説明

電子機器および撮像装置

【課題】撮像装置とデータ送受信する際の認証に用いられる自機固有の識別情報を容易に撮像装置に登録することができる電子機器およびこの電子機器と電気通信する撮像装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る電子機器としてのテレビ電話機能付きの携帯電話機10と、本発明に係る撮像装置としての卓上テレビ電話機20は、互いに電気通信可能に接続される。携帯電話機10は、卓上テレビ電話機20と電気通信可能に接続されると、卓上テレビ電話機20に対して少なくとも自機固有の識別情報を送信する識別情報送信部を備える。この携帯電話機10に固有の識別情報は、卓上テレビ電話機20の許可機器データベースに自動的に登録される。許可機器データベースに登録された識別情報は、卓上テレビ電話機20により、卓上テレビ電話機20に電気通信可能に接続される複数の電子機器のそれぞれに対し卓上テレビ電話機20の撮像部26の撮影画像を送信してもよいか否かの認証に利用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置から電気通信により撮影画像データを取得する電子機器およびこの電子機器と電気通信する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラなどの撮像装置には、携帯電話機やパーソナルコンピュータなどの他の電子機器と有線通信や無線通信による電気通信によりデータ送受信可能に構成されたものがある。他の電子機器とデータ送受信可能に構成された撮像装置は、監視カメラなどに利用される。この種の撮像装置には、ユーザが撮像装置から離れた場所にいても他の電子機器を介して撮像装置の撮影画像を確認することができる利点がある。
【0003】
一方、撮像装置の撮影画像には個人情報や機密情報などユーザが秘匿にしたいと考える情報(以下、秘匿情報という)を含む場合があり、この場合、この種の撮像装置には秘匿情報をユーザの意に反して他の電子機器に取得されてしまうおそれがあるという問題がある。撮像装置からの秘匿情報の漏洩を未然に防ぐ方法としては、撮像装置が他の電子機器の認証を行い、認証結果に応じて撮像装置に対しデータ送受信要求(アクセス要求)を行う電子機器ごとに撮像装置の利用制限を行う方法を挙げることができる。
【0004】
従来、この種の認証結果に応じて利用制限を行う技術に、特開2007−48120号公報(特許文献1)に開示された技術がある。
【0005】
この特許文献1に開示されたセキュリティシステムは、個人情報などの秘匿情報を扱うパーソナルコンピュータと、このパーソナルコンピュータを監視する撮像装置とを有するものである。パーソナルコンピュータは、パーソナルコンピュータに保持されたデータにアクセス要求を行うユーザが携帯する携帯端末機を認証する認証部と、撮像装置による携帯端末機の認証結果を確認する認証確認部と、自機と撮像装置との両方で携帯端末機の認証結果が成功であると自機の利用制限を解除する制限解除部と、を備える。
【0006】
このセキュリティシステムは、パーソナルコンピュータおよび撮像装置が携帯端末機の認証を行う。そして、パーソナルコンピュータは、認証結果が両者とも成功である場合のみ、携帯端末を携帯するユーザのログインを許可するようになっている。このため、このセキュリティシステムによれば、パーソナルコンピュータに保持された秘匿情報の漏洩を未然に防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−48120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、従来の認証結果に応じて利用制限を行う技術では、認証に用いられる各電子機器固有の識別情報をあらかじめ登録する処理について考慮されていない。このため、アクセスを許可する電子機器の識別情報は、あらかじめユーザが自ら電子機器固有の識別情報を登録しておいたり、アクセスするたびにユーザが自ら直接IDやパスワードのデータを入力したりするなどの煩雑な作業が必要となってしまう。
【0009】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、撮像装置とデータ送受信する際の認証に用いられる自機固有の識別情報を容易に撮像装置に登録することができる電子機器およびこの電子機器と電気通信する撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る電子機器は、上述した課題を解決するために、撮像機能を有する他の電子機器により撮影された撮影画像データを、前記他の電子機器から電気通信により受信可能に構成された電子機器であって、自機固有の識別情報を記憶した記憶部と、前記他の電子機器と電気通信可能に接続されると、前記他の電子機器に対して少なくとも前記自機固有の識別情報を送信する識別情報送信部と、を備え、前記自機固有の識別情報は、前記識別情報送信部により前記他の電子機器に対して送信されると、前記他の電子機器により許可機器データベースに登録されて、前記他の電子機器に電気通信可能に接続される複数の電子機器のそれぞれに対し前記他の電子機器が利用制限を行うための認証に利用されることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明に係る電子機器は、上述した課題を解決するために、撮像機能を有する他の電子機器により撮影された撮影画像データを、前記他の電子機器から電気通信により受信可能に構成された電子機器であって、自機固有の識別情報を記憶した記憶部と、前記他の電子機器に対して通話要求を行う通話要求部と、前記他の電子機器に対して通話要求を行う際に、前記他の電子機器に対して少なくとも前記自機固有の識別情報を送信する識別情報送信部と、を備え、前記自機固有の識別情報は、前記通話要求部が前記他の電子機器に対して通話要求を行う際に前記識別情報送信部により前記他の電子機器に対して送信されると、前記他の電子機器により許可機器データベースに登録されて、前記他の電子機器に対して通話要求を行う複数の電子機器のそれぞれに対し前記他の電子機器が利用制限を行うための認証に利用されることを特徴とするものである。
【0012】
一方、本発明に係る撮像装置は、上述した課題を解決するために、撮像機能を有し、撮影画像を電気通信により外部の電子機器に送信可能に構成された撮像装置であって、前記電子機器と電気通信可能に接続されると、前記電子機器から前記電子機器固有の識別情報を受信する識別情報受信部と、前記電子機器固有の識別情報を許可機器データベースに登録する許可識別情報登録部と、を備え、前記電子機器固有の識別情報は、電気通信可能に接続される複数の電子機器のそれぞれに対し利用制限を行うための認証に利用されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る電子機器およびこの電子機器と電気通信する撮像装置によれば、電子機器が撮像装置とデータ送受信する際の認証に用いられる電子機器固有の識別情報を容易に撮像装置に登録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る電子機器および撮像装置の第1実施形態を示す概略的な外観図。
【図2】携帯電話機の内部構成例を概略的に示すブロック図。
【図3】卓上テレビ電話機の内部構成例を概略的に示すブロック図。
【図4】携帯電話機の主制御部のCPUによる機能実現部の構成例を示す概略的なブロック図。
【図5】卓上テレビ電話機の主制御部のCPUによる機能実現部の構成例を示す概略的なブロック図。
【図6】携帯電話機と卓上テレビ電話機とが電気通信可能に接続されると、携帯電話機に固有の識別情報が自動的に許可機器データベースに登録される際の手順を示すフローチャート。
【図7】携帯電話機と卓上テレビ電話機とが電気通信可能に接続されると、携帯電話機に固有の識別情報が自動的に許可機器データベースに登録される際の他の手順を示すフローチャート。
【図8】図7のステップS11の通話要求がテレビ電話通話要求である場合における図7に示す手順に引き続きテレビ電話通話を確立する際の手順を示すフローチャート。
【図9】許可機器データベースに識別情報(オーナー情報)がすでに登録された携帯電話機のテレビ電話通話要求に対してのみ卓上テレビ電話機から撮像部の撮影画像が送信される手順を示すフローチャート。
【図10】許可機器データベースに識別情報(オーナー情報)がすでに登録された携帯電話機の画像送信要求に対してのみ卓上テレビ電話機から撮像部の撮影画像が送信される手順を示すフローチャート。
【図11】省電力状態にある卓上テレビ電話機に対して携帯電話機からテレビ電話通話要求が行われてテレビ電話通話が確立される際の手順を示すフローチャート。
【図12】バッテリの電力残量が所定の値以下となると、許可機器データベースに登録された識別情報(オーナー情報)を有する機器(許可機器)に対してその旨を示唆する電子メールが送信される際の手順を示すフローチャート。
【図13】携帯電話機と卓上テレビ電話機とのテレビ電話通話が確立されている場合に、携帯電話機のユーザにより卓上テレビ電話機の撮像部の撮影画像を確認しながら携帯電話機から撮像部が操作される際の手順を示すフローチャート。
【図14】本発明に係る撮像装置としての卓上テレビ電話機の第2実施形態に係る内部構成例を概略的に示すブロック図。
【図15】表示部に表示された撮像部の撮影画像にセンサ群の検出値が重畳表示された様子の一例を示す説明図。
【図16】第2実施形態に係る携帯電話機の主制御部のCPUによる機能実現部の構成例を示す概略的なブロック図。
