電子棚札及び電子棚札システム
【課題】電子棚札において、誤った商品データの表示を防止することが可能な技術を提供する。
【解決手段】電子棚札は、符号化された商品データたる符号化データが入力され、当該符号化データを復号化する2次復号化部790と、2次復号化部790において符号化データを復号化して得られる商品データを表示するディスプレイとを備えている。2次復号化部790は、符号化データについてのシンドロームを計算するシンドローム計算部791と、シンドローム計算部791で得られたシンドロームによって特定される、符号化データにおける誤り位置に基づいて、当該符号化データに対して誤り訂正を行う誤り訂正部792と、誤り訂正部792で訂正された符号化データについてのシンドロームを計算するシンドローム再計算部793とを備えている。
【解決手段】電子棚札は、符号化された商品データたる符号化データが入力され、当該符号化データを復号化する2次復号化部790と、2次復号化部790において符号化データを復号化して得られる商品データを表示するディスプレイとを備えている。2次復号化部790は、符号化データについてのシンドロームを計算するシンドローム計算部791と、シンドローム計算部791で得られたシンドロームによって特定される、符号化データにおける誤り位置に基づいて、当該符号化データに対して誤り訂正を行う誤り訂正部792と、誤り訂正部792で訂正された符号化データについてのシンドロームを計算するシンドローム再計算部793とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品に対応して配置され、対応する商品に係る商品データを表示する電子棚札及び当該電子棚札を備える電子棚札システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの店舗では、POSシステム等に記憶される商品マスタによって、店舗内の商品の売価が一元的に管理されている。その一方で、顧客(消費者)への売価の伝達は、商品の位置に配置される紙媒体の棚札によりなされることが多い。このような紙媒体の棚札を採用した場合においては、棚札の管理は人手に頼らざるを得ないことから、売価の間違いなどの人為的ミスが生じやすい。このため、POSシステムのレジスタによる精算時の売価とは異なる誤った売価が、顧客に対して伝達されるおそれがある。
【0003】
このような問題を解決するため、特許文献1〜3にも記載されているように、近年、電子棚札システム(ESLシステム/Electronic Shelf Label System)が実用化されている。電子棚札システムにおいては、売価を示すデータなどの商品に係る商品データを表示する可搬性の電子棚札が、各商品に対応して配置される。そして、商品マスタに基づく売価を示すデータを含む通信信号が、情報を配信する配信側装置から各電子棚札に送信され、その売価が各電子棚札に表示される。これにより、電子棚札において精算時の売価と一致する正しい売価が表示され、正しい売価が顧客に伝達されるようになっている。
【0004】
なお、符号化されたデータに対する誤り訂正に関する技術が特許文献4〜6に記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−18583号公報
【特許文献2】特許第3603778号公報
【特許文献3】特開2003−67838号公報
【特許文献4】特開平11−298335号公報
【特許文献5】特開平10−13251号公報
【特許文献6】特開平7−177199号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
さて、上述のような電子棚札システムでは、電子棚札における誤った商品データの表示を防止することは非常に重要である。特に、電子棚札において、対応する商品の売価が誤って表示されることは必ず回避すべきである。
【0007】
そこで、本発明は上記点に鑑みて成されたものであり、電子棚札において、誤った商品データの表示を防止することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、商品に対応して配置され、対応する商品に係る商品データを表示する電子棚札であって、符号化された前記商品データたる符号化データが入力され、当該符号化データを復号化する復号化部と、前記復号化部において前記符号化データを復号化して得られる前記商品データを表示する表示部とを備え、前記復号化部は、前記符号化データについてのシンドロームを計算するシンドローム計算部と、前記シンドローム計算部で得られたシンドロームによって特定される、前記符号化データにおける誤り位置に基づいて、当該符号化データに対して誤り訂正を行う誤り訂正部と、前記誤り訂正部で訂正された前記符号化データについてのシンドロームを計算するシンドローム再計算部とを有する。
【0009】
また、請求項2の発明は、電子棚札システムであって、請求項1に記載の電子棚札と、前記電子棚札に対して前記商品データを配信する情報配信部とを備え、前記電子棚札は、前記シンドローム再計算部でのシンドロームの計算結果が零でない場合には、前記情報配信部に対して前記商品データの再送信を要求する。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、誤り訂正後の符号化データについてのシンドロームを計算するため、誤り訂正後の符号化データに依然として誤りが発生しているかどうかを確認することができる。よって、誤った商品データの表示を防止することができる。
【0011】
また、請求項2の発明によれば、電子棚札は、誤り訂正後の符号化データについてのシンドロームが零でない場合、つまり、誤り訂正後の符号化データに依然として誤りが発生している場合には、情報配信部に対して商品データの再送信を要求するため、正確な商品データの表示が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
<電子棚札の概要>
図1は、本実施の形態に係る電子棚札システム1が備える電子棚札5が、店舗の商品棚60に配置された様子を示す図である。本電子棚札システム1においては、売価を示すデータなどの商品に係る商品データを表示する可搬性の電子棚札5が、各商品6に対応して配置される。そして、商品マスタに基づく売価を示すデータを含む通信信号が、情報を配信する配信側装置から各電子棚札5に送信され、その売価が各電子棚札5に表示される。これにより、電子棚札5において精算時の売価と一致する正しい売価が表示され、正しい売価が顧客に伝達されるようになっている。
【0013】
図1に示されるように、商品棚60はフェース61と呼ばれる空間に区分され、各フェース61には同一種の商品6が集約されて載置される。商品棚60のフレーム62には、各フェース61に対応する位置にそれぞれ電子棚札5が取り付けられている。すなわち、電子棚札5はそれぞれ一の商品6(正確には、一の商品の種類)に対応付けられ、その対応する商品6の近傍(一般的には、商品6の下側)のフレーム62に配置される。各電子棚札5はそれぞれディスプレイを備えており、ディスプレイには対応する商品6の売価が表示される。当該店舗の顧客(消費者)は、このような電子棚札5の表示により商品6の売価を認識する。
【0014】
電子棚札5は可搬性の装置であり、商品6の配置変更に対応できるように、フレーム62から取り外して別の位置に再配置することも可能とされている。本実施の形態においては、図1に示すような商品棚60が店舗内の販売スペースに複数配置されている。
【0015】
<電子棚札システムの構成>
図2は、店舗に適用される、電子棚札システム1を含む店舗情報システム100の構成例を示す図である。図2に示されるように、店舗情報システム100は、電子棚札システム1とともに、ストアコントローラ2及びPOSシステム3を備えている。POSシステム3が備えるPOSサーバ31、及び電子棚札システム1が備えるESLサーバ10は、LAN21を介してストアコントローラ2に接続されている。これにより、ストアコントローラ2、POSシステム3及び電子棚札システム1の相互間でデータ通信が可能とされている。
【0016】
ストアコントローラ2は一般的なコンピュータで構成され、店舗情報システム100を統括的に管理する装置として機能する。また、ストアコントローラ2はインターネットなどの外部ネットワークに接続されており、外部ネットワークを介して、店舗を統括管理する本部センターに配置されたサーバ装置等のコンピュータと通信可能とされている。
【0017】
POSシステム3は、商品の販売に係る情報をその販売時点において収集して分析するシステムであり、POSシステム3を統括的に管理するPOSサーバ31とともに、商品の精算を行う複数のレジスタ32を備えている。POSサーバ31とレジスタ32とは専用の通信ケーブルで接続されている。
【0018】
POSサーバ31は一般的なコンピュータで構成され、そのハードディスクには、売価などの商品に係る各種の情報を示す商品マスタ301が記憶されている。複数のレジスタ32のそれぞれにおいては、商品マスタ301に記載される売価に基づいて商品の精算がなされる。
【0019】
店舗内の全商品に係る情報は、この商品マスタ301により一元的に管理されている。商品マスタ301に記載される情報には、商品の識別情報となる商品コード、商品の名称である商品名、通常の売価である通常価格、特売における売価である特売価格、特売を実施する期間である特売期間、販売数、在庫数、1回の発注で納品される数である発注数などが含まれている。
【0020】
電子棚札システム1は、上述した複数の電子棚札5と、電子棚札5に表示すべき商品の売価などを配信する配信側装置40とに大別される。
【0021】
情報配信部たる配信側装置40は、電子棚札システム1を統括的に管理するサーバ装置であるESLサーバ10と、複数の通信装置4とを備えて構成される。ESLサーバ10と複数の通信装置4とは、専用の通信ケーブル22を介して相互に接続されており、相互間でデータ通信が可能とされている。各通信装置4は電子棚札5と赤外線通信を行う。通信装置4は、販売スペース90内に配置された全ての電子棚札5と通信可能なように、販売スペース90の天井などに略一定距離ごとに配置される。
【0022】
ESLサーバ10のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。図3はESLサーバ10の構成を示す図である。ESLサーバ10は、各種演算処理を行うCPUなどで構成される制御回路11、基本プログラムを記憶するROM12、演算処理の作業領域となるRAM13、プログラムや各種のデータファイルなどを記憶するハードディスク14、各種表示を行うディスプレイ15、キーボード及びマウスなどで構成される入力部16、LAN21を介したデータ通信機能を有するデータ通信部17、並びに、通信装置4と通信するためのインターフェイス18を備えている。電子棚札5に送信すべき売価を示すデータはインターフェイス18を介して通信装置4に伝達される。
【0023】
ESLサーバ10のハードディスク14には、専用の動作プログラムが予め記憶されており、この動作プログラムに従って制御回路11のCPUが演算処理を行うことにより、ESLサーバ10としての各種機能が実現される。制御回路11は、符号化装置110及び復号化装置210を備えている。制御回路11は、各電子棚札5に送信する、売価などの情報を含む送信データを生成し、符号化装置110において当該送信データを符号化する。そして、制御回路11は、符号化後の送信データをインターフェイス18を通じて各通信装置4に出力する。各通信装置4は、入力された送信データを含む通信信号を、自身が通信可能な各電子棚札5に出力する。これにより、販売スペース90に配置された各電子棚札5に対して同一の送信データが配信側装置40から入力される。以後、符号化対象のデータを「情報データ」と呼び、符号化後のデータを「符号化データ」と呼ぶ。
【0024】
図4は符号化装置110の構成を示すブロック図である。図4に示されるように、符号化装置110は、1次符号化部120と、2次符号化部130とを備えている。1次符号化部120は、制御回路11で生成された電子棚札5向けの送信データを情報データとして、当該情報データを例えばBCH符号に符号化する。2次符号化部130は、1次符号化部120で符号化された送信データを情報データとして当該情報データを所定の符号則で符号化する。このように、ESLサーバ10では、電子棚札5向けの送信データに対して2回の符号化処理が行われる。2次符号化部130での符号化処理については後で詳細に説明する。
【0025】
また制御回路11には、通信装置4及びインターフェイス18を介して、電子棚札5からの送信データが入力される。電子棚札5からの送信データは符号化されており、制御回路11は、復号化装置210において、入力された送信データを復号化して情報データを取得する。
【0026】
図5は復号化装置210の構成を示すブロック図である。図5に示されるように、復号化装置210は、1次復号化部220と、2次復号化部230とを備えている。1次復号化部220は、通信装置4及びインターフェイス18を介して、電子棚札5からの送信データが入力されると、当該送信データを復号化する。後述するように、電子棚札5においても、ESLサーバ10に対する送信データに対して2回の符号化処理が行われる。1次復号化部220においては、電子棚札5において2回目に行われた符号化処理に応じた復号化処理が行われる。したがって、1次復号化部220では、電子棚札5での1回目の符号化処理のみが行われた送信データが得られる。
【0027】
2次復号化部230は、1次復号化部220で得られた送信データに対して、電子棚札5での1回目の符号化処理に応じた復号化処理を行う。後述するように、電子棚札5での1回目の符号化処理では、送信データがBCH符号に変換されるため、2次復号化部230では、BCH符号を復号化する処理が行われる。1次復号化部220及び2次復号化部230での復号化処理については後で詳細に説明する。
【0028】
また、ESLサーバ10のハードディスク14には、商品に係る各種の情報を示すデータファイルである商品ファイル101が記憶されている。図6は、商品ファイル101の例を示す図である。
【0029】
図6に示されるように、商品ファイル101はテーブル形式となっており、レコード102のそれぞれが一の商品に係る情報を示している。具体的には、各レコード102ごとに、商品コード、商品名、通常価格、特売価格、特売期間、販売数、在庫数及び発注数などが登録されている。これらの情報は、上述したPOSシステム3に記憶された商品マスタ301と同様の情報であり、ESLサーバ10とPOSシステム3との通信により商品マスタ301の情報に基づいて登録される。このため、商品ファイル101の情報と商品マスタ301の情報とは内容が一致する。
【0030】
商品ファイル101の各レコード102には、さらに、電子棚札システム1が備える複数の電子棚札5のそれぞれに固有のハードウェアIDである一の「装置コード」が登録される。これにより、商品と電子棚札5とが一対一の関係でデータ的に対応付けられる(リンク付けされる)。この装置コードが利用されることにより、ある商品の売価が、その商品に対応する電子棚札5において受信されるようになっている。ESLサーバ10は、商品ファイル101中の通常価格や特売価格などの商品データや、装置コードを示すデータなどを含む送信データを出力する。
【0031】
次に通信装置4の構成について詳細に説明する。図7は通信装置4の構成を示す図である。図7に示されるように、各通信装置4は、駆動部41と、発光部42と、受光部43と、データ再生部44とを備えている。発光部42は例えばLEDで構成されており、受光部43は例えばフォトダイオードで構成されている。
【0032】
駆動部41は、ESLサーバ10から入力された送信データに基づいて発光部42を駆動する。これにより、発光部42からは、送信データで変調された赤外線信号IR1が出力される。
【0033】
図8はESLサーバ10から出力される電子棚札5向けの送信データと赤外線信号IR1との関係を示す図である。図8に示されるように、発光部42では、送信データの2値符号が“1”を示す間に所定周波数で点滅し、“0”を示す間に消灯している。図8に示される例では、送信データにおいて1ビット分のデータが“1”を示す間に発光部42は4回点灯している。したがって、送信データにおいて2ビット分のデータが連続して“1”を示す場合には、発光部42は8回点灯している。
【0034】
受光部43は、電子棚札5から出力される赤外線信号IR2を受信する。この赤外線信号IR2は、電子棚札5で生成された、ESLサーバ10に対する送信データで変調されている。受光部43は、受信した赤外線信号IR2を電気信号に変換してデータ再生部44に出力する。データ再生部44は、入力された電気信号を増幅し、増幅後の電気信号に基づいて、電子棚札5で生成された送信データを再生してESLサーバ10に出力する。
【0035】
図9は赤外線信号IR2と、受光部43で生成される電気信号と、データ再生部44で再生される、電子棚札5からの送信データとの関係を示す図である。図9に示されるように、受光部43からは、電子棚札5からの赤外線信号IR2と同じ波形の電気信号が出力され、データ再生部44では、当該電気信号から電子棚札5で生成された送信データが再生される。
【0036】
次に電子棚札5の構成について詳細に説明する。図10は電子棚札5の構成を示す図である。図10に示されるように、電子棚札5の前面には、商品データを表示するディスプレイ51と、配信側装置40との通信を担う通信部54とが配置されている。
【0037】
通信部54は、赤外線信号IR2を出力する発光部52と、通信装置4からの赤外線信号IR1を受信し、それを電気信号に変換して出力する受光部53とを備えている。発光部52は例えばLEDで構成されており、受光部53は例えばフォトダイオードで構成されている。
【0038】
ディスプレイ51は、ドットマトリクス方式の不揮発性表示部であって、例えば電子ペーパで構成されている。電子ペーパ等の不揮発性表示部では、駆動電力を与えることなく表示内容を保持することができる。ディスプレイ51は、ドットマトリクス方式の表示部であるため、商品の売価などを示す数値のみならず、文字、記号、図形などを表示することができる。ディスプレイ51には、例えば、図10に示されるように、自装置が対応付けられた商品の売価51cとともに、その商品を特定可能な情報(以後、「商品特定情報」と呼ぶ)である商品名51a及び商品コード51b(正確には、商品コードを示すバーコード)が表示される。ディスプレイ51に商品特定情報が表示されずに売価51cのみが表示される場合には、電子棚札5がいずれの商品に対応付けられているかの把握は困難であるが、このような商品特定情報の表示により、電子棚札5と商品とが視覚的に対応付けられる。
【0039】
電子棚札5の内部には、当該電子棚札5の電源を供給する小型の電池56と、当該電子棚札5の動作を統括的に制御する制御部57とが設けられている。図11は制御部57の構成を示すブロック図である。図11に示されるように、制御部57は、当該制御部57の動作を統括的に制御する制御回路570と、各種情報を記憶する記憶部571と、通信部54の発光部52を駆動するLED駆動部572と、データ再生部573とを備えている。
【0040】
データ再生部573は、通信部54の受光部53から出力される電気信号を増幅し、増幅後の当該電気信号から、通信装置4から出力される送信データを再生し、当該送信データを制御回路570に出力する。
【0041】
制御回路570は、CPUなどで構成されており、そのCPUが記憶部571に予め記憶された動作プログラムを実行することによって、制御回路570としての各種機能が実現される。制御回路570は、符号化装置670及び復号化装置770を備えている。制御回路570は、データ再生部573で再生された送信データを復号化装置770において復号化する。そして、制御回路570は、復号化した送信データから売価などを示す商品データを取得して、記憶部571に記憶する。また、制御回路570は、ESLサーバ10向けの送信データを生成し、当該送信データを符号化装置670で符号化する。そして、制御回路570は、LED駆動部572を利用して、符号化装置670で符号化された送信データに基づいて発光部52を駆動する。これにより、発光部52からは、ESLサーバ10向けの送信データで変調された赤外線信号IR2が出力される。
【0042】
記憶部571には、赤外線信号IR1から得られた売価などの商品データや制御回路570の動作プログラム以外に、自装置の装置コードが記憶される。制御回路570は、記憶部571から売価などの商品データを読み出し、その商品データをディスプレイ51に表示させる。
【0043】
図12は符号化装置670の構成を示すブロック図である。図12に示されるように、符号化装置670は、1次符号化部680と、2次符号化部690とを備えている。1次符号化部680は、制御回路570で生成されたESLサーバ10向けの送信データを情報データとして、当該情報データを例えばBCH符号に符号化する。2次符号化部690は、1次符号化部680で符号化された送信データを情報データとして当該情報データを所定の符号則で符号化する。このように、電子棚札5では、ESLサーバ10向けの送信データに対して2回の符号化処理が実行される。2次符号化部690での符号化処理については後で詳細に説明する。
【0044】
図13は復号化装置770の構成を示すブロック図である。図13に示されるように、復号化装置770は、1次復号化部780と、2次復号化部790とを備えている。1次復号化部780は、データ再生部573で再生された、配信側装置40からの送信データに対して、ESLサーバ10の2次符号化部130での符号化処理に応じた復号化処理を行う。2次復号化部790は、1次復号化部780で処理された送信データに対して、ESLサーバ10の1次符号化部120での符号化処理に応じた復号化処理を行う。上述のように、1次符号化部120では送信データがBCH符号に変換されることから、2次復号化部790ではBCH符号の復号化処理が行われる。1次復号化部780及び2次復号化部790での復号化処理については後で詳細に説明する。
【0045】
次に、電子棚札5に売価が表示されるまでの電子棚札システム1の動作について説明する。本電子棚札システム1において、配信側装置40から電子棚札5への売価の配信は、システム起動時、及び電子棚札5に表示させる売価を更新する際などに行われる。ここで売価を更新する際とは、商品マスタ301の通常価格が変更されたときや、特売の実施にあたって売価を通常価格から特売価格に変更するときなどが該当する。システム起動時には、店舗内の全ての商品に関して売価の配信がなされる。一方、売価を更新する際には、対象となる商品のみに関して売価の配信がなされる。これにより、電子棚札5に表示される売価と、レジスタ32による精算時の売価とが常時に一致されることになる。以下では、一の商品に関しての売価の配信に係る動作について説明する。以下の説明において、売価の配信の対象となる商品を「対象商品」という。
【0046】
まず、配信側装置40のESLサーバ10において、商品ファイル101のうちの対象商品に係るレコード102が参照され、通常価格及び特売価格のうちの配信すべき売価、及び装置コードが取得される。ここで取得された装置コードは、対象商品に対応する電子棚札5の装置コードであり、また、取得された売価はその電子棚札5が表示すべき売価となる。ESLサーバ10は、取得した売価及び装置コードを示すデータを含む送信データを生成し、当該送信データを符号化して、通信ケーブル22を通じて通信装置4に出力する。そして、通信装置4は、入力された送信データで変調された赤外線信号IR1を出力する。
【0047】
通信装置4から出力された赤外線信号IR1は、電子棚札5の通信部54において受信されて電気信号に変換される。電子棚札5では、データ再生部573において、通信装置4からの送信データが再生されて、制御回路570に入力される。制御回路570は、入力された送信データを復号化して、売価及び装置コードを取得する。
【0048】
次に、制御回路570は、得られた装置コードが、記憶部571内に予め記憶された自装置の装置コードと一致するか否かを判定する。制御回路570は、取得した装置コードが自装置のものと一致しない場合は、受信した送信データは他の電子棚札5のための信号と判断し、処理を終了する。一方で、制御回路570は、取得した装置コードが自装置のものと一致した場合は、受信した送信データは自装置のための信号と判断し、得られた売価をディスプレイ51に表示させて、ディスプレイ51に表示されている売価を更新する。
【0049】
以上のような動作によって、配信側装置40から電子棚札5へ売価の配信がなされることになる。
【0050】
制御回路570は、ディスプレイ51の表示を更新すると、売価を正常に受け取った旨を示すACKデータを生成して符号化する。その後、電子棚札5では、ACKデータで変調された赤外線信号IR2が発光部52から出力される。この赤外線信号IR2は通信装置4で受信される。通信装置4では、電子棚札5で生成された符号化後のACKデータが赤外線信号IR2から再生されて、当該ACKデータはESLサーバ10に伝達される。ESLサーバ10では、入力されたACKデータに対して復号化処理を行う。これにより、配信側装置40のESLサーバ10は、配信した売価が電子棚札5で正常に受信されたか否かを確認できる。したがって、例えば、電子棚札5から赤外線信号IR2が出力されない場合は、配信した売価が電子棚札5で正常に受信されなかったと判断して、ESLサーバ10は、赤外線信号IR2が返答されるまで売価を繰り返し配信するなどの処理が可能となる。これにより、電子棚札5の表示を確実に更新でき、システムの信頼性を大幅に向上できる。
【0051】
<2次符号化処理>
次にESLサーバ10の2次符号化部130及び電子棚札5の2次符号化部690での符号化処理について詳細に説明する。2次符号化部130,690のそれぞれは、例えば、入力データを2ビット単位で符号化し、当該2ビットのデータを4ビットの符号化データに変換して出力する。つまり、2次符号化部130,690のそれぞれは、入力される2ビットの情報データを所定の符号則に従って4ビットの符号化データに変換して出力する。本実施の形態では、2次符号化部130,690では、同じ符号則を用いて符号化処理が行われる。以後、2次符号化部130,690を総称して「2次符号化部」と呼ぶ。
【0052】
図14は2次符号化部で使用される符号則を示す図である。図14に示されるように、本符号則では、2ビットの情報データのビット列“00”は、4ビットのビット列“1000”に変換され、ビット列“01”はビット列“0100”に変換され、ビット列“10”はビット列“0010”に変換される。そして、情報データのビット列“11”は、ビット列“1100”とビット列“0000”とに交互に変換される。具体的には、2次符号化部は、入力されるビット列“11”をビット列“1100”に変換し、次に入力されるビット列“11”をビット列“0000”に変換し、その次に入力されるビット列“11”をビット列“1100”に変換し、以後同様に動作する。
【0053】
<符号則の一般化>
次に、より一般的に、2次符号化部においてNビット(N≧2)の情報データを符号化する際の本符号則について説明する。本符号則においては、Nビットの情報データを、Mビット(M≧2N−1)の符号化データに変換する。上述の図14は、N=2、M=4とした場合の本符号則を示している。
【0054】
本符号則では、Nビットの情報データがとり得る2N種類のビット列のうち、いずれか1種類のビット列を、ビット位置が連続するLビット(2≦L≦M)の各値が“0”及び“1”の一方を示すMビットのビット列と、全ビットの値が“0”及び“1”の他方を示すMビットのビット列とに交互に変換する。図14の例では、2ビットの情報データがとり得る4(=22)種類のビット列のうち、ビット列“11”を、ビット位置が上位から1及び2ビット目で連続する2ビット(L=2)の各値が“1”を示す4ビット(M=4)のビット列“1100”と、全ビットの値が“0”を示す4ビットのビット列“0000”とに交互に変換している。
【0055】
情報データがとり得る2N種類のビット列のうち、その他の種類の各ビット列は、符号化後のビット列が互いに異なるように、1ビットだけの値あるいはビット位置が連続するKビット(2≦K<L)の各値が“0”及び“1”の一方(“0”及び“1”のうち、上述のビット位置が連続するLビットの各値が示す方と同じ)を示すMビットのビット列にそれぞれ変換される。図14の例では、2ビットの情報データがとり得る4種類のビット列のうち、ビット列“11”以外のビット列“00”,“01”,“10”を、符号化後のビット列が互いに異なるように、1ビットだけの値が“1”を示す4ビットのビット列“1000”,“0100”,“0010”にそれぞれ変換している。なお、N,M,Lは上記それぞれの条件を満たす整数である。
