説明

電子機器の壁掛け構造

【課題】本体ユニットが収容されている筐体が熱によって軟化したり、経年劣化によって強度が低下した場合にも、本体ユニットが壁面から脱落することのない電子機器の壁掛け構造を提供する。
【解決手段】電子機器の壁掛け構造は、筐体の背面に配備された壁掛け金具2と、筐体の背面から本体ユニットの背面にねじ込まれた本体締結ねじ41と、壁掛け金具2の背面から筐体の背面にねじ込まれた金具締結ねじ4と、筐体の内部にて本体締結ねじ41と金具締結ねじ4との間を延びて両締結ねじ41、4を互いに連結する連結部材5とを具えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄型テレビジョン受像機等の電子機器を壁面に取り付けるための壁掛け構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、薄型テレビジョン受像機を壁掛け金具によって壁面に取り付けることが行なわれている(特許文献1参照)。
この様な壁掛け構造においては、薄型テレビジョン受像機の筐体の背面に壁掛け金具を配備し、壁掛け金具の背面から筐体の背面へ複数本のねじをねじ込んで、筐体に壁掛け金具を固定する。そして、壁掛け金具を壁面側の受け金具に連結して、薄型テレビジョン受像機を壁面に取り付ける。
【0003】
尚、一般に筐体は合成樹脂製であるため、筐体には、前記ねじの先端部がねじ込まれるべきインサートナットが埋め込まれており、これによって、筐体と壁掛け金具とを互いに十分な強度で連結している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−233018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の壁掛け構造においては、筐体の内部に収容されている画像表示パネル等の本体ユニットが大きな重量を有するにも拘わらず、本体ユニットと壁掛け金具との間に特別な連結構造は設けられておらず、単に、筐体の背面から本体ユニットの背面へねじがねじ込まれると共に、壁掛け金具の背面から筐体へねじがねじ込まれているに過ぎなかった。
【0006】
この場合、本体ユニットの重量は、壁掛け金具を締結するためのねじがねじ込まれている筐体部分(合成樹脂部分)によって支えられることになる。
従って、筐体が熱によって軟化したり、経年劣化を生じて強度が低下した場合、壁掛け金具を締結するためのねじがねじ込まれている筐体部分が破損する虞があり、この結果、本体ユニットが筐体と共に壁面から脱落することとなる。
【0007】
そこで本発明の目的は、本体ユニットが収容されている筐体が熱によって軟化したり、経年劣化によって強度が低下した場合にも、本体ユニットが壁面から脱落することのない電子機器の壁掛け構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電子機器の壁掛け構造は、
筐体(1)の背面に配備された壁掛け金具(2)と、
筐体(1)の背面から本体ユニットの背面にねじ込まれた本体締結ねじ(41)と、
壁掛け金具(2)の背面から筐体(1)の背面にねじ込まれた金具締結ねじ(4)と、
筐体(1)の内部にて本体締結ねじ(41)と金具締結ねじ(4)との間を延びて両締結ねじ(41)(4)を互いに連結する連結部材(5)
とを具えている。
【0009】
上記本発明の壁掛け構造においては、壁掛け金具(2)を壁面の受け金具(3)に係止することによって、電子機器を壁面に取り付ける。
この状態で、筐体(1)が熱によって軟化したり、経年劣化を生じて強度が低下して、金具締結ねじ(4)がねじ込まれている筐体部分が破損したとしても、本体ユニットは、それぞれ十分な強度を有する本体締結ねじ(41)、連結部材(5)及び金具締結ねじ(4)を介して、壁面に係止された壁掛け金具(2)に連結されているため、連結部材(5)の長さに応じて僅かに落下してぶら下がるものの、壁面から床面へ脱落することはない。
【0010】
具体的態様において、前記連結部材(5)は金属ワイヤーから構成され、両端部に連結部(51)(52)を具え、一方の連結部(51)に本体締結ねじ(41)が貫通すると共に、他方の連結部(52)に金具締結ねじ(4)が貫通している。
そして、本体締結ねじ(41)は、その先端部が本体ユニットの金属部にねじ込まれると共に、金具締結ねじ(4)は、その先端部が筐体(1)に埋め込まれたインサートナット(13)にねじ込まれている。
【0011】
該具体的態様によれば、本体ユニットは、その背面の金属部が、それぞれ金属製の本体締結ねじ(41)、連結部材(5)及び金具締結ねじ(4)を介して、壁面の壁掛け金具(2)に連結されることになり、高い連結強度が得られる。
