説明

電子機器、表示制御方法、表示制御プログラム

【課題】複数のコンテンツデータに対して実質的に同じタグ情報が異なる表記で付加されている場合でも、タグ情報を一覧表示したときにユーザが一部のタグ情報を見落とす可能性を大幅に低減させることができる電子機器を提供する。
【解決手段】楽曲格納部1は、タグ情報が付加されたコンテンツデータである楽曲データを格納する。タグ情報格納部31は、楽曲格納部に格納されている楽曲データから抽出されたタグ情報を格納する。タグ情報関連付け部7は、実質的に同じタグ情報であって表記が異なるタグ情報を互いに関連付ける。表示制御部8は、タグ情報を表示部9にリスト表示する際に、関連付けされた互いに表記が異なる複数のタグ情報を隣接して表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、楽曲データ等のコンテンツデータに付加されているタグ情報を用いてコンテンツデータをグループ化して管理し、所望のコンテンツデータを選択する電子機器、表示制御方法、表示制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の一例として、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等の大容量の記録媒体に、MP3(MPEG Audio Layer 3)やAAC(Advanced Audio Coding)等の音声圧縮方式を用いて圧縮した楽曲データを保存して、所望の楽曲データを再生するオーディオ再生装置が普及している。この種のオーディオ再生装置では、数百曲〜数千曲の楽曲データを保存することが可能である。そこで、所望の楽曲を容易に選択できるよう、楽曲データに付加されている楽曲のジャンル,タイトル,アーティスト名,アルバム名等のタグ情報を用いて楽曲データをグループ化して管理している。
【0003】
ところで、コンパクトディスク(CD)に記録されている楽曲を所定の音声圧縮方式で圧縮してオーディオ再生装置に保存させる場合、CDには楽曲のタグ情報が存在していない。そこで、CDに記録されている楽曲のタグ情報を提供する外部のデータベースからタグ情報を入手して、楽曲データに対してタグ情報を付加して記録媒体に保存するのが一般的である。上記の外部のデータベースが提供する楽曲のタグ情報は、多数のユーザが登録したデータに基づいた情報である。従って、タグ情報の表記は統一されているわけではなく、実質的に同じ意味であっても複数の異なる表記が存在する場合がある。
【0004】
タグ情報の内のジャンルで、“ポップ”というジャンルの場合を例にすると、半角大文字アルファベットを用いた“POP”、“POP”に対してSが付いた“POPS”、半角小文字アルファベットを用いた“pop”、“pop”に対してsが付いた“pops”、全角大文字アルファベットを用いた“POP”、“POP”に対してSが付いた“POPS”という表記があり得る。同様に、全角小文字アルファベットを用いた表記もあり得る。さらに、全角カタカナを用いた“ポップ”、“ポップ”に対して“ス”が付いた“ポップス”、これらの半角カタカナを用いた表記もあり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−44434号公報
【特許文献2】特開2007−242104号公報
【特許文献3】特開2001−142877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一例として、オーディオ再生装置が、楽曲のジャンルの一覧をリスト形式で表示部に表示する場合、ユニコード等の文字コードの順に複数のジャンルを並べて表示するのが一般的である。楽曲データに付加されているタグ情報のジャンルとして、半角大文字アルファベットを用いた“POP”と、全角カタカナを用いた“ポップ”とが存在する場合、他に半角アルファベットを用いた複数のジャンルや全角カタカナを用いた複数のジャンルが存在すれば、“POP”と“ポップ”とは離れた位置に表示されてしまうことになる。ここではジャンルを例にしたが、タイトル,アーティスト名,アルバム名の一覧をリスト形式で表示する場合でも同様である。
【0007】
