説明

電子機器、そのバッテリ使用可能時間の表示方法、およびコンピュータが実行可能なプログラム

【課題】バッテリ駆動型の電子機器において、消費電力が大きく変わる要因となる事由が発生した場合に、早急に、ユーザにバッテリ使用可能時間に与える影響を報知することが可能な電子機器を提供すること。
【解決手段】バッテリ情報表示プログラム51は、消費電力変動イベントが発生した場合には、バッテリ情報表示プログラム51は、バッテリ25が検出したバッテリ電圧、バッテリ電流、およびバッテリ残容量に基づいて、第1の周期T2より短い第2の周期T1で、バッテリ使用可能時間を算出し、算出したバッテリ使用可能時間を液晶表示パネル31に更新表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、そのバッテリ使用可能時間の表示方法、およびコンピュータが実行可能なプログラムに関し、詳細には、バッテリ駆動型の電子機器において、バッテリ使用可能時間の表示を行う電子機器、そのバッテリ使用可能時間の表示方法、およびコンピュータが実行可能なプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、モービル・コンピューティングの普及と共に、様々な大きさや機能を有する携帯型パーソナル・コンピュータ(以下、ポータブルPCと呼ぶ)が開発されてきている。例えば、ノートブック型パーソナル・コンピュータ(PC)、サブノートブック型PC、パームトップ型PC、PDA(Personal Data Assistants;個人向け携帯型情報通信機器)などがある。
【0003】
ポータブルPCは、本体内に電池を内蔵している。この内蔵電池により、例えば、列車内などのように商用電源を利用することのできない環境下においても、ユーザは、ポータブルPCを使用することができる。上記内蔵電池には、充電することにより繰り返し使うことのできる2次電池を用いるのが一般的である。
【0004】
ところで、このようなポータブルPC等のコンピュータや様々な家庭用電化製品等に用いることができる2次電池として、電子回路が組み込まれたインテリジェント電池が注目されている。この電池によれば、内部に組み込まれた電子回路によって電池の残容量を外部に知らせることができる。従って、例えばポータブルPCの2次電池としてインテリジェント電池を用いることによって、ユーザは商用電源を利用することのできない環境下においてポータブルPCを使用している際に2次電池の残容量が尽きることを事前に知ることができ、使用中の突然のシャット・ダウンを回避することができる。
【0005】
このようなインテリジェント電池では、一般に、電池の総容量を示す容量情報を予め記憶しており、該容量情報によって示される総容量から、電池の放電電流値を積算することによって得られる放電量を減じることによって電池の残容量を得ている。
【0006】
また、このようなバッテリ駆動型の情報処理装置では、バッテリ残容量と使用電力とに基づいて、バッテリ使用可能時間を算出し、ユーザの便宜のために、バッテリ使用可能時間を表示部に表示している。このバッテリ使用可能時間の表示の更新は、一定の時間単位で行われるのが一般的である。
【0007】
しかしながら、ユーザが電力管理設定等を変更した場合でも、一定の時間単位でしかバッテリ使用可能時間の表示の更新が行われないため、ユーザは、設定の変更が反映したバッテリ使用可能時間を直ぐには確認することができないという問題がある。
【0008】
ポータブルPCのバッテリ制御方法として、例えば、特許文献1,2が公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−283929号公報
【特許文献2】特開2009−9183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、バッテリ駆動型の電子機器において、消費電力が大きく変わる要因となる事由が発生した場合に、早急に、ユーザにバッテリ使用可能時間に与える影響を報知することが可能な電子機器、そのバッテリ使用可能時間の表示方法、およびコンピュータが実行可能なプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、バッテリ駆動型の電子機器において、バッテリ電圧、バッテリ電流、およびバッテリ残容量を検出する検出手段と、前記検出手段で検出したバッテリ電圧、バッテリ電流、およびバッテリ残容量に基