説明

電子機器、電子機器制御プログラム及び電子機器制御方法

【課題】相手に4桁の数字を書いてもらい、それで数字占いを行ったあとに、その数字を時計が当てるマジックであり、余興効果を発生させ、又は興趣性を高めさせることができるようにする。
【解決手段】0〜9の数字を示す識別子であるシークレットサインを順番に表示する(C)〜(E)。演者Xは、観客Yが紙に書いた4桁の数字を、観客Yには知られていないシークレットサインの表示形態H1〜H10に合わせて押釦スイッチの操作を行い(C)〜(E)、当該表示形態H1〜H10にそれぞれ対応する数字を記憶させる。しかる後に、この腕時計を観客Yに渡し、観客Yが同様の押釦スイッチの操作を行うと、腕時計に観客Yが紙に書いた4桁の数字が表示され、観客Yが紙に書いた4桁の数字を、恰も腕時計が当てたかのようなマジックを実演することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マジック機能を有する電子機器、電子機器制御プログラム及び電子機器制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日においては、腕時計や携帯電話機等の表示機能を備えた各種電子機器が出現するに至っており、一方、トリック手品具(例えば、特許文献1参照。)等の、各種手品専用具も出現するに至っている。
【特許文献1】特開平3−33776号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、トリック手品具等の各種手品専用具を用いれば、手品を実演することができ、余興効果を発生させることができる。しかしながら、従来の各種電子機器にあっては、専ら機器本来の機能を発生させることを主眼とするものであることから、これを用いて余興効果を発生させたり、当該機器の興趣性を高めさせたりすることはできない。
【0004】
本発明は、かかる従来の課題に鑑みてなされたものであり、余興効果を発生させたり、興趣性を高めたりさせることのできる電子機器、電子機器制御プログラム及び電子機器制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため請求項1記載の発明に係る電子機器にあっては、予め定められた桁数までの各桁を示す数値を順次表示させるとともに、前記桁を示す数値を変化させる毎に、「0」から「9」までの数字それぞれ示す識別子を順次表示させる第1の表示制御手段と、この第1の表示制御手段により前記「0」から「9」までの数字それぞれにを示す識別子が順次表示されている状態において、前記桁を示す数字が変化する毎に、予め定められている操作の有無を判断する第1の判断手段と、この第1の判断手段により前記予め定められている操作の有が判断された時点において表示されていた前記識別子に対応する数字の値を、前記表示されていた桁を示す数値に対応させて記憶する記憶手段と、この記憶手段に前記各桁を示す数値に対応して前記識別子が示す数字の値が記憶されたことを条件として、予め定められている操作の有無を判断する第2の判断手段と、この第2の判断手段により、前記予め定められている操作の有が判断されたことを条件として、前記記憶手段に記憶されている各桁に対応する数字を表示させる第2の表示制御手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
また、請求項2記載の発明に係る電子機器にあっては、前記第1の表示制御手段は、前記予め定められた桁数までの複数桁からなる任意の数字を記載するべきことを示すメッセージを更に表示させるとともに、前記複数桁までの各桁に対応する順次表示させることを特徴とする。
【0007】
また、請求項3記載の発明に係る電子機器にあっては、前記第1の表示制御手段は、前記予め定められた桁数までの複数桁からなる任意の数字を記載するべきことを示す第1のメッセージと、前記複数桁からなる任意の数字を用いた演算を行うべきことを示す第2メッセージとを表示させ、前記記憶手段に記憶された複数の数値を用いて、前記演算と同一の演算を実行する演算手段を更に備え、前記記憶手段は、前記演算手段の演算経過と演算結果とを更に記憶し、前記第2の表示制御手段は、前記記憶手段に記憶されている前記演算手段の演算経過又は演算結果を更に表示させることを特徴とする。
【0008】
