説明

電子機器およびその制御方法

【課題】ノイズの影響を低減させて電波を受信できると共に、使用者が電波信号の受信中であることを認識できるような電子機器およびその制御方法を提供する。
【解決手段】
電子機器1は、電波信号を受信する受信部10と、所与の情報を表示する電気泳動表示部20と、電気泳動表示部に、表示される前記所与の情報の内容に対応づけられた駆動信号を供給する表示駆動部30と、受信部に前記電波信号の受信を指示するとともに、表示駆動部に電気泳動表示部への前記駆動信号の供給を指示する制御部40と、を含み、制御部は、受信部に前記電波信号の受信を指示するに先立ち、表示駆動部に、受信部が前記電波信号を受信中であることを示す表示に対応づけられた前記駆動信号の電気泳動表示部への供給を指示し、受信部が前記電波信号の受信中は、表示駆動部が前記駆動信号の供給を停止するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気泳動表示装置を用いた電子機器およびその制御方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
電波信号を受信する電子機器、特に小型の電子機器においては、受信器と電子回路部分が狭所に集積されるため電子回路部分の信号が受信器に対して潜在的なノイズ源となりうる。そこで、電子回路を停止させてノイズの発生を抑えた上で、感度よく受信を行う方法が提案されている。例えば、特許文献1の電波時計は、液晶表示装置からのノイズの影響を低減させて電波信号を受信することができる電波時計に関するものである。これによると、液晶表示装置を停止しても差し支えがない暗状態や夜間に限って電波信号を受信することにより、受信感度に対するノイズの影響を低減させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−109016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の電波時計は、液晶表示装置を停止しているため電波受信中には液晶画面は表示部としては全く機能しない。よって電波信号の受信に適した状況は、周りが暗闇である場合に限られる。しかし、現実には電波時計の時刻表示に誤差が生じれば、日中でも手動で電波を受信させたいとの要求がある。特許文献1の電波時計において、このような使い方をした場合には、実際には電波を受信中にもかかわらず、使用者は電波時計が故障したものと誤るおそれがある。
【0005】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様によれば、ノイズの影響を低減させて電波を受信できると共に、使用者が電波信号の受信中であることを認識できるような電子機器およびその制御方法を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明は、
所与の条件に従い電波信号を受信するとともに、所与の情報を表示する電子機器であって、前記電波信号を受信する受信部と、前記所与の情報を表示する電気泳動表示部と、前記電気泳動表示部に、表示される前記所与の情報の内容に対応づけられた駆動信号を供給する表示駆動部と、前記受信部に前記電波信号の受信を指示するとともに、前記表示駆動部に前記電気泳動表示部への前記駆動信号の供給を指示する制御部と、を含み、前記制御部は、前記受信部に前記電波信号の受信を指示するに先立ち、前記表示駆動部に、前記受信部が前記電波信号を受信中であることを示す表示に対応づけられた前記駆動信号の前記電気泳動表示部への供給を指示し、前記受信部が前記電波信号の受信中は、前記表示駆動部が前記駆動信号の供給を停止するように制御する。
【0007】
本発明の電気泳動表示部は、表示駆動部から駆動信号の供給を停止された後もその表示を保持できる。そして、制御部は、電波信号の受信を受信部に指示する前に受信中であることを示す表示に対応づけられた駆動信号の供給を表示駆動部へ指示する。そのため、本発明によれば、電波信号の受信中に制御部が表示駆動部の前記駆動信号の供給を停止させても、受信中である旨を使用者に対し表示し続けることができる。
【0008】
例えば、液晶表示画面を用いた電子機器においては、液晶表示画面への駆動信号の供給を停止しつつ画面表示を行うことはできない。そのため、特許文献1の電波時計の例では周囲が暗闇のときに画面表示を中断して電波信号を受信しなければならない。しかし、本発明では、受信中であることを示す表示により使用者に故障の疑念を抱かせることもなく、ノイズ源となりうる電気泳動表示部への駆動信号の供給を昼夜を問わずに停止させて、高感度の受信信号の受信ができる。
【0009】
(2)この電子機器において、
前記表示駆動部に電源を供給する電源供給部を含み、前記制御部は、前記受信部が前記電波信号の受信中は、前記電源供給部に前記表示駆動部への前記電源の供給を停止するように指示することにより、前記表示駆動部が前記駆動信号の供給を停止する制御を行ってもよい。
【0010】
本発明によれば、表示駆動部への電源の供給を停止することで駆動信号の供給を停止しても、電波信号の受信中であることを、使用者に対し表示し続けることができる。よって、表示駆動部への電源供給を行わないため、電子機器の消費電力の削減に貢献することができる。
【0011】
(3)この電子機器において、
前記電気泳動表示部は、少なくとも第1色及び第2色を表示可能であり、前記電波信号の受信中であることを示す表示は、前記第1色又は前記第2色による全画面表示であってもよい。
【0012】
本発明によれば、電波信号の受信中であることを示す所定の色での全画面表示において、その表示色は電気泳動表示部の画面表示の基本色である第1色又は第2色のいずれか1色であるため、表示駆動部から駆動信号の供給を長時間停止してもコントラスト低下による見映えの劣化を防ぐことができる。
【0013】