【0056】
図15〜20に本符号則の様々な実施形態を示す。図15に示される実施形態は、図14に示される実施形態と比較して、情報データの“11”を“1100”ではなく“1111”に変換する点だけが異なっている。図16に示される実施形態は、図14に示される実施形態と比較して、情報データの“11”を“0010”に変換し、“10”を“1100”及び“0000”に交互に変換する点だけが異なっている。図17に示される実施形態では、2ビットの情報データの“00”を“1100”に、“01”を“0110”に、“10”を“0011”にそれぞれ変換し、“11”を“1110”及び“0000”に交互に変換している。図18に示される実施形態では、2ビットの情報データを3ビットの符号化データに変換している。この実施形態では、情報データの“00”を“100”に、“01”を“010”に、“10”を“001”にそれぞれ変換し、“11”を“111”及び“000”に交互に変換している。図19に示される実施形態は、図14に示される実施形態に対して、符号化データでの“1”と“0”とを入れ替えたものである。つまり、図19に示される実施形態では、情報データの“00”を“0111”に、“01”を“1011”に、“10”を“1101”にそれぞれ変換し、“11”を“0011”及び“1111”に交互に変換している。図20に示される実施形態では、3ビットの情報データを8ビットの符号化データに変換している。この実施形態では、情報データの“000”を“10000000”に、“001”を“01000000”に、“010”を“00100000”に、“011”を“00010000”に、“100”を“00001000”に、“101”を“00000100”に、“110”を“00000010”にそれぞれ変換し、“111”を“11110000”及び“00000000”に交互に変換している。
【0057】
<本符号則を採用することによる効果>
以上のように、本符号則においては、Nビット(N≧2)、つまり複数ビットの情報データを一度に符号化しているため、1ビットデータを符号化するCMI方式よりも符号効率が良い。
【0058】
さらに、本符号則では、Nビットの情報データがとり得る2N種類のビット列のうち、いずれか1種類のビット列を、ビット位置が連続するLビットの各値が“0”及び“1”の一方を示すMビットのビット列に変換しているため、当該いずれか1種類のビット列を符号化すると、他の種類のビット列を符号化した場合よりも、多くのビットで同じ値が連続するビット列を得ることができる。例えば、図14の例では、情報データのビット列“11”を符号化すると、上位2ビットで“1”が連続するビット列“1100”が得られ、このビット列は、情報データの他のビット列“00”,“01”,“10”を符号化して得られる、1ビットのみが“1”を示すビット列よりも、“1”が連続するビット数が多くなっている。
【0059】
このように、本符号則では、情報データのある種類のビット列を符号化すると、他の種類のビット列を符号化した場合よりも、多くのビットで同じ値が連続するビット列を得ることができるため、当該ビット列を利用して、符号化データとの同期をとる際に必要な基準位相を検出することができる。以下にこのことについて詳細に説明する。
【0060】
例えば、本符号則との比較対象として、図14の例において、情報データの“11”を常に“0001”に変換する符号則を考える。この符号則は「4値PPM」と呼ばれている。この符号則を利用して得られる符号化データでは、とり得るビット列の全種類において、1ビットのみが“1”を示し、“1”を示すビット数は互いに同じとなる。したがって、符号化データを復号化する際に、“1”を示す信号を検出したとしても、その信号を利用して4ビットの符号化データの先頭タイミングを求めることができず、符号化データと簡単に同期をとることができない。
【0061】
例えば、比較対象の符号則で符号化された図21に示されるようなビット列を復号化する際に、“1”を示す信号の立ち上がりタイミングT1を4ビットの符号化データの先頭タイミングとして当該符号化データと同期をとると、“1000”の符号化データが検出され、“00”の情報データが得られる。一方で、“1”を示す信号の立ち下がりタイミングT2を4ビットの符号化データの先頭タイミングとすると、“0001”の符号化データが検出され、“11”の情報データが得られる。このように、比較対象の符号則では、復号化対象のビット列において、どのタイミングを先頭タイミングにするかによって、得られる情報データが変化することから、“1”を示す信号を単に検出するだけでは、基準位相を検出することができず、符号化データと同期をとることができない。符号化データを復号化する際には、符号化データと同期をとる必要があることから、符号化データと同期がとりにいくことは問題となる。
【0062】
図14に示される本符号則においては、“11”の信号の立ち上がりタイミングが常に4ビットの符号化データの先頭タイミングとなるため、“11”の信号を検出し、その信号の立ち上がりタイミングを基準位相として符号化データと同期をとることによって、情報データを得ることができる。よって、ESLサーバ10の1次復号化部220及び電子棚札5の1次復号化部780において、符号化データを復号化する際に、当該符号化データと簡単に同期をとることができる。
【0063】
なお、図14に示される符号則において、仮に、“11”の情報データを“1100”ではなく“0110”に変換する場合であっても、“11”の信号を利用することによって基準位相を検出することができる。例えば、復号化対象のビット列の伝送ボーレートがFビット/秒とすると、復号化対象のビット列から“11”の信号を検出し、その信号の立ち上がりタイミングから(1/F)秒前のタイミングを4ビットの符号化データの先頭タイミングとすることによって、正確に情報データを復元することができる。
【0064】
さらに、本符号則では、Nビットの情報データを連続して符号化した場合であっても、その符号化データにおいては必ず2値符号の値が変化するため、符号化データを復号化する際のデータ誤りを少なくすることができる。
【0065】
例えば、図14に示される符号則において“11”の情報データを常に“0000”に変換するものとすると、“11”の情報データを連続して符号化すると、全ビットが“0”を示すビット列が得られる。このようなビット列では、2値符号の値が変化していないため、符号化データの先頭タイミングを検出することができず、正確に符号化データを復号化することは困難である。
【0066】
一方で、図14に示される本発明の符号則では、“11”の情報データを“1100”と“0000”に変換しているため、“11”の情報データを連続して符号化する場合であっても、符号化して得られるビット列においては、2値符号の値の変化が必ず生じる。したがって、符号化データの先頭タイミングを検出することができ、符号化データを復号化する際のデータ誤りを少なくすることができる。
【0067】
さらに、本符号則では、符号化データに関して、Mビットのビット列がとり得るパターンのうち、本符号則では生成されないパターンが存在するため、1次復号化部220,780では、当該パターンを利用して、符号化データを復号化する際に誤り訂正を行うことができる。例えば、図14に示される符号則では、4ビットの符号化データに関して、4ビットのビット列がとり得る16(=24)種類のパターンのうち、“1000”、“0100”、“0010”、“1100”及び“0000”の5種類しか使用していない。したがって、残りの11種類のパターンを利用して、符号化データを復号化する際に誤り訂正を行うことができる。この誤り訂正処理について後で詳細に説明する。
【0068】
なお、図14,16の例のように、符号化データの所定ビットの値が“0”及び“1”の他方(“0”及び“1”のうち、上述のビット位置が連続するLビットの各値が示す方とは異なる方)を常に示すように情報データを符号化する方が好ましい(図14,16では最下位ビットの値が“0”に固定されている)。この場合には、符号化データのビット列には常に値が変化しないビットが含まれているため、符号化データを復号化する際には、このビットを利用して、符号化データと同期をとる際に必要な基準位相を検出することができる。よって、さらに簡単に符号化データとの同期をとることができる。例えば、図14の例では、最下位ビットの値が常に“0”を示すため、復号化の対象となるビット列においては、4ビットごとに“0”の信号が必ず存在することになる。したがって、4ビットごとに“0”の信号が必ず存在するようなタイミングで基準位相をとることによって、符号化データを正確に復号化することができる。
【0069】
さらに、符号化データの所定ビットの値が“0”及び“1”の他方を常に示すように情報データを符号化する場合には、M≧2Nとなるため、Mビットのビット列がとり得るパターンのうち、本符号則では生成されないパターンがさらに増加する。例えば、図14,16に示される符号則では、図18に示される符号則よりも、符号化データのビット数が多く設定されているため、図14,16の符号則の方が図18の符号則よりも、生成されないパターンが多くなる。そのため、符号化データを復号化する際に十分な誤り訂正を行うことができる。
【0070】
このような符号化方法を、配信側装置40と電子棚札5との間での情報通信において使用することによって、配信側装置40と電子棚札5との間でのデータの伝送レートを大幅に向上することができる。特に電子棚札5のディスプレイ51にドットマトリクス方式のディスプレイを採用した場合には、セグメント方式のディスプレイを採用した場合と比較して、表示データが大幅に増加するため、配信側装置40と電子棚札5との間での情報通信に本符号化方法を使用するのは非常に有効である。本符号則は、ESLサーバ10及び電子棚札5での2回目の符号化処理において使用されるため、以後、当該符号則を「2次符号則」と呼ぶ。
【0071】
<1次復号化処理>
次に、ESLサーバ10の1次復号化部220及び電子棚札5の1次復号化部780での復号化処理について詳細に説明する。1次復号化部220,780は、入力データに対して、2次符号化部130,690での符号化処理に応じた復号化処理を行う。1次復号化部220,780は、入力される符号化データに対して誤り訂正を行った上で、それを復号化する。以後、1次復号化部220,780を総称して「1次復号化部」と呼ぶ。
【0072】
1次復号化部は、まず、入力される4ビットの符号化データのビット列と、上述の2次符号則において2ビットの情報データが変換される5種類の変換先ビット列、つまり“0000”、“0010”、“0100”、“1000”及び“1100”のそれぞれとの符号間距離を求める。そして、1次復号化部は、当該5種類の変換先ビット列のうち、符号化データのビット列との間の符号間距離が最も小さいビット列を、当該符号化データに割り当てる。そして、1次復号化部は、符号化データを、それに割り当てられた変換先ビット列に対応する情報データ、つまり当該変換先ビット列の元になる情報データに変換する。
【0073】
図22は、符号化データのビット列が“0011”である場合の1次復号化部での復号化処理を示す図である。図22に示されるように、“0000”、“0010”、“0100”、“1000”及び“1100”のうち、符号化データ“0011”との間の符号間距離が最も小さいビット列は“0010”である。したがって、符号化データ“0011”は、変換先ビット列“0010”に対応する情報データ、つまり2次符号則においてある情報データを“0010”に変換する際のその変換元の情報データである“10”に変換される。
【0074】
以上より、1次復号化部では、配信側装置40と電子棚札5との間の通信路などにおいて、入力される符号化データに誤りが発生しておらず、当該符号化データが“0000”、“0010”、“0100”、“1000”及び“1100”である場合には、それぞれ“11”、“10”、“01”、“00”及び“11”に変換される。そして、符号化データに誤りが発生し、当該符号化データが、“0000”、“0010”、“0100”、“1000”及び“1100”以外のビット列を示す場合には、当該符号化データは、誤り訂正が行われた上で復号化される。
【0075】
なお、符号化データのビット列によっては、2次符号則における情報データの5種類の変換先ビット列のうち、当該符号化データとの符号間距離が最も小さいビット列が2種類存在することがある。例えば、図23に示されるように、5種類の変換先ビット列のうち、符号化データ“1010”との間の符号間距離が最も小さいビット列は“0010”及び“1000”の2種類存在する。このような場合には、当該2種類のビット列のいずれか一方を符号化データに割り当てる。例えば、当該2種類のビット列のうち、その上位2ビットが、符号化データの上位2ビットと一致するものを、当該符号化データに割り当てる。そして、符号化データを、それに割り当てたビット列に対応した情報データに変換する。図23の例では、“0010”及び“1000”のビット列のうち“1000”の上位2ビット“10”と、符号化データ“1010”の上位2ビット“10”とが一致するため、当該符号化データは、“1000”に対応する情報データ“00”に変換される。
【0076】
このように、1次復号化部では、入力される符号化データのビット列と、2次符号則における5種類の変換先ビット列のそれぞれとの間の符号間距離に基づいて、符号化データのビット列が、当該5種類の変換先ビット列のいずれか一つに割り当てられ、符号化データのビット列が、割り当てられた変換先ビット列に対応する情報データのビット列に変換される。一般化すれば、1次復号化部では、入力されるMビットの符号化データのビット列と、2次符号則における(2N+1)種類の変換先ビット列のそれぞれとの間の符号間距離に基づいて、符号化データのビット列が、当該(2N+1)種類の変換先ビット列のいずれか一つに割り当てられ、符号化データのビット列が、割り当てられた変換先ビット列に対応するNビットの情報データのビット列に変換される。したがって、簡単な構成で、高速に誤り訂正を行うことができる。
【0077】
