札との対応を示すリンク情報に基づいて電子棚札に商品の情報を送信するサーバ装置と、前記サーバ装置とは分離構成される可搬性の情報取得装置とを備える電子棚札システムであって、前記情報取得装置は、電子棚札から前記電子棚札に固有のハード識別情報を取得する第1取得手段と、商品から前記商品を識別するための商品識別情報を取得する第2取得手段と、前記サーバ装置に、前記ハード識別情報および前記商品識別情報を無線通信により送信する送信手段と、を備え、前記サーバ装置は、前記情報取得装置から、前記ハード識別情報および前記商品識別情報を前記無線通信により受信する受信手段と、前記受信手段の受信に応答して、前記ハード識別情報と前記商品識別情報とを対応付けるリンク情報を生成する生成手段と、前記生成手段が前記リンク情報を生成する前に、前記情報取得装置に取得された前記ハード識別情報に係る前記リンク情報が存在しているかを検索し、存在していた場合は当該リンク情報を削除する削除手段と、を備えている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、アンリンク処理に係る作業を商品が載置される位置の近傍において行うことができるため、アンリンク処理に係る作業についての作業効率を向上することができる。
【0012】
また、請求項2の発明によれば、アンリンク処理を行うことなく、電子棚札を変更後の商品へ対応付けることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。なお、以下においては、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの店舗に適用される電子棚札システムを例として説明する。
【0014】
<1.第1の実施の形態>
<1−1.電子棚札システムの概要>
図1は、本実施の形態に係る電子棚札システムが備える電子棚札が、商品棚に配置される様子を示す図である。図に示すように、商品棚60はフェース61と呼ばれる空間に区分され、各フェース61には同一種の商品6が集約されて載置される。各商品6には、商品の種類を識別するための商品コード(商品識別情報)を示すバーコードが、ラベルあるいは印刷により付されている。
【0015】
商品棚60のフレーム62には、各フェース61に対応する位置にそれぞれ、電子棚札5が取り付けられている。すなわち、一の電子棚札5は一の商品6(正確には、一の商品の種類)に対応され、各電子棚札5は自装置が対応する商品6の位置に配置される。各電子棚札5はそれぞれディスプレイを備えており、ディスプレイには自装置が対応する商品の売価が表示される。これにより、消費者に対して商品6の売価が伝達される。
【0016】
商品6の配置換えなどが発生したときには、フェース61の位置やサイズも変化する。このようなフェース61の変化に対応するため、電子棚札5の位置は固定されるものではなく、電子棚札5をフレーム62から取り外して別の位置に再配置することも可能とされている。本実施の形態においては、図1に示すような商品棚60が店舗内の販売スペースに複数配置されている。
【0017】
図2は、本実施の形態の店舗に適用される電子棚札システムを含む店舗情報システムの構成例を示す図である。図に示すように、店舗情報システム100は、電子棚札システム1とともに、ストアコントローラ2およびPOSシステム3を備えている。POSシステム3が備えるPOSサーバ31、および、電子棚札システム1が備えるESLサーバ10は、LAN21を介してストアコントローラ2に接続されている。これにより、ストアコントローラ2、POSシステム3および電子棚札システム1の間で相互にデータ通信が可能とされている。
【0018】
ストアコントローラ2は一般的なコンピュータで構成され、店舗情報システム100を統括的に管理する装置として機能する。また、ストアコントローラ2はインターネットなどの外部ネットワークに接続されており、外部ネットワークを介して、店舗を管理する本部センターに配置されたコンピュータ等と通信可能とされている。
【0019】
POSシステム3は、販売時点や商品ごとに販売に係る情報を収集して分析するシステムであり、POSシステム3を統括的に管理するPOSサーバ31とともに、商品の精算を行う複数のレジスタ32を備えている。POSサーバ31は一般的なコンピュータで構成され、そのハードディスクには、「商品コード」、「商品名」、「売価」などの商品に係る各種の情報を示す商品マスタ301が記憶されている。
【0020】
店舗内の商品の売価は商品マスタ301により一元的に管理され、複数のレジスタ32のそれぞれにおいては、商品マスタ301に記載される売価に基づいて商品の精算がなされる。この商品マスタ301に記載される売価は、通常、本部センターのコンピュータからの指示(ストアコントローラ2に受信される情報)に基づいて変更されるが、POSサーバ31を直接操作して売価を変更することも可能とされている。
