説明

電子楽器

【課題】新たなキーオンに対応するために発音ソースを確保する際にステレオ発音を行っている2つの発音ソースの一方を減衰させる場合でも音の移り変わりが自然なものとなり、且つ十分な同時発音数を確保すること。
【解決手段】新たなキーオンに対応するためにステレオ発音中の二つの発音ソース40aのうち右チャンネル側に割り当てられた発音ソース40aを減衰させると、左チャンネル側の発音ソース40aについては変更後も楽音波形Aを出力し、この変更後の楽音波形Aには、左チャンネル成分Lと右チャンネル成分Rとが混合されており、楽音発生に割り当てられる発音ソース40aの数量が二つから一つに減少したにもかかわらず左チャンネル成分Lと右チャンネル成分Rとを含む音が発生することとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステレオサンプリング方式の電子楽器の楽音発生装置およびステレオサンプリングした楽音の波形データを記憶する波形データ記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子ピアノ等においてステレオサンプリング方式のものが広く用いられている。ステレオサンプリング方式の音源は、ピアノ等、発音体の出力が大きい場合や、ストリングス等臨場感のある音を表現する場合に、発音された音を左右のステレオ音として録音する。
【0003】
そして、このようなステレオサンプリング方式を採用する電子楽器の楽音発生装置は、録音された両チャンネルのデータをサンプリングして音源データ(波形データ)として保持し、キーオン情報によって両方のデータを読み出して左右のスピーカから発音させることによって、元の音の広がり感、臨場感を再現することができる。このため、ステレオサンプリング方式の電子楽器の発振器(デジタルコントロールオシレータ)においては、1音発音するために左右それぞれの発振器が必要であり、同時発音数に対する発振器の所要数が大きくなり、価格が非常に高価になってしまうという問題点があった。
【0004】
一方、モノサンプリング方式の場合、音質的には若干の問題点はあるが、ステレオサンプリングに対し、1つの発振器があればよいので、同時発音数に対する発振器の所要数はステレオサンプリング方式の場合の半分で済む利点もある。
【0005】
また、音の特性として、例えば、ピアノの場合、時間経過に伴って音が減衰する。従って、発音されている音の数が多い場合は、一部の音がモノラル音になっても気付きにくく、音楽に大きな影響を与えることは少ない。
【0006】
そこで、上述のようなステレオサンプリング方式の電子楽器において、全ての発振器が発音中に新たに鍵盤が押下された場合には、最も音楽に支障のない(通常は最も発音の古い)2音の発振器を減衰させて逐次モノラル音にして、空いた発振器を新たな発音に割り当ててステレオ音を発音することにより、発振器を効率的に使い、同時発音数を増やすことが考えられている(例えば、特許文献1参照。)。なおこの場合、左右の音量バランスを取るために定位制御および音量制御を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−49159号公報(第4頁、図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上述のようなステレオサンプリング方式の電子楽器においては、新たなキーオンに対応するためにステレオ発音を行っている2つの発振器の一方を減衰させるために、一方のチャンネルの成分が消音して他方のチャンネルの成分のみの出力となり、仮に上述のように左右の音量バランスを取るために定位制御や音量制御を行っても、一方のチャンネル成分の消音をカバーしきれず、音の移り変わりが不自然になるという問題があった。
【0009】
本発明は、このような不具合に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、新たなキーオンに対応するために発音ソースを確保する際にステレオ発音を行っている2つ
の発音ソースの一方を減衰させる場合でも音の移り変わりが自然なものとなり、且つ十分な同時発音数を確保することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するためになされた請求項1に係る電子楽器の楽音発生装置は、複数の発音ソースを備え、キーオンに対応する楽音を発音ソースが生成した楽音波形に基づき発生する。なお、この発音ソースは、ステレオサンプリングした音の波形データをキーオンに応じて取得し、その取得された波形データを復調するとともに定位制御することによって楽音波形を生成する。
【0011】
なお、上述の波形データには、左右チャンネルのうちの一方であるチャンネルA側の波形データAと左右チャンネルのうちの他方であるチャンネルB側の波形データBとがある。このうち波形データAは、ステレオサンプリングした音の左チャンネル成分Lの正相成分と右チャンネル成分Rの正相成分とを所定の比率で混合することで生成される。一方、波形データBは、ステレオサンプリングした音の左チャンネル成分Lの正相成分と右チャンネル成分Rの逆相成分とを前記比率で混合するかステレオサンプリングした音の左チャンネル成分Lの逆相成分と右チャンネル成分Rの正相成分とを前記比率で混合することで生成される。
【0012】
また、上述の楽音波形には、チャンネルA側の楽音波形AとチャンネルB側の楽音波形Bとがある。そして、ステレオ音を発生する場合には、二つの発音ソースがそのステレオ音のチャンネルA側およびチャンネルB側にそれぞれ割り当てられ、ステレオ音のチャンネルA側に割り当てられた発音ソースが楽音波形Aを出力するとともにステレオ音のチャンネルB側に割り当てられた発音ソースが楽音波形Bを出力する。この場合、ステレオ音のチャンネルA側に割り当てられた発音ソースは、波形データAおよび波形データBを取得し、その取得した波形データAと波形データBとを加算することで復調するとともに定位制御することによって楽音波形Aを生成する。また、ステレオ音のチャンネルB側に割り当てられた発音ソースは、波形データAおよび波形データBを取得し、その取得した波形データAから波形データBを減算することで復調するとともに定位制御することによって楽音波形Bを生成する。
【0013】
一方、モノラル音を発生する場合には、一つの発音ソースがそのモノラル音に割り当てられ、その割り当てられた発音ソースが楽音波形Aを出力する。この場合、モノラル音に割り当てられた発音ソースは、波形データAを取得し、その取得した波形データAを復調するとともに定位制御することによって楽音波形Aを生成する。
【0014】
このように構成された本発明の電子楽器の楽音発生装置によれば、例えば、新たなキーオンに対応するためにステレオ発音中の二つの発音ソースのうちチャンネルB側に割り当てられた発音ソースを減衰させると、チャンネルA側の発音ソースについては変更後も楽音波形Aを出力し、この変更後の楽音波形Aには、左チャンネル成分Lと右チャンネル成分Rとが混合されており、楽音発生に割り当てられる発音ソースの数量が二つから一つに減少したにもかかわらず左チャンネル成分Lと右チャンネル成分Rとを含む音が発生することとなる。
【0015】
したがって、キーオンに対応する楽音に割り当てる発音ソースを確保するために、ステレオ発音中の二つの発音ソースの一方を減衰させる場合でも、音の移り変わりが自然なものとすることができる。また、ステレオ発音中の二つの発音ソースの一方を減衰させることで、新たなキーオンに対応するために発音ソースを確保でき、十分な同時発音数を確保することができる。また、従来構成で行っていたような定位制御および音量制御が不要となり、その分キーオンから楽音発生までに要する反応時間が短縮されて反応速度が向上し
、キーオンされた楽音をより忠実に再現することができる。
【0016】
