電子機器、有効な機能の選択方法およびプログラム
【課題】マルチビュー指向性の表示装置を備える電子機器を操作する際に、複数の画面に対応するそれぞれの機能のうち、有効である機能を自動的に選択する電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器は、傾きセンサを有し、前記表示手段の表示を制御する表示制御手段と、情報や指示の入力を検知する検知手段と、前記検知手段からの出力に応じて有効となる機能を選択する機能選択手段とを備えている。ここで、前記検知手段は、傾きセンサの検知結果に基づいて前記電子機器の傾き方向を出力し、前記機能選択手段は、前記検知手段から出力した方向に応じた画面に対応する機能を有効となる機能として選択する。
【解決手段】電子機器は、傾きセンサを有し、前記表示手段の表示を制御する表示制御手段と、情報や指示の入力を検知する検知手段と、前記検知手段からの出力に応じて有効となる機能を選択する機能選択手段とを備えている。ここで、前記検知手段は、傾きセンサの検知結果に基づいて前記電子機器の傾き方向を出力し、前記機能選択手段は、前記検知手段から出力した方向に応じた画面に対応する機能を有効となる機能として選択する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチビュー指向性の表示手段を搭載した電子機器、画面に対して有効となる機能の選択方法およびプログラムに関し、携帯電話やPDAなどの個人で利用される端末や、カーナビやTVに適用して好適である。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルは、二つの基板の間に注入されている異方性誘電率を有する液晶層を有し、その液晶層に印加する電界の強さを調節することで、基板を透過する光の量を調節し、所望の画像を表示させる表示器である。
このような液晶表示パネルは、軽量化、薄型化、低消費電力化等に優れており、携帯電話、カーナビ、PDA(Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータ、テレビ受信機等の身近な機器に限らず、計測機器、医療機器、産業機器全般等の表示器として採用されている。
【0003】
このような液晶表示パネルは、テレビ受信における映像表示に限らず、ビデオ、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disk)等のソース源からの映像表示も可能であるが、あるソース源からの映像を表示しているときに、他のソース源からの映像を表示する場合、入力するソース源をあるソース源から他のソース源に切り替えるようにしている。
【0004】
例えば、マルチ表示機能を搭載した機器では、液晶表示パネルの表示エリアを複数に分割し、それぞれの表示エリアにあるチャンネルの映像と他のソース源からの映像とを表示させることは可能である。ただし、この場合には、それぞれの表示エリアに映し出される映像が同時に見えてしまうため、映し出された映像を集中して見ることができないばかりか、それぞれの表示エリアが小さくなってしまうため、映し出された映像が小さくなってしまうという問題がある。
【0005】
そこで、本出願人が提案した特許文献1に示されているデュアルビューディスプレイ技術を採用することで、表示エリアのサイズを変更することなく、あるソース源からの映像と他のソース源からの映像とを同時に表示させるデュアルビュー表示が可能となる。
即ち、デュアルビュー表示は、見る方向によって異なる画像が視認できるように、2つの視点からの画像をそれぞれ別個に同一画面に表示することである。
【0006】
ここで、デュアルビューディスプレイ技術の基本原理について説明する。デュアルビューディスプレイは、図17に示すように、複数の画素a、bを有する液晶表示パネル1の全面にパララックスバリア(光学系分離素子)2を配置している。パララックスバリア2は、不透明領域によって隔たれた垂直な透光性スリットを複数有するスクリーンである。
【0007】
液晶表示パネル1の画素aを通過した光は、パララックスバリア2の有する透光性スリットを介して、液晶表示パネル1の表示面に対し所定の視野角に位置する視聴者A側に到達する。また、液晶表示パネル1の画素bを透過した光は、パララックスバリア2の有する透光性スリットを介して、液晶表示パネル1の表示面に対し所定の視野角に位置する視聴者B側に到達する。
【0008】
液晶表示パネル1に表示された異なった画像は、パララックスバリア2の複数の透光性スリットによって空間上の規定された領域からしか見えないようにしたものである。これにより、視聴者Aおよび視聴者Bは、各々、異なる画像を見ることが可能となる。
以下、2以上の複数の表示方向から視認可能に表示できる表示手段を、マルチビュー指向性表示手段と呼ぶことにする。
【0009】
ところで、液晶表示パネルを用いた機器にあっては、リモコンの操作に限らず、タッチパネルの操作によって液晶表示パネルに表示される静止画像や動画像を操作することができるものがある。
タッチパネルは、液晶表示パネルの全面に重ね合わされるものであり、液晶表示パネルに表示される動作選択の指示に応じた例えばバーやキースイッチ等が表示されるタッチ操作画面にタッチすることで、タッチ操作コントロールを行うことができる。
つまり、タッチ操作画面の内容そのものがスイッチとなり、直感的な操作が行えるというものであり、視認性と操作性との向上が図れるばかりか、多彩な機能を自在にコントロールすることも可能とされる。なお、タッチパネルの方式としては、電磁誘導式、電気抵抗式、静電容量式、感圧式等が知られている。
【0010】
このような特許文献1のデュアルビューディスプレイ技術を用いて表示させた各映像に対し、キーやリモコンやタッチパネル等で操作を行う場合、いずれの映像に対しての操作であるかを認識させる必要がある。
例えば、特許文献2の表示装置では、タッチパネルに視聴者Aタッチ専用エリア及び視聴者Bタッチ専用エリアを設けるとともに、タッチパネルによって検出されたタッチ位置の座標データに基づき、視聴者Aタッチ専用エリアまたは視聴者Bタッチ専用エリアのいずれがタッチされたかの判断が行われ、タッチされた視聴者Aタッチ専用エリアまたは視聴者Bタッチ専用エリアに対応する映像を認識して表示動作を制御する。これにより、デュアルビュー表示において、タッチ操作がいずれの映像に対して有効であるかの判断を容易かつ確実に行うことができる。
【0011】
また、特許文献3の表示装置は、リモコン位置検出センサによって検出されたリモコンの位置に対応する映像を認識し、その認識結果の映像を遠隔操作するようにした。これにより、リモコンによる遠隔操作を各映像に対応させるための選択操作が不要となった。
【0012】
また、特許文献4の表示装置は、第1視野角方向から視認できる画像およびアイコンと、第2視野角方向から視認できる画像およびアイコンとを同時表示し、ユーザが指示する位置に表示されたアイコンに定義された命令に従って、表示手段に供給するデータを制御するようにした。これにより、各視野角方向から視認できる画像に適した操作を行なうことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2003−177357号公報
【特許文献2】特開2005−71286号公報
【特許文献3】特開2005−73076号公報
【特許文献4】特開2005−284592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、タッチパネルを用いた特許文献2や4の技術では、それぞれの画面用の専用エリアやアイコンを設けて、選択したエリアやアイコンに対応する画面への操作であることを識別するようにしている。しかし、それぞれの画面用のエリアやアイコンを設けているため、操作範囲が限られたものとなっている。
【0015】
また、リモコンを用いた特許文献3の技術では、検出したリモコンの操作位置により、いずれの画面に対して操作しているのかを識別するようにしている。しかし、いずれの画面が操作対象であるかを常に意識して、1つのリモコンを移動させたり、または、画面に対応する複数のリモコンを用意して操作しなければならず、操作が面倒である。
【0016】
本発明は、上述の実情を考慮してなされたものであって、マルチビュー指向性表示手段を用いた電子機器を操作(キー入力、音声制御、画像制御等)する際に、複数の画面に対応する電子機器の機能のうち、有効となる機能を自動的に選択する電子機器およびその選択方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、複数の方向に異なる画面を同時に表示可能なマルチビュー指向性の表示手段を有する電子機器であって、傾きセンサと、該傾きセンサが検知する傾き方向に応じた画面に対応する機能を有効とする機能選択手段を備えることを特徴としたものである。
【0018】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記傾きセンサが検知する傾き方向は、前記表示手段における指向性方向であることを特徴としたものである。
【0019】
第3の技術手段は、第1または第2のいずれかの技術手段において、通信手段と、前記通信手段での着信を報知する着信報知手段とを備え、前記着信報知手段は、有効になっている機能に対応する画面に着信報知することを特徴としたものである。
【0020】
第4の技術手段は、電子機器におけるマルチビュー指向性の表示手段に表示される複数の方向に応じた画面に対応する有効な機能の選択方法であって、傾きセンサを備え、前記傾きセンサの検知結果を取得する検知工程と、前記検知工程で取得される傾きに応じて有効となる機能を選択する機能選択工程とを含むことを特徴としたものである。
【0021】
第5の技術手段は、コンピュータに第4の技術手段に記載の方法を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、マルチビュー指向性の表示装置を備える電子機器を操作(キー入力、音声制御、音声出力の指向性制御、画像制御等)する際に、複数の画面に対応するそれぞれの機能のうち、有効となる機能が自動的に選択されるので、利用者が手動で操作画面を切り替える必要がなくなり、利便性の向上が図れる。
また、非選択状態になっている機能に対応する画面の表示をクリアスクリーンやOFFにすることにより、表示内容のセキュリティを保つことができ、さらに、表示手段を動作させないので電力の消費を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】カメラを使った場合の検知対象のある方向を決定する方法を説明する図である。
【図2】RFIDを使った場合の検知対象のある方向を決定する方法を説明する図である。
【図3】小型電子機器に搭載された傾きセンサを使った場合の検知対象のある方向を決定する方法を説明する図である。
