説明

電子機器ユニットおよび電子機器ユニットの製造方法

【課題】収容空間で電線が移動するのを防止した電子機器ユニットを提供する。
【解決手段】第一の電子機器31と、第二の電子機器32と、互いの縁部11、21を接続させることで第一の電子機器および第二の電子機器を収容する収容空間V1を形成した第一の仕切り体10および第二の仕切り体20と、を備える電子機器ユニット1であって、第一の仕切り体および第二の仕切り体の少なくとも一方に取り付けられ、収容空間と収容空間に対する外部空間V2とを連通する貫通孔41、42が複数形成された保護部材40と、第一の端部51aが第一の電子機器に、第二の端部51bが第二の電子機器にそれぞれ電気的に接続され、一の貫通孔を挿通して収容空間から外部空間に延びるとともに他の貫通孔を挿通して外部空間から収容空間に延びるように配置された電線51とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器を収容した電子機器ユニットおよび電子機器ユニットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器ユニットを高性能化するため、基板などの電子機器を複数有するものが開発されている。
たとえば、特許文献1に記載された印刷配線板(電子機器ユニット)は、主基板と副基板とをフラットジャンパ線(電線)で電気的に接続している。主基板と副基板とは、互いに離間した状態でほぼ平行に配置され、間に支柱を配置して止ねじによりそれぞれ固定されている。
【0003】
さらに、近年は、基板をより確実に保護するため、複数の仕切り体で内部に収容空間を有する容器を構成し、この収容空間に複数の基板を配置したものが開発されている。この場合、製造時の作業性を向上させるため、予め、それぞれの仕切り体に基板を取り付けてから、各基板を電線で接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭64−41163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電線は、それぞれの仕切り体が分離した状態では作業性のために比較的長いことが好ましく、それぞれの仕切り体を接続して容器を構成した状態では、収容空間で電線が移動しにくいように比較的短いことが好ましい。収容空間にある電線が長いと、電線が基板などと干渉し基板の表面に形成された突起物などにより電線が損傷する恐れがある。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、収容空間で電線が移動するのを防止した電子機器ユニットおよび電子機器ユニットの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の電子機器ユニットは、第一の電子機器と、第二の電子機器と、互いの縁部を接続させることで前記第一の電子機器および前記第二の電子機器を収容する収容空間を形成した第一の仕切り体および第二の仕切り体と、を備える電子機器ユニットであって、前記第一の仕切り体および前記第二の仕切り体の少なくとも一方に取り付けられ、前記収容空間と前記収容空間に対する外部空間とを連通する貫通孔が複数形成された保護部材と、第一の端部が前記第一の電子機器に、第二の端部が前記第二の電子機器にそれぞれ電気的に接続され、一の前記貫通孔を挿通して前記収容空間から前記外部空間に延びるとともに他の前記貫通孔を挿通して前記外部空間から前記収容空間に延びるように配置された電線と、を備えることを特徴としている。
【0008】
この発明によれば、保護部材の貫通孔を通して収容空間から電線の一部を引出すことで、収容空間にある電線の長さを短くすることができる。これにより、収容空間で電線が移動して第一の電子機器および第二の電子機器などに干渉して損傷するのを防止することができる。
【0009】
また、上記の電子機器ユニットにおいて、前記保護部材は弾性を有する材料で形成されていることがより好ましい。
この発明によれば、保護部材が電線に追従して変形するため、第一の仕切り体および第二の仕切り体に取り付けられた部分の端部から電線をより確実に保護することができる。
【0010】
また、上記の電子機器ユニットにおいて、前記保護部材の前記貫通孔の内周面は、前記電線の外周面に全周にわたり接触していることがより好ましい。
この発明によれば、収容空間の気密性を高め、保護部材と電線との相対位置をより確実に保持することができる。
【0011】