例えば、二粒子系マイクロカプセル型の電気泳動方式では、分散液は無色透明、泳動粒子は白色又は黒色のものがある。この方式の電気泳動表示部は、白色又は黒色の2色を基本色として少なくとも2色を表示可能である。このとき、第1色として泳動粒子の一の色である白色を割り当て、第2色として黒色を割り当ててもよい。泳動粒子への電圧の印加により例えば第1色が電気泳動表示部に表示されている場合、その後に駆動信号の供給を長時間停止すると、第1色の泳動粒子の一部が、使用者が視認する電気泳動表示部の共通電極付近から電気泳動素子(マイクロカプセル)の中心部へと移動することがあり得る。その場合でも、電気泳動表示部の共通電極付近には第1色の泳動粒子がいくつも重なりあって存在するために、第1色が電気泳動表示部に表示され続ける。よって、表示駆動部から駆動信号の供給を長時間停止してもコントラスト低下による見映えの劣化を防ぐことができる。
【0014】
(4)この電子機器において、
前記電気泳動表示部は、少なくとも第1色、第2色及び前記第1色と前記第2色の中間色を表示可能であり、前記電波信号の受信中であることを示す表示は、前記中間色による全画面表示であってもよい。
【0015】
本発明によれば、電波信号の受信中であることを示す所定の色での全画面表示において、その表示色は中間色であるため、表示駆動部から駆動信号の供給を長時間停止しても泳動粒子の移動による色合いの変化が使用者には見えにくい。よって、見映えの悪化を防ぐことができる。
【0016】
例えば、二粒子系マイクロカプセル型の電気泳動方式で泳動粒子は白色又は黒色であるとする。この方式の電気泳動表示部において、第1色の白色と第2色の黒色に加えて、少なくとも1つの中間色(灰色)を表示可能であるとする。
【0017】
泳動粒子への電圧の印加により1つの中間色が電気泳動表示部に表示されている場合、その後に駆動信号の供給を長時間停止すると、前記のように泳動粒子の一部が電気泳動素子(マイクロカプセル)の中心部へと移動することがあり得る。その場合、電気泳動表示部の表示画面に色合いの変化が生じ得るが、中間色から中間色への変化であるために使用者には認識されにくい。よって、表示駆動部から駆動信号の供給を長時間停止しても見映えの悪化を防ぐことができる。
【0018】
(5)この電子機器において、
現在時刻を計時する計時部を含み、前記受信部は、時刻情報を含む前記電波信号を受信し、前記電気泳動表示部は、前記所与の情報として前記現在時刻を表示し、前記制御部は、前記受信部が前記時刻情報の取得に成功したと判断した場合に、前記時刻情報に基づいて前記計時部の前記現在時刻を修正し、前記受信部が前記電波信号の受信の完了後に、前記表示駆動部が前記現在時刻の表示に対応づけられた前記駆動信号の供給を再開するように制御してもよい。
【0019】
本発明によれば、例えば電波時計のような現在時刻の表示機能を有する電子機器において、電波信号に含まれる時刻情報に基づいて、前記時刻情報の取得に成功した場合に正確な時刻の表示を行うことができる。
【0020】
(6)この電子機器において、
前記電気泳動表示部は、前記電気泳動素子を含む電気泳動表示層を、共通電極が形成された共通電極層と、前記電気泳動表示層を駆動するための駆動電極が形成された駆動電極層との間に介在させて構成された電気泳動表示パネルであって、前記表示駆動部は、前記共通電極に第1電位及び第2電位を繰り返す共通電極駆動パルスを供給し、前記制御部は、前記受信部が前記電波信号の受信中は、前記表示駆動部が前記共通電極駆動パルスの供給を停止するように制御してもよい。
【0021】
本発明によれば、表示駆動部が共通電極駆動パルスを供給する方式の電気泳動表示パネルを用いた電子機器において、電波信号の受信の際に主要なノイズの原因となりうる共通電極駆動パルスを停止することによって、高感度の受信信号の受信ができる。
【0022】
(7)本発明は、
受信部を用い電波信号を受信するとともに、表示駆動部から供給される駆動信号により電気泳動表示部に所与の情報を表示する電子機器の制御方法であって、前記受信部に前記電波信号の受信を指示するとともに、前記表示駆動部に前記電気泳動表示部への前記駆動信号の供給を指示するステップと、前記受信部に前記電波信号の受信を指示する場合には、前記受信部に前記電波信号の受信を指示するに先立ち、前記表示駆動部に、前記受信部が前記電波信号を受信中であることを示す表示に対応づけられた前記駆動信号の前記電気泳動表示部への供給を指示し、前記受信部が前記電波信号の受信中には、前記表示駆動部が前記駆動信号の供給を停止するように制御するステップとを含む。
【0023】
本発明によれば、受信部に電波信号の受信を指示するに先立ち、電波信号の受信中であることを示す表示に対応づけられた駆動信号の電気泳動表示部への供給を指示し、前記受信部が前記電波信号の受信中には、表示駆動部が前記駆動信号の供給を停止するように制御する。この制御により、電波信号の受信中に表示駆動部の前記駆動信号の供給を停止させても、受信中である旨を使用者に対し表示し続けることができる。よって、受信中であることを示す表示により使用者に故障の疑念を抱かせることもなく、ノイズ源となりうる電気泳動表示部への駆動信号の供給を停止させて、高感度の受信信号の受信ができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態に係る電子機器のブロック図。
【図2】第1実施例における電波時計のブロック図。
【図3】図3(A)は第1実施例における電波時計の外観を示す正面図。図3(B)は第1実施例における電波時計の内部を示す断面図。
【図4】第1実施例における制御部のフローチャート図。
【図5】図5(A)、図5(B)、図5(C)は第1実施例における受信中を示す表示の例を示す図。
【図6】第1実施例における電気泳動表示部の構成を示す図。
【図7】第1実施例における電気泳動表示部の1つのセグメントの変化を示す図。
【図8】第1実施例における電気泳動表示部の1つのセグメントの変化を示す図。
【図9】第2実施例における制御部のフローチャート図。