この場合、上述の波形データAについては、ステレオサンプリングした音の左チャンネル成分Lの正相成分と右チャンネル成分Rの正相成分とを所定の比率で混合することで生成される場合に次の関係式(1)を満たし、一方、波形データBについては、ステレオサンプリングした音の左チャンネル成分Lの正相成分と右チャンネル成分Rの逆相成分とを前記比率で混合することで生成される場合に次の関係式(2)を満たし、ステレオサンプリングした音の左チャンネル成分Lの逆相成分と右チャンネル成分Rの正相成分とを前記比率で混合することで生成される場合に次の関係式(3)を満たすことが考えられる(請求項2)。但し、WAは波形データAを示し、WBは波形データBを示す。また、係数kは次の関係式(4)を満たすこととする。

関係式(1):WA=L/2k+R/2(1−k)
関係式(2):WB=L/2k−R/2(1−k)
関係式(3):WB=−L/2k+R/2(1−k)
関係式(4):0<k<1

なお、上述の係数kについては、前記関係式(4)の代わりに次の関係式(5)を満たすものとしてもよい(請求項3)。

関係式(5):0.25≦k≦0.75

このようにすれば、左右の音量バランスを3倍以内に納めることができ、より自然な音の移り変わりとすることができる。
【0017】
また、係数kの値については、キーオンされた楽音の音域に応じて発音ソースごとに設定されることが考えられる(請求項4)。このようにすれば、キーオンされた楽音の音域をより忠実に再現することができる。
【0018】
ところで、キーオンされた楽音の音程が低音である場合には左チャンネルの音量が大きくなり、高音である場合には右チャンネルの音量が小さくなる傾向にある。そこで、キーオンされた楽音の音域が低音側になるほど係数kの値を大きく設定し、キーオンされた楽音の音域が高音側になるほど係数kの値を小さく設定することが考えられる(請求項5)。このようにすれば、キーオンされた楽音の音域を更に忠実に再現することができる。
【0019】
また、上述の係数kについては、前記関係式(4)の代わりに次の関係式(6)を満たすものとしてもよい(請求項6)。

関係式(6):k=0.5

このようにすれば、発音ソースBを減衰させたのちも、左右の出力が均等で左右のバランスが良いという効果がある。
【0020】
ところで、上述の波形データの生成については次のような様々な手法が挙げられる。
まず、上述の波形データを製造時などに生成し、当該電子楽器の楽音発生装置内に予め記憶しておくことが考えられる。具体的には、請求項7のように、波形データを記憶する波形データ記憶部を備え、発音ソースが、キーオンに応じて波形データ記憶部から波形データを取得することが考えられる。
【0021】
また、上述の波形データを、例えば演奏者による電源投入時や音色選択時などの設定内
容に応じて、当該電子楽器の楽音発生装置内で生成することが考えられる。具体的には、請求項8ように、さらに、波形データを生成する波形データ生成部を備え、波形データ生成部が、設定内容に応じて波形データを生成し、波形データ記憶部が、波形データ生成部が生成した波形データを記憶することが考えられる。
【0022】
また、上述の波形データをキーオン時に生成することが考えられる。具体的には、請求項9のように、波形データを生成する波形データ生成部を備え、波形データ生成部が、キーオンに応じて波形データを生成し、発音ソースが、キーオンに応じて波形データ生成部が生成した波形データを取得することが考えられる。
【0023】
また、上述の波形データをキーオン時に生成した後に一旦記憶し、その記憶した波形データを読み出して用いることが考えられる。具体的には、請求項10のように、さらに、波形データを記憶する波形データ記憶部を備え、波形データ記憶部が、キーオンに応じて波形データ生成部が生成した波形データを記憶し、発音ソースが、キーオンに応じて波形データ生成部が生成した波形データを波形データ記憶部から取得することが考えられる。
【0024】
ところで、楽音に対する発音ソースの割当手法については、例えば、次の(a)〜(e)のような手法が考えられる。
(a)キーオンされた際に、発音中でない発音ソースが二つ以上存在するときには、発音中でない二つ以上の発音ソースのうちの二つをキーオンに対応してステレオ音として発生する楽音に割り当てることが考えられる。具体的には、請求項11のように、発音ソースが四つ以上存在し、さらに、キーオンされた際に、発音中でない発音ソースが二つ以上存在するときには、キーオンに対応する楽音をステレオ音として発生させるために、発音中でない二つ以上の発音ソースのうちの二つをキーオンに対応してステレオ音として発生する楽音に割り当てる割当部を備えることが考えられる。
【0025】
このようにすれば、発音中でない二つの発音ソースを確保して、ステレオ音への発音ソースの割り当てを確実に行うことができる。
(b)また、キーオンされた際に、発音中でない発音ソースが一つ存在し、且つステレオ発音中の発音ソースの組が一つ以上存在するときには、割当部が、キーオンに対応する楽音をステレオ音として発生させるために、ステレオ発音中の発音ソースの組のうちの一つに含まれるチャンネルB側に割り当てられた発音ソースを減衰させてモノラル音化することで発音中でない二つの発音ソースを確保し、その確保した発音中でない二つの発音ソースをキーオンに対応してステレオ音として発生する楽音に割り当てることが考えられる(請求項12)。
【0026】
このようにすれば、発音中でない二つの発音ソースを確保して、ステレオ音への発音ソースの割り当てを確実に行うことができる。また、ステレオ音をモノラル音としても、音の移り変わりを自然なものとすることができる。また、同時発音数を増加させることができる。
【0027】
(c)また、キーオンされた際に、発音中でない発音ソースが存在せず、且つステレオ発音中の発音ソースの組が二つ以上存在するときには、割当部が、キーオンに対応する楽音をステレオ音として発生させるために、ステレオ発音中の発音ソースの組のうちの二つに含まれるチャンネルB側に割り当てられた発音ソースをそれぞれ減衰させてモノラル音化することで発音中でない二つの発音ソースを確保し、その確保した発音中でない二つの発音ソースをキーオンに対応してステレオ音として発生する楽音に割り当てることが考えられる(請求項13)。
【0028】
このようにすれば、発音中でない二つの発音ソースを確保して、ステレオ音への発音ソ
ースの割り当てを確実に行うことができる。また、ステレオ音をモノラル音としても、音の移り変わりを自然なものとすることができる。また、同時発音数を増加させることができる。
【0029】
(d)また、キーオンされた際に、発音中でない発音ソースが存在せず、且つステレオ発音中の発音ソースの組が一つ存在するときには、割当部が、キーオンに対応する楽音をモノラル音として発生させるために、そのステレオ発音中の発音ソースの組に含まれるチャンネルB側に割り当てられた発音ソースを減衰させてモノラル音化することで発音中でない一つの発音ソースを確保し、その確保した発音中でない一つの発音ソースをキーオンに対応してモノラル音として発生する楽音に割り当てることが考えられる(請求項14)。
【0030】
このようにすれば、発音中でない発音ソースが少ない状況であっても、キーオンに対応する楽音をモノラル音として発生させることができる。また、ステレオ音をモノラル音としても、音の移り変わりを自然なものとすることができる。また、同時発音数を増加させることができる。
【0031】
(e)また、キーオンされた際に、発音中でない発音ソースが存在せず、ステレオ発音中の発音ソースの組が存在せず、且つモノラル発音中の発音ソースが存在するときには、割当部が、キーオンに対応する楽音をモノラル音として発生させるために、モノラル発音中の発音ソースのうちの一つを減衰させることで発音中でない一つの発音ソースを確保し、その確保した発音中でない一つの発音ソースをキーオンに対応してモノラル音として発生する楽音に割り当てることが考えられる(請求項15)。