また、上記の電子機器ユニットにおいて、1つの前記電線が挿通される一対の前記貫通孔の前記外部空間側の開口は、互いの距離が前記電線に対応して定められる所定の距離以上離間しているとともに、互いの前記縁部を接続させた前記第一の仕切り体および前記第二の仕切り体の少なくとも一方に前記保護部材を取り付けた状態で前記第一の仕切り体と前記第二の仕切り体との接続面に直交する方向に見たときに、位置をずらして配置されていることがより好ましい。
この発明によれば、一対の開口にそれぞれ挿通される電線の外部空間側の曲げ半径を電線の種類に応じて大きくすることができる。さらに、接続面に直交する方向に見たときに一対の開口が位置をずらして配置されていることで、外部空間において電線が曲げられる面が接続面に直交する面から傾くため、電線の曲げ半径を維持しつつ、一対の開口における接続面に直交する方向の距離を短くすることができる。したがって、保護部材を接続面に直交する方向に薄く形成することができる。
【0012】
また、本発明の電子機器ユニットの製造方法は、第一の電子機器を第一の仕切り体に取り付けるとともに第二の電子機器を第二の仕切り体に取り付ける配置工程と、保護部材に形成された複数の貫通孔に中間部で折り返された電線の両端部をそれぞれ挿通し、前記電線の端部を前記第一の電子機器および前記第二の電子機器にそれぞれ電気的に接続する接続工程と、前記第一の仕切り体および前記第二の仕切り体の少なくとも一方に前記保護部材を取り付けて前記第一の仕切り体および前記第二の仕切り体の縁部同士を接続することで、前記第一の仕切り体および前記第二の仕切り体の内部に前記第一の電子機器および前記第二の電子機器を収容した収容空間を形成するとともに、前記第一の仕切り体および前記第二の仕切り体の外部に前記電線の中間部を配置した外部空間を形成する組み付け工程と、前記電線の一部を前記貫通孔を通して前記収容空間から引き出す調節工程と、を備えることを特徴としている。
【0013】
両端部が第一の電子機器および第二の電子機器に接続される電線は、第一の仕切り体と第二の仕切り体とが分離した状態では作業性のために比較的長いことが好ましく、第一の仕切り体と第二の仕切り体とを接続した状態では、収容空間で電線が移動しにくいように比較的短いことが好ましい。
この発明によれば、接続工程用に比較的長く設定した電線の一部を調節工程で収容空間から引き出すことで、接続工程での作業性を維持しつつ、両仕切り体を接続した後は収容空間にある電線の長さを短くして電線が損傷するのを防止することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の電子機器ユニットおよび電子機器ユニットの製造方法によれば、収容空間で電線が移動するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態の電子機器ユニットの斜視図である。
【図2】図1中の切断線A−Aの断面図である。
【図3】同電子機器ユニットにおける要部の正面図である。
【図4】本実施形態の電子機器ユニットの製造方法を示すフローチャートである。
【図5】両ケースに基板を取り付けた状態を説明する断面図である。
【図6】グロメットに挿通させた配線コードの端部を基板に接続した状態を説明する断面図である。
【図7】両ケースの縁部同士を接続した状態を説明する断面図である。
【図8】本発明の第2実施形態の電子機器ユニットの側面断面図である。
【図9】本発明の変形例の電子機器ユニットの要部の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る電子機器ユニットの第1実施形態を、図1から図7を参照しながら説明する。本電子機器ユニットは、基板などの電子機器をケースにより水や埃などから保護した構成となっている。
図1および図2に示すように、本実施形態の電子機器ユニット1は、互いを接続させることで収容空間V1を形成した第一のケース(第一の仕切り体)10および第二のケース(第二の仕切り体)20と、収容空間V1内に収容された第一の基板(第一の電子機器)31および第二の基板(第二の電子機器)32と、第一のケース10および第二のケース20にそれぞれ取り付けられたグロメット(保護部材)40と、両端部が第一の基板31および第二の基板32にそれぞれ接続された配線コード(電線)51、52とを備えている。
【0017】