このように本来同じタグ情報であるにもかかわらず、タグ情報に複数の異なる表記が存在する場合には、タグ情報の一覧をリスト形式で表示した場合に、離れた位置に表示されてしまう場合がある。このような場合、ユーザは、互いに離れた位置に表示された複数のタグ情報の一部を見落としてしまうことがあるという問題点があった。
【0008】
本発明はこのような問題点に鑑み、複数のコンテンツデータに対して実質的に同じタグ情報が異なる表記で付加されている場合でも、タグ情報を一覧表示したときにユーザが一部のタグ情報を見落とす可能性を大幅に低減させることができる電子機器、表示制御方法、表示制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述した従来の技術の課題を解決するため、タグ情報が付加されたコンテンツデータを格納するコンテンツデータ格納部(1)と、前記コンテンツデータ格納部に格納されているコンテンツデータから抽出されたタグ情報を格納するタグ情報格納部(31)と、前記タグ情報格納部から読み出されたタグ情報の内、実質的に同じタグ情報であって表記が異なるタグ情報を互いに関連付けるタグ情報関連付け部(7)と、前記タグ情報格納部から読み出されたタグ情報を、表示部(9)にリスト表示する際に、それぞれのタグ情報を所定の規則に従って配列させると共に、前記タグ情報関連付け部で関連付けされた互いに表記が異なる複数のタグ情報を前記規則に従うことなく隣接して表示させるよう制御する表示制御部(8)とを備えることを特徴とする電子機器(100)を提供する。
【0010】
上記の電子機器において、前記タグ情報関連付け部は、実質的に同じタグ情報であるアルファベットで表記されたタグ情報とカタカナで表記されたタグ情報とを関連付けることが好ましい。
【0011】
上記の電子機器において、実質的に同じタグ情報で表記が異なるタグ情報を関連付けた関連付けデータを保持するタグ情報関連付けデータベース(6)をさらに備え、前記タグ情報関連付け部は、前記タグ情報関連付けデータベースに保持された関連付けデータを参照して、表記が異なるタグ情報を互いに関連付けるように構成してよい。
【0012】
上記の電子機器において、前記タグ情報関連付け部は、アルファベットとカタカナの内の一方を他方に変換することによって実質的に同じタグ情報であることを判定するように構成してよい。
【0013】
上記の電子機器において、前記表示制御部が、アルファベットで表記されたタグ情報とカタカナで表記されたタグ情報とを隣接して表示させる際に、アルファベットで表記されたタグ情報に隣接させてカタカナで表記されたタグ情報を表示させるか、カタカナで表記されたタグ情報に隣接させてアルファベットで表記されたタグ情報を表示させるかを設定する配置条件設定部(23)をさらに備えることが好ましい。
【0014】
上記の電子機器において、前記配置条件設定部は、アルファベットで表記されたタグ情報に隣接させてカタカナで表記されたタグ情報を表示させる第1のパターンと、カタカナで表記されたタグ情報に隣接させてアルファベットで表記されたタグ情報を表示させる第2のパターンとを所定の条件に基づいて選択するように構成してよい。
【0015】
上記の電子機器において、前記所定の条件として、コンテンツデータを前記コンテンツデータ格納部に格納した日時情報、アルファベットで表記されたタグ情報及びカタカナで表記されたタグ情報に含まれるコンテンツデータの再生回数、アルファベットで表記されたタグ情報及びカタカナで表記されたタグ情報に含まれるコンテンツデータの数の少なくとも1つを用いることができる。
【0016】
また、本発明は、上述した従来の技術の課題を解決するため、タグ情報が付加されたコンテンツデータから抽出されたタグ情報を格納するタグ情報格納部を用いた表示制御方法において、前記タグ情報格納部から読み出されたタグ情報の内、実質的に同じタグ情報であって表記が異なるタグ情報を互いに関連付けるタグ情報関連付けステップと、前記タグ情報格納部から読み出されたタグ情報を、表示部にリスト表示する際に、それぞれのタグ情報を所定の規則に従って配列させると共に、前記タグ情報関連付けステップにおいて関連付けされた互いに表記が異なる複数のタグ情報を前記規則に従うことなく隣接して表示させるよう制御する表示制御ステップとを有することを特徴とする表示制御方法を提供する。