【0032】
このようにすれば、発音中でない発音ソースが少ない状況であっても、キーオンに対応する楽音をモノラル音として発生させることができる。また、同時発音数を増加させることができる。
【0033】
なお、本発明を波形データ記憶装置として実現することができる。具体的には、請求項16に記載の波形データ記憶装置は、請求項1〜請求項6の何れかに記載の波形データAおよび波形データBを記憶することを特徴とする。
【0034】
このように構成された本発明の波形データ記憶装置によれば、波形データ記憶装置に波形データAおよび波形データBを記憶しておくことで波形データの装置間での移動が可能となる。また、波形データAには、左チャンネル成分Lと右チャンネル成分Rとが前記比率にて混合されており、一つの発音ソースでも左チャンネル成分Lと右チャンネル成分Rとを含む音が発生することとなるので、ステレオ発音できない機種との間でも、上述の波形データを記憶させた波形データ記憶装置を共有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】電子鍵盤楽器の概略構成を表すブロック図である。
【図2】音源回路40の概略構成を表す説明図である。
【図3】メイン処理のフローチャートである。
【図4】イベント処理のフローチャートである。
【図5】押鍵処理のフローチャートである。
【図6】減数処理のフローチャートである。
【図7】離鍵処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下に本発明の実施形態を図面とともに説明する。
[第一実施形態]
図1は電子鍵盤楽器1の概略構成を表すブロック図である。また、図2は音源回路40の概略構成を表す説明図である。
【0037】
[電子鍵盤楽器1の構成の説明]
楽音発生装置としての電子鍵盤楽器1は、図1に示すように、鍵盤10、パネルSW/LCD11、ペダル12、MIDI規格に基づくMIDI信号が入出力されるMIDI15、CPU30、プログラムデータなどを記憶したプログラム・データメモリ(ROM)31、CPU30がデータを一時記憶するためのワークRAM32、I/F33、種々の波形データを記憶した波形メモリ42、波形メモリ42から波形データを読み込んで楽音波形を生成する音源回路(T.G)40、音源回路40が生成した楽音波形を加工して出力するDSP50、ディジタル信号をアナログ信号に変換するDAC60(R、L)、アナログ信号を増幅するアンプ70(R、L)および放音装置であるスピーカ80(R、L)を備えている。また、鍵盤10、パネルSW/LCD11、ペダル12およびMIDI15は、I/F33を介してバスライン90に接続されており、鍵盤10、パネルSW/LCD11、ペダル12、MIDI15、CPU30、プログラム・データメモリ31、ワークRAM32、音源回路40およびDSP50は、バスライン90によりそれぞれデータ送受可能に接続されている。なお、ペダル12およびMIDI15の構成については公知技術に従っているのでここではその詳細な説明は省略する。
【0038】
[鍵盤10の構成の説明]
これらのうち、鍵盤10は、発生すべき楽音の音高を選択するための複数の鍵(キー、本実施形態では88鍵)を備えている。各音高の楽音にはそれぞれ番号(キーコード)が付与されており、キーを押下することによりキーコードを指定して、所望の音高の楽音を発音させることができる。また各キーに対応して、そのキーの押鍵・離鍵を検出するための鍵スイッチが設けられている。この鍵スイッチは、2つの接点(第1接点、第2接点)を備えており、キーが押下されるとまず第1接点がオンされ、更に押下されると第2接点がオンされるよう構成されている。また、離鍵の場合には、反対に第2接点、第1接点の順にオフされる。これら接点がオン又はオフされた旨の情報は、内蔵するスキャン回路が各鍵スイッチをスキャンすることにより検出され、キーコードと共に、I/F33を介してバスライン90に送出する。バスラインに送出されたキーオン/オフ情報及びキーコードは、CPU30及び音源回路40に取込まれ、またCPU30の制御下でワークRAM32に記憶される。
【0039】
[パネルSW/LCD11の構成の説明]
また、パネルSW/LCD11には、液晶表示板、LED等のパネル表示装置や、当該電子鍵盤楽器1に各種の情報および指令を入力するための操作子が多数設けられている。このうちパネル表示装置はCPU30の指示を受けて電子鍵盤楽器1の状態等を表示するためのLEDを点灯・消灯させる。一方、操作子としては、例えば、当該電子鍵盤楽器1をAOCモードやAUTOモード(自動伴奏モード)にするためのモード選択スイッチや、当該電子鍵盤楽器1がAUTOモードであるときに自動演奏のリズム伴奏を開始および停止させるためのSTART/STOPスイッチ、音色を選択するための音色スイッチ、エフェクトを選択するためのエフェクトスイッチ、リバーブを選択するためのリバーブスイッチ、効果音を選択するための効果音スイッチ、ボリュームコントローラ、演奏テンポを設定するためのタップスイッチ、などが設けられている。そして、これら各種スイッチ、ボリュームコントローラのオン/オフやポジション等は、内蔵するパネルスキャンにて検出される。それらのスイッチ情報は、パネルスキャンからI/F33を介してバスライン90に送出され、CPU30の制御下でワークRAM32に記憶される。
【0040】
[RAM32の構成の説明]
RAM32には、後述するCPU30の割当部30aが後述する音源回路40の発音ソ
ース40aの割り当てを行う際に参照される使用状況メモリ32aおよび発音数記憶レジスタ32bが設けられている。このうち使用状況メモリ32aは、発音中の発音ソース40aをステレオ音の左右およびモノラル音ごとに発音開始時期の古い順に記憶する。また、発音数記憶レジスタ32bは、発音ソース40aの装備総数(N)、ステレオ発音中の音の数(S)、およびモノラル発音中の音の数(M)を記憶するレジスタであり、発音数が変化すると、後述するCPU30の制御部30bにより逐次書き換えられる。また、発音数記憶レジスタ32bは、割当部30aが発音ソース40aの割り当てを行う際にその記憶内容が参照される。
【0041】
[CPU30およびプログラム・データメモリ31の構成の説明]
さらに、CPU30は、このプログラム・データメモリ31のプログラムデータに従って動作し、電子鍵盤楽器1の各部の動作を制御する。また、プログラム・データメモリ31には上述のプログラムデータとともに、音色の種類、リバーブの種類および効果音群の種類が互いに関連付けられたデータが記憶されている。なお、音色の種類としては例えばコンサートグランドなどが挙げられる。また、リバーブの種類としては例えばホールリバーブなどが挙げられる。また、効果音群の種類としては、音源回路40による弦共鳴音などが挙げられる。なお、上記データに、イコライザやコーラスなどのDSP50による効果やエフェクトを含めてもよい。
【0042】
なお、同時発音数に応じた音源回路40の発音ソース40aの割り当て制御はこのCPU30で行う。このため、CPU30には割当部30aおよび制御部30bが設けられている。
【0043】
割当部30aは、発音中のステレオ音及びモノラル音の同時発音数に応じて、新たにキーオンされた音に発音ソース40aを割り当てる制御を行う。
制御部30bは、使用状況メモリ32aや発音数記憶レジスタ32bへの書込みや読出し、割当部30aによる発音ソース割当機能の制御、発音/消音のためのタイミングのコントロール等、当該電子鍵盤楽器1全体の制御を行う。
【0044】
また、CPU30は、波形データを生成する波形データ生成部30cを有している。なお、波形データには、左チャンネル側の波形データAと右チャンネル側の波形データBとがある。なお、本実施形態では、左右チャンネルの一方であるチャンネルAが左チャンネルに相当するとともに左右チャンネルの他方であるチャンネルBが右チャンネルに相当する例を説明し、チャンネルAが右チャンネルに相当するとともにチャンネルBが左チャンネルに相当する例についてはその詳細な説明は省略する。