【図4】機能が選択状態となった画面と機能が非選択状態である画面との区別を説明する図である。
【図5】複数の利用者の中から機能を操作できる特定の人を決定する方法を説明する図である。
【図6】実施形態1に係る電子機器のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図7】実施形態1に係る電子機器の機能構成を示すブロック図である。
【図8】検知部の処理を説明するフローチャートである。
【図9】機能リストのデータ例を示す図である。
【図10】実施形態2に係る電子機器の機能構成を示すブロック図である。
【図11】有効となる機能の選択処理を説明するフローチャートである。
【図12】実施形態3に係る電子機器のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図13】実施形態3に係る電子機器の機能構成を示すブロック図である。
【図14】有効となる機能の選択処理を説明するフローチャートである。
【図15】実施形態4に係る電子機器のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図16】通信機能に係る機能構成を示すブロック図である。
【図17】デュアルビューディスプレイ技術の基本原理について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の電子機器に係る好適な実施形態について説明する。
【0025】
まず、本発明の概要を説明する。
本発明の電子機器は、見る方向によって異なる画像が視認できるように、2つの視点からの画像をそれぞれ別個に同一画面に表示可能なマルチビュー指向性の表示手段を搭載しており、検知対象(例えば、利用者や、帽子やワッペンなどのモノや、動植物等)がある方向を検知して、この検知結果から有効となる機能を選択する。
そして、有効となった機能(例えば、アプリケーションプログラム)に対する入出力制御等が行えるようになる。この入出力制御の例としては、タッチパネルやカーソルキーなどのキー操作、音声入出力制御、音声出力の指向性制御、および、画像入出力制御などである。
ここで、検知対象のある方向は、次のようにして判断する。
【0026】
(a)カメラを用いる。
例えば、図1(A)のように表示手段が左右の2画面をマルチビュー表示可能であり、それぞれの画面に音楽アプリケーションとメールソフトが表示されている。利用者は、位置Aからは音楽アプリケーションの画面が確認でき、位置Bからはメールソフトのメール内容が確認できる。
そして、検知対象(利用者)が表示手段のいずれの方向にあるかを撮影するカメラを表示手段の中央に設置しておく。このカメラの撮影画像には、図1(B)のように、位置Aにある検知対象(利用者)の画像が右に、位置Bにある検知対象(利用者)の画像が左に映っている。
図1(C)のように、カメラで撮影した画像の右側に検知対象(利用者)が写っていれば、図1(D)のように、位置Aから見た画面に対応する機能が有効となり、音楽の音量調整等ができるようになる。
【0027】
逆に、カメラで撮影した画像の左側に検知対象(利用者)が写っていれば、位置Bから見た画面に対応する機能が有効となり、メールソフトの操作等ができるようになる。
また、検知対象を利用者ではなく、特定のモノ(例えば、帽子やワッペン等)としておき、検知対象を位置Aに置くことにより位置Aから見た画面に対応する機能を有効としておき、利用者が位置Bに移動することにより、位置Bからメールの内容を見ることができる。
【0028】
(b)RFIDを貼付した検知対象を用いる。
例えば、図2(A)のように表示手段が左右の2画面をマルチビュー表示可能であり、それぞれの画面に音楽アプリケーションとメールソフトが表示されている。利用者は、位置Aからは音楽アプリケーションの画面が確認でき、位置Bからはメールソフトのメール内容が確認できる。
そして、RFIDを貼付したIDカード(検知対象)を読み取るリーダをそれぞれの画面を見る利用者の側に設置しておく。この場合には、表示手段の右側と左側に2つのリーダを設置するが、リーダと表示手段とを一体として設けても、あるいは、別体として設けてもよい。
【0029】
次に、利用者が音楽アプリケーションを操作したい場合を考える。
図2(B)のように、利用者は、RFIDを貼付したIDカード(検知対象)を所持して位置Aへ移動すると、右側のリーダが利用者のIDカード(検知対象)を読み取り、右側の画面に対応する機能が有効となり、音楽の音量調整等ができるようになる。
逆に、利用者がIDカード(検知対象)を所持して表示手段の左側に移動すると、左側のリーダが利用者のIDカード(検知対象)を読み取り、左側の画面に対応する機能が有効となり、メールソフトの操作等ができるようになる。
また、このRFIDを貼付した検知対象を用いる場合、検知対象だけを左右のリーダの読取範囲に移動させることによって、利用者は移動することなく、利用者がいる位置の反対側の画面に対する機能を有効にすることもできる。
【0030】
(c)小型電子機器に搭載された傾きセンサを用いる。
例えば、図3に例示されるような、左右の2画面をマルチビュー表示可能な表示手段を有した小型電子機器において、当該小型電子機器から見て右側方向の画面に音楽アプリケーションが、左側方向の画面にメールソフトが表示されているとする。このとき、利用者が小型電子機器を右側に傾けると、音楽アプリケーションの画面を、左側に傾けるとメールソフトの画面を見ることができる。この小型電子機器に傾きセンサを搭載した場合、小型電子機器が左右どちら側に傾けられているかを検知できるので、諸機能を有効にする画面を自動的に判断できる。
この例の場合、小型電子機器を右側に傾ければ、傾きセンサが小型電子機器は右側に傾けられた、つまり、利用者は音楽アプリケーションを表示している画面を見ている、と判断し、音楽アプリケーションの操作ができるようになる。逆に、小型電子機器を左側に傾ければ、傾きセンサが小型電子機器は左側に傾けられた、つまり、利用者はメールソフトを表示している画面を見ている、と判断し、メールソフトの操作ができるようになる。
【0031】
上記のように、有効となった機能に対する画面と、次のいずれかあるいは組み合わせて有効でない機能に対する画面と区別つくようにしてもよい(図4)。
・有効となった機能に対する画面の枠の色を識別可能に表示する(図4(A))。
・有効となった機能に対する画面の枠の太さを識別可能に表示する(図4(B))。
・有効となった機能に対する画面に、区別がつくようなアイコン、絵、文字、記号等を表示する(図4(C))。これらの表示位置や大きさは、自由に設定可能である。
・カメラで検知対象を撮影する場合、有効となった機能に対する画面の一部分として、撮影した検知対象を表示する(図4(D))。この表示位置や大きさは、自由に設定可能である。
【0032】
さらに、図5のように、複数人で複数のマルチビュー画面を見ているときにはどちらの画面に対して操作を可能とするか決定する必要がある。そのために、検知対象を認証することにより操作可能な画面を特定する。この場合には、検知対象を認証対象ということにする。
しかし、複数の認証対象が認証された場合には、認証対象に優先順位を付けておき、優先順位の高い認証対象を選択するようにする。
【0033】
例えば、認証対象を特定の人物またはモノ(帽子やワッペンや動植物等)としておき、カメラで撮影した画像の中から特定の人物またはモノを認証することにより、認証対象が映っている画面に対する操作が可能になる。
【0034】
また、認証が否認されたときには、表示手段の全ての画面に対応する機能を無効とし、これらの機能を操作できないようにできる。
また、認証された認証対象を図4(D)のように、操作可能になった画面の一部として表示してもよい。この表示により、認証されたものが何であるかがわかり易くなる。この表示位置や大きさは、固定であってもよいし、予め自由に設定されてもよい。
【0035】
また、電子機器が通信機能を有している場合、作業中や視聴中の画面に対して着信を報知してしまうと、作業や視聴の妨げになってしまう。
このためには、選択状態や非選択状態となっている画面を自動的に判断し、各画面で有効となっている機能に応じて、選択状態となっている画面、非選択状態となっている画面、あるいは、両方の画面のいずれかに着信を報知する。
【0036】
例えば、メールが着信したことを利用者に報知する場合、利用者が選択状態となっている画面で映画鑑賞をしていれば、報知メッセージがこの画面上に表示されると鑑賞しづらくなるため、着信報知を非選択状態となっている画面に報知するようにする。
しかし、非選択状態となっている画面に報知メッセージを表示させるだけでは、利用者が気付かない可能性もあるので、選択状態となっている画面にも報知メッセージを表示させたり、あるいは、音を鳴らして着信報知を気付かせるようにしてもよい。
【0037】
また、例えば、利用者が非選択状態となっている画面では映画鑑賞をしており、選択状態となっている画面では音楽鑑賞をしているのであれば、報知メッセージを非選択状態となっている画面上に表示すると映画鑑賞し辛くなるため、着信報知を選択状態となっている画面に報知するようにする。
しかし、選択状態となっている画面に報知メッセージを表示させるだけでは、利用者が気付かない可能性もあるので、非選択状態となっている画面にも報知メッセージを表示させたり、あるいは、音を鳴らして着信報知を気付かせるようにしてもよい。
【0038】
さらに、利用者が1人の場合には、利用者が見ていない画面はOFFにしておいてもよい。これにより、表示手段を動作させないので電力の消費を減らすことができる。
【0039】
<実施形態1>
まず、本実施形態1の電子機器として、携帯型の電子機器を例にして1人で利用する場合について説明する。ここで、携帯型の電子機器の例として、マルチビュー指向性表示手段を搭載した携帯電話を用いて説明するが、例えばPDAのように携帯型であってマルチビュー指向性表示手段を搭載した電子機器であれば、本発明を同様に適用することができる。
【0040】
図6は、本実施形態1に係る電子機器のハードウェア構成を示すブロック図である。同図において、電子機器は、主制御部10、記憶部13、操作部14、外部入出力I/F15、撮影部16、画像処理部17、表示制御部18、マルチビュー指向性表示部19、マイク20、スピーカ21を備えている。
【0041】
主制御部10は、記憶部13に記憶された所定の制御プログラムを実行することにより、例えば、操作や表示等の入出力制御等の当該電子機器全体の動作を制御する。
【0042】
記憶部13は、例えば、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)などで構成され、主制御部10で実行される制御プログラム、各種アプリケーションプログラムやデータを格納したり、制御プログラムや各種アプリケーションプログラムが実行時に一時的にデータ等を格納する。
【0043】