【0017】
さらに、タグ情報が付加されたコンテンツデータから抽出されたタグ情報を格納するタグ情報格納部を備えた電子機器のコンピュータに、前記タグ情報格納部から読み出されたタグ情報の内、実質的に同じタグ情報であって表記が異なるタグ情報を互いに関連付けるタグ情報関連付けステップと、前記タグ情報格納部から読み出されたタグ情報を、表示部にリスト表示する際に、それぞれのタグ情報を所定の規則に従って配列させると共に、前記タグ情報関連付けステップにおいて関連付けされた互いに表記が異なる複数のタグ情報を前記規則に従うことなく隣接して表示させるよう制御する表示制御ステップとを実行させることを特徴とする表示制御プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の電子機器、表示制御方法、表示制御プログラムによれば、複数のコンテンツデータに対して実質的に同じタグ情報が異なる表記で付加されている場合でも、タグ情報を一覧表示したときにユーザが一部のタグ情報を見落とす可能性を大幅に低減させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の電子機器の一実施形態を示すブロック図である。
【図2】図1のタグ情報関連付けデータベース6が保持する関連付けデータの一例を示す図である。
【図3】図1のタグ情報関連付け部7で実行される関連付け判定処理の一例を示すフローチャートである。
【図4】本実施形態によるリスト表示の例を示す図である。
【図5】本実施形態によるリスト表示の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の電子機器、表示制御方法、表示制御プログラムの一実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1においては、電子機器の一実施形態としてオーディオ再生装置100を示している。オーディオ再生装置100は、ポータブルオーディオ機器であってもよく、据え置き型のオーディオ機器であってもよい。一実施形態のオーディオ再生装置100において、タグ情報が付加されたコンテンツデータから抽出されたタグ情報を表示部に表示する一実施形態の表示制御方法が実行される。表示部へのタグ情報の表示をコンピュータプログラム(表示制御プログラム)によって実現することもできる。
【0021】
なお、以下の説明において、所定の2つのタグ情報間の差異が、アルファベット表記であるカタカナ表記であるかの差異、大文字表記であるか小文字表記であるかの差異、半角表記であるか全角表記であるかの差異、「s」や「ス」、「es」などが末尾についているか否かの差異などの差異である場合、その2つのタグ情報を「実質的に同じタグ情報」と呼ぶこととする。ただし、これらの差異は一例であり、これに限定されるものではない。例えば、“Domestic (J-Pops)”のように括弧が含まれている場合に、“Domestic (J-Pops)”と“J-Pops”とを「実質的に同じタグ情報」とみなすようにすることもできる。
【0022】
図1において、楽曲格納部(コンテンツデータ格納部)1は、コンテンツデータの一例として、MP3やAAC等の音声圧縮方式を用いて圧縮した複数の楽曲データを格納している。楽曲格納部1は、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等の大容量の記録媒体である。それぞれの楽曲データには、一例として、楽曲のジャンル,タイトル,アーティスト名,アルバム名等のタグ情報が付加されている。楽曲格納部1に楽曲データを追加して格納させる方法は種々ある。本実施形態では、制御部2が、いわゆるUSBメモリと称されているフラッシュメモリ15に記憶された楽曲データをインターフェース(I/F)4を介して取り込み、制御部2内の書き込み・読み出し制御部22が楽曲格納部1に楽曲データを書き込むように構成している。オーディオ再生装置100を図示していないパーソナルコンピュータに接続して、パーソナルコンピュータから楽曲格納部1に楽曲データを書き込むようにしてもよい。
【0023】
