説明

電子楽器の鍵盤装置

【課題】押鍵終了時における押鍵感触を良好に且つ安定的にする。
【解決手段】ハンマ体HMの質量部23の内部に形成された空洞部S内に、多数の微粒子でなる微粒子群25が移動自在に収容される。空洞部S内において左右両側壁部23c、23c間に複数のリブ壁24(24−1〜24−5)がほぼ等間隔で接続され、隣接するリブ壁24間、及び、空洞部Sの内壁後部、内壁前部で、天井面23b及び底面23aを結ぶ方向の複数のルートr(r1〜r6)が形成される。押鍵がなされ、ハンマ体HMの延設部22が上側ストッパ12に当接した直後においては、微粒子群25が、各ルートrに対応する複数の分離微粒子群25−1〜25−6に分かれて、それぞれが、位置的に対応しているルートrを上方に移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対応する鍵と連動して各々回動乃至揺動する複数のハンマ体を有した電子楽器の鍵盤装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、押鍵感触を良くするために、鍵に慣性を付与するための質量体であるハンマ体を設けた電子楽器の鍵盤装置が知られている(下記特許文献1、2)。例えば、下記特許文献2の鍵盤装置では、鍵に連動して回動するハンマ体を各鍵に対応して設け、対応する鍵に慣性を付与するようにしている。ハンマ体は、その自由端部がハンマ用ストッパと当接することで回動往行程における変位終了位置が規制され、同時に鍵も押鍵終了位置が規制される。
【0003】
ハンマ用ストッパは、フェルト等でなり、ハンマ体の自由端部が当接したときに変形してハンマ体の運動エネルギを吸収することで、鍵を通じた指への衝撃を緩和する。ところが、押鍵終了状態を維持している短い時間において、一旦変形したハンマ用ストッパが戻ろうとして反力を発生させる。そして、その反力が、ハンマ体及び鍵を通じて指に伝わり、押鍵終了時における押鍵感触に悪影響を与える。
【0004】
一方で、ハンマ体に空間を有する収納体を設け、この収納体内に細粒状の錘部材を移動自在に収納して、押鍵感触を向上させた鍵盤装置も知られている(下記特許文献3)。この鍵盤装置では、押鍵終了時にハンマ体がハンマ用ストッパに当接した瞬間に、収納体の空間内において細粒状の錘部材が上方に移動することで、当接の瞬間におけるハンマ用ストッパの変形を小さくすることができ、当接の瞬間に限っては良好なタッチ感触となる。
【特許文献1】特開平9−198037号公報
【特許文献2】特開昭63−56554号公報
【特許文献3】特開平8−16153号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献3の鍵盤装置において、ハンマ体がハンマ用ストッパに当接した次の瞬間、細粒状の錘部材がひとかたまりとなって、空間内の天井面に一気に衝突することとなる。従って、細粒状の錘部材が衝突した衝撃がハンマ用ストッパに一気にかかり、ハンマ用ストッパが、ハンマ体の当接による変形に続いて再び変形することとなる。そのため、ハンマ用ストッパからは、ハンマ体の当接による反力に続いて細粒状の錘部材の衝突による反力が発生し、それが、ハンマ体及び鍵を通じて指に伝わるため、押鍵終了時における押鍵感触に悪影響を及ぼすという問題があった。
【0006】
しかも、細粒状の各錘部材はひとかたまりとなっていて、それらの運動方向が共通であって、且つその運動方向は、上方、すなわち、ハンマ体の回動支点回りの回転モーメントをハンマ体に与える方向である。そのため、特に、ハンマ体と鍵とが連動して回動する構成においては、細粒状の錘部材の衝突が押鍵感触に与える影響が大きい。
【0007】
さらには、押鍵時において細粒状の各錘部材が実際にどのように動くかを制御するのは困難であり、それらの挙動が、押鍵毎にばらつくと考えられるため、安定した押鍵感触を実現するのが困難であるという問題もあった。
【0008】
本発明は上記従来技術の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、押鍵終了時における押鍵感触を良好に且つ安定的にすることができる電子楽器の鍵盤装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明の請求項1の電子楽器の鍵盤装置は、鍵支点部(PK)を中心に各々押離鍵方向に揺動自在な複数の鍵(10)と、前記各鍵に対応して前記鍵の並び方向に並列配置され、対応する鍵と連動してハンマ支点部(PH)を中心に各々回動し、対応する鍵の押鍵方向への揺動に対応して自由端部(23、123、223、323、423)が上方に変位する複数のハンマ体(HM)と、押鍵により往方向に揺動する鍵またはそれに対応して往方向に回動するハンマ体と当接して該鍵及び該ハンマ体の往方向における各々の変位終了位置を規制する動作規制部材(12)と、前記各ハンマ体の前記ハンマ支点部よりも前記自由端部側の部分に設けられた空洞部(S)内に移動自在に収容された微粒子群(25)とを有し、前記空洞部内には、前記動作規制部材によって前記ハンマ体の前記変位終了位置が規制されたときに前記微粒子群が所定方向に移動するように誘導する誘導手段(24、224、424、224a1、223a、323a、423a1、423a2)が設けられたことを特徴とする。
【0010】
