説明

電子機器及び電子機器システム

【課題】USB規格に準拠しつつ供給可能な電力を増加することができる電子機器及び電子機器システムを提供する。
【解決手段】電子機器100は、USB3.0ホストコネクタ108を介して接続される外部デバイスへ電力を供給するDCDCコンバータ107と、USB3.0ホストコネクタ108の一の端子を介して、USB3.0ホストコネクタ108に接続された外部デバイスを判定するデバイス判定部106とを備える。DCDCコンバータ107は、デバイス判定部106でUSB互換デバイス200が接続されたと判定した場合、USB互換デバイス200へ電力を供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、USBコネクタを備える電子機器及び該電子機器を備える電子機器システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ノート型パーソナルコンピュータ又はタブレット型の携帯端末などの電子機器には、USB(Universal Serial Bus)インターフェイスを備えるものがあり、USBインターフェイスを備えた外部デバイスを当該電子機器に接続することにより、電子機器に機能を追加することができる。このような外部デバイスには、プリンタなどの印刷装置、デジタルカメラなどの映像装置、USBメモリなどの記憶装置、無線LANのような通信装置など様々なデバイスがある。
【0003】
USBはデータの転送方法に加えて、外部デバイスへの電力供給方法についても、USBの規格に定められている。このため、外部デバイス内に電源を具備しない場合であっても、USBインターフェイスを介して電子機器から外部デバイスへ電力を供給することができ、USBメモリ等の消費電力が少ない外部デバイスであれば、別途電源を用意する必要がないという利点がある。また、USBインターフェイスの規格としては、例えば、USB2.0、USB3.0などがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3151486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、USB規格上、電子機器から供給可能な電流(電力)の規格値は決まっているため、規格値を超える電流(電力)を必要とする外部デバイスを電子機器に接続して使用する場合には、単独で使用することができない。このような場合には、別途電源を用意して外部デバイスへ必要な電力を供給しなければならない。また、USB2.0からUSB3.0へと規格拡張が行われ、電流の規格値も500mAから900mAへと増加したものの、ディスプレイ等の大きな電力を必要とする外部デバイスを使用する場合には、別電源を準備しなければならない状況は変わっていない。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、USB規格に準拠しつつ供給可能な電力を増加することができる電子機器及び該電子機器を備えた電子機器システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電子機器は、複数の端子を有するUSBコネクタを備える電子機器において、前記USBコネクタを介して接続される外部デバイスへ電力を供給する電力供給部と、前記外部デバイスがUSB2.0デバイス、USB3.0デバイス又はUSB互換デバイスのいずれであるかを判定するデバイス判定部とを備え、前記電力供給部は、前記デバイス判定部で前記外部デバイスがUSB互換デバイスであると判定した場合、該USB互換デバイスへ電力を供給するように構成してあることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る電子機器は、前記USBコネクタは、第1から第9までの端子を有するUSB3.0インターフェイス用であり、前記デバイス判定部は、第7端子を介して外部デバイスを判定するように構成してあることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る電子機器は、前記デバイス判定部は、前記第7端子に流れる電流が電流閾値以上である場合、前記USB互換デバイスが接続されたと判定するようにしてあり、前記電力供給部は、第5、第6、第8又は第9の少なくとも1つの端子を介して電力を供給するように構成してあることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る電子機器は、前記電力供給部の出力端と前記第7端子との間に介装されたスイッチング素子と、前記第7端子の電圧を反転させた反転電圧を検出する電圧検出部とを備え、前記デバイス判定部は、前記電圧検出部で検出した電圧が電圧閾値以下である場合、前記USB互換デバイスが接続されたと判定するようにしてあり、前記デバイス判定部で前記USB互換デバイスが接続されたと判定した場合、前記スイッチング素子をオンにして前記電力供給部からの電力を前記第7端子へ供給すべく制御する電源制御部をさらに備えることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る電子機器システムは、前述の発明のいずれか1つに係る電子機器と、USB2.0デバイス、USB3.0デバイス又はUSB互換デバイスの少なくとも1つの外部デバイスとを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る電子機器システムは、前記USB互換デバイスは、第1から第9までの端子を有するUSB3.0インターフェイス用のUSBコネクタを備え、該USBコネクタの第7端子に所定値以上の電圧を印加するようにしてあることを特徴とする。
【0013】
本発明にあっては、USBコネクタを介して接続される外部デバイスへ電力を供給する電力供給部と、外部デバイスがUSB2.0デバイス、USB3.0デバイス又はUSB互換デバイスのいずれであるかを判定するデバイス判定部とを備える。USBコネクタは、例えば、USB3.0規格のUSBコネクタであり、端子1から端子9までの9つの端子を有する。端子1から端子4までがUSB2.0規格に対応し、端子5から端子9までがUSB3.0規格のための拡張部分である。USBコネクタの一の端子は、例えば、端子7を用いることができる。外部デバイスの種別には、例えば、USB2.0規格に準拠したUSB2.0デバイス(電流の規格値がUSB2.0規格に準拠するもの)、USB3.0規格に準拠したUSB3.0デバイス(電流の規格値がUSB3.0規格に準拠するもの)、USB2.0又はUSB3.0以外のUSB互換デバイス(電流の規格値がUSB2.0規格又はUSB3.0規格を超えるもの)がある。
【0014】
電力供給部は、デバイス判定部で外部デバイスがUSB互換デバイスであると判定した場合、USB互換デバイスへ電力を供給する。USB互換デバイスへ電力を供給する場合、USB2.0及びUSB3.0規格で機能を定められている端子1〜4を除いた他の端子を使用することができる。これにより、USB2.0デバイスが接続された場合には、USB2.0規格に準拠したデータ転送と電力供給を行い、USB3.0デバイスが接続された場合には、USB3.0規格に準拠したデータ転送と電力供給を行いつつ、USB互換デバイスが接続された場合には、電力供給部から所要の電力を供給することができ、USB規格に準拠しつつ供給可能な電力を増加することができる。
【0015】
本発明にあっては、USBコネクタは、第1から第9までの端子を有するUSB3.0インターフェイス用であり、デバイス判定部は、第7端子を介して外部デバイスを判定する。USB3.0インターフェイスの場合、例えば、端子1(第1端子)がVBUS(5V電源供給線)、端子2及び3(第2端子及び第3端子)がUSB2.0用の差動信号線、端子4(第4端子)が接地線、端子5及び6(第5端子及び第6端子)がUSB3.0用の送信用差動信号線、端子7(第7端子)が2つ目の接地線、端子8及び9(第8端子及び第9端子)がUSB3.0用の受信用差動信号線である。USB2.0及びUSB3.0規格に準拠したデータ転送及び給電を行うためには、端子1〜6、端子8、9は必須であるため、2つ目の接地線である端子7を、外部デバイスを判定するための信号線として使用する。これにより、USB2.0及びUSB3.0規格に準拠しつつ外部デバイスを判定することができる。
【0016】
本発明にあっては、デバイス判定部は、第7端子に流れる電流が電流閾値以上である場合、USB互換デバイスが接続されたと判定する。USB2.0デバイスの場合には、端子1(第1端子)から端子4(第4端子)までが使用され、端子5(第5端子)から端子9(第9端子)までは何も接続されないので、例えば、端子7(第7端子)は開放(オープン)状態でありハイインピーダンスとなる。そこで、USB互換デバイスの端子7に所定の電圧(例えば、5V程度)を予め印加しておく。USBコネクタの端子7から入力される電流を検出することにより、外部デバイスを判定することができる。例えば、所定値以上の電流を検出した場合には、外部デバイスがUSB互換デバイスであると判定することができ、所定値以上の電流を検出することができない場合には、USB2.0デバイスであると判定することができる。
【0017】
電力供給部は、第5、第6、第8又は第9の少なくとも1つの端子を介して電力を供給する。USB2.0デバイスの場合、第5から第9端子までは使用しない。そこで、USB2.0デバイスが接続された場合には、第1端子(VBUS)を介して電力を供給し、USB互換デバイスが接続された場合には、第1端子に加えて、第5、第6、第8又は第9の少なくとも1つの端子を介して電力を供給することにより、USB2.0デバイスを接続可能とするとともに、USB互換デバイスが接続された場合には、供給電力を増加させることができる。