第一のケース10は、外形が直方体状で、一つの面に開口12が設けられた箱状に形成されている。第一のケース10の開口12とは反対側の面の内面13には、開口12側に突出する複数のボス14が設けられている。開口12の縁部11の一部には、グロメット40と係合する切り欠き15が形成されている。
第二のケース20は、第一のケース10と同一の形状に形成されている。すなわち、第二のケース20には、開口22が設けられ、内面23には複数のボス24が設けられている。開口22の縁部21の一部であって、第一のケース10の切り欠き15に対向する位置には、グロメット40と係合する切り欠き25が形成されている。
第一のケース10および第二のケース20は、樹脂を成形したり、金属板を折り曲げ加工したりすることなどで形成されている。第一のケース10および第二のケース20は、縁部11と縁部21とを接続させることで、前述の収容空間V1を形成するように構成されている。
【0018】
第一の基板31は、縁部11より内面13側に位置するとともに内面13に対してほぼ平行に配置されるように、不図示のネジ部材などにより第一のケース10のボス14に固定されている。同様に、第二の基板32は、縁部21より内面23側に位置するとともに内面23に対してほぼ平行に配置されるように、不図示のネジ部材などにより第二のケース20のボス24に固定されている。
【0019】
グロメット40は、天然ゴム、シリコーンゴム、塩化ビニルなどの弾性を有する材料で板状に形成されている。図2および図3に示すように、グロメット40には、収容空間V1と、収容空間V1に対する外部空間V2とを連通するようにグロメット40の厚さ方向に延びた4つの貫通孔41〜44が形成されている。本実施形態では、貫通孔41〜44は、互いに同一形状となる円柱状に形成されている。配線コード51が貫通孔41および貫通孔42に挿通され、配線コード52が貫通孔43および貫通孔44に挿通されている。
【0020】
貫通孔41、42の外部空間V2側の開口は、互いに接続させた第一のケース10および第二のケース20にグロメット40を取り付けた状態で第一のケース10の縁部11と第二のケース20の縁部12との接続面Pに直交する方向、すなわちZ方向に平行に見たときに、位置をずらして配置されている(図3参照)。なお、接続面Pは、第一のケース10と第二のケース20とを接続したときに、第一のケース10の開口12により規定される開口面と、第二のケース20の開口22により規定される開口面にそれぞれ一致する面である。
さらに、配線コード51が挿通される貫通孔41、42の外部空間V2側の開口は、互いの距離が配線コード51に対応して定められる所定の距離以上離間している。一般的に、配線コードの外径が大きくなるほど、配線コードの被覆が損傷したり電気的な導通が低下したりすることなく曲げられる曲げ半径は大きくなる。このため、前述の所定の距離は、配線コードの外径、材質などにより、配線コードに対応して定まる値となる。
【0021】
貫通孔43、44は、貫通孔41、42と同様に形成されている。
グロメット40における厚さ方向に平行な側面には、第一のケース10の切り欠き15および第二のケース20の切り欠き25に係合する溝部45が形成されている。
【0022】
配線コード51、52は、両基板31、32を電気的に接続するためのものであり、長手方向に垂直な平面による断面形状はほぼ円形に形成されている。配線コード51、52の外径は、貫通孔41〜44の内径に等しいか、わずかに小さくなるように設定されている。
このため、貫通孔41〜44の内周面は配線コード51、52の外周面に全周にわたり接触していて、グロメット40に対して配線コード51、52を貫通孔41〜44に沿って移動させたときに、配線コード51、52と貫通孔41〜44との間に適度な摩擦が生じるようになっている。
【0023】
配線コード51は、図2に示すように、第一の端部51aが第一の基板31に、第二の端部51bが第二の基板32にそれぞれ電気的に接続されている。配線コード51は、貫通孔41を挿通して収容空間V1から外部空間V2に延びるように配置されているとともに、中間部51cで折り返されてから貫通孔42を挿通して外部空間V2から収容空間V1に延びるように配置されている。
配線コード52も、配線コード51と同様に、貫通孔43を挿通して収容空間V1から外部空間V2に延びるように配置されているとともに、中間部で折り返されてから貫通孔44を挿通して外部空間V2から収容空間V1に延びるように配置されている。
【0024】
次に、以上のように構成された本実施形態の電子機器ユニット1の製造方法について説明する。図4は、電子機器ユニット1の製造方法を示すフローチャートである。