【0021】
電子棚札システム1は、ESLサーバ10、および、複数の電子棚札5とともに、ベースステーション41と、複数のトランシーバ42とを備えている。トランシーバ42は、電子棚札5に対して赤外線信号を送信するものであり、販売スペース内に配置された全ての電子棚札5と通信可能なように、販売スペースの天井などに略一定距離ごとに配置される。また、ベースステーション41は、ESLサーバ10および各トランシーバ42に接続され、ESLサーバ10と各トランシーバ42との間の信号の中継器として機能する。
【0022】
ESLサーバ10は、電子棚札システム1を統括的に管理するサーバ装置であり、店舗内の販売スペースとは別室のバックヤードに配置される。図3は、ESLサーバ10の基本構成を示す図である。ESLサーバ10のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。すなわち、ESLサーバ10は、各種演算処理を行うCPU11、基本プログラムを記憶するROM12、演算処理の作業領域となるRAM13、プログラムや各種のデータファイルなどを記憶するハードディスク14、各種表示を行うディスプレイ15、キーボードおよびマウスなどで構成される入力部16、および、データ通信機能を有するデータ通信部17を備えている。データ通信部17は、LAN21を介した有線のデータ通信機能のみならず、無線LANを用いたデータ通信機能を有している。これによりESLサーバ10は、ストアコントローラ2やPOSサーバ31との間でデータの送受信ができるとともに、無線LANを用いたデータ通信機能を備えた外部装置との間で無線通信によるデータの送受信も可能とされている。さらに、ESLサーバ10は、インターフェイス18を介してベースステーション41に接続され、電子棚札5を制御する各種信号はインターフェイス18を介して送信される。
【0023】
ESLサーバ10のハードディスク14には、専用のプログラムが予め記憶されており、このプログラムに従ってCPU11が演算処理を行うことにより、ESLサーバ10としての各種機能が実現される。また、ESLサーバ10のハードディスク14には、商品ファイル101およびリンクファイル102が記憶されている。
【0024】
商品ファイル101は、商品に係る各種の情報を示すデータファイルであり、この情報は主として電子棚札5への表示に用いられる。本実施の形態の電子棚札5は、商品の売価のみならず、販売数、発注数、特売時刻、特売期間など商品に係る各種の情報の表示が可能となっており、商品ファイル101にはこれらの情報が記載される。具体的には、商品ファイル101は、一のレコードが一の商品に係る情報を示すテーブル形式となっており、各レコード毎に、「商品コード」、「商品名」、「売価」、「販売数」、「発注数」、「特売時刻」、「特売期間」などが登録されている。
【0025】
リンクファイル102は、電子棚札5と商品とをデータ的に対応付けるデータファイルである。図4は、リンクファイル102の例を示す図である。図に示すように、リンクファイル102はテーブル形式となっており、各レコード102aが商品コードと装置コードとを対応付けるリンク情報となる。ここで、装置コードとは、電子棚札システム1が備える複数の電子棚札5のそれぞれに固有のハードウェアID(ハード識別情報)である。このようなリンクファイル102によって、電子棚札5と商品とがデータ的に対応付けられる。
【0026】
ESLサーバ10から、ある商品に係る情報が電子棚札5に送信される場合は、リンクファイル102が参照され、当該商品の商品コードに対応付けられた装置コードが特定される。そして、この装置コードを含む赤外線信号がトランシーバ42から送信されることで、該装置コードの電子棚札5(すなわち、当該商品に対応付けられた電子棚札5)のみに対して、商品の情報が送信される。
【0027】
次に、電子棚札5について説明する。図5は、電子棚札5を前面(商品棚60に取り付けた状態で視認可能な面)側から見た図である。図に示すように電子棚札5はその前面に、商品の売価等の情報を表示するためのディスプレイ51、および、赤外線信号を受信する赤外線通信部52を備えている。
【0028】
ディスプレイ51は、ドットマトリクス方式の液晶ディスプレイで構成され、商品の売価などを示す数値のみならず、文字、記号、図形など各種の情報の表示が可能となっている。図に示すように、通常の表示状態においては、自装置が対応付けられた商品の売価6cとともに、その商品を特定可能な情報(以下、「商品特定情報」という。)である商品名6aおよび商品コード6b(正確には、商品コードを示すバーコード)がディスプレイ51に表示される。ディスプレイ51に商品特定情報を表示せずに売価6cのみを表示させた場合は、電子棚札5がいずれの商品に対応付けられているかの把握は困難であるが、このような商品特定情報の表示により、電子棚札5と商品とが視覚的にも対応付けられる。