【0018】
本発明にあっては、電力供給部の出力端と第7端子との間に介装されたスイッチング素子と、第7端子の電圧を反転させた反転電圧を検出する電圧検出部とを備える。スイッチング素子は、例えば、FETである。反転電圧の検出は、例えば、抵抗を介して第7端子を電圧源に接続(いわゆる電圧源にプルアップ)するとともに、第7端子の電圧を反転させるための電圧反転素子(例えば、トランジスタ)の入力端(例えば、ベース)に第7端子を接続し、電圧反転素子の出力端を電圧源にプルアップするとともに、当該出力端の電圧を検出する。
【0019】
デバイス判定部は、電圧検出部で検出した電圧が電圧閾値以下である場合、USB互換デバイスが接続されたと判定する。例えば、USB3.0デバイスは、第7端子を接地レベルにしてあるので、USB3.0デバイスが接続された場合、第7端子の電圧レベルは接地レベルとなり、電圧判定素子としてのトランジスタはオフとなり、反転電圧はハイレベル(電圧源の電圧)になる。一方、USB互換デバイスの第7端子に所定の電圧(例えば、5V程度)を予め印加しておく。USB互換デバイスが接続された場合には、第7端子の電圧レベルは所定の電圧(例えば、5V程度)となり、電圧判定素子としてのトランジスタはオンとなり、反転電圧はローレベル(電圧閾値以下の接地レベルの電圧)になる。
【0020】
電源制御部は、デバイス判定部でUSB互換デバイスが接続されたと判定した場合、スイッチング素子をオンにして電力供給部からの電力を第7端子へ供給すべく制御する。USB3.0デバイスの場合、第5、6、8、9端子は、データ転送に使用される。そこで、USB3.0デバイスが接続された場合には、第1端子(VBUS)を介して電力を供給し、USB互換デバイスが接続された場合には、第1端子に加えて、第7端子を介して電力を供給することにより、USB3.0デバイスを接続可能とするとともに、USB互換デバイスが接続された場合には、供給電力を増加させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、USB規格に準拠しつつ供給可能な電力を増加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施の形態1の電子機器システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1の電子機器の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】実施の形態2の電子機器システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図4】実施の形態2の電子機器の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(実施の形態1)
以下、本発明を実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は実施の形態1の電子機器システムの構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、実施の形態1の電子機器システムは、電子機器100、USB互換デバイス200などを備える。電子機器100とUSB互換デバイス200とは、例えば、端子1(第1端子)から端子9(第9端子)を有するUSB3.0規格に準拠したコネクタ形状のUSBコネクタを介してお互いに接続される。なお、図1には例示していないが、USB互換デバイス200に代えて、USB2.0デバイスを電子機器100に接続することもできる。
【0024】
なお、以下の説明において、USB2.0デバイスとは、USB2.0規格に準拠したデータ転送を行うことができるとともに、USB2.0規格で定められた電流規格値(500mA)内で動作するデバイスである。また、後述のUSB3.0デバイスとは、USB3.0規格に準拠したデータ転送を行うことができるとともに、USB3.0規格で定められた電流規格値(900mA)内で動作するデバイスである。また、USB互換デバイスとは、USB2.0規格に準拠したデータ転送を行うことができるとともに、USB2.0規格で定められた電流規格値(500mA)を超える電流を必要とするデバイス(USB2.0規格に準拠したUSB互換デバイス)、あるいは、USB3.0規格に準拠したデータ転送を行うことができるとともに、USB3.0規格で定められた電流規格値(900mA)を超える電流を必要とするデバイス(USB3.0規格に準拠したUSB互換デバイス)である。
【0025】
電子機器100は、USBバススイッチ101、マイコン102、DCDCコンバータ107、USB3.0ホストコネクタ108(接続コネクタ)などを備える。
【0026】
マイコン102は、USB2.0インターフェイス103、外部入力端子104、外部制御端子105、デバイス判定部106などを備える。