操作部14は、各種ファンクションや文字や数字等を入力するためのボタンやスイッチを備えており、電源、各種データ入力ボタン等を指示するためのボタン、カーソルを上下左右に移動させるスクロール、表示された内容の決定等の多機能ボタン等を備えている。そして、利用者が何らかのボタンやスイッチを操作する度に、どのボタンやスイッチが操作されたかが主制御部10に通知される。
【0044】
外部入出力I/F15は、外部に備えるテレビ、ビデオ、CD、DVD等からソースデータを取り込む機器インタフェースであり、また、当該電子機器からデータを外部機器へ書き出す機器インタフェースである。
【0045】
撮影部16は、当該電子機器に付けられたレンズを介して外界の光をCCD等に取り込んで光電変換して外部画像を取得し、画像処理部17は、撮影部16で取り込まれた外部画像を予め設定された撮影条件に基づいて画像処理を行って主制御部10へ送信する。
この撮影部16は、当該電子機器に搭載されたものでもよいし、外部インタフェースを介して当該電子機器に接続され、検知対象を撮影可能なものであればよい。
【0046】
表示制御部18は、マルチビュー表示の各画面に対応した表示ドライバを有しており、主制御部10から指示された画面に対応した表示ドライバを起動して、マルチビュー表示となるように処理して、マルチビュー指向性表示部19に送信する。ここで、マルチビュー表示の処理は、上述のデュアルビューディスプレイ技術を用い、複数の視野角方向からそれぞれ別の画面を見られるような画素配分となるように画像処理することである。
【0047】
マルチビュー指向性表示部19は、液晶表示パネルおよびパララックスバリヤ(光学系分離素子)を備えており、表示制御部18を介して送られてくる入力情報や処理の中間・結果・警報等をマルチビュー表示して、利用者に伝達する。
この液晶表示パネルは、二つの基板の間に注入されている異方性誘電率をもつ液晶層を有し、その液晶層に印加される電界の強さに応じて基板を透過するバックライトからの光の量を調節し、所望の映像を表示させる。また、パララックスバリヤは、液晶表示パネルの全面に重ね合わされるものであり、不透明領域によって隔たれた垂直な透光性スリットを複数有するスクリーンである。
【0048】
マイク20は、マイクロフォンが設置された周辺の音や音声を集音して、所定方式で符号化して主制御部10に送信する。
スピーカ21は、マイク20で集音した音や、アプリケーションの処理過程で出力される音を出力する。また、このスピーカ21を超指向性のスピーカとすることで、マルチビュー表示のそれぞれの画面に応じた音のみを出力して、利用者に伝達させることが可能である。また、スピーカ21は、ヘッドホンやイヤホン等を用いてもよい。
【0049】
図7は、本実施形態1に係る電子機器の機能構成を示すブロック図である。同図において、電子機器は、検知部31、機能選択部32、制御部33、表示制御部34、マルチビュー指向性表示部35、機能リスト36、機能37を備えている。
ここで、表示制御部34およびマルチビュー指向性表示部35は、それぞれ上述した表示制御部18およびマルチビュー指向性表示部19と同じ機能である。
機能371〜nは、それぞれ現在実行中のアプリケーションに対応しており、マルチビュー表示がなされている。
【0050】
検知部31は、操作部14、外部入出力I/F15、撮影部16、マイク20等、例えば、キー、タッチパネル、赤外線センサ、人感センサ、RFID等の電波を用いた無線、音声入力あるいはカメラ等からの情報を受け付ける。
ここで、マルチビュー表示の前面にタッチパネルを設けた場合には、画面とタッチセンサーとの視差ズレが起きるため、マルチビュー表示画面と利用者の位置関係が変化した場合に、タッチパネルと表示画面の位置関係を調整する必要がある。
【0051】
検知部31の処理機能について、撮影部16からの情報を受け付ける場合について、図8のフローチャートを用いて説明する。
検知部31は、撮影部16を動作させて撮影し(ステップS1)、画像中から検知対象を検出し(ステップS2)、この検知対象が存在する撮影画像の位置から検知対象のある方向を決定して、この方向に対応する画面を決定し(ステップS3)、画面を識別する画面識別子を出力する(ステップS4)。
【0052】
また、赤外線センサ、人感センサ、RFID等の電波を用いた無線、音声による検知でも、これらから入力した情報に基づいて、検知対象がある方向を決定して、その方向に対応する画面を決定することができる。
【0053】
次に、機能リスト36は、マルチビュー表示の各画面に対応する機能371〜nが選択状態にあるか、または、非選択状態にあるかを記憶するテーブルである。このテーブルには、各機能ごとに、機能37を識別する機能識別子、この機能に対応している方向あるいは画面の識別子、および、選択状態/非選択状態を示すフラグとが記憶され、機能が起動されるときに登録され、機能の実行が終了すると解放される。
図9は、機能リスト36のデータ例であり、4つの機能(音楽アプリケーション、ビデオアプリケーション、Webブラウザ、メールソフト)と、それらを操作する画面の識別子、およびこれらの機能が選択状態か非選択状態かを示すフラグが記憶されている。ここでは、画面識別子=1の画面で音楽アプリケーションが有効機能として選択状態となっており、他の機能は非選択状態になっていることを示している。
【0054】
機能選択部32は、検知部31から出力された画面識別子を受信して、機能リスト36を参照して、同じ画面識別子を持つ機能識別子を検索する。そして、検索された機能識別子を出力するとともに、検索された機能のフラグを「選択状態」にし、現在選択状態の機能を「非選択状態」にする。
例えば、図9の機能リスト36において、検知部31から画面識別子=4が出力された場合、音楽アプリケーションを非選択状態にし、メールソフトを選択状態にして、機能識別子(メールソフト)を出力する。
【0055】
制御部33は、機能選択部32で出力された機能識別子に対応する機能37に対して入出力制御を有効にする。
例えば、入出力制御としては、次のものがある。
・操作部14のカーソルキー等のキー操作を行う。
・マイク20、スピーカ21や外部入出力I/F15等の音声入出力制御を行う。
・撮影部16やマルチビュー指向性表示部19等の画像入出力制御を行う。
・記憶部13への入出力制御を行う。
・スピーカ21の出力の指向性制御を行う。
【0056】
また、表示制御部32では、非選択状態となっている機能に対する画面をクリアスクリーンとしたり、非選択状態となっている機能に対する画面への出力をOFFにするようにしてもよい。
また、表示制御部32では、選択状態の機能に対する画面に対して、次のいずれかあるいは組み合わせて非選択状態の機能に対する画面と区別つくように出力してもよい(図4)。
・選択状態の機能に対する画面の枠の色を識別可能に表示する(図4(A))。
・選択状態の機能に対する画面の枠の太さを識別可能に表示する(図4(B))。
・選択状態の機能に対する画面に、区別がつくようなアイコン、絵、文字、記号等を表示する(図4(C))。これらの表示位置や大きさは、自由に設定可能である。
・カメラで検知対象を撮影する場合、選択状態の機能に対する画面の一部分として、撮影した検知対象を表示する(図4(D))。この表示位置や大きさは、自由に設定可能である。
【0057】
以上のような構成により、マルチビュー指向性表示装置を備える電子機器を操作(キー入力、音声制御、音声出力の指向性制御、画像制御等)する際に、複数の画面に対応するそれぞれの機能のうち、有効となる機能が自動的に選択されるので、利用者が手動で操作画面を切り替える必要がなくなり、利便性の向上が図れる。
また、非選択状態になっている機能に対応する画面の表示をクリアスクリーンやOFFにすることにより、表示内容のセキュリティを保つことができ、さらに、表示手段を動作させないので電力の消費を減らすことができる。
【0058】
<実施形態2>
次に、本実施形態2の電子機器として、前面にタッチパネルを備えたマルチビュー指向性表示装置とこれを操作するPCを用いて説明するが、この代わりにマルチビュー指向性のテレビジョン受信装置等としても容易に適用可能である。
【0059】
本実施形態2に係る電子機器のハードウェア構成は、実施形態1の図6と同一である。
【0060】
図10は、本実施形態2に係る電子機器の機能構成を示すブロック図である。同図において、電子機器は、検知部31、機能選択部32、制御部33、表示制御部34、マルチビュー指向性表示部35、機能リスト36、機能37を備えている。同図において、上述した実施形態1の図7と同一部分については同一の符号を付して、説明を省略する。図10において、図7と異なる点は、検知部31に撮影部311(撮影部16と同じもの)、画像認証部312、認証ファイル313を備えた点である。
【0061】
次に、検知対象(以下、本実施形態2では認証対象と言う。)が複数個ある場合に、その中から特定の認証対象を決定する検知部31について説明する。
複数個の認証対象を対象とした場合、認証システムを利用して、1つの認証対象をこの中から特定する。
【0062】
予め、認証対象ごとに下記のデータを格納した認証ファイル313を用意する。
認証対象識別子:認証対象を識別するための識別子である。
認証画像:認証対象の撮影画像であり、撮影部311で撮影した画像の中に、この認証画像があるかを調べる。
優先度:認証対象が複数個発見されたときに、優先度の高い認証対象を認証したものとする。
【0063】
画像認証部312は、撮影部311の動作を開始させ、撮影した認証対象の画像が認証ファイル313に登録されているかを検索する。
検索結果が1つの場合には、検索された認証対象識別子を出力する。
検索結果が複数の場合には、検索結果のうち優先度の最も高い認証対象の識別子を出力する。
また、検索結果が1つもない場合には、認証対象がないことを出力する。
【0064】
検知部31では、画像認証部312から出力された認証対象識別子に対応する認証画像を、撮影部311で撮影された画像中から抽出し、この認証対象が存在する撮影画像の位置から認証対象のある方向を決定して、この方向に対応する画面を決定し、画面を識別する画面識別子を機能選択部32に出力する。
【0065】
また、検知部31では、画像認証部312から「認証対象が存在しない」という出力があった場合、「全ての画面への出力を非表示とする」ことを制御部33へ出力し、制御部33では、マルチビュー表示の全ての画面への出力を非表示(クリアスクリーン)にする。
【0066】
次に、有効となる機能の選択処理を図11のフローチャートを用いて説明する。
撮影部311により画像を取得し(ステップS11)、撮影した認証対象の画像が認証ファイル313に登録されているかを検索する(ステップS12)。
ここで、複数の認証対象が登録されていた場合、最も高い優先度を持つ認証対象が認証されたものとする。
【0067】
認証が成功した場合(ステップS13/YES)、認証された認証対象識別子に対応する認証画像を、撮影部311で撮影された画像中から抽出する(ステップS14)。