好ましくは、前記誘導手段(24、224、424、223a、224a1、423a1、423a2)は、前記微粒子群が複数の群に分かれてそれぞれ異なるルート(r)に誘導されるように構成される(請求項2)。
【0011】
好ましくは、前記誘導手段(424、423a1、423a2)により複数に分かれる群が通る各ルート毎に進行方向が異なっていて、異なるルートを移動した微粒子群同士が直接または間接的に衝突するように構成される(請求項3)。
【0012】
好ましくは、前記微粒子群が、非押鍵状態においては前記空洞部内の底面(23a)上に位置すると共に、前記ハンマ体の前記変位終了位置が規制されたときには前記空洞部内の天井面(23b)に当接するように構成され、前記誘導手段により複数に分かれる各微粒子群が誘導される複数のルート(r1〜r6)間で、前記底面と前記天井面との間隔が異なっていることで、各ルートを通る微粒子群(25−1〜25−6)がそれぞれ対応する天井面に衝突するタイミングが、各微粒子群毎に異なるように構成される(請求項4)。
【0013】
好ましくは、前記誘導手段は、円弧状の壁面(223a、224a1、323a、423a1、423a2)を含んでなり、前記ハンマ体の前記変位終了位置が規制されたとき、前記微粒子群が前記該壁面に沿って徐々にその進行方向を変えるように構成される(請求項5)。
【0014】
好ましくは、前記誘導手段(323a、423a1、423a2)は、前記微粒子群の進行方向が徐々に前記ハンマ支点部の方向となるように構成され、前記空洞部内の、前記ハンマ支点部の方向に移動する前記微粒子群の進行方向前方において、前記微粒子群と衝突して該微粒子群を失速させる失速手段(26、27)が設けられる(請求項6)。
【0015】
好ましくは、前記失速手段(26)は、前記空洞部内の、前記ハンマ支点部の方向に移動する前記微粒子群の進行方向前方において、該進行方向における異なる複数の位置に複数設けられた被当接部材(26)でなる(請求項7)。
【0016】
上記目的を達成するために本発明の請求項8の電子楽器の鍵盤装置は、鍵支点部を中心に各々押離鍵方向に揺動自在な複数の鍵と、前記各鍵に対応して前記鍵の並び方向に並列配置され、対応する鍵と連動してハンマ支点部を中心に各々揺動し、対応する鍵の押鍵方向への揺動に対応して自由端部が上方に変位する複数のハンマ体と、押鍵による往方向に揺動する鍵またはそれに対応して往方向に揺動するハンマ体と当接して該鍵及び該ハンマ体の往方向における各々の変位終了位置を規制する動作規制部材と、前記各ハンマ体の前記ハンマ支点部よりも前記自由端部側の部分に設けられた空洞部内に移動自在に収容された微粒子群と、前記空洞部内における、前記動作規制部材によって前記ハンマ体の前記変位終了位置が規制されたときに前記微粒子群が移動する進行方向前方の、該進行方向における異なる複数の位置に設けられ、前記微粒子群と衝突して該微粒子群を失速させる失速手段(26)とを有することを特徴とする。
【0017】
なお、上記括弧内の符号は例示である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の請求項1によれば、押鍵終了時における微粒子群の挙動を制御可能にして、押鍵終了時における押鍵感触を良好に且つ安定的にすることができる。
【0019】
請求項2によれば、微粒子群の挙動を一層細かく制御可能にすることができる。
【0020】
請求項3によれば、異なるルートに導いた微粒子群同士を衝突させることで、押鍵終了時においてハンマ体にかかる回動方向のモーメントを小さくし、押鍵感触への悪影響を抑制することができる。
【0021】
請求項4によれば、天井面への微粒子群の衝突タイミングを分散させて、衝撃力の時間的集中を緩和することができる。
【0022】
請求項5によれば、押鍵終了時において微粒子群の運動エネルギによってハンマ体にかかる回動方向のモーメントのかかり方を時間的に分散させて、衝撃力の時間的集中を緩和することができる。
【0023】
請求項6によれば、微粒子群の進行方向をハンマ支点部に向けた後に失速させることで、ハンマ体にかかる回動方向のモーメントを小さくすることができる。
【0024】
請求項7によれば、微粒子群の失速タイミングを分散させて、衝撃力の時間的集中を緩和することができる。
【0025】
請求項8によれば、押鍵終了時における微粒子群の失速タイミングを分散させ、衝撃力の時間的集中を緩和して、押鍵終了時における押鍵感触を良好に且つ安定的にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0027】
(第1の実施の形態)
図1(a)、(b)は、本発明の第1の実施の形態に係る電子楽器の鍵盤装置の縦断面図である。同図(a)は非押鍵状態を示し、同図(b)は、押鍵終了状態を示す。
【0028】
本鍵盤装置は、楽器本体の一部である棚板15より下方に不図示の脚部を備えている。本鍵盤装置の楽器本体は、全体は図示しないが、棚板15及びそれより上方の部分が該当する。該楽器本体において、複数の鍵10を備える鍵盤部の上方に、不図示のカバーが設けられる。このカバー及び上記脚部は必須ではない。棚板15上には、鍵盤シャーシ(以下、単に「シャーシ」と称する)14が配設固定される。以降、本鍵盤装置の奏者側(図1の左方)を「前方」と呼称する。左右方向については、奏者側からみた方向を基準とする。
【0029】
