説明

電子機器、光量制御方法、およびプログラム

【課題】3次元画像の明るさを3次元画像毎に設定可能な電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器は、液晶パネルと、液晶パネルに対して光を照射する照明装置と、照明装置が照射する光の光量を制御する制御装置とを備える。液晶パネルが飛び出した態様でオブジェクト921,922を表示する場合、制御装置は、オブジェクト921,922を表示する表示領域に対して、オブジェクト921,922の飛び出し量に応じた光量であって、飛び出し量が大きいほど多くの光量の光を、照明装置に照射させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、光量制御方法、およびプログラムに関する。特に、本発明は、3次元画像を表示可能な電子機器、当該電子機器における光量制御方法、および当該電子機器を制御するためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、3次元画像を表示可能な液晶ディスプレイが知られている。
特許文献1には、上記のように3次元画像を表示可能な液晶ディスプレイとして、2次元画像表示モード、3次元画像表示モード、および2次元/3次元混合画像表示モードのうちのいずれかの表示モードで画像を表示可能な2D(Dimension)/3Dディスプレイ装置が開示されている。当該2D/3Dディスプレイ装置は、上記表示モードに応じて、発光ユニットからの供給光量を任意に制御する。より詳しくは、2D/3Dディスプレイ装置のバックライトモジュールは、3次元画像を表示する領域に対し、2次元画像に必要とする光量以上の光量供給を行なう。
【0003】
また、従来、3Dパネルと通称されているパネルが知られている。3Dパネルは、平面的なパネルであるにも拘わらず、ユーザは、絵、図柄、文字などが立体的に視認できる。
【0004】
特許文献2には、上記3Dパネルとして、発光パネル装置に用いる3Dパネル版が開示されている。当該3Dパネル版は、透明樹脂よりなるパネル本体に形成されている凹凸構造からなる所定の平面パターンを有する。3Dパネル版は、パネル本体に光線が照射されることにより、上記平面パターンを浮き立たせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−228723号公報
【特許文献2】特開2010−256807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の2D/3Dディスプレイ装置では、3次元画像は2次元画像より明るく表示される。しかしながら、当該装置では、複数の3次元画像を表示する場合には、全ての3次元画像の明るさは同じとなる。また、特許文献2でも、3次元画像の明るさは一定である。
【0007】
本願発明は、上記の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、3次元画像の明るさを3次元画像毎に設定可能な電子機器、光量制御方法、およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある局面に従うと、電子機器は、3次元画像を表示可能である。電子機器は、液晶パネルと、液晶パネルに対して光を照射する照明装置と、照明装置が照射する光の光量を制御する制御装置とを備える。液晶パネルが飛び出した態様で第1のオブジェクトを表示する場合、制御装置は、第1のオブジェクトを表示する表示領域に対して、第1のオブジェクトの飛び出し量に応じた光量であって、飛び出し量が大きいほど多くの光量の光を、照明装置に照射させる。
【0009】
好ましくは、液晶パネルが飛び出した態様で第1のオブジェクトを表示する場合、制御装置は、第1のオブジェクトを表示する表示領域に対して、基準となる光量よりも多い光量の光を、照明装置に照射させる。
【0010】
好ましくは、照明装置は、バックライトである。バックライトは、複数の発光素子を含む。複数の発光素子は、液晶パネルに沿って平面的に配されている。制御装置は、複数の発光素子のうち、第1のオブジェクトを表示する表示領域に対して光を照射する発光素子を判定する。制御装置は、判定された発光素子が発光する光の光量を制御する。
【0011】
好ましくは、照明装置は、均一な光を照射するバックライトと、バックライトと液晶パネルとの間に配置された液晶シャッタとを備える。制御装置は、液晶シャッタによる光の透過率を制御することにより、第1のオブジェクトを表示する表示領域に照射する光の光量を制御する。
【0012】
好ましくは、液晶シャッタは、複数の画素を含む。複数の画素は、液晶パネルに沿ってマトリクス状に配置されている。制御装置は、第1のオブジェクトの表示領域を表したデータに基づき、前記複数の画素のうち、表示領域に対応する画素を判定する。制御装置は、判定された画素の光の透過率を変更する。
【0013】
好ましくは、制御装置は、飛び出し量と前記光量との対応関係を示したデータを格納している。制御装置は、データに基づいて、第1のオブジェクトを表示する表示領域に対して照射する光の光量を制御する。制御装置は、予め定められた指示を受け付けた場合、データにおける光量を当該指示に応じた値に変更する。
【0014】
好ましくは、液晶パネルが引っ込んだ態様で第2のオブジェクトを表示する場合、制御装置は、第2のオブジェクトを表示する表示領域に対して、第2のオブジェクトの引っ込み量に応じた光量であって、引っ込み量が大きいほど少ない光量の光を、照明装置に照射させる。
【0015】
好ましくは、電子機器は、液晶ディスプレイである。
本発明の他の局面に従うと、光量制御方法は、3次元画像を表示可能な電子機器における光量制御方法である。電子機器は、液晶パネルと、液晶パネルに対して光を照射する照明装置と、照明装置が照射する光の光量を制御する制御装置とを含む。光量制御方法は、液晶パネルが、飛び出した態様でオブジェクトを表示するステップと、制御装置が、オブジェクトを表示する表示領域に対して、オブジェクトの飛び出し量に応じた光量であって、飛び出し量が大きいほど多くの光量の光を、照明装置に照射させるステップとを備える。
【0016】