づいて、第1の周期で、バッテリ使用可能時間を算出し、算出したバッテリ使用可能時間を表示部に更新表示するバッテリ使用可能時間算出表示手段と、を備え、前記バッテリ使用可能時間算出表示手段は、消費電力変動イベントが発生した場合には、前記第1の周期より短い第2の周期で、前記検出したバッテリ電圧、バッテリ電流、およびバッテリ残容量に基づいて、バッテリ使用可能時間を算出し、算出したバッテリ使用可能時間を表示部に更新表示することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記バッテリ使用可能時間算出表示手段は、前記第1の周期の場合は、その周期内に検出されたバッテリ電圧およびバッテリ電流に基づいて、その間の消費電力の平均を算出して、バッテリ使用可能時間を算出し、前記第2の周期の場合は、その周期時間を順次積算した時間当たりの消費電力の平均を算出して、バッテリ使用可能時間を算出することが望ましい。
【0013】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記バッテリ使用可能時間算出表示手段は、消費電力変動イベントが発生した場合には、所定期間、前記第2の周期で、前記バッテリ使用可能時間の算出および更新表示した後、前記第1の周期で、前記バッテリ使用可能時間の算出および更新表示することが望ましい。
【0014】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記消費電力変動イベントは、省電力設定の変更、バッテリ寿命延長機能のON/OFF、および表示部の輝度の変更の少なくとも1つを含むことが望ましい。
【0015】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、バッテリ駆動型の電子機器のバッテリ使用可能時間の表示方法において、バッテリ電圧、バッテリ電流、およびバッテリ残容量を検出する検出工程と、前記検出工程で検出したバッテリ電圧、バッテリ電流、およびバッテリ残容量に基づいて、第1の周期で、バッテリ使用可能時間を算出し、算出したバッテリ使用可能時間を表示部に更新表示するバッテリ使用可能時間算出表示工程と、を含み、前記バッテリ使用可能時間算出表示工程では、消費電力変動イベントが発生した場合には、前記第1の周期より短い第2の周期で、前記検出したバッテリ電圧、バッテリ電流、およびバッテリ残容量に基づいて、バッテリ使用可能時間を算出し、算出したバッテリ使用可能時間を表示部に更新表示することを特徴とする。
【0016】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、バッテリ駆動型の電子機器に搭載されるプログラムにおいて、バッテリ電圧、バッテリ電流、およびバッテリ残容量を検出する検出工程と、前記検出工程で検出したバッテリ電圧、バッテリ電流、およびバッテリ残容量に基づいて、第1の周期で、バッテリ使用可能時間を算出し、算出したバッテリ使用可能時間を表示部に更新表示するバッテリ使用可能時間算出表示工程と、をコンピュータに実行させ、前記バッテリ使用可能時間算出表示工程では、消費電力変動イベントが発生した場合には、前記第1の周期より短い第2の周期で、前記検出したバッテリ電圧、バッテリ電流、およびバッテリ残容量に基づいて、バッテリ使用可能時間を算出し、算出したバッテリ使用可能時間を表示部に更新表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、バッテリ駆動型の電子機器において、バッテリ電圧、バッテリ電流、およびバッテリ残容量を検出する検出手段と、前記検出手段で検出したバッテリ電圧、バッテリ電流、およびバッテリ残容量に基づいて、第1の周期で、バッテリ使用可能時間を算出し、算出したバッテリ使用可能時間を表示部に更新表示するバッテリ使用可能時間算出表示手段と、を備え、前記バッテリ使用可能時間算出表示手段は、消費電力変動イベントが発生した場合には、前記第1の周期より短い第2の周期で、前記検出したバッテリ電圧およびバッテリ電流に基づいて、バッテリ使用可能時間を算出し、算出したバッテリ使用可能時間を表示部に更新表示することとしたので、バッテリ駆動型の電子機器において、消費電力が大きく変わる要因となる事由が発生した場合に、早急に、ユーザにバッテリ使用可能時間に与える影響を報知することが可能な電子機器を提供することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明に係る電子機器を適用したノート型PCの外観構成を示す図である。