シャーシ14には、複数の鍵10及び各鍵10に対応するハンマ体HMが個々に支持される。シャーシ14の水平部14aの後部の上部には鍵回動支点PKが設けられる。また、シャーシ14の水平部14aの前半部の下部にはハンマ体回動軸PHが設けられる。鍵10は、押下操作され、鍵回動支点PKを中心として各々上下方向に回動(前端部が揺動)自在になっている。鍵10として白鍵10W及び黒鍵10Bがそれぞれ複数存在する。各鍵10の前部下部には、ハンマ体駆動部11が設けられる。
【0030】
各鍵10の下方には、各鍵10に対応してハンマ体HMが配置される。各ハンマ体HMは、ハンマ体回動軸PHから後方に延設された延設部22を有し、延設部22の後部でもある自由端部には、質量部23が設けられる。また、ハンマ体HMのハンマ体回動軸PHから前方部分に設けられた蟹のハサミ状の係合部21が、鍵10のハンマ体駆動部11と常に係合状態にあり、ハンマ体HMが鍵10に連動して回動するようになっている。各ハンマ体HMは、対応するハンマ体回動軸PHを中心に上下方向に回動(後端部が揺動)自在になっている。
【0031】
奏者による押鍵操作に応じて、鍵10のハンマ体駆動部11により係合部21が駆動され、ハンマ体HMがハンマ体回動軸PHを中心に同図反時計方向(押鍵方向に対応する方向であって「往方向」)に回動することで、適切な慣性が付与され、良好な押鍵感触が得られる。各鍵10の構成、及び各ハンマ体HMの構成は、それぞれ同様である。
【0032】
ハンマ体HMは、主に質量部23の自重によって、同図時計方向(離鍵方向に対応する方向であって「復方向」)に常に付勢されている。鍵10の押鍵状態からの復帰力は、質量部23の重さによるハンマ体HMの復帰力によるものである。質量部23の詳細な構成は後述する。復帰時にも、ハンマ体HMは、対応する鍵10と連動して回動する。なお、ハンマ体HMを非押鍵位置に戻すための復帰力を発生させる補助手段として、復帰バネを設けてもよい。
【0033】
シャーシ14の水平部14a、後部下部14bにはそれぞれ、フェルト等の弾性材でなる上側ストッパ12及び下側ストッパ13が設けられている。上側ストッパ12は、押鍵時にハンマ体HMの延設部22と当接し、ハンマ体HMの往方向の回動終了位置(変位終了位置)を規制すると共に、鍵10の往方向の回動終了位置である押鍵終了位置(変位終了位置)も規制する(図1(b)参照)。上側ストッパ12は、延設部22に代えて質量部23と当接するようにしてもよい。下側ストッパ13は非押鍵時に質量部23と当接し、ハンマ体HMの復方向の回動終了位置(初期位置)及び鍵10の非押鍵状態への復帰位置(初期位置)を規制する(図1(a)参照)。
【0034】
また、図示は省略するが、本鍵盤装置には、ハンマ体HMの前部によって押圧される鍵スイッチが設けられる。鍵スイッチは、キーベロシティを含む鍵動作を検出し、その検出結果に基づいて、楽音制御がなされる。なお、鍵10またはハンマ体HMを往方向に駆動する鍵駆動手段を設け、演奏データに基づく自動演奏が可能なように構成してもよい。
【0035】
図2(a)は、ハンマ体HMの延設部22の延設方向に平行な面に沿う質量部23の水平断面図である。図2(b)〜(d)は、質量部23の縦断面図である。同図(b)は、非押鍵状態、同図(c)は、ハンマ体HMの回動往行程においてハンマ体HMが上側ストッパ12に当接した直後の状態を示し、同図(d)は、同図(c)の状態の次の瞬間の状態である。同図(c)から同図(d)に示す状態に至る時間はごく短い時間である。同図(d)に示す状態の後に、押鍵終了の操作状態が継続されると、ハンマ体HMをはじめとする各構成要素が静止する押鍵終了状態となる。
【0036】
質量部23は、樹脂等で形成され、内部に空洞部Sが形成されている。質量部23を構成する材料は問わず、延設部22と一体に構成してもよいし別体で構成してもよい。質量部23が樹脂で構成される場合は、空洞部Sは、例えば、ブロー成形等によって形成される。
【0037】
図2(b)〜(d)に示すように、質量部23の空洞部S内には、多数の微粒子でなる微粒子群25が、空洞部S内を移動自在に収容されている。図1(a)、(b)、図2(a)では、微粒子群25の図示が省略されている。微粒子群25の各微粒子は、例えば、金属、砂、セラミック、樹脂等で構成される。各微粒子は、球体であるが球体に限られない。各微粒子の直径相当の寸法は3mm以下が望ましく、粉状であってもよい。空洞部Sは、密閉されているが、各微粒子が外部に漏れないような小さい穴ならば空いていてもよく、網状部やスリットが存在してもよい。微粒子群25の量は、個々の微粒子が自由に移動可能なように、空洞部S内に十分な間隙が残るような量とされる。
【0038】
質量部23は左右の側壁部23c、23cを有する(図2(a)参照)。図2(b)〜(d)に示すように、空洞部Sの天井面23b、底面23aはいずれも平坦な面となっている。底面23aは、非押鍵状態において水平であるが、天井面23bは、後方にいくにつれて低くなっていて、天井面23bと底面23aとの間の間隔が狭く(先細テーパ状に)なっている。
【0039】
空洞部S内において両側壁部23c、23c間に複数のリブ壁24(24−1〜24−5)がほぼ等間隔で接続されている。図2(b)〜(d)に示すように、各リブ壁24の上端及び下端は、空洞部Sのそれぞれ天井面23b、底面23aとは離間している。各リブ壁24は板状で、互いに平行である。隣接するリブ壁24間、及び、リブ壁24−1、24−5にあっては空洞部Sの内壁後部、内壁前部との間に、天井面23b及び底面23aを結ぶ方向(略上下方向)の複数のルートr(r1〜r6)が形成される。