楽曲格納部1に格納されている楽曲データに付加されているタグ情報は、制御部2内のタグ情報抽出部21によって抽出され、データベース部3へと供給される。データベース部3内のタグ情報格納部31は、データベース部3に入力されたタグ情報を格納する。タグ情報格納部31は、例えば、それぞれのジャンルにそれぞれのジャンルに含まれるアーティスト名を対応させ、それぞれのアーティスト名にそれぞれのアーティストのアルバム名を対応させ、それぞれのアルバム名にそれぞれのアルバムに含まれるタイトルを対応させた状態で、それぞれのタグ情報を格納している。
【0024】
データベース部3内の日時情報格納部32は、前述のように楽曲格納部1に楽曲データを格納させた日時データを楽曲データごとに格納する。制御部2は日時情報を管理しており、日時データは制御部2からデータベース部3へと供給される。データベース部3内の再生回数格納部33は、楽曲格納部1に格納された楽曲データを後述する再生部10によって再生した回数を楽曲データごとに格納する。制御部2はそれぞれの楽曲データの再生回数を管理しており、再生回数のデータは制御部2からデータベース部3へと供給される。
【0025】
楽曲データの選択や再生は操作部5による操作によって行われる。操作部5は、オーディオ再生装置100の筐体に設けた操作釦であってもよいし、リモートコントローラであってもよい。
【0026】
タグ情報関連付けデータベース6は、タグ情報の複数の異なる表記がどのように関連しているか、具体的には、タグ情報のどの表記とどの表記が実質的に同じタグ情報であるかを示すデータ(関連付けデータ)を保持している。図2は、タグ情報関連付けデータベース6が保持する関連付けデータの一例を概念的に示している。ここでは、ジャンルの関連付けを示している。図2に示すように、“ブルース”というジャンルでは、半角大文字アルファベットを用いた“BLUES”を基本表記とし、この基本表記“BLUES”に対して5つの同じ意味で別の表記(同意別表記)を対応付けている。基本表記“BLUES”に対する同意別表記は、半角小文字アルファベットを用いた“blues”と、全角大文字アルファベットを用いた“BLUES”と、全角小文字アルファベットを用いた“blues”と、全角カタカナを用いた“ブルース”と、半角カタカナを用いた表記である。
【0027】
“ポップ”というジャンルでは、半角大文字アルファベットを用いた“POP”を基本表記とし、この基本表記“POP”に対して10個の同意別表記を対応付けている。図2では、半角大文字アルファベットを用いた表記を基本表記としたが、“Pop”のように、語頭のみ半角大文字アルファベットで語頭に続く文字を半角小文字アルファベットとした表記を基本表記とすることもできる。語頭のみ半角大文字アルファベットで語頭に続く文字を半角小文字アルファベットとした表記を基本表記とした場合には、さらに多くの同意別表記が存在することになる。
【0028】
タグ情報格納部31に格納されているタグ情報に基づいて、表示部9にタグ情報のいずれかの一覧をリスト形式で表示しようとする場合には、タグ情報は制御部2を介してタグ情報関連付け部7と表示制御部8へと供給される。なお、所望の楽曲を選択するためにタグ情報の一覧をリスト表示することをタグブラウズと称している。タグ情報関連付け部7は、タグ情報関連付けデータベース6の関連付けデータを参照して、どのタグ情報とどのタグ情報とが同じであるかを判断する。例えば、タグ情報のジャンルとして、“POP”と“ポップ”とが存在している場合、タグ情報関連付け部7は、図2に示す関連付けデータを参照することにより両者が同じジャンルであることを判断することができる。
【0029】
ここでは、タグ情報関連付けデータベース6に保持されている関連付けデータに基づいて同じタグ情報であることを判断するようにしたが、タグ情報の表記(言葉)自体を分析して、同じタグ情報であることを判断するようにしてもよい。図3を用いて、タグ情報関連付け部7が、タグ情報の表記自体を分析して同じタグ情報であることを判定する場合の処理を説明する。図3でもジャンルを例とする。
【0030】