なお、2次符号則における情報データの5種類の変換先ビット列のうち、符号化データとの符号間距離が最も小さいビット列が2種類存在する場合には、上記方法とは異なる方法を用いて符号化データを所定の情報データに変換しても良い。上述のように、本実施の形態に係る電子棚札5のディスプレイ51は、ドットマトリクス方式の表示部であって、ディスプレイ51に表示する商品データは、画素単位で、つまり画素データごとに配信側装置40から電子棚札5に送信される。このような場合に、電子棚札5の1次復号化部780において、2次符号則で符号化されたある画素データを復号化する処理を考える。2次符号則における5種類の変換先ビット列のうち、復号化対象の画素データとの符号間距離が最も小さいビット列が2種類存在する場合には、この復号化対象の画素データに対応する画素の周辺に位置する複数画素に対応する画素データに対する復号化結果に基づいて、復号化対象の画素データを所定のビット列に変換する。ある画素の画素データと、その周辺に位置する画素の画素データとの間には強い相関があるため、つまりある画素の画素データと、その周辺画素の画素データとが同じデータである場合が多いため、複数の周辺画素の画素データを復号化して得られる情報データのビット列のうちの最も多い種類のビット列に、復号化対象の画素データを変換する。これにより、符号間距離に基づいて、画素データの変換先のビット列が決定できない場合でも、本来の画素データに近い画素データを確実に得ることができ、ディスプレイ51の画質の劣化を抑制することができる。
【0078】
また上記例では、1次復号化部において、符号化データと、2次符号則における(2N+1)種類の変換先ビット列との間の符号間距離を計算し、その計算結果に基づいて、符号化データの変換先のビット列を決定していたが、その代わりに、Mビットの符号化データがとり得る2M種類のビット列のそれぞれに対して、Nビットの情報データがとり得る2N種類のビット列のいずれか一つを予め割り当てておいて、1次復号化部において、入力された符号化データのビット列を、それに予め割り当てられている情報データのビット列に変換しても良い。このような場合であっても、上記例と同様に、簡単な構成で、高速に誤り訂正を行うことができる。図24はこの場合の一つの実施形態を示す図である。
【0079】
図24に示されるように、4ビットの符号化データがとり得る16(=24)種類のビット列のそれぞれには、2次符号則での符号化対象である2ビットの情報データがとり得る4(=22)種類のビット列のいずれか一つが割り当てられている。図24の例では、ビット列“0000”,“0001”,“1100”,“1101”,“1110”,“1111”にはビット列“11”が割り当てられており、ビット列“0010”,“0011”にはビット列“10”が割り当てられており、ビット列“0100”,“0101”,“0110”,“0111”にはビット列“01”が割り当てられており、ビット列“1000”,“1001”,“1010”,“1011”にはビット列“00”が割り当てられている。
【0080】
以上のような、符号化データのとり得るあるビット列と、その変換先の情報データのビット列との割り当ては、当該符号化データのとり得るあるビット列と、2次符号則における情報データの複数種類の変換先ビット列のそれぞれとの間の符号間距離に基づいて行う。例えば、符号化データのあるビット列“0011”を考えると、当該ビット列“0011”と、2次符号則における情報データの変換先ビット列“0000”,“0010”,“0100”,“1000”,“1100”との間の符号間距離は、上述の図22に示されるように、それぞれ“2”、“1”、“3”、“3”、“4”であるため、ビット列“0011”との間の符号間距離が最も小さいビット列“0010”に対応する情報データのビット列“10”を、ビット列“0011”に予め割り当てておく。
【0081】
ESLサーバ10及び電子棚札5において、図24に示されるような、Mビットの符号化データがとり得る2M種類のビット列と、2次符号則での変換元となるNビット情報データがとり得る2N種類のビット列との対応関係を示す変換テーブルを、ハードディスク14及び記憶部571にそれぞれ予め記憶しておくことにより、それらの1次復号化部において、当該変換テーブルを使用して、入力された符号化データのビット列を、それに予め割り当てられている情報データのビット列に変換することができる。これにより、1次復号化部では、より高速に誤り訂正を行うことができる。
【0082】
なお、上述のESLサーバ10の1次復号化部220は、制御回路11のCPUが動作プログラムを実行することによって当該CPU内に形成される機能ブロックである。同様に、上述の電子棚札5の第1復号化部780は、制御回路570のCPUが動作プログラムを実行することによって当該CPU内に形成される機能ブロックである。したがって、1次復号化部220,780のそれぞれは、ソフトウェアとハードウェア回路とが協働することで実現されている。これに対して、第1復号化部を、ソフトウェアを使用せずにハードウェア回路のみで実現しても良い。具体的には、Mビットの符号化データにおけるどの種類のビット列が入力されたとしても、それに予め割り当てられたNビットのビット列を出力するような論理回路を、第1復号化部として、AND回路やOR回路などの論理素子を組み合わせて構成する。このように、第1復号化部をハードウェア回路のみで構成することによって、さらに高速に誤り訂正を行うことができる。
【0083】
<2次復号化処理>
次に、ESLサーバ10の2次復号化部230及び電子棚札5の2次復号化部790での復号化処理について詳細に説明する。上述のように、2次復号化部230,790のそれぞれに入力されるデータはBCH符号で表されているため、2次復号化部230,790のそれぞれでは、BCH符号を復号化する処理が行われる。2次復号化部230,790のそれぞれでは、入力される符号化データに対して誤り訂正が行われ、その後、符号化データから元の情報データ、つまり、ESLサーバ10で生成された、商品データを含む送信データが取得される。2次復号化部230,790では互いに同様の復号化処理が行われるため、以下では、2次復号化部790での処理を代表して説明する。
【0084】
図25は電子棚札5の2次復号化部790の構成を示すブロック図である。図25に示されるように、2次復号化部790は、BCH符号に符号化された入力データについてのシンドロームを計算するシンドローム計算部791と、シンドローム計算部791で得られたシンドロームによって特定される、入力データにおける誤り位置に基づいて、当該入力データに対して誤り訂正を行う誤り訂正部792と、誤り訂正後の入力データについてのシンドロームを計算するシンドローム再計算部793と、誤り訂正後の入力データから元の情報データを取得する情報データ取得部794とを備えている。
【0085】
ここで、BCH符号などの巡回符号の符号語uに誤りeが生じて受信語pが生成されたとすると、以下の関係式が成立する。
【0086】
P(x)=U(x)+E(x) ・・・(1)
ただし、P(x)は受信語pを表す多項式、U(x)は符号語uを表す符号多項式、E(x)は誤りeを表す誤り多項式である。
【0087】
そして、P(x)を生成多項式G(x)で割った場合の商をQ(x)、その余りをS(x)とすると、以下の関係式が成立する。
【0088】
P(x)=Q(x)G(x)+S(x) ・・・(2)
式(2)中のS(x)は「シンドローム」と呼ばれており、誤り多項式E(x)と1対1で対応している。したがって、シンドロームS(x)によって、受信語pにおける誤りeが発生している位置(誤り位置)を特定することができる。なお、シンドロームS(x)が零の場合には、受信語pには誤りは発生していないことになる。
【0089】
2次復号化部790に入力される入力データを多項式で表したものが上記のP(x)に相当し、商Q(x)は予め決定されている生成多項式である。したがって、シンドローム計算部791は、式(2)を用いて、BCH符号に符号化されている入力データについてのシンドロームS(x)を計算することができる。シンドロームS(x)の計算については、シフトレジスタなどを用いて容易に実現することができる。
【0090】
誤り訂正部792は、シンドローム計算部791で得られたシンドロームS(x)を用いて、入力データにおいて誤りが発生しているビット位置を特定し、特定した各ビット位置の2値符号を反転する。これにより、BCH符号の訂正能力範囲内において、入力データに発生した誤りを訂正することができる。例えば、符号長63ビット、情報記号数51ビットのBCH符号では、2ビットまで誤り訂正を行うことができることから、入力データに2ビットまでの誤りが発生している場合には、当該入力データに発生しているすべての誤りを訂正することができる。
【0091】
これに対して、入力データにBCH符号の訂正能力を超えるビット数の誤りが発生している場合には、当該入力データに対して誤訂正を行ってしまうことがあり、正確な情報データを得ることができない。
【0092】
そこで、本実施の形態では、シンドローム再計算部793において、誤り訂正部792で訂正された入力データについてのシンドロームS(x)を計算する。そして、制御回路570は、シンドローム再計算部793で計算されたシンドロームS(x)が零であれば、誤り訂正部792において入力データの誤りがすべて訂正されたと判断し、情報データ取得部794で取得された情報データ中の商品データをディスプレイ51に表示する。
【0093】
一方で、制御回路570は、シンドローム再計算部793で計算されたシンドロームS(x)が零でなければ、入力データには依然として誤りが発生していると判断し、LED駆動部572及び通信部54を通じて、ESLサーバ10に再度商品データを送信することを要求する。その要求を受け取ったESLサーバ10は、再度、商品データを含む送信データを通信装置4を通じて電子棚札5に出力する。そして、電子棚札5では同様の動作が行われる。制御回路570は、所定回数、商品データの再送を要求し、シンドローム再計算部793での計算結果が依然として零にならない場合には、情報データ取得部794で取得された情報データ中の商品データをディスプレイ51に表示する。
【0094】
以上のように、誤り訂正後の符号化データについてのシンドロームを計算することによって、誤り訂正後の符号化データに依然として誤りが発生しているかどうかを確認することができる。よって、誤った商品データの表示を防止することができる。
【0095】
また、電子棚札5は、誤り訂正後の符号化データについてのシンドロームが零でない場合、つまり、誤り訂正後の符号化データに依然として誤りが発生している場合には、ESLサーバ10に対して商品データの再送信を要求するため、正確な商品データの表示が可能となる。
【0096】
なお、ESLサーバ10に関しても、2次復号化部230において、電子棚札5からのデータに対して誤り訂正が行われ、誤り訂正後のデータについてのシンドロームが計算される。そして、その計算結果が零でない場合には、ESLサーバ10は電子棚札5に対してデータの再送信を要求する。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の実施の形態に係る電子棚札システムが備える電子棚札が配置された様子を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る電子棚札システムを含む店舗情報システムの構成例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るESLサーバの構成を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るESLサーバが備える符号化装置の構成を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るESLサーバが備える復号化装置の構成を示す図である。
【図6】商品ファイルの例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る通信装置の構成を示す図である。
【図8】電子棚札向けの送信データと赤外線信号との関係を示す図である。
【図9】赤外線信号と、電気信号と、電子棚札からの送信データとの関係を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る電子棚札の構成を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る電子棚札が備える制御部の構成を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態に係る電子棚札が備える符号化装置の構成を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態に係る電子棚札が備える復号化装置の構成を示す図である。
【図14】本発明の実施の形態に係る符号則を示す図である。
【図15】本発明の他の実施の形態に係る符号則を示す図である。
【図16】本発明の他の実施の形態に係る符号則を示す図である。
【図17】本発明の他の実施の形態に係る符号則を示す図である。
【図18】本発明の他の実施の形態に係る符号則を示す図である。
【図19】本発明の他の実施の形態に係る符号則を示す図である。
【図20】本発明の他の実施の形態に係る符号則を示す図である。
【図21】従来の符号則で符号化されたデータを示す図である。
【図22】本発明の実施の形態に係る1次復号化部での復号化処理を示す図である。
【図23】本発明の実施の形態に係る1次復号化部での復号化処理を示す図である。
【図24】本発明の実施の形態に係る1次復号化部での復号化処理の他の例を示す図である。
【図25】本発明の実施の形態に係る2次復号化部の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0098】
1 電子棚札システム
5 電子棚札
40 配信側装置
51 ディスプレイ
790 2次復号化部
791 シンドローム計算部
792 誤り訂正部
793 シンドローム再計算部
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品に対応して配置され、対応する商品に係る商品データを表示する電子棚札及び当該電子棚札を備える電子棚札システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの店舗では、POSシステム等に記憶される商品マスタによって、店舗内の商品の売価が一元的に管理されている。その一方で、顧客(消費者)への売価の伝達は、商品の位置に配置される紙媒体の棚札によりなされることが多い。このような紙媒体の棚札を採用した場合においては、棚札の管理は人手に頼らざるを得ないことから、売価の間違いなどの人為的ミスが生じやすい。このため、POSシステムのレジスタによる精算時の売価とは異なる誤った売価が、顧客に対して伝達されるおそれがある。