【0040】
かかる構成において、非押鍵状態においては、微粒子群25は、底面23a上にほぼ一様な厚みで堆積している。押鍵がなされ、ハンマ体HMの延設部22が上側ストッパ12に当接した直後においては、図2(b)に示すように、微粒子群25が、各ルートrに対応する複数の微粒子群25(以下、特に区別するときは「分離微粒子群25−1〜25−6」と記す)に分かれて、それぞれが、位置的に対応しているルートrを上方に移動する。延設部22が上側ストッパ12に当接したことで、上側ストッパ12が変形し、ハンマ体HMの運動エネルギが吸収される。その際、微粒子群25は空洞部S内において底面23aから離間するため、微粒子群25自体の運動エネルギは未だ吸収されない。
【0041】
6つのルートrの中でルートr1が最も短いので、ルートr1を通る分離微粒子群25−1が最初に天井面23bに衝突する。続いて、分離微粒子群25−2〜25−6がそれぞれ僅かなタイミングのずれを保って、天井面23bの、それぞれ対応するルートrの上方に位置する部分に衝突していく。
【0042】
厳密には、天井面23bに衝突した微粒子から順に跳ね返って下方に落下することになる。しかし、マクロ的に見れば、図2(d)に示すように、すべての分離微粒子群25−1〜25−6が、各分離微粒子群の区別がなくなった状態である微粒子群25として、一時的に天井面23bに位置する。微粒子群25が天井面23bに衝突することで、天井面23bを介して微粒子群25の運動エネルギが上側ストッパ12に吸収され、上側ストッパ12が原形状に復帰する際の反力が質量部23にかかることになる。ところが、分離微粒子群25−1〜25−6の衝突タイミングが僅かにずれているため、質量部23にかかる反力も時間的に分散され、鍵10を通じて指に伝わる悪影響が緩和される。
【0043】
その後、押鍵終了状態が継続されると、微粒子群25は天井面23bから離れて落下する。微粒子群25が落下して復帰する際にも、分離されてそれぞれのルートrを通る。しかも、離鍵がなされてハンマ体HMが非押鍵状態に復帰すると、底面23aが水平になるので、微粒子群25が底面23a上において一様に分散する(図2(b)参照)。
【0044】
本実施の形態によれば、複数のリブ壁24が、空洞部Sの内壁後部及び内壁前部と協働して微粒子群25を複数の群に分けてそれぞれ異なるルートrに誘導する誘導手段として機能し、微粒子群25が整流されて微粒子群25の挙動が制御可能となる。これにより、リブ壁24がない構成に比し、毎回の押鍵動作毎の微粒子群25の挙動がほぼ一定となり、安定した押鍵感触が得られる。
【0045】
また特に、各ルートr1〜r6を通る分離微粒子群25−1〜25−6が天井面23bに衝突するタイミングが少しずつ異なるので、リブ壁24がない構成のように、微粒子群25がひとかたまりとなって天井面23bの偏った箇所に一気に衝突することがなく、ストッパ12に衝撃が一気にかかることがない。従って、天井面23bへの分離微粒子群の衝突タイミングを分散させて、衝撃力の時間的集中を緩和することができる。これにより、微粒子群25の当接に応じたストッパ12の反力に起因する押鍵感触への悪影響が抑制される。
【0046】
よって、押鍵終了時における押鍵感触を良好に且つ安定的にすることができる。
【0047】
図3(a)、(b)は、第1の実施の形態におけるハンマ体HMの質量部23の第1、第2変形例をそれぞれ示す縦断面図である。
【0048】
図2の例では、質量部23において、複数のリブ壁24が両側壁部23c、23cを接続し、リブ壁24の上下は空洞部Sの内壁と接していない構成であった。これに対して、図3(a)に示す第1変形例においては、各リブ壁24の左右端が両側壁部23c、23cに接続されるのに加えて、各リブ壁24の上端が天井面23bに接続されている。従って、下端のみが開放されている。
【0049】
この構成では、押鍵時において、一旦分かれた各分離微粒子群25−1〜25−6は、各ルートrの上部で混じることがなく、専ら、底面23aに復帰したときに混じって、各分離微粒子群の区別がなくなった元の微粒子群25となり得る。かかる構成であっても、微粒子群25が底面23a上において一様に分散するので、図2の例と同様の効果を奏する。
【0050】
なお、第1変形例において、各リブ壁24の下端だけでなく左右端も空洞部Sの内壁と接しない構成としてもよい。すなわち、上端だけで空洞部Sの内壁に接続された構成である。この構成であっても、微粒子群25が底面23a上において一様に分散し、各分離微粒子群25−1〜25−6に分かれて上下移動するので、同様の作用効果を奏する。従って、リブ壁24を設けた構成においては、少なくともリブ壁24の下端を開放すればよく、上端、左端、右端の少なくとも1つを空洞部Sの内壁に接続すればよい。
【0051】
また、図3(b)に示す第2変形例においては、各リブ壁24の左右端及び上下端のすべてを空洞部Sの内壁に接続し、6個の密室である分離空洞部S1〜S6が生じるように構成される。この構成の場合は、各分離空洞部S1〜S6に、予め適量の分離微粒子群25(25−1〜25−6)を分けて収容しておく。これらの微粒子群25は互いに混じることがない。この構成であっても、各分離空洞部S1〜S6には、図2の例と同様のルートr1〜r6が形成され、分離微粒子群25が、各々の対応するルートrを移動するので、図2の例と同様の効果を奏する。
【0052】