図3の各ステップは、タグ情報関連付け部7で実行される。図3において、ステップS1にて、楽曲データに付加されているタグ情報の内のジャンルを読み取る。ステップS2にて、全角アルファベットであるか否かを判定する。ステップS2にて全角アルファベットであると判定されれば(YES)、ステップS3にて全角を半角に変換して、ステップS4に移行させる。ステップS2にて全角アルファベットであると判定されなければ(NO)、ステップS4に移行させる。ステップS4にて、小文字アルファベットであるか否かを判定する。ステップS4にて小文字アルファベットであると判定されれば(YES)、ステップS5にて小文字を大文字に変換して、ステップS6に移行させる。ステップS4にて小文字アルファベットであると判定されなければ(NO)、ステップS6に移行させる。
【0031】
ステップS6にて、語尾に“S”または“ES”が付いているか否かを判定する。ステップS6にて語尾に“S”または“ES”が付いていると判定されれば(YES)、ステップS7にて、“S”または“ES”より前にあるアルファベット文字列と同じアルファベット文字列を同じジャンルとみなして、ステップS8に移行させる。ステップS6にて語尾に“S”または“ES”が付いていると判定されなければ(NO)、ステップS8に移行させる。ステップS8にて、アルファベットであるか否かを判定する。ステップS8にてアルファベットであると判定されれば(YES)、ステップS9にて日本語の読みに変換して、ステップS10に移行させる。ステップS8にてアルファベットであると判定されなければ(NO)、ステップS10に移行させる。
【0032】
ステップS10にて、半角カタカナであるか否かを判定する。ステップS10にて半角カタカナであると判定されれば(YES)、ステップS11にて全角カタカナに変換して、ステップS12に移行させる。ステップS10にて半角カタカナであると判定されなければ(NO)、ステップS12に移行させる。ステップS12にて、語尾に“ス”が付いていて、“ス”より前にある文字列と同じ文字列を同じジャンルとみなして、終了する。なお、ステップS9におけるアルファベットを日本語の読みに変換する方法は、一例として特許文献3に記載されているような技術を採用すればよい。
【0033】
ジャンルの表記で“Domestic (J-Pops)”のように括弧が含まれている場合がある。この場合には、“Domestic (J-Pops)”と“J-Pops”とを同じジャンルとみなすようにすることもできる。同一性の判定の仕方は任意である。
【0034】
図3では、アルファベットをカタカナに変換してジャンルの同一性を判定するようにしているが、カタカナをアルファベットに変換してジャンルの同一性を判定するようにしてもよい。また、図3では、ジャンルを例にしたが、楽曲のタイトル,アーティスト名,アルバム名でも同様である。図3のように、タグ情報関連付け部7が、タグ情報の表記自体を分析して同じタグ情報であることを判定する場合には、タグ情報関連付けデータベース6を削除することが可能である。
【0035】
なお、タグ情報を配列させる規則として文字コードを用いて、例えば半角大文字アルファベットの“POP”と半角小文字アルファベットの“pop”とをそれぞれ表示させる場合、“POP”と“pop”とは隣接または近傍に表示されることになり、“POP”と“ポップ”のようには離れて表示されない。そこで、半角アルファベットで表記されたタグ情報と、日本語の全角の文字(主としてカタカナ)で表記されたタグ情報との同一性のみを判断するように簡略化してもよい。
【0036】
ところで、タグ情報の内、ジャンルはせいぜい200程度しか存在しないため、関連付けデータのデータベースを作成することは比較的容易である。しかしながら、楽曲のタイトル,アーティスト名,アルバム名はジャンルよりも格段に種類は多く、しかも日々追加されていく。そこで、タグブラウズを行う際に、後述する本実施形態の表示方法をジャンルのみで採用する場合には、タグ情報関連付けデータベース6に関連付けデータを保持させて、関連付けデータに基づいて同一性を判断することが好ましい。一方、後述する本実施形態の表示方法を楽曲のタイトル,アーティスト名,アルバム名にも採用する場合には、図3で説明したようなタグ情報の表記自体を分析して同一性を判断することが好ましい。
【0037】