【図17】第2実施形態に係る卓上テレビ電話機の主制御部のCPUによる機能実現部の構成例を示す概略的なブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る電子機器および撮像装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明に係る電子機器および撮像装置の第1実施形態を示す概略的な外観図である。
【0017】
なお、本発明に係る電子機器は、撮像装置と電気通信可能であるとともに、撮像装置から電気通信により撮影画像を取得可能に構成された電子機器に広く適用することができる。以下の説明では、本発明に係る電子機器として、テレビ電話機能付きの携帯電話機を用いる場合の一例について示す。この種のテレビ電話機能付きの携帯電話機は、音声情報と画像情報とを多重化および多重分離する機能を備えることによりテレビ電話機能を実現する。
【0018】
また、本発明に係る撮像装置は、画像の撮影機能を備え他の電子機器に対して電気通信により撮影画像を含むデータを送信可能な撮像装置に広く適用することができる。たとえば本発明に係る電子機器としてテレビ電話機能付きの携帯電話機を用いる場合、本発明に係る撮像装置としてはネットワーク通信事業者との契約SIMカード(Subscriber Identity Module Card)あるいは契約SIMカードと事業者通信機能を有するモジュールを装着することによりテレビ電話機能付きの携帯電話機とのテレビ電話による通話が可能に構成された撮像装置を用いることができる。以下の説明では、本発明に係る撮像装置として、リビングルームなどに設置されて用いられる家庭用卓上テレビ電話装置(以下、卓上テレビ電話機という)を用いる場合の一例について示す。
【0019】
ここで、電気通信可能とは、有線、無線その他の電磁的方式により、符号、音響や映像などのデータを送受信可能であることをいうものとする。
【0020】
テレビ電話機能付きの携帯電話機10は、コンピュータ本体11および表示装置としてのディスプレイユニット12を備える。
【0021】
コンピュータ本体11は、薄い箱形の筐体を有し、この筐体上面の表面上には、操作部13およびマイクロフォン14が設けられる。また、ディスプレイユニット12は、薄い箱形の筐体を有し、この筐体正面の表面上には、表示部15、スピーカ16および撮像部17が設けられる。ディスプレイユニット12は、コンピュータ本体11に対し開閉自在に支持する連結部18(ヒンジ)を介して連結される。
【0022】
携帯電話機10とテレビ電話通話可能に構成された卓上テレビ電話機20は、コンピュータ本体21と表示装置としてのディスプレイユニット22と送受話器23とを備える。
【0023】
コンピュータ本体21は、箱型の筐体を有し、この筐体の上面にはディスプレイユニット22および送受話器23が載置される。また、この筐体上面の表面上には操作部24が設けられる。
【0024】
ディスプレイユニット22は、薄い箱型の筐体を有し、この筐体正面の表面上には、表示部25および撮像部26が設けられる。
【0025】
図2は、携帯電話機10の内部構成例を概略的に示すブロック図である。
【0026】
携帯電話機10は、操作部13、マイクロフォン14、表示部15、スピーカ16、撮像部17のほか、基地局用アンテナ31、基地局用送受信部32、外部機器接続部33、記憶部34および主制御部35を有する。
【0027】
操作部13は、たとえばキーボード、タッチパネル、テンキーなどの入力装置により構成され、ユーザの操作に対応した操作入力信号を出力する。また、操作部13の一部または全部は回転入力部により構成されてもよい。回転入力部は、回転操作に応じた信号を出力する入力装置であり、たとえば磁気式ロータリーエンコーダなどにより構成される。この回転入力部は、たとえば回転リングを介してユーザにより操作され、所定の回転量だけ回転するごとに、正逆の回転方向に応じて回転信号を出力する。
【0028】
マイクロフォン14は、音声通話やテレビ電話通話においてユーザによって入力された音声をデジタル音声信号に変換する。
【0029】
表示部15は、たとえば液晶ディスプレイやOLED(Organic Light Emitting Device)ディスプレイなどの表示出力装置により構成され、ユーザが撮像部17で撮影したりネットワークからダウンロードしたりすることにより取得した各種画像および映像のほか、表示部15の背景画像(壁紙)、壁紙に重畳表示される電池残量や電波強度を概略的に示す画像などの各種アイコンなどを表示する。また、テレビ電話機能が実現されている場合、表示部15は、少なくともテレビ電話通話の相手の機器から取得した画像を表示する。
【0030】
スピーカ16は、受話音声をはじめとした各種の情報に対応した音声を出力する。
【0031】
撮像部17は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどにより構成され、携帯電話機10の周辺の映像を取り込んで映像信号を生成して主制御部35に与える。主制御部35は、撮像部17から受けた映像信号にもとづく画像(撮像部17の撮影画像)を生成して表示部15に表示する。また、テレビ電話機能が実現されている場合、撮影画像はテレビ電話通話の相手の機器へ与えられる。
【0032】
基地局用アンテナ31は、無線基地局30との間で通信電波の送受信(無線通信)を行う。
【0033】
基地局用送受信部32は、無線基地局30との間で無線通信用の信号を送受信するための無線回路であり、主制御部35から出力される通信データを変調し、基地局用アンテナ31を介して送信する。また、基地局用アンテナ31を介して受信した通信データを復調し、主制御部35へ出力する。
【0034】
外部機器接続部33は、外部機器との接続形態に応じた種々の情報通信用プロトコルを実装し、この各種プロトコルに従って携帯電話機10と卓上テレビ電話機20をはじめとする他の電子機器とを接続する。この接続には、電子ネットワークを介した電気的な接続などを適用することができる。ここで電子ネットワークとは、電気通信技術を利用した情報通信網全般を意味し、無線/有線LAN(Local Area Network)やインターネット網のほか、BLUETOOTH(登録商標)、電話通信回線網、光ファイバ通信ネットワーク、ケーブル通信ネットワークおよび衛星通信ネットワークなどを含む。
【0035】
たとえば、外部機器接続部33を介して卓上テレビ電話機20と電気通信可能に相互接続して利用する場合、この相互接続および通信は無線信号により実現されてもよく、この場合、無線LANやBLUETOOTH(登録商標)規格の無線信号を利用してもよいし、2.4GHz帯(ISM帯)のIEEE802.11b規格や5GHz帯のIEEE802.a規格に規定されている無線インタフェースや、赤外線無線インタフェースであるIrDA(InfraredDataAssociation)規格の他、独自の無線信号形式を実装することとしてもよい。また、有線ケーブルや接続コネクタで実現する場合、独自の信号形式に基づくインタフェース条件や、標準化されたUSB(Universal Serial Bus)1.0/2.0規格や、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)シリアル通信などのいずれを用いてもよい。
【0036】
記憶部34は、データの書き換えが可能な不揮発性のメモリであり、たとえば撮像部17による撮影画像データや電子メールデータなどの各種データを記憶している。また、記憶部34は、あらかじめ携帯電話機10に固有の識別情報を記憶しておく。
【0037】
携帯電話機10に固有の識別情報としては、たとえば携帯電話機10に割り当てられた電話番号の情報(MSISDN:Mobile Subscriber ISDN Number)や加入者識別子の情報(IMSI :International Mobile Subscriber Identity)のほか、携帯電話機10のオーナーの電子メールアドレスなどを挙げることができる。記憶部34に記憶された携帯電話機10に固有の識別情報は、主制御部35により必要に応じて卓上テレビ電話機20をはじめとする他の電子機器に与えられる。
【0038】
以下の説明では、携帯電話機10に固有の識別情報として、少なくともMSISDNと携帯電話機10のオーナーの電子メールアドレスの情報が用いられる場合の例について説明する。この識別情報(オーナー情報)は、主制御部35により必要に応じて卓上テレビ電話機20をはじめとする他の電子機器に与えられる。卓上テレビ電話機20は、この固有の識別情報を用いて接続認証を行うことができるようになっている。
【0039】
主制御部35は、CPU、RAMおよびROMをはじめとする記憶媒体などにより構成され、この記憶媒体に記憶されたプログラムに従って、携帯電話機10の処理動作を制御する。
【0040】
主制御部35のCPUは、ROMをはじめとする記憶媒体に記憶されたプログラムおよびプログラムの実行のために必要なデータをRAMへロードし、プログラムに従って、少なくとも卓上テレビ電話機20による認証に用いられる自機固有の識別情報(オーナー情報)を卓上テレビ電話機20に登録させるために必要な処理を実行する。
【0041】
主制御部35のRAMは、CPUが実行するプログラムおよびデータを一時的に格納するワークエリアを提供する。
【0042】
主制御部35のROMをはじめとする記憶媒体は、携帯電話機10の起動プログラムやこれらのプログラムを実行するために必要な各種データを記憶する。
【0043】