なお、本実施の形態において、天井面23bへの分離微粒子群の衝突タイミングを分散させることができれば他の構成でもよく、例えば、質量部23の形状は先細でなく先太であってもよい。あるいは、天井面23bを階段状に形成して底面23aとの間隔を各ルートr毎に異ならせてもよい。
【0053】
なお、質量部23は、ハンマ体回動軸PHの延設部22に設けられたとしたが、これに限るものではなく、延設部22が、その主に自由端部に、質量部23として機能する程度の質量を備え、その質量を備えた部分が上記質量部23に相当するように構成してもよい。
【0054】
(第2の実施の形態)
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る電子楽器の鍵盤装置に適用されるハンマ体の質量部の縦断面図である。本第2の実施の形態では、第1の実施の形態に対して、ハンマ体HMにおける質量部の構成のみが異なり、ハンマ体HMのその他の部分及び鍵盤装置におけるその他の部分の構成は同様である。
【0055】
本第2の実施の形態におけるハンマ体HMは、質量部23に代えて質量部123を有する。質量部123の空洞部Sには、左右方向に沿った複数のピン26が設けられる。これらのピン26は、互いに適当な間隔を保って質量部123の左右両壁に接続されるが、片側の壁等、空洞部Sの内壁のいずれかの箇所に対して固定されていればよい。空洞部Sには、微粒子群25が収容される。
【0056】
かかる構成において、押鍵がなされ、ハンマ体HMの延設部22が上側ストッパ12に当接したとき、微粒子群25は、空洞部S内において底面123aから離間して天井面123bに向かう。上方に移動する微粒子群25の進行方向にピン26が存在するので、微粒子群25はピン26に徐々に衝突していく。これにより、微粒子群25の運動エネルギが一気ではなく徐々に上側ストッパ12に伝わる。押鍵態様によっては、微粒子群25が後方に片寄る場合もあるため、後半部側ほどピン26の数を多くしている。
【0057】
複数のピン26が微粒子群25を失速させる失速手段として機能し、しかも微粒子群25を順次失速させるので、微粒子群25の失速タイミングが分散し、衝撃力の時間的集中が緩和される。
【0058】
本実施の形態によれば、押鍵終了時における押鍵感触を良好に且つ安定的にすることに関し、第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0059】
(第3の実施の形態)
図5(a)、(b)は、本発明の第3の実施の形態に係る電子楽器の鍵盤装置に適用されるハンマ体の質量部の縦断面図である。図5(a)は図2(b)に対応し、非押鍵状態を示す。図5(b)は図2(c)に対応し、ハンマ体HMの回動往行程においてハンマ体HMが上側ストッパ12が当接した直後の状態を示す。
【0060】
本第3の実施の形態では、第1の実施の形態に対して、ハンマ体HMにおける質量部の構成のみが異なり、ハンマ体HMのその他の部分及び鍵盤装置におけるその他の部分の構成は同様である。本第3の実施の形態におけるハンマ体HMは、質量部23に代えて質量部223を有する。
【0061】
図5(a)、(b)に示すように、質量部223の空洞部Sの内壁は、側面視で全体的に丸くなっていて、特に、後部上部には円弧状面223aが形成される。質量部223の空洞部Sには、左右両壁間に2つの湾曲リブ224(224−1、224−2)が接続されている。湾曲リブ224−1の湾曲形状は、空洞部Sの内壁の近接した部分の曲率にほぼ対応している。空洞部Sには、微粒子群25が収容される。
【0062】
かかる構成において、押鍵がなされ、ハンマ体HMの延設部22が上側ストッパ12に当接すると、微粒子群25の一部が、分離微粒子群25−1として、円弧状面223aと湾曲リブ224−1との間の曲線状のルートr1を上昇していくと共に、他の一部である分離微粒子群25−2が、湾曲リブ224−1と湾曲リブ224−2との間の曲線状のルートr2を上昇していく。
【0063】
図5(b)に示すように、分離微粒子群25−1は、湾曲リブ224−1の後側の円弧状面224a3による整流作用を受けつつ、自身にかかる遠心力により、基本的には円弧状面223aに沿って移動する。そして、矢印に示すように、進行方向を徐々に前方へ変えて、空洞部Sの天井面を過ぎると下降する。その過程で、分離微粒子群25−1は、円弧状面223aから摩擦力を受けて徐々にその運動エネルギを消失していく。
【0064】
一方、分離微粒子群25−2は、湾曲リブ224−2の後側の円弧状面224a2による整流作用を受けつつ、自身にかかる遠心力により、基本的には、湾曲リブ224−1の前側の円弧状面224a1に沿って移動する。そして、矢印に示すように、進行方向を徐々に前方へ変えて、湾曲リブ224−1の上部を過ぎると下降する。その過程で、分離微粒子群25−2は、円弧状面224a2、224a1から摩擦力を受けて徐々にその運動エネルギを消失していく。
【0065】
このように、微粒子群25が、曲線状のルートr1、r2に誘導されて、その進行方向が徐々に変化するので、天井面等に一気に衝突するような構成に比し、微粒子群25の運動エネルギによってハンマ体HMにかかる回動方向のモーメントのかかり方が時間的に分散され、衝撃力の時間的集中が緩和される。また、天井面等に一気に衝突するような挙動とは異なり、円弧状面223a、224a1、224a2、224a3から受ける摩擦力により運動エネルギが徐々に消失され、微粒子群25の速度の急激な変化が生じないため、上側ストッパ12の衝撃及びその反力のピークが小さくて済む。