【0027】
USB互換デバイス200は、USB2.0規格に準拠したUSB互換デバイスであり、USB3.0デバイスコネクタ201(USBコネクタ)、電圧源202などを備える。電圧源202は、USB3.0デバイスコネクタ201の端子7に接続してある。なお、USB互換デバイス200のデバイス自身の機能を行う構成については、簡略化のため省略している。
【0028】
電子機器100のUSB3.0ホストコネクタ108、及びUSB互換デバイス200のUSB3.0デバイスコネクタ201は、いずれも端子1から端子9までの端子を備えるUSBコネクタである。端子1から端子4までがUSB2.0部であり、端子5から端子9までがUSB3.0拡張部である。
【0029】
USB3.0ホストコネクタ108とUSB3.0デバイスコネクタ201とは、ケーブル30で接続される。なお、ケーブル30を介さずにUSB3.0デバイスコネクタ201を直接USB3.0ホストコネクタ108に接続する構成とすることもできる。
【0030】
ケーブル30は、端子1から端子9まで順番に対応して、VBUS31(例えば、5V電源供給線)、USB2.0用の差動信号線32、33、接地線34、USB互換デバイス200用の電力供給線35、36、外部デバイスの種別(USB2.0デバイス、USB3.0デバイス又はUSB互換デバイスの区別)を判定するための信号線37、USB互換デバイス200用の電力供給線38、39を有する。
【0031】
電子機器100は、USB2.0デバイスが電子機器100に接続された場合には、端子1から端子4を使用して、USB2.0規格に準拠したデータ転送と電力供給を行う。また、電子機器100は、USB互換デバイス200が電子機器100に接続された場合には、端子1から端子9までを使用し、USB2.0規格に準拠したデータ転送とUSB2.0規格の規格値を超える電流(電力)の供給を行う。
【0032】
USBバススイッチ101は、端子1(VBUS31)を介して、USB2.0デバイス又はUSB互換デバイス200に所定の電圧(5V程度)を供給する。
【0033】
DCDCコンバータ107は、マイコン102の制御の下、USB互換デバイス200が接続された場合に、端子5、6、8、9(電力供給線35、36、38、39)を介してUSB互換デバイス200にUSB2.0規格の規格値を超える電流(電力)を供給する。
【0034】
マイコン102は、電子機器100の制御を行う集積回路により構成される。マイコン102は、USB2.0ホストコントローラを有する。
【0035】
USB2.0インターフェイス103は、USB2.0デバイス及びUSB互換デバイス200との間でUSB2.0規格に準拠したデータ転送を行う。
【0036】
外部入力端子104には、USB3.0ホストコネクタ108の端子7を接続してある。外部入力端子104は、マイコン102の内部で抵抗を介して接地レベルにプルダウンされている。
【0037】
デバイス判定部106は、外部入力端子104を介してUSB3.0ホストコネクタ108の端子7に流れる電流が所定の電流閾値以上であるか否かを判定する。デバイス判定部106は、端子7に流れる電流、すなわち、外部入力端子104に流れる電流が電流閾値以上である場合、USB互換デバイス200が接続されたと判定する。
【0038】
USB2.0デバイスの場合には、端子1(第1端子)から端子4(第4端子)までが使用され、端子5(第5端子)から端子9(第9端子)までは何も接続されないので、例えば、端子7(第7端子)は開放(オープン)状態でありハイインピーダンスとなる。USB2.0デバイスが接続された場合には、端子7に電流が流れないので、電流閾値以上の電流を検出することができない場合には、USB2.0デバイスであると判定することができる。また、USB互換デバイス200が接続された場合には、電圧源202からの電流が端子7に流れるので、電流閾値以上の電流を検出した場合には、外部デバイスがUSB互換デバイス200であると判定することができる。
【0039】
マイコン102は、USB互換デバイス200が接続された場合、外部制御端子105を介してDCDCコンバータ107の動作を開始させる。DCDCコンバータ107は、端子5、6、8、9を介してUSB互換デバイス200に電力を供給する。
【0040】
上述のように、USB2.0デバイスでは、端子5から9までは使用しない。そこで、USB2.0デバイスが接続された場合には、端子1(VBUS31)を介して電力を供給し、USB互換デバイス200が接続された場合には、端子1に加えて、端子5、6、8、9を介して電力を供給することにより、USB2.0デバイスを接続可能とするとともに、USB互換デバイス200が接続された場合には、供給電力を増加させることができる。
【0041】