本発明のさらに他の局面に従うと、プログラムは、3次元画像を表示可能な電子機器を制御するためのプログラムである。電子機器は、プロセッサと、液晶パネルと、液晶パネルに対して光を照射する照明装置とを含む。プログラムは、飛び出した態様でオブジェクトを液晶パネルに表示させるステップと、オブジェクトを表示する表示領域に対して、オブジェクトの飛び出し量に応じた光量であって、飛び出し量が大きいほど多くの光量の光を、照明装置に照射させるステップとを、プロセッサに実行させる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、3次元画像の明るさを3次元画像毎に設定可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】電子機器の外観を示した図である。
【図2】液晶ディスプレイの構造を説明するための図である。
【図3】電子機器で行なわれる処理の概要を説明するための図である。
【図4】電子機器のハードウェア構成を表した図である。
【図5】電子機器の機能ブロック図である。
【図6】各オブジェクトの表示領域に対応する導光板を説明するための図である。
【図7】電子機器における処理の流れを示したフローチャートである。
【図8】他の電子機器の外観を示した図である。
【図9】他の液晶ディスプレイの構造を説明するための図である。
【図10】オブジェクトの飛び出し量および引っ込み量と、液晶シャッタの液晶の透過率との対応関係を表した図である。
【図11】他の電子機器のハードウェア構成を表した図である。
【図12】他の電子機器の機能ブロック図である。
【図13】液晶シャッタの画素の透過率を説明するための図である。
【図14】他の電子機器における処理の流れを示したフローチャートである。
【図15】さらに他の液晶ディスプレイのハードウェア構成を説明するための図である。
【図16】さらに他の液晶ディスプレイのハードウェア構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ、本発明の各実施の形態に係る電子機器について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0020】
[実施の形態1]
以下、図1〜図7に基づいて、本実施の形態に係る電子機器1について説明する。
【0021】
図1は、電子機器1の外観を示した図である。図1を参照して、電子機器1は、液晶ディスプレイ20と、複数の操作キー15とを備える。電子機器1は、携帯型電話機、PDA(Personal Digital Assistants)、タブレット端末、電子辞書、電子ブックリーダ等の携帯端末である。
【0022】
電子機器1は、2次元画像と3次元画像とを液晶ディスプレイ20に表示可能な機器である。以下では、電子機器1が、パララックスバリヤ方式で3次元画像を表示する構成であるとして説明する。なお、3次元画像を表示する方法は、パララックススバリア方式に限定されるものではない。電子機器1は、たとえば、アナグリフ方式、偏光板方式、液晶アクティブシャッターメガネ方式で3次元画像を表示する構成であってもよい。
【0023】
図2は、液晶ディスプレイ20の構造を説明するための図である。
図2(a)は、液晶ディスプレイ20の概略構造を表した図である。図2(a)を参照して、液晶ディスプレイ20は、液晶パネル210と、バックライト230とを備える。液晶パネル210は、バックライト230の上側(Z軸負方向側)に、バックライト230と平行となるように配置される。
【0024】
図2(b)は、バックライト230の概略構造を表した図である。図2(b)を参照して、バックライト230は、タンデム型のバックライトである。バックライト230は、基板231と、複数のLED(Light Emitting Diode)232と、複数の導光板233とを備える。各LED232および各導光板233は、基板231上に、マトリクス状に配置されている。1つのLED232と、1つの導光板233とが対になっている。また、複数のLED232は、液晶パネル210に沿って平面的に配されている。
【0025】
図2(c)は、図2(b)のII−II線矢視断面図である。図2(c)を参照して、各導光板233は、導光部と発光部とを備える。LED232から出射した光は、導光部を通過する。導光部を通過した光は、発光部から液晶パネル210方向へ略均一な光として出射する。
【0026】
電子機器1は、各LED232が出射する光の光量を、3次元表示をするオブジェクトの飛び出し量および引っ込み量に応じて制御する。以下、当該制御の詳細について説明する。
【0027】
図3は、電子機器1で行なわれる処理の概要を説明するための図である。図3(a)は、オブジェクトの飛び出し量および引っ込み量と、LED232が照射する光の光量との関係を表したグラフである。図3(b)は、1枚の3D画像に含まれる複数のオブジェクトの例と、右目用画像と左目用画像とのズレ量と、飛び出し量と、引っ込み量との関係を表した図である。図3(c)は、上記複数のオブジェクトを液晶ディスプレイ20に表示した場合に、ユーザの眼に映る画像を表した図である。
【0028】
図3(a)を参照して、グラフの曲線は、飛び出し量が多くなるほど、光量が多くなることを表している。また、当該曲線は、引っ込み量が多くなるほど、光量が少なくなることを表している。なお、電子機器1は、飛び出し量および引っ込み量と光量との関係を、離散的なデータとして記憶している。
【0029】
電子機器1は、図3(a)に示すような飛び出し量および引っ込み量と光量との関係(上記の離散的なデータ)に基づき、オブジェクトの飛び出し量が大きい場合、当該オブジェクトを表示する液晶パネル210の表示領域に対応するLED232の光量を、基準となる光量Lsよりも多くする。より詳しくは、電子機器1は、オブジェクトの飛び出し量が大きいほど、多くの光量の光を、当該オブジェクトに対応するLED232から照射させる。
【0030】
なお、基準となる光量Lsは、デフォルトで定められている値、またはユーザの操作により設定された値である。電子機器1は、3次元表示されないオブジェクト(飛び出しも引っ込みもしないオブジェクト)に対しては、光量Lsの光を照射する。また、電子機器1は、オブジェクトの座標に基づき、対応するLED232を判定する。電子機器1は、オブジェクトの外形を含む表示領域に対応する1つ以上のLED232を、当該オブジェクトに対応するLED232と判定する。