まず、配置工程S1において、図5に示すように、不図示のネジ部材などにより、第一のケース10のボス14に第一の基板31を取り付けるとともに、第二のケース20のボス24に第二の基板32を取り付ける。
【0025】
次に、接続工程S2において、図6に示すように、グロメット40に形成された貫通孔41〜44に中間部で折り返された配線コード51、52の両端部をそれぞれ挿通し、配線コード51、52の端部を第一の基板31および第二の基板32にそれぞれ電気的に接続する。具体的には、配線コード51において、第一の端部51aを貫通孔41に挿通し第一の基板31に不図示のハンダなどで接続し、第二の端部51bを貫通孔42に挿通し第二の基板32に不図示のハンダなどで接続する。
同様に、配線コード52において、第一の端部を貫通孔43に挿通して第一の基板31に接続し、第二の端部を貫通孔44に挿通して第二の基板32に接続する。
【0026】
続いて、組み付け工程S3において、第一のケース10の切り欠き15にグロメット40の溝部45を係合させ、さらに、第二のケース20の切り欠き25にグロメット40の溝部45を係合させる。そして、第一のケース10の縁部11と第二のケース20の縁部21とを接続することで、ケース10、20の内部に基板31、32を収容した収容空間V1を形成するとともに、ケース10、20の外部に配線コード51、52の中間部を配置した外部空間V2を形成する。
【0027】
続いて、調節工程S4において、配線コード51、52の一部をグロメット40の貫通孔41〜44を通して収容空間V1から外部空間V2に引き出し、収容空間V1内の配線コード51、52の長さを調節する。このとき、収容空間V1内の配線コード51、52がある程度張った状態にあり、配線コード51、52のたるみが無い、もしくはたるみが少ないように調節されることが好ましい。
配線コード51、52と貫通孔41〜44との間には適度な摩擦が生じるため、グロメット40に対して移動させた配線コード51、52の位置が保持される。
なお、外部空間V2に引き出された配線コード51、52を、ケース10、20の外表面に固定してもよい。
以上の工程により、電子機器ユニット1が製造される。
【0028】
以上説明したように、本実施形態の電子機器ユニット1によれば、グロメット40の貫通孔41〜44を通して配線コード51、52の一部を収容空間V1から外部空間V2に引出すことで、収容空間V1にある配線コード51、52の長さを短くすることができる。これにより、収容空間V1で配線コード51、52が移動して基板31、32などに干渉して損傷するのを防止することができる。
グロメット40は弾性を有する材料で形成されているため、グロメット40は配線コード51、52に追従して変形する。したがって、第一のケース10の切り欠き15および第二のケース20の切り欠き25から配線コード51、52をより確実に保護することができる。
グロメット40の貫通孔41〜44の内周面は、配線コード51、52の外周面に全周にわたり接触している。このため、配線コード51、52と貫通孔41〜44との間に生じる摩擦により、グロメット40に対する配線コード51、52の位置を保持することができる。また、収容空間V1内の気密性を高めることができる。
【0029】
配線コード51が挿通される貫通孔41、42の外部空間V2側の開口は、互いの距離が配線コード51に対応して定められる所定の距離以上離間している。このため、一対の開口にそれぞれ挿通される配線コード51の外部空間V2側の曲げ半径を配線コード51の種類に応じて大きくすることができる。さらに、接続面Pに直交するZ方向に見たときに一対の開口が位置をずらして配置されていることで、外部空間V2において配線コード51が曲げられる面Q(図3参照)が接続面Pに直交する面から傾くため、配線コード51の曲げ半径を維持して配線コード51が損傷するのを防止しつつ、一対の開口におけるZ方向の距離を短くすることができる。したがって、貫通孔41、42が形成されたグロメット40を、Z方向に薄く形成することができる。グロメットに貫通孔をこのように配置するのは、貫通孔の数が多い場合に特に有効である。
そして、グロメット40がZ方向に薄くなることで、グロメット40を軽量化するとともに、グロメット40の製造コストを低減させることができる。さらに、ケース10、20をZ方向に薄く形成することができる。
【0030】