図1において、DCDCコンバータ107は、端子5、6、8、9のすべてを使用する構成であったが、これに限定されるものではなく、端子5、6、8、9の少なくとも1つを使用する構成でもよい。また、複数の端子5、6、8、9を介して電力を供給する場合、端子に応じて供給する電圧値を変えることもできる。
【0042】
図1の例では、USBホストコントローラを有する部品としてマイコン102を実装した構成であるが、これに限定されるものではなく、SOC(System On a Chip)、またはサウスブリッジチップセット等でUSBホストコントローラを有する部品が実装される場合でも、本発明を適用することが可能である。
【0043】
図2は実施の形態1の電子機器100の処理手順を示すフローチャートである。以下の説明では、処理の主体をマイコン102として説明する。マイコン102は、外部入力端子104(端子7)に流れる電流値が電流閾値以上であるか否かを判定する(S11)。
【0044】
電流値が電流閾値以上である場合(S11でYES)、マイコン102は、USB互換デバイス200が接続されたと判定し(S12)、DCDCコンバータ107の出力をオンにし(S13)、処理を終了する。
【0045】
電流値が電流閾値以上でない場合(S11でNO)、マイコン102は、USB2.0デバイスが接続されたと判定し(S14)、DCDCコンバータ107の出力をオフのまま維持し(S15)、処理を終了する。
【0046】
(実施の形態2)
実施の形態1の電子機器100は、USB2.0デバイスとUSB互換デバイス200のいずれが接続されたかを判定し、USB2.0規格のデータ転送を可能にしつつ、USB互換デバイス200に対しては、USB2.0規格の規格値を超える電流(電力)を供給することができるものであったが、USB2.0デバイスに限定されるものではなく、USB2.0デバイス及びUSB3.0デバイスの両方の外部デバイスについても判定機能及び電力供給機能を拡張することができる。
【0047】
図3は実施の形態2の電子機器システムの構成の一例を示すブロック図である。図3に示すように、実施の形態2の電子機器システムは、電子機器110、USB互換デバイス210などを備える。電子機器110とUSB互換デバイス210とは、実施の形態1と同様に、例えば、端子1(第1端子)から端子9(第9端子)を有するUSB3.0規格に準拠したコネクタ形状のUSBコネクタを介してお互いに接続される。なお、図3には例示していないが、USB互換デバイス210に代えて、USB2.0デバイス又はUSB3.0デバイスを電子機器110に接続することもできる。
【0048】
電子機器110は、USBバススイッチ101、マイコン102、電源部71、FET72、電圧検出部50、USB3.0ホストコネクタ108(USBコネクタ)などを備える。
【0049】
マイコン102は、USB3.0インターフェイス113、外部入力端子114、外部制御端子115、デバイス判定部106などを備える。
【0050】
電圧検出部50は、電圧源51、52、トランジスタ55、56、抵抗57、58、59、60などを備える。
【0051】
USB互換デバイス210は、USB3.0規格に準拠したUSB互換デバイスであり、USB3.0デバイスコネクタ201(USBコネクタ)、電圧源203、プルアップ用の抵抗204などを備える。電圧源203は、抵抗204を介してUSB3.0デバイスコネクタ201の端子7に接続してある。また、USB互換デバイス210は、端子7を介して内部に電力を供給することができる。なお、USB互換デバイス210のデバイス自身の機能を行う構成については、簡略化のため省略している。
【0052】
USB3.0ホストコネクタ108とUSB3.0デバイスコネクタ201とは、ケーブル40で接続される。なお、ケーブル40を介さずにUSB3.0デバイスコネクタ201を直接USB3.0ホストコネクタ108に接続する構成とすることもできる。
【0053】
ケーブル40は、端子1から端子9まで順番に対応して、VBUS41(例えば、5V電源供給線)、USB2.0用の差動信号線42、43、接地線44、USB3.0用の送信用差動信号線45、46、外部デバイスの種別(USB2.0デバイス、USB3.0デバイス又はUSB互換デバイスの区別)を判定するとともに、USB互換デバイス210へ電力を供給する給電線47、USB3.0用の受信用差動信号線48、49を有する。
【0054】
電子機器110は、USB2.0デバイスが電子機器110に接続された場合には、端子1から端子4を使用して、USB2.0規格に準拠したデータ転送と電力供給を行う。また、電子機器110は、USB3.0デバイスが電子機器110に接続された場合には、端子1から端子9を使用して、USB3.0規格に準拠したデータ転送と電力供給を行う。さらに、電子機器110は、USB互換デバイス210が電子機器110に接続された場合には、端子1から端子9までを使用し、USB3.0規格に準拠したデータ転送とUSB3.0規格の規格値を超える電流(電力)の供給を行う。