【0029】
また、電子棚札5はその内部に、マイクロコンピュータ等で構成される制御部53と、各種の情報を記憶するためのメモリ54とを備えている。メモリ54には、ディスプレイ51に表示すべき売価(文字データ、数字データおよび画像データのいずれで表現されてもよい。)や商品特定情報などの各種情報や、自装置の装置コードなどが記憶される。トランシーバ42から赤外線信号として送信された売価などの情報は赤外線通信部52に受信されて、一旦メモリ54に記憶された後、制御部53の制御によりディスプレイ51に表示される。
【0030】
電子棚札5はディスプレイ51に表示する情報を切り替えることができ、前述したように、商品の売価のみならず、販売数、発注数、特売時刻、特売期間などを表示することが可能である。ディスプレイ51に表示する情報は、赤外線通信部52に受光される赤外線信号に応じて切り替えられる。このような情報の切り替えには、電子棚札5が表示可能な情報に対応する複数の赤外線信号を送信可能な可搬性のリモコン43(図2参照。)などが用いられる。
【0031】
電子棚札5が表示可能な情報には自装置の装置コードも含まれる。赤外線通信部52において、装置コードの表示に対応する赤外線信号を受信すると、電子棚札5は自装置の装置コードをディスプレイ51に表示する。図6は、電子棚札5が自装置の装置コード5bを表示した場合の例を示す図である。図に示すように、装置コード5bはディスプレイ51においてバーコードとして表示される。
【0032】
次に、電子棚札システム1の通常の動作について簡単に説明する。なお、この説明においては説明を簡単とするため、電子棚札5が売価を表示する場合についてのみ言及する。
【0033】
電子棚札システム1が起動すると、まず、ESLサーバ10により商品ファイル101の一のレコードが参照され、一の商品に係る売価が取得される。次に、リンクファイル102が参照されて、該一の商品の商品コードに対応付けられた装置コードが特定され、該装置コードの電子棚札5に対して売価が送信される。送信された売価は、電子棚札5のメモリ54に記憶されるとともに、電子棚札5のディスプレイ51に表示される。このような処理が、商品ファイル101に含まれる全レコード(全商品)について行われる。これにより、店舗内の全ての電子棚札5がそれぞれに対応する商品の売価を表示する。商品ファイル101に含まれる売価は、POSサーバ31の商品マスタ301の売価と一致されるため、電子棚札5は商品マスタ301と一致する売価を表示することとなる。
【0034】
POSサーバ31において商品マスタ301に記載された一の商品についての売価が変更されると、POSサーバ31からESLサーバ10に対して、当該商品の商品コードと、変更後の売価とを含む信号が送信される。この信号がESLサーバ10に受信されると、商品ファイル101内の当該商品コードの売価が、受信された売価に基づいて変更される。これとともに、リンクファイル102に基づいて当該商品コードに対応付けられた装置コードが特定され、該装置コードの電子棚札5に対して変更後の売価が送信される。これにより、該電子棚札5に変更後の売価が表示される。このような処理により、商品マスタ301において変更された売価が、電子棚札5の表示にリアルタイムに反映される。その結果、レジスタ32の精算に用いられる売価と、消費者に伝達される売価とが常時一致される。
【0035】
<1−2.電子棚札と商品との対応付け>
上記のような電子棚札システム1の店舗への導入時、あるいは、販売する商品の変更が生じたときは、後述する対応付け処理により、電子棚札5と商品とをデータ的に対応付ける必要がある。本実施の形態においては、この対応付け処理に係る作業に、可搬性の情報取得端末7が用いられる(図2参照。)。
【0036】
図7は、情報取得端末7の概略構成を示す図である。図に示すように、情報取得端末7は、各種演算処理を行うCPU71、基本プログラムを記憶するROM72、演算処理の作業領域となるRAM73、プログラムや各種のデータファイルなどを記憶する不揮発性の記憶部74、各種表示を行うディスプレイ75、入力を受け付ける入力キー76、バーコードが示す情報を取得するバーコードリーダ77、および、無線LANを用いた無線通信によるデータ通信機能を有するデータ通信部78を備えている。情報取得端末7は、データ通信部78の機能によりESLサーバ10との間で無線通信によるデータの送受信を行うことができる。さらに、情報取得端末7は、赤外線通信部79を備えており、電子棚札5の赤外線通信部52に対して、各種の赤外線信号を送信することも可能とされている。このような情報取得端末7は、専用の可搬性装置として構成されてもよく、バーコードリーダを接続したノートパソコンやPDAなどの汎用の可搬性コンピュータで構成されてもよい。