【0031】
また、電子機器1は、オブジェクトの引っ込み量が大きい場合、当該オブジェクトを表示する液晶パネル210の表示領域に対応するLED232の光量を、基準となる光量Lsよりも少なくする。より詳しくは、電子機器1は、オブジェクトの引っ込み量が大きいほど、少ない光量の光を、当該オブジェクトに対応するLED232から照射させる。
【0032】
図3(b)を参照して、「人物」についての右目用画像と左目用画像とのズレ量が“+D1”であり、「車」についての右目用画像と左目用画像とのズレ量が“+D2”(ただし、D2<D1)であり、「山」についての右目用画像と左目用画像とのズレ量が“0”であり、「太陽」についての右目用画像と左目用画像とのズレ量が“−D3”である。なお、ズレ量についての“+”の記号は、オブジェクトが飛び出す場合のズレ量を表している。また、ズレ量についての“−”の記号は、オブジェクトが引っ込む場合のズレ量を表している。
【0033】
また、「人物」については、“+D1”のズレにより飛び出し量が“V1”となる。「車」については、“+D2”のズレにより飛び出し量が“V2”(ただし、V2<V1)となる。「山」については、飛び出しも、引っ込みもしない。「太陽」については、“−D3”のズレにより引っ込み量が“V3”となる。
【0034】
なお、上記飛び出し量および引っ込み量は、液晶パネル210から予め定められた距離で或るユーザがオブジェクトを見たときの飛び出し量である。なお、飛び出し量および引っ込み量は、ユーザの両瞳孔の間隔、および瞳孔と液晶パネル210との距離により変化する。
【0035】
図3(c)を参照して、人物を表したオブジェクト921は飛び出し量がV1(図3(b)参照)であるため、電子機器1は、オブジェクト921を表示する液晶パネル210の表示領域に対応するLED232の光量を、基準となる光量Lsよりも多い光量L1(図3(a)参照)とする。一方、車を表したオブジェクト922は飛び出し量がV2(図3(b)参照)であるため、電子機器1は、オブジェクト922を表示する液晶パネル210の表示領域に対応するLED232の光量を、基準となる光量Lsよりも多い光量L2(図3(a)参照)とする。
【0036】
また、太陽を表したオブジェクト924は引っ込み量がV3(図3(b)参照)であるため、電子機器1は、オブジェクト924を表示する液晶パネル210の表示領域に対応するLED232の光量を、基準となる光量Lsよりも少ない光量L3(図3(a)参照)とする。なお、山を表したオブジェクト923は、飛び出しも引っ込みもしないため、電子機器1は、オブジェクト923を表示する液晶パネル210の表示領域に対応するLED232の光量を、基準となる光量Lsとする。
【0037】
以上のように、電子機器1は、飛び出した態様で表示させるオブジェクト922の画像に対して、基準となる光量よりも多くの光量の光を照射する。また、電子機器1は、オブジェクト922よりも飛び出し量の多いオブジェクト921の画像に対して、オブジェクト922の画像に対して照射する光の光量よりも多くの光量の光を照射させる。さらに、電子機器1は、引っ込んだ態様で表示させるオブジェクト924の画像に対して、基準となる光量よりも少ない光量の光を照射する。つまり、電子機器1は、飛び出し量が多いオブジェクトほど、照射する光の光量を多くし、引っ込み量が多いオブジェクトほど、照射する光の光量を少なくする。
【0038】
それゆえ、電子機器1は、3次元画像の明るさを3次元画像毎に設定可能となる。また、電子機器1は、バックライトの光量をオブジェクト毎に変更しない構成とは異なり、飛び出した態様で表示するオブジェクトを、飛び出し量に応じた態様で強調表示することができる。さらに、電子機器1は、引っ込んだ態様で表示するオブジェクトに対する光量を低下させるため、飛び出した態様で表示するオブジェクトを、より強調して表示することが可能となる。
【0039】
したがって、ユーザは、飛び出し量の多いオブジェクトほど視認しやすくなり、引っ込み量の多いオブジェクトほど視認しにくくなる。
【0040】
以下、上述した処理を実行する電子機器1の具体的な構成について説明する。なお、電子機器1が3次元表示する画像は、静止画であっても、動画であってもよい。動画の場合には、1枚の静止画毎に、LED232の光量を変更する制御を行なう。
【0041】
図4は、電子機器1のハードウェア構成を表した図である。図4を参照して、電子機器1は、プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)10と、データを不揮発的に格納するROM(Read Only Memory)11と、データを不揮発的に格納するRAM(Random Access Memory)12と、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ13と、画像処理用プロセッサ14と、電子機器1のユーザによる指示の入力を受ける操作キー15と、通信IF(interface)16と、電源ユニット17と、ズレ量測定モジュール18と、3D(Dimension)表示用グラフィックエンジン19と、液晶ディスプレイ20と、スピーカ21と、IC(Integrated Circuit)カードリーダライタ22と、データバス23とを備える。また、液晶ディスプレイ20は、液晶パネル210と、バックライト230と、LCD(Liquid Crystal Display)コントローラ220と、バックライトコントローラ240とを備える。
【0042】
不揮発性メモリ13は、CPU10が実行するプログラム、各種データを格納している。また、不揮発性メモリ13は、電子機器1が生成したデータ、電子機器1の外部装置から取得したデータ等の各種データを揮発的に格納する。
【0043】
画像処理用プロセッサ14は、画像データを処理する専用のプロセッサである。通信IF16は、他の装置と通信を行なうための用いられるインターフェースである。通信IF16は、無線および/または有線にてデータを送信するための処理を行なう。電源ユニット17は、各構成要素10〜16、18〜22に電力を供給する。スピーカ21は、CPU10からの指令に応じて音を発生させる。
【0044】