また、請求項4記載の発明に係る電子機器にあっては、前記記憶手段は、更に複数の占い結果データを記憶し、前記第2の表示制御手段は、前記演算経過又は演算結果を表示させる際に、前記占い結果データのいずれかを前記記憶手段から読み出して表示させることを特徴とする。
【0009】
また、請求項5記載の発明に係る電子機器にあっては、前記第2の表示制御手段により前記記憶手段に記憶されている各桁に対応する複数の数字を表示させる際に、発光動作する発光手段を更に備えることを特徴とする。
【0010】
また、請求項6記載の発明に係る電子機器制御プログラムにあっては、表示手段を備える電子機器が有するコンピュータを、予め定められた桁数までの各桁を示す数値を順次表示させるとともに、前記桁を示す数値を変化させる毎に、「0」から「9」までの数字それぞれ示す識別子を順次表示させる第1の表示制御手段と、前記「0」から「9」までの数字それぞれにを示す識別子が順次表示されている状態において、前記桁を示す数字が変化する毎に、予め定められている操作の有無を判断する第1の判断手段と、この第1の判断手段により前記予め定められている操作の有が判断された時点において表示されていた前記識別子に対応する数字の値を、前記表示されていた桁を示す数値に対応させて記憶する記憶手段と、この記憶手段に前記各桁を示す数値に対応して前記識別子が示す数字の値が記憶されたことを条件として、予め定められている操作の有無を判断する第2の判断手段と、この第2の判断手段により、前記予め定められている操作の有が判断されたことを条件として、前記記憶手段に記憶されている各桁に対応する数字を表示させる第2の表示制御手段として機能させることを特徴とする。
【0011】
また、請求項7記載の発明に係る電子機器制御方法にあっては、予め定められた桁数までの各桁を示す数値を順次表示させるとともに、前記桁を示す数値を変化させる毎に、「0」から「9」までの数字それぞれ示す識別子を順次表示させる第1の表示制御ステップと、前記「0」から「9」までの数字それぞれにを示す識別子が順次表示されている状態において、前記桁を示す数字が変化する毎に、予め定められている操作の有無を判断する第1の判断ステップと、この第1の判断ステップにより前記予め定められている操作の有が判断された時点において表示されていた前記識別子に対応する数字の値を、前記表示されていた桁を示す数値に対応させて記憶する記憶ステップと、この記憶ステップにより前記各桁を示す数値に対応して前記識別子が示す数字の値が記憶されたことを条件として、予め定められている操作の有無を判断する第2の判断ステップと、この第2の判断ステップにより、前記予め定められている操作の有が判断されたことを条件として、前記記憶ステップで記憶されている各桁に対応する数字を表示させる第2の表示制御ステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る電子機器によれば、当該電子機器を用いて、予め観客が紙に記載した1桁あるいは複数桁の数字を当てるマジックを実演することができる。よって、これを用いて余興効果を発生させたり、当該機器の興趣性を高めさせたりすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態を図に従って説明する。図1は、本発明の一実施の形態を適用した腕時計の外観構成を示す平面図である。
【0014】
この腕時計1は、時計本体部2とこの時計本体部2の両側に係着されたリストバンド3、4とを有している。時計本体部2の上面中央部には、LCD等で構成される表示部5が設けられており、両側部には押下によりスイッチがオン(ON)となる押釦スイッチ6〜9が2個ずつ配置されている。なお、表示部5は、上部左側の第1表示領域51と右側の第2表示領域52、及び下部の第3表示領域53とに区分される。
【0015】
図2は、前記時計本体部2内に配置された回路の構成を示すブロック図である。
【0016】
発振回路10は基本周波数のクロック信号を生成する回路であり、生成したクロック信号を分周回路11に出力する。分周回路11はそのクロック信号を分周して1Hzの計時信号を作成し、時刻計数回路12に出力する。時刻計数回路12は時、分、秒のカウンタを有しており、1Hzの計時信号を計数して得られた時、分、秒の時刻データをCPU14に出力する。また時刻計数回路12は24時間毎の日キャリー信号を日付計数回路13に出力し、日付計数回路13はその日キャリー信号を計数して得た日付データをCPU14に出力する。入力部15は、前記押釦スイッチ6〜9を有しており、これらの操作信号をCPU14に出力する。