【0037】
情報取得端末7の記憶部74には、専用のプログラムが予め記憶されており、このプログラムに従ってCPU71が演算処理を行うことにより、電子棚札5と商品とを対応付けるための機能が実現される。
【0038】
図8は、電子棚札5と商品6とを対応付けるための処理(対応付け処理)に係る電子棚札システム1の機能構成を示す図である。図において、リンク部111および商品情報送信部112は、ESLサーバ10のCPU71により実現される機能である。
【0039】
図9は、対応付け処理の流れを示す図である。以下、電子棚札システム1の店舗への導入時の場合を例として、図8および図9を参照しつつ、一の電子棚札5と一の商品6とを対応付ける対応付け処理について説明する。
【0040】
なお、この対応付け処理の前には、対応付け対象となる商品6は、図1の如く、販売に供する状態と同様に商品棚60の各フェース61に配置される。また、電子棚札5としては、商品に未対応のものが、対応付け対象となる商品6の種類数(フェース61の数)と同数用意される。用意された複数の電子棚札5は、容易に搬送できるように台車に載置される。
【0041】
対応付け処理に係る作業を行う作業員は、電子棚札5が載置された台車、および、情報取得端末7を搬送しつつ、対応付け対象となる一の商品(以下、「対象商品」という。)6が載置される位置(以下、「商品位置」という。)の近傍に移動する。そして、その商品位置の近傍で、作業員は下記で説明する作業を行う。
【0042】
作業員は、まず、対象商品6に対応付けるべき一の電子棚札(以下、「対象電子棚札」という。)5を商品位置に取り付ける(ステップS1)。次に作業員は、情報取得端末7に対して所定の操作を行い、情報取得端末7の処理モードを対応付けを行うための「リンクモード」に設定する。続いて、作業員は、情報取得端末7を操作して、装置コード5bの表示を促す赤外線信号を、対象電子棚札5の赤外線通信部52に向けて、情報取得端末7の赤外線通信部79から送信させる(ステップS2)。この赤外線信号が、対象電子棚札5の赤外線通信部52に受信されると、図6の如く、対象電子棚札5のディスプレイ51に装置コード5bがバーコードとして表示される(ステップS3)。
【0043】
続いて、作業員は、対象電子棚札5に表示されたバーコードを、情報取得端末7が備えるバーコードリーダ77に読み取らせ、対象電子棚札5から装置コードbを取得する(ステップS4)。バーコードは対象電子棚札5の前面のディスプレイ51に表示されるため、対象電子棚札5を商品位置に取り付けた状態のまま、装置コードbが取得される。
【0044】
さらに、作業員は、商品棚60に載置された対象商品6に付されたバーコードを、情報取得端末7が備えるバーコードリーダ77に読み取らせ、対象商品6から商品コード6bを取得する(ステップS5)。なお、装置コード5bと商品コード6bとを取得する順番は特には限定されず、商品コード6bを先行して取得した後に、装置コード5bを取得するようにしてもよい。
【0045】
取得された装置コード5bおよび商品コード6bは、情報取得端末7のデータ通信部78からESLサーバ10に対して無線通信により送信され、ESLサーバ10のデータ通信部17に受信される(ステップS6)。
【0046】
この受信に応答して、ESLサーバ10のリンク部111により、受信した装置コード5bと商品コード6bとを対応付けるように、リンクファイル102の一のレコード102aが生成される。これにより、対象電子棚札5と対象商品6とがデータ的に対応付けされる(ステップS7)。
【0047】
データ的な対応付けがなされると、対応付けがなされた商品コード6bがリンク部111から商品情報送信部112に入力される。続いて、商品情報送信部112によりハードディスク14内の商品ファイル101が参照され、入力された商品コード6bに関連付けられた「商品名」が取得される。取得された「商品名」は、商品コード6bとともに、商品情報送信部112からベースステーション41およびトランシーバ42を介して、対象電子棚札5に送信される(ステップS8)。
【0048】
送信された商品名および商品コード6bは対象電子棚札5に受信され、「商品特定情報」として対象電子棚札5のメモリ54に記憶される。そして、図5の如く、これらの商品名6aおよび商品コード6b(すなわち、商品特定情報)が、対象電子棚札5のディスプレイ51に表示される。この表示を視認することにより、作業員は、対象電子棚札5がいずれの商品に対応付けられたかを容易に特定でき、電子棚札5と商品とが意図通りに対応付けられたか否かを確認できる(ステップS9)。