従来の配線コードでは、配線コードの中間部に着脱可能なコネクタを設けて両基板から延びる配線コード同士をコネクタにより接続していた。本実施形態の電子機器ユニット1は、従来の配線コードとは異なり配線コード51、52の中間部にコネクタを用いないため、電子機器ユニット1の製造コストを抑えることができる。
【0031】
また、両端部が基板31、32に接続される配線コード51、52は、第一のケース10と第二のケース20とが分離した状態では作業性のために比較的長いことが好ましく、第一のケース10と第二のケース20とを接続した状態では、収容空間V1で配線コード51、52が移動しにくいように比較的短いことが好ましい。
本発明の電子機器ユニット1の製造方法によれば、接続工程S2用に比較的長く設定した配線コード51、52の一部を調節工程S4で収容空間V1から引き出すことで、接続工程S2での作業性を維持しつつ、両ケース10、20を接続した後は収容空間V1にある配線コード51、52の長さを短くして配線コード51、52が損傷するのを防止することができる。
予め、基板31、32を配線コード51、52により互いに接続してから、第一のケース10と第二のケース20とを接続するため、配線コード51、52を基板31、32に誤って接続するのを防止することができる。
【0032】
余分な長さの配線コード51、52が収容空間V1に配されないため、配線コード51、52を配するのに必要な収容空間V1が小さくなり、ケース10、20を小型化することができる。
収容空間V1で配線コード51、52が移動するのが防止されているため、メンテナンス時にケース10、20を開閉しても配線コード51、52が基板31、32などに引っ掛かる恐れがない。このため、ケース10、20を容易に開閉することができる。
【0033】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図8に示すように、本実施形態の電子機器ユニット2は、前記第1実施形態の電子機器ユニット1の第二の基板32が小型のものになっているとともに第三の基板33を備え、さらに第一の基板31と第三の基板33とを接続する配線コード53と、第一のケース10の縁部11および第二のケース20の縁部21にそれぞれ取り付けられたグロメット60とを備えている。
【0034】
第三の基板33は、第二のケース20のボス24に取り付けられている。
グロメット60はグロメット40と同様に形成され、第一のケース10に形成された切り欠き16および第二のケース20に形成された切り欠き26にそれぞれ係合している。
配線コード53は、グロメット60に形成された貫通孔61、62に挿通され、一方の端部が第一の基板31に、他方の端部が第三の基板33にそれぞれ接続されている。
【0035】
このように構成された本実施形態の電子機器ユニット2によれば、3つの基板31〜33を備える場合であっても、収容空間V1で配線コード51〜53が移動するのを防止することができる。
このように、電子機器ユニットに備えられる基板の数に制限はなく、何枚備えていてもよい。
【0036】
以上、本発明の第1実施形態および第2実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更なども含まれる。さらに、各実施形態で示した構成のそれぞれを適宜組み合わせて利用できることは、言うまでもない。
たとえば、前記第1実施形態および第2実施形態では、グロメットは、第一のケース10または第二のケース20のいずれか一方に取り付けられるように構成してもよい。
また、前記第1実施形態および第2実施形態では、第一の電子機器が第一の基板31、第二の電子機器が第二の基板32であるとした。しかし、電子機器は基板に限定されることなく、トランスやレギュレータなどの単体の電子部品などでもよい。
【0037】
前記第1実施形態および第2実施形態では、図9に示すように、接続面Pとグロメット40の外部空間V2側の面との交線Lに平行にグロメット40を見たときに、配線コード51が挿通される貫通孔41および貫通孔42の外部空間V2側の開口の少なくとも一部が重なるように配置することで、グロメット40をZ方向にさらに薄く構成することができる。
【0038】
前記第1実施形態および第2実施形態では、貫通孔41〜44の内周面が、配線コード51、52の外周面の一部のみにしか接触していないように構成してもよい。収容空間V1内でたるみが無いように引き出した配線コード51、52をケース10、20の外表面に固定することで、グロメット40に対する配線コード51、52の位置を保持することができるからである。