【0055】
USB3.0ホストコネクタ108の端子7(給電線47)には、スイッチング素子としてのFET72のソースを接続してあり、FET72のドレインは電源部71の出力端に接続してあり、FET72のゲートは外部制御端子115に接続してある。
【0056】
また、USB3.0ホストコネクタ108の端子7(給電線47)には、抵抗54を介して電圧源52に接続されるとともに、抵抗59を介してトランジスタ56のベースに接続してある。トランジスタ56のベース・エミッタ間には、バイアス用の抵抗60を接続してある。トランジスタ56のコレクタは、外部入力端子114に接続してあり、抵抗53を介して電圧源51に接続してあり、さらに抵抗57を介してトランジスタ55のベースに接続してある。トランジスタ55のベース・エミッタ間には、バイアス用の抵抗58を接続してある。トランジスタ55のコレクタは、USB3.0ホストコネクタ108の端子7に接続してある。
【0057】
上述の構成により、電圧検出部50は、USB3.0ホストコネクタ108の端子7の電圧を反転させ、反転させた電圧(反転電圧)を外部入力端子114へ出力することにより、USB3.0ホストコネクタ108の端子7の電圧を反転させた反転電圧を検出する電圧検出部としての機能を有する。別言すれば、電圧検出部50は、USB3.0ホストコネクタ108の端子7の電圧のレベル遷移を行う機能を有する。
【0058】
以下、外部デバイスが接続された場合の電圧検出部50で検出する電圧について説明する。なお、電圧源52の電圧は、電圧源51の電圧よりも先に立ち上がるものとし、初期状態では、FET72はオフであり、トランジスタ55はオフであり、トランジスタ56はオンとなっている。すなわち、初期状態では、電圧源52の電圧がトランジスタ56のベースに印加されてトランジスタ56がオンとなり、トランジスタ56のコレクタの電圧が接地レベルとなるため、トランジスタ55はオフとなる。
【0059】
外部デバイスが接続されていない場合、あるいはUSB2.0デバイスが接続された場合には、USB3.0ホストコネクタ108の端子7には、外部から何も接続されないので、端子7は開放(オープン)状態となり、ハイインピーダンスの状態となる。端子7は、抵抗54を介して電圧源52にプルアップされているため、端子7の電圧は、ハイレベルとなりトランジスタ56はオン状態を維持し、外部入力端子114の電圧は接地レベル(電圧閾値以下の電圧)を維持する。
【0060】
USB3.0デバイスでは、USB3.0デバイスコネクタ201の端子7は、内部で接地レベルに接続されているので、USB3.0デバイスが接続された場合には、USB3.0ホストコネクタ108の端子7の電圧は接地レベルとなる。このため、トランジスタ56はオンからオフとなり、電圧源51の電圧がトランジシタ55のベースに印加され、トランジスタ55はオフからオンとなる。この場合、外部入力端子114には電圧源51の電圧が印加されるので、外部入力端子114の電圧は電圧閾値以上の電圧となる。なお、電圧閾値は、電圧源51の電圧と接地レベルとの間の電圧に設定することができる。
【0061】
USB互換デバイス210では、USB3.0デバイスコネクタ201の端子7が電圧源203にプルアップされているので、USB互換デバイス210が接続された場合には、USB3.0ホストコネクタ108の端子7の電圧は、ハイレベルとなりトランジスタ56はオンとなり、外部入力端子114の電圧は接地レベル(電圧閾値以下の電圧)となる。
【0062】
すなわち、外部入力端子114の電圧は、USB互換デバイス210が接続された場合には、電圧閾値以下となり、USB3.0デバイスが接続された場合には、電圧閾値を超えた値となる。運用上、接続する外部デバイスをUSB互換デバイス210及びUSB3.0デバイスに限定すれば、外部入力端子114の電圧を検出するだけで、USB互換デバイス210が接続されたのか、あるいはUSB3.0デバイスが接続されたのかを判定することができる。
【0063】
また、外部デバイスとの接続は、USBホストコントローラを有するマイコン102で検知することができ、またUSB2.0規格に準拠した通信の有無も検知することができるので、マイコン102のUSBホストコントローラでの検知と外部入力端子114の電圧検出とを組み合わせることにより、さらにUSB2.0デバイスが接続されたか否か、及び外部デバイスの未接続も判定することができる。
【0064】
デバイス判定部116は、外部入力端子114の電圧レベルに応じて、USB互換デバイス210が接続されたのか、あるいはUSB3.0デバイスが接続されたのかを判定する。また、デバイス判定部116は、外部入力端子114の電圧レベル及びUSBホストコントローラでの検知結果に基づいて、外部デバイスの未接続、USB2.0デバイスの接続、USB3.0デバイスの接続及びUSB互換デバイス210の接続を判定する。
【0065】