ズレ量測定モジュール18は、プロセッサとメモリとで構成される。当該メモリには、プログラム等が格納されている。ズレ量測定モジュール18は、CPU10からの指令に応じて、右眼用画像データと左眼用画像データとから、それぞれオブジェクトを抽出する。当該オブジェクトの抽出は、従来知られている手法を用いる。ズレ量測定モジュール18は、抽出した互いに対応するオブジェクト同士のズレ量(X座標およびY座標のズレ)を求める。具体例を挙げると、右眼用画像データに含まれる人物の画像と、左眼用画像データに含まれる人物の画像との、座標のズレを求める。図3(c)の場合には、電子機器1は、横長の画像を表示するため、Y座標方向のズレ量を求める。ズレ量測定モジュール18は、測定したズレ量を、液晶ディスプレイ20のバックライトコントローラ240に送る。
【0045】
3D表示用グラフィックエンジン19は、3次元画像を表示するための専用の画像処理エンジンである。3D表示用グラフィックエンジン19は、右眼用画像データと左眼用画像データとから1枚の立体用画像データを生成する。3D表示用グラフィックエンジン19は、生成した立体画像データをLCDコントローラ220に送る。
【0046】
LCDコントローラ220は、液晶パネル210を駆動するための装置である。LCDコントローラ220は、立体画像データ等の画像データに基づいた画像を液晶パネル210に表示させるための種々の信号を液晶パネル210に送る。LCDコントローラ220は、どのタイミングで、どの立体画像データを表示させるのかを示す信号を、バックライトコントローラ240に送信する。
【0047】
バックライトコントローラ240は、ズレ量測定モジュール18が測定したズレ量を取得する。なお、電子機器1が動画を表示する場合には、動画を構成する静止画毎のズレ量を順次または一度に取得する。当該ズレ量は、立体画像データとの対応付けがなされている。
【0048】
バックライトコントローラ240は、LCDコントローラ220から上記信号を受信する。バックライトコントローラ240は、ズレ量測定モジュール18により測定されたズレ量と上記受信した信号とに基づき、表示される立体画像毎に、各LED232の光量を制御する。
【0049】
各構成要素10〜22は、相互にデータバス23によって接続されている。ICカードリーダライタ22には、メモリカード2201が装着される。
【0050】
電子機器1における処理は、各ハードウェアおよびCPU10およびズレ量測定モジュール18により実行されるソフトウェアによって実現される。このようなソフトウェアは、不揮発性メモリ13およびズレ量測定モジュール18に予め記憶されている場合がある。また、ソフトウェアは、メモリカード2201その他の記憶媒体に格納されて、プログラムプロダクトとして流通している場合もある。あるいは、ソフトウェアは、いわゆるインターネットに接続されている情報提供事業者によってダウンロード可能なプログラムプロダクトとして提供される場合もある。このようなソフトウェアは、ICカードリーダライタ22その他の読取装置によりその記憶媒体から読み取られて、あるいは、通信IF16を介してダウンロードされた後、不揮発性メモリ13に一旦格納される。そのソフトウェアは、CPU10によって不揮発性メモリ13から読み出され、さらに不揮発性メモリ13またはズレ量測定モジュール18に実行可能なプログラムの形式で格納される。CPU10またはズレ量測定モジュール18は、そのプログラムを実行する。
【0051】
同図に示される電子機器1を構成する各構成要素は、一般的なものである。したがって、本発明の本質的な部分は、ズレ量測定モジュール18、不揮発性メモリ13、メモリカード2201その他の記憶媒体に格納されたソフトウェア、あるいはネットワークを介してダウンロード可能なソフトウェアであるともいえる。なお、電子機器1の各ハードウェア(ズレ量測定モジュール18を除く)の動作は周知であるので、詳細な説明は繰り返さない。
【0052】
なお、記録媒体としては、DVD-ROM、CD−ROM、FD(Flexible Disk)、ハードディスクに限られず、磁気テープ、カセットテープ、光ディスク(MO(Magnetic Optical Disc)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc))、光カード、マスクROM、EPROM(Electronically Programmable Read-Only Memory)、EEPROM(Electronically Erasable Programmable Read-Only Memory)、フラッシュROMなどの半導体メモリ等の固定的にプログラムを担持する媒体でもよい。また、記録媒体は、当該プログラム等をコンピュータが読取可能な一時的でない媒体である。
【0053】
ここでいうプログラムとは、CPUにより直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム形式のプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む。
【0054】
ところで、上記においては、ズレ量を測定するための専用のモジュールとしてズレ量測定モジュール18を備えた構成について説明した。しかしながら、これに限定されるものではない。ズレ量測定モジュール18の機能を、CPU10とメモリ(ROM11,RAM12,不揮発性メモリ13)に格納されたプログラムとによって実現してもよい。
【0055】
図5は、電子機器1の機能ブロック図である。図5を参照して、電子機器1は、液晶パネル210と、バックライト230と、制御部250とを備える。制御部250は、表示制御部251と、バックライト制御部252とを備える。
【0056】
制御部250は、電子機器1の動作を制御する。表示制御部251は、液晶パネル210に画像を表示させる。バックライト制御部252は、バックライト230における複数のLED232の光量を制御する。以下、制御部250による処理の詳細について説明する。
【0057】
制御部250は、バックライト230が照射する光の光量を制御する。制御部250は、液晶パネル210が飛び出した態様でオブジェクトを表示する場合、当該オブジェクトを表示する表示領域に対して照射する光の光量を、基準となる光量Lsよりも多くする。また、制御部250は、液晶パネル210が引っ込んだ態様でオブジェクトを表示する場合には、当該オブジェクトを表示する表示領域に対して照射する光の光量を、基準となる光量Lsよりも少なくする。