【図10】第2実施例における表示の変化の一例を示す図。
【図11】図11(A)は電子機器の例である携帯電話の図。図11(B)は電子機器の例である通信機能付き腕時計の図。図11(C)は電子機器の例であるノートパソコンの図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は本実施形態に係る電子機器1のブロック図である。
【0026】
電子機器1は受信部10を含む。受信部10は、制御部40からの受信制御信号4010の指示内容に基づき、電子機器に必要な電波信号を受信する。受信部10は、受信した電波信号から電波信号情報1040を制御部40に出力する。電波信号情報1040は電波信号に含まれる全ての情報であってもよいし、制御部40が必要とする一部の情報であってもよい。なお、電波信号は、例えば短波や長波といった特定の波長に限られない。また、電波信号は電子機器1に必要な情報を含んでいるが、例えば時刻情報といった特定の情報に限られるものではない。電波信号の送信元は、例えば標準電波施設のような施設でも、他の電子機器(端末装置)でもよい。
【0027】
電子機器1は電気泳動表示部20を含む。電気泳動表示部20は、表示駆動部30からの駆動信号3020に従い、所与の情報を使用者に対して表示し、ユーザーインターフェースとしての役割を有する。
【0028】
電気泳動表示部20は電気泳動表示装置により実現できる。一般に電気泳動表示装置は、CRTやLCDと比較して視認性がよく目が疲れにくいこと、曲げることができ携帯性に優れていることを特徴とする。また、電気泳動表示装置に所望の表示パターンを形成した後、共通電極やセグメント電極(又は画素電極)に与えていた電位の印加を停止することで(例えば、各電極をハイインピーダンスに設定することで)、前記表示パターンを保持することを特徴とする。
【0029】
電気泳動表示部20はこれらの特徴を有するが、その方式はセグメント方式であってもアクティブマトリックス方式でもよい。また、マイクロカプセル型電気泳動方式、水平移動型(In−Plane型)電気泳動方式、垂直型電気泳動方式のいずれの方式でもよいし、マイクロカプセル型の場合は二粒子系、一粒子系のいずれでもよい。
【0030】
電子機器1は表示駆動部30を含む。表示駆動部30は、制御部40からの表示駆動制御信号4030の指示に従い、電気泳動表示部20へ駆動信号3020を供給する。駆動信号3020は、電気泳動表示部20に表示される所与の情報の内容に対応づけられている。
【0031】
電子機器1は制御部40を含む。制御部40は表示駆動制御信号4030によって、表示駆動部30が電気泳動表示部20へ駆動信号3020を供給又は停止するタイミングを制御する。また、制御部40は受信制御信号4010によって、受信部10が電波信号を受信するタイミングを制御する。制御部40は、表示駆動制御信号4030と受信制御信号4010によって、受信部10に電波信号の受信を指示する前に、表示駆動部30に、受信部10が電波信号の受信中であることを示す表示に対応づけられた駆動信号3020の電気泳動表示部20への供給を指示し、受信部10が電波信号の受信中は、表示駆動部30が駆動信号3020の供給を停止するように制御する。
【0032】
電気泳動表示部20は、表示駆動部30から駆動信号3020の供給を停止された後もその表示を保持できる。よって、制御部40が、電波信号の受信を受信制御信号4010によって受信部10に指示する前に、受信中であることを示す表示に対応づけられた駆動信号3020の供給を表示駆動部30へ指示することで、電波信号の受信中に、表示駆動部30が駆動信号3020の供給を停止しても、受信中であることを電気泳動表示部20の表示によって使用者に対し表示し続けることができる。
【0033】
よって、当該表示により使用者に故障の疑念を抱かせることもなく、ノイズ源となりうる電気泳動表示部20への駆動信号3020の供給を停止させて、高感度の受信信号の受信ができる。
【0034】
以下、電子機器として標準時刻情報を含む電波を受信する電波時計を例にとり、図1に示した電子機器の具体的な実施例について詳細に説明する。
【0035】
(1.第1実施例)
図2は第1実施例における電波時計のブロック図である。電波時計1Aは図1の電子機器1に対応する。
【0036】
電波時計1Aは、アンテナ106と受信回路110を有する受信部10を含む。アンテナ106は電波時計1Aに必要な電波信号を受信し、受信回路110に受信部内部信号112として供給する。第1実施例において、電波信号は例えば長波帯標準電波信号である。長波帯標準電波信号は時刻情報であるタイムコード1040Aを含む。具体的には、タイムコード1040Aには時、分、日、年、曜日などの情報が含まれる。なお、CPU40Aはタイムコード1040Aから適宜必要な情報を取得し、必要に応じて、電波時計1Aが有する時、分、日、年、曜日などのデータを修正することが出来る。
【0037】
電波時計1Aは、EPD(Electro Phoretic Display)パネル20Aを含む。EPDパネル、すなわち電気泳動表示パネル20Aは図1の電気泳動表示部20に対応する。第1実施例において、EPDパネル20Aは例えば二粒子系のマイクロカプセル型電気泳動方式である。そして、EPDパネル20Aは例えばセグメント方式により時刻情報、日付情報等を表示する。
【0038】
電波時計1Aは、EPD(Ele ctro Phoretic Display)ドライバ30Aを含む。EPDドライバ30Aは図1の表示駆動部30に対応する。EPDドライバ30Aは、CPU40Aからの表示駆動制御信号4030Aの指示に従い、EPDパネル20Aへ駆動信号3020Aを供給する。駆動信号3020Aは、EPDパネル20Aに表示される時刻情報等の内容に対応づけられている。
【0039】