【図2】図2は、図1のノート型PCの概略のハードウェア構成例を示す図である。
【図3】図3は、図2のノート型PCのバッテリ使用可能時間の更新表示に関する機能構成を示す図である。
【図4】図4は、バッテリ使用可能時間平均値tBTAVEの算出間隔を説明するための模式図である。
【図5】図5は、バッテリ情報表示プログラムにおける通常時のバッテリ情報表示処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】図6は、バッテリ情報表示プログラムにおける消費電力変動イベントが発生した場合のバッテリ情報表示処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、この発明にかかる電子機器、そのバッテリ使用可能時間の表示方法、およびコンピュータが実行可能なプログラムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるものまたは実質的に同一のものが含まれる。
【0020】
図1は、本発明に係る電子機器を適用したノート型PCの外観構成を示す図である。同図において、1はノート型PC、10はパソコン本体部、11はキーボードやスライスパッドを備えた入力部、30は表示部、31は液晶表示パネル、27はパソコン本体11に対して、表示部30を回転可能に支持する回転支持部を示している。ノート型PC1は、パソコン本体部10にバッテリ(不図示)を収納しており、バッテリ駆動が可能となっている。液晶表示パネル31には、所定周期で、バッテリ使用可能時間31aが更新表示される。本実施の形態では、消費電力が大きく変わる要因となる事由(以下、「消費電力変動イベント」と称する)が発生した場合は、ユーザにバッテリ使用可能時間に与える影響を早急に報知するために、通常時に比して、バッテリ使用可能時間31aの更新表示周期を短くしている。
【0021】
図2は、図1のノート型PCの概略のハードウェア構成例を示す図である。ノート型PC1は、同図に示すように、CPU12、CPUブリッジ13、メイン・メモリ14、ビデオコントローラ15、液晶表示パネル31、I/Oブリッジ17、無線モジュール18、HDD(ハードディスク)19、ROM20、I/Oコントローラ21、入力部11、エンベデットコントローラ22、パワーコントローラ23、DC−DCコンバータ24、バッテリ25、およびACアダプタ26等を備えている。
【0022】
CPU12は、CPUブリッジ13およびI/Oブリッジ17を介して接続されたHDD19に格納されたOS(例えば、Windows(登録商標)OS)によりPC全体の制御を行うとともに、HDD19に格納された各種のプログラムに基づいて処理を実行する機能を司る。ROM20は、BIOS41やデータ等を格納している。メイン・メモリ14は、例えば、RAMで構成されており、CPU12による各種プログラムの実行時にワークエリアとして利用されるメモリ機能を有している。
【0023】
表示部30は、液晶表示パネル31、バックライト(不図示)、バックライトを駆動するインバータ(不図示)、液晶表示パネル30を駆動するドライバ回路等を備えている。液晶表示パネル31は、CPU12の各種の処理に伴うメニュー、ステータス、表示遷移等を表示する機能を有している。ビデオコントローラ15は、CPU12の制御に従って、インバータを制御してバックライトの輝度を調整したり、また、ビデオ信号をドライバ回路に送出して、液晶表示パネル31の表示を制御する。無線モジュール18は、インターネット等のネットワークに接続したり、赤外線で他の機器との通信を接続する機能を司る。
【0024】
入力部11は、文字、コマンド等を入力する各種キーより構成されるキーボードや画面上のカーソルを移動させたり、各種メニューを選択するスライスパッドを備えている。I/Oコントローラ21は、入力部11の入力操作を検出して、CPU12に出力する。
【0025】
HDD(ハードディスク)19は、例えば、Windows(登録商標)OS等のノート型PC1全体の制御を行うためのOS、ノート型PC1の電力制御を行うための制御プログラム、バッテリ情報を表示するためのバッテリ情報表示プログラム、周辺機器類をハードウェア操作するための各種ドライバ、特定業務に向けられたアプリケーションプログラム等を記憶する機能を有している。
【0026】