【0058】
詳しくは、制御部250は、液晶パネル210が飛び出した態様でオブジェクトを表示する場合には、表示領域に対して、当該オブジェクトの飛び出し量が大きいほど多くの光量の光を、バックライト230に照射させる。制御部250は、液晶パネル210が引っ込んだ態様でオブジェクトを表示する場合には、表示領域に対して、当該オブジェクトの引っ込み量が大きいほど少ない光量の光を、バックライト230に照射させる。具体的には、制御部250は、バックライト230に含まれる複数のLED232のうちオブジェクトを表示する表示領域に対して光を照射するLED232を判定し、当該LED232が発光する光の光量を制御する。
【0059】
また、制御部250は、液晶パネル210が飛び出した態様で複数のオブジェクトを表示する場合には、各オブジェクトの各表示領域に対して、各オブジェクトの飛び出し量に対応した光量の光を、バックライト230に照射させる。また、制御部250は、液晶パネル210が引っ込んだ態様で複数のオブジェクトを表示する場合には、各オブジェクトの各表示領域に対して、各オブジェクトの引っ込み量に対応した光量の光を、バックライト230に照射させる。
【0060】
図6は、各オブジェクト921,922,924の表示領域に対応する導光板233を説明するための図である。図6を参照して、右下の実線で示した10個の導光板233が、オブジェクト921に対応する。左下の実線で示した13個の導光板233が、オブジェクト922に対応する。右上の実線で示した9個の導光板233が、オブジェクト924に対応する。
【0061】
導光板233とLEDとは1対1に対応するため、図6は、複数のLED232のうちオブジェクトを表示する表示領域に対して光を照射するLED232を示した図であるとも言える。
【0062】
図7は、電子機器1における処理の流れを示したフローチャートである。図7を参照して、ステップS2において、ズレ量測定モジュール18は、CPU10からの指令に応じて、右眼用画像データと左眼用画像データとから、それぞれオブジェクトを抽出する。ステップS4において、ズレ量測定モジュール18は、抽出した互いに対応するオブジェクト同士のズレ量を求める。ステップS6において、バックライトコントローラ240は、各オブジェクトの液晶パネル210における表示領域に対応するLED232の光量を、ズレ量に基づき算出する。ステップS8において、バックライトコントローラ240は、オブジェクトの表示タイミングに合わせて、算出した光の光量を当該オブジェクトに対応するLED232から照射させる。
【0063】
[実施の形態2]
実施の形態1においては、複数の導光板233を用いる構成について説明した。本実施の形態では、導光板を1個とし、新たに液晶シャッタを用いる構成について説明する。以下、図8〜図14に基づいて、本実施の形態に係る電子機器1Aについて説明する。
【0064】
図8は、電子機器1Aの外観を示した図である。図8を参照して、電子機器1Aは、液晶ディスプレイ20Aと、複数の操作キー15とを備える。電子機器1Aは、電子機器1と同様、携帯型電話機、PDA(Personal Digital Assistants)、タブレット端末、電子辞書、電子ブックリーダ等の携帯端末である。
【0065】
電子機器1Aは、2次元画像と3次元画像とを液晶ディスプレイ20Aに表示可能な機器である。以下では、実施の形態1と同様、電子機器1Aが、パララックスバリヤ方式で3次元画像を表示する構成であるとして説明する。なお、3次元画像を表示する方法は、パララックススバリア方式に限定されるものではない。電子機器1Aは、たとえば、アナグリフ方式、偏光板方式、液晶アクティブシャッターメガネ方式で3次元画像を表示する構成であってもよい。
【0066】
図9は、液晶ディスプレイ20Aの構造を説明するための図である。
図9(a)は、液晶ディスプレイ20Aの概略構造を表した図である。図9(a)を参照して、液晶ディスプレイ20Aは、液晶パネル210と、液晶シャッタ270と、バックライト290とを備える。液晶パネル210は、液晶シャッタ270の上側(Z軸負方向側)に、液晶シャッタ270と平行となるように配置される。また、液晶シャッタ270は、バックライト290の上側に、バックライト290と平行となるように配置される。本実施の形態では、液晶シャッタ270とバックライト290とにより、液晶パネル210に対して光を照射する。
【0067】
図9(b)は、液晶パネル210と液晶シャッタ270との画素の配置関係を表した図である。図9(b)を参照して、液晶パネル210の画素数と液晶シャッタ270の画素数とは、X軸方向およびY軸方向において同じである。また、液晶パネル210の各画素と、液晶シャッタ270の各画素のサイズは同じである。
【0068】
詳しくは、液晶パネル210における画素P(i,j)のXY座標が、液晶シャッタ270における画素Q(i,j)のXY座標と一致する。なお、1≦i≦mであり、1≦j≦nである。また、mは、X軸方向の画素数を表す自然数であり、nは、Y軸方向の画素数を表す自然数である。
【0069】
図9(c)は、バックライト290の概略構成を表した図である。図9(c)を参照して、バックライト290は、エッジライト方式のバックライトである。バックライト290は、LEDアレイ291と、導光板292とを備える。LED291から出射した光は、導光板292の端面に入射する。導光板292に入射した光は、導光板292の主表面2921から略均一光として、液晶シャッタ270方向に出射する。
【0070】
電子機器1Aは、液晶シャッタ270による光の透過率を制御することにより、オブジェクトを表示する表示領域に照射する光の光量を制御する。具体的には、電子機器1Aは、オブジェクトを表示する液晶パネル210の画素に対応する、液晶シャッタ270の画素における光の透過率を制御する。なお、電子機器1Aは、透過率の制御を、液晶シャッタ270の液晶に印加する電圧により行なう。
【0071】
図10は、オブジェクトの飛び出し量および引っ込み量と、液晶シャッタ270の液晶の透過率との対応関係を表した図である。なお、透過率は光量に比例するため、図10は、オブジェクトの飛び出し量および引っ込み量と、液晶シャッタ270を透過する光の光量との対応関係を表した図であるとも言える。
【0072】