【0045】
波形データ生成部30cは、下記の式(1)を用いてステレオサンプリングした楽音の左チャンネル成分Lの正相成分と右チャンネル成分Rの正相成分とを、1/k:1/(1−k)の比率で混合した波形データAを生成するとともに、下記の式(2)を用いてステレオサンプリングした楽音の左チャンネル成分Lの正相成分と右チャンネル成分Rの逆相成分とを、同じく1/k:1/(1−k)の比率で混合した波形データBを生成する。

A=L/2k+R/2(1−k)・・・式(1)
B=L/2k−R/2(1−k)・・・式(2)

但し、WAは波形データAを示し、WBは波形データBを示す。また、係数kは次の式(3)を満たすこととする。
【0046】
0<k<1・・・式(3)

なお、本願出願人が行った試験結果により、係数kの値に応じて、レベル比、成分比および定位については次の(A)〜(G)のようになる。
【0047】
(A)係数k=0.125の場合には、レベル比がL:R=1:7となり、成分比がL:R=7:1となり、定位がかなり右寄りとなる。
(B)係数k=0.250の場合には、レベル比がL:R=2:6となり、成分比がL:R=6:2となり、定位が右寄りとなり、高音域に適する。
【0048】
(C)係数k=0.375の場合には、レベル比がL:R=3:5となり、成分比がL:R=5:3となり、定位がやや右寄りとなり、中高音域に適する。
(D)係数k=0.500の場合には、レベル比がL:R=4:4(1:1)となり、成分比がL:R=4:4(1:1)となり、定位が中央となり、中音域に適する。
【0049】
(E)係数k=0.625の場合には、レベル比がL:R=5:3となり、成分比がL:R=3:5となり、定位がやや左寄りとなり、中低音域に適する。
(F)係数k=0.750の場合には、レベル比がL:R=6:2となり、成分比がL:R=2:6となり、定位が左寄りとなり、低音域に適する。
【0050】
(G)係数k=0.875の場合には、レベル比がL:R=7:1となり、成分比がL:R=1:7となり、定位がかなり左寄りとなる。
なお、このような波形データの生成については、電源投入時あるいは音色選択時などの演奏設定が発音に先立つ何れかの時点で行われたときに予め行い、波形メモリ42に記憶され、新たなキーオンにより実際に楽音を放音する時点で発音ソース40aによって波形メモリ42から読み出されて利用される。また、上述の波形データ生成の機能を有する機器を本機の外部に設け、その機器で生成された波形データのみを本機製造時に波形メモリ42に記憶するように構成してもよい。また、新たなキーオンの際に上述の波形データ生成部30cが上記のような波形データの生成を行い、その生成した波形データを波形メモリ42に記憶させるようにしてもよい。また、新たなキーオンの際に波形データ生成部30cが生成した波形データを、波形メモリ42を経由せずに発音ソース40aに直接送るようにしてもよい。
【0051】
[音源回路40および波形メモリ42の構成の説明]
また、音源回路40は、同時に例えば192音を発音可能な、Wave Table Look Up方式のPCM波形読み出しタイプであり、楽音波形を生成する機能を有する。また、効果音波形を生成する効果音波形生成手段としても機能する。具体的には、音源回路40は、種々の波形データを格納している波形データ記憶部としての波形メモリ42から読み込んだ波形データに基づいて楽音波形および効果音波形を生成する。
【0052】
より具体的には、音源回路40は、図2に示すように、波形データから楽音波形を生成する発音ソース40a、左チャンネル系列加算器40e、および右チャンネル系列加算器40fを有する。なお、音源回路40は、192個の発音ソース40a、1個の左チャンネル系列加算器40e、および1個の右チャンネル系列加算器40fを有するが、図2では、2個の発音ソース40a、1個の左チャンネル系列加算器40e、および1個の右チャンネル系列加算器40fのみを図示し、それ以外の構成の図示を省略している。
【0053】
この音源回路40は、上述のように192個の発音ソース40aを有するため、ステレオ音であれば最大96音のステレオ音を同時に発生可能であり、モノラル音であれば最大192音のモノラル音を同時に発生可能である。
【0054】
なお、発音ソース40aによって生成される楽音波形には、左チャンネル側の楽音波形
Aと右チャンネル側の楽音波形Bとがあり、キーオンに対応する楽音をステレオ音として発生する場合には、二つの発音ソース40aがそのステレオ音のチャンネルA側およびチャンネルB側にそれぞれ割り当てられ、ステレオ音のチャンネルA側に割り当てられた発音ソース40aが楽音波形Aを出力するとともに、ステレオ音のチャンネルB側に割り当てられた発音ソース40aが楽音波形Bを出力する。一方、キーオンに応じてモノラル音を発生する場合には、一つの発音ソース40aがそのモノラル音に割り当てられ、その割り当てられた一つの発音ソース40aが楽音波形Aを出力する。
【0055】
発音ソース40aは、波形データ読出部40bと、復調回路40cと、定位制御回路40dとを有しており、(イ)ステレオ音の左チャンネル側に割り当てられた場合と、(ロ)ステレオ音の右チャンネル側に割り当てられた場合と、(ハ)モノラル音に割り当てられた場合とでそれぞれ次のように楽音波形を生成する。
【0056】
(イ)ステレオ音の左チャンネル側に割り当てられた場合の発音ソース40aは、次のように楽音波形を生成する。まず、波形データ読出部40bが波形データAを波形メモリ42から読み出す。次に、復調回路40cが波形データAと波形データBとを加算することで復調する。なお、この波形データAは、ステレオ音の左チャンネル側に割り当てられた発音ソース40aの波形データ読出部40bによって波形メモリ42から読み出され、波形データBは、ステレオ音の右チャンネル側に割り当てられた発音ソース40aの波形データ読出部40bによって波形メモリ42から読み出される。さらに、定位制御回路40dが、復調回路40cによる計算結果と係数kとを乗算することで楽音波形Aを生成する。なお、この係数kは、波形データAを生成する際に用いた比率(1/k:1/(1−k))の左チャンネル側の値(1/k)の逆数である。このように生成された楽音波形Aは、左チャンネル系列加算器40eに出力される。
【0057】
(ロ)ステレオ音の右チャンネル側に割り当てられた場合の発音ソース40aは、次のように楽音波形を生成する。まず、波形データ読出部40bが波形データBを波形メモリ42から読み出す。次に、復調回路40cが波形データAから波形データBを減算することで復調する。なお、波形データAは、ステレオ音の左チャンネル側に割り当てられた発音ソース40aの波形データ読出部40bによって波形メモリ42から読み出され、波形データBは、ステレオ音の右チャンネル側に割り当てられた発音ソース40aの波形データ読出部40bによって波形メモリ42から読み出される。さらに、定位制御回路40dが、復調回路40cによる計算結果と係数(1−k)とを乗算することで楽音波形Bを生成する。なお、この係数(1−k)は、波形データBを生成する際に用いた比率(1/k:1/(1−k))の右チャンネル側の値(1/(1−k))の逆数である。このように生成された楽音波形Bは、右チャンネル系列加算器40fに出力される。
【0058】
(ハ)モノラル音に割り当てられた場合の発音ソース40aは、次のように楽音波形を生成する。まず、波形データ読出部40bが波形データAを波形メモリ42から読み出す。次に、復調回路40cが、波形データAをそのまま出力する。つまり、この場合の復調回路40cは単に出力分配器として動作する。さらに、定位制御回路40dが、復調回路40cからの出力結果と係数kとを乗算することで楽音波形Aを生成する。なお、この係数kは、波形データAを生成する際に用いた比率(1/k:1/(1−k))の左チャンネル側の値(1/k)の逆数である。このように生成された楽音波形Aは、左チャンネル系列加算器40eに出力される。