図3は、卓上テレビ電話機20の内部構成例を概略的に示すブロック図である。
【0044】
卓上テレビ電話機20は、送受話器23、操作部24、表示部25、撮像部26のほか、基地局用アンテナ41、基地局用送受信部42、外部機器接続部43、記憶部44、許可機器データベース45、バッテリ46および主制御部47を有する。なお、操作部24、基地局用アンテナ41、基地局用送受信部42および外部機器接続部43は、それぞれ操作部13、基地局用アンテナ31および基地局用送受信部32および外部機器接続部33と同等の構成および作用を有するため説明を省略する。
【0045】
送受話器23は、マイクロフォン27が設けられた一端をユーザの口元にもってくるとともに、スピーカ28が設けられた一端をユーザの耳元にもってきて利用される送受話装置である。
【0046】
表示部25は、たとえば液晶ディスプレイやOLED(Organic Light Emitting Device)ディスプレイなどの表示出力装置により構成され、ユーザが撮像部26で撮影したりネットワークからダウンロードしたりすることにより取得した各種画像および映像のほか、表示部25の背景画像(壁紙)、壁紙に重畳表示される電池残量や電波強度を概略的に示す画像などの各種アイコンなどを表示する。また、テレビ電話機能が実現されている場合、表示部25は、少なくともテレビ電話通話の相手の機器から取得した画像を表示する。
【0047】
撮像部26は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどにより構成され、卓上テレビ電話機20の周辺の映像を取り込んで映像信号を生成して主制御部47に与える。主制御部47は、撮像部26から受けた映像信号にもとづく画像(撮像部26の撮影画像)を生成して表示部25に表示する。テレビ電話機能が実現されている場合、この撮影画像はテレビ電話通話の相手の機器へ与えられる。
【0048】
卓上テレビ電話機20は、リビングルームなどに設置されて用いられる。このため、撮像部26の撮影画像には、個人情報が含まれる場合が多い。
【0049】
また、撮像部26は、主制御部47により、撮像部26を駆動制御するための操作信号にもとづく撮影方向やズームイン、ズームアウトなどの制御をうける。この操作信号は、テレビ電話通話の相手の機器から送信されてもよい。この場合、主制御部47は、テレビ電話通話の相手の機器から送信された操作信号にもとづいて撮像部26を駆動制御する。この操作信号としては、トーン信号(DTMF:Dual-Tone Multi-Frequency)、User−User Info(デジタル携帯電話通信方式の規格で定義される論理チャネルの一つであり、音声パケット間や映像パケット間に制御信号を埋め込み可能な論理チャネル)、IMS(IP Multimedia Subsystem)Messageなどの任意のものを使用することが可能である。
【0050】
さらに、撮像部26は、他の電子機器からの通話要求待機時において、主制御部47により電力供給を停止される。電力供給を停止されていると、撮像部26は画像の撮影が不能である。この電力供給停止状態(撮像部26の省電力状態)は、他の電子機器からの通話要求を受けて、主制御部47により撮像部26が電力供給を再開されて撮影画像を生成可能な通常の動作状態(通常動作状態)へと移行するよう制御されて、解除される。
【0051】
なお、他の電子機器からの通話要求待機時は、他の電子機器からの通話要求を受信するために必要な機能のみが有効であればよく、たとえば基地局用送受信部42が給電されていれば、主制御部47のCPUは間欠動作であってもよく、撮像部26を含む他のコンポーネントへの給電は停止されてもよい。また、基地局用送受信部42のうち無線信号の送受信を担う回路が給電されていれば、通話要求信号を受信することが可能である。このため、省電力状態では、基地局用送受信部42の変復調を担う回路に対する給電が停止されても構わない。以下の説明では、卓上テレビ電話機20の省電力状態においては、少なくとも基地局用送受信部42のうち無線信号の送受信を担う回路が給電されているとともに、卓上テレビ電話機20の主制御部47のCPUが間欠動作を行う場合の例について説明する。
【0052】
記憶部44は、データの書き換えが可能な不揮発性のメモリであり、たとえば撮像部26による撮影画像データや電子メールデータなどの各種データを記憶している。
【0053】
許可機器データベース45は、主制御部47によって制御されて、卓上テレビ電話機20とのテレビ電話による通話が許可される他の電子機器固有の識別情報(オーナー情報)を記憶する。主制御部47は、他の電子機器からテレビ電話による通話要求があると、この許可機器データベース45を検索する。そして、主制御部47は、現在テレビ電話による通話要求を行っている機器の識別情報(オーナー情報)が許可機器データベース45に記憶(登録)されているか判定し、記憶されている場合のみ撮像部26の撮影画像を他の電子機器へ送信することによりテレビ電話通話を確立するよう卓上テレビ電話機20を制御する。
【0054】
また、許可機器データベース45は、主制御部47によって制御されて、卓上テレビ電話機20が他の電子機器と電気通信可能に接続され、他の電子機器から固有の識別情報(オーナー情報)を受信すると、自動的にこの識別情報を記憶する(以下、接続に応じて自動登録するという)。
【0055】
なお、撮像部26の撮影画像の送信する電子機器をユーザが任意に制限するためには、主制御部47によって許可された期間(以下、自動登録期間という)にのみ、接続に応じて自動登録するよう卓上テレビ電話機20を構成するとよい。たとえば、卓上テレビ電話機20の初回起動時から所定の台数(たとえば3台など)だけ接続に応じて自動登録を許可し、所定の台数に達すると登録を許可しないように主制御部47により制御される場合には、初回起動時から所定の台数に達するまでの期間が自動登録期間となる。自動登録期間としては、他にも、たとえばユーザにより操作部24を介して指示されて開始され、1台の電子機器の識別情報(オーナー情報)が接続に応じて自動登録されると終了となる期間などを適用してもよい。自動登録期間を管理することにより、ユーザは撮像部26の撮影画像の送信する電子機器を用意に制限することができる。
【0056】
バッテリ46は、卓上テレビ電話機20の各コンポーネント(コンピュータ本体21およびディスプレイユニット22)に対して電力を供給するための電源である。バッテリ46は、ACアダプタを介して外部電源(商用電源など)から電力供給を受けて充電可能に構成される。卓上テレビ電話機20は、通常使用時においては主にバッテリ46を駆動電源として用いる。
【0057】
バッテリ46の電力残量は、たとえばバッテリ46の出力する電圧を検知する電圧検知回路の出力を監視するなどして主制御部47によって監視される。バッテリ46の電力残量が所定の値以下となると、主制御部47によって許可機器データベース45に登録された識別情報(オーナー情報)を有する機器(以下、許可機器という)に対してその旨を示唆する電子メールが送信され、あるいは許可機器の表示部にその旨を示唆するアイコンが表示されるなどして通知される。
【0058】
主制御部47は、CPU、RAMおよびROMをはじめとする記憶媒体などにより構成され、この記憶媒体に記憶されたプログラムに従って、卓上テレビ電話機20の処理動作を制御する。
【0059】
主制御部47のCPUは、ROMをはじめとする記憶媒体に記憶されたオペレーティングシステム、プロトコル制御プログラム、ビデオコール通信アプリケーションプログラム、メール通信アプリケーションプログラム、カメラドライバプログラムなどのプログラムおよびこれらのプログラムの実行のために必要なデータをRAMへロードし、これらのプログラムに従って、少なくとも携帯電話機10とデータ送受信する際の認証に用いられる携帯電話機10に固有の識別情報(オーナー情報)を許可機器データベース45に対して接続に応じて自動登録する処理を実行する。
【0060】
主制御部47のRAMは、CPUが実行するプログラムおよびデータを一時的に格納するワークエリアを提供する。
【0061】
主制御部47のROMをはじめとする記憶媒体は、卓上テレビ電話機20の起動プログラムやこれらのプログラムを実行するために必要な各種データを記憶する。
【0062】
図4は、携帯電話機10の主制御部35のCPUによる機能実現部の構成例を示す概略的なブロック図である。なお、この機能実現部は、CPUを用いることなく回路などのハードウエアロジックによって構成してもよい。
【0063】
図4に示すように、主制御部35のCPUは、ROMをはじめとする記憶媒体に記憶されたプログラムに従って、少なくともOBEXサーバ部51、識別情報送信部52、画像送信要求部53、撮影画像取得部54、表示制御部55、通話要求部56、バッテリ情報受信部57およびカメラ操作信号送信部58として機能する。この各部51〜58は、RAMの所要のワークエリアを、データの一時的な格納場所として利用する。
【0064】
OBEXサーバ部51は、卓上テレビ電話機20と電気通信可能に接続されるとOBEX(OBject EXchange)サーバ機能を実現し、卓上テレビ電話機20のOBEXクライアント部62から受けたリクエストに対するレスポンスを行う。
【0065】
識別情報送信部52は、必要に応じて携帯電話機10のMSISDNと携帯電話機10のオーナーの電子メールアドレスの情報(オーナー情報)を含む情報を卓上テレビ電話機20に対して送信する。
【0066】