図10を参照して、グラフの曲線は、飛び出し量が多くなるほど、透過率が大きくなることを表している。また、当該曲線は、引っ込み量が多くなるほど、透過率が小さくなることを表している。なお、電子機器1Aは、飛び出し量および引っ込み量と透過率との関係を、離散的なデータとして記憶している。
【0073】
電子機器1Aは、図10に示すような飛び出し量および引っ込み量と透過率との関係に基づき、オブジェクトの飛び出し量が大きい場合、当該オブジェクトを表示する液晶パネル210の表示領域に対応する液晶シャッタの画素の透過率を、基準となる透過率Tsよりも大きくする。より詳しくは、電子機器1Aは、オブジェクトの飛び出し量が大きいほど、多くの光量の光を、当該オブジェクトに対応する液晶シャッタ270の画素から透過させる。
【0074】
なお、基準となる透過率Tsは、デフォルトで定められている値、またはユーザの操作により設定された値である。電子機器1Aは、3次元表示されないオブジェクト(飛び出しも引っ込みもしないオブジェクト)に対しては、液晶シャッタ270における画素の透過率を透過率Tsとする。また、電子機器1Aは、オブジェクトの座標に基づき、対応する液晶シャッタ270の画素を判定する。液晶パネル210の画素と液晶シャッタ270の画素とは、図9(b)に示したとおり、1対1に対応している。このため、電子機器1Aは、オブジェクトの表示に用いた画素に対応する液晶シャッタ270の画素の透過率を変更する。
【0075】
また、電子機器1Aは、オブジェクトの引っ込み量が大きい場合、当該オブジェクトを表示する液晶パネル210の表示領域に対応する液晶シャッタの画素の透過率を、基準となる透過率Tsよりも小さくする。より詳しくは、電子機器1Aは、オブジェクトの引っ込み量が大きいほど、少ない光量の光を、当該オブジェクトに対応する液晶シャッタ270の画素から透過させる。
【0076】
図11は、電子機器1Aのハードウェア構成を表した図である。図11を参照して、電子機器1Aは、CPU10と、ROM11と、RAM12と、不揮発性メモリ13と、画像処理用プロセッサ14と、操作キー15と、通信IF16と、電源ユニット17と、ズレ量測定モジュール18と、3D表示用グラフィックエンジン19と、液晶ディスプレイ20Aと、スピーカ21と、ICカードリーダライタ22と、データバス23とを備える。このように、電子機器1Aが液晶ディスプレイ20Aを備える点において、液晶ディスプレイ20を備える実施の形態1の電子機器1と異なる。
【0077】
液晶ディスプレイ20Aは、液晶パネル210と、液晶シャッタ270と、バックライト290と、LCDコントローラ220Aと、バックライトコントローラ240Aとを備える。
【0078】
バックライトコントローラ240Aは、予め定められた光量の光を液晶シャッタ270に照射する。
【0079】
LCDコントローラ220Aは、液晶パネル210を駆動するための装置である。LCDコントローラ220Aは、立体画像データ等の画像データに基づいた画像を液晶パネル210に表示させるための種々の信号を液晶パネル210に送る。
【0080】
LCDコントローラ220Aは、上記信号と同期をとって、液晶パネル210の表示する画像データと同じ画像データに基づき、液晶パネル210における各オブジェクトを表示する画素に対応する液晶シャッタ270の画素の透過率を変更する。具体的には、LCDコントローラ220Aは、ズレ量測定モジュール18が測定したズレ量に基づいて、透過率を変更する。
【0081】
各構成要素10〜19,20A,21,22は、相互にデータバス23によって接続されている。
【0082】
図12は、電子機器1Aの機能ブロック図である。図12を参照して、電子機器1Aは、液晶パネル210と、液晶シャッタ270と、バックライト290と、制御部250Aとを備える。制御部250Aは、表示制御部251Aと、バックライト制御部252Aと、シャッタ制御部253とを備える。なお、以下では、液晶シャッタ270とバックライト290とを含む構成を、「照明装置300」と称する。
【0083】
制御部250Aは、電子機器1Aの動作を制御する。表示制御部251Aは、液晶パネル210に画像を表示させる。また、表示制御部251Aは、上述した同期をとるための信号をシャッタ制御部253に送る。
【0084】
バックライト制御部252Aは、バックライト290のオン・オフ等を制御する。また、バックライト制御部252Aは、ユーザからの指示に応じて、光量を変更する。
【0085】
シャッタ制御部253は、表示制御部251Aからの信号に基づき、液晶シャッタ270の動作を制御する。具体的には、シャッタ制御部253は、液晶シャッタ270における各画素の液晶に印加する電圧を制御する。
【0086】
以下、制御部250Aによる処理の詳細について説明する。
制御部250Aは、照明装置300が照射する光の光量を制御する。制御部250Aは、液晶パネル210が飛び出した態様でオブジェクトを表示する場合、当該オブジェクトを表示する表示領域に対して照射する光の光量を、液晶シャッタ270の透過率を制御することによって、基準となる光量よりも多くする。また、制御部250Aは、液晶パネル210が引っ込んだ態様でオブジェクトを表示する場合には、当該オブジェクトを表示する表示領域に対して照射する光の光量を、液晶シャッタ270の透過率を制御することによって、基準となる光量よりも少なくする。
【0087】
詳しくは、制御部250Aは、液晶パネル210が飛び出した態様でオブジェクトを表示する場合には、表示領域に対して、当該オブジェクトの飛び出し量が大きいほど多くの光量の光を、液晶シャッタ270から透過させる。制御部250Aは、液晶パネル210が引っ込んだ態様でオブジェクトを表示する場合には、表示領域に対して、当該オブジェクトの引っ込み量が大きいほど少ない光量の光を、液晶シャッタ270から透過させる。具体的には、制御部250は、液晶シャッタ270に含まれる複数の画素のうちオブジェクトを表示する表示領域に対して光を透過する画素を画像データに基づき判定し、当該画素の透過率を制御する。
【0088】
また、制御部250Aは、液晶パネル210が飛び出した態様で複数のオブジェクトを表示する場合には、各オブジェクトの各表示領域に対して、各オブジェクトの飛び出し量に対応した光量の光を、液晶シャッタ270から透過させる。また、制御部250は、液晶パネル210が引っ込んだ態様で複数のオブジェクトを表示する場合には、各オブジェクトの各表示領域に対して、各オブジェクトの引っ込み量に対応した光量の光を、液晶シャッタ270から透過させる。