マイコン102は、デバイス判定部116でUSB互換デバイス210が接続されたと判定した場合、外部制御端子115をハイレベルに変更してFET72をオンにする。なお、FET72がNチャネル型ではなく、Pチャネル型である場合には、外部制御端子115をローレベルに変更してFETをオンすればよい。
【0066】
FET72がオンとなると、電源部71からの電力がFET72、USB3.0ホストコネクタ108の端子7を介してUSB互換デバイス210に供給される。なお、USB互換デバイス210が接続された場合には、トランジスタ55はオフとなっているので、電源部71からの電力は、FET72を介して端子7へ供給される。すなわち、電圧検出部50は、電源制御部の機能の一部を有する。
【0067】
USB3.0インターフェイス113は、USB2.0デバイス、USB3.0デバイス及びUSB互換デバイス210との間でUSB2.0規格又はUSB3.0規格に準拠したデータ転送を行う。
【0068】
上述のように、実施の形態2の電子機器110にあっては、電源部71(電力供給部)の出力端と端子7(第7端子)との間に介装されたFET72(スイッチング素子)と、端子7の電圧を反転させた反転電圧(電圧レベルの遷移)を検出する電圧検出部50とを備える。デバイス判定部116は、電圧検出部50で検出した電圧(外部入力端子114の電圧)が電圧閾値以下である場合、USB互換デバイス210が接続されたと判定する。電源制御部としてのマイコン102は、デバイス判定部116でUSB互換デバイス210が接続されたと判定した場合、外部制御端子115をハイレベルにしてFET72をオンにして電源部71(電力供給部)からの電力を端子7へ供給すべく制御する。
【0069】
USB3.0デバイスの場合、端子5、6、8、9(第5、6、8、9端子)は、データ転送に使用される。そこで、USB3.0デバイスが接続された場合には、端子1(VBUS)を介して電力を供給し、USB互換デバイス210が接続された場合には、端子1に加えて、端子7を介して電力を供給することにより、USB3.0デバイスを接続可能とするとともに、USB互換デバイス210が接続された場合には、供給電力を増加させることができる。
【0070】
図4は実施の形態2の電子機器110の処理手順を示すフローチャートである。以下の説明では、処理の主体をマイコン102として説明する。マイコン102は、外部入力端子114の電圧値が電圧閾値以下であるか否かを判定し(S21)、電圧値が電圧閾値以下である場合(S21でYES)、外部デバイスの接続の有無を判定する(S22)。
【0071】
外部デバイスとの接続がない場合(S22でNO)、マイコン102は、ステップS21の処理を行う。外部デバイスとの接続がある場合(S22でYES)、マイコン102は、USB2.0規格の通信の有無を判定し(S23)、USB2.0規格の通信がない場合(S23でNO)、USB互換デバイス210が接続されたと判定する(S24)。
【0072】
マイコン102は、外部接続端子115をハイレベルに変更し(S25)、FET72をオンにしてUSB互換デバイス210に対して電力供給を開始し(S26)、処理を終了する。
【0073】
電圧値が電圧閾値以下でない場合(S21でNO)、マイコン102は、USB3.0デバイスが接続されたと判定し(S27)、外部接続端子115をローレベルのまま維持し(S28)、ステップS26の処理を行うことなく処理を終了する。
【0074】
USB2.0規格の通信があった場合(S23でYES)、マイコン102は、USB2.0デバイスが接続されたと判定し(S29)、ステップS28の処理を行う。
【0075】
なお、運用上、USB2.0デバイスを使用しない場合には、ステップS23、S29の処理を省略することもできる。
【0076】
USBコネクタの端子の機能が、例えば、図1又は図3の例と異なる場合であっても、実施の形態1のように、使用していない端子を利用して外部デバイスの種別の判定と電力供給の給電を行うことができ、あるいは実施の形態2のように、2つ以上の接地線が存在する場合には、一の接地線を利用して、外部デバイスの判定と電力供給の給電を行うことができる。
【0077】
実施の形態1、2のように、電子機器100、110は、USBコネクタを介して接続される外部デバイスへ電力を供給する電力供給部(DCDCコンバータ107、電源部71)と、USBコネクタに接続された外部デバイスを判定するデバイス判定部106、116とを備える。電力供給部(DCDCコンバータ107、電源部71)は、デバイス判定部106、116で外部デバイスがUSB互換デバイス200、210であると判定した場合、USB互換デバイス200、210へ電力を供給する。USB互換デバイス200、210へ電力を供給する場合、USB2.0及びUSB3.0規格で機能を定められている端子1〜4を除いた他の端子を使用することができる。
【0078】