【0017】
CPU14は、ROM16に記憶されている各種プログラムを解読し、RAM17をワークエリアとして使用しつつ、時刻表示処理や後述するフローチャートに示す処理等を実行する中央処理部である。前記表示部5は、CPU14から出力される現在時刻データあるいは表示データに基づいて表示素子を駆動してそれらのデータを表示する。表示部5の下面側には、EL22が積層されており、CPU14はこのEL22の点灯動作を制御するとともに、音出力部18の放音動作を制御する。
【0018】
図3は、前記ROM16のメモリ構成を示す概念図である。
【0019】
ROM16には前記プログラムを格納するプログラム格納部161、後述する表示例に示す各種文字や画像を表示するための画像データを格納する画像データ格納部162等が設けられている。さらに、ROM16には、占い結果データを格納する占い結果データ格納部163が設けられており、本実施の形態において占い結果データは「SOSO(=まあまあ)」と「GOOD(=良い)」の2種類である。
【0020】
図4は、前記RAM17のメモリ構成を示す概念図である。
【0021】
RAM17には、後述するように観客Yが紙に記載し、演者Xがシークレットサインにより入力した4桁の数値が1桁目から4桁目まで入力される第1格納部171、この第1格納部171に記憶された数値の1桁目と2桁目との加算値、及び3桁目と4桁目の加算値を格納する第2格納部172、この第2格納部172に記憶された両値の加算値を格納する第3格納部173、及びこの第3格納部173に格納された値が2桁である場合に、両桁の数値を加算した値を格納する第4格納部174が設けられている。
【0022】
次に、以上の構成に係る本実施の形態の動作を、4桁の数字当てマジックを行う演者Xと観客Yの動作とともに説明する。
【0023】
すなわち、演者Xが所有する腕時計1は、時計モードにおいては、表示部5に現在時刻を表示させている。この状態から、演者Xがこの腕時計1を用いて観客Yの目前でトランプカード当てマジックを行うべく、押釦スイッチ6を操作すると、時計モードからマジックモードに移行し、CPU14はプログラムに従って図5及び図6に示す一連のフローチャートに示す処理を実行する。
【0024】
これから行うマジックは、相手に4桁の数字を書いてもらい、それで数字占いを行ったあとに、その数字を時計が当てるマジックである。
【0025】
先ず、モード表示処理を実行し(図5、ステップS1)、このステップS1での処理により、図7(A)に示すように、表示部5の第2表示領域52に、今から実行するマジックの番号「05」を表示させ、第3表示領域53に「MAGIC」の文字を表示させる。次に、タイトル表示処理を実行し(ステップS2)、このステップS2での処理により、図7(B)に示すように、第3表示領域53に今から実行するマジックのタイトルである「計算」を示す「CAL」の文字を表示させる。
【0026】
次に、押釦スイッチ8が操作されたか否かを判断し(ステップS3)、操作されたならば、「WRITE」の文字と「????」の文字とを切替表示させるとともに、「1」を表示させ、かつシークレットサイン表示処理を実行する(ステップS4)。このステップS4での処理により、図7(C)に示すように、第3表示領域53に「WRITE」の文字と「????」の文字とが切替表示され、第2表示領域52には「1」が表示され、第1表示領域51にて後述するシークレットサインの表示が開始される。
【0027】
第3表示領域53の「WRITE」の文字と「????」の文字との切替表示を演者Xが視認することにより、「数字占いをします。右上に表示される時計からの指示が5回ありますので、その順番に従って行います。4桁の数字を書いてください。」と発言すべきことを促すことができる。よって、マジックの進行をスムーズにすることができる。
【0028】
そして、演者Xによる前記発言に従って観客Yは、予め用意されている紙に鉛筆により、例えば「8609」と記入する。このとき、第2表示領域52には「1」が表示されていることから、これを見た観客Yは、時計からの「1」番目の指示であると理解する。しかし、この第2表示領域52には「1」は、演者Xにとっては、観客Yが書いた4桁の数字における1桁目をシークレットサインにより入力すべきことを意味する。
【0029】
次に、押釦スイッチ8が操作されたか否かを判断し(ステップS5)、操作されない場合には、1桁目であることを示すd1の値を0〜9まで順次変化させるとともに繰り返し変化させ(ステップS6)、d1の値を「1」変化させる都度、ステップS4に戻ってシークレットサイン表示処理を実行する。