【0089】
図13は、液晶シャッタ270の画素の透過率を説明するための図である。図13(a)は、液晶パネル210にオブジェクト921,922,924を表示した状態を表した図である。なお、オブジェクト923については、飛び出しも引っ込みもしていないため、説明の便宜上、図示していない。図13(b)は、液晶シャッタ270における透過率を変更した画素の位置を説明するための図である。
【0090】
図13を参照して、電子機器1Aは、オブジェクト921を表示している液晶パネル210の画素に対応する液晶シャッタ270の画素(つまり図形921aに含まれる画素)の透過率T1を、基準となる透過率より高くする。
【0091】
また、電子機器1Aは、オブジェクト922を表示している液晶パネル210の画素に対応する液晶シャッタ270の画素(つまり図形922aに含まれる画素)の透過率T2を、基準となる透過率より高く、かつ透過率T1よりも低くする。
【0092】
さらに、電子機器1Aは、オブジェクト924を表示している液晶パネル210の画素に対応する液晶シャッタ270の画素(つまり図形924aに含まれる画素)の透過率T3を、基準となる透過率より低くする。なお、T1>T2>T3>0である。
【0093】
このように、電子機器1Aは、飛び出した態様で表示させるオブジェクト922の画像に対して、基準となる光量よりも多くの光量の光を照射する。また、電子機器1Aは、オブジェクト922よりも飛び出し量の多いオブジェクト921の画像に対して、オブジェクト922の画像に対して照射する光の光量よりも多くの光量の光を照射させる。さらに、電子機器1Aは、引っ込んだ態様で表示させるオブジェクト924の画像に対して、基準となる光量よりも少ない光量の光を照射する。つまり、電子機器1は、飛び出し量が多いオブジェクトほど、照射する光の光量を多くし、引っ込み量が多いオブジェクトほど、照射する光の光量を少なくする。
【0094】
それゆえ、電子機器1Aは、3次元画像の明るさを3次元画像毎に設定可能となる。また、電子機器1Aは、バックライトの光量をオブジェクト毎に変更しない構成とは異なり、飛び出した態様で表示するオブジェクトを、飛び出し量に応じた態様で強調表示することができる。さらに、電子機器1Aは、引っ込んだ態様で表示するオブジェクトに対する光量を低下させるため、飛び出した態様で表示するオブジェクトを、より強調して表示することが可能となる。
【0095】
したがって、ユーザは、飛び出し量の多いオブジェクトほど視認しやすくなり、引っ込み量の多いオブジェクトほど視認しにくくなる。
【0096】
図14は、電子機器1Aにおける処理の流れを示したフローチャートである。図14を参照して、ステップS12において、ズレ量測定モジュール18は、CPU10からの指令に応じて、右眼用画像データと左眼用画像データとから、それぞれオブジェクトを抽出する。ステップS14において、ズレ量測定モジュール18は、抽出した互いに対応するオブジェクト同士のズレ量を求める。ステップS16において、LCDコントローラ220Aは、各オブジェクトの液晶パネル210における表示領域に対応する液晶シャッタ270の画素の透過率を、ズレ量に基づき算出する。ステップS18において、LCDコントローラ220Aは、オブジェクトの表示タイミングに合わせて、算出した透過率に基づく光量の光を、液晶シャッタ270より透過させる。
【0097】
<変形例>
(1)上記においては、液晶ディスプレイ20,20Aを内蔵した電子機器1,1Aを例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。たとえば、光量の制御をディスプレイのみで行なってもよい。
【0098】
図15は、液晶ディスプレイ20Bのハードウェア構成を説明するための図である。図15を参照して、液晶ディスプレイ20Bは、情報処理装置700と通信可能に接続されている。情報処理装置は、たとえば、パーソナルコンピュータである。
【0099】
液晶ディスプレイ20Bは、液晶パネル210と、LCDコントローラ220と、バックライト230と、バックライトコントローラ240と、ROM11と、RAM12と、不揮発性メモリ13と、ズレ量測定モジュール18と、データバス23と、プログラムを実行するプロセッサ30と、液晶ディスプレイ20Bのユーザによる指示の入力を受ける操作キー35とを備える。
【0100】
液晶ディスプレイ20Bは、CPU10の代わりにプロセッサ30を備え、操作キー15の代わりに操作キー35を備える。このような構成によっても、液晶ディスプレイ20Bは、実施の形態1における電子機器1の液晶ディスプレイ20と同様の3次元表示を実現できる。
【0101】
図16は、液晶ディスプレイ20Cのハードウェア構成を説明するための図である。図16を参照して、液晶ディスプレイ20Cは、情報処理装置700と通信可能に接続されている。
【0102】
液晶ディスプレイ20Cは、液晶パネル210と、LCDコントローラ220Aと、バックライトコントローラ240Aと、液晶シャッタ270と、バックライト290と、ROM11と、RAM12と、不揮発性メモリ13と、ズレ量測定モジュール18と、データバス23と、プロセッサ30と、操作キー35とを備える。
【0103】
このような構成によっても、液晶ディスプレイ20Bは、実施の形態2における電子機器1Aの液晶ディスプレイ20Aと同様の3次元表示を実現できる。
【0104】
(2)また、3次元画像を用いたゲームなどでは、3次元表示するオブジェクトの座標値、および/またはズレ量等の情報がデータとして、予め与えられている場合がある。このような場合、電子機器1、1Aまたは情報処理装置700は、オブジェクトの抽出、およびズレ量の算出は、必ずしも必要でなくなる。
【0105】
(3)図3(a)および図10に示した曲線をユーザの指示に応じて変更できるように、電子機器1,1A、または、液晶ディスプレイ20B,20Cおよび情報処理装置700からなるシステムを構成することが好ましい。たとえば、飛び出した状態で表示されないオブジェクトに対する光量または透過率を0とすれば、電子機器1,1A等は、飛び出して表示されるオブジェクトのみを黒色の背景に浮き上がらせて表示させることができる。