ACアダプタ26は、商用電源に接続して、AC電圧をDC電圧に変換してDC−DCコンバータ24に出力する。DC−DCコンバータ24は、ACアダプタ26から供給されるDC電圧を所定の電圧に変換して各部に電力を供給し、また、バッテリ25の充電を行う。
【0027】
バッテリ25は、DC−DCコンバータ24により充電され、充電した電圧をDC−DCコンバータ24を介して、各部に供給する。バッテリ25は、ACアダプタ26が商用電源に接続されていない場合に使用される。本実施の形態におけるバッテリ25は、スマート・バッテリ仕様(Smart Battery Specification)に準拠するものとして構成されている。スマート・バッテリ仕様は米インテル社と米デュラセル社によって共同開発された仕様であり、内部に組み込まれた電子回路によって電池の残容量を外部に知らせることができるものである。また、スマート・バッテリ仕様では、製造者、シリアル・ナンバ、定格容量等の各種情報を内部に備えられたメモリに記憶しており、ユーザは該メモリに記憶されている各種情報をスマート・バッテリ仕様に従った各種コマンドによって取得することができる。
【0028】
バッテリ25は、バッテリ25全体の動作を司るCPU25aと、バッテリ情報を含む各種データを記憶するための不揮発性のメモリ25bと、2次電池25cと、2次電池25cを充電するための充電回路25dとを備えている。CPU25aは、メモリ25bに対する各種データの書き込み及び読み出しを行うことができる。また、CPU25aは外部との各種情報の送受を行うことができる。また、CPU25aは、バッテリ電流IBTバッテリ電圧VBT、およびバッテリ残容量Whを検出し、これら検出結果に基づいて、バッテリ使用可能時間平均値TBTAVEを演算して、メモリ25bに格納する。なお、スマート・バッテリ仕様に準拠したバッテリを構成するには他にも図示しない回路や外部端子が必要であるが、これらは当業者には周知であり、また、本発明の要旨を構成するものではないので、本明細書中では説明を省略する。
【0029】
パワーコントローラ23は、DC−DCコンバータ24の動作を制御する。エンベデッドコントローラ22は、バッテリ25の動作を制御する。
【0030】
図3は、ノート型PC1のバッテリ使用可能時間の更新表示に関する機能構成を示す図である。図3において、バッテリ情報表示プログラム51およびバッテリ25は、バッテリ使用可能時間算出表示手段を構成する。図3において、バッテリ25は、タイマシグナルの周期T1で、バッテリ電圧VBT、バッテリ電流IBT、およびバッテリ残容量Whを検出する。また、バッテリ25は、周期T2(ただし、T2=n×T1であり、nは2以上の整数)で、バッテリ使用可能時間平均値tBTAVE=バッテリ残容量Wh/(バッテリ電圧VBT×バッテリ電流平均値IBTAVE)を算出する。ここで、バッテリ電流平均値IBTAVEは、周期T2内で検出したバッテリ電流IBTの平均値である。バッテリ電圧は変動が少ないので、バッテリ電圧は一定と仮定して、最新のバッテリ電圧を使用し、バッテリ電流は、各回で検出したバッテリ電流の平均値を使用している。これにより、周期T2内の消費電力の平均を計算していることになる。
【0031】
具体的には、例えば、T1=10秒間隔で、バッテリ電圧VBT、バッテリ電流IBT、およびバッテリ残容量Whを検出し、T2=60秒間隔で、バッテリ電流平均値IBTAVE=(IBT1+IBT2+IBT3+IBT4+IBT5+IBT6)/6、およびバッテリ使用可能時間の平均値TBTAVE=バッテリ残容量Wh/(バッテリ電圧VBT6×バッテリ電流平均値IBTAVE)を算出する。なお、検出したバッテリ電圧VBTの平均値を算出して、周期T2内の消費電力の平均(=バッテリ電圧VBTの平均値×バッテリ電流平均値IBTAVE)を計算することにしてもよい。
【0032】
バッテリ25は、メモリ25bに、検出および算出した、バッテリ電圧VBT、バッテリ電流IBT、バッテリ残容量Wh、およびバッテリ使用可能時間平均値tBTAVEをバッテリ情報として格納する。バッテリ25は、バッテリ情報表示プログラム51からエンベデッドコントローラ22を介してバッテリ情報要求が入力された場合に、CPU25aは、エンベデッドコントローラ22を介して、バッテリ情報表示プログラム51にバッテリ情報を送出する。
【0033】