【0030】
すなわち、シークレットサインは、図10に示すように2組のセグメントS1、S2の表示形態を組み合わせることにより、無効、1、2、3・・・0の数値を表す識別子である。そして、ステップS6でd1の値を「1」変化させる都度、ステップS6に戻ってシークレットサイン表示処理を実行することにより、第1表示領域51に数字に応じて順次変化するシークレットサインを表示させる。
【0031】
また、この図10に示した、2組のセグメントの表示形態と数字との関係については、腕時計1の取扱説明書を読むことにより、演者Xは既に知っている。したがって、演者Xは、第1表示領域51に変化しつつ表示されるシークレットサインを見ることにより、それが0〜9のいずれの数字を意味するものであるかを、認識することができる。
【0032】
そこで、演者Xは、第1表示領域51に、前記観客Yが紙に記載した4桁「8609」の左から1桁目の数字「8」を示す識別子(図10の「8」の数字に対応するセグメントの表示形態H8を参照)が表示された時点で、押釦スイッチ8を操作する。すると、ステップS5の判断がYESとなり、ステップS5からステップS7に進み、押釦スイッチ8を操作した時点で第1表示領域51に表示されていたシークレットサインである識別子に対応するd1の数字をRAMの第1格納部171に記憶する(ステップS9)。これにより図4に示すように、RAMの第1格納部171における「1」桁目の記憶エリアに、表示されていたシークレットサインである識別子に対応する数字「8」が記憶されることとなる。
【0033】
このとき、観客Yは、前述のように第2表示領域52に表示されている「1」は、時計からの「1」番目の指示であると理解していることから、シークレットサインを見ながら押釦スイッチ8を操作して1桁目の数値「8」を入力しても、トリックが露見することはない。
【0034】
一方、ステップS7に続く、ステップS8においては、「ABCD」の文字と「A+B=?」の文字とを切替表示させるとともに、第2表示領域52に「2」を表示させ、かつシークレットサイン表示処理を実行する(ステップS8)。このステップS8での処理により、図7(D)に示すように、第3表示領域53に「ABCD」の文字と「A+B=?」の文字とが切替表示され、第2表示領域52には「2」が表示され、第1表示領域51にてシークレットサインの表示が開始される。
【0035】
第3表示領域53の「ABCD」の文字と「A+B=?」の文字との切替表示を視認した演者Xは、この表示により促されて「次に、左の2桁を足して答を紙に書いてください。」と発言する。これに従って観客Yは、「8」と「6」と足して「14」と紙に記入する。
【0036】
このとき、第2表示領域52には「2」が表示されていることから、これを見た観客Yは、時計からの「2」番目の指示であると理解する。しかし、この第2表示領域52には「2」は、演者Xにとっては、観客Yが書いた4桁の数字「8609」における2桁目の数字「6」をシークレットサインにより入力すべきことを意味する。
【0037】
次に、押釦スイッチ8が操作されたか否かを判断し(ステップS9)、操作されない場合には、2桁目であることを示すd2の値を0〜9まで順次変化させるとともに繰り返し変化させ(ステップS10)、d2の値を「1」変化させる都度、ステップS8に戻ってシークレットサイン表示処理を実行する。
【0038】
そこで、演者Xは、第1表示領域51に、前記観客Yが紙に記載した4桁「8609」の左から2桁目の数字「6」を示す識別子(図10の「8」の数字に対応するセグメントの表示形態H6を参照)が表示された時点で、押釦スイッチ8を操作する。すると、ステップS9の判断がYESとなり、ステップS9からステップS11に進み、押釦スイッチ8を操作した時点で第1表示領域51に表示されていたシークレットサインに対応するd2の数字をRAMの第1格納部171に記憶する(ステップS11)。これにより図4に示すように、RAMの第1格納部171には「2」桁目に対応して、「6」が記憶されることとなる。
【0039】
このとき、観客Yは、前述のように第2表示領域52に表示されている「2」は、時計からの「2」番目の指示であると理解していることから、シークレットサインを見ながら押釦スイッチ8を操作して2桁目の数値「6」を入力しても、トリックが露見することはない。
【0040】