電波時計1Aは、CPU40Aを含む。CPU40Aは図1の制御部40に対応する。CPU40Aは、EPDドライバ30Aが駆動信号3020Aを供給又は停止するタイミングを表示駆動制御信号4030Aによって制御する。また、CPU40Aは、アンテナ106が長波帯標準電波信号を受信するタイミングも受信制御信号4010Aによって制御する。第1実施例では、CPU40Aは受信回路110に対して受信の指示を行う。次に、アンテナ106から供給される受信部内部信号112が受信回路110に供給される。
【0040】
電波時計1Aは、計時部60を含む。計時部60により、電波時計1AはEPDパネル20Aに表示される時刻情報等を計時する。計時部60は、計時する情報を計時情報信号6030としてEPDドライバ30Aに供給する。このとき、CPU40Aはタイムコード1040Aに基づいて、計時制御信号4060を用いて計時部60が計時する情報を修正することができる。この修正によりEPDパネル20Aには正確な時刻情報等が表示される。
【0041】
ここで、計時情報信号6030はCPU40A経由でEPDドライバ30Aに供給されてもよい。この場合には、CPU40Aは計時部60が計時する情報を計時制御信号4060によって修正するのではなく、計時情報信号6030をCPU40Aにおいて直接修正してからEPDドライバ30Aに供給してもよい。
【0042】
電波時計1Aは、電源供給部50と電池70を含む。電源供給部50は、電源である電池70からの電源供給7050を受け、受信部10、EPDパネル20A、EPDドライバ30A、CPU40A、計時部60に対してそれぞれ電源供給(5010、5030、5040、5060)を行う。CPU40Aは電源供給制御信号4050によって、各電源供給の電源供給(5010、5030、5040、5060)のオン/オフを切り換えることができる。個別に機能ブロック(10、20A、30A、40A、60)の電源供給を停止することで、その機能ブロックからのノイズ発生を抑制したり、消費電力を低下させたりすることができる。ここで、電池70は一次電池でもよいし、例えばリチウムイオン電池のような二次電池(蓄電池)であってもよい。第1実施例においては、電池70は二次電池であり、太陽電池(図外)で発生した電力によって充電された電池70は、電波時計1Aに必要な電力を供給する。
【0043】
第1実施例においては、EPDパネル20Aに表示される時刻情報等の内容はEPDドライバ30Aから供給される駆動信号3020Aに従う。CPU40Aは、電波信号の受信を受信制御信号4010Aによって受信回路110に指示する前に、受信中であることを示す表示に対応づけられた駆動信号3020Aの供給を、表示駆動制御信号4030AによってEPDドライバ30Aに指示する。その後CPU40Aは、EPDドライバ30Aへの電源供給5030を停止するように、電源供給制御信号4050によって電源供給部50に指示をする。これにより、駆動信号3020Aの供給は停止されるが、継続して表示されるEPDパネル20Aの表示内容によって、使用者は電波信号の受信中であることを認識することができる。
【0044】
図3(A)は第1実施例の電波時計の外観を示す正面図である。図3(A)の電波時計の12時と6時を結ぶ線に沿った断面図が図3(B)である。図3(B)のガラス102側が図3(A)で正面図として描かれ、裏蓋105側は図3(A)には図示されていない。図3(A)又は(B)のアンテナ106は図2のアンテナ106に対応する。また、表示基板101はEPDパネル20Aの全体とEPDドライバ30Aの一部を含む。図3(B)の表示基板101は一部がフレキシブル基板になっており、その折り返された表示基板109と共に胴104に納められている。折り返された表示基板109はEPDドライバ30Aの一部を含む。第1実施例の電波時計では、太陽電池押さえ板103により固定された太陽電池100が使われ、発生した電力により二次電池(図2の70)が充電される。回路押さえ板107で固定された回路ブロック108は、CPU40A、計時部60および受信回路110と電源供給部50の一部を含む。
【0045】
図3(A)のような電波時計においては、アンテナ106が正面から見ると表示基板101の背後の裏蓋105付近に配置されている。一般に裏蓋105は金属製であり、裏蓋105を通り抜けて電波信号がアンテナ106に到達することは期待できない。よって、電波信号はガラス102、表示基板101、折り返された表示基板109を通過した電波信号をアンテナ106で受信することになる。小型化の要求によりアンテナ106の配置の自由度は少ない。よって、図3(A)のような電波時計においてアンテナ106の電波信号の受信感度をできるだけ高める必要がある。なお、受信部に到達する電波信号の経路が限定されていることによる受信感度向上の要求は、電波時計に限らず、小型化が進む電子機器一般に当てはまる。
【0046】
ここで、アンテナ106の受信感度向上のため、アンテナ106付近にはノイズ発生源となりうる一切の電気的配線を近づけない方法もあり得る。特にEPDパネルは+15Vといった高い電圧供給を必要とすることがあり、その駆動信号はノイズ発生源となり易い。具体的な方法とは、例えば、図3(A)および(B)で示される電波時計の構成において、表示基板101との折り返された表示基板109を6時方向に移動することで、12時付近にあるアンテナ106からできるだけ離す方法である。このとき、表示基板101と折り返された表示基板109をつなぐ折り返し部分109Aには配線が集中する。このため、折り返し部分109Aはアンテナ106(12時付近に存在)と対向する6時付近に配置する。
【0047】
しかし、アンテナ106と表示基板101、109を物理的に離すことは、電波時計および小型の電子機器において限界がある。また、この表示基板101に含まれるEPDパネル20Aを小さくすると、使用者の視認性を向上させたい要求に反することになってしまう。そのため、アンテナ106の電波信号の受信感度を高めるには、受信中にEPDの駆動信号を停止させることが効果的である。
【0048】