【0059】
なお、発音中にステレオ発音からモノラル発音になる場合には、音源回路40においては、そのステレオ発音中の左右チャンネルの発音ソース40aのうち右チャンネル側である発音ソース40aの出力レベルを数値「0」まで漸減させ、その後復調動作を分配動作に切り替える制御を行う。
【0060】
左チャンネル系列加算器40eは、発音中のステレオ音の左チャンネル側に割り当てられたすべての発音ソース40aが生成したすべての楽音波形Aと、発音中のモノラル音に割り当てられたすべての発音ソース40aが生成したすべての楽音波形Aとを加算してDSP50へ出力する。
【0061】
右チャンネル系列加算器40fは、発音中のステレオ音の右チャンネル側に割り当てられたすべての発音ソース40aが生成したすべての楽音波形Bを加算してDSP50へ出力する。
【0062】
また、音源回路40は、アサイメントメモリ(図示省略)を内包しており、このアサイメントメモリにはキーアサイメント情報(キーコード、そのオン/オフ情報、各種スイッチのオン/オフ情報、エフェクトデータなど)が記憶される。
【0063】
[DSP50の構成の説明]
DSP50は、音源回路40が生成した楽音波形や効果音波形にエフェクト付与処理を行うようにプログラミングされたディジタル信号処理装置である。さらにこのDSP50は、その内部にプログラムやエフェクトデータ、リバーブデータなどを記憶している。また、DSP50には、ディジタル信号を一時記憶可能なディレイメモリ52が接続されており、ディレイメモリ52を利用してディレイやリバーブ、エコー(ディレイ)、コーラスなどの効果を付与することができる。
【0064】
このように構成されたDSP50は、音源回路40が生成した楽音波形や効果音波形が入力されると、パネルSW/LCD11の音色スイッチで選択・設定された音色に対応したエフェクトを、音源回路40が生成した楽音波形に付与する。続いて、エフェクトが付与された楽音波形と、効果音波形とを加算し(以下、合成波形と称す。)、パネルSW/LCD11のリバーブスイッチで選択・設定されたリバーブをこの合成波形に付与してDAC60に出力する。なお、効果音波形のみが入力された際には、その効果音波形にリバーブを付与して出力する。
【0065】
[その他の構成の説明]
また、DSP50にはディジタルアナログコンバータ(DAC)60L、アンプ(Amp)70L及びスピーカ(SP)80Lからなる左出力系と同様にDAC60R、Amp70R及びSP80Rからなる右出力系とが接続されており、左右出力系は、それぞれDSP50から出力される合成波形(デジタル信号)をアナログ信号に変換し、増幅し、音声出力する。
【0066】
なお、電子鍵盤楽器1の他の構成は公知技術に従っているのでここではその詳細な説明は省略する。
[メイン処理の説明]
次に、電子鍵盤楽器1のCPU30が実行するメイン処理を、図3のフローチャートを参照して説明する。
【0067】
まず、初期化を実行する(S110)。例えばCPU30の各ポートの設定を行ったり、RAM32内の音色の設定を行ったりする。
続いて、鍵操作やスイッチ操作などのイベントがあるか否かを判断する(S120)。イベントがあると判断された場合には(S120:YES)、イベント処理(S130)を実行し、さらに定常処理(S140)を実行してS120に戻る。なお、イベント処理については後述する。また、定常処理については、公知技術に従っているのでここではその詳細な説明は省略する。一方、イベントがないと判断された場合には(S120:NO
)、イベント処理(S130)を実行せずに定常処理(S140)を実行し、S120に戻る。
【0068】
[イベント処理の説明]
次に、電子鍵盤楽器1のCPU30が実行するイベント処理を、図4のフローチャートを参照して説明する。このイベント処理は上述のメイン処理のサブルーチンであり、メイン処理のS130に移行した際に実行される。
【0069】
まず、イベントが押鍵であるか否かを判断する(S310)。イベントが押鍵であると判断された場合には(S310:YES)、押鍵処理を実行し(S340)、本サブルーチンを終了する。なお、押鍵処理については後述する。
【0070】
一方、イベントが押鍵ではないと判断された場合には(S310:NO)、イベントが離鍵であるか否かを判断する(S320)。イベントが離鍵であると判断された場合には(S320:YES)、離鍵処理を実行し(S350)、本サブルーチンを終了する。なお、離鍵処理については後述する。
【0071】
一方、イベントが離鍵ではないと判断された場合には(S320:NO)、イベントが「その他の処理」であるか否かを判断する(S330)。イベントが「その他の処理」であると判断された場合には(S330:YES)、その他の処理を実行し(S360)、本サブルーチンを終了する。なお、「その他の処理」については、公知技術に従っているのでここではその詳細な説明は省略する。
【0072】
一方、イベントが「その他の処理」ではないと判断された場合には(S330:NO)、エラー処理を実行し(S370)、本サブルーチンを終了する。なお、エラー処理については、公知技術に従っているのでここではその詳細な説明は省略する。
【0073】
[押鍵処理の説明]
次に、電子鍵盤楽器1のCPU30が実行する押鍵処理を、図5のフローチャートを参照して説明する。この押鍵処理は上述のイベント処理のサブルーチンであり、イベント処理のS340に移行した際に実行される。なお、以下の説明において、「発音ソース40aが発音する」とは、発音ソース40aが楽音波形を生成することと同義である。
【0074】
まず、走査処理を実行する(S410)。この走査処理では、音源回路40が備える192個の発音ソース40aを対象に、発音が終了した発音ソース40aまたは最も消音が進んだ発音ソース40aを走査する。走査結果として、発音中の発音ソース40aを左右のステレオ音、モノラル音ごとに発音開始時期の古い順にRAM32の使用状況メモリ32aに記憶し、発音ソース40aの装備総数(N)、ステレオ発音中の音の数(S)およびモノラル発音中の音の数(M)をRAM32の発音数記憶レジスタ32bに記憶する。
【0075】
続いて、変数ctrの値が数値「N−1」以上であるか否かを判断する(S420)。なお、変数ctrとは、発音中でない発音ソース40aの数量を示し、定数Nとは発音ソース40aの装備総数を示す。変数ctrの値が数値「N−1」以上であると判断された場合、つまり発音中でない発音ソース40aの数量が零または一つである場合には(S420:YES)、発音中でない発音ソース40aの数量を増加させて新たなキーオンに対応する音を割り当てるための減数処理を実行し(S430)、S440に移行する。なお、減数処理については後述する。一方、変数ctrの値が数値「N−1」未満であると判断された場合には(S420:NO)、現段階では発音中でない発音ソース40aの数量を増加させる必要がないため、上述の減数処理を実行せずにS440に移行する。
【0076】
続いて、割当処理を実行する(S440)。具体的には、減数処理を実行せずにS440に移行した場合には、発音中でない二つの発音ソース40aに対してキーオンに対応する音をステレオ音として割り当て、一方、減数処理を実行した後にS440に移行した場合には、減数処理による決定内容に従って、発音中でない発音ソース40aに対してキーオンに対応する音を割り当てる。
【0077】
そして、発音処理を実行する(S450)。具体的には、各発音ソース40aに、S440にて割り当てられた音を発音させる。