表示制御部8は、タグ情報格納部31から読み出されたタグ情報を、タグ情報関連付け部7で判定した関連付けの情報を参照して、表示部9に表示させる。ユーザは、操作部5を操作するによって、タグ情報の内、ジャンル,タイトル,アーティスト名,アルバム名のどれに基づいてタグブラウズを行うかを選択することができる。制御部2は、操作部5の操作に基づいて、選択したタグ情報に基づいてタグブラウズを行わせるよう表示制御部8を制御する。
【0038】
図4(A),(B)を用いて、本実施形態によって表示部9に表示されるリスト表示の例を説明する。ここでは、ジャンルを例とし、本来同じジャンルである“POP”と“ポップ”とが存在している場合について説明する。図4(C)は比較のため、本実施形態によらない従来の表示例を示している。表示制御部8は、通常、複数のジャンルを文字コードの順のように所定の規則に従って並べて表示する。文字コードの順で表示する場合、半角アルファベットで表記される複数のジャンルの後に日本語のひらがな,カタカナ,漢字で表記される複数のジャンルが配列されて表示される。前述のように、図4(C)の表示方法では、半角大文字アルファベットを用いた“POP”と、全角カタカナを用いた“ポップ”とが大きく離れてしまい、ユーザが下方に位置する“ポップ”を見落としてしまう可能性がある。
【0039】
そこで、本実施形態では、タグ情報関連付け部7で判断した関連付けの情報を参照することによって、図4(A)に示すパターン1または図4(B)に示すパターン2の表示方法で表示させることができる。図4(A)に示すパターン1は、半角大文字アルファベットの配列の中に位置していた“POP”を、配列の規則に従うことなく、全角カタカナの“ポップ”の直後に位置させるように表示する例である。図4(B)に示すパターン2は、パターン1とは逆に、全角カタカナの“ポップ”を配列の規則に従うことなく“POP”の直後に位置させるように表示する例である。パターン1,2いずれの場合も、“POP”と“ポップ”とは隣接して配置されるので、ユーザは一方を見落としてしまう可能性はほとんどなく、“POP”と“ポップ”との双方から所望の楽曲を選択することが可能となる。
【0040】
図5は、別のパターンであるパターン3を示している。図5に示すパターン3は、パターン1,2を組み合わせたものであり、“POP”の直後に“ポップ”を位置させると共に、“ポップ”の直後にも“POP”を位置させて表示する例である。図5の例では、“POP”の直後の“ポップ”と、“ポップ”の直後の“POP”を、それぞれ“POP”と“ポップ”よりも右方向にずらして表示している。このようにすることにより、同一性を判断して補足的に表示されたことを容易に理解することができる。表示する文字列の位置をずらす代わりに、または、それに加えて、明度を異ならせたり、色を異ならせたり、所定のマークを付してもよい。
【0041】
ユーザは、操作部5を操作して、いずれかのジャンルを選択して、そのジャンルに含まれている楽曲の一覧から所望の楽曲を選択することができる。楽曲を選択すると、制御部2によって選択した楽曲の楽曲データが楽曲格納部1から読み出され、再生部10へと供給される。再生部10は、入力された楽曲データを復号して増幅等の各種の信号処理を施し、オーディオ信号をスピーカ11に供給する。スピーカ11は再生部10から入力されたオーディオ信号に基づいた音声を出力する。楽曲データを再生することにより、再生回数格納部33が格納する再生回数が更新される。
【0042】
制御部2内の配置条件設定部23は、どのようなパターンでタグブラウズを行わせるかを設定している。配置条件設定部23は、図4(A)に示すパターン1や図4(B)に示すパターン2のように1つのパターンを配置条件として予め設定してもよいし、複数のパターンを設定してもよい。ユーザが操作部5を操作することによって、配置条件設定部23で設定した複数のパターンから選択するようにしてもよい。さらに、種々の条件に基づいて自動的に複数のパターンから最適なパターンを選択するように構成することもできる。
【0043】