図4は第1実施例における図1の制御部40に対応する図2のCPU40Aの制御を示すフローチャート図である。
【0049】
まず、CPU40Aは、受信制御信号4010Aにより受信部10に電波信号の受信を指示するに先立ち、EPDドライバ30Aに、受信部10が電波信号の受信中であることを示す表示に対応づけられた駆動信号3020Aの電気泳動表示パネル20Aへの供給を指示する(S1)。
【0050】
そして、CPU40Aは、受信部10が電波信号の受信中は、EPDドライバ30Aが駆動信号3020Aの供給を停止するように制御する(S2前段)。なお、CPU40Aは、このように直接的に駆動信号3020Aを停止させるだけでなく、電源供給制御信号4050によって電源供給部50にEPDドライバ30Aへの電源供給5030を停止するように指示することによって、間接的に駆動信号3020Aを停止させてもよい(S2後段)。
【0051】
その後に、CPU40Aは、受信制御信号4010Aにより受信部10に電波信号の受信開始を指示する(S3)。
【0052】
受信部10が電波信号の受信を完了した後に、CPU40Aは、駆動信号3020Aの供給開始を、表示駆動制御信号4030AによってEPDドライバ30Aに指示する(S4前段)。なお、電源供給5030の停止を指示して間接的に駆動信号3020Aを停止させていた場合には、CPU40Aは、電源供給5030を開始するように、電源供給制御信号4050によって電源供給部50に指示をする。これにより、駆動信号3020Aの供給は再開される(S4後段)。
【0053】
ここで、受信部10の電波信号の受信完了は、タイムコード1040Aの内容から判断してもよいし、タイムコード1040Aに付加して受信完了を示すフラグを受信部10に含まれる受信回路110がCPU40Aへ供給してもよいし、これらの手法に限られない。
【0054】
図5(A)、図5(B)、図5(C)は第1実施例における受信中を示す表示の例を示す図である。
【0055】
図5(A)、図5(B)、図5(C)において、201A、201B、201Cは通常時、すなわち電波信号の受信を行わないときのEPDパネルの表示画面を表す。図4のステップS1により、通常時の画面201A、201B、201Cはそれぞれ画面202A、202B、202Cへと変化し、図4のステップS2およびS3において画面202A、202B、202Cが保持される。
【0056】
第1実施例においては、通常時の画面201A、201B、201Cはそれぞれ現在時刻表示を示している。
【0057】
画面202Aは、電波信号の受信中であることを示す表示の1つである。画面202Aは、時刻表示を非表示にすると共に、使用者に故障との誤解を与えないように電波信号の受信中であるメッセージ(receive)を示している。ここで、前記電波信号の受信中であるメッセージに代えて、もしくは追加して、例えばアンテナ型のアイコンなどのマーク、特定の記号、図形や絵等を表示していてもよい。
【0058】
画面202Bは、電波信号の受信中であることを示す表示の別の例である。時刻表示を通常の表示位置とは異なる場所にSTARTの文字を付した時刻を表示すると共に、使用者に故障との誤解を与えないように電波信号の受信中であるメッセージ(receive)を示している。画面202Bの表示中は駆動信号3020Aの供給は停止されている(図4のS2)ため、当該時刻表示は正確な現在時刻を示すものではない。しかし、STARTの文字により現在時刻と誤解することなく、使用者は電波信号の受信開始時刻が14:00であることを認識することができる。従って、使用者は、この電波時計が電波信号の受信状態になってからの経過時間を感覚的に、又はこの電波時計1A以外の機器による現在時刻情報と比較することによってある程度正確に知ることができる。ここで、画面202BのSTARTの文字は、別の文字、記号、図形等であってもよいし、状況に応じて別の文字、記号、図形等へと変化してもよい。例えば、電波時計における電波信号の受信方法には、毎日同時刻に受信を行う定時受信や使用者の指示により時間によらず受信を行う強制受信がある。したがって、これらを区別するため、受信の態様に応じてSTARTの文字に代えて、「定時受信」又は「強制受信」の文字が表示されてもよい。
【0059】
画面202Cは、電波信号の受信中であることを示す表示のさらに別の例である。使用者に対して故障との誤解を与えないためには、時刻表示を非表示にすると共に、所定の1つの表示色の画面によって電波信号の受信中である旨を使用者に知らせればよい。これにより、メッセージ(receive)がなくても使用者は電子機器の故障といった懸念を抱くことなく、電波信号の受信中である旨を明確に知ることができる。
【0060】
図6は第1実施例におけるEPDパネル20Aの構成を示す図である。図6はEPDパネル20Aの断面図である。電気泳動素子260は、透明な共通電極210や対向基板220を通して使用者が視認する。すなわち、図3(B)の断面図のガラス102の側に共通電極210や対向基板220が存在する。なお、図3(B)では、EPDパネル20Aは表示基板101に含まれている。
【0061】
図6のEPDパネル20Aは、概して、電気泳動素子260を含む電気泳動表示層270を、共通電極210が形成された共通電極層280と、電気泳動表示層270を駆動するためのセグメント電極(駆動電極)211A、211B、211C、211Dが形成された駆動電極層290との間に介在させて構成されている。その他に、基板221とガラスや樹脂等の透明性材料からなる対向基板220が対向配置されている。
【0062】