さらに、上述の割当処理および発音処理によって発音中でない発音ソース40aの数量が減少したため、変数ctrの値に変数ADDの値を加算し(S460)、本サブルーチンを終了する。
【0078】
[減数処理の説明]
次に、電子鍵盤楽器1のCPU30が実行する減数処理を、図6のフローチャートを参照して説明する。この減数処理は上述の押鍵処理のサブルーチンであり、押鍵処理のS430に移行した際に実行される。
【0079】
まず、発音数記憶レジスタ32bの記憶内容を参照して、すべての発音ソース40aがモノラル音として発音中であるか否かを判断する(S505)。すべての発音ソース40aがモノラル音として発音中であると判断された場合には(S505:YES)、発音中でない発音ソース40aの数量を一つ増加させるために、モノラル音として発音中の発音ソース40aのうち発音開始時期が最も古い発音ソース40aを一つ消音し(S510)、新たにキーオンされた楽音をその発音中でない発音ソース40aに対してモノラル音として割り当てることとし(S515)、変数ADDの値を数値「1」とし(S520)、本サブルーチンを終了する。
【0080】
一方、すべての発音ソース40aがモノラル音として発音中ではない、つまり、発音中でない発音ソース40aが一つあるか、すべての発音ソース40aが発音中であるがステレオ音で発音中の発音ソース40aが一組以上あると判断された場合には(S505:NO)、半端な発音ソース40aが存在する、つまり、発音中でない発音ソース40aが一つ存在するか否かを判断する(S525)。発音中でない発音ソース40aが一つ存在すると判断された場合には(S525:YES)、発音中でない発音ソース40aの数量を2つに増加させて一組の発音ソース40aを確保するために、ステレオ音として発音中の発音ソース40aのうち発音開始時期が最も古い発音ソース40aをモノラル化し(S530)、新たにキーオンされた楽音を、その確保された発音中でない二つの発音ソース40aにステレオ音として割り当てることとし(S535)、変数ADDの値を数値「2」とし(S540)、本サブルーチンを終了する。
【0081】
一方、発音中でない発音ソース40aが一つも存在しない、つまり、すべての発音ソース40aが発音中であるがステレオ音として発音中の発音ソース40aが一組以上あると判断された場合には(S525:NO)、ステレオ音として発音中の発音ソース40aが二組以上存在するか否かを判断する(S545)。ステレオ音として発音中の発音ソース40aが二組以上存在すると判断された場合には(S545:YES)、発音中でない発音ソース40aの数量を2つ増加させるために、ステレオ音として発音中の発音ソース40aのうち発音開始時期が最も古い二組の発音ソース40aをそれぞれモノラル化し(S550)、新たにキーオンされた楽音を、その確保された発音中でない二つの発音ソース40aにステレオ音として割り当てることとし(S555)、変数ADDの値を数値「2」とし(S560)、本サブルーチンを終了する。
【0082】
一方、ステレオ音として発音中の発音ソース40aが一組だけ存在すると判断された場
合には(S545:NO)、発音中でない発音ソース40aの数量を一つ増加させるために、そのステレオ音として発音中の発音ソース40aをモノラル化し(S565)、新たにキーオンされた楽音をその発音中でない一つの発音ソース40aにモノラル音として割り当てることとし(S515)、変数ADDの値を数値「1」とし(S575)、本サブルーチンを終了する。
【0083】
[離鍵処理の説明]
次に、電子鍵盤楽器1のCPU30が実行する離鍵処理を、図7のフローチャートを参照して説明する。この離鍵処理は上述のイベント処理のサブルーチンであり、イベント処理のS350に移行した際に実行される。
【0084】
まず、検索処理を実行する(S610)。具体的には、離鍵イベントによって発音する必要がなくなった発音ソース40aを検索する。
続いて、S610にて検索された発音ソース40aについて消音処理を実行する(S620)。この際、変数SUBを設定する。なお、変数SUBとは、発音の種別を示す変数であり、離鍵処理される楽音がモノラル音である場合には数値「1」に設定し、一方、離鍵処理される楽音がステレオ音である場合には数値「2」に設定する。
【0085】
さらに、変数ctrの値を変数SUBの値だけ減算する(S630)。
そして、本サブルーチンを終了する。
[第一実施形態の効果]
(1)このように第一実施形態の電子鍵盤楽器1によれば、例えば、新たなキーオンに対応するためにステレオ発音中の二つの発音ソース40aのうち右チャンネル側に割り当てられた発音ソース40aを減衰させると、左チャンネル側の発音ソース40aについては変更後も楽音波形Aを出力し、この変更後の楽音波形Aには、左チャンネル成分Lと右チャンネル成分Rとが混合されており、楽音発生に割り当てられる発音ソース40aの数量が二つから一つに減少したにもかかわらず左チャンネル成分Lと右チャンネル成分Rとを含む音が発生することとなる。
【0086】
したがって、キーオンに対応する楽音に割り当てる発音ソース40aを確保するために、ステレオ発音中の二つの発音ソース40aの一方を減衰させる場合でも、音の移り変わりが自然なものとすることができる。また、ステレオ発音中の二つの発音ソース40aの一方を減衰させることで、新たなキーオンに対応するために発音ソース40aを確保でき、十分な同時発音数を確保することができる。また、従来構成で行っていたような定位制御および音量制御が不要となり、その分キーオンから楽音発生までに要する反応時間が短縮されて反応速度が向上し、キーオンされた楽音をより忠実に再現することができる。
【0087】
(2)また、第一実施形態の電子鍵盤楽器1によれば、キーオンされた際に、発音中でない発音ソースが二つ以上存在するときには(S420:NO)、キーオンに対応する楽音をステレオ音として発生させるために、発音中でない二つ以上の発音ソースのうちの二つをキーオンに対応してステレオ音として発生する楽音に割り当てる(S440)。このことにより、発音中でない二つの発音ソース40aを確保して、ステレオ音への発音ソース40aの割り当てを確実に行うことができる。
【0088】
(3)また、第一実施形態の電子鍵盤楽器1によれば、キーオンされた際に、発音中でない発音ソースが一つ存在し、且つステレオ発音中の発音ソースの組が一つ以上存在するときには(S525:YES)、キーオンに対応する楽音をステレオ音として発生させるために、ステレオ発音中の発音ソース40aの組のうちの一つに含まれる右チャンネル側に割り当てられた発音ソース40aを減衰させてモノラル音化することで発音中でない二つの発音ソース40aを確保し(S530)、その確保した発音中でない二つの発音ソー
ス40aをキーオンに対応してステレオ音として発生する楽音に割り当てる(S535、S440)。
【0089】
このことにより、発音中でない二つの発音ソース40aを確保して、ステレオ音への発音ソース40aの割り当てを確実に行うことができる。また、ステレオ音をモノラル音としても、音の移り変わりを自然なものとすることができる。また、同時発音数を増加させることができる。
【0090】
(4)また、第一実施形態の電子鍵盤楽器1によれば、キーオンされた際に、発音中でない発音ソース40aが存在せず、且つステレオ発音中の発音ソース40aの組が二つ以上存在するときには(S545:YES)、キーオンに対応する楽音をステレオ音として発生させるために、ステレオ発音中の発音ソース40aの組のうちの二つに含まれる右チャンネル側に割り当てられた発音ソース40aをそれぞれ減衰させてモノラル音化することで発音中でない二つの発音ソース40aを確保し、その確保した発音中でない二つの発音ソース40aをキーオンに対応してステレオ音として発生する楽音に割り当てる(S555、S440)。
【0091】