次に、この認証された認証対象が存在する撮影画像の位置から認証対象のある方向を決定して、この方向に対応する画面の画面識別子を決定する(ステップS15)。
【0068】
機能リスト36を参照して、画面識別子に対応する機能を有効機能として選択する(ステップS16)。
ここで、画面識別子で示される画面を、次のいずれかあるいは組み合わせて非選択状態になっている機能に対する画面と区別つくようにしてもよい(図4)。
・画面識別子で示される画面の枠の色を識別可能に表示する(図4(A))。
・画面識別子で示される画面の枠の太さを識別可能に表示する(図4(B))。
・画面識別子で示される画面に、区別がつくようなアイコン、絵、文字、記号等を表示する(図4(C))。これらの表示位置や大きさは、自由に設定可能である。
・画面識別子で示される画面の一部分として認証対象を表示する(図4(D))。この表示位置や大きさは、自由に設定可能である。
【0069】
一方、認証が否認されるか、あるいは、認証対象が存在しない場合(ステップS13/NO)、否認処理としてマルチビュー表示の全ての画面への出力を非表示(クリアスクリーン)にする(ステップS17)。
【0070】
これにより、予め登録しておいた特定の認証対象に限定して、この認証対象のある方向に応じて有効な機能を選択することができる。
【0071】
<実施形態3>
次に、本実施形態3では、マルチビュー指向性表示手段と傾きセンサとを備える携帯型の電子機器を対象にして説明する。
例えば、携帯電話のような電子機器を利用する場合、利用者は通常手に持った電子機器を顔より若干下に持って利用するので、表示画面は斜め上または上を向いて利用される場合が多い。したがって、本実施形態3では、例えば、表示手段が左右の2画面をマルチビュー表示可能な場合に、表示画面の垂直方向への傾きを検知して、右側に傾けられたときは左側の画面に表示されているアプリケーションが視認可能となるので、同アプリケーションの諸機能の操作を可能とし、左側に傾けたときはその逆に右側の画面に表示されているアプリケーションが視認可能となるので、同アプリケーションの諸機能の操作を可能とする例に基づいて説明する。
【0072】
図12は、本実施形態3に係る電子機器のハードウェア構成を示すブロック図である。同図において、電子機器は、主制御部10、記憶部13、操作部14、外部入出力I/F15、表示制御部18、マルチビュー指向性表示部19、マイク20、スピーカ21、傾きセンサ24を備えている。図12において、上述した実施形態1の図6と同一部分については同一の符号を付して、説明を省略する。図12において、図6と異なる点は、当該電子機器の傾きを回転角や加速度により検出し、主制御部10へ通知する傾きセンサ24を備えた点である。
【0073】
図13は、本実施形態3に係る電子機器の機能構成を示すブロック図である。同図において、電子機器は、傾きセンサ38、機能選択部32、制御部33、表示制御部34、マルチビュー指向性表示部35、機能リスト36、機能37を備えている。同図において、上述した実施形態1の図7および実施形態2の図10と同一部分については同一の符号を付して、説明を省略する。この傾きセンサ38は、上記の傾きセンサ24と同じものである。
【0074】
次に、図14のフローチャートを用いて、機能選択部32の処理を説明する。
当該電子機器が傾けられると、傾きセンサ38から当該電子機器の傾き情報を取得する(ステップS21)。
機能選択部32は、傾きセンサ38から取得した傾き情報から傾きの方向を決定し、この方向に対応する画面の画面識別子を決定して、機能リスト36を参照して、決定した画面識別子に対応する機能を有効となる機能として選択する(ステップS22)。
【0075】
これにより、マルチビュー指向性の表示装置を備える電子機器を操作(キー入力、音声制御、音声出力の指向性制御、画像制御等)する際に、複数の画面に対応するそれぞれの機能のうち、有効となる機能が自動的に選択されるので、利用者が手動で操作画面を切り替える必要がなくなり、利便性の向上が図れる。
【0076】
<実施形態4>
本実施形態4は、上述した実施形態1乃至3のいずれかの電子機器に通信機能が備えられていた場合である。
図15は、本実施形態4に係る電子機器のハードウェア構成を示すブロック図である。同図において、電子機器は、主制御部10、通信I/F11、通信制御部12、記憶部13、操作部14、外部入出力I/F15、撮影部16、画像処理部17、表示制御部18、マルチビュー指向性表示部19、マイク20、スピーカ21を備えている。この実施形態4の構成は、実施形態1の電子機器に通信機能が搭載された場合のハードウェア構成であるが、実施形態2および実施形態3のハードウェア構成に、通信I/F11、通信制御部12を備えるようにしても同様に適用することができる。
同図において、上述した実施形態1の図6および実施形態3の図12と同一部分については同一の符号を付して、説明を省略する。
【0077】
主制御部10は、記憶部13に記憶された所定の制御プログラムを実行することにより、例えば、無線通信の制御、操作や表示等の入出力制御等の当該電子機器全体の動作を制御する。
通信I/F11は、無線電波を介して基地局(図示しない)を介して無線通信を行うときのインタフェースであり、通信制御部12は、受信時には通信I/F11を介して受信したデータを復調し、所定の通信プロトコルに基づいて主制御部10に送り、また、送信時には主制御部10から所定の通信プロトコルに基づいて送られたデータを変調して増幅し、通信I/F11を介して基地局に送信する。この通信により、音声電話通信を行ったり、電子メールの送受信や情報提供サイトのコンテンツを閲覧したり、コンテンツをダウンロードする等のデータ通信が行える。
【0078】
操作部14は、各種ファンクションや文字や数字等を入力するためのボタンやスイッチを備えており、電源、各種データ入力ボタン、通信の開始や終了等を指示するためのボタン、カーソルを上下左右に移動させるスクロール、通信網との接続指示、表示された内容の決定等の多機能ボタン等を備えている。そして、利用者が何らかのボタンやスイッチを操作する度に、どのボタンやスイッチが操作されたかが主制御部10に通知される。
【0079】
スピーカ21は、通信I/F11で受信した音声や、アプリケーションの処理過程で出力される音を出力する。また、このスピーカ21を聴指向性のスピーカとすることで、デュアルビュー表示のそれぞれのビューに応じた音のみを出力して、利用者に伝達させることが可能である。あるいは、スピーカをヘッドホンやイヤホン等としてもよい。
【0080】
図16は、本実施形態4に係る電子機器の機能構成のうち通信機能に係る部分を示すブロック図であり、その他の部分は、上述した実施形態1の機能構成と同じであるから、ここでは相違点のみ説明する。
【0081】
本実施形態4に係る電子機器のように、通信機能を有している場合、着信の報知を次のいずれかで行うことにより、作業中や視聴中の妨げにならないようにして着信があったことを知らせることができる。
【0082】
通信機能では、着信があると着信情報(送信相手情報、緊急性、タイトル等)を取得して、それらを着信報知部39へ送る。
着信報知部39では、機能リスト36を参照して、次の処理を行う。
【0083】
(1)着信情報を表示制御部34に送信して、選択状態となっている機能に対応する画面に表示して着信報知させる。
これにより、作業中や視聴中であっても着信があったことを知ることができる。
(2)着信情報を表示制御部34に送信して、非選択状態となっている機能に対応する画面に表示して着信報知させる。
これにより、作業中や視聴中の妨げにならなくなる。しかし、非選択状態となっている画面に着信を報知すると、着信したことが利用者に分からない場合もあるので、着信報知部39は、着信音をスピーカ21にも報知する。
(3)着信情報を表示制御部34に送信して、選択状態となっている機能に対応する画面および非選択状態となっている機能に対応する画面の両方に表示して着信報知させる。
これにより、選択状態となっている画面では作業中であり手が離せなくても、非選択状態となっている画面を見ている他の利用者により着信処理を行えるようになる。
【0084】
以上のような実施形態の構成により、マルチビュー指向性の表示装置を備える電子機器を操作(キー入力、音声制御、音声出力の指向性制御、画像制御等)する際に、複数の画面に対応するそれぞれの機能のうち、有効となる機能が自動的に選択されるので、利用者が手動で操作画面を切り替える必要がなくなり、利便性の向上が図れる。
また、非選択状態となっている機能に対応する画面の表示をクリアスクリーンやOFFにすることにより、表示内容のセキュリティを保つことができ、さらに、表示手段を動作させないので電力の消費を減らすことができる。
【0085】
尚、本発明の実施形態は、上記の電子機器の各機能をコンピュータプログラム化し、このコンピュータプログラムを電子機器へインストールして実行することでも実現できる。
【0086】
また、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で各種の変形、修正が可能であるのは勿論である。
【符号の説明】
【0087】
1…液晶表示パネル、2…パララックスバリア、10…主制御部、11…通信I/F、12…通信制御部、13…記憶部、14…操作部、15…外部入出力I/F、16…撮影部、17…画像処理部、18,34…表示制御部、19,35…マルチビュー指向性表示部、20…マイク、21…スピーカ、24,38…傾きセンサ、31…検知部、311…撮影部、312…画像認証部、313…認証ファイル、32…機能選択部、33…制御部、36…機能リスト、37,371〜n…機能、39…着信報知部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチビュー指向性の表示手段を搭載した電子機器、画面に対して有効となる機能の選択方法およびプログラムに関し、携帯電話やPDAなどの個人で利用される端末や、カーナビやTVに適用して好適である。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルは、二つの基板の間に注入されている異方性誘電率を有する液晶層を有し、その液晶層に印加する電界の強さを調節することで、基板を透過する光の量を調節し、所望の画像を表示させる表示器である。
このような液晶表示パネルは、軽量化、薄型化、低消費電力化等に優れており、携帯電話、カーナビ、PDA(Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータ、テレビ受信機等の身近な機器に限らず、計測機器、医療機器、産業機器全般等の表示器として採用されている。
【0003】