図6のEPDパネル20Aにおいて、基板221側には複数の分割電極を構成するセグメント電極(駆動電極)211A、211B、211C、211Dが置かれ、対向基盤側には光透過率が高く電気抵抗が低いITO(Indium Tin Oxide)等の透明伝導材料からなる共通電極210が配置されている。セグメント電極211A、221B、221C、221Dと共通電極210の間には帯電した泳動粒子を含有する電気泳動素子(マイクロカプセル)260が挟まれて配置されている。電気泳動素子260にはプラスに帯電した泳動粒子である白粒子261とマイナスに帯電した泳動粒子である黒粒子262が封入されている。EPDパネル20Aは、EPDドライバ30Aから出力される駆動信号3020Aが印加されることで情報表示内容が変更あるいは維持される。表示される情報に応じた駆動信号3020Aは、共通電極210およびセグメント電極211A、211B、211C、211Dに印加される。図6の例では、共通電極210より低い電位がセグメント電極211Aおよび211Cに印加され、共通電極210より高い電位がセグメント電極211Bおよび211Dに印加されている。このとき各セグメント電極211A、211B、211C、211Dと共通電極210の間に電界が生じ、電気泳動素子260内部の白粒子261は相対的に電位がマイナス側の電極の方向に移動し、黒粒子262は相対的に電位がプラス側の電極の方向に移動する。
【0063】
ここで、EPDパネル20Aは少なくとも2色を表示可能である。すなわち、第1色としてプラスに帯電した泳動粒子261の白色を、第2色としてマイナスに帯電した泳動粒子262の黒色の表示が可能である。よって、電波信号の受信中であることを示す表示として用いられる所定の1つの表示色として、前記第1色又は第2色を割り当てることができる。なお、帯電した泳動粒子の色は白と黒に限られず、青や黄色など様々な色があり得る。その場合にもプラスに帯電した泳動粒子の色を第1色または第2色として割り当て、マイナスに帯電した泳動粒子の色を他の色としてもよい。なお、第1色又は第2色に割り当てられるのは泳動粒子の色に限らない。例えば、一粒子系の電気泳動方式においては、第1色として泳動粒子の色を、第2色として着色液(分散媒)を割り当ててもよい。
【0064】
図6において、電界の発生(電極への電位の印加)を停止した場合でも、EPDパネル20Aの特性から表示は保持される。しかし、長時間電位への印加を行わなければ帯電した泳動粒子が電気泳動素子260の中心部分に引き戻される現象が生じることが経験的に知られている。電波信号の受信中を使用者に示す画面においては電極への電位の印加は停止しているが(図4のS2)、長時間経過した場合、EPDパネル20Aの表示のコントラスト低下が問題となり得る。この場合でも、帯電した泳動粒子の色の1つを表示色として電波信号の受信中であることを示すならば、コントラスト低下による見映えの劣化を防ぐことができる。なぜならば、使用者が画像表示として視認する共通電極210付近には所定の1つの表示色を有する泳動粒子がいくつも重なりあって存在するため、いくつかの帯電した泳動粒子が電気泳動素子260の中心部分に引き戻されても使用者は依然として所定の1つの表示色からなる画像を認識できるからである。
【0065】
図7は第1実施例における電気泳動表示部の1つのセグメントの変化を示す図である。第1実施例におけるEPDドライバ30Aは、以下のように共通電極とセグメント電極(駆動電極)を駆動信号3020Aにより駆動することによって、EPD表示部20Aの画面表示を行う。なお、アクティブマトリックス方式のEPD表示部20Aの場合においては、セグメント電極ではなく画素電極となるが、同様の制御方法が適用できる。ここでは、図6のセグメント電極211A、211B、211C、211Dのうち、211Bを例として説明する。
【0066】
時間tにおいて、このセグメントは低反射率R1の状態にあるとする。このとき、使用者にはマイナスに帯電した泳動粒子である黒粒子262の色(第2色)が示されている。次に時刻tになるまで、EPDドライバ30Aは第1電位(図7中段の図の印加電位L)と第2電位(図7中段の図の印加電位H)を繰り返す共通電極駆動パルス(図7中段の図)をEPDパネル20Aの共通電極210に印加する。また、同時に、時刻tになるまで、EPDドライバ30Aは第2電位をEPDパネル20Aのセグメント電極211Bに印加する(図7下段の図)。すると、共通電極駆動パルスが第1電位のときに、共通電極210とセグメント電極211Bの間に電界が生じ、プラスに帯電した泳動粒子である白粒子261は共通電極210側に、マイナスに帯電した泳動粒子である黒粒子262はセグメント電極211B側に移動する。時刻tの時点で、このセグメントは高反射率R2の状態に変化している。このとき、使用者にはプラスに帯電した泳動粒子である白粒子261の色(第1色)が示されている。時刻t以後、EPDドライバ30Aは共通電極210、およびセグメント電極211Bに対する共通電極駆動パルス、第2電位の印加を停止して、駆動信号3020Aはハイインピーダンス状態(Hi−Z)となってもよい。その後もEPDパネル20Aの特性から、このセグメントは高反射率R2の状態をしばらく保持する。
【0067】
ここでは、説明の都合上1つのセグメント表示の変化について駆動信号3020Aとの関連を示したが、EPDパネル20Aの各セグメントに対して同様の電圧印加制御を行えば所定の1つの表示色により電波信号の受信中である旨を示す画面表示が可能となる。
【0068】
図8は第1実施例における電気泳動表示部の1つのセグメントの変化を示す別の図である。図7の場合と比べると、EPDドライバ30Aによる共通電極駆動パルス、第2電位の印加は、時刻tより前の時刻tで終了している。そのため、低反射率R1と高反射率R2の中間の反射率R3で表される表示色、すなわち黒粒子262の色(第2色)と白粒子261の色(第1色)の間の中間色を表示する。このように、EPDドライバ30Aが共通電極210、およびセグメント電極211Bに対する共通電極駆動パルス、第2電位を印加する時間を調整することで、所望の中間色を表示できる。また、EPDパネル20Aの各セグメントに対して同様の電圧印加制御を行えば所定の1つの中間色により電波信号の受信中である旨を示す画面表示が可能となる。
【0069】