たとえば、OBEXクライアントから電話帳データに関するオブジェクトGet-requestがあると、識別情報送信部52は、識別情報(オーナー情報)を含む電話帳データ(Phone Book(Pb.vcf))をOBEXサーバ部51に与える。これは、OBEXでは仕様上、電話帳データから識別情報(オーナー情報)だけを抽出して送ることができないようになっているためである。なお、ファイル交換プロトコルはOBEXに限られず、独自プロトコルやSyncML、Active Syncなどの他のプロトコルを用いてもよい。たとえば卓上テレビ電話機20とのファイル交換プロトコルとして識別情報(オーナー情報)だけを送受信可能なプロトコルを用いる場合は、識別情報送信部52は、識別情報(オーナー情報)のみを送信すればよい。
【0067】
また、画像送信要求部53により基地局30を介して卓上テレビ電話機20に対してデータ通信による画像送信要求が行われる際には、識別情報送信部52は、卓上テレビ電話機20に対して識別情報(少なくとも携帯電話機10のMSISDNと携帯電話機10のオーナーの電子メールアドレスの情報を含む)を送信する。
【0068】
また、通話要求部56により基地局30を介して卓上テレビ電話機20に対して通話要求(発信)が行われる際には、識別情報送信部52は、卓上テレビ電話機20に対して識別情報(少なくとも携帯電話機10のMSISDNと携帯電話機10のオーナーの電子メールアドレスの情報を含む)を送信する。
【0069】
なお、この通話要求に応じて送信される識別情報(オーナー情報)は、MSISDNだけでも構わない。一般に、通話要求を行う携帯電話機は、通話要求先に自機のMSISDNを送信するよう構成されている。識別情報送信部52がMSISDNに加えて電子メールアドレスも送信する場合、卓上テレビ電話機20は、許可機器データベース45に登録された電子メールアドレスに対して様々な情報を電子メールで送信することができるようになる。
【0070】
以下の説明では、識別情報送信部52が、必要に応じて少なくとも携帯電話機10のMSISDNと携帯電話機10のオーナーの電子メールアドレスの情報を含む識別情報(オーナー情報)を卓上テレビ電話機20に対して送信する場合の例について説明する。
【0071】
画像送信要求部53は、テレビ電話通話ではないデータ通信によって、基地局30を介して卓上テレビ電話機20に対して撮像部26の撮影画像の送信要求を行う。画像送信要求部53が利用される場合としては、たとえばテレビ電話機能とは別に、卓上テレビ電話機20の撮像部26の撮影画像の監視機能が携帯電話機10に備えられ、この監視機能が利用される場合などが考えられる。
【0072】
撮影画像取得部54は、卓上テレビ電話機20から卓上テレビ電話機20の撮像部26の撮影画像を受信する。
【0073】
表示制御部55は、撮影画像取得部54から受けた撮像部26の撮影画像をはじめとする画像を表示部15に表示させる。
【0074】
通話要求部56は、基地局30を介して卓上テレビ電話機20に対して音声通話要求やテレビ電話通話要求を行う。テレビ電話通話要求には、卓上テレビ電話機20に対する撮像部26の撮影画像の送信要求が含まれる。
【0075】
バッテリ情報受信部57は、卓上テレビ電話機20のバッテリ46の電力残量が所定の値以下である旨の情報を卓上テレビ電話機20から受信する。
【0076】
カメラ操作信号送信部58は、ユーザから携帯電話機10の操作部13を介して撮像部26の駆動制御指示を受け、この駆動制御指示に応じた操作信号を卓上テレビ電話機20に送信する。操作信号のフォーマットとしては、DTMF、User−User Info、IMS(IP Multimedia Subsystem)Messageなどのいずれを用いても構わない。ユーザによる携帯電話機10の操作部13を介した撮像部26の駆動制御指示としては、たとえば撮像部26の撮影画像を拡大(ズームイン)や縮小(ズームアウト)したい旨の指示や、撮影方向を上下左右に移動させたい旨の指示などを挙げることができる。
【0077】
図5は、卓上テレビ電話機20の主制御部47のCPUによる機能実現部の構成例を示す概略的なブロック図である。なお、この機能実現部は、CPUを用いることなく回路などのハードウエアロジックによって構成してもよい。
【0078】
主制御部47のCPUは、オペレーティングシステムに従って、登録許可部61、OBEXクライアント部62、識別情報受信部63、識別情報抽出部64、許可識別情報登録部65、省電力制御部66およびバッテリ情報通知部67として機能する。
【0079】
また、主制御部47のCPUは、プロトコル制御プログラムに従ってプロトコル制御部68として機能する。また、主制御部47のCPUは、ビデオコール通信アプリケーションプログラムに従ってビデオコール通信部69として機能する。このビデオコール通信部69は、識別情報受信部63、許可識別情報登録部65、通話制御部70、カメラ起動部71および認証制御部72を有する。
【0080】
また、主制御部47のCPUは、メール通信アプリケーションプログラムに従ってメール通信部73として機能する。このメール通信部73は、通知アドレス取得部74、通知メール生成部75およびメール送信指示部76を有する。
【0081】
また、主制御部47のCPUは、カメラドライバプログラムに従って、カメラ制御部77として機能する。
【0082】
この各部61〜77は、RAMの所要のワークエリアを、データの一時的な格納場所として利用する。
【0083】
登録許可部61は、許可識別情報登録部65を制御することにより、接続に応じて自動登録する期間(自動登録期間)の開始および終了を制御する。具体的には、登録許可部61が許可識別情報登録部65による許可機器データベース45に対する登録処理を許可または禁止されることによって自動登録期間が開始または終了する。たとえば、卓上テレビ電話機20の初回起動時から所定の台数(たとえば3台など)だけ接続に応じて自動登録を許可する一方、所定の台数に達すると登録を許可しないようにする場合、登録許可部61は許可識別情報登録部65を制御することにより、卓上テレビ電話機20の初回起動に従って自動登録期間を開始し、所定台数の登録終了に従って自動登録期間を終了する。
【0084】
OBEXクライアント部62は、OBEXクライアント機能を実現し、携帯電話機10のOBEXサーバ部51に対してリクエストを行う。
【0085】
識別情報受信部63は、オペレーティングシステムまたはビデオコール通信アプリケーションプログラムに従って主制御部47により実現され、携帯電話機10により送信された識別情報(オーナー情報)を受信する。
【0086】
識別情報抽出部64は、携帯電話機10により送信されたデータから識別情報(オーナー情報)を抽出する。識別情報(オーナー情報)には、少なくとも携帯電話機10に割り当てられたMSISDNと携帯電話機10のオーナーの電子メールアドレスの情報が含まれる。
【0087】
許可識別情報登録部65は、オペレーティングシステムまたはビデオコール通信アプリケーションプログラムに従って主制御部47により実現され、登録許可部61に制御されて、卓上テレビ電話機20が他の電子機器と電気通信可能に接続されて他の電子機器から固有の識別情報を受信すると、自動的にこの識別情報を許可機器データベース45に記憶する。
【0088】
携帯電話機10と卓上テレビ電話機20とが電気通信可能に接続される場合には、携帯電話機10と卓上テレビ電話機20とが外部機器接続部33および43を介してUSB接続される場合や、BLUETOOTH(登録商標)規格により無線接続される場合や、携帯電話機10が卓上テレビ電話機20に対して通話要求を行うことによって互いに電気通信可能に接続される場合などを挙げることができる。
【0089】
省電力制御部66は、プロトコル制御部68から省電力状態を解除するよう要求されて主制御部47を間欠動作状態から通常動作状態へ移行させる。
【0090】
バッテリ情報通知部67は、バッテリ46の電力残量を監視し、電力残量が所定の値以下であると、その旨の情報を通知アドレス取得部74に与える。
【0091】
プロトコル制御部68および通話制御部70は、基地局30を介して携帯電話機10とのテレビ電話通話を確立する。テレビ電話通話中は、プロトコル制御部68および通話制御部70は、撮像部26の撮影画像などの画像とマイクロフォン27の出力するデジタル音声信号とを多重化して携帯電話機10に送信する。携帯電話機10の撮影画像取得部54は、受信信号から画像と音声とを多重分離して画像を取得する。この画像は表示制御部55により表示部15に表示される。また、多重分離された音声は主制御部35によりスピーカ16から出力される。
【0092】
カメラ起動部71は、通話制御部70に指示されて、卓上テレビ電話機20の周辺の映像を取り込んで映像信号を生成可能となるよう撮像部26を起動する。
【0093】
認証制御部72は、識別情報受信部63により受信された識別情報(オーナー情報)が許可機器データベース45に登録されているか否かを判定し、判定結果を通話制御部70に与える。
【0094】
通知アドレス取得部74は、許可機器データベース45に登録されている電子メールアドレスを取得し、通知メール生成部75に与える。
【0095】
通知メール生成部75は、宛先を通知アドレス取得部74から受けた電子メールアドレスとし、本文をバッテリ46の電力残量が所定の値以下である旨を示唆する内容とした電子メールを作成する。
【0096】
メール送信指示部76は、通知メール生成部75により生成された電子メールの送信要求をプロトコル制御部68に与え、プロトコル制御部68と協働して基地局30を介して携帯電話機10に対して電子メールを送信する。
【0097】