このことにより、発音中でない二つの発音ソース40aを確保して、ステレオ音への発音ソース40aの割り当てを確実に行うことができる。また、ステレオ音をモノラル音としても、音の移り変わりを自然なものとすることができる。また、同時発音数を増加させることができる。
【0092】
(5)また、第一実施形態の電子鍵盤楽器1によれば、キーオンされた際に、発音中でない発音ソース40aが存在せず、且つステレオ発音中の発音ソース40aの組が一つ存在するときには(S545:NO)、キーオンに対応する楽音をモノラル音として発生させるために、そのステレオ発音中の発音ソース40aの組に含まれる右チャンネル側に割り当てられた発音ソース40aを減衰させてモノラル音化することで発音中でない一つの発音ソース40aを確保し、その確保した発音中でない一つの発音ソース40aをキーオンに対応してモノラル音として発生する楽音に割り当てる(S570、S440)。
【0093】
このことにより、発音中でない発音ソース40aが少ない状況であっても、キーオンに対応する楽音をモノラル音として発生させることができる。また、ステレオ音をモノラル音としても、音の移り変わりを自然なものとすることができる。また、同時発音数を増加させることができる。
【0094】
(6)また、第一実施形態の電子鍵盤楽器1によれば、キーオンされた際に、発音中でない発音ソース40aが存在せず、ステレオ発音中の発音ソース40aの組が存在せず、且つモノラル発音中の発音ソース40aが存在するとき、つまり、すべての発音ソースがモノラル音に割り当てられているときには(S505:NO)、キーオンに対応する楽音をモノラル音として発生させるために、モノラル発音中の発音ソース40aのうちの一つを減衰させることで発音中でない一つの発音ソース40aを確保し、その確保した発音中でない一つの発音ソース40aをキーオンに対応してモノラル音として発生する楽音に割り当てる(S515、S440)。
【0095】
このようにすれば、発音中でない発音ソース40aが少ない状況であっても、キーオンに対応する楽音をモノラル音として発生させることができる。また、同時発音数を増加させることができる。
【0096】
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるも
のではなく、以下のような様々な態様にて実施することが可能である。
【0097】
(1)上実施形態では、係数kについては式(3)を満たすものとしているが、これには限られず、上述の(A)および(G)ように、(A)係数k=0.125の場合には定位がかなり右寄りとなり、(G)係数k=0.875の場合には定位がかなり左寄りとなることを考慮して、係数kが次の関係式(4)を満たすものとしてもよい。
【0098】
0.25≦k≦0.75・・・式(4)
このように左右の音量バランスを3倍以内に納めることで、より不自然さを解消することができる。
【0099】
(2)また、係数kが次の式(5)を満たすものとしてもよい。
k=0.5・・・式(5)
このようにすれば、ステレオ発音をモノラル化するために一組の発音ソース40aのうちの一方の発音ソース40aを減衰させたのちも、左右の出力が均等で左右のバランスが良いという効果がある。
【0100】
(3)また、係数kの値については、新たにキーオンされた楽音の音域に応じて発音ソース40aごとに設定されるようにしてもよい。一例を挙げると、新たにキーオンされた楽音の音域が低音側になるほど係数kの値を大きく設定し、一方、新たにキーオンされた楽音の音域が高音側になるほど係数kの値を小さく設定するといった具合である。このようにすれば、キーオンされた楽音の音域を忠実に再現することができる。
【0101】
(4)上記実施形態では、波形データ生成部30cが、上記式(1)を用いてステレオサンプリングした楽音の左チャンネル成分Lの正相成分と右チャンネル成分Rの正相成分とを、1/k:1/(1−k)の比率で混合した波形データAを生成するとともに、上記式(2)を用いてステレオサンプリングした楽音の左チャンネル成分Lの正相成分と右チャンネル成分Rの逆相成分とを、同じく1/k:1/(1−k)の比率で混合した波形データBを生成するが、これには限られず、波形データBについては、波形データ生成部30cが、下記の式(6)を用いてステレオサンプリングした楽音の左チャンネル成分Lの逆相成分と右チャンネル成分Rの正相成分とを、同じく1/k:1/(1−k)の比率で混合して生成するようにしてもよい。

B=―L/2k+R/2(1−k)・・・式(6)

このように構成しても上記実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0102】
(5)また、上述のような波形データをUSBメモリ装置などの波形データ記憶装置に記憶しておき、波形データ記憶装置を必要に応じて当該電子鍵盤楽器1に接続して利用するようにしてもよい。このようにすれば、波形データ記憶装置に波形データAおよび波形データBを記憶しておくことで波形データの装置間での移動が可能となる。また、波形データAには、左チャンネル成分Lと右チャンネル成分Rとが前記比率にて混合されており、一つの発音ソース40aでも左チャンネル成分Lと右チャンネル成分Rとを含む音が発生することとなるので、ステレオ発音できない機種との間でも、上述の波形データを記憶させた波形データ記憶装置を共有することができる。
【符号の説明】
【0103】
1…電子鍵盤楽器、10…鍵盤、11…パネルSW/LED、12…ペダル、15…MIDI、30…CPU、30a…割当部、30b…制御部、30c…波形データ生成部、31…プログラム・データメモリ、32…ワークRAM、32a…使用状況メモリ、32b
…発音数記憶レジスタ、33…I/F、40…音源回路、40a…発音ソース、40b…波形データ読出部、40c…復調回路、40d…定位制御回路、40e…左チャンネル系列加算器、40f…右チャンネル系列加算器、42…波形メモリ、50…DSP、52…ディレイメモリ、60…DAC、70…アンプ、80…スピーカ、90…バスライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステレオサンプリングした音の波形データをキーオンに応じて取得し、その取得された波形データを復調するとともに定位制御することによって楽音波形を生成する複数の発音ソースを備え、キーオンに対応する楽音を前記発音ソースが生成した楽音波形に基づき発生する電子楽器の楽音発生装置であって、
前記波形データには、左右チャンネルのうちの一方であるチャンネルA側の波形データAと左右チャンネルのうちの他方であるチャンネルB側の波形データBとがあり、前記波形データAは、ステレオサンプリングした音の左チャンネル成分Lの正相成分と右チャンネル成分Rの正相成分とを所定の比率で混合することで生成され、一方、前記波形データBは、前記左チャンネル成分Lの正相成分と前記右チャンネル成分Rの逆相成分とを前記比率で混合するか前記左チャンネル成分Lの逆相成分と前記右チャンネル成分Rの正相成分とを前記比率で混合することで生成され、
前記楽音波形には、チャンネルA側の楽音波形AとチャンネルB側の楽音波形Bとがあり、楽音をステレオ音として発生する場合には、二つの前記発音ソースがステレオ音のチャンネルA側およびチャンネルB側にそれぞれ割り当てられ、ステレオ音のチャンネルA側に割り当てられた発音ソースが前記楽音波形Aを出力するとともにステレオ音のチャンネルB側に割り当てられた発音ソースが前記楽音波形Bを出力し、一方、楽音をモノラル音として発生する場合には、一つの前記発音ソースがモノラル音に割り当てられ、その割り当てられた発音ソースが前記楽音波形Aを出力し、
さらに、前記発音ソースは、
ステレオ音のチャンネルA側に割り当てられた場合には、前記波形データAおよび前記波形データBを取得し、その取得した波形データAと波形データBとを加算することで復調するとともに定位制御することによって前記楽音波形Aを生成し、