図4(A),(B)に示すようにタグ情報を上から下へとリスト表示する場合には、ユーザは選択しようとするタグ情報が上方に位置する方が見つけやすくなる。ユーザが新たに楽曲データを追加した場合には、追加した楽曲データの楽曲を選択する可能性が高い。例えば、ジャンルが“ポップ”の楽曲データを追加した場合した場合には、図4(B)に示すパターン2の方が好ましい。配置条件設定部23で、楽曲格納部1に書き込んだ日時が新しい楽曲データをより上方に位置させるという条件設定をした場合には、表示制御部8は、日時情報格納部32に格納されている日時情報に基づいて、パターン2を選択する。なお、ジャンルが“POP”の楽曲データを追加した場合も同様である。
【0044】
楽曲データの再生回数に応じてパターン1,2を選択してもよい。“ポップ”の楽曲データの再生回数の方が“POP”の楽曲データの再生回数より多い場合は、パターン1とし、“POP”の楽曲データの再生回数の方が“ポップ”の楽曲データの再生回数より多い場合は、パターン2とすることが好ましい。なお、“POP”と“ポップ”とで含まれる楽曲数が異なる場合には平均の再生回数で比較すればよい。このようにすると、再生回数の少ない方のタグ情報が多い方のタグ情報の隣に移動することになるので、再生回数の少ない方のタグ情報を見落とす可能性を低くすることができる。
【0045】
さらに、タグ情報に含まれている楽曲データの数の少ない方を多い方に移動させてもよい。“ポップ”の楽曲データの方が多い場合にはパターン1を選択し、“POP”の楽曲データの方が多い場合にはパターン2を選択する。
【0046】
以上説明したように、本実施形態では、実質的に同じタグ情報を隣接して表示させるようにしている。実質的に同じタグ情報を統合して1つのタグ情報にしてしまうと、例えば邦楽には“ポップ”というジャンルを、洋楽には“POP”というジャンルを意図的に設定した場合に、両者が混在してしまうという不具合を招くことになる。本実施形態では、隣接して表示させるので、そのような不具合を招くことはない。
【0047】
本発明は以上説明した本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。楽曲データに付加されているタグ情報としては、楽曲のジャンル,タイトル,アーティスト名,アルバム名の全てを有している必要はなく、少なくとも1つでよい。図1では、タグ情報関連付け部7と表示制御部8を制御部2の外部に設けているが、制御部2の内部に設けてもよい。制御部2をマイクロコンピュータで構成し、タグ情報関連付け部7,表示制御部8,タグ情報抽出部21,書き込み・読み出し制御部22,配置条件設定部23の全てをマイクロコンピュータで実現することもできる。オーディオ再生装置100がスピーカ11を備えず、オーディオ信号を外部出力して外部のスピーカによってオーディオ信号を再生するようにしてもよい。
【0048】
オーディオ再生装置100は電子機器の単なる一例であり、映像データを再生する再生装置であってもよい。また、パーソナルコンピュータであってもよい。コンテンツデータに付加されているタグ情報を用いてコンテンツデータをグループ化して管理し、所望のコンテンツデータを選択する電子機器であれば、任意の電子機器でよい。表示制御プログラムを記録媒体に記録して提供してもよいし、インターネット等の通信回線を用いて、表示制御プログラムを配信することも可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 楽曲格納部(コンテンツデータ格納部)
2 制御部
3 データベース部
6 タグ情報関連付けデータベース
7 タグ情報関連付け部
8 表示制御部
9 表示部
10 再生部
21 タグ情報抽出部
22 書き込み・読み出し制御部
23 配置条件設定部
31 タグ情報格納部
32 日時情報格納部
33 再生回数格納部
100 オーディオ再生装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タグ情報が付加されたコンテンツデータを格納するコンテンツデータ格納部と、
前記コンテンツデータ格納部に格納されているコンテンツデータから抽出されたタグ情報を格納するタグ情報格納部と、
前記タグ情報格納部から読み出されたタグ情報の内、実質的に同じタグ情報であって表記が異なるタグ情報を互いに関連付けるタグ情報関連付け部と、