また、ステップS11に続く、ステップS12においては、「ABCD」の文字と「C+D=?」の文字とを切替表示させるとともに、「3」を表示させ、かつシークレットサイン表示処理を実行する(ステップS11)。このステップS11での処理により、図7(E)に示すように、第3表示領域53に「ABCD」の文字と「C+D=?」の文字とが切替表示され、第2表示領域52には「3」が表示され、第1表示領域51にてシークレットサインの表示が開始される。
【0041】
第3表示領域53の「ABCD」の文字と「C+D=?」の文字との切替表示を視認した演者Xは、この表示により促されて、「次に、右の2桁を足して答を紙に書いてください。」と発言する。これに従って観客Yは、「0」と「9」と足して「9」と紙に記入する。
【0042】
このとき、第2表示領域52には「3」が表示されていることから、これを見た観客Yは、時計からの「3」番目の指示であると理解する。しかし、この第2表示領域52には「3」は、演者Xにとっては、観客Yが書いた4桁の数字「8609」における3桁目の数字「0」をシークレットサインにより入力すべきことを意味する。
【0043】
次に、押釦スイッチ8が操作されたか否かを判断し(ステップS13)、操作されない場合には、3桁目であることを示すd3の値を0〜9まで順次変化させるとともに繰り返し変化させ(ステップS14)、d3の値を「1」変化させる都度、ステップS12に戻ってシークレットサイン表示処理を実行する。
【0044】
そこで、演者Xは、第1表示領域51に、前記観客Yが紙に記載した4桁「8609」の左から3桁目の数字「0」を示す識別子(図10の「8」の数字に対応するセグメントの表示形態H0を参照)が表示された時点で、押釦スイッチ8を操作する。すると、ステップS13の判断がYESとなり、ステップS13からステップS15に進み、押釦スイッチ8を操作した時点で第1表示領域51に表示されていたシークレットサインに対応するd3の数字をRAMの第1格納部171に記憶する(ステップS15)。これにより図4に示すように、RAMの第1格納部171には「3」桁目に対応して、「0」が記憶されることとなる。
【0045】
このとき、観客Yは、前述のように第2表示領域52に表示されている「3」は、時計からの「3」番目の指示であると理解していることから、シークレットサインを見ながら押釦スイッチ8を操作して3桁目の数値「0」を入力しても、トリックが露見することはない。
【0046】
また、ステップS15に続く、ステップS16においては、「EF」の文字と「E+F=?」の文字とを切替表示させるとともに、「4」を表示させ、かつシークレットサイン表示処理を実行する(ステップS15)。このステップS15での処理により、図8(F)に示すように、第3表示領域53に「EF」の文字と「E+F=?」の文字とが切替表示され、第2表示領域52には「4」が表示され、第1表示領域51にてシークレットサインの表示が開始される。
【0047】
第3表示領域53の「EF」の文字と「E+F=?」の文字との切替表示を視認した演者Xは、この表示により促されて「さらに2つの答えを足して、答えを紙に書いてください。もし、答が2桁になったら、もう一度足して1桁にしてください」と発言する。これに従って観客Yは、「14」と「9」と足して「23」と紙に記入した後、さらに「2」と「3」とを足して「5」と記入する。
【0048】
このとき、第2表示領域52には「4」が表示されていることから、これを見た観客Yは、時計からの「4」番目の指示であると理解する。しかし、この第2表示領域52には「4」は、演者Xにとっては、観客Yが書いた4桁の数字「8609」における4桁目の数字「4」をシークレットサインにより入力すべきことを意味する。
【0049】
次に、押釦スイッチ8が操作されたか否かを判断し(ステップS17)、操作されない場合には、4桁目であることを示すd4の値を0〜9まで順次変化させるとともに繰り返し変化させ(ステップS18)、d3の値を「1」変化させる都度、ステップS16に戻ってシークレットサイン表示処理を実行する。
【0050】
そこで、演者Xは、第1表示領域51に、前記観客Yが紙に記載した4桁「8609」の左から4桁目の数字「9」を示す識別子(図10の「8」の数字に対応するセグメントの表示形態H9を参照)が表示された時点で、押釦スイッチ8を操作する。すると、ステップS17の判断がYESとなり、ステップS17からステップS19に進み、押釦スイッチ8を操作した時点で第1表示領域51に表示されていたシークレットサインに対応するd4の数字をRAMの第1格納部171に記憶する(ステップS19)。これにより図4に示すように、RAMの第1格納部171には「4」桁目に対応して、「9」が記憶されることとなる。