カメラ制御部77は、通話制御部70に指示に応じて撮像部26の撮影画像を駆動制御するよう撮像部26に指示する。
【0098】
次に、本実施形態に係る携帯電話機10および卓上テレビ電話機20の動作の一例について説明する。
【0099】
図6は、携帯電話機10と卓上テレビ電話機20とが電気通信可能に接続されると、携帯電話機10に固有の識別情報が自動的に許可機器データベース45に登録される際の手順を示すフローチャートである。図6において、Sに数字を付した符号は、フローチャートの各ステップを示す。
【0100】
この手順は、登録許可部61により許可識別情報登録部65による許可機器データベース45に対する登録処理が許可されることによって自動登録期間が開始されてスタートとなる。
【0101】
まず、ステップS1において、携帯電話機10と卓上テレビ電話機20とが電気通信可能に接続される。図6には、携帯電話機10と卓上テレビ電話機20とが外部機器接続部33および43を介してUSB接続される場合の例について示したが、電気通信可能な接続であればUSB接続に限られず、たとえばBLUETOOTH(登録商標)規格による接続であってもよい。BLUETOOTH(登録商標)規格による接続の場合、ステップS1ではBLUETOOTH規格によるペアリングが行われる。
【0102】
次に、ステップS2において、携帯電話機10のOBEXサーバ部51は、OBEX(OBject EXchange)サーバ機能を起動する。
【0103】
次に、ステップS3において、携帯電話機10のOBEXサーバ部51と卓上テレビ電話機20のOBEXクライアント部62とは、互いにOBEX認証を行う。このOBEX認証に必要な認証コード(たとえば「1234」などの文字列)の情報は、あらかじめ携帯電話機10の記憶部34および卓上テレビ電話機20の記憶部44に記憶されているものとする。OBEX認証コードは、この記憶部44に記憶された認証コードが自動的に読み出されて、またはユーザによる入力操作を介して、卓上テレビ電話機20に送信される。
【0104】
次に、ステップS4において、卓上テレビ電話機20のOBEXクライアントは、携帯電話機10に対し、電話帳データを送信するよう要求する(GET Requestを行う)。
【0105】
次に、ステップS5において、携帯電話機10の識別情報送信部52は、電話帳データをOBEXサーバ部51に与える。OBEXサーバ部51は、この電話帳データを卓上テレビ電話機20に対して送信する。
【0106】
次に、ステップS6において、卓上テレビ電話機20の識別情報受信部63は、OBEXクライアント部62を介して携帯電話機10の電話帳データを受信する。
【0107】
次に、ステップS7において、卓上テレビ電話機20の識別情報抽出部64は、電話帳データから携帯電話機10に固有の識別情報であるオーナー情報(少なくとも携帯電話機10のMSISDNと携帯電話機10のオーナーの電子メールアドレスの情報を含む)を抽出する。
【0108】
次に、ステップS8において、卓上テレビ電話機20の許可識別情報登録部65は、携帯電話機10の識別情報(オーナー情報)を許可機器データベース45に登録する。
【0109】
次に、ステップS9において、携帯電話機10のOBEXサーバ部51と卓上テレビ電話機20のOBEXクライアント部62とは、互いのOBEX接続を解除する。
【0110】
以上の手順により、携帯電話機10と卓上テレビ電話機20とが有線接続(USB接続など)や無線接続(BLUETOOTH(登録商標)など)により電気通信可能に接続されると、携帯電話機10に固有の識別情報を自動的に許可機器データベース45に登録することができる。この登録処理において、ユーザは、操作部13や24を介して携帯電話機10に固有の識別情報を操作入力する必要がない。
【0111】
図7は、携帯電話機10と卓上テレビ電話機20とが電気通信可能に接続されると、携帯電話機10に固有の識別情報が自動的に許可機器データベース45に登録される際の他の手順を示すフローチャートである。図7において、Sに数字を付した符号は、フローチャートの各ステップを示す。図7に示す手順は、携帯電話機10が卓上テレビ電話機20に対して通話要求を行うことによって互いに電気通信可能に接続される点が図6に示す手順と異なる。
【0112】
なお、図7に示す手順は、識別情報(オーナー情報)を許可機器データベース45に登録することが目的で実行される。このため、図7に示す手順では、通話要求が受け付けられても、その後通話を確立することは必ずしも必要ではない。以下の説明では、通話要求を受け付けてから識別情報(オーナー情報)を許可機器データベース45に登録するまでの手順の一例について示す。
【0113】
この手順もまた、登録許可部61により許可識別情報登録部65による許可機器データベース45に対する登録処理が許可されることによって自動登録期間が開始されてスタートとなる。
【0114】
まず、ステップS11において、携帯電話機10の通話要求部56は、基地局30を介して卓上テレビ電話機20に対して通話要求(発信)を行う。以下の説明では、このステップS11における通話要求がテレビ電話通話要求である場合の例について示すが、この通話要求は、テレビ電話通話要求である必要はなく、音声通話要求であってもよい。
【0115】
また、通話要求部56により通話要求がなされる際には、識別情報送信部52は、卓上テレビ電話機20に対して識別情報(少なくとも携帯電話機10のMSISDNと携帯電話機10のオーナーの電子メールアドレスの情報を含む)を含むデータを送信する。
【0116】
次に、ステップS12において、卓上テレビ電話機20のプロトコル制御部68は、携帯電話機10からのテレビ電話通話要求を受け、ビデオコール通信部69に対して通話要求信号の着信通知を行う。
【0117】
次に、ステップS13において、ビデオコール通信部69の通話制御部70は、プロトコル制御部68から通話要求信号を与えられる。
【0118】
次に、ステップS14において、識別情報受信部63は、携帯電話機10から識別情報(オーナー情報)を含むデータを受信する。
【0119】
次に、ステップS15において、許可識別情報登録部65は、携帯電話機10の識別情報(オーナー情報)を許可機器データベース45に登録する。
【0120】
以上の手順により、携帯電話機10から卓上テレビ電話機20へ通話要求が行われると、携帯電話機10に固有の識別情報を自動的に許可機器データベース45に登録することができる。この図7に示した手順による登録処理においても、図6に示した手順と同様に、ユーザは、操作部13や24を介して携帯電話機10に固有の識別情報を操作入力する必要がない。
【0121】
図7に示した手順によれば、携帯電話機10と卓上テレビ電話機20とが近接せずとも、電話通信回線網などの電子ネットワークを介して互いに電気的に接続されれば、携帯電話機10に固有の識別情報を自動的に許可機器データベース45に登録することができるため、大変便利である。
【0122】
本実施形態に係る携帯電話機10および卓上テレビ電話機20は、ユーザによる操作入力を必要とせず、また公開鍵の事前配布などをも必要とせずに、携帯電話機10に固有の識別情報を容易に卓上テレビ電話機20の許可機器データベース45に登録することができる。このため、携帯電話機10のユーザが端末機を変更して識別情報が変わってしまった場合でも、再度の登録を非常に容易に行うことができる。このため、この携帯電話機10および卓上テレビ電話機20によれば、認証対象者の峻別を的確かつ容易に行うことができる。
【0123】
図8は、図7のステップS11の通話要求がテレビ電話通話要求である場合における図7に示す手順に引き続きテレビ電話通話を確立する際の手順を示すフローチャートである。図8において、Sに数字を付した符号は、フローチャートの各ステップを示す。なお、図7と同等のステップには同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0124】
ステップS11〜S15で携帯電話機10からのテレビ電話通話要求を受けて携帯電話機10の識別情報(オーナー情報)が自動的に許可機器データベース45に登録された後、ステップS21において、カメラ起動部71は、通話制御部70に指示されて撮像部26を起動する。この結果、撮像部26は卓上テレビ電話機20の周辺の映像を取り込んで映像信号を生成可能となる。
【0125】
次に、ステップS22において、通話制御部70は、携帯電話機10からのテレビ電話通話要求に対する応答許可をプロトコル制御部68に与える。
【0126】
次に、ステップS23において、プロトコル制御部68および通話制御部70は、基地局30を介して携帯電話機10とのテレビ電話通話を確立する。テレビ電話通話中は、プロトコル制御部68および通話制御部70は、撮像部26の撮影画像およびマイクロフォン27の出力するデジタル音声信号を多重化して携帯電話機10に送信する。携帯電話機10の撮影画像取得部54は、受信信号から撮像部26の撮影画像と音声とを多重分離して撮像部26の撮影画像を取得する。この撮影画像は、表示制御部55により表示部15に表示される。また、多重分離された音声はスピーカ16から出力される。
【0127】
以上の手順により、一度のテレビ電話通話要求をもって携帯電話機10の識別情報(オーナー情報)を自動的に許可機器データベース45に登録することができるとともにテレビ電話通話を確立することができる。
【0128】