【0066】
本実施の形態によれば、押鍵終了時における押鍵感触を良好に且つ安定的にすることに関し、第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0067】
本実施の形態において、湾曲リブ224は2つ設けたが、微粒子群25を曲線状のルートの誘導できればよく、この数は3以上でもよいし、湾曲リブ224−1等の1つでもよい。例えば、図5(c)に変形例を示すように、1つの肉厚の湾曲リブ224を設け、微粒子群25を分離させることなく、湾曲リブ224と円弧状面223aとの間のルートに導くようにしてもよい。
【0068】
なお、微粒子群25を円弧状に移動させて進行方向を徐々に変化させる観点に限っていえば、ルートrは、空洞部Sにおける後部に形成することは必須でない。例えば、空洞部Sの前部に円弧状面を設けると共に微粒子群25が前方に導かれるようにルートrを形成してもよい。また、ルートrの形成において左右方向の成分も利用してもよく、ルートrを螺旋状に形成してもよい。
【0069】
(第4の実施の形態)
図6(a)、(b)は、本発明の第4の実施の形態に係る電子楽器の鍵盤装置に適用されるハンマ体の質量部の縦断面図である。図6(a)は図2(b)に対応し、非押鍵状態を示す。図6(b)は図2(c)に対応し、ハンマ体HMの回動往行程においてハンマ体HMが上側ストッパ12が当接した直後の状態を示す。本第4の実施の形態では、第1の実施の形態に対して、ハンマ体HMにおける質量部の構成のみが異なり、ハンマ体HMのその他の部分及び鍵盤装置におけるその他の部分の構成は同様である。
【0070】
本第4の実施の形態におけるハンマ体HMは、質量部23に代えて質量部323を有する。図6(a)、(b)に示すように、質量部323の空洞部Sの内壁には、後部及び上部にかけて、円弧状面323aが形成される。また、質量部323の空洞部Sの前部上部には、左右方向に沿った複数のピン26が設けられる。各ピン26は、第2の実施の形態(図4参照)におけるものと同様で、互いに適当な間隔を保って質量部323の左右両壁に接続される。空洞部Sには、微粒子群25が収容される。
【0071】
かかる構成において、押鍵がなされ、ハンマ体HMの延設部22が上側ストッパ12に当接すると、微粒子群25が、円弧状面323aに沿って上昇していく。円弧状面323aにより、微粒子群25は、図6(b)の矢印に示すように、進行方向を徐々に前方へ変える。そして、進行方向が前方に向いた状態で、ピン26に順次衝突して失速し、その後、落下する。
【0072】
微粒子群25が円弧状面323aから受ける摩擦力によって徐々にその運動エネルギを消失する作用及びそれによる効果は、第3の実施の形態(図5(a)、(b)参照)と同様である。また、ピン26との衝突により、微粒子群25の失速タイミングが分散し、微粒子群25の運動エネルギが徐々に消失する点は、第2の実施の形態(図4参照)と同様である。しかし、これに加えて、微粒子群25は、その進行方向が前方、すなわち、ハンマ体回動軸PH(図1参照)の方向に整流された後にピン26に衝突するようになっている。従って、ピン26と当接したことによって、微粒子群25の運動エネルギが、ハンマ体HMに対して回動方向のモーメントとしてかかることはほとんどない。
【0073】
厳密には、微粒子群25の各微粒子のピン26に対する衝突が正面衝突でない限り、当該微粒子から、ハンマ体HMに回動方向成分の力が加わる。ところが、各微粒子のピン26に対する衝突位置はばらばらで、多数の微粒子による当接力の向きが往方向と復方向とで互いに相殺されるので、結果としてハンマ体回動軸PHの方向の成分だけが残ることになる。そのため、ハンマ体回動軸PHには、回動方向のモーメントがかからず、微粒子群25の運動エネルギに起因する押鍵感触への悪影響が抑制される。
【0074】
本実施の形態によれば、押鍵終了時における押鍵感触を良好に且つ安定的にすることに関し、第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。特に、微粒子群の進行方向をハンマ体回動軸PHに向けた後に、タイミングを分散させて失速させるので、押鍵感触を一層良好にすることができる。
【0075】
なお、第2、第4の実施の形態において、微粒子群25をピン26と当接させて失速させるという機能を実現することに限って言えば、ハンマ体HMの動きは回動でなくてもよい。すなわち、少なくとも、ピン26を設けた部分(質量部23、123)が、鍵10の回動に連動して揺動等の往復動作をする構成であればよく、必ずしも支点を中心とした回転を伴う動作でなくてもよい。
【0076】
(第5の実施の形態)
図7(a)、(b)、(c)は、本発明の第5の実施の形態に係る電子楽器の鍵盤装置に適用されるハンマ体の質量部の縦断面図である。図7(a)は図2(b)に対応し、非押鍵状態を示す。図7(b)は図2(c)に対応し、ハンマ体HMの回動往行程においてハンマ体HMが上側ストッパ12が当接した直後の状態を示す。図7(c)は図2(d)に対応し、図7(b)の状態の次の瞬間の状態を示す。本第5の実施の形態では、第1の実施の形態に対して、ハンマ体HMにおける質量部の構成のみが異なり、ハンマ体HMのその他の部分及び鍵盤装置におけるその他の部分の構成は同様である。
【0077】