このような液晶表示パネルは、テレビ受信における映像表示に限らず、ビデオ、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disk)等のソース源からの映像表示も可能であるが、あるソース源からの映像を表示しているときに、他のソース源からの映像を表示する場合、入力するソース源をあるソース源から他のソース源に切り替えるようにしている。
【0004】
例えば、マルチ表示機能を搭載した機器では、液晶表示パネルの表示エリアを複数に分割し、それぞれの表示エリアにあるチャンネルの映像と他のソース源からの映像とを表示させることは可能である。ただし、この場合には、それぞれの表示エリアに映し出される映像が同時に見えてしまうため、映し出された映像を集中して見ることができないばかりか、それぞれの表示エリアが小さくなってしまうため、映し出された映像が小さくなってしまうという問題がある。
【0005】
そこで、本出願人が提案した特許文献1に示されているデュアルビューディスプレイ技術を採用することで、表示エリアのサイズを変更することなく、あるソース源からの映像と他のソース源からの映像とを同時に表示させるデュアルビュー表示が可能となる。
即ち、デュアルビュー表示は、見る方向によって異なる画像が視認できるように、2つの視点からの画像をそれぞれ別個に同一画面に表示することである。
【0006】
ここで、デュアルビューディスプレイ技術の基本原理について説明する。デュアルビューディスプレイは、図17に示すように、複数の画素a、bを有する液晶表示パネル1の全面にパララックスバリア(光学系分離素子)2を配置している。パララックスバリア2は、不透明領域によって隔たれた垂直な透光性スリットを複数有するスクリーンである。
【0007】
液晶表示パネル1の画素aを通過した光は、パララックスバリア2の有する透光性スリットを介して、液晶表示パネル1の表示面に対し所定の視野角に位置する視聴者A側に到達する。また、液晶表示パネル1の画素bを透過した光は、パララックスバリア2の有する透光性スリットを介して、液晶表示パネル1の表示面に対し所定の視野角に位置する視聴者B側に到達する。
【0008】
液晶表示パネル1に表示された異なった画像は、パララックスバリア2の複数の透光性スリットによって空間上の規定された領域からしか見えないようにしたものである。これにより、視聴者Aおよび視聴者Bは、各々、異なる画像を見ることが可能となる。
以下、2以上の複数の表示方向から視認可能に表示できる表示手段を、マルチビュー指向性表示手段と呼ぶことにする。
【0009】
ところで、液晶表示パネルを用いた機器にあっては、リモコンの操作に限らず、タッチパネルの操作によって液晶表示パネルに表示される静止画像や動画像を操作することができるものがある。
タッチパネルは、液晶表示パネルの全面に重ね合わされるものであり、液晶表示パネルに表示される動作選択の指示に応じた例えばバーやキースイッチ等が表示されるタッチ操作画面にタッチすることで、タッチ操作コントロールを行うことができる。
つまり、タッチ操作画面の内容そのものがスイッチとなり、直感的な操作が行えるというものであり、視認性と操作性との向上が図れるばかりか、多彩な機能を自在にコントロールすることも可能とされる。なお、タッチパネルの方式としては、電磁誘導式、電気抵抗式、静電容量式、感圧式等が知られている。
【0010】
このような特許文献1のデュアルビューディスプレイ技術を用いて表示させた各映像に対し、キーやリモコンやタッチパネル等で操作を行う場合、いずれの映像に対しての操作であるかを認識させる必要がある。
例えば、特許文献2の表示装置では、タッチパネルに視聴者Aタッチ専用エリア及び視聴者Bタッチ専用エリアを設けるとともに、タッチパネルによって検出されたタッチ位置の座標データに基づき、視聴者Aタッチ専用エリアまたは視聴者Bタッチ専用エリアのいずれがタッチされたかの判断が行われ、タッチされた視聴者Aタッチ専用エリアまたは視聴者Bタッチ専用エリアに対応する映像を認識して表示動作を制御する。これにより、デュアルビュー表示において、タッチ操作がいずれの映像に対して有効であるかの判断を容易かつ確実に行うことができる。
【0011】
また、特許文献3の表示装置は、リモコン位置検出センサによって検出されたリモコンの位置に対応する映像を認識し、その認識結果の映像を遠隔操作するようにした。これにより、リモコンによる遠隔操作を各映像に対応させるための選択操作が不要となった。
【0012】
また、特許文献4の表示装置は、第1視野角方向から視認できる画像およびアイコンと、第2視野角方向から視認できる画像およびアイコンとを同時表示し、ユーザが指示する位置に表示されたアイコンに定義された命令に従って、表示手段に供給するデータを制御するようにした。これにより、各視野角方向から視認できる画像に適した操作を行なうことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2003−177357号公報
【特許文献2】特開2005−71286号公報
【特許文献3】特開2005−73076号公報
【特許文献4】特開2005−284592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、タッチパネルを用いた特許文献2や4の技術では、それぞれの画面用の専用エリアやアイコンを設けて、選択したエリアやアイコンに対応する画面への操作であることを識別するようにしている。しかし、それぞれの画面用のエリアやアイコンを設けているため、操作範囲が限られたものとなっている。
【0015】
また、リモコンを用いた特許文献3の技術では、検出したリモコンの操作位置により、いずれの画面に対して操作しているのかを識別するようにしている。しかし、いずれの画面が操作対象であるかを常に意識して、1つのリモコンを移動させたり、または、画面に対応する複数のリモコンを用意して操作しなければならず、操作が面倒である。
【0016】
本発明は、上述の実情を考慮してなされたものであって、マルチビュー指向性表示手段を用いた電子機器を操作(キー入力、音声制御、画像制御等)する際に、複数の画面に対応する電子機器の機能のうち、有効となる機能を自動的に選択する電子機器およびその選択方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、複数の方向に異なる画面を同時に表示可能なマルチビュー指向性の表示手段を有する電子機器であって、傾きセンサと、該傾きセンサが検知する傾き方向に応じた画面に対応する機能を有効とする機能選択手段を備えることを特徴としたものである。
【0018】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記傾きセンサが検知する傾き方向は、前記表示手段における指向性方向であることを特徴としたものである。
【0019】
第3の技術手段は、第1または第2のいずれかの技術手段において、通信手段と、前記通信手段での着信を報知する着信報知手段とを備え、前記着信報知手段は、有効になっている機能に対応する画面に着信報知することを特徴としたものである。
【0020】
第4の技術手段は、電子機器におけるマルチビュー指向性の表示手段に表示される複数の方向に応じた画面に対応する有効な機能の選択方法であって、傾きセンサを備え、前記傾きセンサの検知結果を取得する検知工程と、前記検知工程で取得される傾きに応じて有効となる機能を選択する機能選択工程とを含むことを特徴としたものである。
【0021】
第5の技術手段は、コンピュータに第4の技術手段に記載の方法を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、マルチビュー指向性の表示装置を備える電子機器を操作(キー入力、音声制御、音声出力の指向性制御、画像制御等)する際に、複数の画面に対応するそれぞれの機能のうち、有効となる機能が自動的に選択されるので、利用者が手動で操作画面を切り替える必要がなくなり、利便性の向上が図れる。
また、非選択状態になっている機能に対応する画面の表示をクリアスクリーンやOFFにすることにより、表示内容のセキュリティを保つことができ、さらに、表示手段を動作させないので電力の消費を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】カメラを使った場合の検知対象のある方向を決定する方法を説明する図である。
【図2】RFIDを使った場合の検知対象のある方向を決定する方法を説明する図である。
【図3】小型電子機器に搭載された傾きセンサを使った場合の検知対象のある方向を決定する方法を説明する図である。
【図4】機能が選択状態となった画面と機能が非選択状態である画面との区別を説明する図である。
【図5】複数の利用者の中から機能を操作できる特定の人を決定する方法を説明する図である。
【図6】実施形態1に係る電子機器のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図7】実施形態1に係る電子機器の機能構成を示すブロック図である。
【図8】検知部の処理を説明するフローチャートである。
【図9】機能リストのデータ例を示す図である。
【図10】実施形態2に係る電子機器の機能構成を示すブロック図である。
【図11】有効となる機能の選択処理を説明するフローチャートである。
【図12】実施形態3に係る電子機器のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図13】実施形態3に係る電子機器の機能構成を示すブロック図である。
【図14】有効となる機能の選択処理を説明するフローチャートである。
【図15】実施形態4に係る電子機器のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図16】通信機能に係る機能構成を示すブロック図である。
【図17】デュアルビューディスプレイ技術の基本原理について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の電子機器に係る好適な実施形態について説明する。
【0025】
まず、本発明の概要を説明する。
本発明の電子機器は、見る方向によって異なる画像が視認できるように、2つの視点からの画像をそれぞれ別個に同一画面に表示可能なマルチビュー指向性の表示手段を搭載しており、検知対象(例えば、利用者や、帽子やワッペンなどのモノや、動植物等)がある方向を検知して、この検知結果から有効となる機能を選択する。
そして、有効となった機能(例えば、アプリケーションプログラム)に対する入出力制御等が行えるようになる。この入出力制御の例としては、タッチパネルやカーソルキーなどのキー操作、音声入出力制御、音声出力の指向性制御、および、画像入出力制御などである。
ここで、検知対象のある方向は、次のようにして判断する。
【0026】
(a)カメラを用いる。
例えば、図1(A)のように表示手段が左右の2画面をマルチビュー表示可能であり、それぞれの画面に音楽アプリケーションとメールソフトが表示されている。利用者は、位置Aからは音楽アプリケーションの画面が確認でき、位置Bからはメールソフトのメール内容が確認できる。