図9は、許可機器データベース45に識別情報(オーナー情報)がすでに登録された携帯電話機10のテレビ電話通話要求に対してのみ卓上テレビ電話機20から撮像部26の撮影画像が送信される手順を示すフローチャートである。図9において、Sに数字を付した符号は、フローチャートの各ステップを示す。図8と同等のステップには同一符号を付し、重複する説明を省略する。なお、この手順のスタート時には、登録許可部61により許可識別情報登録部65による許可機器データベース45に対する登録処理が禁止されることによって自動登録期間が終了しているものとする。
【0129】
ステップS11〜S14で携帯電話機10からのテレビ電話通話要求を受けて携帯電話機10の識別情報(オーナー情報)が受信された後、ステップS31において、認証制御部72は、識別情報受信部63により受信された識別情報(オーナー情報)が許可機器データベース45に登録されているか否かを判定する。登録されている場合は、その旨の情報が認証制御部72から通話制御部70に与えられ、ステップS21〜S23が実行されて、撮像部26の撮影画像が携帯電話機10へ送信されてテレビ電話通話が確立される。一方、登録されていない場合は、その旨の情報が認証制御部72から通話制御部70に与えられ、携帯電話機10へは撮像部26の撮影画像を送信せずに音声通話を確立すべく、ステップS32へ進む。
【0130】
ステップS32において、通話制御部70は、携帯電話機10からのテレビ電話通話要求に対して音声通話による応答許可をプロトコル制御部68に与える。
【0131】
次に、ステップS33において、プロトコル制御部68および通話制御部70は、基地局30を介して携帯電話機10との音声通話を確立する。音声通話中は、プロトコル制御部68および通話制御部70は、マイクロフォン27の出力するデジタル音声信号を携帯電話機10に送信する一方、撮像部26の撮影画像は送信しない。
【0132】
なお、ステップS31において識別情報(オーナー情報)が許可機器データベース45に登録されていないと判定された場合は、撮像部26の撮影画像が携帯電話機10に送信されなければよく、撮像部26の撮像画像に変えて、あらかじめ記憶部44に記憶された所定の静止画など(以下、所定の静止画という)を音声に多重化して送信してもよい。この場合、携帯電話機10の撮影画像取得部54は、受信信号から所定の静止画と音声とを多重分離して所定の静止画を取得する。この静止画は、表示制御部55により表示部15に表示される。
【0133】
また、ステップS31において識別情報(オーナー情報)が許可機器データベース45に登録されていないと判定された場合は、音声通話を含む通話要求を拒否してもよい。この場合も撮像部26の撮影画像は携帯電話機10に送信されない。この場合、ステップS32およびS33は省略される。
【0134】
以上の手順により、卓上テレビ電話機20は、許可機器データベース45に識別情報(オーナー情報)が登録されていない機器からのテレビ電話通話要求に対しては撮像部26の撮影画像を送信しない一方、許可機器データベース45に識別情報(オーナー情報)がすでに登録された携帯電話機10(許可機器)のテレビ電話通話要求に対しては撮像部26の撮影画像を送信することができる。
【0135】
図10は、許可機器データベース45に識別情報(オーナー情報)がすでに登録された携帯電話機10の画像送信要求に対してのみ卓上テレビ電話機20から撮像部26の撮影画像が送信される手順を示すフローチャートである。図10において、Sに数字を付した符号は、フローチャートの各ステップを示す。図9と同等のステップには同一符号を付し、重複する説明を省略する。なお、図9に示した手順と同様に、この手順のスタート時には、登録許可部61により許可識別情報登録部65による許可機器データベース45に対する登録処理が禁止されることによって自動登録期間が終了しているものとする。
【0136】
ステップS41において、携帯電話機10の画像送信要求部53は、テレビ電話通話ではないデータ通信によって、基地局30を介して卓上テレビ電話機20に対して撮像部26の撮影画像の送信要求を行う。
【0137】
ステップ31において認証制御部72により携帯電話機10の識別情報(オーナー情報)が許可機器データベース45に登録されていると判定され、ステップS21において通話制御部70に指示されてカメラ起動部71が撮像部26を起動すると、ステップS42において、卓上テレビ電話機20の主制御部47は、オペレーティングシステムに従って基地局30を介して撮像部26の撮影画像を携帯電話機10に送信する。
【0138】
次に、ステップS43において、携帯電話機10の撮影画像取得部54は、撮像部26の撮影画像を受信し、表示制御部55に与える。この撮影画像は、表示制御部55により表示部15に表示される。
【0139】
以上の手順により、卓上テレビ電話機20は、許可機器データベース45に識別情報(オーナー情報)が登録されていない機器からのテレビ電話通話ではないデータ通信による画像送信要求に対しては撮像部26の撮影画像を送信しない一方、許可機器データベース45に識別情報(オーナー情報)がすでに登録された携帯電話機10の画像送信要求に対しては撮像部26の撮影画像を送信することができる。
【0140】
図9および図10に示したように、この携帯電話機10および卓上テレビ電話機20は、撮像部26の撮影画像の送信を許可する機器(許可機器)の識別情報を特別なユーザによる入力操作なしに容易に登録することができるとともに、撮像部26の撮影画像を許可機器に対してのみ送信することができる。このため、間違い電話の発信者や悪意の第三者などのユーザが撮像部26の撮影画像の送信を望まない画像送信要求者(テレビ電話通話要求者を含む)に対しては確実に撮像部26の撮影画像を送信せずにすむ。
【0141】
図11は、省電力状態にある卓上テレビ電話機20に対して携帯電話機10からテレビ電話通話要求が行われてテレビ電話通話が確立される際の手順を示すフローチャートである。図11において、Sに数字を付した符号は、フローチャートの各ステップを示す。図9と同等のステップには同一符号を付し、重複する説明を省略する。なお、図9および図10に示した手順と同様に、この手順のスタート時には、登録許可部61により許可識別情報登録部65による許可機器データベース45に対する登録処理が禁止されることによって自動登録期間が終了しているものとする。
【0142】
また、この手順のスタート時には、卓上テレビ電話機20は省電力状態にあるものとする。
【0143】
ステップS11において携帯電話機10の通話要求部56から基地局30を介して卓上テレビ電話機20に対してテレビ電話通話要求(発信)が行われ、基地局用送受信部42の無線信号の送受信を担う回路がこの通話要求信号および識別情報を受信すると、ステップS51において、プロトコル制御部68は、省電力制御部66に対して省電力状態を解除するよう要求する。
【0144】
次に、ステップS52において、省電力制御部66は、主制御部47のCPUの動作を間欠動作から通常動作状態へ移行させる。この結果、CPUの機能実現部であるプロトコル制御部68およびビデオコール通信部69は省電力状態(間欠動作状態)を解除されて常時動作を行うことができるようになる。
【0145】
そして、図11に示したステップS21以降の手順によって、許可機器データベース45に識別情報(オーナー情報)が登録されていない機器からのテレビ電話通話要求に対しては撮像部26の撮影画像を送信しない一方、許可機器データベース45に識別情報(オーナー情報)がすでに登録された携帯電話機10のテレビ電話通話要求に対しては撮像部26の撮影画像を送信する処理を実行する。
【0146】
以上の手順により、省電力状態にある卓上テレビ電話機20に対して携帯電話機10からテレビ電話通話要求が行われても、許可機器データベース45に識別情報(オーナー情報)が登録されていない機器からのテレビ電話通話要求に対しては撮像部26の撮影画像を送信しない一方、許可機器データベース45に識別情報(オーナー情報)がすでに登録された携帯電話機10のテレビ電話通話要求に対しては撮像部26の撮影画像を送信することができる。
【0147】
この卓上テレビ電話機20は、他の電子機器からの通話要求待機時には省電力状態とし、たとえば卓上テレビ電話機20のオーナーの家族が所有する電子機器などの識別情報が登録された電子機器からの通話要求を受けて通常動作状態へ移行するようになっている。このため、携帯電話機10および卓上テレビ電話機20によれば、卓上テレビ電話機20の駆動電力を担うバッテリ46の消費電力を大幅に削減することが可能である。
【0148】
図12は、バッテリ46の電力残量が所定の値以下となると、許可機器データベース45に登録された識別情報(オーナー情報)を有する機器(許可機器)に対してその旨を示唆する電子メールが送信される際の手順を示すフローチャートである。図12において、Sに数字を付した符号は、フローチャートの各ステップを示す。なお、図9〜11に示した手順と同様に、この手順のスタート時には、登録許可部61により許可識別情報登録部65による許可機器データベース45に対する登録処理が禁止されることによって自動登録期間が終了しているものとする。また、許可機器データベース45にはあらかじめ携帯電話機10のオーナー情報(電子メールアドレスを含む)が登録されているものとする。
【0149】
まず、ステップS61において、バッテリ情報通知部67は、バッテリ46の電力残量が所定の値以下か否かを判定する。所定の値以下である場合は、ステップS62に進む。一方、所定の値より多い場合は、バッテリ情報通知部67は引き続きバッテリ46の電力残量を監視する。
【0150】
次に、ステップS62において、バッテリ情報通知部67は、バッテリ46の電力残量が所定の値以下である旨の情報を通知アドレス取得部74に与える。
【0151】