また、バッテリ情報表示プログラム51は、バッテリ情報要求を、エンベデッドコントローラ22を介してバッテリ25に送出し、バッテリ25からバッテリ情報を取得する。バッテリ情報表示プログラム51は、通常時は、周期T2で、バッテリ25からバッテリ情報を取得して、バッテリ25が計算したバッテリ使用可能時間平均値TBTAVEを、液晶表示パネル31に更新表示する。
【0034】
バッテリ情報表示プログラム51は、消費電力変動イベントが発生した場合は、ユーザにその影響を早急に報知するために、周期T1で、バッテリ25からバッテリ情報を取得して、バッテリ使用可能時間の平均値TBTAVEを液晶表示パネル31に更新表示する。ここで、消費電力変動イベントとは、例えば、省電力設定の変更(例えば、Windows(登録商標)OSが提供する電源オプションの設定の変更)、バッテリ寿命延長機能のON/OFF、液晶パネルディスプレイ31の輝度の変更、外部デバイスの接続・切り離し、およびCPUのクロック設定等の消費電力が大きく変わる要因となる事由である。
【0035】
この場合、バッテリ25では、バッテリ使用可能時間の平均値TBTAVEは周期T2でしか更新(計算)されないため、バッテリ情報表示プログラム51は、周期T1で、バッテリ使用可能時間平均値TBTAVEを算出する。その際、バッテリ情報表示プログラム51は、その周期時間を順次積算した時間当たりの消費電力の平均を算出して、バッテリ使用可能時間平均値TBTAVEを算出する。
【0036】
具体的には、バッテリ情報表示プログラム51は、周期T1で、バッテリ使用可能時間の平均値tBTAVE=バッテリ残容量Wh/(バッテリ電圧VBTN×バッテリ電流平均値IBTAVE)を算出し、算出したバッテリ使用可能時間平均値tBTAVEを液晶表示パネル31に表示(更新)する。ここで、バッテリ電流平均値IBTAVE={前回のバッテリ電流平均値IBTAVE×(積算回数−1)+今回のバッテリ電流IBT}/積算回数となる。
【0037】
これにより、例えば、T1=10秒、T2=60秒とした場合において、通常時は、バッテリ使用可能時間表示は60秒間更新されないのに対して、ユーザが省電力設定を変更した場合には、10秒後にバッテリ使用可能時間表示が更新されるので、ユーザは自分の設定変更による効果をすぐに認識することが可能となる。消費電力変動イベント発生から期間T2が経過した場合には、通常時と同様の処理を行う。
【0038】
図4は、バッテリ使用可能時間平均値tBTAVEの算出間隔を説明するための模式図である。同図において、横軸は、時間、縦軸は、平均算出期間を示している。
【0039】
通常時は、周期T2内で平均値(周期T1で検出したバッテリ電流の周期T2内での平均値)を算出する。消費電力変動イベントが発生した場合は、消費電力変動イベントの発生からT2が経過するまでは、周期T2よりも短い周期T1で平均値を算出し、その周期時間T1を順次積算した時間当たりのバッテリ電流の平均を算出する。例えば、時刻t0で電力変動イベントが発生した場合は、時刻t0+T1では、バッテリ電流平均値IBTAVE=今回電流値、時刻t0+2×T1では、バッテリ電流平均値IBTAVE=(前回(t0+T1)のバッテリ電流平均値IBTAVE+今回(t0+2×T1)のバッテリ電流IBT)/2となり、以降、t0+T2まで同様に算出する。t0+T2以降は、通常時と同様に、周期T2内での平均値を算出する。
【0040】
図5は、バッテリ情報表示プログラム51における通常時のバッテリ情報表示処理を説明するためのフローチャートである。同図において、まず、バッテリ情報表示プログラム51は、周期T2のタイマシグナルが入力されると(ステップS1の「Yes」)、エンベデッドコントローラ22を介して、バッテリ25からバッテリ情報(バッテリ電流IBT、バッテリ電圧VBT、バッテリ電流平均値IBTAVE、バッテリ残容量Wh、およびバッテリ使用可能時間平均値TBTAVE)を取得し(ステップS2)、バッテリ25から取得したバッテリ使用可能時間平均値TBTAVEを、液晶パネルディスプレイ31に表示する(ステップS3)。
【0041】
図6は、バッテリ情報表示プログラム51における消費電力変動イベントが発生した場合のバッテリ情報表示処理を説明するためのフローチャートである。同図において、まず、バッテリ情報表示プログラム51は、カウンタC=0,バッテリ電流平均値IBTAVE=0に設定し(ステップS11)、周期T1のタイマをセットする。ここでカウンタCは、周期T1で更新表示する場合のT1の積算回数を示している。バッテリ情報表示プログラム51は、周期T1のタイマシグナルが入力されると(ステップS12の「Yes」)、エンベデッドコントローラ22を介して、バッテリ25からバッテリ情報(バッテリ電流IBT、バッテリ電圧VBT、バッテリ残容量Wh)を取得する(ステップS13)。