電波信号の受信を示す所定の1つの表示色による表示が第1色又は第2色の間の中間色である場合にも、駆動信号3020Aの供給を長時間停止すると、泳動粒子のうちいくらかが電気泳動表示部の表面付近から離れて移動することがあり得る。このとき、電気泳動表示部に表示の色合いは変化が生じ得るが、中間色から中間色への変化であるために使用者には認識されにくい。よって、表示駆動部から駆動信号の供給を長時間停止しても見映えの悪化を防ぐことができる。
【0070】
ここで、第1実施例においてEPDドライバ30Aからの駆動信号3020Aは各セグメントに対する電圧印加と共通電極駆動パルスである。共通電極駆動パルスは、GNDレベルに対応する第1電位(図7・図8の印加電位L)と第2電位(図7・図8の印加電位H)の2つの電位によるEPDパネル20Aの駆動制御が可能である。しかし、第2電位は例えば+15Vという、液晶と比べると高い電圧を用いることがある。この場合、共通電極駆動パルスは電波信号を受信する際に、最も懸念されるノイズ源と成り得る。よって、EPDドライバ30Aが、共通電極210に第1電位及び第2電位を繰り返す共通電極駆動パルスを供給する場合、CPU40Aは、受信部10が電波信号の受信中は、EPDドライバ30Aが前記共通電極駆動パルスの供給を停止するように制御してもよい。
【0071】
これにより、電波信号の受信の際に主要なノイズの原因となりうる共通電極駆動パルスを停止することによって、高感度の受信信号の受信ができる。
【0072】
(2.第2実施例)
図9は第2実施例における制御部のフローチャート図である。
【0073】
第2実施例の電波時計も図2と同様の構成である。また、第2実施例の説明においても第1実施例と同じ要素には図2、図5、図6と同じ番号を付して説明する。そして、図9のステップのうち、図4と共通のものには同じ番号を付しており説明は省略する。
【0074】
第2実施例においては、電波信号は長波帯標準電波信号である。CPU40Aは、図4のステップS1、S2、S3を実行する。その後、CPU40Aは受信部10の受信回路110からタイムコード1040Aを取得し、正しく標準時刻情報を得られたかを判断する(S30)。CPU40Aは、受信部10が標準時刻情報の取得に成功したと判断した場合に、標準時刻情報に基づいて、計時制御信号4060を用いて、計時部60の現在時刻情報を修正する(S31)。
【0075】
そしてCPU40Aは、受信部10が長波帯標準電波信号の受信の完了後に、EPDドライバ30Aが現在時刻の表示に対応づけられた駆動信号3020Aの供給を再開するように制御する(S4)。このとき、計時部60が計時する現在時刻情報が修正されていれば(S31)、駆動信号3020Aの供給の再開後には標準時刻情報を反映した計時情報信号6030により正確な現在時刻がEPDパネル20Aに表示される。
【0076】
図10は第2実施例における表示の変化を示す図である。
【0077】
通常時、すなわち電波信号の受信を行わないときのEPDパネル20Aの画面は201Dの通りである。この例においては、電波信号の受信前の正確な時刻は14:35であり、電波時計1Aは35分の遅れを生じ、誤って14:00と計時されているものとする。図9のステップS1により、使用者に電波信号の受信を知らせる画面である202Dへと変化する。202Dの画面は図9のステップS4の開始まで表示され続ける。ここで、202Dにおいては電波信号の受信中であるメッセージ(receive)に代えて、もしくは追加して、例えばアンテナ型のアイコンなどのマーク、特定の記号、図形や絵等を表示していてもよい。
【0078】
CPU40Aは、EPDドライバ30Aに画面202Dに対応する駆動信号3020Aを表示させつつ図9のS30の判定を行う。成功判断に確実性をもたせるために2つの標準時刻情報を比較する手順を含めると、長波帯標準電波信号では1分間毎に情報が更新されるため最低でも2分、すなわち約3分の時間を要する。
【0079】
成功したと判断した場合には、計時部60の現在時刻情報が修正され(図9のS31)、成功判断に要した時間3分を含めた現在の正確な時刻14:38が表示される(図10の203)。このとき、成功したことを使用者に知らせるメッセージ(success)が表示されてもよい。
【0080】
また、標準時刻情報を取得できなかった場合には、CPU40Aによる修正がないため、計時部60の電波信号受信前からの現在時刻情報が表示される(図10の204)。このとき、標準時刻情報を取得できなかったことを示すメッセージ(failed)が表示されてもよい。
【0081】
第2実施例では第1実施例の効果に加えて、電波信号に含まれる時刻情報に基づいて、前記時刻情報の取得に成功した場合に正確な時刻の表示を行うことができるとの効果がある。
【0082】
(3.その他の電子機器の例)
図11(A)、図11(B)、図11(C)はその他の電子機器の例を示す図である。前記第1実施例又は第2実施例のEPDパネル20Aは例えば、図11(A)、図11(B)、図11(C)のような電子機器の一部であってもよい。EPDパネル20Aは、例えば、携帯電話1000A、通信機能付腕時計1000B、又はノートパソコン1000Cの表示パネル1020として使用される。これらの電子機器は制御部を含み、制御部が、電波信号の受信を受信部に指示する前に、受信中であることを示す表示に対応づけられた駆動信号の供給を表示駆動部へ指示することで、電波信号の受信中に、表示駆動部が前記駆動信号の供給を停止しても受信中であることを、使用者に対し表示し続けることができる。このとき、受信中であることを示す表示により使用者に故障の疑念を抱かせることもなく、ノイズ源となりうる電気泳動表示部への駆動信号の供給を昼夜を問わずに停止させて、高感度の受信信号の受信ができる。
【0083】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0084】