【0012】
更に具体的な態様において、本体締結ねじ(41)と金具締結ねじ(4)はそれぞれ、本体ユニットの背面に重なる4角形の4つの頂点位置に配備され、これら4つの頂点位置の内、対角関係にある2つの頂点位置のそれぞれに配備された本体締結ねじ(41)と金具締結ねじ(4)とが連結部材(5)によって互いに連結されている。
【0013】
該具体的構成によれば、連結部材(5)の長さに応じて本体ユニットが落下したとしても、本来ユニットの姿勢が大きく傾くことはない。
【0014】
他の具体的な態様において、連結部材(5)によって互いに連結された少なくとも一対の本体締結ねじ(41)と金具締結ねじ(4)は、金具締結ねじ(4)が上、本体締結ねじ(41)が下の位置関係に配備されている。
該具体的態様によれば、前記一対の本体締結ねじ(41)と金具締結ねじ(4)が逆の上下関係を有する場合に比べて、本体ユニットの落下距離が短くなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る電子機器の壁掛け構造によれば、本体ユニットが収容されている筐体が熱によって軟化したり、経年劣化によって強度が低下した場合にも、本体ユニットが壁面から床面に脱落することはない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の一実施形態である薄型テレビジョン受像機の壁掛け構造を背面側から見た斜視図である。
【図2】図2は、該壁掛け構造の分解斜視図である。
【図3】図3は、バックキャビネットを内面側から見た斜視図である。
【図4】図4は、バックキャビネットを内面側から見た分解斜視図である。
【図5】図5は、該壁掛け構造を正面側から見た一部破断斜視図である。
【図6】図6は、該壁掛け構造を背面側から見た一部破断斜視図である。
【図7】図7は、該壁掛け構造を背面側から見た他の一部破断斜視図である。
【図8】図8は、該壁掛け構造を正面側から見た他の一部破断斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を薄型テレビジョン受像機の壁掛け構造に実施した形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
本発明の一実施形態である薄型テレビジョン受像機の壁掛け構造においては、図1及び図2に示す如く、左右一対の壁掛け金具(2)(2)が筐体(1)の背面に固定されると共に、受け金具(3)が壁面(図示省略)に固定されており、壁掛け金具(2)(2)を受け金具(3)に係止することによって、筐体(1)が壁面に取り付けられている。
【0018】
筐体(1)は、フロントキャビネット(11)とバックキャビネット(12)を互いに接合固定して構成されており、図5〜図8の如く、筐体(1)の内部に画像表示パネル(10)が収容されている。
【0019】
図2の如く、左右一対の壁掛け金具(2)(2)はそれぞれ縦長のステー状を呈し、各壁掛け金具(2)には、その背面側から、上下2本の金具締結ねじ(4)(4)が貫通して、合計4本の金具締結ねじ(4)〜(4)が、前記画像表示パネル(10)の輪郭形状よりも小さな四角形の4つの頂点位置に配置されている。
そして、これら4本の金具締結ねじ(4)〜(4)の先端部が、バックキャビネット(12)に埋め込まれた4つのインサートナット(13)〜(13)にそれぞれねじ込まれている。
これら4つのインサートナット(13)〜(13)はそれぞれ、図3の如くバックキャビネット(12)の内面側へ露出している。
【0020】
図4に示す如く、バックキャビネット(12)には、上側の2つのインサートナット(13)(13)の上方位置と、下側の2つのインサートナット(13)(13)の下方位置に、前記画像表示パネル(10)の輪郭形状よりも小さな四角形の4つの頂点位置に対応させて、4つのボス(14)〜(14)が内向きに突設されている。これら4つのボス(14)〜(14)には、バックキャビネット(12)の外側から、4本の本体締結ねじ(41)〜(41)が貫通し、これら4本の本体締結ねじ(41)〜(41)の先端部がそれぞれ、図5〜図8に示す画像表示パネル(10)の背面部材である金属板(15)にねじ込まれている。
【0021】
図3及び図4に示す様に、4つのボス(14)〜(14)と4つのインサートナット(13)〜(13)とは、互いに近接するどうしが一対となって、前記4つの頂点位置の内、対角関係にある2つの頂点位置のそれぞれに配備された一対のボス(14)とインサートナット(13)との間を、金属ワイヤーからなる連結部材(5)が延びている。
【0022】