【0106】
(4)電子機器1,1A等が動画を表示するときには、動画を構成する静止画の全てに対して上述した光量制御を行なう必要はない。たとえば、連続する予め定められた枚数の静止画に1枚の割合で、上述したの光量制御を行なってもよい。
【0107】
今回開示された実施の形態は例示であって、上記内容のみに制限されるものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0108】
1,1A 電子機器、10 CPU、11 ROM、12 RAM、13 不揮発性メモリ、14 画像処理用プロセッサ、15,35 操作キー、16 通信IF、17 電源ユニット、18 ズレ量測定モジュール、19 3D表示用グラフィックエンジン、20,20A,20B,20C 液晶ディスプレイ、22 ICカードリーダライタ、30 プロセッサ、210 液晶パネル、220,220A LCDコントローラ、230,290 バックライト、231 基板、233,292 導光板、240,240A バックライトコントローラ、250,250A 制御部、251,251A 表示制御部、252,252A バックライト制御部、253 シャッタ制御部、270 液晶シャッタ、291 LEDアレイ、300 照明装置、700 情報処理装置、921,922,923,924 オブジェクト、2201 メモリカード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元画像を表示可能な電子機器であって、
液晶パネルと、
前記液晶パネルに対して光を照射する照明装置と、
前記照明装置が照射する光の光量を制御する制御装置とを備え、
前記液晶パネルが飛び出した態様で第1のオブジェクトを表示する場合、前記制御装置は、前記第1のオブジェクトを表示する表示領域に対して、前記第1のオブジェクトの飛び出し量に応じた光量であって、前記飛び出し量が大きいほど多くの光量の光を、前記照明装置に照射させる、電子機器。
【請求項2】
前記液晶パネルが飛び出した態様で前記第1のオブジェクトを表示する場合、前記制御装置は、前記第1のオブジェクトを表示する表示領域に対して、基準となる光量よりも多い光量の光を、前記照明装置に照射させる、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記照明装置は、バックライトであって、
前記バックライトは、複数の発光素子を含み、
前記複数の発光素子は、前記液晶パネルに沿って平面的に配されおり、
前記制御装置は、
前記複数の発光素子のうち、前記第1のオブジェクトを表示する表示領域に対して光を照射する発光素子を判定し、
前記判定された発光素子が発光する光の光量を制御する、請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記照明装置は、均一な光を照射するバックライトと、前記バックライトと前記液晶パネルとの間に配置された液晶シャッタとを備え、
前記制御装置は、前記液晶シャッタによる光の透過率を制御することにより、前記第1のオブジェクトを表示する表示領域に照射する光の光量を制御する、請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項5】
前記液晶シャッタは、複数の画素を含み、
前記複数の画素は、前記液晶パネルに沿ってマトリクス状に配置されており、
前記制御装置は、
前記第1のオブジェクトの表示領域を表したデータに基づき、前記複数の画素のうち、前記表示領域に対応する画素を判定し、
前記判定された画素の光の透過率を変更する、請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記飛び出し量と前記光量との対応関係を示したデータを格納しており、
前記データに基づいて、前記第1のオブジェクトを表示する表示領域に対して照射する光の光量を制御し、
予め定められた指示を受け付けた場合、前記データにおける光量を当該指示に応じた値に変更する、請求項1から5のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記液晶パネルが引っ込んだ態様で第2のオブジェクトを表示する場合、前記制御装置は、前記第2のオブジェクトを表示する表示領域に対して、前記第2のオブジェクトの引っ込み量に応じた光量であって、前記引っ込み量が大きいほど少ない光量の光を、前記照明装置に照射させる、請求項1から6のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記電子機器は、液晶ディスプレイである、請求項1から7のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項9】
3次元画像を表示可能な電子機器における光量制御方法であって、
前記電子機器は、液晶パネルと、前記液晶パネルに対して光を照射する照明装置と、前記照明装置が照射する光の光量を制御する制御装置とを含み、
前記液晶パネルが、飛び出した態様でオブジェクトを表示するステップと、
前記制御装置が、前記オブジェクトを表示する表示領域に対して、前記オブジェクトの飛び出し量に応じた光量であって、前記飛び出し量が大きいほど多くの光量の光を、前記照明装置に照射させるステップとを備える、光量制御方法。
【請求項10】
3次元画像を表示可能な電子機器を制御するためのプログラムであって、
前記電子機器は、プロセッサと、液晶パネルと、前記液晶パネルに対して光を照射する照明装置とを含み、
前記プログラムは、
飛び出した態様でオブジェクトを前記液晶パネルに表示させるステップと、
前記オブジェクトを表示する表示領域に対して、前記オブジェクトの飛び出し量に応じた光量であって、前記飛び出し量が大きいほど多くの光量の光を、前記照明装置に照射させるステップとを、前記プロセッサに実行させる、プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−237834(P2012−237834A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105807(P2011−105807)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】