そして、検知対象(利用者)が表示手段のいずれの方向にあるかを撮影するカメラを表示手段の中央に設置しておく。このカメラの撮影画像には、図1(B)のように、位置Aにある検知対象(利用者)の画像が右に、位置Bにある検知対象(利用者)の画像が左に映っている。
図1(C)のように、カメラで撮影した画像の右側に検知対象(利用者)が写っていれば、図1(D)のように、位置Aから見た画面に対応する機能が有効となり、音楽の音量調整等ができるようになる。
【0027】
逆に、カメラで撮影した画像の左側に検知対象(利用者)が写っていれば、位置Bから見た画面に対応する機能が有効となり、メールソフトの操作等ができるようになる。
また、検知対象を利用者ではなく、特定のモノ(例えば、帽子やワッペン等)としておき、検知対象を位置Aに置くことにより位置Aから見た画面に対応する機能を有効としておき、利用者が位置Bに移動することにより、位置Bからメールの内容を見ることができる。
【0028】
(b)RFIDを貼付した検知対象を用いる。
例えば、図2(A)のように表示手段が左右の2画面をマルチビュー表示可能であり、それぞれの画面に音楽アプリケーションとメールソフトが表示されている。利用者は、位置Aからは音楽アプリケーションの画面が確認でき、位置Bからはメールソフトのメール内容が確認できる。
そして、RFIDを貼付したIDカード(検知対象)を読み取るリーダをそれぞれの画面を見る利用者の側に設置しておく。この場合には、表示手段の右側と左側に2つのリーダを設置するが、リーダと表示手段とを一体として設けても、あるいは、別体として設けてもよい。
【0029】
次に、利用者が音楽アプリケーションを操作したい場合を考える。
図2(B)のように、利用者は、RFIDを貼付したIDカード(検知対象)を所持して位置Aへ移動すると、右側のリーダが利用者のIDカード(検知対象)を読み取り、右側の画面に対応する機能が有効となり、音楽の音量調整等ができるようになる。
逆に、利用者がIDカード(検知対象)を所持して表示手段の左側に移動すると、左側のリーダが利用者のIDカード(検知対象)を読み取り、左側の画面に対応する機能が有効となり、メールソフトの操作等ができるようになる。
また、このRFIDを貼付した検知対象を用いる場合、検知対象だけを左右のリーダの読取範囲に移動させることによって、利用者は移動することなく、利用者がいる位置の反対側の画面に対する機能を有効にすることもできる。
【0030】
(c)小型電子機器に搭載された傾きセンサを用いる。
例えば、図3に例示されるような、左右の2画面をマルチビュー表示可能な表示手段を有した小型電子機器において、当該小型電子機器から見て右側方向の画面に音楽アプリケーションが、左側方向の画面にメールソフトが表示されているとする。このとき、利用者が小型電子機器を右側に傾けると、音楽アプリケーションの画面を、左側に傾けるとメールソフトの画面を見ることができる。この小型電子機器に傾きセンサを搭載した場合、小型電子機器が左右どちら側に傾けられているかを検知できるので、諸機能を有効にする画面を自動的に判断できる。
この例の場合、小型電子機器を右側に傾ければ、傾きセンサが小型電子機器は右側に傾けられた、つまり、利用者は音楽アプリケーションを表示している画面を見ている、と判断し、音楽アプリケーションの操作ができるようになる。逆に、小型電子機器を左側に傾ければ、傾きセンサが小型電子機器は左側に傾けられた、つまり、利用者はメールソフトを表示している画面を見ている、と判断し、メールソフトの操作ができるようになる。
【0031】
上記のように、有効となった機能に対する画面と、次のいずれかあるいは組み合わせて有効でない機能に対する画面と区別つくようにしてもよい(図4)。
・有効となった機能に対する画面の枠の色を識別可能に表示する(図4(A))。
・有効となった機能に対する画面の枠の太さを識別可能に表示する(図4(B))。
・有効となった機能に対する画面に、区別がつくようなアイコン、絵、文字、記号等を表示する(図4(C))。これらの表示位置や大きさは、自由に設定可能である。
・カメラで検知対象を撮影する場合、有効となった機能に対する画面の一部分として、撮影した検知対象を表示する(図4(D))。この表示位置や大きさは、自由に設定可能である。
【0032】
さらに、図5のように、複数人で複数のマルチビュー画面を見ているときにはどちらの画面に対して操作を可能とするか決定する必要がある。そのために、検知対象を認証することにより操作可能な画面を特定する。この場合には、検知対象を認証対象ということにする。
しかし、複数の認証対象が認証された場合には、認証対象に優先順位を付けておき、優先順位の高い認証対象を選択するようにする。
【0033】
例えば、認証対象を特定の人物またはモノ(帽子やワッペンや動植物等)としておき、カメラで撮影した画像の中から特定の人物またはモノを認証することにより、認証対象が映っている画面に対する操作が可能になる。
【0034】
また、認証が否認されたときには、表示手段の全ての画面に対応する機能を無効とし、これらの機能を操作できないようにできる。
また、認証された認証対象を図4(D)のように、操作可能になった画面の一部として表示してもよい。この表示により、認証されたものが何であるかがわかり易くなる。この表示位置や大きさは、固定であってもよいし、予め自由に設定されてもよい。
【0035】
また、電子機器が通信機能を有している場合、作業中や視聴中の画面に対して着信を報知してしまうと、作業や視聴の妨げになってしまう。
このためには、選択状態や非選択状態となっている画面を自動的に判断し、各画面で有効となっている機能に応じて、選択状態となっている画面、非選択状態となっている画面、あるいは、両方の画面のいずれかに着信を報知する。
【0036】
例えば、メールが着信したことを利用者に報知する場合、利用者が選択状態となっている画面で映画鑑賞をしていれば、報知メッセージがこの画面上に表示されると鑑賞しづらくなるため、着信報知を非選択状態となっている画面に報知するようにする。
しかし、非選択状態となっている画面に報知メッセージを表示させるだけでは、利用者が気付かない可能性もあるので、選択状態となっている画面にも報知メッセージを表示させたり、あるいは、音を鳴らして着信報知を気付かせるようにしてもよい。
【0037】
また、例えば、利用者が非選択状態となっている画面では映画鑑賞をしており、選択状態となっている画面では音楽鑑賞をしているのであれば、報知メッセージを非選択状態となっている画面上に表示すると映画鑑賞し辛くなるため、着信報知を選択状態となっている画面に報知するようにする。
しかし、選択状態となっている画面に報知メッセージを表示させるだけでは、利用者が気付かない可能性もあるので、非選択状態となっている画面にも報知メッセージを表示させたり、あるいは、音を鳴らして着信報知を気付かせるようにしてもよい。
【0038】
さらに、利用者が1人の場合には、利用者が見ていない画面はOFFにしておいてもよい。これにより、表示手段を動作させないので電力の消費を減らすことができる。
【0039】
<実施形態1>
まず、本実施形態1の電子機器として、携帯型の電子機器を例にして1人で利用する場合について説明する。ここで、携帯型の電子機器の例として、マルチビュー指向性表示手段を搭載した携帯電話を用いて説明するが、例えばPDAのように携帯型であってマルチビュー指向性表示手段を搭載した電子機器であれば、本発明を同様に適用することができる。
【0040】
図6は、本実施形態1に係る電子機器のハードウェア構成を示すブロック図である。同図において、電子機器は、主制御部10、記憶部13、操作部14、外部入出力I/F15、撮影部16、画像処理部17、表示制御部18、マルチビュー指向性表示部19、マイク20、スピーカ21を備えている。
【0041】
主制御部10は、記憶部13に記憶された所定の制御プログラムを実行することにより、例えば、操作や表示等の入出力制御等の当該電子機器全体の動作を制御する。
【0042】
記憶部13は、例えば、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)などで構成され、主制御部10で実行される制御プログラム、各種アプリケーションプログラムやデータを格納したり、制御プログラムや各種アプリケーションプログラムが実行時に一時的にデータ等を格納する。
【0043】
操作部14は、各種ファンクションや文字や数字等を入力するためのボタンやスイッチを備えており、電源、各種データ入力ボタン等を指示するためのボタン、カーソルを上下左右に移動させるスクロール、表示された内容の決定等の多機能ボタン等を備えている。そして、利用者が何らかのボタンやスイッチを操作する度に、どのボタンやスイッチが操作されたかが主制御部10に通知される。
【0044】
外部入出力I/F15は、外部に備えるテレビ、ビデオ、CD、DVD等からソースデータを取り込む機器インタフェースであり、また、当該電子機器からデータを外部機器へ書き出す機器インタフェースである。
【0045】
撮影部16は、当該電子機器に付けられたレンズを介して外界の光をCCD等に取り込んで光電変換して外部画像を取得し、画像処理部17は、撮影部16で取り込まれた外部画像を予め設定された撮影条件に基づいて画像処理を行って主制御部10へ送信する。
この撮影部16は、当該電子機器に搭載されたものでもよいし、外部インタフェースを介して当該電子機器に接続され、検知対象を撮影可能なものであればよい。
【0046】
表示制御部18は、マルチビュー表示の各画面に対応した表示ドライバを有しており、主制御部10から指示された画面に対応した表示ドライバを起動して、マルチビュー表示となるように処理して、マルチビュー指向性表示部19に送信する。ここで、マルチビュー表示の処理は、上述のデュアルビューディスプレイ技術を用い、複数の視野角方向からそれぞれ別の画面を見られるような画素配分となるように画像処理することである。
【0047】
マルチビュー指向性表示部19は、液晶表示パネルおよびパララックスバリヤ(光学系分離素子)を備えており、表示制御部18を介して送られてくる入力情報や処理の中間・結果・警報等をマルチビュー表示して、利用者に伝達する。
この液晶表示パネルは、二つの基板の間に注入されている異方性誘電率をもつ液晶層を有し、その液晶層に印加される電界の強さに応じて基板を透過するバックライトからの光の量を調節し、所望の映像を表示させる。また、パララックスバリヤは、液晶表示パネルの全面に重ね合わされるものであり、不透明領域によって隔たれた垂直な透光性スリットを複数有するスクリーンである。
【0048】
マイク20は、マイクロフォンが設置された周辺の音や音声を集音して、所定方式で符号化して主制御部10に送信する。