本第5の実施の形態におけるハンマ体HMは、質量部23に代えて質量部423を有する。図7(a)〜(c)に示すように、質量部423の空洞部Sの内壁は、側面視で上半部が丸くなっていて、下半部が丸く窄まっている。特に、上半部には後部から前部にかけて円弧状面423a1、423a2が連続的に形成される。空洞部Sには、左右両壁間に1つのリブ424が接続されている。空洞部Sには、微粒子群25が収容される。
【0078】
リブ424は、下方が細くなっていて、側面視において、外郭形状が、空洞部Sの内壁に対応している。空洞部Sは、リブ424の周りに形成された、リブ424を挟んで対称の環状の空間となっている。この環状の空間のうち、リブ424を挟んで、後側と前側とが、それぞれルートr1、r2として機能する。
【0079】
かかる構成において、押鍵がなされ、ハンマ体HMの延設部22が上側ストッパ12に当接すると、図7(b)に示すように、微粒子群25が2つに分かれて、分離微粒子群25−1が後側のルートr1を、分離微粒子群25−2が前側のルートr2をそれぞれ上昇していく。その際、分離微粒子群25−1、25−2は、それぞれ、リブ424の後側、前側の円弧状面424a1、424a2による整流作用を受けつつ、基本的には、円弧状面423a1、423a2に沿って移動する。
【0080】
微粒子群25が円弧状面423a1、423a2等から受ける摩擦力によって徐々にその運動エネルギを消失する作用及びそれによる効果は、第3の実施の形態(図5(a)、(b)参照)と同様である。しかし、本第5の実施の形態ではさらに、図7(c)に示すように、ルートr1、r2を移動した分離微粒子群25−1、25−2が、上方で衝突する。すなわち、両者が、進行方向を互いに向き合う方向に変えた後に正面衝突する。
【0081】
これにより、分離微粒子群25−1、25−2の運動エネルギは互いに打ち消し合って一気に消失するが、その際の衝撃は、質量部423に対してほとんど及ばないため、押鍵感触に悪影響を与えることもほとんどない。
【0082】
本実施の形態によれば、分離微粒子群25−1、25−2自体が、自身を失速させる失速手段として機能するので、ピン26(図6参照)のような被当接部材を設けることなく、第4の実施の形態(図6参照)と同様の効果を奏することができる。
【0083】
なお、図7の例では、分離微粒子群25−1、25−2が直接衝突する構成であった。しかし、これに限られず、図8(a)、(b)に示すように、間接的に衝突するように構成してもよい。図8(a)、(b)は、第5の実施の形態におけるハンマ体HMの質量部423の第1、第2変形例をそれぞれ示す縦断面図である。
【0084】
まず、図8(a)に示す第1変形例では、空洞部Sの内壁上部とリブ424とを接続する接続リブ27を設ける。これにより、ルートr1、r2を移動した分離微粒子群25−1、25−2が、上方において接続リブ27に衝突する。接続リブ27は、分離微粒子群25−1、25−2がほぼ同時に衝突するような位置に設ける。接続リブ27が、失速手段として機能する。
【0085】
また、図8(b)に示す第2変形例では、空洞部を、前後2つの独立した空洞部S1、S2に分けて構成する。すなわち、図8(a)に示す接続リブ27と同じものを設けると共に、空洞部Sの内壁下部をリブ424と接続する。各空洞部S1、S2に、ルートr1、r2が形成される。そして、各空洞部S1、S2に、予め適量の分離微粒子群25(25−1、25−2)を分けて収容しておく。この構成であっても、図8(a)の例と同様に、ルートr1、r2を移動した分離微粒子群25−1、25−2が、上方において接続リブ27にほぼ同時に衝突する。
【0086】
なお、本第5の実施の形態において、微粒子群25を分けて直接または間接的に衝突させるために、ルートrを2つ形成したが、3つ以上のルートrに分けて微粒子群25を導いて、これらを互いに直接または間接的に衝突させるように構成してもよい。ルートrの分け方は前後に限られず、左右方向の成分も有するように立体的に振り分けてもよい。
【0087】
なお、上記各実施の形態において、ハンマ体HMの質量部23等の空洞部Sの位置は、ハンマ体回動軸PH(図1参照)よりも自由端部側の位置であればよい。
【0088】
なお、上記各実施の形態において、上側ストッパ12が、鍵10及びハンマ体HMの各往方向の回動終了位置を規制する上で、上側ストッパ12は、ハンマ体HMと当接する構成であったが、これに限られない。すなわち、ハンマ体HMと鍵10とが連動して回動する構成において、鍵10及び/又はハンマ体HMに当接する構成であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る電子楽器の鍵盤装置の非押鍵状態(図(a))、押鍵終了状態(図(b))をそれぞれ示す縦断面図である。
【図2】ハンマ体の延設部の延設方向に平行な面に沿う質量部の水平断面図(図(a))、質量部の縦断面図(図(b)〜(d))である。
【図3】第1の実施の形態におけるハンマ体の質量部の第1、第2変形例をそれぞれ示す縦断面図(図(a)、(b))である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る電子楽器の鍵盤装置に適用されるハンマ体の質量部の縦断面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る電子楽器の鍵盤装置に適用されるハンマ体の質量部の縦断面図(図(a)、(b))、同質量部の変形例を示す縦断面図(図(c))である。