【0049】
上記のような一連の対応付け処理は、店舗内に配置される全ての商品のそれぞれについて行われる。これにより、最終的に店舗内の全ての商品が電子棚札5と対応付けられることとなる。
【0050】
上記一連の対応付け処理においては、装置コード5bおよび商品コード6bの取得(ステップS4,S5)は商品位置の近傍でなされる。すなわち、作業員は、ESLサーバ10に対して直接的な操作を行うことなく、対応付け処理に係る作業を商品位置の近傍で行うこととなる。このことから、対応付け処理のために、ESLサーバ10が配置されるバックヤードへの対象商品6の搬送や、対象商品6の元の位置への再配置を作業員は行う必要がない。このため、対応付け処理に係る作業の作業時間を短縮することができ、作業効率を向上することができる。
【0051】
また、作業員は、対象電子棚札5を予め商品位置に取り付け(ステップS1)、対象電子棚札5を商品位置に取り付けたままの状態で、対象電子棚札5から装置コード5bを取得する。すなわち、電子棚札5を対象商品6の位置に予め取り付けた後に、電子棚札5と対象商品6とをデータ的に対応付けるようにしている。このため、データ的に対応付けられた商品とは別の商品の位置に電子棚札5を誤って取り付けるといった取付ミスの発生自体を防止できる。
【0052】
なお、ステップS1を行わずに(対象電子棚札5を商品位置に取り付けずに)、ステップS2以降上記と同様の処理を行い、対象電子棚札5と対象商品6とのデータ的な対応付けがなされた後に、対象電子棚札5を商品位置に取り付けるようにしてもよい。このような場合も、作業員は、装置コード5bおよび商品コード6bの取得(ステップS4,S5)を商品位置の近傍で行うことから、作業を行った場所から移動することなく、対応付けが完了した対象電子棚札5を対象商品6の位置に取り付けることができる。このため、不慣れな作業員であっても、対応付けが完了した電子棚札5を、時間を要することなく正しい商品の位置に取り付けることができ、その結果、取付ミスを防止できる。
【0053】
また、データ的な対応付けがなされた後に、商品特定情報が対象電子棚札5に表示されるため、作業員は、電子棚札5と商品6とが意図通りに対応付けられたか否かを確認できる。また、このような商品特定情報の表示により、ステップS1を行わない場合であっても、対象電子棚札5がいずれの商品に対応付けられたかを容易に特定できるため、取付ミスを効果的に防止できる。
【0054】
また、商品特定情報には商品名6aおよび商品コード6bが含まれている。このため、作業員は、商品名6aの表示により、対象電子棚札5が対応付けられた商品を直感的に認識でき、商品コード6bの表示により、対象電子棚札5が対応付けられた商品を正確に認識できることとなる。
【0055】
また、本実施の形態の対応付け処理においては、ESLサーバ10への直接的な操作は必要ないため、情報取得端末7を複数台用意して、店舗内の全商品についての対応付け処理に係る作業を複数の作業員で分担して行うことも可能である。これによれば、作業の作業時間を大幅に短縮することができる。
【0056】
<2.第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態について説明する。上記第1の実施の形態においては、電子棚札システム1の導入時について説明を行ったが、電子棚札システム1の導入後において、販売する商品の変更が生じた場合においても、上記一連の対応付け処理と同様にして、電子棚札5と商品6とを対応付けることができる。ただしこの場合は、対象電子棚札5は、商品に未対応のものではなく、変更前の商品に既に対応済のものとなる。したがってこの場合は、対象電子棚札5を一旦、商品に未対応の状態に戻すように、上記一連の対応付け処理の前に、対象電子棚札5の商品への対応付けを解除するアンリンク処理を行う必要がある。
【0057】
本実施の形態においては、アンリンク処理に係る作業も、情報取得端末7を用いて、変更後の商品(対応付け対象となる商品)が載置される位置(商品位置)の近傍において行うようにしている。以下、このアンリンク処理について説明する。
【0058】
まず、作業員は、情報取得端末7に対して所定の入力操作を行い、情報取得端末7の処理モードを、対応付けを解除するための「アンリンクモード」に設定する。次に、上記ステップS2ないしS4と同様にして、対応付けを解除すべき対象電子棚札5に装置コード5bを表示させ、対象電子棚札5から装置コード5bを取得する。
【0059】