連結部材(5)は、その両端部にリング状を呈する金属製の連結部(51)(52)を具え、前記ボス(14)を貫通する本体締結ねじ(41)が連結部材(5)の一方の連結部(51)を貫通すると共に、前記インサートナット(13)にねじ込まれた金具締結ねじ(4)が連結部材(5)の他方の連結部(52)を貫通している。
これによって、前記4つの頂点位置の内、対角関係にある2つの頂点位置のそれぞれに配備された一対の本体締結ねじ(41)と金具締結ねじ(4)とが、連結部材(5)によって互いに連結されることになる。
【0023】
上記薄型テレビジョン受像機の壁掛け構造によれば、筐体(1)が熱によって軟化したり、経年劣化を生じて強度が低下して、金具締結ねじ(4)がねじ込まれている筐体部分が破損したとしても、画像表示パネル(10)の金属板(15)が、それぞれ金属製で十分な強度を有する本体締結ねじ(41)、連結部材(5)、及び金具締結ねじ(4)を介して、壁面の受け金具(3)に係止されている壁掛け金具(2)に連結されているため、画像表示パネル(10)は、連結部材(5)の長さに応じて僅かに落下してぶら下がるものの、壁面から床面へ脱落することはない。
【0024】
特に、四角形の4つの頂点位置の内、対角関係にある2つの頂点位置の2箇所で、本体締結ねじ(41)と金具締結ねじ(4)とが連結部材(5)によって互いに連結されているので、4本の金具締結ねじ(4)〜(4)がねじ込まれている筐体部分が破損したとしても、画像表示パネル(10)は、2本の連結部材(5)(5)によって壁面から吊り下げられることとなり、画像表示パネル(10)の姿勢が大きく傾くことはない。
【0025】
尚、2本の連結部材(5)(5)は、ボス(14)及びインサートナット(13)に連結部材(5)を連結する際の作業性と、2本の連結部材(5)(5)によって吊り下げられたときの画像表示パネル(10)の姿勢を考慮した上で、出来るだけ短い長さに形成することが望ましい。
【0026】
本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。例えば連結部材(5)の本数は2本に限らず、1本若しくは3本以上であっても可い。
又、本発明はテレビジョン受像機に限らず、種々の電子機器の壁掛け構造に実施することが出来る。
【符号の説明】
【0027】
(1) 筐体
(10) 画像表示パネル
(11) フロントキャビネット
(12) バックキャビネット
(13) インサートナット
(14) ボス
(15) 金属板
(2) 壁掛け金具
(3) 受け金具
(4) 金具締結ねじ
(41) 本体締結ねじ
(5) 連結部材
(51) 連結部
(52) 連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の内部に本体ユニットを収容してなる電子機器を、壁掛け金具を用いて壁面に取り付けるための壁掛け構造において、
筐体の背面から本体ユニットの背面にねじ込まれた本体締結ねじと、
壁掛け金具の背面から筐体の背面にねじ込まれた金具締結ねじと、
筐体の内部にて本体締結ねじと金具締結ねじとの間を延びて両締結ねじを互いに連結する連結部材
とを具えたことを特徴とする電子機器の壁掛け構造。
【請求項2】
前記連結部材は金属ワイヤーから構成され、両端部に連結部を具え、一方の連結部に本体締結ねじが貫通すると共に、他方の連結部に金具締結ねじが貫通している請求項1に記載の壁掛け構造。
【請求項3】
本体締結ねじは、その先端部が本体ユニットの金属部にねじ込まれると共に、金具締結ねじは、その先端部が筐体に埋め込まれたインサートナットにねじ込まれている請求項1又は請求項2に記載の壁掛け構造。
【請求項4】
本体締結ねじと金具締結ねじはそれぞれ、本体ユニットの背面に重なる4角形の4つの頂点位置に配備され、少なくとも1つの頂点位置に配備された本体締結ねじと金具締結ねじとが連結部材によって互いに連結されている請求項1乃至請求項3の何れかに記載の壁掛け構造。
【請求項5】
前記4つの頂点位置の内、対角関係にある2つの頂点位置のそれぞれに配備された本体締結ねじと金具締結ねじとが連結部材によって互いに連結されている請求項4に記載の壁掛け構造。
【請求項6】
連結部材によって互いに連結された少なくとも一対の本体締結ねじと金具締結ねじは、金具締結ねじが上、本体締結ねじが下の位置関係に配備されている請求項1乃至請求項5の何れかに記載の壁掛け構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−181564(P2011−181564A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−41842(P2010−41842)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】