次に、ステップS63において、通知アドレス取得部74は、許可機器データベース45に登録されている電子メールアドレスを取得し、通知メール生成部75に与える。この電子メールアドレスには、携帯電話機10の電子メールアドレスが含まれる。
【0152】
次に、ステップS64において、通知メール生成部75は、バッテリ46の電力残量が所定の値以下である旨を示唆する電子メールを生成する。この電子メールのアドレスは通知アドレス取得部74から受けた電子メールアドレスとする。
【0153】
次に、ステップS65において、メール送信指示部76は、通知メール生成部75により生成された電子メールの送信要求をプロトコル制御部68に与える。
【0154】
次に、ステップS66において、プロトコル制御部68およびメール送信指示部76は、基地局30を介して携帯電話機10を含む許可機器に対して電子メールを送信する。
【0155】
次に、ステップS67において、携帯電話機10のバッテリ情報受信部57は、この電子メールを受信し、表示部15に表示する。
【0156】
以上の手順により、バッテリ46の電力残量が所定の値以下となると、許可機器データベース45に登録された識別情報(オーナー情報)を有する機器に対してその旨を示唆する電子メールを送信することができる。
【0157】
なお、図12に示す手順では、電子メールを介して卓上テレビ電話機20のバッテリ46の電力残量が所定の値以下である旨の情報を携帯電話機10などの許可機器に与える場合の例について示したが、バッテリ46の電力残量が所定の値以下である旨の情報が通知できれば、電子メールに限られず、たとえば卓上テレビ電話機20は許可機器の表示部にその旨の情報を示唆するアイコンを表示させたり、許可機器のスピーカを介してその旨を示唆する音声を発生させたりしても構わない。
【0158】
この携帯電話機10および卓上テレビ電話機20によれば、バッテリ46の電力残量が所定の値以下である旨の情報を、許可機器のユーザ全てが共有することができる。このため、携帯電話機10のユーザは、卓上テレビ電話機20が通話要求に応答しない場合、この原因が、卓上テレビ電話機20のユーザの身に不都合があったのか、単に卓上テレビ電話機20のバッテリ46の電力残量不足なのか、いずれであるのかを容易に切り分けることができる。たとえば卓上テレビ電話機20のユーザが1人暮らしのお年寄りであり、携帯電話機10のユーザがその家族である場合に、携帯電話機10のユーザは、卓上テレビ電話機20のバッテリ46の電力残量不足により卓上テレビ電話機20が通話要求に応答しない場合、無用な心配をせずにすむ。
【0159】
図13は、携帯電話機10と卓上テレビ電話機20とのテレビ電話通話が確立されている場合に、携帯電話機10のユーザにより卓上テレビ電話機20の撮像部26の撮影画像を確認しながら携帯電話機10から撮像部26が操作される際の手順を示すフローチャートである。図13において、Sに数字を付した符号は、フローチャートの各ステップを示す。
【0160】
この手順は、携帯電話機10が卓上テレビ電話機20の許可機器であり、携帯電話機10と卓上テレビ電話機20とのテレビ電話通話が確立されてスタートとなる。
【0161】
この手順のスタート時にはすでにテレビ電話通話が確立されているため、携帯電話機10のユーザは、携帯電話機10の表示部15に表示された卓上テレビ電話機20の撮像部26の撮影画像を確認することができる。携帯電話機10のユーザは、この撮像部26の撮影画像をズームインやズームアウトさせたり、撮影方向を変更したりしたいと所望する場合がある。この場合、本実施形態にかかる携帯電話機10および卓上テレビ電話機20によれば、携帯電話機10のユーザは、携帯電話機10の操作部13を介して指示するだけで、以下の手順により卓上テレビ電話機20の撮像部26を遠隔操作することができる。
【0162】
ステップS71において、携帯電話機10のカメラ操作信号送信部58は、携帯電話機10のユーザから携帯電話機10の操作部13を介しての駆動制御指示を受け、この駆動制御指示に応じた操作信号を卓上テレビ電話機20に送信する。たとえば、駆動制御指示が撮像部26の撮影画像を拡大(ズームイン)したい旨の指示である場合、カメラ操作信号送信部58は撮像部26の撮影画像をズームインするための操作信号を卓上テレビ電話機20に送信する。
【0163】
次に、ステップS72において、卓上テレビ電話機20のプロトコル制御部68および通話制御部70は、携帯電話機10から操作信号を受信する。
【0164】
次に、ステップS73において、卓上テレビ電話機20の通話制御部70は、受信した操作信号に応じて撮像部26の撮影画像を駆動制御するようカメラ制御部77に指示する。たとえば、駆動制御指示がズームインしたい旨の指示である場合、通話制御部70は、操作信号に応じた比率で撮像部26の撮影画像をズームインするようカメラ制御部77に指示する。
【0165】
次に、ステップS74において、カメラ制御部77は、通話制御部70の指示に応じて撮像部26の撮影画像を駆動制御するよう撮像部26に指示する。たとえば、通話制御部70の指示がズームインすべき旨の指示である場合、カメラ制御部77は、通話制御部70の指示した比率に応じて撮像部26の撮影画像をズームインするよう撮像部26に指示する。
【0166】
この結果、携帯電話機10の表示部15には、携帯電話機10のユーザが指示した結果が反映された撮影画像が表示される。
【0167】
以上の手順により、携帯電話機10と卓上テレビ電話機20とのテレビ電話通話が確立されている場合に、携帯電話機10のユーザは卓上テレビ電話機20の撮像部26の撮影画像を確認しながら携帯電話機10から撮像部26を遠隔操作することができる。
【0168】
本実施形態に係る携帯電話機10および卓上テレビ電話機20は、携帯電話機10から送信された操作信号に応じて卓上テレビ電話機20の撮像部26を駆動制御することができる。また、操作信号としては、携帯電話通信において既に広く利用されている制御チャネルを用いることができる。このため、携帯電話機10のユーザは、テレビ電話通話中に卓上テレビ電話機20の撮像部26の向きやズームを容易に遠隔操作することができる。したがって、この携帯電話機10および卓上テレビ電話機20は非常に利便性が高い。
【0169】
図14は、本発明に係る撮像装置としての卓上テレビ電話機20Aの第2実施形態に係る内部構成例を概略的に示すブロック図である。
【0170】
本実施形態に係る携帯電話機10Aおよび卓上テレビ電話機20Aは、卓上テレビ電話機20にセンサ群90が設けられた点が第1実施形態に係る携帯電話機10および卓上テレビ電話機20と異なる。他の構成および作用については図1に示す携帯電話機10および卓上テレビ電話機20と実質的に異ならないため、同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0171】
第1実施形態に係る卓上テレビ電話機20には、卓上テレビ電話機20が設置された場所の周辺環境を把握するために役立つセンサとしてイメージセンサ(撮像部26)および音声センサ(マイクロフォン14)が備えられる場合の例を示した。本実施形態に係る卓上テレビ電話機20Aには、これらのセンサに加え、卓上テレビ電話機20Aが設置された場所の周辺環境を把握するために役立つセンサ群90がさらに備えられる。
【0172】
センサ群90は、照度センサ91、温度センサ92、湿度センサ93、ガスセンサ94などの、卓上テレビ電話機20Aが設置された場所の周辺環境を把握するために役立つ各種センサを有する。
【0173】
照度センサ91、温度センサ92、湿度センサ93、ガスセンサ94は、それぞれ卓上テレビ電話機20Aの周囲の照度、温度、湿度、有毒ガスなどの濃度やガス漏れ、を検知する。
【0174】
図15は、表示部15に表示された撮像部26の撮影画像に、センサ群90の検出値が重畳表示された様子の一例を示す説明図である。また、図16は、第2実施形態に係る携帯電話機10Aの主制御部35のCPUによる機能実現部の構成例を示す概略的なブロック図である。
【0175】
携帯電話機10Aの主制御部35のCPUは、ROMをはじめとする記憶媒体に記憶されたプログラムに従って、図4に示した機能実現部のほか、さらにセンサ群90の検出値をデータ通信により受信する検出値受信部59として機能する。検出値受信部59により受信されたセンサ群90の検出値は、ユーザによる操作部13を介した指示を受けてまたは設定により、表示制御部55によって、表示部15に表示された撮像部26の撮影画像に重畳表示される(図15参照)。
【0176】
図17は、第2実施形態に係る卓上テレビ電話機20Aの主制御部47のCPUによる機能実現部の構成例を示す概略的なブロック図である。
【0177】
卓上テレビ電話機20Aの主制御部47のCPUは、オペレーティングシステムに従って、図5に示した機能実現部のほか、さらにセンサ群90の検出値を取得する検出値取得部78と、この検出値をデータ通信により携帯電話機10Aに送信する検出値送信部79として機能する。
【0178】
本実施形態に係る携帯電話機10Aおよび卓上テレビ電話機20Aによっても、第1次視形態に係る携帯電話機10および卓上テレビ電話機20と同様の作用効果を奏する。
【0179】
また、本実施形態に係る携帯電話機10Aおよび卓上テレビ電話機20Aによれば、携帯電話機10Aのユーザは、テレビ電話通話中に、自機の表示部15に表示されたセンサ群90の検出値にもとづいて卓上テレビ電話機20Aの周辺環境を類推することができるため、非常に便利である。
【0180】