前記タグ情報格納部から読み出されたタグ情報を、表示部にリスト表示する際に、それぞれのタグ情報を所定の規則に従って配列させると共に、前記タグ情報関連付け部で関連付けされた互いに表記が異なる複数のタグ情報を前記規則に従うことなく隣接して表示させるよう制御する表示制御部と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記タグ情報関連付け部は、実質的に同じタグ情報であるアルファベットで表記されたタグ情報とカタカナで表記されたタグ情報とを関連付ける
ことを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
実質的に同じタグ情報で表記が異なるタグ情報を関連付けた関連付けデータを保持するタグ情報関連付けデータベースをさらに備え、
前記タグ情報関連付け部は、前記タグ情報関連付けデータベースに保持された関連付けデータを参照して、表記が異なるタグ情報を互いに関連付ける
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記タグ情報関連付け部は、アルファベットとカタカナの内の一方を他方に変換することによって実質的に同じタグ情報であることを判定する
ことを特徴とする請求項2記載の電子機器。
【請求項5】
前記表示制御部が、アルファベットで表記されたタグ情報とカタカナで表記されたタグ情報とを隣接して表示させる際に、アルファベットで表記されたタグ情報に隣接させてカタカナで表記されたタグ情報を表示させるか、カタカナで表記されたタグ情報に隣接させてアルファベットで表記されたタグ情報を表示させるかを設定する配置条件設定部をさらに備える
ことを特徴とする請求項2または4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記配置条件設定部は、アルファベットで表記されたタグ情報に隣接させてカタカナで表記されたタグ情報を表示させる第1のパターンと、カタカナで表記されたタグ情報に隣接させてアルファベットで表記されたタグ情報を表示させる第2のパターンとを所定の条件に基づいて選択する
ことを特徴とする請求項5記載の電子機器。
【請求項7】
前記所定の条件として、コンテンツデータを前記コンテンツデータ格納部に格納した日時情報、アルファベットで表記されたタグ情報及びカタカナで表記されたタグ情報に含まれるコンテンツデータの再生回数、アルファベットで表記されたタグ情報及びカタカナで表記されたタグ情報に含まれるコンテンツデータの数の少なくとも1つを用いる
ことを特徴とする請求項6記載の電子機器。
【請求項8】
タグ情報が付加されたコンテンツデータから抽出されたタグ情報を格納するタグ情報格納部を用いた表示制御方法において、
前記タグ情報格納部から読み出されたタグ情報の内、実質的に同じタグ情報であって表記が異なるタグ情報を互いに関連付けるタグ情報関連付けステップと、
前記タグ情報格納部から読み出されたタグ情報を、表示部にリスト表示する際に、それぞれのタグ情報を所定の規則に従って配列させると共に、前記タグ情報関連付けステップにおいて関連付けされた互いに表記が異なる複数のタグ情報を前記規則に従うことなく隣接して表示させるよう制御する表示制御ステップと、
を有することを特徴とする表示制御方法。
【請求項9】
タグ情報が付加されたコンテンツデータから抽出されたタグ情報を格納するタグ情報格納部を備えた電子機器のコンピュータに、
前記タグ情報格納部から読み出されたタグ情報の内、実質的に同じタグ情報であって表記が異なるタグ情報を互いに関連付けるタグ情報関連付けステップと、
前記タグ情報格納部から読み出されたタグ情報を、表示部にリスト表示する際に、それぞれのタグ情報を所定の規則に従って配列させると共に、前記タグ情報関連付けステップにおいて関連付けされた互いに表記が異なる複数のタグ情報を前記規則に従うことなく隣接して表示させるよう制御する表示制御ステップと、
を実行させることを特徴とする表示制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−41638(P2013−41638A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176990(P2011−176990)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】