【0003】
このような問題を解決するため、特許文献1〜3にも記載されているように、近年、電子棚札システム(ESLシステム/Electronic Shelf Label System)が実用化されている。電子棚札システムにおいては、売価を示すデータなどの商品に係る商品データを表示する可搬性の電子棚札が、各商品に対応して配置される。そして、商品マスタに基づく売価を示すデータを含む通信信号が、情報を配信する配信側装置から各電子棚札に送信され、その売価が各電子棚札に表示される。これにより、電子棚札において精算時の売価と一致する正しい売価が表示され、正しい売価が顧客に伝達されるようになっている。
【0004】
なお、符号化されたデータに対する誤り訂正に関する技術が特許文献4〜6に記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−18583号公報
【特許文献2】特許第3603778号公報
【特許文献3】特開2003−67838号公報
【特許文献4】特開平11−298335号公報
【特許文献5】特開平10−13251号公報
【特許文献6】特開平7−177199号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
さて、上述のような電子棚札システムでは、電子棚札における誤った商品データの表示を防止することは非常に重要である。特に、電子棚札において、対応する商品の売価が誤って表示されることは必ず回避すべきである。
【0007】
そこで、本発明は上記点に鑑みて成されたものであり、電子棚札において、誤った商品データの表示を防止することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、商品に対応して配置され、対応する商品に係る商品データを表示する電子棚札であって、符号化された前記商品データたる符号化データが入力され、当該符号化データを復号化する復号化部と、前記復号化部において前記符号化データを復号化して得られる前記商品データを表示する表示部とを備え、前記復号化部は、前記符号化データについてのシンドロームを計算するシンドローム計算部と、前記シンドローム計算部で得られたシンドロームによって特定される、前記符号化データにおける誤り位置に基づいて、当該符号化データに対して誤り訂正を行う誤り訂正部と、前記誤り訂正部で訂正された前記符号化データについてのシンドロームを計算するシンドローム再計算部とを有する。
【0009】
また、請求項2の発明は、電子棚札システムであって、請求項1に記載の電子棚札と、前記電子棚札に対して前記商品データを配信する情報配信部とを備え、前記電子棚札は、前記シンドローム再計算部でのシンドロームの計算結果が零でない場合には、前記情報配信部に対して前記商品データの再送信を要求する。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、誤り訂正後の符号化データについてのシンドロームを計算するため、誤り訂正後の符号化データに依然として誤りが発生しているかどうかを確認することができる。よって、誤った商品データの表示を防止することができる。
【0011】
また、請求項2の発明によれば、電子棚札は、誤り訂正後の符号化データについてのシンドロームが零でない場合、つまり、誤り訂正後の符号化データに依然として誤りが発生している場合には、情報配信部に対して商品データの再送信を要求するため、正確な商品データの表示が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
<電子棚札の概要>
図1は、本実施の形態に係る電子棚札システム1が備える電子棚札5が、店舗の商品棚60に配置された様子を示す図である。本電子棚札システム1においては、売価を示すデータなどの商品に係る商品データを表示する可搬性の電子棚札5が、各商品6に対応して配置される。そして、商品マスタに基づく売価を示すデータを含む通信信号が、情報を配信する配信側装置から各電子棚札5に送信され、その売価が各電子棚札5に表示される。これにより、電子棚札5において精算時の売価と一致する正しい売価が表示され、正しい売価が顧客に伝達されるようになっている。
【0013】
図1に示されるように、商品棚60はフェース61と呼ばれる空間に区分され、各フェース61には同一種の商品6が集約されて載置される。商品棚60のフレーム62には、各フェース61に対応する位置にそれぞれ電子棚札5が取り付けられている。すなわち、電子棚札5はそれぞれ一の商品6(正確には、一の商品の種類)に対応付けられ、その対応する商品6の近傍(一般的には、商品6の下側)のフレーム62に配置される。各電子棚札5はそれぞれディスプレイを備えており、ディスプレイには対応する商品6の売価が表示される。当該店舗の顧客(消費者)は、このような電子棚札5の表示により商品6の売価を認識する。
【0014】
電子棚札5は可搬性の装置であり、商品6の配置変更に対応できるように、フレーム62から取り外して別の位置に再配置することも可能とされている。本実施の形態においては、図1に示すような商品棚60が店舗内の販売スペースに複数配置されている。
【0015】
<電子棚札システムの構成>
図2は、店舗に適用される、電子棚札システム1を含む店舗情報システム100の構成例を示す図である。図2に示されるように、店舗情報システム100は、電子棚札システム1とともに、ストアコントローラ2及びPOSシステム3を備えている。POSシステム3が備えるPOSサーバ31、及び電子棚札システム1が備えるESLサーバ10は、LAN21を介してストアコントローラ2に接続されている。これにより、ストアコントローラ2、POSシステム3及び電子棚札システム1の相互間でデータ通信が可能とされている。
【0016】
ストアコントローラ2は一般的なコンピュータで構成され、店舗情報システム100を統括的に管理する装置として機能する。また、ストアコントローラ2はインターネットなどの外部ネットワークに接続されており、外部ネットワークを介して、店舗を統括管理する本部センターに配置されたサーバ装置等のコンピュータと通信可能とされている。
【0017】
POSシステム3は、商品の販売に係る情報をその販売時点において収集して分析するシステムであり、POSシステム3を統括的に管理するPOSサーバ31とともに、商品の精算を行う複数のレジスタ32を備えている。POSサーバ31とレジスタ32とは専用の通信ケーブルで接続されている。
【0018】
POSサーバ31は一般的なコンピュータで構成され、そのハードディスクには、売価などの商品に係る各種の情報を示す商品マスタ301が記憶されている。複数のレジスタ32のそれぞれにおいては、商品マスタ301に記載される売価に基づいて商品の精算がなされる。
【0019】
店舗内の全商品に係る情報は、この商品マスタ301により一元的に管理されている。商品マスタ301に記載される情報には、商品の識別情報となる商品コード、商品の名称である商品名、通常の売価である通常価格、特売における売価である特売価格、特売を実施する期間である特売期間、販売数、在庫数、1回の発注で納品される数である発注数などが含まれている。
【0020】
電子棚札システム1は、上述した複数の電子棚札5と、電子棚札5に表示すべき商品の売価などを配信する配信側装置40とに大別される。
【0021】
情報配信部たる配信側装置40は、電子棚札システム1を統括的に管理するサーバ装置であるESLサーバ10と、複数の通信装置4とを備えて構成される。ESLサーバ10と複数の通信装置4とは、専用の通信ケーブル22を介して相互に接続されており、相互間でデータ通信が可能とされている。各通信装置4は電子棚札5と赤外線通信を行う。通信装置4は、販売スペース90内に配置された全ての電子棚札5と通信可能なように、販売スペース90の天井などに略一定距離ごとに配置される。
【0022】
ESLサーバ10のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。図3はESLサーバ10の構成を示す図である。ESLサーバ10は、各種演算処理を行うCPUなどで構成される制御回路11、基本プログラムを記憶するROM12、演算処理の作業領域となるRAM13、プログラムや各種のデータファイルなどを記憶するハードディスク14、各種表示を行うディスプレイ15、キーボード及びマウスなどで構成される入力部16、LAN21を介したデータ通信機能を有するデータ通信部17、並びに、通信装置4と通信するためのインターフェイス18を備えている。電子棚札5に送信すべき売価を示すデータはインターフェイス18を介して通信装置4に伝達される。
【0023】
ESLサーバ10のハードディスク14には、専用の動作プログラムが予め記憶されており、この動作プログラムに従って制御回路11のCPUが演算処理を行うことにより、ESLサーバ10としての各種機能が実現される。制御回路11は、符号化装置110及び復号化装置210を備えている。制御回路11は、各電子棚札5に送信する、売価などの情報を含む送信データを生成し、符号化装置110において当該送信データを符号化する。そして、制御回路11は、符号化後の送信データをインターフェイス18を通じて各通信装置4に出力する。各通信装置4は、入力された送信データを含む通信信号を、自身が通信可能な各電子棚札5に出力する。これにより、販売スペース90に配置された各電子棚札5に対して同一の送信データが配信側装置40から入力される。以後、符号化対象のデータを「情報データ」と呼び、符号化後のデータを「符号化データ」と呼ぶ。
【0024】
図4は符号化装置110の構成を示すブロック図である。図4に示されるように、符号化装置110は、1次符号化部120と、2次符号化部130とを備えている。1次符号化部120は、制御回路11で生成された電子棚札5向けの送信データを情報データとして、当該情報データを例えばBCH符号に符号化する。2次符号化部130は、1次符号化部120で符号化された送信データを情報データとして当該情報データを所定の符号則で符号化する。このように、ESLサーバ10では、電子棚札5向けの送信データに対して2回の符号化処理が行われる。2次符号化部130での符号化処理については後で詳細に説明する。
【0025】
また制御回路11には、通信装置4及びインターフェイス18を介して、電子棚札5からの送信データが入力される。電子棚札5からの送信データは符号化されており、制御回路11は、復号化装置210において、入力された送信データを復号化して情報データを取得する。
【0026】
図5は復号化装置210の構成を示すブロック図である。図5に示されるように、復号化装置210は、1次復号化部220と、2次復号化部230とを備えている。1次復号化部220は、通信装置4及びインターフェイス18を介して、電子棚札5からの送信データが入力されると、当該送信データを復号化する。後述するように、電子棚札5においても、ESLサーバ10に対する送信データに対して2回の符号化処理が行われる。1次復号化部220においては、電子棚札5において2回目に行われた符号化処理に応じた復号化処理が行われる。したがって、1次復号化部220では、電子棚札5での1回目の符号化処理のみが行われた送信データが得られる。
【0027】
2次復号化部230は、1次復号化部220で得られた送信データに対して、電子棚札5での1回目の符号化処理に応じた復号化処理を行う。後述するように、電子棚札5での1回目の符号化処理では、送信データがBCH符号に変換されるため、2次復号化部230では、BCH符号を復号化する処理が行われる。1次復号化部220及び2次復号化部230での復号化処理については後で詳細に説明する。
【0028】
また、ESLサーバ10のハードディスク14には、商品に係る各種の情報を示すデータファイルである商品ファイル101が記憶されている。図6は、商品ファイル101の例を示す図である。
【0029】
図6に示されるように、商品ファイル101はテーブル形式となっており、レコード102のそれぞれが一の商品に係る情報を示している。具体的には、各レコード102ごとに、商品コード、商品名、通常価格、特売価格、特売期間、販売数、在庫数及び発注数などが登録されている。これらの情報は、上述したPOSシステム3に記憶された商品マスタ301と同様の情報であり、ESLサーバ10とPOSシステム3との通信により商品マスタ301の情報に基づいて登録される。このため、商品ファイル101の情報と商品マスタ301の情報とは内容が一致する。
【0030】
商品ファイル101の各レコード102には、さらに、電子棚札システム1が備える複数の電子棚札5のそれぞれに固有のハードウェアIDである一の「装置コード」が登録される。これにより、商品と電子棚札5とが一対一の関係でデータ的に対応付けられる(リンク付けされる)。この装置コードが利用されることにより、ある商品の売価が、その商品に対応する電子棚札5において受信されるようになっている。ESLサーバ10は、商品ファイル101中の通常価格や特売価格などの商品データや、装置コードを示すデータなどを含む送信データを出力する。
【0031】
次に通信装置4の構成について詳細に説明する。図7は通信装置4の構成を示す図である。図7に示されるように、各通信装置4は、駆動部41と、発光部42と、受光部43と、データ再生部44とを備えている。発光部42は例えばLEDで構成されており、受光部43は例えばフォトダイオードで構成されている。
【0032】
駆動部41は、ESLサーバ10から入力された送信データに基づいて発光部42を駆動する。これにより、発光部42からは、送信データで変調された赤外線信号IR1が出力される。
【0033】
図8はESLサーバ10から出力される電子棚札5向けの送信データと赤外線信号IR1との関係を示す図である。図8に示されるように、発光部42では、送信データの2値符号が“1”を示す間に所定周波数で点滅し、“0”を示す間に消灯している。図8に示される例では、送信データにおいて1ビット分のデータが“1”を示す間に発光部42は4回点灯している。したがって、送信データにおいて2ビット分のデータが連続して“1”を示す場合には、発光部42は8回点灯している。
【0034】
受光部43は、電子棚札5から出力される赤外線信号IR2を受信する。この赤外線信号IR2は、電子棚札5で生成された、ESLサーバ10に対する送信データで変調されている。受光部43は、受信した赤外線信号IR2を電気信号に変換してデータ再生部44に出力する。データ再生部44は、入力された電気信号を増幅し、増幅後の電気信号に基づいて、電子棚札5で生成された送信データを再生してESLサーバ10に出力する。