スピーカ21は、マイク20で集音した音や、アプリケーションの処理過程で出力される音を出力する。また、このスピーカ21を超指向性のスピーカとすることで、マルチビュー表示のそれぞれの画面に応じた音のみを出力して、利用者に伝達させることが可能である。また、スピーカ21は、ヘッドホンやイヤホン等を用いてもよい。
【0049】
図7は、本実施形態1に係る電子機器の機能構成を示すブロック図である。同図において、電子機器は、検知部31、機能選択部32、制御部33、表示制御部34、マルチビュー指向性表示部35、機能リスト36、機能37を備えている。
ここで、表示制御部34およびマルチビュー指向性表示部35は、それぞれ上述した表示制御部18およびマルチビュー指向性表示部19と同じ機能である。
機能371〜nは、それぞれ現在実行中のアプリケーションに対応しており、マルチビュー表示がなされている。
【0050】
検知部31は、操作部14、外部入出力I/F15、撮影部16、マイク20等、例えば、キー、タッチパネル、赤外線センサ、人感センサ、RFID等の電波を用いた無線、音声入力あるいはカメラ等からの情報を受け付ける。
ここで、マルチビュー表示の前面にタッチパネルを設けた場合には、画面とタッチセンサーとの視差ズレが起きるため、マルチビュー表示画面と利用者の位置関係が変化した場合に、タッチパネルと表示画面の位置関係を調整する必要がある。
【0051】
検知部31の処理機能について、撮影部16からの情報を受け付ける場合について、図8のフローチャートを用いて説明する。
検知部31は、撮影部16を動作させて撮影し(ステップS1)、画像中から検知対象を検出し(ステップS2)、この検知対象が存在する撮影画像の位置から検知対象のある方向を決定して、この方向に対応する画面を決定し(ステップS3)、画面を識別する画面識別子を出力する(ステップS4)。
【0052】
また、赤外線センサ、人感センサ、RFID等の電波を用いた無線、音声による検知でも、これらから入力した情報に基づいて、検知対象がある方向を決定して、その方向に対応する画面を決定することができる。
【0053】
次に、機能リスト36は、マルチビュー表示の各画面に対応する機能371〜nが選択状態にあるか、または、非選択状態にあるかを記憶するテーブルである。このテーブルには、各機能ごとに、機能37を識別する機能識別子、この機能に対応している方向あるいは画面の識別子、および、選択状態/非選択状態を示すフラグとが記憶され、機能が起動されるときに登録され、機能の実行が終了すると解放される。
図9は、機能リスト36のデータ例であり、4つの機能(音楽アプリケーション、ビデオアプリケーション、Webブラウザ、メールソフト)と、それらを操作する画面の識別子、およびこれらの機能が選択状態か非選択状態かを示すフラグが記憶されている。ここでは、画面識別子=1の画面で音楽アプリケーションが有効機能として選択状態となっており、他の機能は非選択状態になっていることを示している。
【0054】
機能選択部32は、検知部31から出力された画面識別子を受信して、機能リスト36を参照して、同じ画面識別子を持つ機能識別子を検索する。そして、検索された機能識別子を出力するとともに、検索された機能のフラグを「選択状態」にし、現在選択状態の機能を「非選択状態」にする。
例えば、図9の機能リスト36において、検知部31から画面識別子=4が出力された場合、音楽アプリケーションを非選択状態にし、メールソフトを選択状態にして、機能識別子(メールソフト)を出力する。
【0055】
制御部33は、機能選択部32で出力された機能識別子に対応する機能37に対して入出力制御を有効にする。
例えば、入出力制御としては、次のものがある。
・操作部14のカーソルキー等のキー操作を行う。
・マイク20、スピーカ21や外部入出力I/F15等の音声入出力制御を行う。
・撮影部16やマルチビュー指向性表示部19等の画像入出力制御を行う。
・記憶部13への入出力制御を行う。
・スピーカ21の出力の指向性制御を行う。
【0056】
また、表示制御部32では、非選択状態となっている機能に対する画面をクリアスクリーンとしたり、非選択状態となっている機能に対する画面への出力をOFFにするようにしてもよい。
また、表示制御部32では、選択状態の機能に対する画面に対して、次のいずれかあるいは組み合わせて非選択状態の機能に対する画面と区別つくように出力してもよい(図4)。
・選択状態の機能に対する画面の枠の色を識別可能に表示する(図4(A))。
・選択状態の機能に対する画面の枠の太さを識別可能に表示する(図4(B))。
・選択状態の機能に対する画面に、区別がつくようなアイコン、絵、文字、記号等を表示する(図4(C))。これらの表示位置や大きさは、自由に設定可能である。
・カメラで検知対象を撮影する場合、選択状態の機能に対する画面の一部分として、撮影した検知対象を表示する(図4(D))。この表示位置や大きさは、自由に設定可能である。
【0057】
以上のような構成により、マルチビュー指向性表示装置を備える電子機器を操作(キー入力、音声制御、音声出力の指向性制御、画像制御等)する際に、複数の画面に対応するそれぞれの機能のうち、有効となる機能が自動的に選択されるので、利用者が手動で操作画面を切り替える必要がなくなり、利便性の向上が図れる。
また、非選択状態になっている機能に対応する画面の表示をクリアスクリーンやOFFにすることにより、表示内容のセキュリティを保つことができ、さらに、表示手段を動作させないので電力の消費を減らすことができる。
【0058】
<実施形態2>
次に、本実施形態2の電子機器として、前面にタッチパネルを備えたマルチビュー指向性表示装置とこれを操作するPCを用いて説明するが、この代わりにマルチビュー指向性のテレビジョン受信装置等としても容易に適用可能である。
【0059】
本実施形態2に係る電子機器のハードウェア構成は、実施形態1の図6と同一である。
【0060】
図10は、本実施形態2に係る電子機器の機能構成を示すブロック図である。同図において、電子機器は、検知部31、機能選択部32、制御部33、表示制御部34、マルチビュー指向性表示部35、機能リスト36、機能37を備えている。同図において、上述した実施形態1の図7と同一部分については同一の符号を付して、説明を省略する。図10において、図7と異なる点は、検知部31に撮影部311(撮影部16と同じもの)、画像認証部312、認証ファイル313を備えた点である。
【0061】
次に、検知対象(以下、本実施形態2では認証対象と言う。)が複数個ある場合に、その中から特定の認証対象を決定する検知部31について説明する。
複数個の認証対象を対象とした場合、認証システムを利用して、1つの認証対象をこの中から特定する。
【0062】
予め、認証対象ごとに下記のデータを格納した認証ファイル313を用意する。
認証対象識別子:認証対象を識別するための識別子である。
認証画像:認証対象の撮影画像であり、撮影部311で撮影した画像の中に、この認証画像があるかを調べる。
優先度:認証対象が複数個発見されたときに、優先度の高い認証対象を認証したものとする。
【0063】
画像認証部312は、撮影部311の動作を開始させ、撮影した認証対象の画像が認証ファイル313に登録されているかを検索する。
検索結果が1つの場合には、検索された認証対象識別子を出力する。
検索結果が複数の場合には、検索結果のうち優先度の最も高い認証対象の識別子を出力する。
また、検索結果が1つもない場合には、認証対象がないことを出力する。
【0064】
検知部31では、画像認証部312から出力された認証対象識別子に対応する認証画像を、撮影部311で撮影された画像中から抽出し、この認証対象が存在する撮影画像の位置から認証対象のある方向を決定して、この方向に対応する画面を決定し、画面を識別する画面識別子を機能選択部32に出力する。
【0065】
また、検知部31では、画像認証部312から「認証対象が存在しない」という出力があった場合、「全ての画面への出力を非表示とする」ことを制御部33へ出力し、制御部33では、マルチビュー表示の全ての画面への出力を非表示(クリアスクリーン)にする。
【0066】
次に、有効となる機能の選択処理を図11のフローチャートを用いて説明する。
撮影部311により画像を取得し(ステップS11)、撮影した認証対象の画像が認証ファイル313に登録されているかを検索する(ステップS12)。
ここで、複数の認証対象が登録されていた場合、最も高い優先度を持つ認証対象が認証されたものとする。
【0067】
認証が成功した場合(ステップS13/YES)、認証された認証対象識別子に対応する認証画像を、撮影部311で撮影された画像中から抽出する(ステップS14)。
次に、この認証された認証対象が存在する撮影画像の位置から認証対象のある方向を決定して、この方向に対応する画面の画面識別子を決定する(ステップS15)。
【0068】
機能リスト36を参照して、画面識別子に対応する機能を有効機能として選択する(ステップS16)。
ここで、画面識別子で示される画面を、次のいずれかあるいは組み合わせて非選択状態になっている機能に対する画面と区別つくようにしてもよい(図4)。
・画面識別子で示される画面の枠の色を識別可能に表示する(図4(A))。
・画面識別子で示される画面の枠の太さを識別可能に表示する(図4(B))。
・画面識別子で示される画面に、区別がつくようなアイコン、絵、文字、記号等を表示する(図4(C))。これらの表示位置や大きさは、自由に設定可能である。
・画面識別子で示される画面の一部分として認証対象を表示する(図4(D))。この表示位置や大きさは、自由に設定可能である。
【0069】
一方、認証が否認されるか、あるいは、認証対象が存在しない場合(ステップS13/NO)、否認処理としてマルチビュー表示の全ての画面への出力を非表示(クリアスクリーン)にする(ステップS17)。
【0070】
これにより、予め登録しておいた特定の認証対象に限定して、この認証対象のある方向に応じて有効な機能を選択することができる。
【0071】
<実施形態3>
次に、本実施形態3では、マルチビュー指向性表示手段と傾きセンサとを備える携帯型の電子機器を対象にして説明する。
例えば、携帯電話のような電子機器を利用する場合、利用者は通常手に持った電子機器を顔より若干下に持って利用するので、表示画面は斜め上または上を向いて利用される場合が多い。したがって、本実施形態3では、例えば、表示手段が左右の2画面をマルチビュー表示可能な場合に、表示画面の垂直方向への傾きを検知して、右側に傾けられたときは左側の画面に表示されているアプリケーションが視認可能となるので、同アプリケーションの諸機能の操作を可能とし、左側に傾けたときはその逆に右側の画面に表示されているアプリケーションが視認可能となるので、同アプリケーションの諸機能の操作を可能とする例に基づいて説明する。
【0072】