【図6】本発明の第4の実施の形態に係る電子楽器の鍵盤装置に適用されるハンマ体の質量部の縦断面図(図(a)、(b))である。
【図7】本発明の第5の実施の形態に係る電子楽器の鍵盤装置に適用されるハンマ体の質量部の縦断面図(図(a)、(b)、(c))である。
【図8】第5の実施の形態におけるハンマ体の質量部の第1、第2変形例をそれぞれ示す縦断面図(図(a)、(b))である。
【符号の説明】
【0090】
10 鍵、 12 上側ストッパ(動作規制部材)、 23、123、223、323、423 質量部(自由端部)、 23a 底面、 23b 天井面、 24 リブ壁(誘導手段)、 25 微粒子群、 26 ピン(失速手段、被当接部材)、 27 接続リブ(失速手段)、 224 湾曲リブ(誘導手段)、 223a、224a1、323a、423a1、423a2 円弧状面(誘導手段、円弧状の壁面)、 424 リブ(誘導手段)、 S、S1、S2 空洞部、 r ルート、 HM ハンマ体、 PK 鍵回動支点(鍵支点部)、 PH ハンマ体回動軸(ハンマ支点部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍵支点部を中心に各々押離鍵方向に揺動自在な複数の鍵と、
前記各鍵に対応して前記鍵の並び方向に並列配置され、対応する鍵と連動してハンマ支点部を中心に各々回動し、対応する鍵の押鍵方向への揺動に対応して自由端部が上方に変位する複数のハンマ体と、
押鍵により往方向に揺動する鍵またはそれに対応して往方向に回動するハンマ体と当接して該鍵及び該ハンマ体の往方向における各々の変位終了位置を規制する動作規制部材と、
前記各ハンマ体の前記ハンマ支点部よりも前記自由端部側の部分に設けられた空洞部内に移動自在に収容された微粒子群とを有し、
前記空洞部内には、前記動作規制部材によって前記ハンマ体の前記変位終了位置が規制されたときに前記微粒子群が所定方向に移動するように誘導する誘導手段が設けられたことを特徴とする電子楽器の鍵盤装置。
【請求項2】
前記誘導手段は、前記微粒子群が複数の群に分かれてそれぞれ異なるルートに誘導されるように構成されたことを特徴とする請求項1記載の電子楽器の鍵盤装置。
【請求項3】
前記誘導手段により複数に分かれる群が通る各ルート毎に進行方向が異なっていて、異なるルートを移動した微粒子群同士が直接または間接的に衝突するように構成されたことを特徴とする請求項2記載の電子楽器の鍵盤装置。
【請求項4】
前記微粒子群が、非押鍵状態においては前記空洞部内の底面上に位置すると共に、前記ハンマ体の前記変位終了位置が規制されたときには前記空洞部内の天井面に当接するように構成され、前記誘導手段により複数に分かれる各微粒子群が誘導される複数のルート間で、前記底面と前記天井面との間隔が異なっていることで、各ルートを通る微粒子群がそれぞれ対応する天井面に衝突するタイミングが、各微粒子群毎に異なるように構成されたことを特徴とする請求項2記載の電子楽器の鍵盤装置。
【請求項5】
前記誘導手段は、円弧状の壁面を含んでなり、前記ハンマ体の前記変位終了位置が規制されたとき、前記微粒子群が前記該壁面に沿って徐々にその進行方向を変えるように構成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子楽器の鍵盤装置。
【請求項6】
前記誘導手段は、前記微粒子群の進行方向が徐々に前記ハンマ支点部の方向となるように構成され、前記空洞部内の、前記ハンマ支点部の方向に移動する前記微粒子群の進行方向前方において、前記微粒子群と衝突して該微粒子群を失速させる失速手段が設けられたことを特徴とする請求項5記載の電子楽器の鍵盤装置。
【請求項7】
前記失速手段は、前記空洞部内の、前記ハンマ支点部の方向に移動する前記微粒子群の進行方向前方において、該進行方向における異なる複数の位置に複数設けられた被当接部材でなることを特徴とする請求項6記載の電子楽器の鍵盤装置。
【請求項8】
鍵支点部を中心に各々押離鍵方向に揺動自在な複数の鍵と、
前記各鍵に対応して前記鍵の並び方向に並列配置され、対応する鍵と連動してハンマ支点部を中心に各々揺動し、対応する鍵の押鍵方向への揺動に対応して自由端部が上方に変位する複数のハンマ体と、
押鍵による往方向に揺動する鍵またはそれに対応して往方向に揺動するハンマ体と当接して該鍵及び該ハンマ体の往方向における各々の変位終了位置を規制する動作規制部材と、
前記各ハンマ体の前記ハンマ支点部よりも前記自由端部側の部分に設けられた空洞部内に移動自在に収容された微粒子群と、
前記空洞部内における、前記動作規制部材によって前記ハンマ体の前記変位終了位置が規制されたときに前記微粒子群が移動する進行方向前方の、該進行方向における異なる複数の位置に設けられ、前記微粒子群と衝突して該微粒子群を失速させる失速手段とを有することを特徴とする電子楽器の鍵盤装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−15120(P2009−15120A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−178256(P2007−178256)
【出願日】平成19年7月6日(2007.7.6)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】