【0035】
図9は赤外線信号IR2と、受光部43で生成される電気信号と、データ再生部44で再生される、電子棚札5からの送信データとの関係を示す図である。図9に示されるように、受光部43からは、電子棚札5からの赤外線信号IR2と同じ波形の電気信号が出力され、データ再生部44では、当該電気信号から電子棚札5で生成された送信データが再生される。
【0036】
次に電子棚札5の構成について詳細に説明する。図10は電子棚札5の構成を示す図である。図10に示されるように、電子棚札5の前面には、商品データを表示するディスプレイ51と、配信側装置40との通信を担う通信部54とが配置されている。
【0037】
通信部54は、赤外線信号IR2を出力する発光部52と、通信装置4からの赤外線信号IR1を受信し、それを電気信号に変換して出力する受光部53とを備えている。発光部52は例えばLEDで構成されており、受光部53は例えばフォトダイオードで構成されている。
【0038】
ディスプレイ51は、ドットマトリクス方式の不揮発性表示部であって、例えば電子ペーパで構成されている。電子ペーパ等の不揮発性表示部では、駆動電力を与えることなく表示内容を保持することができる。ディスプレイ51は、ドットマトリクス方式の表示部であるため、商品の売価などを示す数値のみならず、文字、記号、図形などを表示することができる。ディスプレイ51には、例えば、図10に示されるように、自装置が対応付けられた商品の売価51cとともに、その商品を特定可能な情報(以後、「商品特定情報」と呼ぶ)である商品名51a及び商品コード51b(正確には、商品コードを示すバーコード)が表示される。ディスプレイ51に商品特定情報が表示されずに売価51cのみが表示される場合には、電子棚札5がいずれの商品に対応付けられているかの把握は困難であるが、このような商品特定情報の表示により、電子棚札5と商品とが視覚的に対応付けられる。
【0039】
電子棚札5の内部には、当該電子棚札5の電源を供給する小型の電池56と、当該電子棚札5の動作を統括的に制御する制御部57とが設けられている。図11は制御部57の構成を示すブロック図である。図11に示されるように、制御部57は、当該制御部57の動作を統括的に制御する制御回路570と、各種情報を記憶する記憶部571と、通信部54の発光部52を駆動するLED駆動部572と、データ再生部573とを備えている。
【0040】
データ再生部573は、通信部54の受光部53から出力される電気信号を増幅し、増幅後の当該電気信号から、通信装置4から出力される送信データを再生し、当該送信データを制御回路570に出力する。
【0041】
制御回路570は、CPUなどで構成されており、そのCPUが記憶部571に予め記憶された動作プログラムを実行することによって、制御回路570としての各種機能が実現される。制御回路570は、符号化装置670及び復号化装置770を備えている。制御回路570は、データ再生部573で再生された送信データを復号化装置770において復号化する。そして、制御回路570は、復号化した送信データから売価などを示す商品データを取得して、記憶部571に記憶する。また、制御回路570は、ESLサーバ10向けの送信データを生成し、当該送信データを符号化装置670で符号化する。そして、制御回路570は、LED駆動部572を利用して、符号化装置670で符号化された送信データに基づいて発光部52を駆動する。これにより、発光部52からは、ESLサーバ10向けの送信データで変調された赤外線信号IR2が出力される。
【0042】
記憶部571には、赤外線信号IR1から得られた売価などの商品データや制御回路570の動作プログラム以外に、自装置の装置コードが記憶される。制御回路570は、記憶部571から売価などの商品データを読み出し、その商品データをディスプレイ51に表示させる。
【0043】
図12は符号化装置670の構成を示すブロック図である。図12に示されるように、符号化装置670は、1次符号化部680と、2次符号化部690とを備えている。1次符号化部680は、制御回路570で生成されたESLサーバ10向けの送信データを情報データとして、当該情報データを例えばBCH符号に符号化する。2次符号化部690は、1次符号化部680で符号化された送信データを情報データとして当該情報データを所定の符号則で符号化する。このように、電子棚札5では、ESLサーバ10向けの送信データに対して2回の符号化処理が実行される。2次符号化部690での符号化処理については後で詳細に説明する。
【0044】
図13は復号化装置770の構成を示すブロック図である。図13に示されるように、復号化装置770は、1次復号化部780と、2次復号化部790とを備えている。1次復号化部780は、データ再生部573で再生された、配信側装置40からの送信データに対して、ESLサーバ10の2次符号化部130での符号化処理に応じた復号化処理を行う。2次復号化部790は、1次復号化部780で処理された送信データに対して、ESLサーバ10の1次符号化部120での符号化処理に応じた復号化処理を行う。上述のように、1次符号化部120では送信データがBCH符号に変換されることから、2次復号化部790ではBCH符号の復号化処理が行われる。1次復号化部780及び2次復号化部790での復号化処理については後で詳細に説明する。
【0045】
次に、電子棚札5に売価が表示されるまでの電子棚札システム1の動作について説明する。本電子棚札システム1において、配信側装置40から電子棚札5への売価の配信は、システム起動時、及び電子棚札5に表示させる売価を更新する際などに行われる。ここで売価を更新する際とは、商品マスタ301の通常価格が変更されたときや、特売の実施にあたって売価を通常価格から特売価格に変更するときなどが該当する。システム起動時には、店舗内の全ての商品に関して売価の配信がなされる。一方、売価を更新する際には、対象となる商品のみに関して売価の配信がなされる。これにより、電子棚札5に表示される売価と、レジスタ32による精算時の売価とが常時に一致されることになる。以下では、一の商品に関しての売価の配信に係る動作について説明する。以下の説明において、売価の配信の対象となる商品を「対象商品」という。
【0046】
まず、配信側装置40のESLサーバ10において、商品ファイル101のうちの対象商品に係るレコード102が参照され、通常価格及び特売価格のうちの配信すべき売価、及び装置コードが取得される。ここで取得された装置コードは、対象商品に対応する電子棚札5の装置コードであり、また、取得された売価はその電子棚札5が表示すべき売価となる。ESLサーバ10は、取得した売価及び装置コードを示すデータを含む送信データを生成し、当該送信データを符号化して、通信ケーブル22を通じて通信装置4に出力する。そして、通信装置4は、入力された送信データで変調された赤外線信号IR1を出力する。
【0047】
通信装置4から出力された赤外線信号IR1は、電子棚札5の通信部54において受信されて電気信号に変換される。電子棚札5では、データ再生部573において、通信装置4からの送信データが再生されて、制御回路570に入力される。制御回路570は、入力された送信データを復号化して、売価及び装置コードを取得する。
【0048】
次に、制御回路570は、得られた装置コードが、記憶部571内に予め記憶された自装置の装置コードと一致するか否かを判定する。制御回路570は、取得した装置コードが自装置のものと一致しない場合は、受信した送信データは他の電子棚札5のための信号と判断し、処理を終了する。一方で、制御回路570は、取得した装置コードが自装置のものと一致した場合は、受信した送信データは自装置のための信号と判断し、得られた売価をディスプレイ51に表示させて、ディスプレイ51に表示されている売価を更新する。
【0049】
以上のような動作によって、配信側装置40から電子棚札5へ売価の配信がなされることになる。
【0050】
制御回路570は、ディスプレイ51の表示を更新すると、売価を正常に受け取った旨を示すACKデータを生成して符号化する。その後、電子棚札5では、ACKデータで変調された赤外線信号IR2が発光部52から出力される。この赤外線信号IR2は通信装置4で受信される。通信装置4では、電子棚札5で生成された符号化後のACKデータが赤外線信号IR2から再生されて、当該ACKデータはESLサーバ10に伝達される。ESLサーバ10では、入力されたACKデータに対して復号化処理を行う。これにより、配信側装置40のESLサーバ10は、配信した売価が電子棚札5で正常に受信されたか否かを確認できる。したがって、例えば、電子棚札5から赤外線信号IR2が出力されない場合は、配信した売価が電子棚札5で正常に受信されなかったと判断して、ESLサーバ10は、赤外線信号IR2が返答されるまで売価を繰り返し配信するなどの処理が可能となる。これにより、電子棚札5の表示を確実に更新でき、システムの信頼性を大幅に向上できる。
【0051】
<2次符号化処理>
次にESLサーバ10の2次符号化部130及び電子棚札5の2次符号化部690での符号化処理について詳細に説明する。2次符号化部130,690のそれぞれは、例えば、入力データを2ビット単位で符号化し、当該2ビットのデータを4ビットの符号化データに変換して出力する。つまり、2次符号化部130,690のそれぞれは、入力される2ビットの情報データを所定の符号則に従って4ビットの符号化データに変換して出力する。本実施の形態では、2次符号化部130,690では、同じ符号則を用いて符号化処理が行われる。以後、2次符号化部130,690を総称して「2次符号化部」と呼ぶ。
【0052】
図14は2次符号化部で使用される符号則を示す図である。図14に示されるように、本符号則では、2ビットの情報データのビット列“00”は、4ビットのビット列“1000”に変換され、ビット列“01”はビット列“0100”に変換され、ビット列“10”はビット列“0010”に変換される。そして、情報データのビット列“11”は、ビット列“1100”とビット列“0000”とに交互に変換される。具体的には、2次符号化部は、入力されるビット列“11”をビット列“1100”に変換し、次に入力されるビット列“11”をビット列“0000”に変換し、その次に入力されるビット列“11”をビット列“1100”に変換し、以後同様に動作する。
【0053】
<符号則の一般化>
次に、より一般的に、2次符号化部においてNビット(N≧2)の情報データを符号化する際の本符号則について説明する。本符号則においては、Nビットの情報データを、Mビット(M≧2N−1)の符号化データに変換する。上述の図14は、N=2、M=4とした場合の本符号則を示している。
【0054】
本符号則では、Nビットの情報データがとり得る2N種類のビット列のうち、いずれか1種類のビット列を、ビット位置が連続するLビット(2≦L≦M)の各値が“0”及び“1”の一方を示すMビットのビット列と、全ビットの値が“0”及び“1”の他方を示すMビットのビット列とに交互に変換する。図14の例では、2ビットの情報データがとり得る4(=22)種類のビット列のうち、ビット列“11”を、ビット位置が上位から1及び2ビット目で連続する2ビット(L=2)の各値が“1”を示す4ビット(M=4)のビット列“1100”と、全ビットの値が“0”を示す4ビットのビット列“0000”とに交互に変換している。
【0055】
情報データがとり得る2N種類のビット列のうち、その他の種類の各ビット列は、符号化後のビット列が互いに異なるように、1ビットだけの値あるいはビット位置が連続するKビット(2≦K<L)の各値が“0”及び“1”の一方(“0”及び“1”のうち、上述のビット位置が連続するLビットの各値が示す方と同じ)を示すMビットのビット列にそれぞれ変換される。図14の例では、2ビットの情報データがとり得る4種類のビット列のうち、ビット列“11”以外のビット列“00”,“01”,“10”を、符号化後のビット列が互いに異なるように、1ビットだけの値が“1”を示す4ビットのビット列“1000”,“0100”,“0010”にそれぞれ変換している。なお、N,M,Lは上記それぞれの条件を満たす整数である。
【0056】
図15〜20に本符号則の様々な実施形態を示す。図15に示される実施形態は、図14に示される実施形態と比較して、情報データの“11”を“1100”ではなく“1111”に変換する点だけが異なっている。図16に示される実施形態は、図14に示される実施形態と比較して、情報データの“11”を“0010”に変換し、“10”を“1100”及び“0000”に交互に変換する点だけが異なっている。図17に示される実施形態では、2ビットの情報データの“00”を“1100”に、“01”を“0110”に、“10”を“0011”にそれぞれ変換し、“11”を“1110”及び“0000”に交互に変換している。図18に示される実施形態では、2ビットの情報データを3ビットの符号化データに変換している。この実施形態では、情報データの“00”を“100”に、“01”を“010”に、“10”を“001”にそれぞれ変換し、“11”を“111”及び“000”に交互に変換している。図19に示される実施形態は、図14に示される実施形態に対して、符号化データでの“1”と“0”とを入れ替えたものである。つまり、図19に示される実施形態では、情報データの“00”を“0111”に、“01”を“1011”に、“10”を“1101”にそれぞれ変換し、“11”を“0011”及び“1111”に交互に変換している。図20に示される実施形態では、3ビットの情報データを8ビットの符号化データに変換している。この実施形態では、情報データの“000”を“10000000”に、“001”を“01000000”に、“010”を“00100000”に、“011”を“00010000”に、“100”を“00001000”に、“101”を“00000100”に、“110”を“00000010”にそれぞれ変換し、“111”を“11110000”及び“00000000”に交互に変換している。
【0057】
<本符号則を採用することによる効果>
以上のように、本符号則においては、Nビット(N≧2)、つまり複数ビットの情報データを一度に符号化しているため、1ビットデータを符号化するCMI方式よりも符号効率が良い。
【0058】