たとえば卓上テレビ電話機20Aの許可機器である携帯電話機10Aのユーザが卓上テレビ電話機20Aにテレビ電話通話要求を行い、図9に示した手順に従ってテレビ電話通話が確立されたにもかかわらず、卓上テレビ電話機20Aのユーザが撮像部26の撮影画像に含まれていない場合に、照度センサ91や温度センサ92などの検出値から卓上テレビ電話機20Aのユーザが卓上テレビ電話機20Aの近辺にいるか否かを類推することができる。
【0181】
また、たとえば冬季であり、かつ卓上テレビ電話機20Aのユーザが在宅しているべき時間にもかかわらず、卓上テレビ電話機20Aのユーザが撮像部26の撮影画像に含まれておらず、かつ温度センサ92の検出値から室内の温度が低い(たとえば5℃など)場合、卓上テレビ電話機20Aのユーザの身に何らかの不都合があったと類推することが可能である。さらに、卓上テレビ電話機20Aのユーザが就寝していることが撮影画像から確認でき、かつ温度センサ92の検出値から室内の温度が低いことがわかった場合、卓上テレビ電話機20Aが設置された部屋に設けられた空調機などの家電を携帯電話機10Aから操作することにより卓上テレビ電話機20Aが設置された部屋の温度を調節してもよい。
【0182】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
【0183】
また、本発明の実施形態では、フローチャートの各ステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理の例を示したが、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別実行される処理をも含むものである。
【符号の説明】
【0184】
10 携帯電話機
11、21 コンピュータ本体
12、22 ディスプレイユニット
13、24 操作部
14、27 マイクロフォン
15、25 表示部
16、28 スピーカ
17、26 撮像部
18 連結部
20 卓上テレビ電話機
23 送受話器
30 無線基地局
31、41 基地局用アンテナ
32、42 基地局用送受信部
33、43 外部機器接続部
34、44 記憶部
35、47 主制御部
45 許可機器データベース
46 バッテリ
51 OBEXサーバ部
52 識別情報送信部
53 画像送信要求部
54 撮影画像取得部
55 表示制御部
56 通話要求部
57 バッテリ情報受信部
58 カメラ操作信号送信部
59 検出値受信部
61 登録許可部
62 OBEXクライアント部
63 識別情報受信部
64 識別情報抽出部
65 許可識別情報登録部
66 省電力制御部
67 バッテリ情報通知部
68 プロトコル制御部
69 ビデオコール通信部
70 通話制御部
71 カメラ起動部
72 認証制御部
73 メール通信部
74 通知アドレス取得部
75 通知メール生成部
76 メール送信指示部
77 カメラ制御部
78 検出値取得部
79 検出値送信部
90 センサ群
91 照度センサ
92 温度センサ
93 湿度センサ
94 ガスセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像機能を有する他の電子機器により撮影された撮影画像データを、前記他の電子機器から電気通信により受信可能に構成された電子機器であって、
自機固有の識別情報を記憶した記憶部と、
前記他の電子機器と電気通信可能に接続されると、前記他の電子機器に対して少なくとも前記自機固有の識別情報を送信する識別情報送信部と、
を備え、
前記自機固有の識別情報は、
前記識別情報送信部により前記他の電子機器に対して送信されると、前記他の電子機器により許可機器データベースに登録されて、前記他の電子機器に電気通信可能に接続される複数の電子機器のそれぞれに対し前記他の電子機器が利用制限を行うための認証に利用されることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記他の電子機器に対して前記撮影画像の送信要求を行う画像送信要求部と、
前記画像送信要求部が前記他の電子機器に対して前記撮影画像の送信要求を行い、前記識別情報送信部が前記他の電子機器に対して前記自機固有の識別情報を送信し、前記許可機器データベースに前記自機固有の識別情報が登録されていると、前記他の電子機器により前記撮影画像を送信され、この撮影画像を受信する撮影画像取得部と、
をさらに備えた請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記他の電子機器に対してテレビ電話による通話要求を行う通話要求部と、
前記通話要求部が前記他の電子機器に対して前記テレビ電話による通話要求を行い、前記識別情報送信部が前記他の電子機器に対して前記自機固有の識別情報を送信し、前記許可機器データベースに前記自機固有の識別情報が登録されていると、前記他の電子機器により前記撮影画像を送信され、この撮影画像を受信する撮影画像取得部と、
をさらに備えた請求項1記載の電子機器。
【請求項4】
撮像機能を有する他の電子機器により撮影された撮影画像データを、前記他の電子機器から電気通信により受信可能に構成された電子機器であって、
自機固有の識別情報を記憶した記憶部と、
前記他の電子機器に対して通話要求を行う通話要求部と、
前記他の電子機器に対して通話要求を行う際に、前記他の電子機器に対して少なくとも前記自機固有の識別情報を送信する識別情報送信部と、
を備え、
前記自機固有の識別情報は、
前記通話要求部が前記他の電子機器に対して通話要求を行う際に前記識別情報送信部により前記他の電子機器に対して送信されると、前記他の電子機器により許可機器データベースに登録されて、前記他の電子機器に対して通話要求を行う複数の電子機器のそれぞれに対し前記他の電子機器が利用制限を行うための認証に利用されることを特徴とする電子機器。
【請求項5】
前記通話要求部が前記他の電子機器に対して前記テレビ電話による通話要求を行い、前記識別情報送信部が前記他の電子機器に対して前記自機固有の識別情報を送信し、前記許可機器データベースに前記自機固有の識別情報が登録されていると、前記他の電子機器により前記撮影画像を送信され、この撮影画像を受信する撮影画像取得部、
をさらに備えた請求項4記載の電子機器。
【請求項6】
前記自機固有の識別情報が前記他の電子機器により許可機器データベースに登録されており、かつ前記他の電子機器のバッテリの電力残量が所定の値以下となると、前記他の電子機器のバッテリの電力残量が所定の値以下である旨の情報が前記他の電子機器によって前記許可機器データベースに登録された識別情報を有する機器に対して送信されることにより、この情報を受信するバッテリ情報受信部、
をさらに備えた請求項1ないし5のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記通話要求部が前記他の電子機器に対してテレビ電話による通話要求を行い、前記撮影画像取得部が前記他の電子機器から前記撮影画像を受信して前記テレビ電話による通信が確立されると、前記他の電子機器に備えられたカメラを駆動制御するための操作信号を送信するカメラ操作信号送信部、
をさらに備え、
前記カメラは、
前記他の電子機器周辺の映像を取り込んで前記撮影画像を生成する、
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記他の電子機器は、
前記通話要求部が前記他の電子機器に対してテレビ電話による通話要求を行い、前記識別情報送信部が前記他の電子機器に対して前記自機固有の識別情報を送信し、前記許可機器データベースに前記自機固有の識別情報が登録されていると、前記他の電子機器の周辺の映像を取り込んで前記撮影画像を生成するカメラを前記撮影画像が生成不能な省電力状態から前記撮影画像が生成可能な通常動作状態へと移行させる、
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項9】
撮像機能を有し、撮影画像を電気通信により外部の電子機器に送信可能に構成された撮像装置であって、
前記電子機器と電気通信可能に接続されると、前記電子機器から前記電子機器固有の識別情報を受信する識別情報受信部と、
前記電子機器固有の識別情報を許可機器データベースに登録する許可識別情報登録部と、
を備え、
前記電子機器固有の識別情報は、
電気通信可能に接続される複数の電子機器のそれぞれに対し利用制限を行うための認証に利用されることを特徴とする撮像装置。
【請求項10】
前記テレビ電話による通話要求を受ける通話制御部と、
前記通話制御部が前記テレビ電話による通話要求を受け、前記識別情報受信部が識別情報を受信し、この識別情報が前記許可機器データベースに登録された識別情報に存在すると、前記通話制御部に対して前記通話要求を行った電子機器への前記撮影画像の送信を許可する認証制御部と、
をさらに備えた請求項9記載の撮像装置。
【請求項11】
前記電子機器から受信した前記電子機器固有の識別情報の前記許可機器データベースへの登録を許可する登録許可部、
をさらに備え、
前記許可識別情報登録部は、
前記登録許可部により前記許可機器データベースへの登録を許可されると前記電子機器固有の識別情報を前記許可機器データベースに登録する、
請求項9または10に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−15019(P2011−15019A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−155492(P2009−155492)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】