また、ステレオ音のチャンネルB側に割り当てられた場合には、前記波形データAおよび前記波形データBを取得し、その取得した波形データAから波形データBを減算することで復調するとともに定位制御することによって前記楽音波形Bを生成し、
また、モノラル音に割り当てられた場合には、前記波形データAを取得し、その取得した波形データAを復調するとともに定位制御することによって前記楽音波形Aを生成すること
を特徴とする電子楽器の楽音発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子楽器の楽音発生装置において、
前記波形データAは、前記左チャンネル成分Lの正相成分と前記右チャンネル成分Rの正相成分とを所定の比率で混合することで生成される場合に次の関係式(1)を満たし、
一方、前記波形データBは、前記左チャンネル成分Lの正相成分と前記右チャンネル成分Rの逆相成分とを前記比率で混合することで生成される場合に次の関係式(2)を満たし、前記左チャンネル成分Lの逆相成分と前記右チャンネル成分Rの正相成分とを前記比率で混合することで生成される場合に次の関係式(3)を満たすこと
を特徴とする電子楽器の楽音発生装置。
関係式(1):WA=L/2k+R/2(1−k)
関係式(2):WB=L/2k−R/2(1−k)
関係式(3):WB=−L/2k+R/2(1−k)
但し、WAは波形データAを示し、WBは波形データBを示す。また、係数kは次の関係式(4)を満たすこととする。
関係式(4):0<k<1
【請求項3】
請求項2に記載の電子楽器の楽音発生装置において、
前記係数kは、前記関係式(4)の代わりに次の関係式(5)を満たすことを特徴とする電子楽器の楽音発生装置。
関係式(5):0.25≦k≦0.75
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の電子楽器の楽音発生装置において、
前記係数kの値については、キーオンされた楽音の音域に応じて発音ソースごとに設定されることを特徴とする電子楽器の楽音発生装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電子楽器の楽音発生装置において、
前記係数kの値については、キーオンされた楽音の音域が低音側になるほどその値が大きく設定され、一方、キーオンされた楽音の音域が高音側になるほどその値が小さく設定されることを特徴とする電子楽器の楽音発生装置。
【請求項6】
請求項2に記載の電子楽器の楽音発生装置において、
前記係数kは、前記関係式(4)の代わりに次の関係式(6)を満たすことを特徴とする電子楽器の楽音発生装置。
関係式(6):k=0.5
【請求項7】
請求項1〜請求項6の何れかに記載の電子楽器の楽音発生装置において、
前記波形データを記憶する波形データ記憶部を備え、
前記発音ソースは、キーオンに応じて前記波形データ記憶部から前記波形データを取得すること
を特徴とする電子楽器の楽音発生装置。
【請求項8】
請求項7に記載の電子楽器の楽音発生装置において、
さらに、前記波形データを生成する波形データ生成部を備え、
前記波形データ生成部は、設定内容に応じて前記波形データを生成し、
前記波形データ記憶部は、前記波形データ生成部が生成した前記波形データを記憶すること
を特徴とする電子楽器の楽音発生装置。
【請求項9】
請求項1〜請求項6の何れかに記載の電子楽器の楽音発生装置において、
前記波形データを生成する波形データ生成部を備え、
前記波形データ生成部は、キーオンに応じて前記波形データを生成し、
前記発音ソースは、キーオンに応じて前記波形データ生成部が生成した前記波形データを取得すること
を特徴とする電子楽器の楽音発生装置。
【請求項10】
請求項9に記載の電子楽器の楽音発生装置において、
さらに、前記波形データを記憶する波形データ記憶部を備え、
前記波形データ記憶部は、キーオンに応じて前記波形データ生成部が生成した前記波形データを記憶し、
前記発音ソースは、キーオンに応じて前記波形データ生成部が生成した前記波形データを前記波形データ記憶部から取得すること
を特徴とする電子楽器の楽音発生装置。
【請求項11】
請求項1〜請求項10の何れかに記載の電子楽器の楽音発生装置において、
前記発音ソースは四つ以上存在し、
さらに、
キーオンされた際に、発音中でない発音ソースが二つ以上存在するときには、キーオンに対応する楽音をステレオ音として発生させるために、発音中でない二つ以上の発音ソースのうちの二つをキーオンに対応してステレオ音として発生する楽音に割り当てる割当部
を備えることを特徴とする電子楽器の楽音発生装置。
【請求項12】
請求項11に記載の電子楽器の楽音発生装置において、
前記割当部は、キーオンされた際に、発音中でない発音ソースが一つ存在し、且つステレオ発音中の発音ソースの組が一つ以上存在するときには、キーオンに対応する楽音をステレオ音として発生させるために、ステレオ発音中の発音ソースの組のうちの一つに含まれるチャンネルB側に割り当てられた発音ソースを減衰させてモノラル音化することで発音中でない二つの発音ソースを確保し、その確保した発音中でない二つの発音ソースをキーオンに対応してステレオ音として発生する楽音に割り当てることを特徴とする電子楽器の楽音発生装置。
【請求項13】
請求項11または請求項12に記載の電子楽器の楽音発生装置において、
前記割当部は、キーオンされた際に、発音中でない発音ソースが存在せず、且つステレオ発音中の発音ソースの組が二つ以上存在するときには、キーオンに対応する楽音をステレオ音として発生させるために、ステレオ発音中の発音ソースの組のうちの二つに含まれるチャンネルB側に割り当てられた発音ソースをそれぞれ減衰させてモノラル音化することで発音中でない二つの発音ソースを確保し、その確保した発音中でない二つの発音ソースをキーオンに対応してステレオ音として発生する楽音に割り当てることを特徴とする電子楽器の楽音発生装置。
【請求項14】
請求項11〜請求項13の何れかに記載の電子楽器の楽音発生装置において、
前記割当部は、キーオンされた際に、発音中でない発音ソースが存在せず、且つステレオ発音中の発音ソースの組が一つ存在するときには、キーオンに対応する楽音をモノラル音として発生させるために、そのステレオ発音中の発音ソースの組に含まれるチャンネルB側に割り当てられた発音ソースを減衰させてモノラル音化することで発音中でない一つの発音ソースを確保し、その確保した発音中でない一つの発音ソースをキーオンに対応してモノラル音として発生する楽音に割り当てることを特徴とする電子楽器の楽音発生装置。
【請求項15】
請求項11〜請求項14の何れか記載の電子楽器の楽音発生装置において、
前記割当部は、キーオンされた際に、発音中でない発音ソースが存在せず、ステレオ発音中の発音ソースの組が存在せず、且つモノラル発音中の発音ソースが存在するときには、キーオンに対応する楽音をモノラル音として発生させるために、モノラル発音中の発音ソースのうちの一つを減衰させることで発音中でない一つの発音ソースを確保し、その確保した発音中でない一つの発音ソースをキーオンに対応してモノラル音として発生する楽音に割り当てることを特徴とする電子楽器の楽音発生装置。
【請求項16】
請求項1〜請求項6の何れかに記載の波形データAおよび波形データBを記憶する波形データ記憶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−29852(P2013−29852A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−209695(P2012−209695)
【出願日】平成24年9月24日(2012.9.24)
【分割の表示】特願2008−30674(P2008−30674)の分割
【原出願日】平成20年2月12日(2008.2.12)
【出願人】(000001410)株式会社河合楽器製作所 (563)
【Fターム(参考)】