さらに、本符号則では、Nビットの情報データがとり得る2N種類のビット列のうち、いずれか1種類のビット列を、ビット位置が連続するLビットの各値が“0”及び“1”の一方を示すMビットのビット列に変換しているため、当該いずれか1種類のビット列を符号化すると、他の種類のビット列を符号化した場合よりも、多くのビットで同じ値が連続するビット列を得ることができる。例えば、図14の例では、情報データのビット列“11”を符号化すると、上位2ビットで“1”が連続するビット列“1100”が得られ、このビット列は、情報データの他のビット列“00”,“01”,“10”を符号化して得られる、1ビットのみが“1”を示すビット列よりも、“1”が連続するビット数が多くなっている。
【0059】
このように、本符号則では、情報データのある種類のビット列を符号化すると、他の種類のビット列を符号化した場合よりも、多くのビットで同じ値が連続するビット列を得ることができるため、当該ビット列を利用して、符号化データとの同期をとる際に必要な基準位相を検出することができる。以下にこのことについて詳細に説明する。
【0060】
例えば、本符号則との比較対象として、図14の例において、情報データの“11”を常に“0001”に変換する符号則を考える。この符号則は「4値PPM」と呼ばれている。この符号則を利用して得られる符号化データでは、とり得るビット列の全種類において、1ビットのみが“1”を示し、“1”を示すビット数は互いに同じとなる。したがって、符号化データを復号化する際に、“1”を示す信号を検出したとしても、その信号を利用して4ビットの符号化データの先頭タイミングを求めることができず、符号化データと簡単に同期をとることができない。
【0061】
例えば、比較対象の符号則で符号化された図21に示されるようなビット列を復号化する際に、“1”を示す信号の立ち上がりタイミングT1を4ビットの符号化データの先頭タイミングとして当該符号化データと同期をとると、“1000”の符号化データが検出され、“00”の情報データが得られる。一方で、“1”を示す信号の立ち下がりタイミングT2を4ビットの符号化データの先頭タイミングとすると、“0001”の符号化データが検出され、“11”の情報データが得られる。このように、比較対象の符号則では、復号化対象のビット列において、どのタイミングを先頭タイミングにするかによって、得られる情報データが変化することから、“1”を示す信号を単に検出するだけでは、基準位相を検出することができず、符号化データと同期をとることができない。符号化データを復号化する際には、符号化データと同期をとる必要があることから、符号化データと同期がとりにいくことは問題となる。
【0062】
図14に示される本符号則においては、“11”の信号の立ち上がりタイミングが常に4ビットの符号化データの先頭タイミングとなるため、“11”の信号を検出し、その信号の立ち上がりタイミングを基準位相として符号化データと同期をとることによって、情報データを得ることができる。よって、ESLサーバ10の1次復号化部220及び電子棚札5の1次復号化部780において、符号化データを復号化する際に、当該符号化データと簡単に同期をとることができる。
【0063】
なお、図14に示される符号則において、仮に、“11”の情報データを“1100”ではなく“0110”に変換する場合であっても、“11”の信号を利用することによって基準位相を検出することができる。例えば、復号化対象のビット列の伝送ボーレートがFビット/秒とすると、復号化対象のビット列から“11”の信号を検出し、その信号の立ち上がりタイミングから(1/F)秒前のタイミングを4ビットの符号化データの先頭タイミングとすることによって、正確に情報データを復元することができる。
【0064】
さらに、本符号則では、Nビットの情報データを連続して符号化した場合であっても、その符号化データにおいては必ず2値符号の値が変化するため、符号化データを復号化する際のデータ誤りを少なくすることができる。
【0065】
例えば、図14に示される符号則において“11”の情報データを常に“0000”に変換するものとすると、“11”の情報データを連続して符号化すると、全ビットが“0”を示すビット列が得られる。このようなビット列では、2値符号の値が変化していないため、符号化データの先頭タイミングを検出することができず、正確に符号化データを復号化することは困難である。
【0066】
一方で、図14に示される本発明の符号則では、“11”の情報データを“1100”と“0000”に変換しているため、“11”の情報データを連続して符号化する場合であっても、符号化して得られるビット列においては、2値符号の値の変化が必ず生じる。したがって、符号化データの先頭タイミングを検出することができ、符号化データを復号化する際のデータ誤りを少なくすることができる。
【0067】
さらに、本符号則では、符号化データに関して、Mビットのビット列がとり得るパターンのうち、本符号則では生成されないパターンが存在するため、1次復号化部220,780では、当該パターンを利用して、符号化データを復号化する際に誤り訂正を行うことができる。例えば、図14に示される符号則では、4ビットの符号化データに関して、4ビットのビット列がとり得る16(=24)種類のパターンのうち、“1000”、“0100”、“0010”、“1100”及び“0000”の5種類しか使用していない。したがって、残りの11種類のパターンを利用して、符号化データを復号化する際に誤り訂正を行うことができる。この誤り訂正処理について後で詳細に説明する。
【0068】
なお、図14,16の例のように、符号化データの所定ビットの値が“0”及び“1”の他方(“0”及び“1”のうち、上述のビット位置が連続するLビットの各値が示す方とは異なる方)を常に示すように情報データを符号化する方が好ましい(図14,16では最下位ビットの値が“0”に固定されている)。この場合には、符号化データのビット列には常に値が変化しないビットが含まれているため、符号化データを復号化する際には、このビットを利用して、符号化データと同期をとる際に必要な基準位相を検出することができる。よって、さらに簡単に符号化データとの同期をとることができる。例えば、図14の例では、最下位ビットの値が常に“0”を示すため、復号化の対象となるビット列においては、4ビットごとに“0”の信号が必ず存在することになる。したがって、4ビットごとに“0”の信号が必ず存在するようなタイミングで基準位相をとることによって、符号化データを正確に復号化することができる。
【0069】
さらに、符号化データの所定ビットの値が“0”及び“1”の他方を常に示すように情報データを符号化する場合には、M≧2Nとなるため、Mビットのビット列がとり得るパターンのうち、本符号則では生成されないパターンがさらに増加する。例えば、図14,16に示される符号則では、図18に示される符号則よりも、符号化データのビット数が多く設定されているため、図14,16の符号則の方が図18の符号則よりも、生成されないパターンが多くなる。そのため、符号化データを復号化する際に十分な誤り訂正を行うことができる。
【0070】
このような符号化方法を、配信側装置40と電子棚札5との間での情報通信において使用することによって、配信側装置40と電子棚札5との間でのデータの伝送レートを大幅に向上することができる。特に電子棚札5のディスプレイ51にドットマトリクス方式のディスプレイを採用した場合には、セグメント方式のディスプレイを採用した場合と比較して、表示データが大幅に増加するため、配信側装置40と電子棚札5との間での情報通信に本符号化方法を使用するのは非常に有効である。本符号則は、ESLサーバ10及び電子棚札5での2回目の符号化処理において使用されるため、以後、当該符号則を「2次符号則」と呼ぶ。
【0071】
<1次復号化処理>
次に、ESLサーバ10の1次復号化部220及び電子棚札5の1次復号化部780での復号化処理について詳細に説明する。1次復号化部220,780は、入力データに対して、2次符号化部130,690での符号化処理に応じた復号化処理を行う。1次復号化部220,780は、入力される符号化データに対して誤り訂正を行った上で、それを復号化する。以後、1次復号化部220,780を総称して「1次復号化部」と呼ぶ。
【0072】
1次復号化部は、まず、入力される4ビットの符号化データのビット列と、上述の2次符号則において2ビットの情報データが変換される5種類の変換先ビット列、つまり“0000”、“0010”、“0100”、“1000”及び“1100”のそれぞれとの符号間距離を求める。そして、1次復号化部は、当該5種類の変換先ビット列のうち、符号化データのビット列との間の符号間距離が最も小さいビット列を、当該符号化データに割り当てる。そして、1次復号化部は、符号化データを、それに割り当てられた変換先ビット列に対応する情報データ、つまり当該変換先ビット列の元になる情報データに変換する。
【0073】
図22は、符号化データのビット列が“0011”である場合の1次復号化部での復号化処理を示す図である。図22に示されるように、“0000”、“0010”、“0100”、“1000”及び“1100”のうち、符号化データ“0011”との間の符号間距離が最も小さいビット列は“0010”である。したがって、符号化データ“0011”は、変換先ビット列“0010”に対応する情報データ、つまり2次符号則においてある情報データを“0010”に変換する際のその変換元の情報データである“10”に変換される。
【0074】
以上より、1次復号化部では、配信側装置40と電子棚札5との間の通信路などにおいて、入力される符号化データに誤りが発生しておらず、当該符号化データが“0000”、“0010”、“0100”、“1000”及び“1100”である場合には、それぞれ“11”、“10”、“01”、“00”及び“11”に変換される。そして、符号化データに誤りが発生し、当該符号化データが、“0000”、“0010”、“0100”、“1000”及び“1100”以外のビット列を示す場合には、当該符号化データは、誤り訂正が行われた上で復号化される。
【0075】
なお、符号化データのビット列によっては、2次符号則における情報データの5種類の変換先ビット列のうち、当該符号化データとの符号間距離が最も小さいビット列が2種類存在することがある。例えば、図23に示されるように、5種類の変換先ビット列のうち、符号化データ“1010”との間の符号間距離が最も小さいビット列は“0010”及び“1000”の2種類存在する。このような場合には、当該2種類のビット列のいずれか一方を符号化データに割り当てる。例えば、当該2種類のビット列のうち、その上位2ビットが、符号化データの上位2ビットと一致するものを、当該符号化データに割り当てる。そして、符号化データを、それに割り当てたビット列に対応した情報データに変換する。図23の例では、“0010”及び“1000”のビット列のうち“1000”の上位2ビット“10”と、符号化データ“1010”の上位2ビット“10”とが一致するため、当該符号化データは、“1000”に対応する情報データ“00”に変換される。
【0076】
このように、1次復号化部では、入力される符号化データのビット列と、2次符号則における5種類の変換先ビット列のそれぞれとの間の符号間距離に基づいて、符号化データのビット列が、当該5種類の変換先ビット列のいずれか一つに割り当てられ、符号化データのビット列が、割り当てられた変換先ビット列に対応する情報データのビット列に変換される。一般化すれば、1次復号化部では、入力されるMビットの符号化データのビット列と、2次符号則における(2N+1)種類の変換先ビット列のそれぞれとの間の符号間距離に基づいて、符号化データのビット列が、当該(2N+1)種類の変換先ビット列のいずれか一つに割り当てられ、符号化データのビット列が、割り当てられた変換先ビット列に対応するNビットの情報データのビット列に変換される。したがって、簡単な構成で、高速に誤り訂正を行うことができる。
【0077】
なお、2次符号則における情報データの5種類の変換先ビット列のうち、符号化データとの符号間距離が最も小さいビット列が2種類存在する場合には、上記方法とは異なる方法を用いて符号化データを所定の情報データに変換しても良い。上述のように、本実施の形態に係る電子棚札5のディスプレイ51は、ドットマトリクス方式の表示部であって、ディスプレイ51に表示する商品データは、画素単位で、つまり画素データごとに配信側装置40から電子棚札5に送信される。このような場合に、電子棚札5の1次復号化部780において、2次符号則で符号化されたある画素データを復号化する処理を考える。2次符号則における5種類の変換先ビット列のうち、復号化対象の画素データとの符号間距離が最も小さいビット列が2種類存在する場合には、この復号化対象の画素データに対応する画素の周辺に位置する複数画素に対応する画素データに対する復号化結果に基づいて、復号化対象の画素データを所定のビット列に変換する。ある画素の画素データと、その周辺に位置する画素の画素データとの間には強い相関があるため、つまりある画素の画素データと、その周辺画素の画素データとが同じデータである場合が多いため、複数の周辺画素の画素データを復号化して得られる情報データのビット列のうちの最も多い種類のビット列に、復号化対象の画素データを変換する。これにより、符号間距離に基づいて、画素データの変換先のビット列が決定できない場合でも、本来の画素データに近い画素データを確実に得ることができ、ディスプレイ51の画質の劣化を抑制することができる。
【0078】
また上記例では、1次復号化部において、符号化データと、2次符号則における(2N+1)種類の変換先ビット列との間の符号間距離を計算し、その計算結果に基づいて、符号化データの変換先のビット列を決定していたが、その代わりに、Mビットの符号化データがとり得る2M種類のビット列のそれぞれに対して、Nビットの情報データがとり得る2N種類のビット列のいずれか一つを予め割り当てておいて、1次復号化部において、入力された符号化データのビット列を、それに予め割り当てられている情報データのビット列に変換しても良い。このような場合であっても、上記例と同様に、簡単な構成で、高速に誤り訂正を行うことができる。図24はこの場合の一つの実施形態を示す図である。
【0079】