【0042】
バッテリ情報表示プログラム51は、カウンタCを「1」インクリメントする(ステップS14)。つぎに、バッテリ情報表示プログラム51は、バッテリ電流平均値IBTAVE={前回のバッテリ電流平均値IBTAVE×(カウンタC−1)+今回バッテリ電流IBT}/カウンタCを算出し(ステップS4)、算出したバッテリ電流平均値IBTAVEを使用して、バッテリ使用可能時間平均値TBTAVEを算出し、液晶表示パネル31に表示する(ステップS16)。この後、カウンタC=閾値n(n=T2/T1)であるか否かを判定し(ステップS17)、カウンタC=閾値nでない場合には(ステップS17の「No」)、ステップS12に戻る一方、カウンタC=閾値nである場合には(ステップS17の「Yes」)、当該フローを終了する。
【0043】
以上説明したように、本実施の形態によれば、バッテリ25は、バッテリ電圧、バッテリ電流、およびバッテリ残容量を検出し、検出したバッテリ電圧、バッテリ電流、およびバッテリ残容量に基づいて、第1の周期T2で、バッテリ使用可能時間を算出し、バッテリ情報表示プログラム51は、バッテリ25が算出したバッテリ使用可能時間を表示部30に更新表示し、さらに、消費電力変動イベントが発生した場合には、バッテリ情報表示プログラム51は、バッテリ25が検出したバッテリ電圧、バッテリ電流、およびバッテリ残容量に基づいて、第1の周期T2より短い第2の周期T1で、バッテリ使用可能時間を算出し、算出したバッテリ使用可能時間を表示部30に更新表示することとしたので、消費電力が大きく変わる要因となる事由が発生した場合に、早急に、ユーザにバッテリ使用可能時間に与える影響を報知することが可能となる。
【0044】
また、バッテリ情報表示プログラム51は、第2の周期T1でバッテリ使用可能時間を算出する場合は、その周期時間T1を順次積算した時間当たりの消費電力の平均を算出して、バッテリ使用可能時間を算出することとしたので、短い期間でも高精度にバッテリ使用可能時間を算出することが可能となる。
【0045】
また、バッテリ情報表示プログラム51は、消費電力変動イベントが発生した場合には、所定期間だけ、第2の周期T1で、バッテリ使用可能時間の算出および更新表示した後、第1の周期T2で、バッテリ使用可能時間の算出および更新表示することとしたので、バッテリ情報表示プログラム51による演算および更新表示の負荷を低減することが可能となる。
【0046】
また、バッテリ25は、通常時と消費電力変動イベントの発生時とで同じ処理を行い、バッテリ情報表示プログラム51側で消費電力変動イベントの発生時にバッテリ使用可能時間の算出を行うこととしたので、バッテリ25の処理を変更することなく、消費電力変動イベントの発生時に短い周期でのバッテリ使用可能時間の算出および更新表示を行うことが可能となる。なお、消費電力変動イベントの発生時に、バッテリ25側で、周期T1でのバッテリ使用可能時間の算出を行う構成としてもよい。
【0047】
また、上記実施の形態では、本発明に係る電子機器の一例として、ノート型PCについて説明したが、本発明は、これに限られるものではなく、バッテリを電源として駆動する全ての電子機器に適用可能であり、例えば、PDA、携帯端末、デジタルカメラ等の電子機器に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明に係る電子機器、そのバッテリ使用可能時間の表示方法、およびコンピュータが実行可能なプログラムは、バッテリを電源として駆動する各種電子装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 ノート型PC
10 パソコン本体部
11 入力部
12 CPU
13 CPUブリッジ
14 メイン・メモリ
15 ビデオコントローラ
17 I/Oブリッジ
18 無線モジュール
19 HDD(ハードディスク)
20 ROM
21 I/Oコントローラ
22 エンベデットコントローラ
23 パワーコントローラ
24 DC−DCコンバータ
25 バッテリ
25a CPU
25b メモリ
25c 2次電池
25d 充電回路
26 ACアダプタ
27 回転支持部
30 表示部