前述の電子機器ユニット1の製造方法では、配置工程S1、接続工程S2を、この順で行う場合で説明した。しかし、これらの工程の順序に制限はなく、工程の順序を入れ替えて行ってもよいし、これらの工程を同時に行ってもよい。
【0039】
また、前記第1実施形態および第2実施形態では、電線は、長手方向に垂直な平面による断面形状がほぼ円形であるとした。しかし、電線の形状には制限はなく、たとえば、この断面形状が略矩形となるフラットケーブルなどでもよい。この場合、貫通孔の形状も、フラットケーブルの形状に対応した直方体状に形成することで、グロメットと電線との間を気密に保つことができる。
【符号の説明】
【0040】
1、2 電子機器ユニット
10 第一のケース(第一の仕切り体)
11、21 縁部
20 第二のケース(第二の仕切り体)
31 第一の基板(第一の電子機器)
32 第二の基板(第二の電子機器)
40、60 グロメット(保護部材)
41〜44、61、62 貫通孔
51、52、53 配線コード(電線)
51a 第一の端部
51b 第二の端部
51c 中間部
P 接続面
V1 収容空間
V2 外部空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の電子機器と、第二の電子機器と、互いの縁部を接続させることで前記第一の電子機器および前記第二の電子機器を収容する収容空間を形成した第一の仕切り体および第二の仕切り体と、を備える電子機器ユニットであって、
前記第一の仕切り体および前記第二の仕切り体の少なくとも一方に取り付けられ、前記収容空間と前記収容空間に対する外部空間とを連通する貫通孔が複数形成された保護部材と、
第一の端部が前記第一の電子機器に、第二の端部が前記第二の電子機器にそれぞれ電気的に接続され、一の前記貫通孔を挿通して前記収容空間から前記外部空間に延びるとともに他の前記貫通孔を挿通して前記外部空間から前記収容空間に延びるように配置された電線と、
を備えることを特徴とする電子機器ユニット。
【請求項2】
前記保護部材は弾性を有する材料で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器ユニット。
【請求項3】
前記保護部材の前記貫通孔の内周面は、前記電線の外周面に全周にわたり接触していることを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器ユニット。
【請求項4】
1つの前記電線が挿通される一対の前記貫通孔の前記外部空間側の開口は、
互いの距離が前記電線に対応して定められる所定の距離以上離間しているとともに、互いの前記縁部を接続させた前記第一の仕切り体および前記第二の仕切り体の少なくとも一方に前記保護部材を取り付けた状態で前記第一の仕切り体と前記第二の仕切り体との接続面に直交する方向に見たときに、位置をずらして配置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電子機器ユニット。
【請求項5】
第一の電子機器を第一の仕切り体に取り付けるとともに第二の電子機器を第二の仕切り体に取り付ける配置工程と、
保護部材に形成された複数の貫通孔に中間部で折り返された電線の両端部をそれぞれ挿通し、前記電線の端部を前記第一の電子機器および前記第二の電子機器にそれぞれ電気的に接続する接続工程と、
前記第一の仕切り体および前記第二の仕切り体の少なくとも一方に前記保護部材を取り付けて前記第一の仕切り体および前記第二の仕切り体の縁部同士を接続することで、前記第一の仕切り体および前記第二の仕切り体の内部に前記第一の電子機器および前記第二の電子機器を収容した収容空間を形成するとともに、前記第一の仕切り体および前記第二の仕切り体の外部に前記電線の中間部を配置した外部空間を形成する組み付け工程と、
前記電線の一部を前記貫通孔を通して前記収容空間から引き出す調節工程と、
を備えることを特徴とする電子機器ユニットの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−138515(P2012−138515A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−291037(P2010−291037)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000002037)新電元工業株式会社 (776)
【Fターム(参考)】