図24に示されるように、4ビットの符号化データがとり得る16(=24)種類のビット列のそれぞれには、2次符号則での符号化対象である2ビットの情報データがとり得る4(=22)種類のビット列のいずれか一つが割り当てられている。図24の例では、ビット列“0000”,“0001”,“1100”,“1101”,“1110”,“1111”にはビット列“11”が割り当てられており、ビット列“0010”,“0011”にはビット列“10”が割り当てられており、ビット列“0100”,“0101”,“0110”,“0111”にはビット列“01”が割り当てられており、ビット列“1000”,“1001”,“1010”,“1011”にはビット列“00”が割り当てられている。
【0080】
以上のような、符号化データのとり得るあるビット列と、その変換先の情報データのビット列との割り当ては、当該符号化データのとり得るあるビット列と、2次符号則における情報データの複数種類の変換先ビット列のそれぞれとの間の符号間距離に基づいて行う。例えば、符号化データのあるビット列“0011”を考えると、当該ビット列“0011”と、2次符号則における情報データの変換先ビット列“0000”,“0010”,“0100”,“1000”,“1100”との間の符号間距離は、上述の図22に示されるように、それぞれ“2”、“1”、“3”、“3”、“4”であるため、ビット列“0011”との間の符号間距離が最も小さいビット列“0010”に対応する情報データのビット列“10”を、ビット列“0011”に予め割り当てておく。
【0081】
ESLサーバ10及び電子棚札5において、図24に示されるような、Mビットの符号化データがとり得る2M種類のビット列と、2次符号則での変換元となるNビット情報データがとり得る2N種類のビット列との対応関係を示す変換テーブルを、ハードディスク14及び記憶部571にそれぞれ予め記憶しておくことにより、それらの1次復号化部において、当該変換テーブルを使用して、入力された符号化データのビット列を、それに予め割り当てられている情報データのビット列に変換することができる。これにより、1次復号化部では、より高速に誤り訂正を行うことができる。
【0082】
なお、上述のESLサーバ10の1次復号化部220は、制御回路11のCPUが動作プログラムを実行することによって当該CPU内に形成される機能ブロックである。同様に、上述の電子棚札5の第1復号化部780は、制御回路570のCPUが動作プログラムを実行することによって当該CPU内に形成される機能ブロックである。したがって、1次復号化部220,780のそれぞれは、ソフトウェアとハードウェア回路とが協働することで実現されている。これに対して、第1復号化部を、ソフトウェアを使用せずにハードウェア回路のみで実現しても良い。具体的には、Mビットの符号化データにおけるどの種類のビット列が入力されたとしても、それに予め割り当てられたNビットのビット列を出力するような論理回路を、第1復号化部として、AND回路やOR回路などの論理素子を組み合わせて構成する。このように、第1復号化部をハードウェア回路のみで構成することによって、さらに高速に誤り訂正を行うことができる。
【0083】
<2次復号化処理>
次に、ESLサーバ10の2次復号化部230及び電子棚札5の2次復号化部790での復号化処理について詳細に説明する。上述のように、2次復号化部230,790のそれぞれに入力されるデータはBCH符号で表されているため、2次復号化部230,790のそれぞれでは、BCH符号を復号化する処理が行われる。2次復号化部230,790のそれぞれでは、入力される符号化データに対して誤り訂正が行われ、その後、符号化データから元の情報データ、つまり、ESLサーバ10で生成された、商品データを含む送信データが取得される。2次復号化部230,790では互いに同様の復号化処理が行われるため、以下では、2次復号化部790での処理を代表して説明する。
【0084】
図25は電子棚札5の2次復号化部790の構成を示すブロック図である。図25に示されるように、2次復号化部790は、BCH符号に符号化された入力データについてのシンドロームを計算するシンドローム計算部791と、シンドローム計算部791で得られたシンドロームによって特定される、入力データにおける誤り位置に基づいて、当該入力データに対して誤り訂正を行う誤り訂正部792と、誤り訂正後の入力データについてのシンドロームを計算するシンドローム再計算部793と、誤り訂正後の入力データから元の情報データを取得する情報データ取得部794とを備えている。
【0085】
ここで、BCH符号などの巡回符号の符号語uに誤りeが生じて受信語pが生成されたとすると、以下の関係式が成立する。
【0086】
P(x)=U(x)+E(x) ・・・(1)
ただし、P(x)は受信語pを表す多項式、U(x)は符号語uを表す符号多項式、E(x)は誤りeを表す誤り多項式である。
【0087】
そして、P(x)を生成多項式G(x)で割った場合の商をQ(x)、その余りをS(x)とすると、以下の関係式が成立する。
【0088】
P(x)=Q(x)G(x)+S(x) ・・・(2)
式(2)中のS(x)は「シンドローム」と呼ばれており、誤り多項式E(x)と1対1で対応している。したがって、シンドロームS(x)によって、受信語pにおける誤りeが発生している位置(誤り位置)を特定することができる。なお、シンドロームS(x)が零の場合には、受信語pには誤りは発生していないことになる。
【0089】
2次復号化部790に入力される入力データを多項式で表したものが上記のP(x)に相当し、商Q(x)は予め決定されている生成多項式である。したがって、シンドローム計算部791は、式(2)を用いて、BCH符号に符号化されている入力データについてのシンドロームS(x)を計算することができる。シンドロームS(x)の計算については、シフトレジスタなどを用いて容易に実現することができる。
【0090】
誤り訂正部792は、シンドローム計算部791で得られたシンドロームS(x)を用いて、入力データにおいて誤りが発生しているビット位置を特定し、特定した各ビット位置の2値符号を反転する。これにより、BCH符号の訂正能力範囲内において、入力データに発生した誤りを訂正することができる。例えば、符号長63ビット、情報記号数51ビットのBCH符号では、2ビットまで誤り訂正を行うことができることから、入力データに2ビットまでの誤りが発生している場合には、当該入力データに発生しているすべての誤りを訂正することができる。
【0091】
これに対して、入力データにBCH符号の訂正能力を超えるビット数の誤りが発生している場合には、当該入力データに対して誤訂正を行ってしまうことがあり、正確な情報データを得ることができない。
【0092】
そこで、本実施の形態では、シンドローム再計算部793において、誤り訂正部792で訂正された入力データについてのシンドロームS(x)を計算する。そして、制御回路570は、シンドローム再計算部793で計算されたシンドロームS(x)が零であれば、誤り訂正部792において入力データの誤りがすべて訂正されたと判断し、情報データ取得部794で取得された情報データ中の商品データをディスプレイ51に表示する。
【0093】
一方で、制御回路570は、シンドローム再計算部793で計算されたシンドロームS(x)が零でなければ、入力データには依然として誤りが発生していると判断し、LED駆動部572及び通信部54を通じて、ESLサーバ10に再度商品データを送信することを要求する。その要求を受け取ったESLサーバ10は、再度、商品データを含む送信データを通信装置4を通じて電子棚札5に出力する。そして、電子棚札5では同様の動作が行われる。制御回路570は、所定回数、商品データの再送を要求し、シンドローム再計算部793での計算結果が依然として零にならない場合には、情報データ取得部794で取得された情報データ中の商品データをディスプレイ51に表示する。
【0094】
以上のように、誤り訂正後の符号化データについてのシンドロームを計算することによって、誤り訂正後の符号化データに依然として誤りが発生しているかどうかを確認することができる。よって、誤った商品データの表示を防止することができる。
【0095】
また、電子棚札5は、誤り訂正後の符号化データについてのシンドロームが零でない場合、つまり、誤り訂正後の符号化データに依然として誤りが発生している場合には、ESLサーバ10に対して商品データの再送信を要求するため、正確な商品データの表示が可能となる。
【0096】
なお、ESLサーバ10に関しても、2次復号化部230において、電子棚札5からのデータに対して誤り訂正が行われ、誤り訂正後のデータについてのシンドロームが計算される。そして、その計算結果が零でない場合には、ESLサーバ10は電子棚札5に対してデータの再送信を要求する。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の実施の形態に係る電子棚札システムが備える電子棚札が配置された様子を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る電子棚札システムを含む店舗情報システムの構成例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るESLサーバの構成を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るESLサーバが備える符号化装置の構成を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るESLサーバが備える復号化装置の構成を示す図である。
【図6】商品ファイルの例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る通信装置の構成を示す図である。
【図8】電子棚札向けの送信データと赤外線信号との関係を示す図である。
【図9】赤外線信号と、電気信号と、電子棚札からの送信データとの関係を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る電子棚札の構成を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る電子棚札が備える制御部の構成を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態に係る電子棚札が備える符号化装置の構成を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態に係る電子棚札が備える復号化装置の構成を示す図である。
【図14】本発明の実施の形態に係る符号則を示す図である。
【図15】本発明の他の実施の形態に係る符号則を示す図である。
【図16】本発明の他の実施の形態に係る符号則を示す図である。
【図17】本発明の他の実施の形態に係る符号則を示す図である。
【図18】本発明の他の実施の形態に係る符号則を示す図である。
【図19】本発明の他の実施の形態に係る符号則を示す図である。
【図20】本発明の他の実施の形態に係る符号則を示す図である。
【図21】従来の符号則で符号化されたデータを示す図である。
【図22】本発明の実施の形態に係る1次復号化部での復号化処理を示す図である。
【図23】本発明の実施の形態に係る1次復号化部での復号化処理を示す図である。
【図24】本発明の実施の形態に係る1次復号化部での復号化処理の他の例を示す図である。
【図25】本発明の実施の形態に係る2次復号化部の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0098】
1 電子棚札システム
5 電子棚札
40 配信側装置
51 ディスプレイ
790 2次復号化部
791 シンドローム計算部
792 誤り訂正部
793 シンドローム再計算部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品に対応して配置され、対応する商品に係る商品データを表示する電子棚札であって、
符号化された前記商品データたる符号化データが入力され、当該符号化データを復号化する復号化部と、
前記復号化部において前記符号化データを復号化して得られる前記商品データを表示する表示部と
を備え、
前記復号化部は、
前記符号化データについてのシンドロームを計算するシンドローム計算部と、
前記シンドローム計算部で得られたシンドロームによって特定される、前記符号化データにおける誤り位置に基づいて、当該符号化データに対して誤り訂正を行う誤り訂正部と、
前記誤り訂正部で訂正された前記符号化データについてのシンドロームを計算するシンドローム再計算部と
を有する、電子棚札。
【請求項2】
請求項1に記載の電子棚札と、
前記電子棚札に対して前記商品データを配信する情報配信部と
を備え、
前記電子棚札は、前記シンドローム再計算部でのシンドロームの計算結果が零でない場合には、前記情報配信部に対して前記商品データの再送信を要求する、電子棚札システム。
【請求項1】
商品に対応して配置され、対応する商品に係る商品データを表示する電子棚札であって、
符号化された前記商品データたる符号化データが入力され、当該符号化データを復号化する復号化部と、
前記復号化部において前記符号化データを復号化して得られる前記商品データを表示する表示部と
を備え、
前記復号化部は、
前記符号化データについてのシンドロームを計算するシンドローム計算部と、
前記シンドローム計算部で得られたシンドロームによって特定される、前記符号化データにおける誤り位置に基づいて、当該符号化データに対して誤り訂正を行う誤り訂正部と、
前記誤り訂正部で訂正された前記符号化データについてのシンドロームを計算するシンドローム再計算部と
を有する、電子棚札。
【請求項2】
請求項1に記載の電子棚札と、
前記電子棚札に対して前記商品データを配信する情報配信部と
を備え、
前記電子棚札は、前記シンドローム再計算部でのシンドロームの計算結果が零でない場合には、前記情報配信部に対して前記商品データの再送信を要求する、電子棚札システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2009−4998(P2009−4998A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−162774(P2007−162774)
【出願日】平成19年6月20日(2007.6.20)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月20日(2007.6.20)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】
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