31 液晶表示パネル
41 BIOS
51 バッテリ情報表示プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリ駆動型の電子機器において、
バッテリ電圧、バッテリ電流、およびバッテリ残容量を検出する検出手段と、
前記検出手段で検出したバッテリ電圧、バッテリ電流、およびバッテリ残容量に基づいて、第1の周期で、バッテリ使用可能時間を算出し、算出したバッテリ使用可能時間を表示部に更新表示するバッテリ使用可能時間算出表示手段と、
を備え、
前記バッテリ使用可能時間算出表示手段は、消費電力変動イベントが発生した場合には、前記第1の周期より短い第2の周期で、前記検出したバッテリ電圧、バッテリ電流、およびバッテリ残容量に基づいて、バッテリ使用可能時間を算出し、算出したバッテリ使用可能時間を表示部に更新表示することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記バッテリ使用可能時間算出表示手段は、
前記第1の周期の場合は、その周期内に検出されたバッテリ電圧およびバッテリ電流に基づいて、その間の消費電力の平均を算出して、バッテリ使用可能時間を算出し、
前記第2の周期の場合は、その周期時間を順次積算した時間当たりの消費電力の平均を算出して、バッテリ使用可能時間を算出することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記バッテリ使用可能時間算出表示手段は、消費電力変動イベントが発生した場合には、所定期間、前記第2の周期で、前記バッテリ使用可能時間の算出および更新表示した後、前記第1の周期で、前記バッテリ使用可能時間の算出および更新表示することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記消費電力変動イベントは、省電力設定の変更、バッテリ寿命延長機能のON/OFF、および表示部の輝度の変更の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
バッテリ駆動型の電子機器のバッテリ使用可能時間の表示方法において、
バッテリ電圧、バッテリ電流、およびバッテリ残容量を検出する検出工程と、
前記検出工程で検出したバッテリ電圧、バッテリ電流、およびバッテリ残容量に基づいて、第1の周期で、バッテリ使用可能時間を算出し、算出したバッテリ使用可能時間を表示部に更新表示する
バッテリ使用可能時間算出表示工程と、
を含み、
前記バッテリ使用可能時間算出表示工程では、消費電力変動イベントが発生した場合には、前記第1の周期より短い第2の周期で、前記検出したバッテリ電圧、バッテリ電流、およびバッテリ残容量に基づいて、バッテリ使用可能時間を算出し、算出したバッテリ使用可能時間を表示部に更新表示することを特徴とする電子機器のバッテリ使用可能時間の表示方法。
【請求項6】
バッテリ駆動型の電子機器に搭載されるプログラムにおいて、
バッテリ電圧、バッテリ電流、およびバッテリ残容量を検出する検出工程と、
前記検出工程で検出したバッテリ電圧、バッテリ電流、およびバッテリ残容量に基づいて、第1の周期で、バッテリ使用可能時間を算出し、算出したバッテリ使用可能時間を表示部に更新表示するバッテリ使用可能時間算出表示工程と、
をコンピュータに実行させ、
前記バッテリ使用可能時間算出表示工程では、消費電力変動イベントが発生した場合には、前記第1の周期より短い第2の周期で、前記検出したバッテリ電圧、バッテリ電流、およびバッテリ残容量に基づいて、バッテリ使用可能時間を算出し、算出したバッテリ使用可能時間を表示部に更新表示することを特徴とするコンピュータが実行可能なプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−286994(P2010−286994A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−139561(P2009−139561)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【出願人】(505205731)レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド (292)
【復代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
【Fターム(参考)】