1…電子機器、1A…電波時計、10…受信部、20…電気泳動表示部、20A…EPDパネル(電気泳動表示パネル)、30…表示駆動部、30A…EPDドライバ、40…制御部、40A…CPU、50…電源供給部、60…計時部、70…電池、100…太陽電池、101…表示基板、102…ガラス、103…太陽電池押さえ板、104…胴、105…裏蓋、106…アンテナ、107…回路押さえ板、108…回路ブロック、109…折り返された表示基板、109A…折り返し部分、110…受信回路、112…受信部内部信号、201A・201B・201C・201D…通常表示、202A・202B・202C・202D…電波信号の受信中であることを示す表示、203…時刻情報取得の成功時の表示、204…時刻情報取得の失敗時の表示、210…共通電極、211A・211B・211C・211D…セグメント電極(駆動電極)、220…対向基板、221…基板、260…電気泳動素子(マイクロカプセル)、261…白粒子、262…黒粒子、270…電気泳動表示層、280…共通電極層、290…駆動電極層、1000A…携帯電話、1000B…通信機能付腕時計、1000C…ノートパソコン、1020…表示パネル、1040…電波信号情報(時刻情報)、1040A…タイムコード、3020・3020A…駆動信号、4010・4010A…受信制御信号、4030・4030A…表示駆動制御信号、4050…電源供給制御信号、4060…計時制御信号、5010・5030・5040・5060…電源供給、6030…計時情報信号、7050…電源供給

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所与の条件に従い電波信号を受信するとともに、所与の情報を表示する電子機器であって、
前記電波信号を受信する受信部と、
前記所与の情報を表示する電気泳動表示部と、
前記電気泳動表示部に、表示される前記所与の情報の内容に対応づけられた駆動信号を供給する表示駆動部と、
前記受信部に前記電波信号の受信を指示するとともに、前記表示駆動部に前記電気泳動表示部への前記駆動信号の供給を指示する制御部と、を含み、
前記制御部は、
前記受信部に前記電波信号の受信を指示するに先立ち、前記表示駆動部に、前記受信部が前記電波信号を受信中であることを示す表示に対応づけられた前記駆動信号の前記電気泳動表示部への供給を指示し、前記受信部が前記電波信号の受信中は、前記表示駆動部が前記駆動信号の供給を停止するように制御することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1において、
前記表示駆動部に電源を供給する電源供給部を含み、
前記制御部は、
前記受信部が前記電波信号の受信中は、前記電源供給部に前記表示駆動部への前記電源の供給を停止するように指示することにより、前記表示駆動部が前記駆動信号の供給を停止する制御を行うことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1乃至2のいずれかにおいて、
前記電気泳動表示部は、
少なくとも第1色及び第2色を表示可能であり、
前記電波信号の受信中であることを示す表示は、
前記第1色又は前記第2色による全画面表示であることを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1乃至2のいずれかにおいて、
前記電気泳動表示部は、
少なくとも第1色、第2色及び前記第1色と前記第2色の中間色を表示可能であり、
前記電波信号の受信中であることを示す表示は、
前記中間色による全画面表示であることを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、
現在時刻を計時する計時部を含み、
前記受信部は、
時刻情報を含む前記電波信号を受信し、
前記電気泳動表示部は、
前記所与の情報として前記現在時刻を表示し、
前記制御部は、
前記受信部が前記時刻情報の取得に成功したと判断した場合に、前記時刻情報に基づいて前記計時部の前記現在時刻を修正し、前記受信部が前記電波信号の受信の完了後に、前記表示駆動部が前記現在時刻の表示に対応づけられた前記駆動信号の供給を再開するように制御することを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかにおいて、
前記電気泳動表示部は、
前記電気泳動素子を含む電気泳動表示層を、共通電極が形成された共通電極層と、前記電気泳動表示層を駆動するための駆動電極が形成された駆動電極層との間に介在させて構成された電気泳動表示パネルであって、
前記表示駆動部は、
前記共通電極に第1電位及び第2電位を繰り返す共通電極駆動パルスを供給し、
前記制御部は、
前記受信部が前記電波信号の受信中は、前記表示駆動部が前記共通電極駆動パルスの供給を停止するように制御することを特徴とする電子機器。
【請求項7】
受信部を用い電波信号を受信するとともに、表示駆動部から供給される駆動信号により電気泳動表示部に所与の情報を表示する電子機器の制御方法であって、
前記受信部に前記電波信号の受信を指示するとともに、前記表示駆動部に前記電気泳動表示部への前記駆動信号の供給を指示するステップと、
前記受信部に前記電波信号の受信を指示する場合には、前記受信部に前記電波信号の受信を指示するに先立ち、前記表示駆動部に、前記受信部が前記電波信号を受信中であることを示す表示に対応づけられた前記駆動信号の前記電気泳動表示部への供給を指示し、前記受信部が前記電波信号の受信中には、前記表示駆動部が前記駆動信号の供給を停止するように制御するステップとを含むことを特徴とする電子機器の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−286455(P2010−286455A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−142493(P2009−142493)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】