取得された装置コード5bは、情報取得端末7のデータ通信部78からESLサーバ10に対して無線通信により送信され、ESLサーバ10のデータ通信部17に受信される。この受信に応答して、リンクファイル102中において、受信した装置コード5bに対応する一のレコード102aが削除される。これにより、変更前の商品への対象電子棚札5の対応付けが解除される。その後は、上記と同様の対応付け処理が行われる。
【0060】
より一般的に言えば、アンリンク処理は、対応付け処理の前に、商品位置の近傍において、対象電子棚札からハード識別情報を取得する工程と、取得されたハード識別情報に係るリンク情報を削除する工程と、を備えることとなる。
【0061】
このように、アンリンク処理に係る作業も、商品位置の近傍において行うことで、作業員は作業を行った場所から移動することなく、続けて対応付け処理に係る作業を行うことができる。このため、アンリンク処理に係る作業を含めた全作業についての作業効率を向上することができる。
【0062】
なお、販売する商品の変更が生じた場合に、フェース61の位置やサイズの変更が無いときは、電子棚札5を商品棚60から取り外すことなく、電子棚札5を商品位置に取り付けた状態で、アンリンク処理を行うことができる。これによれば、アンリンク処理および対応付け処理に必要な全ての作業が、電子棚札5を商品棚60から取り外すことなく行われる。したがって、電子棚札5の紛失を防止できるとともに、作業員の作業を簡素化することができ、さらに作業効率を向上することができる。
【0063】
<3.第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態について説明する。上記第1の実施の形態においては、対象電子棚札5に装置コード5bを表示させ、これをバーコードリーダ77に読み取らせることで、情報取得端末7が対象電子棚札5から装置コードbを取得するようにしていた(ステップS2ないしS4)が、情報取得端末7が電子棚札5から赤外線信号を受信することで装置コード5bを取得するようにしてもよい。この場合は、情報取得端末7の赤外線通信部79、および、電子棚札5の赤外線通信部52のいずれもが、赤外線信号の送受信が可能なように構成される。
【0064】
図10は、この場合の対応付け処理の流れを示す図であり、装置コード5bの取得に係る工程のみを示している。図9のステップS1と同様の工程の後、作業員は、まず、情報取得端末7に対して所定の操作を行い、情報取得端末7の処理モードを、対応付けを行うための「リンクモード」に設定する。
【0065】
続いて、作業員は、情報取得端末7を操作して、装置コード5bの送信を指示する赤外線信号を、対象電子棚札5の赤外線通信部52に向けて、情報取得端末7の赤外線通信部79から送信させる(ステップS11)。この赤外線信号が対象電子棚札5の赤外線通信部52に受信されると、これに応答して、対象電子棚札5の装置コード5bを含む赤外線信号が該赤外線通信部52から返信される(ステップS12)。
【0066】
この装置コード5bを含む赤外線信号は、情報取得端末7の赤外線通信部79に受信され、これにより、対象電子棚札5の装置コードbが情報取得端末7に取得される(ステップS13)。以降の工程は、図9のステップS5以降と同様である。
【0067】
このように、赤外線信号の送受信により、情報取得端末7が電子棚札5から装置コード5bを取得するようにすれば、作業員はバーコードの読み取りに係る作業を行う必要が無くなるため、作業員の作業を簡素化することができ、さらに作業効率を向上することができる。なお、上記第1の実施の形態の手法と、第3の実施の形態の手法とのいずれであっても、電子棚札5を商品位置に取り付けた状態で、情報取得端末7は電子棚札5から装置コード5bを取得できる。
【0068】
<4.その他変形例>
以上、この発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
【0069】
例えば、電子棚札5として、図11に示す如く、装置コード5bがバーコードとして印刷されたIDラベル55をその前面に貼付したものを採用し、このIDラベル55のバーコードを、バーコードリーダ77に読み取らせることで、情報取得端末7が装置コードbを取得するようにしてもよい。この場合も、電子棚札5を商品位置に取り付けた状態で、情報取得端末7が電子棚札5から装置コード5bを取得できる。また、この場合は、情報取得端末7が赤外線通信部79を備える必要はないため、情報取得端末7の構成を簡易なものとすることができる。ただしこの場合は、IDラベル55を予め電子棚札5に貼付しておく必要があり、また、消費者に対して不要な情報を与えることとなる。このため、上記のように、ディスプレイ51に表示されるバーコードの読み取り(第1の実施の形態の手法)や、赤外線信号の送受信(第3の実施の形態の手法)により、情報取得端末7が装置コードbを取得するほうが好ましい。