【0051】
このとき、観客Yは、前述のように第2表示領域52に表示されている「4」は、時計からの「4」番目の指示であると理解していることから、シークレットサインを見ながら押釦スイッチ8を操作して4桁目の数値「9」を入力しても、トリックが露見することはない。
【0052】
以上の処理により、図4に示すように、RAM17の第1格納部171に、「1」桁目〜「4」桁目までの数値「8」「6」「0」「9」が格納されることとなる。そこで、CPU14は、第1格納部171に格納されている「8609」における左の2桁を加算し、かつ、右の2桁を加算して、各値を第2格納部172に記憶する(図6、ステップS20)。これにより、「8+6=14」及び「0+9=9」の演算が行われて、図4に示すように、RAM17の第2格納部172に、「14」、「9」が格納されることとなる。
【0053】
さらに、この加算結果を加算して第3格納部173に記憶し、この値が2桁であった場合にはこの2桁を加算して第4格納部174に記憶する(ステップS21)。これにより、「14+9=23」の演算が行われて、図4に示すように、RAM17の第3格納部173に「23」が格納された後、「2+3=5」の演算が行われて、RAM17の第4格納部174に「5」が格納されることとなる。
【0054】
次に、「5」を表示させ、かつ入力指示表示処理を実行する(ステップS22)。このステップS22での処理により、図8(G)に示すように、第3表示領域53に「X=0」の文字が表示されるとともに「0」が点滅表示され、第2表示領域52には「5」が表示される。
【0055】
これを視認した演者Xは、「最後にその答えを右下ボタンを押して入力してから右上ボタンを操作してください。」と発言するとともに、腕時計1を観客Yに渡す。これを受け取った観客Yは、押釦スイッチ9をそう操作して「5」を入力してから、押釦スイッチ8操作する。この観客Yによる押釦スイッチ8の操作により、ステップS23の判断がYESとなり、ステップS23からステップS24に進み、占い中表示処理を実行する。このステップS24での処理により、図8(H)に示すように、第3表示領域53には、三角形のマークが移動する動的表示がなされ、恰も腕時計1が占いを行っているかの如き演出を行うことができる。
【0056】
これを視認した演者Xは、「それでは占い結果を見てみましょう。」と発言して、押釦スイッチ8の操作を促す。これに応じて、観客Yが押釦スイッチ8を操作すると、ステップS25の判断がYESとなり、ステップS25からステップS26に進み、占い結果と加算結果(観客Yが入力した値、又は第4格納部174に格納されている値)を切替表示させる。
【0057】
このステップS26での処理により、図8(I)に示すように、第3表示領域53には、「5」の文字と「SOSO?」の文字とが切替表示される。したがって、本来は後述するように、観客Y予め記載した4桁の数字を腕時計1が当てるマジックであるが、占いゲームとしても、腕時計1の興趣性を向上させることができる。
【0058】
なお、占い結果は、「SOSO(=まあまあ)」と「GOOD(=良い)」の2種類のうち、「SOSO(=まあまあ)」であった。しかし、この占い結果は、単にROM16の占い結果データ格納部163から、「SOSO(=まあまあ)」と「GOOD(=良い)」のいずれかをランダムに選択したものに過ぎず、入力された数値等とは全く無関係である。
【0059】
また、この占い結果と加算結果を視認した演者Xは、「占いは「まあまあ」ですね。では続けて右上ボタンを押してください。」と発言する。これに応じて、観客Yが押釦スイ
ッチ8を操作すると、ステップS27の判断がYESとなり、ステップS27からステップS28に進み、最初の2桁の合計表示処理を実行する(ステップS28)。このステップS28での処理においては、前記第2格納部172に格納されている2つの数字を読み出し、カンマを介して第3表示領域53に表示させる。したがって、本例においては、第2格納部172には、「14」「9」が格納されていることから、図8(J)に示すように、第3表示領域53には「14,9」が表示されることとなる。
【0060】