これにより、USB2.0デバイスが接続された場合には、USB2.0規格に準拠したデータ転送と電力供給を行い、USB3.0デバイスが接続された場合には、USB3.0規格に準拠したデータ転送と電力供給を行いいつつ、USB互換デバイス200、210が接続された場合には、電力供給部(DCDCコンバータ107、電源部71)から所要の電力を供給することができ、USB規格に準拠しつつ供給可能な電力を増加することができ、USB規格を上回る大きな電力を供給することができる。
【0079】
また、デバイス判定部106、116は、端子7(第7端子)を介して外部デバイスを判定する。USB3.0インターフェイスの場合、例えば、端子1(第1端子)がVBUS(5V電源供給線)、端子2及び3(第2端子及び第3端子)がUSB2.0用の差動信号線、端子4(第4端子)が接地線、端子5及び6(第5端子及び第6端子)がUSB3.0用の送信用差動信号線、端子7(第7端子)が2つ目の接地線、端子8及び9(第8端子及び第9端子)がUSB3.0用の受信用差動信号線である。USB2.0及びUSB3.0規格に準拠したデータ転送及び給電を行うためには、端子1〜6、端子8、9は必須であるため、2つ目の接地線である端子7を外部デバイスを判定するための信号線として使用する。これにより、USB2.0及びUSB3.0規格に準拠しつつ外部デバイスの種別を判定することができる。
【符号の説明】
【0080】
100、110 電子機器
102 マイコン(電源制御部)
103 USB2.0インターフェイス
104、114 外部入力端子
105、115 外部制御端子
106、116 デバイス判定部
107 DCDCコンバータ(電力供給部)
108 USB3.0ホストコネクタ(USBコネクタ)
113 USB3.0インターフェイス(USBコネクタ)
50 電圧検出部(電圧検出部、電源制御部)
51、52 電圧源
53、54、57、58、59、60 抵抗
55、56 トランジスタ
71 電源部(電力供給部)
72 FET
200、210 USB互換デバイス
201 USB3.0デバイスコネクタ
202、203 電圧源
204 抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端子を有するUSBコネクタを備える電子機器において、
前記USBコネクタを介して接続される外部デバイスへ電力を供給する電力供給部と、
前記外部デバイスがUSB2.0デバイス、USB3.0デバイス又はUSB互換デバイスのいずれであるかを判定するデバイス判定部と
を備え、
前記電力供給部は、
前記デバイス判定部で前記外部デバイスがUSB互換デバイスであると判定した場合、該USB互換デバイスへ電力を供給するように構成してあることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記USBコネクタは、
第1から第9までの端子を有するUSB3.0インターフェイス用であり、
前記デバイス判定部は、
第7端子を介して外部デバイスを判定するように構成してあることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記デバイス判定部は、
前記第7端子に流れる電流が電流閾値以上である場合、前記USB互換デバイスが接続されたと判定するようにしてあり、
前記電力供給部は、
第5、第6、第8又は第9の少なくとも1つの端子を介して電力を供給するように構成してあることを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記電力供給部の出力端と前記第7端子との間に介装されたスイッチング素子と、
前記第7端子の電圧を反転させた反転電圧を検出する電圧検出部と
を備え、
前記デバイス判定部は、
前記電圧検出部で検出した電圧が電圧閾値以下である場合、前記USB互換デバイスが接続されたと判定するようにしてあり、
前記デバイス判定部で前記USB互換デバイスが接続されたと判定した場合、前記スイッチング素子をオンにして前記電力供給部からの電力を前記第7端子へ供給すべく制御する電源制御部をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の電子機器と、USB2.0デバイス、USB3.0デバイス又はUSB互換デバイスの少なくとも1つの外部デバイスとを備えることを特徴とする電子機器システム。
【請求項6】
前記USB互換デバイスは、
第1から第9までの端子を有するUSB3.0インターフェイス用のUSBコネクタを備え、
該USBコネクタの第7端子に所定値以上の電圧を印加するようにしてあることを特徴とする請求項5に記載の電子機器システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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