【0070】
また、上記実施の形態においては、情報取得端末7とESLサーバ10とは、無線通信によりデータ通信を行っていたが、有線通信であってもよい。
【0071】
また、上記第2の実施の形態においては、アンリンク処理により対象電子棚札5を一旦、商品に未対応の状態に戻すようにしていたが、このアンリンク処理を行うことなく、対象電子棚札5を変更後の商品への対応付けることが可能となっていてもよい。この場合は、図9のステップS7において、リンクファイル102の一のレコード102aを生成する前に、受信した装置コード5bに既に対応付けられたレコード102aが存在していているかを検索する。そして、存在した場合は、そのレコード102aを削除してから、受信した装置コード5bと商品コード6bとを対応付けるレコード102aを生成すればよい。
【0072】
また、上記第3の実施の形態においては、情報取得端末7が電子棚札5から装置コード5bを取得する際に赤外線信号を利用していたが、他の無線信号を利用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】電子棚札が商品棚に配置される様子を示す図である。
【図2】電子棚札システムを含む店舗情報システムの構成例を示す図である。
【図3】ESLサーバの基本構成を示す図である。
【図4】リンクファイルの例を示す図である。
【図5】電子棚札を前面側から見た図である。
【図6】電子棚札が装置コードを表示した場合の例を示す図である。
【図7】情報取得端末の概略構成を示す図である。
【図8】対応付け処理に係る電子棚札システムの機能構成を示す図である。
【図9】第1の実施の形態の対応付け処理の流れを示す図である。
【図10】第3の実施の形態の対応付け処理の流れを示す図である。
【図11】前面にIDラベルが貼付された電子棚札を示す図である。
【符号の説明】
【0074】
5 電子棚札
5b 装置コード
6 商品
6b 商品コード
7 情報取得端末
52 赤外線通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品と電子棚札との対応を示すリンク情報に基づいて電子棚札に商品の情報を送信するサーバ装置と、前記サーバ装置とは分離構成される可搬性の情報取得装置とを備える電子棚札システムであって、
前記情報取得装置は、
電子棚札から前記電子棚札に固有のハード識別情報を取得する取得手段と、
前記サーバ装置に、前記ハード識別情報を無線通信により送信する送信手段と、
を備え、
前記サーバ装置は、
前記情報取得装置から、前記ハード識別情報を前記無線通信により受信する受信手段と、
前記情報取得装置に取得された前記ハード識別情報に係る前記リンク情報を削除する削除手段と、
を備えることを特徴とする電子棚札システム。
【請求項2】
商品と電子棚札との対応を示すリンク情報に基づいて電子棚札に商品の情報を送信するサーバ装置と、前記サーバ装置とは分離構成される可搬性の情報取得装置とを備える電子棚札システムであって、
前記情報取得装置は、
電子棚札から前記電子棚札に固有のハード識別情報を取得する第1取得手段と、
商品から前記商品を識別するための商品識別情報を取得する第2取得手段と、
前記サーバ装置に、前記ハード識別情報および前記商品識別情報を無線通信により送信する送信手段と、
を備え、
前記サーバ装置は、
前記情報取得装置から、前記ハード識別情報および前記商品識別情報を前記無線通信により受信する受信手段と、
前記受信手段の受信に応答して、前記ハード識別情報と前記商品識別情報とを対応付けるリンク情報を生成する生成手段と、
前記生成手段が前記リンク情報を生成する前に、前記情報取得装置に取得された前記ハード識別情報に係る前記リンク情報が存在しているかを検索し、存在していた場合は当該リンク情報を削除する削除手段と、
を備えることを特徴とする電子棚札システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−190407(P2007−190407A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−70589(P2007−70589)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【分割の表示】特願2003−55629(P2003−55629)の分割
【原出願日】平成15年3月3日(2003.3.3)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】