これを視認した演者Xは、「紙に書いた計算と比べてください。最初の2桁の合計は「14」と「9」ですね。」と発言する。この発言を聞き、かつ、図8(J)の表示状態を見た観客Yは、紙に書いて計算した値(図7(E)参照)と、腕時計1の表示とが一致することにより、驚愕する(第1の驚愕)。
【0061】
さらに、演者Xが押釦スイッチ8を操作すべきことを促し、観客Yが押釦スイッチ8を操作すると、ステップS29の判断がYESとなる。したがって、ステップS29からステップS30に進み、最初の4桁の数字の表示処理を実行する(ステップS30)。このステップS30での処理においては、前記第1格納部171に格納されている4つの数字読み出して第3表示領域53に表示させるとともに、EL22を点滅させる。
【0062】
したがって、このステップS23での処理により、図9(K)に示すように、第3表示領域53に「8609」の文字が表示されるとともに、EL22が点滅する。これを視認した演者Xは、「そして、最初の数字は「8609」ですね。」と発言する。この発言を聞き、かつ、図9(K)の表示状態を見た観客Yは、紙に書いた4桁の数字(図7(C)参照)と、腕時計1の表示とが一致することにより、驚愕する(第2の驚愕)。
【0063】
しかも、EL22が点滅により観客Yの驚愕度を高めることができる。
【0064】
このようにして、このマジックにおいては、演者Xはマジック開始直後に観客Yが紙に書いた4桁の数字を、表示部5の上部左側のシークレットサインである識別子の表示形態H0〜H10に合わせて、押釦スイッチ8の操作を行うことにより、対応する数字を腕時計1に記憶させる簡単な操作により、数字当て及びその加算経過当てマジックを行うことができる。よって、腕時計1を用いて余興効果を発生させたり、当該機器(腕時計1)の興趣性を高めさせたりすることができる。
【0065】
なお、本実施の形態の説明においては、4桁の数字「8609」を例にして説明したが、数字は他の組合せでもよく、その場合、記載した演者Xのセリフを適宜変更すればよい。また、用いる数値も4桁に限らず、1桁であってもより多数桁であってもよい。1桁である場合には、ステップS1〜S6の処理を行った後、ステップS29とステップS30の処理を行い、ステップS30で最初の1桁の数字を表示させればよい。
【0066】
これによっても、腕時計1を用いて余興効果を発生させたり、当該機器(腕時計1)の興趣性を高めさせたりすることができる。
【0067】
また、実施の形態においては、演算として加算を用いるようにしたが、減算、乗算、除算であってもよい。さらに、実施の形態においては、本発明を腕時計に適用した場合を示したが、これに限ることなく、マジック専用機器として構成したり、携帯ゲーム機器、携帯電話機等の他の電子機器に適用したりするようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の一実施の形態に係る腕時計の外観構成図である。
【図2】同腕時計の回路構成を示すブロック図である。
【図3】ROMのメモリ構成図である。
【図4】RAMのメモリ構成図である。
【図5】本実施の形態の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】図5に続くフローチャートである。
【図7】同実施の形態の表示遷移図である。
【図8】図7に続く表示遷移図である。
【図9】図8に続く表示遷移図である。
【図10】シークレットサインを示す図である。
【符号の説明】
【0069】
1 腕時計
2 時計本体部
5 表示部
6〜9 押釦スイッチ
14 CPU
15 入力部
16 ROM
17 RAM
18 音出力部
51 第1表示領域
52 第2表示領域
53 第3表示領域
161 プログラム記憶領域
162 画像データ格納領域
171 第1格納部
172 第2格納部
173 第3格納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた桁数までの各桁を示す数値を順次表示させるとともに、前記桁を示す数値を変化させる毎に、「0」から「9」までの数字それぞれ示す識別子を順次表示させる第1の表示制御手段と、
この第1の表示制御手段により前記「0」から「9」までの数字それぞれを示す識別子が順次表示されている状態において、前記桁を示す数字が変化する毎に、予め定められている操作の有無を判断する第1の判断手段と、
この第1の判断手段により前記予め定められている操作の有が判断された時点において表示されていた前記識別子に対応する数字の値を、前記表示されていた桁を示す数値に対応させて記憶する記憶手段と、