図12は、本実施形態3に係る電子機器のハードウェア構成を示すブロック図である。同図において、電子機器は、主制御部10、記憶部13、操作部14、外部入出力I/F15、表示制御部18、マルチビュー指向性表示部19、マイク20、スピーカ21、傾きセンサ24を備えている。図12において、上述した実施形態1の図6と同一部分については同一の符号を付して、説明を省略する。図12において、図6と異なる点は、当該電子機器の傾きを回転角や加速度により検出し、主制御部10へ通知する傾きセンサ24を備えた点である。
【0073】
図13は、本実施形態3に係る電子機器の機能構成を示すブロック図である。同図において、電子機器は、傾きセンサ38、機能選択部32、制御部33、表示制御部34、マルチビュー指向性表示部35、機能リスト36、機能37を備えている。同図において、上述した実施形態1の図7および実施形態2の図10と同一部分については同一の符号を付して、説明を省略する。この傾きセンサ38は、上記の傾きセンサ24と同じものである。
【0074】
次に、図14のフローチャートを用いて、機能選択部32の処理を説明する。
当該電子機器が傾けられると、傾きセンサ38から当該電子機器の傾き情報を取得する(ステップS21)。
機能選択部32は、傾きセンサ38から取得した傾き情報から傾きの方向を決定し、この方向に対応する画面の画面識別子を決定して、機能リスト36を参照して、決定した画面識別子に対応する機能を有効となる機能として選択する(ステップS22)。
【0075】
これにより、マルチビュー指向性の表示装置を備える電子機器を操作(キー入力、音声制御、音声出力の指向性制御、画像制御等)する際に、複数の画面に対応するそれぞれの機能のうち、有効となる機能が自動的に選択されるので、利用者が手動で操作画面を切り替える必要がなくなり、利便性の向上が図れる。
【0076】
<実施形態4>
本実施形態4は、上述した実施形態1乃至3のいずれかの電子機器に通信機能が備えられていた場合である。
図15は、本実施形態4に係る電子機器のハードウェア構成を示すブロック図である。同図において、電子機器は、主制御部10、通信I/F11、通信制御部12、記憶部13、操作部14、外部入出力I/F15、撮影部16、画像処理部17、表示制御部18、マルチビュー指向性表示部19、マイク20、スピーカ21を備えている。この実施形態4の構成は、実施形態1の電子機器に通信機能が搭載された場合のハードウェア構成であるが、実施形態2および実施形態3のハードウェア構成に、通信I/F11、通信制御部12を備えるようにしても同様に適用することができる。
同図において、上述した実施形態1の図6および実施形態3の図12と同一部分については同一の符号を付して、説明を省略する。
【0077】
主制御部10は、記憶部13に記憶された所定の制御プログラムを実行することにより、例えば、無線通信の制御、操作や表示等の入出力制御等の当該電子機器全体の動作を制御する。
通信I/F11は、無線電波を介して基地局(図示しない)を介して無線通信を行うときのインタフェースであり、通信制御部12は、受信時には通信I/F11を介して受信したデータを復調し、所定の通信プロトコルに基づいて主制御部10に送り、また、送信時には主制御部10から所定の通信プロトコルに基づいて送られたデータを変調して増幅し、通信I/F11を介して基地局に送信する。この通信により、音声電話通信を行ったり、電子メールの送受信や情報提供サイトのコンテンツを閲覧したり、コンテンツをダウンロードする等のデータ通信が行える。
【0078】
操作部14は、各種ファンクションや文字や数字等を入力するためのボタンやスイッチを備えており、電源、各種データ入力ボタン、通信の開始や終了等を指示するためのボタン、カーソルを上下左右に移動させるスクロール、通信網との接続指示、表示された内容の決定等の多機能ボタン等を備えている。そして、利用者が何らかのボタンやスイッチを操作する度に、どのボタンやスイッチが操作されたかが主制御部10に通知される。
【0079】
スピーカ21は、通信I/F11で受信した音声や、アプリケーションの処理過程で出力される音を出力する。また、このスピーカ21を聴指向性のスピーカとすることで、デュアルビュー表示のそれぞれのビューに応じた音のみを出力して、利用者に伝達させることが可能である。あるいは、スピーカをヘッドホンやイヤホン等としてもよい。
【0080】
図16は、本実施形態4に係る電子機器の機能構成のうち通信機能に係る部分を示すブロック図であり、その他の部分は、上述した実施形態1の機能構成と同じであるから、ここでは相違点のみ説明する。
【0081】
本実施形態4に係る電子機器のように、通信機能を有している場合、着信の報知を次のいずれかで行うことにより、作業中や視聴中の妨げにならないようにして着信があったことを知らせることができる。
【0082】
通信機能では、着信があると着信情報(送信相手情報、緊急性、タイトル等)を取得して、それらを着信報知部39へ送る。
着信報知部39では、機能リスト36を参照して、次の処理を行う。
【0083】
(1)着信情報を表示制御部34に送信して、選択状態となっている機能に対応する画面に表示して着信報知させる。
これにより、作業中や視聴中であっても着信があったことを知ることができる。
(2)着信情報を表示制御部34に送信して、非選択状態となっている機能に対応する画面に表示して着信報知させる。
これにより、作業中や視聴中の妨げにならなくなる。しかし、非選択状態となっている画面に着信を報知すると、着信したことが利用者に分からない場合もあるので、着信報知部39は、着信音をスピーカ21にも報知する。
(3)着信情報を表示制御部34に送信して、選択状態となっている機能に対応する画面および非選択状態となっている機能に対応する画面の両方に表示して着信報知させる。
これにより、選択状態となっている画面では作業中であり手が離せなくても、非選択状態となっている画面を見ている他の利用者により着信処理を行えるようになる。
【0084】
以上のような実施形態の構成により、マルチビュー指向性の表示装置を備える電子機器を操作(キー入力、音声制御、音声出力の指向性制御、画像制御等)する際に、複数の画面に対応するそれぞれの機能のうち、有効となる機能が自動的に選択されるので、利用者が手動で操作画面を切り替える必要がなくなり、利便性の向上が図れる。
また、非選択状態となっている機能に対応する画面の表示をクリアスクリーンやOFFにすることにより、表示内容のセキュリティを保つことができ、さらに、表示手段を動作させないので電力の消費を減らすことができる。
【0085】
尚、本発明の実施形態は、上記の電子機器の各機能をコンピュータプログラム化し、このコンピュータプログラムを電子機器へインストールして実行することでも実現できる。
【0086】
また、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で各種の変形、修正が可能であるのは勿論である。
【符号の説明】
【0087】
1…液晶表示パネル、2…パララックスバリア、10…主制御部、11…通信I/F、12…通信制御部、13…記憶部、14…操作部、15…外部入出力I/F、16…撮影部、17…画像処理部、18,34…表示制御部、19,35…マルチビュー指向性表示部、20…マイク、21…スピーカ、24,38…傾きセンサ、31…検知部、311…撮影部、312…画像認証部、313…認証ファイル、32…機能選択部、33…制御部、36…機能リスト、37,371〜n…機能、39…着信報知部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の方向に異なる画面を同時に表示可能なマルチビュー指向性の表示手段を有する電子機器であって、傾きセンサと、該傾きセンサが検知する傾き方向に応じた画面に対応する機能を有効とする機能選択手段を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、前記傾きセンサが検知する傾き方向は、前記表示手段における指向性方向であることを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1または2のいずれかに記載の電子機器において、通信手段と、前記通信手段での着信を報知する着信報知手段とを備え、前記着信報知手段は、有効になっている機能に対応する画面に着信報知することを特徴とする電子機器。
【請求項4】
電子機器におけるマルチビュー指向性の表示手段に表示される複数の方向に応じた画面に対応する有効な機能の選択方法であって、傾きセンサを備え、前記傾きセンサの検知結果を取得する検知工程と、前記検知工程で取得される傾きに応じて有効となる機能を選択する機能選択工程とを含むことを特徴とする機能選択方法。
【請求項5】
コンピュータに請求項4に記載の方法を実行させるためのプログラム。
【請求項1】
複数の方向に異なる画面を同時に表示可能なマルチビュー指向性の表示手段を有する電子機器であって、傾きセンサと、該傾きセンサが検知する傾き方向に応じた画面に対応する機能を有効とする機能選択手段を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、前記傾きセンサが検知する傾き方向は、前記表示手段における指向性方向であることを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1または2のいずれかに記載の電子機器において、通信手段と、前記通信手段での着信を報知する着信報知手段とを備え、前記着信報知手段は、有効になっている機能に対応する画面に着信報知することを特徴とする電子機器。
【請求項4】
電子機器におけるマルチビュー指向性の表示手段に表示される複数の方向に応じた画面に対応する有効な機能の選択方法であって、傾きセンサを備え、前記傾きセンサの検知結果を取得する検知工程と、前記検知工程で取得される傾きに応じて有効となる機能を選択する機能選択工程とを含むことを特徴とする機能選択方法。
【請求項5】
コンピュータに請求項4に記載の方法を実行させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−238253(P2011−238253A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134040(P2011−134040)
【出願日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【分割の表示】特願2007−127718(P2007−127718)の分割
【原出願日】平成19年5月14日(2007.5.14)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【分割の表示】特願2007−127718(P2007−127718)の分割
【原出願日】平成19年5月14日(2007.5.14)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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