この記憶手段に前記各桁を示す数値に対応して前記識別子が示す数字の値が記憶されたことを条件として、予め定められている操作の有無を判断する第2の判断手段と、
この第2の判断手段により、前記予め定められている操作の有が判断されたことを条件として、前記記憶手段に記憶されている各桁に対応する数字を表示させる第2の表示制御手段と
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記第1の表示制御手段は、前記予め定められた桁数までの複数桁からなる任意の数字を記載するべきことを示すメッセージを更に表示させるとともに、前記複数桁までの各桁に対応する順次表示させることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記第1の表示制御手段は、前記予め定められた桁数までの複数桁からなる任意の数字を記載するべきことを示す第1のメッセージと、前記複数桁からなる任意の数字を用いた演算を行うべきことを示す第2メッセージとを表示させ、
前記記憶手段に記憶された複数の数値を用いて、前記演算と同一の演算を実行する演算手段を更に備え、
前記記憶手段は、前記演算手段の演算経過と演算結果とを更に記憶し、
前記第2の表示制御手段は、前記記憶手段に記憶されている前記演算手段の演算経過又は演算結果を更に表示させることを特徴とする請求項1又は2記載の電子機器。
【請求項4】
前記記憶手段は、更に複数の占い結果データを記憶し、
前記第2の表示制御手段は、前記演算経過又は演算結果を表示させる際に、前記占い結果データのいずれかを前記記憶手段から読み出して表示させることを特徴とする請求項3記載の電子機器。
【請求項5】
前記第2の表示制御手段により前記記憶手段に記憶されている各桁に対応する複数の数字を表示させる際に、発光動作する発光手段を更に備えることを特徴とする請求項1から4にいずれか記載の電子機器。
【請求項6】
表示手段を備える電子機器が有するコンピュータを、
予め定められた桁数までの各桁を示す数値を順次表示させるとともに、前記桁を示す数値を変化させる毎に、「0」から「9」までの数字それぞれ示す識別子を順次表示させる第1の表示制御手段と、
前記「0」から「9」までの数字それぞれにを示す識別子が順次表示されている状態において、前記桁を示す数字が変化する毎に、予め定められている操作の有無を判断する第1の判断手段と、
この第1の判断手段により前記予め定められている操作の有が判断された時点において表示されていた前記識別子に対応する数字の値を、前記表示されていた桁を示す数値に対応させて記憶する記憶手段と、
この記憶手段に前記各桁を示す数値に対応して前記識別子が示す数字の値が記憶されたことを条件として、予め定められている操作の有無を判断する第2の判断手段と、
この第2の判断手段により、前記予め定められている操作の有が判断されたことを条件として、前記記憶手段に記憶されている各桁に対応する数字を表示させる第2の表示制御手段と
して機能させることを特徴とする電子機器制御プログラム。
【請求項7】
予め定められた桁数までの各桁を示す数値を順次表示させるとともに、前記桁を示す数値を変化させる毎に、「0」から「9」までの数字それぞれ示す識別子を順次表示させる第1の表示制御ステップと、
前記「0」から「9」までの数字それぞれにを示す識別子が順次表示されている状態において、前記桁を示す数字が変化する毎に、予め定められている操作の有無を判断する第1の判断ステップと、
この第1の判断ステップにより前記予め定められている操作の有が判断された時点において表示されていた前記識別子に対応する数字の値を、前記表示されていた桁を示す数値に対応させて記憶する記憶ステップと、
この記憶ステップにより前記各桁を示す数値に対応して前記識別子が示す数字の値が記憶されたことを条件として、予め定められている操作の有無を判断する第2の判断ステップと、
この第2の判断ステップにより、前記予め定められている操作の有が判断されたことを条件として、前記記憶ステップで記憶されている各桁に対応する数字を表示させる第2の表示制御ステップと
を含むことを特徴とする電子機器制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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